(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013292
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】給水システム
(51)【国際特許分類】
F04D 15/00 20060101AFI20240125BHJP
F04D 13/12 20060101ALI20240125BHJP
F04B 49/06 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F04D15/00 D
F04D13/12 Z
F04B49/06 341L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115255
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 保昭
(72)【発明者】
【氏名】原田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】天明 大知
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 正臣
(72)【発明者】
【氏名】宮内 祥子
【テーマコード(参考)】
3H020
3H130
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA05
3H020AA08
3H020BA06
3H020BA16
3H020BA25
3H020DA23
3H130AA03
3H130AB23
3H130AB60
3H130AC06
3H130BA42A
3H130BA68J
3H130DF01X
3H130DG02X
3H130DG03X
3H130DG05X
3H145AA06
3H145AA16
3H145AA17
3H145AA23
3H145BA33
3H145BA41
3H145DA32
3H145DA39
(57)【要約】
【課題】水槽から水を汲み上げるためのポンプの有効揚程を確保することができ、水槽の清掃時に空気の吸込みを防止することができる給水システムを提供する。
【解決手段】給水システムは、吸込み側が第1水槽1に連通し、第2水槽2には連通していないN台(Nは自然数)のポンプP1,P3,P5を含む第1ポンプグループと、吸込み側が第2水槽2に連通し、第1水槽1には連通していないM台(Mは自然数)のポンプP2,P4,P6を含む第2ポンプグループと、制御装置5を備える。制御装置5は、第1ポンプグループに属するポンプおよび第2ポンプグループに属するポンプを運転させるノーマル運転モードと、第1ポンプグループに属するポンプのみを運転させる第1インターロックモードと、第2ポンプグループに属するポンプのみを運転させる第2インターロックモードを選択的に実行するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込み側が第1水槽に連通し、第2水槽には連通していないN台(Nは自然数)のポンプを含む第1ポンプグループと、
吸込み側が前記第2水槽に連通し、前記第1水槽には連通していないM台(Mは自然数)のポンプを含む第2ポンプグループと、
前記第1ポンプグループおよび前記第2ポンプグループの少なくともいずれか一方に属するN台以下またはM台以下の前記ポンプを運転させる制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記第1ポンプグループに属する前記ポンプおよび前記第2ポンプグループに属する前記ポンプを運転させるノーマル運転モードと、
前記第1ポンプグループに属する前記ポンプのみを運転させ、前記第2ポンプグループに属する前記ポンプを運転させない第1インターロックモードと、
前記第2ポンプグループに属する前記ポンプのみを運転させ、前記第1ポンプグループに属する前記ポンプを運転させない第2インターロックモードを選択的に実行するように構成されている、給水システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記ノーマル運転モードでは、前記第1ポンプグループに属する前記ポンプおよび前記第2ポンプグループに属する前記ポンプをローテーション運転させ、
前記第1インターロックモードでは、前記第1ポンプグループに属する前記ポンプのみをローテーション運転させ、
前記第2インターロックモードでは、前記第2ポンプグループに属する前記ポンプのみをローテーション運転させるように構成されている、請求項1に記載の給水システム。
【請求項3】
前記給水システムは、前記ノーマル運転モード、前記第1インターロックモード、および前記第2インターロックモードのいずれかを選択するための操作パネルを備えており、
前記操作パネルは、選択された前記ノーマル運転モード、前記第1インターロックモード、または前記第2インターロックモードを示す運転モード選択信号を前記制御装置に送り、
前記制御装置は、前記運転モード選択信号に従って前記ノーマル運転モード、前記第1インターロックモード、または前記第2インターロックモードを実行するように構成されている、請求項2に記載の給水システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ノーマル運転モードでは、N台以下またはM台以下の前記ポンプを運転させながら、残りの複数のポンプを予備ポンプとして待機させるように構成されている、請求項1に記載の給水システム。
【請求項5】
前記第1ポンプグループに属する前記ポンプおよび前記第2ポンプグループに属する前記ポンプは、前記第1水槽および前記第2水槽の上方に配置された吸い上げポンプである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の給水システム。
【請求項6】
前記第1ポンプグループに属する前記ポンプは、前記第1水槽内に配置された水中ポンプであり、
前記第2ポンプグループに属する前記ポンプは、前記第2水槽内に配置された水中ポンプである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の給水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物に水を供給するための給水システムに関し、特に、水槽に貯留された水を汲み上げる給水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の給水システムを示す模式図である。
図5に示すように、給水システムは、複数台(
図5では4台)のポンプP1~P4を備えており、これらポンプP1~P4は、複数の吸込み管500を通じて2つの水槽501,502の両方に連結されている。水槽501,502には給水管(図示せず)から水が供給され、水はこれらの水槽501,502に貯留される。2つの水槽501,502は連通管503を通じて連通している。連通管503には連通弁505が配置されており、通常運転時には連通弁505は開かれている。したがって、2つの水槽501,502の水位は同じに保たれている。
【0003】
各吸込み管500は、2つの水槽501,502に分岐する分岐管506を備えており、各分岐管506には開閉弁509が取り付けられている。すなわち、4つのポンプP1~P4に連結された4つの吸込み管500には、8つの開閉弁509が取り付けられている。各吸込み管500の2つの分岐管506は、2つの水槽501,502にそれぞれ連結されているので、すべてのポンプP1~P4は、2つの水槽501,502の両方に連結されている。給水システムの通常運転時には、すべての開閉弁509は開かれている。したがって、4つのポンプP1~P4は、2つの水槽501,502内の水を汲み上げる。分岐管506の下端には、落水を防止するためのフート弁(逆流防止弁)510がそれぞれ取り付けられている。
【0004】
水槽501,502は定期的に清掃をすることが必要である。2つの水槽501,502の清掃は交互に行われる。すなわち、
図6に示すように、水槽502を清掃するときは、水槽502に連通する開閉弁509を閉じ、その一方で、水槽501に連通する開閉弁509は開かれた状態に維持される。連通弁505は閉じられ、4つのポンプP1~P4は、そのまま運転される。同様に、他方の水槽501を清掃するときは、
図7に示すように、水槽501に連通する開閉弁509を閉じ、その一方で、水槽502に連通する開閉弁509は開かれた状態に維持される。連通弁505は閉じられ、4つのポンプP1~P4は、そのまま運転される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61-034369号公報
【特許文献2】特開2011-102590号公報
【特許文献3】特開2012-225349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図5乃至
図7に示す構成では、複数の分岐管506をそれぞれ備えた複数の吸込み管500が必要になる。複数の分岐管506を備えた吸込み管500の形状は複雑であり、結果として圧力損失につながる。特に、中水を利用する場合では、水槽501,502は、地中に埋設されることが多く、水槽501,502とポンプP1~P4との距離が長くなることがある。このような場合には、吸込み管500内の圧力損失が増加し、ポンプP1~P4の有効揚程が低下することがある。
【0007】
加えて、上記構成では、複数の分岐管506に対応した複数の開閉弁509が必要となり、水槽501,502の清掃時に開閉弁509の操作が必要となる。開閉弁509の操作に失敗すると、ポンプが空気を吸引することになり、ポンプの故障を引き起こすことがある。
【0008】
そこで、本発明は、水槽から水を汲み上げるためのポンプの有効揚程を確保することができ、水槽の清掃時に空気の吸込みを防止することができる給水システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、吸込み側が第1水槽に連通し、第2水槽には連通していないN台(Nは自然数)のポンプを含む第1ポンプグループと、吸込み側が前記第2水槽に連通し、前記第1水槽には連通していないM台(Mは自然数)のポンプを含む第2ポンプグループと、前記第1ポンプグループおよび前記第2ポンプグループの少なくともいずれか一方に属するN台以下またはM台以下の前記ポンプを運転させる制御装置を備え、前記制御装置は、前記第1ポンプグループに属する前記ポンプおよび前記第2ポンプグループに属する前記ポンプを運転させるノーマル運転モードと、前記第1ポンプグループに属する前記ポンプのみを運転させ、前記第2ポンプグループに属する前記ポンプを運転させない第1インターロックモードと、前記第2ポンプグループに属する前記ポンプのみを運転させ、前記第1ポンプグループに属する前記ポンプを運転させない第2インターロックモードを選択的に実行するように構成されている、給水システムが提供される。
【0010】
一態様では、前記制御装置は、前記ノーマル運転モードでは、前記第1ポンプグループに属する前記ポンプおよび前記第2ポンプグループに属する前記ポンプをローテーション運転させ、前記第1インターロックモードでは、前記第1ポンプグループに属する前記ポンプのみをローテーション運転させ、前記第2インターロックモードでは、前記第2ポンプグループに属する前記ポンプのみをローテーション運転させるように構成されている。
一態様では、前記給水システムは、前記ノーマル運転モード、前記第1インターロックモード、および前記第2インターロックモードのいずれかを選択するための操作パネルを備えており、前記操作パネルは、選択された前記ノーマル運転モード、前記第1インターロックモード、または前記第2インターロックモードを示す運転モード選択信号を前記制御装置に送り、前記制御装置は、前記運転モード選択信号に従って前記ノーマル運転モード、前記第1インターロックモード、または前記第2インターロックモードを実行するように構成されている。
【0011】
一態様では、前記制御装置は、前記ノーマル運転モードでは、N台以下またはM台以下の前記ポンプを運転させながら、残りの複数のポンプを予備ポンプとして待機させるように構成されている。
一態様では、前記第1ポンプグループに属する前記ポンプおよび前記第2ポンプグループに属する前記ポンプは、前記第1水槽および前記第2水槽の上方に配置された吸い上げポンプである。
一態様では、前記第1ポンプグループに属する前記ポンプは、前記第1水槽内に配置された水中ポンプであり、前記第2ポンプグループに属する前記ポンプは、前記第2水槽内に配置された水中ポンプである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1ポンプグループおよび第2ポンプグループに属するポンプのそれぞれは、第1水槽または第2水槽のいずれか一方にのみ連通する。したがって、
図5に示すような分岐管が不要となり、各ポンプの吸込み側での圧力損失が低減できる。結果として、各ポンプの有効揚程が向上する。さらに、制御装置は、第1インターロックモードおよび第2インターロックモードを実行することにより、水槽の清掃時にポンプによる空気の吸込みを防止することができる。さらに、
図5に示すようなポンプ上流側の開閉弁を設けることを不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】給水システムの一実施形態を示す模式図である。
【
図2】第1インターロックモードを実行しているときの給水システムの一実施形態を示す模式図である。
【
図3】第2インターロックモードを実行しているときの給水システムの一実施形態を示す模式図である。
【
図4】給水システムの他の実施形態を示す模式図である。
【
図6】2つの水槽のうちの一方を清掃するときの給水システムを示す模式図である。
【
図7】他方の水槽を清掃するときの給水システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、給水システムの一実施形態を示す模式図である。
図1に示すように、給水システムは、吸込み側が第1水槽1に連通し、第2水槽2には連通していないN台(Nは自然数)のポンプP1,P3,P5を含む第1ポンプグループと、吸込み側が第2水槽2に連通し、第1水槽1には連通していないM台(Mは自然数)のポンプP2,P4,P6を含む第2ポンプグループと、第1ポンプグループおよび第2ポンプグループの少なくともいずれか一方に属するN台以下またはM台以下のポンプを運転させる制御装置5を備えている。
【0015】
第1水槽1と第2水槽2は連通管7を通じて連通している。連通管7には連通弁8が配置されており、通常運転時には連通弁8は開かれている。したがって、第1水槽1と第2水槽2内の水位は同じに保たれている。
【0016】
ポンプP1~P6は、第1水槽1および第2水槽2の上方に配置された吸い上げポンプである。ポンプP1~P6のそれぞれは、羽根車(図示せず)および羽根車を回転させるための電動機(図示せず)を備えている。各ポンプの構成は、一般的な構成であるので、その説明を省略する。
【0017】
給水システムは、ポンプP1,P3,P5の吸込み側に接続され、かつ第1水槽1内に延びる複数(
図1では3つ)の第1吸込み管11と、ポンプP2,P4,P6の吸込み側に接続され、かつ第2水槽2内に延びる複数(
図1では3つ)の第2吸込み管12を備えている。第1吸込み管11および第2吸込み管12の下端には、落水を防止するためのフート弁(逆流防止弁)18がそれぞれ取り付けられている。給水システムは、ポンプP1~P6の吐出し側に連結された集合吐出し管15を備さらにえている。
【0018】
各第1吸込み管11および各第2吸込み管12は、単一の配管から構成されている。すなわち、各第1吸込み管11は、第1水槽1に連結されており、第2水槽2には連結されていない。同様に、各第2吸込み管12は、第2水槽2に連結されており、第1水槽1には連結されていない。したがって、第1ポンプグループに属するポンプP1,P3,P5は、第1水槽1に連通しているが、第2水槽2には連通していない。第2ポンプグループに属するポンプP2,P4,P6は、第2水槽2に連通しているが、第1水槽1には連通していない。
【0019】
本実施形態によれば、第1ポンプグループおよび第2ポンプグループに属するポンプP1~P6のそれぞれは、第1水槽1または第2水槽2のいずれか一方にのみ連通する。したがって、
図5に示すような分岐管が不要となり、各ポンプの吸込み側での圧力損失が低減できる。結果として、各ポンプの吸込み側での揚程が向上する。
【0020】
図1に示す実施形態では、第1ポンプグループに属するポンプの台数は複数であり、第2ポンプグループに属するポンプの台数も複数である。第1ポンプグループに属するポンプの台数と、第2ポンプグループに属するポンプの台数は、同じであってもよいし、あるいは異なってもよい。また、各ポンプグループに属するポンプの台数は、
図1に示す実施形態には限定されず、2台以下の台数であってもよいし、あるいは4台以上の台数であってもよい。一実施形態では、各ポンプグループに属するポンプの台数は、1台であってもよい。
【0021】
図1に示す実施形態では、第1ポンプグループに属するポンプP1,P3,P5の台数は3台であり、第2ポンプグループに属するポンプP2,P4,P6の台数も3台であり、ポンプP1~P6の総台数は6台である。制御装置5は、6台のポンプP1~P6のうち、第1ポンプグループに属するポンプP1,P3,P5の台数(または第2ポンプグループに属するポンプP2,P4,P6の台数)である3台以下の台数のポンプを選択的に運転させるように構成されている。より具体的には、制御装置5は、必要とされる水の流量に基づいて、6台のポンプP1~P6のうちの3台以下のポンプを運転させる。言い換えれば、制御装置5は、3台のポンプを6台のポンプP1~P6から選択し、必要とされる水の流量に基づいて、最大3台のポンプを運転させる。選択されなかった残りの3台のポンプは、待機状態となる。
【0022】
制御装置5は、ポンプP1~P6の吐出し側の水圧が所定の始動圧力まで低下したときに、ポンプP1~P6のうちのいずれか1つを始動させ、必要とされる水の流量に従って他のポンプを順次始動するように構成される。同時に運転されるポンプの最大台数は、上述したようにN台またはM台である。また、制御装置5は、ポンプP1~P6の吐出し側の水の流量の低下に従って運転中のポンプを順次停止させるように構成される。
【0023】
給水システムは、第1水槽1内の水位を検出する第1水位検出器21と、第2水槽2内の水位を検出する第2水位検出器22を備えている。第1水位検出器21および第2水位検出器22は、制御装置5に電気的に接続されており、第1水槽1内の水位の検出信号および第2水槽2内の水位の検出信号は制御装置5に送信される。制御装置5は、第1水位検出器21または第2水位検出器22のいずれかから送られた水位検出信号に基づいて、第1水槽1および/または第2水槽2に流入する水の流量を流量制御弁(図示せず)により制御する。
【0024】
制御装置5は、少なくとも1台のコンピュータ(例えば、マイクロコンピュータ、PLCなど)から構成される。制御装置5は、プログラムが格納された記憶装置5aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置5bを備えている。記憶装置5aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置5bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、制御装置5の具体的構成は本実施形態に限定されない。
【0025】
給水システムは、制御装置5に電気的に接続された操作パネル25をさらに備えている。操作パネル25は、各種設定値、ポンプの運転情報などを表示する表示部25aと、ユーザーが各種設定情報を入力するための入力部25bを有している。
【0026】
制御装置5は、3つの運転モード、すなわち、ノーマル運転モード、第1インターロックモード、および第2インターロックモードのいずれか1つを選択的に実行するように構成されている。より具体的には、制御装置5は、操作パネル25から送られる運転モード選択信号に従って、ノーマル運転モード、第1インターロックモード、および第2インターロックモードのいずれかを実行する。以下、これらの運転モードについて説明する。
【0027】
ノーマル運転モードは、第1ポンプグループに属するポンプおよび第2ポンプグループに属するポンプを運転させる運転モードである。具体的には、上述したように、制御装置5は、第1ポンプグループに属するポンプの台数であるN台以下、または第2ポンプグループに属するポンプの台数であるM台以下の台数のポンプを選択的に運転させる。
図1に示す実施形態では、第1ポンプグループに属する最大3台のポンプおよび第2ポンプグループに属する最大3台のポンプが運転される。
【0028】
制御装置5は、ノーマル運転モードでは、N台以下またはM台以下のポンプを運転させながら、残りの複数のポンプを予備ポンプとして待機させる。
図1に示す実施形態では、制御装置5は、ノーマル運転モードでは、3台以下のポンプを運転させ、その一方で、残りの3台のポンプは予備ポンプとして待機させる。ノーマル運転モードでの運転中は、連通弁8は開かれている。
【0029】
N台またはM台のポンプは、同時に運転されることもあれば、交互または順番に運転されることもある。例えば、必要とされる水の流量が低いときは、制御装置5はポンプP1を始動させ、ポンプP1により第1水槽1内の水を汲み上げる。必要とされる水の流量が増加すると、制御装置5はポンプP2を始動させ、ポンプP1,P2により第1水槽1および第2水槽2内の水を汲み上げる。必要とされる水の流量がさらに増加すると、制御装置5はポンプP3を始動させ、ポンプP1,P2,P3により第1水槽1および第2水槽2内の水を汲み上げる。NおよびMが1である場合には、2台のポンプは交互に運転される(単独交互運転)。
【0030】
制御装置5は、ノーマル運転モードでは、第1ポンプグループに属するポンプおよび第2ポンプグループに属するポンプをローテーション運転させるように構成されている。ローテーション運転とは、給水システムの給水動作が開始されるたびに、最初に始動されるポンプを変更する運転である。例えば、ポンプP1,P2,P3がこの順番で始動および停止される。次に、ポンプP2,P3,P4がこの順番で始動および停止される。さらに、その次は、ポンプP3,P4,P5がこの順番で始動および停止される。このようなローテーション運転により、すべてのポンプP1~P6の運転時間を平準化することができる。
【0031】
第1インターロックモードは、第1ポンプグループに属するポンプのみを運転させ、第2ポンプグループに属するポンプを運転させない運転モードである。この第1インターロックモードは、第2水槽2を清掃するときに実行される。第1インターロックモードでの運転中は、連通弁8は閉じられる。
【0032】
図2は、第1インターロックモードを実行しているときの給水システムの一実施形態を示す模式図である。
図2に示すように、制御装置5は、第1インターロックモードが実行されているとき、第1ポンプグループに属するポンプP1,P3,P5のみを運転させ、第2ポンプグループに属するポンプP2,P4,P6を運転させない。これにより、ポンプP1,P3,P5は、第1水槽1内の水を汲み上げることができ、その一方で第2水槽2から水を排出し、第2水槽2を清掃することができる。第2ポンプグループに属するポンプP2,P4,P6は運転されないので、これらポンプP2,P4,P6が空気を吸い込むことはない。
【0033】
第1インターロックモードでの運転中は、連通弁8は閉じられる。第1インターロックモードでポンプP1,P3,P5が運転されているとき、制御装置5は、第1水位検出器21から送られた水位検出信号に基づいて、第1水槽1に流入する水の流量を流量制御弁(図示せず)により制御する。
【0034】
制御装置5は、第1インターロックモードでは、第1ポンプグループに属するポンプP1,P3,P5のみをローテーション運転させるように構成されている。例えば、ポンプP1,P3,P5がこの順番で始動および停止される。次に、ポンプP3,P5,P1がこの順番で始動および停止される。さらに、その次は、ポンプP5,P3,P1がこの順番で始動および停止される。
【0035】
第2インターロックモードは、第2ポンプグループに属するポンプのみを運転させ、第1ポンプグループに属するポンプを運転させない運転モードである。この第2インターロックモードは、第1水槽1を清掃するときに実行される。第2インターロックモードでの運転中は、連通弁8は閉じられる。
【0036】
図3は、第2インターロックモードを実行しているときの給水システムの一実施形態を示す模式図である。
図3に示すように、制御装置5は、第2インターロックモードが実行されているとき、第2ポンプグループに属するポンプP2,P4,P6のみを運転させ、第1ポンプグループに属するポンプP1,P3,P5を運転させない。これにより、ポンプP2,P4,P6は、第2水槽2内の水を汲み上げることができ、その一方で第1水槽1から水を排出し、第1水槽1を清掃することができる。第1ポンプグループに属するポンプP1,P3,P5は運転されないので、これらポンプP1,P3,P5が空気を吸い込むことはない。
【0037】
第2インターロックモードでの運転中は、連通弁8は閉じられる。第2インターロックモードでポンプP2,P4,P6が運転されているとき、制御装置5は、第2水位検出器22から送られた水位検出信号に基づいて、第2水槽2に流入する水の流量を流量制御弁(図示せず)により制御する。
【0038】
制御装置5は、第2インターロックモードでは、第2ポンプグループに属するポンプP2,P4,P6のみをローテーション運転させるように構成されている。例えば、ポンプP2,P4,P6がこの順番で始動および停止される。次に、ポンプP4,P6,P2がこの順番で始動および停止される。さらに、その次に、ポンプP6,P4,P2がこの順番で始動および停止される。
【0039】
ユーザーは、操作パネル25を操作することで、給水システムに、ノーマル運転モード、第1インターロックモード、または第2インターロックモードを実行させることができる。操作パネル25は、ユーザーによって選択されたノーマル運転モード、第1インターロックモード、または第2インターロックモードを示す運転モード選択信号を制御装置5に送り、制御装置5は、運転モード選択信号に従ってノーマル運転モード、第1インターロックモード、または第2インターロックモードを実行する。
【0040】
制御装置5は、第1インターロックモードおよび第2インターロックモードを実行することにより、第1水槽1または第2水槽2の清掃時にポンプによる空気の吸込みを防止することができる。さらに、
図5に示すようなポンプ上流側の開閉弁を設けることを不要とすることができる。
【0041】
図1乃至
図3を参照して説明した実施形態におけるポンプP1~P6は、第1水槽1および第2水槽2の上方に配置された吸い上げポンプであるが、一実施形態では、
図4に示すように、ポンプP1~P6は、第1水槽1および第2水槽2内に配置された水中ポンプであってもよい。
【0042】
図4は、給水システムの他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図3を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図4に示すように、第1ポンプグループに属するポンプP1,P3,P5は、第1水槽1内に配置され、第1水槽1内の水中に浸漬されている。第2ポンプグループに属するポンプP2,P4,P6は、第2水槽2内に配置され、第2水槽2内の水中に浸漬されている。
【0043】
図4に示す実施形態によれば、
図1に示す吸込み管11,12およびフート弁18を省略することができる。
【0044】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0045】
P1,P2,P3,P4,P5,P6 ポンプ
1 第1水槽
2 第2水槽
5 制御装置
7 連通管
8 連通弁
11 第1吸込み管
12 第2吸込み管
15 集合吐出し管
18 フート弁(逆流防止弁)
21 第1水位検出器
22 第2水位検出器
25 操作パネル