(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132995
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】バッテリシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20240920BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240920BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 302C
H02J3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039054
(22)【出願日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】10-2023-0033460
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】徐 宰原
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD02
(57)【要約】
【課題】バッテリシステムを提供する。
【解決手段】バッテリシステムは、複数のラック、及び複数のラックを管理するシステム管理部を含む。複数のラックのそれぞれは、第1及び第2バッテリ端子間に連結されるラックバッテリ、ラックバッテリと第1バッテリ端子との間に連結されるラックスイッチ、及びラックバッテリの充電状態を推定してシステム管理部に送信し、ラックスイッチを制御するラック管理部を含む。システム管理部は、複数のラック管理部から複数のラックバッテリのそれぞれの充電状態を受信し、複数のラックバッテリのうちいずれか1つのラックバッテリの充電状態が0%または100%に到逹すれば、ラックバッテリに連結されるラックスイッチを開放してラックバッテリを分離し、複数のラックバッテリのうち残りのラックバッテリを充電または放電し続けるように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のラック、及び前記複数のラックを管理するシステム管理部を含むバッテリシステムであって、
前記複数のラックのそれぞれは、
第1バッテリ端子と第2バッテリ端子との間に連結されるラックバッテリと、
前記ラックバッテリと前記第1バッテリ端子との間に連結されるラックスイッチと、
前記ラックバッテリの充電状態を推定して前記システム管理部に送信し、前記ラックスイッチを制御するラック管理部と、を含み、
前記システム管理部は、
前記複数のラック管理部から前記複数のラックバッテリのそれぞれの充電状態を受信し、
前記複数のラックバッテリのうちいずれか1つのラックバッテリの充電状態が0%または100%に到逹すれば、前記ラックバッテリに連結されるラックスイッチを開放して前記ラックバッテリを分離し、
前記複数のラックバッテリのうち残りのラックバッテリを充電または放電し続けるように構成されることを特徴とするバッテリシステム。
【請求項2】
前記システム管理部は、充電モードにおいて、
前記複数のラックバッテリのうち、100%の充電状態に到逹したラックバッテリに連結されるラックスイッチを開放し、残りのラックバッテリを充電し続け、
前記複数のラックスイッチのうち、既設定数のラックスイッチが開放された状態で、短絡されたラックスイッチに連結されるラックバッテリのうちいずれか1つのラックバッテリの充電状態が100%に到逹すれば、前記バッテリシステムの充電を中断するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項3】
前記システム管理部は、
前記短絡されたラックスイッチに連結される前記ラックバッテリが放電されて前記第1バッテリ端子と第2バッテリ端子との間のバッテリ電圧が低くなるとき、開放されたラックスイッチに連結されるラックバッテリのうち、前記バッテリ電圧と既設定の基準値以下のラック電圧を有するラックバッテリに連結されるラックスイッチを短絡させるように構成されることを特徴とする請求項2に記載のバッテリシステム。
【請求項4】
前記システム管理部は、放電モードにおいて、
前記複数のラックバッテリのうち、0%の充電状態に到逹したラックバッテリに連結されるラックスイッチを開放し、残りのラックバッテリを放電し続け、
前記複数のラックスイッチのうち、既設定数のラックスイッチが開放された状態で、短絡されたラックスイッチに連結されるラックバッテリのうちいずれか1つのラックバッテリの充電状態が0%に到逹すれば、前記バッテリシステムの放電を中止するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項5】
前記システム管理部は、
前記短絡されたラックスイッチに連結される前記ラックバッテリが充電されて前記第1バッテリ端子と第2バッテリ端子との間のバッテリ電圧が高くなるとき、開放されたラックスイッチに連結されるラックバッテリのうち、前記バッテリ電圧と既設定の基準値以下のラック電圧を有するラックバッテリに連結されるラックスイッチを短絡させるように構成されることを特徴とする請求項4に記載のバッテリシステム。
【請求項6】
充電モードにおいて、
前記ラック管理部のそれぞれは、電流積算法で対応するラックバッテリの充電状態を算出して前記システム管理部に送信し、
前記システム管理部は、前記複数のラックバッテリのうち、100%の充電状態に到逹した第1ラックバッテリに連結される第1ラックスイッチを開放し、残りのラックバッテリを充電し続け、
前記第1ラックバッテリを管理する第1ラック管理部は、前記第1ラックバッテリの開放回路電圧を検出し、前記開放回路電圧に基づいて前記第1ラックバッテリの充電状態を更新し、前記更新された充電状態を前記システム管理部に送信し、
前記システム管理部は、前記第1ラックバッテリの前記更新された充電状態が100%未満であれば、前記第1ラックスイッチを短絡して前記残りのラックバッテリと共に充電し続けるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項7】
前記システム管理部は、前記第1ラックバッテリの前記更新された充電状態が100%未満であり、前記第1ラックバッテリのラック電圧と前記第1バッテリ端子と第2バッテリ端子との間のバッテリ電圧との差が既設定の基準値以下である場合、前記第1ラックスイッチを短絡させるように構成されることを特徴とする請求項6に記載のバッテリシステム。
【請求項8】
放電モードにおいて、
前記ラック管理部のそれぞれは、電流積算法で対応するラックバッテリの充電状態を算出して前記システム管理部に送信し、
前記システム管理部は、前記複数のラックバッテリのうち、0%の充電状態に到逹した第1ラックバッテリに連結される第1ラックスイッチを開放し、残りのラックバッテリを放電し続け、
前記第1ラックバッテリを管理する第1ラック管理部は、前記第1ラックバッテリの開放回路電圧を検出し、前記開放回路電圧に基づいて前記第1ラックバッテリの充電状態を更新し、前記更新された充電状態を前記システム管理部に送信し、
前記システム管理部は、前記第1ラックバッテリの前記更新された充電状態が0%を超過すれば、前記第1ラックスイッチを短絡して前記残りのラックバッテリと共に放電し続けるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項9】
前記システム管理部は、前記第1ラックバッテリの前記更新された充電状態が0%を超過し、前記第1ラックバッテリのラック電圧と前記第1バッテリ端子と第2バッテリ端子との間のバッテリ電圧との差が既設定の基準値以下である場合、前記第1ラックスイッチを短絡させるように構成されることを特徴とする請求項8に記載のバッテリシステム。
【請求項10】
システム管理部によって、複数のラックを管理する段階と、
複数のラックバッテリの充電状態を推定する段階と、
前記推定された充電状態を前記システム管理部に伝送する段階と、
前記推定された充電状態に基づいて前記複数のラックバッテリのうち、0%または100%の充電状態を有するラックバッテリを分離するためにラックスイッチを制御する段階と、
分離されていないラックバッテリを続けて放電または充電する段階と、を含む、バッテリシステムの管理方法。
【請求項11】
100%の充電状態に到逹したラックバッテリのラックスイッチを開放する段階と、
分離されていないラックバッテリを充電し続ける段階と、
既設定個数のラックスイッチが開放された状態で、短絡されたラックスイッチに連結されるラックバッテリの充電状態が100%に到逹すれば、前記バッテリシステムの充電を遮断する段階と、を含む、請求項10に記載のバッテリシステムの管理方法。
【請求項12】
0%の充電状態に到逹したラックバッテリのラックスイッチを開放する段階と、
分離されていないラックバッテリを放電し続ける段階と、
既設定個数のラックスイッチが開放された状態で、短絡されたラックスイッチに連結されるラックバッテリの充電状態が0%に到逹すれば、前記バッテリシステムの放電を遮断する段階と、を含む、請求項10に記載のバッテリシステムの管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力需要が少ないとき、残る電力を保存していて、電力需要が多いとき、保存された電力を使用することにより、エネルギー効率を向上させるために、エネルギー保存システムが使用される。最近、知能型電力網(smart grid)と新再生エネルギーの普及が拡大され、電力系統の効率化と安定性が強調されることにより、電力供給及び需要調節、及び電力品質向上のためにエネルギー保存システムに対する需要が次第に増加しており、バッテリシステムのエネルギー保存容量も共に増加している。
【0003】
バッテリシステムは、バッテリラックを並列に連結することにより、大きなエネルギー保存容量を有しうる。バッテリシステムの長期間の使用により、一部バッテリラックが交換され、それにより、バッテリラックの劣化状態が大きく異なりうる。バッテリラックのうち、いずれか1つでも充電状態が100%または0%に到逹すれば、残りのバッテリパックの充電状態が100%または0%に到逹しておらずとも、バッテリシステムは、全体バッテリラックの充電または放電を中止する。それにより、バッテリシステムは、実際エネルギー保存容量よりも少ない容量のみを使用可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、実際エネルギー保存容量に近似した容量を使用することができるバッテリシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によるバッテリシステムは、複数のラック、及び前記複数のラックを管理するシステム管理部を含む。前記複数のラックのそれぞれは、第1及び第2バッテリ端子間に連結されるラックバッテリ、前記ラックバッテリと前記第1バッテリ端子との間に連結されるラックスイッチ、及び前記ラックバッテリの充電状態を推定して前記システム管理部に送信し、前記ラックスイッチを制御するラック管理部を含む。前記システム管理部は、前記複数のラック管理部から前記複数のラックバッテリのそれぞれの充電状態を受信し、前記複数のラックバッテリのうちいずれか1つのラックバッテリの充電状態が0%または100%に到逹すれば、前記ラックバッテリに連結されるラックスイッチを開放して前記ラックバッテリを分離し、前記複数のラックバッテリのうち残りのラックバッテリを充電または放電し続けるように構成される。
【0006】
一例によれば、充電モードによれば、前記システム管理部は、前記複数のラックバッテリのうち、100%の充電状態に到逹したラックバッテリに連結されるラックスイッチを開放し、残りのラックバッテリを充電し続け、前記複数のラックスイッチのうち、既設定数のラックスイッチが開放された状態で、短絡されたラックスイッチに連結されるラックバッテリのうちいずれか1つのラックバッテリの充電状態が100%に到逹すれば、前記バッテリシステムの充電を中断するように構成されうる。
【0007】
他の例によれば、前記システム管理部は、前記短絡されたラックスイッチに連結される前記ラックバッテリが放電されて前記第1バッテリ端子と第2バッテリ端子との間のバッテリ電圧が低くなるとき、開放されたラックスイッチに連結されるラックバッテリのうち、前記バッテリ電圧と既設定の基準値以下のラック電圧を有するラックバッテリに連結されるラックスイッチを短絡させるように構成されうる。
【0008】
さらに他の例によれば、放電モードにおいて、前記システム管理部は、前記複数のラックバッテリのうち、0%の充電状態に到逹したラックバッテリに連結されるラックスイッチを開放し、残りのラックバッテリを放電し続け、前記複数のラックスイッチのうち、既設定数のラックスイッチが開放された状態で、短絡されたラックスイッチに連結されるラックバッテリのうちいずれか1つのラックバッテリの充電状態が0%に到逹すれば、前記バッテリシステムの放電を中止するように構成されうる。
【0009】
さらに他の例によれば、前記システム管理部は、前記短絡されたラックスイッチに連結される前記ラックバッテリが充電されて前記第1バッテリ端子と第2バッテリ端子との間のバッテリ電圧が高くなるとき、開放されたラックスイッチに連結されるラックバッテリのうち、前記バッテリ電圧と既設定の基準値以下のラック電圧を有するラックバッテリに連結されるラックスイッチを短絡させるように構成されうる。
【0010】
さらに他の例によれば、充電モードにおいて、前記ラック管理部のそれぞれは、電流積算法で対応するラックバッテリの充電状態を算出して前記システム管理部に送信することができる。前記システム管理部は、前記複数のラックバッテリのうち、100%の充電状態に到逹した第1ラックバッテリに連結される第1ラックスイッチを開放し、残りのラックバッテリを充電し続ける。前記第1ラックバッテリを管理する第1ラック管理部は、前記第1ラックバッテリの開放回路電圧を検出し、前記開放回路電圧に基づいて前記第1ラックバッテリの充電状態を更新し、前記更新された充電状態を前記システム管理部に送信することができる。前記システム管理部は、前記第1ラックバッテリの前記更新された充電状態が100%未満であれば、前記第1ラックスイッチを短絡して前記残りのラックバッテリと共に充電し続けるように構成されうる。
【0011】
さらに他の例によれば、前記システム管理部は、前記第1ラックバッテリの前記更新された充電状態が100%未満であり、前記第1ラックバッテリのラック電圧と前記第1バッテリ端子と第2バッテリ端子との間のバッテリ電圧との差が既設定の基準値以下である場合、前記第1ラックスイッチを短絡させるように構成されうる。
【0012】
さらに他の例によれば、放電モードにおいて、前記ラック管理部のそれぞれは、電流積算法で対応するラックバッテリの充電状態を算出して前記システム管理部に送信することができる。前記システム管理部は、前記複数のラックバッテリのうち、0%の充電状態に到逹した第1ラックバッテリに連結される第1ラックスイッチを開放し、残りのラックバッテリを放電し続ける。前記第1ラックバッテリを管理する第1ラック管理部は、前記第1ラックバッテリの開放回路電圧を検出し、前記開放回路電圧に基づいて前記第1ラックバッテリの充電状態を更新し、前記更新された充電状態を前記システム管理部に送信することができる。前記システム管理部は、前記第1ラックバッテリの前記更新された充電状態が0%を超過すれば、前記第1ラックスイッチを短絡して前記残りのラックバッテリと共に放電し続けるように構成されうる。
【0013】
さらに他の例によれば、前記システム管理部は、前記第1ラックバッテリの前記更新された充電状態が0%を超過し、前記第1ラックバッテリのラック電圧と前記第1バッテリ端子と第2バッテリ端子との間のバッテリ電圧との差が既設定の基準値以下である場合、前記第1ラックスイッチを短絡させるように構成されうる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のバッテリシステムは、実際エネルギー保存容量にほぼ近似した容量まで使用しうる。それにより、バッテリシステムの初期エネルギー保存容量に対する実際使用容量の比率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態によるエネルギー保存システム及び周辺構成を概略的に示す図面である。
【
図2】一実施形態によるエネルギー保存システムの概略的な構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態によるバッテリシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図4A】従来のバッテリシステムの充電方法を説明するための例示的な表である。
【
図4B】従来のバッテリシステムの放電方法を説明するための例示的な表である。
【
図5】本発明の一実施形態によるバッテリシステムの充電方法を説明するための例示的な表である。
【
図6】本発明の一実施形態によるバッテリシステムの放電方法を説明するための例示的な表である。
【
図7】本発明の他の実施形態によるバッテリシステムの充電方法を説明するための例示的な表である。
【
図8】本発明の他の実施形態によるバッテリシステムの放電方法を説明するための例示的な表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、例示的な実施形態について、添付図面を参照してさらに詳細に後述する。それについて、本実施形態は、様々な形態を有し、本明細書に記載された説明に限定されると見なされてはならない。したがって、そのような実施形態は、本開示が完全かつ完璧になり、例示的な具現例を当該技術分野の当業者に完全に伝達可能なように提供されるものである。
【0017】
本願で使用した用語は、ただ特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数表現は、文脈上、明白にそれに限定されるという意味を示さない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品またはそれらの組合物の存在を指定するものであって、1つまたはそれ以上の異なる特徴や数、段階、動作、構成要素、部品またはそれらの組合物などの存在または付加可能性を予め排除するものではないということを理解せねばならない。第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使用されうるが、構成要素は、前記用語によって限定されない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0018】
以下、例示的な実施形態が図示される添付図面を参照してさらに詳細に実施形態が説明されるであろう。全体として、同じ参照番号は、同じ構成要素を示す。図面において、同一であるか、対応する構成要素には、同じ図面番号を付し、それについての重複説明は省略する。
【0019】
図1は、一実施形態によるエネルギー保存システム及び周辺構成を概略的に図示する。
【0020】
図1を参照すれば、一実施形態によるエネルギー保存システム1は、発電システム2、系統(grid system)3と連携して負荷4に電力を供給する。エネルギー保存システム1は、電力を変換する電力変換システム(Power Conversion System、以下「PCS」と称する)10、及び電力を保存するバッテリシステム20を含む。PCS 10は、発電システム2、系統3及び/またはバッテリシステム20から提供される電力を適切な形態の電力に変換して負荷4、バッテリシステム20及び/または系統3に供給することができる。
【0021】
発電システム2は、エネルギー源から電力を生産するシステムである。発電システム2は、発電電力をエネルギー保存システム1に供給する。発電システム2は、例えば、太陽光発電システム、風力発電システム、潮力発電システム、ディーゼルまたは天然ガス発電システムのうち少なくとも1つの発電システムまたはそれらの一部が結合された複合発電システムを含む。例えば、発電システム2は、太陽熱や地熱のような新再生エネルギーを用いて電力を生産する発電システムを含みうる。発電システム2は、電力を生産する複数の発電モジュールを並列に配置することで、大容量発電システムを構成することができる。
【0022】
系統3は、発電所、変電所、送電線などを含みうる。系統3が正常状態である場合、系統3は、負荷4及び/またはバッテリシステム20に電力を供給するか、バッテリシステム20及び/または発電システム2から電力を供給されうる。系統3が異常状態である場合、系統3とエネルギー保存システム1との電力伝達は中止される。
【0023】
負荷4は、発電システム2で生産された電力、バッテリシステム20に保存された電力、及び/または系統3から供給された電力を消費することができる。エネルギー保存システム1が設けられた家庭や工場の電気装置が負荷4の一例でもある。
【0024】
エネルギー保存システム1は、発電システム2で生産された電力をバッテリシステム20に保存するか、系統3に供給しうる。エネルギー保存システム1は、バッテリシステム20に保存された電力を系統3に供給するか、系統3から供給された電力をバッテリシステム20に保存することもできる。エネルギー保存システム1は、系統3が異常状態である場合、例えば、停電が発生した場合、UPS(Uninterruptible Power Supply)機能を遂行して発電システム2で生産された電力やバッテリシステム20に保存された電力を負荷4に供給することができる。
【0025】
図2は、一実施形態によるエネルギー保存システムの概略的な構成を示すブロック図である。
【0026】
図2を参照すれば、エネルギー保存システム1は、PCS 10、バッテリシステム20、第1スイッチ30、及び第2スイッチ40を含みうる。バッテリシステム20は、バッテリ21及びバッテリ管理部22を含む。
【0027】
PCS 10は、発電システム2、系統3及び/またはバッテリシステム20から提供される電力を適切な形態の電力に変換して負荷4、バッテリシステム20及び/または系統3に供給することができる。PCS 10は、電力変換器11、DCリンク12、双方向インバータ13、双方向DC-DCコンバータ14、及び統合制御器15を含みうる。
【0028】
電力変換器11は、発電システム2とDCリンク12との間に連結される電力変換装置でもある。電力変換器11は、発電システム2で生産された電力を直流電力に変換してDCリンク12に伝達しうる。電力変換器11は、発電システム2の種類により、例えば、コンバータ回路、整流回路のような電力変換回路を含みうる。発電システム2が直流電力を生産する場合、電力変換器11は、発電システム2で生成された直流電力を他の直流電力に変換するためのDC-DCコンバータ回路を含みうる。発電システム2が交流電力を生産する場合、電力変換器11は、発電システム2で生成された交流電力を直流電力に変換するための整流回路を含みうる。
【0029】
発電システム2が太陽光発電システムである場合、電力変換器11は、日射量、温度などの変動によって発電システム2で生産する電力を最大化するように最大電力ポイント追跡(Maximum Power Point Tracking)制御を遂行するMPPTコンバータ回路を含みうる。発電システム2で生産される電力がないときには、電力変換器11の動作が中止され、電力変換器11での消費電力が最小化されうる。
【0030】
発電システム2または系統3の瞬時電圧が降下するか、負荷4でピーク負荷が発生しても、DCリンク12は、電力変換器11、双方向インバータ13及び双方向DC-DCコンバータ14の間に連結されて直流リンク電圧を実質的に一定に保持させうる。DCリンク12は、例えば、大容量キャパシタを含みうる。直流リンク電圧は、例えば、400Vでもある。
【0031】
双方向インバータ13は、DCリンク12と第1スイッチ30との間に連結される電力変換装置でもある。双方向インバータ13は、発電システム2及び/またはバッテリシステム20から供給されたDCリンク12の直流電力を交流電力に変換して系統3及び/または、負荷4に出力することができる。双方向インバータ13は、バッテリシステム20を充電するために、系統3から供給された交流電力を直流電力に変換してDCリンク12に出力することができる。
【0032】
双方向インバータ13は、系統3及び/または、負荷4に出力される交流電力から高調波成分を除去するためのフィルタを含みうる。双方向インバータ13は、無効電力の発生を抑制するために、双方向インバータ13から出力される交流電力の位相と系統3の交流電力の位相とを同期化させるための位相同期ループ(PLL)回路を含む。双方向インバータ13は、電圧変動範囲制限、力率改善、直流成分除去、過渡現象(transient phenomena)保護または減少のような機能を遂行することができる。
【0033】
双方向DC-DCコンバータ14は、DCリンク12とバッテリシステム20との間に連結されうる。双方向DC-DCコンバータ14は、バッテリシステム20の放電時にバッテリシステム20の放電電圧をDCリンク12の直流リンク電圧に変換してバッテリシステム20に保存された電力をDCリンク12に出力する。双方向DC-DCコンバータ14は、バッテリシステム20の充電時に、DCリンク12の直流リンク電圧を、バッテリシステム20を充電するための充電電圧に変換してDCリンク12の電力をバッテリシステム20に出力する。バッテリシステム20が休止する場合、すなわち、充電も放電もしない場合、双方向DC-DCコンバータ14の動作が中止されることにより、電力消費が最小化されうる。
【0034】
統合制御器15は、発電システム2、系統3、バッテリシステム20、及び負荷4の状態をモニタリングしうる。例えば、統合制御器15は、系統3に停電が発生したか否か、発電システム2で電力が生産されるか否か、発電システム2で生産される電力量、バッテリシステム20の充電状態、負荷4の消費電力量、時間などをモニタリングしうる。
【0035】
統合制御器15は、モニタリング結果及び既設定のアルゴリズムによって、電力変換器11、双方向インバータ13、双方向DC-DCコンバータ14、バッテリシステム20、第1スイッチ30、第2スイッチ40の動作を制御しうる。
【0036】
系統3に停電が発生する場合、統合制御器15は、バッテリシステム20に保存された電力または発電システム2で生産された電力が負荷4に供給されるように制御しうる。統合制御器15は、負荷4に十分な電力が供給されない場合、負荷4の電気装置に対して優先順位を決定し、優先順位の高い電気装置に優先的に電力を供給するように負荷4を制御しうる。統合制御器15は、バッテリシステム20の充電及び放電を制御しうる。統合制御器15は、バッテリシステム20の状態によって放電電流量及び充電電流量を制御しうる。例えば、統合制御器15は、双方向DC-DCコンバータ14を用いてバッテリシステム20の最大許容放電電流量及び最大許容充電電流量を調節しうる。統合制御器15は、バッテリシステム20の一部バッテリラックが分離された場合、分離されたバッテリラックの比率によって最大許容放電電流量及び最大許容充電電流量を減少させうる。
【0037】
第1スイッチ30及び第2スイッチ40は、双方向インバータ13と系統3との間に直列に連結され、統合制御器15の制御によって短絡されるか、開放されることにより、DCリンク12、負荷4及び系統3間の電流の流れを調節する。発電システム2、系統3、及びバッテリシステム20の状態によって第1スイッチ30と第2スイッチ40とがそれぞれ短絡されるか、開放されうる。例えば、発電システム2及び/またはバッテリシステム20からの電力を負荷4に供給するか、系統3からの電力をバッテリシステム20に供給する場合、第1スイッチ30は、短絡される。発電システム2及び/またはバッテリシステム20からの電力を系統3に供給するか、系統3からの電力を負荷4に供給する場合には、第2スイッチ40は、短絡される。
【0038】
系統3に停電が発生した場合には、第2スイッチ40は開放され、第1スイッチ30は、短絡される。すなわち、発電システム2及び/またはバッテリシステム20からの電力を負荷4に供給すると同時に、負荷4に供給される電力が系統3に漏れることを防止しうる。第1スイッチ30を開放させて系統3とエネルギー保存システム1とを分離させることにより、系統3の電力線などで作業する作業者が発電システム2及び/またはバッテリシステム20から供給される電力による感電事故を防止することができる。
【0039】
バッテリシステム20は、発電システム2及び/または系統3から電力を供給されて保存し、保存している電力を負荷4及び/または系統3に供給する。バッテリシステム20は、双方向DC-DCコンバータ14に連結される。バッテリシステム20の出力電圧は、例えば、50Vでもある。
【0040】
バッテリシステム20は、電力を保存するためにバッテリセルを含むバッテリ21、及びバッテリ21を制御及び保護するバッテリ管理部22を含む。バッテリシステム20は、並列に連結されるバッテリラックを含む。バッテリ21は、バッテリラック内に搭載されて電力を保存する。バッテリ管理部22は、バッテリラックをそれぞれ管理するラック管理部、及びバッテリを、システム20全体を管理するために、ラック管理部と通信するシステム管理部を含みうる。
【0041】
バッテリ管理部22は、バッテリ21と連結され、統合制御器15からの制御命令または内部アルゴリズムによってバッテリシステム20の全般的な動作を制御しうる。例えば、バッテリ管理部22は、過充電保護機能、過放電保護機能、過電流保護機能、過電圧保護機能、過熱保護機能、セルバランシング(cell balancing)機能などを遂行することができる。バッテリ管理部22は、バッテリ21の電圧、電流、温度、残余電力量、寿命、充電状態(cell balancing)などを収集することができる。例えば、バッテリ管理部22は、センサを用いてバッテリ21のセル電圧、電流及び温度を測定することができる。バッテリ管理部22は、測定されたセル電圧、電流及び温度に基づいてバッテリ21の残余電力量、寿命、充電状態などを推定(または算出)することができる。バッテリ管理部22は、測定結果及び推定結果などに基づいてバッテリ21を管理することができる。
【0042】
バッテリ管理部22は、測定結果及び推定結果などを統合制御器15に伝送しうる。また、バッテリ管理部22は、下位バッテリラックの連結状態を統合制御器15に伝送することができる。バッテリ管理部22は、統合制御器15から受信した充電及び放電制御命令によってバッテリ21の充電及び放電動作を制御することができる。
【0043】
図3は、一実施形態によるバッテリシステムの概略的なブロック図を図示する。
【0044】
図3を参照すれば、バッテリシステム100は、バッテリ端子B+、B-を有し、ラックバッテリ110、ラックスイッチ120、ラック管理部130、システム管理部140、及びシステムスイッチ150を含む。バッテリシステム100は、
図2のバッテリシステム20に対応し、ラックバッテリ110は、バッテリ21に対応し、ラックスイッチ120、ラック管理部130、システム管理部140及びシステムスイッチ150は、バッテリ管理部21に対応する。
【0045】
バッテリシステム100は、複数のラックの形態に具現されうる。複数のラックは、バッテリ端子B+、B-の間に並列に連結され、複数のラックのそれぞれは、ラックバッテリ110、ラックスイッチ120及びラック管理部130を含みうる。
【0046】
ラックバッテリ110は、第1及び第2バッテリ端子B+、B-間に互いに並列に選択的に接続するように構成される複数のラックバッテリ110a~110nを含む。本明細書において、「選択的に接続される」という用語は、外部の制御信号によって接続されるか、接続されないということを意味する。
【0047】
ラックバッテリ110は、電力を保存する部分であって、バッテリセルを含む。バッテリセルは、直列または並列、あるいは直列と並列との組合わせによって連結されうる。ラックバッテリ110に含まれるバッテリセル111の個数は、要求される出力電圧によって決定されうる。
【0048】
バッテリセルは、充電可能な二次電池を含む。例えば、バッテリセルは、ニッケル-カドミウム電池(nickel-cadmium battery)、鉛蓄電池、ニッケル-水素電池(NiMH: nickel metal hydride battery)、リチウム-イオン電池(lithium ion battery)、リチウムポリマー電池(lithium polymer battery)などを含みうる。
【0049】
ラックバッテリ110a~110nは、ラックスイッチ120を通じて互いに並列に接続され、第1及び第2バッテリ端子B+、B-を通じて双方向DC-DCコンバータ(
図2の14)に連結される。バッテリシステム100は、双方向DC-DCコンバータ14を通じて負荷(
図2の4)に電力を供給するか、系統(
図2の3)及び/または発電システム(
図2の2)から供給される電力を保存することができる。
【0050】
ラックスイッチ120は、ラックバッテリ110a~110nと第1バッテリ端子B+の間に連結される複数のラックスイッチ120a~120nを含む。ラックスイッチ120a~120nは、ラックバッテリ110a~110nと第2バッテリ端子B-の間に連結されうる。ラックスイッチ120a~120nは、ラックバッテリ110a~110nにそれぞれ直列に連結され、ラックバッテリ110a~110nは、対応するラックスイッチ120a~120nを通じて第1及び第2バッテリ端子B+、B-間に選択的に連結される。
【0051】
ラックスイッチ120のそれぞれは、対応するラック管理部130によって直接制御されうる。他の例によれば、ラック管理部130は、ラックスイッチ120の短絡及び開放を制御するための制御命令を送信し、制御命令を受信した制御装置(例えば、アナログフロントエンド)が制御命令によってラックスイッチ120を短絡または開放させうる。ラックスイッチ120は、例えば、リレー、またはFET(Field Effect Transistor)スイッチで構成されうる。
【0052】
ラック管理部130は、ラックバッテリ110a~110nにそれぞれ対応する複数のラック管理部130a~130nを含む。ラック管理部130は、対応するラックバッテリ110を管理し、対応するラックスイッチ120を制御するように構成される。ラック管理部130a~130nは、ネットワーク101を介してシステム管理部140と通信しうる。ラック管理部130は、ラックバッテリ110の状態を感知してシステム管理部140に伝送し、システム管理部140の制御命令によってラックスイッチ120のオン/オフを制御することができる。
【0053】
ラック管理部130は、ラックバッテリ110の温度、電圧、電流などを測定することができる。ラック管理部130は、ラックバッテリ110のラック電圧、及びラックバッテリ110のバッテリセルのセル電圧を測定しうる。ラック管理部130は、ラックバッテリ110のラック電圧を検出するための電圧検出部(図示せず)を含みうる。電圧検出部は、ラックバッテリ110の正極と負極との間に連結されてラックバッテリ110のラック電圧を所定の比率で減少させた電圧を出力する電圧分配器(voltage divider)、及び電圧分配器の出力をデジタル信号に変換するアナログ-デジタルコンバータ(ADC)を含みうる。本明細書において、ラックバッテリ110の正極と負極との間の電圧をラック電圧と指称し、ラックバッテリ110内のバッテリセルのそれぞれの電圧をセル電圧と指称する。バッテリシステム100の第1及び第2バッテリ端子B+、B-の間の電圧をバッテリ電圧と指称する。ラックバッテリ110がラックスイッチ120を通じて第1及び第2バッテリ端子B+、B-に連結される場合、ラックバッテリ110のラック電圧とバッテリシステム100のバッテリ電圧は互いに実質的に同一である。ラック管理部130は、ラックバッテリ110のラック電流を検出するための電流センサ、ラックバッテリ110の温度を検出するための温度センサを含みうる。
【0054】
ラック管理部130は、ラックバッテリ110の充電状態を推定することができる。ラック管理部130は、電流積算法を用いてラックバッテリ110の充電状態を算出することができる。ラック管理部130は、ラックバッテリ110の開放回路電圧と充電状態の関係が定義されたOCV-SOCルックアップテーブルを保存するメモリを含み、ラック管理部130は、ラックバッテリ110の開放回路電圧を測定し、OCV-SOCルックアップテーブルを用いて開放回路電圧に対応するラックバッテリ110の充電状態を推定することができる。
【0055】
ラック管理部130は、過電圧基準値、低電圧基準値、高温基準値、過電流基準値などを保存しうる。ラック管理部130は、ラックバッテリ110の温度、電圧及び電流を前記基準値と比較することにより、ラックバッテリ110の異常状態を決定し、ラックバッテリ110に異常が発生すれば、保護動作を遂行することができる。例えば、ラック管理部130は、ラックバッテリ110の温度が高温基準値を超過した場合、ラックスイッチ120を開放する。他の例として、ラック管理部130は、ラックバッテリ110に過電流が発生した場合、過電流発生事実をシステム管理部140に送信する。過電流発生時、システム管理部140はシステムスイッチ150を開放させることができる。
【0056】
システムスイッチ150は、ラックスイッチ120a~120nと第1バッテリ端子B+との間に連結されうる。システムスイッチ150は省略されうる。
【0057】
ラック管理部130は、ラックバッテリ110の温度、電圧及び電流などを測定した測定結果、及びラックバッテリの充電状態、健康状態などを推定した推定結果、ラックスイッチ120の状態のようなラック状態情報をネットワーク101を介してシステム管理部140に伝送する。
【0058】
システム管理部140は、ラック管理部130a~130nから伝送されたラック状態情報に基づいてバッテリラックを管理しうる。システム管理部140は、ラック状態情報を統合制御器(
図2の15)に伝送することができる。例えば、システム管理部140は、ラックスイッチ120a~120nの状態に基づいて最大許容放電電流量及び最大許容充電電流量を算出し、それを統合制御器15に伝送しうる。統合制御器15は、最大許容放電電流量及び最大許容充電電流量に基づいてバッテリシステム100の放電電流及び充電電流を調節しうる。
【0059】
システム管理部140は、統合制御器15から制御命令を受信し、システム管理部140は、統合制御器15の制御命令によってシステムスイッチ150を制御することができる。システム管理部140は、ラック制御命令をラック管理部130a~130nに伝送し、ラック管理部130a~130nは、ラック制御命令による動作を遂行しうる。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、ラック管理部130a~130nは、ラックバッテリ110a~110nの充電状態をそれぞれ推定してシステム管理部140に伝送することができる。システム管理部140は、ラック管理部130a~130nからラックバッテリ110a~110nのそれぞれの充電状態を受信し、ラックバッテリ110a~110nのうちいずれか1つのラックバッテリ(例えば、第1ラックバッテリ110a)の充電状態が0%または100%に到逹すれば、第1ラックバッテリ110aに連結される第1ラックスイッチ120aを開放して第1ラックバッテリ110aを第1バッテリ端子B+から分離し、残りのラックバッテリ110b~110nは充電または放電し続ける。
【0061】
システム管理部140は、残りのラックバッテリ110b~110nの続けられる充電または放電によって残りのラックバッテリ110b~110nのうちいずれか1つのラックバッテリ(例えば、第2ラックバッテリ110b)の充電状態が再び0%または100%に到逹すれば、第2ラックバッテリ110bに連結される第2ラックスイッチ120bを開放して第2ラックバッテリ110bを第1バッテリ端子B+から分離し、残りのラックバッテリ110c~110nは充電または放電し続ける。
【0062】
そのような過程は、既設定個数以上のラックバッテリ110が第1バッテリ端子B+に連結されるまで遂行されうる。例えば、ラックバッテリ110の個数が10個であり、第1バッテリ端子B+に連結されるように既設定のラックバッテリ110の個数が8個である場合、残りのラックバッテリ110c~110nの続けられる充電または放電によって他の1つのラックバッテリ(例えば、第3ラックバッテリ110c)の充電状態が再び0%または100%に到逹しても、第3ラックスイッチ120cは開放せず、残りのラックバッテリ110c~110nの充電または放電を中止することができる。例えば、システム管理部140は、残りのラックバッテリ110c~110nの充電または放電を中止するために、統合制御器15に充電または放電中止を要求するメッセージを伝送することができる。
【0063】
図4A及び
図4Bは、従来のバッテリシステムの充電及び放電方法を説明するための例示的な表である。
【0064】
図4A及び
図4Bを参照すれば、従来には、ラックバッテリのうちいずれか1つでも、充電状態が0%または100%に到逹すれば、ラックバッテリに対する放電または充電は完全に中止される。
【0065】
図4Aに図示されたように、t1~t3において、第1ないし第5ラックバッテリは充電される。t1とt2のシステム充電状態SOCは、第1ないし第5ラックバッテリの充電状態の平均として表示されうる。しかし、t3において第1ラックバッテリのSOCが100%に到逹すれば、システムSOCは、100%と表示され、t3以後には、第1ないし第5ラックバッテリの充電が中止され、第1ないし第5ラックはいずれも待機状態になる。実際、t3において、第1ないし第5ラックバッテリの充電状態の平均は、98%なので、2%に該当する電力をさらに保存可能にもかかわらず、充電不可能である。これは、充電可能な容量を2%ほど低める結果をもたらし、バッテリシステムの劣化度がそれほど高くなる結果に繋がる。
【0066】
放電の場合にも同一である。
図4Bに図示されたように、t1~t3において、第1ないし第5ラックバッテリは、放電する。t1とt2のシステム充電状態SOCは、第1ないし第5ラックバッテリの充電状態の平均として、表示されうる。しかし、t3において、第1ラックバッテリのSOCが0%に到逹すれば、システムSOCは0%と表示され、t3以後には、第1ないし第5ラックバッテリの放電が中止され、第1ないし第5ラックはいずれも待機状態となる。実際、t3において、第1ないし第5ラックバッテリの充電状態の平均は、2%なので、2%に該当する電力をさらに供給可能であるにもかかわらず、放電することができない。これは、充電可能な容量を2%ほど低める結果をもたらし、バッテリシステムの劣化度がそれほど高くなる結果をもたらす。
【0067】
図5は、本発明の一実施形態によるバッテリシステムの充電方法を説明するための例示的な表である。
【0068】
バッテリシステム100の充電時に、システム管理部140は、ラックバッテリ110a~110nのうち、100%の充電状態に到逹したラックバッテリ(例えば、第1ラックバッテリ110a)に連結される第1ラックスイッチ120aを開放し、残りのラックバッテリ110b~110nを充電し続ける。この際、第2ないし第nラックスイッチ120b~120nは、短絡状態である。
【0069】
以後、他のラックバッテリ(例えば、第2ラックバッテリ110b)の充電状態も100%に到逹すれば、第2ラックスイッチ120bを開放することができる。このような方式でラックバッテリ110の充電状態が100%に到逹すれば、対応するラックスイッチ120を開放し、残りのラックバッテリ110は充電し続けるが、既設定個数のラックバッテリ110が既に分離された状態であれば、新たに充電状態が100%に到逹するラックバッテリ110が生じるとき、ラックバッテリ110の充電を中止しうる。すなわち、システム管理部140は、ラックスイッチ120a~120nのうち既設定個数のラックスイッチ120が開放された状態で、短絡されたラックスイッチ(例えば、第3ないし第nラックスイッチ120c~120n)に連結される第3ないし第nラックバッテリ110c~110nのうちいずれか1つのラックバッテリ(例えば、第3ラックバッテリ110c)の充電状態が100%に到逹すれば、バッテリシステム100の充電を中止しうる。
【0070】
そのような例において、最も速く充電が終了した第1ラックバッテリ110aのラック電圧が最も低く、次いで、充電が終了した第2ラックバッテリ110bのラック電圧が次に低く、第3ないし第nバッテリラック110c~110nのラック電圧は互いに同一であり、最も高い。この状態で、第1及び第2ラックスイッチ120a、120bを短絡させる場合、第3ないし第nバッテリラック110c~110nから第1及び第2ラックバッテリ110a、110bに電流が流れ、第1及び第2ラックバッテリ110a、110bの充電状態は、100%を超過する。
【0071】
本発明の一実施形態によるシステム管理部140は、短絡された第3ないし第nラックスイッチ120c~120nに連結される第3ないし第nラックバッテリ110c~110nが放電されて第1及び第2バッテリ端子B+、B-間のバッテリ電圧が低くなるが、開放された第1及び第2ラックスイッチ120a、120bに連結される第1及び第2ラックバッテリ110a、110bのうち、バッテリ電圧と既設定の基準値以下のラック電圧を有するラックバッテリ(例えば、第2ラックバッテリ110b)に連結される第2ラックスイッチ120bを短絡させうる。既設定の基準値は、バッテリ電圧の大きさによって異なって設定され、例えば、5Vでもある。以後、バッテリ電圧がさらに低くなり、第1ラックバッテリ110bのラック電圧と基準値以下の差が生じれば、システム管理部140は、第1ラックスイッチ120aを短絡させうる。
【0072】
図5を参照すれば、t1からt7までバッテリシステム100は充電される。
図5の例において、バッテリシステム100は、5個のバッテリラック110a~110eを有し、その中から3個以上のバッテリラック110は連結されねばならないと仮定する。それをPartial Rackが3であると表示した。
【0073】
t3後に第1ラックバッテリ110aの充電状態(SOC)が100%になれば、第1ラックスイッチ120aは、開放(すなわち、ターンオフ)される。以後、第2ないし第5ラックバッテリ110b~110eは充電し続けられる。t6後に、第4ラックバッテリ110dの充電状態(SOC)が100%になれば、第4ラックスイッチ120dも開放、すなわち、ターンオフされる。以後、第2、第3及び第5ラックバッテリ110b、110c、110eは充電し続けられる。t7後に、第5ラックバッテリ110eの充電状態(SOC)が100%になるが、バッテリシステム100で3個以上のバッテリラック110は連結されねばならないので、第5ラックスイッチ120eが開放されず、バッテリシステム100の充電は終了する。それにより、t8以後に、バッテリシステム100は待機状態になる。
【0074】
待機状態において、バッテリシステム100のバッテリ電圧と短絡状態の第1及び第4ラックバッテリ110a、110dの第1及び第4ラック電圧がそれぞれ比較されうる。バッテリ電圧と第4ラック電圧との差が既設定の基準値以下であれば、第4ラックスイッチ120dは、短絡されうる。第4ラックバッテリ110dの第4ラック電圧とバッテリ電圧との差が大きくないので、低い電流が第4ラックバッテリ110dに流入され、これは、第4ラックバッテリ110dの充電状態を大きく高めない。しかし、t3以後に分離された第1ラックバッテリ110aのラック電圧は、バッテリ電圧と相当な差があり、その場合、第1ラックスイッチ120aは、短絡されない。
【0075】
t9以後に、バッテリシステム100は、放電されると仮定する。具体的に、短絡状態の第2ないし第5ラックスイッチ120b~120eを通じて第2ないし第5ラックバッテリ110b~110eが放電され、バッテリ電圧はだんだんと低くなる。t10において、バッテリ電圧と第1ラックバッテリ110aの第1ラック電圧との差が既設定の基準値以下となり、この際、第1ラックスイッチ120aが短絡、すなわち、ターンオンされうる。以後、第1ないし第5ラックバッテリ110a~110eがいずれも放電されうる。
【0076】
充電が完了するt7の時点において、システムSOCが100%と表示されるが、第1ないし第5ラックバッテリ110a~110eの平均充電状態は、99.5%である。
図4Aの例では、システムSOCが100%と表示されるとき、実際平均充電状態は、98%であったので、本実施形態によれば、1.5%に該当する電力をさらに充電可能となる。
【0077】
図6は、本発明の一実施形態によるバッテリシステムの放電方法を説明するための例示的な表である。
【0078】
バッテリシステム100の放電時に、システム管理部140は、ラックバッテリ110a~110nのうち0%の充電状態に到逹したラックバッテリ(例えば、第1ラックバッテリ110a)に連結される第1ラックスイッチ120aを開放し、残りのラックバッテリ110b~110nを放電し続ける。この際、第2ないし第nラックスイッチ120b~120nは、短絡状態である。
【0079】
以後、他のラックバッテリ(例えば、第2ラックバッテリ110b)の充電状態も0%に到逹すれば、第2ラックスイッチ120bを開放しうる。そのような方式でラックバッテリ110の充電状態が0%に到逹すれば、対応するラックスイッチ120を開放し、残りのラックバッテリ110は放電し続けるが、既設定個数のラックバッテリ110が既に分離された状態であれば、新たに充電状態が0%に到逹するラックバッテリ110が生じるとき、ラックバッテリ110の放電を中止する。すなわち、システム管理部140は、ラックスイッチ120a~120nのうち既設定個数のラックスイッチ120が開放された状態で、短絡されたラックスイッチ(例えば、第3ないし第nラックスイッチ120c~120n)に連結される第3ないし第nラックバッテリ110c~110nのうちいずれか1つのラックバッテリ(例えば、第3ラックバッテリ110c)の充電状態が0%に到逹すれば、バッテリシステム100の放電を中止する。
【0080】
そのような例において、最も早く放電が終了した第1ラックバッテリ110aのラック電圧が最も高く、次いで、放電が終了した第2ラックバッテリ110bのラック電圧がその次に高く、第3ないし第nバッテリラック110c~110nのラック電圧は互いに同一であり、最も低い。この状態で、第1及び第2ラックスイッチ120a、120bを短絡させる場合、第1及び第2ラックバッテリ110a、110bから第3ないし第nバッテリラック110c~110nに電流が流れ、第1及び第2ラックバッテリ110a、110bの充電状態は0%よりも低くなる。
【0081】
本発明の一実施形態によるシステム管理部140は、短絡された第3ないし第nラックスイッチ120c~120nに連結される第3ないし第nラックバッテリ110c~110nが充電されて第1及び第2バッテリ端子B+、B-の間のバッテリ電圧が高くなるが、開放された第1及び第2ラックスイッチ120a、120bに連結される第1及び第2ラックバッテリ110a、110bのうちバッテリ電圧と既設定の基準値以下のラック電圧を有するラックバッテリ(例えば、第2ラックバッテリ110b)に連結される第2ラックスイッチ120bを短絡させうる。既設定の基準値は、バッテリ電圧の大きさによって異なって設定され、例えば、5Vでもある。以後、バッテリ電圧がさらに高くなり、第1ラックバッテリ110bのラック電圧と基準値以下の差が生じれば、システム管理部140は、第1ラックスイッチ120aを短絡させうる。
【0082】
図6を参照すれば、t1からt7までバッテリシステム100は、放電される。
図6の例でも、バッテリシステム100は、5個のバッテリラック110a~110eを有し、その中から3個以上のバッテリラック110は連結されねばならないと仮定する。
【0083】
t3後に、第1ラックバッテリ110aの充電状態(SOC)が0%になれば、第1ラックスイッチ120aは、開放(すなわち、ターンオフ)される。以後、第2ないし第5ラックバッテリ110b~110eは放電し続ける。t6後に、第4ラックバッテリ110dの充電状態(SOC)が0%になれば、第4ラックスイッチ120dも開放、すなわち、ターンオフされる。以後、第2、第3及び第5ラックバッテリ110b、110c、110eは放電し続ける。t7後に、第5ラックバッテリ110eの充電状態(SOC)が0%になるが、バッテリシステム100で3個以上のバッテリラック110は連結されねばならないので、第5ラックスイッチ120eが開放されず、バッテリシステム100の放電は終了する。それにより、t8以後に、バッテリシステム100は待機状態になる。
【0084】
待機状態において、バッテリシステム100のバッテリ電圧と短絡状態の第1及び第4ラックバッテリ110a、110dの第1及び第4ラック電圧がそれぞれ比較されうる。バッテリ電圧と第4ラック電圧との差が既設定の基準値以下であれば、第4ラックスイッチ120dは、短絡されうる。第4ラックバッテリ110dの第4ラック電圧とバッテリ電圧との差が大きくないので、低い電流が第4ラックバッテリ110dから流出されても、これは、第4ラックバッテリ110dの充電状態を大きく低めない。しかし、t3以後に、分離された第1ラックバッテリ110aのラック電圧は、バッテリ電圧と相当な差があり、その場合、第1ラックスイッチ120aは、短絡されない。
【0085】
t9以後に、バッテリシステム100は、充電されると仮定する。具体的に、短絡状態の第2ないし第5ラックスイッチ120b~120eを通じて第2ないし第5ラックバッテリ110b~110eが充電され、バッテリ電圧はだんだんと高くなる。t10において、バッテリ電圧と第1ラックバッテリ110aの第1ラック電圧との差が既設定の基準値以下になり、この際、第1ラックスイッチ120aが短絡、すなわち、ターンオンされうる。以後、第1ないし第5ラックバッテリ110a~110eがいずれも共に充電されうる。
【0086】
充電が完了するt7の時点において、システムSOCが0%と表示されるが、第1ないし第5ラックバッテリ110a~110eの平均充電状態は0.5%である。
図4Bの例では、システムSOCが0%と表示されるとき、実際平均充電状態は2%であったので、本実施形態によれば、1.5%に該当する電力をさらに放電可能となる。
【0087】
図7は、本発明の他の実施形態によるバッテリシステムの充電方法を説明するための例示的な表である。
【0088】
バッテリシステム100の充電時に、ラック管理部130a~130nは、電流積算法でラックバッテリ110a~110nの充電状態をそれぞれ算出してシステム管理部140に送信することができる。システム管理部140は、ラックバッテリ110a~110nのうち、100%の充電状態に到逹したラックバッテリ(例えば、第1ラックバッテリ110a)に連結される第1ラックスイッチ120aを開放し、残りのラックバッテリを充電し続ける。
【0089】
第1ラックバッテリ110aを管理する第1ラック管理部130aは、第1ラックバッテリ110aの開放回路電圧を検出し、開放回路電圧に基づいて第1ラックバッテリ110aの充電状態を更新し、更新された充電状態をシステム管理部140に送信することができる。システム管理部140は、第1ラックバッテリ110aの更新された充電状態が100%未満であれば、第1ラックスイッチ120aを短絡させ、残りのラックバッテリ110b~110eと共に充電し続ける。
【0090】
システム管理部140は、第1ラックスイッチ120aを短絡させる前に、第1ラックバッテリ110aの第1ラック電圧とバッテリ電圧との差を既設定の基準値と比較しうる。第1ラックバッテリの更新された充電状態が100%未満であり、第1ラック電圧とバッテリ電圧との差が基準値以下であるとき、第1ラックスイッチ120aを短絡させうる。
【0091】
第1ラックバッテリ110aは、他のラックバッテリ110b~110nに比べてさらに多く劣化されうる。その場合、第1ラックバッテリ110aの最大充電容量が低く設定されるので、電流積算法によって算出された充電状態は実際よりも高い。また、第1ラックバッテリ110aの電流センサのセンシング誤差がある場合、電流積算法によって算出された充電状態は実際よりも高い。本発明によれば、第1ラックバッテリ110aに連結される第1ラックスイッチ120aが開放され、第1ラックバッテリ110aは、休止状態になり、開放回路電圧を測定可能となる。本実施形態によれば、第1ラック管理部130aは、第1ラックスイッチ120aが開放された状態で第1ラックバッテリ110aの開放回路電圧を測定し、予め保存されたOCV-SOCルックアップテーブルを用いて第1ラックバッテリ110aの開放回路電圧に基づいた充電状態を再び推定することができる。第1ラック管理部130aは、再び推定された充電状態で第1ラックバッテリ110aの充電状態を更新することができる。再び推定された充電状態は、100%よりも小さい。
【0092】
このような方式で充電状態が100%になるラックバッテリ(例えば、第2ラックバッテリ110b)に対しても第2ラックスイッチ120bを開放し、第2ラックバッテリ110bの充電状態を更新し、第2ラックバッテリ110bの更新された充電状態に基づいて第2ラックバッテリ110bを再び充電させうる。
【0093】
本実施形態でも、バッテリシステム100の既設定個数以上のラックバッテリが短絡される状況が発生すれば、バッテリシステム100の充電が中止されうる。
【0094】
図7を参照すれば、t1からt11までバッテリシステム100は、充電される。
図7の例において、バッテリシステム100は、5個のバッテリラック110a~110eを有し、その中から3個以上のバッテリラック110は連結されねばならないと仮定する。
【0095】
t3後に、第1ラックバッテリ110aの充電状態(SOC)が100%になれば、第1ラックスイッチ120aは、開放(すなわち、ターンオフ)される。以後、第2ないし第5ラックバッテリ110b~110eは充電し続けられる。t6において、第1ラック管理部130aは、第1ラックバッテリ110aの開放回路電圧に基づいて第1ラックバッテリ110aの充電状態を更新する。第1ラックバッテリ110aの更新された充電状態は、97.8%と仮定する。システム管理部140は、第1ラックバッテリ110aの充電状態が100%未満なので、第1ラックスイッチ110aを再び短絡させて第1ラックバッテリ110aをさらに充電させうる。
【0096】
また、t6後に、第4ラックバッテリ110dの充電状態(SOC)が100%になるので、第4ラックスイッチ120dは、開放(すなわち、ターンオフ)される。t9において、第4ラック管理部130dは、第4ラックバッテリ110dの開放回路電圧に基づいて第4ラックバッテリ110dの充電状態を更新しうる。第4ラックバッテリ110dの更新された充電状態は、99%と仮定する。システム管理部140は、第4ラックバッテリ110dの充電状態が100%未満なので、第4ラックスイッチ110dを再び短絡させて第4ラックバッテリ110dをさらに充電させうる。
【0097】
t7後に、第5ラックバッテリ110eの充電状態(SOC)が100%になるので、第5ラックスイッチ120eは、開放(すなわち、ターンオフ)される。t10において、第5ラック管理部130eは、第5ラックバッテリ110eの開放回路電圧に基づいて第5ラックバッテリ110eの充電状態を更新する。第5ラックバッテリ110eの更新された充電状態は、99.2%と仮定する。システム管理部140は、第5ラックバッテリ110eの充電状態が100%未満なので、第5ラックスイッチ110eを再び短絡させて第5ラックバッテリ110eをさらに充電させうる。
【0098】
t9後に、第3ラックバッテリ110cの充電状態(SOC)が100%になるので、第3ラックスイッチ120cは、開放(すなわち、ターンオフ)される。また、t10後に、第2ラックバッテリ110bの充電状態(SOC)が100%になるので、第2ラックスイッチ120bは、開放(すなわち、ターンオフ)される。t11において、第1ラックバッテリ110aの充電状態(SOC)が100%になるが、既に第2及び第3ラックスイッチ120b、120cが開放状態なので、第1ラックスイッチ120aを開放せず、t12にバッテリシステム100の充電が終了する。t12に、開放状態の第2及び第3ラックスイッチ120b、120cは、短絡されうる。この際にも、バッテリ電圧とラック電圧との差と既設定の基準値が比較されうる。以後、第1ないし第5ラックバッテリ110a~110eはいずれも共に放電しうる。
【0099】
充電が終了するt12の時点において、システムSOCが100%と表示されるが、第1ないし第5ラックバッテリ110a~110eの平均充電状態は、99.82%である。
図4Aの例では、システムSOCが100%と表示されるとき、実際平均充電状態は、98%であったので、本実施形態によれば、1.82%に該当する電力をさらに充電可能となる。
【0100】
図8は、本発明の他の実施形態によるバッテリシステムの放電方法を説明するための例示的な表である。
【0101】
バッテリシステム100の放電時に、ラック管理部130a~130nは、電流積算法でラックバッテリ110a~110nの充電状態をそれぞれ算出してシステム管理部140に送信する。システム管理部140は、ラックバッテリ110a~110nのうち、0%の充電状態に到逹したラックバッテリ(例えば、第1ラックバッテリ110a)に連結される第1ラックスイッチ120aを開放し、残りのラックバッテリを放電し続ける。
【0102】
バッテリ端子B+、B-から分離された第1ラックバッテリ110aを管理する第1ラック管理部130aは、第1ラックバッテリ110aの開放回路電圧を検出し、開放回路電圧に基づいて第1ラックバッテリ110aの充電状態を更新し、更新された充電状態をシステム管理部140に送信することができる。システム管理部140は、第1ラックバッテリ110aの更新された充電状態が0%を超過すれば、第1ラックスイッチ120aを短絡して残りのラックバッテリ110b~110eと共に放電し続ける。
【0103】
システム管理部140は、第1ラックスイッチ120aを短絡させる前に、第1ラックバッテリ110aの第1ラック電圧とバッテリ電圧との差を既設定の基準値と比較しうる。第1ラックバッテリの更新された充電状態が0%を超過し、第1ラック電圧とバッテリ電圧との差が基準値以下であるとき、第1ラックスイッチ120aを短絡させうる。
【0104】
本実施形態によれば、充電状態が0%になった第1ラックバッテリ110aに連結される第1ラックスイッチ120aが開放され、第1ラックバッテリ110aは、休止状態になり、開放回路電圧を測定可能となる。本実施形態によれば、第1ラック管理部130aは、第1ラックスイッチ120aが開放された状態で第1ラックバッテリ110aの開放回路電圧を測定し、予め保存されたOCV-SOCルックアップテーブルを用いて第1ラックバッテリ110aの開放回路電圧に基づいた充電状態を再び推定することができる。第1ラック管理部130aは、再び推定された充電状態で第1ラックバッテリ110aの充電状態を更新する。再び推定された充電状態は0%よりも大きくなる。
【0105】
このような方式で充電状態が0%になるラックバッテリ(例えば、第2ラックバッテリ110b)に対しても第2ラックスイッチ120bを開放し、第2ラックバッテリ110bの充電状態を更新し、第2ラックバッテリ110bの更新された充電状態に基づいて第2ラックバッテリ110bを再び放電させうる。
【0106】
本実施形態でも、バッテリシステム100の既設定個数以上のラックバッテリが短絡される状況が発生すれば、バッテリシステム100の放電が中止される。
【0107】
図8を参照すれば、t1からt11までバッテリシステム100は放電する。
図8の例において、バッテリシステム100は、5個のバッテリラック110a~110eを有し、その中から3個以上のバッテリラック110は連結されねばならないと仮定する。
【0108】
t3後に、第1ラックバッテリ110aの充電状態(SOC)が0%になれば、第1ラックスイッチ120aは、開放(すなわち、ターンオフ)される。以後、第2ないし第5ラックバッテリ110b~110eは放電し続ける。t6において、第1ラック管理部130aは、第1ラックバッテリ110aの開放回路電圧に基づいて第1ラックバッテリ110aの充電状態を更新しうる。第1ラックバッテリ110aの更新された充電状態は2.2%と仮定する。システム管理部140は、第1ラックバッテリ110aの充電状態が0%より大きいので、第1ラックスイッチ110aを再び短絡させて第1ラックバッテリ110aをさらに放電させうる。
【0109】
また、t6後に、第4ラックバッテリ110dの充電状態(SOC)が0%になるので、第4ラックスイッチ120dは、開放(すなわち、ターンオフ)される。t9において、第4ラック管理部130dは、第4ラックバッテリ110dの開放回路電圧に基づいて第4ラックバッテリ110dの充電状態を更新しうる。第4ラックバッテリ110dの更新された充電状態は、1%と仮定する。システム管理部140は、第4ラックバッテリ110dの充電状態が0%より大きいので、第4ラックスイッチ110dを再び短絡させて第4ラックバッテリ110dをさらに放電させうる。
【0110】
t7後に、第5ラックバッテリ110eの充電状態(SOC)が0%になるので、第5ラックスイッチ120eは、開放(すなわち、ターンオフ)される。t10において、第5ラック管理部130eは、第5ラックバッテリ110eの開放回路電圧に基づいて第5ラックバッテリ110eの充電状態を更新しうる。第5ラックバッテリ110eの更新された充電状態は、0.8%と仮定する。システム管理部140は、第5ラックバッテリ110eの充電状態が0%よりも大きいので、第5ラックスイッチ110eを再び短絡させて第5ラックバッテリ110eをさらに放電させうる。
【0111】
t9後に、第3ラックバッテリ110cの充電状態(SOC)が0%になるので、第3ラックスイッチ120cは、開放(すなわち、ターンオフ)される。また、t10後に、第2ラックバッテリ110bの充電状態(SOC)が0%になるので、第2ラックスイッチ120bは、開放(すなわち、ターンオフ)される。t11において、第1ラックバッテリ110aの充電状態(SOC)が0%になるが、既に第2及び第3ラックスイッチ120b、120cが開放状態なので、第1ラックスイッチ120aを開放せず、t12にバッテリシステム100の放電が終了する。
【0112】
t12において、開放状態の第2及び第3ラックスイッチ120b、120cは、短絡されうる。この際にも、バッテリ電圧とラック電圧との差と既設定の基準値が比較されうる。以後、第1ないし第5ラックバッテリ110a~110eはいずれも共に充電されうる。
【0113】
放電が終了するt12の時点において、システムSOCが0%と表示されるが、第1ないし第5ラックバッテリ110a~110eの平均充電状態は0.18%である。
図4Bの例では、システムSOCが100%と表示されるとき、実際平均充電状態は、2%であったので、本実施形態によれば、1.82%に該当する電力をさらに放電可能となる。
【0114】
本明細書に図示及び説明された特定の具現例は、説明のための例であり、いかなる方式によっても、実施形態の範囲を限定するものと意図されない。簡潔さのために、従来の電子的な構成、制御システム、ソフトウェア、前記システムの他の機能的な側面の記載は省略されうる。また、図面に図示された構成要素間の線の連結または連結部材は、機能的な連結及び/または物理的または回路的連結を例示的に示すものであり、実際の装置では、代替可能であるか、追加的な多様な機能的な連結、物理的な連結、または回路連結によって具現されうる。また、「必須な」、「重要に」のような具体的な言及がなければ、必須構成要素として見なされない。
【0115】
実施形態(特に、特許請求の範囲)を記述するに当たって、「前記」の用語及びそれと類似した指示用語の使用は、単数及び複数いずれもに該当しうる。また、実施形態で範囲(range)を記載した場合、前記範囲に属する個別的な値を適用した発明を含むものであって(それに反対となる記載がない限り)、発明の詳細な説明に前記範囲を構成する各個別的な値を記載したところと同一である。最後に、本発明による方法を構成する段階に対して明白に順序を記載するか、反対となる記載がなければ、前記段階は、適当な順序によって行われる。必ずしも前記段階の記載順序によって本発明が限定されるものではない。本発明において全ての例または例示的な用語(例えば、「などなど」)の使用は、単に本発明を詳細に説明するためのものであって、特許請求の範囲によって限定されない限り、前記例または例示的な用語によって実施形態の範囲が限定されるものではない。また、当業者であれば、多様な修正、組合わせ及び変更が付け加えられた特許請求の範囲またはその均等物の範疇内で設計条件及びファクターによって構成されるということを理解するであろう。
【0116】
例示的な実施形態が本明細書に提示され、特定用語が使用されたとしても、該用語は、限定を目的に使用したものではなく、一般的であり、説明のためのものであると解釈されねばならない。一部例において、本願の出願当初の当業者に自明であるが、特定の実施形態に係わって説明される特徴、及び/または構成要素は具体的に取り立てて記載されていない限り、単独使用も可能であり、他の実施形態に係わって説明される特徴、及び/または構成要素と共に使用可能でもある。したがって、本発明の思想は、前記説明された実施形態に限って決定されてはならず、後述する特許請求の範囲のみならず、該特許請求の範囲と均等な、またはそれらから等価的に変更された全ての範囲は、本発明の思想の範疇に属すると言える。
【符号の説明】
【0117】
14 双方向DC-DCコンバータ
20 バッテリシステム
21 バッテリ
22 バッテリ管理部
100 バッテリシステム
101 ネットワーク
110(110a~110n_) ラックバッテリ
111 バッテリセル
120(120a~120n) ラックスイッチ
130 ラック管理部
140 システム管理部
150 システムスイッチ
B+、B- バッテリ端子