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特開2024-133456パターニングされた金属酸化物フォトレジストの線量減少
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  • 特開-パターニングされた金属酸化物フォトレジストの線量減少 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133456
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】パターニングされた金属酸化物フォトレジストの線量減少
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/26 20060101AFI20240925BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240925BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20240925BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240925BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
G03F7/26 511
G03F7/004
G03F7/004 531
G03F7/11 503
G03F7/11 502
H01L21/30 573
H01L21/302 105A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024079363
(22)【出願日】2024-05-15
(62)【分割の表示】P 2022505402の分割
【原出願日】2020-06-02
(31)【優先権主張番号】62/881,452
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シン, テジンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, リファン
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アビジット ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ディール, ダニエル リー
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ホユン
(72)【発明者】
【氏名】ラマリンガム, ジョーティーリンガム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】極端紫外線(EUV)リソグラフィにおいてマスクとして使用される多層スタック、及び多層スタックを形成するための方法を提供する。
【解決手段】炭素層を膜スタック上方に形成すること、物理的気相堆積(PVD)プロセスによって金属リッチ酸化物層を炭素層上に形成すること、金属酸化物フォトレジスト層を金属リッチ酸化物層上に形成すること及び金属酸化物フォトレジスト層をパターニングすることを含む。金属酸化物フォトレジスト層は、金属リッチ酸化物層と異なり、PVDプロセスと異なるプロセスによって形成される。PVDプロセスによって形成された金属リッチ酸化物層は、金属酸化物フォトレジスト層の接着を高め、EUVリソグラフィの間に二次電子を増加させ、EUV線量エネルギーの減少をもたらす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層スタックを形成するための方法であって、
炭素含有層を含む第1の層を、膜スタックの上に形成することと、
物理的気相堆積プロセスによって、金属リッチ酸化物層を含む第2の層を、前記第1の層の上に形成することと、
前記第2の層とは異なる材料を含む金属酸化物フォトレジスト層を、前記第2の層の上に形成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の層が、ドープされた炭素含有層を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の層が、ホウ素でドープされた炭素層を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の層が、約1.8g/ccより大きい密度を有する炭素含有層を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記炭素含有層が、ダイヤモンド状の炭素層である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の層が、高Z金属を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の層が、スズ、インジウム、ガリウム、亜鉛、テルル、アンチモン、ニッケル、チタン、アルミニウム、又はタンタルのうちの1つ又は複数を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の層が、酸化スズ層、酸化インジウムガリウム亜鉛層、酸化インジウムスズ層、又は酸化タンタル層である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
極端紫外線リソグラフィにおいてマスクとして使用される多層スタックであって、
膜スタックの上に配置され、炭素含有層を含む第1の層と、
前記第1の層の上に配置され、金属リッチ酸化物層を含む第2の層と、
前記第2の層の上に配置され、前記第2の層とは異なる材料を含む金属酸化物フォトレジスト層と
を含む、多層スタック。
【請求項10】
前記第1の層が、ドープされた炭素含有層を更に含む、請求項9に記載の多層スタック。
【請求項11】
前記第1の層が、ホウ素でドープされた炭素層を更に含む、請求項10に記載の多層スタック。
【請求項12】
前記第1の層が、約1.8g/ccより大きい密度を有する炭素含有層を更に含む、請求項9に記載の多層スタック。
【請求項13】
前記炭素含有層が、ダイヤモンド状の炭素層である、請求項12に記載の多層スタック。
【請求項14】
前記第2の層が、高Z金属を更に含む、請求項9に記載の多層スタック。
【請求項15】
前記第2の層が、スズ、インジウム、ガリウム、亜鉛、テルル、アンチモン、ニッケル、チタン、アルミニウム、又はタンタルのうちの1つ又は複数を更に含む、請求項9に記載の多層スタック。
【請求項16】
前記第2の層が、酸化スズ層、酸化インジウムガリウム亜鉛層、酸化インジウムスズ層、又は酸化タンタル層である、請求項15に記載の多層スタック。
【請求項17】
前記第2の層が、酸化スズ層、酸化インジウムガリウム亜鉛層、酸化インジウムスズ層、又は酸化タンタル層である、請求項12に記載の多層スタック。
【請求項18】
複数の命令を記憶した非一過性のコンピュータ可読記憶媒体であって、該複数の命令が、処理システムの構成要素を制御して、下記のプロセス、即ち、
約1.8g/ccより大きい密度を有する炭素含有層を含む第1の層を、膜スタックの上に形成することと、
物理的気相堆積プロセスによって、スズ、インジウム、ガリウム、亜鉛、テルル、アンチモン、ニッケル、チタン、アルミニウム、又はタンタルのうちの1つ又は複数を含む第2の層を、前記第1の層の上に形成することと
を実行するための命令を含む、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記第1の層が、ダイヤモンド状の炭素層である、請求項18に記載の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記第2の層が、酸化スズ層、酸化インジウムガリウム亜鉛層、酸化インジウムスズ層、又は酸化タンタル層である、請求項18に記載の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、概して、装置及び方法に関し、より具体的には、多層スタック及び多層スタックを形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] サブミクロン以下のフィーチャを確実に生産することが、半導体デバイスの超大規模集積(VLSI)と極超大規模集積(ULSI)の重要な要件の1つである。しかしながら、回路技術が継続的に小型化することに伴い、相互接続のような回路フィーチャのサイズとピッチの寸法が、処理能力に更なる要求を課している。この技術の中心にあるマルチレベル相互接続により、高アスペクト比フィーチャの正確な画像化及び配置が必要となる。デバイス及び相互接続密度を更に増加させるためには、これらの相互接続の信頼できる形成が必要である。
【0003】
[0003] 種々の相互接続及び他の半導体フィーチャを形成するために使用される1つのプロセスでは、極端紫外線(EUV)リソグラフィが使用される。従来のEUVパターニングでは、フォトレジストがハードマスクの上にパターニングされる多層スタックが使用されている。一般的なハードマスク材料は、スピンオンシリコン反射防止コーティング(SiARC)及び堆積酸窒化ケイ素(SiON)である。SiARCは、シリコンバックボーン(silicon backbone)に有機含有物を組み込み、フォトレジスト及び下にあるスタックに対する十分なエッチング選択性を維持する。SiARCバックボーンの厚さをスケーリングすることが課題となる場合があり、スピンコーティングにより、欠陥が多すぎることなく達成可能な最小の厚さが制限される。SiONハードマスクは、レジスト接着を改善するために有機接着層(OAL)を使用する。OALは、窒素による被毒を防止し、再加工することができる。
【0004】
[0004] いくつかの金属酸化物材料が、EUVハードマスク(HM)として試験された。高いEUV吸収元素を有する膜を含む金属酸化物膜は化学量論的であり、導電性ではなかった。更に、EUVリソグラフィプロセスは、概して、かなりの量の露光時間を要し、大量のエネルギーを必要とする。
【0005】
[0005] したがって、当技術分野では、線量時間の短縮及び/又は線量エネルギーの低減を可能にするマスクとしての新しい多層スタックが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の実施形態は、概して、極端紫外線(EUV)リソグラフィにおいてマスクとして使用される多層スタック、及び多層スタックを形成するための方法に関する。
【0007】
[0007] 1つの実施形態では、多層スタックを形成する方法が提供される。この方法は、炭素含有層を含む第1の層を膜スタックの上に形成することと、物理的気相堆積プロセスによって、金属リッチ酸化物層を含む第2の層を、第1の層の上に形成することと、第2の層とは異なる材料を含む金属酸化物フォトレジスト層を、第2の層の上に形成することとを含む。
【0008】
[0008] 別の実施形態では、多層スタックが提供される。この多層スタックは、膜スタックの上に配置され、炭素含有層を含む第1の層と、第1の層の上に配置され、金属リッチ酸化物層を含む第2の層と、第2の層の上に配置され、第2の層とは異なる材料を含む金属酸化物フォトレジスト層とを含む。
【0009】
[0009] 更に別の実施形態では、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体が提供される。非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、複数の命令を含み、該複数の命令は、処理システムの構成要素を制御して、下記のプロセス、即ち、炭素含有層を含む第1の層を膜スタックの上に形成することと、物理的気相堆積プロセスによって、金属リッチ酸化物層を含む第2の層を、第1の層の上に形成することと、金属酸化物コーティングを有するポリマーを含むフォトレジスト層を、第2の層の上に形成することとを含むプロセスを実行するための命令を含む。
【0010】
[0010] 開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、それらの実施形態のいくつかが添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態を示しているにすぎず、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]1つの実施形態による、パターニングプロセスのための方法のフロー図である。
図2】[0012]1つの実施形態による構造を示す。
図3】[0013]1つの実施形態による、マルチチャンバ処理システムの概略上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0014] 理解を容易にするために、図に共通する同一の要素を指し示すために、可能な場合には、同一の参照番号を使用した。1つの実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうると想定される。
【0013】
[0015] 本開示の実施形態は、概して、EUVリソグラフィにおいてマスクとして使用される多層スタック、及び多層スタックを形成するための方法に関する。1つの実施形態では、この方法は、炭素層を膜スタック上方に形成することと、物理的気相堆積(PVD)プロセスによって、金属リッチ酸化物層を炭素層上に形成することと、金属酸化物フォトレジスト層を金属リッチ酸化物層上に形成することと、金属酸化物フォトレジスト層をパターニングすることとを含む。金属酸化物フォトレジスト層は、金属リッチ酸化物層と異なり、PVDプロセスと異なるプロセスによって形成される。PVDプロセスによって形成された金属リッチ酸化物層は、金属酸化物フォトレジスト層の接着を高め、EUVリソグラフィの間に二次電子を増加させ、EUV線量エネルギーの減少をもたらす。
【0014】
[0016] 図1は、1つの実施形態による、パターニングプロセスのための方法100のフロー図である。図2は、1つの実施形態による構造200を示す。構造200は、図1のパターニングプロセスの間に形成することができる。当業者は、半導体デバイス及び関連する構造を形成するための完全なプロセスが、図面には示されておらず、本明細書に記載されていないことを理解すべきである。様々な工程が図面に示され、本明細書で説明されるが、そのような工程の順序、又は工程の有無に関して限定されないことが示唆される。順次描写又は説明される工程は、明示的に指定されない限り、単に説明目的で行われ、それぞれの工程が、完全ではないにしても少なくとも部分的に、同時又は重複して実際に実行される可能性を排除しない。
【0015】
[0017] 方法100は、処理システムの処理チャンバ内の膜スタック202上に第1の層204を形成することによって、工程102で開始する。膜スタック202は、ゲート構造、コンタクト構造、又は相互接続構造をフロントエンド又はバックエンドプロセスで形成するために利用することができる。膜スタック202は、NOT-AND(NAND)構造などのメモリ構造で使用される階段状構造を含むことができる。
【0016】
[0018] 1つの実施形態では、膜スタック202は、多数の垂直に積層された層を有する。膜スタック202は、対の交互の層(交互の誘電体層(例えば、交互の酸化物層と窒化物層)など)を含むことができる。交互の誘電体層は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、窒化チタン、酸化物及び窒化物の任意の他の複合物、又は上記の任意の組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、誘電体層は、4より大きい誘電率を有する1つ又は複数の高誘電率材料を含む。高誘電率材料の適切な例は、二酸化ハフニウム(HfO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ハフニウムシリコン(HfSiO)、酸化ハフニウムアルミニウム(HfAlO)、酸化ジルコニウムシリコン(ZrSiO)、二酸化タンタル(TaO)、酸化アルミニウム、アルミニウムでドープされた二酸化ハフニウム、ビスマスストロンチウムチタン(BST)、及び白金ジルコニウムチタン(PZT)、又は上記の任意の組み合わせを含む。
【0017】
[0019] 第1の層204は、高密度炭素含有層などの炭素含有層とすることができる。1つの実施形態では、第1の層204は、ホウ素でドープされたアモルファスカーボンなどのドープされたカーボンからなるハードマスクである。第1の層204は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.によって製造されたSaphira(登録商標)ハードマスクでありうる。1つの実施形態では、第1の層204は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.によって製造されたアドバンスドパターニングフィルム(APF)炭素ハードマスクの1つ又は複数を含む。
【0018】
[0020] いくつかの実施形態では、第1の層204は、高密度炭素含有層であり、改善された硬度及び密度などの優れた膜品質を有する。このような硬度及び密度により、第1の層204は、金属浸透に対するより強力なバリアとして機能し、従来のSOC膜よりもナノ破壊を大幅に低減することができる。
【0019】
[0021] いくつかの実施形態では、第1の層204は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する。
【0020】
[0022] 1) 堆積時の層中の炭素原子の総量の少なくとも約40、45、50、55、60、65、70、75、80、又は85パーセントである、sp混成炭素原子の量/パーセンテージ(すなわち、sp混成炭素原子含有量)は、約50~約90パーセント、又は約60~約70パーセントである。
【0021】
[0023] 2) 約5Åと約20,000Åとの間、例えば約300Å~約5000Åなど、又は約2000Åと約3000Åとの間、又は約5Å~約200Åである厚さ。
【0022】
[0024] 3) 約2.0より大きい、例えば約2.0~約3.0(約2.3など)である、約633nmにおける屈折率。
【0023】
[0025] 4) 約0.1より大きい、例えば約0.2~約0.3(約0.25など)である、約633nmにおける吸光係数。
【0024】
[0026] 5) 約-300MPa未満、例えば約-600MPa~約-300MPa、又は約-600MPa~約-500MPa(約-550MPaなど)である応力。
【0025】
[0027] 6) 約1.8g/ccより大きい、例えば約2.0g/cc以上、又は約2.5g/cc以上(約1.8g/cc~約2.5g/cc)である密度。
【0026】
[0028] 7) 約150GPaより大きい、約200GPa~約400GPaなどである弾性率。
【0027】
[0029] 第1の層204は、物理的気相堆積(PVD)プロセス又はプラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスによって、膜スタック202上に形成することができる。1つの実施形態では、第1の層204はダイヤモンド状の炭素層である。本明細書に記載のダイヤモンド状の炭素層は、炭化水素含有混合ガスを使用する化学気相堆積(CVD)(プラズマ強化及び/又は熱)プロセスによって形成することができる。炭化水素含有混合ガスは、アセチレン、プロペン、メタン、ブテン、1,3-ジメチルアダマンタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン(2,5-ノルボルナジエン)、アダマンチン、ノルボルネン、又はこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない前駆体を含むことができる。
【0028】
[0030] 堆積プロセスは、約-50℃~約600℃の範囲の温度で実行することができる。堆積プロセスは、処理空間内で約0.1mTorr~約10Torrの範囲の圧力で実行することができる。炭化水素含有混合ガスは、ヘリウム、アルゴン、キセノン、窒素ガス(N)、及び水素ガス(H)の任意の1つ、又はこれらのうちの任意のものの組み合わせを更に含みうる。
【0029】
[0031] 炭化水素含有混合ガスは、膜品質を改善するために、塩素ガス、四フッ化炭素、及び/又は三フッ化窒素などのエッチャントガスを更に含むことができる。プラズマ(例えば、容量結合プラズマ)は、上部及び底部の電極又は側部電極のいずれかから形成することができる。電極は、単一の電力供給電極、二重の(dual)電力供給電極から、又は限定されないが、約350KHz~約100MHzなどの複数の周波数を有するもっと多い数の電極から、形成することができ、ハードマスク及び/又はエッチング停止又は任意の他の適切な用途として使用するためのダイヤモンド状炭素の薄層を堆積させるために、本書に列挙される反応ガスのいずれか又はすべてを用いて、代替的に又は同時にCVDシステム内で使用される。
【0030】
[0032] ダイヤモンド状のカーボン層の高いエッチング選択性は、現在の生成膜よりも高い密度及び弾性率を有することによって達成される。理論に束縛されるものではないが、密度及び弾性率がより高いのは、層中のsp混成炭素原子の含有量が高いからであり、この含有量が高いのは、低圧及びプラズマ出力の組合せによって達成されうると考えられる。
【0031】
[0033] いくつかの実施形態では、水素ラジカルは、遠隔プラズマ源(RPS)を通して供給され、これは、sp混成炭素原子の選択的エッチングをもたらす。したがって、層のsp混成炭素原子分率が更に増加し、したがって、エッチング選択性が更に増加する。
【0032】
[0034] 1つの実施形態では、基板ペデスタルが約10℃に維持された状態で、ダイヤモンド状の炭素層がチャンバ内に堆積され、圧力が約2mTorrに維持され、約2500Wのバイアスを約13.56MHzの周波数で静電チャックに加えることによって、プラズマが基板レベルで生成される。いくつかの実施形態では、約2MHzで約1000Wの追加の高周波(RF)も静電チャックに供給され、それによって、基板レベルでデュアルバイアスプラズマが生成される。
【0033】
[0035] 工程104では、第1の層204の上に、第2の層206が形成される。第2の層206は、PVDプロセスによって形成された金属酸化物層である。金属酸化物層は、EUV放射によって励起されるときに十分な二次電子を提供する金属リッチ酸化物層でありうる。完全に化学量論的な金属酸化物層は、金属リッチ酸化物層ほど多くの電子を発生させない。EUVプロセスがEUV線量エネルギーを低下させるように、高Z金属を含む金属リッチ酸化物層と低い抵抗が考慮される。高Z金属とは、40以上の原子番号を有する金属を指す。いくつかの実施形態では、第2の層206は、スズ(Sn)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、又はタンタル(Ta)のうちの1つ又は複数を含む金属リッチ酸化物層である。金属リッチ酸化物層の例は、酸化スズ(SnO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化タンタル(TaO)、又は他の適切な金属リッチ酸化物を含む。金属リッチ酸化物層は、金属対酸化物の非化学量論比(より高い金属含有量など)を有する金属酸化物層を生成しうるPVDプロセスによって形成される。例えば、化学量論的金属酸化物層は、Mとして特徴付けることができ、ここで、Mは、1つ又は複数の金属であり、化学量論的金属対酸化物の比は、x対yである。PVDプロセスによって生成される金属リッチ酸化物層は、約1.5x対y以上(約2x対y以上など)の金属対酸化物の比を有しうる。
【0034】
[0036] 工程106において、金属酸化物フォトレジスト層208が、第2の層206上に形成される。金属酸化物フォトレジスト層208は、分子金属酸化物クラスタコアを含むことができ、各コアは、複数の放射線感受性リガンド(radiation-sensitive ligand)を有する。金属酸化物フォトレジスト層208は、第2の層206とは異なる材料から製造される。第2の層206は、金属酸化物フォトレジスト層208の第2の層206への接着を高める。
【0035】
[0037] 工程108において、金属酸化物フォトレジスト層208は、金属酸化物フォトレジスト層208内にパターン210を形成するようにパターニングされる。金属酸化物フォトレジスト層208は、放射線への露光時に可溶性になるポジ型レジスト、又は放射線への露光時に不溶性になるネガ型レジストでありうる。放射線は、EUV範囲の波長を有しうる。
【0036】
[0038] 工程110において、パターン210は、1つ又は複数のエッチングプロセスによって、膜スタック202に転写される。パターン210は、最初に第1の層204及び第2の層206に転写され、次に膜スタック202に転写される。1つ又は複数のエッチングプロセスは、任意の適切なエッチングプロセスを含むことができる。
【0037】
[0039] 第1の層204は、ドープされた炭素層又は高密度炭素含有層であり、第2の層206は、PVDプロセスによって形成された金属リッチ酸化物層でありうる。1つの実施形態では、第1の層204は、ホウ素でドープされた炭素層などのドープされた炭素層であり、第2の層206は、金属リッチ酸化物層である。別の実施形態では、第1の層204は、約1.8g/ccより大きい密度を有するダイヤモンド状の炭素層などの高密度炭素含有層である。
【0038】
[0040] 図3は、1つの実施形態による、マルチチャンバ処理システム300の概略上面図を示す。マルチチャンバ処理システム300は、方法100を実行するように構成することができる。本明細書中に提供される教示に従って適切に改変されうる処理システムの例は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から市販されている、ENDURA(登録商標)、PRODUCER(登録商標)若しくはCENTURA(登録商標)統合処理システム、又は他の適切な処理システムを含む。他の処理システム(他の製造業者からのものを含む)が、本明細書に記載される態様から利益を得るように適合されうることが企図される。
【0039】
[0041] 図3に示すように、複数のプロセスチャンバ302が、第1の移送チャンバ304に連結されている。第1の移送チャンバ304はまた、第1の対の通過チャンバ306にも連結される。第1の移送チャンバ304は、通過チャンバ306とプロセスチャンバ302との間で基板を移送するための、中央に配置された移送ロボット(図示せず)を有する。通過チャンバ306は、第2の移送チャンバ310に連結され、第2の移送チャンバ310は、プロセスチャンバ314及びプロセスチャンバ316に連結される。第2の移送チャンバ310は、一組のロードロックチャンバ312とプロセスチャンバ314又はプロセスチャンバ316との間で基板を移送するための中央に配置された移送ロボット(図示せず)を有する。ファクトリインターフェース320が、ロードロックチャンバ312によって第2の移送チャンバ310に接続される。ファクトリインターフェース320は、ロードロックチャンバ312の反対側にある1つ又は複数のポッド330に連結される。ポッド330は、通常、洗浄室からアクセス可能な前方開口型統一ポッド(FOUP)である。
【0040】
[0042] 動作中、基板は、まず、プロセスチャンバ314又はプロセスチャンバ316に移送され、そこで、第1の層204などの炭素含有層が、図2の膜スタック202などの膜スタック上に形成される。言い換えると、方法100の工程102は、プロセスチャンバ314又は316内で実行することができる。
【0041】
[0043] 次に、基板は、1つ又は複数のプロセスチャンバ302に移送され、第2の層206などの金属リッチ酸化物層がPVDプロセスによって炭素含有層上に形成される。言い換えると、方法100の工程104は、プロセスチャンバ302内で実行することができる。プロセスチャンバ302は、PVDチャンバでありうる。工程102及び104は、同じ処理システム300内で実行されるため、基板が様々なチャンバに移送される際に、真空が破壊されることがなく、したがって、汚染の機会が減少し、堆積されたエピタキシャル膜の品質が向上する。
【0042】
[0044] いくつかの実施形態では、基板が、処理システム300とは異なる処理システムのチャンバに提供され、フォトレジスト層を形成する(工程106)。フォトレジスト層のパターニング(工程108)及び膜スタックへのパターンの転写(工程110)は、処理システム300とは異なる処理システムのチャンバ内で実行されうる。言い換えると、工程102及び104は、第1の処理システムで実行され、工程106、108、及び110は、第1の処理システムとは異なる第2の処理システムで実行されうる。
【0043】
[0045] システムコントローラ380は、処理システム300又はその構成要素を制御するために、処理システム300に結合される。例えば、システムコントローラ380は、処理システム300のチャンバ302、304、306、310、312、314、316、ファクトリインターフェース320、及び/又はポッド330の直接制御を用いて、処理システム300の動作を制御する。別の例では、システムコントローラ380は、処理システム300のチャンバ302、304、306、310、312、314、316、ファクトリインターフェース320、及び/又はポッド330に関連する個々のコントローラを制御する。動作中、システムコントローラ380により、処理システム300の性能を調整するために、それぞれのチャンバからのデータ収集及びフィードバックが可能になる。
【0044】
[0046] システムコントローラ380は、概して、中央処理装置(CPU)382、メモリ384、及びサポート回路386を含む。CPU382は、産業環境で使用することができる任意の形態の汎用プロセッサのうちの1つでありうる。メモリ384は、非一過性のコンピュータ可読媒体又は機械可読記憶装置であって、CPU382によってアクセス可能であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又は任意の他の形態のデジタルストレージ、ローカル又はリモートを含みうる。サポート回路386は、CPU382に接続され、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源などを備える。
【0045】
[0047] システムコントローラ380は、メモリ384に記憶された方法100の1つ又は複数の工程を実行するように構成される。本開示で開示される様々な実施形態は、概して、例えば、コンピュータプログラム製品又はソフトウェアルーチンとして、メモリ384(又は特定のプロセスチャンバのメモリ)に格納されたコンピュータ命令コードを実行することによって、CPU382の制御下で実施される。すなわち、コンピュータプログラム製品は、実体的には、メモリ384(又は、非一過性のコンピュータ可読媒体又は機械可読記憶装置)上で実施される。CPU382によりコンピュータ命令コードが実行されると、CPU382は、種々の実施形態による動作を実行するために、チャンバを制御する。
【0046】
[0048] 上述のように、本開示の実施形態は、金属リッチ酸化物層と、金属リッチ酸化物層上に形成された金属酸化物フォトレジストとを利用することによって、EUV線量エネルギーを低減する。また、金属酸化物フォトレジストの金属リッチ酸化物層への接着も改善される。更に、本開示の実施形態は、金属浸透に対する強力なバリアとして作用し、かつEUVプロセスにおけるナノ障害を低減する高密度炭素含有層を利用する。
【0047】
[0049] 上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が、その基本的な範囲から逸脱せずに考案されてもよく、その範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層スタックを形成するための方法であって、
炭素含有層を含む第1の層を、膜スタックの上に形成することと、
物理的気相堆積プロセスによって、金属リッチ酸化物層を含む第2の層を、前記第1の層の上に形成することと、
前記第2の層とは異なる材料を含む金属酸化物フォトレジスト層を、前記第2の層の上に形成することと
を含む、方法。
【外国語明細書】