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特開2024-133461深さが変化する屈折率膜の堆積のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133461
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】深さが変化する屈折率膜の堆積のための方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/08 20060101AFI20240925BHJP
   C23C 14/10 20060101ALI20240925BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20240925BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20240925BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C23C14/08 E
C23C14/10
C23C14/08 J
C23C14/06 A
C23C16/34
C23C16/40
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024089203
(22)【出願日】2024-05-31
(62)【分割の表示】P 2023504154の分割
【原出願日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】63/055,160
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】セバリョス, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング, カール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハウラニ, ラミ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光学装置膜及び光学装置膜を形成する改善された方法を提供する。
【解決手段】本開示の実施形態は、光学装置膜及び光学装置膜を形成する方法に関する。具体的には、本明細書に記載の実施形態は、一定の酸素濃度と、第1の材料の第1の濃度プロファイルと、第2の材料の第2の濃度プロファイルとを有する光学装置膜を提供する。本明細書で記載及び参照される第1の材料は、約2.0以上の第1の屈折率を有し、第2の材料は、2.0未満の第2の屈折率を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学装置膜であって、
厚さであって、前記厚さの0%に実質的に相当する第1の表面から前記厚さの100%に実質的に相当する第2の表面まで、一連のゾーンに分けられており、前記一連のゾーンの各ゾーンがゾーン厚さを有する、厚さと、
前記光学装置膜の前記一連のゾーンの各ゾーンの酸素濃度又は窒素濃度であって、前記一連のゾーンの前記ゾーンのすべてにわたって維持されている、酸素濃度又は窒素濃度と、
約2.0以上の第1の屈折率を有する第1の材料であって、前記一連のゾーン全体にわたって第1の濃度プロファイルを有する、第1の材料と、
2.0未満の第2の屈折率を有する第2の材料であって、前記一連のゾーン全体にわたって第2の濃度プロファイルを有し、前記第2の濃度プロファイルが前記第1の濃度プロファイルとは異なる、第2の材料と
を含む、光学装置膜。
【請求項2】
前記ゾーン厚さが前記厚さの約0.001%から約50%である、請求項1に記載の光学装置膜。
【請求項3】
前記第1の材料が、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)若しくはニオブ(Nb)の酸化物又は窒化物を含む、請求項1に記載の光学装置膜。
【請求項4】
前記第2の材料が、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)若しくはマグネシウム(Mg)の酸化物又は窒化物を含む、請求項1に記載の光学装置膜。
【請求項5】
前記酸素濃度が、±10%で約66.67原子パーセントである、請求項1に記載の光学装置膜。
【請求項6】
前記第1の表面に隣接する前記一連のゾーンの最初のゾーンが、
前記第1の材料の最大濃度と、
前記第2の材料の0原子パーセントの最小濃度と
を含み、かつ
前記第2の表面に隣接する前記一連のゾーンの最終ゾーンが、
前記第1の材料の0原子パーセントの最小濃度と、
前記第2の材料の最大濃度と
を含む、請求項1に記載の光学装置膜。
【請求項7】
前記第1の濃度プロファイルにおいて、先行ゾーンのすぐ上に配置された各ゾーンの第1の濃度が、前記先行ゾーンの前記第1の濃度以下であり、かつ
前記第2の濃度プロファイルにおいて、前記先行ゾーンのすぐ上に配置された各ゾーンの第2の濃度が、前記先行ゾーンの前記第2の濃度以上である、
請求項6に記載の光学装置膜。
【請求項8】
前記第1の濃度プロファイルが前記一連のゾーンの前記最初のゾーンで前記最大濃度を有し、前記第1の濃度プロファイルが前記一連のゾーンの中点で前記最小濃度を有し、前記第1の濃度プロファイルが前記一連のゾーンの前記最終ゾーンで前記最大濃度を有し、かつ
前記第2の濃度プロファイルが前記一連のゾーンの前記最初のゾーンで前記最小濃度を有し、前記第2の濃度プロファイルが前記一連のゾーンの前記中点で前記最大濃度を有し、前記第2の濃度プロファイルが前記一連のゾーンの前記最終ゾーンで前記最小濃度を有する、
請求項6に記載の光学装置膜。
【請求項9】
前記第1の表面に隣接する前記一連のゾーンの最初のゾーンが、
前記第2の材料の最大濃度と、
前記第1の材料の0原子パーセントの最小濃度と
を含み、かつ
前記第2の表面に隣接する前記一連のゾーンの最終ゾーンが、
前記第2の材料の0原子パーセントの最小濃度と、
前記第1の材料の最大濃度と
を含む、請求項1に記載の光学装置膜。
【請求項10】
前記第1の濃度プロファイルにおいて、先行ゾーンのすぐ上に配置された各ゾーンの第1の濃度が、前記先行ゾーンの前記第1の濃度以上であり、かつ
前記第2の濃度プロファイルにおいて、前記先行ゾーンのすぐ上に配置された各ゾーンの第2の濃度が、前記先行ゾーンの前記第2の濃度以下である、
請求項9に記載の光学装置膜。
【請求項11】
前記第1の濃度プロファイルが前記一連のゾーンの前記最初のゾーンで前記最小濃度を有し、前記第1の濃度プロファイルが前記一連のゾーンの中点で前記最大濃度を有し、前記第1の濃度プロファイルが前記一連のゾーンの前記最終ゾーンで前記最小濃度を有し、かつ
前記第2の濃度プロファイルが前記一連のゾーンの前記最初のゾーンで前記最大濃度を有し、前記第2の濃度プロファイルが前記一連のゾーンの前記中点で前記最小濃度を有し、前記第2の濃度プロファイルが前記一連のゾーンの前記最終ゾーンで前記最大濃度を有する、
請求項9に記載の光学装置膜。
【請求項12】
複数の光学装置構造体が中に配置されている、請求項1に記載の光学装置膜。
【請求項13】
前記複数の光学装置構造体が、前記光学装置膜の前記第1の表面に対して傾斜している、請求項12に記載の光学装置膜。
【請求項14】
前記一連のゾーンの各ゾーン間の前記酸素濃度又は前記窒素濃度の差が、10%の原子パーセンテージである、請求項12に記載の光学装置膜。
【請求項15】
方法であって、
基板支持体上に光学装置基板を配置することであって、前記基板支持体がチャンバ内に配置されており、前記チャンバが、
前記チャンバ内に配置されている第1のターゲットであって、第1の材料を含む、第1のターゲット、及び
前記チャンバ内に配置されている第2のターゲットであって、第2の材料を含む、第2のターゲット
を含む、光学装置基板を配置することと、
前記光学装置基板上に光学装置膜を堆積させることであって、
第1の濃度プロファイルを有する前記第1の材料を堆積させることであって、前記第1の材料を前記堆積させることが、前記第1のターゲットに第1の電力レベルを提供することを含み、前記第1の材料の前記第1の濃度プロファイルが、前記第1のターゲットに提供される前記第1の電力レベルを増加させること又は減少させることの少なくとも一方により制御され、前記第1の材料の第1の濃度が前記光学装置膜の一連のゾーンの最初のゾーンで最大である、前記第1の材料を堆積させること、
第2の濃度プロファイルを有する前記第2の材料を堆積させることであって、前記第2の材料を前記堆積させることが、前記第2のターゲットに第2の電力レベルを提供することを含み、前記第2の材料の前記第2の濃度プロファイルが、前記第2のターゲットに提供される前記第2の電力レベルを増加させること又は減少させることの少なくとも一方により制御され、前記第2の材料の第2の濃度が前記光学装置膜の前記一連のゾーンの最初のゾーンで最小である、前記第2の材料を堆積させること、及び
前記一連のゾーンのすべてにわたって酸素濃度又は窒素濃度を維持すること
を含む、光学装置膜を堆積させることと
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1の材料が、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)若しくはニオブ(Nb)の酸化物又は窒化物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の材料が、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)若しくはマグネシウム(Mg)の酸化物又は窒化物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
方法であって、
基板支持体上に光学装置基板を配置することであって、前記基板支持体がチャンバ内に配置されており、前記チャンバが、
前記チャンバ内に配置されている第1のターゲットであって、第1の材料を含む、第1のターゲット、及び
第2の材料を含む前駆体ガスを流すように動作可能なガス源
を含む、光学装置基板を配置することと、
前記光学装置基板上に光学装置膜を堆積させることであって、
第1の濃度プロファイルを有する前記第1の材料を堆積させることであって、前記第1の材料を前記堆積させることが、前記第1のターゲットに第1の電力レベルを提供することを含み、前記第1の材料の前記第1の濃度プロファイルが、前記第1のターゲットに提供される前記第1の電力レベルを増加させること又は減少させることの少なくとも一方により制御され、前記第1の材料の第1の濃度が前記光学装置膜の一連のゾーンの最初のゾーンで最大である、前記第1の材料を堆積させること、
第2の濃度プロファイルを有する前記第2の材料を堆積させることであって、前記第2の材料を前記堆積させることが、ある流量で前駆体ガスを提供することを含み、前記第2の材料の前記第2の濃度プロファイルが、前記前駆体ガスの流量を増加させること又は減少させることの少なくとも一方により制御され、前記第2の材料の第2の濃度が前記光学装置膜の前記一連のゾーンの最初のゾーンで最小である、前記第2の材料を堆積させること、及び
前記一連のゾーンのすべてにわたって酸素濃度又は窒素濃度を維持すること
を含む、光学装置膜を堆積させることと
を含む、方法。
【請求項19】
前記第2の材料が、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)若しくはマグネシウム(Mg)の酸化物又は窒化物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
方法であって、
チャンバ内に光学装置基板を配置することと、
第1の材料を含む第1のガスを第1の流量で前記チャンバ中に流すことであって、堆積した光学装置膜の前記第1の材料の第1の濃度プロファイルが、前記第1のガスを前記流すことの間に前記第1の流量を増加させること又は減少させることの少なくとも一方によって制御され、前記第1のガスの第1の濃度が、前記光学装置膜の一連のゾーンの最初のゾーンで最大である、第1のガスを流すことと、
第2の材料を含む第2のガスを第2の流量で前記チャンバ中に流すことであって、前記堆積した光学装置膜の前記第2の材料の第2の濃度プロファイルが、前記第2のガスを前記流すことの間に前記第2の流量を増加させること又は減少させることの少なくとも一方によって制御され、前記第2のガスの第2の濃度が、前記光学装置膜の前記一連のゾーンの最初のゾーンで最小である、第2のガスを流すことと、
前記一連のゾーンのすべてにわたって酸素濃度又は窒素濃度を維持することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、光学装置膜及び光学装置膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]導波路、平面光学装置、メタサーフェス、カラーフィルタ及び反射防止コーティングなどの光学装置は、高い屈折率と低い吸収損失の特性を示すように設計されている。金属酸化物含有材料、例えば二酸化チタン(TiO)は、高い屈折率と低い吸収損失を有し、これは、光学装置の効率的で大規模な製造を可能にする。
【0003】
[0003]グレーデッドインデックス光学装置膜は、表面で又は膜内で相互作用する光を制御するために使用される。従来の光学装置膜では、単一の材料の堆積条件を変更することによって大きな範囲で連続的に屈折率を調整することは難しく、複数の材料を用いて連続的なプロファイルを段差プロファイルで近似する必要があった。
【0004】
[0004]従来の光学装置膜は、通常、ステップインデックス導波路のように、異なる屈折率特性を有する材料の複数の異なる層を含む。例えば、光学装置基板の表面上に堆積したTiO層で光学膜が形成され、TiO層の上方に二酸化ケイ素(SiO)層が形成される。ここで、TiO層は約2.4(n=2.4)の屈折率を有し、SiO層は約1.5(n=1.5)の屈折率を有する。TiO層とSiO層の屈折率の差はおよそ0.9であり、これは層間を通過する光に対する急激な変化を表している。この急激な変化は、光学材料間の非連続的なステップとして特徴づけることができ、異なる層間を通過する光に対して、光反射率及び光透過率などの所望の光学装置特性を低下させる。従来の光学装置膜は、層間の屈折率の変化を減少させて、層間で所望の光学特性を向上させるために、2つ以上の材料の複数の異なる層を含むことが多い。しかし、これらの従来の光学装置膜の屈折率は非連続的であり、このような従来の光学装置膜には光学収差が存在する場合がある。
【0005】
[0005]したがって、当該技術分野では、光学装置膜及び光学装置膜を形成する方法の改善が必要である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]一実施形態では、光学装置膜が提供される。光学装置膜は、厚さの0%に相当する第1の表面から厚さの100%に相当する第2の表面までの一連のゾーンに分けられた厚さを含む。一連のゾーンの各ゾーンは、ゾーン厚を有する。光学装置膜は、一連のゾーンの各ゾーンに酸素濃度又は窒素濃度を有する。また、光学装置膜は、約2.0以上の第1の屈折率を有する第1の材料と、約2.0未満の第2の屈折率を有する第2の材料とを含む。第1の材料は、一連のゾーン全体にわたって第1の濃度プロファイルを有する。第2の材料は、一連のゾーン全体にわたって第2の濃度プロファイルを有する。第2の濃度プロファイルは、第1の濃度プロファイルとは異なる。
【0007】
[0007]別の実施形態では、方法が提供される。本方法は、光学装置基板を基板支持体上に配置することを含む。基板支持体は、チャンバ内に配置される。チャンバは、チャンバ内に配置された第1のターゲットと第2のターゲットとを含む。第1のターゲットは第1の材料を含み、第2のターゲットは第2の材料を含む。第1の材料を第1の濃度プロファイルで堆積させ、第2の材料を第2の濃度プロファイルで堆積させることにより、光学装置基板上の光学装置膜が堆積する。第1の材料を堆積させることは、第1のターゲットに第1の電力レベルを提供することを含む。第1の材料の第1の濃度プロファイルは、第1のターゲットに提供される第1の電力レベルを増加又は減少させることの少なくとも一方によって制御される。第2の材料を堆積させることは、第2のターゲットに第2の電力レベルを提供することを含む。第2の材料の第2の濃度プロファイルは、第2のターゲットに提供される第2の電力レベルを増加又は減少させることの少なくとも一方によって制御される。
【0008】
[0008]別の実施形態では、方法が提供される。本方法は、光学装置基板を基板支持体上に配置することを含む。基板支持体は、チャンバ内に配置される。チャンバは、第1のターゲット及びガス源を含む。第1のターゲットは第1の材料を含む。ガス源は、第2の材料を含む前駆体ガスを流すように動作可能である。第1の材料を第1の濃度プロファイルで堆積させ、第2の材料を第2の濃度プロファイルで堆積させることにより、光学装置基板上の光学装置膜が堆積する。第1の材料を堆積させることは、第1のターゲットに第1の電力レベルを提供することを含む。第1の材料の第1の濃度プロファイルは、第1のターゲットに提供される第1の電力レベルを増加又は減少させることの少なくとも一方によって制御される。第2の材料を堆積させることは、前駆体ガスをある流量で提供することを含む。第2の材料の第2の濃度プロファイルは、前駆体の流量を増加又は減少させることの少なくとも一方によって制御される。
【0009】
[0009]さらに別の実施形態では、方法が提供される。この方法は、光学装置基板をチャンバ内に配置することと、第1の材料を含む第1のガスを第1の流量でチャンバ中に流すことと、第2の材料を含む第2のガスを第2の流量でチャンバ中に流すこととを含む。堆積した光学装置膜の第1の材料の第1の濃度プロファイルは、第1のガスを流すことの間に第1の流量を増加又は減少させることの少なくとも一方によって制御される。堆積した光学装置膜の第2の材料の第2の濃度プロファイルは、第2のガスを流すことの間に第2の流量を増加又は減少させることの少なくとも一方によって制御される。
【0010】
[0010]上に記載した本開示の特徴を詳しく理解することができるように、上で簡単に要約した本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は添付の図面に示されている。しかし、添付の図面は、例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容し得ることに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]本明細書に記載の実施形態に係る光学装置膜の概略断面図である。
図2A-2B】[0012]光学装置膜から形成された光学装置の概略断面図である。
図3】[0013]本明細書に記載の実施形態に係る物理的気相堆積(PVD)チャンバの概略断面図である。
図4】[0014]本明細書に記載の実施形態に係る化学気相堆積(CVD)チャンバの概略断面図である。
図5】[0015]本明細書に記載の実施形態に係る光学装置膜を製造するための方法のフロー図である。
図6】本明細書に記載の実施形態に係る光学装置膜を製造するための方法のフロー図である。
図7】本明細書に記載の実施形態に係る光学装置膜を製造するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0016]理解を容易にするために、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに、可能であれば、同一の参照番号を使用した。さらなる記述がなくても、一実施形態の要素及び特徴を他の実施形態に有益に組み込むことができると考えられる。
【0013】
[0017]本開示の実施形態は、光学装置膜及び光学装置膜を形成する方法に関する。具体的には、本明細書に記載の実施形態は、酸素濃度又は窒素濃度と、第1の材料の第1の濃度プロファイルと、第2の材料の第2の濃度プロファイルとを有する光学装置膜を提供する。光学装置膜は、膜の厚さ全体にわたって、第1の濃度の第1の材料と、第2の濃度の第2の材料とを含む。本明細書で記載及び参照される第1の材料は、約2.0以上の第1の屈折率を有する。本明細書で記載及び参照される第2の材料は、2.0未満の第2の屈折率を有する。第1の材料には、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)若しくはニオブ(Nb)の酸化物又は窒化物が含まれるが、それらに限定されない。第2の材料には、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)若しくはマグネシウム(Mg)の酸化物又は窒化物が含まれるが、それらに限定されない。
【0014】
[0018]図1は、光学装置膜100の概略断面図である。光学装置膜100は、本明細書に記載の実施形態による光学装置基板101上に配置される。光学装置基板101は、上に光学装置が形成され得る任意の適切な光学装置基板である。一実施形態では、光学装置基板101は、シリコン(Si)含有光学装置基板である。一実施形態では、光学装置基板101は、酸化ケイ素系ガラス又は金属酸化物系ガラスである。一実施形態では、光学装置基板101は、ケイ素(Si)、窒化ケイ素(SiN)、二酸化ケイ素(SiO)、溶融シリカ、石英、炭化ケイ素(SiC)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、リン化インジウム(InP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、酸化ガリウム(GaO)、ダイヤモンド、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、窒化ガリウム(GaN)、サファイア、酸化タンタル(Ta)、二酸化チタン(TiO)、又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。光学装置基板102は、光学的に透明なペロブスカイト材料を含み得る。別の実施形態では、光学装置基板101は、例えば、シリコンキャリアに接合された薄いガラスなどの層状光学装置基板である。層状光学装置基板は、基板上に光学装置スタック(例えば、グレーティング、導波路、オプトエレクトロニクス、モノリシック集積化CMOS-光デバイス、ヘテロジニアス集積化CMOS-光デバイス用のパターン化された光学装置膜)が配置された基板であってもよい。さらに別の実施形態では、光学装置基板101は、接合ガラスの複数の層を含む積層基板である。
【0015】
[0019]光学装置膜100は、第1の表面102と、第2の表面110と、厚さ106とを有する。光学装置膜100の厚さ106は、厚さ106の0%に相当する第1の表面102から厚さ106の100%に相当する第2の表面110まで測定されたゾーン105の範囲に分けられている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、厚さ106は、光学装置膜100のゾーン105の範囲全体にわたって一定又は実質的に一定な酸素又は窒素濃度を有する。一実施形態では、ゾーン105の範囲の各ゾーン104間の酸素又は窒素濃度の差は、10%(例えば、±5%)の原子パーセンテージである。一実施形態では、TiOの第1の材料及びSiOの第2の材料の光学装置膜100の酸素濃度は、±10%で約66.67原子パーセントである。各ゾーン104は、厚さ106の約0.001%から約50%のゾーン厚さを有する。各ゾーン104は、第1の濃度の第1の材料と、第2の濃度の第2の材料とを含む。本明細書で記載及び参照される第1の材料は、約2.0以上の第1の屈折率を有する。本明細書で記載及び参照される第2の材料は、2.0未満の第2の屈折率を有する。第1の材料及び第2の材料は、金属含有材料又は半導体材料であり得る。例えば、第1の材料には、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)若しくはニオブ(Nb)の酸化物又は窒化物が含まれるが、それらに限定されない。例えば、第2の材料には、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)若しくはマグネシウム(Mg)の酸化物又は窒化物が含まれるが、それらに限定されない。
【0016】
[0020]堆積中に連続的に異なる濃度の第1の材料及び第2の材料を組み込むことによって、光学装置膜100の光学特性、すなわち屈折率の変更が可能になる。一実施形態では、各ゾーン104は、厚さ106の約0.001%から約50%のゾーン厚さを有する。厚さ106のゾーン105の範囲を通しての第1の材料の第1の濃度は、第1の濃度プロファイルを有し、厚さ106のゾーン105の範囲を通しての第2の材料の第2の濃度は、第2の濃度プロファイルを有する。一実施形態では、第1の濃度は、第1の表面102に隣接するゾーン105の範囲の最初のゾーン108で最大濃度を有し、第2の表面110に隣接するゾーン105の範囲の最終ゾーン109で最小濃度を有する。第2の濃度は、ゾーン105の範囲の、最初のゾーン108で最小濃度を、最終ゾーン109で最大濃度を有する。(例えば、TiOの第1の材料とSiOの第2の材料の)酸素濃度が±10%で約66.67原子パーセントである実施形態では、最小濃度は約0原子パーセントであり、最大濃度は約33.3原子パーセントである。実施形態では、先行ゾーンのすぐ上に堆積した各ゾーン104の第1の濃度は、先行ゾーンの第1の濃度以下であり、先行ゾーンのすぐ上に堆積した各ゾーン104の第2の濃度は、先行ゾーンの第2の濃度以上である。
【0017】
[0021]別の実施形態では、第1の濃度は、最初のゾーン108で最小濃度を、最終ゾーン109で最大濃度を有する。第2の濃度は、最初のゾーン108での最大濃度を、最終ゾーン109で最小濃度を有する。実施形態では、先行ゾーンのすぐ上に堆積した各ゾーン104の第1の濃度は、先行ゾーンの第1の濃度以上であり、先行ゾーンのすぐ上に堆積した各ゾーン104の第2の濃度は、先行ゾーンの第2の濃度以下である。
【0018】
[0022]別の実施形態では、第1の濃度プロファイル及び第2の濃度プロファイルは、正弦波プロファイルを有する。第1の濃度プロファイル及び第2の濃度プロファイルが正弦波プロファイルを有する一実施形態では、第1の濃度は、ゾーン105の範囲の中点で最小濃度まで減少するとともに、最終ゾーン109で最大濃度まで増加する最初のゾーン108で最大濃度を有する。第2の濃度は、ゾーン105の範囲の中点で最大濃度まで増加するとともに、最終ゾーン109で最小濃度まで減少する最初のゾーン108で最小濃度を有する。第1の濃度プロファイル及び第2の濃度プロファイルが正弦波プロファイルを有する別の実施形態では、第1の濃度は、ゾーン105の範囲の中点で最大濃度まで増加するとともに、最終ゾーン109で最小濃度まで減少する最初のゾーン108で最小濃度を有する。第2の濃度は、ゾーン105の範囲の中点で最小濃度まで減少するとともに、最終ゾーン109で最大濃度まで増加する最初のゾーン108で最大濃度を有する。
【0019】
[0023]さらに別の実施形態では、光学装置膜100の第1の材料の第1の濃度プロファイルと第2の材料の第2濃度プロファイルとは、任意のプロファイルが得られるように、方法500、600、700の実施形態によって制御される。本明細書に記載の光学装置膜100の形成方法500の実施形態では、第1の濃度及び第2の濃度は、第1の材料の第1のターゲットに提供される第1の電力レベルを増加させること若しくは減少させること、又は第2の材料の第2のターゲットに提供される第2の電力レベルを増加させること若しくは減少させることの少なくとも一方によって制御され得る。本明細書に記載の光学装置膜100の形成方法600の実施形態では、第1の濃度及び第2の濃度は、第1の材料の第1のターゲットに提供される第1の電力レベルを増加させること若しくは減少させること、及び第2の材料を含む前駆体ガスの流量を増加させること若しくは減少させることの少なくとも一方によって制御され得る。本明細書に記載の光学装置膜100の形成方法700の実施形態では、第1の濃度及び第2の濃度は、第1の材料を含む第1のガスの第1の流量を増加させること又は減少させること、及び第2の材料を含む第2のガスの第2の流量を増加させること又は減少させることの少なくとも一方によって制御され得る。したがって、酸素又は窒素の濃度を有する光学装置膜100は、第1の材料と第2の材料との任意の所望のプロファイルを含み得る。
【0020】
[0024]第1の材料及び第2の材料から形成される本明細書に記載の方法500、600、700の光学装置膜100は、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、若しくはニオブ(Nb)の酸化物又は窒化物のうちの1つ又は複数と、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)、若しくはマグネシウム(Mg)の酸化物又は窒化物のうちの1つ又は複数とを含み得る。
【0021】
[0025]図2A及び図2Bは、光学装置膜100から形成された光学装置200a、200bの概略断面図である。光学装置200a、200bは、光学装置基板101上に配置された光学装置構造体202a、202bを含む。光学装置構造体202a、202bは、光学装置構造体202a、202bの幅203に相当するサブミクロン臨界寸法、例えば、ナノサイズ寸法を含む。光学装置構造体202aは、光学装置構造体202aの頂面224が光学装置基板101の表面102と平行な二元構造体であり得る。第1の側壁225及び第2の側壁226は、第3の側壁227及び第4の側壁228に平行である。側壁225、226、227、及び228は、光学装置基板101の主軸に垂直な方向に配向している。光学装置構造体202bは、光学装置基板101の表面102に対して傾斜した側壁225、226、227、及び228を有するアングル構造であり得る。光学装置200a、200bは、第1の材料の第1の濃度プロファイルと、第2の材料の第2の濃度プロファイルと、光学装置膜100の厚さ106全体にわたる酸素又は窒素の濃度とを有する光学装置膜100から形成される。
【0022】
[0026]図3は、PVDチャンバ300の概略断面図である。PVDチャンバ300は、本明細書に記載の方法500及び600に使用され得る。以下に記載されるPVDチャンバ300は、例示的なPVDチャンバであり、他の製造業者からのPVDチャンバを含む他のPVDチャンバは、本開示の態様を達成するために使用されてもよく、又は改造されてもよいことを理解されたい。
【0023】
[0027]PVDチャンバ300は、チャンバ本体310に(例えば、チャンバ本体アダプタ308を介して)取り付けられた、対応する複数のターゲット(少なくとも1つの第1のターゲット304及び少なくとも1つの第2のターゲット306)を有する複数のカソード302、303を含む。第1のターゲット304は、本明細書に記載される少なくとも1つの第1の材料を含み、第2のターゲット306は、本明細書に記載される少なくとも1つの第2の材料を含む。各カソード(例えば、第1のターゲット304及び第2のターゲット306)は、DC電源312又はRF電源314、及びマッチングネットワーク316に結合されてもよい。
【0024】
[0028]PVDチャンバ300は、光学装置基板101を支持するための支持表面334を有する基板支持体332を含むように構成される。PVDチャンバ300は、光学装置基板101を支持表面334上に下げるためのリフトピン(図示せず)上に光学デバイス基板101を置くためにエンドエフェクタ(図示せず)が通る開口部350(例えば、スリットバルブ)を含む。
【0025】
[0029]PVDチャンバ300は、アルゴン(Ar)などのスパッタガスを処理空間305へ供給するよう動作可能なスパッタガス源361を含む。スパッタガス源361と処理空間305との間には、スパッタガス源361から処理空間305へのスパッタガスの流れを制御するためのガス流コントローラ362が配置される。PVDチャンバ300は、酸素含有ガス又は窒素含有ガスなどの反応性ガスを処理空間305へ供給するよう動作可能な反応性ガス源363を含む。反応性ガス源363と処理空間305との間には、反応性ガス源363から処理空間305への反応性ガスの流れを制御するためのガス流コントローラ364が配置される。PVDチャンバ300は、処理空間305に前駆体ガスを供給するように動作可能な前駆体ガス源370を含み得る。前駆体ガス源370と処理空間305との間には、前駆体ガス源370から処理空間305への前駆体ガスの流れを制御するためのガス流コントローラ371が配置される。
【0026】
[0030]図3に示す実施形態では、基板支持体332は、マッチングネットワーク342を介して基板支持体332内に配置されたバイアス電極340に結合されたRFバイアス電源338を含む。基板支持体332は、静電チャック、真空チャック、基板保持クランプ等の基板支持体332の支持表面334上に光学装置基板101を保持する機構(図示せず)を含む。基板支持体332は、基板支持体332内に配置された冷却導管365を含み、冷却導管365は、基板支持体332及びその上に位置決めされた光学装置基板101を所定の温度、例えば約-20℃から300℃の間に制御可能に冷却する。冷却導管365は、冷却流体源368に結合され、冷却流体(図示せず)を提供する。基板支持体332は、その中に埋め込まれたヒータ367も含む。基板支持体332内に配置された、抵抗素子などのヒータ367は、任意選択的なヒータ電源366に結合され、基板支持体332及びその上に位置決めされた光学装置基板101を、所定の温度、例えば約-20℃から300℃の間に制御可能に加熱する。
【0027】
[0031]図3は、1つの第1のターゲット304及び1つの第2のターゲット306を示しているが、PVDチャンバ300は、1つ又は複数の第1のターゲット304及び/又は1つ又は複数の第2のターゲット306を含んでもよい。例えば、第1のターゲット304又は第2のターゲット306の少なくとも一方から選択される3~5個のターゲットがPVDチャンバ300に含まれていてもよい。各第1のターゲット304は、異なる材料を堆積させるように動作可能である。例えば、3~5個の第2のターゲット306がPVDチャンバ400に含まれてもよい。各光学装置材料ターゲット306は、異なる材料を堆積させるように動作可能である。1つ又は複数の第1のターゲット304及び1つ又は複数の第2のターゲット306を有する実施形態では、各第1のターゲット304は、異なる第1の材料を堆積させるように動作可能であり、且つ/又は各第2のターゲット306は、異なる第2の材料を堆積させるように動作可能である。
【0028】
[0032]図4は、本明細書に記載された方法700に使用され得るCVDチャンバ400の概略断面図である。本明細書に記載されるCVDチャンバ400は、例示的なCVDチャンバであり、他の製造業者からのCVDチャンバを含む他のCVDチャンバは、本開示の態様を達成するために使用されてもよく、又は改造されてもよいことを理解されたい。
【0029】
[0033]CVDチャンバ400は、処理空間404を含むチャンバ本体402を有し、処理空間404の中には基板支持体406が配置されており、その上に光学装置基板101を支持している。基板支持体406は、加熱/冷却導管410と、静電チャック、真空チャック、基板保持クランプ等の基板支持体406の支持表面407上に光学装置基板101を保持する機構とを含む。基板支持体406は、開口部412を通じてCVDチャンバ400との間で光学装置基板101の移送を容易にする上昇処理位置と下降位置との間で基板支持体406を動かすリフトシステム(図示せず)に連結されたステム408によって処理空間404内に連結され、移動可能に配置される。
【0030】
[0034]CVDチャンバ400は、第1のガス源416Aからシャワーヘッド414への第1の材料の第1の処理ガスの第1の流量を制御するための、第1のガス源416Aとチャンバ本体402との間に配置される流れコントローラ418Aを含む。CVDチャンバ400は、第2のガス源416Bからシャワーヘッド414への第2の材料の第2の処理ガスの第2の流量を制御するための、第2のガス源416Bとチャンバ本体402との間に配置される流れコントローラ418Bを含む。シャワーヘッド414は、第1の処理ガス及び/又は第2の処理ガスから処理空間404内にプラズマを発生させるためのRFフィード424によってRF電源422に接続されている。RF電源422は、シャワーヘッド414と基板支持体406との間のプラズマの生成を容易にするために、シャワーヘッド414にRFエネルギーを提供する。処理空間404内の圧力を制御するために、真空ポンプ420がチャンバ本体402に結合される。コントローラ428は、CVDチャンバ400に結合されており、処理中にチャンバ400の諸態様を制御するよう構成されている。
【0031】
[0035]図4は第1のガス源416A及び第2のガス源416Bを示しているが、CVDチャンバ400は、1つ又は複数の第1のガス源416A及び/又は1つ又は複数の第2のガス源416Bを含んでもよい。例えば、第1のガス源416A又は第2のガス源416Bの少なくとも一方から選択される3~5個のガス源がCVDチャンバ400に含まれてもよい。1つ又は複数の第1のガス源416A及び1つ又は複数の第2のガス源416Bを有する実施形態では、各第1のガス源416Aは、異なる第1の材料を堆積させるように動作可能であり、且つ/又は各第2のガス源416Bは、異なる第2の材料を堆積させるように動作可能である。
【0032】
[0036]図5は、光学装置膜100を形成する方法500のフロー図である。光学装置膜100は、装置200a、200bを形成するためのその後の処理に利用され得る。説明を容易にするために、図3のPVDチャンバ300を参照して図5を説明する。しかしながら、図3のPVDチャンバ300以外のPVDチャンバを方法500と併せて利用してもよいことに留意されたい。
【0033】
[0037]動作501では、光学装置基板101は、PVDチャンバ300内の基板支持体上に配置される。動作502では、光学装置膜100のゾーン105の範囲の最初のゾーン108が堆積する。第1の材料を有する第1のターゲット304は、第1の電力レベルに設定され、第2の材料を有する第2のターゲット306は、第2の電力レベルに設定される。一実施形態では、第1のターゲット304の第1の材料及び/又は第2のターゲット306の第2の材料は、酸素含有材料又は窒素含有材料を含む。本明細書で記載及び参照される第1の材料は、約2.0以上の第1の屈折率を有する。本明細書で記載及び参照される第2の材料は、2.0未満の第2の屈折率を有する。第1の材料には、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)若しくはニオブ(Nb)の酸化物又は窒化物が含まれるが、それらに限定されない。第2の材料には、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)若しくはマグネシウム(Mg)の酸化物又は窒化物が含まれるが、それらに限定されない。別の実施形態では、酸素含有ガス又は窒素含有ガスは、処理空間305へ供給される。実施形態では、堆積した第1の材料及び第2の材料は、酸素含有ガス又は窒素含有ガスと反応して、光学装置膜100の最初のゾーン108が形成される。別の実施形態では、光学装置基板101は、-20℃から300℃の間の所定温度で維持される。
【0034】
[0038]一実施形態では、第1の材料の第1の濃度は、第1の電力レベルの上限で第1のターゲット304に第1の電力レベルを印加することによって、ゾーン105の範囲の最初のゾーン108で最大濃度を有する。最高電力レベルに相当する第1の電力レベルの上限が、方法500の間に第1のターゲット304に供給される。実施形態では、第2の材料の第2の濃度は、第2の電力レベルを印加しないか又は第2の電力レベルの下限で第2のターゲット306に第2の電力レベルを印加することによって最初のゾーン108で最小濃度を有する。方法500の間、最低電力レベルに相当する第2の電力レベルの下限が第2のターゲット306に供給される。別の実施形態では、第1の材料の第1の濃度は、第1の電力レベルを印加しないか又は第1の電力レベルの下限で第1のターゲット304に第1の電力レベルを印加することによって、ゾーン105の範囲の最初のゾーン108で最小濃度を有する。最低電力レベルに相当する第1の電力レベルの下限が、方法500の間に第1のターゲット304に供給される。実施形態では、第2の材料の第2の濃度は、第2の電力レベルの上限で第2のターゲット306に第2の電力レベルを印加することによって、最初のゾーン108で最大濃度を有する。方法500の間、最高電力レベルに相当する第2の電力レベルの上限が第2のターゲット306に供給される。さらに別の実施形態では、第1の濃度及び第2の濃度は、第1の電力レベル及び第2の電力レベルの上限と下限の間の異なる電力レベルに、第1の材料の第1のターゲット304に提供される第1の電力レベルを設定すること、及び第2の材料の第2のターゲット306に提供される第2の電力を設定することの少なくとも一方によって制御され得る。
【0035】
[0039]動作503では、ゾーン105の範囲の最終ゾーン109が堆積するまで、光学装置膜100の後続のゾーンが堆積する。後続ゾーンの堆積は、光学装置膜100を形成するための異なる電力レベルに、第1の材料の第1のターゲット304に提供される第1の電力レベルを設定すること、及び第2の材料の第2のターゲット306に提供される第2の電力レベルを設定することの少なくとも一方を含む。光学装置膜100は、酸素濃度又は窒素濃度と、第1の材料の第1の濃度プロファイルと、第2の材料の第2の濃度プロファイルとを含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、厚さ106は、光学装置膜100のゾーン105の範囲全体にわたって一定又は実質的に一定な酸素又は窒素濃度を有する。
【0036】
[0040]図6は、光学装置膜100を形成する方法600のフロー図である。光学装置膜100は、装置200a、200bを形成するためのその後の処理に利用され得る。説明を容易にするために、図3のPVDチャンバ300を参照して図6を説明する。しかしながら、図3のPVDチャンバ300以外のPVDチャンバを方法600と併せて利用してもよいことに留意されたい。
【0037】
[0041]動作601では、光学装置基板101は、PVDチャンバ300内の基板支持体上に配置される。動作602では、光学装置基板101のゾーン105の範囲の最初のゾーン108が堆積する。第1の材料を有する第1のターゲット304は、第1の電力レベルに設定され、第2の材料を含む前駆体ガスは、前駆体流量で提供される。一実施形態では、第1のターゲット304の第1の材料及び/又は第2の材料の前駆体ガスは、酸素含有材料又は窒素含有材料を含む。本明細書で記載及び参照される第1の材料は、約2.0以上の第1の屈折率を有する。本明細書で記載及び参照される第2の材料は、2.0未満の第2の屈折率を有する。第1の材料には、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)若しくはニオブ(Nb)の酸化物又は窒化物が含まれるが、それらに限定されない。第2の材料には、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)若しくはマグネシウム(Mg)の酸化物又は窒化物が含まれるが、それらに限定されない。別の実施形態では、酸素含有ガスが処理空間305へ供給される。別の実施形態では、酸素含有ガス又は窒素含有ガスが、処理空間305へ供給される。実施形態では、堆積した第1の材料及び第2の材料は、酸素含有ガス又は窒素含有ガスと反応して、光学装置膜100の最初のゾーン108が形成される。別の実施形態では、光学装置基板101は、約-20℃から300℃の間の所定温度で維持される。
【0038】
[0042]一実施形態では、第1の材料の第1の濃度は、第1の電力レベルの上限で第1のターゲット304に第1の電力レベルを印加することによって、ゾーン105の範囲の最初のゾーン108で最大濃度を有する。最高電力レベルに相当する第1の電力レベルの上限が、方法600の間に第1のターゲット304に供給される。実施形態では、第2の材料の第2の濃度は、前駆体ガスを流さないか又は方法600の間に最低流量で前駆体ガスを流すことによって最初のゾーン108で最小濃度を有する。別の実施形態では、第1の材料の第1の濃度は、第1の電力レベルを印加しないか又は第1の電力レベルの下限で第1のターゲット304に第1の電力レベルを印加することによって、ゾーン105の範囲の最初のゾーン108で最小濃度を有する。最低電力レベルに相当する第1の電力レベルの下限が、方法600の間に第1のターゲット304に供給される。実施形態では、第2の材料の第2の濃度は、方法600の間、方法500の間に最高流量で前駆体ガスを流すことによって最初のゾーン108で最大濃度を有する。さらに別の実施形態では、第1の濃度及び第2の濃度は、方法600の間に、第1の材料の第1のターゲット304に供給される第1の電力レベルを変化させること及び前駆体ガスの流量を変化させることの少なくとも一方によって制御され得る。
【0039】
[0043]動作603では、ゾーン105の範囲の最終ゾーン109が堆積するまで、光学装置膜100の後続のゾーンが堆積する。後続ゾーンの堆積は、第1の材料の第1ターゲットに提供される第1の電力レベルを増加させる又は減少させること、及び第2の材料を含む前駆体ガスの流量を増加又は減少させることの少なくとも一方を含み、酸素濃度又は窒素濃度と、第1の材料の第1の濃度プロファイルと、第2の材料の第2の濃度プロファイルとを有する光学装置膜100を形成する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、厚さ106は、光学装置膜100のゾーン105の範囲全体にわたって一定又は実質的に一定な酸素又は窒素濃度を有する。
【0040】
[0044]図7は、光学装置膜100を形成する方法700のフロー図である。光学装置膜100は、装置200a、200bを形成するためのその後の処理に利用され得る。説明を容易にするために、図4のCVDチャンバ400を参照して図7を説明する。しかしながら、図4のCVDチャンバ400以外のCVDチャンバを方法700と併せて利用してもよいことに留意されたい。
【0041】
[0045]動作701では、光学装置基板101は、CVDチャンバ400内の基板支持体上に配置される。動作702では、光学装置基板101のゾーン105の範囲の最初のゾーン108が堆積する。第1のガスは第1のガス流量を有し、第2のガスは第2のガス流量を有する。本明細書で記載及び参照される第1のガスの第1の材料は、約2.0以上の第1の屈折率を有する。本明細書で記載及び参照される第2のガスの第2の材料は、2.0未満の第2の屈折率を有する。一実施形態では、第1のターゲット304の第1の材料及び/又は第2の材料の前駆体ガスは、酸素含有材料又は窒素含有材料を含む。一実施形態では、光学装置基板101は、約-20℃から300℃の間の所定温度で維持される。
【0042】
[0046]一実施形態では、第1の材料の第1の濃度は、方法700の間に最高流量で第1のガスを流すことによって、ゾーン105の範囲の最初のゾーン108で最大濃度を有する。実施形態では、第2の材料の第2の濃度は、第2のガスを流さないか又は方法700の間に最低流量で第2のガスを流すことによって最初のゾーン108で最小濃度を有する。別の実施形態では、第1の材料の第1の濃度は、第1のガスを流さないか又は方法700の間に最低流量で第1のガスを流すことによってゾーン105の範囲の最初のゾーン108で最小濃度を有する。実施形態では、第2の材料の第2の濃度は、方法700の間に最高流量で第2のガスを流すことによって最初のゾーン108で最大濃度を有する。さらに別の実施形態では、第1の濃度及び第2の濃度は、方法700の間に、第1のガス流量を変化させること及び第2のガス流量を変化させることの少なくとも一方によって制御され得る。
【0043】
[0047]動作703では、ゾーン105の範囲の最終ゾーン109が堆積するまで、光学装置膜100の後続のゾーンが堆積する。後続ゾーンの堆積は、第1の材料を含む第1のガスの第1の流量を増加させる又は減少させること、及び第2の材料を含む前駆体ガスの第2の流量を増加又は減少させることの少なくとも一方を含み、酸素濃度又は窒素濃度と、第1の材料の第1の濃度プロファイルと、第2の材料の第2の濃度プロファイルとを有する光学装置膜100を形成する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、厚さ106は、光学装置膜100のゾーン105の範囲全体にわたって一定又は実質的に一定な酸素又は窒素濃度を有する。
【0044】
[0048]まとめると、酸素濃度又は窒素濃度と、第1の材料の第1の濃度プロファイルと、第2の材料の第2の濃度プロファイルとを有する光学装置膜、及び光学装置膜の形成方法が、本明細書に記載されている。堆積中に連続的に異なる濃度の第1の材料及び第2の材料を組み込むことによって、光学装置膜の光学特性、すなわち屈折率の変更が可能になる。一実施形態では、方法は、第1の材料の第1のターゲットに提供される第1の電力レベルを増加させること若しくは減少させること、又は第2の材料の第2のターゲットに提供される第2の電力レベルを増加させること若しくは減少させることの少なくとも一方によって、第1の濃度プロファイル及び第2の濃度プロファイルを制御することを含む。別の実施形態では、方法は、第1の材料の第1のターゲットに提供される第1の電力レベルを増加させること若しくは減少させること、及び第2の材料を含む前駆体ガスの流量を増加させること若しくは減少させることの少なくとも一方によって、第1の濃度プロファイル及び第2の濃度プロファイルを制御することを含む。さらに別の実施形態では、方法は、第1の材料を含む第1のガスの第1の流量を増加させること若しくは減少させること、及び第2の材料を含む第2のガスの第2の流量を増加させること若しくは減少させることの少なくとも一方によって、第1の濃度プロファイル及び第2の濃度プロファイルを制御することを含む。
【0045】
[0049]以上の記述は、本開示の実施例を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施例及び更なる実施例が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2A-2B】
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】