(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133528
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】重合性液晶材料および重合された液晶フィルム
(51)【国際特許分類】
C08L 101/12 20060101AFI20240925BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240925BHJP
C08K 5/3432 20060101ALI20240925BHJP
C08K 5/13 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C08L101/12
G02B5/30
C08K5/3432
C08K5/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102602
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2021507676の分割
【原出願日】2019-08-09
(31)【優先権主張番号】18188749.8
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、 ヨンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】カン、 ジェヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、 ヒュンジン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】重合性液晶材料および重合された液晶フィルムを提供する。
【解決手段】1種類以上の二反応性または多反応性メソゲン化合物と、例えば下式S1-6で示される、1種類以上の特定の化合物とを含む重合性LC材料を提供する。更に本発明は、その調製方法、対応する重合性LC材料から得られる改良された熱およびUV安定性を有するポリマーフィルムと、その様なポリマーフィルムの調製方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類以上の二反応性または多反応性メソゲン化合物と、1種類以上の式S0、S1またはS2の化合物とを含む重合性LC材料。
【化1】
(式中、個々の基は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一にまたは異なって、以下の意味を有する:
【化2】
であり、
P
aは、重合性基であり、
Spは、1~12個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキレンであり、ただし加えて1個または2個の隣接しないCH
2基はO原子が互いに直接連結しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-または-COO-で置き換えられてよく、
X
1およびX
2は、それぞれ独立に-O-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CO-O-、-O-CO-、-C
2F
4-、-CF=CF-または単結合を表し、
R
a~dは、それぞれ独立に1~20個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを表し、
R
1およびR
2は、それぞれ独立にH、CH
3、OH、OR
aまたはO
●を表し、および
nは、1および8の間の整数を表す。)
【請求項2】
1種類以上の二反応性または多反応性メソゲン化合物は、式DRMから選択される請求項1に記載の重合性LC材料。
【化3】
(式中、
P
1およびP
2は、それぞれ互いに独立に重合性基を表し、
Sp
1およびSp
2は、それぞれ互いに独立にスペーサー基または単結合であり、および
MGは棒状メソゲン基であり、該基は好ましくは式MGから選択され、
【化4】
式中、
A
1およびA
2は、複数出現する場合は互いに独立に芳香族または脂環式基を表し、該基は、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよく、L
1で一置換または多置換されてよく、
L
1は、P-Sp-、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
00R
000、-C(=O)OR
00、-C(=O)R
00、-NR
00R
000、-OH、-SF
5、置換されてよいシリル、1~12個のC原子を有するアリールもしくはヘテロアリール、および1~12個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、ただし1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられてよく、
R
00およびR
000は、それぞれ互いに独立にHまたは1~12個のC原子を有するアルキルを表し、
Z
1は、複数出現する場合は互いに独立に-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CO-NR
00-、-NR
00-CO-、-NR
00-CO-NR
000、-NR
00-CO-O-、-O-CO-NR
00-、-OCH
2-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
n1、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
00-、-CY
1=CY
2-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-または単結合を表し、
Y
1およびY
2は、互いに独立にH、F、ClまたはCNを表し、
nは1、2、3または4であり、
n1は1~10の整数である。)
【請求項3】
1種類以上の二反応性メソゲン化合物は、以下の式から選択される請求項1または2に記載の重合性LC材料。
【化5】
【化6】
(式中、
P
0は、複数出現する場合は互いに独立に、アクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ヘプタジエン、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
Lは、それぞれの出現で同一または異なって式DRMでL
1に与えた意味の1つを有し、
rは、0、1、2、3または4であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に0または1~12の同一もしくは異なる整数であり、
zは、それぞれ独立に0または1であり、ただし隣接するxまたはyが0の場合、zは0である。)
【請求項4】
式MRMから選択される1種類以上の一反応性メソゲン化合物を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【化7】
(式中、P
1、Sp
1およびMGは、式DRMで与えられる意味を有し、
Rは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
xR
y、-C(=O)X、-C(=O)OR
x、-C(=O)R
y、-NR
xR
y、-OH、-SF
5、置換されてよいシリル、1~12個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、ただし1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられてよく、
Xはハロゲン、好ましくはFまたはClであり、および
R
xおよびR
yは、それぞれ互いに独立にHまたは1~12個のC原子を有するアルキルである。)
【請求項5】
少なくとも1種類の一反応性メソゲン化合物は、以下の式から選択される請求項1~4のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
(式中、P
0、L、r、x、yおよびzは、請求項3で与えられる通り定義され、
R
0は、1個以上、好ましくは1~15個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであるか、またはY
0を表し、
Y
0は、F、Cl、CN、NO
2、OCH
3、OCN、SCN、SF
5、または1~4個のC原子を有するモノフッ素化、オリゴフッ素化もしくはポリフッ素化アルキルもしくはアルコキシであり、
Z
0は、-COO-、-OCO-、-CH
2CH
2-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-COO-、または単結合であり、
A
0は、複数出現する場合は互いに独立に無置換であるか、1個、2個、3個もしくは4個の基Lで置換されている1,4-フェニレン、またはトランス-1,4-シクロヘキシレンであり、
uおよびvは、それぞれ互いに独立に、0、1または2であり、
wは、0または1であり、および
ただしベンゼンおよびナフタレン環は、1個以上の同一または異なる基Lで追加して置換され得る。)
【請求項6】
式NDの1種類以上の化合物を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【化12】
(式中、
U
1,2は、それぞれ互いに独立に、それらの鏡像を含み下から選択され、
【化13】
式中、環U
1およびU
2は、それぞれ軸方向結合を介して基-(B)
q-に結合し、これらの環中の1個または2個の隣接しないCH
2基はOおよび/またはSで置き換えられてよく、および環U
1およびU
2は1個以上の基Lで置換されてよく、
Q
1,2は、それぞれ互いに独立にCHまたはSiHであり、
Q
3は、CまたはSiであり、
Bは、それぞれの出現で互いに独立に-C≡C-、-CY
1=CY
2-または置換されてよい芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、
Y
1,2は、それぞれ互いに独立にH、F、Cl、CNまたはR
0であり、
qは1~10の整数、好ましくは1、2、3、4、5、6または7であり、
A
1~4は、それぞれ互いに独立に非芳香族、芳香族またはヘテロ芳香族炭素環式またはヘテロ環式基から選択され、該基は1個以上の基R
5で置換されてよく、ただし-(A
1-Z
1)
m-U
1-(Z
2-A
2)
n-および-(A
3-Z
3)
o-U
2-(Z
4-A
4)
p-は、それぞれ非芳香族基よりも多い芳香族基を含まず、好ましくは1個より多い芳香族基を含まず、
Z
1~4は、それぞれ互いに独立に-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
0-、-NR
0-CO-、-NR
0-CO-NR
00-、-OCH
2-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=CH-、-CY
1=CY
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
0-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、CR
0R
00または単結合であり、
R
0およびR
00は、それぞれ互いに独立にHまたは1~12個のC原子を有するアルキルであり、
mおよびnは、それぞれ互いに独立に0、1、2、3または4であり、
oおよびpは、それぞれ互いに独立に0、1、2、3または4であり、
R
1~5は、それぞれ互いに独立にH、ハロゲン、-CN、-NC、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
0R
00、-C(=O)X
0、-C(=O)R
0、-NH
2、-NR
0R
00、-SH、-SR
0、-SO
3H、-SO
2R
0、-OH、-NO
2、-CF
3、-SF
5、P-Sp-、置換されてよいシリル、または1~40個のC原子を有し置換されてよく1個以上のヘテロ原子を含んでよいカルビルもしくはヒドロカルビルから選択される同一または異なる基であるか、またはPもしくはP-Sp-を表すか、またはPもしくはP-Sp-で置換されており、ただし化合物はPもしくはP-Sp-を表すか置換される1個以上の基R
1~5を含み、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合である。)
【請求項7】
二反応性または多反応性の重合性メソゲン化合物の割合は、5~99重量%の範囲内である請求項1~6のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【請求項8】
一反応性の重合性メソゲン化合物の割合は、5~80重量%の範囲内である請求項1~7のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【請求項9】
界面活性剤、更なる安定剤、触媒、増感剤、阻害剤、連鎖移動剤、共反応性モノマー、反応性シンナー、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動性向上剤、脱気または消泡剤、脱泡剤、希釈剤、反応性希釈剤、助剤、着色剤、色素、顔料およびナノ粒子から成る群より選択される1種類以上の添加剤を含んでよい請求項1~8のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の重合性LC材料を調製する方法であって、
1種類以上の式S0、S1またはS2の化合物を、1種類以上の二反応性または多反応性メソゲン化合物と混合する工程を含む方法。
【請求項11】
・請求項1~9のいずれか1項に記載の重合性LC材料の層を基板上に提供し、
・重合性LC材料を光重合し、および
・重合されたLC材料を基板から任意に除去し、および/またはそれを別の基板上に任意に提供して
ポリマーフィルムを調製する方法。
【請求項12】
・重合性LC材料の層を基板上に提供する工程と、
・LC材料を光重合する工程と、および
・重合されたLC材料を基板から除去する任意工程、および/またはそれを別の基板上に提供する任意工程と
を含む方法によって、請求項1~9のいずれか1項に記載の重合性LC材料から得ることができるポリマーフィルム。
【請求項13】
LC材料は、均一に配向していることを特徴とする請求項12に記載のポリマーフィルム。
【請求項14】
液晶ディスプレイなどの光学的、電気光学的、情報保管、装飾およびセキュリティー用途、3Dディスプレイ、投影システム、偏光子、補償子、配向層、円偏光子、カラーフィルター、装飾用画像、液晶顔料、空間的に変化する反射色を有する反射フィルム、マルチカラー画像、身分証明書もしくはクレジットカードまたは紙幣などの偽造不可能な文書における請求項12または13に記載のポリマーフィルムまたは請求項1~9のいずれか1項に記載の重合性LC材料の使用。
【請求項15】
請求項12または13に記載の1枚以上のポリマーフィルムまたは請求項1~9のいずれか1項に記載の重合性LC材料を含む光学的部品もしくはデバイス、偏光子、パターン化されたリターダ、補償子、配向層、円偏光子、カラーフィルター、装飾用画像、液晶レンズ、液晶顔料、空間的に変化する反射色を有する反射フィルム、装飾用もしくは情報保管用の多色画像。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種類以上の二反応性または多反応性メソゲン化合物と、1種類以上の式S0、S1またはS2の化合物とを含む重合性LC材料に関する。
【化1】
【0002】
式中、個々の基は請求項で与えられる通りの意味の1つを有する。更に本発明は、その調製方法、対応する重合性LC材料から得られる改良された熱およびUV安定性を有するポリマーフィルムと、その様なポリマーフィルムの調製方法と、ならびに光学的、電気光学的、装飾またはセキュリティーデバイスにおけるその様なポリマーフィルムおよび前記重合性LC材料の使用とにも関する。
【背景技術】
【0003】
均一な配向を有する異方性ポリマーフィルムを調製するための重合性液晶材料は、先行技術で知られている。これらのフィルムは通常、基板上に重合性液晶混合物の薄い層をコーティングし、混合物を均一な配向に配向させ、混合物を重合して調製される。フィルムの配向は、平面、即ち液晶分子が層に対して実質的に平行に配向している場合、ホメオトロピック(層に対して直角または垂直)またはチルトし得る。
【0004】
その様な光学的フィルムは例えば、欧州特許第0 940 707号明細書(特許文献1)、欧州特許第0 888 565号明細書(特許文献2)および英国特許第2 329 393号明細書(特許文献3)に記載されている。
【0005】
重合性液晶(LC:liquid crystal)材料は室温では安定しているが、温度が上昇すると劣化し得る。例えば一定時間加熱すると、分散または位相差などの光学的特性が低下するため、光学的フィルムの性能は時間の経過とともに低下する。このことは特に、低い重合度およびそれに対応するポリマー中の残留フリーラジカルの高含有量、ポリマーの収縮、および/または熱酸化劣化に起因し得る。
【0006】
熱酸化劣化とは、高温での酸化により触媒作用を受けるポリマーネットワークの破壊である。よく知られているように酸化防止添加剤または短期間の酸化防止剤は、高温にさらされた際にポリマーの熱酸化劣化を低減するために使用され得る。このことは光学的フィルムが高温のためにセル内用途に利用される場合、特に重要である。特にLCセルのポリイミド層をアニールする際、光学的フィルムは耐えなければならない。これに関して、文献の国際公開第2009/86911号(特許文献4)および日本特許第5354238号公報(特許文献5)には、市販の酸化防止剤Irganox(登録商標)1076を含む重合性液晶(LC)材料が記載されている。
【0007】
上記の材料は使用されるLC材料のために、得られるポリマーフィルムのUV安定性または熱耐久性がまだ十分に高くない、VIS光に対するそれらの透明性が制限される、それらは更なる添加剤の利用を必要とする、またはそれらの適用幅が制限されるなどの明らかな欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0 940 707号明細書
【特許文献2】欧州特許第0 888 565号明細書
【特許文献3】英国特許第2 329 393号明細書
【特許文献4】国際公開第2009/86911号
【特許文献5】日本特許第5354238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、いずれも従来技術の材料の欠点を示さないか、または示しても、より少ない程度しか示さない新規で好ましくは改良された重合性液晶材料または混合物が依然として求められている。
【0010】
有利には、その様な重合性LC材料は好ましくは、様々な均一に配向されたポリマーフィルムなどのポリマーネットワークの調製に適用可能であるべきであり、そして特に同時に好ましくは、
・基板への好ましい接着性を示し、
・VIS光に対して非常に透明であり、
・経時的に黄色着色(黄変)が低減され、および
・好ましい高温安定性または耐久性を示し、加えて、
・好ましい高いUV安定性または熱耐久性を示すべきであり、加えて、
・均一に配向されたポリマーフィルムは、適合した、よく知られている大量生産の方法で製造されるべきである。
【0011】
本発明の他の目的は以下の詳細な説明から、当業者には直ちに明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに本発明の発明者らは、請求項1に記載の重合性LC材料を使用することで、1つ以上、好ましくは上記要件の全ての目的が好ましくは同時に達成できることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
要するに本発明は、1種類以上の二反応性または多反応性メソゲン化合物と、1種類以上の式S0、S1またはS2の化合物とを含む重合性LC材料に関する。
【化2】
【0014】
式中、個々の基は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一にまたは異なって、以下の意味を有する:
【化3】
であり、
P
aは、重合性基、好ましくは(メタ)アクリレート基であり、
Spは、1~12個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキレンであり、ただし加えて1個または2個の隣接しないCH
2基はO原子が互いに直接連結しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-または-COO-で置き換えられてよく、
X
1およびX
2は、それぞれ独立に-O-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CO-O-、-O-CO-、-C
2F
4-、-CF=CF-または単結合、好ましくは-O-、-CO-O-、-O-CO-を表し、
R
a~dは、それぞれ独立に1~20個のC原子、好ましくは1~15個のC原子、非常に好ましくは1~12個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを表し、
R
1およびR
2は、それぞれ独立にH、CH
3、OH、OR
aまたはO
●を表し、および
nは、1および8の間の整数を表す。
【0015】
更に本発明は重合性LC材料を調製する対応する方法であって、1種類以上の二反応性または多反応性メソゲン化合物および1種類以上の式S0、S1またはS2の化合物を混合する工程を少なくとも含む方法にも関する。
【0016】
本発明は更に上および下に記載する通りの重合性LC材料から得ることができ、好ましくは得られるポリマーネットワークまたはポリマーフィルムと、上および下に記載する通りのポリマーフィルムを調製する方法とに関する。
【0017】
本発明は更に上および下に記載する通りの重合性LC材料から得ることができ、好ましくは得られるポリマーフィルムのUV安定性を増加する方法であって、重合前に重合性LC材料に式S0、S1またはS2の化合物を添加する方法に関する。
【0018】
本発明は更に、液晶ディスプレイなどの光学的、電気光学的、情報保管、装飾およびセキュリティー用途、投影システム、偏光子、補償子、配向層、円偏光子、カラーフィルター、装飾用画像、液晶顔料、空間的に変化する反射色を有する反射フィルム、マルチカラー画像、身分証明書もしくはクレジットカードまたは紙幣などの偽造不可能な文書における上および下に記載する通りのポリマーフィルムまたは重合性LC材料の使用に関する。
【0019】
本発明は更に上および下に記載する通りの1以上のポリマーネットワークもしくはポリマーフィルムまたは重合性LC材料を含む光学的部品もしくはデバイス、偏光子、パターン化されたリターダ、補償子、配向層、円偏光子、カラーフィルター、装飾用画像、液晶レンズ、液晶顔料、空間的に変化する反射色を有する反射フィルム、装飾用もしくは情報保管用の多色画像に関する。
【0020】
本発明は更に上および下に記載する通りの1以上のポリマーフィルムまたは重合性LC材料または光学的部品を含む液晶ディスプレイに関する。
【0021】
本発明は更に上および下に記載する通りのポリマーネットワークもしくはポリマーフィルムまたは重合性LC材料を含む真正確認、検証もしくはセキュリティーマーク、セキュリティー使用のためのカラーもしくはマルチカラー画像、身分証明書もしくはクレジットカードまたは紙幣などの偽造不可能な物品もしくは有価文書に関する。
【0022】
<用語および定義>
本明細書中で使用される場合、「ポリマー」という用語は、1つ以上の異なる種類の繰り返し単位(分子の最小構成単位)の骨格を包含する分子を意味すると理解されることになり、そしてよく知られている「オリゴマー」、「コポリマー」、「ホモポリマー」などの用語を含む。更にポリマーという用語は、ポリマー自体に加えて、開始剤、触媒、およびその様なポリマーの合成に付随する他の要素からの残留物を含むことが理解されることになり、ここで、その様な残留物は、共有結合的にそれに組み込まれていないと理解されている。更に、その様な残留物および他の要素は、通常、重合後の精製プロセスで除去されるが、典型的にはポリマーと混合または混入され、それらは概して容器間または溶媒もしくは分散媒間で移動した際にポリマーと共に残る。
【0023】
本発明で使用される「(メタ)アクリルポリマー」という用語は、アクリルモノマーから得られるポリマー、メタクリルモノマーから得られるポリマー、およびその様なモノマーの混合物から得られる対応するコポリマーを含む。
【0024】
「重合」という用語は、複数の重合性基またはその様な重合性基を含むポリマー前駆体(重合性化合物)を一緒に結合することによってポリマーを形成するための化学プロセスを意味する。
【0025】
「フィルム」および「層」という用語は、機械的安定性を備えた硬質または可撓性の自己支持型または自立型のフィルム、ならびに支持基板上または2つの基板間のコーティングまたは層を含む。
【0026】
「液晶」または「LC」という用語は、溶液における一部の温度範囲(サーモトロピックLC)または一部の濃度範囲(リオトロピックLC)で液晶中間相を有する材料を指す。それらは、必然的にメソゲン化合物を含有する。
【0027】
「メソゲン化合物」および「液晶化合物」という用語は、1つ以上のカラミティック(ロッドもしくはボード/ラス形状)またはディスコティック(円盤状)メソゲン基を含む化合物を意味する。「メソゲン基」という用語は、液晶相(または中間相)の挙動を誘導する能力を有する基を意味する。メソゲン基を含む化合物は、必ずしもそれ自体が液晶中間相を示す必要はない。他の化合物との混合物でのみ、あるいはメソゲン化合物または材料、あるいはそれらの混合物が重合した際に、液晶中間相を示すことも可能である。これには低分子量の非反応性液晶化合物、反応性または重合性液晶化合物、および液晶ポリマーが含まれる。
【0028】
カラミティックメソゲン基は、通常、直接または連結基を介して互いに結合した1つ以上の芳香族または非芳香族環式基からなるメソゲン性コアを含み、任意にメソゲン性コアの末端に結合した末端基を含み、任意にメソゲン性コアの長鎖に結合した1つ以上の側基を含み、ここで、これらの末端基および側基は、通常、例えば、カルビル基、ヒドロカルビル基、極性基、例えば、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基など、または重合性基から選択される。
【0029】
「反応性メソゲン」という用語は、重合性メソゲンまたは液晶化合物、好ましくはモノマー化合物を意味する。これらの化合物は、純粋な化合物として、または光開始剤、抑制剤、界面活性剤、安定剤、連鎖移動剤、非重合性化合物などとして機能する他の化合物と反応性メソゲンとの混合物として使用され得る。
【0030】
1つの重合性基を有する重合性化合物は、「一反応性」または「一官能性」化合物と呼ばれ、2つの重合性基を有する化合物は、「二反応性」または「二官能性」化合物と呼ばれ、そして3つ以上の重合性基を有する化合物は、「多反応性」または「多官能性」化合物と呼ばれる。重合性基を有していない化合物は、「非反応性または非重合性」化合物とも呼ばれる。
【0031】
「非メソゲン化合物または材料」という用語は、上で定義する通りのメソゲン基を含まない化合物または材料を意味する。
【0032】
可視光線またはVIS光は、約400nm~約740nmの範囲の波長を有する電磁波である。紫外線またはUV光は、約200nm~約400nmの範囲の波長を有する電磁波である。
【0033】
放射照度(Ee)または放射線出力は、表面に入射する単位面積(dA)あたりの電磁波の出力(dθ)として定義される:
Ee=dθ/dA。
【0034】
放射露光量または放射線量(He)は、時間(t)あたりの放射照度または放射線出力(Ee)として定義される:
He=Ee・t。
【0035】
全ての温度、例えば液晶の融点T(C,N)またはT(C,S)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への遷移T(S,N)およびその透明点T(N,I)などは、摂氏度で表記される。全ての温度差は、摂氏度の差で表記されている。
【0036】
「透明点」という用語は、最高温度範囲の中間相と等方相との間の転移が起こる温度を意味する。
【0037】
「ダイレクタ」という用語は、従来技術で公知であり、液晶またはRM分子の長分子軸(カラミティック化合物の場合)または短分子軸(ディスコティック化合物の場合)の有利な配向方向を意味する。このような異方性分子を一軸配列にした場合、ダイレクタは、異方性の軸である。
【0038】
「アライメント」または「配向」という用語は、「配向方向」と呼ばれる共通の方向における、小さな分子または大きな分子の断片などの材料の異方性単位のアライメント(配向秩序)を指す。液晶またはRM材料の配向層では、液晶ダイレクタは、配向方向と一致するため、配向方向は、材料の異方性軸の方向に対応する。
【0039】
液晶またはRM材料の「均一な配向」または「均一なアライメント」という用語は、例えば、材料の層内では、液晶またはRM分子の長分子軸(カラミティック化合物の場合)または短分子軸(ディスコティック化合物の場合)が、実質的に同じ方向に配向していることを意味する。換言すれば、液晶ダイレクタのラインは平行である。
【0040】
「ホメオトロピック構造」または「ホメオトロピック配向」という用語は、フィルムにおいて、光軸がフィルム平面に対して実質的に垂直であることを指す。
【0041】
「平面構造」または「平面配向」という用語は、フィルムにおいて、光軸がフィルム平面と実質的に平行であることを指す。
【0042】
「負の(光学的)分散」という用語は、複屈折性または液晶性の材料または層において、波長(λ)が長くなるにつれて複屈折の大きさ(Δn)が大きくなる逆複屈折分散が示されることを指す。すなわち、|Δn(450)|<|Δn(550)|、またはΔn(450)/Δn(550)<1、ここで、Δn(450)およびΔn(550)は、それぞれ、波長450nmおよび550nmで測定された材料の複屈折である。対照的に、「正の(光学的)分散」は、|Δn(450)|>|Δn(550)|またはΔn(450)/Δn(550)>1の材料または層を意味する。例えば、A.Uchiyama、T.Yatabe「Control of Wavelength Dispersion of Birefringence for Oriented Copolycarbonate Films Containing Positive and Negative Birefringent Units」J.Appl.Phys.第42巻、第6941~6945頁(2003年)も参照されたい。
【0043】
所与の波長での光学位相差は、上記のように複屈折と層厚の積[R(λ)=Δn(λ)・d]として定義されるので、光学的分散は、比Δn(450)/Δn(550)による「複屈折分散」として、または比R(450)/R(550)による「位相差分散」として表すことができ、ここで、R(450)およびR(550)は、それぞれ、450nmおよび550nmの波長で測定される材料の位相差である。層厚dは、波長によって変化しないので、R(450)/R(550)は、Δn(450)/Δn(550)に等しい。従って、負または逆分散の材料または層は、R(450)/R(550)<1または|R(450)|<|R(550)|を有し、正または通常の分散の材料または層は、R(450)/R(550)>1または|R(450)|>|R(550)|を有する。
【0044】
本発明では他に明記しない限り、「光学的分散」は、位相差分散、すなわち、R(450)/R(550)の比または短くR450/550を意味する。
【0045】
「高い分散」という用語は、分散の絶対値が1から大きく外れることを意味するのに対して、「低い分散」という用語は、分散の絶対値が1から小さく外れることを意味する。従って、「高い負の分散」は、分散値が1よりかなり小さいことを意味し、「低い負の分散」は、分散値が1よりわずかに小さいことを意味する。
【0046】
材料の位相差(R(λ))は、分光エリプソメータ、例えば、J.A.Woollam社によって製造されたM2000分光エリプソメータを使用して測定され得る。この機器は、複屈折試料のナノメートル単位の光学位相差、例えば、典型的には、石英の370nm~2000nmの波長範囲にわたる光学位相差を測定することができる。このデータから、材料の分散(R(450)/R(550)またはΔn(450)/Δn(550))を計算することが可能である。
【0047】
これらの測定を実行するための方法は、2006年10月にN.SinghによりNational Physics Laboratory(ロンドン、英国)で発表されており、「Spectroscopic Ellipsometry, Part 1-Theory and Fundamentals、Part 2-Practical ExamplesおよびPart 3-measurements」と題した。この測定に従って、手順は、Retardation Measurement(RetMeas)Manual(2002年)およびJ.A.Woollam社(リンカーン、ネブラスカ州、米国)によって刊行されたGuide to WVASE(2002年)(Woollam Variable Angle Spectroscopic Ellipsometer)に記載されている。特に明記しない限り、この方法は、本発明に記載されている材料、フィルムおよびデバイスの位相差を決定するために使用される。
【0048】
「Aプレート」という用語は、その異常軸が層の平面に対して平行に配向した一軸複屈折材料の層を利用する光学位相差板を指す。
【0049】
「Cプレート」という用語は、その異常軸が層の平面に対して垂直に配向した一軸複屈折材料の層を利用する光学位相差板を指す。
【0050】
均一な配向の光学的一軸複屈折液晶材料を含むA/Cプレートでは、フィルムの光軸は、異常軸の方向によって与えられる。正の複屈折の光学的一軸複屈折材料を含むA(またはC)プレートは、「正のA(またはC)プレート」または「+A(または+C)プレート」とも呼ばれる。
【0051】
ディスコティック異方性材料などの負の複屈折を有する光学的一軸複屈折材料のフィルムを含むA(またはC)プレートは、ディスコティック材料の配向に応じて「負のA(またはC)プレート」または「-A(またはC)プレート」とも呼ばれる。スペクトルのUV部分に反射帯を有するコレステリックカラミティック材料で作られたフィルムも負のCプレートの光学系を有する。
【0052】
複屈折Δnは、次のように定義される:
Δn=ne-no。
【0053】
式中、neは異常屈折率であり、noは常光屈折率であり、平均有効屈折率nav.は次式で示される:
nav.=((2no
2+ne
2)/3)1/2。
【0054】
平均有効屈折率nav.および常光屈折率noは、アッベ屈折計を用いて測定され得る。Δnは、上記の式から計算され得る。
【0055】
文脈が明確に別の意味を示さない限り、本明細書で使用される用語の複数形は単数形を含むものと解釈され、またその逆も同様である。
【0056】
全ての物理的性質は、「Merck Liquid Crystals、Physical Properties of Liquid Crystals」、1997年11月刊、Merck社、独国に従って決定されたか決定されるものであり、特に明記しない限り20℃の温度で与えられる。光学異方性(n)は、589.3nmの波長で決定される。
【0057】
疑念がある場合には、C.Tschierske、G.PelzlおよびS.Diele著、Angew.Chem.2004年、第116巻、第6340~6368頁で与えられる通りの定義が適用されるものとする。
【0058】
所与の一般式において特に明記しない限り、次の用語は次の意味を有する。
【0059】
「カルビル基」は、1個以上のC原子を有する一価または多価の有機基を表し、該基は、さらなる原子を全く含有しない(例えば、-C≡C-)か、または1個以上のさらなる原子、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeを任意に含有する(例えば、カルボニルなど)。「ヒドロカルビル基」は、1個以上のH原子および任意に1個以上のヘテロ原子、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeを更に含有する、カルビル基を意味する。
【0060】
カルビル基またはヒドロカルビル基は、飽和または不飽和の基であり得る。不飽和基は、例えば、アリール基、アルケニル基、またはアルキニル基である。3個よりも多いC原子を有するカルビル基またはヒドロカルビル基は、直鎖状、分枝鎖状および/または環状であってよく、スピロ結合または縮合環を含んでもよい。
【0061】
好ましいカルビル基およびヒドロカルビル基は、1~40個、好ましくは1~25個、特に好ましくは1~18個のC原子を有する任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシであるか、6~40個、好ましくは6~25個のC原子を有する任意に置換されたアリールまたはアリールオキシであるか、または6~40個、好ましくは6~25個のC原子を有する任意に置換されたアルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシである。更に好ましいカルビル基およびヒドロカルビル基は、C1~C40アルキル、C2~C40アルケニル、C2~C40アルキニル、C3~C40アリル、C4~C40アルキルジエニル、C4~C40ポリエニル、C6~C40アリール、C6~C40アルキルアリール、C6~C40アリールアルキル、C6~C40アルキルアリールオキシ、C6~C40アリールアルキルオキシ、C2~C40ヘテロアリール、C4~C40シクロアルキル、C4~C40シクロアルケニルなどである。特に、C1~C22アルキル、C2~C22アルケニル、C2~C22アルキニル、C3~C22アリル、C4~C22アルキルジエニル、C6~C12アリール、C6~C20アリールアルキル、およびC2~C20ヘテロアリールが好ましい。
【0062】
更に好ましいカルビル基およびヒドロカルビル基は、1~40個、好ましくは1~25個のC原子、より好ましくは1~12個のC原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキル基であり、該基は、非置換であるか、F、Cl、Br、IもしくはCNで一置換または多置換され、1つ以上の隣接しないCH2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれ、互いに独立して、-C(Rx)=C(Rx)-、-C≡C-、-N(Rx)-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-によって置き換えられていてよい。
【0063】
上においてRxは好ましくは、H、ハロゲン、1~25個のC原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキル鎖を表し、ここで、更に、1個以上の隣接しないC原子は、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-で置き換えられていてよく、1個以上のH原子は、フッ素、6~40個のC原子を有する任意に置換されたアリール基もしくはアリールオキシ基、または2~40個のC原子を有する任意に置換されたヘテロアリール基もしくはヘテロアリールオキシ基によって置き換えられていてよい。
【0064】
好ましいアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、2-エチルヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、ドデカニル、トリフルオロメチル、ペルフルオロn-ブチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペルフルオロオクチル、ペルフルオロヘキシルなどである。
【0065】
好ましいアルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルなどである。
【0066】
好ましいアルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニルなどである。
【0067】
好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、2-メトキシエトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、2-メチルブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、n-ヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、n-ウンデシルオキシ、n-ドデシルオキシなどである。
【0068】
好ましいアミノ基は、例えば、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノなどである。
【0069】
アリール基およびヘテロアリール基は、単環式または多環式であってよく、すなわち、それらは1個の環(例えば、フェニルなど)または2個以上の環を有してよく、該環は、縮合(例えば、ナフチル)もしくは共有結合(例えば、ビフェニル)されてもよく、または縮合環と連結環との組み合わせを含んでもよい。ヘテロアリール基は、好ましくはO、N、S、およびSeから選択される1個以上のヘテロ原子を含む。
【0070】
6~25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式アリール基および2~25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式ヘテロアリール基が好ましく、該基は、任意に縮合環を含み、任意に置換される。更に、5員、6員、または7員のアリール基およびヘテロアリール基が好ましく、ここで、更に、1つ以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないように、N、S、またはOによって置き換えられていてよい。
【0071】
好ましいアリール基は、例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、[1,1’:3’,1’’]テルフェニル-2’-イル、ナフチル、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレンなどである。
【0072】
好ましいヘテロアリール基は、例えば、5員環、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール
、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、6員環、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、または縮合基、例えば、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフトイミダゾール、フェナントリミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェン、またはこれらの基の組み合わせである。ヘテロアリール基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、フッ素、フルオロアルキル、または更にアリールもしくはヘテロアリール基で置換されていてもよい。
【0073】
(非芳香族)脂環式および複素環式基は、飽和環、すなわち、単結合のみを含むもの、および部分的に不飽和の環、すなわち、多重結合を含み得るものの双方を包含する。複素環は、好ましくは、Si、O、N、SおよびSeから選択される、1個以上のヘテロ原子を含む。
【0074】
(非芳香族)脂環式および複素環式基は、単環式であり得る、すなわち、1つの環のみを含む(例えば、シクロヘキサン)か、または多環式であり得る、すなわち、複数の環を含む(例えば、デカヒドロナフタレンまたはビシクロオクタン)。特に、飽和基が好ましい。更に、3~25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式基が好ましく、該基は、任意に縮合環を含み、任意に置換されている。更に、5員、6員、7員または8員の炭素環式基が好ましく、ここで、更に、1個以上のC原子は、Siにより置き換えられてもよく、および/または1つ以上のCH基は、Nにより置き換えられてもよく、および/または1つ以上の隣接しないCH2基は、-O-および/または-S-により置き換えられてもよい。
【0075】
好ましい脂環式および複素環式基は、例えば、5員環基、例えば、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフラン、ピロリジン、6員環基、例えば、シクロヘキサン、シリナン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、1,3-ジオキサン、1,3-ジチアン、ピペリジン、7員環基、例えば、シクロヘプタン、および縮合基、例えば、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、インダン、ビシクロ[1.1.1]-ペンタン-1,3-ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン-2,6-ジイル、オクタヒドロ-4,7-メタノインダン-2,5-ジイルである。
【0076】
アリール、ヘテロアリール、(非芳香族)脂環式および複素環式基は、任意に1つ以上の置換基を有し、該基は、好ましくはシリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミン、イミン、ニトリル、メルカプト、ニトロ、ハロゲン、C1~12アルキル、C6~12アリール、C1~12アルコキシ、ヒドロキシル、またはこれらの基の組み合わせを含む群から選択される。
【0077】
好ましい置換基は、例えば、アルキルもしくはアルコキシなどの溶解促進基、フッ素、ニトロもしくはニトリルなどの電子吸引基、またはポリマーのガラス転移温度(Tg)を上昇させるための置換基、特にかさ高い基、例えば、t-ブチルまたは任意に置換されたアリール基である。
【0078】
下で「L」とも呼ばれる好ましい置換基は、例えば、F、Cl、Br、I、-OH、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)N(Rx)2、-C(=O)Yx、-C(=O)Rx、-C(=O)ORx、-N(Rx)2であり、ここで、Rxは上記の意味を有し、上記のYxは、ハロゲン、任意に置換されたシリル、4~40個、好ましくは4~20個の環原子を有する、任意に置換されたアリールまたはヘテロアリール、および1~25個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを示し、ここで、1個以上のH原子は、任意にFまたはClにより置き換えられてもよい。
【0079】
「置換シリルまたはアリール」は、好ましくは、ハロゲン、-CN、Ry、-ORy、-CO-Ry、-CO-O-Ry、-O-CO-Ryまたは-O-CO-O-Ry(式中、Ryは、H、1~12個のC原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキル鎖を表す)により置換されていることを意味する。
【0080】
上および下に示す式において置換フェニレン環
【化4】
である。
【0081】
式中Lは、それぞれ同一または異なって、上記および下記に示される意味の1つを有し、好ましくは、F、Cl、CN、NO2、CH3、C2H5、C(CH3)3、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)C2H5、OCH3、OC2H5、COCH3、COC2H5、COOCH3、COOC2H5、CF3、OCF3、OCHF2、OC2F5またはP-Sp-、非常に好ましくはF、Cl、CN、CH3、C2H5、OCH3、COCH3、OCF3またはP-Sp-、最も好ましくは、F、Cl、CH3、OCH3、COCH3またはOCF3である。
【0082】
「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはI、好ましくはFまたはCl、より好ましくはFを表す。
【0083】
「重合性基」(P)は好ましくは、C=C二重結合またはC≡C三重結合を含む基、および開環を伴う重合に適した基、例えばオキセタンまたはエポキシド基から選択される。
【0084】
好ましくは重合性基(P)は、CH
2=CW
1-COO-、CH
2=CW
1-CO-、
【化5】
CH
2=CW
2-(O)
k3-、CW
1=CH-CO-(O)
k3-、CW
1=CH-CO-NH-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
3-CH=CH-O-、(CH
2=CH)
2CH-OCO-、(CH
2=CH-CH
2)
2CH-OCO-、(CH
2=CH)
2CH-O-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-CO-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
2=CH-(COO)
k1-Phe-(O)
k2-、CH
2=CH-(CO)
k1-Phe-(O)
k2-、Phe-CH=CH-から成る群より選択され、
式中、
W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、1~5個のC原子を有するフェニルまたはアルキル、特にH、F、ClまたはCH
3を表し、
W
2は、Hまたは1~5個のC原子を有するアルキル、特にH、メチル、エチルまたはn-プロピルを表し、
W
3およびW
4は、それぞれ互いに独立にH、Clまたは1~5個のC原子を有するアルキルを表し、Pheは1,4-フェニレンを表し、該基は上記で定義したように1個以上の基Lにより任意に置換されているが、P-Spとは異なっており、好ましくは、好ましい置換基Lは、F、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5、更にフェニルであり、
k
1、k2およびk
3は、それぞれ互いに独立に0または1を表し、k
3は好ましくは1を表し、k
4は1~10の整数である。
【0085】
特に好ましい重合性基Pは、CH
2=CH-COO-、CH
2=C(CH
3)-COO-、CH
2=CF-COO-、CH2=CH-、CH
2=CH-O-、(CH
2=CH)
2CH-OCO-、(CH
2=CH)
2CH-O-、
【化6】
であり、
式中、W
2はHまたは1~5個のC原子を有するアルキル、特にH、メチル、エチルまたはn-プロピルを表す。
【0086】
更に好ましい重合性基(P)は、ビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタンおよびエポキシドであり、最も好ましくはアクリレートまたはメタクリレートであり、特にアクリレートである。
【0087】
好ましくは全ての多反応性重合性化合物およびそのサブ式は、1つ以上の基P-Sp-の代わりに、2つ以上の重合性基P(多反応性重合性基)を含む1つ以上の分枝鎖状の基を含む。
【0088】
このタイプの適切な基、およびそれらを含む重合性化合物は例えば、米国特許第7,060,200号明細書または米国特許出願公開第2006/0172090号明細書に記載されている。
【0089】
特に、以下の式:
【化7】
から選択される多反応性重合性基が好ましい。
【0090】
式中、
alkylは1~12個のC原子を有する単結合または直鎖状または分枝鎖状のアルキレンを表し、ただし1つ以上の隣接しないCH2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれ互いに独立に-C(Rx)=C(Rx)-、-C≡C-、-N(Rx)-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-によって置き換えられていてよく、ただし更に、1個以上のH原子は、F、ClまたはCNによって置き換えられていてよく、ただしRxは、上記の意味の1つを有し、
aaおよびbbは、それぞれ互いに独立に0、1、2、3、4、5または6を表し、
Xは、X’に示す意味の1つを有し、および
Pv~Pzは、それぞれ互いに独立に上でPに示す意味の1つを有する。
【0091】
好ましいスペーサー基Spは、基「P-Sp-」が式「P-Sp’-X’-」に一致するように、式Sp’-X’から選択され、
式中、
Sp’は、1~20個、好ましくは1~12個のC原子を有するアルキレンを表し、該基はF、Cl、Br、IまたはCNにより任意に一置換または多置換されて、ただし加えて、1つ以上の隣接しないCH2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれ互いに独立に-O-、-S-、-NH-、-NRxx-、-SiRxxRyy-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-NRxx-CO-O-、-O-CO-NR0xx-、-NRxx-CO-NRyy-、-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてよく、
X’は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NRxx-、-NRxx-CO-、-NRxx-CO-NRyy-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CRxx-、-CYxx=CYxx-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-または単結合を表し、
RxxおよびRyyは、それぞれ互いに独立にHまたは1~12個のC原子を有するアルキルを表し、および
YxxおよびYyyは、それぞれ互いに独立にH、F、ClまたはCNを表す。
【0092】
X’は好ましくは、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NRxx-、-NRxx-CO-、-NRxx-CO-NRyy-または単結合である。
【0093】
典型的なスペーサー基Sp’は例えば、-(CH2)p1-、-(CH2CH2O)q1-CH2CH2-、-CH2CH2-S-CH2CH2-、-CH2CH2-NH-CH2CH2-または-(SiRxxRyy-O)p1-であり、式中、p1は1~12の整数であり、q1は1~3の整数であり、RxxおよびRyyは上記の意味を有する。
【0094】
特に好ましい基-X’-Sp’-基は、-(CH2)p1-、-O-(CH2)p1-、-OCO-(CH2)p1-、-OCOO-(CH2)p1-であり、式中、p1は1~12の整数である。
【0095】
特に好ましい基Sp’は例えば、それぞれ、直鎖状エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンチオエチレン、エチレン-N-メチルイミノエチレン、1-メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0096】
本発明の場合、
【化8】
は、トランス-1,4-シクロヘキシレンを表し、および
【化9】
は、1,4-フェニレンを表す。
【0097】
本発明の場合、基-COO-または-CO
2-は、
【化10】
のエステル基を表し、および
基-OCO-、-O
2C-または-OOC-は、
【化11】
のエステル基を表す。
【0098】
「ポリマーネットワーク」とは全てのポリマー鎖が相互に連結されて、多数の架橋によって単一の巨視的実体を形成するネットワークのことである。
【0099】
ポリマーネットワークは、以下のタイプで生じ得る:
・グラフトポリマー分子は、1個以上の側鎖が主鎖と構造的にまたは構成的に異なる分岐状ポリマー分子である。
・スターポリマー分子は、単一の分岐点が複数の直鎖または腕を生じさせる分岐状ポリマー分子である。腕が同一であれば、スターポリマー分子は規則的と言われる。隣接する腕が異なる繰返サブユニットで構成されている場合、スターポリマー分子は変則的と言われる。
・櫛状ポリマー分子は、2個以上の三方性分岐点を持つ主鎖および直線状の側鎖から成る。腕が同一の場合、櫛状ポリマー分子は規則的と言われる。
・ブラシ状ポリマー分子は直鎖状で分岐していない側鎖を有する主鎖から成り、1個以上の分岐点が四方性以上の機能を有する。
【0100】
本明細書の記載および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」および「含有する(contain)」という語およびその変形例、例えば「含む(comprising)」および「含む(comprises)」という語は「含むが、これに限定されない(including but not limited to)」という意味であり、他の成分を除外することを意図しない(除外しない)。一方、「含む(comprise)」という語は「から成る(consisting of)」という用語も包含するが、それに限定されない。
【0101】
本明細書の記載および特許請求の範囲を通して、「得ることができる(obtainable)」および「得られる(obtained)」という語およびその変形例は「含むが、これに限定されない(including but not limited to)」という意味であり、他の成分を除外することを意図しない(除外しない)。一方、「得ることができる(obtainable)」という語は「得られる(obtained)」という用語も包含するが、それに限定されない。
【0102】
全ての濃度は重量パーセントで表記され全体としてそれぞれの混合物に関連し、全ての温度は摂氏度で表記され、全ての温度差は差分度で表記される。
【0103】
<詳細な説明>
式S0の好ましい化合物は、以下のサブ式から選択される。
【0104】
【0105】
式中、Paは重合性基である。
【0106】
式S0の非常に好ましい化合物は、以下のサブ式から選択される。
【0107】
【0108】
式S1の好ましい化合物は、以下のサブ式から選択される。
【0109】
【0110】
式中、n1は2~12の整数であり、ただし基(CH2)n1中の1個以上のH原子はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル基で置き換えられてよく、R11およびR12は、それぞれ独立に1~20個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを表す。
【0111】
式S1の非常に好ましい化合物は、以下のサブ式から選択される。
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
本発明の第1の好ましい実施形態において式S1の化合物は、R1および/またはR2がHまたはCH3、好ましくはHであるものから選択される。この第1の好ましい実施形態の好ましい化合物は、上式S1-1およびS1-4、ならびにサブ式S1-1a、S1-1bおよびS1-4aのものである。
【0116】
本発明の第2の好ましい実施形態において式Sの化合物は、R1および/またはR2がO●またはOH、好ましくはO●であものから選択される。この第2の好ましい実施形態の好ましい化合物は、上式S1-2およびS1-3、好ましくはS1-2、ならびにサブ式S1-2a、S1-2b、S1-2cおよびS1-3aのものである。式S1-2a、S1-2b、S1-2cの化合物が特に好ましく、式S1-2aのものが最も好ましい。
【0117】
本発明の第3の好ましい実施形態において式S1の化合物は、Spが2~20個のC原子を有する分岐状のアルキレンであるものから選択され、該基は1個以上の基LAで置換されてよく、ただしこれらの置換基LAはF、およびそれぞれ1~12個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシから選択され、ただし1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられてよい。
【0118】
この第3の好ましい実施形態の好ましい化合物は、下式S1-6のものおよび上サブ式S1-1bおよびS1-2cのものである。
【化18】
【0119】
式中、
R1およびR2は、H、CH3、OHまたはO●、好ましくはHまたはO●であり、
RAは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルであり
n2は、0または1~12の整数、好ましくは0である。
n3は、0または1~12の整数である。
【0120】
式S1-6の好ましい化合物は、上サブ式S1-1bおよびS1-2cのものである。
【0121】
式S2の好ましい化合物は、以下のサブ式から選択される。
【化19】
【0122】
式S2-1の化合物が非常に好ましい。
【0123】
式S2の非常に好ましい化合物は、以下のサブ式から選択される。
【化20】
【0124】
式S2-1aの化合物が非常に好ましい。
【0125】
重合性LC材料中における式S0~S2またはそのサブ式の化合物の化合物の割合は、好ましくは0.01~1%、非常に好ましくは0.05~0.5%、特には0.07~0.1%である。
【0126】
重合性LC材料中における式S0~S2またはそのサブ式の化合物の化合物の割合は、好ましくは10~2000ppm、非常に好ましくは50~1500ppm、特には100~1000ppmである。
【0127】
重合性LC材料は、好ましくは1~5種類の、非常に好ましくは1種類、2種類または3種類の、最も好ましくは1種類または2種類の式S0~S2またはそれらのサブ式から選択される化合物を含む。
【0128】
本発明の好ましい実施形態において重合性LC材料は、式S1の1種類以上の化合物および/または式S2の1種類以上の化合物を含む。
【0129】
式S1の化合物は、ディスプレイ内の重合性LC材料をUVストレスから保護するための光安定剤として特に適している。式S2の化合物は、ディスプレイセル内の重合性LC材料を高温ストレスから保護するための熱安定剤として特に適している。この好ましい実施形態による重合性LC材料は両安定剤を組み合わせており、その結果、1種類の安定剤のみを含む重合性LC材料と比較して、より高い信頼性を得る。非常に好ましくは、この好ましい実施形態による重合性LC材料は、式S1-1またはS1-2の化合物および式S2-1の化合物、最も好ましくは式S1-1aまたはS1-2aの化合物および式S2-1aの化合物を含む。
【0130】
本発明の別の好ましい実施形態において重合性LC材料は、2種類以上の式S1の化合物を含む。非常に好ましくは、この好ましい実施形態による重合性LC材料は式S1-1の化合物および式S1-2の化合物、最も好ましくは式S1-1aの化合物および式S1-2aの化合物を含む。
【0131】
本発明の別の好ましい実施形態において重合性LC材料は、1種類以上の式S1の化合物および1種類以上の当業者に既知のトリアジン型UV吸収剤を含む。好ましいトリアジンUV吸収剤化合物は例えば、下である。
【化21】
【0132】
重合性LC材料中におけるトリアジンUV吸収剤化合物の割合は、好ましくは0.01~1%、非常に好ましくは0.05~0.5%、特には0.07~0.1%である。
【0133】
重合性LC材料中におけるトリアジンUV吸収剤化合物の割合は、好ましくは10~2000ppm、非常に好ましくは50~1500ppm、特には100~1000ppmである。
【0134】
好ましくは1種類以上の二反応性または多反応性メソゲン化合物は、式DRMから選択される。
【化22】
【0135】
式中、
P
1およびP
2は、それぞれ互いに独立に重合性基を表し、
Sp
1およびSp
2は、それぞれ互いに独立にスペーサー基または単結合であり、
MGは棒状メソゲン基であり、該基は好ましくは式MGから選択され、
【化23】
式中、
A
1およびA
2は、複数出現する場合は互いに独立に芳香族または脂環式基を表し、該基は、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよく、L
1で一置換または多置換されてよく、
L
1は、P-Sp-、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
00R
000、-C(=O)OR
00、-C(=O)R
00、-NR
00R
000、-OH、-SF
5、置換されてよいシリル、1~12個、好ましくは1~6個のC原子を有するアリールもしくはヘテロアリール、および1~12個、好ましくは1~6個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、ただし1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられてよく、
R
00およびR
000は、それぞれ互いに独立にHまたは1~12個のC原子を有するアルキルを表し、
Z
1は、複数出現する場合は互いに独立に-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CO-NR
00-、-NR
00-CO-、-NR
00-CO-NR
000、-NR
00-CO-O-、-O-CO-NR
00-、-OCH
2-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
n1、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
00-、-CY
1=CY
2-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-または単結合を表し、
Y
1およびY
2は、互いに独立にH、F、ClまたはCNを表し、
nは1、2、3または4、好ましくは1または2、最も好ましくは2であり、
n1は1~10の整数であり、好ましくは1、2、3または4である。
【0136】
好ましい基A1およびA2としては限定なく、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、フェニレン、シクロヘキシレン、ビシクロオクチレン、シクロヘキセニレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、アズレン、インダン、フルオレン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アントラセン、フェナントレン、およびジチエノチオフェンが挙げられ、全ての該基は無置換であるか、または上に定義される通りの1個、2個、3個または4個の基Lで置換される。
【0137】
特に好ましい基A1およびA2は、1,4-フェニレン、ピリジン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-2,6-ジイル、インダン-2,5-ジイル、ビシクロオクチレンまたは1,4-シクロヘキシレンから選択され、ただし1個または2個の隣接しないCH2基はOおよび/またはSで置き換えられてよく、ただしこれらの基は無置換であるか、または上に定義される通りの1個、2個、3個または4個の基Lで置換される。
【0138】
特に好ましい基Z1は、それぞれの出現で互いに独立に好ましくは-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、-CF2O-、-OCF2-、-C≡C-、-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-COO-または単結合から選択される。
【0139】
式DRMの非常に好ましい1種類以上の二反応性メソゲン化合物は、以下の式から選択される。
【0140】
【0141】
【0142】
式中、
P0は、複数出現する場合は互いに独立に重合性基、好ましくはアクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ヘプタジエン、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
Lは、それぞれの出現で同一または異なって式DRMでL1に与えた意味の1つを有し、好ましく複数出現する場合は互いに独立にF、Cl、CNまたは1~5個のC原子を有するハロゲン化されてよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシから選択され、
rは、0、1、2、3または4であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に0または1~12の同一もしくは異なる整数であり、
zは、それぞれ独立に0または1であり、ただし隣接するxまたはyが0の場合、zは0である。
【0143】
式DRMa1、DRMa2およびDRMa3の化合物、特には式DRMa1のものが特に好ましい。
【0144】
好ましくは重合性LC材料は、好ましくは式MRMから選択される1種類以上の一反応性メソゲン化合物を追加して含む。
【化26】
【0145】
式中、P1、Sp1およびMGは、式DRMで与えられる意味を有し、
Rは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NRxRy、-C(=O)X、-C(=O)ORx、-C(=O)Ry、-NRxRy、-OH、-SF5、置換されてよいシリル、1~12個、好ましくは1~6個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、ただし1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられてよく、
Xはハロゲン、好ましくはFまたはClであり、および
RxおよびRyは、それぞれ互いに独立にHまたは1~12個のC原子を有するアルキルである。
【0146】
好ましくは式MRMの1種類以上の一反応性メソゲン化合物は、以下の式から選択される。
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
式中、P0、L、r、x、yおよびzは式DRMa-1~式DRMeで定義される通りであり、
R0は、1個以上、好ましくは1~15個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであるか、またはY0を表し、
Y0は、F、Cl、CN、NO2、OCH3、OCN、SCN、SF5、または1~4個のC原子を有するモノフッ素化、オリゴフッ素化もしくはポリフッ素化アルキルもしくはアルコキシであり、
Z0は、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、-CF2O-、-OCF2-、-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-COO-、または単結合であり、
A0は、複数出現する場合は互いに独立に無置換であるか、1個、2個、3個もしくは4個の基Lで置換されている1,4-フェニレン、またはトランス-1,4-シクロヘキシレンであり、
uおよびvは、それぞれ互いに独立に、0、1または2であり、
wは、0または1であり、
ただしベンゼンおよびナフタレン環は、1個以上の同一または異なる基Lで追加して置換され得る。
【0152】
式MRM1、MRM2、MRM3、MRM4、MRM5、MRM6、MRM7、MRM9およびMRM10の化合物、特には式MRM1、MRM4、MRM6およびMRM7のもの、特に式MRM1およびMRM7のものが更に好ましい。
【0153】
式DRM、MRMおよびそれらのサブ式の化合物は当業者に既知の方法に類似して調製でき、例えばHouben-Weyl、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Thieme-Verlag、Stuttgartなどの有機化学の標準的な著作に記載されている。
【0154】
本発明による重合性液晶材料中における前記一反応性、二反応性または多反応性の液晶性化合物の割合は全体で、好ましくは30~99.9重量%の範囲内、より好ましくは40~99.9重量%の範囲内、更により好ましくは50~99.9重量%の範囲内である。
【0155】
好ましい実施形態において本発明による重合性液晶材料中における二反応性または多反応性の重合性メソゲン化合物の割合は全体で、好ましくは5~99重量%の範囲内、より好ましくは10~97重量%の範囲内、更により好ましくは15~95重量%の範囲内である。
【0156】
別の好ましい実施形態において本発明による重合性液晶材料中における一反応性の重合性メソゲン化合物の割合は存在するのであれば全体で、好ましくは5~80重量%の範囲内、より好ましくは10~75重量%の範囲内、更により好ましくは15~70重量%の範囲内である。
【0157】
別の好ましい実施形態において本発明による重合性液晶材料中における多反応性の重合性メソゲン化合物の割合は存在するのであれば全体で、好ましくは1~30重量%の範囲内、より好ましくは2~20重量%の範囲内、更により好ましくは3~10重量%の範囲内である。
【0158】
別の好ましい実施形態において重合性LC材料は、2個より多い重合性基を有する重合性メソゲン化合物を含まない。
【0159】
別の好ましい実施形態において重合性LC材料は、2個未満の重合性基を有する重合性メソゲン化合物を含まない。
【0160】
別の好ましい実施形態において重合性LC材料はアキラル材料であり、即ち重合性LC材料はキラル重合性メソゲン化合物または他のキラル化合物を含まない。
【0161】
更なる好ましい実施形態において重合性LC材料は、好ましくは式MRM-1から選択される1種類以上の一反応性メソゲン化合物、好ましくは式DRMa-1から選択される1種類以上の二反応性メソゲン化合物、および式S0~S2の1種類以上の化合物を含む。
【0162】
更なる好ましい実施形態において重合性LC材料は、好ましくは式MRM-7から選択される1種類以上の一反応性メソゲン化合物、好ましくは式DRMa-1から選択される1種類以上の二反応性メソゲン化合物、および式S0~S2の1種類以上の化合物を含む。
【0163】
更なる好ましい実施形態において重合性LC材料は、好ましくは式MRM-1および/またはMRM-7の化合物から選択される少なくとも2種類の一反応性メソゲン化合物、好ましくは式DRMa-1から選択される1種類以上の二反応性メソゲン化合物、および式S0~S2の1種類以上の化合物を含む。
【0164】
更なる好ましい実施形態において重合性LC材料は、好ましくは式MRM-1および/またはMRM-7の化合物から選択される少なくとも2種類の一反応性メソゲン化合物、好ましくは式DRMa-1の化合物から選択される少なくとも2種類の二反応性メソゲン化合物、および式S0~S2の1種類以上の化合物を含む。
【0165】
更なる好ましい実施形態において重合性LC材料は、好ましくは式DRMa-1の化合物から選択される少なくとも2種類の二反応性メソゲン化合物、および式S0~S2の1種類以上の化合物を含む。
【0166】
更なる好ましい実施形態、特に負の光学分散用途向けに上に記載する通りの重合性LC材料は式NDの1種類以上の化合物を追加して含む。
【化31】
【0167】
式中、
U
1,2は、それぞれ互いに独立に、それらの鏡像を含み下から選択され、
【化32】
式中、環U
1およびU
2は、それぞれ軸方向結合を介して基-(B)
q-に結合し、これらの環中の1個または2個の隣接しないCH
2基はOおよび/またはSで置き換えられてよく、および環U
1およびU
2は1個以上の基Lで置換されてよく、
Q
1,2は、それぞれ互いに独立にCHまたはSiHであり、
Q
3は、CまたはSiであり、
Bは、それぞれの出現で互いに独立に-C≡C-、-CY
1=CY
2-または置換されてよい芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、
Y
1,2は、それぞれ互いに独立にH、F、Cl、CNまたはR
0であり、
qは1~10の整数、好ましくは1、2、3、4、5、6または7であり、
A
1~4は、それぞれ互いに独立に非芳香族、芳香族またはヘテロ芳香族炭素環式またはヘテロ環式基から選択され、該基は1個以上の基R
5で置換されてよく、ただし-(A
1-Z
1)
m-U
1-(Z
2-A
2)
n-および-(A
3-Z
3)
o-U
2-(Z
4-A
4)
p-は、それぞれ非芳香族基よりも多い芳香族基を含まず、好ましくは1個より多い芳香族基を含まず、
Z
1~4は、それぞれ互いに独立に-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
0-、-NR
0-CO-、-NR
0-CO-NR
00-、-OCH
2-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=CH-、-CY
1=CY
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
0-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、CR
0R
00または単結合であり、
R
0およびR
00は、それぞれ互いに独立にHまたは1~12個のC原子を有するアルキルであり、
mおよびnは、それぞれ互いに独立に0、1、2、3または4であり、
oおよびpは、それぞれ互いに独立に0、1、2、3または4であり、
R
1~5は、それぞれ互いに独立にH、ハロゲン、-CN、-NC、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
0R
00、-C(=O)X
0、-C(=O)R
0、-NH
2、-NR
0R
00、-SH、-SR
0、-SO
3H、-SO
2R
0、-OH、-NO
2、-CF
3、-SF
5、P-Sp-、置換されてよいシリル、または1~40個のC原子を有し置換されてよく1個以上のヘテロ原子を含んでよいカルビルもしくはヒドロカルビルから選択される同一または異なる基であるか、またはPもしくはP-Sp-を表すか、またはPもしくはP-Sp-で置換されており、ただし化合物はPもしくはP-Sp-を表すか置換される1個以上の基R
1~5を含み、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合である。
【0168】
好ましくは式NDにおける架橋基Bを形成するサブ基は120°以上、好ましくは180°の範囲の結合角を有する基から好ましくは選択される。-C≡C-基またはそれらの隣接する基にパラ位で連結される2価の芳香族基、例えば1,4-フェニレン、ナフタレン-2,6-ジイル、インダン-2,6-ジイルまたはチエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイルなどが非常に好ましい。
【0169】
更に可能なサブ基としては、-CH=CH-、-CY1=CY2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-および-CH=CR0-が挙げられ、ただしY1、Y2、R0は、上で与えられる意味を有する。
【0170】
好ましくは式NDにおける架橋基または-(B)q-は、-C≡C-、置換されてよい1,4-フェニレンおよび置換されてよい9H-フルオレン-2,7-ジイルから成る群より選択される1個以上の基を含む。式NDにおけるサブ基またはBは-C≡C-、置換されてよい1,4-フェニレンおよび置換されてよい9H-フルオレン-2,7-ジイルから成る群より好ましくは選択され、ただしフルオレン基において9位のH原子はカルビルまたはヒドロカルビル基で置き換えられてよい。
【0171】
非常に好ましくは式NDにおける架橋基または-(B)
q-は、-C≡C-、-C≡C-C≡C-、-C≡C-C≡C-C≡C-、-C≡C-C≡C-C≡C-C≡C-、
【化33】
から選択され、式中rは0、1、2、3または4であり、Lは下に記載される通りの意味を有する。
【0172】
好ましくは式NDにおけるU
1およびU
2などの架橋基が連結されるメソゲン基の非芳香族環は、
【化34】
から好ましくは選択され、式中R
5は式NDにおいて定義される通りである。
【0173】
好ましくは式NDにおける芳香族基A1~4は単核でよく、即ち1個のみの芳香環を有してよく(例えば、フェニルまたはフェニレンなど)、または多核でよく、即ち2個以上の縮合環を有してよい(例えば、ナフチルまたはナフチレンなど)。25個までのC原子を有し、また縮合環を有してもよく、置換されてよい単環式、二環式もしくは三環式の芳香族またはヘテロ芳香族基が特に好ましい。
【0174】
好ましくは式NDの化合物における非芳香族炭化水素環およびヘテロ環A1~4としては、飽和の(「完全に飽和している」ともいう)もの、即ちそれらは単結合で連結されたC原子またはヘテロ原子のみを含むものと、不飽和の(「部分的に飽和している」ともいう)もの、即ちそれらは二重結合で連結されたC原子またはヘテロ原子も含むものとが挙げられる。また非芳香族環は、好ましくはSi、O、NおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子も含んでよい。
【0175】
好ましくは式NDにおける非芳香環および芳香環またはA1~4は、トランス-1,4-シクロヘキシレンおよび1個以上の基Lで置換されてよい1,4-フェニレンから選択される。
【0176】
mおよびpが1であり、nおよびoが1または2である式NDの化合物が非常に好ましい。mおよびpが1または2であり、nおよびoが0である式NDの化合物が更に好ましい。m、n、oおよびpが2である化合物が更に好ましい。
【0177】
式NDの化合物においてメソゲン基における芳香族および非芳香族環基をつなぐ連結基またはZ1~4は、好ましくは-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR0-、-NR0-CO-、-NR0-CO-NR0-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH2CH2-、-(CH2
)
3-、-(CH2)4-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=CH-、-CY1=CY2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR0-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、CR0R00または単結合から、非常に好ましくは-COO-、-OCO-および単結合から選択される。
【0178】
好ましくは式NDの化合物において環上のLなどの置換基は、P-Sp-、F、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR0R00、-C(=O)X、-C(=O)OR0、-C(=O)R0、-NR0R00、-OH、-SF5、置換されてよいシリル、1~12個、好ましくは1~6個のC原子を有するアリールまたはヘテロアリール、および1~12個、好ましくは1~6個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシから好ましくは選択され、ただし1個以上のH原子はFまたはClで置換されてよく、ただしR0およびR00は式NDにおいて定義される通りであり、Xはハロゲンである。
【0179】
好ましくは式NDの化合物は、2個以上の重合性基PまたはP-Sp-で置換されたR1~4などの1個以上の末端基、またはR5などの置換基(多官能重合性基)を含む。このタイプの好適な多官能重合性基は例えば、米国特許第7,060,200号明細書または米国特許出願公開第2006/0172090号明細書に開示されている。
【0180】
式NDの非常に好ましい化合物は、以下のサブ式のものである。
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
式中、R1~5、A1~4、Z1~4、B、m、n、o、pおよびqは上で与えられる意味の1つを有する。
【0187】
以下のサブ式の化合物が特に好ましい。
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
式中、Zは上で与えられるZ1の意味の1つを有し、RはP-Sp-と異なる上で与えられる通りのR1の意味の1つを有し、P、Sp、Lおよびrは上で定義される通りであり、メソゲン基におけるベンゼン環は上で定義される通りの1個以上の基Lで置換されてよい。
【0201】
式NDの化合物が式ND25または式ND26の化合物から成る群より選択され、特にZが-COO-を表し、それぞれの出現でrは0であり、P、Spは上で定義される通りである重合性液晶媒体に更に好ましくい。
【0202】
これらの好ましい化合物においてP-Sp-は好ましくはP-Sp’-X’であり、X’は好ましくは-O-、-COO-または-OCOO-である。
【0203】
式ND、そのサブ式の化合物およびそれらの合成に適する方法は、国際公開第2008/119427号に開示される。
【0204】
重合性LC材料における式NDの化合物の量は、好ましくは0~50%、非常に好ましくは0~40%である。
【0205】
更に好ましい実施形態において重合性LC材料は、更なる重合開始剤、酸化防止剤、界面活性剤、安定剤、触媒、増感剤、阻害剤、連鎖移動剤、共反応性モノマー、反応性シンナー、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動性向上剤、脱気または消泡剤、脱泡剤、希釈剤、反応性希釈剤、助剤、着色剤、色素、顔料およびナノ粒子から成る群より選択される1種類以上の添加剤を含んでよい。
【0206】
別の好ましい実施形態において重合性LC材料は、重合性非メソゲン化合物(反応性シンナー)から選択される1種類以上の添加剤を含んでよい。これらの添加剤の重合性LC材料における量は、好ましくは0~30%、非常に好ましくは0~25%である。
【0207】
使用される反応性シンナーは、実際の意味で反応性シンナーと呼ばれる物質であるだけでなく、1種類以上の相補的な反応性単位または重合性基P、例えばヒドロキシル基、チオール基、またはアミノ基を含む既に上述の補助化合物でもあり、これらを介して液晶性化合物の重合単位との反応が起こり得る。
【0208】
通常、光重合が可能な物質としては、例えば、少なくとも1個のオレフィン性二重結合を含む一官能、二官能、および多官能化合物が挙げられる。その例は、カルボン酸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸のビニルエステル、ならびにジカルボン酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、アリルおよびビニルエーテルのビニルエステル、ならびに一官能アルコール、例えば、ラウリル、ミリスチル、パルミチルおよびステアリルアルコールのメタクリル酸およびアクリル酸エステル、ならびに二官能アルコール、例えば、エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのジアリルおよびジビニルエーテルである。
【0209】
また例えば、多官能アルコールのメタクリル酸およびアクリル酸エステル、特にヒドロキシル基の他に更なる官能基を含まないか、または最大でエーテル基を含むものも適している。その様なアルコールの例は、二官能アルコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびそれらのより高度に縮合された代表物、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなど、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルコキシル化フェノール化合物、例えば、エトキシル化およびプロポキシル化ビスフェノール、シクロヘキサンジメタノール、三官能および多官能アルコール、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、および対応するアルコキシル化、特にエトキシル化およびプロポキシル化アルコールである。
【0210】
他の適切な反応性シンナーは、ポリエステルオールの(メタ)アクリル酸エステルであるポリエステル(メタ)アクリレートである。
【0211】
適切なポリエステルオールの例は、ポリオール、好ましくはジオールを使用して、ポリカルボン酸、好ましくはジカルボン酸をエステル化することによって調製され得るものである。その様なヒドロキシル含有ポリエステルのための出発材料は、当業者に公知である。使用され得るジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、o-フタル酸およびそれらの異性体およびそれらの水素化生成物、ならびに前記酸のエステル化可能およびエステル交換可能な誘導体、例えば、無水物およびジアルキルエステルである。適切なポリオールは、上述のアルコール、好ましくはエチレングリコール、1,2-および1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ならびにエチレングリコールおよびプロピレングリコールタイプのポリグリコールである。
【0212】
適切な反応性シンナーは更に、1,4-ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレートの名前でも知られている以下の式
【化52】
のトリシクロデセニルアルコールのアクリル酸エステル、ならびにアクリル酸、メタクリル酸およびシアノアクリル酸のアリルエステルである。
【0213】
例として挙げられている反応性シンナーのうち、光重合性基を有するものが、特に、そして上記の好ましい組成物の観点から使用される。
【0214】
この群としては例えば、二価および多価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールおよびそれらのより高度に縮合した代表物、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなど、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールおよび対応するアルコキシル化、特にエトキシル化およびプロポキシル化アルコールが挙げられる。
【0215】
この群としては更に例えば、アルコキシル化フェノール化合物、例えばエトキシル化およびプロポキシル化ビスフェノールも挙げられる。
【0216】
これらの反応性シンナーは更に、例えば、エポキシドまたはウレタン(メタ)アクリレートでよい。
【0217】
エポキシド(メタ)アクリレートは、例えば、当業者に知られている、エポキシ化オレフィンまたはポリまたはジグリシジルエーテル、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテルと、(メタ)アクリル酸との反応によって得られるものである。
【0218】
ウレタン(メタ)アクリレートは、特に、同様に当業者に知られている、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリまたはジイソシアネートとの反応の生成物である。
【0219】
そのようなエポキシドおよびウレタン(メタ)アクリレートは、「混合形態」として上記で挙げられた化合物の中に含まれる。
【0220】
反応性シンナーが使用される場合、一方では、満足な所望の効果、例えば本発明による組成物の所望の色が得られ、他方では、液晶組成物の相挙動が過度に損なわれないように、それらの量および特性は、それぞれの条件に適合されなければならない。低架橋(高架橋)液晶組成物は、例えば、1分子あたりの反応単位数が比較的少ない(多い)、対応する反応性シンナーを使用して調製され得る。
【0221】
希釈剤の群としては例えば、以下のものが挙げられる:
C1~C4-アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、特にC5~C12-アルコール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール、n-ウンデカノールおよびn-ドデカノール、ならびにその異性体、グリコール、例えば1,2-エチレングリコール、1,2-および1,3-プロピレングリコール、1,2-、2,3-および1,4-ブチレングリコール、ジ-およびトリエチレングリコール、およびジ-およびトリプロピレングリコール、エーテル、例えばメチルtert-ブチルエーテル、1,2-エチレングリコールモノ-およびジメチルエーテル、1,2-エチレングリコールモノ-および-ジエチルエーテル、3-メトキシプロパノール、3-イソプロポキシプロパノール、テトラヒドロフランおよびジオキサン、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、C1~C5-アルキルエステル、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルおよび酢酸アミル、脂肪族および芳香族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、石油エーテル、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン、デカリン、ジメチルナフタレン、ホワイトスピリット、Shellsol(登録商標)およびSolvesso(登録商標)鉱油、例えばガソリン、ケロシン、軽油および加熱油、更には天然油、例えばオリーブ油、大豆油、菜種油、亜麻仁油およびひまわり油。
【0222】
当然ながら、これらの希釈剤の混合物を本発明による組成物において使用することも可能である。
【0223】
少なくとも部分的な混和性がある限り、これらの希釈剤は、水と混合することもできる。本明細書での適切な希釈剤の例は、C1~C4-アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールおよびsec-ブタノール、グリコール、例えば1,2-エチレングリコール、1,2-および1,3-プロピレングリコール、1,2-、2,3-および1,4-ブチレングリコール、ジ-およびトリエチレングリコール、およびジ-およびトリプロピレングリコール、エーテル、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサン、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトンおよびジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、およびC1~C4-アルキルエステル、例えばメチル、エチル、プロピルおよびブチルアセテートである。
【0224】
希釈剤は、重合性LC材料の全重量を基準として、約0~10.0重量%、好ましくは約0~5.0重量%の割合で任意に使用される。
【0225】
消泡剤および脱泡剤(c1))、潤滑剤および流動助剤(c2))、熱硬化または放射線硬化助剤(c3))、基板湿潤助剤(c4))、湿潤分散助剤(c5))、疎水化剤(c6))、接着促進剤(c7))および耐スクラッチ性を促進するための助剤(c8))は、それらの作用において互いに厳密に区別することはできない。
【0226】
例えば、潤滑剤および流動助剤は、消泡剤および/または脱泡剤として、および/または耐スクラッチ性を向上させるための助剤として作用することが多い。放射線硬化助剤は、潤滑剤および流動助剤および/または脱泡剤としておよび/または基板湿潤助剤としても作用し得る。場合により、これらの助剤のいくつかは、接着促進剤の機能も果たし得る(c8))。
【0227】
上記に対応して、特定の添加剤は、従って下記の多数のc1)~c8)の群に分類され得る。
【0228】
群c1)の消泡剤には、シリコン不含およびシリコン含有ポリマーが含まれる。シリコン含有ポリマーは、例えば、未変性または変性ポリジアルキルシロキサンまたは分枝鎖状のコポリマー、ポリジアルキルシロキサンおよびポリエーテル単位を含むコームまたはブロックコポリマーであり、後者は、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドから得られる。
【0229】
群c1)の脱気剤としては、例えば、有機ポリマー、例えば、ポリエーテルおよびポリアクリレート、ジアルキルポリシロキサン、特にジメチルポリシロキサン、有機修飾ポリシロキサン、例えばアリールアルキル修飾ポリシロキサン、およびフルオロシリコーンが挙げられる。
【0230】
消泡剤の作用は、本質的に、泡の形成を防ぐことか、または既に形成された泡を破壊することに基づく。消泡剤は、本質的に、細かく分割されたガスまたは気泡の凝集を促進して、脱泡されるべき媒体、例えば本発明による組成物においてより大きな気泡を生じさせ、従って(空気の)ガスの逃散を促進することによって作用する。消泡剤は、脱泡剤としても頻繁に使用することができ、その逆もまた同様であり、これらの添加剤は、群c1)にまとめて含まれる。
【0231】
その様な助剤は例えば、TEGO(登録商標)Foamex800、TEGO(登録商標)Foamex805、TEGO(登録商標)Foamex810、TEGO(登録商標)Foamex815、TEGO(登録商標)Foamex825、TEGO(登録商標)Foamex835、TEGO(登録商標)Foamex840、TEGO(登録商標)Foamex842、TEGO(登録商標)Foamex1435、TEGO(登録商標)Foamex1488、TEGO(登録商標)Foamex1495、TEGO(登録商標)Foamex3062、TEGO(登録商標)Foamex7447、TEGO(登録商標)Foamex8020、Tego(登録商標)FoamexN、TEGO(登録商標)FoamexK3、TEGO(登録商標)Antifoam2-18,TEGO(登録商標)Antifoam2-18、TEGO(登録商標)Antifoam2-57、TEGO(登録商標)Antifoam2-80、TEGO(登録商標)Antifoam2-82、TEGO(登録商標)Antifoam2-89、TEGO(登録商標)Antifoam2-92、TEGO(登録商標)Antifoam14、TEGO(登録商標)Antifoam28、TEGO(登録商標)Antifoam81、TEGO(登録商標)AntifoamD90、TEGO(登録商標)Antifoam93、TEGO(登録商標)Antifoam200、TEGO(登録商標)Antifoam201、TEGO(登録商標)Antifoam202、TEGO(登録商標)Antifoam793、TEGO(登録商標)Antifoam1488、TEGO(登録商標)Antifoam3062、TEGOPREN(登録商標)5803、TEGOPREN(登録商標)5852、TEGOPREN(登録商標)5863、TEGOPREN(登録商標)7008、TEGO(登録商標)Antifoam1-60、TEGO(登録商標)Antifoam1-62、TEGO(登録商標)Antifoam1-85、TEGO(登録商標)Antifoam2-67、TEGO(登録商標)AntifoamWM20、TEGO(登録商標)Antifoam50、TEGO(登録商標)Antifoam105、TEGO(登録商標)Antifoam730、TEGO(登録商標)AntifoamMR1015、TEGO(登録商標)AntifoamMR1016、TEGO(登録商標)Antifoam1435、TEGO(登録商標)AntifoamN、TEGO(登録商標)AntifoamKS6、TEGO(登録商標)AntifoamKS10、TEGO(登録商標)AntifoamKS53、TEGO(登録商標)AntifoamKS95、TEGO(登録商標)AntifoamKS100、TEGO(登録商標)AntifoamKE600、TEGO(登録商標)AntifoamKS911、TEGO(登録商標)AntifoamMR1000、TEGO(登録商標)AntifoamKS1100、Tego(登録商標)Airex900、Tego(登録商標)Airex910、Tego(登録商標)Airex931、Tego(登録商標)Airex935、Tego(登録商標)Airex936、Tego(登録商標)Airex960、Tego(登録商標)Airex970、Tego(登録商標)Airex980およびTego(登録商標)Airex985としてTegoから、およびBYK(登録商標)-011、BYK(登録商標)-019、BYK(登録商標)-020、BYK(登録商標)-021、BYK(登録商標)-022、BYK(登録商標)-023、BYK(登録商標)-024、BYK(登録商標)-025、BYK(登録商標)-027、BYK(登録商標)-031、BYK(登録商標)-032、BYK(登録商標)-033、BYK(登録商標)-034、BYK(登録商標)-035、BYK(登録商標)-036、BYK(登録商標)-037、BYK(登録商標)-045、BYK(登録商標)-051、BYK(登録商標)-052、BYK(登録商標)-053、BYK(登録商標)-055、BYK(登録商標)-057、BYK(登録商標)-065、BYK(登録商標)-066、BYK(登録商標)-070、BYK(登録商標)-080、BYK(登録商標)-088、BYK(登録商標)-141およびBYK(登録商標)-A 530としてBYKから市販されている。
【0232】
群c1)の助剤は、重合性LC材料の全重量を基準として、約0~3.0重量%、好ましくは約0~2.0重量%の割合で使用してよい。
【0233】
群c2)では、潤滑剤および流動助剤には、通常、ケイ素不含ポリマーだけでなく、ケイ素含有ポリマー、例えばポリアクリレートまたは改質剤、低分子量ポリジアルキルシロキサンも含まれる。修飾は、多種多様な有機基によって置き換えられたアルキル基のいくつかにある。これらの有機基は、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、または更に長鎖アルキル基であり、前者が最も頻繁に使用されている。
【0234】
対応する変性ポリシロキサン中のポリエーテル基は、通常、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位から構成されている。一般に、変性ポリシロキサン中のこれらのアルキレンオキシド単位の割合が高いほど、得られる生成物はより親水性になる。
【0235】
その様な助剤は、例えば、TEGO(登録商標)Glide100、TEGO(登録商標)GlideZG400、TEGO(登録商標)Glide406、TEGO(登録商標)Glide410、TEGO(登録商標)Glide411、TEGO(登録商標)Glide415、TEGO(登録商標)Glide420、TEGO(登録商標)Glide435、TEGO(登録商標)Glide440、TEGO(登録商標)Glide450、TEGO(登録商標)GlideA115、TEGO(登録商標)GlideB1484(消泡剤および脱泡剤としても使用できる。)、TEGO(登録商標)FlowATF、TEGO(登録商標)Flow300、TEGO(登録商標)Flow460、TEGO(登録商標)Flow425およびTEGO(登録商標)FlowZFS460としてTegoから市販されている。耐スクラッチ性を向上させるためにも使用され得る、適切な放射線硬化性潤滑剤および流動助剤は、TEGO(登録商標)Rad2100、TEGO(登録商標)Rad2200、TEGO(登録商標)Rad2500、TEGO(登録商標)Rad2600およびTEGO(登録商標)Rad2700の製品であり、同様にTEGOから得ることが可能である。
【0236】
そのような助剤は、また、例えば、BYK(登録商標)-300、BYK(登録商標)-306、BYK(登録商標)-307、BYK(登録商標)-310、BYK(登録商標)-320、BYK(登録商標)-333、BYK(登録商標)-341、Byk(登録商標)354、Byk(登録商標)361、Byk(登録商標)361N、BYK(登録商標)388としてBYKからも入手可能である。
【0237】
そのような助剤は、また、例えば、FC4430(登録商標)として3Mからも入手可能である。
【0238】
そのような助剤は、また、例えば、FluorN(登録商標)561またはFluorN(登録商標)562としてCytonixからも入手可能である。
【0239】
そのような助剤は、また、例えば、Tivida(登録商標)FL2300およびTivida(登録商標)FL2500としてMerck KGaAからも入手可能である。
【0240】
群c2)の助剤は、重合性LC材料の全重量を基準として、約0~3.0重量%、好ましくは約0~2.0重量%の割合で使用してよい。
【0241】
群c3)では、放射線硬化助剤には、特に、例えばアクリレート基の構成要素である末端二重結合を有するポリシロキサンが含まれる。その様な助剤は、化学線、または例えば電子線によって架橋され得る。これらの助剤は、概して多くの特性を一緒に併せ持つ。未架橋状態では、それらは、消泡剤、脱泡剤、潤滑剤および流動助剤および/または基板湿潤助剤として作用し得るが、架橋状態では、それらは、特に、本発明による組成物を用いて製造され得る、例えばコーティングまたはフィルムの耐スクラッチ性を向上させる。例えば、正確には、これらのコーティングまたはフィルムの光沢特性の向上は、本質的には、これらの助剤の、消泡剤、脱泡剤および/または潤滑剤、および流動助剤(未架橋状態)としての作用の結果と考えられている。
【0242】
適切な放射線硬化助剤の例は、TEGOから入手可能な製品TEGO(登録商標)Rad2100、TEGO(登録商標)Rad2200、TEGO(登録商標)Rad2500、TEGO(登録商標)Rad2600およびTEGO(登録商標)Rad2700ならびにBYKから入手可能な製品BYK(登録商標)-371である。
【0243】
群c3)の熱硬化助剤は、例えば、バインダーのイソシアネート基と反応することが可能な、例えば、第一級OH基を含む。
【0244】
使用され得る熱硬化助剤の例は、BYKから入手可能な製品BYK(登録商標)-370、BYK(登録商標)-373およびBYK(登録商標)-375である。
【0245】
群c3)の助剤は、重合性LC材料の全重量を基準として、約0~5.0重量%、好ましくは約0~3.0重量%の割合で使用してよい。
【0246】
群c4)の基板湿潤助剤は、特に、例えば印刷インキまたはコーティング組成物、例えば本発明による組成物によって印刷またはコーティングされるべき基板の湿潤性を高めるのに役立つ。大抵、このような印刷インキまたはコーティング組成物の潤滑挙動および流動挙動が改善されることに付随して、完成した(例えば架橋された)プリントまたはコーティングの外観にも影響が及ぶ。
【0247】
そのような多種多様な助剤は、例えば、Tegoから、TEGO(登録商標)WetKL245、TEGO(登録商標)Wet250、TEGO(登録商標)Wet260およびTEGO(登録商標)WetZFS453として市販されており、BYKから、BYK(登録商標)-306、BYK(登録商標)-307、BYK(登録商標)-310、BYK(登録商標)-333、BYK(登録商標)-344、BYK(登録商標)-345、BYK(登録商標)-346およびBYK(登録商標)-348として市販されている。
【0248】
群c4)の助剤は、液晶組成物の全重量を基準として、約0~3.0重量%、好ましくは約0~1.5重量%の割合で使用してよい。
【0249】
群c5)の湿潤分散助剤は、特に、顔料のフラッドおよびフロートならびに沈澱を防止するのに役立ち、従って必要に応じて特に顔料組成物において適している。
【0250】
これらの補助剤は、これらの添加剤を含む顔料粒子の静電反発および/または立体障害を介して本質的に顔料分散体を安定化させ、ここで、後者の場合、補助剤と周囲の媒体(例えばバインダー)との相互作用が大きな役割を果たす。
【0251】
このような湿潤分散補助剤の使用は、例えば印刷インキおよび塗料の技術分野では一般的に行われているので、この種の適切な補助剤の選択は、一般的に使用される場合には当業者には何ら困難をもたらさない。
【0252】
そのような湿潤および分散助剤は、例えば、Tegoから、TEGO(登録商標)Dispers610、TEGO(登録商標)Dispers610S、TEGO(登録商標)Dispers630、TEGO(登録商標)Dispers700、TEGO(登録商標)Dispers705、TEGO(登録商標)Dispers710、TEGO(登録商標)Dispers720W、TEGO(登録商標)Dispers725W、TEGO(登録商標)Dispers730W、TEGO(登録商標)Dispers735WおよびTEGO(登録商標)Dispers740WならびにBYKからDisperbyk(登録商標)、Disperbyk(登録商標)-107、Disperbyk(登録商標)-108、Disperbyk(登録商標)-110、Disperbyk(登録商標)-111、Disperbyk(登録商標)-115、Disperbyk(登録商標)-130、Disperbyk(登録商標)-160、Disperbyk(登録商標)-161、Disperbyk(登録商標)-162、Disperbyk(登録商標)-163、Disperbyk(登録商標)-164、Disperbyk(登録商標)-165、Disperbyk(登録商標)-166、Disperbyk(登録商標)-167、Disperbyk(登録商標)-170、Disperbyk(登録商標)-174、Disperbyk(登録商標)-180、Disperbyk(登録商標)-181、Disperbyk(登録商標)-182、Disperbyk(登録商標)-183、Disperbyk(登録商標)-184、Disperbyk(登録商標)-185、Disperbyk(登録商標)-190、Anti-Terra(登録商標)-U、Anti-Terra(登録商標)-U80、Anti-Terra(登録商標)-P、Anti-Terra(登録商標)-203、Anti-Terra(登録商標)-204、Anti-Terra(登録商標)-206、BYK(登録商標)-151、BYK(登録商標)-154、BYK(登録商標)-155、BYK(登録商標)-P104S、BYK(登録商標)-P105、Lactimon(登録商標)、Lactimon(登録商標)-WSおよびBykumen(登録商標)として市販されている。
【0253】
群c5)で使用される助剤の量は、助剤の平均分子量に基づく。従って、いずれの場合も、予備実験が望ましいが、これは当業者によって単純に行われ得る。
【0254】
群c6)の疎水化剤は、例えば、本発明による組成物を使用して製造されたプリントまたはコーティングに撥水性を付与するために使用され得る。これにより、吸水による膨潤、ひいては例えば、その様なプリントまたはコーティングの光学特性の変化が防止されるか、または少なくとも大幅に抑制される。また、組成物が、例えば、オフセット印刷の印刷インキとして使用される場合、それによって吸水性が防止され得るか、または少なくとも大幅に低減され得る。
【0255】
そのような疎水化剤は、例えば、Tegoから、Tego(登録商標)PhobeWF、Tego(登録商標)Phobe1000、Tego(登録商標)Phobe1000S、Tego(登録商標)Phobe1010、Tego(登録商標)Phobe1030、Tego(登録商標)Phobe1010、Tego(登録商標)Phobe1010、Tego(登録商標)Phobe1030、Tego(登録商標)Phobe1040、Tego(登録商標)Phobe1050、Tego(登録商標)Phobe1200、Tego(登録商標)Phobe1300、Tego(登録商標)Phobe1310およびTego(登録商標)Phobe1400として市販されている。
【0256】
群c6)の助剤は、重合性LC材料の全重量を基準として、約0~5.0重量%、好ましくは約0~3.0重量%の割合で任意に使用される。
【0257】
群c7)からの更なる接着促進剤は、接触している2つの界面の接着を改善するのに役立つ。このことから、接着促進剤の有効な唯一の部分は、どちらか一方の界面にまたはその双方の界面に位置するものであることがすぐに分かる。例えば、液状またはペースト状の印刷インキ、コーティング組成物または塗料を固体基板に適用することが望ましい場合、このことは概して、接着促進剤が、後者に直接添加されなければならないか、または基板が、接着促進剤(プライミングとしても公知である)で前処理されなければならないこと、すなわち、この基板に、改変された化学的および/または物理的表面特性が付与されることを意味する。
【0258】
基板が予めプライマーで下塗りされている場合、このことは、接触している界面が、一方ではプライマーのものであり、他方では印刷インキまたはコーティング組成物または塗料のものであることを意味する。この場合、基板とプライマーとの間の接着性だけでなく、基板と印刷インキまたはコーティング組成物または塗料との間の接着性も、基板上の多層構造全体の接着に寄与する。
【0259】
より広い意味で記載され得る接着促進剤は、群c4)で既に挙げられた基板湿潤助剤でもあるが、これらは概して同じ接着促進能力を有していない。
【0260】
基板、ならびに例えば、それらの印刷またはコーティングを目的とした印刷インキ、コーティング組成物および塗料の物理的および化学的性質が多種多様であることを鑑みると、接着促進剤システムの多様性は、驚くにあたらない。
【0261】
シランをベースとする接着促進剤は、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-アミノエチル-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシシランである。これらおよび他のシランは、例えばDYNASILAN(登録商標)の商品名でHulsから市販されている。
【0262】
その様な添加剤の製造元からの対応する技術情報が一般的に使用されるべきであるか、または当業者は対応する予備実験を通して簡単な方法でこの情報を得ることができる。
【0263】
しかしながら、これらの添加剤が、群c7)からの助剤として本発明による重合性LC材料に添加される場合、それらの割合は、任意に、重合性LC材料の全重量を基準として、約0~5.0重量%に相当する。添加剤の量および種類は、それぞれの場合において基板の性質および印刷/コーティング組成物の性質によって決まるため、これらの濃度データは、単なる指針にすぎない。対応する技術情報は、通常、この場合、その様な添加剤の製造元から入手可能であるか、または当業者によって簡単な方法で対応する予備実験を通して求められ得る。
【0264】
群c8)の耐スクラッチ性を改善するための助剤としては、例えば、Tegoから入手可能な上記の製品TEGO(登録商標)Rad2100、TEGO(登録商標)Rad2200、TEGO(登録商標)Rad2500、TEGO(登録商標)Rad2600およびTEGO(登録商標)Rad2700が挙げられる。
【0265】
これらの助剤については、群c3)について与えられた量データも同様に適している、すなわち、これらの添加剤は、任意に、液晶組成物の全重量を基準として、約0~5.0重量%、好ましくは約0~3.0重量%の割合で使用される。
【0266】
光、熱および/またはさらなる酸化安定剤について言及され得る例は、以下の通りである:
【0267】
アルキル化モノフェノール、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール、2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジオクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、直鎖状または分枝鎖状の側鎖を有するノニルフェノール、例えば、2,6-ジノニル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルウンデカ-1’-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルヘプタデカ-1’-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルトリデカ-1’-イル)フェノールおよびこれらの化合物の混合物、アルキルチオメチルフェノール、例えば、2,4-ジオクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノールおよび2,6-ジドデシルチオメチル-4-ノニルフェノール、
【0268】
ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロクライノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアレートおよびビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アジペート、
【0269】
トコフェロール、例えば、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールおよびこれらの化合物の混合物、ならびにトコフェロール誘導体、例えば、トコフェリルアセタート、スクシナート、ニコチナートおよびポリオキシエチレンスクシナート(「トコフェルソラート」)
【0270】
ヒドロキシル化ジフェニルチオエーテル、例えば、2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(3,6-ジsec-アミルフェノール)および4,4’-ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド
【0271】
アルキリデンビスフェノール、例えば、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-(α,α-ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-n-ドデシル-メルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3-ビス(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)ブチラート]、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルベンジル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェニル]テレフタラート、1,1-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシル-メルカプトブタンおよび1,1,5,5-テトラキス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン、
【0272】
O-、N-およびS-ベンジル化合物、例えば、3,5,3’,5’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプトアセタート、トリデシル4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルメルカプトアセタート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタラート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィドおよびイソオクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプトアセタート、
【0273】
芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチル-ベンゼンおよび2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール、
【0274】
トリアジン化合物、例えば、2,4-ビス(オクチルメルカプト)-6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,2,3-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌラート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌラート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌラートおよび1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、
【0275】
ベンジルホスホナ-ト、例えば、ジメチル2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホナート、ジエチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホナート、ジオクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホナートおよびジオクタデシル5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジルホスホナート、
【0276】
アシルアミノフェノール、例えば、4-ヒドロキシラウロイルアニリド、4-ヒドロキシステアロイルアニリドおよびオクチルN-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバマート、
【0277】
プロピオン酸および酢酸エステル、例えば、一価または多価アルコールの、例えば、メタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパンおよび4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]-オクタンのプロピオン酸および酢酸エステル、
【0278】
アミン誘導体に基づいたプロピオンアミド、例えば、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミンおよびN,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、
【0279】
アスコルビン酸(ビタミンC)およびアスコルビン酸誘導体、例えば、アスコルビルパルミタート、ラウラートおよびステアラート、ならびにアスコルビルスルファートおよびホスファート、
【0280】
アミン化合物に基づいた酸化防止剤、例えば、N,N’-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、4-(p-トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’-ジメチル-N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N-アリルジフェニルアミン、4-イソプロポキシジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-(4-tert-オクチルフェニル)-1-ナフチルアミン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、オクチル置換ジフェニルアミン、例えば、p,p’-ジ-tert-オクチルジフェニルアミン、4-n-ブチルアミノフェノール、4-ブチリルアミノフェノール、4-ノナノイルアミノフェノール、4-ドデカノイルアミノフェノール、4-オクタデカノイルアミノフェノール、ビス[4-メトキシフェニル)アミン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、2,4-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、1,2-ビス[(2-メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2-ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o-トリル)ビグアニド、ビス[4-(1’,3’-ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert-オクチル置換N-フェニル-1-ナフチルアミン、モノアルキル化およびジアルキル化tert-ブチル/tert-オクチルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化tert-ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-4H-1,4-ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノアルキル化およびジアルキル化tert-ブチル/tert-オクチルフェノチアジンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化tert-オクチルフェノチアジンの混合物、N-アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’-テトラフェニル-1,4-ジアミノブタ-2-エン、N,N-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバカート、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オンおよび2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オール、
【0281】
ホスフィン、ホスフィットおよびホスホニット、例えば、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、ジステアリルペンタエリトリトールジホスフィット、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィット、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ジイソデシルオキシペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4,6-トリス(tert-ブチルフェニル))ペンタエリトリトールジホスフィット、トリステアリルソルビトールトリホスフィット、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4’-ビフェニレンジホスホニット、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンゾ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12-メチル-ジベンゾ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスフィットおよびビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスフィット、
【0282】
2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-sec-ブチル-5’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジtert-アミル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3,5’-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールの混合物、2-(3’-tert-ブチル-5’-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-5’-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-ドデシル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾール-2-イルフェノール];2-[3’-tert-ブチル-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)-2’-ヒドロキシフェニル]-2H-ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300との完全エステル化の生成物;
【0283】
硫黄含有過酸化物捕捉剤および硫黄含有酸化防止剤、例えば、3,3’-チオジプロピオン酸のエステル、例えば、ラウリル、ステアリル、ミリスチルおよびトリデシルエステル、メルカプトベンゾイミダゾール、ならびに2-メルカプトベンゾイミダゾール、ジブチル亜鉛ジチオカルバメート、ジオクタデシルジスルフィドおよびペンタエリトリトールテトラキス(β-ドデシルメルカプト)プロピオナートの亜鉛塩、
【0284】
2-ヒドロキシベンゾフェノン、例えば、4-ヒドロキシ、4-メトキシ、4-オクチルオキシ、4-デシクロキシ、4-ドデシルオキシ、4-ベンジルオキシ、4,2’,4’-トリヒドロキシおよび2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ誘導体、
【0285】
非置換および置換の安息香酸のエステル、例えば、4-tert-ブチルフェニルサリチラート、フェニルサリチラート、オクチルフェニルサリチラート、ジベンゾイルレソルシノール、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)レソルシノール、ベンゾイルレソルシノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾアート、ヘキサデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾアート、オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾアートおよび2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾアート、
【0286】
アクリレート、例えば、エチルα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリラート、イソオクチルα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリラート、メチルα-メトキシカルボニルシンナマート、メチルα-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナマート、ブチル-α-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナマートおよびメチル-α-メトキシカルボニル-p-メトキシシンナマート、立体障害アミン、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバカート、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシナート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバカート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバカート、ビス(1,2,2,6、6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロナート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合生成物、トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ニトリロトリアセタート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラート、1,1’-(1,2-エチレン)ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)2-n-ブチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジル)マロナート、3-n-オクチル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバカート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシナート、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合生成物、2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、2-クロロ-4,6-ジ(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]-デカン-2,4-ジオン、3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン、3-ドデシル-1-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン、4-ヘキサデシルオキシ-および4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混合物、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合生成物、1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンおよび2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合生成物、4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-n-ドデシルスクシンイミド、N-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-n-ドデシルスクシンイミド、2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ[4.5]-デカン、7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ-[4.5]デカンとエピクロロヒドリンとの縮合生成物、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとテトラメチロールアセチレンジウレアおよびポリ(メトキシプロピル-3-オキシ)-[4(2,2,6,6-テトラメチル)ピペリジニル]-シロキサンとの縮合生成物、
【0287】
オキサルアミド、例えば、4,4’-ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’-ジエトキシオキサニリド、2,2’-ジオクチルオキシ-5,5’-ジ-tert-ブトキサニリド、2,2’-ジドデシルオキシ-5,5’-ジ-tert-ブトキサニリド、2-エトキシ-2’-エチルオキサニリド、N,N’-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)オキサルアミド、2-エトキシ-5-tert-ブチル-2’-エトキサニリドおよび2-エトキシ-2’-エチル-5,4’-ジ-tert-ブトキサニリドとのその混合物、およびオルト-、パラ-メトキシ-二置換オキサニリドの混合物、およびオルト-およびパラ-エトキシ-二置換オキサニリドの混合物、および
【0288】
2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、例えば、2,4,6-トリス-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-トリデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ブチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-ブトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]-1,3,5-トリアジンおよび2-(2-ヒドロキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン。
【0289】
別の好ましい実施形態において重合性LC材料は、1種以上の特定の酸化防止添加剤、好ましくはスイスのCibaから入手可能なIrganox(登録商標)シリーズ、例えばIrganox(登録商標)1076およびIrganox(登録商標)1010を含む。
【0290】
別の好ましい実施形態において重合性LC材料は1種類以上、より好ましくは2種類以上の光開始剤の組み合わせを含み、例えば商業的に入手可能なIrgacure(登録商標)またはDarocure(登録商標)(CibaAG)シリーズ、特にIrgacure127、Irgacure184、Irgacure369、Irgacure651、Irgacure817、Irgacure907、Irgacure1300、Irgacure、Irgacure2022、Irgacure2100、Irgacure2959またはDarcureTPOから選択され、更には商業的に入手可能なOXE02(CibaAG)、NCI930、N1919T(Adeka)、SPI-03またはSPI-04(Samyang)から選択される。
【0291】
重合性LC材料中のこれらの光開始剤(1種類または多種類)全体の濃度は、好ましくは0.5~10%、非常に好ましくは0.8~8%、より好ましくは1~6%である。
【0292】
好ましくは重合性LC材料は、式S0~S2の1種類以上の化合物の他に、
a)1種類以上の二反応性または多反応性の重合性メソゲン化合物、
b)任意に1種類以上の一反応性の重合性メソゲン化合物、
c)任意に1種類以上の酸化防止添加剤、
d)任意に1種類以上の接着促進剤、
e)任意に1種類以上の界面活性剤、
f)任意に1種類以上の一反応性、二反応性または多反応性の重合性非メソゲン化合物、
g)任意に光重合を開始するために使用される波長に吸収極大を示す1種類以上の色素、
h)任意に1種類以上の連鎖移動剤、
i)任意に1種類以上の安定剤、
j)任意に1種類以上の潤滑剤および流動助剤、および、
k)任意に1種類以上の希釈剤、
l)任意に非重合性ネマチック成分
を含む。
【0293】
より好ましくは重合性LC材料は、
a)式S0~S2の1種類以上の化合物、
b)1種類以上、好ましくは2種類以上の二反応性重合性メソゲン化合物、好ましくは存在する場合は全体で10~90重量%、非常に好ましくは15~75重量%の量で、好ましくは式DRMa-1の化合物から選択され、
c)任意に1種類以上、好ましくは2種類以上の一反応性重合性メソゲン化合物を好ましくは10~95重量%、非常に好ましくは25~85重量%の量で、好ましくは式MRM-1および/またはMRM-7の化合物から選択され、
d)任意に1種類以上の式NDの化合物を好ましくは0~50重量%、非常に好ましくは0~40重量%の量で、
e)任意に1種類以上の酸化防止添加剤、好ましくは無置換および置換置換安息香酸のエステルから選択され、特にIrganox(登録商標)1076を、好ましくは存在する場合0.01~2重量%、非常に好ましくは0.05~1重量%の量で、
f)任意に1種類以上の潤滑剤および流動助剤、好ましくはBYK(登録商標)388、FC4430および/またはFluorN562から選択され、好ましくは存在する場合0.1~5重量%、非常に好ましくは0.2~3重量%の量で、および
g)任意に1種類以上の希釈剤、好ましくはn-ドデカノールから選択され、好ましくは存在する0.1~5重量%、非常に好ましくは0.2~3重量%の量で
含む。
【0294】
本発明は更に、
・上記および下記の重合性LC材料の層を基板上に供給すること、
・光重合により重合性LC材料の重合性成分を重合すること、および
・任意に重合されたLC材料を基板から除去することおよび/またはこれを別の基板上に供給すること
によりポリマーフィルムを調製する方法に関する。
【0295】
重合性LC材料を適切な溶媒に溶解することも可能である。
【0296】
別の好ましい実施形態において重合性LC材料は、好ましくは有機溶媒から選択される1種以上の溶媒を含む。溶媒は、好ましくは、ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノン;アセテート、例えば、メチル、エチルまたはブチルアセテートまたはメチルアセトアセテート;アルコール、例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコール;芳香族系溶媒、例えば、トルエンまたはキシレン;脂環式炭化水素、例えば、シクロペンタンまたはシクロヘキサン;ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタンまたはトリクロロメタン;グリコールまたはそれらのエステル、例えば、PGMEA(プロピルグリコールモノメチルエーテルアセテート)、γ-ブチロラクトンから選択される。上記溶媒の二元、三元またはそれ以上の混合物を使用することも可能である。
【0297】
重合性LC材料が1種類以上の溶媒を含む場合、溶媒(1種類または多種類)中のRMを含む全固形分の総濃度は、好ましくは10~60%である。
【0298】
次に、この溶液は、例えばスピンコーティング、印刷、または他の公知の技術によって基板上にコーティングまたは印刷され、溶媒は、重合前に蒸発される。ほとんどの場合、溶媒の蒸発を促進するために混合物を加熱するのが適している。
【0299】
重合性LC材料は、スピンコーティング、バーコーティングまたはブレードコーティングなどの従来のコーティング技術によって基板上に適用され得る。これはまた、当業者に知られている通常の印刷技術、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、リールリール印刷、凸版印刷、グラビア印刷、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷、凹版印刷、パッド印刷、ヒートシール印刷、インクジェット印刷、またはスタンプもしくは印刷版による印刷によって基板に適用することもできる。
【0300】
適切なプラスチック基板は、専門家に公知であり、文献に例えば光学フィルム産業で使用されている従来の基板として記載されている。重合に特に適切で好ましい基板は、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)もしくはポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)トリアセチルセルロース(TAC)、またはシクロオレフィンポリマー(COP)、またはよく知られているカラーフィルター材料、特にトリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、またはよく知られているカラーフィルター材料である。
【0301】
重合性LC材料は、好ましくは層全体にわたって均一な配向を示す。好ましくは、重合性LC材料は、均一な平面またはホメオトロピック配向を示す。
【0302】
Friedel-Creagh-Kmetz則は、RM層と基板との表面エネルギーを比較することによって、混合物が平面配向またはホメオトロピック配向のどちらをとるかを予測するために使用され得る。
【0303】
γRM>γsの場合、反応性メソゲン化合物は、ホメオトロピック配向を示し、γRM<γsの場合、反応性メソゲン化合物は、ホメオトロピック配向を示す。
【0304】
基板の表面エネルギーが比較的低い場合、反応性メソゲン間の分子間力は、RM-基板界面を横切る力よりも強くなる。従って、分子間力を最大化するために、反応性メソゲンは、基板に対して垂直に配向する(ホメオトロピック配向)。
【0305】
ホメオトロピック配向は、両親媒性材料を使用して達成することもでき;それらが重合性LC材料に直接添加され得るか、または基板がホメオトロピック配向層の形でこれらの材料で処理され得る。両親媒性材料の極性頭部は、基板に化学的に結合し、炭化水素の尾部は、基板に対して垂直に向いている。両親媒性材料とRMとの間の分子間相互作用は、ホメオトロピック配向を促進する。よく使用される両親媒性の界面活性剤は、上記されている。
【0306】
ホメオトロピック配向を促進するために使用される別の方法は、プラスチック基板にコロナ放電処理を施し、基板表面にアルコールまたはケトン官能基を生成することである。これらの極性基は、RMまたは界面活性剤に存在する極性基と相互作用してホメオトロピック配向を促進することができる。
【0307】
基板の表面張力が、RMの表面張力よりも大きい場合、界面を横切る力が支配的になる。反応性メソゲンが基板と平行に並ぶ場合、界面エネルギーが最小化されるので、RMの長軸は、基板と相互作用し得る。
【0308】
片方向の平面配向は、基板をポリイミド層でコーティングし、次いで配向層をビロードの布で擦ることによって促進され得る。
【0309】
他の適切な配向層、例えば、米国特許第5,602,661号明細書、米国特許第5,389,698号明細書または米国特許第6,717,644号明細書に記載されている光配向によって調製された擦られたポリイミドまたは配向層は、当該技術分野において知られている。
【0310】
一般に配向技術の概要は例えば、I.Sage著、「Thermotropic Liquid Crystals」、G.W.Gray編、John Wiley&Sons社、1987年、第75~77頁;およびT.UchidaおよびH.Seki著「Liquid Crystals-Applications and Uses第3巻」、B.Bahadur編、World Scientific Publishing社、シンガポール、1992年、第1~63頁に記載されている。配向材料および技術のさらなる概要は、J.Cognard著、Mol.Cryst.Liq.Cryst.第78巻、追補第1巻(1981年)、第1~77頁に記載されている。
【0311】
本発明によるポリマーフィルムの製造のために、重合性LC材料中の重合性化合物は、(1つの化合物が2つ以上の重合性基を含む場合)インサイチュ重合によって重合または架橋される。
【0312】
重合は、1段階で行われ得る。第一段階で反応しなかった化合物を、第二段階で重合または架橋(「最終硬化」)することも可能である。
【0313】
好ましい調製方法では、重合性LC材料は、基板上にコーティングされ、続いて、例えば、国際公開第01/20394号、英国特許第2,315,072号明細書または国際公開第98/04651号に記載されているように、熱または化学線への曝露によって重合される。
【0314】
LC材料の重合は、好ましくは化学線に曝露することによって達成される。化学線とは、紫外線、赤外線または可視光線などの光を照射すること、X線またはガンマ線を照射すること、またはイオンまたは電子などの高エネルギー粒子を照射することを意味する。好ましくは、重合は、光照射、特にUV光による照射で行われる。化学線源として、例えば1つのUVランプまたはUVランプのセットが使用され得る。高いランプ電力を使用する場合、硬化時間が短縮され得る。別の可能性のある光放射源は、レーザー、例えば、UVレーザー、IRレーザー、または可視レーザーである。
【0315】
硬化時間は、とりわけ、重合性LC材料の反応性、コーティングされた層の厚さ、重合開始剤の種類およびUVランプの出力に依存する。硬化時間は、好ましくは5分以下、非常に好ましくは3分以下、最も好ましくは1分以下である。大量生産の場合、30秒以下の短い硬化時間が望ましい。
【0316】
適切な紫外線放射力は、好ましくは、5~200mWcm-2の範囲、より好ましくは、50~175mWcm-2の範囲、最も好ましくは、100~150mWcm-2の範囲である。
【0317】
照射された紫外線放射および時間に応じて、適切な紫外線量は、好ましくは25~7200mJcm-2の範囲、より好ましくは500~7200mJcm-2の範囲、最も好ましくは3000~7200mJcm-2の範囲である。
【0318】
重合は、好ましくは不活性ガス雰囲気下、好ましくは加熱窒素雰囲気下で行われるが、空気中での重合も可能である。
【0319】
重合は、好ましくは1~70℃、より好ましくは5~50℃、更により好ましくは15~30℃の温度で行われる。
【0320】
本発明による重合LCフィルムは、プラスチック基板、特にTAC、COP、およびカラーフィルターに対して良好な接着性を有する。従って、これは、後続のLC層のための接着剤またはベースコートとして使用することができ、そうでなければ基板にうまく接着しないであろう。
【0321】
本発明による重合LCフィルムの好ましい厚さは、フィルムまたは最終製品から望まれる光学特性によって決定される。例えば、重合LCフィルムが主に光学層として、例えば、接着剤層、配向層または保護層として作用しない場合、その厚さは、好ましくは1μm以下、特に0.5μm以下、非常に好ましくは0.2μm以下である。
【0322】
例えば、本発明の均一ホメオトロピックまたは平面配向ポリマーフィルムは、例えばLCDにおいて、大きな視野角でのコントラストおよび明るさを改善し、色度を低下させるための位相差または補償フィルムとして使用され得る。それらは、LCDにおいて切り替え可能な液晶セルの外側で、あるいは基板間で、通常、切り替え可能な液晶セルを形成し、切り替え可能な液晶媒体を含む、ガラス基板間で使用され得る(セル内用途)。
【0323】
ポリマーフィルムの光学用途のためには、これは、好ましくは0.5~10μm、非常に好ましくは0.5~5μm、特に0.5~3μmの厚さを有する。
【0324】
ポリマーフィルムの光学位相差(δ(λ))は、入射ビームの波長(λ)の関数として、次の式(7):
【数1】
によって示され、
式中、(Δn)はフィルムの複屈折率、(d)はフィルムの厚さ、λは入射ビームの波長である。
【0325】
スネリウスの法則によれば、入射ビームの方向の関数としての複屈折は、次のように
【数2】
によって定義され、
式中、sinθは、フィルム内の光軸の入射角または傾斜角であり、sinΨは対応する反射角である。
【0326】
これらの法則に基づくと、複屈折およびそれに応じた光学位相差は、フィルムの厚さおよびフィルム内の光軸の傾斜角に依存する(Berekの補償板を参照のこと)。従って当業者は、ポリマーフィルム中の液晶分子の配向を調整することによって、異なる光学位相差または異なる複屈折が引き起こされ得ることを認識している。
【0327】
本発明によるポリマーフィルムの複屈折率(Δn)は、好ましくは0.01~0.30の範囲、より好ましくは0.01~0.25の範囲、更により好ましくは0.01~0.16の範囲である。
【0328】
本発明によるポリマーフィルムの厚さの関数としての光学位相差は、200nm未満、好ましくは180nm未満、更により好ましくは150nm未満である。
【0329】
本発明のポリマーフィルムは、他の液晶材料またはRM材料の配向膜としても使用することができる。例えば、切替可能な液晶媒体の配向を誘導または改善するために、またはその上にコーティングされた後続の重合性LC材料の層を配向させるために、LCDに使用することができる。このようにして、重合性LC膜のスタックを調製することができる。
【0330】
要するに本発明による重合LCフィルムおよび重合性LC材料は、光学素子、例えば、液晶または効果顔料を製造するための、液晶ディスプレイまたは投影システムの、偏光子、補償子、配向層、円偏光子またはカラーフィルター、装飾用画像、特に空間的に変化する反射色を有する反射フィルムにおけるそれらの用途、例えば、装飾用、情報保管用またはセキュリティ用のマルチカラー画像として、例えば、身分証明書またはクレジットカード、紙幣などの偽造不可能な文書として有用である。
【0331】
本発明による重合LCフィルムは、透過型または反射型のディスプレイに使用され得る。それらは、従来のOLEDディスプレイまたはLCD、特にDAP(配向相の変形)またはVA(垂直配向)モードのLCD、例えば、ECB(電気制御複屈折)、CSH(カラースーパーホメオトロピック)、VANまたはVAC(垂直配向ネマチックまたはコレステリック)ディスプレイ、MVA(マルチドメイン垂直配向)またはPVA(パターン化垂直配向)ディスプレイにおいて、曲げモードまたはハイブリッド型ディスプレイのディスプレイ、例えば、OCB(光学補償ベンドセルまたは光学補償複屈折)、R-OCB(反射OCB)、HAN(ハイブリッド配向ネマチック)またはpi-セル(π-セル)ディスプレイにおいて、更にTN(ねじれネマチック)、HTN(高度ねじれネマチック)またはSTN(超ねじれネマチック)モードのディスプレイにおいて、AMD-TN(アクティブマトリックス駆動TN)ディスプレイ、またはIPS(インプレーンスイッチング)モードのディスプレイ(「スーパーTFT」ディスプレイとも呼ばれる)において使用され得る。特に、VA、MVA、PVA、OCB、およびpi-セルディスプレイが好ましい。
【0332】
本発明による重合性材料およびポリマーフィルムは、欧州特許第0829744号明細書、欧州特許第0887666号明細書、欧州特許第0887692号明細書、米国特許第6,046,849号明細書、米国特許第6,437,915号明細書および「Proceedings o the SID 20th International Display Research Conference,2000」、第280頁に記載された3Dディスプレイに特に有用である。本発明によるポリマーフィルムを含むこの種の3Dディスプレイは、本発明の別の対象である。
【0333】
本発明は、好ましい実施形態を特に参照して、上記および下記に説明されている。本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、様々な変更および修正が、本明細書において加えられ得ることが理解されるべきである。
【0334】
上記および下記の化合物またはその混合物の多くは市販されている。これらの化合物は全て公知であるか、または文献(例えばHouben-Weyl、Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg-Thieme-Verlag、シュトゥットガルトのような標準的な論文)に記載されているように、それ自体公知の方法により、公知で前述の反応に適した反応条件下で正確であるように製造され得る。それ自体は公知であるが、ここでは言及されていない変形も本明細書で使用されてよい。文脈上明らかに別段の指示がない限り、本明細書で使用されるように、本明細書での用語の複数形は、単数形を含むと解釈されるべきであり、その逆も同様である。
【0335】
本発明の前述の実施形態への変形は、本発明の範囲内に収まりつつも行われ得ることが理解されるであろう。
【0336】
同じ、同等の、または同様の目的を果たす代替的な特徴は、別段の記載がない限り、本明細書に開示された各特徴に取って代わることができる。従って、別段の記載がない限り、開示された各特徴は、同等または類似の特徴の一般的な一連の特徴の一例に過ぎない。
【0337】
本明細書に開示された特徴の全ては、そのような特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明のあらゆる側面に適用可能であり、任意の組み合わせで使用することができる。同様に、非必須の組み合わせに記載された特徴は、別々に使用されてもよい(組み合わせではない)。
【0338】
上述した特徴の多く、特に好ましい実施形態の特徴の多くは、それ自体が進歩的であり、本発明の実施形態の一部としてだけではないことが理解されるであろう。これらの特徴については、現在主張されている発明に加えて、またはそれに代わるものとして、独立した保護を求めることができる。
【0339】
以下の実施例を参照して、本発明を更に詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例0340】
<一般的な手順>
混合物をトルエン/シクロヘキサノン(7/3)中の固形分33.3%に溶解する。この溶液を、ラビングされたPIでコーティングされた未処理のガラス基板上に2000rpmでスピンコーティングする。フィルムを68℃で120秒間アニールし、 統合型コンベア、H電球を用いて、N2雰囲気下で硬化させる(95%出力、10m/分、約300mJ/cm2、UV B)。
【0341】
フィルムを感圧接着剤にラミネートし表面が開いた状態で放置して、全フィルムスタックはガラス/ポリマーフィルム/感圧接着剤であり、フィルムについて耐久性実験を行う。
【0342】
硬化されたフィルムの位相差および分散の差のUVストレス依存性を測定するために、Axoscanエリプソメータを使用して初期位相差および分散を決定する。次いでフィルムに、SuntestXLS+で198時間ストレス(350W/m2)を与える。試験後、位相差特性および分散を再び決定する。耐久性は、UV試験前後のRinおよび分散(R450/550)の差によって定量化される。
【0343】
<例1>
以下の混合物M1を以下の表に従い調製する。
【0344】
【0345】
混合物M1を3部に分け、それぞれ各部を
【化53】
と混合し、1部はそのままとする。
【0346】
上に記載した通り、それぞれの混合物を溶解、コーティング、硬化させ、位相差および分散の変化を日照試験の前後で決定する。結果を以下の表にまとめる。
【0347】
【0348】
<例2>
上に記載した通りの混合物M1を調製し、4部に分け、
【化54】
と混合し、1部はそのままとする。
【0349】
上に記載した通り、それぞれの混合物を溶解、コーティング、硬化させ、位相差および分散の変化を日照試験の前後で決定する。結果を以下の表にまとめる。
【0350】
【0351】
<例3>
以下の混合物M2を以下の表に従い調製する。
【0352】
【0353】
混合物M2を3部に分け、900ppmの安定剤-1および1500ppmの安定剤-2と混合し、1部はそのままとする。上に記載した通り、それぞれの混合物を溶解、コーティング、硬化させ、位相差および分散の変化を日照試験の前後で決定する。結果を以下の表にまとめる。
【0354】
【0355】
<例4>
以下の混合物M3を以下の表に従い調製する。
【0356】
【0357】
混合物M3を4部に分け、900ppmの安定剤-1、1500ppmの安定剤-2および900ppmの
【化55】
と混合し、1部はそのままとする。上に記載した通り、それぞれの混合物を溶解、コーティング、硬化させ、位相差および分散の変化を日照試験の前後で決定する。結果を以下の表にまとめる。
【0358】
【0359】
<例5>
以下の混合物M4を以下の表に従い調製する。
【0360】
【0361】
<例6>
以下の混合物M5を以下の表に従い調製する。
【0362】
【0363】
<例7>
以下の混合物M6を以下の表に従い調製する。
【0364】
【0365】
<例8>
以下の混合物M7を以下の表に従い調製する。
【0366】