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特開2024-133658プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133658
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240925BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240925BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/302 101C
H01L21/302 101D
H01L21/31 C
H05H1/46 R
H05H1/46 M
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024109623
(22)【出願日】2024-07-08
(62)【分割の表示】P 2023097775の分割
【原出願日】2019-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2019001662
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019018833
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】輿水 地塩
(72)【発明者】
【氏名】久保田 紳治
(57)【要約】
【課題】プラズマから基板に供給されるイオンのエネルギーを制御する技術を提供する。
【解決手段】例示的実施形態に係るプラズマ処理装置では、パルス状の負極性の直流電圧が周期的に下部電極に印加される。パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加される周期を規定する周波数は、プラズマを生成するために供給される高周波電力の周波数よりも低い。高周波電力は、周期内の第1の部分期間内で供給される。周期内の第2の部分期間における高周波電力のパワーレベルは、第1の部分期間における高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成された高周波電源であり、該高周波電力は第1の周波数を有する、該高周波電源と、
前記下部電極に電気的に接続されており、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数で規定される周期で周期的にパルス状の負極性の直流電圧を前記下部電極に印加するように構成されたバイアス電源と、
前記高周波電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記周期内の第1の部分期間内で前記高周波電力を供給し、前記周期内の第2の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルを前記第1の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように前記高周波電源を制御する、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加されない期間である、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加されない期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間である、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の部分期間において前記高周波電力の供給を停止するように前記高周波電源を制御する、請求項1~3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の部分期間において前記高周波電力のパルスを周期的に供給するように前記高周波電源を制御する、請求項1~4の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第1の部分期間において前記高周波電力の前記パルスが供給される周期を規定する周波数は、前記第2の周波数の2倍以上、且つ、前記第1の周波数の0.5倍以下である、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
プラズマ処理装置を用いるプラズマ処理方法であって、
該プラズマ処理装置は、
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成された高周波電源であり、該高周波電力は第1の周波数を有する、該高周波電源と、
前記下部電極に電気的に接続されたバイアス電源と、
を備え、
該プラズマ処理方法は、前記静電チャック上に基板が載置されている状態で該基板にプラズマ処理を行うために実行され、
前記第1の周波数よりも低い第2の周波数で規定される周期で周期的に前記バイアス電源から前記下部電極にパルス状の負極性の直流電圧を印加する工程と、
前記周期内の第1の部分期間内で前記高周波電源から前記高周波電力を供給する工程と、
前記周期内の第2の部分期間内で前記高周波電力のパワーレベルを前記第1の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定する工程と、
を含むプラズマ処理方法。
【請求項8】
前記第1の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加されない期間である、
請求項7に記載のプラズマ処理方法。
【請求項9】
前記第1の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加されない期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間である、
請求項7に記載のプラズマ処理方法。
【請求項10】
前記第2の部分期間において前記高周波電力の供給が停止される、請求項7~9の何れか一項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項11】
前記第1の部分期間において前記高周波電源から前記高周波電力のパルスが周期的に供給される、請求項7~10の何れか一項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項12】
前記第1の部分期間において前記高周波電力の前記パルスが供給される周期を規定する周波数は、前記第2の周波数の2倍以上、且つ、前記第1の周波数の0.5倍以下である、請求項11に記載のプラズマ処理方法。
【請求項13】
前記チャンバ内でプラズマが存在している期間であって前記第2の周波数で規定される前記周期の時間長よりも長い時間長を有する該期間において、前記高周波電源からの前記高周波電力の供給が停止されている状態で、前記第2の周波数で規定される該周期で周期的に前記バイアス電源から前記下部電極に前記パルス状の負極性の直流電圧を印加する工程を更に含む、請求項7~12の何れか一項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項14】
前記第2の周波数で規定される前記周期の時間長よりも長い時間長を有する期間において、前記バイアス電源からの前記下部電極に対する前記パルス状の負極性の直流電圧の印加が停止されている状態で、前記高周波電源から前記高周波電力を供給する工程を更に含む、請求項7~13のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に対するプラズマ処理では、プラズマ処理装置が用いられる。下記の特許文献1は、一種のプラズマ処理装置が記載されている。特許文献1に記載されたプラズマ処理装置は、チャンバ、電極、高周波電源、及び高周波バイアス電源を備えている。電極は、チャンバ内に設けられている。基板は、電極上に載置される。高周波電源は、チャンバ内で高周波電界を形成するために高周波電力のパルスを供給する。高周波バイアス電源は、電極に高周波バイアス電力のパルスを供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-64915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマから基板に供給されるイオンのエネルギーを制御する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、高周波電源、バイアス電源、及び制御部を備える。基板支持器は、下部電極及び静電チャックを有する。静電チャックは、下部電極上に設けられている。基板支持器は、チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成されている。高周波電源は、チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成されている。高周波電力は、第1の周波数を有する。バイアス電源は、下部電極に電気的に接続されている。バイアス電源は、第2の周波数で規定される周期で周期的にパルス状の負極性の直流電圧を下部電極に印加するように構成されている。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い。制御部は、高周波電源を制御するように構成されている。制御部は、周期内の第1の部分期間内で高周波電力を供給するように高周波電源を制御する。制御部は、周期内の第2の部分期間における高周波電力のパワーレベルを、第1の部分期間における高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように高周波電源を制御する。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、プラズマから基板に供給されるイオンのエネルギーを制御する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図2】一例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。
図3】別の例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。
図4】更に別の例に係るパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。
図5】更に別の例に係る高周波電力のタイミングチャートである。
図6】更に別の例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。
図7】更に別の例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。
図8図8の(a)及び図8の(b)の各々は、更に別の例に係るパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。
図9】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、高周波電源、バイアス電源、及び制御部を備える。基板支持器は、下部電極及び静電チャックを有する。静電チャックは、下部電極上に設けられている。基板支持器は、チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成されている。高周波電源は、チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成されている。高周波電力は、第1の周波数を有する。バイアス電源は、下部電極に電気的に接続されている。バイアス電源は、第2の周波数で規定される周期で周期的にパルス状の負極性の直流電圧を下部電極に印加するように構成されている。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い。制御部は、高周波電源を制御するように構成されている。制御部は、周期内の第1の部分期間内で高周波電力を供給するように高周波電源を制御する。制御部は、周期内の第2の部分期間における高周波電力のパワーレベルを、第1の部分期間における高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように高周波電源を制御する。
【0010】
上記実施形態では、パルス状の負極性の直流電圧が、第2の周波数で規定される周期(以下、「パルス周期」という)で周期的に下部電極に供給される。パルス周期内では、基板の電位が変動する。パルス周期内の第1の部分期間では、パルス周期内の第2の部分期間における高周波電力のパワーレベルよりも高いパワーレベルを有する高周波電力が供給される。したがって、基板に供給されるイオンのエネルギーは、パルス周期内での第1の部分期間及び第2の部分期間の各々の時間範囲の設定に依存する。故に、上記実施形態によれば、プラズマから基板に供給されるイオンのエネルギーを制御することが可能となる。
【0011】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加される期間であってもよい。第2の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加されない期間であってもよい。この実施形態によれば、比較的高いエネルギーを有するイオンが基板に供給され得る。
【0012】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加されない期間であってもよい。2の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加される期間であってもよい。この実施形態によれば、比較的低いエネルギーを有するイオンが基板に供給され得る。
【0013】
一つの例示的実施形態において、制御部は、第2の部分期間において高周波電力の供給を停止するように高周波電源を制御してもよい。即ち、制御部は、パルス周期で周期的に高周波電力のパルスを供給するように、高周波電源を制御してもよい。
【0014】
一つの例示的実施形態において、制御部は、第1の部分期間において高周波電力のパルスを周期的に供給するように高周波電源を制御してもよい。
【0015】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間内で高周波電力のパルスが供給される周期を規定する周波数は、第2の周波数の2倍以上、且つ、第1の周波数の0.5倍以下であってもよい。
【0016】
別の例示的実施形態において、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法において用いられるプラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、高周波電源、及びバイアス電源を備える。基板支持器は、下部電極及び静電チャックを有する。静電チャックは、下部電極上に設けられている。基板支持器は、チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成されている。高周波電源は、チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成されている。高周波電力は第1の周波数を有する。バイアス電源は、下部電極に電気的に接続されている。プラズマ処理方法は、静電チャック上に基板が載置されている状態で該基板にプラズマ処理を行うために実行される。プラズマ処理方法は、第2の周波数で規定される周期(即ち、パルス周期)で周期的にバイアス電源から下部電極にパルス状の負極性の直流電圧を印加する工程を含む。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い。プラズマ処理方法は、周期内の第1の部分期間内で高周波電源から高周波電力を供給する工程を更に含む。プラズマ処理方法は、周期内の第2の部分期間における高周波電力のパワーレベルを第1の部分期間における高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定する工程を更に含む。
【0017】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加される期間であってもよい。第2の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加されない期間であってもよい。
【0018】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加されない期間であってもよい。第2の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間であってもよい。
【0019】
一つの例示的実施形態において、高周波電力の供給が第2の部分期間において停止されてもよい。
【0020】
一つの例示的実施形態において、高周波電源から高周波電力のパルスが、第1の部分期間において周期的に供給されてもよい。
【0021】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間内で高周波電力のパルスが供給される周期を規定する周波数は、第2の周波数の2倍以上、且つ、第1の周波数の0.5倍以下であってもよい。
【0022】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法は、チャンバ内でプラズマが存在している期間において、上記パルス周期で周期的にバイアス電源から下部電極にパルス状の負極性の直流電圧を印加する工程を更に含んでいてもよい。この期間は、第2の周波数で規定される周期の時間長よりも長い時間長を有する。この期間において、高周波電源からの高周波電力の供給が停止される。
【0023】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法は、上記パルス周期の時間長よりも長い時間長を有する期間において、高周波電源から高周波電力を供給する工程を更に含んでいてもよい。この期間では、バイアス電源からの下部電極に対するパルス状の負極性の直流電圧の印加が停止される。
【0024】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0025】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。図1に示すプラズマ処理装置1は、容量結合型のプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供している。内部空間10sの中心軸線は、鉛直方向に延びる軸線AXである。
【0026】
一実施形態において、チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいる。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。内部空間10sは、チャンバ本体12の中に提供されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから構成されている。チャンバ本体12は電気的に接地されている。チャンバ本体12の内壁面、即ち内部空間10sを画成する壁面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0027】
チャンバ本体12の側壁には通路12pが形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。この通路12pの開閉のために、ゲートバルブ12gがチャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0028】
プラズマ処理装置1は、基板支持器16を更に備える。基板支持器16は、チャンバ10の中で、その上に載置された基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略円盤形状を有する。基板支持器16は、支持部17によって支持されている。支持部17は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部17は、略円筒形状を有している。支持部17は、石英といった絶縁材料から形成されている。
【0029】
基板支持器16は、下部電極18及び静電チャック20を有する。下部電極18及び静電チャック20は、チャンバ10の中に設けられている。下部電極18は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。
【0030】
下部電極18内には、流路18fが形成されている。流路18fは、熱交換媒体用の流路である。熱交換媒体としては、液状の冷媒、或いは、その気化によって下部電極18を冷却する冷媒(例えば、フロン)が用いられる。流路18fには、熱交換媒体の供給装置(例えば、チラーユニット)が接続されている。この供給装置は、チャンバ10の外部に設けられている。流路18fには、供給装置から配管23aを介して熱交換媒体が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管23bを介して供給装置に戻される。
【0031】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。基板Wは、内部空間10sの中で処理されるときに、静電チャック20上に載置され、静電チャック20によって保持される。
【0032】
静電チャック20は、本体及び電極を有している。静電チャック20の本体は、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムといった誘電体から形成されている。静電チャック20の本体は、略円盤形状を有している。静電チャック20の中心軸線は、軸線AXに略一致している。静電チャック20の電極は、本体内に設けられている。静電チャック20の電極は、膜形状を有している。静電チャック20の電極には、直流電源がスイッチを介して電気的に接続されている。直流電源からの電圧が静電チャック20の電極に印加されると、静電チャック20と基板Wとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは静電チャック20に引き付けられ、静電チャック20によって保持される。
【0033】
静電チャック20は、基板載置領域を含んでいる。基板載置領域は、略円盤形状を有する領域である。基板載置領域の中心軸線は、軸線AXに略一致している。基板Wは、チャンバ10内で処理されるときには、基板載置領域の上面の上に載置される。
【0034】
一実施形態において、静電チャック20は、エッジリング載置領域を更に含んでいてもよい。エッジリング載置領域は、静電チャック20の中心軸線の周りで基板載置領域を囲むように周方向に延在している。エッジリング載置領域の上面の上にはエッジリングERが搭載される。エッジリングERは、環形状を有している。エッジリングERは、軸線AXにその中心軸線が一致するように、エッジリング載置領域上に載置される。基板Wは、エッジリングERによって囲まれた領域内に配置される。即ち、エッジリングERは、基板Wのエッジを囲むように配置される。エッジリングERは、導電性を有し得る。エッジリングERは、例えばシリコン又は炭化ケイ素から形成されている。エッジリングERは、石英といった誘電体から形成されていてもよい。
【0035】
プラズマ処理装置1は、ガス供給ライン25を更に備え得る。ガス供給ライン25は、ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャック20の上面と基板Wの裏面(下面)との間の間隙に供給する。
【0036】
プラズマ処理装置1は、絶縁領域27を更に備え得る。絶縁領域27は、支持部17上に配置されている。絶縁領域27は、軸線AXに対して径方向において下部電極18の外側に配置されている。絶縁領域27は、下部電極18の外周面に沿って周方向に延在している。絶縁領域27は、石英といった絶縁体から形成されている。エッジリングERは、絶縁領域27及びエッジリング載置領域上に載置される。
【0037】
プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、基板支持器16の上方に設けられている。上部電極30は、部材32と共にチャンバ本体12の上部開口を閉じている。部材32は、絶縁性を有している。上部電極30は、この部材32を介してチャンバ本体12の上部に支持されている。
【0038】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含んでいる。天板34の下面は、内部空間10sを画成している。天板34には、複数のガス吐出孔34aが形成されている。複数のガス吐出孔34aの各々は、天板34を板厚方向(鉛直方向)に貫通している。この天板34は、限定されるものではないが、例えばシリコンから形成されている。或いは、天板34は、アルミニウム製の部材の表面に耐プラズマ性の膜を設けた構造を有し得る。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0039】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持している。支持体36は、例えばアルミニウムといった導電性材料から形成されている。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。ガス拡散室36aからは、複数のガス孔36bが下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入ポート36cが形成されている。ガス導入ポート36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入ポート36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0040】
ガス供給管38には、ガスソース群40が、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43を介して接続されている。ガスソース群40、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43は、ガス供給部を構成している。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。バルブ群41及びバルブ群43の各々は、複数のバルブ(例えば開閉バルブ)を含んでいる。流量制御器群42は、複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群42の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群41の対応のバルブ、流量制御器群42の対応の流量制御器、及びバルブ群43の対応のバルブを介して、ガス供給管38に接続されている。プラズマ処理装置1は、ガスソース群40の複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスを、個別に調整された流量で、内部空間10sに供給することが可能である。
【0041】
基板支持器16又は支持部17とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウム製の部材に酸化イットリウム等のセラミックを被覆することにより構成され得る。このバッフルプレート48には、多数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方においては、排気管52がチャンバ本体12の底部に接続されている。この排気管52には、排気装置50が接続されている。排気装置50は、自動圧力制御弁といった圧力制御器、及び、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、内部空間10sの圧力を減圧することができる。
【0042】
プラズマ処理装置1は、高周波電源61を更に備えている。高周波電源61は、高周波電力RFを発生する電源である。高周波電力RFは、チャンバ10内のガスからプラズマを生成するために用いられる。高周波電力RFは、第1の周波数を有する。第1の周波数は、27~100MHzの範囲内の周波数、例えば40MHz又は60MHzの周波数である。高周波電源61は、高周波電力RFを下部電極18に供給するために、整合回路63を介して下部電極18に接続されている。整合回路63は、高周波電源61の出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを整合させるよう構成されている。なお、高周波電源61は、下部電極18に電気的に接続されていなくてもよく、整合回路63を介して上部電極30に接続されていてもよい。
【0043】
プラズマ処理装置1は、バイアス電源62を更に備えている。バイアス電源62は、下部電極18に電気的に接続されている。一実施形態において、バイアス電源62は、ローパスフィルタ64を介して下部電極18に電気的に接続されている。バイアス電源62は、第2の周波数で規定される周期P、即ちパルス周期で周期的にパルス状の負極性の直流電圧PVを下部電極18に印加するように構成されている。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い。第2の周波数は、例えば、50kHz以上、27MHz以下である。
【0044】
プラズマ処理装置1においてプラズマ処理が行われる場合には、内部空間10sにガスが供給される。そして、高周波電力RFが供給されることにより、内部空間10sの中でガスが励起される。その結果、内部空間10sの中でプラズマが生成される。基板支持器16によって支持された基板Wは、プラズマからのイオン及びラジカルといった化学種により処理される。例えば、基板は、プラズマからの化学種によりエッチングされる。プラズマ処理装置1では、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されることにより、プラズマからのイオンが基板Wに向けて加速される。
【0045】
プラズマ処理装置1は、制御部MCを更に備える。制御部MCは、プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、プラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部MCは、記憶装置に記憶されている制御プログラムを実行し、当該記憶装置に記憶されているレシピデータに基づいてプラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部MCによる制御により、レシピデータによって指定されたプロセスがプラズマ処理装置1において実行される。後述するプラズマ処理方法は、制御部MCによるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において実行され得る。
【0046】
制御部MCは、周期P内の第1の部分期間P内の少なくとも一部の期間において高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御する。プラズマ処理装置1では、高周波電力RFは、下部電極18に供給される。或いは、高周波電力RFは、上部電極30に供給されてもよい。制御部MCは、周期P内の第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルを、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定する。即ち、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFの一つ以上のパルスPRFを供給するように高周波電源61を制御する。
【0047】
第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルは、0[W]であってもよい。即ち、制御部MCは、第2の部分期間Pにおいては、高周波電力RFの供給を停止するように、高周波電源61を制御してもよい。或いは、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルは、0[W]よりも大きくてもよい。
【0048】
制御部MCは、同期パルス、遅延時間長、及び供給時間長が制御部MCを高周波電源61に与えるように構成されている。同期パルスは、パルス状の負極性の直流電圧PVに同期されている。遅延時間長は、同期パルスによって特定される周期Pの開始時点からの遅延時間長である。供給時間長は、高周波電力RFの供給時間の長さである。高周波電源61は、周期Pの開始時点に対して遅延時間長だけ遅れた時点から供給時間長の間、高周波電力RFの一つ以上のパルスPRFを供給する。その結果、第1の部分期間Pにおいて、高周波電力RFが下部電極18に供給される。なお、遅延時間長は、ゼロであってもよい。
【0049】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、電圧センサ78を更に備えていてもよい。電圧センサ78は、基板Wの電位を直接的に又は間接的に測定するように構成されている。図1に示す例では、電圧センサ78は、下部電極18の電位を測定するように構成されている。具体的には、電圧センサ78は、下部電極18とバイアス電源62との間で接続されている給電路の電位を測定する。
【0050】
制御部MCは、電圧センサ78によって測定された基板Wの電位が周期Pにおける基板Wの電位の平均値VAVEよりも高いか又は低い期間を第1の部分期間Pとして決定してもよい。制御部MCは、電圧センサ78によって測定された基板Wの電位が平均値VAVEよりも低いか又は高い期間を第2の部分期間Pとして決定してもよい。基板Wの電位の平均値VAVEは、予め定められた値であってもよい。制御部MCは、決定した第1の部分期間Pにおいて上述したように高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御し得る。また、制御部MCは、決定した第2の部分期間Pにおいて上述したように高周波電力RFのパワーレベルを設定するように高周波電源61を制御し得る。
【0051】
プラズマ処理装置1では、パルス状の負極性の直流電圧PVが周期Pで周期的に下部電極18に供給されるので、基板Wの電位が周期P内において変動する。周期P内の第1の部分期間Pでは、周期P内の第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルよりも高いパワーレベルを有する高周波電力RFが供給される。したがって、基板Wに供給されるイオンのエネルギーは、周期P内での第1の部分期間P及び第2の部分期間Pの各々の時間範囲の設定に依存する。故に、プラズマ処理装置1によれば、プラズマから基板Wに供給されるイオンのエネルギーを制御することが可能となる。
【0052】
図2は、一例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。図2において、「VO」は、バイアス電源62の出力電圧を示しており、「RF」は、高周波電力RFのパワーレベルを示している。図2に示す例では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間である。図2に示す例では、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間である。図2に示す例では、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFの一つのパルスPRFが供給されている。この例によれば、比較的高いエネルギーを有するイオンが基板Wに供給され得る。
【0053】
図3は、別の例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。図3において、「VO」は、バイアス電源62の出力電圧を示しており、「RF」は、高周波電力RFのパワーレベルを示している。図3に示す例では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間である。図3に示す例では、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間である。図3に示す例では、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFの一つのパルスPRFが供給されている。この例によれば、比較的低いエネルギーを有するイオンが基板Wに供給され得る。
【0054】
図4は、更に別の例に係るパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。図4において、「VO」は、バイアス電源62の出力電圧を示している。図4に示すように、パルス状の負極性の直流電圧PVの電圧レベルは、それが下部電極18に印加されている期間内において、変化してもよい。図4に示す例では、パルス状の負極性の直流電圧PVの電圧レベルは、それが下部電極18に印加されている期間内において、低下している。即ち、図4に示す例では、パルス状の負極性の直流電圧PVの電圧レベルの絶対値は、それが下部電極18に印加されている期間内において、増加している。なお、パルス状の負極性の直流電圧PVは、第1の部分期間Pにおいて下部電極18に印加されてもよく、或いは、第2の部分期間Pにおいて下部電極18に印加されてもよい。
【0055】
図5は、更に別の例に係る高周波電力のタイミングチャートである。図5において、「RF」は、高周波電力RFのパワーレベルを示している。図5に示すように、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて、高周波電力RFの複数のパルスPRFを順に供給するように高周波電源61を制御してもよい。即ち、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて、複数のパルスPRFを含むパルス群PGを供給するように高周波電源61を制御してもよい。第1の部分期間Pにおいて、高周波電力RFのパルスPRFは、周期的に供給されてもよい。第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFのパルスPRFが供給される周期PRFGを規定する周波数は、第2の周波数の2倍以上、且つ、第1の周波数の0.5倍以下であり得る。
【0056】
図6は、更に別の例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。図6において、「VO」は、バイアス電源62の出力電圧を示しており、「RF」は、高周波電力RFのパワーレベルを示している。プラズマ処理装置1は、図2又は図3に示す例のように、期間Pにおいて、パルス状の負極性の直流電圧PVを周期Pで周期的に下部電極18に印加し、且つ、周期P内において高周波電力RFの一つ以上のパルスPRFを供給する。図6に示すように、制御部MCは、別の期間Pにおいて、高周波電力RFの供給を停止するように高周波電源61を制御してもよい。期間Pにおいて、制御部MCは、高周波電力RFの供給が停止されている状態で、周期Pで周期的に下部電極18にパルス状の負極性の直流電圧PVを印加するようにバイアス電源62を制御してもよい。期間Pは、周期Pの時間長よりも長い時間長を有する期間である。期間Pは、チャンバ10内でプラズマが存在している期間であり得る。期間Pは、例えば、期間Pに続く期間であり得る。
【0057】
図7は、更に別の例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。図7において、「VO」は、バイアス電源62の出力電圧を示しており、「RF」は、高周波電力RFのパワーレベルを示している。図7に示すように、制御部MCは、別の期間Pにおいて、下部電極18に対するパルス状の負極性の直流電圧PVの印加を停止するようにバイアス電源62を制御してもよい。期間Pにおいて、制御部MCは、下部電極18に対するパルス状の負極性の直流電圧PVの印加が停止されている状態で、高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御してもよい。制御部MCは、期間Pにおいて、高周波電力RFのパルスPRF又はパルス群PGを周期的に供給するように高周波電源61を制御し得る。期間Pにおける高周波電力RFのパルスPRF又はパルス群PGの供給の周期PRFCは、期間Pにおける高周波電力RFのパルスPRF又はパルス群PGの供給の周期、即ち周期Pと同じ周期であり得る。なお、期間Pにおいても、パルス群PGを形成する高周波電力RFのパルスPRFの供給の周期PRFGを規定する周波数は、第2の周波数の2倍以上、且つ、第1の周波数の0.5倍以下であり得る。
【0058】
図8の(a)及び図8の(b)の各々は、更に別の例に係るパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。図8の(a)に示す例におけるバイアス電源62の出力電圧VOは、その極性が第2の部分期間P内且つ第1の部分期間Pの直前に正極性に変更されている点で、図2に示す例におけるバイアス電源62の出力電圧VOと異なっている。即ち、図8の(a)に示す例では、正極性の直流電圧が、第2の部分期間P内且つ第1の部分期間Pの直前に、バイアス電源62から下部電極18に印加されている。なお、パルス状の負極性の直流電圧PVが第1の部分期間P内に下部電極18に印加される場合には、第2の部分期間Pの少なくとも一部において、正極性の直流電圧がバイアス電源62から下部電極18に印加されてもよい。
【0059】
図8の(b)に示す例におけるバイアス電源62の出力電圧VOは、その極性が第1の部分期間P内且つ第2の部分期間Pの直前に正極性に変更されている点で、図3に示す例におけるバイアス電源62の出力電圧VOと異なっている。即ち、図8の(b)に示す例では、正極性の直流電圧が、第1の部分期間P内且つ第2の部分期間Pの直前に、バイアス電源62から下部電極18に印加されている。なお、パルス状の負極性の直流電圧PVが第2の部分期間P内に下部電極18に印加される場合には、第1の部分期間Pの少なくとも一部において、正極性の直流電圧がバイアス電源62から下部電極18に印加されてもよい。
【0060】
以下、図9を参照する。図9は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法を示す流れ図である。図9に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MT」という)は、上述したプラズマ処理装置1を用いて実行され得る。
【0061】
方法MTは、静電チャック20上に基板Wが載置されている状態で実行される。方法MTは、基板Wにプラズマ処理を行うために実行される。方法MTでは、ガスがガス供給部からチャンバ10内に供給される。そして、チャンバ10内のガスの圧力が指定された圧力に排気装置50によって設定される。
【0062】
方法MTでは、工程ST1が実行される。工程ST1では、バイアス電源62から下部電極18にパルス状の負極性の直流電圧PVが周期Pで周期的に印加される。
【0063】
工程ST2は、周期P内の第1の部分期間Pにおいて実行される。工程ST3は、周期P内の第2の部分期間Pにおいて実行される。第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間であってもよい。第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間であってもよい。或いは、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間であってもよい。第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間であってもよい。
【0064】
工程ST2では、プラズマの生成のために、高周波電源61から高周波電力RFが供給される。第1の部分期間Pにおいては、高周波電力RFの一つ以上のパルスPRFが供給され得る。第1の部分期間Pにおいては、高周波電力RFの複数のパルスPRFが順に供給されてもよい。即ち、第1の部分期間Pにおいて、複数のパルスPRFを含むパルス群PGが供給されてもよい。第1の部分期間Pにおいて、高周波電力RFのパルスPRFは、周期的に供給されてもよい。第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFのパルスPRFが供給される周期PRFGを規定する周波数は、第2の周波数の2倍以上、且つ、第1の周波数の0.5倍以下であり得る。
【0065】
工程ST3では、周期P内の第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルが、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定される。第2の部分期間Pにおいて高周波電力RFの供給は停止されてもよい。
【0066】
工程ST1~工程ST3は、上述した期間Pにおいて実行され得る。方法MTでは、期間P図6参照)において、高周波電源61からの高周波電力RFの供給が停止されている状態で、周期Pで周期的にバイアス電源62から下部電極18にパルス状の負極性の直流電圧PVが印加されてもよい。上述したように、期間Pは、周期Pの時間長よりも長い時間長を有する期間である。期間Pは、チャンバ10内でプラズマが存在している期間であり得る。期間Pは、例えば、期間Pに続く期間であり得る。
【0067】
方法MTでは、別の期間P図7参照)において、バイアス電源62からの下部電極18に対するパルス状の負極性の直流電圧PVの印加が停止されている状態で、高周波電源61から高周波電力RFが供給されてもよい。期間Pにおいて、制御部MCは、下部電極18に対するパルス状の負極性の直流電圧PVの印加が停止されている状態で、高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御してもよい。期間Pにおいては、高周波電力RFのパルスPRF又はパルス群PGが高周波電源61から周期的に供給されてもよい。期間Pにおける高周波電力RFのパルスPRF又はパルス群PGの供給の周期PRFCは、期間Pにおける高周波電力RFのパルスPRF又はパルス群PGの供給の周期、即ち周期Pと同じ周期であり得る。なお、期間Pにおいても、パルス群PGを形成する高周波電力RFのパルスPRFの供給の周期PRFGを規定する周波数は、第2の周波数の2倍以上、且つ、第1の周波数の0.5倍以下であり得る。
【0068】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0069】
別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、プラズマ処理装置1とは異なる容量結合型のプラズマ処理装置であってもよい。また、更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、誘導結合型プラズマ処理装置であってもよい。また、更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマ処理装置であってもよい。また、更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、マイクロ波といった表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置であってもよい。
【0070】
また、周期Pは、第1の部分期間P及び第2の部分期間Pを含む三つ以上の部分期間から構成されていてもよい。周期P内の三つ以上の部分期間の時間長は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。三つ以上の部分期間の各々における高周波電力RFのパワーレベルは、前後の部分期間における高周波電力RFのパワーレベルとは異なるパワーレベルに設定され得る。
【0071】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0072】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、16…基板支持器、18…下部電極、20…静電チャック、61…高周波電源、62…バイアス電源、MC…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成された高周波電源であり、該高周波電力は第1の周波数を有する、該高周波電源と、
前記下部電極に電気的に接続されており、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数で規定される周期で周期的にパルス状の負極性の直流電圧を前記下部電極に印加するように構成されたバイアス電源と、
前記高周波電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記周期内の第1の部分期間内で前記高周波電力を供給し、前記周期内の第2の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルを前記第1の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように前記高周波電源を制御する、
プラズマ処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に対するプラズマ処理では、プラズマ処理装置が用いられる。下記の特許文献1は、一種のプラズマ処理装置が記載されている。特許文献1に記載されたプラズマ処理装置は、チャンバ、電極、高周波電源、及び高周波バイアス電源を備えている。電極は、チャンバ内に設けられている。基板は、電極上に載置される。高周波電源は、チャンバ内で高周波電界を形成するために高周波電力のパルスを供給する。高周波バイアス電源は、電極に高周波バイアス電力のパルスを供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-64915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマから基板に供給されるイオンのエネルギーを制御する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、高周波電源、バイアス電源、及び制御部を備える。基板支持器は、下部電極及び静電チャックを有する。静電チャックは、下部電極上に設けられている。基板支持器は、チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成されている。高周波電源は、チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成されている。高周波電力は、第1の周波数を有する。バイアス電源は、下部電極に電気的に接続されている。バイアス電源は、第2の周波数で規定される周期で周期的にパルス状の負極性の直流電圧を下部電極に印加するように構成されている。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い。制御部は、高周波電源を制御するように構成されている。制御部は、周期内の第1の部分期間内で高周波電力を供給するように高周波電源を制御する。制御部は、周期内の第2の部分期間における高周波電力のパワーレベルを、第1の部分期間における高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように高周波電源を制御する。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、プラズマから基板に供給されるイオンのエネルギーを制御する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図2】一例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。
図3】別の例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。
図4】更に別の例に係るパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。
図5】更に別の例に係る高周波電力のタイミングチャートである。
図6】更に別の例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。
図7】更に別の例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。
図8図8の(a)及び図8の(b)の各々は、更に別の例に係るパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。
図9】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、高周波電源、バイアス電源、及び制御部を備える。基板支持器は、下部電極及び静電チャックを有する。静電チャックは、下部電極上に設けられている。基板支持器は、チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成されている。高周波電源は、チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成されている。高周波電力は、第1の周波数を有する。バイアス電源は、下部電極に電気的に接続されている。バイアス電源は、第2の周波数で規定される周期で周期的にパルス状の負極性の直流電圧を下部電極に印加するように構成されている。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い。制御部は、高周波電源を制御するように構成されている。制御部は、周期内の第1の部分期間内で高周波電力を供給するように高周波電源を制御する。制御部は、周期内の第2の部分期間における高周波電力のパワーレベルを、第1の部分期間における高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように高周波電源を制御する。
【0010】
上記実施形態では、パルス状の負極性の直流電圧が、第2の周波数で規定される周期(以下、「パルス周期」という)で周期的に下部電極に供給される。パルス周期内では、基板の電位が変動する。パルス周期内の第1の部分期間では、パルス周期内の第2の部分期間における高周波電力のパワーレベルよりも高いパワーレベルを有する高周波電力が供給される。したがって、基板に供給されるイオンのエネルギーは、パルス周期内での第1の部分期間及び第2の部分期間の各々の時間範囲の設定に依存する。故に、上記実施形態によれば、プラズマから基板に供給されるイオンのエネルギーを制御することが可能となる。
【0011】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加される期間であってもよい。第2の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加されない期間であってもよい。この実施形態によれば、比較的高いエネルギーを有するイオンが基板に供給され得る。
【0012】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加されない期間であってもよい。2の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加される期間であってもよい。この実施形態によれば、比較的低いエネルギーを有するイオンが基板に供給され得る。
【0013】
一つの例示的実施形態において、制御部は、第2の部分期間において高周波電力の供給を停止するように高周波電源を制御してもよい。即ち、制御部は、パルス周期で周期的に高周波電力のパルスを供給するように、高周波電源を制御してもよい。
【0014】
一つの例示的実施形態において、制御部は、第1の部分期間において高周波電力のパルスを周期的に供給するように高周波電源を制御してもよい。
【0015】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間内で高周波電力のパルスが供給される周期を規定する周波数は、第2の周波数の2倍以上、且つ、第1の周波数の0.5倍以下であってもよい。
【0016】
別の例示的実施形態において、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法において用いられるプラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、高周波電源、及びバイアス電源を備える。基板支持器は、下部電極及び静電チャックを有する。静電チャックは、下部電極上に設けられている。基板支持器は、チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成されている。高周波電源は、チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成されている。高周波電力は第1の周波数を有する。バイアス電源は、下部電極に電気的に接続されている。プラズマ処理方法は、静電チャック上に基板が載置されている状態で該基板にプラズマ処理を行うために実行される。プラズマ処理方法は、第2の周波数で規定される周期(即ち、パルス周期)で周期的にバイアス電源から下部電極にパルス状の負極性の直流電圧を印加する工程を含む。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い。プラズマ処理方法は、周期内の第1の部分期間内で高周波電源から高周波電力を供給する工程を更に含む。プラズマ処理方法は、周期内の第2の部分期間における高周波電力のパワーレベルを第1の部分期間における高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定する工程を更に含む。
【0017】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加される期間であってもよい。第2の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加されない期間であってもよい。
【0018】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加されない期間であってもよい。第2の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間であってもよい。
【0019】
一つの例示的実施形態において、高周波電力の供給が第2の部分期間において停止されてもよい。
【0020】
一つの例示的実施形態において、高周波電源から高周波電力のパルスが、第1の部分期間において周期的に供給されてもよい。
【0021】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間内で高周波電力のパルスが供給される周期を規定する周波数は、第2の周波数の2倍以上、且つ、第1の周波数の0.5倍以下であってもよい。
【0022】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法は、チャンバ内でプラズマが存在している期間において、上記パルス周期で周期的にバイアス電源から下部電極にパルス状の負極性の直流電圧を印加する工程を更に含んでいてもよい。この期間は、第2の周波数で規定される周期の時間長よりも長い時間長を有する。この期間において、高周波電源からの高周波電力の供給が停止される。
【0023】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法は、上記パルス周期の時間長よりも長い時間長を有する期間において、高周波電源から高周波電力を供給する工程を更に含んでいてもよい。この期間では、バイアス電源からの下部電極に対するパルス状の負極性の直流電圧の印加が停止される。
【0024】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0025】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。図1に示すプラズマ処理装置1は、容量結合型のプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供している。内部空間10sの中心軸線は、鉛直方向に延びる軸線AXである。
【0026】
一実施形態において、チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいる。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。内部空間10sは、チャンバ本体12の中に提供されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから構成されている。チャンバ本体12は電気的に接地されている。チャンバ本体12の内壁面、即ち内部空間10sを画成する壁面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0027】
チャンバ本体12の側壁には通路12pが形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。この通路12pの開閉のために、ゲートバルブ12gがチャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0028】
プラズマ処理装置1は、基板支持器16を更に備える。基板支持器16は、チャンバ10の中で、その上に載置された基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略円盤形状を有する。基板支持器16は、支持部17によって支持されている。支持部17は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部17は、略円筒形状を有している。支持部17は、石英といった絶縁材料から形成されている。
【0029】
基板支持器16は、下部電極18及び静電チャック20を有する。下部電極18及び静電チャック20は、チャンバ10の中に設けられている。下部電極18は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。
【0030】
下部電極18内には、流路18fが形成されている。流路18fは、熱交換媒体用の流路である。熱交換媒体としては、液状の冷媒、或いは、その気化によって下部電極18を冷却する冷媒(例えば、フロン)が用いられる。流路18fには、熱交換媒体の供給装置(例えば、チラーユニット)が接続されている。この供給装置は、チャンバ10の外部に設けられている。流路18fには、供給装置から配管23aを介して熱交換媒体が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管23bを介して供給装置に戻される。
【0031】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。基板Wは、内部空間10sの中で処理されるときに、静電チャック20上に載置され、静電チャック20によって保持される。
【0032】
静電チャック20は、本体及び電極を有している。静電チャック20の本体は、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムといった誘電体から形成されている。静電チャック20の本体は、略円盤形状を有している。静電チャック20の中心軸線は、軸線AXに略一致している。静電チャック20の電極は、本体内に設けられている。静電チャック20の電極は、膜形状を有している。静電チャック20の電極には、直流電源がスイッチを介して電気的に接続されている。直流電源からの電圧が静電チャック20の電極に印加されると、静電チャック20と基板Wとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは静電チャック20に引き付けられ、静電チャック20によって保持される。
【0033】
静電チャック20は、基板載置領域を含んでいる。基板載置領域は、略円盤形状を有する領域である。基板載置領域の中心軸線は、軸線AXに略一致している。基板Wは、チャンバ10内で処理されるときには、基板載置領域の上面の上に載置される。
【0034】
一実施形態において、静電チャック20は、エッジリング載置領域を更に含んでいてもよい。エッジリング載置領域は、静電チャック20の中心軸線の周りで基板載置領域を囲むように周方向に延在している。エッジリング載置領域の上面の上にはエッジリングERが搭載される。エッジリングERは、環形状を有している。エッジリングERは、軸線AXにその中心軸線が一致するように、エッジリング載置領域上に載置される。基板Wは、エッジリングERによって囲まれた領域内に配置される。即ち、エッジリングERは、基板Wのエッジを囲むように配置される。エッジリングERは、導電性を有し得る。エッジリングERは、例えばシリコン又は炭化ケイ素から形成されている。エッジリングERは、石英といった誘電体から形成されていてもよい。
【0035】
プラズマ処理装置1は、ガス供給ライン25を更に備え得る。ガス供給ライン25は、ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャック20の上面と基板Wの裏面(下面)との間の間隙に供給する。
【0036】
プラズマ処理装置1は、絶縁領域27を更に備え得る。絶縁領域27は、支持部17上に配置されている。絶縁領域27は、軸線AXに対して径方向において下部電極18の外側に配置されている。絶縁領域27は、下部電極18の外周面に沿って周方向に延在している。絶縁領域27は、石英といった絶縁体から形成されている。エッジリングERは、絶縁領域27及びエッジリング載置領域上に載置される。
【0037】
プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、基板支持器16の上方に設けられている。上部電極30は、部材32と共にチャンバ本体12の上部開口を閉じている。部材32は、絶縁性を有している。上部電極30は、この部材32を介してチャンバ本体12の上部に支持されている。
【0038】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含んでいる。天板34の下面は、内部空間10sを画成している。天板34には、複数のガス吐出孔34aが形成されている。複数のガス吐出孔34aの各々は、天板34を板厚方向(鉛直方向)に貫通している。この天板34は、限定されるものではないが、例えばシリコンから形成されている。或いは、天板34は、アルミニウム製の部材の表面に耐プラズマ性の膜を設けた構造を有し得る。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0039】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持している。支持体36は、例えばアルミニウムといった導電性材料から形成されている。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。ガス拡散室36aからは、複数のガス孔36bが下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入ポート36cが形成されている。ガス導入ポート36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入ポート36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0040】
ガス供給管38には、ガスソース群40が、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43を介して接続されている。ガスソース群40、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43は、ガス供給部を構成している。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。バルブ群41及びバルブ群43の各々は、複数のバルブ(例えば開閉バルブ)を含んでいる。流量制御器群42は、複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群42の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群41の対応のバルブ、流量制御器群42の対応の流量制御器、及びバルブ群43の対応のバルブを介して、ガス供給管38に接続されている。プラズマ処理装置1は、ガスソース群40の複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスを、個別に調整された流量で、内部空間10sに供給することが可能である。
【0041】
基板支持器16又は支持部17とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウム製の部材に酸化イットリウム等のセラミックを被覆することにより構成され得る。このバッフルプレート48には、多数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方においては、排気管52がチャンバ本体12の底部に接続されている。この排気管52には、排気装置50が接続されている。排気装置50は、自動圧力制御弁といった圧力制御器、及び、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、内部空間10sの圧力を減圧することができる。
【0042】
プラズマ処理装置1は、高周波電源61を更に備えている。高周波電源61は、高周波電力RFを発生する電源である。高周波電力RFは、チャンバ10内のガスからプラズマを生成するために用いられる。高周波電力RFは、第1の周波数を有する。第1の周波数は、27~100MHzの範囲内の周波数、例えば40MHz又は60MHzの周波数である。高周波電源61は、高周波電力RFを下部電極18に供給するために、整合回路63を介して下部電極18に接続されている。整合回路63は、高周波電源61の出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを整合させるよう構成されている。なお、高周波電源61は、下部電極18に電気的に接続されていなくてもよく、整合回路63を介して上部電極30に接続されていてもよい。
【0043】
プラズマ処理装置1は、バイアス電源62を更に備えている。バイアス電源62は、下部電極18に電気的に接続されている。一実施形態において、バイアス電源62は、ローパスフィルタ64を介して下部電極18に電気的に接続されている。バイアス電源62は、第2の周波数で規定される周期P、即ちパルス周期で周期的にパルス状の負極性の直流電圧PVを下部電極18に印加するように構成されている。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い。第2の周波数は、例えば、50kHz以上、27MHz以下である。
【0044】
プラズマ処理装置1においてプラズマ処理が行われる場合には、内部空間10sにガスが供給される。そして、高周波電力RFが供給されることにより、内部空間10sの中でガスが励起される。その結果、内部空間10sの中でプラズマが生成される。基板支持器16によって支持された基板Wは、プラズマからのイオン及びラジカルといった化学種により処理される。例えば、基板は、プラズマからの化学種によりエッチングされる。プラズマ処理装置1では、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されることにより、プラズマからのイオンが基板Wに向けて加速される。
【0045】
プラズマ処理装置1は、制御部MCを更に備える。制御部MCは、プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、プラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部MCは、記憶装置に記憶されている制御プログラムを実行し、当該記憶装置に記憶されているレシピデータに基づいてプラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部MCによる制御により、レシピデータによって指定されたプロセスがプラズマ処理装置1において実行される。後述するプラズマ処理方法は、制御部MCによるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において実行され得る。
【0046】
制御部MCは、周期P内の第1の部分期間P内の少なくとも一部の期間において高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御する。プラズマ処理装置1では、高周波電力RFは、下部電極18に供給される。或いは、高周波電力RFは、上部電極30に供給されてもよい。制御部MCは、周期P内の第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルを、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定する。即ち、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFの一つ以上のパルスPRFを供給するように高周波電源61を制御する。
【0047】
第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルは、0[W]であってもよい。即ち、制御部MCは、第2の部分期間Pにおいては、高周波電力RFの供給を停止するように、高周波電源61を制御してもよい。或いは、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルは、0[W]よりも大きくてもよい。
【0048】
制御部MCは、同期パルス、遅延時間長、及び供給時間長が制御部MCを高周波電源61に与えるように構成されている。同期パルスは、パルス状の負極性の直流電圧PVに同期されている。遅延時間長は、同期パルスによって特定される周期Pの開始時点からの遅延時間長である。供給時間長は、高周波電力RFの供給時間の長さである。高周波電源61は、周期Pの開始時点に対して遅延時間長だけ遅れた時点から供給時間長の間、高周波電力RFの一つ以上のパルスPRFを供給する。その結果、第1の部分期間Pにおいて、高周波電力RFが下部電極18に供給される。なお、遅延時間長は、ゼロであってもよい。
【0049】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、電圧センサ78を更に備えていてもよい。電圧センサ78は、基板Wの電位を直接的に又は間接的に測定するように構成されている。図1に示す例では、電圧センサ78は、下部電極18の電位を測定するように構成されている。具体的には、電圧センサ78は、下部電極18とバイアス電源62との間で接続されている給電路の電位を測定する。
【0050】
制御部MCは、電圧センサ78によって測定された基板Wの電位が周期Pにおける基板Wの電位の平均値VAVEよりも高いか又は低い期間を第1の部分期間Pとして決定してもよい。制御部MCは、電圧センサ78によって測定された基板Wの電位が平均値VAVEよりも低いか又は高い期間を第2の部分期間Pとして決定してもよい。基板Wの電位の平均値VAVEは、予め定められた値であってもよい。制御部MCは、決定した第1の部分期間Pにおいて上述したように高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御し得る。また、制御部MCは、決定した第2の部分期間Pにおいて上述したように高周波電力RFのパワーレベルを設定するように高周波電源61を制御し得る。
【0051】
プラズマ処理装置1では、パルス状の負極性の直流電圧PVが周期Pで周期的に下部電極18に供給されるので、基板Wの電位が周期P内において変動する。周期P内の第1の部分期間Pでは、周期P内の第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルよりも高いパワーレベルを有する高周波電力RFが供給される。したがって、基板Wに供給されるイオンのエネルギーは、周期P内での第1の部分期間P及び第2の部分期間Pの各々の時間範囲の設定に依存する。故に、プラズマ処理装置1によれば、プラズマから基板Wに供給されるイオンのエネルギーを制御することが可能となる。
【0052】
図2は、一例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。図2において、「VO」は、バイアス電源62の出力電圧を示しており、「RF」は、高周波電力RFのパワーレベルを示している。図2に示す例では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間である。図2に示す例では、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間である。図2に示す例では、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFの一つのパルスPRFが供給されている。この例によれば、比較的高いエネルギーを有するイオンが基板Wに供給され得る。
【0053】
図3は、別の例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。図3において、「VO」は、バイアス電源62の出力電圧を示しており、「RF」は、高周波電力RFのパワーレベルを示している。図3に示す例では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間である。図3に示す例では、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間である。図3に示す例では、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFの一つのパルスPRFが供給されている。この例によれば、比較的低いエネルギーを有するイオンが基板Wに供給され得る。
【0054】
図4は、更に別の例に係るパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。図4において、「VO」は、バイアス電源62の出力電圧を示している。図4に示すように、パルス状の負極性の直流電圧PVの電圧レベルは、それが下部電極18に印加されている期間内において、変化してもよい。図4に示す例では、パルス状の負極性の直流電圧PVの電圧レベルは、それが下部電極18に印加されている期間内において、低下している。即ち、図4に示す例では、パルス状の負極性の直流電圧PVの電圧レベルの絶対値は、それが下部電極18に印加されている期間内において、増加している。なお、パルス状の負極性の直流電圧PVは、第1の部分期間Pにおいて下部電極18に印加されてもよく、或いは、第2の部分期間Pにおいて下部電極18に印加されてもよい。
【0055】
図5は、更に別の例に係る高周波電力のタイミングチャートである。図5において、「RF」は、高周波電力RFのパワーレベルを示している。図5に示すように、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて、高周波電力RFの複数のパルスPRFを順に供給するように高周波電源61を制御してもよい。即ち、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて、複数のパルスPRFを含むパルス群PGを供給するように高周波電源61を制御してもよい。第1の部分期間Pにおいて、高周波電力RFのパルスPRFは、周期的に供給されてもよい。第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFのパルスPRFが供給される周期PRFGを規定する周波数は、第2の周波数の2倍以上、且つ、第1の周波数の0.5倍以下であり得る。
【0056】
図6は、更に別の例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。図6において、「VO」は、バイアス電源62の出力電圧を示しており、「RF」は、高周波電力RFのパワーレベルを示している。プラズマ処理装置1は、図2又は図3に示す例のように、期間Pにおいて、パルス状の負極性の直流電圧PVを周期Pで周期的に下部電極18に印加し、且つ、周期P内において高周波電力RFの一つ以上のパルスPRFを供給する。図6に示すように、制御部MCは、別の期間Pにおいて、高周波電力RFの供給を停止するように高周波電源61を制御してもよい。期間Pにおいて、制御部MCは、高周波電力RFの供給が停止されている状態で、周期Pで周期的に下部電極18にパルス状の負極性の直流電圧PVを印加するようにバイアス電源62を制御してもよい。期間Pは、周期Pの時間長よりも長い時間長を有する期間である。期間Pは、チャンバ10内でプラズマが存在している期間であり得る。期間Pは、例えば、期間Pに続く期間であり得る。
【0057】
図7は、更に別の例に係る高周波電力及びパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。図7において、「VO」は、バイアス電源62の出力電圧を示しており、「RF」は、高周波電力RFのパワーレベルを示している。図7に示すように、制御部MCは、別の期間Pにおいて、下部電極18に対するパルス状の負極性の直流電圧PVの印加を停止するようにバイアス電源62を制御してもよい。期間Pにおいて、制御部MCは、下部電極18に対するパルス状の負極性の直流電圧PVの印加が停止されている状態で、高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御してもよい。制御部MCは、期間Pにおいて、高周波電力RFのパルスPRF又はパルス群PGを周期的に供給するように高周波電源61を制御し得る。期間Pにおける高周波電力RFのパルスPRF又はパルス群PGの供給の周期PRFCは、期間Pにおける高周波電力RFのパルスPRF又はパルス群PGの供給の周期、即ち周期Pと同じ周期であり得る。なお、期間Pにおいても、パルス群PGを形成する高周波電力RFのパルスPRFの供給の周期PRFGを規定する周波数は、第2の周波数の2倍以上、且つ、第1の周波数の0.5倍以下であり得る。
【0058】
図8の(a)及び図8の(b)の各々は、更に別の例に係るパルス状の負極性の直流電圧のタイミングチャートである。図8の(a)に示す例におけるバイアス電源62の出力電圧VOは、その極性が第2の部分期間P内且つ第1の部分期間Pの直前に正極性に変更されている点で、図2に示す例におけるバイアス電源62の出力電圧VOと異なっている。即ち、図8の(a)に示す例では、正極性の直流電圧が、第2の部分期間P内且つ第1の部分期間Pの直前に、バイアス電源62から下部電極18に印加されている。なお、パルス状の負極性の直流電圧PVが第1の部分期間P内に下部電極18に印加される場合には、第2の部分期間Pの少なくとも一部において、正極性の直流電圧がバイアス電源62から下部電極18に印加されてもよい。
【0059】
図8の(b)に示す例におけるバイアス電源62の出力電圧VOは、その極性が第1の部分期間P内且つ第2の部分期間Pの直前に正極性に変更されている点で、図3に示す例におけるバイアス電源62の出力電圧VOと異なっている。即ち、図8の(b)に示す例では、正極性の直流電圧が、第1の部分期間P内且つ第2の部分期間Pの直前に、バイアス電源62から下部電極18に印加されている。なお、パルス状の負極性の直流電圧PVが第2の部分期間P内に下部電極18に印加される場合には、第1の部分期間Pの少なくとも一部において、正極性の直流電圧がバイアス電源62から下部電極18に印加されてもよい。
【0060】
以下、図9を参照する。図9は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法を示す流れ図である。図9に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MT」という)は、上述したプラズマ処理装置1を用いて実行され得る。
【0061】
方法MTは、静電チャック20上に基板Wが載置されている状態で実行される。方法MTは、基板Wにプラズマ処理を行うために実行される。方法MTでは、ガスがガス供給部からチャンバ10内に供給される。そして、チャンバ10内のガスの圧力が指定された圧力に排気装置50によって設定される。
【0062】
方法MTでは、工程ST1が実行される。工程ST1では、バイアス電源62から下部電極18にパルス状の負極性の直流電圧PVが周期Pで周期的に印加される。
【0063】
工程ST2は、周期P内の第1の部分期間Pにおいて実行される。工程ST3は、周期P内の第2の部分期間Pにおいて実行される。第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間であってもよい。第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間であってもよい。或いは、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間であってもよい。第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間であってもよい。
【0064】
工程ST2では、プラズマの生成のために、高周波電源61から高周波電力RFが供給される。第1の部分期間Pにおいては、高周波電力RFの一つ以上のパルスPRFが供給され得る。第1の部分期間Pにおいては、高周波電力RFの複数のパルスPRFが順に供給されてもよい。即ち、第1の部分期間Pにおいて、複数のパルスPRFを含むパルス群PGが供給されてもよい。第1の部分期間Pにおいて、高周波電力RFのパルスPRFは、周期的に供給されてもよい。第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFのパルスPRFが供給される周期PRFGを規定する周波数は、第2の周波数の2倍以上、且つ、第1の周波数の0.5倍以下であり得る。
【0065】
工程ST3では、周期P内の第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルが、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定される。第2の部分期間Pにおいて高周波電力RFの供給は停止されてもよい。
【0066】
工程ST1~工程ST3は、上述した期間Pにおいて実行され得る。方法MTでは、期間P図6参照)において、高周波電源61からの高周波電力RFの供給が停止されている状態で、周期Pで周期的にバイアス電源62から下部電極18にパルス状の負極性の直流電圧PVが印加されてもよい。上述したように、期間Pは、周期Pの時間長よりも長い時間長を有する期間である。期間Pは、チャンバ10内でプラズマが存在している期間であり得る。期間Pは、例えば、期間Pに続く期間であり得る。
【0067】
方法MTでは、別の期間P図7参照)において、バイアス電源62からの下部電極18に対するパルス状の負極性の直流電圧PVの印加が停止されている状態で、高周波電源61から高周波電力RFが供給されてもよい。期間Pにおいて、制御部MCは、下部電極18に対するパルス状の負極性の直流電圧PVの印加が停止されている状態で、高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御してもよい。期間Pにおいては、高周波電力RFのパルスPRF又はパルス群PGが高周波電源61から周期的に供給されてもよい。期間Pにおける高周波電力RFのパルスPRF又はパルス群PGの供給の周期PRFCは、期間Pにおける高周波電力RFのパルスPRF又はパルス群PGの供給の周期、即ち周期Pと同じ周期であり得る。なお、期間Pにおいても、パルス群PGを形成する高周波電力RFのパルスPRFの供給の周期PRFGを規定する周波数は、第2の周波数の2倍以上、且つ、第1の周波数の0.5倍以下であり得る。
【0068】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0069】
別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、プラズマ処理装置1とは異なる容量結合型のプラズマ処理装置であってもよい。また、更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、誘導結合型プラズマ処理装置であってもよい。また、更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマ処理装置であってもよい。また、更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、マイクロ波といった表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置であってもよい。
【0070】
また、周期Pは、第1の部分期間P及び第2の部分期間Pを含む三つ以上の部分期間から構成されていてもよい。周期P内の三つ以上の部分期間の時間長は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。三つ以上の部分期間の各々における高周波電力RFのパワーレベルは、前後の部分期間における高周波電力RFのパワーレベルとは異なるパワーレベルに設定され得る。
【0071】
本開示の実施形態は、以下の態様を更に含む。
【0072】
[付記1]
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成された高周波電源であり、該高周波電力は第1の周波数を有する、該高周波電源と、
前記下部電極に電気的に接続されており、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数で規定される周期で周期的にパルス状の負極性の直流電圧を前記下部電極に印加するように構成されたバイアス電源と、
前記高周波電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記周期内の第1の部分期間内で前記高周波電力を供給し、前記周期内の第2の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルを前記第1の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように前記高周波電源を制御する、
プラズマ処理装置。
【0073】
[付記2]
前記第1の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加されない期間である、
付記1に記載のプラズマ処理装置。
【0074】
[付記3]
前記第1の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加されない期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間である、
付記1に記載のプラズマ処理装置。
【0075】
[付記4]
前記制御部は、前記第2の部分期間において前記高周波電力の供給を停止するように前記高周波電源を制御する、付記1~3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0076】
付記5]
前記制御部は、前記第1の部分期間において前記高周波電力のパルスを周期的に供給するように前記高周波電源を制御する、付記1~4の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0077】
[付記6]
前記第1の部分期間において前記高周波電力の前記パルスが供給される周期を規定する周波数は、前記第2の周波数の2倍以上、且つ、前記第1の周波数の0.5倍以下である、付記5に記載のプラズマ処理装置。
【0078】
[付記7]
プラズマ処理装置を用いるプラズマ処理方法であって、
該プラズマ処理装置は、
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成された高周波電源であり、該高周波電力は第1の周波数を有する、該高周波電源と、
前記下部電極に電気的に接続されたバイアス電源と、
を備え、
該プラズマ処理方法は、前記静電チャック上に基板が載置されている状態で該基板にプラズマ処理を行うために実行され、
前記第1の周波数よりも低い第2の周波数で規定される周期で周期的に前記バイアス電源から前記下部電極にパルス状の負極性の直流電圧を印加する工程と、
前記周期内の第1の部分期間内で前記高周波電源から前記高周波電力を供給する工程と、
前記周期内の第2の部分期間内で前記高周波電力のパワーレベルを前記第1の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定する工程と、
を含むプラズマ処理方法。
【0079】
[付記8]
前記第1の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加されない期間である、
付記7に記載のプラズマ処理方法。
【0080】
[付記9]
前記第1の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加されない期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間である、
付記7に記載のプラズマ処理方法。
【0081】
[付記10]
前記第2の部分期間において前記高周波電力の供給が停止される、付記7~9の何れか一項に記載のプラズマ処理方法。
【0082】
[付記11]
前記第1の部分期間において前記高周波電源から前記高周波電力のパルスが周期的に供給される、付記7~10の何れか一項に記載のプラズマ処理方法。
【0083】
[付記12]
前記第1の部分期間において前記高周波電力の前記パルスが供給される周期を規定する周波数は、前記第2の周波数の2倍以上、且つ、前記第1の周波数の0.5倍以下である、付記11に記載のプラズマ処理方法。
【0084】
[付記13]
前記チャンバ内でプラズマが存在している期間であって前記第2の周波数で規定される前記周期の時間長よりも長い時間長を有する該期間において、前記高周波電源からの前記高周波電力の供給が停止されている状態で、前記第2の周波数で規定される該周期で周期的に前記バイアス電源から前記下部電極に前記パルス状の負極性の直流電圧を印加する工程を更に含む、付記7~12の何れか一項に記載のプラズマ処理方法。
【0085】
[付記14]
前記第2の周波数で規定される前記周期の時間長よりも長い時間長を有する期間において、前記バイアス電源からの前記下部電極に対する前記パルス状の負極性の直流電圧の印加が停止されている状態で、前記高周波電源から前記高周波電力を供給する工程を更に含む、付記7~13のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
【0086】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0087】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、16…基板支持器、18…下部電極、20…静電チャック、61…高周波電源、62…バイアス電源、MC…制御部。