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特開2024-133806ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子及びそれよりなる改質剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133806
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子及びそれよりなる改質剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20240926BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20240926BHJP
   C08K 5/42 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
C08L27/06
C08G18/00 L
C08K5/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043775
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 勇太
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4J002BD041
4J002BD051
4J002BD061
4J002BD071
4J002BD081
4J002BD091
4J002BD101
4J002EV256
4J002FD316
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J002GT00
4J034BA03
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DF01
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG23
4J034DQ05
4J034DQ16
4J034DQ18
4J034DQ19
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB05
4J034KD03
4J034KD07
4J034KD11
4J034KD12
4J034KE02
4J034MA15
4J034MA22
4J034NA03
4J034NA08
4J034QA01
4J034QA02
4J034QA03
4J034QA05
4J034QB01
4J034QB14
4J034QC01
4J034QC02
4J034QC03
4J034RA03
4J034RA05
4J034RA10
4J034RA12
4J034RA14
4J034RA15
(57)【要約】
【課題】 圧縮硬度に優れるウレタンフォームを提供することを可能とし、ポリウレタンフォーム用改質剤として有用性を有するポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を提供する。
【解決手段】 ポリ塩化ビニル系樹脂及び界面活性剤を含むポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子であって、乾燥物の粉砕粒子であり、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、界面活性剤としてスルホコハク酸塩0.01~1.0質量部を含み、平均粒子径が0.1~15μmであるポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ塩化ビニル系樹脂及び界面活性剤を含むポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子であって、乾燥物の粉砕粒子であり、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、界面活性剤としてスルホコハク酸塩0.01~1.0質量部を含み、平均粒子径が0.1~15μmであることを特徴とするポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子。
【請求項2】
スルホコハク酸塩が、スルホコハク酸二カリウム塩、スルホコハク酸二ナトリウム塩、スルホコハク酸二アンモニウム塩及びスルホコハク酸二トリエタノールアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子。
【請求項3】
乾燥物が、噴霧乾燥物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子。
【請求項4】
請求項1に記載のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子であることを特徴とするポリウレタンフォーム用改質剤。
【請求項5】
少なくともイソアネート成分、ポリオール成分、発泡剤及び請求項1に記載のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を含むポリウレタンフォーム形成性組成物の発泡体であることを特徴とするポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子及びそれよりなる改質剤に関するものであり、更に詳細にはポリウレタン用、特に硬度に優れるポリウレタンフォーム用の改質剤として有用なポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子及びその用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは主にイソシアネートとポリオールとの反応により製造され、車両・家具のクッション材や建築、貯蔵タンク、船舶等における断熱材や構造材等の幅広い用途に使用されている。そして、ポリウレタンフォームの硬度物性向上を目的としてポリマーポリオールが提案されている。
【0003】
そのようなポリマーポリオールとしては、特定の官能基数、水酸基価、末端のポリオキシエチレン含量の複数のポリオールを特定の比率で含有するポリオール中でエチレン性不飽和化合物を重合させてなるポリマーポリオール(例えば特許文献1参照。)、特定の水酸基価のポリオール中でエチレン性不飽和化合物を重合させてなるポリマーポリオール(例えば特許文献2参照。)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3-81314号公報
【特許文献2】特開2003-226734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2に提案のポリマーポリオールは、ポリオール中でモノマーを重合するため、モノマーがポリオール組成物中に残存し、ポリウレタンフォームの物性低下及び臭気の原因の一つになっている。
【0006】
そこで、ポリウレタンフォームの物性低下、臭気等の課題を有することなく硬度物性の向上が可能となるポリウレタンフォームの出現が期待されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討を重ねた結果、特定量のスルホコハク酸塩を含み、特定の平均粒子径を有するポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子が、圧縮硬度に優れるポリウレタンフォーム向けの改質剤として優れた適性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、ポリ塩化ビニル系樹脂及び界面活性剤を含むポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子であって、乾燥物の粉砕粒子であり、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、界面活性剤であるスルホコハク酸塩0.01~1.0質量部を含み、平均粒子径が0.1~15μmであることを特徴とするポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子に関するものである。
【0009】
以下、本発明に関し詳細に説明する。
【0010】
本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、界面活性剤であるスルホコハク酸塩を0.01~1.0質量部含有するものであり、例えば回収の際の乾燥物の粉砕粒子であって、平均粒子径が0.1~15μmのものである。粉砕粒子とする前の乾燥物は、例えばポリ塩化ビニル系樹脂を重合した後の重合反応液・重合スラリー等を噴霧乾燥等の乾燥工程に処することにより得ることができる。
【0011】
本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を構成するスルホコハク酸塩は、例えば重合時に界面活性剤として作用するものであり、スルホコハク酸塩の範疇に属するものであればよく、例えば、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二カリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二カリウム塩等のスルホコハク酸二カリウム塩;ジアルキルスルホコハク酸カリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸カリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸カリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸カリウム塩、ジヘキシルスルホコハク酸カリウム塩等のスルホコハク酸カリウム塩;ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二ナトリウム塩等のスルホコハク酸二ナトリウム塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム塩等のスルホコハク酸ナトリウム塩;ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二アンモニウム塩等のスルホコハク酸二アンモニウム塩;ジアルキルスルホコハク酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸アンモニウム塩、ジオクチルスルホコハク酸アンモニウム塩、ジオクチルスルホコハク酸アンモニウム塩、ジヘキシルスルホコハク酸アンモニウム塩等のスルホコハク酸アンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二トリエタノールアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二トリエタノールアンモニウム塩等のスルホコハク酸二トリエタノールアンモニウム塩;ジアルキルスルホコハク酸トリエタノールアンモニウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸トリエタノールアンモニウム塩、ジオクチルスルホコハク酸トリエタノールアンモニウム塩、ジオクチルスルホコハク酸トリエタノールアンモニウム塩、ジヘキシルスルホコハク酸トリエタノールアンモニウム塩等のスルホコハク酸トリエタノールアンモニウム塩;これらの2種以上を挙げることができ、中でもスルホコハク酸二カリウム塩、スルホコハク酸二ナトリウム塩、スルホコハク酸二アンモニウム塩、スルホコハク酸二トリエタノールアンモニウム塩より選ばれる1種以上であることが好ましい。また、その含有量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、0.01~1.0質量部であり、0.1~0.9質量部であることが好ましい。ここで、スルホコハク酸塩の含有量が0.01質量部未満である場合、重合時の分散安定性が不安定となり、粒子を調製することが困難となる。一方、含有量が1.0質量部を越える場合、ポリウレタンフォームを調製する際のウレタン形成性組成物の粘度が高いものとなり、その加工性に劣るものとなり、ポリウレタンフォーム用改質剤としての適正が低下したものとなる。
【0012】
本発明の塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、塩化ビニル系樹脂を塩化ビニル系ペースト樹脂として調製した際の乾燥物を粉砕することにより得られる粒子であって、その平均粒子径が0.1~15μmであるものである。ここで、平均粒子径が0.1μm未満のものである場合、ポリウレタンフォームを調製する際の安定性に劣るものとなり、ポリウレタンフォーム用改質剤としての適正が低下したものとなる。一方、15μmを越えるものである場合、又は未粉砕物である場合、粒子径が大きすぎるためにポリウレタンフォームとしての発泡時の発泡性に課題を発生するものとなり、ポリウレタンフォーム用改質剤としての適正が低下したものとなる。この際の平均粒子径は、例えば一般に知られているレーザー回折法及び動的光散乱法を原理とした粒度分布測定装置であればどのような装置を使用しても測定可能であり、例えば、ディスク遠心式粒子径分布測定装置(CPSInstruments製、(商品名)CPSDiscCentrifuge)等の粒度分布測定装置で測定することが可能である。
【0013】
そして、本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、ポリウレタンフォームに配合した際に優れた硬度物性を付与できることから、ポリウレタンフォーム用改質剤として用いることができる。
【0014】
本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子の製造方法としては、本発明の範疇に属するポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子の製造が可能であれば如何なる方法を用いてもよく、例えば一般的にポリ塩化ビニル系ペースト樹脂の製造方法として知られている塩化ビニル系単量体の乳化重合法、ミクロ懸濁重合法、シード乳化重合法、シードミクロ懸濁重合法等の重合法により得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスを噴霧乾燥等の乾燥法により、粉状又は粒状のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂の乾燥物とし、粉砕機により粉砕する方法等を挙げることができる。その際、スルホコハク酸塩は界面活性剤として用いられるものであり、重合開始前、重合中、重合終了後のいずれの段階にて添加してもよく、スルホコハク酸塩を含有するポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスとすることができる。
【0015】
また、塩化ビニル系単量体としては、塩化ビニル単量体単独又は塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体との混合物を挙げることができ、塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸またはその無水物類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル類等の不飽和カルボン酸エステル類:ビニルメチルエーテル、ビニルアミルエーテル、ビニルフェニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のモノオレフィン類;塩化ビニリデン、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。
【0016】
そして、重合反応により得られたスルホコハク酸塩を含有するポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスからポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を乾燥物として回収する方法としては、ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂が回収できる限りにおいていかなる方法を用いてもよく、その中でも、特に効率よく該ラテックスから水分を除去しポリ塩化ビニル系ペースト樹脂の乾燥物として回収することができることから、噴霧乾燥による方法が好ましい。この際の噴霧乾燥に使用する乾燥機としては、一般的に使用されているものでよく、例えば「SPRAY DAYING HANDBOOK」(K.Masters著、3版、1979年、George godwin Limitedより出版)の121頁第4.10図に記載されている各種のスプレー乾燥機があげられる。そして、乾燥条件である乾燥温度としては、例えば乾燥機入口温度で80~200℃、乾燥機出口温度で40~70℃、好ましくは45~65℃を挙げることができる。
【0017】
乾燥後のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂の乾燥物を一般的な機械粉砕機等の粉砕機にて粉砕することにより、本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を得ることができる。
【0018】
本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、例えばイソシアネート成分(A)、ポリオール成分(B)、触媒(C)及び発泡剤(D)、整泡剤(E)等を含むポリウレタンフォーム形成性組成物に改質剤として配合し、ポリウレタンフォームとして車両・家具のクッション材等の緩衝材等の各種用途に用いることができ、該ポリウレタンフォーム形成性組成物は優れた硬度等の機械物性を有するポリウレタンフォーム、特に連続気泡ポリウレタンフォームを提供することができる。
【0019】
そのポリウレタンフォームの製造方法としては、ポリウレタンフォームの製造方法として知られている方法を用いることができ、例えばイソシアネート成分(A)、ポリオール成分(B)、触媒(C)及び発泡剤(D)、整泡剤(E)等を含むポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、イソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)とを重付加してポリウレタンを形成しながら発泡を行う発泡成形によりポリウレタンフォーム、更には軟質ポリウレタンフォーム、連続気泡ポリウレタンフォーム、とする方法を挙げることができる。そして、本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子をポリウレタンフォーム用改質剤として用いる際には、例えばイソシアネート成分(A)に配合しイソシアネート成分(A)組成物とする方法、ポリオール成分(B)に配合しポリオール成分(B)組成物とする方法、さらにはポリウレタンフォーム形成性組成物に配合する方法等のいずれの方法により用いてもよい。
【0020】
該イソシアネート成分(A)を構成するイソシアネートとしては、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物を挙げることができ、例えば2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、それらとポリオールとの反応によるイソシアネート含有プレポリマー、及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられる。さらに、これらのイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基含有変性物)やポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の縮合体(多核体と称されることもある)をも挙げることができる。中でも特に柔軟性、圧縮硬度に優れる軟質ポリウレタンフォームとなることから、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、その変性物であることが好ましい。
【0021】
該ポリオール成分(B)を構成するポリオールとしては、イソシアネートと重付加してポリウレタンを形成するものであればよく、ポリオールと称される範疇に属するものであり、例えば、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等を挙げることができ、中でも特に柔軟性、圧縮硬度に優れる軟質ポリウレタンフォームとなることからポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが望ましい。さらに、硬度、耐久性の指標である圧縮残留歪みに優れるフォームとなることから数平均分子量1000~10000で、公称官能基数2以上のものがより望ましい。なお、公称官能基数とは、ポリオールの重合反応中に副反応が生じないと仮定した場合の理論平均官能基数(分子当たりの活性水素原子の数)を示す。
【0022】
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定するものではなく、例えば、少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;エチレンジアミン等のアミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が例示される。)を出発原料として、これとアルキレンオキサイド(エチレンオキシドやプロピレンオキシド等が例示される。)との付加反応により製造されたもの等が挙げられる(例えば、Gunter Oertel,’’Polyurethane Handbook’’(1985) Hanser Publishers社(ドイツ),p.42-53に記載の方法参照)。
【0023】
ポリエステルポリオールとしては、特に限定するものではなく、例えば、重縮合型ポリエステル系ポリオールであるアジピン酸とエチレングリコールからなるポリエステルポリオール等の二塩基酸とグリコールの反応から得られるものや、ラクトン系ポリエステルポリオールのポリカプロラクトンポリオール等、更にはナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる(例えば、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987)日刊工業新聞社 p.117の記載参照)。
【0024】
ポリマーポリオールとしては、特に限定するものではなく、例えば、前記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等)をラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオール等が挙げられる。
【0025】
これらのポリオールの市販品としては、例えば、サンニックス(商品名、三洋化成工業株式会社製)、エクセノール(商品名、旭硝子株式会社製)、アクトコール(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)、VORANOL(商品名、DOW社製)等を挙げることができる。
【0026】
なお、ポリウレタンフォームを調製する際にその取扱い性に優れることから、本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子はポリオール成分(B)に分散したポリオール組成物として取り扱うことが好ましく、さらに触媒(C)、発泡剤(D)、整泡剤(E)等を分散したポリオール組成物であってもよい。
【0027】
該触媒(C)としては、各種のウレタン化触媒として知られているものを挙げることができ、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモリホリン、N-エチルモリホリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、さらにこれらの有機酸塩;スタナスオクトエート、ナフテン酸亜鉛等の有機金属化合物;ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチル-N-ヘキサノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチル-ビスアミノエチルエーテル等の活性水素を有すアミン触媒;等を挙げることができ、その中でもウレタン化の反応性と発泡性に優れるものとなることからトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミンであることが好ましい。また、その際の触媒(C)の量としては、発泡性に優れる軟質ポリウレタンフォームを効率的に得ることができることからポリオール成分(B)100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましい。
【0028】
該発泡剤(D)としては、各種発泡剤として知られているものを用いることができ、中でもポリウレタンフォームの発泡剤としては、イソシアネート基との反応により炭酸ガスを発生し、該炭酸ガスにより炭酸ガス発泡を可能とすることから水を挙げることができる。また、水と付加的に任意の発泡剤を使用してもよく、例えばシクロペンタンやイソペンタン等の低沸点有機化合物を挙げることができる。さらに、ガスローディング装置を用いて原液中に空気や窒素ガスや液化二酸化炭素を混入溶解させて発泡することもできる。発泡剤(D)として水を使用する際のその量は、低見掛け密度の発泡体を安定し提供することが容易となることからポリオール成分(B)100質量部に対して0.5~10質量部であることが好ましく、特に1.0~8.0質量部、更に2.0~8.0質量部であること好ましい。
【0029】
場合によっては用いてもよい整泡剤(E)としては、通常の界面活性剤が使用され、有機珪素系の界面活性剤が好適に使用でき、例えば(商品名)SRX-280A、SZ-1327、SZ-1325、SZ-1336、SZ-3601(東レ・ダウコーニング社製);(商品名)Y-10366、L-3620(モメンティブ社製)、(商品名)B-8724LF2、B-8715LF2(エボニック社製);(商品名)F-122(信越化学社製)等が挙げられ、これら整泡剤(F)の配合量としては、ポリオール成分(B)100質量部に対し0.1~3質量部であることが好ましい。
【0030】
さらに、沈降防止剤や、必要に応じて、添加剤として、破泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料・染料、抗菌剤・抗カビ剤等の公知の各種添加剤等を用いることができる。
【0031】
そして、該ポリウレタンフォーム形成性組成物を調製する際のイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)の割合としては、任意であり、中でも気泡が連通した軟質ポリウレタンフォームを効率的に得ることができることから全イソシアネート基と水を含む全活性水素基とのモル比(NCO/活性水素)として、0.7~1.4(イソシアネートインデックス(NCOINDEX)=70~140)であることが好ましく、フォームの耐久性や成形サイクルの良好な範囲として0.7~1.2(NCOINDEX=70~120)がより好ましい。
【0032】
ポリウレタンフォームの製造方法としては、該ポリウレタンフォーム形成性組成物、特に軟質ポリウレタンフォーム形成性組成物をスラブ発泡、注入モールド発泡、スプレー発泡、連続生産パネル発泡等の公知発泡方法に供する製造方法を挙げることができ、一般な種々の用途、例えば建築、土木関係の断熱材や構造材;電気機器関係では、冷凍庫、冷蔵庫、冷凍ショーケース等の断熱材;プラントや船舶関係では、LPG、LNGタンカーやパイプラインの断熱材;車両関係では、保冷庫や保冷車の断熱材等、また寝具や自動車等のシート、クッション材、吸音材、制振材、工事用床材等に使用でき、なかでも、寝具や自動車等のシート、クッション材に使用される。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、特定の粒子径を持ち、スルホコハク酸塩を含む事により圧縮硬度に優れるポリウレタンフォームを提供することが可能となる塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を提供するものであり、そのポリウレタンフォーム、特に軟質ポリウレタンフォームは、自動車等のシートや寝具、クッション材に代表される用途に用いられるものとなる。
【実施例0034】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0035】
実施例及び比較例で用いた原料としては、それぞれ以下のものを使用した。
ポリオールA:ポリエーテルポリオール(AGC社製、(商品名)EL-840:官能基数3、水酸基価26mgKOH/g)。
発泡剤A:水。
整泡剤A:シリコーン系界面活性剤(モメンティブ社製、(商品名)L-3620)。
触媒A:トリエチレンジアミンのジプロピレングリコール溶液(東ソー社製、(商品名)TEDA-L33)。
触媒B:ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルのジプロピレングリコール溶液(東ソー社製、(商品名)TOYOCAT-ET)。
イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー社製、(商品名)C―1331、NCO含量=31.5%)。
改質剤:ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子。
【0036】
以下に実施例より得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子、ポリウレタンフォームの評価方法を示す。
【0037】
<平均粒子径>
ディスク遠心式粒子径分布測定装置(CPSInstruments製、(商品名)CPSDiscCentrifuge)を用いて測定した。
【0038】
<ポリウレタンフォーム形成性組成物の調製方法>
室温下(20~25℃)にて、ポリオールA100質量部に対し、触媒A0.40質量部、触媒B0.12質量部、整泡剤A1質量部、発泡剤A3.2質量部、改質剤A10.5質量部混合し、ポリオール組成物を調製し20℃に調温した。そして、ポリオールA100質量部に対して20℃に調温したイソシアネート55.6質量部を加え、攪拌速度7000rpmで7秒間攪拌混合しポリウレタンフォーム形成性組成物とし、金型内に注入し軟質ポリウレタンフォームを発泡させた後、金型より取り出して、得られた軟質ポリウレタンフォームの物性を測定した。
【0039】
<成形性評価>
表中、成形性「○」の評価は、ウレタンフォームが最高の高さに達した後に大きく沈んでいく崩壊や、生成したウレタンフォームが発泡直後またはキュアー後に収縮する現象が生じることなく、軟質ポリウレタンフォームが成形できることを意味する。
【0040】
<見掛け密度>
JIS K6400記載の方法により求めた。
【0041】
<スキン付き試験片フォームの25%圧縮硬さ(25%ILD)>
JIS K6400記載のB法により求めた。
【0042】
<圧縮残留ひずみ>
JIS K6400記載の方法で測定した。
【0043】
合成例1(重合開始剤等含有シードラテックスの製造例)
1mオートクレーブ中に脱イオン水360kg、塩化ビニル単量体300kg、過酸化ラウロイル6kg及び15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩水溶液30kgを仕込み、ホモジナイザーを用いて2時間循環し、均質化処理後、温度を45℃に上げて、重合を進めた。45℃における塩化ビニルの飽和蒸気圧より0.2MPa圧力が低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、重合開始剤等含有シードラテックスを調製した。
【0044】
実施例1
1mオートクレーブ中に脱イオン水400kg投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400kg、7.5質量%ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム塩水溶液4.5kg、硫酸銅0.002kgを加え、合成例1で得られた重合開始剤等含有シードラテックス50kgを加え、この反応用混合物の温度を49.6℃に上げるとともに、0.1質量%アスコルビン酸水溶液16kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100質量部に対して0.4質量部の7.5質量%ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。重合圧が49.6℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスをスプレードライヤーにて、熱風入口160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥をした後、粉砕しポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を得た。
【0045】
得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、平均粒子径3.1μmであり、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対してポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム塩0.8質量部を含有するものであった。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を用いて上記したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、連続気泡を有する軟質ポリウレタンフォームを得、物性を評価した。その結果を表1に示す。
【0046】
実施例2
1mオートクレーブ中に脱イオン水400kg投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400kg、7.5質量%ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム塩水溶液4.5kg、硫酸銅0.002kgを加え、合成例1で得られた重合開始剤等含有シードラテックス73.1kgを加え、この反応用混合物の温度を49.6℃に上げるとともに、0.1質量%アスコルビン酸水溶液16kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100質量部に対して0.4質量部の7.5質量%ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。重合圧が49.6℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスをスプレードライヤーにて、熱風入口160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥をした後、粉砕しポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を得た。
【0047】
得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、平均粒子径3.0μmであり、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対してポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム塩0.8質量部を含有するものであった。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を用いて上記したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、連続気泡を有する軟質ポリウレタンフォームを得、物性を評価した。その結果を表1に示す。
【0048】
比較例1
1mオートクレーブ中に脱イオン水300kg投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400kg、15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩水溶液10kg、硫酸銅0.002kg、合成例1で得られた重合開始剤等含有シードラテックス54kgを加え、この反応用混合物の温度を53℃に上げるとともに、0.1質量%アスコルビン酸水溶液16kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100質量部に対して0.6質量部の15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。重合圧が53℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスをスプレードライヤーにて、熱風入口160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥をした後、粉砕しポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を得た。
【0049】
得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂は、平均粒子径8.4μmであり、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対してドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩0.8質量部を含有するものであった。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を用いて上記したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、ポリウレタンフォームを得、物性を評価した。その結果を表1に示す。得られたポリウレタンフォームは実施例1及び2と比較して圧縮硬度及び圧縮残留ひずみに劣る結果であった。
【0050】
比較例2
1mオートクレーブ中に脱イオン水300kg投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400kg、15質量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液10kg、硫酸銅0.002kg、合成例1で得られた重合開始剤等含有シード54kgを加え、この反応用混合物の温度を48℃に上げるとともに、0.1質量%アスコルビン酸水溶液16kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100質量部に対して0.6質量部の15質量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。重合圧が48℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスをスプレードライヤーにて、熱風入口160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥をした後、粉砕しポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を得た。
【0051】
得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂は、平均粒子径3.3μm、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対してラウリル硫酸ナトリウム0.8質量部を含有するものであった。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を用いて上記したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、ポリウレタンフォームを得、物性を評価した。その結果を表1に示す。得られたポリウレタンフォームは得られたポリウレタンフォームは実施例1及び2と比較して圧縮硬度及び圧縮残留ひずみに劣る結果であった。
【0052】
比較例3
1mオートクレーブ中に脱イオン水300kg投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400kg、15質量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液10kg、硫酸銅0.002kg、合成例1で得られた重合開始剤等含有シード54kgを加え、この反応用混合物の温度を54℃に上げるとともに、0.1質量%アスコルビン酸水溶液16kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100質量部に対して0.6質量部の15質量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。重合圧が54℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスをスプレードライヤーにて、熱風入口110℃、出口温度50℃で噴霧乾燥し、ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を得た。
【0053】
得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂は、平均粒子径62μm、平均重合度1200であり、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対してラウリル硫酸ナトリウム0.8質量部を含有するものであった。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を用いて上記したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製したが、発泡中にフォームが潰れ物性評価を行うことができなかった。
【0054】
比較例4
ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を添加しないこと以外は同様に作製したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、ポリウレタンフォームを得、物性を評価した。その結果を表1に示す。得られたポリウレタンフォームは実施例1及び2と比較して圧縮硬度及び圧縮残留ひずみに劣る結果であった。
【0055】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、圧縮硬度に優れるポリウレタンフォーム、特に軟質ポリウレタンフォームを提供することのできる改質剤としての適用が可能なポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を提供するものであり、該ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、ポリウレタン、ポリウレタンフォームの製造工業、更にはその製品として好適な使用が期待されるものである。