(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133807
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ポリオール組成物及びポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20240926BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240926BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043776
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 勇太
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】 一般な種々の用途、例えば建築、土木関係の断熱材や構造材;電気機器関係では、冷凍庫、冷蔵庫、冷凍ショーケース等の断熱材等に適用可能な圧縮硬度に優れたポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォームを提供することを可能とするポリオール組成物を提供する。
【解決手段】 ポリオール100質量部に対し、スルホコハク酸塩0.02~0.2質量部を含むポリオール組成物、更には、当該ポリオール組成物、イソアネート及び発泡剤を含むポリウレタンフォーム形成性組成物の発泡体であるポリウレタンフォーム。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール100質量部に対し、スルホコハク酸塩0.02~0.2質量部を含むことを特徴とするポリオール組成物。
【請求項2】
スルホコハク酸塩が、スルホコハク酸二カリウム塩、スルホコハク酸二ナトリウム塩、スルホコハク酸二アンモニウム塩及びスルホコハク酸二トリエタノールアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
さらに、ポリ塩化ビニル粒子、ポリスチレン粒子及びスチレン-アクリロニトリル共重合体粒子からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂粒子を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオール組成物。
【請求項4】
少なくとも請求項1又は2に記載のポリオール組成物、イソアネート及び発泡剤を含むポリウレタンフォーム形成性組成物の発泡体であることを特徴とするポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホコハク酸塩を含む新規なポリオール組成物に関するものであり、特に圧縮硬度に優れたポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォームの提供を可能とするポリオール組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは主にイソシアネートとポリオールとの反応により製造され、車両・家具のクッション材や建築、貯蔵タンク、船舶等における断熱材や構造材等の幅広い用途に使用され、特に硬度物性を向上したポリウレタンフォームを目的にポリマーポリオールが使用される。
【0003】
そして、従来のポリマーポリオールとして、特定の官能基数、水酸基価、末端のポリオキシエチレン含量の複数のポリオールを特定の比率で含有するポリオール中でエチレン性不飽和化合物を重合させてなるポリマーポリオール(例えば特許文献1参照。)、特定の水酸基価のポリオール中でエチレン性不飽和化合物を重合させてなるポリマーポリオール(例えば特許文献2参照。)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3-81314号公報
【特許文献2】特開2003-226734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2に提案のポリマーポリオールは、ポリオール中でモノマーを重合するため、未反応モノマーがポリマーポリオール中に残存し、ポリウレタンフォームの物性低下、異臭の原因の一つになっている。
【0006】
そこで、ポリウレタンフォームの物性低下、臭気等の課題を有することなく硬度物性の向上が可能となるポリウレタンフォームの出現が期待されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討を重ねた結果、スルホコハク酸塩を含む軟質ウレタンフォームが圧縮硬度に優れ、ポリウレタン樹脂の製造工業に適したものとなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、ポリオール100質量部に対し、スルホコハク酸塩0.02~0.2質量部を含むことを特徴とするポリオール組成物に関するものである。
【0009】
以下、本発明に関し詳細に説明する。
【0010】
本発明のポリオール組成物は、ポリオール100質量部に対し、スルホコハク酸塩0.02~0.2質量部を含むものであり、特に硬度向上効果と発泡性のバランスに優れるポリウレタンフォームの提供を可能とするポリオール組成物となることから0.02~0.15質量部であることが好ましい。ここで、スルホコハク酸塩の含有量が0.02質量部未満である場合、硬度向上の効果が得られない。一方、0.2質量部を越える場合、ポリウレタンフォームの発泡性が悪化し、加工性に劣るものとなる。
【0011】
本発明のオリオール組成物を構成するポリオールとしては、ポリオールと称される範疇に属するものであり、例えば後述するイソシアネートと重付加してポリウレタンを形成するものを挙げることができ、例えば、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等を挙げることができ、中でも特に柔軟性、圧縮硬度に優れる軟質ポリウレタンフォームとなることからポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが望ましい。さらに、硬度、耐久性の指標である圧縮残留歪みに優れるフォームとなることから数平均分子量1000~10000で、公称官能基数2以上のものがより望ましい。なお、公称官能基数とは、ポリオールの重合反応中に副反応が生じないと仮定した場合の理論平均官能基数(分子当たりの活性水素原子の数)を示す。
【0012】
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定するものではなく、例えば、少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;エチレンジアミン等のアミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が例示される。)を出発原料として、これとアルキレンオキサイド(エチレンオキシドやプロピレンオキシド等が例示される。)との付加反応により製造されたもの等が挙げられる(例えば、Gunter Oertel,’’Polyurethane Handbook’’(1985) Hanser Publishers社(ドイツ),p.42-53に記載の方法参照)。
【0013】
ポリエステルポリオールとしては、特に限定するものではなく、例えば、重縮合型ポリエステル系ポリオールであるアジピン酸とエチレングリコールからなるポリエステルポリオール等の二塩基酸とグリコールの反応から得られるものや、ラクトン系ポリエステルポリオールのポリカプロラクトンポリオール等、更にはナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる(例えば、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987)日刊工業新聞社 p.117の記載参照)。
【0014】
ポリマーポリオールとしては、特に限定するものではなく、例えば、前記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等)をラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオール等が挙げられる。
【0015】
これらのポリオールの市販品としては、例えば、サンニックス(商品名、三洋化成工業株式会社製)、エクセノール(商品名、旭硝子株式会社製)、アクトコール(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)、VORANOL(商品名、DOW社製)等を挙げることができる。
【0016】
本発明のポリオール組成物を構成するスルホコハク酸塩としては、その範疇に属するものであればよく、例えば、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二カリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二カリウム塩等のスルホコハク酸二カリウム塩;ジアルキルスルホコハク酸カリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸カリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸カリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸カリウム塩、ジヘキシルスルホコハク酸カリウム塩等のスルホコハク酸カリウム塩;ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二ナトリウム塩等のスルホコハク酸二ナトリウム塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム塩等のスルホコハク酸ナトリウム塩;ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二アンモニウム塩等のスルホコハク酸二アンモニウム塩;ジアルキルスルホコハク酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸アンモニウム塩、ジオクチルスルホコハク酸アンモニウム塩、ジオクチルスルホコハク酸アンモニウム塩、ジヘキシルスルホコハク酸アンモニウム塩等のスルホコハク酸アンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二トリエタノールアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二トリエタノールアンモニウム塩等のスルホコハク酸二トリエタノールアンモニウム塩;ジアルキルスルホコハク酸トリエタノールアンモニウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸トリエタノールアンモニウム塩、ジオクチルスルホコハク酸トリエタノールアンモニウム塩、ジオクチルスルホコハク酸トリエタノールアンモニウム塩、ジヘキシルスルホコハク酸トリエタノールアンモニウム塩等のスルホコハク酸トリエタノールアンモニウム塩;これらの2種以上を挙げることができ、中でもスルホコハク酸二カリウム塩、スルホコハク酸二ナトリウム塩、スルホコハク酸二アンモニウム塩、スルホコハク酸二トリエタノールアンモニウム塩より選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0017】
なお、本発明のポリオール組成物を調製する際にはポリオール中にスルホコハク酸塩を配合することが可能であれば如何なる方法を用いてもよい。そして、後述するポリウレタン形成性組成物とする際のその取扱い性に優れることから、さらに後述する触媒、発泡剤、整泡剤等を含むポリオール組成物であってもよく、特に硬度特性と圧縮残留ひずみに優れるポリウレタンフォームの提供が可能となることから、ポリ塩化ビニル粒子、ポリスチレン粒子、スチレン-アクリロニトリル共重合体粒子等の樹脂粒子、特にポリ塩化ビニル粒子を含むものであることが好ましい。また、その際の配合量としてはポリオール100質量部に対して5~60質量部であることが好ましい。
【0018】
そして、本発明のポリオール組成物によりポリウレタン、ポリウレタンフォームを製造する際には、ポリウレタン、ポリウレタンフォームの製造方法として知られている方法を用いることができ、例えば該ポリオール組成物、更にはイソシアネート、触媒、場合によっては、発泡剤、整泡剤等を含むポリウレタン形成性組成物、ポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、イソシアネートとポリオールとを重付加してポリウレタンを形成しながらポリウレタン、場合によっては発泡を行う発泡成形によりポリウレタンフォーム、更には軟質ポリウレタンフォーム、連続気泡ポリウレタンフォーム、とする方法を挙げることができる。
【0019】
該イソシアネートとしては、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物を挙げることができ、例えば2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、それらとポリオールとの反応によるイソシアネート含有プレポリマー、及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられる。さらに、これらのイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基含有変性物)やポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の縮合体(多核体と称されることもある)をも挙げることができる。中でも特に柔軟性、圧縮硬度に優れる軟質ポリウレタンフォームとなることから、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、その変性物であることが好ましい。
【0020】
該触媒としては、各種のウレタン化触媒として知られているものを挙げることができ、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモリホリン、N-エチルモリホリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、さらにこれらの有機酸塩;スタナスオクトエート、ナフテン酸亜鉛等の有機金属化合物;ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチル-N-ヘキサノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチル-ビスアミノエチルエーテル等の活性水素を有すアミン触媒;等を挙げることができ、その中でもウレタン化の反応性と発泡性に優れるものとなることからトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミンであることが好ましい。また、その際の触媒の量としては、発泡性に優れる軟質ポリウレタンフォームを効率的に得ることができることからポリオール100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましい。
【0021】
該発泡剤としては、各種発泡剤として知られているものを用いることができ、中でもポリウレタンフォームの発泡剤としては、イソシアネート基との反応により炭酸ガスを発生し、該炭酸ガスにより炭酸ガス発泡を可能とすることから水を挙げることができる。また、水と付加的に任意の発泡剤を使用してもよく、例えばシクロペンタンやイソペンタン等の低沸点有機化合物を挙げることができる。さらに、ガスローディング装置を用いて原液中に空気や窒素ガスや液化二酸化炭素を混入溶解させて発泡することもできる。発泡剤として水を使用する際のその量は、低見掛け密度の発泡体を安定し提供することが容易となることからポリオール100質量部に対して0.5~10質量部であることが好ましく、特に1.0~8.0質量部、更に2.0~8.0質量部であること好ましい。
【0022】
該整泡剤としては、通常の界面活性剤が使用され、有機珪素系の界面活性剤が好適に使用でき、例えば(商品名)SRX-280A、SZ-1327、SZ-1325、SZ-1336、SZ-3601(東レ・ダウコーニング社製);(商品名)Y-10366、L-3620(モメンティブ社製)、(商品名)B-8724LF2、B-8715LF2(エボニック社製);(商品名)F-122(信越化学社製)等が挙げられ、これら整泡剤の配合量としては、ポリオール100質量部に対し0.1~3質量部であることが好ましい。
【0023】
さらに、沈降防止剤や、必要に応じて、添加剤として、破泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料・染料、抗菌剤・抗カビ剤等の公知の各種添加剤等を用いることができる。
【0024】
そして、ポリウレタン形成性組成物、ポリウレタンフォーム形成性組成物を調製する際のイソシアネートとポリオール組成物の割合としては、任意であり、中でも気泡が連通した軟質ポリウレタンフォームを効率的に得ることができることから全イソシアネート基と水を含む全活性水素基とのモル比(NCO/活性水素)として、0.7~1.4(イソシアネートインデックス(NCOINDEX)=70~140)であることが好ましく、フォームの耐久性や成形サイクルの良好な範囲として0.7~1.2(NCOINDEX=70~120)がより好ましい。
【0025】
ポリウレタンフォームの製造方法としては、該ポリウレタンフォーム形成性組成物、特に軟質ポリウレタンフォーム形成性組成物をスラブ発泡、注入モールド発泡、スプレー発泡、連続生産パネル発泡等の公知発泡方法に供する製造方法を挙げることができ、一般な種々の用途、例えば建築、土木関係の断熱材や構造材;電気機器関係では、冷凍庫、冷蔵庫、冷凍ショーケース等の断熱材;プラントや船舶関係では、LPG、LNGタンカーやパイプラインの断熱材;車両関係では、保冷庫や保冷車の断熱材等、また寝具や自動車等のシート、クッション材、吸音材、制振材、工事用床材等に使用でき、なかでも、寝具や自動車等のシート、クッション材に使用される。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、特定量のスルホコハク酸塩を含む事により圧縮硬度に優れるポリウレタンフォームを提供することが可能となるポリオール組成物を提供するものであり、そのポリウレタンフォーム、特に軟質ポリウレタンフォームは、自動車等のシートや寝具、クッション材に代表される用途に用いられるものとなる。
【実施例0027】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0028】
実施例及び比較例で用いた原料としては、それぞれ以下のものを使用した。
ポリオールA:ポリエーテルポリオール(AGC社製、(商品名)EL-840:官能基数3、水酸基価26mgKOH/g)。
ポリオールB:ポリマーポリオール(AGC社製、(商品名)EL-923:官能基数3、水酸基価24mgKOH/g)。
ポリオールC:ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子をポリオールAに35質量%分散したポリオール組成物(官能基数3、水酸基価24mgKOH/g)。
発泡剤A:水。
整泡剤A:シリコーン系界面活性剤(モメンティブ社製、(商品名)L-3620)。
触媒A:トリエチレンジアミンのジプロピレングリコール溶液(東ソー社製、(商品名)TEDA-L33)。
触媒B:ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルのジプロピレングリコール溶液(東ソー社製、(商品名)TOYOCAT-ET)。
イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー社製、(商品名)C―1331、NCO含量=31.5%)。
改質剤A:ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム塩。
改質剤B:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩。
改質剤C:ラウリル硫酸ナトリウム塩。
【0029】
以下に実施例より得られたポリウレタンフォームの評価方法を示す。
【0030】
<成形性評価>
表中、成形性「○」の評価は、ウレタンフォームが最高の高さに達した後に大きく沈んでいく崩壊や、生成したウレタンフォームが発泡直後またはキュアー後に収縮する現象が生じることなく、軟質ポリウレタンフォームが成形できることを意味する。
【0031】
<見掛け密度>
JIS K6400記載の方法により求めた。
【0032】
<スキン付き試験片フォームの25%圧縮硬さ(25%ILD)>
JIS K6400記載のB法により求めた。
【0033】
<圧縮残留ひずみ>
JIS K6400記載の方法で測定した。
【0034】
実施例1
室温下(20~25℃)にて、ポリオールA100質量部に対し、触媒A0.40質量部、触媒B0.12質量部、整泡剤A1質量部、発泡剤A3.2質量部、改質剤A0.03質量部混合し、ポリオール組成物を調製し20℃に調温した。
【0035】
そして、ポリオールA100質量部に対して20℃に調温したイソシアネート55.6質量部を加え、攪拌速度7000rpmで7秒間攪拌混合しポリウレタンフォーム形成性組成物とし、金型内に注入し軟質ポリウレタンフォームを発泡させた後、金型より取り出して、得られた軟質ポリウレタンフォームの物性を測定した。
【0036】
軟質ポリウレタンフォームの評価結果を表1に示す。圧縮硬度及び圧縮残留ひずみは良好であった。
【0037】
実施例2~4
ポリオール組成物、ポリウレタンフォーム形成性組成物の配合割合を表1に示すものとした以外は、実施例1と同様の方法により、軟質ポリウレタンフォームを製造し、評価を行った。
【0038】
軟質ポリウレタンフォームの評価結果を表1に示す。圧縮硬度及び圧縮残留ひずみは良好であった。
【0039】
比較例1~5
ポリオール組成物、ポリウレタンフォーム形成性組成物の配合割合を表1に示すものとした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリウレタンフォームを製造し、評価を行った。
【0040】
比較例1のポリウレタンフォームはスルホコハク酸系金属塩を含まないため実施例1と比較して圧縮硬度及び圧縮残留ひずみが劣る結果であった。比較例2~4のポリウレタンフォームはスルホコハク酸系金属塩を含まないため実施例2と比較して圧縮硬度及び圧縮残留ひずみが劣る結果であった。比較例5のポリウレタンフォームはスルホコハク酸系金属塩の添加量が少ないため実施例1と比較して圧縮硬度及び圧縮残留ひずみが劣る結果であった。
【0041】
本発明のポリオール組成物は、圧縮硬度に優れるポリウレタンフォーム、特に軟質ポリウレタンフォームが製造できるので、ポリウレタン、ポリウレタンフォームの製造工業、更にはその製品として好適な使用が期待されるものである。