(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133809
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ガス精製方法およびガス精製装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
B01D53/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043780
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中島 啓貴
(72)【発明者】
【氏名】須藤 れな
【テーマコード(参考)】
4D012
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA01
4D012CA07
4D012CA10
4D012CA20
4D012CB12
4D012CB16
4D012CE01
4D012CE02
4D012CE03
4D012CF01
4D012CF02
4D012CF03
4D012CF05
4D012CG02
4D012CJ10
(57)【要約】
【課題】ガス吸着カラムを用いるガス精製方法において、吸着材の吸収性能を効率的に維持する。
【解決手段】吸着材が充填されてなり、前記吸着材を挟んで、ガス導入口とガス導出口とが配設されたガス吸着カラムに、ガス状物質を通過させて、前記ガス状物質に含まれる除去対象成分を除去することによるガス精製方法において、前記ガス状物質の通過を間欠的に行うことを特徴とするガス精製方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着材が充填されてなり、前記吸着材を挟んで、ガス導入口とガス導出口とが配設されたガス吸着カラムに、ガス状物質を通過させて、前記ガス状物質に含まれる除去対象成分を除去することによるガス精製方法において、前記ガス状物質の通過を間欠的に行うことを特徴とするガス精製方法。
【請求項2】
前記ガス状物質の通過を0.5時間以上の間隔で間欠的に行う、請求項1に記載のガス精製方法。
【請求項3】
前記ガス状物質が腐食性ガスである、請求項1に記載のガス精製方法。
【請求項4】
前記吸着材がハイシリカゼオライト、活性アルミナおよびシリカアルミナゲルからなる群より選ばれる一種である、請求項1に記載のガス精製方法。
【請求項5】
吸着材が充填されてなり、前記吸着材を挟んで、ガス導入口とガス導出口とが配設されたガス吸着カラムを有し、前記ガス吸着カラムにガス状物質を通過させて、前記ガス状物質に含まれる除去対象成分を除去する精製装置において、前記ガス状物質の通過を間欠的に行い得るように構成されたガス精製装置。
【請求項6】
吸着材が充填されてなり、前記吸着材を挟んで、ガス導入口とガス導出口とが配設されたガス吸着カラムが複数設けてなるガス精製装置に、ガス状物質を通過させて、前記ガス状物質に含まれる除去対象成分を除去することによるガス精製方法において、前記ガス吸着カラムへの前記ガス状物質の通過を部分的に行うことを特徴とするガス精製方法。
【請求項7】
吸着材が充填されてなり、前記吸着材を挟んで、ガス導入口とガス導出口とが配設されたガス吸着カラムを複数有し、前記ガス吸着カラムにガス状物質を通過させて、前記ガス状物質に含まれる除去対象成分を除去する精製装置において、前記ガス吸着カラムへの前記ガス状物質の通過を部分的に行い得るように構成されたガス精製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス精製方法に関し、より詳しくは、吸着材が充填されたガス吸着カラムに、ガス状物質を間欠的に通過させて、該物質に含まれる除去対象成分(吸着質)を除去することによるガス精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸着材を用いるガスの精製方法は、古くから化学工業、食品工業、石油工業などで採用されている。
かかる精製方法において、ガス吸着に用いられる吸着材としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナなどの多孔質材料が知られている。これらの多孔質材料は大きな比表面積と無数の細孔を有し、ファンデルワールス力による物理吸着及び細孔による分子篩の効果でガスの精製を可能とすることが知られている。
【0003】
これらの多孔質材料は、使用に伴い吸着性能が低下し、吸着性能を回復させるためには、多孔質材料からの吸着質の脱離、即ち再生操作を余儀なくされる。
該多孔質材料の一般的な再生方法としては、高温に加熱して吸着質を脱離させる方法が知られている。しかしながら、高温下での加熱による多孔質材料の劣化およびエネルギーコストの増大を惹起することから、該多孔質材料の吸着性能の低下を防止し、その吸着性能を効率的に維持する手法の開発が求められている。
そのような手法として、特許文献1には、ガス吸着時に、多孔質材料を冷却フィンおよび冷却ファンからなる空冷機構や水冷機構などの冷却手段で冷却する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記文献に記載の手法では、冷却設備を必要とすることから、より簡便に、多孔質材料の吸着性能の低下を防止し、その吸着性能を効率的に維持する手法の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる状況下、本発明者らは鋭意検討した結果、吸着質を含むガス状物質を、吸着材として多孔質材料が充填されたガス吸着カラムに、間欠的に通過させることにより、該吸着材の吸着性能を効率的に維持することが出来ることを見出し本発明に至った。
即ち、本発明は以下の各項に記載の発明に関する。
【0007】
1.吸着材が充填されてなり、前記吸着材を挟んで、ガス導入口とガス導出口とが配設されたガス吸着カラムに、ガス状物質を通過させて、前記ガス状物質に含まれる除去対象成分を除去することによるガス精製方法において、前記ガス状物質の通過を間欠的に行うことを特徴とするガス精製方法。
【0008】
2.前記ガス状物質の通過を0.5時間以上の間隔で間欠的に行う、項1に記載のガス精製方法。
【0009】
3.前記ガス状物質が腐食性ガスである、項1に記載のガス精製方法。
【0010】
4.前記吸着材がハイシリカゼオライト、活性アルミナおよびシリカアルミナゲルからなる群より選ばれる一種である、項1に記載のガス精製方法。
【0011】
5.吸着材が充填されてなり、前記吸着材を挟んで、ガス導入口とガス導出口とが配設されたガス吸着カラムを有し、前記ガス吸着カラムにガス状物質を通過させて、前記ガス状物質に含まれる除去対象成分を除去する精製装置において、前記ガス状物質の通過を間欠的に行い得るように構成されたガス精製装置。
【0012】
6.吸着材が充填されてなり、前記吸着材を挟んで、ガス導入口とガス導出口とが配設されたガス吸着カラムが複数設けてなるガス精製装置に、ガス状物質を通過させて、前記ガス状物質に含まれる除去対象成分を除去することによるガス精製方法において、前記ガス吸着カラムへの前記ガス状物質の通過を部分的に行うことを特徴とするガス精製方法。
【0013】
7.吸着材が充填されてなり、前記吸着材を挟んで、ガス導入口とガス導出口とが配設されたガス吸着カラムを複数有し、前記ガス吸着カラムにガス状物質を通過させて、前記ガス状物質に含まれる除去対象成分を除去する精製装置において、前記ガス吸着カラムへの前記ガス状物質の通過を部分的に行い得るように構成されたガス精製装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より簡便に吸着材の吸着性能を効率的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るガス精製装置の概略図である。図中、1はガス吸着カラム、2は被処理ガスの導入調節弁、3は処理ガスの排出調節弁、4はガス導入口、5はガス導出口を表す。
【
図2】実施例1~3及び比較例1におけるガス精製操作の中断時間と、吸着質(水分)濃度が管理上限濃度(8volppm)以下に処理されたガス(処理ガス)の取得量の関係を表す図である。
【
図3】実施例1~3及び比較例1におけるガス吸着カラム出口での吸着質(水分)濃度と、該ガス吸着カラムの吸着材によって処理されたガスの総量の関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、本発明に係るガス精製装置100はガス吸着カラム1と、該ガス吸着カラムへの被処理ガスの導入調節弁2及び処理ガスの排出調節弁3から構成される。
本発明に係るガス精製方法は、吸着材として多孔質材料が充填されてなり、該吸着材を挟んで、ガス導入口4とガス導出口5とが配設されたガス吸着カラム1に、ガス導入口4から被処理ガスを流入させ、ガス導出口5から処理後のガス(処理ガス)を排出する工程を含み、該工程を経た後、前記導入調節弁2及び排出調節弁3を閉止し、所定時間保持(ガス精製操作の中断)し、次いで、前記調節弁2および3を開放して、前記導入口4からガスの導入を再開し、必要に応じ、この操作を繰り返すことにより行われる。
【0017】
また、本発明のガス精製装置は、前記ガス吸着カラムを2つ以上並列して有する多塔式の態様を採ることもでき、この場合、少なくとも1つのガス吸着カラム(以下、先のカラムと記す)において、前述のガス流入、精製(処理)およびガス排出を行い、他のガス吸着カラムにおいては、当該ガス吸着カラムへの被処理ガスの導入調節弁2および処理ガスの排出調節弁3を閉止しておき、先のカラムでのガス精製を中断した後、これに代わって他のカラムにおいて前述のガス流入、精製(処理)およびガス排出を行うことで、各々のガス吸着カラムにおいて、ガス精製操作およびその中断を行いながら、多塔式装置全体で、ガス精製操作を停止することなく、連続的に精製を行うことが可能となる。
【0018】
(吸着材)
本発明形態においてガス吸着カラム1に充填する吸着材としては、除去対象成分に対して吸着性能を有する多孔質材料であればよく、ハイシリカゼオライト等のゼオライト、活性アルミナ、シリカゲル、シリカアルミナゲルなどの無機多孔質材料や活性炭などの炭素系多孔質材料を用いることができる。これら多孔質材料は単独で用いてもよいし、2種類以上の多孔質材料を併用してもよい。
【0019】
前記多孔質材料としては、ハイシリカゼオライト、活性アルミナ及びシリカアルミナゲルからなる群より選択される少なくとも1種であることが吸着効率の観点から好ましい。
また、ガス吸着カラム1内の一部分に多孔質材料を充填し、そのほかの部分には、ラシヒリング、ベルルサドル、アルミナボールなどの充填物を充填してもよい。
【0020】
(被処理ガス)
本発明形態においてガス吸着カラム1に流通する被処理ガスは、主成分と、主成分と異なる不純物成分である除去対象成分を含むガス状物質である。主成分はガス状物質の大部分を構成する成分であれば特に限定されず、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス、プロパン、プロピレンなどの炭化水素系ガス、アンモニア、硫化水素、二酸化硫黄などの腐食性ガス、一酸化炭素、一酸化窒素、亜酸化窒素などの酸素含有ガスなどが挙げられる。特に被処理ガスが腐食性ガスである場合、再生工程(加熱)によって装置や多孔質材料の劣化が起こり易いことから、本発明方法を適用する利点が大きい。
【0021】
除去対象成分はガス吸着カラム1にて吸着される成分であれば特に限定されず、プロパン、プロピレンなどの炭化水素系ガス、アンモニア、硫化水素、二酸化硫黄などの腐食性ガス、一酸化炭素、一酸化窒素、亜酸化窒素などの酸素含有ガス、塩素、臭素、フッ素、塩化水素、臭化水素、フッ化水素、ヨウ化水素、ハロゲン化炭化水素などのハロゲン含有ガス、水などが挙げられる。
【0022】
具体的には、前記被処理ガスは、例えば、除去対象成分である水を含む二酸化硫黄を主成分としたガス状物質、除去対象成分である水を含む窒素を主成分としたガス状物質、除去対象成分である二酸化炭素を含むヘリウムを主成分としたガス状物質、などである。
【0023】
(ガス精製方法)
本発明に係るガスの精製は、吸着材として多孔質材料が充填されたガス吸着カラム1に、ガス状物質すなわち不純物成分である除去対象成分を含む被処理ガスを間欠的に通過させて、前記被処理ガスに含まれる除去対象成分を吸着・除去することにより行われる。
先ず、導入調節弁2及び排出調節弁3が開放された状態で、前記ガス吸着カラム1に当該被処理ガスが導入される。
【0024】
このとき、前記被処理ガスの流量の制御は必ずしも必要ではないが、精製プロセスの制御のために被処理ガス流量を流量計で制御することが好ましい。
【0025】
前記被処理ガスの線速度(=ガス吸着カラムへ導入されるときの被処理ガス流量/ガス吸着カラムの断面積)は、1ノルマルcm/秒以上100ノルマルcm/秒以下が好ましい。線速度が速くなると、単位時間当りのガス処理量は増加するが、破過までの時間が短くなり、吸着カラムの運転可能時間は減少する。よって、プロセス制御の観点からガス流量を流量計で測定し、処理ガスの生産量や生産プロセスのタイムサイクルに応じて線速度を変更するのが好ましい。
【0026】
前記不純物を含む被処理ガスのガス吸着カラム内圧は、0.01MPa(ゲージ圧)以上20MPa(ゲージ圧)以下が好ましい。ガス吸着カラム内圧が高いほど、前記除去対象成分の吸着量は増加するが、一方で圧力が高くなると耐圧設備を要するなど、コスト高となるため、設備条件、生産効率などを総合的に考慮し、圧力を制御することが好ましい。
前記被処理ガスのガス吸着カラム1への導入は、ガス導出口5から排出した処理ガス中の不純物濃度が基準濃度〔ここでの基準濃度とは、使用するガス吸着カラムで吸着・除去するべく、予め定められた前記処理ガス中の不純物濃度を指し、当該ガス吸着カラムを使用する上記のガス精製操作で吸着・除去される処理ガス中の不純物濃度の上限値(「管理上限濃度」)を超えない範囲の任意の濃度である。〕に到達するまで、連続して行われる。
前記基準濃度に到達した後、導入調節弁2及び排出調節弁3を閉止し、所定時間保持する、すなわちガス精製操作を中断する。
【0027】
前記保持時間(ガス精製操作の中断時間)は0.5時間以上であればよく、好ましくは0.5時間以上50時間以下、より好ましくは20時間以上50時間以下である。
【0028】
また、ガス精製操作の中断中のガス吸着カラム内圧は0.01MPa(ゲージ圧)以上20MPa(ゲージ圧)以下であればよく、ガス通気時よりも圧力が低いと、吸着した前記除去対象成分が吸着材から脱離するおそれがあり、効果が得られない可能性があることから、ガス通気時の圧力以上で保持するのが好ましい。
【0029】
また、前記基準濃度は、前記管理上限濃度の100%未満であればよいが、好ましくは95%以下、より好ましくは80%以下である。100%を超えると、吸着材が破過するおそれがあり、効果が得られない可能性がある。
【0030】
上記保持時間の経過後に、導入調節弁2及び排出調節弁3を開放して、前記被処理ガスを吸着カラム1に再び導入し、前記不純物成分の吸着の除去を再開する。
ガス吸着カラムへの被処理ガスの導入を所定時間、停止する工程を含む、すなわち、ガス状物質の通過を間欠的に行う本発明に係る前記ガス精製方法によれば、長時間連続して、ガス吸着カラムへの被処理ガスの導入および通過を行う場合に比して、被処理ガス中の除去対象成分である不純物の濃度が前記管理上限濃度に到達するまでの時間が増加し、その結果、不純物濃度が管理上限濃度以下の処理ガスの取得量および吸着材に吸着した吸着質量が増加する。
【0031】
このように、本発明のガス精製方法によれば、吸着材の吸着性能を効率的に維持することが出来る。
【0032】
なお、ガス吸着カラムのガス導出口5より排出された処理後のガス中の除去対象成分の濃度は、夫々の吸着質毎に適当な分析装置にて測定する。例えば、除去対象成分が水の場合は、水分計を用いて水分濃度を測定する。水分計としては、静電容量式露点計、五酸化燐式露点計、鏡面冷却式露点計、キャビティーリングダウン分光法(CRDS:Cavity Ring Down Spectroscopy)などが使用でき、低水分濃度の分析ではキャビティーリングダウン分光法(CRDS)を用いるのが好ましい。除去対象成分が二酸化炭素などの水分以外の場合は、ガスクロマトグラフィーでの定量分析が好ましい。ガスクロマトグラフィーにおける検出器としては、除去対象成分の種類と濃度によって選定され、高感度分析が可能なPDD(Pulsed Discharge Detector)での測定が好ましい。
【0033】
また、前述のように、本発明に係るガス精製方法は、並列する2つ以上のガス吸着カラムを用いる様態を採ることもでき、この場合、少なくとも1つのガス吸着カラム(以下、先のカラムと記す)において、前述のガス流入、精製(処理)およびガス排出を行うことで、各々のガス吸着カラムにおいて、ガス精製操作およびその中断を行いながら、複数のカラム全体で、ガス精製操作を停止することなく、連続的に精製操作を行うことも可能である。
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
外径3mmのカラム内温測定用のSUS保護管を備えた内径1.0cm、長さ30cmのSUSカラムに、吸着材としてハイシリカゼオライト(HSZ-640HOD1A、東ソー株式会社製)を3cmの長さに、そして、その上下に充填剤としてアルミナボール(直径3mm)を13.5cmの長さに充填した。該カラムの外側の温度が150℃になるように外部からヒーターで加熱しながら、該カラムに窒素ガスを60ノルマルml/分の流量で通過させた。16時間後、該カラムの外側の温度が室温(約25℃)まで冷却して、ガス吸着カラム1を調製した。
【0036】
次いで、ガス吸着カラム1のガス導出口5に繋がる排出調節弁3を閉止した状態で、二酸化硫黄をカラム内圧が0.1MPa(ゲージ圧)になるまでガス吸着カラム1のガス導入口4から導入した。この時、カラム内が発熱したため、カラム内の温度が室温(約25℃)に低下するまで放冷した。
【0037】
上記操作後に、排出調節弁3を開放し、水分濃度が37volppmの二酸化硫黄をガス吸着カラム1のガス導入口4から導入し、二酸化硫黄に含まれる水分を吸着材で吸着・除去した。このとき、二酸化硫黄ガスの供給速度は22.6ノルマルcm/秒、ガス吸着カラム内圧は0.1MPa(ゲージ圧)であった。ガス吸着カラム1のガス導出口5から導出された二酸化硫黄中の水分濃度をキャビティーリングダウン分光法(CRDS)で測定した。導出された該ガス中の水分濃度が4volppmに到達した後、導入調節弁2および排出調節弁3を閉止して、カラム内圧を0.1MPa(ゲージ圧)に保ちながら、ガス精製操作を20時間中断した。次いで、導入調節弁2および排出調節弁3を開放して、水分濃度37volppmの二酸化硫黄ガスをガス吸着カラム1のガス導入口4から再び導入した。水分濃度37volppmの二酸化硫黄ガスをガス吸着カラム1に導入して水分濃度を8volppm以下にまで低減された処理ガスの取得量は、合計で440ノルマルlであった。このとき、吸着された水分量は被処理ガスと処理ガスの水分濃度の測定値から12.4mgと算出された。
【0038】
(実施例2)
ガス精製操作の中断時間を1時間としたこと以外は、実施例1と同様にしてガス精製操作を行った。そして、実施例1と同様にしてガス吸着カラムのガス導出口5より排出された二酸化硫黄中の水分濃度を測定し、水分濃度37volppmの二酸化硫黄ガスをガス吸着カラム1に導入して水分濃度を8volppm以下にまで低減された処理ガスの取得量は、合計で380ノルマルlであった。このとき、吸着した水分量は10.5mgと算出された。
【0039】
(実施例3)
ガス精製操作の中断時間を44時間としたこと以外は、実施例1と同様にしてガス精製操作を行った。そして、実施例1と同様にしてガス吸着カラムのガス導出口5より排出された二酸化硫黄中の水分濃度を測定し、水分濃度37volppmの二酸化硫黄ガスをガス吸着カラム1に導入して水分濃度を8volppm以下にまで低減された処理ガスの取得量は、合計で460ノルマルlであった。このとき、吸着した水分量は12.9mgと算出された。
【0040】
(実施例4)
内径1.0cm、長さ30cmのSUSカラムに、吸着材としてのシリカアルミナゲル(ネオビードSA、水澤化学工業株式会社製)を3cmの長さに、そしてその上下に、充填剤としてのアルミナボール(直径3mm)を13.5cmの長さに充填した。該カラムの外側の温度が250℃になるように外部からヒーターで加熱しながら、該カラムに窒素ガスを60ノルマルml/分の流量で通過させた。16時間加熱後、該カラムの外側の温度が室温(約25℃)まで冷却して、ガス吸着カラム1を調製した。
次いで、ガス吸着カラム1のガス導出口5に繋がる排出調節弁3を閉止した状態で、窒素をカラム内圧が0.1MPa(ゲージ圧)になるまでガス吸着カラム1のガス導入口4から導入した。
【0041】
上記操作後に、排出調節弁3を開放し、水分濃度が39volppmの窒素をガス吸着カラム1のガス導入口4から導入し、窒素に含まれる水分を吸着材で吸着・除去した。このとき、窒素ガスの供給速度は20.4ノルマルcm/秒、ガス吸着カラム内圧は0.1MPa(ゲージ圧)であった。ガス吸着カラム1のガス導出口5から導出された窒素中の水分濃度をキャビティーリングダウン分光法(CRDS)で測定した。ガス吸着カラムの出口5より導出されたガス中の水分濃度が8volppmに到達後、導入調節弁2及び排出調節弁3を閉止して、カラム内圧を0.1MPa(ゲージ圧)に保ちながら、ガス精製操作を20時間中断した。次いで、導入調節弁2及び排出調節弁3を開放して、水分濃度38volppmの窒素ガスをガス吸着カラム1のガス導入口4から再び導入した。水分濃度39volppmの窒素ガスをガス吸着カラム1に導入して水分濃度を12volppm以下にまで低減された処理ガスの取得量は、合計で380ノルマルlであった。このとき、吸着した水分量は10.6mgと算出された。
【0042】
(比較例1)
ガス精製操作の中断を行わずに、ガス吸着を連続して実施したこと以外は、実施例1と同様にしてガス精製を行った。そして、実施例1と同様にしてガス吸着カラム1の導出口から導出された二酸化硫黄中の水分濃度を測定し、水分濃度36volppmの二酸化硫黄をガス吸着カラム1に導入して水分濃度を8volppm以下にまで低減された処理ガスの取得量は340ノルマルlであった。このとき、吸着した水分量は9.1mgと算出された。
【0043】
(比較例2)
ガス精製操作の中断を行わずに、ガス吸着を連続して実施したこと以外は、実施例4と同様にしてガス精製を行った。そして、実施例4と同様にしてガス吸着カラム1の導出口から導出された窒素中の水分濃度を測定し、水分濃度39volppmの窒素ガスをガス吸着カラム1に導入して水分濃度を12volppm以下にまで低減された処理ガスの取得量は310ノルマルlであった。このとき、吸着した水分量は8.5mgと算出された。
【0044】
【符号の説明】
【0045】
100 ガス精製装置
1 ガス吸着カラム
2 被処理ガスの導入調節弁
3 処理ガスの排出調節弁
4 ガス導入口
5 ガス導出口