(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133816
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043791
(22)【出願日】2023-03-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】坪田 圭司
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601GD04
4C601KK16
4C601KK31
4C601KK42
(57)【要約】
【課題】複数の超音波プローブまたは複数の装置本体が存在する場合でも、ユーザが検査を円滑に開始できる超音波診断装置の制御方法および超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波診断装置は、超音波プローブ(1)と、超音波プローブ(1)に無線接続された装置本体(2)とを備え、超音波プローブ(1)は、装置本体(2)との間において無線通信を行い、超音波プローブ(1)および装置本体(2)は報知部(16、25)を有し、超音波プローブ(1)および装置本体(2)のうちの一方からなる第1の機器がスリープ状態にある場合に、他方からなる第2の機器に対してユーザにより定められた操作が行われると、第2の機器から第1の機器に無線通信が行われて、第1の機器がスリープ状態から起動状態に切り替えられ、第1の機器が第2の機器により起動されたことが第1の機器の報知部(16、25)により報知される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブと、
前記超音波プローブに無線接続された装置本体と
を備え、
前記超音波プローブは、前記装置本体との間において無線通信を行い、
前記装置本体は、前記超音波プローブとの間において無線通信を行い、
前記超音波プローブおよび前記装置本体のそれぞれは報知部を有し、
少なくとも前記超音波プローブおよび前記装置本体のうちの一方からなる第1の機器がスリープ状態にある場合に、前記超音波プローブおよび前記装置本体のうちの他方からなる第2の機器に対してユーザにより定められた操作が行われると、前記第2の機器から前記第1の機器に無線通信が行われることにより、前記第1の機器が前記スリープ状態から起動状態に切り替えられ、前記第1の機器が前記第2の機器により起動されたことが前記第1の機器の前記報知部により報知される超音波診断装置。
【請求項2】
前記第1の機器と前記第2の機器は、互いにペアリング設定された状態、または、互いにペアリング設定可能な状態にある請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記第2の機器に対してペアリング設定されている、またはペアリング設定可能な複数の前記第1の機器を備え、
前記第2の機器は、前記複数の前記第1の機器のうちの1つを前記ユーザにより選択するための選択部を有し、
前記選択部により選択された前記第1の機器が前記スリープ状態から起動状態に切り替えられる請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記第2の機器は、前記第1の機器との距離を計測する距離計測部を有し、
前記距離計測部により計測された前記第1の機器との距離が前記第2の機器の前記報知部により報知される請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記報知部は、前記距離計測部により計測された前記第1の機器との距離が定められた距離しきい値を超える場合に警告を発する請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記報知部は、前記第2の機器が前記第1の機器を認識することができない場合に警告を発する請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記距離計測部は、前記第1の機器との距離と併せて前記第1の機器に対する方位を計測し、
前記第2の機器は、前記第1の機器および前記第2の機器が装備されている施設の見取り図情報が格納されたメモリと、前記距離計測部により計測された前記第1の機器に対する距離および方位に基づいて前記第1の機器の前記見取り図情報における位置を識別する位置識別部を有し、
前記報知部は、前記位置識別部により識別された前記第1の機器の前記見取り図情報における位置を報知する請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記第2の機器に対してペアリング設定されている、またはペアリング設定可能な複数の前記第1の機器を備え、
前記第2の機器は、前記複数の前記第1の機器のうちの1つを前記ユーザにより選択するための選択部を有し、
前記位置識別部は、前記複数の前記第1の機器のうち前記選択部により選択されなかった前記第1の機器の前記見取り図情報における位置を識別し、
前記報知部は、前記位置識別部により識別された前記選択されなかった前記第1の機器の前記見取り図情報における位置を報知する請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記第2の機器は、起動スイッチを有し、
前記定められた操作は、前記起動スイッチの投入操作である請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記第2の機器は、音声認識部を有し、
前記定められた操作は、音声を用いた操作である請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記第2の機器は、振動センサを有し、
前記定められた操作は、前記第2の機器を振動させる定められたジェスチャ操作である請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記第2の機器は、タッチパネルを有し、
前記定められた操作は、前記タッチパネルを介した定められた入力操作である請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記選択部は、トグル型のスイッチ、または、複数のセパレート型のスイッチからなる請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記第2の機器は、音声認識部を有し、
前記選択部は、前記音声認識部による音声認識に基づいて前記第1の機器の選択を行う請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記第2の機器は、モニタを有し、
前記選択部は、前記モニタ上に表示された前記複数の前記第1の機器から選択を行う請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項16】
前記第2の機器は、振動センサを有し、
前記選択部は、前記第2の機器を振動させる定められたジェスチャ操作に基づいて前記第1の機器の選択を行う請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項17】
前記第2の機器は、タッチパネルを有し、
前記選択部は、前記タッチパネルを介した定められた図形の入力操作に基づいて前記第1の機器の選択を行う請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項18】
少なくとも超音波プローブおよび装置本体のうちの一方からなる第1の機器がスリープ状態にある場合に、前記超音波プローブおよび前記装置本体のうちの他方からなる第2の機器に対してユーザにより定められた操作を行い、
前記第2の機器から前記第1の機器に無線通信が行われることにより前記第1の機器を前記スリープ状態から起動状態に切り替え、
前記第1の機器が前記第2の機器により起動されたことを前記第1の機器の報知部により報知する
超音波診断装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブと装置本体との間で無線通信を行う超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、いわゆる超音波診断装置を用いて被検体内の超音波画像を撮影することにより被検体の検査が行われている。このような超音波診断装置は、通常、被検体に対して超音波の走査を行う超音波プローブと、超音波プローブによる走査により得られた超音波画像の表示等を行う装置本体を有していることが多い。
【0003】
例えば特許文献1に、互いにいわゆる無線通信を行う超音波プローブと装置本体を備えた超音波診断装置が開示されている。特許文献1は、装置本体から定められた距離内に位置する超音波プローブを装置本体と無線接続可能な状態にする、すなわち、いわゆるペアリング設定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば病院、介護施設または訪問看護センター等の施設では、互いに無線通信が可能な複数の超音波プローブと複数の装置本体とを所有し、これらの複数の超音波プローブと複数の装置本体を複数のユーザで共有していることがある。この際にユーザは、複数の超音波プローブと複数の装置本体のうち、互いにペアリング設定されている、または、互いに無線接続されている超音波プローブと装置本体との組み合わせを把握できず、検査を円滑に開始できないことがあった。
【0006】
本発明はこのような従来の問題点を解消するためになされたものであり、複数の超音波プローブまたは複数の装置本体が存在する場合でも、ユーザが検査を円滑に開始できる超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の構成によれば、上記目的を達成できる。
〔1〕 超音波プローブと、
超音波プローブに無線接続された装置本体と
を備え、
超音波プローブは、装置本体との間において無線通信を行い、
装置本体は、超音波プローブとの間において無線通信を行い、
超音波プローブおよび装置本体のそれぞれは報知部を有し、
少なくとも超音波プローブおよび装置本体のうちの一方からなる第1の機器がスリープ状態にある場合に、超音波プローブおよび装置本体のうちの他方からなる第2の機器に対してユーザにより定められた操作が行われると、第2の機器から第1の機器に無線通信が行われることにより、第1の機器がスリープ状態から起動状態に切り替えられ、第1の機器が第2の機器により起動されたことが第1の機器の報知部により報知される超音波診断装置。
〔2〕 第1の機器と第2の機器は、互いにペアリング設定された状態、または、互いにペアリング設定可能な状態にある〔1〕に記載の超音波診断装置。
〔3〕 第2の機器に対してペアリング設定されている、またはペアリング設定可能な複数の第1の機器を備え、
第2の機器は、複数の第1の機器のうちの1つをユーザにより選択するための選択部を有し、
選択部により選択された第1の機器がスリープ状態から起動状態に切り替えられる〔1〕または〔2〕に記載の超音波診断装置。
〔4〕 第2の機器は、第1の機器との距離を計測する距離計測部を有し、
距離計測部により計測された第1の機器との距離が第2の機器の報知部により報知される〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔5〕 報知部は、距離計測部により計測された第1の機器との距離が定められた距離しきい値を超える場合に警告を発する〔4〕に記載の超音波診断装置。
〔6〕 報知部は、第2の機器が第1の機器を認識することができない場合に警告を発する〔5〕に記載の超音波診断装置。
〔7〕 距離計測部は、第1の機器との距離と併せて第1の機器に対する方位を計測し、
第2の機器は、第1の機器および第2の機器が装備されている施設の見取り図情報が格納されたメモリと、距離計測部により計測された第1の機器に対する距離および方位に基づいて第1の機器の見取り図情報における位置を識別する位置識別部を有し、
報知部は、位置識別部により識別された第1の機器の見取り図情報における位置を報知する〔4〕に記載の超音波診断装置。
〔8〕 第2の機器に対してペアリング設定されている、またはペアリング設定可能な複数の第1の機器を備え、
第2の機器は、複数の第1の機器のうちの1つをユーザにより選択するための選択部を有し、
位置識別部は、複数の第1の機器のうち選択部により選択されなかった第1の機器の見取り図情報における位置を識別し、
報知部は、位置識別部により識別された選択されなかった第1の機器の見取り図情報における位置を報知する〔7〕に記載の超音波診断装置。
〔9〕 第2の機器は、起動スイッチを有し、
定められた操作は、起動スイッチの投入操作である〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔10〕 第2の機器は、音声認識部を有し、
定められた操作は、音声を用いた操作である〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔11〕 第2の機器は、振動センサを有し、
定められた操作は、第2の機器を振動させる定められたジェスチャ操作である〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔12〕 第2の機器は、タッチパネルを有し、
定められた操作は、タッチパネルを介した定められた入力操作である〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の超音波診断装置。
〔13〕 選択部は、トグル型のスイッチ、または、複数のセパレート型のスイッチからなる〔3〕に記載の超音波診断装置。
〔14〕 第2の機器は、音声認識部を有し、
選択部は、音声認識部による音声認識に基づいて第1の機器の選択を行う〔3〕に記載の超音波診断装置。
〔15〕 第2の機器は、モニタを有し、
選択部は、モニタ上に表示された複数の第1の機器から選択を行う〔3〕に記載の超音波診断装置。
〔16〕 第2の機器は、振動センサを有し、
選択部は、第2の機器を振動させる定められたジェスチャ操作に基づいて第1の機器の選択を行う〔3〕に記載の超音波診断装置。
〔17〕 第2の機器は、タッチパネルを有し、
選択部は、タッチパネルを介した定められた図形の入力操作に基づいて第1の機器の選択を行う〔3〕に記載の超音波診断装置。
〔18〕 少なくとも超音波プローブおよび装置本体のうちの一方からなる第1の機器がスリープ状態にある場合に、超音波プローブおよび装置本体のうちの他方からなる第2の機器に対してユーザにより定められた操作を行い、
第2の機器から第1の機器に無線通信が行われることにより第1の機器をスリープ状態から起動状態に切り替え、
第1の機器が第2の機器により起動されたことを第1の機器の報知部により報知する
超音波診断装置の制御方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、超音波診断装置が、超音波プローブと、超音波プローブに無線接続された装置本体とを備え、超音波プローブは、装置本体との間において無線通信を行い、装置本体は、超音波プローブとの間において無線通信を行い、超音波プローブおよび装置本体のそれぞれは報知部を有し、少なくとも超音波プローブおよび装置本体のうちの一方からなる第1の機器がスリープ状態にある場合に、超音波プローブおよび装置本体のうちの他方からなる第2の機器に対してユーザにより定められた操作が行われると、第2の機器から第1の機器に無線通信が行われることにより、第1の機器がスリープ状態から起動状態に切り替えられ、第1の機器が第2の機器により起動されたことが第1の機器の報知部により報知されるため、複数の超音波プローブまたは複数の装置本体が存在する場合でも、ユーザが検査を円滑に開始できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態1における送受信回路の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態1における画像生成部の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】超音波プローブの位置を示す見取り図の例である。
【
図7】本発明の実施の形態2の変形例に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
【0011】
実施の形態1
図1に本発明の実施の形態に係る超音波診断装置の構成を示す。超音波診断装置は、超音波プローブ1と、超音波プローブ1といわゆる無線通信を行う装置本体2を備えている。
【0012】
本発明の超音波診断装置では、後述するように、超音波プローブ1と装置本体2が互いにいわゆるペアリング設定された状態または互いにペアリング設定可能な状態であり、且つ、超音波プローブ1と装置本体2の一方の機器がいわゆるスリープ状態である場合に、ユーザが他方の機器を操作することで一方が起動状態になる。
【0013】
ここで超音波プローブ1と装置本体2が互いにペアリング設定可能な状態であるとは、超音波プローブ1と装置本体2のうち少なくとも起動の指令を送信する他方の機器が一方の機器の存在を認識し、他方の機器が一方の機器に対してペアリング設定の要求を行うことができる状態のことをいう。また、超音波プローブ1および装置本体2におけるスリープ状態とは、例えば、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface:アドバンスド・コンフィグレーション・アンド・パワー・インターフェイス)の規格等により規定されているように、超音波プローブ1および装置本体2において、図示しないメモリ以外への給電を停止する状態のことをいう。
【0014】
超音波プローブ1は、振動子アレイ11を有している。振動子アレイ11に送受信回路12、画像生成部13、プローブ側無線通信回路14が順次接続されている。プローブ側無線通信回路14に距離計測部15が接続されている。また、超音波プローブ1は報知部16を備えている。また、送受信回路12、画像生成部13、距離計測部15および報知部16に、プローブ制御部17が接続されている。プローブ制御部17に、起動スイッチ18および選択部19が接続されている。また、送受信回路12、画像生成部13、距離計測部15、報知部16およびプローブ制御部17により、超音波プローブ1用のプロセッサ20が構成されている。
【0015】
装置本体2は、本体側無線通信回路21を備えている。本体側無線通信回路21に、表示制御部22およびモニタ23が順次接続されている。本体側無線通信回路21に距離計測部24が接続されている。また、装置本体2は報知部25を備えている。また、表示制御部22、距離計測部24および報知部25に、本体制御部26が接続されている。本体制御部26に、入力装置27および選択部28が接続されている。また、表示制御部22、距離計測部24、報知部25および本体制御部26により、装置本体2用のプロセッサ29が構成されている。
【0016】
超音波プローブ1の振動子アレイ11は、1次元または2次元に配列された複数の超音波振動子を有している。これらの超音波振動子は、それぞれ送受信回路12から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に、被検体からの超音波エコーを受信して、超音波エコーに基づく信号を出力する。各超音波振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。
【0017】
送受信回路12は、プローブ制御部17による制御の下で、振動子アレイ11から超音波を送信し且つ振動子アレイ11により取得された受信信号に基づいて音線信号を生成する。送受信回路12は、
図2に示すように、振動子アレイ11に接続されるパルサ31と、振動子アレイ11から順次直列に接続される増幅部32、AD(Analog to Digital)変換部33およびビームフォーマ34を有している。
【0018】
パルサ31は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、プローブ制御部17からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ11の複数の超音波振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の超音波振動子に供給する。このように、振動子アレイ11の超音波振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの超音波振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。
【0019】
送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ1の振動子アレイ11に向かって伝搬する。このように振動子アレイ11に向かって伝搬する超音波エコーは、振動子アレイ11を構成するそれぞれの超音波振動子により受信される。この際に、振動子アレイ11を構成するそれぞれの超音波振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して、電気信号である受信信号を発生させ、これらの受信信号を増幅部32に出力する。
【0020】
増幅部32は、振動子アレイ11を構成するそれぞれの超音波振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をAD変換部33に送信する。AD変換部33は、増幅部32から送信された信号をデジタルの受信データに変換する。ビームフォーマ34は、AD変換部33から受け取った各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部33で変換された各受信データが整相加算され且つ超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が取得される。
【0021】
画像生成部13は、
図3に示すように、信号処理部41、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)42および画像処理部43が順次直列に接続された構成を有している。
【0022】
信号処理部41は、送受信回路12から受信した音線信号に対し、プローブ制御部17により設定される音速値を用いて超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
【0023】
DSC42は、信号処理部41で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)する。
画像処理部43は、DSC42から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号をプローブ側無線通信回路14に送出する。以降は、画像処理部43により画像処理が施されたBモード画像信号を、超音波画像と呼ぶ。
【0024】
プローブ側無線通信回路14は、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含む回路等により構成されており、装置本体2の本体側無線通信回路21との無線通信を行う。この際に、プローブ側無線通信回路14は、画像生成部13により生成された超音波画像等のデータに基づいてキャリアを変調することにより伝送信号を生成し、生成された伝送信号を本体側無線通信回路21に送信する。また、プローブ側無線通信回路14は、本体側無線通信回路21から送信された伝送信号を復調する。キャリアの変調方式としては、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying:振幅偏移変調)、PSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:四位相偏移変調)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation:16直角位相振幅変調)等が用いられる。
【0025】
プローブ側無線通信回路14と本体側無線通信回路21とを介して行われる超音波プローブ1と装置本体2との間の無線通信によって、超音波プローブ1と装置本体2を、互いに認証して無線接続可能な状態にする、すなわち、互いにいわゆるペアリング設定することができる。また、後述するように、ユーザが超音波プローブ1の起動スイッチ18の投入操作を行うことにより、互いにペアリング設定された超音波プローブ1と装置本体2を、互いに連携して動作を行って被検体の検査が可能な状態である、無線接続された状態にすることができる。
【0026】
プローブ制御部17は、予め記憶しているプログラム等に基づいて、超音波プローブ1の各部の制御を行う。
【0027】
起動スイッチ18は、スリープ状態の装置本体2を起動するためのスイッチである。起動スイッチ18は、例えば機械式のスイッチにより構成することができ、いわゆるタッチパネルにより構成することもできる。
【0028】
超音波プローブ1と装置本体2が互いにペアリング設定された状態、または、互いにペアリング設定可能な状態にあり且つ装置本体2がスリープ状態である場合に、ユーザにより起動スイッチ18の投入操作が行われると、プローブ制御部17による制御の下で超音波プローブ1から装置本体2に対して装置本体2を起動する旨の無線通信すなわち起動信号の無線送信が行われ、装置本体2がスリープ状態から起動状態に切り替えられ、超音波プローブ1と装置本体2が互いに無線接続される。
【0029】
ここで超音波プローブ1と装置本体2が互いにペアリング設定可能な状態であり、起動の指令を送信する超音波プローブ1が装置本体2の存在を認識する場合に、超音波プローブ1は、例えば、プローブ制御部17によってプローブ側無線通信回路14から装置本体2に向かって応答を要求する信号を送信し、装置本体2から応答が得られた場合に装置本体2を認識できる。
【0030】
後述するが、超音波プローブ1と装置本体2が互いにペアリング設定された状態、または、互いにペアリング設定可能な状態にあり且つ超音波プローブ1がスリープ状態にある場合に、装置本体2から超音波プローブ1に対して、超音波プローブ1を起動する旨の信号すなわち起動信号を無線送信することにより、超音波プローブ1を起動状態にして、超音波プローブ1と装置本体2を互いに無線接続できる。
【0031】
距離計測部15は、超音波プローブ1と装置本体2との間の距離を計測する。また、距離計測部15は、超音波プローブ1を基準とした装置本体2に対する方位を計測することもできる。距離計測部15は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)、BLE(Bluetooth Low Energy)またはUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線)等の既存の技術により距離および方位を計測できる。
【0032】
報知部16は、装置本体2からの起動信号により超音波プローブ1が起動されたこと、および、距離計測部15により計測された超音波プローブ1と装置本体2との間の距離を報知する。また、報知部16は、超音波プローブ1と装置本体2との間の距離と併せて、距離計測部15により計測された装置本体2に対する方位を報知することもできる。
【0033】
例えば超音波プローブ1が図示しないモニタを有している場合に、報知部16は、モニタにメッセージを表示することにより報知できる。また、例えば超音波プローブ1が図示しないスピーカを有している場合に、報知部16は、スピーカを介した音により報知できる。
【0034】
例えば超音波プローブ1が図示しないランプを有している場合に、報知部16は、超音波プローブ1のランプを点灯することにより、装置本体2からの起動信号により超音波プローブ1が起動されたことを報知できる。この場合に、報知部16は、例えば定められた点滅パターンによりランプを点滅させることができる。
【0035】
例えば超音波プローブ1が超音波プローブ1を振動させる図示しない振動発生装置を有している場合に、報知部16は、振動発生装置により超音波プローブ1を振動させることにより、装置本体2からの起動信号により超音波プローブ1が起動されたことを報知できる。この場合に、報知部16は、例えば定められた振動パターンにより超音波プローブ1を振動させることができる。なお、振動発生装置は、モータ等の超音波プローブ1を振動させる装置により構成できる。
【0036】
報知部16が、装置本体2からの起動信号により超音波プローブ1が起動されたことを報知すると、ユーザは、互いに無線接続されている超音波プローブ1と装置本体2との組み合わせを容易に把握できる。
【0037】
ところで、例えば病院、介護施設または訪問看護センター等の施設では、互いに無線通信が可能な複数の超音波プローブ1と複数の装置本体2とを所有し、これらの複数の超音波プローブ1と複数の装置本体2を複数のユーザで共有していることがある。この際にユーザは、複数の超音波プローブ1と複数の装置本体2のうち、互いにペアリング設定されている、または、互いに無線接続されている超音波プローブ1と装置本体2との組み合わせを把握できず、検査を円滑に開始できないことがあった。
【0038】
本発明はこのような場合に特に有用であり、複数の超音波プローブ1または複数の装置本体2が存在する場合でも、ユーザは、互いに無線接続されている超音波プローブ1と装置本体2との組み合わせを容易に把握して、検査を円滑に開始できる。
【0039】
また、報知部16が、超音波プローブ1と装置本体2との間の距離を報知すると、ユーザは、超音波プローブ1に無線接続された装置本体2の位置を容易に把握して被検体の検査に用いることができる。
【0040】
また、報知部16は、定められた距離しきい値を有し、距離計測部15により計測された超音波プローブ1と装置本体2との間の距離が定められた距離しきい値を超える場合に警告を発することもできる。報知部16は、例えば報知と同様の方法により警告を発することができる。また、報知部16は、超音波プローブ1が装置本体2の存在を認識できない場合に警告を発することもできる。ユーザは、これらの警告を確認しながら装置本体2を探すことができる。
【0041】
選択部19は、超音波診断装置が、超音波プローブ1に対してペアリング設定されている、または、ペアリング設定可能な複数の装置本体2を備えている場合に、複数の装置本体2のうちの1つをユーザにより選択するためのものである。選択部19は、例えば、いわゆるトグル型のスイッチ、または、複数のいわゆるセパレート型のスイッチにより構成できる。また、超音波プローブ1が図示しないモニタを有している場合に、選択部19は、モニタ上に表示された複数の装置本体2のうち1つを選択するためのタッチパネルにより構成することもできる。
【0042】
選択部19により複数の装置本体2のうちの1つが選択された状態で、ユーザにより起動スイッチ18の投入操作が行われると、選択部19により選択された装置本体2に対して超音波プローブ1から起動信号が送信され、その装置本体2がスリープ状態から起動状態に切り替えられる。この際に、装置本体2の報知部25は、超音波プローブ1により装置本体2が起動されたことを報知する。
【0043】
これにより、ユーザが使用したい超音波プローブ1と装置本体2を容易に、互いに無線接続でき、無線接続された超音波プローブ1と装置本体2との組み合わせを容易に把握できる。
【0044】
なお、送受信回路12、画像生成部13、距離計測部15、報知部16およびプローブ制御部17を有するプロセッサ20は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA(Field Programmable Gate Array:フィードプログラマブルゲートアレイ)、DSP(Digital Signal Processor:デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:アプリケーションスペシフィックインテグレイテッドサーキット)、GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)、または、その他のIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
【0045】
また、プロセッサ20の送受信回路12、画像生成部13、距離計測部15、報知部16およびプローブ制御部17は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成されることもできる。
【0046】
装置本体2の本体側無線通信回路21は、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含む回路等により構成されており、超音波プローブ1のプローブ側無線通信回路14との無線通信を行う。この際に、本体側無線通信回路21は、無線送信するデータに基づいてキャリアを変調することにより伝送信号を生成し、生成された伝送信号をプローブ側無線通信回路14に送信する。また、本体側無線通信回路21は、プローブ側無線通信回路14から送信された伝送信号を復調する。キャリアの変調方式としては、例えば、ASK、PSK、QPSK、16QAM等が用いられる。
【0047】
本体制御部26は、予め記憶しているプログラム等に基づいて、装置本体2の各部の制御を行う。
【0048】
装置本体2の入力装置27は、ユーザによる入力操作を受け付け、入力された情報を本体制御部26に送出する。入力装置27は、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッドおよびタッチパネル等のユーザが入力操作を行うための装置等により構成される。
【0049】
超音波プローブ1と装置本体2が互いにペアリング設定された状態、または、互いにペアリング設定可能な状態にあり且つ超音波プローブ1がスリープ状態である場合に、ユーザにより入力装置27を介した定められた入力操作が行われると、本体制御部26は、本体側無線通信回路21を介して起動信号を超音波プローブ1に送信する。超音波プローブ1が装置本体2から起動信号を受け取ると、超音波プローブ1がスリープ状態から起動状態に切り替えられ、超音波プローブ1と装置本体2が互いに無線接続される。
【0050】
ここで超音波プローブ1と装置本体2が互いにペアリング設定可能な状態であるとは、少なくとも起動の指令を送信する装置本体2が超音波プローブ1の存在を認識し、装置本体2が超音波プローブ1に対してペアリング設定の要求を行うことができる状態のことをいう。なお、装置本体2は、例えば、本体制御部26によって本体側無線通信回路21から超音波プローブ1に向かって応答を要求する信号を送信し、超音波プローブ1から応答が得られた場合に超音波プローブ1を認識できる。
【0051】
距離計測部24は、超音波プローブ1の距離計測部15と同様にして、超音波プローブ1と装置本体2との間の距離を計測する。また、距離計測部15は、装置本体2を基準とした超音波プローブ1に対する方位を計測することもできる。
【0052】
報知部25は、超音波プローブ1の報知部16と同様にして、超音波プローブ1からの起動信号により装置本体2が起動されたこと、および、距離計測部24により計測された超音波プローブ1と装置本体2との間の距離を報知する。また、報知部25は、超音波プローブ1と装置本体2との間の距離と併せて、距離計測部24により計測された超音波プローブ1に対する方位を報知することもできる。
【0053】
また、報知部25は、超音波プローブ1の報知部16と同様にして、定められた距離しきい値を有し、距離計測部24により計測された超音波プローブ1と装置本体2との間の距離が定められた距離しきい値を超える場合に警告を発することもできる。報知部25は、装置本体2が超音波プローブ1の存在を認識できない場合に警告を発することもできる。
【0054】
選択部28は、超音波診断装置が、装置本体2に対してペアリング設定されている、または、ペアリング設定可能な複数の超音波プローブ1を備えている場合に、超音波プローブ1の選択部19と同様にして、複数の超音波プローブ1のうちの1つをユーザにより選択するためのものである。選択部28は、トグル型のスイッチ、または、複数のセパレート型のスイッチにより構成できる。また、選択部28は、モニタ上に表示された複数の装置本体2のうち1つを選択するためのタッチパネルにより構成することもできる。
【0055】
選択部28により複数の超音波プローブ1のうちの1つが選択された状態で、ユーザにより入力装置27を介して超音波プローブ1を起動する旨の指示が行われると、選択部28により選択された超音波プローブ1に対して装置本体2から起動信号が送信され、その超音波プローブ1がスリープ状態から起動状態に切り替えられる。この際に、超音波プローブ1の報知部16は、装置本体2により超音波プローブ1が起動されたことを報知する。
【0056】
装置本体2の表示制御部22は、本体制御部26の制御の下で、超音波プローブ1から送信された超音波画像等に所定の処理を施してモニタ23に表示する。
モニタ23は、表示制御部22の制御の下で、種々の表示を行う。モニタ23は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等のディスプレイ装置を含むことができる。
【0057】
なお、表示制御部22、距離計測部24、報知部25および本体制御部26を有するプロセッサ29は、CPU、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA、DSP、ASIC、GPU、または、その他のICを用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
【0058】
また、プロセッサ29の表示制御部22、距離計測部24、報知部25および本体制御部26は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成されることもできる。
【0059】
次に、
図4のフローチャートを用いて実施の形態1に係る超音波診断装置の動作の例を説明する。以下では、装置本体2を、超音波プローブ1により起動される第1の機器、超音波プローブ1を、スリープ状態の装置本体2を起動する第2の機器として説明する。また、超音波プローブ1と装置本体2は、ステップS1の開始前において予め互いにペアリング設定された状態、または、互いにペアリング設定可能な状態であるとする。また、装置本体2は、ステップS1の開始前においてスリープ状態にあるとする。
【0060】
まず、ステップS1において、プローブ制御部17は、装置本体2を起動させるための定められた操作が超音波プローブ1において行われたか否かを判定する。プローブ制御部17は、例えば、ユーザによって起動スイッチ18の投入操作が特に行われない場合に、定められた操作が行われていないと判定して、ステップS1の処理を再度行う。プローブ制御部17は、ユーザによって起動スイッチ18の投入操作が行われた場合に、定められた操作が行われたと判定する。この場合にステップS2に進む。
【0061】
ステップS2において、超音波プローブ1から装置本体2に、装置本体2を起動させるための無線通信を行う。より具体的には、プローブ制御部17が、装置本体2を起動させるための起動信号を生成し、生成された起動信号を、プローブ側無線通信回路14を介して装置本体2に無線送信する。
【0062】
ステップS3において、装置本体2は、ステップS2の無線通信に基づいて、自身をスリープ状態から起動状態に切り替える。より具体的には、本体制御部26が、ステップS2で超音波プローブ1から無線送信された起動信号に基づいて、装置本体2をスリープ状態から起動状態に切り替える。この際に、超音波プローブ1と装置本体2は、互いに無線接続される。
【0063】
最後に、ステップS4において、装置本体2の報知部25は、超音波プローブ1により装置本体2が起動されたことを報知する。これにより、例えば、超音波プローブ1と無線接続可能な複数の装置本体2が存在する場合でも、ユーザは、互いに無線接続された超音波プローブ1と装置本体2との組み合わせを容易に把握して、被検体の検査を円滑に開始できる。
【0064】
このようにしてステップS4の処理が完了すると、
図4のフローチャートに従う超音波診断装置の動作が完了する。
【0065】
なお、
図4のフローチャートでは、装置本体2をスリープ状態の第1の機器、超音波プローブ1を、第1の機器を起動状態にする第2の機器として説明したが、超音波プローブ1を第1の機器、装置本体2を第2の機器とする場合も同様の処理が行われる。すなわち、装置本体2における定められた操作、例えば入力装置27を介したユーザの入力操作をトリガとして装置本体2から超音波プローブ1に対して起動信号が無線送信され、超音波プローブ1がスリープ状態から起動状態に切り替えられ、超音波プローブ1の報知部16により、装置本体2によって超音波プローブ1が起動されたことが報知される。
【0066】
これにより、例えば、装置本体2と無線接続可能な複数の超音波プローブ1が存在する場合でも、ユーザは、互いに無線接続された超音波プローブ1と装置本体2との組み合わせを容易に把握して、被検体の検査を円滑に開始できる。
【0067】
以上から、実施の形態1の超音波診断装置によれば、少なくとも超音波プローブ1および装置本体2のうちの一方からなる第1の機器がスリープ状態にある場合に、超音波プローブ1および装置本体2のうちの他方からなる第2の機器に対してユーザにより定められた操作が行われると、第2の機器から第1の機器に無線通信が行われることにより、第1の機器がスリープ状態から起動状態に切り替えられ、第1の機器が第2の機器により起動されたことが第1の機器の報知部16または25により報知されるため、複数の超音波プローブ1または複数の装置本体2が存在する場合でも、ユーザは、互いに無線接続された超音波プローブ1と装置本体2との組み合わせを容易に把握して、検査を円滑に開始できる。
【0068】
なお、送受信回路12および画像生成部13が超音波プローブ1に備えられることが説明されているが、送受信回路12および画像生成部13の双方、または、画像生成部13は装置本体2に備えられていてもよい。
【0069】
また、装置本体2は、いわゆる据え置き型でもよく、持ち運びが容易な携帯型でもよく、例えばスマートフォンまたはタブレット型のコンピュータにより構成される、いわゆるハンドヘルド型でもよい。このように、装置本体2を構成する機器の種類は特に限定されない。
【0070】
また、超音波プローブ1が、装置本体2を起動するための起動スイッチ18を有することが説明されているが、装置本体2も起動スイッチ18を有することができる。この場合に、ユーザにより装置本体2の起動スイッチ18が投入されることにより、装置本体2から超音波プローブ1に起動信号が無線送信され、スリープ状態にある超音波プローブ1の動作状態が起動状態に切り替えられる。
【0071】
また、超音波プローブ1は、ユーザの発した音声を認識する、図示しない音声認識部を有することもできる。この場合に、装置本体2を起動するための定められた操作として、ユーザの発した音声が用いられる。ユーザが音声を発すると、音声認識部がその音声を認識する。プローブ制御部17は、装置本体2を起動させることを表す音声の内容を予め記憶しており、音声認識部により認識された音声が、例えば「装置本体を起動してください」等の予め決められた特定の内容を表す音声である場合に、起動信号を生成する。プローブ制御部17が、プローブ側無線通信回路14を介して起動信号を装置本体2に無線送信すると、起動信号に基づいて装置本体2がスリープ状態から起動状態に切り替えられる。
【0072】
また、選択部19は、超音波プローブ1が音声認識部を有している場合に、音声認識部による音声認識に基づいて複数の装置本体2のうちの1つを選択できる。選択部19は、例えば、複数の装置本体2のそれぞれを識別するための特定の用語を記憶しており、それらのいずれかの用語を表す音声が音声認識部により認識された場合に、認識された用語に基づいて複数の装置本体2の中から1つの装置本体2を選択できる。
【0073】
なお、装置本体2も音声認識部を有することができる。この場合に、超音波プローブ1を起動するための定められた操作として、超音波プローブ1が音声認識部を有する場合と同様にして、ユーザの発した音声が用いられる。また、装置本体2の選択部28も、超音波プローブ1の選択部19と同様にして、音声認識部による音声認識に基づいて複数の超音波プローブ1のうちの1つを選択できる。
【0074】
また、超音波プローブ1は、超音波プローブ1の振動を検知する、図示しない振動センサを有することもできる。この場合に、装置本体2を起動するための定められた操作として、超音波プローブ1を振動させる定められたジェスチャ操作が用いられる。ユーザが、例えば、超音波プローブ1を縦に振るジェスチャ操作等のジェスチャ操作を行うと、振動センサは、ユーザによって行われたジェスチャ操作の振動パターンを検知する。プローブ制御部17は、装置本体2を起動させることを表すジェスチャ操作の振動パターンを予め記憶しており、振動センサによって検知されたジェスチャ操作の振動パターンが予め記憶された振動パターンに対応する場合に、起動信号を生成する。プローブ制御部17が、プローブ側無線通信回路14を介して起動信号を装置本体2に無線送信すると、起動信号に基づいて装置本体2がスリープ状態から起動状態に切り替えられる。
【0075】
また、選択部19は、超音波プローブ1が振動センサを有している場合に、振動センサによって検知されたジェスチャ操作に基づいて複数の装置本体2のうちの1つを選択できる。選択部19は、例えば、複数の装置本体2のそれぞれを識別するためのジェスチャ操作を記憶しており、それらのいずれかのジェスチャ操作が検知された場合に、検知されたジェスチャ操作に基づいて複数の装置本体2の中から1つの装置本体2を選択できる。
【0076】
なお、装置本体2も振動センサを有することができる。この場合に、超音波プローブ1を起動するための定められた操作として、超音波プローブ1が振動センサを有する場合と同様にして、ユーザによる、装置本体2を振動させるジェスチャ操作が用いられる。また、装置本体2の選択部28も、超音波プローブ1の選択部19と同様にして、振動センサにより検知されたジェスチャ操作に基づいて複数の超音波プローブ1のうちの1つを選択できる。
【0077】
また、超音波プローブ1が図示しないタッチパネルを有する場合に、装置本体2を起動するための定められた操作として、タッチパネルを介した定められた入力操作を用いることもできる。
【0078】
例えば、プローブ制御部17がタッチパネル上に、超音波プローブ1とペアリング設定されているまたはペアリング設定可能な装置本体2を表示し、定められた入力操作として、ユーザが指またはスタイラスペン等によりタッチパネル上に表示された装置本体2を選択した場合に、プローブ制御部17が起動信号を生成できる。プローブ制御部17が、プローブ側無線通信回路14を介して起動信号を装置本体2に無線送信すると、起動信号に基づいて装置本体2がスリープ状態から起動状態に切り替えられる。
【0079】
また、例えば定められた入力操作として、ユーザが指またはスタイラスペン等によりタッチパネル上で、例えば「Z」等の文字、「8」等の数字、「+」等の記号または三角形等の図形等の形状を描くと、プローブ制御部17は、タッチパネル上で描かれた文字、数字、記号または図形等の形状の種類を認識する。プローブ制御部17は、装置本体2を起動することを表す特定の形状を予め記憶しており、認識された形状の種類がその特定の形状の種類に一致した場合に、起動信号を生成できる。プローブ制御部17が、プローブ側無線通信回路14を介して起動信号を装置本体2に無線送信すると、起動信号に基づいて装置本体2がスリープ状態から起動状態に切り替えられる。
【0080】
また、選択部19は、超音波プローブ1がタッチパネルを有している場合に、プローブ制御部17により認識されたタッチパネル上で描かれた図形の種類に基づいて、複数の装置本体2のうちの1つを選択できる。選択部19は、例えば、複数の装置本体2のそれぞれを識別するための図形の種類を記憶しており、それらのいずれかの図形の種類が認識された場合に、認識された図形の種類に基づいて複数の装置本体2の中から1つの装置本体2を選択できる。
【0081】
なお、装置本体2もタッチパネルを有することができる。この場合に、超音波プローブ1を起動するための定められた操作として、超音波プローブ1がタッチパネルを有する場合と同様にして、タッチパネルを介した定められた図形の入力操作が用いられる。この場合に、本体制御部26が、タッチパネル上で描かれた図形の種類を認識する。また、装置本体2の選択部28も、超音波プローブ1の選択部19と同様にして、本体制御部26により認識されたタッチパネル上で描かれた図形の種類に基づいて、複数の超音波プローブ1のうちの1つを選択できる。
【0082】
また、超音波プローブ1に対してペアリング設定可能な複数の装置本体2が存在している場合に、距離計測部15は、それらの複数の装置本体2と超音波プローブ1との間の距離をそれぞれ計測し、プローブ制御部17は、超音波プローブ1との間の距離が最も短い装置本体2に対して起動信号を送信することができる。この場合に、ユーザは、超音波プローブ1と無線接続される装置本体2を容易に見つけることができる。
【0083】
また、装置本体2に対してペアリング設定可能な複数の超音波プローブ1が存在している場合に、距離計測部24は、それらの複数の超音波プローブ1と装置本体2との間の距離をそれぞれ計測し、本体制御部26は、装置本体2との距離が最も短い超音波プローブ1に対して起動信号を送信することができる。
【0084】
実施の形態2
超音波診断装置が、例えば病院、介護施設または訪問看護センター等の何らかの施設に配置されている場合に、報知部16または25は、例えば、その施設の見取り図情報における超音波プローブ1または装置本体2の位置を報知することもできる。
【0085】
図5に、実施の形態2の超音波診断装置の構成を示す。実施の形態2の超音波診断装置は、
図1に示す実施の形態1の超音波診断装置において、装置本体2の代わりに装置本体2Aを備えている。装置本体2Aは、実施の形態1における装置本体2において、メモリ51および位置識別部52をさらに備え、本体制御部26の代わりに本体制御部26Aを備えている。
【0086】
装置本体2Aにおいて、本体制御部26Aにメモリ51が接続されている。また、距離計測部24に位置識別部52が接続されている。位置識別部52は本体制御部26Aに接続している。また、表示制御部22、距離計測部24、報知部25、本体制御部26Aおよび位置識別部52により、装置本体2A用のプロセッサ29Aが構成されている。
【0087】
ここで、互いにペアリング設定されている、または、互いにペアリング設定可能な超音波プローブ1と装置本体2Aのうち、超音波プローブ1がスリープ状態にあり、ユーザが装置本体2Aに対して定められた操作を行うことにより、超音波プローブ1をスリープ状態から起動状態に切り替える例に従って説明を行う。
【0088】
装置本体2Aの距離計測部24は、超音波プローブ1と装置本体2Aとの距離、および、装置本体2Aを基準とした超音波プローブ1に対する方位を計測する。
【0089】
メモリ51は、例えば
図6に示すように、超音波プローブ1と装置本体2Aが装備されている施設の見取り図情報Fを格納する。
図6の見取り図情報Fには、例えば、第1検査室R1と第2検査室R2を含む施設が示されている。
【0090】
位置識別部52は、装置本体2Aの位置情報、距離計測部24により計測された超音波プローブ1と装置本体2Aとの距離、および、装置本体2Aを基準とした超音波プローブ1に対する方位、および、メモリ51に格納された見取り図情報Fに基づいて、見取り図情報Fにおける超音波プローブ1の位置を識別する。この際に、位置識別部52は、例えば、入力装置27を介してユーザにより入力された情報、または、Wi-Fi(登録商標)、GPS、BLEまたはUWB等の既存の技術により、装置本体2Aの位置情報を取得できる。
【0091】
報知部25は、位置識別部52により識別された超音波プローブ1の見取り図情報Fにおける位置を、例えば
図6に示すマークPをモニタ23に表示することにより報知できる。
図6の例では、第2検査室R2上に超音波プローブ1のマークPが位置しているため、ユーザは、第2検査室R2に超音波プローブ1が位置していることを容易に把握できる。これにより、ユーザは、装置本体2Aと無線接続される超音波プローブ1の位置を容易に把握できるため、超音波プローブ1を探す手間を省き、円滑に被検体の検査を開始できる。
【0092】
以上により、実施の形態2の超音波診断装置によれば、距離計測部24が、装置本体2Aと超音波プローブ1との間の距離に合わせて超音波プローブ1に対する方位を計測し、位置識別部52が、超音波プローブ1と装置本体2Aが装備されている施設の見取り図情報Fが格納されたメモリ51と、距離計測部24により計測された距離および方位に基づいて、超音波プローブ1の見取り図情報Fにおける位置を識別し、報知部25が、位置識別部52により識別された超音波プローブ1の見取り図情報Fにおける位置を報知するため、ユーザは、超音波プローブ1の位置を容易に把握し、円滑に被検体の検査を開始できる。
【0093】
なお、報知部25が見取り図情報F上の超音波プローブ1のマークPをモニタ23に表示することで、超音波プローブ1の見取り図情報F上の位置を報知することを説明したが、超音波プローブ1の見取り図情報F上の位置を報知する方法はこれに限定されない。例えば、装置本体2Aが図示しないスピーカを備えている場合に、報知部25は、スピーカを用いて音声により超音波プローブ1の見取り図情報F上の位置を報知できる。
【0094】
また、例えば、装置本体2Aが図示しないランプを備えている場合に、報知部25は、見取り図情報F上の位置に対応する点滅パターンによりランプを点滅させることで、超音波プローブ1の見取り図情報F上の位置を報知できる。また、例えば、装置本体2Aが、装置本体2Aを振動させる図示しない振動装置を備えている場合に、報知部25は、見取り図情報F上の位置に対応する振動パターンにより振動装置を振動させることで、超音波プローブ1の見取り図情報F上の位置を報知できる。
【0095】
また、超音波診断装置が、装置本体2Aに対してペアリング設定されている、または、ペアリング設定可能な複数の超音波プローブ1を備えている場合に、位置識別部52は、複数の超音波プローブ1のうち選択部28により選択されなかった超音波プローブ1の見取り図情報Fにおける位置を識別できる。この場合に、報知部25は、位置識別部52により識別された、選択部28により選択されなかった超音波プローブ1の見取り図情報Fにおける位置を報知できる。ユーザは、現在使用している超音波プローブ1を、選択部28により選択されなかった超音波プローブ1と取り換えて使用する際等に、これから使用する予定の超音波プローブ1の位置を容易に把握し、被検体の検査を円滑に行うことができる。
【0096】
また、装置本体2Aがメモリ51と位置識別部52を備える例を説明したが、装置本体2Aがメモリ51および位置識別部52を備える代わりに超音波プローブ1がメモリ51および位置識別部52を備えることもでき、例えば
図7に示すように、装置本体2Aがメモリ51および位置識別部52を備えた上で、さらに、超音波プローブ1Aがメモリ53および位置識別部54を備えることもできる。
【0097】
図7の変形例では、超音波プローブ1Aは、
図1に示す実施の形態1における超音波プローブ1において、メモリ53および位置識別部54をさらに備え、プローブ制御部17の代わりにプローブ制御部17Aを備えている。超音波プローブ1Aにおいて、プローブ制御部17Aにメモリ53が接続されている。また、距離計測部15に位置識別部54が接続されている。また、送受信回路12、画像生成部13、距離計測部15、報知部16、プローブ制御部17Aおよび位置識別部54により、超音波プローブ1A用のプロセッサ20Aが構成されている。
【0098】
メモリ53は、装置本体2Aのメモリ51と同様に、超音波プローブ1Aおよび装置本体2Aが装備されている施設の見取り図情報Fを格納する。
【0099】
距離計測部15は、超音波プローブ1Aと装置本体2Aとの間の距離、および、超音波プローブ1Aを基準とした装置本体2Aに対する方位を計測する。
【0100】
位置識別部54は、装置本体2Aの位置識別部52と同様にして、超音波プローブ1Aの位置情報、距離計測部15により計測された超音波プローブ1Aと装置本体2Aとの距離、および、超音波プローブ1Aを基準とした装置本体2Aに対する方位、および、メモリ53に格納された見取り図情報Fに基づいて、見取り図情報Fにおける装置本体2Aの位置を識別する。
【0101】
報知部16は、位置識別部54により識別された装置本体2Aの見取り図情報Fにおける位置を報知できる。これにより、ユーザは、超音波プローブ1Aと無線接続される装置本体2Aの位置を容易に把握できるため、装置本体2Aを探す手間を省き、円滑に被検体の検査を開始できる。
【符号の説明】
【0102】
1,1A 超音波プローブ、2,2A 装置本体、11 振動子アレイ、12 送受信回路、13 画像生成部、14 プローブ側無線通信回路、15,24 距離計測部、16,25 報知部、17,17A プローブ制御部、18 起動スイッチ、19,28 選択部、20,20A,29,29A プロセッサ、21 本体側無線通信回路、22 表示制御部、23 モニタ、26,26A 本体制御部、27 入力装置、31 パルサ、32 増幅部、33 AD変換部、34 ビームフォーマ、41 信号処理部、42 DSC、43 画像処理部、51,53 メモリ、52,54 位置識別部、F 見取り図情報、P マーク、R1 第1検査室、R2 第2検査室。