(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134009
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/14 20060101AFI20240926BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240926BHJP
B65H 1/04 20060101ALI20240926BHJP
B65H 3/44 20060101ALI20240926BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G15/00 401
B65H1/04 326B
B65H3/44
G03G21/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044073
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小出 大成
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
3F343
【Fターム(参考)】
2H072AA27
2H072AB03
2H270LC09
2H270LD14
2H270LD15
2H270MC01
2H270MC55
2H270MC78
2H270MD02
2H270MD10
2H270NE10
2H270NE17
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
2H270ZD05
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC00
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HB03
3F343HE08
3F343HE20
3F343KB20
3F343MA23
3F343MA24
3F343MB01
3F343MB07
(57)【要約】
【課題】給紙トレイの切り替え時にトナーの無駄な消費を低減可能とする。
【解決手段】画像形成装置100は、画像Pを形成する画像形成部2と、画像P1、P2を用紙に転写する転写部9と、用紙P1、P2を収容し、用紙を給紙口31から転写部9に供給する複数の給紙トレイ3、4と、使用中の給紙トレイに用紙切れが生じたときに別の給紙トレイからの給紙に切り替える制御装置13と、使用中の給紙トレイの用紙残量を検知する用紙検知センサ16と、を備え、制御装置13は、用紙検知センサ16の検知結果に基づき、使用中の給紙トレイの用紙残量が所定の閾値以下になったときに、画像形成部2により形成される画像Pの間隔を拡大する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像を用紙に転写する転写部と、
前記用紙を収容し、前記用紙を給紙口から前記転写部に供給する複数の給紙トレイと、
使用中の給紙トレイに用紙切れが生じたときに別の給紙トレイからの給紙に切り替える制御装置と、
前記使用中の給紙トレイの用紙残量を検知する検知部と、
を備え、
前記制御装置は、前記検知部の検知結果に基づき、前記使用中の給紙トレイの用紙残量が所定の閾値以下になったときに、前記画像形成部により形成される前記画像の間隔を拡大する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部から前記転写部による前記用紙への前記画像の転写位置までの距離に対して、前記給紙トレイの給紙口から前記転写位置までの距離が短い、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記使用中の給紙トレイのニアエンドを検知するセンサを含み、
前記制御装置は、前記センサにより前記ニアエンドが検知された後に、前記画像形成部により形成される前記画像の間隔を拡大する、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記センサにより前記ニアエンドが検知された後に前記使用中の給紙トレイから前記用紙切れまでに供給された前記用紙の枚数に基づき許容枚数を算出し、次回に前記ニアエンドが検知されたときには、前記ニアエンド検知後に前記許容枚数の用紙が供給された後に、前記画像形成部により形成される前記画像の間隔を拡大する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像を用紙に転写する転写部と、
前記用紙を収容し、前記用紙を給紙口から前記転写部に供給する複数の給紙トレイと、
使用中の給紙トレイに用紙切れが生じたときに別の給紙トレイからの給紙に切り替える制御装置と、
前記使用中の給紙トレイの用紙残量を検知する検知部と、
を備え、
前記制御装置は、前記検知部の検知結果に基づき、前記使用中の給紙トレイに用紙切れが生じたとき、前記別の給紙トレイから次の用紙が前記転写部に到達するまでの間、前記画像形成部による前記画像の形成速度を遅らせる、
画像形成装置。
【請求項6】
前記検知部は、前記使用中の給紙トレイの用紙切れを検知するセンサを含み、
前記センサは、前記給紙トレイの前記給紙口とは反対側のエンドフェンス側に配置される、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像を用紙に転写する転写部と、
前記用紙を収容し、前記用紙を給紙口から前記転写部に供給する複数の給紙トレイと、
使用中の給紙トレイに用紙切れが生じたときに別の給紙トレイからの給紙に切り替える制御装置と、
前記使用中の給紙トレイの前記給紙口とは反対側のエンドフェンス側に配置され、前記使用中の給紙トレイの用紙切れを検知するセンサと、
を備え、
前記制御装置は、前記センサにより前記使用中の給紙トレイの用紙切れが検知されたとき、前記画像形成部により形成される前記画像の間隔を拡大する、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置において、ペーパーエンド誤検知による不要な制御を防止する目的で、検知を無効化する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、複数の給紙トレイを備える構成において、使用中の給紙トレイで用紙切れが生じ、別の給紙トレイからの給紙に切り替える際に、印刷画像をリトライする機能を有する画像形成装置がある。リトライ機能とは、すでに感光体へ描画された印刷画像に対して、用紙の搬送が間に合わない場合に、転写部上の印刷画像を一度削除(クリーニング)し、再度、同じ印刷画像を描画しなおす機能のことである。
【0004】
リトライ機能が発動すると、同じ画像を再度形成することになるのでトナーの消費量が増える。このため、給紙トレイの切り替え時にはリトライ機能の発動を抑制できるのが望ましい。
【0005】
本発明は、給紙トレイの切り替え時にトナーの無駄な消費を低減できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一観点に係る画像形成装置は、画像を形成する画像形成部と、前記画像を用紙に転写する転写部と、前記用紙を収容し、前記用紙を給紙口から前記転写部に供給する複数の給紙トレイと、使用中の給紙トレイに用紙切れが生じたときに別の給紙トレイからの給紙に切り替える制御装置と、前記使用中の給紙トレイの用紙残量を検知する検知部と、を備え、前記制御装置は、前記検知部の検知結果に基づき、前記使用中の給紙トレイの用紙残量が所定の閾値以下になったときに、前記画像形成部により形成される前記画像の間隔を拡大する。
【発明の効果】
【0007】
給紙トレイの切り替え時にトナーの無駄な消費を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図
【
図5】従来のペーパーエンド検知時の動作を説明する図
【
図6】本実施形態におけるペーパーエンド検知時の動作を説明する図
【
図7】第一実施形態における画像間隔拡大制御の概略を説明する図
【
図8】第一実施形態における画像間隔拡大制御のフローチャート
【
図9】第一実施形態の変形例における画像間隔拡大制御の概略を説明する図
【
図10】第一実施形態の変形例における画像間隔拡大制御のフローチャート
【
図11】第二実施形態おける画像形成速度低速化制御の概略を説明する図
【
図12】第二実施形態おける画像形成速度低速化制御のフローチャート
【
図13】第三実施形態における転写部の構成例を示す図
【
図14】第三実施形態における画像間隔拡大制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
[第一実施形態]
図1~
図10を参照して第一実施形態について説明する。
【0011】
<画像形成装置の基本構成>
まず
図1~
図4を参照して、実施形態に係る画像形成装置100の基本構成について説明する。
図1は、実施形態に係る画像形成装置100の概略構成を示す図である。
【0012】
画像形成装置100は、装置内の露光部12にて潜像を形成し、像担持体1を具備する画像形成部2にて、像担持体1に画像P(
図2参照)を形成する。さらに、画像Pが形成された像担持体1に向け、本体給紙トレイ3に積層された用紙束P1もしくは、手差し給紙トレイ4に積層された用紙束P2から本体給紙ローラ5もしくは手差し給紙ローラ6により、1枚ずつ搬送される用紙が、搬送ローラ対7によって、ニップされた状態で搬送され、レジストローラ対8によりタイミング制御された後、転写部9で画像を転写されてから、定着部10で加熱および加圧により画像が定着され、装置外に排出される。また、搬送ローラ対7には、一方のローラを、もう一方のローラに対して付勢する弾性部材11を備えており、搬送ローラ対7に強くニップされた状態で用紙を下流側に搬送する。
【0013】
また、画像形成装置100は、例えば筐体内部に制御装置13を備えている。制御装置13は、画像形成装置100内の上述の各構成要素の動作を制御する。
【0014】
図2は、
図1中の転写部9の構成例を示す図である。また、
図2では、
図1に示した本体給紙ローラ5、搬送ローラ対7、レジストローラ対8に対応するローラ群も図示している。
【0015】
また、画像形成装置100は、用紙を収容し、用紙を給紙口31から転写部9に供給する複数の給紙トレイを備える構成であればよい。
図1では、本体給紙トレイ3と、手差しトレイ4の2つの給紙トレイを備える構成を例示したが、
図2では、2つの本体給紙トレイ3A、3Bを備える構成を例示している。
【0016】
図2に示すように、転写部9は、例えば中間転写ベルト14と、二次転写部15とを有する。像担持体1は、例えば
図2に示すように色別に複数個(
図2の例では四色分)が設けられ、これらの複数個の像担持体1に形成された画像Pがまず中間転写ベルト14に転写される。中間転写ベルト14は無端状のベルトであって、外周側の面に画像Pが転写される。また、中間転写ベルト14は、像担持体1の位置から二次転写部15の位置の方向へ、転写された画像Pを移動させることができる。
【0017】
二次転写部15は、ローラ対であり、ローラ対の間に中間転写ベルト14と、レジストローラ対8から搬送される用紙P11とを通過させる。また、二次転写部15は、用紙の印刷面を中間転写ベルト14の外周側の面と対向かつ接触させた状態で用紙を下流側に搬送させ、これにより用紙の印刷面に画像Pを転写することができる。
【0018】
また、給紙トレイ3A、3Bには、用紙検知センサ16(検知部)が設けられる。本実施形態では、用紙検知センサ16は、給紙トレイ3A、3Bから用紙を転写部9側へ搬出する給紙口31付近に設けられ、各トレイ3A、3B中の用紙の残量をフル、ニアエンド、ペーパーエンド(用紙切れ)の少なくとも3つの状態を含む複数の状態を検知できる。なお、用紙検知センサ16は、本実施形態のような複数の状態を判別するタイプ以外でもよく、例えば残枚数を測定するセンサなどでもよいし、ニアエンドのみを検知するセンサやペーパーエンドのみを検知するセンサなどを組み合わせて使用してもよい。
【0019】
また、本実施形態の画像形成装置100では、
図2に示すように、画像形成部2(像担持体1)から転写部9による用紙P11への画像Pの転写位置(二次転写部15のローラ対の接触位置)までの距離L1に対して、給紙トレイ3A、3Bの給紙口31から転写位置までの距離L2が短い。すなわちL1>L2の関係となるような各構成要素の配置となっている。
【0020】
図3は、制御装置13の機能ブロック図である。
図3に示すように、制御装置13は、制御部131、作像プロセス部132、定着部133、画像書込制御部134、操作部135、I/F部136、搬送ローラ対制御部137を備えている。
【0021】
制御部131は、上記の各機能ブロックにおける一連の動作を制御する。
【0022】
作像プロセス部132は、端末装置から送信された画像データから電子写真方式によりトナー像を作成し、用紙P11に転写する。 また、この作像プロセス部132は、印刷時に位置ずれを検知した場合は、その補正を行う。
【0023】
定着部133は、作像プロセス部132によりトナー像を転写した用紙P11に熱と圧力を加えてトナー像を用紙に定着する。
【0024】
画像書込制御部134は、I/F部136から送信された画像データを制御信号に変換し、像担持体1に対する潜像の書き込みを制御する。
【0025】
操作部135は、操作パネルなどの入出力装置を介して画像形成装置100の状態を表示し、画像形成装置100への入力を受け付ける。
【0026】
I/F部136は、画像形成装置100に印刷要求を行う端末装置との間で通信を行う。 I/F部136は、端末装置から送信された画像データを制御部131に送信し、画像形成装置100に対する印刷要求を行う。
【0027】
搬送ローラ対制御部137は、
図1に示した本体給紙ローラ5、搬送ローラ対7、レジストローラ対8などを制御して、用紙P11の搬送を制御する。
【0028】
図4は、制御装置13のハードウェア構成図である。
図4に示すように、制御装置13は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102およびROM(Read Only Memory)103、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置104、ディスプレイ等の出力装置105、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール106、補助記憶装置107、などを含むコンピュータシステムとして構成することができる。
図3を参照して説明した制御装置13の各機能は、CPU101、RAM102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール106、入力装置104、出力装置105を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置107におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0029】
<画像間隔拡大制御>
次に
図5~
図10を参照して、第一実施形態に係る画像間隔拡大制御について説明する。
【0030】
図5は、従来のペーパーエンド検知時の動作を説明する図である。
図2に示したように、本実施形態では、ペーパーエンドを検知するペーパーエンドセンサ(用紙検知センサ16)が給紙口の入口に設置されている。この構成では、給紙トレイ3において、最終紙の後端が抜けるタイミングでペーパーエンドを検知するので、
図5(A)に示すように、ペーパーエンドが確定するのは、用紙P11の後端が給紙口31の入口を抜けたタイミングT1となる。
【0031】
また、給紙開始よりも前に、像担持体1に画像Pを描画する構成の場合、
図5(A)に示すように、ペーパーエンドが確定したタイミングT1では像担持体1に画像Pを描画済みである。このため、
図5(B)に示すように、本体給紙トレイ3が用紙切れとなり、手差し給紙トレイ4からの給紙に切り替える場合には、切替後に手差し給紙トレイ4から用紙P21の給紙を開始するタイミングT3の前のタイミングT2で、画像Pのリトライと、像担持体1のクリーニングを実施する必要があり、トナーの無駄な消費に繋がる。
【0032】
図6は、本実施形態におけるペーパーエンド検知時の動作を説明する図である。本実施系耐では、
図5を参照して説明した従来の問題を解消するために給紙トレイの切り替え時に画像間隔拡大制御を実施する。画像間隔拡大制御では、用紙検知センサ16によって、使用中の本体給紙トレイ3の用紙残量のニアエンド状態が検知されたときに、画像形成部2により形成される画像Pの間隔を拡大する。
【0033】
このように画像間隔を拡大した場合、
図6(A)に示すように、ペーパーエンドが確定したタイミングT1では、まだ像担持体1に画像Pを描画していない。そのため、
図6(B)に示すように、本体給紙トレイ3が用紙切れとなり、手差し給紙トレイ4からの給紙に切り替える場合には、切替後に手差し給紙トレイ4から用紙P21の給紙を開始するタイミングT3の前に、画像Pのリトライと、像担持体1のクリーニングが不要になるため、無駄なトナーの消費を低減することができる。
【0034】
特に
図2を参照して説明したように、画像形成部2(像担持体1)から転写部9による用紙P11への画像Pの転写位置(二次転写部15のローラ対の接触位置)までの距離L1に対して、給紙トレイ3A、3Bの給紙口31から転写位置までの距離L2が短い構造(L1>L2)の場合には、
図5のようなケースが発生しやすいので、
図6に示した画像間隔拡大制御の効果を特に顕著に発揮できる。
【0035】
図7は、第一実施形態における画像間隔拡大制御の概略を説明する図である。
図7の横軸は画像形成装置100の印刷枚数を示し、縦軸は用紙検知センサ16のセンサ値、すなわち給紙トレイの用紙残量を示す。
図7に示すように、用紙検知センサ16は、フル、ニアエンド、ペーパーエンドの3つの状態を検知できる。
【0036】
画像間隔拡大制御において、画像形成部2により形成される画像Pの間隔を広げることは、生産性の低下に繋がるため、常に画像間隔を広げることは好ましくない。そのため、本実施形態では、制御装置13の制御部131や画像書込制御部134は、用紙検知センサ16のセンサ値に基づき用紙残量を検知し、ペーパーエンドが近づいた時(ニアエンド)以降から画像間隔を広げる。例えば
図7に示すように、印刷枚数t1のときにニアエンドが検知されると、印刷枚数t2となってペーパーエンドが検知されるまでの期間A(すなわち印刷枚数がt1からt2までの期間)に亘って画像間隔を拡大する制御を行う。
【0037】
第一実施形態では、この構成により、通常時は生産性を維持しつつ、用紙切れ直前の特定枚数のみ画像間隔を広げることによって、給紙トレイの切り替え時のリトライ機能の発動を防止できるので、トナーの無駄な消費を低減することができる。この結果、第一実施形態の画像形成装置100は、無駄なトナー消費低減と、生産性維持を両立することができる。
【0038】
図8は、第一実施形態における画像間隔拡大制御のフローチャートである。
【0039】
ステップS101では、用紙検知センサ16のセンサ値に基づき使用中の給紙トレイのニアエンドが検知されたか否かが判定される。ニアエンドが検知されない場合には(ステップS101のNO)、ニアエンドが検知されるまで待機する。ニアエンドが検知された場合には(ステップS101のYES)ステップS102に進む。
【0040】
ステップS102では、ニアエンド検知に応じて画像形成部2により形成される画像Pの間隔が拡大される。
【0041】
ステップS103では、用紙検知センサ16のセンサ値に基づき使用中の給紙トレイのペーパーエンドが検知され、給紙トレイの切り替えが完了したか否かが判定される。ペーパーエンドが検知されない場合、または、切替が未完了の場合(ステップS103のNO)には、ステップS102に戻り引き続き画像間隔の拡大が維持される。
【0042】
一方、ペーパーエンドが検知され、かつ、切替が完了した場合(ステップS103のYES)には、ステップS104に進み、画像形成部2により形成される画像Pの間隔が通常状態に復帰する。ステップS104の処理が完了すると本制御フローを終了する。
【0043】
図9、
図10を参照して、第一実施形態の変形例を説明する。
図9は、第一実施形態の変形例における画像間隔拡大制御の概略を説明する図である。
【0044】
画像間隔拡大制御では、不要な生産性の低下を防ぐためにも、画像間隔を広げるタイミングは、可能な限りペーパーエンドに達する直前になることが望ましい。そのため、
図9に示す変形例のように、初めて画像間隔拡大制御を実施する際には、用紙検知センサ16によりニアエンドが検知された後に、使用中の給紙トレイ3から用紙切れまでに供給された用紙の枚数に基づき許容枚数を算出し、ペーパーエンド到達予測枚数をa[枚]として例えば制御装置13内のメモリなどに記憶しておく。そして、次回以降、ニアエンドが検知されたときには、ニアエンド検知後に許容枚数の用紙が供給された後に、画像形成部2により形成される画像Pの間隔を拡大するのが好ましい。より詳細には、ニアエンド到達から、ペーパーエンド到達予測枚数a[枚]に対して、センサごとの誤差を考慮した余裕度b[枚]を除いた枚数(a-b)[枚]だけ印刷した後に、画像間隔を広げ始める。
【0045】
例えば
図9に示すように、印刷枚数t1にてニアエンドが検知された後に(a-b)枚だけ印刷された印刷枚数t3となったタイミングから、印刷枚数t2となってペーパーエンドが検知されるまでの期間B(すなわち印刷枚数がt3からt2までの期間)に亘って画像間隔を拡大する制御を行う。この期間Bは、
図7に示した期間Aより短くなる。したがって、
図9に示す変形例の画像間隔拡大制御では、
図7に示す画像間隔拡大制御と比較して、給紙トレイの切り替え時実施期間を縮小でき、切り替え持以外の通常動作の期間を増加できるので、無駄なトナー消費低減の効果を維持しつつ、生産性を向上できる。
【0046】
図10は、第一実施形態の変形例における画像間隔拡大制御のフローチャートである。
【0047】
ステップS201では、用紙検知センサ16のセンサ値に基づき使用中の給紙トレイのニアエンドが検知されたか否かが判定される。ニアエンドが検知されない場合には(ステップS201のNO)、ニアエンドが検知されるまで待機する。ニアエンドが検知された場合には(ステップS201のYES)ステップS202に進む。
【0048】
ステップS202では、ペーパーエンド到達枚数のデータ、すなわち上述のペーパーエンド到達予測枚数a[枚]が記憶されているか否かが判定される。ペーパーエンド到達枚数データが無い場合(ステップS202のNO)にはステップS203に進む。一方、ペーパーエンド到達枚数データが有る場合(ステップS202のYES)にはステップS206に進む。
【0049】
ステップS203では、ニアエンド検知に応じて画像形成部2により形成される画像Pの間隔が拡大される。
【0050】
ステップS204では、用紙検知センサ16のセンサ値に基づき使用中の給紙トレイのペーパーエンドが検知され、給紙トレイの切り替えが完了したか否かが判定される。ペーパーエンドが検知されない場合、または、切替が未完了の場合(ステップS204のNO)には、ステップS203に戻り引き続き画像間隔の拡大が維持される。
【0051】
一方、ペーパーエンドが検知され、かつ、切替が完了した場合(ステップS204のYES)には、ステップS205に進み、ペーパーエンド到達枚数データa[枚]の情報が制御装置13に記憶され、ステップS209に進む。
【0052】
ステップS206では、ニアエンド検知後に所定枚数(a-b)枚が印刷済か否かが判定される。所定枚数(a-b)枚が印刷済みでない場合(ステップS206のNO)には、所定枚数(a-b)枚が印刷済みとなるまで待機する。
【0053】
一方、所定枚数(a-b)枚が印刷済みである場合(ステップS206のYES)には、ステップS207に進み、所定枚数(a-b)枚が印刷済みの検知に応じて、画像形成部2により形成される画像Pの間隔が拡大される。
【0054】
ステップS208では、用紙検知センサ16のセンサ値に基づき使用中の給紙トレイのペーパーエンドが検知され、給紙トレイの切り替えが完了したか否かが判定される。ペーパーエンドが検知されない場合、または、切替が未完了の場合(ステップS208のNO)には、ステップS207に戻り引き続き画像間隔の拡大が維持される。
【0055】
一方、ペーパーエンドが検知され、かつ、切替が完了した場合(ステップS208のYES)には、ステップS209に進む。
【0056】
ステップS209では、画像形成部2により形成される画像Pの間隔が即時又は所定時間経過後(用紙と画像の位置関係を調整する時間である)に通常状態に復帰する。ステップS209の処理が完了すると本制御フローを終了する。
【0057】
[第二実施形態]
図11、
図12を参照して第二実施形態を説明する。
図11は、第二実施形態おける画像形成速度低速化制御の概略を説明する図である。
図11(A)、(B)は、上カセット(給紙トレイ3A)に用紙が有る場合の印刷処理を図示している。この場合、
図11(A)に示すように、給紙トレイ3Aから用紙P11が転写部9に供給されて、用紙P11に画像Pが転写される。その後、
図11(B)に示すように、画像が転写された用紙P11が二次転写部15を抜けて下流側に搬送されると、同じ給紙トレイ3Aから次の紙P12が転写部9に供給される。同時に、中間転写ベルト14は像担持体1から新たな画像Pが転写されて通常速で二次転写部15に向けて移動する。この後、用紙P12に二次転写部15にてこの画像Pが転写される。
【0058】
一方、
図11(C)、(D)は、上カセット(給紙トレイ3A)に用紙切れが生じた場合の印刷処理を図示している。この場合、
図11(C)に示すように、給紙トレイ3Aから最後の用紙P11が転写部9に供給されて、用紙P11に画像Pが転写される。その後、
図11(D)に示すように、画像が転写された用紙P11が二次転写部15を抜けて下流側に搬送されると、下カセット(すなわち別の給紙トレイ3B)から次の紙P21が転写部9に供給される。このとき、給紙トレイの切り替え動作が行われるため、
図11(B)と比較すると、用紙P21の供給タイミングは遅くなっている。このため本実施形態では、給紙トレイの切り替え時には、
図11(D)に示すように、像担持体1から新たな画像Pが転写された中間転写ベルト14は、
図11(B)に示した通常速より低速で移動する。これにより、用紙P12が二次転写部15に到達するタイミングと、中間転写ベルト14の画像Pが二次転写部15に到達するタイミングとを合わせることができる。尚、上述した「通常速より低速」には転写ベルトの断続的な駆動や一時停止によって画像が転写位置に到達する速度が遅くなる場合も含まれるものとする。但し、断続的な駆動や一時停止の場合、画像形成時に駆動と停止の切り替えが発生する為ショックジター等の異常画像が発生する可能性があるため、画像品質を考慮すると低速で駆動し続けることが好ましい。
【0059】
このように、第二実施形態では、用紙切れを検知した時、直前の用紙P11が2次転写位置を通過後から次の用紙P21が来るまでの間、画像形成部2や転写部9による画像形成速度を遅らせる(少なくとも中間転写ベルト14の回転速度を遅くする)画像形成速度低速化制御を実行する。この構成により、第一実施形態と同様に、給紙トレイの切り替え時のリトライ機能の発動を防止できるので、トナーの無駄な消費を低減することができる。また、給紙トレイの切り替え時以外の通常時には画像形成速度を通常速に維持するので、第一実施形態と同様に、通常時は生産性を維持することができる。この結果、第二実施形態の画像形成装置100も、無駄なトナー消費低減と、生産性維持を両立することができる。
【0060】
図12は、第二実施形態おける画像形成速度低速化制御のフローチャートである。
【0061】
ステップS301では、用紙検知センサ16のセンサ値に基づき使用中の給紙トレイのペーパーエンドが検知されたか否かが判定される。ペーパーエンドが検知されない場合には(ステップS301のNO)、ペーパーエンドが検知されるまで待機する。ペーパーエンドが検知された場合には(ステップS301のYES)ステップS302に進む。
【0062】
ステップS302では、ペーパーエンド検知に応じて中間転写ベルト14の回転速度が、通常速度より遅い低速に変更される。
【0063】
ステップS303では、給紙トレイの切り替えが完了したか否かが判定される。切替が未完了の場合(ステップS303のNO)には、ステップS302に戻り引き続き中間転写ベルト14の低速が維持される。
【0064】
一方、切替が完了した場合(ステップS303のYES)には、ステップS404に進み、中間転写ベルト14の回転速度が即時又は所定時間経過後(用紙と画像の位置関係を調整する時間である)に通常速度に復帰される。ステップS404の処理が完了すると本制御フローを終了する。
【0065】
[第三実施形態]
図13、
図14を参照して第三実施形態を説明する。
図13は、第三実施形態における転写部9の構成例を示す図である。
【0066】
図13に示すように、第三実施形態では、用紙検知センサ16が、給紙トレイ3A、3Bの給紙口31とは反対側のエンドフェンス32側に配置される。制御装置13は、用紙検知センサ16により使用中の給紙トレイ3Aの用紙切れが検知されたとき、画像形成部2により形成される画像Pの間隔を拡大する。
【0067】
この構成により、用紙切れが起きた際に、用紙切れ検知時にピンポイントで画像間隔を広げることによって、給紙トレイの切り替え時のリトライ機能の発動を防止できるので、トナーの無駄な消費を低減することができる。さらに、第三実施形態の画像間隔拡大制御では、
図7や
図9に示した第一実施形態の画像間隔拡大制御と比較して、給紙トレイの切り替え時実施期間をさらに縮小でき、切り替え時以外の通常動作の期間をさらに増加できるので、無駄なトナー消費低減の効果を維持しつつ、生産性をさらに向上できる。
【0068】
図14は、第三実施形態における画像間隔拡大制御のフローチャートである。
【0069】
ステップS401では、用紙検知センサ16のセンサ値に基づき使用中の給紙トレイのペーパーエンドが検知されたか否かが判定される。ペーパーエンドが検知されない場合には(ステップS401のNO)、ペーパーエンドが検知されるまで待機する。ペーパーエンドが検知された場合には(ステップS401のYES)ステップS402に進む。
【0070】
ステップS402では、ペーパーエンド検知に応じて画像形成部2により形成される画像Pの間隔が拡大される。
【0071】
ステップS403では、給紙トレイの切り替えが完了したか否かが判定される。切替が未完了の場合(ステップS403のNO)には、ステップS402に戻り引き続き画像間隔の拡大が維持される。
【0072】
一方、切替が完了した場合(ステップS403のYES)には、ステップS404に進み、画像形成部2により形成される画像Pの間隔が即時又は所定時間経過後(用紙と画像の位置関係を調整する時間である)に通常状態に復帰する。ステップS404の処理が完了すると本制御フローを終了する。
【0073】
なお、第二実施形態の画像形成速度低速化制御においても、第三実施形態のように用紙検知センサ16を給紙トレイ3A、3Bのエンドフェンス32側に配置する構成としてもよい。これにより、ペーパーエンドをより早いタイミングで検知できるので、画像形成速度低速化制御をより精度良く実施できる。これにより、無駄なトナー消費低減と、生産性維持を両立することができる、という第二実施形態の効果を促進できる。
【0074】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0075】
上記実施形態では、画像形成装置100が、
図2を参照して説明したように、画像形成部2(像担持体1)から転写部9による用紙P11への画像Pの転写位置(二次転写部15のローラ対の接触位置)までの距離L1に対して、給紙トレイ3A、3Bの給紙口31から転写位置までの距離L2が短い構造(L1>L2)である場合を説明した。しかしながら、第一実施形態、第三実施形態の画像間隔拡大制御や、第二実施形態の画像形成速度低速化制御は、上記のL1>L2の関係を満たさない構造の画像形成装置にも適用可能である。例えば、距離L1と距離L2とが同等であり、かつ、距離L2が用紙長に対して充分に大きく給紙トレイ3から転写部9に到達するまでに時間を要する構造などが挙げられる。
【0076】
このような上記のL1>L2の関係を満たさない構造の画像形成装置においても、使用中の給紙トレイにおいて用紙切れが発生した場合に、既に画像形成部2において形成されている画像Pが二次転写部15に到達するタイミングで、別の給紙トレイから供給される用紙が間に合わない状況が生じ得ると考えられる。このようは状況が生じた場合にも、第一実施形態、第三実施形態の画像間隔拡大制御や、第二実施形態の画像形成速度低速化制御の効果を奏することができる。
【0077】
また、
図2ではL1を最も転写位置に近い像担持体から転写位置までの距離としたが、L1を最も転写位置から離れた像担持体から転写位置までの距離(L1´)としてもよい。このようにすることでフルカラーで形成した場合でも全色の像担持体に形成された画像が無駄にすることがなくなる。
【0078】
或いは、
図2の最も転写位置に近い像担持体を黒色画像形成用とし、他の3つの像担持体をフルカラー用(シアン、マゼンタ、イエロー)とした上で、モノクロ印刷時はL1を用いて上記制御を行い、フルカラー印刷時はL1′を用いるようにしても良い。このようにすることでモノクロ印刷時の生産性低下を最小限に抑えつつ、無駄になるトナーも最小限に抑えることができる。
【0079】
また、上記実施形態では、用紙検知センサ16によりニアエンドやペーパーエンドを検知したタイミングで、第一実施形態、第三実施形態の画像間隔拡大制御や、第二実施形態の画像形成速度低速化制御を実施する構成を例示したが、制御を実施するタイミングはニアエンドやペーパーエンド検知時に限られない。少なくとも、用紙検知センサ16の検知結果に基づき、使用中の給紙トレイの用紙残量が所定の閾値以下になったときに上記の各制御を実施する構成であればよい。
【符号の説明】
【0080】
100 画像形成装置
2 画像形成部
3、3A、3B、4 給紙トレイ
31 給紙口
9 転写部
13 制御装置
16 用紙検知センサ(検知部)
P 画像
P11、P21 用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】