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特開2024-134367光電変換素子、光電変換モジュール、電子機器、電源モジュール、及び液体組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134367
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】光電変換素子、光電変換モジュール、電子機器、電源モジュール、及び液体組成物
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/50 20230101AFI20240926BHJP
   C08G 16/02 20060101ALI20240926BHJP
   C08G 10/02 20060101ALI20240926BHJP
   H10K 30/86 20230101ALI20240926BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20240926BHJP
   H10K 30/40 20230101ALN20240926BHJP
【FI】
H10K30/50
C08G16/02
C08G10/02
H10K30/86
H10K85/60
H10K30/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044628
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山本 智史
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕二
(72)【発明者】
【氏名】田元 望
【テーマコード(参考)】
3K107
4J033
5F251
【Fターム(参考)】
3K107AA03
3K107BB01
3K107EE68
4J033DA03
4J033DA11
4J033GA05
4J033GA11
4J033GA12
4J033HB00
4J033HB01
5F251AA11
5F251CB13
5F251CB14
5F251CB15
5F251FA02
5F251FA03
5F251FA04
5F251FA06
5F251GA03
5F251XA01
5F251XA33
5F251XA52
5F251XA55
(57)【要約】      (修正有)
【課題】長時間光に晒されたとしても優れた発電効率を維持することが可能である光電変換素子の提供。
【解決手段】ホール輸送層を有する光電変換素子であって、前記ホール輸送層7が、少なくとも一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と、一般式(2)で表される化合物とを含有する光電変換素子である。


(Mは、ホウ素、アルミニウム、リン、及びアンチモンのいずれかを表す)
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホール輸送層を有する光電変換素子であって、
前記ホール輸送層が、少なくとも下記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含有することを特徴とする光電変換素子。
【化1】
(ただし、前記一般式(1)において、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に置換もしくは無置換の、単環式、非縮合多環式または縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表し、Rは、水素、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す)
【化2】
(ただし、前記一般式(2)において、Mは、ホウ素、アルミニウム、リン、及びアンチモンのいずれかを表し、R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコシキ基、アリール基、ヘテロアリール基、エーテル結合を有する基、及びエステル結合を有する基のいずれかを表す)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である、請求項1に記載の光電変換素子。
【化3】
(ただし、前記一般式(3)中、Rは、メチル基及びメトキシ基のいずれかを表し、R及びRは、アルコキシ基を表し、nは2以上の整数を表す)
【請求項3】
前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(4)で表される化合物である、請求項1から2のいずれかに記載の光電変換素子。
【化4】
(ただし、前記一般式(4)において、R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコシキ基、アリール基、ヘテロアリール基、エーテル結合を有する基、及びエステル結合を有する基のいずれかを表す)
【請求項4】
前記一般式(2)におけるR、R及びRのうち、少なくとも2つがフッ素で置換されたアリール基である、請求項1から2のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項5】
前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物の含有量(A)と、前記一般式(2)で表される化合物の含有量(B)との比(A/B)が、2以上100以下である、請求項1から2のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項6】
光電変換層をさらに有し、
前記光電変換層が、下記一般式(5)で表される化合物を含有する、請求項1から2のいずれかに記載の光電変換素子。
αβγ ・・・一般式(5)
(ただし、前記一般式(5)中、α:β:γの比率は3:1:1であり、β及びγは1より大きい整数を表し、Xはハロゲンを表し、Yはアミノ基を有する有機化合物及びアルカリ金属のいずれかを表し、Zは金属イオンを表す)
【請求項7】
前記Yが、セシウム、ルビジウム、及びカリウムの少なくともいずれかであり、前記Zがアンチモンである、請求項6に記載の光電変換素子。
【請求項8】
電子輸送層をさらに有し、
前記電子輸送層が、少なくとも酸化スズを含有する、請求項1から2のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項9】
請求項1から2のいずれかに記載の光電変換素子が接続されたことを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載の光電変換モジュールと、前記光電変換モジュールによって発生した電力によって動作する装置と、を有することを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項9に記載の光電変換モジュールと、電源ICと、を有する電源モジュール。
【請求項12】
少なくとも下記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含有することを特徴とする液体組成物。
【化5】
(ただし、前記一般式(1)において、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に置換もしくは無置換の、単環式、非縮合多環式または縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表し、Rは、水素、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す)
【化6】
(ただし、前記一般式(2)において、Mは、ホウ素、アルミニウム、リン、及びアンチモンのいずれかを表し、R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコシキ基、アリール基、ヘテロアリール基、エーテル結合を有する基、及びエステル結合を有する基のいずれかを表す)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子、光電変換モジュール、電子機器、電源モジュール、及び液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光電変換素子を利用する太陽電池は、化石燃料の代替や地球温暖化対策という観点のみならず、電池交換や電源配線等が不要な自立型電源としても、幅広い応用が期待されている。また、自立型電源としての太陽電池は、IoT(Internet of Things)デバイスや人工衛星などで必要される環境発電(エナジーハーベスト)技術の一つとしても、大きな注目を集めている。
【0003】
太陽電池としては、従来から広く用いられているシリコンなどを用いた無機系太陽電池の他に、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、ペロブスカイト太陽電池(例えば、特許文献1参照)などの有機系太陽電池がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、優れた初期出力を有し、長時間光に晒されたとしても優れた発電効率を維持することが可能である光電変換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明の光電変換素子は、
ホール輸送層を有する光電変換素子であって、
前記ホール輸送層が、少なくとも下記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含有することを特徴とする。
【化1】
(ただし、前記一般式(1)において、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に置換もしくは無置換の、単環式、非縮合多環式または縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表し、Rは、水素、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す)
【化2】
(ただし、前記一般式(2)において、Mは、ホウ素、アルミニウム、リン、及びアンチモンのいずれかを表し、R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコシキ基、アリール基、ヘテロアリール基、エーテル結合を有する基、及びエステル結合を有する基のいずれかを表す)
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、優れた初期出力を有し、長時間光に晒されたとしても優れた発電効率を維持することが可能である光電変換素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1Aは、光電変換素子の一実施形態としての太陽電池セルの一例を示す断面図である。
図1B図1Bは、太陽電池モジュールの一実施形態の一例を示す断面図である。
図1C図1Cは、太陽電池モジュールの他の一実施形態の一例を示す断面図である。
図1D図1Dは、太陽電池モジュールの他の一実施形態の一例を示す断面図である。
図1E図1Eは、太陽電池モジュールの他の一実施形態の一例を示す断面図である。
図1F図1Fは、太陽電池モジュールの他の一実施形態の一例を示す断面図である。
図2図2は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用マウスを示すブロック図である。
図3図3は、図2に示したマウスの一例を示す概略外観図である。
図4図4は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用キーボードを示すブロック図である。
図5図5は、図4に示したキーボードの一例を示す概略外観図である。
図6図6は、図4に示したキーボードの他の一例を示す概略外観図である。
図7図7は、本発明の電子機器の一例としてのセンサを示すブロック図である。
図8図8は、本発明の電子機器の一例としてのターンテーブルを示すブロック図である。
図9図9は、本発明の電子機器の一例を示すブロック図である。
図10図10は、図9に示した電子機器に電源ICを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。
図11図11は、図10に示した電子機器に蓄電デバイスを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。
図12図12は、本発明の電源モジュールの一例を示すブロック図である。
図13図13は、図12に示した電源モジュールに蓄電デバイスを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(光電変換素子)
本発明の光電変換素子は、ホール輸送層を有し、第1の電極と、光電変換層と、第2の電極とを有することが好ましく、更に必要に応じてその他の層を有する。
前記ホール輸送層としては、下記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と、一般式(2)で表される化合物とを含有する。
【化3】
(ただし、前記一般式(1)において、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に置換もしくは無置換の、単環式、非縮合多環式または縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表し、Rは、水素、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す)
【化4】
(ただし、一般式(2)において、Mは、ホウ素、アルミニウム、リン、及びアンチモンのいずれかを表し、R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコシキ基、アリール基、ヘテロアリール基、エーテル結合を有する基、エステル結合を有する基を表す)
【0009】
本発明者らが、鋭意検討を行った結果、前記ホール輸送層が、一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と、一般式(2)で表される化合物とを含有することで、初期出力に優れる光電変換素子が得られることを見出した。また、長時間にわたって高照度光に晒された後においても、発電効率を維持することが可能であることを見出した。
【0010】
前記光電変換素子とは、光エネルギーを電気エネルギーに変換すること又は電気エネルギーを光エネルギーに変換することができる素子を意味し、太陽電池やフォトダイオードなどに応用されている。
本発明における光電変換素子は、ホール輸送層を少なくとも有し、更に必要に応じて、第1の基板、第1の電極、光電変換層、電子輸送層、第2の電極、第2の基板、及びその他の部材を有する。
【0011】
<第1の実施形態>
図1Aは、光電変換素子の一実施形態としての太陽電池セルの一例の断面図である。
図1Aに示す太陽電池セル50は、第1の電極2と、電子輸送層3と、光電変換層であるペロブスカイト層5と、ホール輸送層7と、第2の電極8とを有する。
前記第1の電極2としては、電子輸送層3と接している。
前記電子輸送層3としては、ペロブスカイト層5と接している。なお、前記電子輸送層3としては、緻密な電子輸送層(以下、「緻密層」と称することがある)と多孔質な電子輸送層(以下、「多孔質層」と称することがある)との2層構造であってもよい。
前記ペロブスカイト層5としては、ホール輸送層7と接している。ペロブスカイト層5とホール輸送層7との間に一般式(6)で表される化合物を含有する膜(層)6を有する。
前記ホール輸送層7としては、第2の電極8と接している。
【0012】
<ホール輸送層>
前記ホール輸送層とは、前記光電変換層で生成されたホール(正孔)を後述する前記第2の電極まで輸送する層を意味する。このため、前記ホール輸送層は、塩を介して又は直接的に光電変換層に隣接して配置されることが好ましい。
【0013】
前記ホール輸送層としては、前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。
前記一般式(2)で表される化合物としては、前記ホール輸送層中において酸化剤として機能する。
【0014】
前記ホール輸送層が、前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と、一般式(2)で表される化合物を混合することで、初期出力に優れ、また、長時間にわたって高照度光に晒された後においても、発電効率を維持することができる。
【0015】
<<一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物>>
前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物としては、下記一般式(1)を構造単位で有する高分子化合物である。
【化5】
(ただし、前記一般式(1)において、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に置換もしくは無置換の、単環式、非縮合多環式または縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表し、Rは、水素、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す)
前記一般式(1)を構造単位で有するとは、前記一般式(1)の繰り返し構造を有していてもよいし、前記一般式(1)を含む構造の繰り返し構造を有していてもよい。
【0016】
前記一般式(1)におけるAr、Ar及びArとしては、それぞれ独立に置換(以下、「置換基」と称することがある)もしくは無置換の単環式、非縮合多環式、または縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表す。前記単環式、非縮合多環式、または縮合多環式芳香族炭化水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アリール基、アリーレン基、2価のヘテロ環基などを表す。
前記アリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、9-アントラセニル基などが挙げられる。
前記アリーレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4-フェニレン、1,1’-ビフェニレン、9,9’-ジ-n-ヘキシルフルオレンなどが挙げられる。
前記2価のヘテロ環基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,5-チオフェン等が挙げられる。
前記置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。
前記一般式(1)におけるRとしては、水素、アルキル基、及びアリール基を表す。
【0017】
前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。前記一般式(3)で表される化合物であると、ホール輸送性能に優れる。
【化6】
(ただし、前記一般式(3)において、Rは、水素、アリール基、メチル基及びメトキシ基のいずれかを表し、R及びRは、水素もしくはアルコキシ基を表し、nは2以上の整数を表す)
【0018】
前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記(A-1)~(A-28)などが挙げられる。
【化7】
【0019】
前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2,000以上150,000以下が好ましい。
前記重量平均分子量としては、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0020】
前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ホール輸送層に対して30質量%以上95.5質量%以下が好ましい。
【0021】
<<一般式(2)で表される化合物>>
前記一般式(2)で表される化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物である。
【化8】
(ただし、一般式(2)において、Mは、ホウ素、アルミニウム、リン、及びアンチモンのいずれかを表し、R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコシキ基、アリール基、ヘテロアリール基、エーテル結合を有する基、エステル結合を有する基を表す)
【0022】
前記一般式(2)におけるR2、及びRとしては、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、ヘテロアリール基、エーテル結合を有する基、及びエステル結合を有する基である。これらの中でも、アリール基が好ましい。
前記ハロゲンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基などが挙げられる。前記アルキル基としては、前記ハロゲンで置換されていてもよい。
前記アルコキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1~6のアルコキシ基などが挙げられる。
前記アリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニル基、2-ナフチル基、フッ素で置換されたアリール基などが挙げられる。これらの中でも、フッ素で置換されたアリール基が好ましい。更に、前記R、R及びRのうち、少なくとも2つがフッ素で置換されたアリール基であることが好ましい。
前記アルキル基、及び前記アリール基は置換基を有していてもよい。
【0023】
前記一般式(2)で表される化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。前記一般式(4)で表される化合物であると、ホール輸送性能に優れる。
【化9】
(ただし、前記一般式(4)において、R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコシキ基、アリール基、ヘテロアリール基、エーテル結合を有する基、及びエステル結合を有する基のいずれかを表す)
【0024】
前記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、下記(B-1)~(B-17)などが挙げられる。これらの中でも、ルイス酸性の観点から(B-1)及び(B-15)が好ましい。
【化10】
【0025】
前記一般式(2)で表される化合物の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、150以上1,600以下が好ましい。
前記重量平均分子量としては、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0026】
前記一般式(2)で表される化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ホール輸送層に対して0.1質量%以上30質量%以下が好ましい。
【0027】
前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物の含有量(A)と、前記一般式(2)で表される化合物の含有量(B)との質量比(A/B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1以上100以下が好ましく、10以上100以下がより好ましい。前記質量比(A/B)が1以上であると、十分なホール輸送特性が得られる。前記質量比(A/B)が100以下であると、優れた初期出力及び耐光性が得られる。
【0028】
前記ホール輸送層としては、例えば、他の固体のホール輸送性材料を更に含み、必要に応じてその他の材料を含む。
他の固体のホール輸送性材料(以下では、単に「ホール輸送性材料」と称することがある)としては、ホールを輸送できる性質を持つ材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機化合物を含有することが好ましい。
【0029】
<<その他の成分>>
前記ホール輸送層に含まれるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物以外の高分子材料、添加剤、カチオン種を含まない酸化剤(以下、「ニュートラルな酸化剤」と称することがある)などが挙げられる。
【0030】
前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物以外の高分子材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリチオフェン化合物、ポリフェニレンビニレン化合物、ポリフルオレン化合物、ポリフェニレン化合物、ポリアリールアミン化合物、ポリチアジアゾール化合物などが挙げられる。
【0031】
前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄若しくはヨウ化銀等の金属ヨウ化物、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム若しくはヨウ化ピリジニウム等の4級アンモニウム塩、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム若しくは臭化カルシウム等の金属臭化物、臭化テトラアルキルアンモニウム若しくは臭化ピリジニウム等の4級アンモニウム化合物の臭素塩、塩化銅若しくは塩化銀等の金属塩化物、酢酸銅、酢酸銀若しくは酢酸パラジウム等の酢酸金属塩、硫酸銅若しくは硫酸亜鉛等の金属硫酸塩、フェロシアン酸塩-フェリシアン酸塩若しくはフェロセン-フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム若しくはアルキルチオール-アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン等、ピリジン、4-t-ブチルピリジン若しくはベンズイミダゾール等の塩基性化合物などが挙げられる。
【0032】
前記ニュートラルな酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、酸化剤により、ホール輸送性材料の全体が酸化される必要はなく、一部が酸化されていれば有効である。また、酸化剤は、反応後に系外に取り出しても、取り出さなくてもよい。
【0033】
前記ホール輸送層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光電変換層上においては、0.01μm以上20μm以下が好ましく、0.1μm以上10μm以下がより好ましく、0.2μm以上2μm以下が更に好ましい。
【0034】
前記ホール輸送層は、光電変換層の上に本発明の液体組成物を直接塗布することで形成することができる。
【0035】
(液体組成物)
本発明の液体組成物としては、本発明におけるホール輸送層を形成するための液体組成物(以下、「ホール輸送層形成用の液体組成物」と称することがある)である。
前記液体組成物としては、前記光電変換素子のホール輸送層に含まれるものと同様に一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と、一般式(2)で表される化合物とを含有し、更に必要に応じて有機溶媒などのその他の成分を含有する。
前記液体組成物(以下、「インク」と称することがある)が、下記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含有することで、ホール輸送層形成用の液体組成物は、長時間経過後、例えば液体組成物を調製してから6時間後もゲル化が抑制されるため、ホール輸送層作製時の時間的制約が少なくなる。なお、前記ゲル化としては、カチオン種を含む酸化剤を用いた場合に、該カチオン種が前記一般式(1)で表される構造単位に含まれる不飽和結合と相互作用することにより起こると考えられるところ、前記一般式(2)で表される化合物は中性構造を有しており、カチオン種を有していないため、ゲル化が抑えられると考えられる。
【0036】
前記液体組成物に含まれる前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液体組成物に対して0.01質量%以上30質量%以下が好ましい。
【0037】
前記液体組成物に含まれる前記一般式(2)で表される化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液体組成物に対して0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0038】
前記その他の成分としては、有機溶媒や、前記光電変換素子のホール輸送層に含まれるものと同様のものを用いることができる。
【0039】
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
前記ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
前記エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチルなどが挙げられる。
前記エーテル溶媒としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
前記アミド溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどが挙げられる。
前記ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1-クロロナフタレンなどが挙げられる。
前記炭化水素溶媒としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン、1,5-ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記有機溶媒の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液体組成物に対して60質量%以上99質量%以下が好ましい。
【0041】
前記ホール輸送層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法などが挙げられる。これらの中でも、製造コストなどの点で、特に湿式製膜法が好ましく、光電変換層上に塗布する方法がより好ましい。
前記湿式製膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。また、湿式印刷方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などの方法を用いてもよい。
【0042】
また、光電変換層上に、ホール輸送性材料を積層した後、プレス処理工程を施してもよい。プレス処理を施すことによって、ホール輸送性材料が光電変換層とより密着するため、発電効率が改善できる場合がある。
前記プレス処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、IR(infrared spectroscopy)錠剤成形器に代表されるような平板を用いたプレス成形法、ローラー等を用いたロールプレス法などを挙げることができる。
前記プレス処理する際の圧力としては、10kgf/cm以上が好ましく、30kgf/cm以上がより好ましい。
前記プレス処理する時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以下が好ましい。また、プレス処理時に熱を加えてもよい。
【0043】
前記プレス処理の際、プレス機と電極との間に離型剤を挟んでもよい。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリクロロ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレン四フッ化エチレン共重合体、エチレンクロロ三フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
--金属酸化物を含む膜--
プレス処理工程を行った後、第2の電極を設ける前に、ホール輸送層と第2の電極との間に金属酸化物を含む膜を設けてもよい。
前記金属酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸化モリブデンが好ましい。
金属酸化物を含む膜をホール輸送層上に設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法などが挙げられる。
【0045】
前記金属酸化物を含む膜を形成する際の湿式製膜法としては、金属酸化物の粉末又はゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。
前記湿式製膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。また、湿式印刷方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などの方法を用いてもよい。
【0046】
前記金属酸化物を含む膜の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1nm以上50nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下がより好ましい。
【0047】
<第1の基板>
前記第1の基板としては、その形状、構造、大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1の基板の材質としては、透光性及び絶縁性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、セラミック等の基板が挙げられる。これらの中でも、後述するように電子輸送層を形成する際に焼成する工程を含む場合は、焼成温度に対して耐熱性を有する基板が好ましい。また、第1の基板としては、可とう性を有するものがより好ましい。
【0048】
前記基板は、前記光電変換素子の第1の電極側の最外部、及び第2の電極側の最外部のどちらか一方、又は両方に設けてもよい。
以下、第1の電極側の最外部に設けられる基板を第1の基板、第2の電極側の最外部に設けられる基板を第2の基板と称する。
前記基板の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50μm以上5mm以下などが挙げられる。
【0049】
<第1の電極>
前記第1の電極としては、その形状、大きさについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0050】
前記第1の電極の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一層構造であってもよいし、複数の材料を積層する構造であってもよい。
【0051】
前記第1の電極の材質としては、導電性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明導電性金属酸化物、カーボン、金属などが挙げられる。
【0052】
前記透明導電性金属酸化物としては、例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、「ITO」と称する)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、「ATO」と称する)、ニオブドープ酸化スズ(以下、「NTO」と称する)、アルミドープ酸化亜鉛(以下、「AZO」と称する)、インジウム・亜鉛酸化物、ニオブ・チタン酸化物などが挙げられる。
前記カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンなどが挙げられる。
前記金属としては、例えば、金、銀、アルミニウム、ニッケル、インジウム、タンタル、チタンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性が高い透明導電性金属酸化物が好ましく、ITO、FTO、ATO、NTO、AZOがより好ましい。
【0053】
前記第1の電極の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm以上100μm以下が好ましく、50nm以上10μm以下がより好ましい。なお、第1の電極の材質がカーボンや金属の場合には、第1の電極の平均厚みとしては、透光性を得られる程度の平均厚みにすることが好ましい。
【0054】
前記第1の電極は、スパッタ法、蒸着法、スプレー法等の公知の方法などにより形成することができる。
【0055】
また、第1の電極は、基板上に形成されることが好ましく、予め基板上に第1の電極が形成されている一体化された市販品を用いることができる。
前記一体化された市販品としては、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチックフィルム、ITOコート透明プラスチックフィルムなどが挙げられる。他の一体化された市販品としては、例えば、酸化スズ若しくは酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、又はメッシュ状やストライプ状等の光が透過できる構造にした金属電極を設けたガラス基板などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して混合又は積層したものでもよい。また、電気的抵抗値を下げる目的で、金属リード線などを併用してもよい。
また、一体化された市販品における電極を適宜加工して、後述する光電変換モジュールを作製するために、複数の第1の電極が形成された基板を作製してもよい。
【0056】
前記金属リード線の材質としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケルなどが挙げられる。
【0057】
前記金属リード線は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、圧着法などで基板に形成し、その上にITOやFTOの層を設ける、あるいはITOやFTOの上に設けることにより併用することができる。
【0058】
<電子輸送層>
前記電子輸送層とは、後述する光電変換層で生成された電子を第1の電極まで輸送する層を意味する。このため、電子輸送層は、第1の電極に隣接して配置されることが好ましい。
【0059】
前記電子輸送層としては、その形状、大きさについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0060】
また、電子輸送層の構造としては、単層であってもよく、複数の層が積層された多層であってもよい。
【0061】
前記電子輸送層は、電子輸送材料を含有する。
前記電子輸送材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、半導体材料が好ましい。
【0062】
前記半導体材料としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができ、例えば、単体半導体、化合物半導体を有する化合物などが挙げられる。
前記単体半導体としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどが挙げられる。
前記化合物半導体としては、例えば、金属のカルコゲニドが挙げられる。
前記金属のカルコゲニドとしては、例えば、金属の酸化物(酸化物半導体)、金属の硫化物、金属のセレン化物、金属のテルル化物などが挙げられる。
前記金属酸化物(酸化物半導体)としては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の酸化物が挙げられる。
前記金属の硫化物としては、例えば、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマス等の硫化物が挙げられる。
前記金属のセレン化物としては、例えば、カドミウム、鉛等のセレン化物が挙げられる。
前記金属のテルル化物としては、例えば、カドミウム等のテルル化物が挙げられる。
前記他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム砒素、銅-インジウム-セレン化物、銅-インジウム-硫化物等が挙げられる。
これらの中でも、金属酸化物(酸化物半導体)が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、及び酸化ニオブの少なくともいずれかを含有することがより好ましく、酸化スズを含有することが特に好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、半導体材料の結晶型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単結晶でも多結晶でもよく、非晶質でもよい。
【0063】
前記電子輸送層は、前記光電変換層側の表面の前記電子輸送材料上に、ホスホン酸化合物、ボロン酸化合物、スルホン酸化合物、ハロゲン化シリル化合物、及びアルコキシシリル化合物の少なくともいずれかの化合物を含有することが好ましい。前記電子輸送層は、前記光電変換層側の表面の前記電子輸送材料上に、これらの化合物を含有することで、電子輸送層と光電変換層の界面の物性を制御することが期待できる。言い換えれば、前記電子輸送層の前記光電変換層側の表面において前記電子輸送材料をこれら化合物で被覆することで、電子輸送層と光電変換層の界面抵抗を減少し、電子移動をスムースにする効果が期待できる。
これらの化合物は、前記電子輸送材料と結合していてもよい。結合としては、例えば、共有結合、イオン結合などが挙げられる。
【0064】
前記化合物は、ホスホン酸化合物、ボロン酸化合物、スルホン酸化合物、ハロゲン化シリル化合物、及びアルコキシシリル化合物の少なくともいずれかである。
前記化合物は、後述する光電変換層(ペロブスカイト層)との相溶性の点から、窒素原子を有することが好ましい。
【0065】
前記ホスホン酸化合物としては、ホスホン酸基を含有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例は後述する。
【0066】
前記ボロン酸化合物としては、ボロン酸基を含有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例は後述する。
【0067】
前記スルホン酸化合物としては、スルホン酸基を含有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例は後述する。
【0068】
前記ハロゲン化シリル化合物としては、ハロゲン化シリル基を含有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例は後述する。
【0069】
前記アルコキシシリル化合物としては、アルコキシシリル基を含有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例は後述する。
【0070】
前記化合物の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100以上500以下が挙げられる。
【0071】
前記化合物は、例えば、下記一般式(X)で表される。
【化11】
前記一般式(X)において、R、及びRは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環を表し、同一であっても異なっていてもよい。Rは、2価のアルキレン基、2価のアリール基、又は2価のヘテロ環を表し、Rは、ホスホン酸基、ボロン酸基、スルホン酸基、ハロゲン化シリル基、又はアルコキシシリル基を表す。R又はRと、Rと、Nとは、一緒になって環構造を形成していてもよい。
【0072】
前記化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【化12】
【0073】
【化13】
【0074】
前記電子輸送層上に、ホスホン酸やスルホン酸あるいはハロゲン化シリル基など、金属酸化物と反応する置換基を有する化合物を用いて金属酸化物表面を被覆することが好ましい。その表面を被覆する化合物の具体例としては、メチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、フェネチルホスホン酸、(1-アミノエチル)ホスホン酸、(2-アミノエチル)ホスホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2-チエニルボロン酸、メチルトリクロロシラン、n-ヘキシルトリエトキシシランなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
前記電子輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm以上1μm以下が好ましく、10nm以上700nm以下がより好ましい。
【0076】
前記電子輸送層の光電変換層側の表面は、なるべく平滑であることが好ましい。平滑性を表す一つの指標としてラフネスファクターは小さいほど好ましいが、電子輸送層の平均厚みとの関係から、電子輸送層の光電変換層側のラフネスファクターは、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。前記ラフネスファクターの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1以上が挙げられる。
前記ラフネスファクターとは、見かけの表面積に対する実際の表面積の割合のことで、Wenzelのラフネスファクターとも呼ばれている。実際の表面積は、例えばBET比表面積などを測定することで測定することができ、その値を見かけの表面積で割ればラフネスファクターを求めることができる。
【0077】
前記電子輸送層における電子輸送材料の薄膜を作製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空中で電子輸送材料の薄膜を形成する方法(真空製膜法)、湿式製膜法などが挙げられる。
前記真空製膜法としては、例えば、スパッタリング法、パルスレーザーデポジッション法(PLD法)、イオンビームスパッタ法、イオンアシスト法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、アトミックレイヤーデポジッション法(ALD法)、化学気相成長法(CVD法)などが挙げられる。
前記湿式製膜法としては、例えば、ゾル-ゲル法が挙げられる。ゾル-ゲル法は、溶液から、加水分解や重合・縮合などの化学反応を経てゲルを作製し、その後、加熱処理によって緻密化を促進させる方法である。ゾル-ゲル法を用いた場合、ゾル溶液の塗布方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などが挙げられる。また、ゾル溶液を塗布した後の加熱処理の際の温度としては、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
【0078】
前記電子輸送材料上に前記化合物を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送材料の薄膜上に、前記化合物を含有する溶液を塗布した後に乾燥させる方法が挙げられる。
塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
溶液を塗布した後の乾燥処理の際の温度としては、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。
【0079】
<光電変換層>
前記光電変換層としては、光電変換を行う層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ペロブスカイト層またはバルクヘテロ接合層などが挙げられる。
なお、前記光電変換層としては、ペロブスカイト構造を有するペロブスカイト層であることが好ましい。
【0080】
<<ペロブスカイト層>>
前記ペロブスカイト層とは、ペロブスカイト化合物を含み、光を吸収して電子輸送層を増感する層を意味する。そのため、ペロブスカイト層は、電子輸送層に隣接して配置されることが好ましい。
【0081】
前記ペロブスカイト層としては、その形状、大きさについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0082】
前記ペロブスカイト化合物は、有機化合物と無機化合物の複合物質であり、以下の一般式(5)で表わされる化合物である。
αβγ ・・・一般式(5)
ただし、前記一般式(5)中、α:β:γの比率は3:1:1であり、β及びγは1より大きい整数を表し、Xはハロゲン原子、Yはアミノ基を有する有機化合物及びアルカリ金属のいずれかを表し、Zは金属イオンを表す。
【0083】
前記一般式(5)におけるXとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0084】
前記一般式(5)におけるYとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n-ブチルアミン、ホルムアミジン等のアミノ基を有する有機化合物や、セシウム(Cs)、ルビジウム(Rb)、カリウム(K)等のアルカリ金属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、無機アルカリ金属カチオンと有機カチオンとをそれぞれ併用してもよい。これらの中でも、アミノ基を有する有機化合物が好ましい。
また、ハロゲン化鉛-メチルアンモニウムのペロブスカイト化合物の場合、ハロゲンイオンがClのときは、光吸収スペクトルのピークλmaxは約350nm、Brのときは約410nm、Iのときは約540nmと、順に長波長側にシフトするため、利用できるスペクトル幅(バンド域)は異なる。
【0085】
前記一般式(5)におけるZとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉛、インジウム、アンチモン、スズ、銅、ビスマス等の金属のイオンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0086】
また、前記ペロブスカイト層としては、ハロゲン化金属からなる層と有機カチオン分子が並んだ層が、交互に積層した層状ペロブスカイト構造を示すことが好ましい。
【0087】
また、前記ペロブスカイト層の膜厚としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50nm以上2μm以下が好ましく、100nm以上600nm以下がより好ましい。
【0088】
前記ペロブスカイト層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハロゲン化金属及びハロゲン化アルキルアミンやハロゲン化セシウムなどを、溶解又は分散させた溶液を塗布した後に乾燥する方法などが挙げられる。
また、ペロブスカイト層を形成する方法としては、例えば、ハロゲン化金属を溶解又は分散させた溶液を塗布、乾燥した後、ハロゲン化アルキルアミンを溶解させた溶液中に浸して、ペロブスカイト化合物を形成する二段階析出法などが挙げられる。
更に、ペロブスカイト層を形成する方法としては、例えば、ハロゲン化金属及びハロゲン化アルキルアミンを溶解又は分散した溶液を塗布しながら、ペロブスカイト化合物にとっての貧溶媒(溶解度が小さい溶媒)を加えて結晶を析出させる方法などが挙げられる。加えて、ペロブスカイト層を形成する方法としては、例えば、メチルアミンなどが充満したガス中において、ハロゲン化金属を蒸着する方法などが挙げられる。
これらの中でも、ハロゲン化金属及びハロゲン化アルキルアミンを溶解又は分散した溶液を塗布しながら、ペロブスカイト化合物にとっての貧溶媒を加えて結晶を析出させる方法が好ましい。
【0089】
前記溶液を塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬法、スピンコート法、スプレー法、ディップ法、ローラー法、エアーナイフ法などが挙げられる。また、溶液を塗布する方法としては、例えば、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で析出させる方法であってもよい。
【0090】
また、前記ペロブスカイト層は、増感色素を含んでもよい。
前記増感色素を含んだペロブスカイト層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ペロブスカイト化合物と増感色素を混合する方法、ペロブスカイト層を形成した後で、増感色素を吸着させる方法などが挙げられる。
【0091】
前記増感色素としては、使用される励起光により光励起される化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記増感色素としては、例えば、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物、シアニン色素、メロシアニン色素、9-アリールキサンテン化合物、トリアリールメタン化合物、フタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、金属錯体化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物、ポルフィリン化合物が好ましい。
【0092】
<<バルクヘテロ接合層>>
バルクヘテロ接合層は、電子供与性有機材料及び電子求引性有機材料を含有する。
バルクヘテロ接合層においては、電子供与性有機材料(P型有機半導体)及び電子求引性有機材料(N型有機半導体)が混合されていることで、ナノサイズのPN接合であるバルクヘテロ接合が生じる。そうすることにより、接合面で生じる光電荷分離を利用して電流を得ることができる。
【0093】
<<<電子供与性有機材料(P型有機半導体)>>>
前記P型有機半導体としては、例えば、ポリチオフェン又はその誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、オリゴチオフェン又はその誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン又はその誘導体、ポリフェニレンビニレン又はその誘導体、ポリチエニレンビニレン又はその誘導体、ベンゾジチオフェン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体等の共役ポリマーや低分子化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0094】
<<<電子求引性有機材料(N型有機半導体)>>>
前記電子求引性有機材料としては、例えば、イミド誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体などが挙げられる。これらの中でも、電荷分離及び電荷輸送の点から、フラーレン誘導体が好ましい。
【0095】
前記バルクヘテロ接合層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、スプレー法、真空蒸着法などが挙げられる。これらの中から、厚み制御や配向制御など、作製しようとする有機材料薄膜の特性に応じて適宜選択することができる。
【0096】
前記光電変換層の平均厚みは、50nm以上400nm以下が好ましく、60nm以上250nm以下がより好ましい。前記平均厚みが、50nm以上であれば、光電変換層による光吸収が少なくてキャリア発生が不充分となることはなく、400nm以下であれば、光吸収により発生したキャリアの輸送効率が一段と低下するようなことはない。
【0097】
<一般式(6)で表される化合物を含有する膜>
本発明の光電変換素子は、前記光電変換層と前記ホール輸送層との間に、下記一般式(6)で表される化合物を含有する膜を有してもよい。
A-X・・・一般式(6)
ただし、前記一般式(6)中、Aは、下記一般式(7)及び下記一般式(8)のいずれかで表されるアミノカチオン化合物、ピリジニウムカチオン化合物、イミダゾリニウムカチオン化合物、及びピロリジニウムカチオン化合物の少なくともいずれかであり、前記Xはハロゲンイオンを表す。
【化14】
ただし、前記一般式(7)中、Rは、-H、-F、-CF、及び-OCHのいずれかを表し、nは1又は2を表し、XはBr及びIのいずれかを表す。
【化15】
ただし、前記一般式(8)中、nは3以上12以下の整数を表し、XはBr及びIのいずれかを表す。
【0098】
前記光電変換層と前記ホール輸送層の間に、前記一般式(6)で表される化合物(有機塩又は無機塩)を含有する膜を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記光電変換層上に、前記一般式(6)で表される化合物(有機塩又は無機塩)を含有する溶液を塗布した後に、乾燥し、更にその後、その上に、ホール輸送層する形成する方法が挙げられる。前記溶液としては、例えば、水溶液、アルコール溶液などが挙げられる。
塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
また、溶液を塗布する方法としては、例えば、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で析出させる方法であってもよい。また、この層に膜厚の制限はなく、単分子で吸着されていても、連続性を有していないアイランド状であっても構わない。
溶液を塗布した後の乾燥処理の際の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記一般式(6)で表される化合物(有機塩又は無機塩)の膜厚は、0.5nm以上100nm以下が好ましく、1nm以上50nm以下がさらに好ましい。
【0099】
<第2の基板>
前記第2の基板としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができ、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、セラミック等の基板が挙げられる。第2の基板と封止部材との接合部は密着性を上げるため、凹凸部を形成してもよい。
前記凹凸部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サンドブラスト法、ウオーターブラスト法、研磨紙、化学エッチング法、レーザー加工法などが挙げられる。
【0100】
前記第2の基板と封止部材との密着性を上げる手段としては、例えば、表面の有機物を除去してもよく、親水性を向上させてもよい。前記第2の基板の表面の有機物を除去する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、UVオゾン洗浄、酸素プラズマ処理などが挙げられる。
【0101】
<<封止部材>>
前記光電変換素子としては、少なくとも前記電子輸送層及び前記ホール輸送層を、光電変換素子の外部環境から遮蔽することが可能な封止部材を更に有することが好ましい。
前記封止部材としては、外部環境から封止内部への過剰な水分や酸素などの侵入を低減できるもの又は外部から押圧されることによる機械的な破壊を防止するものであれば、従来公知の部材を使用可能である。
【0102】
封止の方式は、光電変換素子の光電変換層で構成される発電領域の周縁部に封止部材を設け、第2の基板と接着する「枠封止」と、前記発電領域全面に封止部材を設け、第2の基板と接着する「面封止」に大別できる。
【0103】
前記封止部材の種類については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択可能であり、例えば、硬化樹脂、低融点ガラス樹脂などが挙げられる。
【0104】
<その他の部材>
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0105】
以下、図面を参照しながら、本発明の光電変換素子の一例について説明する。ただし、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、下記構成部材の数、位置、形状等について、本実施の形態に記載されていないものについても、本発明の範疇に含まれる。
【0106】
(光電変換モジュール)
本発明の光電変換モジュールは、複数の本発明の光電変換素子が、直列又は並列に電気的に接続されてなる。
光電変換モジュールは、例えば、基板上に複数の本発明の光電変換素子を有し、前述の基板とは異なる第2の基板、封止部材を更に有することが好ましく、必要に応じてその他の部材を有する。
前記光電変換モジュールとしては、例えば、太陽電池モジュールが挙げられる。
【0107】
前記光電変換モジュールは、複数の本発明の光電変換素子が、基板上に複数設けられている光電変換モジュールであって、互いに隣接する少なくとも2つの光電変換素子において、ホール輸送層が、互いに連続しており、互いに隣接する少なくとも2つの光電変換素子における第1の電極、電子輸送層、及び光電変換層が、ホール輸送層により隔てられていることが好ましい。そのような光電変換モジュールにおいては、電子輸送層、及び光電変換層が切断されていることにより、拡散による電子の再結合が少なくなっているため、長時間にわたって高照度光に晒された後においても、発電効率を維持することが可能である。
【0108】
本発明の光電変換モジュールは、発生した電流を制御する回路基盤等と組み合わせることにより電源装置に応用できる。電源装置を利用している機器類として、例えば、電子卓上計算機や腕時計が挙げられる。また、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等に本発明の光電変換モジュールを有する電源装置を適用することもできる。また、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源、2次電池などと組み合わせることにより夜間等でも利用できる電源などとしても、本発明の光電変換モジュールを有する電源装置を用いることができる。更に、電池交換や電源配線等が不要な自立型電源として、IoTデバイスや人工衛星などに用いることもできる。
【0109】
以下、図面を参照しながら、本発明の光電変換モジュールの一例について説明する。ただし、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、下記構成部材の数、位置、形状等について、本実施の形態に記載されていないものについても、本発明の範疇に含まれる。
【0110】
<第2の実施形態>
[太陽電池モジュールの構成]
図1Bは、本発明の太陽電池モジュールにおける断面構造の一例を示す断面図である。図1Bに示すように、太陽電池モジュール100は、第1の電極2、緻密な電子輸送層(緻密層)3、多孔質な電子輸送層(多孔質層)4、ペロブスカイト層5、一般式(6)で表される化合物の層6、ホール輸送層7、第2の電極8を有する光電変換素子を、第1の基板1上に有する。なお、第1の電極2及び第2の電極8は、電極取出し端子まで導通する経路を有している。
さらに、太陽電池モジュール100には、第2の基板11が上記の光電変換素子を挟むように第1の基板1と対向して配置され、封止部材10が第1の基板1と第2の基板11の間に配置される。
太陽電池モジュール100においては、第1の電極2a及び第2の電極8aを有する光電変換素子aと第1の電極2b及び第2の電極8bを有する光電変換素子bと、における第1の電極2、緻密層3、多孔質層4、ペロブスカイト層5が、光電変換素子aと光電変換素子bとの間で互いに延設された連続層であるホール輸送層7で隔てられている。
【0111】
<第3の実施形態>
[太陽電池モジュールの構成]
図1Cは、本発明の太陽電池モジュールにおける断面構造の一例を示す断面図である。図1Cに示すように、太陽電池モジュール101は、第1の電極2、緻密な電子輸送層(緻密層)3、ペロブスカイト層5、一般式(6)で表される化合物の層6、ホール輸送層7、第2の電極8を有する光電変換素子を、第1の基板1上に有する。なお、第1の電極2及び第2の電極8は、電極取出し端子まで導通する経路を有している。
さらに、太陽電池モジュール101には、第2の基板11が上記の光電変換素子を挟むように第1の基板1と対向して配置され、封止部材10が第1の基板1と第2の基板11の間に配置される。
太陽電池モジュール101においては、第1の電極2a及び第2の電極8aを有する光電変換素子aと第1の電極2b及び第2の電極8bを有する光電変換素子bにおける第1の電極2、緻密層3、ペロブスカイト層5が、光電変換素子aと光電変換素子bとの間で互いに延設された連続層であるホール輸送層7で隔てられている。
【0112】
<第4の実施形態>
[太陽電池モジュールの構成]
図1Dは、本発明の太陽電池モジュールにおける断面構造の一例を示す断面図である。図1Dに示すように、太陽電池モジュール102は、第1の電極2、緻密な電子輸送層(緻密層)3、多孔質な電子輸送層(多孔質層)4、ペロブスカイト層5、一般式(6)で表される化合物の層6、ホール輸送層7、第2の電極8を有する光電変換素子を、第1の基板1上に有する。なお、第1の電極2及び第2の電極8は、電極取出し端子まで導通する経路を有している。
さらに、太陽電池モジュール102には、第2の基板11が上記の光電変換素子を挟むように第1の基板1と対向して配置され、封止部材10が第1の基板1と第2の基板11の間に配置される。
太陽電池モジュール102においては、第1の電極2a及び第2の電極8aを有する光電変換素子aと第1の電極2b及び第2の電極8bを有する光電変換素子bにおける第1の電極2、緻密層3が、光電変換素子aと光電変換素子bとの間で互いに延設された連続層である多孔質層4、ペロブスカイト層5、ホール輸送層7で隔てられている。
【0113】
<第5の実施形態>
[太陽電池モジュールの構成]
図1Eは、本発明の太陽電池モジュールにおける断面構造の一例を示す断面図である。図1Eに示すように、太陽電池モジュール103は、第1の電極2、緻密な電子輸送層(緻密層)3、多孔質な電子輸送層(多孔質層)4、ペロブスカイト層5、一般式(6)で表される化合物の層6、ホール輸送層7、第2の電極8を有する光電変換素子を、第1の基板1上に有する。なお、第1の電極2及び第2の電極8は、電極取出し端子まで導通する経路を有している。
さらに、太陽電池モジュール103には、第2の基板11が上記の光電変換素子を挟むように第1の基板1と対向して配置され、封止部材10が第1の基板1と第2の基板11の間に配置される。
太陽電池モジュール103においては、第1の電極2a及び第2の電極8aを有する光電変換素子aと第1の電極2b及び第2の電極8bを有する光電変換素子bにおける第1の電極2、緻密層3、多孔質層4が、光電変換素子aと光電変換素子bとの間で互いに延設された連続層であるペロブスカイト層5、ホール輸送層7で隔てられている。
【0114】
<第6の実施形態>
[太陽電池モジュールの構成]
図1Fは、本発明の太陽電池モジュールにおける断面構造の一例を示す断面図である。図1Fに示すように、太陽電池モジュール104は、第1の電極2、緻密な電子輸送層(緻密層)3、ペロブスカイト層5、一般式(6)で表される化合物の膜(層)6、ホール輸送層7、第2の電極8を有する光電変換素子を、第1の基板1上に有する。なお、第1の電極2及び第2の電極8は、電極取出し端子まで導通する経路を有している。
さらに、太陽電池モジュール104には、第2の基板11が上記の光電変換素子を挟むように第1の基板1と対向して配置され、封止部材10が第1の基板1と第2の基板11の間に配置される。
【0115】
太陽電池モジュール104においては、第1の電極2a及び第2の電極8aを有する光電変換素子aと第1の電極2b及び第2の電極8bを有する光電変換素子bにおける第1の電極2、緻密層3が、光電変換素子aと光電変換素子bとの間で互いに延設された連続層であるペロブスカイト層5、ホール輸送層7で隔てられている。
【0116】
太陽電池モジュール100~104は、第1の基板1と封止部材10と第2の基板11により封止されている。そのため、第2の電極8と第2の基板11との間に存在する中空部における水分量や酸素濃度を制御することが可能である。太陽電池モジュール100~104の中空部の水分量や酸素濃度を制御することにより、発電性能や耐久性を向上できる。すなわち、太陽電池モジュールが、光電変換素子を挟むように第1の基板と対向して配置される第2の基板と、第1の基板と第2の基板の間に配置され、光電変換素子を封止する封止部材とを更に有することにより、中空部の水分量や酸素濃度を制御ことができるため、発電性能や耐久性を向上できる。
なお、中空部内の酸素濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0%以上21%以下が好ましく、0.05%以上10%以下がより好ましく、0.1%以上5%以下が更に好ましい。
【0117】
また、太陽電池モジュール100~104においては、第2の電極8と第2の基板11が接触していないため、第2の電極8の剥離や破壊を防止することができる。
【0118】
さらに、太陽電池モジュール100~104は、光電変換素子aと光電変換素子bとを、電気的に接続する貫通部9を有する。太陽電池モジュール100~104においては、光電変換素子aの第2の電極8aと光電変換素子bの第1の電極2bとが、ホール輸送層7を貫通する貫通部9によって電気的に接続されることにより、光電変換素子aと光電変換素子bとが、直列に接続されている。このように、複数の光電変換素子が直列に接続されることにより、太陽電池モジュールの開放電圧を大きくすることができる。
【0119】
なお、貫通部9については、第1の電極2を貫通し、第1の基板1まで達していてもよいし、第1の電極2の内部で加工をやめ、第1の基板1にまで達していなくてもよい。貫通部9の形状を第1の電極2を貫通し、第1の基板1まで到達する微細孔とする場合、貫通部9の面積に対して微細孔の開口面積合計が大きくなりすぎると、第1の電極2の膜断面積が減少することで抵抗値が増大してしまい、光電変換効率の低下を引き起こす場合がある。そのため、貫通部9の面積に対する微細孔の開口面積合計の比率は、5/100以上60/100以下であることが好ましい。
【0120】
また、貫通部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サンドブラスト法、ウオーターブラスト法、化学エッチング法、レーザー加工法、研磨紙を用いた方法などが挙げられる。これらの中でも、微細な孔をサンドやエッチング、レジスト等を使うことなく形成でき、これにより清浄に再現性よく加工することができるため、レーザー加工法が好ましい。また、レーザー加工法が好ましい理由としては、貫通部9を形成するとき、緻密層3、多孔質層4、ペロブスカイト層5、一般式(2)で表される化合物の層6、ホール輸送層7、第2の電極8のうち少なくとも一つを、レーザー加工法による衝撃剥離によって除去することが可能になることも挙げられる。これにより、積層時にマスクを設ける必要がなく、また、光電変換素子を形成する材料の除去と貫通部の形成とを、まとめて簡易に行うことができる。
【0121】
ここで、光電変換素子aにおけるペロブスカイト層と、光電変換素子bにおけるペロブスカイト層との間は、延設されていても区切られていても良く、区切られた場合の距離としては、1μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。光電変換素子aにおけるペロブスカイト層と、光電変換素子bにおけるペロブスカイト層との間の距離が、1μm以上100μm以下であると、多孔質酸化チタン層やペロブスカイト層が切断されており、拡散による電子の再結合が少なくなっているため、長時間にわたって高照度光に晒された後においても、発電効率を維持することが可能である。すなわち、互いに隣接する少なくとも2つの光電変換素子において、一の光電変換素子における電子輸送層及びペロブスカイト層と、他の光電変換素子における 電子輸送層及びペロブスカイト層との間の距離が、1μm以上100μm以下であることにより、長時間にわたって高照度光に晒された後においても、発電効率を維持することが可能である。
なお、互いに隣接する少なくとも2つの光電変換素子における、一の光電変換素子における電子輸送層及びペロブスカイト層と、他の光電変換素子における電子輸送層及びペロブスカイト層との間の距離とは、それぞれの光電変換素子における電子輸送層及びペロブスカイト層の外周部(端部)どうしの距離の中で、最も短い部分の距離を意味する。
【0122】
本発明の太陽電池モジュールは、発生した電流を制御する回路基盤等と組み合わせることにより電源装置に応用できる。電源装置を利用している機器類として、例えば、電子卓上計算機や腕時計が挙げられる。また、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等に本発明の光電変換素子を有する電源装置を適用することもできる。また、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源、2次電池などと組み合わせることにより夜間等でも利用できる電源などとしても、本発明の光電変換素子を有する電源装置を用いることができる。さらに、電池交換や電源配線等が不要な自立型電源として、IoTデバイスや人工衛星などに用いることもできる。
【0123】
(電子機器)
本発明の電子機器は、本発明の光電変換モジュールと、該光電変換モジュールによって発生した電力によって動作する装置と、を有し、更に必要に応じてその他の装置を有する。
【0124】
(電源モジュール)
本発明の電源モジュールは、本発明の光電変換モジュールと、電源IC(Integrated Circuit)と、を有し、更に必要に応じてその他の装置を有する。
【0125】
次に、本発明の光電変換モジュール、前記光電変換モジュール、及び本発明の太陽電池モジュールの少なくともいずれかと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の具体的な実施形態について説明する。
【0126】
図2は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用マウスのブロック図である。
図2に示すように、光電変換モジュールと電源IC、更に蓄電デバイスとを組み合わせ、供給される電力をマウスの制御回路の電源に接続する。これにより、マウスを使用していない時に蓄電デバイスに充電し、その電力でマウスを動作させることができ、配線や電池交換が不要なマウスを得ることができる。また、電池が不要になることで軽量化も可能となり、有効である。
【0127】
図3は、図2に示したマウスの一例を示す概略外観図である。
図3に示すように、光電変換モジュール及び電源IC、蓄電デバイスはマウス内部に実装されるが、光電変換モジュールの光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明の筐体で覆われている。また、マウスの筐体すべてを透明な樹脂で成形することも可能である。光電変換素子の配置はこれに限られるものではなく、例えばマウスを手で覆っていても光が照射される位置に配置することも可能であり、好ましい場合がある。
【0128】
次に、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
【0129】
図4は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用キーボードのブロック図である。
図4に示すように、光電変換モジュールの光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をキーボードの制御回路の電源に接続する。これにより、キーボードを使用していない時に蓄電デバイスに充電し、その電力でキーボードを動作させることができ、配線や電池交換が不要なキーボードを得ることができる。また、電池が不要になることで軽量化も可能となり、有効である。
【0130】
図5は、図4に示したキーボードの一例を示す概略外観図である。
図5に示すように、光電変換モジュールの光電変換素子及び電源IC、蓄電デバイスはキーボード内部に実装されるが、光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明の筐体で覆われている。キーボードの筐体すべてを透明な樹脂で成形することも可能である。光電変換素子の配置はこれに限られるものではない。光電変換素子を組み込むスペースが小さい小型のキーボードの場合には、図6に示すように、キーの一部に小型の光電変換素子を埋め込むことも可能であり、有効である。
【0131】
次に、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
【0132】
図7は、本発明の電子機器の一例としてのセンサのブロック図である。
図7に示すように、光電変換モジュールの光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をセンサ回路の電源に接続する。これにより、外部電源に接続する必要がなく、また電池交換を行う必要もなく、センサモジュールを構成することが可能となる。センシング対象としては、温湿度、照度、人感、CO、加速度、UV、騒音、地磁気、気圧など、様々なセンサに応用でき、有効である。センサモジュールは、図7に示すように、定期的に測定対象をセンシングし、読み取ったデータをPCやスマートフォンなどに無線通信で送信する構成になっている。
IoT(Internet of Things)社会の到来により、センサは急増することが予想されている。この無数のセンサの電池を一つ一つ交換するには大きな手間がかかり、現実的ではない。またセンサは、天井や壁など、電池交換しにくい場所にあることも作業性を悪くしている。光電変換素子により電力供給できることもメリットは非常に大きい。また、本発明の光電変換モジュールは、低照度でも高い出力を得ることができ、かつ出力の光入射角依存性が小さいことから、設置自由度が高いといったメリットも得られる。
【0133】
次に、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
【0134】
図8は、本発明の電子機器の一例としてのターンテーブルのブロック図である。
図8に示すように、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をターンテーブル回路の電源に接続する。これにより、外部電源に接続する必要がなく、また電池交換を行う必要もなく、ターンテーブルを構成することが可能となる。
ターンテーブルは、例えば商品を陳列するショーケースなどに用いられるが、電源の配線は見栄えが悪く、また電池交換の際には陳列物を撤去しなければならず、大きな手間がかかっていた。本発明の光電変換モジュールを用いることで、そのような不具合を解消でき、有効である。
【0135】
以上、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器、及び電源モジュールについて説明したが、これらはごく一部であり、本発明の光電変換モジュールが、これらの用途に限定されるものではない。
【0136】
<用途>
本発明の光電変換モジュールは、自立型電源として機能させることができ、光電変換によって発生した電力を用いて、装置を動作させることが可能である。本発明の光電変換モジュールは、光が照射されることにより発電することが可能であるため、電子機器を電源に接続したり、あるいは電池交換したりする必要がない。そのため、電源設備がない場所でも電子機器を動作させたり、身に着けて持ち歩いたり、電池交換が困難な場所でも電池を交換することなく、電子機器を動作させたりすることが可能である。また、乾電池を用いる場合は、その分、電子機器が重くなったり、サイズが大きくなったりするため、壁や天井への設置、あるいは持ち運びに支障をきたすことがあるが、本発明の光電変換モジュールは、軽量で薄いため、設置自由度が高く、身に着けたり、持ち歩く上でもメリットが大きい。
【0137】
このように、本発明の光電変換モジュールは、自立型電源として使用でき、様々な電子機器に組み合わせることができる。例えば、電子卓上計算機、腕時計、携帯電話、電子手帳、電子ペーパーなどの表示機器、マウスやキーボードなどのパソコンの付属機器、温湿度センサや人感センサなどの各種センサ機器、ビーコンやGPSなどの発信機、補助灯、リモコン等数多くの電子機器と組み合わせて使用することができる。
また、光電変換素子または光電変換モジュールにフレキシブル性を持たせることで、フレキシブルデバイスにも適用することができる。
【0138】
本発明の光電変換モジュールは、特に低照度の光でも発電できるため、室内でも、更に薄暗い影のところでも発電することが可能であるため、適用範囲が広い。また、乾電池のように液漏れがなく、ボタン電池のように誤飲することもなく安全性が高い。更に、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として用いることができる。このように、本発明の光電変換モジュールと、それが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置とを組み合わせることで、軽量で使い勝手がよく、設置自由度が高く、交換が不要で、安全性に優れ、かつ環境負荷低減にも有効な電子機器に生まれ変わることができる。
【0139】
本発明の光電変換モジュールと、それが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置とを組み合わせた電子機器の基本構成図を図9に示す。これは、光電変換素子に光が照射されると発電し、電力を取り出すことができる。機器の回路は、その電力によって動作することが可能になる。
【0140】
しかし、光電変換モジュールの光電変換素子は周囲の照度によって出力が変化するため、図9に示す電子機器は安定に動作することができない場合がある。この場合、図10に示すように、回路側に安定した電圧を供給するために、光電変換素子と機器の回路の間に光電変換素子用の電源ICを組み込むことが可能であり、有効である。
しかし、光電変換モジュールの光電変換素子は十分な照度の光が照射されていれば発電できるが、発電するだけの照度が足りなくなると、所望の電力が得られなくなり、これが光電変換素子の欠点でもある。この場合には、図11に示すように、キャパシタ等の蓄電デバイスを電源ICと機器回路の間に搭載することによって、光電変換素子からの余剰電力を蓄電デバイスに充電することが可能となり、照度が低すぎる場合や、光電変換素子に光が当たらない場合でも、蓄電デバイスに蓄えられた電力を機器回路に供給することが可能になり、安定に動作させることが可能となる。
【0141】
このように、本発明の光電変換モジュールと、機器回路とを組み合わせた電子機器において、電源ICや蓄電デバイスを組み合わせることで、電源のない環境でも動作可能であり、また電池交換が不要で、安定に駆動させることが可能になり、光電変換素子のメリットを最大限に活かすことができる。
【0142】
一方、本発明の光電変換モジュールは、電源モジュールとしても使用することが可能であり、有用である。例えば、図12に示すように、本発明の光電変換モジュールと、光電変換素子用の電源ICを接続すると、光電変換モジュールの光電変換素子が光電変換することによって発生した電力を電源ICにて一定の電圧レベルで供給することが可能な直流電源モジュールを構成することができる。
更に、図13に示すように、電源ICに蓄電デバイスを追加することにより、光電変換モジュールの光電変換素子が発生させた電力を蓄電デバイスに充電することが可能になり、照度が低すぎる場合や、光電変換素子に光が当たらない状態になっても、電力を供給することが可能な電源モジュールを構成することができる。
図12及び図13に示した本発明の電源モジュールは、従来の一次電池のように電池交換をすることなく、電源モジュールとして使用することが可能である。
【実施例0143】
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて説明する。なお、本発明はここに例示される実施例に限定されるものではない。
【0144】
(製造例1)
<高分子化合物A-14の合成>
100ml四つ口フラスコに、下記式(1)の構造で表されるジアルデヒド化合物0.66g(2.0mmol)及び、下記式(2)の構造で表されるジホスホネート化合物1.02g(2.0mmol)を入れ、窒素置換してテトラヒドロフラン75mlを加えた。この溶液にカリウムt-ブトキシドの1.0mol/Lテトラヒドロフラン溶液6.75ml(6.75mmol)を滴下し室温で2時間撹拌した後、ベンジルホスホン酸ジエチル及びベンズアルデヒドを順次加え、更に2時間撹拌した。酢酸およそ1mlを加えて反応を終了し、溶液を水洗した。溶媒を減圧留去した後テトラヒドロフラン及びメタノールを用いて再沈澱による精製を行ない、高分子化合物A-14を0.95g得た。
【化16】
【化17】
具体的には、下記反応により高分子化合物A-14を合成した。
【化18】
得られた高分子化合物A-14について、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算の数平均分子量、及び重量平均分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の数平均分子量が8500、重量平均分子量は20,000であった。
また、得られた高分子化合物A-14について、理研計器製光電子分光装置AC-2を用いてイオン化ポテンシャルを測定したところ、イオン化ポテンシャルは5.20eVであった。
上記これらの結果を表1に示す。
【0145】
(製造例2)
<高分子化合物A-12の合成>
製造例1において、ジホスホネート化合物を、下記式(6)で表されるジホスホネート化合物に変更した以外は、製造例1と同様にして合成を行い、高分子化合物A-12を得た。
【化19】
【0146】
(製造例3)
<高分子化合物A-15の合成>
製造例1において、ジアルデヒド化合物を下記式(7)で表されるジアルデヒド化合物に変更し、ジホスホネート化合物を、下記式(8)で表されるジホスホネート化合物に変更した以外は、製造例1と同様にして合成を行い、高分子化合物A-15を得た。
【化20】
【化21】
【0147】
(製造例4)
<高分子化合物A-16の合成>
製造例1において、ジアルデヒド化合物を下記式(7)で表されるジアルデヒド化合物に変更し、ジホスホネート化合物を、下記式(10)で表されるジホスホネート化合物に変更した以外は、製造例1と同様にして合成を行い、高分子化合物A-16を得た。
【化22】
【化23】
【0148】
(製造例5)
<高分子化合物A-18の合成>
製造例1において、ジアルデヒド化合物を下記式(11)で表されるジアルデヒド化合物に変更し、ジホスホネート化合物を、下記式(12)で表されるジホスホネート化合物に変更した以外は、製造例1と同様にして合成を行い、高分子化合物A-18を得た。
【化24】
【化25】
【0149】
(製造例6)
<高分子化合物A-19の合成>
製造例1において、ジアルデヒド化合物を下記式(13)で表されるジアルデヒド化合物に変更し、ジホスホネート化合物を、下記式(14)で表されるジホスホネート化合物に変更した以外は、製造例1と同様にして合成を行い、高分子化合物A-19を得た。
【化26】
【化27】
【0150】
(製造例7)
<高分子化合物A-1の合成>
100ml四つ口フラスコに、(4,4’-((フェニル)アザネジイル)ジベンズアルデヒド)0.66g(2.0mmol)及び金属マグネシウム粉末194mg(8mmol)を入れ、窒素置換してテトラヒドロフラン10ml及びトリエチルアミン1.44mL(10.4mmol)、チタン酸オルトイソプロピル1.54mL(5.2mmol)のを加えた。55℃で48時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム数溶液を加えて反応を終了し、溶液を水洗した。溶媒を減圧留去した後塩化メチレン及びメタノールを用いて再沈澱による精製を行ない、高分子化合物(A-1)を0.48g得た。ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量は4,300、重量平均分子量は5,520であった。理研計器製光電子分光装置AC-2を用いて測定したイオン化ポテンシャルは5.24eVであった。以下、記載されているイオン化ポテンシャルは全てAC-2にて測定した値である。
【0151】
(実施例1)
<太陽電池モジュール1の作製>
酸化スズ15%水分散液(Alfa Aeser製、製品番号:44592)を超純水で1:1に希釈して、酸化スズ15%水分散液の希釈液を得た。得られた希釈液を、スピンコート法を用いてITOガラス基板上に製膜し、120℃で30分間乾燥させて電子輸送層を形成した。なお、電子輸送層の平均厚みは10nm~50nmとなるようにした。
次いで、ヨウ化鉛(II)(0.5306g)、臭化鉛(II)(0.0736g)、臭化メチルアミン(0.0224g)、ヨウ化ホルムアミジン(0.1876g)を、N,N-ジメチルホルムアミド(0.8ml)、ジメチルスルホキシド(0.2ml)に加え、60℃で加熱攪拌して得た溶液を、上記の多孔質層上にスピンコート法を用いて塗布しながらクロロベンゼン(0.3ml)を加えて、ペロブスカイト膜を形成した。その後、150℃で30分間乾燥させることにより、ペロブスカイト層を形成した。なお、ペロブスカイト層の平均厚みは、200~350nmとなるようにした。
更に、形成したペロブスカイト層上に、一般式(6)で表される化合物として2-フェニルエチルアンモニウムブロミドを溶解したイソプロピルアルコール1mMの溶液を、スピンコートを用いて塗布し、一般式(6)で表される化合物を含有する膜を形成した。
次いで、(A-14)で示される高分子化合物74mg、酸化剤として(B-1)で示される化合物7.4mgを計量し、クロロベンゼン3.0mlに溶解して混合液を得た。得られた混合液を室温で4時間撹拌した。攪拌後の混合液を上記の工程により得られた積層物上にスピンコート法を用いて塗布して、ホール輸送層を作製した。
なお、ホール輸送層の平均厚み(ペロブスカイト層上の部分)は、50~120nmとなるようにした。さらに、前述の積層物上に、金を真空蒸着させて平均厚みが100nmとなるように第2の電極を形成した。このようにして太陽電池モジュール1を得た。
【0152】
(実施例2~20)
実施例1において、ホール輸送層の組成を表1~表3に示される組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを作製した。
【0153】
(実施例21)
実施例1において、ホール輸送層の組成を表1~表3に示される組成に変更し、酸化剤として塩化アルミニウム(B-18)を用いた以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを作製した。
【0154】
(比較例1)
実施例1において、酸化剤を4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルイオドニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(下記式15で表される化合物)に変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを作製した。
【化28】
【0155】
(比較例2)
実施例1において、一般式(1)で表される構造単位を有する化合物を、PTAAに変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを作製した。
【0156】
【表1】
【0157】
【表2】
【0158】
【表3】
【0159】
<ゲル化の評価>
実施例1~21及び比較例1~2で作製した太陽電池モジュールについて、ホール輸送性材料とドーパント材を混合した溶液(HTLインク)がゲル化したかの評価は、ポリマーと酸化剤を混合して6時間後、HTLインクの粘度を粘度測定機(ブルックフィールド デジタル粘度計 HBDV2T)を用いて室温で測定し、粘度が100,000mmPa・sec以上をゲル化が「有り」、100 mmPa・sec以下をゲル化が「なし」と判断した。結果を表4に示す。
【0160】
【表4】
【0161】
<初期出力>
実施例1~21及び比較例1~2で作製した太陽電池モジュールについて、ソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm)で光を照射しつつ、太陽電池評価システム(株式会社エヌエフ回路設計ブロック製、商品名:As-510-PV03)を用いて、初期出力(η(%))を評価した。結果を表5~7に示す。
【0162】
<変換効率の維持率:耐光性試験>
実施例1~21及び比較例1~2で作製した太陽電池モジュールについて、500時間連続照射(AM1.5、100mW/cm)後の特性における変換効率の維持率ηx(%)として、変換効率の維持率(耐光性)ηx/η(%)を求めた。結果を表5~表7に示す。
【0163】
【表5】
【0164】
【表6】
【0165】
【表7】
【0166】
実施例1~21と比較例1~2から明らかなように、前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と一般式(2)で表される化合物を含有することで、ゲル化せずに安定なホール輸送層形成用の液体組成物を得ることができることが明らかとなった。また、前記ホール輸送層形成用の液体組成物を用いて形成されるホール輸送層が、前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と一般式(2)で表される化合物を含有することで、優れた初期出力が得られ、長時間にわたって高照度光に晒された後においても、発電効率を維持することが可能であることが明らかとなった。
【0167】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> ホール輸送層を有する光電変換素子であって、
前記ホール輸送層が、少なくとも下記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含有することを特徴とする光電変換素子である。
【化29】
(ただし、前記一般式(1)において、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に置換もしくは無置換の、単環式、非縮合多環式または縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表し、Rは、水素、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す)
【化30】
(ただし、前記一般式(2)において、Mは、ホウ素、アルミニウム、リン、及びアンチモンのいずれかを表し、R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコシキ基、アリール基、ヘテロアリール基、エーテル結合を有する基、及びエステル結合を有する基のいずれかを表す)
<2> 前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である、前記<1>に記載の光電変換素子である。
【化31】
(ただし、前記一般式(3)中、Rは、メチル基及びメトキシ基のいずれかを表し、R及びRは、アルコキシ基を表し、nは2以上の整数を表す)
<3> 前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(4)で表される化合物である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の光電変換素子である。
【化32】
(ただし、前記一般式(4)において、R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコシキ基、アリール基、ヘテロアリール基、エーテル結合を有する基、及びエステル結合を有する基のいずれかを表す)
<4> 前記一般式(2)におけるR、R及びRのうち、少なくとも2つがフッ素で置換されたアリール基である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<5> 前記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物の含有量(A)と、前記一般式(2)で表される化合物の含有量(B)との比(A/B)が、2以上100以下である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<6> 光電変換層をさらに有し、
前記光電変換層が、下記一般式(5)で表される化合物を含有する、前記<1>から<5>のいずれかに記載の光電変換素子である。
αβγ ・・・一般式(5)
(ただし、前記一般式(5)中、α:β:γの比率は3:1:1であり、β及びγは1より大きい整数を表し、Xはハロゲンを表し、Yはアミノ基を有する有機化合物及びアルカリ金属のいずれかを表し、Zは金属イオンを表す)
<7> 前記Yがセシウム、ルビジウム、及びカリウムの少なくともいずれかであり、前記Zがアンチモンである、前記<6>に記載の光電変換素子である。
<8> 電子輸送層をさらに有し、
前記電子輸送層が、少なくとも酸化スズを含有する、前記<1>から<7>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の光電変換素子が接続されたことを特徴とする光電変換モジュールである。
<10> 前記<9>に記載の光電変換モジュールと、前記光電変換モジュールによって発生した電力によって動作する装置と、を有することを特徴とする電子機器である。
<11> 前記<9>に記載の光電変換モジュールと、電源ICと、を有する電源モジュールである。
<12> 少なくとも下記一般式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含有することを特徴とする液体組成物である。
【化33】
(ただし、前記一般式(1)において、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に置換もしくは無置換の、単環式、非縮合多環式または縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表し、Rは、水素、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す)
【化34】
(ただし、前記一般式(2)において、Mは、ホウ素、アルミニウム、リン、及びアンチモンのいずれかを表し、R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコシキ基、アリール基、ヘテロアリール基、エーテル結合を有する基、及びエステル結合を有する基のいずれかを表す)
【0168】
前記<1>から<8>のいずれかに記載の光電変換素子、前記<9>に記載の光電変換モジュール、前記<10>に記載の電子機器、前記<11>に記載の電源モジュール、及び前記<12>に記載の液体組成物は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0169】
1 第1の基板
2、2a、2b 第1の電極
3 緻密な電子輸送層(緻密層)
4 多孔質な電子輸送層(多孔質層)
5 ペロブスカイト層
6 一般式(6)で表される化合物の層
7 ホール輸送層
8、8a、8b 第2の電極
9 貫通部
10 封止部材
11 第2の基板
21 一般式(2)で表される化合物を含有する膜
50 太陽電池セル
100、101、102、103、104 太陽電池モジュール
【先行技術文献】
【特許文献】
【0170】
【特許文献1】特開2020-053616号公報
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13