(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013444
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20240125BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
B65H37/04 D
G03G15/00 432
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115530
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】田口 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 圭
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 一貴
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AA17
2H072AA25
2H072GA07
2H072GA08
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
3F108HA32
3F108HA45
(57)【要約】
【課題】綴じ枚数に応じて、綴じ処理の内容を自動切替可能な綴じ処理におけるシート束の生産性を向上できる媒体処理装置を提供する。
【解決手段】シート束の一部を加圧変形して綴る綴じ処理部であって、当該媒体に対する加圧位置に加水をする加水処理部を有する第一綴じ処理部と、シート束の一部に針を用いた針綴じを行う第二綴じ処理部と、シート束を作成するシート束作成処理を実行するとき、当該シート束の一単位を構成する媒体枚数に応じて、第一綴じ処理部による圧着綴じ処理と、当該第一綴じ処理部による加水圧着綴じ処理と、第二綴じ処理部による針綴じ処理と、の動作を切り替えて制御する制御部と、を備え、制御部は、シート束作成処理を実行するとき、各綴じ処理の切替条件に応じて、当該シート束作成処理の実行開始タイミングを切り替える、媒体処理装置による。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載されたシート状の媒体の束であるシート束を作成する媒体処理装置であって、
前記シート束の一部を加圧変形して綴る綴じ処理部であって、当該媒体に対する加圧位置に加水をする加水処理部を有する第一綴じ処理部と、
前記シート束の一部に針を用いた針綴じを行う第二綴じ処理部と、
前記シート束を作成するシート束作成処理を実行するとき、当該シート束の一単位を構成する媒体枚数に応じて、前記第一綴じ処理部による圧着綴じ処理と、当該第一綴じ処理部による加水圧着綴じ処理と、前記第二綴じ処理部による針綴じ処理と、の動作を切り替えて制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記シート束作成処理を実行するとき、各綴じ処理の切替条件に応じて、当該シート束作成処理の実行開始タイミングを切り替える、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記シート束の一単位に対応する処理用データのうち、前記媒体枚数に相当する処理用データ数よりも少ない特定処理用データ数を取得したとき、前記シート束作成処理を開始する、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記シート束の一単位の作成に要する処理用データのうち、一の媒体に対応する処理用データを取得したときに、前記シート束作成処理を開始する、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記シート束の一単位の作成に要する処理用データのうち、一の媒体に対応する処理用データを取得して前記シート束作成処理を開始したときは、当該シート束の一単位を構成する全ての媒体に対し前記加水処理部による加水処理を実行する、
請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記シート束の一単位の作成に要する処理用データのうち、一の媒体に対応する処理用データを取得して前記シート束作成処理を開始したときは、当該シート束の一単位を構成する全ての媒体に対し前記加水処理部による加水処理を実行しない、
請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記シート束の一単位の作成に要する処理用データのうち、一の媒体に対応する処理用データを取得したときに、前記シート束作成処理を開始し、
当該一単位の前記シート束の作成に要する処理用データのうち、前記特定処理用データ数に相当する処理用データに係る前記綴じ処理を実行するときは前記加水処理部による加水処理を実行せず、
当該特定処理用データ数を超える分の処理用データに係る前記綴じ処理を実行するときは前記加水処理部による加水処理を実行する、
請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
ユーザが、前記シート束を作成するシート束作成処理を実行するときに前記圧着綴じ処理と、前記加水圧着綴じ処理と、前記針綴じ処理と、の切替態様を選択するための切替態様選択部を備え、
前記制御部は、前記切替態様に基づいて既定される前記切替条件に基づいて前記綴じ処理の制御をする、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
複数の前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体に対して処置の綴じ処理を行い請求項1に記載の媒体処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体を積層してシート束を作成する媒体処理装置が知られている。媒体処理装置はシート束を作成するときに、シート束の一部を綴る綴じ処理を行う機能構成を備える。媒体処理装置が実行可能な綴じ処理には、金属製の綴じ針(ステイプル針)を用いる「針有り綴じ処理」や、省資源化や環境負荷の低減を鑑みる観点から金属製の綴じ針(ステイプル針)を用いない「針無し綴じ処理」が知られている。針無し綴じ処理は、凹凸状の綴じ歯でシート束の一部を挟持し加圧変形させて圧着させる「圧着綴じ」が可能な圧着処理部を備える。
【0003】
シート状の媒体の例として用紙が広く知られている。そこで本明細書では、シート束に関する記載をするとき、複数の媒体としての用紙を束にして構成される「用紙束」を例に用いる。また、本明細書において「針有り綴じ処理」を単に「針綴じ処理」と表記することがあり、「針無し綴じ処理」を「圧着綴じ処理」と表記することもある。
【0004】
適切な綴じ処理を実行する目的で、加水して圧着する加水圧着綴じ動作を行なうか、加水せずに圧着する圧着綴じ動作を行なうかを切り替える技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている従来技術によれば、綴じ処理を自動で切り替えるには、綴じ処理を含む一連の処理単位としてのジョブを開始するときに、シート束単位の媒体枚数(綴じ枚数)が確定していることが必要となる。また、確定した綴じ枚数分の用紙を綴じ位置に搬送する処理の実行に要する処理用データを、綴じ枚数分に相当する数だけ取得していなければ、ジョブを開始することができない。
【0006】
すなわち、媒体処理装置が一束のシート束の作成処理を開始するためには、シート束単位での用紙数に対応する処理用データの入力を待ってから、ジョブを実行するための制御処理の分岐を行う。そのため、従来技術によれば、ジョブに供される処理用データの入力が開始されてから最初の媒体に対する処理(綴じ位置までの搬送処理など)を開始するまでの時間が長くなり、シート束の生産性に悪影響が生ずる、という課題がある。
【0007】
本発明は、綴じ枚数に応じて、綴じ処理の内容を自動切替可能な綴じ処理におけるシート束の生産性を向上できる媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、積載されたシート状の媒体の束であるシート束を作成する媒体処理装置であって、前記シート束の一部を加圧変形して綴る綴じ処理部であって、当該媒体に対する加圧位置に加水をする加水処理部を有する第一綴じ処理部と、前記シート束の一部に針を用いた針綴じを行う第二綴じ処理部と、前記シート束を作成するシート束作成処理を実行するとき、当該シート束の一単位を構成する媒体枚数に応じて、前記第一綴じ処理部による圧着綴じ処理と、当該第一綴じ処理部による加水圧着綴じ処理と、前記第二綴じ処理部による針綴じ処理と、の動作を切り替えて制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記シート束作成処理を実行するとき、各綴じ処理の切替条件に応じて、当該シート束作成処理の実行開始タイミングを切り替える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、綴じ枚数に応じて、綴じ処理の内容を自動切替可能な綴じ処理におけるシート束の生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】第一綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図4】綴じ処理部を主走査方向の加水処理部側から見た模式図。
【
図6】第二綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図7】後処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図8】第一綴じ処理中における各綴じ処理部の位置を示す図。
【
図9】第二綴じ処理中における各綴じ処理部の位置を示す図。
【
図10】上記後処理装置における綴じモードを選択可能にするユーザインタフェースの例を示す図。
【
図11】上記後処理装置において実行可能な用紙束作成処理の第一実施形態を示すフローチャート。
【
図12】上記後処理装置において実行可能な用紙束作成処理の第二実施形態を示すフローチャート。
【
図13】上記後処理装置において実行可能な用紙束作成処理の第三実施形態を示すフローチャート。
【
図14】上記後処理装置において実行可能な用紙束作成処理の第四実施形態を示すフローチャート。
【
図15】上記後処理装置において実行可能な用紙束作成処理の第五実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成システムの実施形態としてのプリンタシステム1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、プリンタシステム1の全体構成を示す図である。プリンタシステム1は、シート状の媒体としての用紙Pに画像を形成し、画像が形成された用紙Pに対して後処理を施す機能を有する。
図1に示すように、プリンタシステム1は、画像形成装置2と、媒体処理装置としての後処理装置3を連携して構成されている。なお、後処理装置3の有する機能構成を画像形成装置2にすべて含めることができれば、そのように構成されてもよい。
【0012】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容されたトレイと、トレイに収容された用紙Pを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部と、を主に備える。画像形成部は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0013】
[後処理装置3の内部構造]
図2は、後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに後処理を施す。本実施形態に係る後処理は、画像が形成された複数の用紙Pの束であるシート束(以下、「用紙束」と表記する。)を、綴じるステイプル処理である。より詳細には、本実施形態に係るステイプル処理は、ステイプル針で用紙束を綴じる「針綴じ処理」と綴じ位置で用紙束を加圧変形させる所謂「圧着綴じ処理」と、圧着綴じ処理にて加圧される位置(加圧位置)に加水を行った後に圧着綴じを行う「加水圧着綴じ処理」を含む。また、用紙束の端を綴じる端綴じ処理及び用紙束の中央を綴じる中綴じ処理も含む。
【0014】
後処理装置3は、後処理搬送部としての搬送ローラ対10~19と、後処理搬送部における搬送方向を選択的に切り替える分岐切替部としての切替爪20とを備える。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第一搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。搬送ローラ対14~15は、第二搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。搬送ローラ対16~19は、第三搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。
【0015】
第一搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙Pの供給口からシート排出トレイ21に至る経路である。第二搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を経由してシート束排出トレイ26に至る経路である。第三搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、中綴じ排出トレイ30に至る経路である。
【0016】
切替爪20は、第一搬送路Ph1及び第二搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第一搬送路Ph1を通じて用紙Pをシート排出トレイ21に排出する第一位置と、第一搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第二搬送路Ph2に導く第二位置とに切り替え可能に構成されている。また、第二搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Pが第三搬送路Ph3に導かれる。また、後処理装置3は、各第一搬送路Ph1、第二搬送路Ph2、第三搬送路Ph3上の用紙Pの位置を検知する複数のセンサを備える。なお、搬送時に用紙Pの位置を検知するための搬送センサは、
図2において、黒色で塗りつぶされた三角形(▲)で示している。
【0017】
後処理装置3は、シート排出トレイ21を備える。シート排出トレイ21は、第一搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pを支持する。シート排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、ステイプル処理が施されない用紙Pが排出される。
【0018】
また、後処理装置3は、内部トレイ22(トレイ)と、エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、第一綴じ処理部25及び第二綴じ処理部55と、シート束排出トレイ26とを備える。内部トレイ22、エンドフェンス23、サイドフェンス24L、24R、及び第一綴じ処理部25及び第二綴じ処理部55は、第二搬送路Ph2を搬送される用紙Pに端綴じ処理を施す。シート束排出トレイ26には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束が排出される。以下、搬送ローラ対15からエンドフェンス23に向かう方向を、「用紙Pの搬送方向」と定義する。また、用紙Pの表面及び用紙Pの搬送方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0019】
[加水圧着綴じ処理部の説明]
図3は、加水処理と圧着綴じ処理とを行う加水圧着綴じ処理部としての第一綴じ処理部25を用紙Pの搬送方向の上流側から見た模式図である。
図4は、第一綴じ処理部25を主走査方向の加水処理部31側から見た模式図である。
図3及び
図4に示すように、第一綴じ処理部25は、加水処理部31と、圧着綴じ処理部32とを主に備える。加水処理部31及び圧着綴じ処理部32は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0020】
加水処理部31は、貯水タンク43に貯留された液体(例えば、水)を、内部トレイ22に支持された用紙Pに塗布(以下、「加水」と表記する。)する。加水処理部31によって用紙Pに加水が行われる位置(加水位置)は、圧着綴じを行う予定である綴じ位置に対応する。
図3に示すように、加水処理部31は、下押圧板33と、上押圧板34と、昇降機構35と、加水機構36とを主に備える。
【0021】
下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22よりも搬送方向の下流側に配置されている。下押圧板33は、内部トレイ22に支持された用紙束を下側から支持する。上押圧板34は、内部トレイ22に支持された用紙束の上方において、昇降可能に構成されている。すなわち、下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22に支持された用紙束を挟んで、用紙束の厚み方向(以下、単に「厚み方向」と表記する。)に対向して配置されている。さらに、上押圧板34には、ベースプレート40に支持された加水部材44の先端に対面する位置に、厚み方向に貫通する貫通口34aが形成されている。
【0022】
昇降機構35は、上押圧板34、ベースプレート40、及び加水部材44を用紙束の厚み方向に昇降させる。本実施形態に係る昇降機構35は、単一の昇降モータ37によって、上押圧板34、ベースプレート40、及び加水部材44を連動して昇降させる。昇降機構35は、例えば、昇降モータ37と、台形ネジ38と、ナット39と、ベースプレート40と、柱状部材41a、41bと、コイルバネ42a、42bとを主に備える。
【0023】
昇降モータ37は、上押圧板34、ベースプレート40、及び加水部材44を昇降させる駆動力を発生させる。台形ネジ38は、上下方向に延設されると共に、加水フレームに回転可能に支持されている。また、台形ネジ38は、プーリやベルト等を介して昇降モータ37の出力軸に接続されている。ナット39は、台形ネジ38に螺合されている。そして、昇降モータ37の駆動力が伝達されて台形ネジ38が回転することによってナット39が昇降する。
【0024】
ベースプレート40は、内部トレイ22に支持された用紙束と平行な平板である。また、ベースプレート40は、上押圧板34より上方に配置されている。また、ベースプレート40は、加水部材44の先端を下方に突出させた状態で、加水部材44を支持している。さらに、ベースプレート40は、台形ネジ38に接続されて、台形ネジ38と共に昇降可能に構成されている。そして、ベースプレート40の上下方向の位置は、昇降センサによって検知される。
【0025】
柱状部材41a、41bは、加水部材44の先端の周囲において、ベースプレート40から下方に突出している。また、柱状部材41a、41bは、ベースプレート40に対して厚み方向に相対移動可能に構成されている。さらに、柱状部材41a、41bは、下端で上押圧板34を支持している。コイルバネ42a、42bは、ベースプレート40と上押圧板34との間において、柱状部材41a、41bに外挿されている。そして、コイルバネ42a、42bは、上押圧板34及び柱状部材41a、41bを、ベースプレート40に対して下方に付勢する。
【0026】
加水機構36は、内部トレイ22に支持された用紙束に加水する。より詳細には、加水機構36は、加水部材44の先端を用紙束に接触させることによって、用紙束を構成する少なくとも一枚の用紙Pに加水する。加水機構36は、貯水タンク43と、加水部材44と、供給部材45と、ジョイント46とを主に備える。
【0027】
貯水タンク43は、用紙束に供給するための水を貯留する。貯水タンク43に貯留された水の量は、水量センサ43aによって検知される。加水部材44は、貯水タンク43に貯水された水を用紙束に供給する。加水部材44は、先端を下方に向けてベースプレート40に支持されている。また、加水部材44は、吸水率の高い材料(例えば、スポンジ、繊維)で構成されている。
【0028】
供給部材45は、基端が貯水タンク43に貯留された水に浸漬され、先端が加水部材44に接続された長尺の部材である。また、供給部材45は、例えば、加水部材44と同様に、吸水率の高い材料で構成されている。これにより、供給部材45の基端から吸収された水が、毛細管現象によって加水部材44に供給される。
【0029】
保護部材45aは、供給部材45に外挿される長尺の筒体(例えば、チューブ)である。これにより、供給部材45が吸収した水の漏水や蒸発を防止できる。また、供給部材45及び保護部材45aは、可撓性を有する材料で形成されている。ジョイント46は、加水部材44をベースプレート40に固定するものである。これにより、加水部材44は、昇降機構35によって昇降されても、ベースプレート40から下方に突出すると共に、先端が下方を向いた状態が維持される。
【0030】
圧着綴じ処理部32は、凹凸状の綴じ歯32a、32bで用紙束を加圧変形させることによって、用紙束を綴じる。以下、綴じ歯32a、32bによって用紙束を挟持して加圧し、変形させて綴ることを「圧着綴じ」と表記する。すなわち、圧着綴じ処理部32は、ステイプル針を用いずに、用紙束を圧着によって綴じることができる。
【0031】
[綴じ歯32a、32bの構成]
図5は、圧着綴じ処理部32の構成を示す模式図である。
図5に示すように、圧着綴じ処理部32は、一対の綴じ歯32a、32bを備える。一対の綴じ歯32a、32bは、内部トレイ22に支持された用紙束を挟むことができるように、用紙束の厚み方向に対向して配置されている。一対の綴じ歯32a、32bの互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。また、一対の綴じ歯32a、32bは、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。
【0032】
用紙束を構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、
図5(A)に示すように、一対の綴じ歯32a、32bは互いに離間している。そして、用紙束を構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に支持されると、一対の綴じ歯32a、32bは、接離モータの駆動力によって接離して、
図5(B)に示すように噛み合って、用紙束を厚み方向から加圧変形させる。これにより、内部トレイ22に支持された用紙束が圧着綴じされる。また、圧着綴じされた用紙束は、搬送ローラ対15によって、シート束排出トレイ26に排出される。
【0033】
図3に戻る。第一綴じ処理部25は、
図3に示すように第一移動機構47を備える。第一移動機構47は、内部トレイ22に支持された用紙Pの搬送方向の下流側の端部に沿って、第一綴じ処理部25(すなわち、加水処理部31及び圧着綴じ処理部32)を主走査方向に移動させる。第一移動機構47は、例えば、ベース部材48と、案内軸49と、加水圧着移動モータ50と、駆動力伝達機構51とを主に備える。
【0034】
ベース部材48は、加水処理部31及び圧着綴じ処理部32を主走査方向に隣接させた状態で支持する。案内軸49は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に延設されている。また、案内軸49は、ベース部材48を主走査方向に移動可能に支持している。加水圧着移動モータ50は、第一綴じ処理部25を移動させるための駆動力を発生させる。
【0035】
駆動力伝達機構51は、加水圧着移動モータ50の駆動力を、プーリやタイミングベルトを介してベース部材48に伝達する。これにより、ベース部材48によって一体化された加水処理部31及び圧着綴じ処理部32は、案内軸49に沿って主走査方向に移動する。第一綴じ処理部25の位置は、例えば、加水圧着移動モータ50の出力軸に取り付けられたエンコーダセンサによって把握することができる。
【0036】
[針有り綴じ処理部の説明]
次に、針有り綴じ処理部としての第二綴じ処理部55の詳細について説明する。
図6は、第二綴じ処理部55を搬送方向の上流側から見た模式図である。第二綴じ処理部55は、綴じ針を用いて用紙束を綴る針綴じ処理部62を備える。針綴じ処理部62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0037】
針綴じ処理部62は、ステイプル針を用いて用紙束を綴じる、いわゆる「針有り綴じ処理」を行う構成を備えている。より詳細には、針綴じ処理部62は、針綴じ部62aに装填されたステイプル針を、用紙束に貫通させることによって用紙束を綴じる。針綴じ処理部62の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0038】
また、
図6に示すように、第二綴じ処理部55は、第二移動機構77を備える。第二移動機構77は、内部トレイ22に支持された用紙Pの搬送方向の下流側の端部に沿って、第二綴じ処理部55を主走査方向に移動させる。第二移動機構77は、例えば、ベース部材78と、案内軸49と、針綴じ移動モータ80と、駆動力伝達機構81とを主に備える。第二移動機構77の構成は、第一移動機構47と共通するので、再度の説明は省略する。
【0039】
なお、綴じ処理部25、55は、共通の案内軸49に支持されている。すなわち、第一移動機構47、第二移動機構77は、共通の案内軸49に沿って綴じ処理部25、55を主走査方向に移動させる。さらに、第一移動機構47、第二移動機構77は、綴じ処理部25、55を独立して移動させる。
【0040】
図2に戻って、後処理装置3は、エンドフェンス27と、第三綴じ処理部28と、用紙折りブレード29と、中綴じ排出トレイ30とをさらに備え。エンドフェンス27、第三綴じ処理部28、及び用紙折りブレード29は、第三搬送路Ph3を搬送される用紙Pに中綴じ処理を施す。中綴じ排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束が排出される。
【0041】
エンドフェンス27は、第三搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス27は、用紙束の中央を、第三綴じ処理部28に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード29に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。第三綴じ処理部28は、綴じ位置のエンドフェンス27によって揃えられた用紙束の中央を綴じる。用紙折りブレード29は、折り位置のエンドフェンス27に支持された用紙束を半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束を中綴じ排出トレイ30に排出する。
【0042】
[後処理装置3の制御ブロック]
次に、後処理装置3の制御部としての制御ブロック構成について、
図7を用いて説明する。
図7は、後処理装置3において実行される制御処理を実行するためのハードウェア構成を例示している。
図7に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0043】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0044】
後処理装置3は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、後処理装置3の動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0045】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、圧着綴じ処理部32、加水処理部31、水量センサ43a、針綴じ処理部62、加水圧着移動モータ50、針綴じ移動モータ80、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、及び綴じ処理部25、55を動作させる。なお、
図6には端綴じ処理を実行する構成部品のみを図示しているが、中綴じ処理を実行する構成部品も同様にコントローラ100によって制御される。
【0046】
操作パネル110は、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。
【0047】
制御部としてのコントローラ100は、例えば、画像形成装置2からステイプル処理の実行指示(以下、「ステイプル指示」と表記する。)を取得したことに応じて、ステイプル処理を実行する。ステイプル指示は、例えば、用紙束を構成する用紙Pの枚数と、綴じ位置の数及び主走査方向の位置とを含む。なお、以下において、用紙束の一束当たりの用紙Pの枚数(用紙束を構成する用紙Pの枚数)を「所定枚数N」と表記する。
【0048】
そして、コントローラ100は、ステイプル指示に含まれる所定枚数N、用紙束の部数、及び綴じ処理に係る各種設定情報に応じて、後述する第一綴じ処理又は第二綴じ処理を自動的に切り替えて実行するステイプル処理を実行する。すなわち、制御部としてのコントローラ100は、用紙束に対する綴じ処理の方法を、用紙Pの枚数等に応じて、自動的に適する綴じ処理を選択して実行するように、綴じ種類、綴じ位置及び綴じ数を自動切り替えによって実行可能に構成されている。
【0049】
[加水圧着綴じ処理における動作概要]
ここで、後処理装置3において実行可能な加水圧着綴じ処理における動作の概要について説明する。
図8は、加水圧着綴じ処理中の綴じ処理部25、55の位置を示す図である。まず、コントローラ100は、加水圧着移動モータ50を駆動し、ステイプル処理の開始時点において、第一綴じ処理部25は第一待機位置HP1に位置し、第二綴じ処理部55は第二待機位置HP2に位置しているようにする。
図8(A)に示すように、第一待機位置HP1と第二待機位置HP2は、主走査方向において、案内軸49の反対側の端部に相当する。
【0050】
次に、コントローラ100は、後処理搬送部としての搬送ローラ対10、11、14、15を回転させて、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容する。また、コントローラ100は、サイドフェンス24L、24Rを移動させることによって、内部トレイ22に支持された用紙束の主走査方向の位置を揃える処理としてのジョギング処理を実行する。
【0051】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に支持された用紙Pの綴じ位置P1に対して、
図8(B)に示すように、加水圧着移動モータ50を駆動して、加水処理部31を移動させて加水させる。すなわち、コントローラ100は、昇降モータ37を駆動して、内部トレイ22に支持された用紙Pの綴じ位置P1に加水部材44を接触させる。
【0052】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が、ステイプル指示で指示された所定枚数Nに達するまで、内部トレイ22に収容されてくる用紙Pに対して加水をする。すなわち、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15によって内部トレイ22に用紙Pが搬送される度に、加水処理を行う。なお、設定によって、用紙束を構成する全ての用紙Pに加水しないように動作させることも可能である。また、他の例として、コントローラ100は、n(n<N)枚に1枚の間隔で、綴じ位置P1に対して加水処理部31に加水させてもよい。
【0053】
そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が所定枚数Nに達した場合に、
図8(C)に示すように、加水圧着移動モータ50を駆動して、圧着綴じ処理部32が綴じ位置P1に対面するように、第一綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙束に圧着綴じを施して、シート束排出トレイ26に排出する。すなわち、コントローラ100は、接離モータを駆動して、内部トレイ22に支持された用紙束の綴じ位置P1を、一対の綴じ歯32a、32bに挟持させる。また、コントローラ100は、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束をシート束排出トレイ26に排出する。
【0054】
以上のとおり、後処理装置3は、所定枚数Nに対して加水圧着綴じ処理が可能であれば、加水圧着綴じ処理を実行する。
【0055】
[針綴じ処理における動作概要]
次に、後処理装置3において実行可能な針綴じ処理における動作の概要について説明する。
図9は、針有り綴じ処理中の第一綴じ処理部25、第二綴じ処理部55の位置を示す図である。まず、コントローラ100は、加水圧着移動モータ50を駆動し、ステイプル処理の開始時点において、第一綴じ処理部25は第一待機位置HP1に位置し、第二綴じ処理部55は第二待機位置HP2に位置しているようにする。
図9(A)に示すように、第一待機位置HP1と第二待機位置HP2は、主走査方向において、案内軸49の反対側の端部に相当する。
【0056】
次に、コントローラ100は、後処理搬送部としての搬送ローラ対10、11、14、15を回転させて、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容するまた、コントローラ100は、サイドフェンス24L、24Rを移動させることによって、内部トレイ22に支持された用紙束の主走査方向の位置を揃える処理としてのジョギング処理を実行する。
【0057】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙の数が、ステイプル指示で指示された所定枚数Nに達するまで用紙Pを受け入れる。そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定したことに応じて、
図9(B)に示すように、加水圧着移動モータ50を駆動して、針綴じ処理部62が綴じ位置P1に対面するように、第二綴じ処理部55を主走査方向に移動させる(S904)。
【0058】
そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙束に針綴じ処理を施して、シート束排出トレイ26に排出する。すなわち、コントローラ100は、接離モータを駆動して、内部トレイ22に支持された用紙束の綴じ位置P1を、綴じ針を用いて綴じる。
【0059】
そして、コントローラ100は、加水圧着移動モータ50を駆動して、
図9(A)に示すように第二綴じ処理部55を第二待機位置HP2に移動させる。
【0060】
以上のように、綴じ枚数が加水圧着綴じ処理に適さない数の場合には、針綴じ処理に切り替えてを実行することができる。
【0061】
[媒体処理装置における綴じモードの選択]
次に、綴じ枚数(所定枚数N)に応じて、圧着綴じ処理、加水圧着綴じ処理、針有り綴じ処理を自動的に切り替えて実行する綴じ処理を実行する後処理装置3の実施形態について説明する。本実施形態に係る後処理装置3は、ジョブに供される処理用データの入力が開始されてから最初の用紙Pに対する処理(綴じ位置までの搬送処理など)を開始するまでの所要時間である「FCOT/FPOT(First Copy Output Time/First Print Output)」を短縮して、用紙束の生産性を向上できるものである。すなわち、後処理装置3は、特に、FCOT/FPOTを短縮して、綴じ処理(用紙束作成処理)の実行開始タイミングをユーザが任意に選択できる処理を実行可能な機能構成を備える。
【0062】
図10は、ユーザが任意の綴じ枚数にて用紙束を作成するときに、綴じ処理の種類を自動的に切り替えるための切替条件を既定する「綴じモード」を選択するためのユーザインタフェースの例である。
図10に例示する「綴じモード」を選択することで、所定の綴じ枚数(所定枚数N)に対する綴じ処理を行うときに、圧着綴じ処理を利用するか、加水圧着綴じ処理を利用するか、針綴じ処理を利用するか自動的に切り替える切替の態様(切替態様)が切替条件に基づいて設定される。また、本実施形態に係る切替条件によれば、FCOT/FPOTを短縮することができる綴じ処理を実行することができる。また、綴じモードによって既定される切替条件に基づいて、ジョブ開始条件としての処理用データの取得条件(特定処理用データ数)が変更される。
【0063】
すなわち、綴じモードによって異なるジョブ開始条件が設定され、そのジョブ開始条件に応じた処理用データ数が取得されたときに、所定枚数Nの用紙束を作成するにあたり、各用紙Pに対する処理を開始する。ジョブ開始条件としての処理用データの取得数の詳細については、後述する。
図10に例示する切替態様選択部としての綴じモード選択画面1010は、綴じモード設定部としての操作パネル110に表示される。
【0064】
図10に示すように、本実施形態に係る綴じモード選択画面1010には、「第一パターンボタン1011」、「第二パターンボタン1012」、「第三パターンボタン1013」、「第四パターンボタン1014」、「第五パターンボタン1015」が含まれている。
【0065】
すなわち、本実施形態においては、五つの綴じモードを備えるものとする。これらのうち、選択された綴じモードと所定枚数Nに基づいて、コントローラ100は第一綴じ処理部25の動作、及び、第二綴じ処理部55の動作を制御し、これら綴じ処理部の切り替えを制御する。また、選択された綴じモードに基づいて、ジョブ開始条件としての処理用データの取得数が既定される。以下、第一パターンから第五パターンの各々の特徴を説明する。以下の説明の内容は、これに限定するものではなく例示である。
【0066】
第一パターンは、綴じ処理を含む一連の処理単位であるジョブを開始する時点で綴じ枚数(所定枚数N)が不定の場合であって、かつ、加水処理において消費される水分の節約を優先したい場合に推奨される制御パターンである。
【0067】
第二パターンは、ジョブを開始する時点で綴じ枚数(所定枚数N)が不定の場合であって、かつ、生産性(単位時間当たりの用紙束の作成数)を優先したい場合に推奨される制御パターンである。
【0068】
第三パターンは、ジョブを開始する時点で綴じ枚数(所定枚数N)が「B枚」から「A枚」の間に収まることが事前に判断できる場合に推重される制御パターンとする。なお、本実施形態において、「A枚」とは加水を行う圧着綴じ処理(加水圧着綴じ処理)において一束の用紙束を構成する所定枚数Nの処理上限枚数に相当する。また、「B枚」とは加水を行わない圧着綴じ処理において一束の用紙束を作成できる所定枚数Nの処理上限枚数に相当する。
【0069】
第四パターンは、ジョブを開始する時点で綴じ枚数(所定枚数N)が「B枚」以下であるか、又は「A枚」を超えることが事前に判断できる場合に推奨される制御パターンである。
【0070】
第五パターンは、ジョブを開始する時点で綴じ枚数(所定枚数N)が「B枚」前後であると事前に判断できる場合に推奨される制御パターンである。
【0071】
後処理装置3のユーザは、綴じモード選択画面1010に含まれる複数のボタンのうち、利用したいモードに対応する操作ボタンをジョブの開始前に押下(入力操作)する。コントローラ100は、押下されたボタン(操作パネル110を通じた入力操作)に対応する綴じモードに切り替える。なお、綴じモードは、上記に例示した五つのパターンに限定されるものではない。また、いずれかが省略されてもよい。
【0072】
[シート束作成処理の実施形態]
以下、本発明に係る媒体処理装置において実行される制御プログラムの処理の流れについて、綴じモード毎に区別して説明する。まず、シート束作成処理を実行する媒体処理プログラムに共通する事項に付いて説明する。
【0073】
繰り返しになるが、一束の用紙束(一単位の用紙束)を構成する媒体枚数は「所定枚数N」とする。また、以下で説明するフローチャートでは、一束のシート束(シート束単位)を作成する処理について例示している。したがって、複数のシート束を作成するときは、各フローチャートに示す処理を繰り返して実行することとする。
【0074】
また、選択される切替条件に基づいて、FCOT/FPOTを短縮するために、処理用データの取得数が所定枚数Nよりも少ないとしても、所定の開始条件を満たした段階で、ジョブのうち、用紙Pを内部トレイ22へと搬送する処理を開始する。
【0075】
このジョブ開始条件は、シート束単位を構成する用紙Pの枚数(所定枚数N)と、選択された切替条件に基づいて既定される。例えば、上記で説明をした「A枚」や「B枚」を閾値に用いて所定枚数Nとの対比をし、ジョブ開始条件となる処理用データの取得数を既定する。
【0076】
本発明の実施形態において、「A枚」すなわち「加水圧着上限枚数A」は15枚と仮定し、「B枚」すなわち「圧着上限枚数B」は5枚と仮定する。
【0077】
したがって、選択された切替条件に基づいて、処理用データの取得数を「加水圧着上限枚数A」や「圧着上限枚数B」と対比してジョブ開始条件を満たすか否かを判定する。また、所定枚数Nに相当する処理用データ数を取得することで、綴じ処理を実行する。なお、ジョブ開始条件が満たされたとき、用紙Pを内部トレイ22へと搬送する一連の処理(搬送処理や画像形成処理)を開始する。
【0078】
ここで画像形成処理は、後処理装置3に対して用紙Pを搬送するための上流側の処理の一例である。すなわち、「ジョブ開始時点」とは、後処理装置3に対して、後処理の対象物としての用紙Pを供給するための前段の処理を開始するタイミングに相当する。
【0079】
また、本実施形態に係る「ジョブ」とは、綴じ処理の前段において実行される処理であって、用紙Pに対する画像形成処理や、内部トレイ22に向けて用紙Pを搬送する搬送処理などを含む一連の処理をいう。
【0080】
[第一実施形態]
まず、第一パターンボタン1011(
図10)が操作されて第一パターンが選択されたときの用紙束作成処理を第一実施形態として、
図11のフローチャートを用いて説明する。第一パターンは、加水圧着上限枚数Aに相当する分の処理用データを取得したときに、ジョブに含まれる画像形成処理を開始し(ジョブを開始し)かつ、加水圧着上限枚数Aを超える分の用紙Pには加水処理を実行しない動作パターンである。
【0081】
第一パターンでは、用紙束の一単位を構成する用紙Pの枚数に応じて、圧着綴じ処理、加水圧着綴じ処理、針綴じ処理を適宜切り替えることができる。しかしながら、綴じジョブを開始するには、所定枚数Nに相当する分の処理用データが、切替条件で既定される数だけ取得される必要がある。以下、所定枚数Nが「3枚」、「10枚」、「20枚」の場合に分けて説明する。
【0082】
[第一実施形態:第一例:所定枚数Nが3枚のとき]
まず、所定枚数N(3枚)は加水圧着上限枚数A(15枚)よりも少ないので、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1101)の後、「NUM>A枚(15枚)?」の判定処理を行うループを3回行うことになる(S1102:NO、S1103:NO)。
【0083】
第一例では、「1枚スキャン/データIN」の処理が3回(所定枚数Nに相当する回数)行われることで「一束分の最終紙のスキャン/データIN?=YES」が成立して、画像形成処理の開始へと移行する(S1103:Yes)。
【0084】
続いて、3枚分の画像形成処理に供される処理用データが取得されたことでジョブとしての画像形成処理が開始される(S1104)。ここで、1枚目及び2枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理は、まず、「NUM>B枚(5枚)?」は成立せず(S1105:NO)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」も成立しない(S1113:NO)。そして、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」が成立して(S1115:YES)、処理が画像形成処理(S1104)に戻る。
【0085】
続いて、3枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1104)を実行し、「NUM>B枚(5枚)?」は成立しないが(S1105:NO)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」が成立する(S1113:YES)。したがって、3枚の用紙Pによって一束を作成する圧着綴じ処理を行って(S1114)、作成された用紙束を機外に排出する(S1117)。
【0086】
[第一実施形態:第二例:所定枚数Nが10枚のとき]
所定枚数N(10枚)は加水圧着上限枚数A(15枚)よりも少ないので、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1101)、の後、「NUM>A枚(15枚)?」の判定処理を行うループを10回行うことになる(S1102:NO、S1103:NO)。
【0087】
第一例では、「1枚スキャン/データIN」の処理が10回(所定枚数Nに相当する回数)行われることで「一束分の最終紙のスキャン/データIN?=YES」が成立して、画像形成処理の開始へと移行する(S1103:Yes)。
【0088】
続いて、10枚分の画像形成処理に供される処理用データが取得されたことでジョブとしての画像形成処理が開始される(S1104)。ここで、1枚目及び9枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理は、まず、「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1105:YES)、続く「NUM>A枚(15枚)?」は成立しない(S1106:NO)。ここで、加水処理に必要な水分残量は十分あると仮定する(S1109:YES)。したがって、加水処理を実行する(S1110)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1111:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」が成立して(S1115:YES)、処理が画像形成処理(S1104)に戻る。
【0089】
続いて、10枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1104)を実行し、「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1105:YES)、続く「NUM>A枚(15枚)?」は成立しない(S1106:NO)。そして、加水処理に必要な水分残量は十分あり(S1109:YES)、加水処理が実行されて(S1110)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」が成立するので(S1111:YES)、圧着綴じ処理を行う(S1112)。そして、作成された用紙束を機外に排出する(S1117)。
【0090】
[第一実施形態:第三例:所定枚数Nが20枚のとき]
所定枚数N(20枚)は加水圧着上限枚数A(15枚)よりも多いので、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1101)の後、「NUM>A枚(15枚)?」の判定処理を行うループを15回行うことになる(S1102:NO)。その後、16回目の処理によって「NUM>A枚(15枚)?」が成立して、画像形成処理の開始へと移行する(S1103:Yes)。
【0091】
続いて、16枚分の画像形成処理に供される処理用データを取得されたことで、ジョブとしての画像形成処理が開始される(S1104)。ここで、1枚目から4枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理において、まず、「NUM>B枚(5枚)?」が成立し(S1105:YES)、続く「NUM>A枚(15枚)?」も成立する(S1106:YES)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1107:NO)。そして「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1115:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1116)、処理が画像形成処理(S1104)に戻る。
【0092】
続いて、5枚目から19枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1104)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1105:YES)続く「NUM>A枚(15枚)?」も成立する(S1106:YES)。そして続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1107:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」は成立して(S1115:YES)。処理はS1104に戻る。
【0093】
続いて、20枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1104)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1105:YES)、続く「NUM>A枚(15枚)?」も成立する(S1106:YES)。そして「1束分の最終紙の搬送及び積載?」も成立する(S1107:YES)。したがって、20枚の用紙Pによって一束を作成する針綴じ処理を行って(S1108)、作成された用紙束を機外に排出する(S1117)。
【0094】
[第二実施形態]
次に、第二パターンボタン1012(
図10)が操作されて第二パターンが選択されたときの用紙束作成処理を第二実施形態として、
図12のフローチャートを用いて説明する。第二パターンは、圧着上限枚数Bに相当する分の処理用データを取得したときに、ジョブに含まれる画像形成処理を開始し(ジョブを開始し)かつ、圧着上限枚数Bを超える分の用紙Pには加水処理を実行する動作パターンである。
【0095】
第二パターンでも、用紙束の一単位を構成する用紙Pの枚数に応じて、圧着綴じ処理、加水圧着綴じ処理、針綴じ処理を適宜切り替える。一束の用紙束を構成する用紙Pの枚数としての所定枚数Nが加水圧着上限枚数Aよりも多いときは、最終的には、針綴じ処理を行うことになるので、その途中までの用紙Pに加水処理は不要である。この場合、第一パターンのようにA枚-B枚に相当する分の用紙Pに対して行う加水処理は無用であるが、その代わりに生産性を高めることを主としている。以下、所定枚数Nが「3枚」、「10枚」、「20枚」の場合に分けて説明する。
【0096】
[第二実施形態:第一例:所定枚数Nが3枚のとき]
まず、所定枚数N(3枚)は圧着上限枚数B(5枚)よりも少ないので、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1201)の後、「NUM>B枚(5枚)?」の判定処理を行うループを3回行うことになる(S1202:NO、S1203:NO)。
【0097】
第一例では、「1枚スキャン/データIN」の処理が3回(所定枚数Nに相当する回数)行われることで「一束分の最終紙のスキャン/データIN?=YES」が成立して、画像形成処理の開始へと移行する(S1203:Yes)。
【0098】
続いて、3枚分の画像形成処理に供される処理用データが取得されたことでジョブとしての画像形成処理が開始される(S1204)。ここで、1枚目及び2枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理は、まず、「NUM>B枚(5枚)?」は成立せず(S1205:NO)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」も成立しない(S1213:NO)。そして、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」が成立して(S1215:YES)、処理が画像形成処理(S1204)に戻る。
【0099】
続いて、3枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1204)を実行し、「NUM>B枚(5枚)?」は成立しないが(S1205:NO)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」が成立する(S1213:YES)。したがって、3枚の用紙Pによって一束を作成する圧着綴じ処理を行って(S1214)、作成された用紙束を機外に排出する(S1217)。
【0100】
[第二実施形態:第二例:所定枚数Nが10枚のとき]
所定枚数N(10枚)は圧着上限枚数B(5枚)よりも多いので、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1201)の後、「NUM>B枚(5枚)?」の判定処理を行うループを5回行うことになる(S1202:NO)。その後、6回目の処理によって「NUM>B枚(5枚)?」が成立して、画像形成処理の開始へと移行する(S1203:Yes)。
【0101】
続いて、6枚分の画像形成処理に供される処理用データが取得されたことでジョブとしての画像形成処理が開始される(S1204)。ここで、1枚目から4枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理は、まず、「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1205:YES)、続く「NUM>A枚(15枚)?」は成立しない(S1206:NO)。ここで、加水処理に必要な水分残量は十分あると仮定する(S1209:YES)。したがって、加水処理を実行する(S1210)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1211:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1215:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1216)、処理が画像形成処理(S1204)に戻る。
【0102】
続いて、5枚目から9枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1204)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1105:YES)続く「NUM>A枚(15枚)?」は成立しない(S1206:NO)。そして、加水処理に必要な水分残量は十分あるので(S1209:YES)、加水処理を実行する(S1210)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1211:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」は成立する(S1215:YES)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理は行われずに処理が画像形成処理(S1204)に戻る。
【0103】
続いて、10枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1204)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1205:YES)、続く「NUM>A枚(15枚)?」は成立しない(S1206:NO)。そして、加水処理に必要な水分残量は十分あるので(S1209:YES)、加水処理を実行する(S1210)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」が成立する(S1211:YES)。したがって、10枚の用紙Pによって一束を作成する加水圧着綴じ処理を行って(S1212)、作成された用紙束を機外に排出する(S1217)。
【0104】
[第二実施形態:第三例:所定枚数Nが20枚のとき]
所定枚数N(20枚)は圧着上限枚数B(5枚)よりも多いので、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1201)の後、「NUM>B枚(5枚)?」の判定処理を行うループを5回行うことになる(S1202:NO)。その後、6回目の処理によって「NUM>B枚(5枚)?」が成立して、画像形成処理の開始へと移行する(S1202:Yes)。
【0105】
続いて、6枚分の画像形成処理に供される処理用データが取得されたことでジョブとしての画像形成処理が開始される(S1204)。ここで、1枚目から10枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理は、まず、「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1205:YES)、続く「NUM>A枚(15枚)?」は成立する(S1206:NO)。加水処理に必要な水分残量は十分あるので(S1209:YES)、加水処理を実行する(S1210)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1211:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1215:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われて(S1216)、7枚目移行の処理用データを取得して処理が画像形成処理(S1204)に戻る。この処理を10枚目の処理用データまで繰り返す。
【0106】
続いて、11枚目から14枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1204)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1205:YES)続く、「NUM>A枚(15枚)?」も成立する(S1206:YES)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1207:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」は成立する(S1215:YES)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理は行われずに処理が画像形成処理(S1204)に戻る。
【0107】
続いて、15枚目から19枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1204)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1205:YES)、続く「NUM>A枚(15枚)?」も成立する(S1206:YES)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1207:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」は成立する(S1215:YES)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理は行われずに処理が画像形成処理(S1204)に戻る。
【0108】
続いて、20枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1204)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1205:YES)、続く「NUM>A枚(15枚)?」も成立する(S1206:YES)。そして、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」が成立する(S1207:YES)。したがって、20枚の用紙Pによって一束を作成する針綴じ処理を行って(S1208)、作成された用紙束を機外に排出する(S1217)。
【0109】
[第三実施形態]
次に、第三パターンボタン1013(
図10)が操作されて第三パターンが選択されたときの用紙束作成処理を第三実施形態として、
図13のフローチャートを用いて説明する。第三パターンは、ジョブを実行するための処理用データを一つでも取得した段階で画像形成処理を開始される。すなわち、用紙束単位の処理用データの取得時間を待つ必要がないため、生産性が向上する制御パターンである。
【0110】
第三パターンでも、用紙束の一単位を構成する用紙Pの枚数に応じて、圧着綴じ処理、加水圧着綴じ処理、針綴じ処理を適宜切り替えることができる。第三パターンでは、一束の用紙束を構成する用紙Pの枚数としての所定枚数Nが圧着上限枚数Bよりも少ないときは、最終的には、加水を不要とする圧着綴じ処理を行なえば良いので、その途中までの用紙Pに加水処理が無駄になる。また、所定枚数Nが加水圧着上限枚数A(15枚)よりも多いときは、最終的には、針綴じ処理を行うことになるので、その途中までの用紙Pに加水処理が無駄になる。以下、所定枚数Nが「3枚」、「10枚」、「20枚」の場合に分けて説明する。
【0111】
[第三実施形態:第一例:所定枚数Nが3枚のとき]
まず、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1301)の後、画像形成処理の開始へと移行する(S1302:Yes)。
【0112】
ここで、1枚目及び2枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理は、まず、「NUM>A枚(15枚)?」は成立せず(S1303:NO)、加水処理に必要な水分残量は十分あるので(S1306:YES)、加水処理を実行する(S1307)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1308:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1310:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1311)、処理が画像形成処理(S1302)に戻る。
【0113】
続いて、3枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1302)が行われ、「NUM>A枚(15枚)?」は成立せず(S1303:NO)、加水処理に必要な水分残量は十分あるので(S1306:YES)、加水処理を実行する(S1307)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立するので(S1308:YES)、3枚の用紙Pによって一束を作成する加水圧着綴じ処理を行って(S1309)、作成された用紙束を機外に排出する(S1312)。
【0114】
[第三実施形態:第二例:所定枚数Nが10枚のとき]
まず、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1301)の後、画像形成処理の開始へと移行する(S1302:Yes)。
【0115】
ここで、1枚目から9枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理は、まず、「NUM>A枚(15枚)?」は成立せず(S1303:NO)、加水処理に必要な水分残量は十分あるので(S1306:YES)、加水処理を実行する(S1307)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1308:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1310:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1311)、処理が画像形成処理(S1302)に戻る。
【0116】
続いて、10枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1304)において、「NUM>A枚(15枚)?」は成立せず(S1303:NO)、加水処理に必要な水分残量は十分あるので(S1306:YES)、加水処理を実行する(S1307)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立するので(S1308:YES)、3枚の用紙Pによって一束を作成する加水圧着綴じ処理を行って(S1309)、作成された用紙束を機外に排出する(S1312)。
【0117】
[第三実施形態:第三例:所定枚数Nが20枚のとき]
まず、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1301)の後、画像形成処理の開始へと移行する。
【0118】
ここで、1枚目から15枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1302)は、まず、「NUM>A枚(15枚)?」は成立しない(S1303:NO)。加水処理に必要な水分残量は十分あるので(S1306:YES)、加水処理を実行する(S1307)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1308:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1310:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1311)、処理が画像形成処理(S1304)に戻る。
【0119】
続いて、16枚目から19枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1304)において「NUM>A枚(15枚)?」は成立し(S1303:YES)、続く「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1304:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1310:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1311)、処理が画像形成処理(S1304)に戻る。
【0120】
続いて、20枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1304)において「NUM>A枚(15枚)?」が成立し(S1303:YES)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」も成立する(S1304:YES)。したがって、20枚の用紙Pによって一束を作成する針綴じ処理を行って(S1305)、作成された用紙束を機外に排出する(S1317)。
【0121】
[第四実施形態]
次に、第四パターンボタン1014(
図10)が操作されて第四パターンが選択されたときの用紙束作成処理を第四実施形態として、
図14のフローチャートを用いて説明する。第四パターンは、ジョブを実行するための処理用データを一つでも取得した段階で画像形成処理を開始される。すなわち、用紙束単位の処理用データの取得時間を待つ必要がないため、生産性が向上する制御パターンである。
【0122】
第四パターンでも、用紙束の一単位を構成する用紙Pの枚数に応じて、圧着綴じ処理、加水圧着綴じ処理、針綴じ処理を適宜切り替えることができる。第四パターンでは、一束の用紙束を構成する用紙Pの枚数としての所定枚数Nが圧着上限枚数Bよりも少ないときは加水をせず、また、所定枚数Nが加水圧着上限枚数A以下の場合も加水処理を行わない。すなわち、第四パターンは、所定枚数Nが、加水圧着上限枚数Aを超えるか、圧着上限枚数Bを下回ることが予定されているときに推奨されるパターンに相当する。以下、所定枚数Nが「3枚」、「10枚」、「20枚」の場合に分けて説明する。
【0123】
[第四実施形態:第一例:所定枚数Nが3枚のとき]
まず、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1401)の後、画像形成処理の開始へと移行する(S1402:Yes)。
【0124】
ここで、1枚目及び2枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理は、まず、「NUM>B枚(5枚)?」は成立せず(S1403:NO)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」も成立しない(S1406:NO)。続いて、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1408:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1409)、処理が画像形成処理(S1402)に戻る。
【0125】
続いて、3枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1402)が行われ、「NUM>B枚(5枚)?」は成立せず(S1403:NO)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立するので(S1406:YES)、3枚の用紙Pによって一束を作成する圧着綴じ処理を行って(S1407)、作成された用紙束を機外に排出する(S1410)。
【0126】
[第四実施形態:第二例:所定枚数Nが10枚のとき]
まず、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1401)の後、画像形成処理の開始へと移行する(S1402:Yes)。
【0127】
ここで、1枚目から5枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理は、まず、「NUM>B枚(5枚)?」は成立せず(S1403:NO)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」も成立しない(S1406:NO)。続いて「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1408:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1409)、処理が画像形成処理(S1402)に戻る。
【0128】
続いて、6枚目から9枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1402)において、「NUM>B枚(5枚)?」が成立し(S1403:YES)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」も成立しない(S1404:NO)。続いて「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」は成立するので(S1408:YES)、処理が画像形成処理(S1402)に戻る。
【0129】
続いて、10枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1402)において、「NUM>B枚(5枚)?」が成立し(S1403:YES)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」も成立するので(S1404:YES)、10枚の用紙Pによって針綴じ処理を行って(S1405)、作成された用紙束を機外に排出する(S1410)。
【0130】
[第四実施形態:第三例:所定枚数Nが20枚のとき]
まず、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1401)の後、画像形成処理の開始へと移行する。
【0131】
ここで、1枚目から5枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1402)は、まず、「NUM>B枚(5枚)?」は成立しない(S1403:NO)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1406:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1408:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1409)、処理が画像形成処理(S1402)に戻る。
【0132】
続いて、6枚目から19枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1304)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1403:YES)、続く「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1404:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1408:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1409)、処理が画像形成処理(S1402)に戻る。
【0133】
続いて、20枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1402)において「NUM>B枚(5枚)?」が成立し(S1403:YES)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」も成立する(S1404:YES)。したがって、20枚の用紙Pによって一束を作成する針綴じ処理を行って(S1405)、作成された用紙束を機外に排出する(S1410)。
【0134】
[第五実施形態]
次に、第五パターンボタン1015(
図10)が操作されて第五パターンが選択されたときの用紙束作成処理を第五実施形態として、
図15のフローチャートを用いて説明する。第五パターンも、ジョブを実行するための処理用データを一つでも取得した段階で画像形成処理を開始される。すなわち、用紙束単位の処理用データの取得時間を待つ必要がないため、生産性が向上する制御パターンである。
【0135】
第五パターンでも、用紙束の一単位を構成する用紙Pの枚数に応じて、圧着綴じ処理、加水圧着綴じ処理、針綴じ処理を適宜切り替えることができる。第五パターンを第三パターンと比較すると、所定枚数Nが圧着上限枚数B以下の場合は、綴じ枚数分の加水処理の無駄が解消される。また、所定枚数Nが加水圧着上限枚数Aよりも多いときは、以下の場合は、圧着上限枚数Bに相当する分の用紙Pへの加水の無駄が解消される。
【0136】
一方、第五パターンは、所定枚数Nが圧着上限枚数Bよりも多く、加水圧着上限枚数A以下のときには、B+1枚目に該当する用紙Pから加水処理を開始する。この場合、全ての用紙Pに対して加水処理を実行する場合に比べると綴じ状態を保持する力が弱くなる。そこで、第五パターンを選択したときは、綴じ強度を維持する目的から、加水圧着上限枚数Aよりも少ない第二加水圧着上限枚数A’を条件判定に用いることとする。
【0137】
すなわち、第五パターンの場合は、制御分岐の条件判定として、圧着上限枚数B≦所定枚数N<第二加水圧着上限枚数A’を用いることとする。以下、所定枚数Nが「3枚」、「10枚」、「20枚」の場合に分けて説明する。
【0138】
[第五実施形態:第一例:所定枚数Nが3枚のとき]
まず、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1501)の後、画像形成処理の開始へと移行する(S1502:Yes)。
【0139】
ここで、1枚目及び2枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理を繰り返し実行するとき(S1502)、まず、「NUM>B枚(5枚)?」は成立せず(S1503:NO)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」も成立しない(S1510:NO)。続いて「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1512:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1513)、処理が画像形成処理(S1502)に戻る。
【0140】
続いて、3枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1502)を実行し、「NUM>B枚(5枚)?」は成立しないが(S1503:NO)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」が成立する(S1510:YES)。したがって、3枚の用紙Pによって一束を作成する圧着綴じ処理を行って(S1511)、作成された用紙束を機外に排出する(S1514)。
【0141】
[第五実施形態:第二例:所定枚数Nが10枚のとき]
まず、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1501)の後、画像形成処理の開始へと移行する(S1502:Yes)。
【0142】
まず、1枚目から5枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理は(S1512)、まず、「NUM>B枚(5枚)?」は成立せず(S1503:NO)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」も成立しない(S1510:NO)。続いて「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1512:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1513)、処理が画像形成処理(S1502)に戻る。
【0143】
続いて、6枚目から9枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1502)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1503:YES)、続く「NUM>A’枚(12枚)?」は成立しない(S1504:NO)。加水処理に必要な水分残量は十分あるので(S1506:YES)、加水処理を実行する(S1507)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1508:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1512:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1513)、処理が画像形成処理(S1502)に戻る。
【0144】
続いて、10枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1502)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1503:YES)、続く「NUM>A’枚(12枚)?」は成立しない(S1504:NO)。そして、加水処理に必要な水分残量は十分あるので(S1506:YES)、加水処理を実行する(S1507)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」が成立する(S1508:YES)。したがって、10枚の用紙Pによって一束を作成する加水圧着綴じ処理を行って(S1504)、作成された用紙束を機外に排出する(S1514)。
【0145】
[第五実施形態:第三例:所定枚数Nが20枚のとき]
まず、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理(S1501)の後、画像形成処理の開始へと移行する(S1502:Yes)。
【0146】
まず、1枚目から5枚目の画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理は(S1512)、まず、「NUM>B枚(5枚)?」は成立せず(S1503:NO)、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」も成立しない(S1510:NO)。続いて「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1512:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1513)、処理が画像形成処理(S1502)に戻る。
【0147】
続いて、6枚目から12枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1502)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1503:YES)、続く「NUM>A’枚(12枚)?」は成立しない(S1504:NO)。加水処理に必要な水分残量は十分あるので(S1506:YES)、加水処理を実行する(S1507)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1508:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1512:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1513)、処理が画像形成処理(S1502)に戻る。
【0148】
続いて、13枚目から19枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1502)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1503:YES)、続く「NUM>A’枚(12枚)?」も成立する(S1504:YES)。続いて、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」は成立せず(S1506:NO)、「1束分の最終紙のスキャン/データIN済み?」も成立しない(S1512:NO)。したがって、「1枚スキャン/データIN」と「変数NUM+1」の処理が行われてから(S1513)、処理が画像形成処理(S1502)に戻る。
【0149】
続いて、20枚目に係る画像形成処理、及び後処理装置3への搬送と内部トレイへの積載処理(S1502)において「NUM>B枚(5枚)?」は成立し(S1503:YES)、続く「NUM>A’枚(12枚)?」も成立する(S1504:YES)。そして、「1束分の最終紙の搬送及び積載?」が成立する(S1505:YES)。したがって、20枚の用紙Pによって一束を作成する針綴じ処理を行って(S1506)、作成された用紙束を機外に排出する(S1514)。
【0150】
以上説明した各実施形態によれば、ユーザが任意に選択する綴じモードに応じて、FCOT/FPOTを短縮することができる綴じ処理を実行することができる。
【0151】
また、上記に説明したコントローラ100による制御方法は、すでに説明のとおり、コンピュータのハードウェア資源をとコンピュータソフトウェアとしてのプログラムとの協働により実現される。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0152】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
【0153】
<1>積載されたシート状の媒体の束であるシート束を作成する媒体処理装置であって、
前記シート束の一部を加圧変形して綴る綴じ処理部であって、当該媒体に対する加圧位置に加水をする加水処理部を有する第一綴じ処理部と、
前記シート束の一部に針を用いた針綴じを行う第二綴じ処理部と、
前記シート束を作成するシート束作成処理を実行するとき、当該シート束の一単位を構成する媒体枚数に応じて、前記第一綴じ処理部による圧着綴じ処理と、当該第一綴じ処理部による加水圧着綴じ処理と、前記第二綴じ処理部による針綴じ処理と、の動作を切り替えて制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記シート束作成処理を実行するとき、各綴じ処理の切替条件に応じて、当該シート束作成処理の実行開始タイミングを切り替える、
ことを特徴とする媒体処理装置である。
【0154】
<2>前記制御部は、前記シート束の一単位に対応する処理用データのうち、前記媒体枚数に相当する処理用データ数よりも少ない特定処理用データ数を取得したとき、前記シート束作成処理を開始する、
前記<1>に記載の媒体処理装置である。
【0155】
<3>前記制御部は、前記シート束の一単位の作成に要する処理用データのうち、一の媒体に対応する処理用データを取得したときに、前記シート束作成処理を開始する、
前記<1>に記載の媒体処理装置である。
【0156】
<4>前記制御部は、前記シート束の一単位の作成に要する処理用データのうち、一の媒体に対応する処理用データを取得して前記シート束作成処理を開始したときは、当該シート束の一単位を構成する全ての媒体に対し前記加水処理部による加水処理を実行する、
前記<3>に記載の媒体処理装置である。
【0157】
<5>前記制御部は、前記シート束の一単位の作成に要する処理用データのうち、一の媒体に対応する処理用データを取得して前記シート束作成処理を開始したときは、当該シート束の一単位を構成する全ての媒体に対し前記加水処理部による加水処理を実行しない、
前記<3>に記載の媒体処理装置である。
【0158】
<6>前記制御部は、前記シート束の一単位の作成に要する処理用データのうち、一の媒体に対応する処理用データを取得したときに、前記シート束作成処理を開始し、
当該一単位の前記シート束の作成に要する処理用データのうち、前記特定処理用データ数に相当する処理用データに係る前記綴じ処理を実行するときは前記加水処理部による加水処理を実行せず、
当該特定処理用データ数を超える分の処理用データに係る前記綴じ処理を実行するときは前記加水処理部による加水処理を実行する、
前記<2>に記載の媒体処理装置である。
【0159】
<7>ユーザが、前記シート束を作成するシート束作成処理を実行するときに前記圧着綴じ処理と、前記加水圧着綴じ処理と、前記針綴じ処理と、の切替態様を選択するための切替態様選択部を備え、
前記制御部は、前記切替態様に基づいて既定される前記切替条件に基づいて前記綴じ処理の制御をする、
前記<1>乃至前記<6>のいずれかに記載の媒体処理装置である。
【0160】
<8>複数の前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体に対して処置の綴じ処理を行い前記<1>乃至前記<7>のいずれかに記載の媒体処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【符号の説明】
【0161】
1 :プリンタシステム
2 :画像形成装置
3 :後処理装置
22 :内部トレイ
25 :第一綴じ処理部
28 :処理部
29 :用紙折りブレード
30 :排出トレイ
31 :加水処理部
32 :圧着綴じ処理部
55 :第二綴じ処理部
62 :針綴じ処理部
100 :コントローラ
101 :CPU
110 :操作パネル
1010 :モード選択画面
1011 :第一パターンボタン
1012 :第二パターンボタン
1013 :第三パターンボタン
1014 :第四パターンボタン
1015 :第五パターンボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0162】