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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134474
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
G01N21/88 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044793
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
(74)【代理人】
【識別番号】100168206
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 健二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 慶太
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051BA20
2G051BB11
2G051CA06
2G051CB01
2G051CC07
(57)【要約】
【課題】 照明光の光路途中、すなわち、照明光と検査対象物との間に偏光部材を配置することなく、検査対象物を撮像したときに生じる映り込みやハレーションを低減して、検査対象物の表面のキズ、ヒビ、欠け、異物等の外観不良のみを高い精度で検出する方法を提供する。
【解決手段】 検査対象物の外観を検査する外観検査装置であって、
前記検査対象物の表面へ拡散光を照射する照明と、
前記検査対象物から反射した反射光を撮像する撮像装置と、
前記検査対象物と前記撮像装置との間で、前記検査対象物から反射した前記反射光が前記撮像装置に至る光路上に配置される複数の偏光部材と
を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の外観を検査する外観検査装置であって、
前記検査対象物の表面へ拡散光を照射する照明と、
前記検査対象物から反射した反射光を撮像する撮像装置と、
前記検査対象物と前記撮像装置との間で、前記検査対象物から反射した前記反射光が前記撮像装置に至る光路上に配置される複数の偏光部材と
を備えた外観検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外観検査装置において、
前記複数の偏光部材が、2枚の偏光板及び/又は偏光フィルムからなり、前記2枚の偏光板及び/又は偏光フィルムは光の透過軸が交差した状態で配置されていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の外観検査装置において、
前記2枚の偏光板及び/又は偏光フィルムは光の透過軸が45°±20°傾いた状態で配置されていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の外観検査装置において、
前記照明がドーム照明であることを特徴とする外観検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の外観検査装置において、
前記ドーム照明が、前記検査対象物に対して凹んだ湾曲形状を有し、内面が拡散反射面となったドーム形状の反射部材と、前記拡散反射面に対して照明光を照射する発光器とからなり、前記反射部材は前記検査対象物を撮像するための撮像開口部を有することを特徴とする外観検査装置。
【請求項6】
請求項1に記載の外観検査装置において、
前記検査対象物がセラミックス材料であることを特徴とする外観検査装置。
【請求項7】
請求項1に記載の外観検査装置において、
前記検査対象物が磁性材料であることを特徴とする外観検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の外観不良を検出する外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックス等の各種製品の外観を高速に高い精度で検査するために、例えば、搬送する検査対象物に照明光を照射しつつ、その検査対象物の表面を観察し、得られた撮影映像を画像処理等の方法によって判断し、検査対象物の表面のキズ、ヒビ、欠け、異物等の外観不良を検出する装置及び方法が開発されている。
【0003】
このような外観検査装置では、光学的に検査対象物を撮影した画像からその外観不良等を判定するため、その撮影映像の品質向上が重要である。特に検査対象物に照明光が正反射することによって生じる映り込みやハレーションを防止して、検査対象物の表面のキズ、ヒビ、欠け、異物等の外観不良のみを高い精度で検出する方法が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2021-92436号)は、検査対象物に照明光を照射する光源と、検査対象物から反射した反射光を撮像する撮像素子とを有し、前記照明光及び前記反射光の光路途中に、前記照明光及び前記反射光を偏光する偏光部材が配置されている外観検査装置を開示している。特許文献1は、前述のように、2つの偏光板を照明光及び反射光の光路途中に、光の透過軸方向(スリット方向)を直交するように配置することにより、検査対象物上でのハレーションを防止できると記載している。
【0005】
一方で、検査対象物に対する照明装置として、検査対象物に対して凹んだ湾曲形状(ドーム型)を有する光反射面で反射した光を検査対象物に照射し、ドーム型の装置の一部に設けた観察孔から検査対象物を撮像する構成を有する、いわゆるドーム照明が広く使われている。このようなドーム照明を用いることにより、加工によって形成される加工痕(表面不良ではない)が目立たなくなるため、表面形状の異常だけを検出しやすくなる。すなわち、ドーム照明を用いる外観検査装置は、検査対象物の表面のキズ、ヒビ、欠け、異物等の外観不良のみを容易に検出できるというメリットがある。
【0006】
しかしながら、このようなドーム照明を用いた外観検査装置に、特許文献1に記載の2つの偏光部材を照明光及び反射光の光路途中に配置する構成を適用しようとすると、照明光と検査対象物との間に配置する偏光部材のスリット方向位置の調整が非常に難しく、ハレーション低減の効果が十分に得られない。またメンテナンスも非常に煩雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-92436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、照明光の光路途中、すなわち、照明光と検査対象物との間に偏光部材を配置することなく、検査対象物を撮像したときに生じる映り込みやハレーションを低減して、検査対象物の表面のキズ、ヒビ、欠け、異物等の外観不良のみを高い精度で検出する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的に鑑み、本発明者らは、照明光と検査対象物との間に偏光部材を配置することなく、検査対象物から反射した反射光の光路途中に2つの偏光部材を、それらの2つの偏光部材の光の透過軸(スリット)が交差するように2つの偏光部材を配置することにより、検査対象物を撮像したときに生じる映り込みやハレーションを低減して、検査対象物の表面のキズ、ヒビ、欠け、異物等の外観不良のみを高い精度で検出できることを見出し、本発明に想到した。
【0010】
すなわち、本発明の外観検査装置は、検査対象物の外観を検査する外観検査装置であって、
前記検査対象物の表面へ拡散光を照射する照明と、
前記検査対象物から反射した反射光を撮像する撮像装置と、
前記検査対象物と前記撮像装置との間で、前記検査対象物から反射した前記反射光が前記撮像装置に至る光路上に配置される複数の偏光部材と
を備える。
【0011】
前記複数の偏光部材は、2枚の偏光板及び/又は偏光フィルムからなり、前記2枚の偏光板及び/又は偏光フィルムは光の透過軸が交差した状態で配置されているのが好ましい。
【0012】
前記2枚の偏光板及び/又は偏光フィルムは光の透過軸が45°±20°傾いた状態で配置されているのが好ましい。
【0013】
前記照明はドーム照明であるのが好ましい。
【0014】
前記ドーム照明は、前記検査対象物に対して凹んだ湾曲形状を有し、内面が拡散反射面となったドーム形状の反射部材と、前記拡散反射面に対して照明光を照射する発光器とからなり、前記反射部材は前記検査対象物を撮像するための撮像開口部を有するのが好ましい。
【0015】
前記検査対象物はセラミックス材料であるのが好ましい。
【0016】
前記検査対象物は磁性材料であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の外観検査装置は、照明光と検査対象物との間に偏光部材を配置しなくても検査対象物を撮像したときに生じる映り込みやハレーションを低減できるので、偏光板の配置やメンテナンスが容易であり、光源としてドーム照明を好適に用いることができる。
【0018】
また従来の方法では、表面加工した時の加工痕を欠陥として認識してしまう場合があったが、本発明の外観検査装置のように、偏光部材を少なくとも2枚使用することで、僅かな欠陥が明確になり、加工痕と区別して認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の外観検査装置の一例を示す模式断面図である。
図2】本発明の外観検査装置の他の一例を示す模式断面図である。
図3】本発明の外観検査装置のさらに他の一例を示す模式断面図である。
図4】(a)バー照明、及び(b)平面照明を示す断面図である。
図5】検査対象物の側面を観察するための照明装置の一例を示す模式図断面である。
図6】本発明の外観検査装置のさらに他の一例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[1] 外観検査装置
(1) 全体構成
本発明の外観検査装置を図1に示す。本発明の外観検査装置1は、検査対象物2の外観を検査する装置であって、
前記検査対象物2の表面へ拡散光Dを照射する照明3と、
前記検査対象物2から反射した反射光Rを撮像する撮像装置4と、
前記検査対象物2と前記撮像装置4との間で、前記検査対象物2から反射した前記反射光Rが前記撮像装置4に至る光路上に配置される複数の偏光部材5とを備える。
【0021】
本発明の外観検査装置1は、図1に示す照明3、撮像装置4、及び偏光部材5から構成される検査対象物2の表面を撮像する装置以外にも、検査対象物2を搬送する機構(例えば、搬送装置及び制御装置)、撮像装置4によって撮像して得られた画像を取り込んで良品又は不良品を判定する判定装置等を含んでいても良い。前記判定装置は、CPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータ、データ処理のためのアプリケーション等から構成される。
【0022】
図1に記載の外観検査装置1は、検査対象物2上面に照明3からの拡散光Dを照射し、検査対象物2から反射した反射光Rを、照明3の上部に設けられた撮像開口部30cを通じて撮像装置4で撮像するので、検査対象物2の主に上面を観察するための構成となっている。本発明の外観検査装置1は、必要に応じて、検査対象物2の下面や側面等も検査できるように、さらに外観検査装置を追加して構成することができる。
【0023】
検査対象物2の下面及び上面の両方を検査する場合、例えば、図1に記載の外観検査装置1の上流側に検査対象物2の下面を観察する検査装置(図示せず)を配置し、移動可能に設けられたステージ6に載置した検査対象物2の下面を上流側の検査装置で検査した後、ステージ6を移動させて図1に記載の外観検査装置1まで搬送して、本発明の外観検査装置1で検査対象物2の外観(上面)を検査する。
【0024】
このとき、上流側の検査装置で検査した後、図1に記載の外観検査装置1まで搬送する間に、検査対象物2の上下を反転させる機構を設けても良いし、上流側の検査装置では図1に記載の外観検査装置1とは、照明及び撮像装置の配置を検査対象物2に対して上下逆にして構成してもよい。なお照明及び撮像装置の配置を上下逆にして構成する場合は、検査対象物2をステージ6に載置した状態では検査対象物2の下面が観察できないので、検査対象物2を真空チャック等の方法で保持し、検査対象物2の下面が観察できるようにするとよい。
【0025】
さらに、検査対象物2の側面を検査する場合、例えば、図1に記載の外観検査装置1の下流側に検査対象物2の側面を観察する検査装置(図示せず)を配置し、移動可能に設けられたステージ6に載置した検査対象物2の上面を図1に記載の外観検査装置1で検査した後、ステージ6を移動させて下流側の検査装置まで搬送して、検査対象物2の側面を検査するように構成する。下流側の検査装置で検査を行うときは、検査対象物2の側面が照明及び撮像装置の方向に向くように検査対象物2を回転させる機構を設けても良いし、照明及び撮像装置の配置を回転させて検査対象物2の側面が検査できるように構成してもよい。また、検査対象物2の側面を観察する場合、図5に示すように、LED光源35aと検査対象物2の間にハーフミラー35bを配置し、検査対象物2の横から照明光を当て、検査対象物2で反射した光をハーフミラー35bで90°方向を変えて反射させ、その反射光を撮像装置4で撮像するといった照明装置35を用いた構成としても良い。なお図中の矢印はLED光源35aから照射された照明光が、ハーフミラー35bを通過し、検査対象物2で反射し、ハーフミラー35bで90°方向を変えて反射され、撮像装置4に入射する光路を示す。
【0026】
このように、図1に記載の外観検査装置1の上流側及び/又は下流側に、検査対象物2の下面や側面を検査できるような検査装置を配置することにより、連続的に検査対象物2の外観を、条件を変えて検査することができる。
【0027】
なお、前記の上流側及び下流側の検査装置においては、本願発明の構成、すなわち、検査対象物2と撮像装置4との間に複数の偏光部材5を配置する構成は必須ではなく、例えば、照明3と検査対象物2との間に1枚の偏光板を設け、検査対象物2と撮像装置4との間にもう1枚の偏光板を設けた構成であっても良い。必要に応じて本発明の構成を適用すれば良い。
【0028】
(2) 照明
本発明の外観検査装置に用いる照明は、検査対象物に拡散光Dを照射する。図1に記載の外観検査装置1は、照明3としてドーム照明30を用いた例を示すが、本発明に使用できる照明はドーム照明に限定されず、後述するようにバー照明や平面照明、又はそれらをドーム状に組み合わせて構成された照明であってもよい。
【0029】
ドーム照明30は、検査対象物2に対して凹んだ湾曲形状を有するとともに内面が拡散反射面30eとなったドーム形状の反射部材30bと、前記拡散反射面30eに対して照明光を照射する発光器30aとからなり、反射部材30bは検査対象物2をドーム照明30の後方から撮像するための撮像開口部30cを有する。反射部材30bは、下端部が開口するとともに、上端部に撮像開口部30cを有するドーム形状の部材であって、下端部の開口部の外周に設けられたフランジ部30dに周方向に発光器30aが複数配置されている。発光器30aから照射された光は、反射部材30bの拡散反射面30eで反射された後、指向性の無い均質な光、つまり拡散光Dとして検査対象物2に向けて照射される。
【0030】
照明3は、例えば、図2に示すようなバー照明又は平面照明を検査対象物2に対向するように、複数のバー照明又は平面照明を緯度方向及び経度方向にドーム状に並べて構成された照明31であっても良いし、図3に示すように、バー照明又は平面照明を検査対象物2に対向するように、周方向に並べて構成された照明32であっても良い。なおバー照明及び平面照明は、それぞれ図4(a)及び図4(b)に示すような、LED照明33aを一方向に並べてなるバー照明器具33、及びLED照明34aを二次元的に並べてなる平面照明器具34である。なお実際のバー照明器具33及び平面照明器具34はこれらのLED照明の発光を拡散光とするための拡散板(図示せず)がLED照明33a,34aを覆うように配置されているが、図4(a)及び図4(b)では、これらの拡散板を省略し便宜的に内部のLED照明33a,34aが見えるように描かれている。
【0031】
図6に示すように、ドーム照明30の撮像開口部30cに同軸落射照明36を設けても良い。同軸落射照明36は、LED光源36aとハーフミラー36bとを用いて、検査対象物2に照射する照明の光軸と撮像装置4に入射する光軸を一致させるようにした照明器である。図6において、LED光源36aから照射された照明光の光路を三角形の矢先からなる矢印で示す。LED光源36aから照射された照明光は、ハーフミラー36bで反射され検査対象物2の方向に90°方向を変え、検査対象物2で反射し、ハーフミラー36bを通過し、撮像装置4に入射する。同軸落射照明36が設けられていない場合、撮像開口部30cには照明が存在しないため、検査対象物2への光量が十分に得られない場合がある。同軸落射照明36を設けることにより撮像開口部30cからも拡散光を照射することができ、その結果、僅かな欠陥がより明確に観察されるようになり、欠陥と加工痕とを区別して認識しやすくなる。同様に、図2及び図3に示すようなバー照明又は平面照明を検査対象物2に対向するように並べてなる照明31,32を用いる場合に、それらの撮像開口部31c,32cに同軸落射照明を設けて構成しても良い。
【0032】
(3) 偏光部材
本発明の外観検査装置1は、検査対象物2と撮像装置4との間で、検査対象物2から反射した反射光Rが撮像装置4に至る光路上に複数の偏光部材5が配置される。なお、図1に示すドーム照明30、図2及び図3に示すようなバー照明又は平面照明を検査対象物2に対向するように並べてなる照明31,32を用いた場合や、図6に示す同軸落射照明36を用いた場合は、これらの照明の内側に偏光部材5を設けると照明からの拡散光が偏光部材5によって遮られるおそれがあるので、ドーム照明30又は照明31,32の撮像開口部30c,31c,32cと撮像装置4との間、又は同軸落射照明36と撮像装置4との間に偏光部材5を設けるのが好ましい。
【0033】
複数の偏光部材5は、少なくとも2枚の偏光板(又は偏光フィルム)5a,5bからなり、前記少なくとも2枚の偏光板5a,5bが、光の透過軸(「スリット」又は「偏光軸」とも言う)が交差した状態で配置されている。すなわち、少なくとも2枚の偏光板5a,5bは、光の透過軸が平行とならないように配置されている。このように、光の透過軸が交差した状態で少なくとも2枚の偏光板5a,5bを配置することにより、検査対象物2から反射した反射光Rを撮像したときに生じる映り込みやハレーションを低減し、検査対象物2の表面のキズ、ヒビ、欠け、異物等の外観不良のみを高い精度で検出できる。なお少なくとも2枚の偏光板5a,5bは、それらの一部又は全てが偏光フィルム、もしくはその他の偏光部材であってもよい。3枚以上の偏光板(又は偏光フィルム)を組み合わせて構成しても良く、この場合、3枚目以上の偏光板(又は偏光フィルム)の光の透過軸は任意の方向に配置することができる。
【0034】
2枚の偏光板(又は偏光フィルム)を用いる場合、光の透過軸が0°よりも大きく、かつ90°よりも小さい角度で交差して配置されているのが好ましい。このような角度で2枚の偏光板(又は偏光フィルム)を配置することによって、検査対象物2から撮像装置4に入射する反射光Rの光量を調節することができ、もって撮像装置4で得られる画像に生じる映り込みやハレーションを低減することができる。2枚の偏光板(又は偏光フィルム)の光の透過軸は45°±20°傾いた状態で配置されているのがより好ましい。2枚の偏光板(又は偏光フィルム)の光の透過軸がなす角度は、観察する検査対象物2や光源の明度によって、前述の映り込みやハレーションが最も低減できるような角度に適宜調節するのが好ましい。そのために2枚の偏光板(又は偏光フィルム)は、それらの光の透過軸がなす角度を変更できるよう、回転可能に構成するのが好ましい。
【0035】
複数の偏光部材5間の距離は特に限定されず、検査対象物2から反射した反射光Rが撮像装置4に至る光路上であればどのように配置してもかまわない。複数の偏光部材5を密着させて配置しても良いし、一定の距離をおいて配置しても良い。撮像装置4のカメラのレンズに貼り付けても良い。また同軸落射照明36を使用する場合は、同軸落射照明36の撮像装置4に対抗する面に接するように設けても良い。
【0036】
(4) 検査対象物
検査対象物2は特に限定されないが、セラミック材料、磁性材料等に適用できる。特に、フェライト磁石や希土類磁石等の磁性材料に好適である。形状についても特に限定されないが、本発明の外観検査装置は滑らかな表面のキズ、ヒビ、欠け、異物等を検査するのに適しており、例えば、アーク型の磁石の凸状の外側面を検査する場合に本発明の効果がより発揮される。
【0037】
(5) キズ、ヒビ、欠け、異物等の検出
キズ、ヒビ、欠け、異物等(以下、「キズ等」とも言う)の検出には、各種公知の技術を利用することができる。例えば、キズ等の輝度とそれ以外の部分の輝度との間に閾値を設定して画像を二値化し、キズ等の有無を判別することができる。このような検出処理を画像処理装置で実行することにより検査を自動化することができる。
【符号の説明】
【0038】
1・・・外観検査装置
2・・・検査対象物
3・・・照明
4・・・撮像装置
5・・・偏光部材
5a,5b・・・偏光板(又は偏光フィルム)
6・・・ステージ
30・・・ドーム照明
30a・・・発光器
30b・・・反射部材
30c・・・撮像開口部
30d・・・フランジ部
30e・・・拡散反射面
31,32・・・照明
31c,32c・・・撮像開口部
33・・・バー照明器具
34・・・平面照明器具
33a,34a・・・LED照明
35・・・照明装置
35a ・・・LED光源
35b・・・ハーフミラー
36・・・同軸落射照明
36a ・・・LED光源
36b・・・ハーフミラー
D・・・拡散光
R・・・反射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6