(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134493
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240926BHJP
H01L 21/31 20060101ALN20240926BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/31 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141452
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2023044497
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】高田 響
(72)【発明者】
【氏名】三井 裕之
(72)【発明者】
【氏名】越湖 裕
(72)【発明者】
【氏名】森 真一朗
(72)【発明者】
【氏名】山岡 雄治
【テーマコード(参考)】
5F045
【Fターム(参考)】
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB03
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EK06
5F045GB17
(57)【要約】
【課題】レシピ編集時における作業効率を向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】基板の処理条件を定義したステップを少なくとも1つ有するレシピにより前記基板を処理する処理部と、前記処理条件に少なくとも1つ含まれる設定項目に対する編集操作を受け付ける操作部と、編集操作された前記処理条件に合わせて、前記設定項目の設定値に対する制御値を演算する演算部と、前記ステップの情報と共に、前記演算部が演算した制御値の時系列データを表示させるように表示部を制御可能に構成された制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の処理条件を定義したステップを少なくとも1つ有するレシピにより前記基板を処理する処理部と、
前記処理条件に少なくとも1つ含まれる設定項目に対する編集操作を受け付ける操作部と、
編集操作された前記処理条件に合わせて、前記設定項目の設定値に対する制御値を演算する演算部と、
前記ステップの情報と共に、前記演算部が演算した制御値の時系列データを表示させるように表示部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記設定項目の編集操作中に前記制御値の演算を前記制御部に指示する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記制御値の演算を行う種別情報の選択を受け付ける、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記種別情報は、温度、ガス流量、圧力、及び搬送機構の情報の内、少なくともいずれ
か一つを含む、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記ステップの実行順序を、前記レシピにおいて設定された実行順序から、前記基板を処理する実動作に合わせて入れ替える、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記レシピを記憶する記憶部を更に備え、
前記演算部は、前記制御値の時系列データを、前記基板を処理する実動作に合わせて入れ替えられた前記ステップの前記実行順序に対応付けて前記記憶部に記憶する、
請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記制御値の時系列データを表示する画面を備え、
前記表示部は、前記画面に前記制御値の時系列データを前記ステップの前記実行順序に
合わせて表示する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記画面は、前記制御値の時系列データを表示する第1表示領域、前記ステップの情報
を前記実行順序に合わせて表示する第2表示領域、及び、前記処理条件を表示する第3表示領域の少なくともいずれか一つを備える、
請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第3表示領域は、選択された前記設定項目と、選択された前記設定項目の設定値に対する前記制御値の少なくともいずれか一つを表示する、
請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記表示部は、前記制御値の時系列データを、前記レシピで前記基板を処理した結果であるレシピ実行結果と合わせて、前記制御値の時系列データと、前記レシピ実行結果とを比較可能に表示する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記表示部は、前記レシピで演算した前記制御値の時系列データを、他のレシピで演算した他のレシピの前記制御値の時系列データと合わせて表示する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記表示部は、自装置で演算した前記制御値の時系列データを、他の装置で演算した他の装置の前記制御値の時系列データと合わせて時系列で表示する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記表示部は、前記制御値の時系列データと、ガス配管及びバルブの少なくとも一方の状態を示す状態情報とを並べて表示し、指定したステップの前記制御値の時系列データと、前記状態情報とを1つの画面で表示する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記制御値の正否を判定する判定部を更に備え、
前記判定部は、予め定めた判定条件に従い、前記レシピの前記設定項目毎に前記制御値の正否を判定する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記操作部は、既定の設定値および前記既定の設定値とは異なる可変設定値のいずれか一方を、前記設定値として前記設定項目に対して設定する編集操作を受け付け可能に構成され、
前記演算部は、前記可変設定値が前記設定項目に対して設定された場合、前記可変設定値に対する前記制御値を演算する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記演算部は、前記可変設定値が前記設定項目に対して設定された場合、前記既定の設定値に対する前記制御値と、前記可変設定値に対する前記制御値とを演算し、
前記制御部は、前記ステップの情報と共に、前記既定の設定値に対する前記制御値の時系列データと、前記可変設定値に対する前記制御値の時系列データとを、同時または選択的に前記表示部に表示させる、請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記操作部は、既定の設定値、および前記レシピに設定された条件パラメータの値に応じて選択される条件付き設定値のいずれか一方を、前記設定値として前記設定項目に対して設定する編集操作を受け付け可能に構成され、
前記演算部は、前記条件付き設定値が前記設定項目に対して設定された場合、前記条件付き設定値に対する前記制御値を演算する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記演算部は、前記条件付き設定値が前記設定項目に対して設定された場合、前記既定の設定値に対する前記制御値と、前記条件付き設定値に対する前記制御値とを演算し、
前記制御部は、前記ステップの情報と共に、前記既定の設定値に対する前記制御値の時系列データと、前記条件付き設定値に対する前記制御値の時系列データとを、同時または選択的に前記表示部に表示させる、
請求項17に記載の基板処理装置。
【請求項19】
基板の処理条件を定義したステップを少なくとも1つ有するレシピにより前記基板を処理する工程と、
前記処理条件の設定項目の編集操作を行う工程と、
編集操作された前記処理条件に合わせて、前記設定項目の設定値に対する制御値を演算する工程と、
前記ステップの情報と共に、演算した前記制御値の時系列データを表示部に表示する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項20】
基板の処理条件を定義したステップを少なくとも1つ有するレシピにより前記基板を処理する手順と、
前記処理条件の設定項目の編集操作を行う手順と、
編集操作された前記処理条件に合わせて、前記設定項目の設定値に対する制御値を演算する手順と、
前記ステップの情報と共に、演算した前記制御値の時系列データを表示部に表示する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置においては、基板に所望の処理を行うために、最適なレシピを作成する必要がある。例えば、特許文献1には、レシピ編集画面を表示してレシピを作成する際に、処理を時分割し、分割した区分毎に対応する処理条件を設定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レシピの編集は、ステップ毎に各種パラメータの設定を行う場合が多く、編集後のレシピから時系列でのパラメータを算出した制御値の変化を把握することが難しい。このため、レシピ編集時における作業効率の低下につながる場合がある。
【0005】
本開示は、レシピ編集時における作業効率を向上させることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、基板の処理条件を定義したステップを少なくとも1つ有するレシピにより前記基板を処理する処理部と、前記処理条件に少なくとも1つ含まれる設定項目に対する編集操作を受け付ける操作部と、編集操作された前記処理条件に合わせて、前記設定項目の設定値に対する制御値を演算する演算部と、前記ステップの情報と共に、前記演算部が演算した制御値の時系列データを表示させるように表示部を制御可能に構成された制御部と、を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、レシピ編集時における作業効率を向上させることができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る基板処理装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る基板処理装置を側面から見たときの断面図である。
【
図3】一実施形態に係る基板処理装置が備える制御装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】一実施形態に係るレシピ編集画面の一例を示す正面図である。
【
図5】一実施形態に係るアイテム種別選択画面の一例を示す正面図である。
【
図6】一実施形態に係る演算結果表示画面の一例を示す正面図である。
【
図7】一実施形態に係るシミュレーション処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図7に示すステップS102のシミュレート実行処理の流れの一例を示すサブルーチンである。
【
図9】他の実施形態に係る演算結果表示画面の一例を示す正面図である。
【
図10】他の実施形態に係る演算結果表示画面の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の一態様>
以下、本開示の一態様について、主に
図1~
図8を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。また、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0010】
まず、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る基板処理装置の概要について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る基板処理装置1の一例を示す斜視図である。また、
図2は、本実施形態に係る基板処理装置1を側面から見たときの断面図である。
図1及び
図2は基板処理装置の一例として縦型の基板処理装置1を示している。なお、基板処理装置1において処理される基板は、一例としてシリコン等から成る半導体ウェーハが示されている。
【0012】
図1及び
図2に示すように、基板処理装置1は、筐体2を備え、筐体2の正面壁3の下部にはメンテナンス可能に設けられた開口部としての正面メンテナンス口4が開設され、正面メンテナンス口4は正面メンテナンス扉5によって開閉される。
【0013】
筐体2の正面壁3にはポッド搬入搬出口6が筐体2の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口6はフロントシャッタ(搬入搬出口開閉機構)7によって開閉される。ポッド搬入搬出口6の正面前方側にはロードポート(基板搬送容器受渡し台)8が設置されており、ロードポート8は載置されたポッド9を位置合せするように構成されている。
【0014】
ポッド9は密閉式の基板搬送容器であり、工程内搬送装置(図示せず)によってロードポート8上に搬入され、又、ロードポート8上から搬出されるようになっている。
【0015】
筐体2内の前後方向の略中央部における上部には回転式ポッド棚(基板搬送容器格納棚)11が設置されており、回転式ポッド棚11は複数個のポッド9を格納するように構成されている。
【0016】
回転式ポッド棚11は、垂直に立設されて間欠回転される支柱12と、支柱12に上中下段の各位置において放射状に支持された複数段の棚板(基板搬送容器載置棚)13とを備えている。棚板13は、ポッド9を少なくとも1個載置した状態で格納するように構成されている。
【0017】
回転式ポッド棚11の下方にはポッドオープナ(基板搬送容器蓋体開閉機構)14が設けられ、ポッドオープナ14はポッド9を載置し、又、ポッド9の蓋を開閉可能な構成を有している。
【0018】
ロードポート8と回転式ポッド棚11、ポッドオープナ14との間にはポッド搬送機構(容器搬送機構)15が設置されており、ポッド搬送機構15はポッド9を保持して昇降可能、水平方向に進退可能となっている。ロードポート8、回転式ポッド棚11、ポッドオープナ14との間でポッド9を搬送するように構成されている。
【0019】
筐体2内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体16が後端に亘って設けられている。サブ筐体16の正面壁17にはウェーハ(基板)18をサブ筐体16内に対して搬入搬出するためのウェーハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)19が一対、垂直方向に上下2段に並べられて開設されており、上下段のウェーハ搬入搬出口19に対してポッドオープナ14がそれぞれ設けられている。
【0020】
ポッドオープナ14は、ポッド9を載置する載置台21と、ポッド9の蓋を開閉する開閉機構22とを備えている。ポッドオープナ14は、載置台21に載置されたポッド9の蓋を開閉機構22によって開閉することで、ポッド9のウェーハ出入口を開閉するように構成されている。
【0021】
サブ筐体16は、ポッド搬送機構15や回転式ポッド棚11が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室23を構成している。移載室23の前側領域にはウェーハ移載機構(基板移載機構)24が設置されており、ウェーハ移載機構24はウェーハ18を載置する所要枚数(例えば、図示では5枚)のウェーハ載置プレート25を具備し、ウェーハ載置プレート25は水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、又は昇降可能となっている。ウェーハ移載機構24は、ボート(基板保持体)26に対してウェーハ18を装填及び払い出しするように構成されている。
【0022】
移載室23の後側領域にはボート26を収容して待機させる待機部27が構成され、待機部27の上方には縦型の処理炉28が設けられている。処理炉28は内部に処理室29を形成し、処理室29の下端部は炉口部となっており、炉口部は炉口シャッタ(炉口開閉機構)31により開閉されるようになっている。なお、処理室29は、処理容器ともいい、処理部の一例である。
【0023】
筐体2の右側端部とサブ筐体16の待機部27の右側端部との間にはボート26を昇降させるためのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)32が設置されている。ボートエレベータ32の昇降台に連結されたアーム33には蓋体としてのシールキャップ34が水平に取付けられており、シールキャップ34はボート26を垂直に支持し、ボート26を処理室29に装入した状態で炉口部を気密に閉塞可能となっている。
【0024】
ボート26は、複数枚(例えば、50枚~125枚程度)のウェーハ18をその中心に揃えて水平姿勢で多段に保持するように構成されている。なお、本明細書における「50枚~125枚」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「50枚~125枚」とは「50枚以上125枚以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0025】
ボートエレベータ32側と対向した位置にはクリーンユニット35が配設され、クリーンユニット35は清浄化した雰囲気若しくは不活性ガスであるクリーンエア36を供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。不活性ガスとしては、例えば窒素(N)含有ガスを用いることができる。N含有ガスとしては、例えば、窒素(N2)ガス等を用いることができる。N含有ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。ウェーハ移載機構24とクリーンユニット35との間には、ウェーハ18の円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合せ装置(図示せず)が設置されている。
【0026】
クリーンユニット35から吹出されたクリーンエア36は、ノッチ合せ装置(図示せず)及びウェーハ移載機構24、ボート26に流通された後に、ダクト(図示せず)により吸込まれて、筐体2の外部に排気がなされるか、若しくは、クリーンユニット35によって移載室23内に吹き出されるように構成されている。
【0027】
次に、基板処理装置1の作動について説明する。
【0028】
ポッド9がロードポート8に供給されると、ポッド搬入搬出口6がフロントシャッタ7によって開放される。ロードポート8上のポッド9は、ポッド搬送機構15によって筐体2の内部へポッド搬入搬出口6を通して搬入され、回転式ポッド棚11の指定された棚板13へ載置される。ポッド9は、回転式ポッド棚11で一時的に保管された後、ポッド搬送機構15により棚板13からいずれか一方のポッドオープナ14に搬送されて載置台21に移載されるか、若しくはロードポート8から直接載置台21に移載される。
【0029】
この際、ウェーハ搬入搬出口19は開閉機構22によって閉じられており、移載室23にはクリーンエア36が流通され、充満している。例えば、移載室23にはクリーンエア36としてN含有ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体2の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも低く設定されている。
【0030】
載置台21に載置されたポッド9はその開口側端面がサブ筐体16の正面壁17におけるウェーハ搬入搬出口19の開口縁辺部に押し付けられると共に、蓋が開閉機構22によって取り外され、ウェーハ出入口が開放される。
【0031】
ポッド9がポッドオープナ14によって開放されると、ウェーハ18はポッド9からウェーハ移載機構24によって取り出され、ノッチ合せ装置(図示せず)に移送され、ノッチ合せ装置にてウェーハ18を整合した後、ウェーハ移載機構24はウェーハ18を移載室23の後方にある待機部27へ搬入し、ボート26に装填(チャージング)する。
【0032】
ボート26にウェーハ18を受け渡したウェーハ移載機構24は、ポッド9に戻り、次のウェーハ18をボート26に装填する。
【0033】
一方(上段又は下段)のポッドオープナ14におけるウェーハ移載機構24によりウェーハ18のボート26への装填作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ14には回転式ポッド棚11から別のポッド9がポッド搬送機構15によって搬送されて移載され、他方のポッドオープナ14によるポッド9の開放作業が同時進行される。
【0034】
予め指定された枚数のウェーハ18がボート26に装填されると炉口シャッタ31によって閉じられていた処理炉28の炉口部が炉口シャッタ31によって開放される。続いて、ボート26はボートエレベータ32によって上昇され、処理室29に搬入(ローディング)される。
【0035】
ローディング後は、シールキャップ34によって炉口部が気密に閉塞される。なお、本実施形態において、このタイミングで(ローディング後)、処理室29が不活性ガスに置換されるパージ工程(プリパージ工程)を有する。
【0036】
処理室29が所望の圧力(真空度)となるようにガス排気機構(図示せず)によって真空排気される。また、処理室29が所望の温度分布となるようにヒータ駆動部(図示せず)によって所定温度まで加熱される。
【0037】
また、ガス供給機構(図示せず)により、所定の流量に制御された処理ガスが供給され、処理ガスが処理室29を流通する過程で、ウェーハ18の表面と接触し、ウェーハ18の表面上に所定の処理が実施される。更に、反応後の処理ガスは、ガス排気機構により処理室29から排気される。本明細書における処理ガスとは処理室29内に供給されるガスのことを意味する。これらは、以下の説明においても同様である。
【0038】
予め設定された処理時間が経過すると、ガス供給機構により不活性ガス供給源(図示せず)から不活性ガスが供給され、処理室29が不活性ガスに置換されると共に、処理室29の圧力が常圧に復帰される(アフターパージ工程)。そして、ボートエレベータ32によりシールキャップ34を介してボート26が降下される。本明細書における処理時間とは、その処理を継続する時間を意味する。これらは、以下の説明においても同様である。
【0039】
処理後のウェーハ18の搬出については、上記説明と逆の手順で、ウェーハ18及びポッド9は筐体2の外部へ払い出される。未処理のウェーハ18が、更にボート26に装填され、ウェーハ18のバッチ処理が繰り返される。
【0040】
ここで、
図1及び
図2に示すように、基板処理装置1は制御装置100を備え、制御装置100は基板処理装置1の制御を行う。制御装置100は、基板処理装置1に内蔵されていてもよいし、基板処理装置1の外部にアクセス可能に設けられていてもよい。
【0041】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る基板処理装置1の制御系の構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る基板処理装置1が備える制御装置100の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0042】
図3に示すように、基板処理装置1は、制御装置(主コントローラ)100と、外部通
信部201と、外部記憶部202と、操作部203と、表示部204と、入力部207と、プロセス制御部205と、搬送制御部206と、を備えている。
【0043】
また、制御装置100は、制御部101と、記憶部104と、I/Oポート105と、演算部106と、判定部107と、を備えている。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102と、RAM(Random Access Memory)103と、を備えている。なお、演算部106及び判定部107は、制御部101とは別に示しているが、制御部101の一機能として実現してもよい。また、操作部203も同様に、制御部101の一機能として実現してもよい。
【0044】
制御装置100は、操作部203と接続されると共に、I/Oポート105を介してプロセス制御部205及び搬送制御部206が接続されている。制御装置100は、プロセス制御部205及び搬送制御部206の各々とI/Oポート105を介して電気的に接続されているため、各データの送受信や各ファイルのダウンロード及びアップロード等が可能な構成となっている。
【0045】
制御装置100には、外部の上位コンピュータ(図示せず)と外部通信部201を介して接続されている。このため、基板処理装置1がクリーンルーム内に設置されている場合であっても上位コンピュータがクリーンルーム外の事務所等に配置されることが可能である。また、制御装置100には、記録媒体の一例であるUSB(Universal Serial Bus)メモリ等が挿脱される装着部としての外部記憶部202が接続されている。
【0046】
操作制御部としての操作部203は、表示部204および入力部207を一体的に有する、あるいは、表示部204とビデオケーブル等を介して接続され、入力部207と信号ケーブル等を介して接続される。表示部204は、例えば、液晶表示パネルである。入力部207は、例えば、キーボードやマウス等の入力デバイスである。また、操作部203、表示部204および入力部207は、タッチパネルにより一体的に構成されていてもよい。表示部204には、基板処理装置1を操作するための各操作画面が表示されるように構成されている。操作画面は、プロセス制御部205が制御する基板プロセス系、及び、搬送制御部206が制御する基板搬送系の状態を確認するための画面を有し、また、表示部204は、基板プロセス系及び基板搬送系への動作指示を入力する入力インターフェース(入力手段)としての各操作ボタンや各入力フィールドを表示することも可能である。各操作ボタンは、入力部207からの入力される指示に基づいて、操作部203を介して選択や押下の操作が行われる。また、各入力フィールドへは、入力部207からの入力される指示に基づいて、操作部203を介して数値等の入力が行われる。操作部203は、基板処理装置1内で生成される情報を表示部204に表示させる。また、操作部203は、例えば、入力部207から入力された情報や、表示部204に表示された情報を、外部記憶部202に挿入されたUSBメモリ等のデバイスに出力させる。操作部203は、表示部204に表示される操作画面を介してユーザから入力される入力データ(入力指示)を受け付け、入力データを制御装置100に送信する。また、操作部203は、R
AM103に展開されたレシピ又は記憶部104に格納された複数のレシピのうち任意の基板処理レシピ(プロセスレシピともいう。)を実行させる指示(制御指示)を入力部207を介して受け付け、制御装置100に送信するようになっている。ここで、操作部203及び表示部204は制御装置100と別体で設けられているが、制御装置100に一体で含まれる構成としてもよい。
【0047】
プロセス制御部205は、温度制御部205A、ガス流量制御部205B、及び圧力制御部205Cを備えている。温度制御部205A、ガス流量制御部205B、及び圧力制御部205Cはそれぞれサブコントローラを構成し、プロセス制御部205と電気的に接続されているため、各データの送受信や各ファイルのダウンロード及びアップロード等が可能となっている。なお、プロセス制御部205と各サブコントローラ(温度制御部205A、ガス流量制御部205B、及び圧力制御部205C)は、別体で図示されているが、一体構成でも構わない。
【0048】
温度制御部205Aには、主にヒータ及び温度センサ(図示せず)により構成される加熱機構が接続されている。温度制御部205Aは、処理炉28のヒータの温度を制御することで処理炉28内の温度を調節するように構成されている。なお、温度制御部205Aは、サイリスタのスイッチング(オンオフ)制御を行い、ヒータ素線に供給する電力を制御するように構成されている。
【0049】
ガス流量制御部205Bには、処理室29内に所定のガスを供給するガス配管上に設けられ、供給されるガスの流量を制御するように構成されたガス流量制御器としてのMFC(Mass Flow Controller)(図示せず)が接続されている。ガス配管上にMFC以外にも開閉弁(バルブ)が設けられている場合には、ガス流量制御部205Bは、MFCとともに開閉弁を制御するように構成されていてもよい。ガス流量制御部205Bは、処理室29内に供給されるガスの流量が指示された値となるように、MFCの弁開度を制御するように構成されている。また、MFCをガス流量制御部205Bとして構成し、MFCをプロセス制御部205に直接接続するようにしてもよい。
【0050】
圧力制御部205Cには、主に圧力センサ(図示せず)、圧力バルブとしてのAPC(自動圧力制御)バルブ(図示せず)により構成されるガス排気機構(図示せず)が接続されている。なお、真空ポンプ(図示せず)をガス排気機構に含めても良い。圧力制御部205Cは、圧力センサにより検知された圧力値に基づいて、処理室29内の圧力が指示されたタイミングにて指示された圧力となるように、APCバルブの開度及び真空ポンプのスイッチング(オンオフ)を制御するように構成されている。
【0051】
搬送制御部206は、機構制御部206Aを備えている。機構制御部206Aは、基板処理装置1の駆動部系、回転部系、及び昇降系の各々の制御を行うように構成されている。搬送制御部206は、例えば、回転式ポッド棚11、ボートエレベータ32、ポッド送機構15、ウェーハ移載機構24、ボート26、及び回転機構(図示せず)の搬送動作をそれぞれ制御するように構成されている。
【0052】
なお、本実施形態に係る制御装置100、プロセス制御部205、及び搬送制御部206は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(CD-ROM、USB等)から当該プログラムをインストールすることにより、所定の処理を実行する各コントローラを構成することができる。
【0053】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。
【0054】
制御装置100は、CPU102、RAM103、記憶部104、及びI/Oポート105を備えたコンピュータとして構成されている。記憶部104には、処理条件及び処理手順が定義されたレシピ等の各レシピファイル、これら各レシピファイルを実行させるための制御プログラムファイル、処理条件及び処理手順を設定するためのパラメータファイル(設定値ファイル)、また、エラー処理プログラムファイル及びエラー処理のパラメータファイルの他、プロセスパラメータを入力する入力画面を含む各種画面ファイル、各種アイコンファイル等(いずれも図示せず)が格納されている。なお、制御装置100は、外部通信部201を用いて、一例として、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等のネットワークに接続され、外部機器との間でネットワークを介して通信が可能とされる。
【0055】
また、記憶部104としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。記憶部104には、本実施形態に係るシミュレーション処理を実行するためのシミュレーション処理プログラムが記憶される。
【0056】
シミュレーション処理プログラムは、例えば、基板処理装置1に予めインストールされていてもよい。シミュレーション処理プログラムは、不揮発性の記録媒体に記録して、又はネットワークを介して配布して、基板処理装置1に適宜インストールすることで実現してもよい。なお、不揮発性の記録媒体の例としては、CD-ROM、光磁気ディスク、HDD、DVD-ROM、フラッシュメモリ、メモリカード、USB等が想定される。
【0057】
つまり、シミュレーション処理プログラムは、基板の処理条件を定義したステップを少なくとも1つ有するレシピにより基板を処理する手順と、処理条件の設定項目の編集操作を行う手順と、編集操作された処理条件に合わせて、設定項目の設定値に対する制御値を演算する手順と、ステップの情報と共に、演算した制御値の時系列データを表示部204に表示する手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0058】
本実施形態に係る基板処理装置1のCPU102は、記憶部104に記憶されているシミュレーション処理プログラムをRAM103に書き込んで実行することにより、制御部101、演算部106、判定部107として機能する。
【0059】
本実施形態に係る基板処理装置1は、処理室29、制御部101、記憶部104、演算部106、判定部107、操作部203、及び表示部204を備えている。
【0060】
処理室29では、基板の処理条件を定義したステップを少なくとも1つ有するレシピにより基板に対する処理が行われる。すなわち、レシピは一または複数のステップによって構成される。
【0061】
操作部203は、レシピに含まれるステップの追加、削除、順番の変更、反復実行の設定、等の編集操作を入力部207を介してユーザから受け付ける。また、選択されたステップにおける処理条件に少なくとも1つ含まれる設定項目(例えば後述する「アイテム」)の編集操作を受け付ける。つまり、操作部203は、操作画面を介して、レシピに含まれるステップに対する編集操作、および各ステップの処理条件に少なくとも1つ含まれる設定項目に対する編集操作をユーザから受け付ける。
【0062】
演算部106は、操作部203において編集操作された一または複数のステップおよび各ステップで定義された処理条件に基づいて、処理条件に含まれる設定項目の設定値に対する制御値をシミュレーション処理として演算する。ここで、上述のシミュレーション処理とは、編集操作により決定された処理条件などに基づいて、設定項目の設定値に対する制御値をシミュレーション値として演算する処理である。より具体的には、シミュレーション処理では、時間の推移に伴う制御値の変化を時系列データとして算出する。操作部203はシミュレーション処理の実行指示を受け付けると、制御部101に対してシミュレーション処理を行うように指示する。制御部101は、当該指示に応じて演算を行わせるように演算部106を制御する。
【0063】
ここでいう「制御値」とは、プロセス制御部205及び/又は搬送制御部206が、制御部101からI/Oポート105を介して入力を受けた設定値に基づいて基板処理装置1の各部(例えば、温度制御部205A、ガス流量制御部205B、圧力制御部205C、及び、機構制御部206Aのいずれか)を制御するために算出する値であり、プロセス制御部205及び/又は搬送制御部206から各部へと出力されるものである。各部は入力された制御値に基づいて動作を実行する。
【0064】
すなわち、本実施形態における演算部106は、プロセス制御部205及び/又は搬送制御部206が実際に各部を制御するために算出および出力する制御値を、シミュレーション値として算出する。換言すると、制御装置100は、プロセス制御部205及び/又は搬送制御部206へ処理条件の値を出力することなく、演算部106によって各部に対する制御値を演算(シミュレーション)することが可能に構成されている。
【0065】
本実施形態では、「制御値」は、ステップ毎に各設定項目(設定アイテム)に対して設定される設定値、各設定項目に対する制御において参照される制御パラメータ(例えば、ランプレート値)、各ステップのステップ時間、各ステップの実行順序、等に基づいて演算して得られる値である。本実施形態では、制御パラメータとして、主にランプレート値を用いる場合を例として説明する。制御パラメータとして、ランプレート値の他にも、例えば、各設定項目をPID制御する際に参照されるPIDパラメータ値などを適用することもできる。なお、制御パラメータは、設定値の一項目として捉えることもできる。以下、設定値及び制御パラメータを総称して設定値と称することがある。
【0066】
制御部101は、レシピを構成するステップの情報と共に、演算部106が演算した制御値の時系列データを表示部204に表示させるように、操作部203の制御を行う。
【0067】
具体的には、例えば、演算の対象(すなわち、設定値が設定される設定項目)が処理室29の温度である場合、演算部106は、処理室29の温度に関する設定値、ランプレート値、各ステップのステップ時間、各ステップの実行順序、等に基づいて、一または複数のステップにおける制御値(制御値の時系列データ)を演算する。この場合、制御値は、プロセス制御部205から温度制御部205Aに処理室29の温度を指示するための情報となる。演算された制御値は、ステップ毎に記憶部104に記憶される。表示部204は、制御部101の制御に従って、記憶部104に記憶された制御値を時系列データとして、対応する一または複数のステップの情報とともに画面に表示する。ステップにはステップ時間が設定されており、画面には、例えば横軸を経過時間として、ステップ時間で区切られたステップ名称等を含むステップの情報が、制御値の時系列データに対応付けられるようにその近傍(例えば、下部)に表示される。また、画面には、制御値の時系列データに対応するステップの設定値、ランプレート値、および演算された制御値の少なくともいずれか一つが表示される。
【0068】
ここで制御値は、設定値のみに依存するものではなく、ランプレート値等の制御パラメータや、他の設定項目の設定値、各ステップのステップ時間、各ステップの実行順序、等の他の要素にも依存して変化することがある。そのため、ユーザは、設定値のみから実際の制御値が適正な値となるかどうかを判断することが困難なことがある。一方、本実施形態のように制御値の演算を行うことによって、レシピ編集中に編集したレシピの各設定値に対する制御値について、実際にレシピを実行することなく、各設定値に対する制御値の整合性を確認することができる。制御値が適切でない場合には、すぐにレシピ編集に戻り、レシピを構成するステップの組合せや実行順序等を規定するステップ編成や、ステップに設定された設定値の修正を行うことができる。
【0069】
また、制御値の時系列データをステップの情報に対応して表示することにより、制御値がどのステップに対応しているのかを容易に把握することができる。これにより、レシピ編集時における作業効率を向上させることができる。
【0070】
次に、
図4~
図6を参照して、本実施形態に係るシミュレーション処理に伴う表示部204の画面遷移例について具体的に説明する。
【0071】
図4は、本実施形態に係るレシピ編集画面40の一例を示す正面図である。
図4に示すレシピ編集画面40は、レシピ情報表示領域41、ステップ情報表示領域42、アイテム種別選択領域43、アイテム設定領域44、及びボタン表示領域45を備えている。
【0072】
レシピ情報表示領域41には、例えば、レシピ種別、レシピ名称、レシピに登録されているステップの中から現在選択されているステップ番号等が表示される。ステップ情報表示領域42には、レシピに登録されているステップ情報の一覧が表示される。なお、ステップ情報には、例えば、ステップ番号、ステップ名称、実行コマンドの有無、そのステップにおける各種アイテムに対する設定の有無等が含まれる。
【0073】
アイテム種別選択領域43には、アイテム設定領域44に表示するアイテムの種別が選択可能に表示される。例えば、アイテム種別選択領域43には、プルダウン形式やタブ形式で、複数のアイテム種別の中から一つを選択可能に表示することができる。ここでいうアイテムとは、各ステップにおける設定項目の一例である。なお、選択可能なアイテムの種別には、固定情報、温度、圧力、状態情報、ローダー(搬送機構)、MFC、コンビネーション情報、ステップ時間、ステップのループ回数、等が含まれる。ここでいう状態情報とは、ガスパターンともいい、ガス配管及びバルブの少なくとも一方の状態を示す情報である。ガス配管の状態とはガス流量を表し、バルブの状態とはバルブのオン/オフを表す。
【0074】
アイテム設定領域44は、アイテム種別選択領域43で選択されたアイテム種別に属する、一または複数のアイテムの設定を行う領域である。設定項目の一例である各アイテムに設定可能な項目には、例えば、アイテム名称、設定値、及び制御パラメータ(ランプレート値等)等が含まれる。なお、アイテム種別選択領域43で選択されたアイテム種別によって各アイテムに対して設定可能な項目は異なる。アイテム種別選択領域43において「温度」が選択された場合、例えば、処理室29内を加熱する一または複数のヒータのそれぞれの温度や、処理室29内を区分する複数のヒータゾーンのそれぞれの温度が、アイテムとしてアイテム設定領域44に一覧表示される。
【0075】
なお、各ステップにおける設定値及び制御パラメータは、レシピ編集画面40上においてユーザにより直接入力や変更が可能であるように構成されていてもよい。また、設定値及び制御パラメータは、レシピ編集画面40ではなく、ステップごとに他の編集画面等を介してのみ、入力や変更が可能であるように構成されていてもよい。
【0076】
ボタン表示領域45には、レシピ編集画面40で実行可能な動作が定義された複数のボタンが表示される。ボタン表示領域45には、例えば、Closeボタン45A、Saveボタン45B、Insertボタン45C、Deleteボタン45D、Copyボタン45E、Pasteボタン45F、及びSimulationボタン45Gが表示される。
【0077】
Closeボタン45Aが押下(例えば、タッチ操作、カーソル操作等)されると、レシピ編集画面40を閉じる動作が実行される。なお、レシピ編集時にCloseボタン45Aが押下されると、保存の確認を行うポップアップ画面を表示させる。Saveボタン45Bが押下されると、レシピ編集画面40で編集された内容を保存する動作が実行される。Insertボタン45Cが押下されると、編集中のレシピに対してステップを挿入する動作が実行される。Deleteボタン45Dが押下されると、編集中のレシピから選択中のステップを削除する動作が実行される。Copyボタン45Eが押下されると、指定されたステップの情報を一時メモリ等にコピーする動作が実行される。Pasteボタン45Fが押下されると、Copyボタン45Eでコピーしたステップの情報が指定のステップに貼り付ける動作が実行される。Simulationボタン45Gが押下されると、上述のシミュレーション処理が実行される。
【0078】
ここで、操作部203は、設定項目の一例であるアイテムの編集操作中に制御値の演算を制御部101に指示することができるように構成されている。具体的には、例えば、
図4に示すレシピ編集画面40でレシピ編集中にSimulationボタン45Gが押下されると、操作部203が制御部101に、後述するアイテム種別選択画面50において選択されたアイテム種別に関する制御値の演算を指示し、制御部101が演算部106に制御値の演算の実行を指示する。
【0079】
これにより、レシピ編集中であってもその時点の各アイテムの設定値が適切か否かを確認することができる。このため、誤ったレシピの設定が防止される。
【0080】
図5は、本実施形態に係るアイテム種別選択画面50の一例を示す正面図である。
図5に示すアイテム種別選択画面50は、
図4のレシピ編集画面40のSimulationボタン45Gが押下されると、ダイアログ画面又はポップアップ画面として表示される。
【0081】
図5に示すアイテム種別選択画面50には、シミュレーション処理の対象となるアイテムの種別として、例えば、温度、ガス流量、圧力、搬送機構(ローダー)の少なくとも1つが選択可能に表示される。
【0082】
ここで、操作部203は、当該選択に基づき、シミュレーション処理、つまり、制御値の演算を行うアイテムの種別を示す情報を種別情報として取得する。種別情報は、例えば、温度、ガス流量、圧力、及び搬送機構(ローダー)の情報の内、少なくともいずれか一つを含む。具体的には、例えば、
図5に示すアイテム種別選択画面50を介してユーザが選択したアイテム種別が種別情報として操作部203に取得される。
図5において、アイテム種別は、種別情報の一例である。ユーザがアイテム種別選択画面50の温度、ガス流量、圧力、及び搬送機構(ローダー)の少なくとも1つを選択した後に、「OK」ボタンを押下することで、アイテム種別の選択が確定される。なお、選択されるアイテム種別数は、1つでもよいし、複数でもよい。操作部203が制御部101に選択されたアイテム種別を通知し、通知後に制御部101はアイテム種別選択画面50を閉じる。一方、「Cancel」ボタンが押下されると、アイテム種別の選択を解除し、アイテム種別選択画面50を閉じる。
【0083】
つまり、全てのアイテム種別について一括で制御値を演算するのではなく、予め選択されたアイテム種別についてのみ制御値の演算を行うことができる。このため、制御値の演算にかかる処理負荷が軽減される。なお、シミュレーション処理は、アイテム種別ごとに、そのアイテム種別に属する全てのアイテムについて行う場合に限らず、選択された一または複数のアイテムに対してのみ、そのアイテムの制御値の演算を行うようにしてもよい。例えば、アイテム種別選択画面50を表示させることなく、Simulationボタン45Gが押下された時点において選択されている一または複数の設定項目(アイテム)についてシミュレーション処理を行うようにしてもよい。また、アイテム種別選択画面50においてアイテム種別が選択されると、選択されたアイテム種別に属する一または複数のアイテムを選択可能なアイテム選択画面を更に表示させ、アイテム選択画面において選択された一または複数のアイテムについてシミュレーション処理を行うようにしてもよい。
【0084】
ここで、演算部106は、ステップの実行順序を、編集操作の対象となっているレシピ単独において設定されたステップの順序にかかわらず、他のレシピの設定に応じて、基板を処理する実動作に合わせて入れ替えるようにしてもよい。レシピには他のレシピ(例えば、サブレシピ、アラームレシピ)の実行、目的のステップへのジャンプ、ステップの繰り返しを指定することができる。このため、編集したステップの順番と実行時のステップの順番とが異なる場合がある。また、制御値は直前のステップにおける制御対象の状態などによっても変化するため、ステップの順番が異なることにより制御値も変化することがある。このため、制御値の時系列データをより実際の動作に近付けるために、ステップの指定内容に合わせてステップの順番を入れ替え可能とすることが望ましい。
【0085】
つまり、基板を処理する実動作に合わせてステップの実行順序を入れ替えることにより、実際の基板処理時のステップ動作により近付けることができる。このため、演算した制御値の信頼性を高めることができる。また、制御値の時系列データを画面表示する際にも、入れ替えたステップの実行順序で表示するようにしてもよい。
【0086】
また、演算部106により演算された制御値の時系列データは、実動作の際のステップの実行順序に対応付けて記憶部104に記憶されるようにしてもよい。つまり、演算して得られた制御値の時系列データは、再構成、つまり、入れ替えたステップの順に記憶部104に記憶される。
【0087】
なお、記憶部104に代えて、RAM103に一時的に保存しても良い。また、外部記憶部202として、記録媒体の一例であるUSBメモリ、CD、又はDVD等を接続して保存しても良い。また、外部通信部201を介して他の装置又は管理PCと接続し、保存しても良い。この場合、例えば、外部の記録媒体、又は、ネットワークを介して外部機器と接続し、制御値の時系列データを保存することにより、装置内部の記憶領域を確保することが可能となる。
【0088】
図6は、本実施形態に係る演算結果表示画面60の一例を示す正面図である。
図6に示す演算結果表示画面60は、
図5のアイテム種別選択画面50でアイテム種別が選択され、「OK」ボタンが押下されると、表示される。
図6の画面は、一例として、「温度」及び「ガス流量(MFC)」が選択された場合の画面である。
【0089】
図6に示すように、表示部204は、制御値の時系列データを表示する画面の一例である演算結果表示画面60を有する。表示部204は、演算結果表示画面60に、レシピに含まれる一または複数のステップの制御値の時系列データを、ステップの実行順序に合わせて表示する。
【0090】
つまり、表示部204は、記憶部104に記憶した制御値を各ステップの最初から取得して時系列データとして表示する。時系列データとして表示するデータは、例えば、各ステップの制御値をつないでチャート表示しても良いし、ステップ毎に棒グラフで表示しても良い。また、前後のステップ間の差分のみを棒グラフで表示しても良い。
【0091】
この場合、ステップ毎に演算して得られた制御値を時系列データとしてチャート表示することにより、前後のステップでの変化を明確に把握することができる。また、前後のステップの差分のみを棒グラフ表示することにより、前ステップからの変化分をより明確に把握することができる。
【0092】
図6に示す演算結果表示画面60は、例えば、演算結果表示領域61、ステップ情報表示領域62、処理条件表示領域63、及びスクロールバー表示領域64を備えている。
【0093】
演算結果表示領域61は、第1表示領域の一例であり、制御値の時系列データを表示する領域である。具体的には、演算結果表示領域61は、選択されたアイテム種別の制御値を時系列データとして表示する。アイテム種別が複数選択されている場合には、複数のアイテム種別を例えば上下に分割して表示する。横軸は時間(レシピを実行してからの経過時間)を示し、縦軸は選択されたアイテム種別のスケールを示す。例えば、温度であれば「摂氏又は華氏」、MFCであれば「流量」である。
【0094】
ステップ情報表示領域62は、第2表示領域の一例であり、ステップの情報を表示する領域である。具体的には、ステップ情報表示領域62は、選択されたアイテム種別のアイテムが設定されたステップの情報を表示する。ステップの情報は、例えば、ステップの名称である。また、ステップ実行中に他のレシピを実行する場合は、メインとなるレシピの下段に他のレシピのステップ情報を表示しても良い。あるいは、メインとなるレシピと他のレシピを区別するような表示であっても良い。
【0095】
例えば、制御値の時系列データの下部にステップの情報を設けることにより、演算して得られた制御値と、ステップとの関連性を明確に把握することが可能となる。このため、誤った設定を行っている場合は、異常なステップを容易に特定することができる。
【0096】
処理条件表示領域63は、第3表示領域の一例であり、処理条件を表示する領域である。具体的には、処理条件表示領域63は、例えば、選択されたステップの設定項目、設定値、制御値、制御パラメータの少なくともいずれか一つを表示する。
図6の例では、設定項目として、温度を示す「Temperature」、ガス流量を示す「MFC」が表示されている。
【0097】
より具体的には、処理条件表示領域63は、例えば、制御値の時系列データの右側に演算したアイテム種別の処理条件を一覧で表示する。表示される処理条件には、アイテム種別毎に、例えば、設定値、制御値、及びランプレート値が含まれる。なお、設定値及び制御値以外の項目は、アイテム種別によって異なるが、例えば、選択したアイテムが温度、MFCである場合はランプレート値も表示する。
図6の例では、設定項目が「Temperature」として示され、設定値が「Temp1_Set」として示され、制御値が「Temp1_Target」として示され、ランプレート値が「Temp1_Ramprate」として示される。「Temp2」、「Temp3」についても同様である。設定項目が「MFC」として示され、設定値が「MFC1_Set」として示され、制御値が「MFC1_Target」として示され、ランプレート値が「MFC1_Ramprate」として示される。「MFC2」、「MFC3」についても同様である。
【0098】
また、制御値の時系列データをタッチすると、タッチした時系列データに該当するステップの値、例えば、温度であれば、タッチしたステップの設定値、制御値、及びランプレート値を表示する。また、制御値の時系列データをタッチすると、タッチした時系列データ上の時刻(例えばレシピ開始からの経過時間)における値、例えば、温度であれば、タッチした時刻における制御値を表示するようにしてもよい。制御値の時系列データのみでは制御値の正確な値を確認することが難しい場合がある。このため、制御値の時系列データにおいて確認したいステップの領域をタッチすることで、タッチにより指定されたステップに関する制御値等を確認することができる。
【0099】
スクロールバー表示領域64は、第4表示領域の一例であり、制御値の時系列データをスクロール表示させるスクロールバーを表示する領域である。表示部204は、スクロールバー表示領域64のスクロールバーに合わせて制御値の時系列データの表示位置を切り替える。
【0100】
ここで、制御部101は操作部203を介して、表示部204に、制御値の時系列データを、レシピで基板を処理した結果であるレシピ実行結果と合わせて、制御値の時系列データと、レシピ実行結果とを比較可能に表示させるようにしてもよい。具体的には、演算結果表示画面60において、過去にレシピで基板処理を実行したときのレシピ実行結果と制御値の時系列データを重ね合わせて表示するようにしてもよい。
【0101】
レシピ実行結果と制御値の時系列データを重ね合わせることにより、レシピ実行結果と制御値の時系列データとを比較することが可能となり、レシピの修正箇所を容易に特定することができる。
【0102】
また、制御部101は操作部203を介して、表示部204に、レシピで演算した制御値の時系列データを、他のレシピで演算した他のレシピの制御値の時系列データと合わせて表示させるようにしてもよい。具体的には、記憶部104には複数のレシピを記憶することが可能であり、演算結果表示画面60において、レシピで演算した制御値の時系列データに、複数のレシピのうち類似した他のレシピについての制御値の時系列データを重ね合わせて表示するようにしてもよい。
【0103】
同じ装置内の異なるレシピで演算した制御値の時系列データを重ね合わせて表示することにより、レシピ間での制御値の違いを確認することができる。
【0104】
また、制御部101は操作部203を介して、表示部204に、自装置で演算した制御値の時系列データを、他の装置で演算した他の装置の制御値の時系列データと合わせて時系列で表示させるようにしてもよい。具体的には、例えば、基本となるマスタ装置が有る場合に、新たにマスタ装置と類似した装置(以下、「類似装置」という。)を設置することが考えられる。このため、演算結果表示画面60において、類似装置で設定したレシピにより演算した制御値の時系列データと、マスタ装置で設定したレシピにより演算した制御値の時系列データとを重ね合わせて表示するようにしてもよい。
【0105】
これにより、マスタ装置と類似装置との間におけるレシピ設定の誤りだけでなく、装置間の機差によるレシピ設定の違いを特定することができる。
【0106】
また、表示部204は、制御値の時系列データと、ガス配管及びバルブの少なくとも一方の状態を示す状態情報とを並べて表示し、指定したステップの制御値の時系列データと、状態情報とを1つの画面で表示するようにしてもよい。具体的には、演算結果表示画面60において、例えば、制御値の時系列データとステップ情報の表示領域を小さくし、空いたスペースに状態情報を並べて表示するようにしてもよい。また、ガス配管及びバルブの少なくとも一方の状態を示す状態情報は、ガス配管とバルブの接続関係を示す配置図(ガスパターン図)として表示するようにしてもよい。
【0107】
例えば、アイテムからガス配管、バルブを選択した場合に、ガス配管及びバルブの少なくとも一方の状態を示す状態情報を1つの画面で表示することにより、ステップでのガス流量とバルブのオン/オフによるガスの流れ具合を容易に確認することができる。
【0108】
また、制御部101は操作部203を介して、演算部106に、操作部203において編集された基板の処理が異常終了する処理条件を演算させるようにしてもよい。この場合、制御部101は、演算部106により演算された異常終了する処理条件に基づいて、レシピによる異常時動作の適否を判定する。つまり、レシピ実行結果が異常となる処理条件、例えば、ステップ実行中に他のレシピである、アラームレシピやアボートレシピを実行させる処理条件を設定し、演算を行い、レシピ異常時の動作を確認する。
【0109】
あえてレシピ実行結果が異常となる処理条件を設定することにより、実際の装置でも確認することが難しい処理、例えばアラームレシピやアボートレシピの動作を容易に確認することができる。
【0110】
また、
図6に示すように、制御値の時系列データに対して閾値を設定するようにしてもよい。閾値は、アイテム毎に定義されるが、各アイテムで共通としてもよい。閾値は、例えば、過去の実験、マスタ装置、過去のレシピ実行結果等に基づいて算出され、記憶部104に記憶されている。閾値は、ステップ毎に算出してもよく、レシピ全体で算出してもよい。閾値は、アイテム種別によって上限値のみとしてもよく、又は、上限値及び下限値としてもよい。また、図示は省略するが、閾値の表示/非表示を指定可能としてもよい。
【0111】
判定部107は、演算部106により演算して得られた制御値の正否を判定する。具体
的には、判定部107は、予め定めた判定条件に従い、レシピのアイテム毎に制御値の正
否を判定する。なお、ここでいう予め定めた判定条件とは、上記閾値、つまり、レシピに
より基板を処理したときの結果に基づいて設定された閾値である。判定部107は、閾値
の範囲を超えた場合に、制御値によりレシピの実行不可と判定する。
【0112】
上記制御値の判定処理により、制御値に関する設定値又はランプレート値の誤った設定
を確認することができる。また、正常に基板の処理を行ったときの結果に基づいて閾値を
設定することにより、制御値の判定精度を高めることができる。
【0113】
表示部204は、判定部107により判定した結果、レシピの実行不可と判定された処条件のアイテムに対して、他のアイテムとは異なる表示を行うようにしてもよい。具体的には、演算結果表示画面60において閾値を超えたアイテムがある場合、例えば、該当するステップ情報の表示を他のステップ情報の表示と異ならせる。例えば、該当するステップ名称の背景色を変化させてもよいし、あるいは、該当するステップ名称の文字色を変化させてもよい。なお、表示形態の変化には、色の変化に限らず、文字フォントの変化、下線等の文字飾りの付与、文字サイズの変化等、各種の変化が含まれる。これにより、閾値を超えたアイテムがあることを明確にする。また、閾値を超えたステップの制御値の時系列データをタッチすることで、アイテム種別の該当する設定値、ランプレート値の背景色を他のアイテム種別と異なる表示としてもよい。
【0114】
上記のように、制御値が閾値を超えるアイテム及びステップを明示的に表示することにより、設定の誤りを容易に確認することができる。
【0115】
次に、
図7、
図8を参照して、本実施形態に係る基板処理装置1の作用を説明する。
図7は、本実施形態に係るシミュレーション処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7のステップS101では、操作部203が、一例として、上述の
図4に示すレシピ編集画面40を介して、レシピ編集操作を受け付ける。レシピ編集操作では、処理条件に少なくとも1つ含まれるアイテムについて編集操作が行われる。
【0116】
ステップS102では、制御部101が、ステップS101で編集操作を行った処理条件に合わせて、選択されたアイテムの設定値に対する制御値を演算するシミュレート実行処理を実行する。具体的には、
図4に示すレシピ編集画面40のSimulationボタン45Gが押下された場合に、
図8に示すシミュレート実行処理を実行する。
【0117】
図8は、
図7に示すステップS102のシミュレート実行処理の流れの一例を示すサブルーチンである。
図8のステップS111では、制御部101が、
図4に示すレシピ編集画面40を介してステップ毎に設定された値の整合性チェックを行う。
【0118】
ステップS112では、表示部204が、一例として、上述の
図5に示すアイテム種別選択画面50をポップアップ画面又はダイアログ画面として表示させ、操作部203が、アイテム種別選択画面50を介して、シミュレートするアイテム(例えば、温度、ガス流量、圧力、搬送機構等)の選択を受け付ける。
【0119】
ステップS113では、制御部101が、ステップS112で選択されたアイテムの関連情報として、例えば、レシピ(サブレシピ、アラームレシピ、アボートレシピ、リセットレシピ等)、テーブル(アラーム条件テーブル、リークチェックテーブル等)、各種パラメータ等を取得する。
【0120】
ステップS114では、制御部101が、選択されたアイテムのステップ情報の整列を行う。具体的には、レシピ中に呼び出されるサブレシピ、アラームレシピ、アボートレシピ、リセットレシピ、及び、ステップで指定されたジャンプ、繰り返し(ループ)等の情報に基づいて、全てのステップが時系列順に並ぶようにステップ情報の整列を行う。
【0121】
ステップS115では、演算部106が、ステップS114で時系列順に並んだ各ステップに設定されているアイテムの設定値及びランプレート値に基づいて、各ステップについての制御値を算出する。
【0122】
ステップS116では、制御部101が、ステップS115で各ステップについて算出した制御値を記憶部104に記憶し、
図7のステップS103にリターンする。
【0123】
図7に戻り、ステップS103では、制御部101が、記憶部104に記憶した各ステップについての制御値を時系列順に並べて時系列データとし、得られた制御値の時系列データを、ステップ情報と共に、一例として、上述の
図6に示す演算結果表示画面60に表示させ、一連の処理を終了する。
【0124】
このように本実施形態によれば、レシピ編集中に編集したレシピの各設定値に対する制御値について、実際にレシピを実行することなく、各設定値に対する制御値の整合性を確認することができる。制御値が適切でない場合には、すぐにレシピ編集に戻り、レシピを構成するステップの組合せや実行順序等のステップ編成や、ステップに設定された設定値の修正を行うことができる。制御値の時系列データはステップの情報に対応して表示されるため、制御値がどのステップに対応しているのか容易に把握することができる。
【0125】
<変形例1:可変値設定機能>
上述した本開示の一態様では、各ステップにおける設定値及び制御パラメータを、ユーザがレシピ編集画面40内のアイテム設定領域44上において入力および変更する例について説明した。しかし本開示に係る技術はこのような態様に限られない。
【0126】
各ステップの各設定項目に対して設定される設定値(以下の説明では、「設定値」とは制御パラメータも含むことがある)は、レシピ編集画面40上では直接編集することができず、レシピ編集画面40以外の他の編集画面などにおいて予め設定され、記憶部104等へ記録された値のみを、既定設定値(デフォルト設定値)として設定値に適用可能とすることがある。このようにレシピ編集画面40上で自由な設定値の入力および変更を制限することにより、レシピ編集画面40上で、ユーザによって、設定値が誤って変更されてしまうことを防止することができる。
【0127】
一方、このようにレシピ編集画面40上で既定設定値のみを適用可能とした場合、既定設定値以外のシミュレーション結果などを得るために、その都度、既定設定値を変更するための作業が必要となり、作業効率が大きく低下する場合がある。そこで、本変形例(変形例1)では、レシピ編集画面40上において各ステップの各設定項目に対して既定設定値のみを適用可能とするのではなく、レシピ編集画面40上においても、既定設定値とは異なる他の設定値(以下、単に可変設定値と称する)を、既定設定値から置き換えるように、一時的に設定可能とする。
【0128】
具体的には、例えば、各設定項目に対して、既定設定値と、設定値の候補となる一または複数の値(候補値)とが予め記憶部104に記憶されている。アイテム設定領域44では、既定設定値およびそれらの候補値の中から一つを選択可能とし、選択された既定設定値、もしくは選択された候補値(すなわち可変設定値)が、対応する設定項目に対して設定される。既定設定値および可変設定値は、例えば、各設定項目に対して設けられる、複数の候補値が表示されたプルダウンボタンから選択するようにしてもよい。
【0129】
また、各設定項目に対して、既定設定値を設定するか、可変設定値を設定するかを択一的に選択可能とする表示(例えば、プルダウンボタン、新たにポップアップ表示されるダイアログボックス等)を行うようにしてもよい。ここで、既定設定値を設定する状態が選択された場合には、設定値として既定設定値が設定される。可変設定値を設定する状態が選択された場合には、各設定項目に対して設けられる一または複数の可変設定値の候補が表示されたプルダウンボタン等の表示から、一の可変設定値を選択する。
【0130】
各設定項目に対する候補値は、レシピ編集画面40以外の他の編集画面上で設定してもよく、また、外部記憶部202に記憶された候補値のデータを読み込むことにより設定してもよい。また、例えば、アイテム設定領域44上において、入力部からユーザにより入力された数値が、可変設定値として所定の設定項目に対して設定されるようにしてもよい。
【0131】
本変形例ではさらに、アイテムの編集操作中に、既定設定値に代えて設定された可変設定値を含む設定値に基づいて、制御値の演算(シミュレーション)を制御部101に実行させる。具体的には、例えば、レシピ編集中にSimulationボタン45Gが押下されると、アイテム種別選択画面50において選択されたアイテム種別に関する制御値の演算を、可変設定値を含む設定値に基づいて実行する。なお、既定設定値が設定されたアイテム(設定項目)については、上述の一形態と同様に、既定設定値に基づいて制御値の演算を行う。
【0132】
これにより、可変設定値を含む設定値に基づく制御値を、実際にレシピを実行することなく確認することができるため、レシピ編集中に設定された可変設定値が適切か否かをユーザが容易に確認することができる。
【0133】
なお、このシミュレーション演算を行う際に、可変設定値が設定された設定項目についても、可変設定値に置き換えられる前の既定設定値のみを含む設定値に基づいて制御値のシミュレーションを行う演算を同時に実行するようにしてもよい。これにより、後述する演算結果表示画面60´において、可変設定値を含む設定値に基づく制御値のシミュレーション(すなわち、可変設定値シミュレーション)で得られた制御値の時系列データをグラフとして表示する状態と、既定設定値のみを含む設定値に基づく制御値のシミュレーション(すなわち、既定設定値シミュレーション)で得られた制御値の時系列データをグラフとして表示する状態とを素早く切り替えること、もしくは、両方の時系列データを同時にグラフとして表示することが可能となる。
【0134】
図9は、本変形例(変形例1)に係る演算結果表示画面60´の一例を示す正面図であり、以下で特に言及する以外の点については、上述の本開示の一形態における演算結果表示画面60と同様である。演算結果表示画面60´は、アイテム種別選択画面50でアイテム種別が選択され、「OK」ボタンが押下されると、シミュレーション演算の実行後に表示される。
【0135】
アイテム種別選択画面50では、可変設定値シミュレーションを行うか、既定設定値シミュレーションを行うか、を選択可能とする表示を行ってもよい。例えば、可変設定値シミュレーションと既定設定値シミュレーションのいずれかを択一的に選択可能なボタンや、プルダウンボタンをアイテム種別選択画面50に表示することができる。
【0136】
シミュレーション演算が実行された後、演算結果表示画面60´には、表示部204によって、可変設定値シミュレーションによって得られた制御値の時系列データが、ステップの実行順序に合わせて表示される。
【0137】
演算結果表示領域61´は、第1表示領域の他の一例であり、可変設定値シミュレーションによって得られた制御値の時系列データを表示する領域である。
【0138】
さらに本変形例では、演算結果表示領域61´に可変設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを表示する状態(V_Set_Sim)と、同領域に既定設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを表示する状態(D_Set_Sim)と、)と、同領域に両方の時系列データを同時に重ね合わせるように(もしくは同一時間軸上で並列させるように)表示する状態(V+D_Set_Sim)と、を選択可能とする表示を行ってもよい。例えば、演算結果表示領域61´のアイテム種別ごとの領域それぞれに、上述の3種類の状態を択一的に選択可能なボタンやプルダウンボタンを表示する。
図9では、時系列データ表示切替領域65A、65Bに、それぞれ上述の3種類の状態を択一的に選択可能なプルダウンボタンを表示する例が示されている。
図9では、演算結果表示領域61´の上段の、温度の時系列データを表示する領域が既定設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを表示し、下段の、ガス流量の時系列データを表示する領域が可変設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを表示する状態を示している。
【0139】
また、演算結果表示領域61´に可変設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを表示する状態(V_Set_Sim)と、同領域に上述の両方の時系列データを同時に表示する状態(V+D_Set_Sim)では、可変設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを示すグラフのうち、既定設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データと異なる部分を強調表示してもよい。強調表示は、例えば、
図9に示すように線の太さを大きくすることや、線の色を変更することなどが挙げられる。
【0140】
処理条件表示領域63´は、第3表示領域の他の一例であり、選択されたアイテム種別の処理条件を表示する領域である。本変形例では、上述の本開示の一形態において、温度に関するアイテムの設定値が「Temp1_Set」として表示されるもの代えて、例えば、可変設定値と既定設定値をそれぞれ「Temp1_V_Set」、「Temp1_D_Set」として表示する。また、同様に、シミュレーションによって算出された制御値が「Temp1_Target」として表示されるもの代えて、例えば、可変設定値シミュレーションと既定設定値シミュレーションで得られた制御値を、それぞれ「Temp1_V_Target」、「Temp1_D_Target」として表示する。また、ガス流量(MFC)に関するアイテムの設定値および制御値についても同様である。
【0141】
<変形例2:条件付き設定値設定機能>
さらに本開示の他の態様(変形例2)では、レシピ編集画面40上において、各ステップの各設定項目に対して、条件に応じて自動選択される条件付き設定値(以下、単に条件設定値と称する)を、既定設定値から置き換えるように、一時的に設定可能とする。なお、本変形例は、以下で特に言及する以外の点については、上述の変形例(変形例1)における態様と同様である。
【0142】
本変形例では、編集対象となるレシピに対して、条件設定値が決定される際に参照される条件パラメータの値(条件パラメータ値)が設定される。設定される条件パラメータとしては、例えば、レシピに従って一度に処理される製品ウェハの枚数や、レシピに従った処理によって製品ウェハ上に形成される膜の目標厚さ(目標膜厚)などが挙げられる。これらの条件パラメータ値は、レシピ編集画面40以外の他の画面において設定されてもよく、レシピ編集画面40上に表示された条件パラメータの設定領域を介して設定されてもよい。
【0143】
各設定項目に対しては、既定設定値と、複数の異なる条件パラメータ値(または値の範囲)にそれぞれ対応付けられた設定値の候補となる値(候補値)と、が予め記憶部104に記憶されている。例えば、製品ウェハの枚数が条件パラメータとして参照される場合、条件1として1~50枚、条件2として51~100枚、というように、2つの値の範囲に対して、それぞれ条件設定値の候補値が対応付けられる。
【0144】
アイテム設定領域44では、各設定項目に対して、既定設定値を設定するか、条件設定値を設定するか、を択一的に選択可能とする表示(例えばプルダウンボタン等)が行われる。ここで、既定設定値を設定する状態が選択された場合には、設定値として既定設定値が設定される。条件設定値を設定する状態が選択された場合には、レシピに対して設定された条件パラメータ値が参照され、記憶部104に記憶された候補値の中から、当該条件パラメータ値に対応する設定値が条件設定値として自動選択される。選択された条件設定値は、既定設定値に代えて、対象の設定項目に対して設定される。
【0145】
例えば、条件設定値を設定する際に製品ウェハの枚数が条件パラメータとして参照される場合、設定項目に対して条件設定値を設定する状態が選択されると、編集対象のレシピに対して設定されている製品ウェハの枚数(例えば100枚)が参照され、対応する候補値(上述の例では、100枚が含まれる条件2に対応付けられていた候補値)が対象の設定項目に対して設定される。
【0146】
本変形例ではさらに、アイテムの編集操作中に、既定設定値に代えて設定された条件設定値を含む設定値に基づいて、制御値の演算(シミュレーション)を制御部101に実行させる。具体的には、例えば、レシピ編集中にSimulationボタン45Gが押下されると、アイテム種別選択画面50において選択されたアイテム種別に関する制御値の演算を、条件設定値を含む設定値に基づいて実行する。
【0147】
これにより、条件設定値を含む設定値に基づく制御値を、実際にレシピを実行することなく確認することができるため、条件パラメータ値に応じて変化する条件設定値が適切か否かを、レシピ編集中にユーザが容易に確認することができる。
【0148】
なお、この演算を行う際に、レシピに対して設定された条件設定値以外の候補値を条件設定値として含む設定値に基づいて、制御値のシミュレーションを行う演算を同時に実行するようにしてもよい。例えば、製品ウェハの枚数に対して2つの候補値が対応付けられた上述の例では、参照した条件パラメータ値に合致した条件2に対応する候補値以外の、自動選択されなかった条件1に対応する候補値を条件設定値として含む設定値に基づいて、制御値のシミュレーションを行う演算も実行する。これにより、後述する演算結果表示画面60´´において、条件1に対応する条件設定値を含む設定値に基づく制御値のシミュレーション(すなわち、条件1の条件設定値シミュレーション)で得られた制御値の時系列データをグラフとして表示する状態と、条件2に対応する条件設定値を含む設定値に基づく制御値のシミュレーション(すなわち、条件2の条件設定値シミュレーション)で得られた制御値の時系列データをグラフとして表示する状態と、を素早く切り替えること、もしくは、両方の時系列データを同時にグラフとして表示することが可能となる。
【0149】
図10は、本変形例(変形例2)に係る演算結果表示画面60´´の一例を示す正面図である。演算結果表示画面60´は、アイテム種別選択画面50でアイテム種別が選択され、「OK」ボタンが押下されると、シミュレーション演算の実行後に表示される。変形例1と同様に、アイテム種別選択画面50において、条件設定値シミュレーションを行うか、既定設定値シミュレーションを行うか、を選択可能とする表示を行ってもよい。
【0150】
シミュレーション演算が実行された後、演算結果表示画面60´´には、表示部204によって、条件設定値シミュレーションによって得られた制御値の時系列データが、ステップの実行順序に合わせて表示される。演算結果表示領域61´´は、第1表示領域の他の一例であり、可変設定値シミュレーションによって得られた制御値の時系列データを表示する領域である。
【0151】
さらに本変形例では、演算結果表示領域61´´に条件1の条件設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを表示する状態(C1_Set_Sim)と、同領域に条件2の条件設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを表示する状態(C2_Set_Sim)と、同領域に既定設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを表示する状態(D_Set_Sim)と、同領域に上述の3つの時系列データを同時に重ね合わせるように(もしくは同一時間軸上で並列させるように)表示する状態(C1+C2+D_Set_Sim)と、を選択可能とする表示を行ってもよい。例えば、演算結果表示領域61´´のアイテム種別ごとの領域それぞれに、上述の4種類の状態を択一的に選択可能なボタンやプルダウンボタンを表示することができる。
図10では、時系列データ表示切替領域66A、66Bに、それぞれ上述の4種類の状態を択一的に選択可能なプルダウンボタンを表示する例が示されている。
図10では、演算結果表示領域61´´の上段の、温度の時系列データを表示する領域が条件1の条件設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを表示し、下段の、ガス流量の時系列データを表示する領域が既定設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを表示する状態を示している。上述の組合せ以外にも、上述の3つの時系列データの任意の組合せを、演算結果表示領域61´´へ同時に表示するようにしてもよい。
【0152】
また、演算結果表示領域61´´に条件設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを表示する状態では、変形例1と同様に、条件設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データを示すグラフのうち、既定設定値シミュレーションで得られた制御値の時系列データと異なる部分を強調表示してもよい。
【0153】
処理条件表示領域63´´は、第3表示領域の他の一例であり、選択されたアイテム種別の処理条件を表示する領域である。本変形例では、温度に関するアイテムの設定値として、例えば、レシピ編集画面40上で設定された条件設定値と既定設定値をそれぞれ「Temp1_C1_Set」、「Temp1_D_Set」として表示する。また、同様に、例えば、条件設定値シミュレーションと既定設定値シミュレーションで得られた制御値を、それぞれ「Temp1_C1_Target」、「Temp1_D_Target」として表示する。また、ガス流量(MFC)に関するアイテムの設定値および制御値についても同様である。
【0154】
<本開示のその他の態様>
以上、実施形態に係る基板処理装置を例示して説明した。実施形態は、基板処理装置の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムの形態としてもよい。実施形態は、これらのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な非一時的記録媒体の形態としてもよい。
【0155】
その他、上記実施形態で説明した基板処理装置の構成は、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよい。
【0156】
また、上記実施形態で説明したプログラムの処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0157】
また、上記実施形態では、プログラムを実行することにより、実施形態に係る処理がコンピュータを利用してソフトウェア構成により実現される場合について説明したが、これに限らない。実施形態は、例えば、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現してもよい。
【0158】
上記実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。また、上述の態様では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。
【0159】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上記実施形態と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0160】
1 基板処理装置
29 処理室(処理部)
101 制御部
106 演算部
203 操作部
204 表示部