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特開2024-134508情報処理システム、メンテナンススケジュール表示制御方法、メンテナンス管理システム、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134508
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】情報処理システム、メンテナンススケジュール表示制御方法、メンテナンス管理システム、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240926BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240926BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240926BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G06F3/12 334
G06F3/12 310
G06F3/12 329
G03G21/00 386
G03G21/00 396
G03G21/00 512
B41J29/38 350
B41J29/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201796
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2023044059
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】山村 宏樹
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061BB10
2C061BB11
2C061CG02
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ41
2C061HH03
2C061HJ07
2C061HK11
2C061HK19
2C061HQ01
2C061HV02
2C061HV18
2C061HV26
2C061HV32
2H270QB07
2H270QB08
2H270QB09
2H270RC03
2H270RC04
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】定期メンテナンスの実施の前倒しをユーザーに提案できる技術を提供すること。
【解決手段】本発明は、第一のメンテナンスと、第一のメンテナンスとは異なり、追加で
実施する第二のメンテナンスとのメンテナンススケジュールを決定するメンテナンス管理
システムであって、前記第二のメンテナンスのメンテナンスが決定された場合、前記第二
のメンテナンスのメンテナンススケジュールに基づいて前記第一のメンテナンスのメンテ
ナンススケジュールの前倒し実施に関する情報700を表示手段に表示させる表示制御部
、を有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のメンテナンスと、第一のメンテナンスとは異なり、追加で実施する第二のメンテナンスとのメンテナンススケジュールを決定する情報処理システムであって、
前記第二のメンテナンスのメンテナンスが決定された場合、前記第二のメンテナンスのメンテナンススケジュールに基づいて前記第一のメンテナンスのメンテナンススケジュールの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示させる表示制御部、
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記第一のメンテナンスではメンテナンスの対象モジュールが決まっており、 前記表示制御部は、前記第二のメンテナンスの対象モジュールと同じ対象モジュールをメンテナンスする前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示させる請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスを実施する予定日までの期間が所定日数以下である場合、
前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記第一のメンテナンスが実施されずに、前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報が非表示にされた場合、
前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報が保持されている旨を所定の画面に表示し、
前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスを実施する予定日までの期間が所定日数以下になった場合、前記表示制御部は、前記所定の画面から前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報が保持されている旨を消去する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、所定のタイミングで、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示させることを繰り返し、
前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスを実施する予定日までの期間が所定日数以下になった場合、前記表示制御部は、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報の表示を停止する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
追加することが決定された前記第二のメンテナンスに対応付けて、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスの前倒し実施の実施有無が設定された通知履歴情報記憶部を有し、
前記表示制御部は、前記通知履歴情報記憶部に設定されている、過去に前倒し実施に関する情報が表示された前記第一のメンテナンスの前倒し実施の実施有無に基づいて、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報を表示させるか否かを変更する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
追加することが決定された前記第二のメンテナンスにおける対象モジュールと同じ対象モジュールをメンテナンスする前記第二のメンテナンスが、前記通知履歴情報記憶部において前倒し実施されている場合、前記表示制御部は、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報を表示させる請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記通知履歴情報記憶部に設定されている、過去に前倒し実施に関する情報が表示された前記第一のメンテナンスが実施された比率に基づいて、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報を表示させるか否かを変更する請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記第一のメンテナンスは、機器のカウンタ値に基づいて設定される定期メンテナンスであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記第二のメンテナンスは、機器の機器状態情報を故障予測モデルに入力して検出される故障の予兆に対処するための追加メンテナンスであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前倒し実施に関する情報とは、前倒しを推奨する情報であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前倒し実施に関する情報とは、前倒しが可能であることを示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記第一のメンテナンスは、定期的に実施されるメンテナンスであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項14】
第一のメンテナンスと、第一のメンテナンスとは異なり、追加で実施する第二のメンテナンスとのメンテナンススケジュールを決定するメンテナンススケジュール表示制御方法であって、
前記第二のメンテナンスのメンテナンスが決定された場合、前記第二のメンテナンスのメンテナンススケジュールに基づいて前記第一のメンテナンスのメンテナンススケジュールの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示させる、メンテナンススケジュール表示制御方法。
【請求項15】
第一のメンテナンスと、第一のメンテナンスとは異なり、追加で実施する第二のメンテナンスとのメンテナンススケジュールを決定するメンテナンス管理システムであって、
前記第二のメンテナンスのメンテナンスが決定された場合、前記第二のメンテナンスのメンテナンススケジュールに基づいて前記第一のメンテナンスのメンテナンススケジュールの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示させる表示制御部、
を有するメンテナンス管理システム。
【請求項16】
第一のメンテナンスと、第一のメンテナンスよりメンテナンス実施の優先度が低い第二のメンテナンスのメンテナンススケジュールを決定する情報処理システムであって、
前記第二のメンテナンスのメンテナンスが決定された場合、前記第二のメンテナンスのメンテナンススケジュールに基づいて前記第一のメンテナンスのメンテナンススケジュールの前倒し実施に関する情報を機器に送信する通信部、を有し、
前記機器が前記第一のメンテナンスのメンテナンススケジュールの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示する、情報処理システム。
【請求項17】
第一のメンテナンスと、第一のメンテナンスとは異なり、追加で実施する第二のメンテナンスとのメンテナンススケジュールを決定する情報処理装置を、
前記第二のメンテナンスのメンテナンスが決定された場合、前記第二のメンテナンスのメンテナンススケジュールに基づいて前記第一のメンテナンスのメンテナンススケジュールの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示させる表示制御部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、メンテナンススケジュール表示制御方法、メンテナンス管理システム、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の機器ではモータやクラッチなどが機械的な動作を行って色材で印刷を行うため、清掃や部品交換など各種のメンテナンス(第一のメンテナンス)が必要になる場合がある。例えば大型の画像形成装置(商用プリンタなど)の場合、様々なメンテナンス作業が行われる。メンテナンス作業としてはユーザー等が画像形成装置に対して手作業で行うものもあるし、管理者が端末装置等から画像形成装置の設定値を変更するものもある。
【0003】
効率的にメンテナンスを実施するための技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、機器の故障の予兆が検知された場合に、即座に臨時のメンテナンス作業の実施を行う場合と比較して効率的に保守作業が行われるようにメンテナンススケジュールを更新するシステムが開示されている。
【0004】
しかしながら、従来の技術では、ユーザーが臨時に追加されたメンテナンス(第二のメンテナンス)を実施するタイミングを決定する余地が少ないという課題がある。例えば、特許文献1のように定期メンテナンスのタイミングで臨時メンテナンスを実施するようメンテナンススケジュールを更新することで、メンテナンス作業自体についての効率化が図れる。しかし、本来、機器は印刷物の印刷などの生産作業に使用されるため、機器のユーザーは、生産作業を阻害しにくいタイミングでメンテナンスを実施することを望んでいる。このため、予め作業内容と実施日程が定まっている定期メンテナンス以外の追加メンテナンスが、生産作業に配慮せずメンテナンススケジュールに追加されると、ユーザーによる生産作業が滞る可能性がある。
【0005】
例えば、印刷物の納期が近く、機器を止めたくない場合などにおいては、ユーザーが追加メンテナンスを実施しないということがありえる。上記の従来技術では、予定されている定期メンテナンスのスケジュールを考慮した追加メンテナンスのスケジュール設定が行われているものの、追加メンテナンスは必ず実施することが前提となっており、機器のユーザーが実施するか否かを選択する余地がなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、第一のメンテナンスの実施の前倒しをユーザーに提案できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、第一のメンテナンスと、第一のメンテナンスとは異なり、追加で実施する第二のメンテナンスとのメンテナンススケジュールを決定する情報処理システムであって、前記第二のメンテナンスのメンテナンスが決定された場合、前記第二のメンテナンスのメンテナンススケジュールに基づいて前記第一のメンテナンスのメンテナンススケジュールの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示させる表示制御部、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術は、第一のメンテナンスの実施の前倒しをユーザーに提案できる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置が表示する定期メンテナンスの前倒し実施提案画面の一例を示す図である。
図2】メンテナンス管理システムのシステム構成例を説明する図である。
図3】DFEのハードウェア構成例を示す図である。
図4】画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
図5】画像形成装置の概略構成の変形例を示す模式図である。
図6】コンピュータのハードウェア構成図の一例である。
図7】サーバ装置、端末装置、及び、画像形成装置が有する機能をブロック状に分けて説明する機能ブロック図である。
図8】機器状態情報記憶部に記憶されている機器状態情報の一例を示す図である。
図9】機器管理情報記憶部に記憶されている機器管理情報の一例を示す図である。
図10】故障メンテナンス情報記憶部に記憶されている故障メンテナンス情報の一例を示す図である。
図11】追加メンテナンス、定期メンテナンス、及び、メンテナンス情報記憶部に記憶されているメンテナンス情報の一例を示す図である。
図12】通知履歴情報記憶部に記憶されている通知履歴情報の一例を示す図である。
図13】月単位のメンテナンススケジュール画面の一例を示す図である。
図14】週単位のメンテナンススケジュール画面の一例を示す図である。
図15】判断部が前倒し実施を推奨するか否かを判断する処理を説明する一例のフローチャート図である。
図16】前倒し実施の推奨を通知する定期メンテナンスの前倒し実施提案画面の一例を示す図である。
図17】警告画面、メンテナンス画面の一例を示す図である。
図18A】ガイダンス画面の一例を示す図である。
図18B】画像形成装置が配置された印刷工場の地図の一例を示す図である。
図18C】メンテナンスの終了後に画像形成装置が表示するパフォーマンス情報の一例を示す図である。
図19】拡張現実ヘッドセットを使用したメンテナンス作業を模式的に説明する図である。
図20】通知履歴情報記憶部に保存された通知履歴情報の更新を説明するフローチャート図の一例である。
図21】推奨された前倒し実施のメンテナンスをユーザーが実施したか否かに基づいて、前倒し実施の推奨を行うか否かを変更する処理を説明するフローチャート図の一例である。
図22】メンテナンス実施後のメンテナンススケジュールの表示例を説明する図である。
図23】画像形成装置とサーバ装置が通信し、画像形成装置が前倒し実施提案画面とメンテナンススケジュール画面を表示する処理を説明するシーケンス図の一例である。
図24】液体吐出装置の全体概略図の一例である。
図25】3Dプリンタのハードウェア構成例を示す概略図である。
図26】制御装置が有するディスプレイに表示された進捗状況画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、メンテナンス管理システムとメンテナンス管理システムが行うメンテナンススケジュール表示制御方法について説明する。
【0011】
<追加メンテナンスの表示の概略>
画像形成装置のメンテナンスとは、スキャナーの読み取り面の清掃のような簡単なものから、帯電装置の電圧調整のような専門的なものまで多種多様である。従来は、主にカスタマーエンジニアが顧客を訪問してメンテナンスを行っているが、作業負荷の軽いメンテナンスについては顧客側のユーザー(エンドユーザーでも管理者でもよい)が実施することで、現場の印刷作業を妨げることなく機器を良好な状態に保つ試みがある。
【0012】
したがって、ユーザーは日常業務である印刷物の生産に加え、定期メンテナンス(第一のメンテナンスの一例)を行う必要が生じている。また、画像形成装置から送信される機器状態情報を後述するサーバ装置が予測モデルに適用することで、故障の予兆を事前に検知できるため、臨時に追加メンテナンス(第二のメンテナンスの一例)を実施する必要も生じている。このため、印刷物の生産を阻害することを抑制しながら、定期メンテナンスと追加メンテナンスをユーザーが効率的に、実施することが求められるようになった。
【0013】
本実施形態では、故障の予兆を検知した場合に対処するための追加メンテナンスを決定するが、定期メンテナンスのうち、追加メンテナンスと同じ又は類似する定期メンテナンスを前倒し実施することを画像形成装置が表示し、ユーザーに定期メンテナンスの前倒し実施を勧める。
【0014】
図1は、画像形成装置が表示する定期メンテナンスの前倒し実施提案画面700の一例である。図1に示すように、前倒し実施提案画面700には「機械のデータを解析した結果、メンテナンスの前倒し実施が推奨されます。機械を最適な状態に保つために、「タスク実行」ボタンからメンテナンスを実施してください。」というメッセージ741、メンテナンスの対象モジュール742が表示されている。メッセージ741、メンテナンスの対象モジュール742は、前倒し実施に関する情報の一例である。
【0015】
このように、メンテナンス管理システムは、予めスケジュール化されている定期メンテナンスの前倒し実施の推奨を通知する。追加メンテナンスが追加されても、前倒し実施が推奨された定期メンテナンスが実施されると追加メンテナンスも実施済みとなる。したがって、追加メンテナンスが増えるわけでないため、印刷物の生産を阻害しにくい。例えば、印刷物の納期が近く、機器を止めたくない場合などでも、追加メンテナンスが増えるわけでないので、印刷物の生産スケジュールを調整するなどして前倒し実施が推奨された定期メンテナンスを実施できる場合がある。
【0016】
<用語について>
メンテナンスとは、機器が期待される機能を継続的に発揮できるように実施される、維持、管理、保守、修理、又は、これらに必要な作業である。メンテナンスは必ずしも故障の抑制のみには限られない。
【0017】
機器とは、メンテナンスを必要とする機械や構造物であればよい。本実施形態では、画像形成装置を機器の例として説明する。画像形成装置は用紙に印刷するものに限らず、3Dプリンタやアパレル商品用のプリンタでもよい。
【0018】
メンテナンススケジュールとは、メンテナンスの予定がカレンダーや時間割(タイムテーブル)等に登録された情報をいう。
【0019】
故障の予兆とは、故障が起ころうとするきざし又は前ぶれである。故障の予兆の検出時にすでに故障が生じていてもよい。
【0020】
ユーザーとは、画像形成装置103で印刷又はメンテナンス作業を行う者である。ユーザーは企業内の管理者でもよいし、一般ユーザーでもよい。これに対し、サービスマンやカスタマーエンジニアは、ユーザーから見て社外の者である。
【0021】
メンテナンスの優先度とは、メンテナンスを先に実施すべき度合いであり、重要度と称してもよい。定期メンテナンスは定期的に実施することが決まっているメンテナンスなので、追加メンテナンスよりも優先度が高い。追加メンテナンスは定期メンテナンスよりも優先度が低い。追加メンテナンスと定期メンテナンスは異なるメンテナンスとして説明するが、実際に行われるメンテナンスの内容は同じでもよい。
【0022】
前倒しとは、近い将来に実施する予定だった事柄を、状況に応じて時期を早めて取り上げることをいう。本実施例では、前倒しは、定期メンテナンスの実施日を予定日(又は予定時)よりも前に実施することをいう。前倒し実施に関する情報は、前倒しを推奨する情報、又は、前倒しが可能であることを示す情報でもある。前倒しを実施することで、たとえば、予め決まっている定期メンテナンスの実施日(予定日)が、追加になった追加メンテナンスの実施日(予定日)に伴って実施時期が早まり、追加メンテナンスと同時に定期メンテナンスが設定、あるいは統合される、もしくは追加メンテナンスが定期メンテナンスに置き換わる、定期メンテナンスのその回が削除される、といった、定期メンテナンスのスケジュールを自動変更する処理が実行される。前倒し日数や前倒しする時間はあらかじめメンテナンスアイテムごとや稼働状況との組み合わせで登録しておき、条件に該当する前倒し日数や時間がスケジュールへ反映される計算式でもよいし、この自動更新はAIによってスケジュールされてもよい。
<システム構成例>
図2は、本実施形態のメンテナンス管理システム100のシステム構成例を説明する図である。メンテナンス管理システム100は、サーバ装置104、DFE102、及び、画像形成装置103を有している。端末装置101についてはメンテナンス管理システム100が有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0023】
端末装置101とDFE102はネットワークNを介して通信可能である。ネットワークは例えば画像形成装置103が配置されている施設内のLANを含み、DFE102がインターネット上に配置されている場合は更にインターネットを含む。DFE102と画像形成装置103は専用線で1対1に接続される場合もあるし、ネットワークを介して接続される場合もある。また、DFE102と画像形成装置103は一体でもよいし、着脱可能でもよい。
【0024】
端末装置101ではWebブラウザが動作している。DFE102が備えるサーバにWebブラウザがアクセスして、タスク作成、スケジュール登録、及び、タスク実行のそれぞれの入力操作画面を表示する。端末装置101は、入力画面に対するタスク作成、スケジュール登録、及び、タスク実行などの操作を管理者から受け付け、これらをDFE102に要求する。
【0025】
なお、管理者はDFE102にログインするため、ユーザーIDとパスワードを端末装置101に入力する。端末装置101はユーザーIDとパスワードをDFE102に送信するので、DFE102による認証が成功すると、一般ユーザーか管理者か特定される。
一般ユーザーか管理者に応じて表示される画面や入力可能な項目が異なってよい。なお、管理者の認証は認証サーバが行ってもよい。
【0026】
認証が成功し、管理者がログインした場合、タスク作成、スケジュール登録、及び、タスク実行へのアクセス権が与えられ、一般ユーザーの場合、タスク実行へのアクセス権が与えられる。
【0027】
端末装置101は、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブルPC(サングラス型、腕時計型など)などである。ただし、通信機能を有しWebブラウザ又はDFE102に専用のアプリケーションソフトウェアが動作すればよい。例えば、カーナビ、ゲーム機、テレビ受像器なども端末装置101となりうる。
【0028】
なお、画像形成装置103でもWebブラウザが動作する場合、管理者は画像形成装置を操作してDFE102にタスク作成、スケジュール登録、及び、タスク実行を要求でき
る。
【0029】
また、DFE102がコンソール用のディスプレイに入力操作画面を表示し、キーボードからタスク作成、スケジュール登録、及び、タスク実行の処理を受け付けることも可能である。この場合、メンテナンス管理システム100に端末装置101は不要になる。
【0030】
DFE102は、画像形成装置103が実行する印刷ジョブの受け付け、画像処理(RIP:Raster Image Processer)、実行中の進捗管理、異常監視などを行う制御装置である。DFE102は端末装置101からタスク作成、スケジュール登録、及び、タスク実行の処理を受け付ける。すなわち、DFE102は、画像形成装置103を操作するユーザインタフェース(入力操作画面)を管理者に提供する。DFE102は1台以上の情報処理装置を有している。
【0031】
DFE102はWebブラウザが表示する画面の画面情報を生成する。画面情報は、HTML、XML、スクリプト言語、及びCSS(cascading style sheet)等で記述されたプログラムであり、主にHTMLによりWebページの構造が特定され、スクリプト言語によりWebページの動作が規定され、CSSによりWebページのスタイルが特定される。また、クライアント側の画面情報とサーバ側のアプリやデータベースが連携して実現するアプリをWebアプリという。本実施形態でも、端末装置101とDFE102が協働してWebアプリを実行する。
【0032】
DFE102は、端末装置101又は画像形成装置103からの要求に応じて、タスクやタスクのスケジュールのデータベースへの登録処理、及び、画像形成装置に対するタスク実行処理(機器設定の変更、操作の要求等)を行う。
【0033】
画像形成装置103はDFE102より受け付けた要求に応じて、印刷ジョブを実行する。画像形成装置103は、画像を用紙に印刷する機能を有している。画像を形成する方式にはレーザプリンタ、インクジェットプリンタ、サーマルプリンタ、スクリーン印刷、凹版印刷等がある。また、画像形成装置103は複合機(マルチファンクションプリンタ)、又は、MFP(Multi-function Peripheral/Product/Printer)の機能を有していてもよい。画像形成装置103は、プリンタ、印刷装置などと呼ばれていてもよい。また、画像形成装置103は、3DプリンタやDTG(Direct To Garment)プリンタ等でもよい。
【0034】
また、本実施形態の画像形成装置103は、いわゆる商用プリンタでもよい。商用プリンタは、社員等が社内的に使用する印刷物を印刷する機器ではなく、印刷物が商品となる商用印刷用の機器である。商用印刷では、画像形成装置103は、一般の企業や団体の事業活動に使われる印刷物を出力する。例えば、チラシ、パンフレット、ポスター、カタログ、会社案内、マニュアルなどを出力する場合がある。オフィス用の画像形成装置と商用の画像形成装置は、主に、印刷速度、画質、対応する用紙の種類・サイズなどが異なっている。
【0035】
また、本実施形態は、画像形成装置103以外の機器にも適用できる。画像形成装置103以外の機器は、例えば、PJ(Projector:プロジェクター)、電子黒板、テレビ会議端末、デジタルサイネージ、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ゲーム機等であってもよい。
【0036】
サーバ装置104は、メンテナンスに関する処理を実行する一台以上の情報処理装置である。複数の情報処理装置を有するシステムを情報処理システムという。すなわち、サーバ装置104は、機器状態情報を画像形成装置103から受信し、故障の予兆の有無を判断し、故障の予兆を検出した場合、追加メンテナンスの実施推奨期間を決定する。
【0037】
サーバ装置104は、クラウド上に存在しても、オンプレミスに存在してもよい。クラウドとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される情報処理の利用形態をいう。オンプレミスとは、主にサーバやソフトウェアなどのシステムを、ユーザー側の担当者が管理できる施設の構内に設置して運用することをいう。
【0038】
サーバ装置104は図2に示すように独立して存在する他、DFE102と一体でもよい。また、画像形成装置103がサーバ装置104の機能を有してもよい。
【0039】
<ハードウェア構成>
続いて、図3図6を参照して、DFE102、画像形成装置103、及び、サーバ装置104のハードウェア構成を説明する。
【0040】
<<DFE>>
図3は、DFE102のハードウェア構成例を示す図である。DFE102はコンピュータと同様の構成を有している。DFE102はCPU201、ROM202、RAM203、HDD/SSD204、I/F205、及び、操作部206を有している。
【0041】
CPU201は、RAM203を作業領域として使用し、ROM202に格納されているプログラムを実行する。
【0042】
HDD/SSD204は、記憶部として使用され、タスクやスケジュールの情報を格納している。HDD/SSD204に格納されている情報は、CPU201が読み出しプログラム実行時に使用することもある。
【0043】
I/F205は、画像形成装置103及び端末装置101との通信可能にするインターフェースである。
【0044】
操作部206は、タッチパネルを有し、画面上で画像形成装置の状態、タスクのスケジュール、タスクの内容などを表示する。また、操作部206は、タスクを実行するユーザー(管理者、一般ユーザー)や、タスク作成やスケジュール登録を行う管理者からの入力を受け付ける。
【0045】
<<画像形成装置>>
図4は、本実施形態における画像形成装置103の概略構成を示す模式図である。この画像形成装置103は、電子写真方式の画像形成装置であり、プリンタ81、給送装置200、スキャナー300、及び原稿自動搬送装置400などを備えている。但し、本発明の実施形態に係る画像形成装置103は、印刷して印刷物を出力する印刷機能を備えた印刷装置であれば、これらのうちの一部を備えているものでもよく、呼称によって限定されるものでもない。
【0046】
プリンタ81は、特殊色(S:Special)、不可視緑色(G:Invisible Green)、不可視赤色(R:Invisible Red)、不可視青色(B:Invisible Blue)、黒色(K:Key plate)の各色の画像を作像するための五つの現像ステーション18S、18G、18R、18B、18Kを具備する画像形成ユニットGUを備えている。各符号の数字(18)の後に付されたS、G、R、B、Kという添字は、それぞれ、特殊色用、不可視緑色用、不可視赤色用、不可視青色用、黒色用の部材であることを示している。以下の説明で使用される他の符号についても同様である。また、以下の説明では、S、G、R、B、Kの文字が、それぞれ、特殊色、不可視緑色、不可視赤色、不可視青色、黒色を示す場合もある。なお、特殊色は、不可視緑色、不可視赤色、不可視青色、及び黒色のいずれとも異なる色の総称である。
【0047】
不可視緑色は、不可視光線の下では視認できるが可視光線の下では視認しにくい緑色を意味する。不可視赤色は、不可視光線の下では視認できるが可視光線の下では視認しにくい赤色を意味する。不可視青色は、不可視光線の下では視認できるが可視光線の下では視認しにくい青色を意味する。プリンタ81は、不可視緑色、不可視赤色、及び不可視青色を重ね合わせることにより、任意の不可視色(不可視光線の下では視認できるが可視光線の下では視認しにくい色)を表現できる。黒色は、可視光線の下で視認できる黒色を意味し、特殊色は、可視光線の下で視認できる特殊色を意味する。
【0048】
可視光線は、人間によって光として認識される波長を有する電磁波である。不可視光線は、可視光線の波長以外の波長を有する電磁波である。本実施形態では、不可視光線は、ブラックライトなどが発する長波長紫外線である。また、本実施形態では、不可視色は、蛍光灯が発する光及び日光などの可視光線の下では透明であり、ブラックライトが発する紫外線などの不可視光線の下で視認できるようになる。
【0049】
具体的には、不可視緑色の画像は、不可視緑色トナー(以下、「Gトナー」とする)によって実現され、不可視赤色の画像は、不可視赤色トナー(以下、「Rトナー」とする)によって実現され、不可視青色の画像は、不可視青色トナー(以下、「Bトナー」とする)によって実現される。そして、不可視緑色、不可視赤色、及び不可視青色以外の不可視色の画像は、Gトナー、Rトナー、及びBトナーのうちの少なくとも二つの不可視色トナーの重ね合わせによって実現される。なお、不可視光線の下で視認できる黒色である不可視黒色は、Gトナー、Rトナー、及びBトナーをいずれも付着させないことによって実現される。また、可視光線の下で視認できる特殊色の画像は、特殊色トナー(以下、「Sトナー」とする)によって実現され、可視光線の下で視認できる黒色の画像は、黒色トナー(以下、「Kトナー」とする)によって実現される。
【0050】
本実施形態では、不可視色トナーは、透明トナー(クリアトナー)と透明蛍光体とを組み合わせることによって生成される。すなわち、不可視色トナーは、典型的には、クリアトナーを母体として生成される。なお、透明蛍光体は、透明蛍光顔料又は透明蛍光染料などである。また、本実施形態では、不可視色トナーは、重合トナーよりも高い定着温度を有する粉砕トナーである。但し、不可視色トナーは、重合トナーであってもよい。
【0051】
プリンタ81の筐体内において、現像ステーション18S、18G、18R、18B、18Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット73、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0052】
光書込ユニット21は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて感光体1S、1G、1R、1B、1Kの表面にレーザー光を照射する。
【0053】
現像ステーション18S、18G、18R、18B、18Kは、ドラム状の感光体1S、1G、1R、1B、1Kの他に、帯電ローラ(帯電手段)、現像装置(現像手段)、ドラムクリーニング装置、除電ランプ(除電手段)などを有している。
【0054】
S(特殊色)用の現像ステーション18Sにおける感光体1Sの表面は、帯電手段である帯電ローラによって一様に帯電させられる。帯電処理が施された感光体1Sの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザー光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体1Sの表面にS用の静電潜像が形成される。形成されたS用の静電潜像は現像手段である現像装置によって現像されて
Sトナー像となる。
【0055】
S用の感光体1S上に形成されたSトナー像は、中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の感光体1Sの表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。
【0056】
S用の現像ステーション18Sにおいて、ドラムクリーニング装置によってクリーニングされた感光体1Sは、除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様に帯電させられて初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他色用(G、R、B、K用)の現像ステーション(18G、18R、18B、18K)においても同様にして行われる。
【0057】
中間転写ユニット73は、無端状の中間転写ベルト110、及び、ベルトクリーニング装置90などを有している。また、駆動ローラ71、二次転写バックアップローラ72、四つの一次転写バイアスローラ62S、62G、62R、62B、62Kなども有している。
【0058】
無端状の中間転写ベルト110は、そのループの内側に配設された駆動ローラ71などの複数の張架ローラによってテンション張架されている。そして、ベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ71の回転によって図中の時計回り方向に無端移動させられる。
【0059】
S、G、R、B、K用の一次転写バイアスローラ62S、62G、62R、62B、62Kは、中間転写ベルト110の裏面(内周面)に接触するように配設され、電源から出力される一次転写バイアスが印加される。また、中間転写ベルト110をその裏面側から感光体1S、1G、1R、1B、1Kに向けて押圧する。これにより、感光体1S、1G、1R、1B、1Kと、中間転写ベルト110の表面(外周面)とが当接するS、G、R、B、K用の一次転写ニップが形成される。それらの一次転写ニップでは、一次転写バイアスの影響により、感光体1S、1G、1R、1B、1Kと一次転写バイアスローラ62S、62G、62R、62B、62Kとの間に一次転写電界が形成される。
【0060】
S用の感光体1S上に形成されたSトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このSトナー像の上には、G、R、B、K用の感光体1G、1R、1B、1K上に形成されたGトナー像、Rトナー像、Bトナー像、Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には多色トナー像が形成される。
【0061】
中間転写ベルト110上に形成された多色トナー像は、後述の二次転写ニップで記録シートに二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、駆動ローラ71との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0062】
中間転写ユニット73の下方に配設された二次転写装置22は、二次転写ローラ23を中間転写ベルト110における二次転写バックアップローラ72に対する掛け回し箇所に当接させて二次転写ニップを形成している。二次転写バックアップローラ72には、トナーと同極性の二次転写バイアスが印加されているのに対し、二次転写ローラ23は接地されている。これにより、二次転写ニップには中間転写ベルト110上の多色トナー像をベルト側から二次転写ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。レジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の多色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた記録シートには、この二次転写電界やニップ圧の作用によって多色トナー像が二次転写される。
【0063】
プリンタ81の筐体内の下部に設けられた給送装置200には、内部に複数の記録シートをシート束の状態で複数枚重ねて収容する給送カセット79、及び、ペーパーバンク78が設けられている。給送カセット79及びペーパーバンク78は、紙束の一番上の記録シートに給送ローラ77を押し当てている。そして、給送ローラ77を回転させることにより、一番上の記録シートを給送路46に向けて送り出す。
【0064】
給送カセット79又はペーパーバンク78から送り出された記録シートを受け入れる給送路46は、複数の搬送ローラ対47と、その路内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、記録シートをレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された記録シートは、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ユニット73において、中間転写ベルト110上に形成された多色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。
【0065】
レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ記録シートを二次転写ニップにて多色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の多色トナー像が記録シートに密着する。そして、記録シート上に二次転写されて、白色の記録シート上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された記録シートは、二次転写ローラ23の回転駆動に伴って二次転写ニップを出た後、搬送ベルトを具備するシート搬送ユニットを経由して定着装置25に送られる。
【0066】
定着装置25は、定着ベルト26を二本のローラによって張架しながら無端移動させるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを有している。定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、シート搬送ユニットから受け取った記録シートを定着ニップに挟み込む。ベルトユニットにおける二本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方の定着ローラは、内部に熱源(ヒータ)を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加熱する。加熱された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた記録シートを加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が記録シートに定着させられる。
【0067】
定着装置25内で定着処理が施された記録シートは、複写機の筐体の左側板に突設されたスタック部上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために二次転写ニップに戻されるかする。
【0068】
原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台74上にセットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス75上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナー300のコンタクトガラス75が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0069】
このようにして原稿がセットされた後、コピースタートスイッチが押下されると、スキャナー300による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス75まで自動搬送する。
【0070】
原稿読取動作では、まず、第1走行体76と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体76に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体34内に設けられたミラーによって反射され、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0071】
このような原稿読取動作と並行して、各現像ステーション(18S、18G、18R、18B、18K)内の各機器や、中間転写ユニット73、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、感光体1S、1G、1R、1B、1K上にS、G、R、B、Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写されて多色トナー像となる。
【0072】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給送装置200内では給送動作が開始される。この給送動作では、給送ローラ77の一つが選択的に回転させられ、ペーパーバンク78又は給送カセット79から記録シートが送り出される。送り出された記録シートは、分離ローラ80で1枚ずつ分離されて反転給送路に進入した後、搬送ローラ対によって二次転写ニップに向けて搬送される。
【0073】
プリンタ81の筐体内には、各機器の制御を司るCPUなどから構成される制御部が配設されている。また、筐体の上面には、液晶ディスプレイ及び各種キーボタンなどから構成される操作表示部82が配設されている。操作者は、この操作表示部82に対する入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、記録シートの片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモード、又は、両面に画像を形成する両面プリントモードなどを指定することができる。また、画像形成装置103はこの操作表示部82にメンテナンススケジュール等を表示する。
【0074】
図5は、画像形成装置103の変形例を示す図である。図5の本画像形成装置103は、例えば、インクジェット方式の画像形成装置であり、主に、給紙部401、画像形成部306、乾燥部402、排紙部403、及び、制御装置423を有している。画像形成装置103は、給紙部401から給紙されるシート材としての記録材である用紙Pに対し、画像形成部306で画像形成用の液体であるインクにより画像を形成する。そして、画像形成装置103は、用紙上に付着したインクを乾燥部402において乾燥させた後、用紙を排紙部403から排紙する。
【0075】
給紙部401は、主に、複数の用紙Pが積載される給紙トレイ411と、給紙トレイ411から用紙を1枚ずつ分離して送り出す給送装置412と、用紙を画像形成部306へ送り込むレジストローラ対413とから構成されている。給送装置412には、ローラやコロを用いた装置や、エア吸引を利用した装置など、あらゆる給送装置を用いることが可能である。給送装置412により給紙トレイ411から送り出された用紙は、その先端がレジストローラ対413に到達した後、レジストローラ対413が所定のタイミングで駆動することにより、画像形成部306へ給紙される。なお、本実施形態において、給紙部401は、画像形成部306へ用紙Pを送り出すものであれば、その構成に制限はない。
【0076】
画像形成部306は、主に、給紙された用紙Pを受け取る受け取り胴361と、受け取り胴361によって搬送された用紙Pを外周面に担持して搬送する用紙担持ドラム362と、用紙担持ドラム362に担持された用紙Pに向けてインクを吐出するインク吐出部364と、用紙担持ドラム362によって搬送された用紙Pを乾燥部402へ受け渡す受け渡し胴365とから構成されている。給紙部401から画像形成部306へ搬送されてきた用紙Pは、受け取り胴361の表面に設けられた用紙グリッパによって先端が把持され
、受け取り胴361の表面移動に伴って搬送される。受け取り胴361により搬送された用紙は、用紙担持ドラム362との対向位置で用紙担持ドラム362へ受け渡される。
【0077】
用紙担持ドラム362の表面にも用紙グリッパが設けられており、用紙の先端が用紙グリッパによって把持される。また、用紙担持ドラム362の表面には、複数の吸引孔が分散して形成されており、各吸引孔には吸引装置363によって用紙担持ドラム362の内側へ向かう吸い込み気流が発生する。受け取り胴361から用紙担持ドラム362へ受け渡された用紙Pは、用紙グリッパによって先端が把持されると共に、吸い込み気流によって用紙担持ドラム362の表面に吸着して、用紙担持ドラム362の表面移動に伴って搬送される。
【0078】
本実施形態のインク吐出部364は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを吐出して画像を形成するものであり、インクごとに個別の液体吐出ヘッド364C,364M,364Y,364Kを備えている。液体吐出ヘッド364C,364M,364Y,364Kは、液体を吐出するものであれば、その構成に制限はなく、あらゆる構成のものを採用することができる。画像形成装置103は、必要に応じて、白色、金色、銀色などの特殊なインクを吐出する液体吐出ヘッドを有したり、表面コート液などの画像を構成しない液体を吐出する液体吐出ヘッドを有したりしてもよい。
【0079】
インク吐出部364の液体吐出ヘッド364C,364M,364Y,364Kは、画像情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。用紙担持ドラム362に担持された用紙Pがインク吐出部364との対向領域を通過する際に、液体吐出ヘッド364C,364M,364Y,364Kから各色インクが吐出され、当該画像情報に応じた画像が形成される。なお、本実施形態において、画像形成部306は、用紙P上に液体を付着させて画像を形成するであれば、その構成に制限はない。
【0080】
乾燥部402は、主に、画像形成部306で用紙P上に付着したインクを乾燥させるための乾燥機構421と、画像形成部306から搬送されてくる用紙Pを搬送する搬送機構422とから構成されている。画像形成部306から搬送されてきた用紙Pは、搬送機構422に受け取られた後、乾燥機構421を通過するように搬送され、排紙部403へ受け渡される。乾燥機構421を通過する際、用紙P上のインクには乾燥処理が施され、これによりインク中の水分等の液分が蒸発し、用紙P上にインクが固着すると共に、用紙Pのカールが抑制される。
【0081】
排紙部403は、主に、複数の用紙Pが積載される排紙トレイ431から構成されている。乾燥部402から搬送されてくる用紙Pは、排紙トレイ431上に順次積み重ねられて保持される。なお、本実施形態において、排紙部403は、用紙Pを排紙するものであれば、その構成に制限はない。
【0082】
制御装置423は画像形成装置を制御する情報処理装置である。制御装置423は、例えばCPU、RAM、ROM、SSD(HDD)、通信装置等を有している。制御装置423はDFE102と通信して、タスクの実施に応じた設定値や操作の要求を受信する。
【0083】
画像形成装置103はディスプレイ440(表示手段の一例)を内蔵しているか、又は、ディスプレイ440が外付けされている。画像形成装置103はこのディスプレイ440にメンテナンススケジュール等を表示する。なお、端末装置101やDFE102等もメンテナンススケジュールを表示することができる。
【0084】
<<サーバ装置>>
サーバ装置は、図6に示すように、コンピュータ500としての構成を有する。図6は、コンピュータ500のハードウェア構成図である。図6に示されているように、コンピュータ500は、コンピュータによって構築されており、図6に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、光学ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0085】
これらのうち、CPU501は、受注システム10、生産管理システム20、生産拠点システム30、及び、コンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリや各種のプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図6に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0086】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力に使用される複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。光学ドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としての光記憶媒体513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、光記憶媒体513は、CD,DVD、Blu-Ray(登録商標)等でよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0087】
<機能について>
続いて、図7等を参照して、メンテナンス管理システム100が有する各装置の機能について説明する。図7は、メンテナンス管理システム100が有するサーバ装置104、端末装置101、及び、画像形成装置103が有する機能をブロック状に分けて説明する機能ブロック図である。
【0088】
<<サーバ装置>>
サーバ装置104は、通信部11、メンテナンス決定部12、及び、機器情報取得部13、を有している。サーバ装置104が有するこれらの機能は、サーバ装置104にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令を図6に示したCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。
【0089】
また、サーバ装置104は、機器状態情報記憶部1001、故障予測モデル記憶部1002、機器管理情報記憶部1003、及び故障メンテナンス情報記憶部1005を有する。これら各記憶部は、図6に示したHD504、又は、RAM503等により実現可能である。
【0090】
通信部11は、機器状態情報を画像形成装置103から受信し、メンテナンス決定部12により故障の予兆が検出された場合、この画像形成装置103に対して追加メンテナンス情報を送信する。また、通信部11は、機器管理情報記憶部1003に記憶された機器管理情報を参照して、故障が発生した画像形成装置103のメンテナンスを担当するオペレータの連絡先へも通知する。
【0091】
機器情報取得部13は、通信部11を介して、画像形成装置103から機器状態情報を取得し、機器状態情報記憶部1001に保存する。機器状態情報とは、画像形成装置103の使用状態を示す情報である。機器状態情報は、例えば、画像形成装置103の各種部品等の電流や電圧、温度等を各種のセンサで計測した計測値や、画像形成装置103により印刷データが用紙に印刷された回数を示すカウンタ値等を含む情報である。
【0092】
メンテナンス決定部12は、機器情報取得部13により取得された機器状態情報と、後述する故障予測モデル記憶部1002に記憶された故障予測モデルとに基づいて、画像形成装置103において発生する故障の予兆を検出する。故障の予兆は、画像形成装置103においてどのような故障(故障の種類)の発生が予測されるかを有し、更に、故障が発生する確率や、発生するまでの時間、及び、発生が予測される故障の重症度等が含まれてよい。
【0093】
また、メンテナンス決定部12は、予兆を検出した故障の種別に応じて、故障メンテナンス情報記憶部1005に記憶されている故障種別から必要な追加メンテナンスを特定する。
【0094】
なお、図7ではサーバ装置104が、画像形成装置103がディスプレイ440に表示する画面の処理を行っていない。これは、本実施形態では、画像形成装置103が画面を生成するためである。しかし、サーバ装置104が、画像形成装置103が表示する画面情報を生成してもよい。この場合、サーバ装置104は、HTML、XML、JavaScript(登録商標)、及び、CSS(Cascade Style Sheet)等によりメンテナンススケジュール等の画面情報を生成し、画像形成装置103に送信する。画像形成装置103のWebブラウザは画面情報を受信し、解析することで後述するメンテナンススケジュール画面を表示する。このように、サーバ装置104内のサーバ機能と画像形成装置103が実行するWebブラウザが連携したWebアプリによりメンテナンススケジュール画面が表示されてもよい。この場合、Webブラウザがあれば、端末装置101等でもメンテナンススケジュール画面を容易に表示できる。
【0095】
(機器状態情報記憶部1001)
図8は、機器状態情報記憶部1001に記憶されている機器状態情報の一例を示す図である。図8に示すように、機器状態情報記憶部1001には、画像形成装置103を一意に識別する機器IDに対応付けて、取得日時、センサA計測値、センサB計測値、カウンタ値等が記憶されている。機器状態情報記憶部1001には、図示する機器ID「PP10001」の機器状態情報に加えて、他の機器の機器状態情報も記憶されている。機器状態情報は、画像形成装置103における計測値やカウンタ値の所定の時間毎の履歴を示す情報である。
【0096】
・取得日時は、画像形成装置103が機器状態情報をサーバ装置104に送信した日時である。図8の例では毎日、20時30分に機器状態情報が送信されているがあくまで一例であり、不定期でも一日に複数回、送信されてよい。
【0097】
・センサ値A,センサ値Bは、画像形成装置103に含まれる部品等の電流や電圧、温度等を各種のセンサで計測した計測値である。センサ値は3つ以上ある場合が多い。
【0098】
・カウンタ値は、画像形成装置103により印刷されたページ数の累積値を示す。
【0099】
メンテナンス決定部12は、機器状態情報と、故障予測モデル記憶部1002に記憶された故障予測モデルとに基づいて、画像形成装置103における故障の発生を予測する。
【0100】
(故障予測モデル記憶部1002)
故障予測モデルとは、故障が発生する際の計測値やカウンタ値のパターン等をモデル化したデータであり、故障の種別(故障種別)毎に存在する。故障予測モデルが更に機器の種別ごとに用意されてもよい。
【0101】
例えば、故障予測モデル記憶部1002には、故障Aの発生を予測するための故障予測モデルA、故障Bの発生を予測するための故障予測モデルB、故障Cの発生を予測するための故障予測モデルC等が記憶されている。故障予測モデルは、機器状態情報と、故障が発生する確率、発生するまでの時間、及び、発生が予測される故障の重症度などを対応付ける情報である。このような情報は、予め管理者等が過去の知見に基づいて手動で作成してもよいし、機械学習により作成してもよい。なお、故障予測モデルは、故障の発生が予測される対象モジュールも推定する。
【0102】
機械学習とは、コンピュータに人のような学習能力を獲得させるための技術であり、コンピュータが、データ識別等の判断に必要なアルゴリズムを、事前に取り込まれる学習データから自律的に生成し、新たなデータについてこれを適用して予測を行う技術のことをいう。機械学習のための学習方法は、教師あり学習、教師なし学習、半教師学習、強化学習、深層学習のいずれかの方法でもよく、更に、これらの学習方法を組み合わせた学習方法でもよく、機械学習のための学習方法は問わない。機械学習の手法には、パーセプトロン、ディープラーニング、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、ナイーブベイズ、決定木、ランダムフォレストなどがあり、本実施形態で説明する手法には限られない。
【0103】
例えば機械学習の1つとしてディープラーニングを用いた故障予測モデルでは、機器状態情報と、発生した故障、発生するまでの時間、及び、重症度等の組をトレーニングデータとして管理者が用意し、機器状態情報を入力、発生した故障、発生するまでの時間、及び、重症度等を教師データとして、対応を学習する。あるいは、機械学習の1つとして重回帰を用いた故障予測モデルでは、担当者が、機器状態情報を説明変数、発生した故障を目的変数として、多項式で関連付けておく。同様に、担当者は、機器状態情報と発生するまでの時間を多項式で関連付け、機器状態情報と重症度を多項式で関連付けておく。これらの目的変数と、多項式が出力する値との差が最小になるように多項式の係数を決定する(重回帰分析)。
【0104】
図8の機器状態情報を参照して説明する。例えば、機器ID「PP10001」の機器状態情報が取得された場合、メンテナンス決定部12は、当該機器状態情報と、故障Aの発生を予測するための故障予測モデルAとに基づいて、故障Aの発生を予測(予兆を検出)する。同様に、メンテナンス決定部12は、当該機器状態情報と、故障Bの発生を予測するための故障予測モデルBとに基づいて、故障Bの発生を予測する(予兆を検出)。他の故障についても同様でよい。このように、メンテナンス決定部12は、故障予測モデル記憶部1002に記憶されている各故障用の故障予測モデルごとに、故障予測モデルに対応する故障A~C等の発生を予測する。
【0105】
(機器管理情報記憶部1003)
図9は、機器管理情報記憶部1003に記憶されている機器管理情報の一例を示す図である。図9に示すように、機器管理情報記憶部1003には、機器ID、IPアドレス、及びメールアドレスの各項目が登録されている。
【0106】
・機器IDの項目は、画像形成装置103を識別する識別情報である。
【0107】
・IPアドレスの項目は、画像形成装置103のIPアドレスである。サーバ装置104は、IPアドレスを宛先に追加メンテナンス情報などを送信できる。
【0108】
・メールアドレスは、画像形成装置103の管理者などのメールアドレスである。サーバ装置104は、メールアドレスを宛先に追加メンテナンスが設定されている旨などを送信できる。
【0109】
(故障メンテナンス情報記憶部1005)
図10は、故障メンテナンス情報記憶部1005に記憶されている故障メンテナンス情報の一例を示す図である。図10に示すように、故障メンテナンス情報記憶部1005には、故障種別に対応付けて、追加メンテナンス、及びメンテナンス期限の項目が登録されている。なお、故障メンテナンス情報は、機種ごとに異なっても共通でもよい。
【0110】
・故障種別の項目は、メンテナンス決定部12がどのような故障の予兆を検出したかを示す。
【0111】
・追加メンテナンスの項目は、予兆が検出された故障のメンテナンスに必要な追加メンテナンスの内容である。追加メンテナンスの内容には対象モジュールも含まれる。
【0112】
・メンテナンス期限の項目は、追加メンテナンスをいつまでに実施すべきかを示す。メンテナンス期限は、メンテナンス決定部12による診断日を起点とする期間が設定されている。メンテナンス期限を徒過した直後に故障するというものではなく、メンテナンス期限を徒過すると徐々に故障する可能性が増大するおそれがある。
【0113】
<<端末装置>>
図7に戻って端末装置101の機能を説明する。端末装置101は、通信部31、表示制御部32、及び、操作受付部33を有している。端末装置101が有するこれらの機能は、Webブラウザが画面情報に含まれるJavaScript(登録商標)を実行して、サーバ装置104が有するWebアプリと連携することで実現される機能又は手段である。
【0114】
通信部31は、主にサーバ装置104と通信し、メンテナンススケジュール画面の画面情報をサーバ装置104から受信し、メンテナンススケジュール画面等に管理者が入力した情報をサーバ装置104に送信する。
【0115】
表示制御部32は、サーバ装置104から送信された画面情報を解析してディスプレイ440に後述するメンテナンススケジュール画面等を表示する。
【0116】
操作受付部33は、メンテナンススケジュール画面等に対する管理者又は一般ユーザーの操作及び入力を受け付ける。
【0117】
<<画像形成装置>>
次に、画像形成装置103の機能を説明する。画像形成装置103は、通信部41、表示制御部42、操作受付部43、定期メンテナンス生成部44、及び、判断部45を有している。画像形成装置103が有するこれらの機能は、画像形成装置103にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令を操作表示部82又は制御装置423が実行することで実現される機能又は手段である。
【0118】
また、画像形成装置103は、メンテナンス情報記憶部4001及び通知履歴情報記憶部4002を有する。これらの記憶部は、操作表示部82又は制御装置423が有するHDDやSSD等により実現可能である。
【0119】
通信部41はサーバ装置104側の通信部11と通信する。通信部41は例えば,ネットワークカード、など、TCP/IPで通信する通信インターフェース、又は、USBケーブルと通信を制御する通信プログラムなどで実現される。通信部41は、機器状態情報をサーバ装置104に送信し、追加メンテナンス情報を受信して、メンテナンス情報記憶部4001に保存する。
【0120】
表示制御部42は、メンテナンス情報記憶部4001に記憶されている定期メンテナンスの予定日、及び、追加メンテナンスの推奨開始日をメンテナンススケジュール画面に表示させる。また、表示制御部42は、前倒し実施を推奨するための前倒し実施提案画面700を表示させる。
【0121】
操作受付部43は、メンテナンススケジュール画面600や前倒し実施提案画面700等に対するユーザーの操作及び入力を受け付ける。
【0122】
定期メンテナンス生成部44は、定期メンテナンスの要否を判断し、必要である場合は、定期メンテナンス情報をメンテナンス情報記憶部4001に保存する。定期メンテナンス生成部44は、例えばカウンタ値に基づいて、一定枚数のカウンタ値ごとに定期メンテナンスが必要であると判断する。定期メンテナンス生成部44は、カウンタ値に応じて決まった定期メンテナンスを行うと判断する。定期メンテナンスの作業負荷や作業時間は小さいので、定期メンテナンス生成部44は、数時間、又は、日にち単位なら一日を定期メンテナンスの予定日に割り当てる。
【0123】
判断部45は、追加メンテナンス情報がサーバ装置104から送信されると、定期メンテナンスの前倒し実施を推奨するか否か判断する。詳細は後述する。
【0124】
(メンテナンス情報記憶部4001)
次に、図11を参照して、メンテナンス情報について説明する。画像形成装置103が有するメンテナンス情報はサーバ装置104から送信される追加メンテナンスと、画像形成装置103が生成した定期メンテナンスとがある。まず、これらについて説明する。
【0125】
図11(a)は、定期メンテナンス生成部44が生成した定期メンテナンス情報である。図11(a)に示すように、当該画像形成装置103において生成した定期メンテナンスの予定が時系列に登録されている。定期メンテナンス情報は、メンテナンス名、診断日、予定日、及び対象モジュールの項目を有している。
【0126】
・メンテナンス名の項目は、定期メンテナンス生成部44がカウンタ値に応じて決定した定期メンテナンスの名称である。
【0127】
・診断日は、定期メンテナンス生成部44が、定期メンテナンスが必要であると判断した日にちである。診断日は、例えば2週間に一度、1日に1回、決まった曜日などの決まったタイミングでもよい。診断の頻度はこれに限るものではない。また、メンテナンスの種類や対象とする箇所によって診断の頻度は異なっていてもよい。
【0128】
・予定日は、定期メンテナンス生成部44が、定期メンテナンスを実施すべき日にち又は期限である。定期メンテナンスを実施すべき日にちとは、例えばカウンタ値が一定値に到達することが予測される日にちである。
【0129】
・対象モジュールの項目は定期メンテナンスの対象となる部品や該当箇所である。
【0130】
図11(b)は、サーバ装置104が送信した追加メンテナンスに関する追加メンテナンス情報である。追加メンテナンス情報は、メンテナンス名、診断日、推奨開始日、及び対象モジュールの項目を有する。メンテナンス名の項目は、図11(a)と同様でよい。
【0131】
・診断日は、メンテナンス決定部12が故障の予兆を検出した日にちである。診断日はサーバ装置104から送信される。
【0132】
・推奨開始日は、追加メンテナンスの実施が推奨される始期である。推奨開始日は、例えば、診断日の翌日から、診断日に故障メンテナンス情報のメンテナンス期限が追加された日にちまでのいずれかでよい。推奨開始日はサーバ装置104から送信される。
【0133】
・対象モジュールは、追加メンテナンスの対象となるモジュール(部品や該当箇所)である。対象モジュールは、故障メンテナンス情報記憶部1005の追加メンテナンスの項目に含まれている。対象モジュールはサーバ装置104から送信される。
【0134】
したがって、画像形成装置103が有するメンテナンス情報記憶部4001には、図11(a)(b)を統合したメンテナンス情報が保存されている。図11(c)はメンテナンス情報記憶部4001が保存するメンテナンス情報の一例を示す。メンテナンス名、診断日、対象モジュールの項目は、図11(a)又は(b)の各項目と対応する。すなわちメンテナンス名、診断日及び対象モジュールの項目は、図11(a)又は(b)のメンテナンス名、診断日、及び対象モジュールと同じである。予定日/推奨開始日の項目は図11(a)の予定日又は図11(b)の推奨開始日と対応する。
【0135】
図12は、通知履歴情報記憶部4002に記憶されている通知履歴情報の一例を示す。通知履歴情報には、サーバ装置104から通知された全ての追加メンテナンス情報の履歴が記録されている。ただし、全ての追加メンテナンス情報が、前倒し実施が推奨されるとは限らない。
【0136】
通知履歴情報は、通知履歴、メンテナンス名、対象モジュール、通知状態、及び、実施有無の項目を有している。
【0137】
・通知履歴の項目は、定期メンテナンスの前倒し実施を推奨すると判断された元になった追加メンテナンスの識別情報が格納される。通知履歴は追加メンテナンスが通知された日時でも連番でもよい。
【0138】
・メンテナンス名の項目は、定期メンテナンスの前倒し実施を推奨すると判断された元になった追加メンテナンスの名称や識別情報が格納される。
【0139】
・対象モジュールの項目は、定期メンテナンスの前倒し実施を推奨すると判断された元になった追加メンテナンスにおける対象モジュールが格納される。
【0140】
・通知状態の項目は、前倒し実施が通知されたが定期メンテナンスが未実施の場合に「通知中」が格納され、前倒し実施が通知された定期メンテナンスが実施済み又は前倒し実施されずに通知不要となった場合に「消去済み」が格納される。前倒し実施されずに通知不要となる場合とは、定期メンテナンスの予定日までの期間が所定日数以下になった場合である。
【0141】
・実施有無の項目は、前倒し実施が推奨された定期メンテナンスが前倒し実施されたか、未実施かが格納される。
【0142】
なお、通知履歴情報記憶部4002に、前倒し実施を推奨すると判断された定期メンテナンスが対応付けて登録されてもよい。
【0143】
<画面例>
図13は、図11(c)に示すメンテナンス情報記憶部4001に保存されているメンテナンス情報に基づいたメンテナンススケジュール画面600である。図11(c)の定期メンテナンスR、Qに基づいて、定期メンテナンスの予定日に定期メンテナンス611、613が表示されている。なお、図11(c)の追加メンテナンスA、Bに基づく予定は表示されないが、表示されてもよい。
【0144】
メンテナンススケジュール画面600では、追加メンテナンスにより前倒し実施を推奨すると判断された定期メンテナンスにマーク613aが表示される。例えば、定期メンテナンス613が追加メンテナンス614により前倒し実施が推奨された場合、表示制御部42は、定期メンテナンス613の予定日にマーク613aを表示する。ユーザーがマーク613aを押下したりマウスオーバーしたりすると、追加メンテナンスのために前倒し実施が推奨されている旨が表示される。
【0145】
図14は、週単位のメンテナンススケジュール画面600の一例である。図14では、予定日である4月1日の10:00台に定期メンテナンスQ(符号は623)が表示されている。図13と同様にマーク623aが表示される。ユーザーがマーク623aを押下したりマウスオーバーしたりすると、追加メンテナンスのために前倒し実施が推奨されている旨が表示される。
【0146】
定期メンテナンスQが表示される時間帯は、10:00台でなくてもよい。例えば、印刷物の製造予定が入っている場合は当該時間帯を避けて設定される。また、予定日において印刷物の製造予定が終了する時刻に続けて設定されてもよい。ユーザーは印刷物の製造に続けてメンテナンスを実施できる。また、ユーザーが、定期メンテナンスが設定される時間帯を予め設定しておくことができてもよい。
【0147】
また、図14では、週単位のメンテナンススケジュールを示したが、日にち単位のメンテナンススケジュールでも同様である。
【0148】
<前倒し実施の推奨判断>
図15を参照して、前倒し実施を推奨するか否かの判断方法を説明する。図15は、判断部45が前倒し実施を推奨するか否かを判断する処理を説明するフローチャート図である。
【0149】
ステップS1に示すように、図15の処理は、故障予知に基づく追加メンテナンスの必要性が発生した際に実行される(S1)。画像形成装置103は追加メンテナンス情報をサーバ装置104から受信する。
【0150】
故障予知に基づく追加メンテナンスが発生した場合、判断部45は、メンテナンス情報記憶部4001から定期メンテナンスの予定日を取得する(S2)。
【0151】
判断部45は、追加された追加メンテナンスの対象モジュールと同じ対象モジュールが対応付けられた定期メンテナンスの予定日を参照し、予定日までの期間が所定日数以下であるか否か判断する(S3)。この場合、追加メンテナンスの予定日は診断日や推奨開始日などでよい。所定日数は追加メンテナンスの予定日から、例えば7日であるが、ユーザーが設定できてよい。予定日までの期間が所定日数以下かどうかに応じて前倒し実施を推奨するか否か判断するのは、ユーザーが急な推奨に対応できないためである。
【0152】
なお、ステップS3では、追加された追加メンテナンスの対象モジュールと同じ対象モジュールに限らず、対象モジュールが有するパーツが共通する定期メンテナンスが参照されてよい。したがって、判断部45は、追加メンテナンスと同じ又は類似する定期メンテナンスを前倒し実施することができる。
また、AIがステップS3の判断を行う場合には、定期メンテナンスの予定日までの日数とユーザーが前倒し実施を行ったか否かの対応をAIが学習しておく。AIは定期メンテナンスの予定日までの日数を入力として、ユーザーが前倒し実施を行う確率を出力する。例えば前倒し実施を行う確率が50%以上の場合に、AIは前倒し実施通知を行うと判断する。したがって、AIは適切なタイミングで前倒し実施通知を行うと判断できる。
更に、AIは前倒し実施通知を行うと判断した場合、ユーザーのスケジュールと画像形成装置103の印刷物の印刷予定スケジュールを考慮して、前倒し日時を提案してもよい。すなわち、AIは、定期メンテナンスの予定日までのうち、ユーザーのスケジュールと印刷予定スケジュールの両方が空いている一定時間以上の時間帯をピックアップする。一定時間はメンテナンスの対象モジュールがどのくらいのメンテナンス時間が必要か考慮して決定される。AIは、空いている時間帯のうち現在日時に近い順にいくつかをリストップしてユーザーに提示する。これにより、例えば、ユーザーのスケジュール表によると次の1時間が空欄で、印刷予定スケジュールも次の1時間が空いている場合、ユーザーが前倒し実施を行う確率を高くできる。
【0153】
ステップS3の判断がYesの場合、業務等のためユーザーが定期メンテナンスを前倒し実施できないと推定し、判断部45は、定期メンテナンスの前倒し実施を推奨しないと判断する(S4)。
【0154】
ステップS3の判断がNoの場合、ユーザーが定期メンテナンスを前倒し実施できると推定し、判断部45は、定期メンテナンスの前倒し実施を推奨すると判断する(S5)。表示制御部42は、図16の定期メンテナンスの前倒し実施提案画面700をディスプレイ440に表示させる。このように、表示制御部42は、追加メンテナンスのメンテナンススケジュールに基づいて定期メンテナンスのメンテナンススケジュールの前倒し実施に関する情報を表示させることができる。なお、判断部45は、前倒し実施を推奨すると判断した元になった追加メンテナンスを通知履歴情報記憶部4002に保存する。通知状態の項目の初期値は「通知中」であり、実施有無の項目の初期値は「未実施」である。
【0155】
<前倒し実施の推奨通知例>
図16は、前倒し実施の推奨を通知する定期メンテナンスの前倒し実施提案画面700を示す。前倒し実施提案画面700は、「メンテナンス実施を推奨」というタイトル701、「機械のデータを解析した結果、メンテナンスの前倒し実施が推奨されます。機械を最適な状態に保つために、「メンテナンス実行」ボタンからメンテナンスを実施してください」というメッセージ702、対象モジュール703、及び、ユーザーメンテナンスレベル704が表示されている。
【0156】
対象モジュール703はメンテナンス情報記憶部4001の対象モジュールの項目から取得されている。ユーザーメンテナンスレベル704は、対象モジュール703のメンテナンスの難易度を示し、メンテナンスを実施するために必要又は好ましいユーザーの資格やスキルを示す。
【0157】
ユーザーがメンテナンス実行ボタン705を押下するとメンテナンス作業ためのガイダンス画面が表示される(図18A参照)。ユーザーがカスタマーエンジニアに作業依頼ボタン706が押下すると、定期メンテナンスの前倒し実施を推奨する元になった追加メンテナンスの内容がカスタマーエンジニア(カスタマーサポートセンター)にメール等で送信される。なお、メンテナンス実行ボタン705、または、カスタマーエンジニアに作業依頼ボタン706を押下した場合には、例えば、定期メンテナンスの実施日(予定日)が、追加になった追加メンテナンスの実施日(予定日)に伴って実施時期が早まり、追加メンテナンスと同時に定期メンテナンスが設定、あるいは統合される、もしくは追加メンテナンスが定期メンテナンスに置き換わる、定期メンテナンスのその回が削除される、といった、定期メンテナンスのスケジュールを自動変更する処理が実行される。なお、ボタン押下後に、前倒し詳細設定画面を表示し、定期メンテナンスのうち特定された回のみの前倒し、あるいは、定期メンテナンスの全てのスケジュール(設定されている全ての回)を前倒しに関する設定(日程、スケジュールの変更・統合・置換え・削除等の前倒し方法、将来の通知方法)を選択、設定できてもよい。
【0158】
なお、ユーザーが定期メンテナンスの前倒し実施をしないで閉じるボタン707を押下した場合、前倒し実施提案画面700は非表示にされる。また、表示制御部42が印刷用の画面を表示させるが、印刷用の画面では、常に、図17に示すように前倒し実施が通知状態であることを示すシステムメッセージが表示されてもよい。このシステムメッセージがある場合、表示制御部42は、所定のタイミングで前倒し実施提案画面700を繰り返し表示してよい。所定のタイミングとしては、画像形成装置103の電源オン、無操作時間が閾値以上となった場合、及び、ユーザーがログインした場合などでよい。
【0159】
前倒し実施提案画面700が表示される定期メンテナンスは、通知履歴情報記憶部4002において通知状態の項目が「通知中」の通知履歴情報である。
【0160】
図17(a)は、前倒し実施提案画面700の閉じるボタン707が押下された場合に表示される警告画面760である。図17(a)では、前倒し実施提案画面700の表示時にカバーが開いていたためカバーを閉じるように促す警告画面760が表示されている。ユーザーが警告画面760のクローズボタン761を押下すると図17(b)のメンテナンス画面770が表示される。
【0161】
図17(b)は、メンテナンス画面770の一例である。メンテナンス画面770は、画像形成装置103のイメージ図871、システムメッセージ欄772、及び、トレイ状態欄773を有している。イメージ図871では、ユーザーが注意を払うべき箇所が記号やアイコンなどで強調される。システムメッセージ欄772には、各種のシステムメッセージが表示される。システムメッセージは画像形成装置103が行った処理、状態、又は、ユーザーへの注意事項などが含まれるメッセージである。このシステムメッセージ欄772に、前倒し実施が通知状態であることを示すシステムメッセージ774が表示される。各システムメッセージは日時について昇順又は降順に表示されてよいが、システムメッセージの数が少なければ、前倒し実施が通知状態であることを示すシステムメッセージ774が常に(又は認識に十分な期間)表示される。したがって、ユーザーは、前倒し実施提案画面700を閉じた後も、通知履歴情報記憶部4002の通知状態は「消去済み」にまるまでは、前倒し実施が通知状態であることをシステムメッセージ欄772で確認できる。
【0162】
図18Aは、ガイダンス画面710の一例である。ガイダンス画面710は、前倒し実施が推奨された定期メンテナンスの作業手順711を示す。図18Aの例では、作業手順711に以下のステップが表示されている。各ステップに対応した見積所要時間が表示されていてもよい。
1.オペレータが現像ユニットを取り出す。
2.オペレータが現像ユニットを清掃する。
3.オペレータが現像ユニットをセットする。
4.オペレータが現像ユニット清掃カウンタをリセットする。
また、ユーザーはボタン721~723を押下して、各ステップごとに登録された経験者・エキスパートに連絡を取ることが可能であり、正しく作業できているかを確認することができる。
また、図18Bに示すように、ユーザーがどこにいるかを地図上に示したり、他のユーザーの居場所や作業内容を地図上に示したりしてもよい。図18Bは、画像形成装置103が配置された印刷工場の地図の一例である。自分であるユーザーはアイコン725で示されてる。他のユーザーはピンマーク726で示される。図ではピンマーク726は1つであるが他のユーザーの数だけ表示されてよい。ユーザーの居場所は、室内用のIMES(Indoor Messaging System)に対応したものが使用されてもよい。また、UWB(Ultra Wide Band)方式で位置が検出されてもよい。UWD方式では、ユーザーなど位置を測定する対象物にタグがとりつけられ、屋内に30m~40m間隔で受信機が設置される。タグが発信する電波を2個以上の受信機が受信することで、タグの位置を1m未満の精度で特定する。
ユーザーは必要なら他のユーザーに作業方法を教えてもらうことができる。例えば、画像形成装置103はユーザーが実施しているメンテナンスと同じメンテナンスを過去に実施した他のユーザーを強調して(例えばピンマークを赤にして)地図上に表示する。強調されるユーザーは、例えばパフォーマンス(作業速度)や経験に優れた者が選抜されてもよい。
また、画像形成装置103又はサーバ装置104は、作業手順711をいわゆる生成AIを使用して作成してもよい。生成AIは診断結果に対し適切なメンテナンス及びメンテナンスの手順を学習しており、診断結果に応じたメンテナンスを決定すると、このメンテナンスの手順を自動で生成してガイダンス画面710を表示する。
【0163】
また、作業手順711の各ステップの下側にステップの詳細を表示するためのボタン712~714が表示されている。「4.現像ユニット清掃カウンタをリセットする。」のステップでは詳細が不要なのでリセットボタン715が表示されている。
【0164】
ユーザーが4つのステップを実施して、実施済みボタン716を押下すると、前倒し実施が推奨された定期メンテナンスが実施されたことが通知履歴情報記憶部4002に記録される。通知履歴情報記憶部4002の通知状態は「消去済み」、実施有無は「実施」となる。実施済みボタン716の押下後は、次のメンテナンスの予定(メンテナンス名と日時)が画像形成装置103に表示されてもよい。ユーザーは次のメンテナンスを忘れにくくなる。
また、画像形成装置103又はサーバ装置104は、作業に要した時間を測定しておき各ユーザーのパフォーマンスを更新したり、ユーザーに提示したりする。画像形成装置103は、例えば、同じユーザーが同じメンテナンスを過去に実施したときの作業に要した時間の推移をグラフで表示したり、他のユーザーが同じメンテナンスを過去に実施したときの作業に要した時間との比較(平均との差、最短時間との差など)を表示したりしてよい。
図18Cは、メンテナンスの終了後に画像形成装置103が表示するパフォーマンス情報を示す。パフォーマンス情報には折れ線グラフ727とメッセージボックス728が表示されている。ユーザーは折れ線グラフ727を見て過去のパフォーマンスと比較できる。また、メッセージボックス728には「全作業員の平均時間15分」「あなたの平均時間13分」「あなたは2分優れています」と表示されている。ユーザーは他のユーザーとパフォーマンスを比較できる。
【0165】
図19に示すように、拡張現実ヘッドセット750を使用したメンテナンスが実施されてもよい。図19は、拡張現実ヘッドセット750を使用したメンテナンス作業を模式的に説明する図である。まず、図19(a)は拡張現実ヘッドセット750の外観図である。拡張現実ヘッドセット750は、ヘッドマウント・ディスプレイを使用して、コンピュータが作り出すイメージとサウンドを、現実世界の要素に重ね合わせて表示する表示装置の一種である。
【0166】
拡張現実ヘッドセット750を装着したユーザーには前倒し実施される定期メンテナンスを支援する情報が次々と表示される。図19(b)に示すように、ユーザーが画像形成装置103の扉を開けると扉内に配置された様々な対象モジュールの光景に重ねて、対象モジュール751が表示される。ユーザーは対象モジュール751の映像を見ながら扉内の対象モジュールを探す。
【0167】
ユーザーが探すのと平行して(拡張現実ヘッドセット750が見つける方が早くてもよい)、拡張現実ヘッドセット750は扉内の光景をカメラで監視し、対象モジュールを画像処理にて検出する。図19(c)に示すように、検出できると拡張現実ヘッドセット750は、実機の対象モジュールを指し示す矢印752などを表示する。ユーザーが実機の対象モジュールを取り出したことを拡張現実ヘッドセット750がカメラで検出すると、図19(d)に示すように、拡張現実ヘッドセット750は定期メンテナンスの作業手順を動画753として表示する。ユーザーは動画753を見ながら手元の対象モジュールをメンテナンスすることができる。
【0168】
このように、拡張現実ヘッドセット750を使用することで、ユーザーが定期メンテナンスを実施しやすくなる。
【0169】
<前倒し実施提案画面の消去処理>
図20は、通知履歴情報記憶部4002に保存された通知履歴情報の更新を説明するフローチャート図である。図20の処理は繰り返し実行される。定期的とは、例えば、数時間に1回、毎日の決まった時刻などでよい。
【0170】
判断部45は、定期的に通知履歴情報記憶部4002にアクセスし、通知状態が通知中となっている通知履歴情報を取得する(S11)。
【0171】
判断部45は、通知履歴情報における追加メンテナンスの対象モジュールと同じ対象モジュールが対応付けられた定期メンテナンスの予定日を参照し、予定日までの期間が所定日数以下(例えば7日以下)か否か判断する(S12)。
【0172】
ステップS12の判断がYesの場合、判断部45は、定期メンテナンスの前倒し実施の推奨を停止すると判断する(S13)。判断部45は、通知履歴情報記憶部4002において、前倒し実施を推奨すると判断した元になった追加メンテナンスの通知状態の項目を「消去済み」に更新する。
【0173】
ステップS12の判断がNoの場合、判断部45は、定期メンテナンスの前倒し実施の推奨を継続すると判断する(S14)。この場合、表示制御部42は、引き続き、図17のシステムメッセージを表示したままとする。また、表示制御部42は、図16の定期メンテナンスの前倒し実施提案画面700を所定のタイミングで繰り返しディスプレイ440に表示してもよい。
【0174】
<推奨すると判断された前倒し実施の過去の実施履歴に基づいた通知制御>
推奨された前倒し実施を実施しないユーザーも存在すると考えられる。このようなユーザーにとって前倒し実施の推奨は煩わしいと感じるおそれがある。そこで、推奨された前倒し実施の過去の実施履歴に基づいた前倒し実施の推奨の通知制御について説明する。
【0175】
図21は、推奨された前倒し実施のメンテナンスをユーザーが実施したか否かに基づいて、前倒し実施の推奨を行うか否かを変更する処理を説明するフローチャート図である。ステップS21~S24の処理は図15のステップS1~S4と同様でよい。
【0176】
ステップS23の判断がNoの場合、判断部45は、通知履歴情報記憶部4002にアクセスし、過去の通知履歴情報からユーザーが前倒し実施したことがあるか否か判断する(S25)。この判断は、前倒し実施を推奨すると判断した元になった追加メンテナンスの対象モジュールと同じ対象モジュールが対応付けられた通知履歴情報について判断される。
【0177】
ステップS25の判断がYesの場合、今回も前倒し実施することが期待されるので、判断部45は、定期メンテナンスの前倒し実施を推奨すると判断する(S26)。判断部45は、前倒し実施を推奨すると判断した元になった追加メンテナンスを通知履歴情報記憶部4002に保存する。通知履歴情報記憶部4002の通知状態は「通知中」、実施有無は「未実施」となる。
【0178】
ステップS25の判断がNoの場合、今回も前倒し実施することが期待できないので、判断部45は、定期メンテナンスの前倒し実施を推奨しないと判断する(S27)。判断部45は、前倒し実施を推奨すると判断した元になった追加メンテナンスを通知履歴情報記憶部4002に保存すると共に、通知状態を「消去済み」に設定し、実施有無を「未実施」とする。
【0179】
なお、ステップS25では、判断部45が、通知履歴情報記憶部4002において、前倒し実施を推奨すると判断した元になった追加メンテナンスの対象モジュールと同じ対象モジュールが対応付けられた通知履歴情報のうち、実施の比率が閾値以上か否か判断してもよい。
【0180】
<メンテナンス実施後のメンテナンススケジュールの表示例>
図22は、メンテナンス実施後のメンテナンススケジュールの表示例を説明する図である。図22(a)は図13と同じである。図22(a)において、定期メンテナンス613が、追加メンテナンスにより前倒し実施が推奨される定期メンテナンスであるとする。ユーザーが、定期メンテナンス613を前倒し実施した。
【0181】
図22(b)は、ユーザーが、定期メンテナンス613を前倒し実施した後のメンテナンススケジュールの表示例を説明する図である。定期メンテナンス613が前倒し実施されたので、定期メンテナンス613が削除された状態となる。
【0182】
<全体の動作又は処理>
次に、図23を参照して、画像形成装置103とサーバ装置104が行う処理の流れを説明する。図23は、画像形成装置103とサーバ装置104が通信し、画像形成装置103が前倒し実施提案画面700とメンテナンススケジュール画面600を表示する処理を説明するシーケンス図である。
【0183】
S101:画像形成装置103の通信部41は、例えば一日や一週間の決まった期間ごとの決まった日時に機器状態情報をサーバ装置104に送信する。通信部41は、不定期に機器状態情報をサーバ装置104に送信してもよい。
【0184】
S102:サーバ装置104の通信部11は、機器状態情報を受信し、機器状態情報記憶部1001に保存する。
【0185】
S103:メンテナンス決定部12は、機器状態情報を受信したタイミングや、例えば一日や一週間の決まった日時に故障の予兆があるか否かを診断する。ここでは、故障の予兆が検出されたものとする。メンテナンス決定部12は、故障メンテナンス情報記憶部1005を参照し、故障種別に応じた追加メンテナンスの内容、及びメンテナンス期限を決定する。メンテナンス決定部12は故障メンテナンス情報に基づいて追加メンテナンス情報を作成する。
【0186】
S104:サーバ装置104の通信部11は追加メンテナンス情報(メンテナンス名、診断日、推奨開始日、対象モジュール等)を画像形成装置103に送信する。画像形成装置103の通信部41は追加メンテナンス情報を受信し、メンテナンス情報記憶部4001に保存する。
【0187】
S105:判断部45は、ステップS104で通知された追加メンテナンス情報に基づいて、定期メンテナンスの前倒し実施を推奨するか否か判断する。
【0188】
S106:定期メンテナンスの前倒し実施を推奨すると判断した場合、表示制御部42は、前倒し実施提案画面700をディスプレイ440に表示させる。
【0189】
S107:また、画像形成装置103の定期メンテナンス生成部44は、例えば一日や一週間の決まった日時に定期メンテナンスを生成する必要があるか判断する。定期メンテナンス生成部44は、必要であれば定期メンテナンス情報(メンテナンス名、診断日、予定日、対象モジュール等)を生成し、メンテナンス情報記憶部4001に保存する。なお、実施提案画面700で、タスク実行ボタン、メンテナンス実行ボタン705、または、カスタマーエンジニアに作業依頼ボタン706を押下した場合には、例えば、定期メンテナンスの実施日(予定日)が、追加になった追加メンテナンスの実施日(予定日)に伴って実施時期が早まり、追加メンテナンスと同時に定期メンテナンスが設定、あるいは統合される、もしくは追加メンテナンスが定期メンテナンスに置き換わる、定期メンテナンスのその回が削除される、といった、定期メンテナンスのスケジュールを自動変更する処理が実行される。なお前倒しになる定期メンテナンスのスケジュールは、定期メンテナンスのうち特定された回のみ前倒しされてもよいし、定期メンテナンスの全てのスケジュール(設定されている全ての回)を前倒しされてもよい。あるいは特定された回のみを前倒しするか、全ての回を前倒しするかをユーザーが選択、設定できてもよい。
【0190】
S108:画像形成装置103の表示制御部42は、所定のタイミングでメンテナンススケジュールを表示させる。所定のタイミングとしては、ユーザーがメンテナンススケジュールを表示する操作を入力した場合が多い。あるいは、新規の定期メンテナンス情報又は追加メンテナンス情報が登録された場合に自動的に表示制御部42がメンテナンススケジュールを表示してもよい。
【0191】
<主な効果>
以上説明したように、メンテナンス管理システムは、予めスケジュール化されている定期メンテナンスの前倒し実施の推奨を通知する。追加メンテナンスが追加されても、前倒し実施が推奨された定期メンテナンスが実施されると追加メンテナンスも実施済みとなる。したがって、追加メンテナンスが増えるわけでないため、印刷物の生産を阻害しにくい。例えば、印刷物の納期が近く、機器を止めたくない場合などでも、追加メンテナンスが増えるわけでないので、印刷物の生産スケジュールを調整するなどして前倒し実施が推奨された定期メンテナンスを実施できる場合がある。
【0192】
<画像形成装置以外の機器の補足>
次に、図24図26を参照して、いくつかの機器の構成について補足して説明する。
以下では、機器として自動車などを塗装する液体吐出装置及び3Dプリンタについて説明する。
【0193】
<<液体吐出装置>>
図24は、液体吐出装置の全体概略図である。ここに例示した液体吐出装置は、自動車の車体などを塗装する塗装ロボットである。なお、各図において、互いに交差する3方向であるX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を示す矢印を図示する場合がある。X軸方向は、例えば塗装対象物である車体の前後方向に沿う。Y軸方向は車体の幅方向に沿う。Z軸方向は上下方向に沿う。
【0194】
図24に示すように、塗装ロボット1000は、自動車の車体側面などの対象物1200に対向して設置されている。塗装ロボット1000は、ベース1100、第1アーム1101、第2アーム1102、及びヘッドユニット1103を備える。第1アーム1101は、ベース1100に連結されている。第2アーム1102は、第1アーム1101に連結されている。ヘッドユニット1103は、第2アーム1102に連結されている。
【0195】
塗装ロボット1000は、第1ジョイント1104、第2ジョイント1105、及び第3ジョイント1106を備える。第1ジョイント1104は、ベース1100と第1アーム1101とを連結する。第2ジョイント1105は、第1アーム1101と第2アーム1102とを連結する。第3ジョイント1106は、第2アーム1102とヘッドユニット1103とを連結する。
【0196】
塗装ロボット1000は、例えば多関節ロボットである。ベース1100はZ軸方向に延びる軸を回転軸として、a方向に旋回可能である。ベース1100は、第1ジョイント1104を介して第1アーム1101の一端部を支持する。
【0197】
第1アーム1101は、X-Y面に平行な軸を回転軸として、b方向に旋回可能である。第1アーム1101の他端部は、第2ジョイント1105を介して第2アーム1102の一端部に支持する。第2アーム1102は、X-Y面に平行な軸を回転軸として、c方向に揺動可能である。また、第2アーム1102は、第2アーム1102の長手方向に延在する軸を回転軸として、d方向に回転可能である。
【0198】
第2アーム1102の他端部は、第3ジョイント1106を介してヘッドユニット1103を支持する。ヘッドユニット1103は、第2アーム1102の長手方向と交差する方向に延在する軸を回転軸として、e方向に回転可能である。また、ヘッドユニット1103は、ヘッドユニット1103と第3ジョイント1106とが離間する方向に延在する軸を回転軸として、f方向に回転可能である。
【0199】
塗装ロボット1000は、対象物1200に対してヘッドユニット1103を自由に動かすことができる。塗装ロボット1000は、対象物1200に対してヘッドユニット1103を正確に配置できる。塗装ロボット1000は、塗装する位置に対して正確にヘッドユニット1103を配置できる。塗装ロボット1000は、対象物1200に向けて塗料を吐出し、対象物1200を塗装する。
【0200】
なお、本実施形態では、塗装ロボット1000を、対象物1200を挟んで両側に1台ずつ配置したシステム構成を例示したが、塗装ロボット1000は、対象物1200を挟んで両側に配置されるもの限定されない。塗装ロボット1000の設置台数は、対象物1200に対して1台でもよく、3台以上でもよい。
【0201】
<<3Dプリンタ>>
3Dプリンタとは、三次元的な形状データをもとにして、三次元の物体をつくりだすことができる機器である。3Dプリンタは、積層造形装置、付加製造装置、AM(Additive Manufacturing)装置、AMマシンとも呼ばれる。3Dプリンタは、「立体印刷機」と呼ばれてもよい。3Dプリンタの造形方法としては、主に、液状の樹脂を塗布して紫外線などを照射し少しずつ硬化させていくインクジェット方式、熱で融解した樹脂を少しずつ積み重ねていくFDM方式(Fused Deposition Modeling)、粉末の樹脂に接着剤を吹きつけていく粉末固着方式などの造形方法があるが、造形方法は問わない。以下では、一例として、FDM方式の3Dプリンタを説明する。
【0202】
図25は、3Dプリンタのハードウェア構成例を示す概略図である。例えば、3Dプリンタ2000は、図示するように、本体フレーム2120の内部に、チャンバー2103を備える。そして、チャンバー2103の内部は、3次元に造形物を造形するための処理空間となる。また、その処理空間内、すなわち、チャンバー2103の内部には、載置台として、ステージ2104が設けられる。この例では、ステージ2104上に、造形物が製造される。
【0203】
チャンバー2103の内部において、ステージ2104の上方には、造形手段としての造形ヘッド2110が設けられる。また、造形ヘッド2110は、その下方に、フィラメントを吐出する吐出ノズル2115を有する。なお、本実施形態では、造形ヘッド2110上に4つの吐出ノズル2115が設けられているが、吐出ノズル2115の数は、任意である。また、造形ヘッド2110には、各吐出ノズル2115に供給されるフィラメントを加熱するヘッド加熱装置2114が設けられる。このように、3Dプリンタは、予め保持されるフィラメントを用いて、造形物を製造する。
【0204】
また、本体フレーム2120の内部は、装置内冷却装置2108によって、温度が調整される。
【0205】
フィラメントは、例えば、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)樹脂又はPLA(polylactic acid)樹脂等の材料である。また、フィラメントは、熱可塑性である。したがって、フィラメントは、3Dプリンタから吐出される際には、加熱され、高温である。吐出後、フィラメントは、空冷等によって冷却されると、固まる。このような性質を利用して、3Dプリンタは、フィラメントを吐出して造形物を製造する。
【0206】
フィラメントは、例えば、細長いワイヤ形状である。そして、フィラメントは、巻き回された状態等で、3Dプリンタ2000にセットされる。更に、フィラメント供給装置2106によって、フィラメントは、造形ヘッド2110上が有する各吐出ノズル2115へそれぞれ供給される。
【0207】
造形ヘッド2110は、X軸駆動機構2101によって、X軸方向に移動する。例えば、X軸駆動機構2101は、アクチュエータ、機構、電源及び電子回路等である。
【0208】
同様に、造形ヘッド2110は、Y軸駆動機構2102によって、Y軸方向に移動する。例えば、Y軸駆動機構2102は、アクチュエータ、機構、電源及び電子回路等である。更に、造形ヘッド2110は、Z軸駆動機構2123によって、Z軸方向に移動する。例えば、Z軸駆動機構2123は、アクチュエータ、機構、電源及び電子回路等である。
【0209】
図示する例では、制御装置2100が、X軸駆動機構2101、Y軸駆動機構2102及びZ軸駆動機構2123に対して、位置を指令し、各機構は、制御装置2100からの指令に基づいて、指令された位置にステージ2104を移動させる。制御装置2100は、各装置を制御する。
【0210】
また、図示するように、3Dプリンタ2000は、ステージ2104及びステージ2104上にある造形物を加熱できるステージ加熱装置2105を有するのが望ましい。ステージ加熱装置2105は、例えば、ヒータ等である。
【0211】
チャンバー2103の内部(処理空間)に、チャンバー2103内を加熱する加熱手段として、チャンバー用ヒータ2107が設けられる。そして、チャンバー用ヒータ2107によって、チャンバー2103内の温度が目標温度に維持された状態で、3Dプリンタ2000は、製造を行うのが望ましい。
【0212】
なお、フィラメントは、吐出ノズル2115ごとに異なる種類であってもよいし、同じ種類でもよい。また、本実施形態において、3Dプリンタ2000は、フィラメント供給装置2106により供給されるフィラメントをヘッド加熱装置2114で加熱溶融する。次に、3Dプリンタ2000は、溶融状態となったフィラメントを吐出ノズル2115から押し出して、吐出する。そして、3Dプリンタ2000は、吐出によって、ステージ2104上にフィラメントで形成される各層を積層して、造形物を製造する。
【0213】
なお、3Dプリンタ2000は、サポート材を用いる装置でもよい。すなわち、吐出ノズル2115には、サポート材が供給される場合がある。また、サポート材は、フィラメントとは異なる材料であってもよい。そして、サポート材は、製造後、フィラメントで形成された造形物から除去される。例えば、サポート材は、まず、フィラメントと同様に、ヘッド加熱装置2114で加熱溶融される。次に、溶融状態となったサポート材は、吐出ノズル2115から押し出されるように吐出され、フィラメントと同様に、積層される。
【0214】
更に、図示するように、3Dプリンタ2000は、ステージ2104上に設置されるシートSHを吸引できる構成であるのが望ましい。例えば、図示するように、シートSHは、チューブTU及び吸引装置2130によって、センサSENが検出する状態に基づいて、吸引される。
【0215】
更にまた、図示するように、3Dプリンタ2000は、ノズル清掃装置2109を有するのが望ましい。ノズル清掃装置2109は、吐出ノズル2115を清掃し、吐出されるフィラメントに不純物等が混ざらないようにする。
【0216】
ゆえに、3Dプリンタ2000は、製造を開始する前に、予めチャンバー2103内の温度を目標温度まで昇温させる予熱処理を行う。例えば、チャンバー用ヒータ2107は、予熱処理中、チャンバー2103内を目標温度付近まで昇温させるために、チャンバー2103内を加熱する。一方で、製造中、チャンバー用ヒータ2107は、チャンバー2103内の温度を目標温度付近に維持するために、チャンバー2103内を加熱する。なお、チャンバー用ヒータ2107の動作は、制御装置2100によって制御される。
【0217】
なお、3Dプリンタ2000は、図示するハードウェア構成に限られない。例えば、制御装置2100等は、複数あるハードウェア構成等でもよい。一方で、例えば、3Dプリンタ2000は、吸引装置2130等がないハードウェア構成等でもよい。
【0218】
図26は、制御装置2100が有するディスプレイに表示された進捗状況画面2601の一例を示す図である。図26の進捗状況画面2601では、上限高さ情報Mh(符号2603)に加え実際高さhx(符号2604)が表示されている。
【0219】
ユーザーは3Dモデルの実際高さhxと造形物の現在の高さHを比較して、印刷の進捗を把握することができる。また、3Dアプリで表示する3Dモデルと3Dプリンタ2000の仮想空間に配置された3Dモデルの向きが変わるような場合に、ユーザーは3Dモデルの実際の高さを把握していなくてもよくなる。
【0220】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0221】
例えば、印刷物の印刷予定がスケジュールに登録されている場合、メンテナンス決定部12は、本実施形態で説明した追加メンテナンス情報の推奨開始日を、印刷予定がない日時に設定してもよい。
【0222】
また、本実施形態では、画像形成装置103が定期メンテナンスの前倒し実施を推奨するか判断したが、サーバ装置104がこの判断を行ってよい。この場合、画像形成装置103が定期メンテナンス情報をサーバ装置104に送信する。定期メンテナンスの前倒し実施を推奨すると判断した場合、サーバ装置104は、定期メンテナンスの前倒し実施提案画面700の画面情報を画像形成装置103や端末装置101に送信する。
【0223】
同様に、判断部45が、通知履歴情報記憶部4002において、前倒し実施を推奨すると判断した元になった追加メンテナンスの通知状態の項目を「消去済み」に更新するか否かの判断もサーバ装置104が実行してよい。
【0224】
また、サーバ装置104が定期メンテナンスの前倒し実施を推奨すると判断した場合に、サーバ装置104が定期メンテナンスの前倒し実施提案画面700を表示してもよい。
【0225】
また、本実施形態では画像形成装置103がネイティブアプリを実行し、メンテナンススケジュールを表示したが、画像形成装置103が汎用的なWebブラウザを使用してメンテナンススケジュールを表示してもよい。この場合、サーバ装置104がメンテナンススケジュールの画面を作成する。
【0226】
また、図7などの構成例は、サーバ装置104、及び、画像形成装置103による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。サーバ装置104、及び、画像形成装置103の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0227】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、DFE102は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0228】
更に、サーバ装置104は、開示された処理ステップ、例えば図23の処理を様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、所定のユニットによって実行されるプロセスは、サーバ装置104が有する複数の情報処理装置によって実行され得る。また、サーバ装置104は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0229】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0230】
<請求項に関する付記>
[請求項1]
第一のメンテナンスと、第一のメンテナンスとは異なり、追加で実施する第二のメンテナンスのメンテナンススケジュールを決定する情報処理システムであって、
前記第二のメンテナンスのメンテナンスが決定された場合、前記第二のメンテナンスのメンテナンススケジュールに基づいて前記第一のメンテナンスのメンテナンススケジュールの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示させる表示制御部、
を有する情報処理システム。
[請求項2]
前記第一のメンテナンスではメンテナンスの対象モジュールが決まっており、
前記表示制御部は、前記第二のメンテナンスの対象モジュールと同じ対象モジュールをメンテナンスする前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示させる請求項1に記載の情報処理システム。
[請求項3]
前記表示制御部は、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスを実施する予定日までの期間が所定日数以下である場合、
前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。
[請求項4]
前記表示制御部は、前記第一のメンテナンスが実施されずに、前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報が非表示にされた場合、
前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報が保持されている旨を所定の画面に表示し、
前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスを実施する予定日までの期間が所定日数以下になった場合、前記表示制御部は、前記所定の画面から前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報が保持されている旨を消去する請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[請求項5]
前記表示制御部は、所定のタイミングで、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報を表示手段に表示させることを繰り返し、
前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスを実施する予定日までの期間が所定日数以下になった場合、前記表示制御部は、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報の表示を停止する請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[請求項6]
追加することが決定された前記第二のメンテナンスに対応付けて、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスの前倒し実施の実施有無が設定された通知履歴情報記憶部を有し、
前記表示制御部は、前記通知履歴情報記憶部に設定されている、過去に前倒し実施に関する情報が表示された前記第一のメンテナンスの前倒し実施の実施有無に基づいて、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報を表示させるか否かを変更する請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[請求項7]
追加することが決定された前記第二のメンテナンスにおける対象モジュールと同じ対象モジュールをメンテナンスする前記第二のメンテナンスが、前記通知履歴情報記憶部において前倒し実施されている場合、前記表示制御部は、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報を表示させる請求項6に記載の情報処理システム。
[請求項8]
前記表示制御部は、前記通知履歴情報記憶部に設定されている、過去に前倒し実施に関する情報が表示された前記第一のメンテナンスが実施された比率に基づいて、前記第二のメンテナンスに基づいて特定された前記第一のメンテナンスの前倒し実施に関する情報を表示させるか否かを変更する請求項6に記載の情報処理システム。
[請求項9]
前記第一のメンテナンスは、機器のカウンタ値に基づいて設定される定期メンテナンスであることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[請求項10]
前記第二のメンテナンスは、機器の機器状態情報を故障予測モデルに入力して検出される故障の予兆に対処するための追加メンテナンスであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
[請求項11]
前倒し実施に関する情報とは、前倒しを推奨する情報であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
[請求項12]
前倒し実施に関する情報とは、前倒しが可能であることを示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
[請求項13]
前記第一のメンテナンスは、定期的に実施されるメンテナンスであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【符号の説明】
【0231】
101 端末装置
102 DFE
103 画像形成装置
104 サーバ装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0232】
【特許文献1】特開2017-049940号公報
図1
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