(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134509
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像読取方法、プログラム、および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023204196
(22)【出願日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2023044574
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 聖
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AE15
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】機密性が高い書類の誤送信を防止する、画像読取装置、画像読取方法、プログラム、および情報処理システムを提供する。
【解決手段】本発明は、書類を読み取ってユーザが指定した宛先およびジョブ条件で前記読み取った書類を送信する画像読取装置であって、前記画像読取装置を使用している前記ユーザを識別する識別部と、前記ユーザが過去に書類を送信した際の前記ジョブ条件を記憶する履歴情報記憶部と、読み取った書類の種類を判別する判別部と、判別した種類が機密性が高い種類である場合、前記履歴情報記憶部を参照して、前記宛先に機密性が高い種類の書類を送信した頻度を確認して、前記ユーザに対して、前記宛先と前記ジョブ条件で送信して良いか否かの確認処理を行うことができる画面を表示する表示制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
書類を読み取ってユーザが指定した宛先およびジョブ条件で前記読み取った書類を送信する画像読取装置であって、
前記画像読取装置を使用している前記ユーザを識別する識別部と、
前記ユーザが過去に書類を送信した際の前記ジョブ条件を記憶する履歴情報記憶部と、
読み取った書類の種類を判別する判別部と、
判別した種類が機密性が高い種類である場合、前記履歴情報記憶部を参照して、前記宛先に機密性が高い種類の書類を送信した頻度を確認して、前記ユーザに対して、前記宛先と前記ジョブ条件で送信して良いか否かの確認処理を行うことができる画面を表示する表示制御部と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記確認処理の結果に応じて、前記宛先および前記ジョブ条件の変更を行うことができる変更画面を表示する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記履歴情報記憶部を参照して、前記宛先に対して過去にセキュリティ上安全なジョブ条件で送信した頻度を確認して、前記ユーザに対して前記ジョブ条件で良いか否かの確認と前記ジョブ条件の変更を提案する画面を表示する、請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記識別部は、前記画像読取装置外部のサーバに記憶されるアドレス帳を用いて、前記画像読取装置を使用しているユーザを識別し、
前記履歴情報記憶部は、前記画像読取装置外部のサーバに設けられる、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、判別した種類の書類を前記宛先に送信するのが初めてである場合に、送信して良いか否かを確認する画面を表示する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記判別部は、読み取った書類の種類の判別をOCR技術によって行う、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記判別部は、前記ユーザにより判別された書類の種類を、読み取った書類の種類として判別する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
書類を読み取ってユーザが指定した宛先およびジョブ条件で前記読み取った書類を送信する画像読取装置で実行される画像読取方法であって、
前記画像読取装置を使用している前記ユーザを識別する工程と、
読み取った書類の種類を判別する工程と、
判別した種類が機密性が高い種類である場合、前記ユーザが過去に書類を送信した際の前記ジョブ条件を記憶する履歴情報記憶部を参照して、前記宛先に機密性が高い種類の書類を送信した頻度を確認して、前記ユーザに対して、前記宛先と前記ジョブ条件で送信して良いか否かの確認処理を行うことができる画面を表示する工程と、
を含む画像読取方法。
【請求項9】
書類を読み取ってユーザが指定した宛先およびジョブ条件で前記読み取った書類を送信する画像読取装置を制御するコンピュータを、
前記画像読取装置を使用しているユーザを識別する識別部と、
読み取った書類の種類を判別する判別部と、
判別した種類が機密性が高い種類である場合、前記ユーザが過去に書類を送信した際の前記ジョブ条件を記憶する履歴情報記憶部を参照して、前記宛先に機密性が高い種類の書類を送信した頻度を確認して、ユーザに対して、前記宛先と前記ジョブ条件で送信して良いか否かの確認処理を行うことができる画面を表示する表示制御部と、
して機能させるためのプログラム。
【請求項10】
サーバと、書類を読み取ってユーザが指定した宛先およびジョブ条件で前記読み取った書類を送信する画像読取装置と、を有する情報処理システムであって、
前記サーバは、
前記ユーザが過去に書類を送信した際の前記ジョブ条件を記憶する履歴情報記憶部、を備え、
前記画像読取装置は、
前記画像読取装置を使用している前記ユーザを識別する識別部と、
読み取った書類の種類を判別する判別部と、
判別した種類が機密性が高い種類である場合、前記履歴情報記憶部を参照して、前記宛先に機密性が高い種類の書類を送信した頻度を確認して、前記ユーザに対して、前記宛先と前記ジョブ条件で送信して良いか否かの確認処理を行うことができる画面を表示する表示制御部と、
を備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像読取方法、プログラム、および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置からメール、フォルダ、またはファクス送信等をする際に、スキャン画像にOCR(文字認識)処理を施して文書の種類を判定し、そのまま送信して安全か否かを自動的に判別してユーザに警告表示を行う技術が開発されている。特許文献1では、宛先を含むジョブ条件の履歴から、利用頻度が高いジョブ条件を推奨ジョブ条件として提示するという発明が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、文書の種類によって当該文書を送信して安全か否かを判断することはしていないため、例えば、「社外秘」と書かれた文書とそれ以外の文書とで扱いを変えるといったことは困難である。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、機密性が高い書類の誤送信を防止する、画像読取装置、画像読取方法、プログラム、および情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、書類を読み取ってユーザが指定した宛先およびジョブ条件で前記読み取った書類を送信する画像読取装置であって、前記画像読取装置を使用している前記ユーザを識別する識別部と、前記ユーザが過去に書類を送信した際の前記ジョブ条件を記憶する履歴情報記憶部と、読み取った書類の種類を判別する判別部と、判別した種類が機密性が高い種類である場合、前記履歴情報記憶部を参照して、前記宛先に機密性が高い種類の書類を送信した頻度を確認して、前記ユーザに対して、前記宛先と前記ジョブ条件で送信して良いか否かの確認処理を行うことができる画面を表示する表示制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、機密性が高い書類の誤送信を防止できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態にかかるサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態にかかるMFPのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態にかかるMFPの機能構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおける誤送信防止処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおける書類の種類の判別処理の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおける書類の種類の判別処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおいて書類の種類の判別に用いるキーワード群の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおいて記憶する書類の送信履歴の一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおいて表示される確認メッセージの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおいて表示される変更画面の一例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおいて表示される種類選択画面の一例を説明するための図である。
【
図13】
図13は、第2の実施の形態にかかる情報処理システムにおける誤送信防止処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図14】
図14は、第3の実施の形態にかかる情報処理システムにおける誤送信防止処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図15】
図15は、第3の実施の形態にかかる情報処理システムにおける送信履歴の記録処理の一例を説明するための図である。
【
図16】
図16は、第4の実施の形態にかかる情報処理システムの機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、画像読取装置、画像読取方法、プログラム、および情報処理システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムの構成を示す図である。本実施の形態にかかる情報処理システムは、
図1に示すように、サーバの一例であるサーバ5と、書類を読み取ってユーザが指定した宛先およびジョブ条件で送信する画像読取装置の一例であるMFP(Multi-Function Peripheral/Product/Printer)9と、を有する。
【0010】
図2は、第1の実施の形態にかかるサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示されているように、サーバ5は、コンピュータによって構築されており、
図5に示されているように、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0011】
これらのうち、CPU501は、サーバ5全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、または画像等の各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。データバス510は、
図2に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスまたはデータバス等である。
【0012】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示等の入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択または実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であっても良い。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出しまたは書き込み(記憶)を制御する。
【0013】
図3は、第1の実施の形態にかかるMFPのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示されているように、MFP9は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0014】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、および、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0015】
これらのうち、CPU901は、MFP9の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、およびAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書き等を制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0016】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラム(例えば、MFP9のOSおよびアプリケーション)およびデータ(例えば、機器の設定値、ユーザ情報、アドレス帳、送信履歴)の格納用メモリであるROM902a、プログラムおよびデータの展開、およびメモリ印刷時の描画用メモリ等として用いるRAM902bを有する。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。RAM902bは、OSおよびアプリケーション等のプログラムを動作させるためのメモリである。また、RAM902bは、読み取った画像データを一時的に保持しておくためにも使用する。
【0017】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジック等により画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931およびプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットを有する。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0018】
MEM-C907は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出または書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。CPU901は、OSおよびアプリケーション等の各種プログラムを実行する。
【0019】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。さらに、エンジン制御部930は、スキャナ部931およびプリンタ部932によって構成されている。スキャナ部931は、紙原稿(書類の一例)を読み取る読取装置である。プリンタ部932は、スキャナ部931により読み取った紙原稿またはPC(Personal Computer)等から送られた電子画像を転写紙等の記録媒体に印刷する作像装置である。ただし、プリンタ部932は、本実施の形態にかかる情報処理システムには必須の構成要素ではない。よって、本実施の形態にかかる画像読取装置は、例えば、MFP9に限定されず、単体のスキャナ装置であっても良い。また、操作パネル940は、現在の設定値および選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーおよびコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル940bを備えている。また、操作パネル940は、OSおよびアプリケーションがユーザに対して何かを表示したり、ユーザから何か指示を受け取ったりする際に用いられる。コントローラ910は、MFP9全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931またはプリンタ部932には、誤差拡散およびガンマ変換等の画像処理部分が含まれている。
【0020】
なお、MFP9は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。また、ネットワークI/F950は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。すなわち、ネットワークI/F950は、通信ネットワーク上の他の装置と通信するのに用いられる。近距離通信回路920およびネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0021】
図4は、第1の実施の形態にかかるMFPの機能構成の一例を示す図である。本実施の形態にかかるMFP9は、
図4に示すように、送信アプリ401、操作パネル制御サービス402、メモリ管理サービス403、読取制御サービス404、通信制御サービス405、アドレス帳データベース406、および送信履歴データベース407を有する。ここで、アプリとは、ユーザに提供する機能(例えば、原稿を読み取りメール送信する機能、原稿を読み取り印刷する機能)を実現するプログラムであり、サービスとは、アプリで共通で必要となる機能(例えば、アプリからの指示でスキャナ部を制御して原稿を読み取る機能、アプリからの指示で操作パネルに画面を表示する機能)を提供するプログラムである。
【0022】
送信アプリ401は、ファクス送信、メールまたはフォルダ送信等の機能を実現する。具体的には、送信アプリ401は、画像読取装置の一例であるMFP9を使用しているユーザ、すなわち、MFP9にログインしたユーザを識別する識別部の一例である。また、送信アプリ401は、スキャナ部931により読み取った書類の種類を判別する判別部の一例である。例えば、送信アプリ401は、読み取った書類の種類の判別をOCR技術によって行っても良い。
【0023】
さらに、送信アプリ401は、判別した種類が機密性が高い種類である場合、後述する送信履歴データベース407(履歴情報記憶部の一例)を参照して、ユーザにより指定された宛先に機密性が高い種類の書類を送信した頻度を確認する。そして、送信アプリ401は、ユーザに対して、当該ユーザが指定した宛先とジョブ条件で送信して良いか否かの確認処理を行うことができるメッセージを操作パネル940等の表示部に表示する表示制御部の一例である。これにより、適切な宛先に送信しようしているかを、過去にユーザが送信した宛先と書類の種類の送信履歴から推測し、その推測結果の確認をユーザに促すことができるので、機密性が高い書類の誤送信を防止できる。ここで、頻度の一例は、送信履歴に基づいて算出される送信回数(0回を含む)である。
【0024】
また、送信アプリ401は、判別した種類の書類をユーザが指定した宛先に送信するのが初めてである場合に、送信して良いか否かを確認する確認メッセージを操作パネル940等の表示部に表示しても良い。また、送信アプリ401は、確認処理の結果に応じて、宛先およびジョブ条件の変更を行うことができる変更画面を操作パネル940等の表示部に表示する。
【0025】
操作パネル制御サービス402は、送信アプリ401からの指示により、操作パネル940の画面上に送信アプリ401を利用するためのUIを表示する。また、操作パネル制御サービス402は、タッチパネルまたはボタンが操作された場合に送信アプリ401に対して通知を行う。
【0026】
メモリ管理サービス403は、読み取った画像データをメモリに一時的に保持する。
【0027】
読取制御サービス404は、送信アプリ401からの指示によって読取装置(スキャナ部931)を動作させて紙等の原稿を読み取り、メモリ管理サービス403が管理するメモリに画像データとして書き込む。
【0028】
通信制御サービス405は、Ethernet(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、モデム等のネットワーク通信を行うためのデバイスを制御する。
【0029】
アドレス帳データベース406は、ファクス番号、メールアドレス、フォルダパス等、送信の宛先と、機器を利用するユーザと、そのID(ユーザID)と、を登録しておくデータベースである。
【0030】
送信履歴データベース407は、送信したユーザのユーザID、送信した宛先、送信した書類の種類毎に、送信した回数と、最後に送信した日付と、を記録しておくデータベースである。すなわち、送信履歴データベース407は、ユーザが過去に書類を送信した際のジョブ条件(例えば、ユーザID、宛先、書類の種類、送信した回数、送信した日付)を記憶する履歴情報記憶部の一例である。
【0031】
図5は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおける誤送信防止処理の流れの一例を示すシーケンス図である。次に、
図5を用いて、本実施の形態にかかる情報処理システムにおける誤送信防止処理の流れの一例について説明する。
【0032】
ユーザはMFP9に対してログインする。例えば、ユーザは、ユーザ名とパスワードを入力する方法、ユーザ毎に配布されたICカードをカードリーダにかざす等の方法によりMFP9に対してログインする。送信アプリ401(スキャナアプリ)は、アドレス帳データベース406から、アドレス帳を取得する(ステップS501)。そして、送信アプリ401は、操作パネル制御サービス402を介して、アドレス帳を操作パネル940に表示する(ステップS502)。
【0033】
次に、ユーザが送信アプリ401(スキャナアプリ)の画面に表示されているアドレス帳から宛先を選択(または、宛先のメールアドレス等を直接入力)すると、送信アプリ401は、その宛先を一時的に記憶しておく(ステップS503)。次に、ユーザが書類をMFP9にセットして、操作パネル940が有する読取スタートボタンを押下すると(ステップS504)、送信アプリ401は、スキャナ部931(読取装置)に対して読み取りを指示する(ステップS505)。スキャナ部931(読取装置)は、書類を読み取ってメモリに画像データを保存し(ステップS506、ステップS507)、送信アプリ401に対して読み取り完了を通知する(ステップS508)。
【0034】
送信アプリ401は、メモリに保存された画像データを参照してOCRを行い、書類の種類を推測(判別)する(ステップS509)。判別した書類の種類が機密性が高い種類と判断される場合、送信アプリ401は、ログインしたユーザが、選択した宛先に、当該種類の書類を送信した回数が何回あるかを、送信履歴データベース407を検索して調べる(ステップS510)。ここで、機密性が高い種類の書類とは、例えば、「社外秘」「極秘」といった記載が文書の上方に印字されていたり、文書のタイトルと思われる文字列に「契約書」「人事評価」「健康診断」等が含まれていたりする書類であっても良い。例えば、これらの用語やキーワードを辞書データベースに登録しておき、OCRして得られた文章データがこれらの用語(キーワード)を含むかどうかを検索して見つかった場合には、書類の種類が機密性が高い種類と判断してもよい。また、機械学習により書類とその種類を学習させた学習モデルをMFP9に保持しておき、学習モデルを用いて書類の種類を決定する方法でもよい。
【0035】
ユーザが機密性の高い書類を1回も送信したことがない場合、送信アプリ401は、「指定された宛先にはこの種類の機密性が高い書類を初めて送信します。宛先と送信設定は正しいですか?」といったメッセージを操作パネル940に表示する(ステップS511)。ユーザが「はい」ボタンを押下した場合にはそのまま次の処理(ステップS512)に進むが、「いいえ」ボタンを押下した場合には、送信アプリ401は、宛先と送信設定を変更できる画面を操作パネル940に表示する。
【0036】
ユーザが「はい」ボタンを押した、または以前にも送信したことがあれば(ステップS512)、送信アプリ401は、次の処理として、このユーザがこの宛先にこの種類の書類を送信した回数を1だけ増やして送信履歴の情報を更新する(ステップS513)。その後、送信アプリ401は、メモリから画像データを読み出して通信手段を介して宛先に画像データを送信する(ステップS514)。
【0037】
図6は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおける書類の種類の判別処理の一例を説明するための図である。ここでは、
図6に示すように、人事評価に関する書類の例を元に、OCR技術によって書類の種類の判別を行う処理の一例について説明する。
【0038】
図6に示す書類をOCRすると、書類の上の方から順に、「人事評価表」「対象期間」「氏名」といった文字列が得られる。送信アプリ401は、これらの文字列の中から、予め定義またはユーザが登録しておいた書類の種類を表すキーワード群に含まれる文字列があるか否かを調べると、「人事評価」が見つかる。そのため、送信アプリ401は、この書類が人事評価に関する書類であると判別する。
【0039】
図7は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおける書類の種類の判別処理の流れの一例を示すフローチャートである。次に、
図7を用いて、書類の種類を判定する処理の流れの一例について説明する。
【0040】
送信アプリ401は、書類(文書)の上の行から順に、所定の行数について、以下の処理を繰り返す(ステップS701)。書類の種類を示す文字列は書類の上部にあることが多いため、送信アプリ401は、書類の上方から、数行程度のOCRの結果を取り出す。次に、送信アプリ401は、キーワード群の中に含まれるキーワード毎に、取り出した行に含まれるキーワードを探す処理を繰り返す(ステップS702)。書類の全ての行からキーワードが見つからなかった場合(ステップS703:No)、送信アプリ401は、書類の種類は不明と判断する(ステップS704)。キーワードが見つかった場合(ステップS703:Yes)、送信アプリ401は、見つかったキーワードに対応する種類を、書類の種類として採用する(ステップS705)。
【0041】
図8は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおいて書類の種類の判別に用いるキーワード群の一例を説明するための図である。機密性が高い書類の種類として、「契約書」、「人事評価」、「健康診断」、「個人情報を含む文書」、「その他の機密文書」等がある場合、送信アプリ401は、機密性が高い書類のそれぞれを表すキーワードの文字列を持っている。これらのキーワードは、予め定義されていてユーザが変更できない形態でも良いし、ユーザが任意に変更または登録できるようになっていても良い。
【0042】
機密性が高い書類のそれぞれには、複数のキーワードを設定することが可能である。本実施の形態では、各書類には、最大4つのキーワードが設定されているが、より多くのキーワードが設定されていても良いし、より少ないキーワードが設定されていても良い。例えば、機密性が高い書類の一例である契約書には、「契約書」「覚書」「念書」「合意書」といったキーワードが設定されていても良い。そして、送信アプリ401は、書類に対してOCRした際に、書類の上部にそれらのキーワードに合致する文字列が出てくれば、その書類を契約書と判別する。
【0043】
図9は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおいて記憶する書類の送信履歴の一例を説明するための図である。書類の送信履歴データベース407には、
図9に示すように、ユーザID、送信した宛先、送信した書類の種類、送信した回数、最後に送信した日付が記録されている。送信アプリ401は、例えば、ユーザAが宛先「jinji@xyz.com」に対して、人事評価に関する書類を読み取って送信する場合、書類の送信前においては「送信前」の送信履歴データベース407に示すように、人事評価に関する書類を送信した履歴は存在しないので、「指定された宛先にはこの種類の機密性が高い書類を初めて送信します。宛先と送信設定は正しいですか?」というメッセージを表示する。その後、ユーザが「はい」ボタンを選択して書類を送信した後は、書類の送信履歴には、「ユーザAが送信後」の送信履歴データベース407に示すように、新しい送信履歴が記憶される。
【0044】
図10は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおいて表示される確認メッセージの一例を示す図である。判別した種類の書類を過去に1回も送信したことがなかった場合、送信アプリ401は、
図10に示すように、「指定された宛先にはこの種類の機密性が高い書類を初めて送信します。宛先と送信設定は正しいですか?」というメッセージと共に、当該メッセージの下に、ユーザが指定した宛先と、OCR(または別の手段)によって推測(またはユーザが指定)した書類の種類を含む確認メッセージを表示する。これにより、ユーザが書類が誤送信でないことを確認しやすいようにする。そして、OCR(または別の手段)によって推測した書類の種類が間違っていた場合、ユーザはMFP9が推測した結果が間違っていることがわかるので「いいえ」を選択することができる。
【0045】
図11は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおいて表示される変更画面の一例を説明するための図である。具体的には、
図11は、
図10に示す確認メッセージにおいて「いいえ」を選択した場合に表示される変更画面の一例である。送信アプリ401は、書類を送信しようとしていた宛先(例えば、jinji@xyz.com)と、ジョブ条件の一例である書類の送信設定(例えば、書類の種類:人事評価、ファイル形式:PDF、メール暗号化:しない、電子署名:しない)と、を含む変更画面1101を表示する。
【0046】
変更画面1101に含まれる宛先のメールアドレス部分(フォルダ宛先の場合はフォルダパス)を押下すると、送信アプリ401は、書類の宛先を編集可能な宛先編集画面を表示する。宛先を直接入力する場合は、送信アプリ401は、ソフトキーボードを表示しても良いし、アドレス帳から宛先を選択する場合は、書類の宛先の一覧を含む宛先一覧画面を表示しても良い。
【0047】
変更画面1101に含まれる書類の種類の部分を押下すると、送信アプリ401は、OCR(または別の手段)で推測した書類の種類を変更できる種類選択画面(
図12参照)を表示する。また、変更画面1101に含まれるファイル形式の部分を押下すると、送信アプリ401は、書類のファイル形式を設定可能なファイル形式設定画面1102を表示する。ここでは、書類のファイル形式として、PDF、暗号化PDF、TIFF、JPEGの4つのファイル形式から選択できる。
【0048】
ファイル形式設定画面1102に含まれる暗号化PDFボタンを押下すると、送信アプリ401は、暗号化PDF設定画面1103を表示する。暗号化PDF設定画面1103では、書類の暗号化に用いる文書暗号化パスワードの入力、暗号レベルの選択、権限変更パスワードの設定、印刷、変更、内容のコピーの各権限の設定を変更することができる。ファイル形式の設定情報(文書暗号化パスワードの有無、暗号レベル、権限変更パスワードの有無、権限の設定情報)は、ユーザが過去に書類を送信した際のジョブ条件として送信履歴データベース407に記憶される。
【0049】
また、変更画面1101では、メール設定の暗号化の「する」または「しない」を切り替えることができる。ここでは、メール設定の暗号化は、S/MIME(Secure/Multipurpose Internet Mail Extensions)による暗号化メール送信の設定を意味するが、他の手段による暗号化でも良い。また、変更画面1101では、メール設定の電子署名の「する」または「しない」を切り替えることができる。ここでは、メール設定の電子署名は、S/MIMEによる電子署名の設定を意味するが、他の手段による電子署名でも良い。メール設定の情報(電子署名の有無、暗号化の有無)は、ユーザが過去に書類を送信した際のジョブ条件として送信履歴データベース407に記憶される。
【0050】
図12は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおいて表示される種類選択画面の一例を説明するための図である。本実施の形態では、種類選択画面1201では、契約書、人事情報、健康診断、個人情報を含む文書、その他の機密文書、および、機密ではない文書の6つの中から、書類の種類を選択可能となっている。「機密ではない文書」は、他の5つの書類の種類とは別で、OCR(または別の手段)によって他の機密性が高い書類の種類ではないと推測(またはユーザーが指定)した場合にのみ選択される。
図11に示す変更画面1101「書類の種類」を押下した場合は、初期値としてOCR(または別の手段)で推測(またはユーザーが指定)した書類の種類が選択される。選択された書類の種類の情報は、ユーザが過去に書類を送信した際のジョブ条件として送信履歴データベース407に記憶される。
【0051】
このように、第1の実施の形態にかかる情報処理システムによれば、適切な宛先に送信しようしているかを、過去にユーザが送信した宛先と書類の種類の送信履歴から推測し、その推測結果の確認をユーザに促すことができるので、機密性が高い書類の誤送信を防止できる。
【0052】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、ユーザにより判別された書類の種類を、読み取った書類の種類として判別する例である。以下の説明では、上述の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0053】
本実施の形態では、送信アプリ401は、ユーザにより判別された書類の種類を、スキャナ部931により読み取った書類の種類として判別する。
【0054】
図13は、第2の実施の形態にかかる情報処理システムにおける誤送信防止処理の流れの一例を示すシーケンス図である。以下の説明では、
図5に示す処理と同様の処理については説明を省略する。
【0055】
書類の種類をユーザが指定する場合の誤送信防止のシーケンスについて説明する。スキャナ部931による書類の読み取りスタートする前に、ユーザが書類の種類を選択する選択ボタンを押下して、書類の種類を選択する(ステップS1301)。送信アプリ401は、選択された書類の種類を記憶する(ステップS1302)。
【0056】
送信アプリ401は、スキャナ部931に対して書類の読み取りを指示する前に、ユーザがこの宛先に当該選択した種類の書類を送信した回数を調べてメッセージを表示する(ステップS511)。メッセージにおいて「いいえ」を選択すると、送信アプリ401は、スキャナ部931により読み取った画像に対するOCRを行わない。一方、確認メッセージにおいて「はい」を選択すると(ステップS512)、送信アプリ401は、ステップS513に進む。なお、ユーザが宛先を選択する処理と書類の種類を選択する処理の順序は逆でも良い。
【0057】
このように、第2の実施の形態にかかる情報処理システムによれば、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、送信履歴データベースを参照して、指定された宛先に対して過去にセキュリティ上安全なジョブ条件で送信した頻度を確認して、ユーザに対して、指定したジョブ条件で良いか否かの確認とジョブ条件の変更を提案するメッセージを表示する例である。以下の説明では、上述の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0059】
本実施の形態では、送信アプリ401は、送信履歴データベース407を参照して、ユーザにより指定された宛先に対して過去にセキュリティ上安全なジョブ条件で送信した頻度を確認して、ユーザに対して、当該ユーザが指定したジョブ条件で良いか否かの確認とジョブ条件の変更を提案するメッセージを操作パネル940等の表示部に表示する。これにより、セキュリティ性が高いジョブ条件に自動的に変更するかどうかをユーザに提示することができる。
【0060】
図14は、第3の実施の形態にかかる情報処理システムにおける誤送信防止処理の流れの一例を示すシーケンス図である。具体的には、
図14は、以下の説明では、
図5に示す処理と同様の処理については説明を省略する。
【0061】
ここでは、セキュリティ性が高いジョブ条件か否かを確認して書類を送信するシーケンスについて説明する。
図5で示す処理では、書類の種類と宛先との組み合わせで、ログインしたユーザが、選択した宛先に書類を送信した回数を調べているが、
図14に示す処理では、書類の種類と、セキュリティ性に関するジョブ条件と、宛先と、の組み合わせで、ログインしたユーザが、選択した宛先に、書類を送信した回数を調べる(ステップS1401)。
【0062】
そして、過去の書類の送信ではセキュリティ性が高いジョブ条件(例えば、暗号化PDF形式)で送信することが多い場合、送信アプリ401は、セキュリティ性が高いジョブ条件(例えば、通常のPDF形式に対して暗号化PDF形式)に自動的に変更するか否かのメッセージを操作パネル940に表示する(ステップS1402)。
図5に示す処理では、メッセージにおいて「いいえ」を選択すると、ユーザが宛先と送信設定の変更をすることができたが、
図14に示す処理では、セキュリティ性が高いか否かをMFP9が判断しているため、セキュリティ性が高いジョブ条件(例えば、通常のPDF形式に対して暗号化PDF形式)に自動的に変更するかどうかをユーザに提示する。
【0063】
そして、ユーザが「はい」ボタンを押下した場合には(ステップS1403)、送信アプリ401は、セキュリティ性が高いジョブ条件に変更する(ステップS1404)。その後、送信アプリ401は、ステップS513に進む。なお、通常のPDF形式の書類を暗号化PDF形式の書類に変更する場合は、少なくとも暗号化パスワードの設定が必要になるため、ユーザに設定画面を表示して設定してもらう必要がある。そのため、例えば、
図11に示す暗号化PDF設定画面1103において暗号化パスワードを設定可能としても良い。
【0064】
図15は、第3の実施の形態にかかる情報処理システムにおける送信履歴の記録処理の一例を説明するための図である。ここでは、
図15を用いて、書類の種類と、セキュリティ性に関するジョブ条件と、宛先と、の組み合わせで頻度を判断するために用いる送信履歴の記録処理の一例について説明する。
【0065】
送信履歴データベース407は、
図9に示す送信履歴データベース407に加えて、「セキュリティに関するジョブ条件」の列が増えている。
図14に示す例では、宛先:jinji@xyz.comに対して人事評価に関する書類を送信しようとした際に、通常のPDF形式が選択されていたが、送信履歴データベース407において、同じ宛先および同じ種類の書類を送った際のセキュリティに関するジョブ条件を確認すると、過去に10回「暗号化PDF形式」で書類を送っていたことがわかるため、送信アプリ401は、暗号化PDF形式への変更をユーザに提案することができる。
【0066】
なお、同じ宛先および同じ種類の書類を、異なるセキュリティに関するジョブ条件で送信した送信履歴がある場合には、それらの中から最も回数が多いジョブ条件を採用するが、最後に送信した日付も加味してジョブ条件を決定するなど、異なる方法でジョブ条件を判断しても良い。
【0067】
このように、第3の実施の形態にかかる情報処理システムによれば、セキュリティ性が高いジョブ条件に自動的に変更するかどうかをユーザに提示することができる。
【0068】
(第4の実施の形態)
本実施の形態は、MFPの外部のサーバに、アドレス帳データベースおよび送信履歴データベースが存在する例である。以下の説明では、上述の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0069】
図16は、第4の実施の形態にかかる情報処理システムの機能構成の一例を示す図である。本実施の形態にかかるMFP9は、
図16に示すように、送信アプリ401、操作パネル制御サービス402、メモリ管理サービス403、読取制御サービス404、および通信制御サービス405を有する。本実施の形態では、送信アプリ401は、MFP9外部のサーバ5に記憶されるアドレス帳データベース406を用いて、MFP9を使用しているユーザを識別する。
【0070】
また、本実施の形態にかかるサーバ5は、
図16に示すように、アドレス帳データベース406、および送信履歴データベース407を有する。すなわち、
図4に示すMFP9の機能構成では、画像読取装置の一例であるMFP9内部に、アドレス帳データベース406と送信履歴データベース407が存在しているが、MFP9外部のサーバ5に存在していても良い。この場合も、
図5、13、14に示す誤送信防止処理のシーケンスは同様である。ただし、アドレス帳データベース406および送信履歴データベース407の各データベースには、MFP9は、通信制御サービス405を介してアクセスするという点だけが変わる。
【0071】
このように、第4の実施の形態にかかる情報処理システムによれば、MFP9外部のサーバ5に、アドレス帳データベース406および送信履歴データベース407が存在する場合も、上述の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
なお、本実施の形態のMFP9で実行されるプログラムは、ROM902a等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態のMFP9で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0073】
さらに、本実施の形態のMFP9で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のMFP9で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0074】
本実施の形態のMFP9で実行されるプログラムは、上述した各部(送信アプリ401、操作パネル制御サービス402、メモリ管理サービス403、読取制御サービス404、通信制御サービス405)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU901等のプロセッサが上記ROM902aからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、送信アプリ401、操作パネル制御サービス402、メモリ管理サービス403、読取制御サービス404、通信制御サービス405が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0075】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0076】
実施の形態に記載された装置群は、本明細書に開示された実施の形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施の形態では、MFP9は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。同様に、サーバ5は、互いに通信するように構成された複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。同様に、MFP9の機能は、サーバ5によって実行することができる。また、MFP9とサーバ5の各要素は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0077】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 書類を読み取ってユーザが指定した宛先およびジョブ条件で前記読み取った書類を送信する画像読取装置であって、
前記画像読取装置を使用している前記ユーザを識別する識別部と、
前記ユーザが過去に書類を送信した際の前記ジョブ条件を記憶する履歴情報記憶部と、
読み取った書類の種類を判別する判別部と、
判別した種類が機密性が高い種類である場合、前記履歴情報記憶部を参照して、前記宛先に機密性が高い種類の書類を送信した頻度を確認して、前記ユーザに対して、前記宛先と前記ジョブ条件で送信して良いか否かの確認処理を行うことができる画面を表示する表示制御部と、
を備える画像読取装置。
<2> 前記表示制御部は、前記確認処理の結果に応じて、前記宛先および前記ジョブ条件の変更を行うことができる変更画面を表示する、<1>に記載の画像読取装置。
<3> 前記表示制御部は、前記履歴情報記憶部を参照して、前記宛先に対して過去にセキュリティ上安全なジョブ条件で送信した頻度を確認して、前記ユーザに対して前記ジョブ条件で良いか否かの確認と前記ジョブ条件の変更を提案する画面を表示する、<1>または<2>に記載の画像読取装置。
<4> 前記識別部は、前記画像読取装置外部のサーバに記憶されるアドレス帳を用いて、前記画像読取装置を使用しているユーザを識別し、
前記履歴情報記憶部は、前記画像読取装置外部のサーバに設けられる、<1>から<3>のいずれか一項に記載の画像読取装置。
<5> 前記表示制御部は、判別した種類の書類を前記宛先に送信するのが初めてである場合に、送信して良いか否かを確認する画面を表示する、<1>から<4>のいずれか一項に記載の画像読取装置。
<6> 前記判別部は、読み取った書類の種類の判別をOCR技術によって行う、<1>から<5>のいずれか一項に記載の画像読取装置。
<7> 前記判別部は、前記ユーザにより判別された書類の種類を、読み取った書類の種類として判別する、<1>から<5>のいずれか一項に記載の画像読取装置。
<8> 書類を読み取ってユーザが指定した宛先およびジョブ条件で前記読み取った書類を送信する画像読取装置で実行される画像読取方法であって、
前記画像読取装置を使用している前記ユーザを識別する工程と、
読み取った書類の種類を判別する工程と、
判別した種類が機密性が高い種類である場合、前記ユーザが過去に書類を送信した際の前記ジョブ条件を記憶する履歴情報記憶部を参照して、前記宛先に機密性が高い種類の書類を送信した頻度を確認して、前記ユーザに対して、前記宛先と前記ジョブ条件で送信して良いか否かの確認処理を行うことができる画面を表示する工程と、
を含む画像読取方法。
<9> 書類を読み取ってユーザが指定した宛先およびジョブ条件で前記読み取った書類を送信する画像読取装置を制御するコンピュータを、
前記画像読取装置を使用しているユーザを識別する識別部と、
読み取った書類の種類を判別する判別部と、
判別した種類が機密性が高い種類である場合、前記ユーザが過去に書類を送信した際の前記ジョブ条件を記憶する履歴情報記憶部を参照して、前記宛先に機密性が高い種類の書類を送信した頻度を確認して、ユーザに対して、前記宛先と前記ジョブ条件で送信して良いか否かの確認処理を行うことができる画面を表示する表示制御部と、
して機能させるためのプログラム。
<10> サーバと、書類を読み取ってユーザが指定した宛先およびジョブ条件で前記読み取った書類を送信する画像読取装置と、を有する情報処理システムであって、
前記サーバは、
前記ユーザが過去に書類を送信した際の前記ジョブ条件を記憶する履歴情報記憶部、を備え、
前記画像読取装置は、
前記画像読取装置を使用している前記ユーザを識別する識別部と、
読み取った書類の種類を判別する判別部と、
判別した種類が機密性が高い種類である場合、前記履歴情報記憶部を参照して、前記宛先に機密性が高い種類の書類を送信した頻度を確認して、前記ユーザに対して、前記宛先と前記ジョブ条件で送信して良いか否かの確認処理を行うことができる画面を表示する表示制御部と、
を備える情報処理システム。
【符号の説明】
【0078】
5 サーバ
9 MFP
401 送信アプリ
402 操作パネル制御サービス
403 メモリ管理サービス
404 読取制御サービス
405 通信制御サービス
406 アドレス帳データベース
407 送信履歴データベース
901 CPU
902a ROM
902b RAM
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】