(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134514
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/312 20060101AFI20240926BHJP
G03F 7/11 20060101ALI20240926BHJP
C08G 6/00 20060101ALI20240926BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01L21/312 A
G03F7/11 503
G03F7/11 502
C08G6/00
H01L21/30 573
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000154
(22)【出願日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】10-2023-0036111
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭 主 泳
(72)【発明者】
【氏名】南 ▲えん▼ 希
(72)【発明者】
【氏名】鄭 スルギ
【テーマコード(参考)】
2H225
4J033
5F058
5F146
【Fターム(参考)】
2H225AM61N
2H225AM99N
2H225AN39N
2H225AN42N
2H225BA01N
2H225CA12
4J033BA01
4J033HA02
4J033HA09
4J033HA13
4J033HB10
5F058AG04
5F058AG09
5F146NA17
(57)【要約】
【課題】膜強度に優れ、膜密度が改善されて優れたパターン形成性を確保することができるハードマスク層を形成し得るハードマスク組成物を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表される化合物の自己重合体、および溶媒を含むハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物から製造されるハードマスク層、そして前記ハードマスク組成物からパターンを形成する方法に関する。
上記化学式1の定義は、明細書内に記載したとおりである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物の自己重合体、および溶媒を含むハードマスク組成物。
【化1】
(上記化学式1中、
Aで表される環は、飽和もしくは不飽和結合を介して形成された5員環または6員環であり、前記環の骨格は、全て炭素原子からなるか、あるいは炭素原子、および1つまたは複数の酸素原子または窒素原子からなり、
L
1およびL
2は、それぞれ独立して、-(C=O)Hであり、
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のヘテロシクロアルキル基であり、
m1およびm2は、それぞれ独立して、0または1であり、m1+m2=1であり、
n1は0~3の整数のうちの一つであり、n2は0または1であり、
kは0または1であり、
k=0である場合、m1=1である。)
【請求項2】
上記化学式1のR1およびR2は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基であり、n1+n2は1~4の整数のうちの一つである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項3】
上記化学式1のR1およびR2は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、n1は1~3の整数のうちの一つである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項4】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式2~下記化学式5で表される化合物のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化2】
(上記化学式2~上記化学式5で、
R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のヘテロシクロアルキル基であり、
X
3は、-CR
cR
d-、-O-、または-NR
e-であり、
X
4およびX
5は、それぞれ独立して、-CR
f-、または-N-であり、
この際、前記R
c~R
fは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基であり、
naは0~3の整数のうちの一つであり、
nbは0または1である。)
【請求項5】
上記化学式2~5中のRaおよびRbは、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基であり、na+nbは1~4の整数のうちの一つである、請求項4に記載のハードマスク組成物。
【請求項6】
上記化学式2~5のRaおよびRbは、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、naは1~3の整数のうちの一つである、請求項4に記載のハードマスク組成物。
【請求項7】
上記化学式3のX3は、-O-、または-NRe-であり、上記化学式4のX4、および上記化学式5のX5は、それぞれ独立して、-CRf-であり、
上記ReおよびRfは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基である、請求項4に記載のハードマスク組成物。
【請求項8】
前記自己重合体の重量平均分子量は、1,000g/mol~200,000g/molである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項9】
前記自己重合体は、前記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%含まれる、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項10】
前記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトンまたはエチル3-エトキシプロピオネートである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層。
【請求項12】
基板の上に材料層を提供する段階、
前記材料層の上に請求項1~10のいずれか一項に記載のハードマスク組成物を適用する段階、
前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、
前記フォトレジストパターンを利用して前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出する段階、ならびに
前記材料層の露出された部分をエッチングする段階、
を含むパターン形成方法。
【請求項13】
前記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含む、請求項12に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および前記ハードマスク組成物を使用するパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体産業は、数百ナノメートルサイズのパターンから数~数十ナノメートルサイズのパターンを有する超微細技術へ発展している。このような超微細技術を実現するためには効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板の上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像してフォトレジストパターンを形成した後、上記フォトレジストパターンをマスクとして材料層をエッチングする過程を含む。
【0004】
近年、形成しようとするパターンのサイズが減少することによって、上述した典型的なリソグラフィック技法だけでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成し難い。そのために、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にいわゆるハードマスク層と呼ばれる補助層を形成して微細パターンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2016-0145480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、膜強度に優れ、膜密度が改善されて優れたパターン形成性を確保することができるハードマスク層を形成し得るハードマスク組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、上記ハードマスク組成物を使用したパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物の自己重合体、および溶媒を含む。
【0010】
【0011】
上記化学式1中、
Aで表される環は、飽和もしくは不飽和結合を介して形成された5員環または6員環であり、上記環の骨格は、全て炭素原子からなるか、あるいは炭素原子、および1つまたは複数の酸素原子または窒素原子からなり、
L1およびL2は、それぞれ独立して、-(C=O)Hであり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のヘテロシクロアルキル基であり、
m1およびm2は、それぞれ独立して、0または1であり、m1+m2=1であり、
n1は0~3の整数のうちの一つであり、n2は0または1であり、
kは0または1であり、
k=0である場合、m1=1である。
【0012】
上記化学式1のR1およびR2は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基であり、n1+n2は1~4の整数のうちの一つであることが好ましい。
【0013】
上記化学式1のR1およびR2は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、n1は1~3の整数のうちの一つであることが好ましい。
【0014】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式2~下記化学式5で表される化合物のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0015】
【0016】
上記化学式2~上記化学式5中、
RaおよびRbは、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のヘテロシクロアルキル基であり、
X3は、-CRcRd-、-O-、または-NRe-であり、
X4およびX5は、それぞれ独立して、-CRf-、または-N-であり、
この際、上記Rc~Rfは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基であり、
naは0~3の整数のうちの一つであり、
nbは0または1である。
【0017】
上記化学式2~5のRaおよびRbは、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基であり、na+nbは1~4の整数のうちの一つであることが好ましい。
【0018】
上記化学式2~5のRaおよびRbは、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、naは1~3の整数のうちの一つであることが好ましい。
【0019】
上記化学式3のX3は、-O-、または-NRe-であり、上記化学式4のX4、および上記化学式5のX5は、それぞれ独立して、-CRf-であり、
上記ReおよびRfは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であることが好ましい。
【0020】
上記自己重合体の重量平均分子量は、1,000g/mol~200,000g/molであることが好ましい。
【0021】
上記自己重合体は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%含まれることが好ましい。
【0022】
上記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトンまたはエチル3-エトキシプロピオネートであることが好ましい。
【0023】
他の実施形態によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0024】
また他の実施形態によれば、基板の上に材料層を提供する段階、上記材料層の上に上述したハードマスク組成物を適用する段階、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出する段階、そして上記材料層の露出された部分をエッチングする段階を含むパターン形成方法を提供する。
【0025】
上記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、膜強度に優れ、膜密度が改善されて優れたパターン形成性を確保することができるハードマスク層を形成し得るハードマスク組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0028】
本明細書で別途の定義がない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、ビニル基、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数2~20のアルキニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数9~30のアリルアリール基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、炭素原子数3~30のヘテロシクロアルキル基およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたことを意味する。
【0029】
また、上記置換されたハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数2~30のアルケニル基、炭素原子数2~30のアルキニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、または炭素原子数2~30のヘテロ環基の中の隣接した二つの置換基が結合して環を形成することもできる。
【0030】
本明細書で別途の定義がない限り、「アリール基」とは、芳香族炭化水素部位を一つ以上有する基を意味し、広くは芳香族炭化水素部位が単結合で連結された形態および芳香族炭化水素部位が直接または間接的に縮環された非芳香族融合環も含む。アリール基は、単環式、多環式または縮合多環式(つまり、隣接した炭素原子の対を共有する環を含む多環式)官能基を含む。
【0031】
より具体的に、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のp-テルフェニル基、置換もしくは非置換のm-テルフェニル基、置換もしくは非置換のo-テルフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、置換もしくは非置換のフラニル基、またはこれらの組み合わせであり得るが、これらに制限されない。
【0032】
本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、S、SeおよびPから選択されたヘテロ原子を1個~3個含有したものを意味する。
【0033】
本明細書で別途の定義がない限り、「アルキル基」とは、炭素原子と炭素原子との間が単結合で連結されてなる1価の直鎖型または分枝鎖型炭化水素基を意味する。
【0034】
本明細書で別途の定義がない限り、「アルケニル基」とは、炭素原子と炭素原子との間に少なくとも一つの二重結合を含む1価の直鎖型または分枝鎖型炭化水素基を意味する。
【0035】
本明細書で別途の定義がない限り、「アルキニル基」とは、炭素原子と炭素原子との間に少なくとも一つの三重結合を含む1価の直鎖型または分枝鎖型炭化水素基を意味する。
【0036】
本明細書で別途の定義がない限り、「シクロアルキル基」とは、炭素原子と炭素原子との間が単結合で連結されてなる1価の環状炭化水素基を意味する。
【0037】
本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロアルキル基」とは、炭素原子と炭素原子との間が単結合からなる1価の直鎖型または分枝鎖型炭化水素基内の少なくとも一つの炭素がN、O、S、Se、およびPのうちの少なくとも1種のヘテロ原子で置換されたものを意味する。
【0038】
本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロシクロアルキル基」とは、炭素と炭素との間が単結合で連結されてなる1価の環状炭化水素基内の少なくとも一つの炭素がN、O、S、Se、およびPのうちの少なくとも1種のヘテロ原子で置換されたものを意味する。
【0039】
本明細書で、重合体は、オリゴマーと重合体(ポリマー)を全て含むことができる。
【0040】
本明細書で特に言及しない限り、「重量平均分子量」は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社の1200seriesゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を利用して測定(カラムはShodex社のLF-804、標準試料はShodex社のポリスチレンを使用)したものである。
【0041】
半導体産業でチップのサイズを減少させる要求が絶えずに持続している。これに対応するために、リソグラフィ技術でパターニングされるレジストの線幅は、数十ナノメートル水準のサイズを有しなければならない。したがって、レジストパターンの線幅に耐えることができる高さが制限され、レジストがエッチング段階で十分に耐えることができない場合が発生する。これを補完するために、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にいわゆるハードマスク層と呼ばれる補助層を使用する。このようなハードマスク層は、選択的エッチングを通じてフォトレジストの微細パターンを材料層に転写する中間膜としての役割を果たす。したがって、ハードマスク層は、パターン転写時に必要なエッチング工程に耐えることができるように高い膜密度と改善された膜強度が要求される。
【0042】
本発明によるハードマスク組成物は、自己重合体(単独重合体)を含む。自己重合体は、架橋特性に優れ、構造単位が稠密に連結されるため、これを含む組成物を熱処理すれば、重合体または構造単位間の稠密な連結により緻密な膜構造を形成することができる。したがって、本発明によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層は、膜密度が高く、膜強度が改善され得る。
【0043】
具体的に、本発明によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物の自己重合体、および溶媒を含む。
【0044】
【0045】
上記化学式1中、
Aで表される環は、飽和もしくは不飽和結合を通じて形成された5員環または6員環であり、上記環の骨格は、全て炭素原子からなるか、あるいは炭素原子、および1つまたは複数の酸素原子または窒素原子からなり、
L1およびL2は、それぞれ独立して、-(C=O)Hであり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のヘテロシクロアルキル基であり、
m1およびm2は、それぞれ独立して、0または1であり、m1+m2=1であり、
n1は0~3の整数のうちの一つであり、n2は0または1であり、
kは0または1であり、
k=0である場合、m1=1である。
【0046】
上記化学式1で表される化合物は、高炭素含有量の芳香族環および/またはヘテロ環を含むことによって、上記化合物の自己重合体を含むハードマスク層の膜を固くすることができる。また、上記化合物は、相対的にサイズが小さい芳香族環および/またはヘテロ環を含むことによって、互いにより稠密に連結され得て、これらの自己重合体を含むハードマスク層の膜密度を高め、膜強度をより高めることができる。
【0047】
本発明の一実施形態による自己重合体は、上記化学式1で表される化合物が自己重合して形成される。上記化合物に含まれるアルデヒド基により、上記化合物間に結合が形成され、上記の結合形成が無作為に進行しうる。具体的には、一つの分子内において、アルデヒドの炭素原子に他の分子の芳香族環上の任意の炭素原子が結合し、したがって、上記結合は無作為に発生することができる。つまり、一実施形態による自己重合体は、上記化学式1で表される化合物が無作為に分枝状に連結された形態を有することができる。化合物間の結合が無作為に発生する初期反応を簡単に図式化すれば下記反応式1で表すことができる。しかし、下記反応式1は、化合物間の結合反応の一例に過ぎず、これに制限されない。
【0048】
【0049】
上記反応式1のように、化合物が自己重合をすると、2以上の異なる構造単位が互いに連結されて形成される共重合体よりも構造単位間の連結がより稠密になることができる。したがって、化学式1で表される化合物の自己重合体を含む組成物から形成されたハードマスク層は、膜強度がより改善され得る。
【0050】
上記化学式1のAで表される環は、飽和、または不飽和結合、つまり、単結合、または二重結合を介して形成された5員環または6員環であり、その環の骨格が全て炭素原子からなるか、または炭素原子、および1つまたは複数の酸素原子または窒素原子からなり得る。Aの環をなす原子は、例えば5個または6個であり得る。Aの環をなす原子が5個である場合、そのうちの一つの元素が酸素(O)、または窒素(N)であり得て、それによってAで表される環はフラン環、またはピロール環であり得るが、これらに制限されない。
【0051】
上記化学式1のR1およびR2は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基である。例えば、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、例えばヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルキル基であり、これらに制限されない。
【0052】
上記化学式1のn1+n2は、0~4の整数のうちの一つであり、例えば1~4の整数であり、例えば1~3の整数であるが、これらに制限されない。この際、n1が0~3の整数のうちの一つであり、例えば1~3の整数のうちの一つであり、これらに制限されない。
【0053】
上記化学式1のm1およびm2は、それぞれ独立して、0または1であり、m1およびm2が同時に0ではなく、m1+m2=1である。
【0054】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式2~下記化学式5で表される化合物のうちの少なくとも1種が好ましい。
【0055】
【0056】
上記化学式2~上記化学式5中、
上記RaおよびRbは、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のヘテロシクロアルキル基である。
【0057】
例えば、上記RaおよびRbは、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基であり、例えばそれぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、これらに制限されない。
【0058】
一例として、RaおよびRbは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルキル基であり、例えば、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルコキシ基、または置換の炭素原子数1~5のアルキル基であり、これらに制限されない。
【0059】
上記X3は、-CRcRd-、-O-、または-NRe-であり、上記X4およびX5は、それぞれ独立して、-CRf=、または-N=であり、上記Rc~Rfは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基である。例えば上記Rc~Rfは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~16のアリール基であり、例えばそれぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、これらに制限されない。
【0060】
例えば、上記化学式3のX3は、-CRcRd-、-O-、または-NRe-(ここで、Reは、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基である。)であり、一例として、-CH2-、-CH(CH3)-、-O-、または-NH-であり、例えば、-O-、または-NH-であるが、これらに制限されない。
【0061】
例えば、上記化学式4のX4、および上記化学式5のX5は、それぞれ独立して、-CRf=であり、ここでRfは、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、例えばRfが水素原子、または重水素原子であり、これらに制限されない。
【0062】
上記化学式2~上記化学式5のnaは、0~3の整数のうちの一つであり、例えば、1~3の整数のうちの一つであり、これらに制限されない。また、上記化学式3~上記化学式5のnbは、0または1である。
【0063】
上記自己重合体は、1,000g/mol~200,000g/molの重量平均分子量を有することができる。例えば、1,000g/mol~150,000g/mol、例えば、1,000g/mol~100,000g/mol、例えば、1,200g/mol~50,000g/mol、例えば、1,200g/mol~10,000g/molの重量平均分子量を有することができ、これらに制限されない。上記範囲の重量平均分子量を有することによって、上記自己重合体を含むハードマスク組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0064】
上記自己重合体は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%含まれ得る。例えば、0.2質量%~30質量%、例えば、0.5質量%~30質量%、例えば、1質量%~30質量%、例えば、1.5質量%~25質量%、例えば、2質量%~20質量%であり得るが、これらに制限されない。上記範囲で重合体が含まれることによってハードマスクの厚さ、表面粗さ、および平坦化程度などを容易に調節することができる。
【0065】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、溶媒を含むことができ、一実施形態において、溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトンまたはエチル3-エトキシプロピオネートなどから選択される少なくとも1種を含むことができるが、これらに制限されない。上記溶媒は、上記重合体に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば特に限定されない。
【0066】
上記ハードマスク組成物は、追加的に界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0067】
上記界面活性剤は、例えばフルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに制限されない。
【0068】
上記架橋剤は、例えばメラミン系、置換尿素系、またはこれらポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤として、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0069】
また、上記架橋剤としては、耐熱性が高い架橋剤を使用することができる。耐熱性が高い架橋剤としては、分子内に芳香族環(例えばベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。
【0070】
上記熱酸発生剤は、例えばp-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物または/および2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他に有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに制限されない。
【0071】
他の実施形態によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0072】
以下、上述したハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0073】
一実施形態によるパターン形成方法は、基板の上に材料層を提供する段階、上記材料層の上に上述した重合体および溶媒を含むハードマスク組成物を適用する段階、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出する段階、ならびに上記材料層の露出された部分をエッチングする段階を含む。
【0074】
上記基板は、例えばシリコンウェーハ、ガラス基板または高分子基板であり得る。上記材料層は、最終的にパターン化される材料であり、例えばアルミニウム、銅などのような金属層、シリコンのような半導体層または酸化ケイ素、窒化ケイ素などのような絶縁層であり得る。上記材料層は、例えば化学気相蒸着方法で形成され得る。
【0075】
上記ハードマスク組成物は、上述したとおりであり、溶液の形態で製造されてスピンオンコーティング方法で塗布され得る。この際、上記ハードマスク組成物の塗布厚さは、特に限定されないが、例えば50~200,000Åの厚さに塗布され得る。
【0076】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃で10秒~1時間行うことができる。一例として、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、複数の熱処理段階を含むことができ、例えば、1次熱処理段階、および2次熱処理段階を含むことができる。
【0077】
一実施形態において、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1000℃で10秒~1時間行われる一つの熱処理段階を含むことができ、一例として、上記熱処理段階は、空気、または窒素雰囲気下で行うことができ、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0078】
一実施形態において、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃、例えば、100℃~800℃、例えば、100℃~500℃、例えば、150℃~400℃で、例えば30秒~1時間、例えば30秒~30分、例えば30秒~10分、例えば30秒~5分間行われる1次熱処理段階を含む。
【0079】
また、例えば、100℃~1,000℃、例えば、300℃~1,000℃、例えば、500℃~1,000℃、例えば、500℃~600℃で、例えば30秒~1時間、例えば30秒~30分、例えば30秒~10分、例えば30秒~5分間行われる2次熱処理段階を連続的に含むことができる。一例として、上記1次および2次熱処理段階は、空気、または窒素雰囲気下で行うことができ、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0080】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階のうちの少なくとも一つの段階を200℃以上の高温で行うことによって、エッチング工程を含む後続工程で露出されるエッチングガスおよび化学液に耐えることができる高い耐エッチング性を示すことができる。
【0081】
一実施形態において、上記ハードマスク層を形成する段階は、紫外可視(UV/Vis)硬化段階および/または近赤外線(near IR)硬化段階を含むことができる。
【0082】
一実施形態において、上記ハードマスク層を形成する段階は、上記1次熱処理段階、2次熱処理段階、UV/Vis硬化段階、およびnear IR硬化段階のうちの少なくとも一つの段階を含むか、または二つ以上の段階を連続的に含むことができる。
【0083】
一実施形態において、上記ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。上記シリコン含有薄膜層は、例えばSiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiOおよび/またはSiNなどの物質で形成することができる。
【0084】
一実施形態において、上記フォトレジスト層を形成する段階の前に、上記シリコン含有薄膜層上部またはハードマスク層上部に下層反射防止膜(BARC)をさらに形成することもできる。
【0085】
一実施形態において、上記フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArF、KrFまたはEUVなどを使用して行うことができる。また露光後、100℃~700℃で熱処理工程を行うことができる。
【0086】
一実施形態において、上記材料層の露出された部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えば、N2/O2、CHF3、CF4、Cl2、BCl3およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0087】
上記エッチングされた材料層は、複数のパターンで形成され得て、上記複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど多様化することができ、例えば半導体集積回路デバイス内の多様なパターンとして適用され得る。
【実施例0088】
以下、実施例を通じて上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するのではない。
【0089】
[自己重合体の合成]
(合成例1)
1Lの3口フラスコに4-ヒドロキシベンズアルデヒド122g、p-トルエンスルホン酸一水和物19gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gに溶かして溶液を調製した後、90℃~100℃恒温槽で溶液を攪拌して40時間反応させた。重合反応が完了した後、中間生成物を常温で徐々に冷却した。中間生成物を蒸溜水400gおよびメタノール400gに投入して強く攪拌した後、静置させた。次に、上清液を除去して沈殿物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)200gに溶解させた。その後、減圧下に溶液に残っているメタノール及び蒸溜水を除去して自己重合体Aを得た。(Mw:1,500g/mol)
【0090】
(合成例2)
1Lの3口フラスコに4-トリフルオロメチルベンズアルデヒド174g、p-トルエンスルホン酸一水和物19gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gに溶かして溶液を調製した後、90℃~100℃恒温槽で溶液を攪拌して10時間反応させた。重合反応が完了した後、中間生成物を常温で徐々に冷却した。中間生成物を蒸溜水400gおよびメタノール400gに投入して強く攪拌した後、静置させた。次に、上清液を除去して沈殿物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)200gに溶解させた。その後、減圧下に溶液に残っているメタノール及び蒸溜水を除去して自己重合体Bを得た。(Mw:2,000g/mol)
【0091】
(合成例3)
1Lの3口フラスコに3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド138g、p-トルエンスルホン酸一水和物19gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gに溶かして溶液を調製した後、90℃~100℃恒温槽で溶液を攪拌して20時間反応させた。重合反応が完了した後、中間生成物を常温で徐々に冷却した。中間生成物を蒸溜水400gおよびメタノール400gに投入して強く攪拌した後、静置させた。次に、上清液を除去して沈殿物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)200gに溶解させた。その後、減圧下に溶液に残っているメタノール及び蒸溜水を除去して自己重合体Cを得た。(Mw:1,500g/mol)
【0092】
(比較合成例)
1Lの3口フラスコに1-ナフトール160g、パラホルムアルデヒド30g(0.2mol)、p-トルエンスルホン酸一水和物19gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gに溶かして溶液を調製した後、90℃~100℃恒温槽で溶液を攪拌して5時間反応させた。重合反応が完了した後、中間生成物を常温で徐々に冷却した。中間生成物を蒸溜水400gおよびメタノール400gに投入して強く攪拌した後、静置させた。次に、上清液を除去して沈殿物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)200gに溶解させた。その後、減圧下に溶液に残っているメタノール及び蒸溜水を除去して比較重合体を得た。(Mw:2,000g/mol)
【0093】
[実施例および比較例:ハードマスク組成物の製造]
(実施例1)
合成例1で得られた自己重合体A 5gをシクロヘキサノン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(1:1体積比)混合物50gと60分間攪拌して0.45μmテフロンフィルターで濾過してハードマスク組成物を製造した。
【0094】
(実施例2)
自己重合体Aの代わりに自己重合体Bを使用したことを除き、実施例1と同様の方法でハードマスク組成物を製造した。
【0095】
(実施例3)
自己重合体Aの代わりに自己重合体Cを使用したことを除き、実施例1と同様の方法でハードマスク組成物を製造した。
【0096】
(比較例)
自己重合体Aの代わりに比較重合体を使用したことを除き、実施例1と同様の方法でハードマスク組成物を製造した。
【0097】
[評価1:膜密度の評価]
実施例1~3、比較例によるハードマスク組成物をそれぞれシリコンウェーハの上にスピンコーティングした後、ホットプレートの上で400℃で2分間熱処理して1,000Åの厚さのハードマスク層を形成した。形成されたハードマスク層の膜密度をX線回折分析装置(PANalytical社)で測定した。その結果は下記表1のとおりである。
【0098】
【0099】
表1を参照すれば、実施例1~3によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層は、比較例によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層と比較して膜密度に優れていることを確認できる。
【0100】
[評価2:膜強度の評価]
シリコンウェーハの上に実施例1~3および比較例によるハードマスク組成物を5,000Åの厚さにスピンオンコーティングし、ホットプレートの上で400℃で2分間熱処理して、薄膜を形成した。次に、ナノインデンター(cube corner tip、Pmax=300μN)を使用して薄膜の硬度(H)と弾性率(modulus、E)を測定した。
【0101】
測定結果は下記表2のとおりである。
【0102】
【0103】
表2を参照すれば、実施例1~3によるハードマスク組成物から形成されたハードマスクは、比較例によるハードマスク組成物から形成されたハードマスクに比べて遥かに高い硬度および弾性率を示す。つまり、実施例によるハードマスク組成物から形成されたハードマスクが比較例によるハードマスク組成物から形成されたハードマスクよりも優れた膜強度を示して機械的物性に優れたハードマスクを提供することが分かる。
【0104】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した、当業者による多様な変形および改良の形態も本発明の権利範囲に属する。