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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134515
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240926BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20240926BHJP
   C23C 16/50 20060101ALI20240926BHJP
   G05D 23/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
C23C16/52
C23C16/50
G05D23/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002471
(22)【出願日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2023044611
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100208878
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 弘智
(72)【発明者】
【氏名】多賀 敏
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5H323
【Fターム(参考)】
4K030CA12
4K030EA04
4K030FA02
4K030FA03
4K030FA04
4K030GA02
4K030JA05
4K030JA10
4K030KA17
4K030KA18
4K030KA30
4K030KA41
5F004BA09
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BC03
5F004CA06
5H323AA01
5H323CA08
5H323CB21
5H323DA04
5H323DB15
5H323FF01
5H323GG01
5H323HH02
5H323KK05
(57)【要約】
【課題】伝熱媒体を流路に供給する圧力を低減する技術を提供する。
【解決手段】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、プラズマ生成部、少なくとも一つの温度調整対象物、及び供給器を備える。供給器は、流路に伝熱媒体を供給するように構成される。供給器は、第1のタンク、第2のタンク、ポンプ、及び熱交換器を有する。第1のタンクは、その内部に伝熱媒体を貯留するように構成されている。第1のタンクは、流路に第1の配管を介して接続されている。第2のタンクは、その内部に伝熱媒体を貯留するように構成されている。第2のタンクは、流路に第2の配管を介して接続され、第1のタンクに第3の配管を介して接続されている。第2のタンクは、第1のタンクの位置よりも低い位置に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバ内でガスからプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、
その内部に流路を提供する少なくとも一つの温度調整対象物であって、前記チャンバの一部を構成するか、前記チャンバ内に配置される該少なくとも一つの温度調整対象物と、
前記流路に伝熱媒体を供給するように構成された供給器と、を備え、
前記供給器は、
その内部に前記伝熱媒体を貯留するように構成されており、前記流路に第1の配管を介して接続された第1のタンクと、
その内部に前記伝熱媒体を貯留するように構成されており、前記流路に第2の配管を介して接続され、前記第1のタンクに第3の配管を介して接続された第2のタンクであり、前記第1のタンクの位置よりも低い位置に配置された、該第2のタンクと、
前記第3の配管と前記第2のタンクとの間で接続されており、前記第2のタンクに貯留された前記伝熱媒体を該第1のタンクに前記第3の配管を介して汲み上げるように構成されたポンプと、
前記流路の上流に配置されており、前記伝熱媒体の温度を調整するように構成された熱交換器と、
を有する、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記伝熱媒体は、伝熱液体である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の配管は、前記流路の位置よりも高い位置で前記第1のタンクに接続されており、
前記第2の配管は、前記流路の位置よりも低い位置で前記第2のタンクに接続されている、
請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記供給器は、
前記第1の配管における前記伝熱媒体の第1の流量を測定するように構成された第1の流量計と、
前記第3の配管における前記伝熱媒体の第2の流量を測定するように構成された第2の流量計と、
前記第1の流量と前記第2の流量との間の差を減少させるか解消するよう、前記ポンプを制御するように構成されたコントローラと、
を更に有する、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記供給器は、前記第1のタンク及び前記第2のタンクのうち一方における前記伝熱媒体の液面の高さ位置を測定するように構成された液面センサを更に有し、
前記コントローラは、前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置を指定された範囲内に維持するよう、前記ポンプを制御するように構成されている、
請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置が前記指定された範囲内の場合には、前記第1の流量と前記第2の流量との間の差を減少させるか解消するよう、前記ポンプを制御するように構成され、
前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置が前記指定された範囲外の場合には、前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置を指定された範囲内に維持するよう、前記ポンプを制御するように構成されている、
請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記供給器は、
前記ポンプと前記第1のタンクとの間で接続された流量調整バルブと、
前記第1の配管における前記伝熱媒体の第1の流量を測定するように構成された第1の流量計と、
前記第3の配管における前記伝熱媒体の第2の流量を測定するように構成された第2の流量計と、
前記第1の流量と前記第2の流量との間の差を減少させるか解消するように、前記流量調整バルブを制御するように構成されたコントローラと、
を更に有する、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記供給器は、前記第1のタンク及び前記第2のタンクのうち一方における前記伝熱媒体の液面の高さ位置を測定するように構成された液面センサを更に有し、
前記コントローラは、前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置を指定された範囲内に維持するよう、前記流量調整バルブを制御するように構成されている、
を更に有する、請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置が前記指定された範囲内の場合には、前記第1の流量と前記第2の流量との間の差を減少させるか解消するよう、前記流量調整バルブを制御するように構成され、
前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置が前記指定された範囲外の場合には、前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置を指定された範囲内に維持するよう、前記流量調整バルブを制御するように構成されている、
請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記チャンバ内に配置された基板支持部を更に備え、
前記少なくとも一つの温度調整対象物は、前記基板支持部を含む、
請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記チャンバ内に配置された基板支持部と、
前記基板支持部の上方に配置された上部電極と、
を更に備え、
前記少なくとも一つの温度調整対象物は、前記基板支持部及び前記上部電極の少なくとも一方を含む、
請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つの温度調整対象物は、前記チャンバの側壁を含む、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記第1のタンク及び前記第2のタンクは、それらの内部の圧力を大気圧に設定するように前記チャンバ外に配置される、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記供給器は、前記第2の配管と前記第2のタンクとの間で接続された少なくとも一つのバルブを更に有する、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つのバルブは、シャットオフバルブ及び/又は流量調整バルブを含む、請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
前記シャットオフバルブ及び前記流量調整バルブは、前記第2の配管と前記第2のタンクとの間で直列的に接続されている、請求項15に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置が、基板に対するプラズマ処理において用いられている。プラズマ処理装置は、チャンバ及びチャンバ内に配置される基台を備える。基台は、その内部に流路を提供する。下記の特許文献1では、プラズマ処理装置は、流路に伝熱媒体を供給するための圧縮機を備える。流路には、圧縮機によって加圧された伝熱媒体が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-79539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、伝熱媒体を流路に供給する圧力を低減する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、プラズマ生成部、少なくとも一つの温度調整対象物、及び供給器を備える。プラズマ生成部は、チャンバ内でガスからプラズマを生成するように構成されている。少なくとも一つの温度調整対象物は、その内部に流路を提供する。少なくとも一つの温度調整対象物は、チャンバの一部を構成するか、チャンバ内に配置される。供給器は、流路に伝熱媒体を供給するように構成される。供給器は、第1のタンク、第2のタンク、ポンプ、及び熱交換器を有する。第1のタンクは、その内部に伝熱媒体を貯留するように構成されている。第1のタンクは、流路に第1の配管を介して接続されている。第2のタンクは、その内部に伝熱媒体を貯留するように構成されている。第2のタンクは、流路に第2の配管を介して接続され、第1のタンクに第3の配管を介して接続されている。第2のタンクは、第1のタンクの位置よりも低い位置に配置されている。ポンプは、第3の配管と第2のタンクとの間で接続されている。ポンプは、第2のタンクに貯留された伝熱媒体を第1のタンクに第3の配管を介して汲み上げるように構成されている。熱交換器は、流路の上流に設けられている。熱交換器は、伝熱媒体の温度を調整するように構成されている。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、伝熱媒体を流路に供給する圧力が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。
図2】容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
図3】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の供給部及び温度調整対象物の構成を示す図である。
図4】別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の供給部及び温度調整対象物の構成を示す図である。
図5】一つの例示的実施形態に係る伝熱媒体の供給方法の流れ図である。
図6図5に示す工程STbの例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0010】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;CapacitivelyCoupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:HeliconWave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(DirectCurrent)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(RadioFrequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、 100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0011】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0012】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0013】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0014】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0015】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0016】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0017】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0018】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0019】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0020】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0021】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0022】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0023】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0024】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0025】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0026】
プラズマ処理装置1は、少なくとも一つの温度調整対象物を備える。少なくとも一つの温度調整対象物は、チャンバ10の一部を構成するか、チャンバ10内に配置される。一実施形態において、少なくとも一つの温度調整対象物は、チャンバ10の側壁10aを含んでもよい。一実施形態において、少なくとも一つの温度調整対象物は、基板支持部11及び上部電極13dの少なくとも一方を含んでもよい。一実施形態において、少なくとも一つの温度調整対象物は、基板支持部11を含んでもよい。少なくとも一つの温度調整対象物は、その内部に流路を提供する。以下、図3を参照して、単一の温度調整対象物14を備えるプラズマ処理装置1について説明するが、プラズマ処理装置1は、複数の温度調整対象物14を備えていてもよい。
【0027】
図3は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の供給部及び温度調整対象物の構成を示す図である。図3に示す例では、温度調整対象物14は、基板支持部11を含む。温度調整対象物14は、その内部に流路1110aを提供する。供給器50は、流路1110aに伝熱媒体Mを供給するように構成される。一実施形態において、伝熱媒体Mは、伝熱液体Lであってもよい。
【0028】
供給器50は、第1のタンク51、第2のタンク52、ポンプ53、及び熱交換器54を有する。第1のタンク51は、その内部に伝熱媒体Mを貯留するように構成されている。第1のタンク51は、流路1110aに第1の配管5aを介して接続されている。第1のタンク51の内部に貯留された伝熱媒体Mは、第1の配管5aを介して流路1110aに供給される。
【0029】
第2のタンク52は、その内部に伝熱媒体Mを貯留するように構成されている。第2のタンク52は、流路1110aに第2の配管5bを介して接続され、第1のタンク51に第3の配管5cを介して接続されている。第2のタンク52は、第1のタンク51の位置よりも低い位置に配置されている。一例において、第2のタンク52の位置は、第1のタンク51の位置に対して0.1m以上、10m以下の範囲内で低い位置にある。第2のタンク52の内部には、流路1110aから回収された伝熱媒体Mが貯留される。一実施形態において、第1のタンク51及び第2のタンク52は、それらの内部の圧力を大気圧に設定するようにチャンバ10外に配置される。
【0030】
ポンプ53は、第3の配管5cと第2のタンク52との間で接続されている。ポンプ53は、第2のタンク52に貯留された伝熱媒体Mを第1のタンク51に第3の配管5cを介して汲み上げるように構成されている。第2のタンク52に貯留された伝熱媒体Mは、ポンプ53によって第1のタンク51に回収される。供給器50において、伝熱媒体Mは、第1のタンク51、流路1110a、及び第2のタンク52を循環する。ポンプ53は、第2のタンク52の最大高さ位置よりも低い位置に配置されてもよい。
【0031】
熱交換器54は、供給器50において伝熱媒体Mの温度を調整するように構成されている。熱交換器54は、流路1110aの上流に配置されている。図3に示す例では、熱交換器54は、第3の配管5c内の伝熱媒体Mの温度を調整するよう、第3の配管5cに沿って配置されている。熱交換器54は、第1の配管5aに沿って配置されてもよい。
【0032】
プラズマ処理装置1では、第1のタンク51に対して第2のタンク52が低い位置にあるので、伝熱媒体Mは、第1のタンク51から第2のタンク52に向かって重力の作用で移動する。したがって、流路1110aには相当に低い圧力で伝熱媒体Mが供給される。故に、温度調整対象物14(一例では、基板支持部11の基台1110)の変形が抑制される。
【0033】
一実施形態において、図3に示す例のように、第1の配管5aは、流路1110aの位置よりも高い位置で第1のタンク51に接続されてもよい。第2の配管5bは、流路1110aの位置よりも低い位置で第2のタンク52に接続されてもよい。
【0034】
一実施形態において、図3に示す例のように、供給器50は、第1の流量計55、第2の流量計56、流量調整バルブ5d、及びコントローラ57を有してもよい。第1の流量計55は、第1の配管5aにおける伝熱媒体Mの第1の流量を測定するように構成される。一例において、第1の流量計55は、第1の配管5aに接続される。第2の流量計56は、第3の配管5cにおける伝熱媒体Mの第2の流量を測定するように構成される。一例において、第2の流量計56は、第3の配管5cとポンプ53との間で接続される。流量調整バルブ5dは、ポンプ53と第1のタンク51との間で接続される。流量調整バルブ5dは、第3の配管5cにおける伝熱媒体Mの流量を調整するように構成される。流量調整バルブ5dは、例えば、ニードルバルブである。一例において、流量調整バルブ5dは、第3の配管5cとポンプ53との間で接続される。コントローラ57は、第1の流量と第2の流量との間の差を減少させるか解消させるよう流量調整バルブ5dを調整するように構成される。コントローラ57は、自動的に流量調整バルブ5dを調整するように構成されていてもよい。コントローラ57は、流量調整バルブ5dを調整するようオペレータに操作されるように構成されていてもよい。
【0035】
例えば、第1の流量が第2の流量よりも大きい場合には、コントローラ57は、第2の流量を増加させるように流量調整バルブ5dを調整する。第1の流量が第2の流量よりも小さい場合には、コントローラ57は、第2の流量を減少させるように流量調整バルブ5dを調整する。結果として、第1の流量と第2の流量との間の差は、減少するか解消する。第2の流量は第1のタンク51に回収される伝熱媒体Mの流量であり、第1の流量は第1のタンク51から流路1110aに供給される伝熱媒体Mの流量であるので、第1のタンク51に貯留される伝熱媒体Mの量は、安定する。
【0036】
一実施形態において、供給器50は、少なくとも一つのバルブ5eを有してもよい。以下、複数のバルブ5eを有する供給器50について説明するが、供給器50は、一つのバルブ5eを有していてもよい。複数のバルブ5eは、第2の配管5bと第2のタンク52との間で接続されている。一例において、複数のバルブ5eは、第2の配管5bに接続されている。一実施形態において、複数のバルブ5eは、シャットオフバルブ5f及び/又は流量調整バルブ5gを含んでもよい。一実施形態において、シャットオフバルブ5f及び流量調整バルブ5gは、第2の配管5bと第2のタンク52との間で直列的に接続されている。図3に示す例のように、シャットオフバルブ5f及び流量調整バルブ5gは、第2の配管5bに直列的に接続されている。シャットオフバルブ5fは、コントローラ57によって開閉されてもよい。
【0037】
流量調整バルブ5gは、第2の配管5bにおける伝熱媒体Mの流量を調整するように構成される。流量調整バルブ5gは、コントローラ57によって調整されてもよい。第2の配管5bにおける伝熱媒体Mの流量を増加させるように流量調整バルブ5gが調整されると、流路1110aを介して接続されている第1の配管5aの第1の流量も増加する。第2の配管5bにおける伝熱媒体Mの流量を減少させるように流量調整バルブ5gが調整されると、流路1110aを介して接続されている第1の配管5aの第1の流量も減少する。流量調整バルブ5gは、例えば、ニードルバルブである。
【0038】
一実施形態において、供給器50は、液面センサ58を有してもよい。液面センサ58は、第1のタンク51及び第2のタンク52のうち一方における伝熱媒体Mの液面の高さ位置を測定するように構成される。図3に示す例では、液面センサ58は、第1のタンク51における伝熱媒体Mの液面の高さ位置H1を測定するように構成される。この場合、液面センサ58は、第1のタンク51内に配置される。コントローラ57は、液面センサ58によって測定される液面の高さ位置H1を指定された範囲内に維持するよう、流量調整バルブ5dを調整するように構成される。
【0039】
例えば、液面センサ58によって測定された液面の高さ位置H1が指定された範囲よりも高い場合には、コントローラ57は、第2の流量を減少させるように流量調整バルブ5dを調整する。第2の流量が減少することによって第1のタンク51に貯留された伝熱媒体Mの量が減少するので液面の高さ位置H1が低くなる。結果として、液面の高さ位置H1は、指定された範囲内に維持され得る。
【0040】
例えば、液面センサ58によって測定された液面の高さ位置H1が指定された範囲よりも低い場合には、コントローラ57は、第2の流量を増加させるように流量調整バルブ5dを調整する。第2の流量が増加することによって第1のタンク51に貯留された伝熱媒体Mの量が増加するので液面の高さ位置H1が高くなる。結果として、液面の高さ位置H1は、指定された範囲内に維持され得る。
【0041】
一実施形態において、コントローラ57は、液面の高さ位置H1が指定された範囲内の場合には、第1の流量と第2の流量との間の差を減少させるか解消させるよう、流量調整バルブ5dを調整するように構成されてもよい。コントローラ57は、液面の高さ位置H1が指定された範囲外の場合には、液面の高さ位置H1を指定された範囲内に維持するように構成されてもよい。第1のタンク51に貯留された伝熱媒体Mの量と、第2のタンク52に貯留された伝熱媒体Mの量との間のバランスが調整される。
【0042】
なお、一例では、プラズマ処理装置1が配置される施設において、第1のタンク51、熱交換器54、第1の流量計55及び第2の流量計56は、チャンバ10及び基板支持部11がその上に配置される第1のフロアに配置されてもよい。一例において、第1のタンク51、熱交換器54、第1の流量計55及び第2の流量計56は、リザーバーとして単一のユニットを構成していてもよい。また、プラズマ処理装置1が配置される施設において、第2のタンク52、ポンプ53、シャットオフバルブ5f及び流量調整バルブ5gは、第1のフロアの階下にある第2のフロアに配置されてもよい。一例において、第2のタンク52、ポンプ53、シャットオフバルブ5f及び流量調整バルブ5gは、レシーバーとして単一のユニットを構成していてもよい。
【0043】
以下、図4を参照して、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の供給部及び温度調整対象物の構成について説明する。図4は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置1Aの供給器50A及び温度調整対象物14を示している。以下、図4に示すプラズマ処理装置1Aの供給器50Aについて、プラズマ処理装置1の供給器50に対する相違点の観点から説明する。
【0044】
供給器50Aにおいて、第1の配管5aは、流路1110aの位置よりも低い位置で第1のタンク51に接続されている。図4に示す例では、流路1110aの位置は、第1のタンク51の位置よりも高い。一例において、流路1110aの位置は、第1のタンク51に第1の配管5aが接続された位置に対して0m以上、2m以下の範囲内で高い位置にある。この場合でも、流路1110aから第2のタンク52に伝熱媒体Mが回収されるときに発生するサイフォン現象によって、第1のタンク51から流路1110aに伝熱媒体Mが供給される。
【0045】
以下、図5及び図6を参照して、伝熱媒体の供給方法について説明する。図5は、一つの例示的実施形態に係る伝熱媒体の供給方法の流れ図である。図6は、図5に示す工程STbの例を示す流れ図である。
【0046】
図5に示す伝熱媒体の供給方法(以下、「方法MT」という)は、上述した種々のプラズマ処理装置の何れかを用いて実行され得る。方法MTは、工程STa及び工程STbを含む。工程STaでは、伝熱媒体Mが流路1110aに供給される。工程STbでは、伝熱媒体Mが第1のタンク51に回収される。一例において、伝熱媒体Mは、第1のタンク51から流路1110aに供給され、第2のタンク52から第1のタンク51に回収される。
【0047】
一実施形態において、図6に示すように、工程STbは、工程STc,STd,STe,STfを含んでもよい。工程STcでは、液面の高さ位置が測定される。プラズマ処理装置1,1Aでは、液面の高さ位置H1が液面センサ58によって測定される。
【0048】
続く工程STdでは、液面の高さ位置が指定された範囲内か否かが判定される。プラズマ処理装置1,1Aでは、液面の高さ位置H1が指定された範囲内か否かが判定される。液面の高さ位置が指定された範囲内であると判定された場合には、処理は、工程STeに進む。
【0049】
工程STeでは、第1の流量と第2の流量との間の差を減少させるか解消させるように、第1の流量及び/又は第2の流量が制御される。プラズマ処理装置1,1Aでは、流量調整バルブ5dが調整されることによって第2の流量が制御されるので、第1の流量と第2の流量との間の差は、減少するか解消する。
【0050】
液面の高さ位置が指定された範囲外であると判定された場合には、処理は、工程STfに進む。工程STfでは、液面の高さ位置が指定された範囲内に維持されるように第1の流量及び/又は第2の流量が制御される。プラズマ処理装置1,1Aでは、流量調整バルブ5dが調整されることによって第2の流量が制御されるので、液面の高さ位置H1は、指定された範囲内に維持される。
【0051】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0052】
別の実施形態に係るプラズマ処理装置において、液面センサ58は、第2のタンク52における伝熱媒体Mの液面の高さ位置H2を測定するように構成されてもよい。この場合、液面センサ58は、第2のタンク52内に配置される。コントローラ57は、液面センサ58によって液面の高さ位置H2を指定された範囲内に維持するよう、流量調整バルブ5dを調整するように構成されている。
【0053】
例えば、液面センサ58によって測定された液面の高さ位置H2が指定された範囲よりも高い場合には、コントローラ57は、第1の流量を増加させるように流量調整バルブ5dを調整する。第1の流量が増加することによって第2のタンク52に貯留された伝熱媒体Mの量が減少するので液面の高さ位置H2が低くなる。結果として、液面の高さ位置H2は、指定された範囲内に維持され得る。
【0054】
例えば、液面センサ58によって測定された液面の高さ位置H2が指定された範囲よりも低い場合には、コントローラ57は、第1の流量を減少させるように流量調整バルブ5dを調整する。第1の流量が減少することによって第2のタンク52に貯留された伝熱媒体Mの量が増加するので液面の高さ位置H2が高くなる。結果として、液面の高さ位置H2は、指定された範囲内に維持され得る。
【0055】
更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置において、供給部は、第1の流量計55及び/又は第2の流量計56を有さなくてもよい。供給部は、液面センサ58を有していればよい。この場合、コントローラ57は、液面の高さ位置を指定された範囲内に維持するように構成される。
【0056】
更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置において、供給部は、流量調整バルブ5dを有さなくてもよい。この場合、コントローラ57は、第1の流量と第2の流量との間の差を減少させるか解消させるようポンプ53を制御するように構成される。例えば、第1の流量が第2の流量よりも大きい場合には、コントローラ57は、ポンプ53が汲み上げる伝熱媒体Mの流量を増加させるようにポンプ53を制御する。第1の流量が第2の流量よりも小さい場合には、コントローラ57は、ポンプ53が汲み上げる伝熱媒体Mの流量を減少させるようにポンプ53を制御する。
【0057】
一実施形態において、コントローラ57は、液面の高さ位置H1が指定された範囲内の場合には、第1の流量と第2の流量との間の差を減少させるか解消させるよう、ポンプ53を制御するように構成されてもよい。コントローラ57は、液面の高さ位置H1が指定された範囲外の場合には、液面の高さ位置H1を指定された範囲内に維持するよう、ポンプ53を制御するように構成されてもよい。
【0058】
一実施形態において、少なくとも一つの温度調整対象物が上部電極13dを含む場合には、上部電極13dは、その内部に流路を提供する。一例において、上部電極13dがチャンバ10の天板を構成する第1の電極と、第1の電極の上に配置される第2の電極とを含む場合には、第2の電極がその内部に流路を提供してもよい。
【0059】
一実施形態において、伝熱媒体Mは、伝熱液体Lではなくてもよい。伝熱媒体Mは、大気よりも重い流体であればよい。
【0060】
一実施形態において、ポンプ53は、従来の供給器に用いられるポンプよりも低出力のポンプを用いてもよい。
【0061】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E16]に記載する。
【0062】
[E1]
チャンバと、
前記チャンバ内でガスからプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、
その内部に流路を提供する少なくとも一つの温度調整対象物であって、前記チャンバの一部を構成するか、前記チャンバ内に配置される該少なくとも一つの温度調整対象物と、
前記流路に伝熱媒体を供給するように構成された供給器と、を備え、
前記供給器は、
その内部に前記伝熱媒体を貯留するように構成されており、前記流路に第1の配管を介して接続された第1のタンクと、
その内部に前記伝熱媒体を貯留するように構成されており、前記流路に第2の配管を介して接続され、前記第1のタンクに第3の配管を介して接続された第2のタンクであり、前記第1のタンクの位置よりも低い位置に配置された、該第2のタンクと、
前記第3の配管と前記第2のタンクとの間で接続されており、前記第2のタンクに貯留された前記伝熱媒体を該第1のタンクに前記第3の配管を介して汲み上げるように構成されたポンプと、
前記流路の上流に配置されており、前記伝熱媒体の温度を調整するように構成された熱交換器と、
を有する、
プラズマ処理装置。
【0063】
[E2]
前記伝熱媒体は、伝熱液体である、E1に記載のプラズマ処理装置。
【0064】
[E3]
前記第1の配管は、前記流路の位置よりも高い位置で前記第1のタンクに接続されており、
前記第2の配管は、前記流路の位置よりも低い位置で前記第2のタンクに接続されている、
E1又はE2に記載のプラズマ処理装置。
【0065】
[E4]
前記供給器は、
前記第1の配管における前記伝熱媒体の第1の流量を測定するように構成された第1の流量計と、
前記第3の配管における前記伝熱媒体の第2の流量を測定するように構成された第2の流量計と、
前記第1の流量と前記第2の流量との間の差を減少させるか解消するよう、前記ポンプを制御するように構成されたコントローラと、
を更に有する、E1~E3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0066】
[E5]
前記供給器は、前記第1のタンク及び前記第2のタンクのうち一方における前記伝熱媒体の液面の高さ位置を測定するように構成された液面センサを更に有し、
前記コントローラは、前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置を指定された範囲内に維持するよう、前記ポンプを制御するように構成されている、
E4に記載のプラズマ処理装置。
【0067】
[E6]
前記コントローラは、
前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置が前記指定された範囲内の場合には、前記第1の流量と前記第2の流量との間の差を減少させるか解消するよう、前記ポンプを制御するように構成され
前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置が前記指定された範囲外の場合には、前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置を指定された範囲内に維持するよう、前記ポンプを制御するように構成されている、
E5に記載のプラズマ処理装置。
【0068】
[E7]
前記供給器は、
前記ポンプと前記第1のタンクとの間で接続された流量調整バルブと、
前記第1の配管における前記伝熱媒体の第1の流量を測定するように構成された第1の流量計と、
前記第3の配管における前記伝熱媒体の第2の流量を測定するように構成された第2の流量計と、
前記第1の流量と前記第2の流量との間の差を減少させるか解消するように、前記流量調整バルブを制御するように構成されたコントローラと、
を更に有する、E1~E3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0069】
[E8]
前記供給器は、前記第1のタンク及び前記第2のタンクのうち一方における前記伝熱媒体の液面の高さ位置を測定するように構成された液面センサを更に有し、
前記コントローラは、前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置を指定された範囲内に維持するよう、前記流量調整バルブを制御するように構成されている、
を更に有する、E7に記載のプラズマ処理装置。
【0070】
[E9]
前記コントローラは、
前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置が前記指定された範囲内の場合には、前記第1の流量と前記第2の流量との間の差を減少させるか解消するよう、前記流量調整バルブを制御するように構成され、
前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置が前記指定された範囲外の場合には、前記液面センサによって測定される前記液面の前記高さ位置を指定された範囲内に維持するよう、前記流量調整バルブを制御するように構成されている、
E8に記載のプラズマ処理装置。
【0071】
[E10]
前記チャンバ内に配置された基板支持部を更に備え、
前記少なくとも一つの温度調整対象物は、前記基板支持部を含む、
E1~E9の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0072】
[E11]
前記チャンバ内に配置された基板支持部と、
前記基板支持部の上方に配置された上部電極と、
を更に備え、
前記少なくとも一つの温度調整対象物は、前記基板支持部及び前記上部電極の少なくとも一方を含む、
E1~E9の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0073】
[E12]
前記少なくとも一つの温度調整対象物は、前記チャンバの側壁を含む、
E1~E11の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0074】
[E13]
前記第1のタンク及び前記第2のタンクは、それらの内部の圧力を大気圧に設定するように前記チャンバ外に配置される、
E1~E12の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0075】
[E14]
前記供給器は、前記流路と前記第2のタンクとの間で接続された少なくとも一つのバルブを更に有する、
E1~E13の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0076】
[E15]
前記少なくとも一つのバルブは、シャットオフバルブ及び/又は流量調整バルブを含む、E14に記載のプラズマ処理装置。
【0077】
[E16]
前記シャットオフバルブ及び前記流量調整バルブは、前記流路と前記第2のタンクとの間で直列的に接続されている、E15に記載のプラズマ処理装置。
【0078】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0079】
1,1A…プラズマ処理装置、5a…第1の配管、5b…第2の配管、5c……第3の配管、5d…流量調整バルブ、5e…少なくとも一つのバルブ、5f…シャットオフバルブ、5g…流量調整バルブ、10…チャンバ、10a…側壁、11…基板支持部、12…プラズマ生成部、13d…上部電極、14…温度調整対象物、50,50A…供給器、51…第1のタンク、52…第2のタンク、53…ポンプ、54…熱交換器、55…第1の流量計、56…第2の流量計、57…コントローラ、58…液面センサ、1110a…流路、H1,H2…位置、L…伝熱液体、M…伝熱媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6