IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱レイヨン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-冷却用外気の導入構造及び導風体 図1
  • 特開-冷却用外気の導入構造及び導風体 図2
  • 特開-冷却用外気の導入構造及び導風体 図3
  • 特開-冷却用外気の導入構造及び導風体 図4
  • 特開-冷却用外気の導入構造及び導風体 図5
  • 特開-冷却用外気の導入構造及び導風体 図6
  • 特開-冷却用外気の導入構造及び導風体 図7
  • 特開-冷却用外気の導入構造及び導風体 図8
  • 特開-冷却用外気の導入構造及び導風体 図9
  • 特開-冷却用外気の導入構造及び導風体 図10
  • 特開-冷却用外気の導入構造及び導風体 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134673
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】冷却用外気の導入構造及び導風体
(51)【国際特許分類】
   F28F 25/12 20060101AFI20240927BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F28F25/12
F24F13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044988
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 仁
【テーマコード(参考)】
3L081
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB06
(57)【要約】
【課題】風が強い地域に建てられたビルの屋上に周囲を壁などで囲われて設置された冷却塔に対し、新鮮な冷却用の外気が効率的に供給されるようにして性能維持を図る。
【解決手段】外気導入口に面して壁体Wが設置された冷却塔CTの設置領域IA内に冷却用の外気を導入する構造。壁体Wの上部に壁体Wの上端との間に開口Opを確保して断面円形或いは矩形の棒状の導風体1を壁体Wに沿って設置し、壁体Wの外面に当たる風の風向を導風体1で壁体Wの内面Wi側下方向きに変更せしめて前記設置領域IA内に新鮮な外気が導入されるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気導入口に面して壁体が設置された冷却塔の設置領域内に冷却用の外気を導入する構造であって、
前記壁体の上部に当該壁体の上端との間に開口を確保して棒状の導風体を壁体に沿って設置し、
前記壁体の外面に当たる風の風向を前記導風体で前記壁体の内面側下方向きに変更せしめて前記設置領域内に外気を取り入れることを特徴とする冷却用外気の導入構造。
【請求項2】
導風体はその太さが壁体の上端の幅以上であることを特徴とする請求項1に記載の冷却用外気の導入構造。
【請求項3】
導風体はその断面が円形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却用外気の導入構造。
【請求項4】
導風体はその断面が矩形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却用外気の導入構造。
【請求項5】
防音や目隠し用として冷却塔に面して設置される壁体の上部に取り付けられる導風体であって、
前記壁体の上端に沿った長さを有する棒状の本体部と、本体部の下面から下方に突出していて当該本体部の長手方向に沿って間隔を開けて複数設けられた脚部とを備え、
前記本体部を前記壁体の上方に配置し、前記各脚部を前記壁体の上部に固定して壁体に取り付けられる導風体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルの屋上に周囲を壁などで囲われて設置された冷却塔などの熱交換器に対し、新鮮な熱交換用の外気が供給されるようにして、その性能維持を図るための外気の導入構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルの空調設備において、空調システムで用いられる冷却水の温度を調整するために、水の蒸発を利用して水を冷却する冷却塔が使用され、この冷却塔はビルの屋上に設置されることが多い。
外気を利用した一般的な冷却塔は、その装置側面から外気を内部に取り込み、取り込んだ外気を冷却水(循環水)に触れさせて熱交換を行い、熱交換によって温まった空気を装置上面から外側へ排出する機構となっている。
【0003】
かかる冷却塔において、冷却に使用して上面から排出された空気は、冷媒との熱交換で温められており、冷却塔同士を密接して配置したり、或いは周囲が壁で仕切られた空間などの外気の供給が滞りやすい場所に配置したりした場合には、排出した温められた空気を再度取り込む現象(再吸い込み)が生じることで、冷却能力が低下する課題がある。
【0004】
このような再吸い込みの防止対策として、冷却塔の上面から排出された空気が冷却塔の側面の外気吸い込み口側に回り込むことを防ぐため、冷却塔の上部にソーラーパネルを側方に張り出すように設置する構成や、並べて設置された冷却塔間に前記空気の回り込みを遮断する邪魔板や庇を設置する構成が知られている(例えば特許文献1,2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-91226号公報
【特許文献2】特開平5-164480号公報
【特許文献3】特開2003-185360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ビルの屋上に冷却塔を設置する場合、設置スペースの制約上、冷却塔は複数台が集約的に並べて設置され、また、図4に示されるように、冷却塔CTの設置スペースの周囲が目隠しや防音のための壁体Wで囲われることが多い。この場合の前記再吸い込みの防止対策として、冷却塔の上面の空気吐き出し口に排気ダクトを設置したり壁体に通気口を設けたりすることが講じられているが、強風が吹く環境下では外気の取り込みが十分に行われず、冷却塔の冷却能力が低下することがあるという問題があった。
【0007】
すなわち、図5はビルの屋上の縁に沿って看板や目隠しのための壁体Wが設けられ、その壁体Wに面して冷却塔CTが設置された態様を示している。このビルが海岸沿いや、風上に山脈があり、風を遮るものが少ない平坦な地域などの比較的風が強い地域に建てられていた場合、強風がビルにぶつかると、壁体Wの上端では斜め上向きに風向きを変えることで、冷却塔CTが設置された屋上の壁体Wの内側に空気が供給されにくくなる。それにより、壁体Wの内側には冷却塔CTがその上面から排出した空気が入り込みやすくなり、前記温まった空気の再吸い込みを引き起こして冷却塔CTの正常な冷却能力を維持することができなくなることがあった。
【0008】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、風が強い地域に建てられたビルの屋上に周囲を壁などで囲われて設置された冷却塔に対し、新鮮な冷却用の外気が効率的に供給されるようにして、その性能維持を図れるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明は以下の態様を含む。
〔1〕 外気導入口に面して壁体が設置された冷却塔の設置領域内に冷却用の外気を導入する構造であって、
前記壁体の上部に当該壁体の上端との間に開口を確保して棒状の導風体を壁体に沿って設置し、
前記壁体の外面に当たる風の風向を前記導風体で前記壁体の内面側下方向きに変更せしめて前記設置領域内に外気を取り入れることを特徴とする冷却用外気の導入構造。
〔2〕 導風体はその太さが壁体の上端の幅以上であることを特徴とする前記〔1〕に記載の冷却用外気の導入構造。
〔3〕 導風体はその断面が円形であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の冷却用外気の導入構造。
〔4〕 導風体はその断面が矩形であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の冷却用外気の導入構造。
〔5〕 防音や目隠し用として冷却塔に面して設置される壁体の上部に取り付けられる導風体であって、
前記壁体の上端に沿った長さを有する棒状の本体部と、本体部の下面から下方に突出していて当該本体部の長手方向に沿って間隔を開けて複数設けられた脚部とを備え、
前記本体部を前記壁体の上方に配置し、前記各脚部を前記壁体の上部に固定して壁体に取り付けられる導風体。
【0010】
前記のとおり、本発明の冷却用外気の導入構造は、外気導入口に面して壁体が設置された冷却塔の設置領域内に冷却用の外気を導入する構造であり、前記壁体の上部に当該壁体の上端との間に開口を確保して棒状の導風体を壁体に沿って設置し、前記壁体の外面に当たる風の風向を前記導風体で前記壁体の内面側下方向きに変更せしめて前記設置領域内に外気を取り入れることを特徴とする。
これによれば、壁体に吹き付ける風は、壁体の外面に当たってそのまま外面に沿って上方へと流れ、その一部が壁体の上部に設置された導風体に当たって風向きが変更せしめられて当該壁体上端との間の開口を通って壁体内側の冷却塔の設置領域へと導入される。壁体の内側に壁体の外側から吹き付けてきた外気が導入されることで、冷却塔の上面から排出された空気が回り込むことはなく、冷却塔は前記設置領域内に導入された新鮮な外気を取り入れることが可能となり、前記再吸い込みを引き起こしにくくすることができる。
【0011】
また、前記壁体に面して複数列に冷却塔が配置されていた場合に、風が冷却塔の並びに沿って冷却塔の上方を横向きに流れると、風の流れの下流側の冷却塔は前記再吸い込みを引き起こしやすくなる。本発明によれば、壁体に吹き付ける風のうち、その一部は前記のように導風体に当たって風向きが壁体の内面側へ変更せしめられ、その他は導風体で切り分けられて、導風体の上方を抜けて上向きに流れるので、前記風の流れによる下流側の冷却塔における再吸い込みの発生を抑制することができる。
【0012】
前記壁体の上部に設ける導風体は、壁体に沿って吹き付ける風の風向きを壁体内側へ変更せしめて冷却塔の設置領域へと効率的に導入することができるようするため、その太さが壁体の上端の幅以上であることが好ましい。
また、導風体は、その棒状部分の断面が円形の円柱状のものや、断面が矩形状の角柱状のものを用いることができる。
【0013】
また、本発明の冷却用外気の導入構造で用いられる導風体は、前記壁体の上端に沿った長さを有する棒状の本体部と、本体部の下面から下方に突出していて当該本体部の長手方向に沿って間隔を開けて複数設けられた脚部とを備えた構成とすることができる。
かかる構成の導風体は、前記本体部を前記壁体の上方に配置し、前記各脚部を前記壁体の上部に固定して壁体に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、風が強い地域に建てられたビルの屋上に周囲を壁などで囲われて設置された冷却塔に対し、新鮮な冷却用の外気を効率的に供給して、温まった空気の再吸い込みを生じさせることなく、冷却塔の冷却性能を維持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の冷却用外気の導入構造をビルの屋上に設置された冷却塔に適用した態様の概略構成断面を示す図である。
図2図1に示された導風体の要部外観斜視図である。
図3】(A),(B)は導風体の他の構成例を示す概略断面図である。
図4】屋上に冷却塔を集約的に並べて設置した態様を示した図である。
図5】ビルの屋上の縁に沿って設けた壁体に面して冷却塔を設置したときに壁体に当たる風の流れと冷却塔の再吸い込みの様子を示した図である。
図6】比較例のシミュレーション画像である。
図7】実施例1のシミュレーション画像である。
図8】実施例2のシミュレーション画像である。
図9】実施例3のシミュレーション画像である。
図10】実施例4のシミュレーション画像である。
図11図6から図10に表示した画像の色見本である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の冷却用外気の導入構造の好適な実施の形態を例示して説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明の冷却用外気の導入構造の一例の実施形態を示している。
図示した形態は、前記図5に示されたものと同様に、ビルBの屋上の縁に沿って看板や目隠しのための壁体Wが設けられ、その壁体Wに面して冷却塔CTが設置された態様であり、壁体Wの上部に導風体1を設置して、壁体Wの内側の冷却塔CTの設置領域IA内に壁体W外側から冷却用の外気が効率良く導入されるようにしたものである。
【0018】
詳しくは、図示した形態は、比較的風が強い地域や強風を受けやすい場所にビルBが建てられており、このビルBの屋上の端側にレイアウトされた冷却塔の設置領域IA内に、側面から外気を内部に取り込み、取り込んだ外気を冷却水に触れさせて熱交換を行い、熱交換によって温まった空気を上面から外側へ排出する機構を備えた冷却塔CTを複数台並べ、且つビルBの屋上の縁に沿って設けられた壁体Wと冷却塔CT側面の外気導入口が面するように設置し、前記壁体Wの上部に設置された導風体1で壁体Wの外面Woに沿って吹き付ける風の風向が壁体Wの内面Wi側へ変換されるように設けてある。
【0019】
導風体1は、図2に示されるように、断面円形の棒状の鋼材からなる、壁体Wの上端に沿った長さを有する本体部11と、本体部11の下面から下方に突出していて本体部11の長手方向に沿って間隔を開けて複数設けられた脚部12とを有し、本体部11の下面に前記各脚部12の上端部を一体に固着して形成してある。脚部12の下端部は壁体Wとの接続部となっている。
導風体1は、図1に示されるように、本体部11を壁体Wの上方に配置し、前記各脚部12を前記壁体Wの上部に固定して壁体Wに一体に取り付けられる。導風体1の本体部11と脚部12を接続し固定する手段や、導風体1の脚部12を壁体Wに接続し固定する手段は、ボルト留めや溶接など適宜な手段を用いることができる。
【0020】
導風体1を壁体Wに取り付けた状態で、前記本体部11の下面と壁体Wの上端との間には前記脚部12の高さD分の開口Opが確保され、この壁体Wの外面に風が吹き付けたときに導風体1で風向きが変えられた風が前記開口Opを通して冷却塔CTの設置領域IAに導入されるようになっている。
なお、導風体1の本体部11はその太さ(直径)を、壁体Wの上端部の幅の寸法よりも大きくなるように設けてある。
【0021】
本形態の構造によれば、壁体Wの上部に壁体Wの上端との間に開口Opを確保して導風体1を壁体Wに沿って設置することで、前記壁体Wの外面Woに当たる風の風向を前記導風体1で壁体Wの内面Wi側下方向きに変更せしめて、冷却塔CTの設置領域IA内に外気を効率的に取り入れることが可能である。
すなわち、図1に示されるように、壁体Wに吹き付ける風(同図中の白抜き矢符参照)は、壁体Wの外面Woに当たってそのまま当該外面を沿って上方へと流れ、その一部が壁体Wの上部に設置された導風体1に当たり、風向きが変更せしめられて壁体Wの上端との間の開口Opを通って壁体Wの内面Wi側の冷却塔CTの設置領域IAへと導入される。
【0022】
壁体Wの内側に壁体Wの外側から吹き付けてきた外気が導入されることで、冷却塔CTの上面から排出された空気がその側面側へ回り込むことはなく、冷却塔CTは前記設置領域内IAに導入された新鮮な外気を取り入れることが可能となり、前記再吸い込みを引き起こしにくくすることができる。
また、壁体Wに吹き付ける風のうち、その一部は前記のように導風体1に当たって風向きが壁体Wの内面Wi側へ変更せしめられ、その他は導風体1で切り分けられて、導風体1の上方を抜けて上向きに流れるので、設置領域IA内に設置された風向きの下流側に位置する冷却塔CTがその上流側の冷却塔CTから排出された、温められた外気を再吸い込みすることはない。
【0023】
図3は導風体1の変形例を示しており、導風体1は、その棒状の本体部11として矩形断面を呈する角柱を用いたり(同図(A))、上面が湾曲し且つ下面が平坦なかまぼこ型の断面形状の柱体を用いたりしてもよい(同図(B))。このような形状であっても、壁体Wに当たる一部の風の風向きを冷却塔CTの設置領域IA側へと変更させることが可能である。
【0024】
以下に、前記図1に示された態様で壁Wに強風が吹き付けたときの、導風体1で風向きを変えた風の流れをコンピュータシミュレーションした結果について説明する。
【0025】
(比較例)
導風体1が壁体Wの上部に設けられていない態様をシミュレーションした。
壁で囲まれたビル屋上に、冷却塔を7台直列に並べ、且つこれを横に2列に配置して計14台設置した。
ビル屋上面を基準として、壁体Wの高さは7.5m、冷却塔CT側部の外気吸込み面の高さは2.5~4.5m、冷却塔CT上部の空気排気面の高さは5m、冷却塔CT上部に設置した排気ダクト上端の高さは6.6mとした。
また、図1中の左側から右側に向けて毎秒6mの外風が吹いている想定とした。
シミュレーションには、フローサイエンス社製の汎用流体解析ソフト「FLOW-3D」を用いて、定常状態における排気空気の存在領域を確認した。
【0026】
上記条件でシミュレーションした結果を図6に示す。
同図は、冷却塔が並ぶ中央断面に空気の温度をコンタープロットした図である。同図中、赤色が排気を、青色が外気をそれぞれ示しており、黄色や緑などの中間色は排気と外気が混合している状態を示している。
冷却塔の吸い込み口がある側面において黄色から緑色となっており、これは、冷却塔がその上部から排出された空気を再吸込みしていることを表している。
【0027】
(実施例1)
壁体Wの上部に、前記図1及び図2に示される導風体1を設置して、前記比較例と同様のシミュレーションを行った。
導風体1の本体部11は直径1mの円断面として、この導風体1を、上下方向で幅1mの開口Opが確保されるように壁体Wの上端に配し、本体部11の前部側の一端と壁体Wの外面Woとが鉛直方向に沿って揃うようにして配置した。
上記条件でシミュレーションした結果を図7に示す。
【0028】
(実施例2)
壁体Wの上部に、前記図3(A)に示される導風体1を設置して、前記比較例と同様のシミュレーションを行った。
導風体1の本体部11は縦1m、横1mの矩形断面とした。この導風体1を、上下方向で幅0.5mの開口Opが確保されるように壁体Wの上端に配し、本体部11の前部側の一端と壁体Wの外面Woとが鉛直方向に沿って揃うようにして配置した。
上記条件でシミュレーションした結果を図8に示す。
【0029】
(実施例3)
壁体Wの上部に、前記図3(B)に示される導風体1を設置して、前記比較例と同様のシミュレーションを行った。
導風体1の本体部11は、縦0.5m、横1mの矩形に、直径1mの半円を結合させた断面形状とした。この導風体1を、上下方向で幅1mの開口Opが確保されるように壁体Wの上端に配し、本体部11の前部側の一端と壁体Wの外面Woとが鉛直方向に沿って揃うようにして配置した。
上記条件でシミュレーションした結果を図9に示す。
【0030】
(実施例4)
壁体Wの上部に、下記の導風体1を設置して、前記比較例と同様のシミュレーションを行った。
導風体1の本体部11は、前記図3(A)に示される縦1m、横1mの矩形を45度回転させた断面形状とした。この導風体1を、上下方向で幅0.79mの開口Opが確保されるように壁体Wの上端に配し、本体部11の前部側の一端と壁体Wの外面Woとが鉛直方向に沿って揃うようにして配置した。
上記条件でシミュレーションした結果を図10に示す。
【0031】
図7から図10に示された各実施例のシミュレーション結果によれば、壁の上部に導風体を設置した各実施例では、比較例と比べて、冷却塔の吸込み面が存在する側面において、青色に近い色となっており、適正に外気が冷却塔に導入されて、再吸込みが抑制されていることが確認できた。
壁体Wの上部に吹き上げる風が導風体にあたることで上下に二分され、外気が開口Opから壁体Wの内側に導入され、また、導風体の上側を通る風も導風体がない場合に比べて上方を通るため、冷却塔の排気をなびかせる力が弱まり、後列の冷却塔に排気が吸い込まれにくくなる。
【0032】
以上、本発明の実施の形態の一例について説明したが、本発明はこれに限定されないことは言うまでもない。実施の形態は一例であり、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。例えば、導風体の本体部に付加的に導風のための部材が取り付けられていてもよい。また、導風体は強度が確保されれば中実である必要はなく中空でもよい。
【0033】
なお、前記各実施例と比較例のシミュレーション結果はカラー画像で表示出力されたものであり、上記のとおり、シミュレーション結果を示した図6から図10の表示内容の色を指定した説明はそのカラー画像に基づく。図6から図10のカラー画像は本願とは別に提出するので、上記の色の指定を含む説明はそれを参照されたい。また、本願に添付した図6から図10は、前記カラー画像をグレースケールの画像としたものである。この画像の色見本を図11に示す。色見本に示されるように、前記各図の黒色の部分は外気であり低温な部分、白色の部分は排気であり高温な部分を示している。
【符号の説明】
【0034】
1 導風体、11 本体部、12 脚部、B ビル、CT 冷却塔、IA (冷却塔の)設置領域、Op 開口、W 壁体、Wi(壁体)内面、Wo(壁体)外面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11