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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134683
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240927BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240927BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/00 303
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045009
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】三谷 友祐
【テーマコード(参考)】
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H200FA18
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA47
2H200GB12
2H200GB22
2H200GB23
2H200HA01
2H200HB12
2H200HB22
2H200JA02
2H200JA29
2H200JC03
2H200PA02
2H200PA23
2H200PB20
2H270LA19
2H270LA20
2H270LA22
2H270LD03
2H270LD09
2H270MA24
2H270MA40
2H270MA41
2H270MB01
2H270MB13
2H270MB16
2H270MB18
2H270MB20
2H270MB25
2H270MB29
2H270MB32
2H270MB33
2H270MB39
2H270MB40
2H270MB41
2H270MB43
2H270PA15
2H270PA26
2H270RA27
2H270RB06
2H270RC10
2H270RC11
2H270RC14
2H270RC18
2H270ZC03
(57)【要約】
【課題】良好な画像濃度の印刷画像を形成するための転写電流又は作像条件の設定値を、手間なく簡単に定める。
【解決手段】2次転写ローラ89に印加する2次転写電流を可変しながら検知用シートPxに複数の画像パターンGP1を形成する。そして、検知用シートPx上の複数の画像パターンGP1のそれぞれの画像濃度を濃度検知センサ60で検知して、少なくとも1つの画像濃度が予め定められた閾値Aを超えるものであった場合には、閾値Aを超えるすべての画像濃度に対応する2次転写電流のうち最小の2次転写電流を設定値として定めて、複数の画像濃度のすべてが閾値Aを下回るものであった場合には、検知用シートPxを再び転写位置に搬送して、2次転写電流の可変範囲を変更して形成した2巡目の複数の画像パターンGP2のそれぞれの画像濃度を濃度検知センサ60で検知した後に、2次転写電流の設定値を定めている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に接触又は対向する転写位置で、前記像担持体の表面に形成された画像をシートに転写するための転写部材と、
前記転写部材に印加する転写電流を出力する電源部と、
前記電源部から出力される転写電流を可変する制御部と、
前記転写位置でシートに転写された画像を当該シートに定着する定着装置と、
前記定着装置を通過したシートを再び前記転写位置に向けて搬送する両面搬送部と、
前記定着装置で定着されたシート上の画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
を備え、
前記像担持体の表面に副走査方向にそれぞれ形成した複数の画像における、それぞれの画像に対して前記転写部材に印加する転写電流を前記制御部によって可変しながら前記転写位置で検知用シートに複数の画像パターンを形成するパターン形成モードを実行して、
前記検知用シートに形成された前記複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知して、
その検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が予め定められた閾値を超えるものであった場合には、前記閾値を超えるすべての画像濃度に対応する転写電流のうち最小の転写電流を設定値として定めて、
前記複数の画像濃度のすべてが前記閾値を下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の前記検知用シートを、前記両面搬送部を2回又は1回搬送することで、前記転写位置に搬送して、前記複数の画像パターンが形成されたシート面、又は、そのウラ面、に転写電流の可変範囲を変更した2回目のパターン形成モードの実行によって、前記複数の画像パターンに重ならないように2巡目の複数の画像パターンを形成して、前記検知用シートに形成された前記2巡目の複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知した後に、転写電流の設定値を定めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記2巡目の複数の画像パターンに対して検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が前記閾値を超えるものであった場合には、前記閾値を超えるすべての画像濃度に対応する転写電流に基づいて転写電流の設定値を定めて、
前記複数の画像濃度のすべてが前記閾値を下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の前記検知用シートを、前記両面搬送部を2回又は1回搬送することで、前記転写位置に搬送して、転写電流の可変範囲をさらに変更した3回目以降のパターン形成モードの実行によって、それまでに形成したすべての前記複数の画像パターンに重ならないように3巡目以降の複数の画像パターンを形成して、前記検知用シートに形成された前記3巡目以降の複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知した後に、転写電流の設定値を定めることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写部材は、前記像担持体としての中間転写体の表面に1次転写された画像をシートに2次転写するための2次転写部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
感光体の表面を帯電する帯電装置と、
前記帯電装置によって帯電された前記感光体の表面に光を照射して潜像を形成する露光装置と、
前記露光装置によって形成された前記感光体の表面の前記潜像を現像して画像を形成する現像装置と、
前記現像装置によって形成された前記感光体の表面の前記画像を、直接的に、又は、中間転写体を介して、転写位置でシートに転写するための転写部材と、
前記現像装置に印加する現像バイアスと、前記帯電装置に印加する帯電バイアスと、前記露光装置から前記感光体に照射される光の露光量と、のうち少なくとも1つを作像条件として可変する制御部と、
前記転写位置でシートに転写された画像を当該シートに定着する定着装置と、
前記定着装置を通過したシートを再び前記転写位置に向けて搬送する両面搬送部と、
前記定着装置で定着されたシート上の画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
を備え、
前記制御部によって作像条件を可変しながら前記感光体の表面に副走査方向の画像濃度がそれぞれ異なるように形成した複数の画像パターンを、前記転写位置で検知用シートに転写するパターン形成モードを実行して、
前記検知用シートに転写された前記複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知して、
その検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が予め定められた閾値を超えるものであった場合には、前記閾値を超えるすべての画像濃度に対応する作像条件の中から作像条件の設定値を定めて、
前記複数の画像濃度のすべてが前記閾値を下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の前記検知用シートを、前記両面搬送部を2回又は1回搬送することで、前記転写位置に搬送して、前記複数の画像パターンが形成されたシート面、又は、そのウラ面、に作像条件の可変範囲を変更した2回目のパターン形成モードの実行によって、前記複数の画像パターンに重ならないように2巡目の複数の画像パターンを形成して、前記検知用シートに転写された前記2巡目の複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知した後に、作像条件の設定値を定めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記2巡目の複数の画像パターンに対して検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が前記閾値を超えるものであった場合には、前記閾値を超えるすべての画像濃度に対応する作像条件に基づいて作像条件の設定値を定めて、
前記複数の画像濃度のすべてが前記閾値を下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の前記検知用シートを、前記両面搬送部を2回又は1回搬送することで、前記転写位置に搬送して、作像条件の可変範囲をさらに変更した3回目以降のパターン形成モードの実行によって、それまでに形成したすべての前記複数の画像パターンに重ならないように3巡目以降の複数の画像パターンを形成して、前記検知用シートに形成された前記3巡目以降の複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知した後に、作像条件の設定値を定めることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の画像パターンは、それぞれ、主走査方向に画像濃度が段階的に変化するように形成された階調パターンであることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、良好な画像濃度の印刷画像を形成するために、転写電流や作像条件を段階的に可変した複数の画像パターンをシート(転写紙)上に形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1には、検知用のシート上に転写電流を段階的に可変して複数の画像パターンを転写して、その検知用のシートを原稿として、画像形成装置に設置されたスキャナによって複数の画像パターンを読み込んで、その読み込んだ結果に基づいて最適な転写電流を設置値として決定する技術が開示されている。
また、特許文献2には、現像バイアス、帯電バイアス、露光量などの作像条件を段階的に可変して形成した複数の画像パターンを検知用のシート上に転写して、その検知用のシートの複数の画像パターンを濃度検知手段によって検知して、その検知結果に基づいて最適な作像条件を設置値として決定する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、複数の画像パターンが形成されたシートを原稿として手動でスキャナにセットする手間がかかっていた。
また、特許文献2の技術は、検知用のシートの複数の画像パターンを濃度検知手段によって検知して、その検知結果に基づいて最適な作像条件を見い出せずに、設置値を定められないことがあった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、良好な画像濃度の印刷画像を形成するための転写電流又は作像条件の設定値を、手間なく簡単に定めることができる、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における画像形成装置は、像担持体に接触又は対向する転写位置で、前記像担持体の表面に形成された画像をシートに転写するための転写部材と、前記転写部材に印加する転写電流を出力する電源部と、前記電源部から出力される転写電流を可変する制御部と、前記転写位置でシートに転写された画像を当該シートに定着する定着装置と、前記定着装置を通過したシートを再び前記転写位置に向けて搬送する両面搬送部と、前記定着装置で定着されたシート上の画像の濃度を検知する濃度検知手段と、を備え、前記像担持体の表面に副走査方向にそれぞれ形成した複数の画像における、それぞれの画像に対して前記転写部材に印加する転写電流を前記制御部によって可変しながら前記転写位置で検知用シートに複数の画像パターンを形成するパターン形成モードを実行して、前記検知用シートに形成された前記複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知して、その検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が予め定められた閾値を超えるものであった場合には、前記閾値を超えるすべての画像濃度に対応する転写電流のうち最小の転写電流を設定値として定めて、前記複数の画像濃度のすべてが前記閾値を下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の前記検知用シートを、前記両面搬送部を2回又は1回搬送することで、前記転写位置に搬送して、前記複数の画像パターンが形成されたシート面、又は、そのウラ面、に転写電流の可変範囲を変更した2回目のパターン形成モードの実行によって、前記複数の画像パターンに重ならないように2巡目の複数の画像パターンを形成して、前記検知用シートに形成された前記2巡目の複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知した後に、転写電流の設定値を定めるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、良好な画像濃度の印刷画像を形成するための転写電流又は作像条件の設定値を、手間なく簡単に定めることができる、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】複数の画像パターンが形成された検知用シートの一例を示す図である。
図3】2次転写電流(又は、作像条件)の設定値を定める制御の一例を示すフローチャートである。
図4】2次転写電流と、濃度検知センサで検知される画像濃度と、の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、本実施の形態における画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置本体1の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱可能(交換可能)に設置されている。
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78(像担持体、中間転写体)に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
画像形成装置本体1の下方には、用紙等のシートPが複数枚重ねて収納された給紙部12(給紙カセット)が設置されている。
また、画像形成装置本体1の右方には、定着工程後のシートPを反転(スイッチバック)させて両面搬送路K5を経由して2次転写ニップ(転写位置)に向けて搬送するための両面搬送部30(両面搬送ユニット)が設置されている。
【0011】
各作像部4Y、4M、4C、4Kには、それぞれ、感光体としての感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kが配設されている。また、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K(感光体)の周囲には、それぞれ、帯電装置75、現像装置76、クリーニング装置77、除電装置、等が配設されている。そして、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に各色の画像が形成されることになる。
【0012】
感光体としての感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、メインモータによって図1の時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置75の位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
なお、本実施の形態において、帯電装置75は、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kに当接する帯電ローラであって、電源部95から所定の帯電バイアスが印加される。この帯電装置75に印加する帯電バイアスは、制御部90による電源部95の制御によって可変(調整)できるように構成されている。
【0013】
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光装置3(書込み部)から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
なお、本実施の形態において、露光装置3は、制御部90による制御によって、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kに照射する光(レーザ光)の露光量(レーザパワー)を可変(調整)できるように構成されている。
【0014】
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、現像装置76との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像(画像)が形成される(現像工程である。)。
なお、現像装置76は、現像ローラ、ドクターブレード、2つの搬送スクリュなどで構成されていて、その内部にはトナーとキャリアとからなる2成分現像剤が収容されている。現像装置76には、その内部でトナーが消費されると、その消費分を相殺するようにトナーボトル102Y、102M、102C、102Kからトナーが補給される。
また、現像装置76の現像ローラには、電源部95から所定の現像バイアスが印加されて、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に所定の現像電界が形成される。この現像装置76(現像ローラ)に印加する現像バイアスは、制御部90による電源部95の制御によって可変(調整)できるように構成されている。
【0015】
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0016】
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング装置77との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に残存した未転写トナーがクリーニング装置77のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0017】
その後、現像工程を経て各感光体ドラムの表面に形成した各色のトナー像(画像)を、中間転写ベルト78の表面に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト78の表面にカラー画像が形成される。
ここで、中間転写ユニット85は、像担持体としての中間転写ベルト78(中間転写体)、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング装置80、等で構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ82~84によって張架・支持されるとともに、メインモータに連結された1つのローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
【0018】
4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、中間転写ベルト78を感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像(画像)が、中間転写ベルト78の表面に重ねて1次転写される(1次転写工程である。)。
【0019】
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト78は、転写部材(2次転写部材)としての2次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ82が、2次転写ローラ89(転写装置)との間に中間転写ベルト78を挟み込んで転写位置としての2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像(画像)は、この2次転写ニップ(転写位置)に搬送されたシートP上に転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト78には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング装置80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
なお、転写部材としての2次転写ローラ89には、電源部95からトナー極性に対して逆極性の転写電流(2次転写電流、2次転写バイアス)が印加される。この2次転写ローラ89に印加する転写電流は、制御部90による電源部95の制御によって可変(調整)できるように構成されている。
【0020】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体1の下方に配設された給紙部12から、第1、第2搬送路K0、K1を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部12には、用紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ31が図1中の反時計方向に回転駆動されると、給紙ローラ31とフリクションパッド32との間に挟まれた一番上のシートPが、第1、第2搬送路K0、K2を形成するガイド板に案内されながら、レジストローラ対33(タイミングローラ対)のローラ間に向けて給送される。
【0021】
レジストローラ対33(タイミングローラ対)に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対33のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対33が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップ(画像形成部)に向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0022】
その後、2次転写ニップ(転写位置)でカラー画像が転写されたシートPは、第2搬送路K1を経由して、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置(定着ベルト21と加圧ローラ22とが圧接して形成された定着ニップ部である。)で、熱と圧力とにより、表面に担持されたトナー像がシートP上に定着される(定着工程である。)。
【0023】
そして、定着工程後のシートPは、第2搬送路K1を通過して、切替部材45(分岐爪)によって排出搬送路K2に案内されて、排出ローラ対として機能する第1、第2ローラ40、41によって、装置外へと排出される。第1、第2ローラ40、41によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセス(印刷動作)が完了する。
【0024】
ここで、上述した給紙部12からスタック部100に至るシートP(又は、画像形成装置1)の動作は、片面プリントモード(シートPのオモテ面のみに画像を形成するモードである。)が選択されている場合のものである。
なお、片面プリントモード時(又は、両面プリントモード時において両面へのプリントが終了した後のシートPをスタック部100に排出するとき)には、排出搬送路K2を開放して中継搬送路K3を閉鎖するように切替部材45が回動軸を中心にして反時計方向に回動した位置(図1に示す位置である。)で停止することになる。
【0025】
これに対して、両面プリントモード(シートPのオモテ面とウラ面とにそれぞれ画像を形成するモードである。)が選択されている場合には、以下のようにシートP(又は、画像形成装置1)が動作することになる。
給紙部12から給送されたシートPが、第1、第2搬送路K0、K1、2次転写ニップを経由して定着装置20に達するまでの工程は、片面プリントモード時のものと同様である。そして、定着工程後のシートP(オモテ面に画像が形成された状態のものである。)は、切替部材45によって中継搬送路K3を経由してスイッチバック搬送路K4に案内される。このとき、排出搬送路K2を閉鎖して中継搬送路K3を開放するように切替部材45が回動軸を中心にして時計方向に回動した位置で停止することになる。
そして、スイッチバック搬送路K4において、シートPの後端部(搬送方向の後端部である。)が反転ローラ42と第2ローラ40とのニップ部に達すると(シートPの後端部が中継搬送路K3と両面搬送路K5との分岐点を通過すると)、反転ローラ42の回転駆動を一時的に停止させる。このとき、シートP(オモテ面に対して定着工程が施された後のシートPである。)は、反転ローラ42によって後端部が保持された状態で、先端部の側が装置の外部(スタック部100の上方の位置である。)に露呈した状態になる。
その後、反転ローラ42を逆方向に回転駆動することで、シートPの搬送方向を反転(逆転)させて、両面搬送路K5に向けてシートPを搬送する。このとき、中継搬送路K3を閉鎖して排出搬送路K2(及び、両面搬送路K5)を開放するように切替部材45が回動軸を中心にして反時計方向に回動した位置で停止している(図1の状態である)。
【0026】
その後、図1を参照して、両面搬送路K5に導かれたシートPは、両面搬送路K5に設置された複数の搬送ローラ47、48によって搬送されて、2次転写ニップ(転写位置)に導かれる。そして、シートPは、この位置で、オモテ面への2次転写工程時と同じように、ウラ面への2次転写工程がおこなわれて、その後に定着装置20に向けて搬送されて、ウラ面への定着工程がおこなわれる。
そして、定着工程後のシートP(両面へのプリントが終了した後のシートPである。)は、先に説明したように、排出搬送路K2を経て第1、第2ローラ40、41のニップ部に導かれて、第1、第2ローラ40、41によって装置外へと排出されて、スタック部100上に順次スタックされる。
【0027】
以下、本実施の形態における画像形成装置1の、特徴的な構成・動作について詳述する。
先に図1を用いて説明したように、本実施の形態における画像形成装置1には、転写部材としての2次転写ローラ89、電源部95、制御部90、定着装置20、両面搬送部30、などが設けられている。
2次転写ローラ89は、像担持体としての中間転写ベルト78に接触(又は、対向)する転写位置(2次転写ニップである。)で、中間転写ベルト78の表面に形成された画像をシートPに転写するための転写部材として機能する。本実施の形態において、この転写部材としての2次転写ローラ89は、像担持体としての中間転写体(中間転写ベルト78)の表面に1次転写された画像をシートPに2次転写するための2次転写部材である。
電源部95は、転写部材としての2次転写ローラ89に印加する転写電流としての2次転写電流(2次転写バイアス)を出力する。そして、制御部90は、電源部95から出力される転写電流(2次転写電流)を可変できるように構成されている。
定着装置20は、転写位置(2次転写ニップ)でシートPに転写された画像を、そのシートPに定着するものである。
また、両面搬送部30は、定着装置20を通過したシートPを反転させて再び転写位置(2次転写ニップ)に向けて搬送するためのものである。
【0028】
また。画像形成装置1には、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K(感光体)の表面を帯電する帯電装置75や、帯電装置75によって帯電された感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に光を照射して潜像を形成する露光装置3や、露光装置3によって形成された感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面の潜像を現像して画像を形成する現像装置76、なども設けられている。
したがって、2次転写ローラ89は、現像装置76によって形成された感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面の画像を、中間転写体としての中間転写ベルト78を介して、転写位置(2次転写ニップ)でシートPに転写するための転写部材となる。
【0029】
ここで、図1図2を参照して、本実施の形態における画像形成装置1には、定着装置20で定着されたシートP上の画像の濃度を検知する濃度検知手段としての濃度検知センサ60が設置されている。
この濃度検知センサ60(濃度検知手段)は、主走査方向(図1の紙面垂直方向であって、図2の左右方向であり、幅方向である。)に延びて、シートP(検知用シートPx)の画像領域全域を検知可能に形成されたラインセンサ(複数の反射型フォトセンサが主走査方向に並設されたもの。)である。
また、濃度検知センサ60は、スイッチバック搬送路K4において、定着工程後のシートPの定着面に対向するように配置されている。
なお、濃度検知センサ60の構成や設置位置は、本実施の形態にものに限定されることなく、本発明を実施する上で好適なものを用いることができる。
【0030】
ここで、本実施の形態では、先に図1を用いて説明した通常の画像形成プロセス(印刷動作)とは異なるタイミング(例えば、通常の印刷動作がおこなわれる前のタイミングである。)で、印刷画像の画像濃度を最適化するためのモード(画像濃度調整モード)が実行される。
【0031】
本実施の形態における画像濃度調整モードは、2次転写ローラ89に印加される2次転写電流を最適化するものであって、以下のようにおこなわれる。
まず、中間転写ベルト78(像担持体)の表面に副走査方向(主走査方向に直交する方向であって、図2の上下方向、ベルト搬送方向、シート搬送方向である。)にそれぞれ形成した複数の帯状の画像における、それぞれの画像に対して2次転写ローラ89(転写部材)に印加する転写電流(2次転写電流)を制御部90によって可変しながら転写位置(2次転写ニップ)で検知用シートPx(給紙部12から給紙される検知用として用いられるシートPである。)に複数の画像パターンGP1(図2における「1巡目階調パターン」である。)を形成する「パターン形成モード」を実行する(パターン形成工程である。)。
詳しくは、検知用シートPxの表面の一部(本実施の形態では、シート搬送方向の先端側である。)に、副走査方向に間隔をあけて複数の帯状の画像パターンGP1を形成している。この複数の帯状の画像パターンGP1における1つ1つの帯状画像パターンは、搬送方向上流側のものから順に、2次転写工程時に2次転写ローラ89に印加される2次転写電流を段階的に増加(又は、減少)して形成したものである。
【0032】
ここで、本実施の形態では、2次転写工程前の中間転写ベルト78上に副走査方向に間隔をあけて形成される複数の帯状画像は、同じ作像プロセスの条件で形成されたものである。すなわち、中間転写ベルト78上の複数の帯状画像は、基本的にすべて同じ作像条件(現像バイアス、帯電バイアス、露光量)で形成されたものである。したがって、2次転写工程後のシートPx上に形成された複数の帯状の画像パターンGP1における1つ1つの帯状画像パターンに、画像濃度差があるとしたら、その画像濃度差は2次転写工程時に2次転写ローラ89に印加される2次転写電流値(転写率)の違いによるものとなる。
なお、本実施の形態では、上述したように、中間転写ベルト78上の複数の帯状画像は基本的にすべて同じものであるが、それらの帯状画像はそれぞれ主走査方向に画像濃度が段階的に変化するように形成された階調パターンとしている。すなわち、中間転写ベルト78上に主走査方向に画像濃度が段階的に変化する帯状の階調パターンが形成されるように作像プロセス(特に、露光工程である。)における作像条件が設定されることになる。そして、2次転写工程においてシートPx上に転写される複数の画像パターンGP1も、それぞれ、主走査方向に画像濃度が段階的に変化するように形成された階調パターンとなる。
【0033】
その後、検知用シートPxに形成された複数の画像パターンGP1(1巡目階調パターン)のそれぞれの画像濃度を濃度検知センサ60(濃度検知手段)で検知する(検知工程である。)。
すなわち、検知用シートPxは、濃度検知センサ60の位置に搬送されて、副走査方向に間隔をあけて形成された1つ1つの画像パターン(階調パターン)の画像濃度が濃度検知センサ60によって光学的に検知される。
なお、濃度検知センサ60によって検知される画像パターンは、主走査方向の位置によって画像濃度が異なる階調パターンであるため、濃度検知センサ60によって検知される画像濃度(検知結果)として、例えば、主走査方向の各位置の画像濃度を平均化したものを用いることができる。
【0034】
そして、上述した濃度検知センサ60による検知工程において、その検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が予め定められた閾値Aを超えるものであった場合には、その閾値Aを超えるすべての画像濃度に対応する転写電流(2次転写電流)のうち最小の転写電流を設定値として定める。そして、それ以降におこなわれる印刷動作における2次転写工程は、その2次転写電流の設定値にておこなわれることになる。
なお、2次転写電流の設定値が決定された後の検知用シートPxは、スイッチバック搬送路K4の位置から、スタック部100に向けて排出されることになる。
【0035】
これに対して、検知工程において複数の画像濃度のすべてが閾値Aを下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の検知用シートPx(別のシートPxではない。)を、両面搬送部30を2回搬送することで転写位置(2次転写ニップ)に搬送する。ただし、1回目の両面搬送部30による搬送時には、検知用シートPxが両面プリントモード時と同じように搬送されるものの、作像部における作像プロセスや、2次転写工程時の転写電流の印加や、定着工程時の加熱はおこなわない。そして、2回目の両面搬送部30による搬送時には、検知用シートPxが両面プリントモード時と同じように搬送されながら、後述する2巡目の画像パターンGP2を検知用シートPxに形成するため、作像部における作像プロセスや、2次転写工程時の転写電流の印加や、定着工程時の加熱がおこなわれる。
そして、複数の画像パターンGP1(1巡目階調パターンである。)が形成されたシート面(オモテ面である。)に、転写電流(2次転写電流)の可変範囲を変更した2回目の「パターン形成モード」の実行によって、1巡目の複数の画像パターンGP1に重ならないように2巡目の複数の画像パターンGP2(2巡目階調パターン)を形成する。そして、検知用シートPxに形成された2巡目の複数の画像パターンGP2のそれぞれの画像濃度を、1巡目と同じように、濃度検知センサ60によって検知した後に、転写電流(2次転写電流)の設定値を定める。そして、それ以降におこなわれる印刷動作における2次転写工程は、その2次転写電流の設定値にておこなわれることになる。
なお、2次転写電流の設定値が決定された後の検知用シートPxは、スイッチバック搬送路K4の位置から、スタック部100に向けて排出されることになる。
また、本願明細書等において、「2巡目の複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を濃度検知センサによって検知した後に、転写電流の設定値を定める」とは、「2巡目の複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を濃度検知センサによって検知した後に、3回目(又は、それ以上の回数)のパターン形成モード(転写電流の可変範囲を可変しておこなったものである。)を繰り返して再び検知工程をおこなって転写電流の設定値を定める」場合も含むものとする。
【0036】
このように、本実施の形態における画像濃度調整モードは、検知用シートPxを原稿として手動でスキャナにセットするような手間がかからず、画像形成装置1に設置した濃度検知センサ60の位置に検知用シートPxを自動搬送して、検知用シートPx上の画像パターンGPの濃度検知をおこなうものである。
また、本実施の形態における画像濃度調整モードは、検知用シートPxの画像パターンGP1を濃度検知センサ60によって検知して、その検知結果に基づいて最適な2次転写電流の設定値を見い出せなかった場合であっても、2次転写電流の可変範囲(2次転写電流を振る範囲や、その振り幅である。)を変えて、検知用シートPxに別の画像パターンGP2を形成して、その画像パターンGP2の画像濃度を濃度検知センサ60によって検知して、その検知結果に基づいて最適な2次転写電流の設定値を見い出している。そのため、最適な2次転写電流の設定値を見い出だせないような不具合が生じにくくなる。
また、その際に、2巡目の画像パターンGP2は、1巡目の画像パターンGP1が形成された検知用シートPxとは別のシートに形成されるのではなくて、1巡目の画像パターンGP1が形成された検知用シートPxに形成される。そのため、検知用シートPxが無駄に使用されてしまう不具合が抑止される。
このように、本実施の形態では、良好な画像濃度の印刷画像を形成するための2次転写電流の設定値を、手間なく簡単に定めることができる。
【0037】
ここで、本実施の形態では、検知工程において2巡目の複数の画像パターンGP2に対して検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が上述した閾値Aを超えるものであった場合には、その閾値Aを超えるすべての画像濃度に対応する2次転写電流(転写電流)に基づいて2次転写電流の設定値を定めている。そして、そして、それ以降におこなわれる印刷動作における2次転写工程は、その2次転写電流の設定値にておこなわれることになる。
これに対して、検知工程において複数の画像濃度のすべてが閾値Aを下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の検知用シートPxを、2巡目のときと同じように、両面搬送部30を2回搬送することで、転写位置(2次転写ニップ)に搬送する。そして、2次転写電流の可変範囲をさらに変更した3回目以降のパターン形成モードの実行によって、それまでに形成したすべての複数の画像パターンGP1、GP2に重ならないように3巡目以降の複数の画像パターンGP3、GP4を形成して、検知用シートPxに形成された3巡目以降の複数の画像パターンGP3、GP4のそれぞれの画像濃度を濃度検知センサ60で検知した後に、2次転写電流の設定値を定めることになる。
【0038】
すなわち、本実施の形態では、1枚の検知用シートPxに形成した1巡目の画像パターンGP1によって最適な2次転写電流の設定値を設定できなかった場合には、同じ検知用シートPxに2巡目の画像パターンGP2を形成して、2巡目の画像パターンGP2によって最適な2次転写電流の設定値を設定する。そして、2巡目の画像パターンGP2によって最適な2次転写電流の設定値を設定できなかった場合には、同じ検知用シートPxに3巡目の画像パターンGP3を形成して、3巡目の画像パターンGP3によって最適な2次転写電流の設定値を設定する。そして、3巡目の画像パターンGP3によって最適な2次転写電流の設定値を設定できなかった場合には、同じ検知用シートPxに4巡目の画像パターンGP4を形成して、4巡目の画像パターンGP4によって最適な2次転写電流の設定値を設定する。以降、検知用シートPxにスペース(次回の画像パターンを形成するためのスペースである。)がある限り、同じような工程が繰り返されることになる。
【0039】
なお、本実施の形態では、検知用シートPxのオモテ面のみに、複数回(1巡目、2巡目以降)の画像パターンを形成したが、検知用シートPxのウラ面も用いて、オモテ面とウラ面とに交互に複数回(1巡目、2巡目以降)の画像パターンを形成することもできる。すなわち、前回のパターン形成モードがおこなわれた検知用シートPxの検知面(画像パターンが形成された面である。)の反対側の面に、次回のパターン形成モードで画像パターンを形成することもできる。
その場合、前回のパターン形成モードで形成された画像パターンの画像濃度のすべてが閾値Aを下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の検知用シートPxを、両面搬送部30を1回搬送することで、転写位置に搬送することになる。そして、前回の画像パターンが形成されたシート面に対してウラ面に、2次転写電流の可変範囲を変更した次回のパターン形成モードの実行によって、前回の画像パターンに重ならないように次回の複数の画像パターンを形成することになる。
このように検知用シートPxのオモテ面とウラ面とに交互に複数回(1巡目、2巡目以降)の画像パターンを形成する場合には、両面搬送部30における搬送回数を減ずることができる。これに対して、検知用シートPxのオモテ面のみに複数回(1巡目、2巡目以降)の画像パターンを形成する場合には、検知用シートPxのオモテ面とウラ面との転写条件の違いを排除することができる。
【0040】
また、本実施の形態における画像形成装置1では、4色の作像部4Y、4M、4C、4Kが設けられていて、4色のすべてを用いてフルカラー画像を形成する「フルカラー画像モード」と、4色のうちブラックを除く3色を用いてカラー画像を形成する「カラー画像モード」と、ブラックのみを用いてモノクロ画像を形成する「モノクロ画像モード」と、を使い分けられるように構成されている。
そのため、上述した画像濃度調整モードは、3つの「フルカラー画像モード」、「カラー画像モード」、「モノクロ画像モード」ごとに別々におこなうこともできる。その場合、モードごとに、良好な画像濃度の印刷画像を形成することが可能になる。
【0041】
以下、図3のフローチャートを用いながら、具体的な画像濃度調整モードの制御の一例について説明する。
ここで、説明するのは、検知用シートPxのオモテ面にのみ、複数回(1巡目、2巡目以降)の画像パターンを形成する場合である。
まず、最初の手順1として、検知用シートPxに1巡目の画像パターンGP1(複数の階調パターン)を形成する(ステップS1)。このときの、画像パターンGP1は、パラメータとして2次転写電流を段階的に変化させて副走査方向に間隔をあけて複数形成したものである。
そして、次の手順2として、検知用シートPx上の画像パターンGP1(複数の階調パターン)のそれぞれの画像濃度を濃度検知センサ60によって検知する(ステップS2)。このとき、検知用シートPxは、定着工程後に濃度検知センサ60の位置を通過して(検知工程を終了して)、スイッチバック搬送路K4に留まることになる。
そして、ステップ3にて検知された複数の画像濃度のうち、狙いの画像濃度(閾値Aを超える画像濃度)となるものがあるかが判別される(ステップS3)。すなわち、ステップS1でいくつか振ったパラメータ(2次転写電流)のうち、最適な画像濃度を形成し得るものがあるかが判別される。そして、最適なパラメータ(2次転写電流)が存在する場合には、そのパラメータ(2次転写電流)を設定値として決定する(ステップS4)。
具体例として、次の手順3で、手順2の結果から最も画像濃度が高い2次転写電流の水準が割り出される。このとき、最も高い画像濃度が複数の2次転写電流値で同じ程度の場合、その絶対値が低い側の2次転写電流を選定する。例えば、2次転写電流値が50μA、60μA、70μAで画像濃度が同じ場合には、50μAを選定する。これは、2次転写電流が高いほど、過放電によって白ポチ状の異常画像が発生しやすくなるためである。そして、次の手順4として、2次転写電流の設定値が決定されることになる。また、次の手順5として、スイッチバック搬送路K4に留まっていた検知用シートPxは、スタック部100に排出される。
【0042】
ここで、図3のステップS3にて、ステップS1でいくつか振ったパラメータ(2次転写電流)のうち、最適な画像濃度を形成し得るものがないものと判別された場合には、そのパラメータ(2次転写電流)の範囲を変更して、検知用シートPxに2巡目(+1巡目)の画像パターンGP2(複数の階調パターン)を形成して(ステップS5)、ステップ2以降のフローを繰り返す。
具体例として、手順6で、上述した手順3にて狙いの画像濃度となる2次転写電流の水準が割り出せなかった場合、次の手順7として、スイッチバック搬送路K4に留まっていた検知用シートPxを、反転させた後に両面搬送部30で搬送して(両面搬送路K5を通過させて)、何も画像を印刷することなく2次転写ニップや定着装置20を通過させる。なお、検知用シートPxのウラ面に2巡目の画像パターンGP2を形成する場合には、このときに2次転写ニップでウラ面に2巡目の画像パターンGP2が形成されることになる。
そして、次の手順8として、その検知用シートPxを、スイッチバック搬送路K4で反転させた後に、再び両面搬送部30で搬送して(両面搬送路K5を通過させて)、2次転写ニップのオモテ面に2巡目の画像パターンGP2が形成されることになる。そして、それ以降、1巡目と同様に、手順2以降の手順がおこなわれる。
【0043】
ここで、画像濃度調整モードにおける2次転写電流の調整(わり振り)の一例について説明する。
まず、1巡目の画像パターンGP1(複数の階調パターン)を検知用シートPxに2次転写するとき、2次転写電流を30~80μAの範囲で10μA間隔で振る。そして、上述したように、2次転写電流を振っても、シートの厚さや体積抵抗や表面抵抗やシート表面の平滑度のバラツキなどによって、検知工程で閾値A以上の画像濃度が検知されない場合には、2巡目の画像パターンGP2(複数の階調パターン)を検知用シートPxに2次転写することになる。
そのときの2巡目における2次転写電流は、1巡目の検知結果を受けて、さらに2次転写電流の高い領域となる80~240μAで40μA間隔で広い範囲で振る。そして、検知工程にて、2次転写電流が160μAのときに、閾値A以上で、最も画像濃度が得られたものとする。
そのような場合に、3巡目の画像パターンGP3(複数の階調パターン)を検知用シートPxに2次転写するようにすることができる。そして、3巡目における2次転写電流は、2巡目の検知結果を受けて、160μAを中心とし、狭い範囲で2次転写電流を振る(140~180μAの範囲で10μA間隔で振る)。その結果、2次転写電流が150μAのとき、閾値A以上で、最も高い画像濃度が得られたものとする。このような場合には、150μAを2次転写電流の最終的な設定値として定めることができる。
【0044】
以下、図4を用いて、異なる特性のシートPが用いられたときの、2次転写電流と、濃度検知センサ60で検知される画像濃度と、の関係について説明する。
まず、シートP(用紙)における特性値の中には、2次転写率に対して影響の大きな、シート表面の平滑度などの非静電特性や、表面抵抗や体積抵抗などの静電特性がある。そして、シートPの厚さが同じであっても、これらのシートの特性値によって、2次転写率が決まり、2次転写率のピーク値と最適な2次転写電流の値と、が決まる。したがって、シートPの厚さによって2次転写電流の設定値を決定してしまうと、これらのシートPの特性値が加味されずに、ある特性値を有するシートPにおいては2次転写電流の不足による2次転写性不良が生じて、シートP上に形成される画像の濃度が不足してしまう。しかし、このような不具合を抑止しようとして、すべての種類(特性)のシートPを網羅するように、予め2次転写電流を高めに設定してしまうと、過放電による白ポチ状の異常画像が生じやすくなったり、全面ベタでの過放電による転写率低下が生じやすくなったりしてしまう。そのため、特性値の異なるシートPの種類ごとに、最適な2次転写電流の設定値を決定することが好ましい。具体的には、特性値(種類)の異なるシートPが給紙部12(給紙カセット)に入れ替えられるたびに、先に図3等を用いて説明した画像濃度調整モードを実行して、高品質な画像を形成するための最適な2次転写電流の設定値を定めることが好ましい。
【0045】
さらに補足すると、2次転写率によってシートP上の画像濃度が決まり、それにともない濃度検知センサ60による画像濃度の検知結果が決まる。具体的に、2次転写率が高い場合にはシートP上の画像濃度が高くなって、濃度検知センサ60の検知結果が高くなる。
図4において、グラフQは平滑度の高いシートPを用いたときの2次転写電流と画像濃度(濃度検知センサ60の検知結果)との関係を示し、グラフRは平滑度の低いシートPを用いたときの2次転写電流と画像濃度(濃度検知センサ60の検知結果)との関係を示す。図4の結果から、平滑度の高いシートP(高平滑紙)に対して、平滑度の低いシートP(低平滑紙)は、転写性が低下して、2次転写電流の最適値が高電流側にシフトする。また、高平滑紙に対して低平滑紙は、2次転写率のピーク到達位置が低くなる(濃度検知センサ60による検知結果が低くなる)。シートP上の画像濃度には、官能的な濃淡の視点で許容できる領域(図4における「濃度許容領域」)がある。2次転写電流の最適値は、2次転写率(濃度検知センサ60の検知結果)がピークとなる部分(ピーク点)であって、より低電流側となる。これは、最適値を高電流側にとってしまうと、先に説明したような2次転写電流が高いことによる副作用が生じてしまうためである。
なお、図4で示したグラフQとグラフRとの関係は、高平滑紙と低平滑紙との関係に限定されることなく、表面抵抗の高いシートPと表面抵抗の低いシートPとの関係や、体積抵抗の低いシートPと体積抵抗の高いシートPとの関係においても成立するものである。
【0046】
<変形例>
変形例における画像形成装置1は、先に説明したもののように画像濃度調整モードにおける「パターン形成モード」にて、2次転写ローラ89に印加する2次転写電流をパラメータとして振るのではなくて、作像条件(現像バイアス、帯電バイアス、露光量(レーザパワー)のうちの少なくとも1つである。)を振って、図2に示すような検知用シートPxに複数の画像パターンGP(階調パターン)を形成している。
すなわち、変形例においても、図3のフローチャートを用いて説明したものと同様の制御がおこなわれるが、ステップS1等に示す「パラメータ」が、2次転写電流ではなくて、作像条件(現像バイアス、帯電バイアス、露光量)になる。
【0047】
詳しくは、変形例において、制御部90は、現像装置76に印加する現像バイアスと、帯電装置75に印加する帯電バイアスと、露光装置3から感光体ドラム5Y、5M、5C、5K(感光体)に照射される光の露光量と、のうち少なくとも1つを作像条件として可変できるように構成されている。
そして、画像濃度調整モード時に、まず、制御部90によって作像条件を可変しながら感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に副走査方向の画像濃度がそれぞれ異なるように形成した複数の画像パターンGP1(1巡目階調パターン)を、中間転写ベルト78を介して、転写位置(2次転写ニップ)で検知用シートPxに転写する「パターン形成モード」を実行する。
すなわち、変形例では、2次転写工程前に、図2に示すような複数の画像パターンGP(階調パターン)を形成して、その複数の画像パターンGP(階調パターン)を2次転写電流の設定値を固定して検知用シートPxに2次転写している。
【0048】
そして、変形例においても、検知用シートPxに転写された複数の画像パターンGP1のそれぞれの画像濃度を濃度検知センサ60(濃度検知手段)で検知する(検知工程である)。
そして、その検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が予め定められた閾値Aを超えるものであった場合には、その閾値Aを超えるすべての画像濃度に対応する作像条件の中から作像条件の設定値を定める。そして、それ以降におこなわれる印刷動作における作像プロセスは、その作像条件の設定値にておこなわれることになる。
これに対して、検知工程において複数の画像濃度のすべてが閾値Aを下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の検知用シートPxを、両面搬送部30を2回(又は、1回)搬送することで、転写位置(2次転写ニップ)に搬送する。そして、1巡目の複数の画像パターンGP1が形成されたシート面(又は、そのウラ面)に作像条件の可変範囲を変更した2回目の「パターン形成モード」の実行によって、1巡目の複数の画像パターンGP1に重ならないように2巡目の複数の画像パターンGP2を形成する。そして、検知用シートPxに転写された2巡目の複数の画像パターンGP2のそれぞれの画像濃度を濃度検知センサ60で検知した後に、作像条件の設定値を定めることになる。
【0049】
ここで、変形例においても、2巡目の複数の画像パターンGP2に対して検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が上述した閾値Aを超えるものであった場合には、その閾値Aを超えるすべての画像濃度に対応する作像条件に基づいて作像条件の設定値を定めている。
そして、複数の画像濃度のすべてが閾値Aを下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の検知用シートPxを、両面搬送部30を2回(又は、1回)搬送することで、転写位置(2次転写ニップ)に搬送する。そして、作像条件の可変範囲をさらに変更した3回目以降の「パターン形成モード」の実行によって、それまでに形成したすべての複数の画像パターンGP1、GP2に重ならないように3巡目以降の複数の画像パターンGP3、GP4を形成する。そして、検知用シートPxに形成された3巡目以降の複数の画像パターンGP3、GP4のそれぞれの画像濃度を濃度検知センサ60で検知した後に、作像条件の設定値を定める。
具体的な手順は、「パターン形成モード」にて作像条件を可変すること以外は、先に説明したものとほぼ同様である。
そして、変形例においては、良好な画像濃度の印刷画像を形成するための作像条件の設定値を、手間なく簡単に定めることができる。
なお、先に説明した2次転写電流の設定値を決定する第1の画像濃度調整モードを実行した後に、決定された2次転写電流を固定した状態で、この変形例における第2の画像濃度調整モードを実行して、作像条件を決定することもできる。そのような場合には、さらに良好な画像濃度の印刷画像を形成することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置1は、中間転写ベルト78(像担持体)に接触又は対向する転写位置で、中間転写ベルト78の表面に形成された画像をシートPに転写するための2次転写ローラ89(転写部材)が設けられている。また、2次転写ローラ89に印加する2次転写電流(転写電流)を出力する電源部95と、電源部95から出力される2転写電流を可変する制御部90と、転写位置でシートPに転写された画像をシートPに定着する定着装置20と、定着装置20を通過したシートPを再び転写位置に向けて搬送する両面搬送部30と、が設けられている。さらに、定着装置20で定着されたシートP上の画像の濃度を検知する濃度検知センサ60(濃度検知手段)が設けられている。
そして、中間転写ベルト78(像担持体)の表面に副走査方向にそれぞれ形成した複数の画像における、それぞれの画像に対して2次転写ローラ89に印加する2次転写電流を制御部90によって可変しながら転写位置で検知用シートPxに複数の画像パターンGP1を形成するパターン形成モードを実行している。そして、検知用シートPxに形成された複数の画像パターンGP1のそれぞれの画像濃度を濃度検知センサ60で検知して、その検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が予め定められた閾値Aを超えるものであった場合には、閾値Aを超えるすべての画像濃度に対応する2次転写電流のうち最小の2次転写電流を設定値として定めて、複数の画像濃度のすべてが閾値Aを下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の検知用シートPxを、両面搬送部30を2回(又は、1回)搬送することで、転写位置に搬送して、その複数の画像パターンGP1が形成されたシート面(又は、そのウラ面)に2次転写電流の可変範囲を変更した2回目のパターン形成モードの実行によって、複数の画像パターンGP1に重ならないように2巡目の複数の画像パターンGP2を形成して、検知用シートPxに形成された2巡目の複数の画像パターンGP2のそれぞれの画像濃度を濃度検知センサ60で検知した後に、2次転写電流の設定値を定めている。
これにより、良好な画像濃度の印刷画像を形成するための転写電流(又は、作像条件)の設定値を、手間なく簡単に定めることができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、カラーの画像形成装置1に対して本発明を適用したが、モノクロの画像形成装置に対しても当然に本発明を適用することができる。その場合、転写部材は、現像装置によって形成された感光体の表面の画像を、直接的に、転写位置でシートPに転写するためのものとなる。
また、本実施の形態では、転写部材(2次転写部材)として2次転写ローラ89を用いたが、転写部材として、像担持体に対して隙間をあけて対向する転写チャージャを用いることもできる。
また、本実施の形態では、転写部材(2次転写部材)として2次転写ローラ89に2次転写電流を印加して2次転写工程をおこなうように構成したが、2次転写バックアップローラ82のみに2次転写電流(トナー極性と同極性の電流である。)を印加して2次転写工程をおこなうように構成することもできるし、2次転写ローラ89と2次転写バックアップローラ82とにそれぞれ異なる極性の2次転写電流を印加して2次転写工程をおこなうように構成することもできる。その場合、いずれの極性の2次転写電流においても、その大小は「絶対値の大小」となる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0052】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
3 露光装置、
5Y、5M、5C、5K 感光体ドラム(感光体)、
30 両面搬送部、
60 濃度検知センサ(濃度検知手段)、
75 帯電装置、
76 現像装置、
78 中間転写ベルト(像担持体、中間転写体)、
89 2次転写ローラ(転写部材、2次転写部材)、
90 制御部、
95 電源部、
K5 両面搬送路(両面搬送部)、
P シート(記録媒体)、
Px 検知用シート。
【0054】
なお、本発明における態様は、例えば、以下の通り付記1~6の組み合わせとすることもできる。
(付記1)
像担持体に接触又は対向する転写位置で、前記像担持体の表面に形成された画像をシートに転写するための転写部材と、
前記転写部材に印加する転写電流を出力する電源部と、
前記電源部から出力される転写電流を可変する制御部と、
前記転写位置でシートに転写された画像を当該シートに定着する定着装置と、
前記定着装置を通過したシートを再び前記転写位置に向けて搬送する両面搬送部と、
前記定着装置で定着されたシート上の画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
を備え、
前記像担持体の表面に副走査方向にそれぞれ形成した複数の画像における、それぞれの画像に対して前記転写部材に印加する転写電流を前記制御部によって可変しながら前記転写位置で検知用シートに複数の画像パターンを形成するパターン形成モードを実行して、
前記検知用シートに形成された前記複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知して、
その検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が予め定められた閾値を超えるものであった場合には、前記閾値を超えるすべての画像濃度に対応する転写電流のうち最小の転写電流を設定値として定めて、
前記複数の画像濃度のすべてが前記閾値を下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の前記検知用シートを、前記両面搬送部を2回又は1回搬送することで、前記転写位置に搬送して、前記複数の画像パターンが形成されたシート面、又は、そのウラ面、に転写電流の可変範囲を変更した2回目のパターン形成モードの実行によって、前記複数の画像パターンに重ならないように2巡目の複数の画像パターンを形成して、前記検知用シートに形成された前記2巡目の複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知した後に、転写電流の設定値を定めることを特徴とする画像形成装置。
(付記2)
前記2巡目の複数の画像パターンに対して検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が前記閾値を超えるものであった場合には、前記閾値を超えるすべての画像濃度に対応する転写電流に基づいて転写電流の設定値を定めて、
前記複数の画像濃度のすべてが前記閾値を下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の前記検知用シートを、前記両面搬送部を2回又は1回搬送することで、前記転写位置に搬送して、転写電流の可変範囲をさらに変更した3回目以降のパターン形成モードの実行によって、それまでに形成したすべての前記複数の画像パターンに重ならないように3巡目以降の複数の画像パターンを形成して、前記検知用シートに形成された前記3巡目以降の複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知した後に、転写電流の設定値を定めることを特徴とする付記1に記載の画像形成装置。
(付記3)
前記転写部材は、前記像担持体としての中間転写体の表面に1次転写された画像をシートに2次転写するための2次転写部材であることを特徴とする付記1又は付記2に記載の画像形成装置。
(付記4)
感光体の表面を帯電する帯電装置と、
前記帯電装置によって帯電された前記感光体の表面に光を照射して潜像を形成する露光装置と、
前記露光装置によって形成された前記感光体の表面の前記潜像を現像して画像を形成する現像装置と、
前記現像装置によって形成された前記感光体の表面の前記画像を、直接的に、又は、中間転写体を介して、転写位置でシートに転写するための転写部材と、
前記現像装置に印加する現像バイアスと、前記帯電装置に印加する帯電バイアスと、前記露光装置から前記感光体に照射される光の露光量と、のうち少なくとも1つを作像条件として可変する制御部と、
前記転写位置でシートに転写された画像を当該シートに定着する定着装置と、
前記定着装置を通過したシートを再び前記転写位置に向けて搬送する両面搬送部と、
前記定着装置で定着されたシート上の画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
を備え、
前記制御部によって作像条件を可変しながら前記感光体の表面に副走査方向の画像濃度がそれぞれ異なるように形成した複数の画像パターンを、前記転写位置で検知用シートに転写するパターン形成モードを実行して、
前記検知用シートに転写された前記複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知して、
その検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が予め定められた閾値を超えるものであった場合には、前記閾値を超えるすべての画像濃度に対応する作像条件の中から作像条件の設定値を定めて、
前記複数の画像濃度のすべてが前記閾値を下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の前記検知用シートを、前記両面搬送部を2回又は1回搬送することで、前記転写位置に搬送して、前記複数の画像パターンが形成されたシート面、又は、そのウラ面、に作像条件の可変範囲を変更した2回目のパターン形成モードの実行によって、前記複数の画像パターンに重ならないように2巡目の複数の画像パターンを形成して、前記検知用シートに転写された前記2巡目の複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知した後に、作像条件の設定値を定めることを特徴とする画像形成装置。
(付記5)
前記2巡目の複数の画像パターンに対して検知された複数の画像濃度のうち少なくとも1つの画像濃度が前記閾値を超えるものであった場合には、前記閾値を超えるすべての画像濃度に対応する作像条件に基づいて作像条件の設定値を定めて、
前記複数の画像濃度のすべてが前記閾値を下回るものであった場合には、画像濃度を検知した後の前記検知用シートを、前記両面搬送部を2回又は1回搬送することで、前記転写位置に搬送して、作像条件の可変範囲をさらに変更した3回目以降のパターン形成モードの実行によって、それまでに形成したすべての前記複数の画像パターンに重ならないように3巡目以降の複数の画像パターンを形成して、前記検知用シートに形成された前記3巡目以降の複数の画像パターンのそれぞれの画像濃度を前記濃度検知手段で検知した後に、作像条件の設定値を定めることを特徴とする付記4に記載の画像形成装置。
(付記6)
前記複数の画像パターンは、それぞれ、主走査方向に画像濃度が段階的に変化するように形成された階調パターンであることを特徴とする付記1~付記5のいずれかに記載の画像形成装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開2018-97039号公報
【特許文献2】特開平11-149191号公報
図1
図2
図3
図4