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特開2024-134700絶縁膜の形成方法及び基板処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134700
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】絶縁膜の形成方法及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20240927BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20240927BHJP
   C23C 16/38 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 C
H01L21/318 B
C23C16/42
C23C16/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045031
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大場 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】松木 信雄
(72)【発明者】
【氏名】森貞 佳紀
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA07
4K030AA09
4K030BA26
4K030BA29
4K030BA35
4K030BA37
4K030BA39
4K030BA40
4K030BA41
4K030BA44
4K030BA61
4K030DA08
4K030EA06
4K030FA03
4K030JA09
4K030LA15
5F045AA08
5F045AB31
5F045AC00
5F045AC01
5F045AC07
5F045AC08
5F045AC09
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AD03
5F045AD04
5F045AD05
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AE19
5F045AE21
5F045BB19
5F045DP03
5F045DQ10
5F045EF05
5F045EH05
5F045EH11
5F045EH12
5F045EH18
5F045EJ03
5F045EK07
5F058BA09
5F058BC02
5F058BC03
5F058BC04
5F058BC08
5F058BC09
5F058BC10
5F058BD03
5F058BD09
5F058BF07
5F058BF08
5F058BF21
5F058BF23
5F058BF25
5F058BF26
5F058BF27
5F058BH05
5F058BH16
(57)【要約】
【課題】流動性膜を用いて所望な形状へ絶縁膜の埋め込みを可能にする。
【解決手段】凹部を有する基板に絶縁膜を形成する方法であって、(O)処理装置のチャンバ内に前記基板を準備する工程と、(A)前記チャンバ内に原料ガスと希釈ガスとを含む処理ガスを供給し、プラズマ重合により流動性オリゴマーを生成して前記基板に成膜する工程と、(B)前記チャンバ内が前記流動性オリゴマーの蒸気圧以下となるように制御し、成膜した前記流動性オリゴマーを部分的に気化して除去する工程と、(C)前記基板に対してエネルギーを供給し、前記流動性オリゴマーを硬化して前記凹部に絶縁膜を形成する工程と、を有する、絶縁膜の形成方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有する基板に絶縁膜を形成する方法であって、
(O)処理装置のチャンバ内に前記基板を準備する工程と、
(A)前記チャンバ内に原料ガスと希釈ガスとを含む処理ガスを供給し、プラズマ重合により流動性オリゴマーを生成して前記基板に成膜する工程と、
(B)前記チャンバ内が前記流動性オリゴマーの蒸気圧以下となるように制御し、成膜した前記流動性オリゴマーを部分的に気化して除去する工程と、
(C)前記基板に対してエネルギーを供給し、前記流動性オリゴマーを硬化して前記凹部に絶縁膜を形成する工程と、
を有する、絶縁膜の形成方法。
【請求項2】
前記(B)の工程は、前記処理ガスを停止しながら、前記チャンバ内の圧力を前記(A)の工程で制御した第1の圧力よりも低い第2の圧力に制御し、成膜した前記流動性オリゴマーを気化する、
請求項1に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項3】
前記(B)の工程は、前記処理ガスを停止しながら、基板温度を前記(A)の工程で制御した第1の基板温度よりも高い第2の基板温度に制御し、成膜した前記流動性オリゴマーを気化する、
請求項1に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項4】
前記(B)の工程は、希釈ガスの供給と停止とを交互に1回以上繰り返すように制御し、成膜した前記流動性オリゴマーを気化する、
請求項1に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項5】
前記(B)の工程は、前記(A)の工程で供給した希釈ガスの流量と圧力とを維持しながら前記原料ガスを停止し、成膜した前記流動性オリゴマーを気化する、
請求項1に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項6】
(D)前記(A)の工程の後であって前記(B)の工程の前に、高蒸気圧ガスを供給し、成膜した前記流動性オリゴマーの流動を促進する工程をさらに備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項7】
前記(D)の工程は、前記(B)の工程よりも前記原料ガスの分圧を上げるように制御する、
請求項6に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項8】
前記(D)の工程は、前記チャンバ内の圧力を前記(A)の工程で制御した第1の圧力より高い第3の圧力に制御する、
請求項7に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項9】
前記(D)の工程において供給する前記高蒸気圧ガスは、蒸気圧が前記原料ガスの蒸気圧以下の材料である、
請求項6に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項10】
前記高蒸気圧ガスは、エタノール、IPA、アセトン、又は原料ガスの少なくともいずれかである、
請求項6に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項11】
前記(A)の工程及び前記(B)の工程は、同じ処理装置で実施し、
前記(B)の工程及び前記(C)の工程は、別の処理装置で実施する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項12】
前記(A)の工程、前記(B)の工程及び前記(C)の工程は、それぞれ別の処理装置で実施する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項13】
前記(A)の工程及び前記(B)の工程は、別の処理装置で実施し、
前記(B)の工程及び前記(C)の工程は、同じ処理装置で実施する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項14】
前記(A)の工程、前記(B)の工程、前記(C)の工程を、この順で繰り返す、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項15】
前記(A)の工程において制御した第1の基板温度を50℃未満に制御し、前記(B)の工程において制御した第2の基板温度を50℃以上に制御する、
請求項3に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項16】
前記(A)の工程は、前記基板を載置台に載置して実施し、前記(B)の工程は、前記基板を載置台から離間して実施する、
請求項3に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項17】
前記(A)の工程において、前記処理ガスに非酸化性の水素含有ガスを添加してプラズマ処理を実施することによりプラズマ重合によって前記流動性オリゴマーを生成する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項18】
前記(C)の工程において、前記基板に対して供給するエネルギーは、熱エネルギー、プラズマエネルギー又はUVエネルギーの少なくともいずれかである、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項19】
前記(C)の工程において、基板の温度は100℃を超える温度に制御する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項20】
前記(C)の工程において、水素を含むガスを含有するプラズマを生成し、前記絶縁膜を形成する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項21】
前記(C)の工程において、炭素及び水素を含むガスを含有するプラズマを生成し、前記絶縁膜を形成する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項22】
前記原料ガスは、シリコン含有ガス又はボロン含有ガスである、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項23】
前記シリコン含有ガスは、Si-O結合を含むガスである、
請求項22に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項24】
前記Si-O結合を含むガスは、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリメトキシ・ジシロキサンから選択された少なくとも1種を含む、
請求項23に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項25】
前記シリコン含有ガスは、Si-N結合を含むガスである、
請求項22に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項26】
前記Si-N結合を含むガスは、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン、ビス(tert-ブチルアミノ)メチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)シラン、トリジメチルアミノシラン、メチルトリジメチルアミノシラン、ヘキサメチルシクロトリシラザンから選択された少なくとも1種を含む、
請求項25に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項27】
前記ボロン含有ガスは、ジボラン、ボラジン、トリエチルボラン、トリエチルアミンボラン、トリ(ジメチルアミノ)ボラン、トリ(エチルメチルアミノ)ボラン、トリメチルボラジンから選択された少なくとも1種である、
請求項22に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項28】
前記流動性オリゴマーは、基本構造としてSiOH、SiNH、SiCOH、SiCNH、SiCH、BNH、BCNH、SiBCNH、SiBNHのいずれかを含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項29】
前記絶縁膜は、SiO、SiN、SiOC、SiCN、SiC、BN、BCN、SiBCN、又はSiBNのいずれかを含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項30】
前記絶縁膜は、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)又はジルコニウム(Zr)のいずれかの元素を含むHigh-k膜又は金属含有膜を含む、
請求項29に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項31】
前記希釈ガスは、不活性ガス、Hガス、ハロゲンガス、ハイドロカーボンガスから選択された少なくとも1種である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
【請求項32】
凹部を有する基板に処理を行う複数の処理装置と、複数の処理装置の間で基板を搬送する搬送機構と、以下のプロセスを実行するように構成された制御装置と、を有し、
前記プロセスは、
(O)前記搬送機構により前記複数の処理装置のいずれかに前記基板を搬送する工程と、
(A)前記チャンバ内に原料ガスと希釈ガスとを含む処理ガスを供給し、プラズマ重合により流動性オリゴマーを生成して前記基板に成膜する工程と、
(B)前記チャンバ内が前記流動性オリゴマーの蒸気圧以下となるように制御し、成膜した前記流動性オリゴマーを部分的に気化して除去する工程と、
(C)前記基板に対してエネルギーを供給し、前記流動性オリゴマーを硬化して前記凹部に絶縁膜を形成する工程と、を含む、
基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、絶縁膜の形成方法及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、基板上の微細な立体構造へ絶縁膜を埋め込む工程が存在する。このような絶縁膜の埋め込みには、スピンコートにより流動性液体を塗布する手法がある。
【0003】
また、より良好な膜質を得ることができる技術として流動性CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて直接基板上へ流動性オリゴマーを付着及び流動させて絶縁膜を埋め込む手法がある。
【0004】
例えば、特許文献1は、成膜ガスとして酸素含有有機シリコン化合物ガスと非酸化性の水素含有ガスと、を少なくとも非酸化性の水素含有ガスをプラズマ化した状態で反応させて、流動性のシラノールコンパウンドを基板上へ成膜し、その後、基板をアニールしてシラノールコンパウンドを絶縁膜とする絶縁膜の形成方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2021/010004号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、流動性膜を用いて所望な形状へ絶縁膜の埋め込みを可能にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様によれば、凹部を有する基板に絶縁膜を形成する方法であって、(O)処理装置のチャンバ内に前記基板を準備する工程と、(A)前記チャンバ内に原料ガスと希釈ガスとを含む処理ガスを供給し、プラズマ重合により流動性オリゴマーを生成して前記基板に成膜する工程と、(B)前記チャンバ内が前記流動性オリゴマーの蒸気圧以下となるように制御し、成膜した前記流動性オリゴマーを部分的に気化して除去する工程と、(C)前記基板に対してエネルギーを供給し、前記流動性オリゴマーを硬化して前記凹部に絶縁膜を形成する工程と、を有する、絶縁膜の形成方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
一の側面によれば、流動性膜を用いて所望な形状へ絶縁膜の埋め込みを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る絶縁膜の形成方法の一例を示すフローチャート。
図2】第1実施形態に係る絶縁膜の形成工程を説明するための模式図。
図3】第1実施形態に係る絶縁膜の形成工程を説明するための模式図。
図4】第1実施形態に係る絶縁膜の形成方法の典型的な具体例を説明するための図。
図5】形成した絶縁膜についての実験結果の一例を示す図。
図6】第2実施形態に係る絶縁膜の形成方法の一例を示すフローチャート。
図7】第2実施形態に係る絶縁膜の形成工程を説明するための模式図。
図8】実施例1に係る絶縁膜の形成方法の各工程とタイムチャートを示す図。
図9】実施例2に係る絶縁膜の形成方法の各工程とタイムチャートを示す図。
図10】実施例3に係る絶縁膜の形成方法の各工程とタイムチャートを示す図。
図11】実施例4に係る絶縁膜の形成方法の各工程とタイムチャートを示す図。
図12】実施例5に係る絶縁膜の形成方法の各工程とタイムチャートを示す図。
図13】実施例6に係る絶縁膜の形成方法の各工程とタイムチャートを示す図。
図14】実施例7に係る絶縁膜の形成方法の各工程とタイムチャートを示す図。
図15】形成した絶縁膜についての実験結果の一例を示す図。
図16】絶縁膜の形成方法を実施する基板処理システムの一例を示す概略構成図。
図17図16の基板処理システムにおいて、流動性オリゴマーの生成及び気化を行う処理装置の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
[絶縁膜の形成方法]
流動性CVDを用いて直接基板上へ流動性膜を付着及び流動させて絶縁膜を基板上の凹部に埋め込む方法がある。このとき、凹部の内部だけでなく上部や側壁部にも流動性膜が成膜されるため、所望な形状への絶縁膜の埋め込みが得られない場合がある。所望な形状への絶縁膜の埋め込みが得られないことに起因して、例えば流動性膜の深部に対してアニールによる膜質改善が不十分となる場合、または不要な部分に形成された流動性膜を除去するための後工程が必要になる場合がある。
【0012】
そこで、以下に説明する実施形態に係る絶縁膜の形成方法では、プラズマCVDで重合した流動性膜を付着及び流動させて凹部への成膜を行う成膜工程の後に、凹部の上部や側壁部に成膜された流動性膜を気化させて除去する気化工程を実施する。これにより、流動性膜を用いた所望な形状への絶縁膜の埋め込みが可能になる。以下、第1実施形態に係る絶縁膜の形成方法、第2実施形態に係る絶縁膜の形成方法の順に説明する。
【0013】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る絶縁膜の形成方法について、図1図3を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る絶縁膜の形成方法の一例を示すフローチャートである。図2及び図3は、第1実施形態に係る絶縁膜の形成工程を説明するための模式図である。
【0014】
第1実施形態の絶縁膜の形成方法は、ステップS1において後述する処理装置のチャンバ内に基板を搬入して載置台に載置し、基板を準備する。次に、ステップS3においてチャンバ内に原料ガスを含む処理ガスを供給し、プラズマ重合により流動性オリゴマーを生成して基板に成膜する。原料ガスとしてプリカーサガスと非酸化性の水素含有ガスとを、少なくとも非酸化性の水素含有ガスをプラズマ化した状態で反応させて、流動性オリゴマーを生成して基板に成膜する。
【0015】
次に、ステップS5においてチャンバ内が流動性オリゴマーの蒸気圧以下となるように制御し、成膜した流動性オリゴマーを部分的に気化して除去する。次に、ステップS7において基板に対して熱、プラズマ等のエネルギーを供給し、流動性オリゴマーを硬化して基板上の凹部に絶縁膜を形成する。ステップS9において絶縁膜が所定の膜厚になったかを判定し、所定の膜厚になるまでステップS3~S7の工程を繰り返し、絶縁膜が所定の膜厚になったとき本処理を終了する。ステップS3~S7の各工程について以下に詳述する。
【0016】
(ステップS1:基板の準備工程)
準備される基板は特に限定されないが、シリコン等の半導体基板(半導体ウエハ)が例示される。基板としては、表面に微細な立体構造を有するものを用い得る。微細な立体構造は、トレンチやホールのような凹部を含んでいる。
【0017】
(ステップS3:流動性膜の成膜工程)
流動性膜の成膜に使用する処理ガスには、プリカーサガスを構成する原料ガスが含まれる。原料ガスは、シリコン(Si)含有ガス又はボロン(B)含有ガスを用いることができる。シリコン含有ガスは、Si-O結合を含むガス又はSi-N結合を含むガスであってよい。
【0018】
Si-O結合を含むガスとしては、アルコキシシラン系化合物(アルコキシシラン系モノマー)を挙げることができる。アルコキシシラン系化合物としては、(R1)Si(-O-R2)4-a(ただし、R1は、-CH、-C、-C、-C、および-CHのいずれか、R2は、-CHまたは-C、aは0、1、2、または3である)で表されるものを用いることができる。Si-O結合を含むガスは、具体的には、テトラメトキシシラン(TMOS;Si(OCH)、メチルトリメトキシシラン(MTMOS;Si(OCHCH)、テトラエトキシシラン(TEOS;Si(OC)、メチルトリエトキシシラン(MTEOS;Si(OC)3CH)、ジメチルジメトキシシランDMDMOS;Si(OCH(CH)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリメトキシシラン(SiH(OCH)、トリメトキシ・ジシロキサン(Si(OCHOSi(OCH)等を挙げることができる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、2以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
Si-N結合を含むガスとしては、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン(BTBAS)、ビス(tert-ブチルアミノ)メチルシラン(BTBAS-MS)、ビス(エチルメチルアミノ)シラン(BEMAS)、トリジメチルアミノシラン(3DMAS)、メチルトリジメチルアミノシラン(3DMAMS)、ヘキサメチルシクロトリシラザン(HMCT Silazane)等を挙げることができる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、2以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
ボロン(B)含有ガスとしては、ジボラン(B)、ボラジン(Borazine)、トリエチルボラン(TEB)、トリエチルアミンボラン(BTEA)、トリ(ジメチルアミノ)ボラン(TDMAB)、トリ(エチルメチルアミノ)ボラン(TEMAB)、トリメチルボラジン(TMB)等を挙げることができる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、2以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
ステップS3では、以上のような原料ガスを用いてプラズマ重合により流動性オリゴマーを生成して流動性CVDを行う。プラズマ重合は、上述の原料ガスに非酸化性の水素含有ガスを加えてプラズマを生成することにより行うことができる。非酸化性の水素含有ガスとしては、Hガス、NHガス、SiHガスを挙げることができ、これら単独であっても、2以上の組み合わせであってもよい。
【0022】
処理ガスには、希釈ガスが含まれてもよい。希釈ガスとしては、He、Ne、Ar、Kr等不活性ガス、Hガス、ハロゲンガス、ハイドロカーボンガスから選択された少なくとも1種である。
【0023】
プラズマ重合する際のプラズマとしては、He、Ne、Ar、Kr、Nのような不活性ガスを含むプラズマ、または、不活性ガスと水素を含むプラズマ、例えばAr/Hプラズマを用いることができる。また、プラズマ生成手法は特に限定されず、容量結合プラズマ(CCP)、誘導結合プラズマ(ICP)、マイクロ波プラズマ(MWP)等種々の手法を用いることができる。これらの中ではCCPが好ましい。また、プラズマ重合の際には、原料ガスはプラズマ化してもしなくてもよい。原料ガスをプラズマ化しない場合は、チャンバ内に原料ガスを導入するとともに、水素含有ガスを含むプラズマをチャンバ内に導入するリモートプラズマを用いることができる。
【0024】
上述した原料ガスと非酸化性の水素含有ガスとの反応により、原料ガスのアルキル基やアルコキシ基の一部が離脱するとともに、重合して流動性を有するオリゴマーが生成され、この流動性オリゴマーが基板に成膜される。このときの成膜は、図2に示すように行われる。すなわち、図2(a)に示す表面に微細な凹部201が形成された基板200が準備され、図2(b)に示すように、プラズマ重合により生成された流動性オリゴマー202が表面張力により凹部201に流入する。
【0025】
オリゴマーとは、比較的少数(十数分子まで)のモノマーが結合した重合体(多量体)をいう。本実施形態において、流動性オリゴマーとしては、基本構造としてSiOH、SiNH、SiCOH、SiCNH、SiCH、BNH、BCNH、SiBCNH、SiBNHのいずれかを含むものが例示される。
【0026】
流動性オリゴマーとしてはアルキル基終端または水素終端を有するものを用い、かつ基板温度を100℃以下にすることにより、十分な流動性を確保して埋め込み性を良好にすることができる。より良好な流動性を得る観点から、基板温度は20℃~30℃以下がより好ましい。ただし、基板温度が-50℃程度に低くなっても流動性オリゴマーの流動性を確保することができる。
【0027】
(ステップS5:気化工程)
気化工程では、チャンバ内が流動性オリゴマーの蒸気圧以下となるように制御し、成膜した流動性オリゴマーを部分的に気化して除去する。一例としては、処理ガスを停止しながら、チャンバ内の圧力を流動性オリゴマー(流動性膜)の成膜工程で制御した圧力(第1の圧力とする。)よりも低い圧力(第2の圧力とする。)に制御する。例えば、第2の圧力は、チャンバ内が流動性オリゴマーの蒸気圧以下なるように制御する。かかる圧力制御により、図2(c)に示すように、成膜した流動性オリゴマー202が部分的に気化する。例えば凹部201の上部及び側壁部に成膜された流動性オリゴマー202が気化する。このとき、流動性オリゴマー202は毛管現象により凹部201の底部に流れ込み、留まる。これにより、凹部201の上部及び側壁部から流動性オリゴマー202を除去し、所望な形状への成膜(埋込)を得ることができる。
【0028】
(ステップS7:絶縁膜の形成工程)
絶縁膜の形成工程では、例えば、基板に対してアニール処理を施し、凹部内の流動性オリゴマーを硬化させて緻密で安定な絶縁膜を形成してもよい。この際の温度は、膜を効率よく確実に固化させるために、100℃を超える高温で行うことが好ましく、150℃以上で行うことがより好ましい。
【0029】
アニール処理は、下地への酸化の影響を排除する観点から非酸化雰囲気で行うことが好ましく、Nガスや希釈ガス(例えばArガスやHeガス)等の不活性ガス雰囲気で行うことができる。アニール処理は、縮合固化を効率的に行うために、プラズマ処理を含んでもよい。アニール処理はすべてがプラズマ処理であっても、熱アニールと、プラズマアニールとを併用してもよい。プラズマ処理は、不活性ガスのみを用いてもよいが、Hガスのような水素を含むガスを含有するプラズマを生成し、絶縁膜を形成することが好ましい。
【0030】
また、アニール処理の際のプラズマ処理は、VHF帯(30~300MHz)~マイクロ波(MW)帯(300MHz~3THz)の周波数を用いて行うことが好ましい。より好ましくは60MHz以上である。30MHz未満の周波数で行われる一般的なICPやCCPの場合、30eVを超える高エネルギーイオンによるダメージにより膜損傷を引き起こしやすいが、VHF帯~MW帯、特に60MHz以上の周波数を用いることにより、膜損傷を抑えることができる。すなわち、VHF帯~MW帯、特に60MHz以上では、30eV以下の低エネルギーのイオンおよびラジカルを照射可能であり、膜に照射されるエネルギーが低く、膜損傷を抑えることが可能となる。また、素子酸化を抑制することもできる。60MHz以上の周波数の中でさらに好ましくは、VHF帯の範囲内である60MHz以上300MHz以下である。
【0031】
ステップS7の絶縁膜を形成する工程において、基板に対して供給するエネルギーは、熱エネルギー、プラズマエネルギー又はUVエネルギーの少なくともいずれかであってもよい。これにより、図2(d)に示すように、凹部201の上部及び側壁部から流動性オリゴマーを除去し、所望な形状の流動性オリゴマー202を硬化させて絶縁膜203の形成することができる。
【0032】
ステップS7のアニール処理により形成される絶縁膜は、原料ガスとしてシリコン含有ガスまたはボロン含有ガスを用いる場合には、シリコン含有膜またはボロン含有膜となる。流動性オリゴマーが基本構造として上述したSiOH、SiNH、SiCOH、SiCNH、SiCH、BNH、BCNH、SiBCNH、SiBNHのいずれかを含む場合には、絶縁膜は、これらが縮合固化して形成された、SiO、SiN、SiCO、SiCN、SiC、BN、BCN、SiBCN、SiBNのいずれかを含むこととなる。
【0033】
形成される絶縁膜が炭素を含む膜、例えば上記のSiCO、SiCN、SiC、SiBCNの場合には、ステップS7のアニール処理において、プラズマアニールにより脱離する炭素を補い、膜中の炭素濃度低下を防止する目的が考えられる。この目的のために、プラズマアニール中に供給されるガスとして、炭素含有ガスを用いてプラズマを生成し、炭素を含む絶縁膜を形成してもよい。炭素含有ガスとしては、CmHn(mは1以上の整数、nは2以上の整数)のような炭素と水素を含むガスを用いることができる。炭素と水素を含むガスを含有するプラズマは、このような効果を有する炭素と上述した水素とを含んでいるため、炭素を含む絶縁膜の形成にはより好適である。
【0034】
(ステップS9:絶縁膜の膜厚判定工程)
次に、ステップS9において、形成した絶縁膜が所望の膜厚になっているかを判定する。絶縁膜が所望の膜厚になっていないと判定した場合、ステップS3に戻り、ステップS3~S7の工程を繰り返す。絶縁膜が所望の膜厚になっていると判定した場合、本処理を終了する。なお、ステップS9の繰り返しの回数は1回又は2回以上でもよく、予め定められてもよい。
【0035】
図3は、内部にスリットがあるより複雑な構造に対して流動性CVDを用いて絶縁膜を埋め込む例を示す。図3(A)に示す構造体210では、奥行き方向に貫通する横方向開口部211が縦方向に複数形成されている。図3(a)~(e)の上段は、構造体210を縦方向(Y方向)に切断した時の断面を示し、下段は、構造体210を横方向(X方向)に切断した時の断面を示す。
【0036】
図3(a)は、ステップS3の流動性膜の成膜工程を実施したときの横方向開口部211、上部及び側壁部の流動性オリゴマー212の成膜状態を示す。図3(b)は、ステップS5の気化工程を実施したときの流動性オリゴマー212の気化及び流動状態を示す。ステップS5の気化工程では、チャンバ内を減圧及び/又は基板温度を上昇させて、流動性オリゴマー212を気化させ、部分的に除去する。これにより、膜厚の薄い上部及び側壁部の流動性オリゴマー212が部分的に除去される。膜厚の厚い横方向開口部211の流動性オリゴマー212も開口付近は気化して除去されるが、毛管現象により液体の流動性オリゴマー212は横方向開口部211の内部に入り込む。この結果、構造体210の横方向開口部211以外の流動性膜が除去され、横方向開口部211へ選択的に流動性オリゴマー212を埋め込むことができ、所望の構造の流動性オリゴマー212が得られる。
【0037】
図3(c)は、ステップS7の絶縁膜の形成工程までを1サイクル(1回)実施したときの横方向開口部211の絶縁膜の埋込状態を示す。横方向開口部211の流動性オリゴマー212を充分に改質し、硬化させて絶縁膜213を形成することができている。
【0038】
図3(d)は、ステップS9の絶縁膜の膜厚判定工程を実施し、所望の膜厚に至っていない場合にステップS3~S5の2サイクル目(2回目)を実施した状態、図3(e)は、ステップS7の2サイクル目(2回目)を実施した状態である。
【0039】
ステップS3、S5、S7をこの順で複数サイクル実行することにより、横方向開口部211へ選択的に絶縁膜213を埋め込むことができる。また、ステップS3、S5において流動性オリゴマー212の膜厚を制御することにより、ステップS7において十分な膜質改善を図ることができる。
【0040】
次に、本実施形態の典型的な具体例について、図4を参照して説明する。ここでは、まず、図4(a-1)に示す原料ガスとしてジメチルジメトキシシラン(DMDMOS)を用い、非酸化性の水素含有ガスとしてシランガス(SiHガス)を用いて、シランガスをプラズマ化し、100℃以下でステップS3のプラズマ重合を行う。これにより、流動性オリゴマー212が生成され、成膜される。これにより、例えば、図4(a-2)に示す構造体210に対して図4(b-1)の流動性オリゴマー212が図4(b-2)に示すように成膜された状態となる。
【0041】
次に、ステップS5の気化処理を行う。ステップS5の気化処理では、チャンバ内を流動性オリゴマー212の蒸気圧以下に減圧し、図4(c-1)に示すように液体の流動性オリゴマー212の一部を気化させる。これにより、図4(c-2)に示すように、構造体210の上部、側壁部、底部及び横方向開口部211の開口付近の流動性オリゴマー212が部分的に気化して除去され、横方向開口部211の内部の流動性オリゴマー212が残る。
【0042】
次に、ステップS7のアニール処理を行う。ステップS7のアニール処理は、100℃超え、好ましくは150℃以上で、VHF帯~MW帯の高周波等のエネルギーを用いて不活性ガスのプラズマまたは水素を含むガスのプラズマによるプラズマ処理を含む処理である。これにより、図4(d-1)に示す安定な絶縁膜であるネットワーク構造のSiOC膜を形成する。この結果、流動性オリゴマー212が改質されてネットワークを形成し、図4(d-2)に示す固体膜のSiOC膜の絶縁膜213が形成される。
【0043】
[実験結果]
第1実施形態に係る絶縁膜の形成方法により形成したSiOC膜の絶縁膜213をFTIRで分析した結果の一例について図5を参照しながら説明する。第1実施形態に係る絶縁膜の形成方法の各工程のプロセス条件を以下に示す。
【0044】
(流動性膜の成膜(ステップS3)のプロセス条件)
基板温度 25℃
圧力 3Torr(400Pa)
ガス種 DMDMOS、SiH、Ar、H
RF 50W(周波数13.56MHz)
(気化(ステップS5)のプロセス条件)
基板温度 25℃
圧力 1mTorr~0.4Torr(0.133Pa~53.3Pa)
ガス種 Ar
パージ回数 1回、10回又は50回
(SiOC膜の形成(ステップS7)のプロセス条件)
基板温度 500℃
圧力 4Torr(533Pa)
ガス種 Ar
なお、気化工程においてチャンバ内を1mTorr~0.4Torrの減圧状態にするために真空引きする。また、希釈ガス(例えばAr)の供給と停止とを交互に1回以上繰り返し、排気機構により希釈ガスを排気する。これにより、真空引きと希釈ガスのパージを交互に繰り返すサイクルパージを行う。この希釈ガスの供給と停止とを繰り返す回数がパージ回数である。
【0045】
図5(a)~(c)の各グラフの横軸は波数(cm-1)であり、縦軸は吸光率である。図5(a)~(c)の各グラフにおいて、気化工程により流動性オリゴマーの一部が気化し、C-H結合、Si-H結合、Si-O結合、Si-C結合のいずれも、パージ回数を増やすと吸光率が低下した。特に、図5(c)に示すSi-O結合、Si-C結合は、サイクルパージの回数を増やすと顕著に吸光率が低下した。この実験結果からサイクルパージの回数を増やすと流動性膜の気化効率が高まることがわかった。
【0046】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る絶縁膜の形成方法について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態に係る絶縁膜の形成方法の一例を示すフローチャートである。図7は、第2実施形態に係る絶縁膜の形成工程を説明するための模式図である。
【0047】
図6のフローチャートでは、第1実施形態に係る絶縁膜の形成方法を示す図1のステップ番号と同一の処理ステップには、同一のステップ番号を付している。第2実施形態に係る絶縁膜の形成方法では、第1実施形態に係る絶縁膜の形成方法の各ステップに加えて、ステップS4が追加されている。よって、第2実施形態では、第1実施形態と異なるステップS4を中心に説明する。
【0048】
第2実施形態の絶縁膜の形成方法は、ステップS1におい、チャンバ内に基板を準備し、ステップS3においてチャンバ内に原料ガスを含む処理ガスを供給し、プラズマ重合により流動性オリゴマーを生成して基板に成膜する。
【0049】
次に、ステップS4において高揮発性材料を供給して基板上に蒸着させ、成膜された流動性オリゴマーの流動を促進する。次に、ステップS5において流動性オリゴマーを部分的に気化して除去する。次に、ステップS7において基板に対してエネルギーを供給し、流動性オリゴマーを硬化して凹部に絶縁膜を形成する。ステップS9において絶縁膜が所定の膜厚になっているかを判定し、所定の膜厚になるまでステップS3~S7の工程を繰り返し、本処理を終了する。ステップS4の工程について以下に詳述する。
【0050】
(ステップS4:高揮発性材料の蒸着工程)
ステップS3の流動性オリゴマー202の成膜工程(図7(b)参照)と、ステップS5の気化工程(図7(d)参照)との間に高揮発性材料の蒸着工程を実施する。これにより、図7(c-1)に示すように、高揮発性材料204を流動性オリゴマーに溶かし込むように蒸着させる。この結果、図7(c-2)に示すように、流動性オリゴマー202を高揮発性材料204で希釈して流動性を促進し、凹部201の内部に流動性オリゴマー202をより流し込むことができる。
【0051】
高揮発性材料204は流動性オリゴマーよりも低分子の材料であると揮発し易いため好ましい。高揮発性材料204の蒸気圧は、原料ガスの蒸気圧以下であり、かつ成膜された流動性オリゴマーの蒸気圧以上の高蒸気圧ガス(CxOyHz等)であってもよい。高蒸気圧ガスは、エタノール、IPA、アセトン、又は原料ガスの少なくともいずれかであってもよい。これにより、成膜した流動性オリゴマー202に高蒸気圧ガスを溶かし込んで流動性を高めつつ、高蒸気圧ガスを揮発させることができる。これにより、より所望の形状に流動性オリゴマー202を埋め込むことができる。ステップS3、S5、S7のプロセス条件は、上述した通りであり、以下にステップS4のプロセス条件を示す。
【0052】
(高揮発性材料の蒸着(ステップS4)のプロセス条件)
基板温度 ステップS7のアニール温度以下(≦100℃)
圧力 流動性オリゴマーの蒸気圧以上(1mTorr~10Torr(0.133Pa~1333Pa))
高揮発性材料 流動性オリゴマーよりも揮発性が高い高蒸気圧ガス(CxOyHzガス)
【0053】
[実施例1]
以上に説明した第1実施形態及び第2実施形態にかかる絶縁膜の形成方法について、具体的な実施例1~7を図8図14を参照しながら説明する。まず、実施例1の絶縁膜の形成方法について図8を参照しながら説明する。図8は、実施例1の絶縁膜の形成方法に係る各工程とタイムチャートを示す図である。
【0054】
ステップS3の流動性オリゴマーの成膜工程とステップS5の気化工程は、いずれも100℃以下の低温で行うことが好ましく、これらは同じ処理装置内で行うことが好ましい。また、ステップS7のアニール工程は、80℃~100℃を超える温度、さらには150℃以上の高温で行うことが好ましい。このため、ステップS3およびステップS5とは異なる処理装置内で行うことが好ましい。
【0055】
そこで、実施例1では、図8の上段に示すように、流動性オリゴマーの成膜工程(A:ステップS3に相当)と気化工程(B:ステップS5に相当)とは、同一の処理装置(「第1処理装置」という。)で実施する。一方、アニール工程(C:ステップS7に相当)は、第1処理装置と異なる処理装置(「第2処理装置」という。)に基板を搬送して実施する。
【0056】
図8の下段に示すタイムチャートについて説明する。第1処理装置にて流動性オリゴマーの成膜工程(A)を実施後、気化工程(B)を実施する。実施例1の特徴は、気化工程(B)において、処理ガスを停止しながら、排気機構により真空引きし、第1処理装置内の圧力を第1の圧力よりも低い第2の圧力に制御し、成膜した流動性オリゴマーを気化する点である。なお、タイムチャートでは気化工程(B)の後に実施するアニール工程(C)は省略している。
【0057】
流動性オリゴマーの成膜工程(A)のプロセス条件としては、実施例1では、基板温度を0℃に設定し、処理ガス(原料ガスのDMDMOS、SiH、希釈ガスのAr、Nガス)を供給する。また、周波数が例えば、13.56MHzの50WのRF電力を印加し、シラン(SiH)ガス等をプラズマ化する。これにより、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)により流動性オリゴマーを成膜する。第1処理装置内の圧力(第1の圧力)は、例えば4Torr(533Pa)に制御する。
【0058】
気化工程(B)のプロセス条件としては、実施例1では、処理ガス(原料ガス、希釈ガス)を停止しながら、排気機構により真空引きし、第1処理装置内の圧力を第1の圧力よりも低い、例えば流動性オリゴマーの蒸気圧以下である第2の圧力に制御する。気化時間を制御することにより流動性オリゴマーの気化量を制御し、凹部の上部や側壁部等の流動性オリゴマーを部分的に気化させることができる。基板温度は0℃に維持し、RF電力は停止する。
【0059】
気化工程(B)の実施後、第2処理装置に基板を搬送した後、アニール工程(C)を実施する。このときのプロセス条件としては、熱、プラズマ、UV等のエネルギーにより基板温度を、100℃を超える温度に制御し、Nガスや希釈ガス(例えばAr)等の不活性ガス雰囲気で流動性オリゴマーの硬化及び改質を行う。アニール処理の際のプラズマ処理は、VHF帯(30~300MHz)~マイクロ波(MW)帯(300MHz~3THz)の周波数を用いて行うことが好ましい。これにより、基板の凹部へ絶縁膜を形成することができる。
【0060】
[実施例2]
次に、実施例2の絶縁膜の形成方法について図9を参照しながら説明する。実施例2では、図9の上段に示すように、成膜工程(A)と気化工程(B)とは第1処理装置で実施し、アニール工程(C)は第2処理装置で実施する。
【0061】
図9の下段に示すタイムチャートについて説明する。第1処理装置にて流動性オリゴマーの成膜工程(A)を実施後、気化工程(B)を実施する。実施例2の特徴は、成膜工程(A)にて基板を載置台に載置して実施した後、気化工程(B)では基板を載置台から離間して実施する点である。これにより、気化工程(B)では、処理ガスを停止しながら、基板温度を成膜工程(A)で制御した第1の基板温度よりも高い第2の基板温度に制御して、成膜した流動性オリゴマーを部分的に気化することができる。なお、タイムチャートでは気化工程(B)の後に実施するアニール工程(C)は省略している。
【0062】
成膜工程(A)のプロセス条件としては、実施例1と同じであってよく、例えば基板温度は0℃に制御される。なお、RF電力については、タイムチャートでは図示を省略しているが、図8と同じ制御を行ってよい。
【0063】
気化工程(B)のプロセス条件としては、実施例2では、載置台から基板を昇降するためのピンを上昇させる。これにより、基板を載置台から離間させ、第1処理装置の天井部に設けられた、200℃程度の高温のシャワーヘッドに近づけて(図9(B)参照)、基板温度を0℃から50℃程度に上げる。これにより、基板の凹部の上部や側壁部等の流動性オリゴマーを部分的に気化させることができる。
【0064】
また、実施例2では、実施例1と同様に、処理ガスを停止しながら、排気機構により真空引きし、第1処理装置内の圧力を第1の圧力よりも低い、例えば流動性オリゴマーの蒸気圧以下である第2の圧力に制御してもよい。また、後述する実施例3のサイクルパージを行ってもよい。これにより、基板の凹部の上部や側壁部等の流動性オリゴマーの部分的な気化を促進させることができる。
【0065】
第2処理装置に基板を搬送した後、アニール工程(C)を実施する。このときのプロセス条件は実施例1と同じでよい。
【0066】
[実施例3]
次に、実施例3の絶縁膜の形成方法について図10を参照しながら説明する。実施例3では、図10の上段に示すように、成膜工程(A)と気化工程(B)とは第1処理装置で実施し、アニール工程(C)は、第2処理装置で実施する。
【0067】
図10の下段に示すタイムチャートについて説明する。第1処理装置にて流動性オリゴマーの成膜工程(A)を実施後、気化工程(B)を実施する。実施例3の特徴は、気化工程(B)において希釈ガスの供給と停止とを交互に繰り返すように制御するサイクルパージを行い、これにより、成膜した流動性オリゴマーを気化する点である。
【0068】
成膜工程(A)のプロセス条件としては、実施例1と同じであってよい。
【0069】
気化工程(B)のプロセス条件としては、実施例3では、原料ガスを停止しながら、希釈ガスの供給と停止とを交互に繰り返し、排気機構により希釈ガスを排気する。これにより、真空引きと希釈ガスのパージを交互に繰り返すサイクルパージを行う。サイクルパージにより流動性オリゴマーの気化を促進させることができる。
【0070】
第2処理装置に基板を搬送した後、アニール工程(C)を実施する。このときのプロセス条件は実施例1と同じでよい。
【0071】
[実施例4]
次に、実施例4の絶縁膜の形成方法について図11を参照しながら説明する。実施例4では、図11の上段に示すように、成膜工程(A)、気化工程(B)、蒸着工程(D)は第1処理装置で実施し、アニール工程(C)は、第2処理装置で実施する。実施例4の特徴は、成膜工程(A)の実施後であって気化工程(B)の実施前に高蒸気圧ガスを供給し、成膜した流動性オリゴマーの流動を促進する蒸着工程(D)をさらに有する点である。
【0072】
図11の下段に示すタイムチャートについて説明する。第1処理装置にて流動性オリゴマーの成膜工程(A)を実施後、高揮発性材料を供給し、蒸着工程(D)を実施する。これにより、成膜した流動性オリゴマーの流動を促進する。その後、気化工程(B)を実施する。
【0073】
成膜工程(A)のプロセス条件としては、実施例1と同じであってよい。気化工程(B)のプロセス条件としては、図11の例ではサイクルパージを行う実施例3と同じプロセス条件を示しているが、これに限らず、実施例1または実施例2と同じであってよい。
【0074】
蒸着工程(D)のプロセス条件としては、希釈ガスの流量を成膜工程(A)における希釈ガスの流量よりも減らし、原料ガス(DMDMOS及びシランガス)の流量を増やす。これにより、原料ガスのモル分率mを上げ、全ガス(混合気体)の圧力(全圧P)に対してP×mで示される原料ガスの分圧pを上げる。なお、全圧Pに対する原料ガスの分圧pを上げることができれば、希釈ガスの流量は減らさなくてもよい。
【0075】
原料ガスのうち、DMDMOSを増やし、シランガスは停止することが好ましい。シランガスは分子量が小さく、シランガスを増やすことにより原料ガスの分圧を上げても流動性オリゴマーを液化しにくいためである。これに対して、DMDMOSは分子量が大きく、流動性オリゴマーを液化し易い。増やしたDMDMOSは、蒸気圧が原料ガスの蒸気圧以下、かつ成膜された流動性オリゴマーの蒸気圧以上の高蒸気圧ガス(高揮発性材料)の一例である。
【0076】
また、図11に示すように、蒸着工程(D)における圧力(第3の圧力とする。)を成膜工程(A)における圧力(第1の圧力)よりも高くするように制御してもよい。
【0077】
また、蒸着工程(D)においてDMDMOS以外の高蒸気圧ガスを供給してもよい。全ガスの全圧に対する高蒸気圧ガスの分圧を高めることにより、高蒸気圧ガスを流動性オリゴマーに蒸着し易くさせて高蒸気圧ガスを流動性オリゴマーに溶かし込み、流動性オリゴマーの流動を促進する。
【0078】
蒸着工程(D)において供給する高蒸気圧ガスは、その蒸気圧が原料ガスの蒸気圧以下の高揮発性材料である。つまり、原料ガス自身が高蒸気圧ガスとして機能することも可能である。高蒸気圧ガスは流動性オリゴマーを液化させるだけでなく、原料ガス自身を液化させることも含む。原料ガスを高蒸気圧ガスとして使用することにより、ガスの切り替えを不要とすることができる。原料ガス以外の高蒸気圧ガスとしては、エタノール、IPA、アセトンの少なくともいずれかであってもよい。
【0079】
蒸着工程(D)において原料ガスの分圧を上げる又は高蒸気圧ガスを供給する、ことのいずれか一つを実施し、処理装置内を原料ガスの蒸気圧以下の環境にすることにより流動性オリゴマーを液化させることができる。また、処理装置内の圧力を上げてもよい。
【0080】
その後、気化工程(B)において、原料ガスの供給を停止し、希釈ガスの流量を増やしてサイクルパージし、高蒸気圧ガスを溶かし込んだ原料ガスを気化及び流動させる。
【0081】
第2処理装置に基板を搬送した後、アニール工程(C)を実施する。このときのプロセス条件は実施例1と同じでよい。
【0082】
気化工程(B)では、希釈ガスの供給と停止とを交互に繰り返すように制御し、これにより、成膜した流動性オリゴマーを気化する。ただし、気化工程(B)は、これに限らず、実施例1~実施例3の少なくともいずれかの方法を用いて実施してよい。
【0083】
実施例4では、流動性オリゴマーを高揮発性材料で希釈することにより流動性を改善し、凹部の内部に流動性オリゴマーをより流し込むことができる。
【0084】
[実施例5]
次に、実施例5の絶縁膜の形成方法について図12を参照しながら説明する。実施例5では、図12の上段に示すように、成膜工程(A)と気化工程(B)とは第1処理装置で実施し、アニール工程(C)は、第2処理装置で実施する。
【0085】
図12の下段に示すタイムチャートについて説明する。実施例5では、第1処理装置にて流動性オリゴマーの成膜工程(A)を実施後、気化工程(B)を実施する。成膜工程(A)のプロセス条件としては、実施例1と同じであってよい。実施例5の特徴は、気化工程(B)において、成膜工程(A)で供給した希釈ガスの流量と圧力とを維持しながら原料ガスを停止し、パージにより成膜した流動性オリゴマーを気化する点である。
【0086】
実施例5では、気化工程(B)において実施例3のサイクルパージに替えて、希釈ガスの流量を維持することにより、希釈ガスのパージにより流動性オリゴマーを気化する。気化工程(B)にて制御する圧力は、成膜工程(A)にて制御する圧力と同じ圧力であってもよいし、該圧力よりも低い圧力であってもよい。
【0087】
[実施例6]
次に、実施例6の絶縁膜の形成方法について図13を参照しながら説明する。実施例6では、図13の上段に示すように、成膜工程(A)と気化工程(B)とアニール工程(C)とをそれぞれ異なる処理装置で実施する。ここでは、成膜工程(A)は第1処理装置で実施し、気化工程(B)は第3処理装置で実施し、アニール工程(C)は、第2処理装置で実施する。
【0088】
気化工程(B)を成膜工程(A)と異なる処理装置で実施することにより、気化工程(B)におけるプロセス条件において温度の制約がなくなり、制御性が高まる。例えば、気化工程(B)において、基板温度を成膜工程(A)における基板温度よりも高く制御し、アニール工程(C)における基板温度より低く制御することができる。
【0089】
例えば、成膜工程(A)における基板温度を0℃、アニール工程(C)における基板温度を100℃に制御する。この場合、図13の下段に示すように気化工程(B)における基板温度を、例えば50℃等、成膜工程(A)及びアニール工程(C)における基板温度の中間の温度に制御することができる。これにより、気化工程(B)の制御性を高め、流動性オリゴマーの部分的な気化を促進することができる。なお、図13の気化工程(B)では、希釈ガスや圧力は省略しているが、前述のとおり、実施例1~実施例3、実施例5の気化工程(B)と同様に制御することができる。
【0090】
[実施例7]
次に、実施例7の絶縁膜の形成方法について図14を参照しながら説明する。実施例7では、図14の上段に示すように、成膜工程(A)は第1処理装置で実施し、気化工程(B)とアニール工程(C)は第2処理装置で実施する。
【0091】
図14の下段に示すタイムチャートについて説明する。第1処理装置にて流動性オリゴマーの成膜工程(A)を実施後、第2処理装置に基板を搬送し、気化工程(B)を実施する。気化工程(B)では、基板の温度を上昇させ、成膜した流動性オリゴマーを気化する。
【0092】
成膜工程(A)のプロセス条件としては、実施例1と同じであってよく、例えば基板温度は0℃に制御される。
【0093】
第1処理装置で成膜工程(A)の実施後、基板を第2処理装置へ搬送し、気化工程(B)を実施する。気化工程(B)のプロセス条件としては、例えば基板温度を0℃よりも高く100℃未満に制御する。原料ガスの供給を停止し、希釈ガスの流量と圧力を維持して基板を加熱することにより流動性オリゴマーの気化を促進させ、流動性オリゴマーを部分的に気化させることができる。なお、図14の気化工程(B)では、成膜工程(A)の希釈ガスの流量と圧力を維持することを示したが、前述のとおり、実施例1~実施例3、実施例5の気化工程(B)と同様に制御することができる。
【0094】
次いで、アニール工程(C)を実施する。このときのプロセス条件は、基板の温度を気化工程(B)と同じか気化工程(B)より高い温度に制御する。また、RF電力を印加してプラズマを生成し、プラズマを用いてアニール処理を実施する。プラズマを用いることで流動性オリゴマーを改質しつつ、硬化することができる。
【0095】
例えば、流動性オリゴマーの蒸気圧が高く、気化し易い種類の流動性オリゴマーの場合には、比較的低温で減圧(真空引き)や希釈ガスのパージにより流動性オリゴマーを気化できる可能性がある。一方、流動性オリゴマーの蒸気圧が低く、気化し難い種類の流動性オリゴマーの場合には、基板温度をより高くする又は基板温度をより高くしつつ圧力を下げる必要がある。このような場合、気化工程(B)にて基板温度をより高くするために、気化工程(B)は、成膜工程(A)を行った処理装置とは別の処理装置で実施する方が有利な場合がある。
【0096】
実施例7では、流動性オリゴマーが比較的高温でないと気化しない場合に、成膜工程(A)と気化工程(B)とを別の処理装置で行うことにより、気化工程(B)において基板温度を成膜工程(A)で制御した基板温度よりも高い温度に制御することができる。これにより、蒸気圧が比較的低く、気化し難い種類の流動性オリゴマーであっても十分に気化させることができる。
【0097】
実施例7では、気化工程(B)において、減圧下で基板を加熱することにより、気化工程(B)中に、気化、流動を同時に行った後、RF電力を印加してプラズマを生成し、プラズマを用いてアニール工程(C)を実行する。アニール工程(C)において基板温度を気化工程(B)で制御した基板温度よりも高い温度に制御する。
【0098】
実施例7によれば、成膜工程(A)と気化工程(B)、および、アニール工程(C)とを別の処理装置で実施することにより、気化工程(B)の基板温度の制御範囲を広くすることができる。これにより、比較的高温でないと気化しない流動性オリゴマーであっても、気化工程(B)にて制御する基板温度を成膜工程(A)にて制御する基板温度よりも高くすることにより、流動性オリゴマーを部分的に気化させることができる。
【0099】
[実験結果2]
サイクルパージを実行する実施例3により形成した絶縁膜(SiOC膜)の膜厚を測定した実験結果2について図15を参照しながら説明する。本実験に使用した絶縁膜を形成するための図15(a)に示す各工程のプロセス条件を以下に示す。
【0100】
(成膜工程(A)のプロセス条件)
基板温度 -10℃
圧力 3Torr(400Pa)
ガス種 DMDMOS、SiH、Ar、H
RF 50W(13.56MHz)
(気化工程(B)のプロセス条件)
基板温度 -10℃
圧力 1mTorr~0.4Torr(0.133Pa~53.3Pa)
ガス種 Ar
パージ回数 1回
(アニール工程(C)のプロセス条件)
基板温度 500℃
圧力 4Torr(533Pa)
ガス種 Ar
図15(b)に示す構造体210に成膜した流動性オリゴマー212に対して気化工程(B)を行い、流動性オリゴマー212を部分的に気化させた。流動性オリゴマー212をアニール工程(C)にて硬化させ絶縁膜を形成した。気化工程(B)を実施した後の流動性オリゴマー212の膜厚を測定した。
【0101】
測定の結果、図15(c)の構造体210に成膜された流動性オリゴマー212の上部の膜厚T及び側壁部の膜厚Sは、1nmを下回る膜厚であった。構造体210の横方向開口部211の内部に成膜された流動性オリゴマー212の膜厚Hは、13.5nmであった。構造体210に成膜された流動性オリゴマー212の底部の膜厚Bは、1nmを下回る膜厚であった。
【0102】
以上から、気化工程(B)により、構造体210の上部、側壁部及び底部へ成膜された流動性オリゴマー212を部分的に気化させて除去できることがわかった。また、横方向開口部211の内部に成膜された流動性オリゴマー212は所望の厚さに制御できることがわかった。これにより、横方向開口部211へ選択的に流動性オリゴマー212を埋め込むことができる。また、アニール工程(C)において硬化、改質する流動性オリゴマー212の膜厚を制御することができ、十分な膜質改善を図ることができる。
【0103】
[基板処理システム]
次に、上記絶縁膜の形成方法を実施する基板処理システムの一例について説明する。図16は、基板処理システムの一例を概略的に示す概略構成図である。図16に示すように、基板処理システム100は、基板Sに対して絶縁膜を形成するものであり、第1処理装置101と第2処理装置102とを有する。これらは、ゲートバルブGを介して真空搬送室103の壁部に接続されている。真空搬送室103内は、真空ポンプにより排気されて所定の真空度に保持される。基板処理システム100は、第1処理装置101と第2処理装置102に加えて第3処理装置(図示せず)を有してもよい。第3処理装置は、ゲートバルブGを介して真空搬送室103の壁部に接続される。
【0104】
第1処理装置101は、図1及び図6のステップS3の流動性オリゴマーの生成・成膜処理、ステップS5の気化処理、及び図6のステップS4の高揮発性材料の蒸着処理を行うものである。また、第2処理装置102は、図1及び図6のステップS37のアニール処理を行うものである。ただし、図13の実施例6では、ステップS5の気化処理は第3処理装置(図示せず)で行う。また、図14の実施例7では、ステップS5の気化処理は第2処理装置102で行う。
【0105】
また、真空搬送室103の他の壁部には3つのロードロック室104がゲートバルブG1を介して接続されている。ロードロック室104を挟んで真空搬送室103の反対側には大気搬送室105が設けられている。3つのロードロック室104は、ゲートバルブG2を介して大気搬送室105に接続されている。ロードロック室104は、大気搬送室105と真空搬送室103との間で基板Wを搬送する際に、大気圧と真空との間で圧力制御するものである。
【0106】
大気搬送室105のロードロック室104の取り付け壁部とは反対側の壁部には基板Sを収容するキャリア(FOUP等)Cを取り付ける4つのキャリア取り付けポート106を有している。
【0107】
真空搬送室103内には、第1搬送機構107が設けられている。第1搬送機構107は、第1処理装置101、第2処理装置102、ロードロック室104に対して基板Sを搬送する。
【0108】
大気搬送室105内には、第2搬送機構108が設けられている。第2搬送機構108は、キャリアC、ロードロック室104に対して基板Sを搬送する。
【0109】
基板処理システム100は制御部110を有している。制御部110は、第1処理装置101、第2処理装置102の各構成部、真空搬送室103の排気機構、ロードロック室104の排気機構、第1搬送機構107、第2搬送機構108、ゲートバルブG、G1、G2の駆動系等を制御する。制御部110は、CPUを有する主制御部と、入力装置、出力装置、表示装置、記憶装置(記憶媒体)を有している。制御部110の主制御部は、例えば、記憶装置に内蔵された記憶媒体、または記憶装置にセットされた記憶媒体に記憶された処理レシピに基づいて、基板処理システム100の処理を制御する。
【0110】
次に、以上のように構成される基板処理システム100の動作について説明する。まず、第2搬送機構108によりキャリアCから基板Sを取り出し、いずれかのロードロック室104に搬入する。そのロードロック室104を真空排気した後、第1搬送機構107によりロードロック室104内の基板Sを第1処理装置101内に搬送する。
【0111】
第1処理装置101においては、ステップS3のプラズマ重合による流動性オリゴマーの生成および基板Sへの成膜を行う。そして、引き続きステップS5の気化処理を行う。ステップS3とステップS5との間にステップS4の高揮発性材料の蒸着処理を行ってもよい。これらは、基板温度が100℃未満に制御され、必要に応じて複数回繰り返す。
【0112】
第1処理装置101での処理が終了後、第1搬送機構107により基板Sを取り出し、第2処理装置102に搬送する。第2処理装置102においては、100℃超え、好ましくは150℃以上の高温でステップS7のアニール処理を行う。
【0113】
第2処理装置102での処理が終了後、必要に応じて第1搬送機構107により基板Sを第1処理装置101に搬送し、ステップS3、ステップS4、ステップS5の処理、さらに第2処理装置102に搬送してステップS7の処理を行う。
【0114】
ステップS3~ステップS7を所望の回数行った後、第1搬送機構107により基板Sをいずれかのロードロック室104に搬送する。そして、そのロードロック室104を大気雰囲気に戻した後、第2搬送機構108によりその中の基板SをキャリアCに戻す。
【0115】
以上のような処理を、複数の基板Sについて同時並行的に行って、所定枚数の基板Sに対する絶縁膜の形成処理が完了する。
【0116】
次に、ステップS3の流動性オリゴマーの生成・成膜処理、ステップS5の気化処理、及び図6のステップS4の高揮発性材料の蒸着処理を行う第1処理装置について説明する。図17は、第1処理装置の一例を示す断面図である。図17に示すように、第1処理装置101は、チャンバ2を有する。チャンバ2は接地されている。チャンバ2内には、基板Sを水平に載置するための載置台3が設けられている。載置台3は金属製であり、内部に基板Sの温調を行う温度調節器4が設けられている。載置台3はチャンバ2を介して接地されている。
【0117】
チャンバ2の底部には排気管5が接続され、この排気管5にはチャンバ2内の圧力制御機能を有する排気機構6が接続されている。チャンバ2の側壁には、基板Sが搬送される搬送口7が形成されており、搬送口7はゲートバルブGにより開閉される。
【0118】
チャンバ2の上部には載置台3に対向するようにガスシャワーヘッド9が設けられている。ガスシャワーヘッド9は、内部にガス室9aを有し、底部に複数のガス吐出孔9bを有する。ガスシャワーヘッド9とチャンバ2の天壁との間は、絶縁部材14で絶縁されている。
【0119】
ガスシャワーヘッド9には、ガス流路10を介してガス供給部11が接続されている。ガス供給部11は、原料ガス(例えばDMDMOS、非酸化性の水素含有ガス(例えばSiHガス)を含む)、Hガス、および不活性ガス等を供給する。不活性ガスは、キャリアガス、希釈ガス、プラズマ生成ガス等として供給される。これらのガスは、ガス供給部11からガス流路10を介してガスシャワーヘッド9のガス室9aに至り、ガス吐出孔9bを介してチャンバ2内に吐出される。
【0120】
ガスシャワーヘッド9には、整合器12を介して高周波電源13が接続されている。高周波電源13は、例えば13.56MHzの高周波電力をガスシャワーヘッド9に印加する。ガスシャワーヘッド9に高周波電力が印加されることにより、ガスシャワーヘッド9と載置台3との間に高周波電界が形成され、ガスシャワーヘッド9から吐出されたガスによる容量結合プラズマが生成される。
【0121】
このような第1処理装置101においては、基板Sを載置台3上に載置し、温度調節器4により基板Sの温度を好ましくは100℃未満、より好ましくは30℃以下に制御し、圧力を13~1330Paに制御する。ガス供給部11から原料ガスと非酸化性の水素含有ガスとをガスシャワーヘッド9を介してチャンバ2内に供給するとともに、高周波電源13から高周波電力をガスシャワーヘッド9に供給する。これにより、プラズマ重合により流動性オリゴマーが生成され、基板S上へ成膜される。そして、流動性オリゴマーは、基板Sに形成されたギャップ(凹部)に埋め込まれる。
【0122】
以上のようにして流動性オリゴマーを成膜後、基板Sを載置台3上に載置したままの状態で、基板Sの温度も流動性オリゴマーの生成・成膜の際と同様の低温に保持したままとする。そして、ガス供給部11からHガスと不活性ガスとをガスシャワーヘッド9を介してチャンバ2内に供給するとともに、高周波電源13から高周波電力をガスシャワーヘッドに供給する。これにより、成膜された流動性オリゴマーが流動性を保持したまま、その少なくとも一部が水素終端されるようにプラズマ処理が行われる。
【0123】
ステップS7のアニール処理を行う第2処理装置102は、例えば、チャンバと、載置台と、基板を加熱する加熱機構と、ガス供給機構と、排気機構と、VHF帯~MW帯の周波数の高周波によりプラズマを生成するプラズマ生成機構とを有するものが例示される。プラズマ生成機構としては、載置台に対向するように設けられた電極にVHF帯の高周波電力を印加するものや、マイクロ波発振源から発振されたマイクロ波を載置台に対向するように設けられたアンテナから放射するものを用いることができる。
【0124】
アニール処理による改質では供給されるガス温度が高いほど、大きな改質効果が期待できる。第2処理装置102へ供給されるガス温度を高くするためには、第2処理装置102へのガス供給部の温度は高いほうが望ましく、100℃を超える温度が好ましい。しかし、マイクロ波プラズマの場合誘電体天板が必須となるため天板破損が懸念され、十分に温度を上げることが困難である。一方、VHFプラズマの場合、ガス供給部として金属により構成されたシャワーヘッドを用いることが可能なため、ガス供給部を問題なく80℃超えにすることができる。このような理由から、プラズマを用いたアニール処理の際の周波数は、金属により構成されたシャワーヘッドを用いることができるVHF帯が望ましく、その中でも上述した60MHz以上、すなわち60MHz~300MHzの範囲が望ましい。
【0125】
なお、基板処理システム100では、第1処理装置101の同じ処理空間で、ステップS3の成膜処理と、ステップS5の気化処理の両方を行うようにしたが、ステップS3とステップS5とを別個の装置または別個の処理空間で行うようにしてもよい。
【0126】
以上に説明したように、本実施形態の絶縁膜の形成方法及び基板処理システムによれば、流動性膜を用いて所望な形状へ絶縁膜の埋め込みを可能にする。また、アニールによる十分な膜質改善を行うことができる。
【0127】
[他の適用]
今回開示された実施形態に係る絶縁膜の形成方法及び基板処理システムは、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0128】
例えば、実施例1、実施例3、実施例5はそれぞれ別々に実行される。また、実施例6、実施例7はそれぞれ別々に実行される。それ以外の実施例は組み合わせることができる。また、それ以外の2以上の実施例の組み合わせが可能である。
【0129】
例えば、上記実施形態においては原料ガスとしてSi含有ガスまたはB含有ガスを用いて絶縁膜としてSi含有膜またはB含有膜を成膜した場合について示したが、これに限らない。例えば、プリカーサーおよび絶縁膜として、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)又はジルコニウム(Zr)のいずれかの元素を含むガスを用いて、これらのいずれかの元素を含むHigh-k膜又は金属含有膜を成膜してもよい。
【0130】
また、上記実施形態で示した基板処理システムや成膜等を行う処理装置も例示にすぎない。さらに、基板として、シリコン等の半導体基板(半導体ウエハ)を例示したが、これに限るものではなく、他の種々の基板を用いることができる。
【0131】
以上に開示された実施形態は、例えば、以下の態様を含む。
(付記1)
凹部を有する基板に絶縁膜を形成する方法であって、
(O)処理装置のチャンバ内に前記基板を準備する工程と、
(A)前記チャンバ内に原料ガスと希釈ガスとを含む処理ガスを供給し、プラズマ重合により流動性オリゴマーを生成して前記基板に成膜する工程と、
(B)前記チャンバ内が前記流動性オリゴマーの蒸気圧以下となるように制御し、成膜した前記流動性オリゴマーを部分的に気化して除去する工程と、
(C)前記基板に対してエネルギーを供給し、前記流動性オリゴマーを硬化して前記凹部に絶縁膜を形成する工程と、
を有する、絶縁膜の形成方法。
(付記2)
前記(B)の工程は、前記処理ガスを停止しながら、前記チャンバ内の圧力を前記(A)の工程で制御した第1の圧力よりも低い第2の圧力に制御し、成膜した前記流動性オリゴマーを気化する、
付記1に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記3)
前記(B)の工程は、前記処理ガスを停止しながら、基板温度を前記(A)の工程で制御した第1の基板温度よりも高い第2の基板温度に制御し、成膜した前記流動性オリゴマーを気化する、
付記1又は2に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記4)
前記(B)の工程は、希釈ガスの供給と停止とを交互に繰り返すように制御し、成膜した前記流動性オリゴマーを気化する、
付記1又は3のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記5)
前記(B)の工程は、前記(A)の工程で供給した希釈ガスの流量と圧力とを維持しながら前記原料ガスを停止し、成膜した前記流動性オリゴマーを気化する、
付記1又は3に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記6)
(D)前記(A)の工程の後であって前記(B)の工程の前に、高蒸気圧ガスを供給し、成膜した前記流動性オリゴマーの流動を促進する工程をさらに備える、
付記1~5のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記7)
前記(D)の工程は、前記(B)の工程よりも前記原料ガスの分圧を上げるように制御する、
付記6に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記8)
前記(D)の工程は、前記チャンバ内の圧力を前記(A)の工程で制御した第1の圧力より高い第3の圧力に制御する、
付記7に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記9)
前記(D)の工程において供給する前記高蒸気圧ガスは、蒸気圧が前記原料ガスの蒸気圧以下の材料である、
付記6~8のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記10)
前記高蒸気圧ガスは、エタノール、IPA、アセトン、又は原料ガス少なくともいずれかである、
付記6~9のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記11)
前記(A)の工程及び前記(B)の工程は、同じ処理装置で実施し、
前記(B)の工程及び前記(C)の工程は、別の処理装置で実施する、
付記1~10のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記12)
前記(A)の工程、前記(B)の工程及び前記(C)の工程は、それぞれ別の処理装置で実施する、
付記1~11のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記13)
前記(A)の工程及び前記(B)の工程は、別の処理装置で実施し、
前記(B)の工程及び前記(C)の工程は、同じ処理装置で実施する、
付記1~12のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記14)
前記(A)の工程、前記(B)の工程、前記(C)の工程を、この順で繰り返す、
付記1~13のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記15)
前記(A)の工程において制御した第1の基板温度を50℃未満に制御し、前記(B)の工程において制御した第2の基板温度を50℃以上に制御する、
付記3~14のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記16)
前記(A)の工程は、前記基板を載置台に載置して実施し、前記(B)の工程は、前記基板を載置台から離間して実施する、
付記3~15のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記17)
前記(A)の工程において、前記処理ガスに非酸化性の水素含有ガスを添加してプラズマ処理を実施することによりプラズマ重合によって前記流動性オリゴマーを生成する、
付記1~16のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記18)
前記(C)の工程において、前記基板に対して供給するエネルギーは、熱エネルギー、プラズマエネルギー又はUVエネルギーの少なくともいずれかである、
付記1~17のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記19)
前記(C)の工程において、基板の温度は100℃を超える温度に制御する、
付記1~18のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記20)
前記(C)の工程において、水素を含むガスを含有するプラズマを生成し、前記絶縁膜を形成する、
付記1~19のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記21)
前記(C)の工程において、炭素及び水素を含むガスを含有するプラズマを生成し、前記絶縁膜を形成する、
付記1~19のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記22)
前記原料ガスは、シリコン含有ガス又はボロン含有ガスである、
付記1~20のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記23)
前記シリコン含有ガスは、Si-O結合を含むガスである、
付記22に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記24)
前記Si-O結合を含むガスは、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリメトキシ・ジシロキサンから選択された少なくとも1種を含む、
付記23に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記25)
前記シリコン含有ガスは、Si-N結合を含むガスである、
付記22に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記26)
前記Si-N結合を含むガスは、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン、ビス(tert-ブチルアミノ)メチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)シラン、トリジメチルアミノシラン、メチルトリジメチルアミノシラン、ヘキサメチルシクロトリシラザンから選択された少なくとも1種を含む、
付記25に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記27)
前記ボロン含有ガスは、ジボラン、ボラジン、トリエチルボラン、トリエチルアミンボラン、トリ(ジメチルアミノ)ボラン、トリ(エチルメチルアミノ)ボラン、トリメチルボラジンから選択された少なくとも1種である、
付記22に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記28)
前記流動性オリゴマーは、基本構造としてSiOH、SiNH、SiCOH、SiCNH、SiCH、BNH、BCNH、SiBCNH、SiBNHのいずれかを含む、
付記1~27のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記29)
前記絶縁膜は、SiO、SiN、SiOC、SiCN、SiC、BN、BCN、SiBCN、又はSiBNのいずれかを含む、
付記1~28のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記30)
前記絶縁膜は、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)又はジルコニウム(Zr)のいずれかの元素を含むHigh-k膜又は金属含有膜を含む、
付記29に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記31)
前記希釈ガスは、不活性ガス、Hガス、ハロゲンガス、ハイドロカーボンガスから選択された少なくとも1種である、
付記1~30のいずれか一項に記載の絶縁膜の形成方法。
(付記32)
凹部を有する基板に処理を行う複数の処理装置と、複数の処理装置の間で基板を搬送する搬送機構と、以下のプロセスを実行するように構成された制御装置と、を有し、
前記プロセスは、
(O)前記搬送機構により前記複数の処理装置のいずれかに前記基板を搬送する工程と、
(A)前記チャンバ内に原料ガスと希釈ガスとを含む処理ガスを供給し、プラズマ重合により流動性オリゴマーを生成して前記基板に成膜する工程と、
(B)前記チャンバ内が前記流動性オリゴマーの蒸気圧以下となるように制御し、成膜した前記流動性オリゴマーを部分的に気化して除去する工程と、
(C)前記基板に対してエネルギーを供給し、前記流動性オリゴマーを硬化して前記凹部に絶縁膜を形成する工程と、を含む、基板処理システム。
【符号の説明】
【0132】
100;基板処理システム
101;第1処理装置
102;第2処理装置
201;凹部
211:横方向開口部
202、212;流動性オリゴマー
S:基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17