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特開2024-134734アクチュエータユニット、液体吐出ヘッド及び液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134734
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】アクチュエータユニット、液体吐出ヘッド及び液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240927BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20240927BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B41J2/14 301
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045078
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】松原 勇太朗
【テーマコード(参考)】
2C057
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C057AF71
2C057AG44
2C057BA08
4F041AA07
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA23
4F041BA35
4F042AA09
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA25
4F042CB08
(57)【要約】
【課題】弁体の移動量のばらつきを低減する。
【解決手段】
圧電素子と、圧電素子の伸縮方向に移動可能な弁体と、圧電素子の伸縮方向の一方の端部を支持する圧電素子支持部材と、弁体と、圧電素子の伸縮方向の他方の端部とに連結し、且つ圧電素子の伸長に応じて弁体を移動させる移動手段と、を備えるアクチュエータユニットであって、移動手段は、圧電素子支持部材に対しての位置を固定する固定部を有し、アクチュエータユニットは、固定部の圧電素子支持部材に対する位置を規制する規制部材と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
前記圧電素子の伸縮方向に移動可能な弁体と、
前記圧電素子の伸縮方向の一方の端部を支持する圧電素子支持部材と、
前記弁体と、前記圧電素子の前記伸縮方向の他方の端部とに連結し、且つ前記圧電素子の伸長に応じて前記弁体を移動させる移動手段と、を備えるアクチュエータユニットであって、
前記移動手段は、前記圧電素子支持部材に対しての位置を固定する固定部を有し、
前記アクチュエータユニットは、前記固定部の前記圧電素子支持部材に対する位置を規制する規制部材と、
を備えることを特徴とするアクチュエータユニット。
【請求項2】
前記移動手段は、
前記圧電素子と連結し該圧電素子の伸長に応じて、前記固定部に対して前記弁体側に移動する移動部と、
前記移動部の移動に応じて、前記固定部に対して前記弁体を前記圧電素子側に移動させる弁体移動部と、
を有していることを特徴とするアクチュエータユニット。
【請求項3】
前記規制部材の長手方向は、前記圧電素子の長手方向と平行になるように設けられることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータユニット。
【請求項4】
前記規制部材は、単一の部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータユニット。
【請求項5】
前記規制部材と前記固定部とを固定する固定部材を有し、
前記固定部と前記移動部との接続点が前記固定部材の中心軸を中心に回転しないことを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータユニット。
【請求項6】
前記移動手段と前記固定部材とを一体化することを特徴とする請求項5に記載のアクチュエータユニット。
【請求項7】
前記規制部材の材質は、少なくとも前記圧電素子支持部材に対して熱膨張率の小さい金属から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータユニット。
【請求項8】
前記圧電素子に所定の電圧を印加したときに、前記圧電素子の伸長する長さよりも前記弁体が移動する距離の方が長くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータユニット。
【請求項9】
前記規制部材を少なくとも2つ有し、前記固定部は、前記少なくとも2つの規制部材によって挟持されることで固定されることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータユニット。
【請求項10】
前記移動部と一方で連結し、他方で前記圧電素子支持部材と連結していて、前記移動部を前記圧電素子側に付勢する弾性部材を有することを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータユニット。
【請求項11】
前記圧電素子支持部材と、前記弾性部材と、前記移動手段とが、単一の部材に含まれることを特徴とする請求項10に記載のアクチュエータユニット。
【請求項12】
前記規制部材は、前記圧電素子の側部に対応する領域に開口部を有することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータユニット。
【請求項13】
請求項1に記載のアクチュエータユニットと、
液体を吐出するノズル孔と、
前記ノズル孔に連通する液室と、
前記アクチュエータユニットを収容する収容部と、
有する筐体と、を備え、
前記弁体は、前記圧電素子の伸長に応じて前記ノズル孔を開放することを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項14】
請求項13に記載の液体吐出ヘッドを有する液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータユニット、液体吐出ヘッド及び液体を吐出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にノズルからインクといった液滴を吐出し、ノズル(ノズル孔)に配設されたノズル開閉弁(弁体、ニードル弁)と、そのノズル開閉弁をノズルに対して離接するノズル開閉駆動手段(圧電素子、アクチュエータ)と、ノズル開閉駆動手段を制御する制御手段を用いてノズルを開閉することによって液体を吐出させる液体吐出ヘッドが知られている。このような液体吐出ヘッドは、吐出する液体をノズルに加圧供給し、その状態でノズル開閉弁をノズルに対して離接することにより、ノズル開閉弁がノズルから離間している間だけ、加圧供給されている液体がノズルから液滴として吐出される。また、液体への加圧力、ノズル開閉弁がノズルの離接している隙間の距離、すなわち供給するために生じる流体抵抗及びノズル開閉弁の開閉時間に応じた液体の吐出を実現することができる。ここで、液体の吐出のばらつきは品質に影響を与えるため、これを防止する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、液体が吐出される吐出口をピエゾ素子に所定の電圧を印加することにより移動可能に形成された弁体によって開閉することにより液体の吐出を制御する弁型ノズルにおいて、ピエゾ素子と弁体の間に移動機構を介在させ、ピエゾ素子に所定の電圧を印加することにより移動機構によって吐出口を開口するように弁体を移動させると共に、ピエゾ素子に印加する所定の電圧を解放することにより移動機構によって吐出口を閉口するように構成した弁型ノズルが開示されている。
【0004】
上記した弁体ノズルを用いたインクジェット式プリンタにおいては、弁体を駆動させる駆動源として圧電素子(ピエゾ素子)を用いる場合が多い。ここで、弁体と、弁体を駆動させる圧電素子を駆動源として備えたユニットをアクチュエータユニットとよぶ。そして、アクチュエータユニットは、これ単体だけで部品の交換や市場での取引等が行われることがある。また、ノズル開閉弁の開閉の手段については、主に2つの方式が挙げられる。1つは、圧電素子の伸縮方向と同じ方向に開閉弁のニードル(インク押し出し機構)を制御できる直動式が挙げられる。もう1つは、圧電素子の伸びる力を、ニードルを引き込む力に変換するテコ(逆バネ)機構が付随しており、ニードルについて圧電素子の伸縮方向と逆の方向に変化させることができるテコ式(逆バネ式ともいう)が挙げられる。そして、テコ式は、テコ機構のノズル本体に固定する固定部と、圧電素子のノズル本体に支持される部分との距離がばらつくと、弁体の移動量がばらつく。この弁体の移動量のばらつきは、ノズルごとの吐出適量や吐出速度といった吐出性能のばらつきを生じる原因になるため、防止する必要がある。そして、これを防止するためには、アクチュエータユニットにおける当該距離のばらつきを防止し、弁体の移動量のばらつきを抑える必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、弁体の移動量のばらつきを低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、圧電素子と、前記圧電素子の伸縮方向に移動可能な弁体と、前記圧電素子の伸縮方向の一方の端部を支持する圧電素子支持部材と、前記弁体と、前記圧電素子の前記伸縮方向の他方の端部とに連結し、且つ前記圧電素子の伸長に応じて前記弁体を移動させる移動手段と、を備えるアクチュエータユニットであって、前記移動手段は、前記圧電素子支持部材に対しての位置を固定する固定部を有し、前記アクチュエータユニットは、前記固定部の前記圧電素子支持部材に対する位置を規制する規制部材と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、弁体の移動量のばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る吐出ヘッドを示す図。
図2】吐出ヘッドの主要な構成を示した図。
図3】比較例に係る液体吐出モジュールの構成について示した図。
図4】圧電素子への電圧の印加のタイミングチャートを示す図。
図5】本発明に係る実施形態におけるアクチュエータユニットを示す図。
図6】本発明に係る規制部材の外観を示す図。
図7】本発明に係る実施形態における規制部材を取り除いたアクチュエータユニットを示す図。
図8】本発明に係る液体モジュールの構成を示す図。
図9】本発明に係るアクチュエータユニットの動作を示すための図。
図10】本発明に係る液体吐出モジュールの動作を示すための図。
図11】本発明に係る移動手段を説明するための図。
図12】支点の位置のずれがニードル弁の移動量へ及ぼす影響を説明するための図。
図13】本発明に係る規制部材については、熱膨張率がニードル弁の移動量に影響を大きく及ぼすことを説明するための図。
図14】液体吐出装置の全体概略構成図。
図15】他の液体吐出装置の全体概略構成図。
図16】液体吐出装置の自動車に対する配置例を示す斜視図。
図17】液体吐出装置の自動車に対する他の配置例を示す斜視図。
図18】液体吐出装置により球面に液体を吐出した場合の説明図。
図19】実施形態に係る電極の製造方法を実現するための電極の製造装置の一例を示す模式図。
図20】実施形態に係る電極合材層の製造方法を実現するための電極の製造装置の他の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る実施形態を、図面を用いて、以下に説明をする。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。また、本発明では、液体吐出ヘッドを吐出ヘッドとよぶこともある。
【0010】
なお、以下の説明では、本発明の一実施形態に係る駆動制御装置として、液体吐出ヘッドに設けられた開閉弁の駆動を制御する駆動制御装置を説明する。また、ここで説明する液体吐出ヘッドは、液体としてのインクを吐出する。なお、本発明では、液体吐出ヘッドを吐出ヘッドあるいはヘッドとよぶこともある。
【0011】
図1は、液体吐出ヘッドの全体斜視図である。ここで、図1において、液体吐出ヘッドの幅方向(ノズルの配列方向)をx方向、液体吐出ヘッドの奥行方向をy方向、液体吐出ヘッドの高さ方向(ニードル弁の開閉方向、ニードル弁の移動方向、ニードル弁の離接移動の方向、ニードル弁の離接方向、あるいはニードル弁の駆動方向)をz方向とする。そして、これ以降の図もこの座標の定義は、特に断りがない限り同様であるとする。
【0012】
液体吐出ヘッド10(液体吐出ヘッドの一例)はハウジング11(筐体の一例)を備える。ハウジング11は金属または樹脂からなる。また、ハウジング11は、その上部に電気信号の通信のためのコネクタ29を備える。また、ハウジング11の左右には、インク150(液体の一例)をヘッド内に供給するための供給ポート12と、インク150をヘッドから排出するための回収ポート13を設けている。
【0013】
図2はヘッドユニットを示す図で、液体吐出ヘッドの図1のA-A矢視断面を示す図でもある。ヘッドユニット60は、液体吐出ヘッド10と駆動制御装置40とを有する。
【0014】
液体吐出ヘッド10はノズル板15を有する。ノズル板15はハウジング11に接合されている。ノズル板15はインクを吐出するノズル14(ノズルの一例、ノズル孔ともいう)を備える。ハウジング11は流路16(液室の一例、液室ともよぶ)を備えている。流路16は、供給ポート12側からのインク150を、ノズル板15上を経て回収ポート13側へ送る経路である。インク150は、流路16上を図2に示す矢印a1~a3で示す方向へ送られる。
【0015】
供給ポート12と回収ポート13との間には、液体吐出モジュール30が配置されている。液体吐出モジュール30は流路16内のインクをノズル14から吐出する。液体吐出モジュール30の数はノズル14の数に対応しており、本例では1列に並べた8個のノズル14に対応する8個の液体吐出モジュール30を備えた構成を示している。なお、ノズル14および液体吐出モジュール30の数および配列は上記に限るものではない。例えば、ノズル14および液体吐出モジュール30の数は、複数ではなく1個であってもよい。また、8個以上でもそれ以下でもよい。そして、ノズル14および液体吐出モジュール30の配列は、1列ではなく複数列で配置してもよい。
【0016】
上記の構成により、供給ポート12は加圧した状態のインクを外部から取り込み、インクを矢印a1方向へ送り、インクを流路16に供給する。流路16は、供給ポート12からのインクを矢印a2方向へ送る。そして、回収ポート13は、流路16に沿って配置したノズル14から吐出しなかったインク150を矢印a3方向へ排出する。
【0017】
液体吐出モジュール30は、ノズル14を開閉するニードル弁17と、ニードル弁17を駆動する圧電素子18とを備える。
【0018】
ハウジング11は、圧電素子18の上端部と対向する位置に圧電素子規制部材19を備えている。この圧電素子規制部材19は、圧電素子18の上端部に当接しており、圧電素子18の固定点をなしている。
【0019】
ここで、ノズル14は吐出口やノズル孔ともいいノズルの一例で、ノズル板15は吐出口形成部材ともいい、ノズル板の一例で、ニードル弁17は開閉弁ともいい、弁体の一例で、圧電素子18は駆動体ともいい、移動手段の一例である。
【0020】
流路16はハウジング11に設けた複数の液体吐出モジュール30に共通の流路である。
【0021】
ニードル弁17の先端部に弾性部材である封止部材を備えている。封止部材はニードル弁17のニードルによって支持されている。そして、ニードル弁17の先端部をノズル板15に押し付けた際に、封止部材が圧縮されることで、ニードル弁17がノズル14を確実に閉塞する。なお、ニードル弁17の押圧力は、ここでは封止性を踏まえ1Nとしている。また、ハウジング11とニードル弁17との間には、後述するが、Oリングなどのシール部材22を設けている。
【0022】
ハウジング11の内側の空間11a(収容部の一例)内には圧電素子18を収容している。圧電素子18とニードル弁17とは同軸上に保持部材の先端部を介して連結されている。保持部材は、先端部側はニードル弁17と連結し、後端部側はハウジング11に取り付けられた圧電素子規制部材19によって固定されている。
【0023】
駆動制御装置40によって圧電素子18に電圧が印加されることで、圧電素子18が収縮し、圧電素子18が保持部材を介してニードル弁17を引っ張る。これにより、ニードル弁17がノズル14から離間してノズル14を開放する。これにより、流路16に加圧供給したインク150がノズル14から吐出される。また、圧電素子18に電圧を印加していないときは、ニードル弁17がノズル14を閉塞している。この状態では、流路16にインクが加圧供給されていても、ノズル14からインク150が吐出することはない。
【0024】
駆動制御装置40は、駆動パルス生成部である波形発生回路41と増幅回路42とを有する。波形発生回路41が後述する駆動パルス波形を生成し、増幅回路42が必要な値まで電圧値を増幅する。そして、増幅された電圧が圧電素子18に印加される。この電圧の印加により、駆動制御装置40は、ニードル弁17の開閉を制御し、液体吐出ヘッドからのインクの吐出を制御する。ただし、波形発生回路41が十分な値の電圧を印加できる場合には増幅回路42は省略してもよい。
【0025】
波形発生回路41は、圧電素子18に印加する電圧の時間経過に伴う波形である駆動パルスを生成する。波形発生回路41は、外部のPCや装置内部のマイコンから印刷データを入力され、この入力データに基づいて駆動パルスを生成する。波形発生回路41は、圧電素子18に印加する電圧を変更でき、複数の駆動パルスを生成できる。前述のように、波形発生回路41が駆動パルスを生成することにより、圧電素子18が駆動パルスに従って伸縮し、ニードル弁17を開閉移動させる。
【0026】
<比較例について>
そして、本発明に係る液体吐出モジュールの詳細について説明する前に、比較対象となる構成(比較例)を挙げたうえで、その課題について説明する。そして、それを踏まえて本発明に至った経緯について説明する。
【0027】
図3は、比較例に係る液体吐出モジュールの構成について示した図である。図3は、比較例に係る液体吐出モジュール1030のテコ式(逆バネ式)の構成を示す説明図である。図3(a)はノズルを閉じた状態を示す図、図3(b)はノズルを開いた状態を示す図である。
【0028】
まず、テコ式は、テコの原理を用いており、圧電素子の伸びる力を、ニードルを引き込む力に変換するテコ(逆バネ)機構が付随しており、ニードルについて圧電素子の伸縮方向と逆の方向に変化させる構成である。そして、比較例に係るテコ式の構成の詳細について、まずは説明する。
【0029】
図3(a)に示すように、ハウジング1011には駆動機構であるアクチュエータユニットが取り付けられている。そして、アクチュエータユニットは、ニードル弁17を有するニードルと圧電素子18との間には、伝達機構である逆バネ機構1058を備える。逆バネ機構1058は、適宜に変形可能なゴムや軟質樹脂等または薄い金属板等を成形加工することによって形成された弾性部材である。逆バネ機構1058は、変形部1058a、固定部1058b、ガイド部1058cおよび屈曲部(屈曲辺)1058dを備える。
【0030】
ここで、変形部1058aは、ニードルの基端側の面(図3(a)ではニードルの上側端面)に当接するようにして形成された略台形状を有する。固定部1058bは、変形部1058aと、ハウジング1011との内壁面に固定される。また、ガイド部1058cは、固定部1058bと、圧電素子18とを連結する。そして、屈曲部1058dは、台形状の変形部1058aの長辺(図3(a)におけるz軸の+方向側の端部であり、台形の下底に相当)と固定部1058bとを連結する。
【0031】
そして、上記したように逆バネ機構1058はテコ式ともいうが、ガイド部1058cが逆バネ機構1058の力点、固定部1058bとハウジング1011との接合部が逆バネ機構1058の支点、屈曲辺1058dと変形部10588aの接合点が逆バネ機構1058の作用点となる。
【0032】
図4は、圧電素子への電圧の印加のタイミングチャートを示す図である。そして、図4(a)~(c)は、圧電素子に対する印可電圧の一例を示す波形図である。ここで、P1は、リード線59を介して圧電素子18に印加する所定の電圧を示し、P2およびP3は、圧電素子18に対する波形の電圧が途中で消失したり、停電等によって圧電素子に印可されなかった場合の波形電圧を示すものである。圧電素子18は、所定の電圧P1が印加されると、圧電素子18が伸張するようになる。また、圧電素子18は、P2およびP3の波形電圧に示すように、イレギュラー発生時でも印加する電圧の解除時と同様に元に戻るような構成となっていることがわかる。そして、以下説明では、主に、所定の電圧P1の印加の場合を用いることとする。
【0033】
上記のような構成において、逆バネ機構1058は、圧電素子18に図4に示すように所定の電圧P1が印加されて圧電素子18が伸張すると、圧電素子18の伸張により、ガイド部1058cがノズル1014側(図3(b)の黒い矢印の方向、z軸の+方向)に押される。この押される力に伴い、テコの原理によって、変形部1058aをノズル1014から遠ざかる方向(図3(b)の白い矢印の方向、z軸の-方向)に引き込む。すなわち、逆バネ機構1058は、圧電素子18の伸びる力を、ニードル弁17のニードルを引き込む力に変換した上で、ニードルへ伝達する。
【0034】
そして、比較例に係る構成では、圧電素子18へ電圧印加することにより、圧電素子18が伸び、それに伴い弁体であるニードル弁17が距離K移動することでノズル1014を開放し、ノズル1014から液体(液滴)であるインク150を吐出する。また、インク150は、ハウジング1011の注入口1068から供給される。
【0035】
上記で説明したように、比較例に係る構成は、ニードルと圧電素子18との間に、圧電素子18の伸びる力を、ニードルを引き込む力、すなわち圧電素子18の伸びる力と相反する力に変換した上で、ニードルへ伝達する逆バネ機構1058を備えることとなる。
【0036】
なお、上記構成においては、圧電素子18に所定電圧P1が印加されることにより液体であるインク150が吐出するように動作する。そのため、圧電素子18に所定の電圧P1を印加していないときには、ニードル弁17がノズル1014を閉塞しているので、流路16に加圧液体が供給されていても、ノズル1014からインク150が吐出されることはない。
【0037】
ここで、比較例に係る構成における逆バネ機構1058は、固定部1058bがハウジング1011に固定されることで固定される。そして、圧電素子18の固定は、図3(a)に示すように、圧電素子支持部材1065と圧電素子18とが当接し、圧電素子18が支持される部分(圧電素子18の図3(a)におけるz軸の-方向側の端部)になる。そして、固定部1058bと、圧電素子18の圧電素子支持部との距離が、部品精度・組み立て精度により、ノズル毎にばらつくと、その結果として各CH(チャネル)間でのニードル弁の位置がノズル毎にばらついてしまう。これによって、各CH間でニードル弁17の移動量のばらつきが生じてしまう。このニードル弁の移動量のばらつきは複数のノズル間で吐出性能のばらつきが生じることにつながってくるため、防止する必要がある。
【0038】
ここで、固定部1058bと圧電素子18の圧電素子支持部とは、ハウジング1011の加工によって位置精度が決まる。また、複数のノズルおよび圧電素子を有するマルチノズルの吐出ヘッドとする場合には、複数のノズルごとに固定部1058bの位置、圧電素子18の固定位置の精度を組み付け・加工で維持することが必要となる。
【0039】
その一方で、逆バネ機構自体や、圧電素子等といった各部品のばらつきも想定される。これを踏まえると、ノズル毎のばらつきを低減することは難しい。また、圧電素子、逆バネ機構、あるいはニードル弁等の部品をハウジングに組み付けないと、ニードル弁の位置・変位量の測定や調整を行うことができない。
【0040】
<本発明に係る実施例について>
そこで、ハウジングに組み付ける前の段階で、固定部と圧電素子支持部との距離について精度が出るような構成にすれば、上記課題を防止することが可能である。そこで、上記課題に鑑み、本発明に係る実施形態(実施例)においては、以下に説明するような構成にした。これについての詳細を説明する。
【0041】
図5は、本発明に係る実施形態におけるアクチュエータユニットを示す図である。本発明の概要としては駆動機構であるアクチュエータユニットをハウジングに組み付ける前の段階で、逆バネ機構である移動手段の固定部と圧電素子支持部との距離を単一の部材で精度を出すことを可能にしたものである。また、図5(a)は、本発明に係るアクチュエータユニットを示した図であり、図5(b)は、図5(a)においてy軸方向側からアクチュエータユニットを見た図である。なお、本発明に係る構成は、主に、逆バネ機構、圧電素子支持部材の構成以外については比較例に係る構成と同じであるものとする。
【0042】
まず、図5(a)において、本発明に係る実施形態におけるアクチュエータユニット(アクチュエータユニットの一例)は、ニードル弁17と、圧電素子(ピエゾ素子)18と、圧電素子18に外嵌した板状の圧電素子支持部材65とを有する。また、アクチュエータユニットは、圧電素子支持部材65の先端部(図5(a)におけるz軸の+方向側の端部)にあり、ニードル弁17と隣接し、且つ圧電素子支持部材65の中心線M(図5(a)におけるz軸方向と平行をなす線)に対して線対称に位置する両翼形状の逆バネ機構である移動手段58(移動手段の一例)を有する。なお、この移動手段58は、アクチュエータの出力部に相当する。
【0043】
また、アクチュエータユニットは、圧電素子支持部材65と移動手段58に外嵌した規制部材63(規制部材の一例)を有する。そして、アクチュエータユニットは、圧電素子支持部材65(圧電素子支持部材の一例)と規制部材63とを固定する駆動部固定部材66と、圧電素子18の電極に接続された電圧印加用の一対のリード線59とを有する。
【0044】
さらに、アクチュエータユニットは、図5(b)に示すように、移動手段58の固定部58b(固定部の一例)と規制部材63とを貫通し、移動手段58と規制部材63とを固定する第1の固定部材62(固定部材の一例)と、圧電素子支持部材65と規制部材63とを貫通し、圧電素子支持部材65と規制部材63とを固定する第2の固定部材64を有する。なお、規制部材63や、第1の固定部材62および第2の固定部材64については、後述する。
【0045】
ここで、移動手段58について説明する。移動手段58は、圧電素子18の伸縮量に合わせ屈曲部58dが圧電素子18側に所定の距離移動することで、ニードル弁17を開閉する機能を持つ。また、移動手段58は、図5(a)に示すように、圧電素子支持部材65の中心線Mに対して線対称に配置された羽根形状(両翼形状)の部材であり、材質はSUS等の耐久性の高い金属が用いられる。また、移動手段58を成形するための加工方法としては、ワイヤーカットが挙げられる。
【0046】
そして、移動手段58は、ゴムや軟質樹脂、薄い金属板等といった変形可能な材質を成形加工した弾性部材であり、ニードル弁17の圧電素子18側の端面(図5(a)のニードル弁17の右側端面)に当接するようにして形成された台形状の変形部58a(弁体移動部の一例)を有する。また、移動手段58は、これを固定するための固定部58bと、圧電素子18の端面と連結されるガイド部58c(圧電素子の伸縮方向の他方の端部の一例)とを備えている。そして、台形状の変形部58aの長辺(図5(a)のz軸の-方向側の端部であり、台形の下底に相当)は、固定部58bと連結され、圧電素子18の伸長に応じて固定部58bに対してニードル弁17側に移動する屈曲部(屈曲辺)58d(移動部の一例)と接続(接合)する。
【0047】
ここで移動手段58の構成における動作の概略を説明する。なお、詳細は、後述する。このような構成において移動手段58は、圧電素子18に所定の電圧が印加すると圧電素子18が伸長することによりガイド部58cがノズル14側(図5(a)におけるz軸の+方向側)へ移動する。そして、移動手段58は、変形部58aの屈曲部58dの中央部付近を押圧すると共に、屈曲部58dの外縁部(周縁部)側が圧電素子18側に引き込まれるように変形する。これによって、ニードル弁17と連結されている変形部58aの頂部(図5(a)のz軸の+方向側の端部であり、台形の上底に相当)が圧電素子18側に移動する。これにより、ニードル弁17は、所定の距離だけ圧電素子18側に引き寄せられる。
【0048】
また、この移動手段58の変形部58aとニードル弁17の連結部である頂部(図5(a)のz軸の+方向側の端部であり、台形の上底に相当)と、屈曲部58dとの距離や屈曲部58dの長さを適宜調整することで、圧電素子18が伸長する長さよりもニードル弁17の移動距離を拡大することが可能である。
【0049】
次に、規制部材63、第1の固定部材62、第2の固定部材64について説明する。まず、規制部材63は、単一の部材であり、基準点を4か所設けられている。そして、図5(b)に示すように、アクチュエータユニットは、規制部材63を2枚有している。そして、2つの規制部材63は、板状の圧電素子支持部材65を両側(図5(b)のx軸側)から挟むように配置される。これによって、規制部材63の長手方向(図5(b)のz軸方向)は圧電素子18の長手方向(図5(b)のz軸方向)と平行になるように設けられる。固定部58bと圧電素子18を支持する位置である圧電素子支持部65aとの位置精度を向上させるためである。そして、後述するが、規制部材63には、圧電素子18を入れるための開口部である圧電素子用開口部63cが設けられている。図5(b)を見ると、圧電素子18が規制部材63からx軸方向に突出していることがわかる。
【0050】
また、上記した規制部材63の基準点の4か所は、移動手段58と第1の固定部材62との固定箇所および圧電素子支持部材65と第2の固定部材64との固定箇所になる。この4か所は、温度変化によりアクチュエータユニットにおける各部位の位置関係が変動することを最小限に抑えるようにしている。
【0051】
ここで、第1の固定部材62および第2の固定部材64は、規制部材63、圧電素子支持部材65、そして、移動手段58を固定する機能を有する。また、第1の固定部材62は、規制部材63と固定部58bとを固定し、固定部58bと移動部58dとの接続点である支点が固定部材62の中心軸を中心に回転しないようにしている。移動手段58の支点の位置ずれを防止するためである。なお、支点についての詳細は、後述する。そして、第1の固定部材62および第2の固定部材64の位置は、移動手段58の基準位置となる。
【0052】
第1の固定部材62および第2の固定部材64の形状は、一般的なカシメピンと同じ形状であり、材質としては洋白等のカシメ加工がし易い金属が挙げられる。また、第1の固定部材62および第2の固定部材64を形成する加工方法としては、作成がし易い切削等が挙げられる。
【0053】
ここで、図5(a)および図5(b)に示すように、第1の固定部材62は、移動手段58の固定部58bの位置を固定し、移動手段58と一体化することで後述する移動手段58の支点の位置がずれることを防止している。また、同図に示すように、第2の固定部材64は、圧電素子支持部材65の位置を固定する。そして、規制部材63は、固定部58bと圧電素子支持部材65の圧電素子18を支持する位置である圧電素子支持部65aとの距離を規制する。このようにすることで、アクチュエータユニットを液体吐出モジュール30のハウジング11に組み付ける前の段階で、固定部8bと圧電素子支持部65aとの距離を単一の部材で精度を出すことが可能となる。すなわち、本発明は、固定部58bの位置を決めている固定軸と、圧電素子18の支持位置である圧電素子支持部65aの位置を決めている固定軸とを、規制部材63といった単一の部材によって加工精度で決めることが可能となる。言い換えると、規制部材63は、固定部58bと圧電素子支持部65aとの位置を規制する機能に特化することができるため、これらの位置を規制するために適した材質、形状にすることや、適した加工方法を用いて構成することができる。
【0054】
また、上記のようにすることでアクチュエータユニットを液体吐出モジュール30のハウジング11に組み付ける前に、ニードル弁17の先端部までの距離や、圧電素子18を駆動したときのニードル弁17の移動量(リフト量)を計測、検査、調整等できる。その結果、多数のノズルを有する液体吐出ヘッドへの組み付けることで精度を出す場合に比べて、容易に精度を出すことが可能となり、組み立て性が向上する。
【0055】
図6は、本発明に係る規制部材の外観を示す図である。この図6を用いて、規制部材の構成をもう少し具体的に説明する。まず、規制部材63は、圧電素子18で生じる熱を外部に逃がすため、中心部を圧電素子18の外径よりも大きい面積分が切り抜かれた圧電素子開口部63c(開口部の一例)を有する直方体の形状をしている。圧電素子開口部63cには、圧電素子18が入るようになっている。なお、圧電素子開口部63cは、圧電素子18に接触しない程度の大きさを最低限確保する必要がある。
【0056】
また、規制部材63はインバー材(例えば、FeとNiの合金であり、特定の温度領域では線膨張係数が0となるもの)等といった熱膨張率(熱膨張係数)の小さい金属の材質で形成されている。また、規制部材63を形成するための加工方法としては、切削が挙げられる。そして、規制部材63は、圧電素子支持部材65と移動手段58の周囲を外嵌している。
【0057】
また、図6に示すように、規制部材63は、第1の固定部材62を挿入するための孔部である第1の固定部材挿入孔63aと、第2の固定部材64を挿入するための孔部である第2の固定部材挿入孔63bとを有する。第1の固定部材挿入孔63aには、第1の固定部材62が挿入され、また、第1の固定部材挿入孔63bには、第2の固定部材64が挿入される。そして、板状の圧電素子支持部材65と移動手段58と規制部材63とは、第1の固定部材62と第2の固定部材64とによって固定している。これにより温度変化による圧電素子18を支持する圧電素子支持部65aと後述する支点(移動手段58の固定部58bと屈曲部58dとの接続点)がとの位置関係が変動することを最小限に抑えている。
【0058】
ここで、規制部材63は、単一の部材として形成することが望ましい。この理由としては、次のようになる。仮に、規制部材63を2以上の複数の部材を組み合わせた部品にすると、その分の部品公差が発生してしまう。上記したように、本発明は、固定部58bと圧電素子支持部材65aとの位置関係が重要となるが、部品公差によってこれらの位置精度が低下し、これによりニードル弁の移動量のばらつきやノズル間での吐出性能のばらつきにつながる。そこで、これを防止する観点から、上記理由としている。
【0059】
図7は、本発明に係る実施形態における規制部材を取り除いたアクチュエータユニットを示す図である。図7(a)は、規制部材を取り除いたアクチュエータユニットを示した状態であり、図7(b)は、図7(a)においてy軸方向側からアクチュエータユニットを見た図である。図7は、図5の本発明に係る規制部材を取り除いたアクチュエータユニットを示した図ともいえる。
【0060】
まず、図7(a)に示すように、圧電素子支持部材65は、圧電素子18と圧電素子支持部材65との接続点であるガイド部58c、圧電素子支持部65aにより圧電素子18を固定して圧電素子18を収容する。すなわち、圧電素子支持部材65のガイド部58cと圧電素子支持部材65aとの間には、圧電素子18を配置することが可能な空間が設けられている。また、圧電素子18とニードル弁17とは、圧電素子支持部材65の中心線M(図7(a)におけるz軸方向と平行をなす線)上に圧電素子支持部材65を介して連結されている。このことから、圧電素子支持部材65は、圧電素子18の伸縮を支持するようにしている。
【0061】
また、図7(a)に示すように、圧電素子支持部材65は、移動手段58の固定部58b(ガイド部58c付近)に弁体側挿入孔58hを有し、圧電素子支持部65a付近に圧電素子側挿入孔65hを有する。また、この弁体側挿入孔58hは、図7(b)に示すように、x軸方向に沿って圧電素子支持部材65を貫通している。そして、弁体側挿入孔58hには、第1の固定部材62が挿入され、上記した規制部材63が圧電素子支持部材65に固定されるようになる。また、圧電素子側挿入孔65hは、図7(b)に示すように、x軸方向に沿って圧電素子支持部材65を貫通している。そして、圧電素子側挿入孔65hには、第2の固定部材64が挿入され、上記した規制部材63が圧電素子支持部材65に固定されるようになる。
【0062】
圧電素子支持部材65は、付勢手段としてガイド部材58cが位置する側に弾性変形可能なばね部67(弾性部材の一例)を、中心線M(図7(a)におけるz軸方向と平行をなす線)を軸として左右対称になる(図7(a)のy軸方向に沿って並ぶ)ように備えている。また、圧電素子支持部材65と移動手段58とは、ばね部67を介して接続している。
【0063】
ここで、ばね部67は、圧電素子支持部材65に圧電素子支持部材65の長手方向と直交する方向(図7(a)におけるy軸方向)から交互にクランク状になるようにスリットを設けることで形成し、これによってバネ機能を持たせている。
【0064】
また、ばね部67は、圧電素子18の長手方向(図7(a)のz軸方向)や上記中心線Mと並列になるように配置されている。そのため、ばね部67は、圧電素子18の形状に依存してバネの力(付勢力)が発生するようになる。このことから、ばね部67の付勢力は、圧電素子18に電圧を印加したときの伸縮する動き(変位)に対して同期しながら発生する。これによって、ばね部67は、圧電素子18の伸縮動作に合わせて圧電素子支持部材65を伸縮させるように弾性変形できるようになる。さらに、本実施形態では、各ばね部67のバネ定数は同じあるいは略同じにしている。
【0065】
また、圧電素子支持部材65は、圧電素子18と圧電素子支持部材65のガイド部58c側に圧電素子18の移動手段58を有している。このことから、圧電素子18の圧電素子支持部65aは、ばね部67と移動手段58と一体に形成されている。また、圧電素子支持部材65の形状は板状であり、材質としてはSUS等の耐久性の高い金属が用いられる。そして、圧電素子支持部材65を成形するための加工方法としては、ワイヤーカットが挙げられる。
【0066】
また、圧電素子支持部材65の圧電素子18の支持部間(ガイド部85c-圧電素子支持部65a間)の空間の長さは、圧電素子18の長さ(圧電素子18のz軸方向の大きさ)よりも短くしている。したがって、圧電素子18を空間の圧電素子18の支持部間(ガイド部85c-圧電素子支持部65a間)に嵌め込むとき、圧電素子支持部材65のばね部67が伸びるため、圧電素子18の支持部間(ガイド部85c-圧電素子支持部65a間)の空間の長さは、圧電素子18の長さ(圧電素子18のz軸方向の大きさ)の差分だけ伸ばされた状態になる。
【0067】
そして、本実施形態は、移動手段58、圧電素子支持部材65、およびばね部67は一体となって形成されている。これによって、アクチュエータユニットの小型化を図ることが可能となる。
【0068】
図8は、本発明に係る液体吐出モジュールの構成を示す図である。また、図8(a)は、アクチュエータユニットをハウジングに取り付けた状態を示した図であり、図8(b)は、図8(a)においてy軸方向側からアクチュエータユニットを見た図である。すなわち、図8は、図5の本発明に係るアクチュエータユニットをハウジングに取り付けた状態を示した図ともいえる。
【0069】
図8(a)に示すように、液体吐出モジュール30は、先端部側(図8(a)のz軸の+方向側)にノズル板15が設けられ、そのノズル板15には液体150であるインク150が吐出するノズル14が形成される。また、液体吐出モジュール30のハウジング11には、インク150を供給する注入口68が設けられている。そして、空洞となっているハウジング11の内部に、上記した駆動機構であるアクチュエータユニットを取り付ける。このとき、ニードル弁17の先端部がノズル14側に位置するように取り付ける。
【0070】
また、液体吐出モジュール30は、圧電素子支持部材65等を固定する駆動部固定部材66がハウジング11に固定されている。また、ハウジング11とニードル弁17との間には、前述したOリングなどのシール部材(封止部材)22を設けている。これにより、インク150が圧電素子18側に入るのを防止している。
【0071】
そして、図8(a)および(b)からわかるように、規制部材63はハウジング11には固定されず、所定の間隔を有する。また、これらの図から、本発明に係る移動手段58の固定部58bは、ハウジング11に固定されず、規制部材63によって固定されるようになる。
【0072】
<本発明に係るアクチュエータユニットの動作について>
図9は、本発明に係るアクチュエータユニットの動作を示すための図である。図9(a)は、所定の電圧を印加していないときの状態を示し、図9(b)は、所定の電圧を印加している状態を示している。なお、図9においては、本発明に係る規制部材63は除かれた構成を示している。そして、ここでは、図9を用いて移動手段がニードル弁を移動させる前後の状態や、テコの原理を用いている移動手段の支点、力点、作用点についても説明する。
【0073】
まず、図9(a)を用いて説明するが、逆バネ機構である移動手段58のガイド部58cと屈曲部58dとの接合点が力点となる。そして、圧電素子支持部材65の第1の固定部材62の中心軸付近の部位は、移動手段58の支点となり、移動手段58内の変形部58aと屈曲部(屈曲辺)58dとの接合点は、移動手段58の作用点となる。そして、リード線59を介して圧電素子18に所定電圧P1を印加すると、圧電素子18は、図9(b)の黒い矢印方向(図9(b)におけるz軸の+方向)に伸長する。テコの原理により移動手段58内の屈曲部58dと変形部58aとは、図9(b)の白い矢印方向(図9(b)におけるz軸の-方向)に示すように圧電素子18側に引き込まれるように変形する。
【0074】
これにより、ニードル弁17と連結されている変形部58aの頂部(図9(a)のz軸の+方向側の端部であり、台形の上底に相当)が圧電素子18側に移動する。そして、図9(b)に示すように、ニードル弁17は距離D1だけ圧電素子18側に引き寄せられる。
【0075】
そして、図10は、本発明に係る液体吐出モジュールの動作を示すための図である。図10(a)は、所定の電圧を印加していないときの状態を示し、図10(b)は、所定の電圧を印加している状態を示している。図10は、図9に示すような構成を液体吐出モジュールに適用させた場合を示した図ともいえる。
【0076】
上記したように、圧電素子18に所定の電圧P1が印加され、ニードル弁17と連結されている変形部58aの頂部(図10(a)のz軸の+方向側の端部であり、台形の上底に相当)が圧電素子18側に移動すると、ニードル弁17は距離D1だけ圧電素子18側に引き寄せられる。これを液体吐出モジュール30に適用させた場合は、図10(b)に示すように、ニードル弁17は距離D1だけ圧電素子18側に移動することでノズル14が開口し、流路に供給されている加圧液体がノズル14から吐出されるようになる。
【0077】
なお、上記構成は、圧電素子18にリード線59を介して所定の電圧P1が印加されることによりノズル14が開く方向(図10(b)のz軸の-方向)に動作するものである。そのため、圧電素子18に所定電圧P1を印加していないときには、ニードル弁17がノズル14を閉塞しているので、流路16に加圧液体が供給されていても、ノズル14から液体が吐出されることはない。
【0078】
<移動手段の動作の詳細について>
図11は、本発明に係る移動手段の詳細を説明するための図である。図11(a)は、所定の電圧を印加していないときの状態を示し、図11(b)は、所定の電圧を印加している状態を示している。なお、図11においては、本発明に係るアクチュエータユニットの圧電素子支持部材65の移動手段58の部分を拡大したものを示している。そして、ここでは、図11を用いて移動手段に焦点を当て、移動手段がニードル弁を移動させる前後の状態や、移動手段の支点、力点、作用点についてより詳しく説明する。
【0079】
まず、図11(a)に示すように移動手段58の固定部58bと屈曲部(屈曲辺)58dとの接合点が移動手段58の支点となる。また、固定部58bの第1の固定部材62が挿入される孔部である弁体側挿入孔58hは、第1の固定部材62の挿入によって支点の位置を固定する観点から支点の付近に位置する。
【0080】
そして、移動手段58内の屈曲部58dと変形部58aの接合点が移動手段58の作用点となり、ガイド部58cからニードル弁17側(図11(a)のz軸の+方向側)に延在する部位と屈曲部58dとの接合点が力点となる。
【0081】
この構成において、リード線59を介して圧電素子18に所定の電圧P1を印加すると、圧電素子18は、図11(b)の黒い矢印方向(図11(b)におけるz軸の+方向)に伸長する。これによって、力点を介して屈曲部58dに力がはたらき、テコの原理により支点を軸にして屈曲部58dが図11(b)の白い矢印方向(図11(b)におけるz軸の-方向)に示すように圧電素子18側に引き込まれるように変形する。そして、その変形により作用点が動作し、ニードル弁17と連結されている変形部58aも圧電素子18側に引き込まれるように変形し、変形部58aの頂部(図11(a)のz軸の+方向側の端部であり、台形の上底に相当)が圧電素子18側に移動する。これによって変形部58aと接続するニードル弁17は圧電素子18側に引き寄せられる。
【0082】
ここで、上記構成を採用することによって、本発明は、圧電素子の少ない伸縮でニードル弁を大きく移動させることが可能となる。例えば、「力点から支点までの距離」をyとし、「支点から作用点までの距離」は「力点から支点までの距離」の2倍である2yとなるとする。そして、ニードル弁の移動量は、例えば、「支点から力点までの距離」の4倍である4yにもなる。すなわち、本発明に係る移動手段を上記構成としている理由としては、テコの原理によって圧電素子からの小さい力を大きな移動量に変換することを可能にするからである。
【0083】
このことから、本発明に係るアクチュエータユニットは、圧電素子に所定の電圧を印加したときに、圧電素子の伸長する長さよりもニードル弁が移動する距離の方が長くなる構成といえる。そして、この構成によって、圧電素子を小型化することができ、低コスト化の実現につながる。
【0084】
<支点の位置のずれが及ぼすニードル弁の移動量への影響について>
本発明に係る移動手段は、上記した支点の位置に関わる固定部の組み付けが重要な要素となる。ここで、図12は、支点の位置のずれがニードル弁の移動量へ及ぼす影響を説明するための図である。この図を用いて、支点の位置のずれが及ぼすニードル弁の移動量への影響について説明する。
【0085】
まず、図12(a)は支点の位置が所定の位置からずれないで固定部を組み付けた場合を示す図である。これに対して、図12(b)は支点の位置が所定の位置からずれて固定部を組み付けた場合を示す図である。なお、図12(b)は支点が図12(a)に比べて圧電素子18側(z軸の-方向側)に位置が所定の位置から距離Δdずれて組み付けられているとする。このとき、支点の位置がずれることによって変形部58aや屈曲部58dが変形し、ニードル弁17を圧電素子18側に引き込み、これによってニードル弁17が圧電素子18側に移動するようになる。すなわち、圧電素子18に、特定の電圧を印加している場合と同様に、ニードル弁17を移動させることとなる。また、そのときの移動量D2は、支点の位置が変わること影響によって、「支点と力点との距離」や「支点と作用点との距離」との関係も変わることから、距離Δdに比べてかなり大きなものとなる。
【0086】
次に、図12(c)は図12(b)において所定の電圧P1を印加した場合を示す図である。図12(b)において、リード線59を介して圧電素子18に所定の電圧P1を印加すると、圧電素子18は、図12(b)の黒い矢印方向(図12(b)におけるz軸の+方向)に伸長する。これによって、力点を介して屈曲部58dに力がはたらき、テコの原理により支点を軸にして屈曲部58dが図11(b)の白い矢印方向(図12(b)におけるz軸の-方向)に示すように圧電素子18側に引き込まれるように変形する。それによって、作用点が作動し、これによって変形部58aと接続するニードル弁17は圧電素子18側に引き寄せられ、ニードル弁17は圧電素子18側にD3移動する。また、その移動は、支点が圧電素子18側にずれた状態から移動することとなる。なお、このときの移動量D3は、図12(b)の状態を基準としたものとする。
【0087】
ここで、図12(c)に示すように、支点の位置が所定の位置からずれて固定部を組み付けた場合、所定の電圧を印加してニードル弁を移動させるときは、図12(a)の場合に比べて、ニードル弁17の移動量は結果としてD2+D3となってしまう。すなわち、支点の位置がずれて固定されることは、ニードル弁の移動量が所望とする移動量に比べて大きく変わってしまうことになる。このことは、複数のノズルを備えた液体吐出ヘッドにおいては、ノズル間でのニードル弁の移動量のばらつきに大きく影響を及ぼし、これによってノズル間での吐出性能のばらつきにも影響を与える。そのため、このような不具合を防止する観点から、移動手段の固定部の位置の組み付けは所定の位置に的確に行い、且つ精度よく行う必要がある。
【0088】
上記のように本実施形態は、圧電素子18と、圧電素子18の伸縮方向に移動可能な弁体17と、圧電素18子の伸縮方向の一方の端部65aを支持する圧電素子支持部材65と、弁体17と、圧電素子18の伸縮方向の他方の端部58cとに連結し、且つ圧電素子18の伸長に応じて弁体を移動させる移動手段58と、を備えるアクチュエータユニットであって、移動手段58は、圧電素子支持部材65に対しての位置を固定する固定部58bを有し、アクチュエータユニットは、固定部58bの圧電素子支持部材65に対する位置を規制する規制部材63と、を備える。
【0089】
これによって、弁体の移動量のばらつきを低減する。
【0090】
さらに、上記のように本実施形態は、移動手段58は、圧電素子18と連結し圧電素子18の伸長に応じて、固定部58bに対して弁体17側に移動する移動部58dと、前記移動部58dの移動に応じて、固定部58bに対して弁体17を圧電素子18側に移動させる弁体移動部58aと、を有している。
【0091】
これによって、圧電素子の少ない伸長量で弁体であるニードル弁を大きく移動させることが可能となる、圧電素子を小型化することができ、低コスト化の実現につながる。
【0092】
さらに、上記のように本実施形態は、規制部材63の長手方向は、圧電素子18の長手方向と平行になるように設けられる。
【0093】
これによって、移動手段の固定部と圧電素子支持部との位置精度を向上させることができる。
【0094】
さらに、上記のように本実施形態は、規制部材63は、単一の部材で形成されている。
【0095】
これによって、移動手段の固定部と圧電素子支持部材との位置精度が、部品公差によって低下することに伴うニードル弁の移動量のばらつきが発生するのを防止する。
【0096】
さらに、上記のように本実施形態は、規制部材63と固定部58bとを固定する固定部材62を有し、固定部58bと前記移動部58dとの接続点が固定部材62の中心軸を中心に回転しない。
【0097】
これによって、移動手段の支点の位置ずれを防止することができる。
【0098】
さらに、上記のように本実施形態は、移動手段58と固定部材62とを一体化する。
【0099】
これによって、移動手段の固定部と圧電素子支持部との位置精度を向上させることができる。
【0100】
さらに、上記のように本実施形態は、圧電素子18に所定の電圧を印加したときに、圧電素子18の伸長する長さよりも弁体17が移動する距離の方が長くなるように形成されている。
【0101】
これによって、圧電素子を小型化することができ、低コスト化の実現につながる。
【0102】
さらに、上記のように本実施形態は、規制部材63を少なくとも2つ有し、固定部58bは、少なくとも2つの規制部材63によって挟持されることで固定される。
【0103】
これによって、移動手段の固定部と圧電素子支持部との位置精度を向上させることができる。
【0104】
さらに、上記のように本実施形態は、移動部58dと一方で連結し、他方で圧電素子支持部材65と連結していて、移動部58dを圧電素子18側に付勢する弾性部材67を有する。
【0105】
これによって、弾性部材の付勢力が、圧電素子に電圧を印加したときの伸縮する動き(変位)に対して同期しながら発生するようになる。
【0106】
さらに、上記のように本実施形態は、圧電素子支持部材65と、弾性部材67と、移動手段58とが、単一の部材に含まれる。
【0107】
これによって、小型化にすることが可能となる。
【0108】
さらに、上記のように本実施形態は、規制部材63は、圧電素子18の側部に対応する領域に開口部63cを有する。
【0109】
これによって、圧電素子で生じる熱を外部に逃がすことができる。
【0110】
<規制部材の熱膨張率について>
また、外気の熱や圧電素子自体から発する熱等と駆動機構であるアクチュエータユニットは、内外から熱の影響を受け、これによって、熱膨張を起こすことが想定される。そして、熱膨張は、ニードル弁の移動等に影響を及ぼす。このことから、本発明に係る規制部材の熱膨張率は、当該影響を抑える観点から重要となる。そこで、規制部材の熱膨張率の詳細について説明する。図13は、本発明に係る規制部材については、熱膨張率がニードル弁の移動量に影響を大きく及ぼすことを説明するための図である。図13(a)は、熱膨張が発生する前の状態を示しており、図13(b)は、熱膨張をした場合を示している。
【0111】
まず、図13(b)に示すように、アクチュエータユニットは駆動すると、駆動機構内の圧電素子18が発熱する。これによって、発生した熱は、圧電素子18に接続する圧電素子支持部材65、移動手段58、規制部材63、第1の固定部材62および第2の固定部材64へと伝達していき、各部品は熱膨張を起こし、各部品の体積が大きくなる。
【0112】
これにより、移動手段58のガイド部58cや屈曲部(屈曲辺)58dと変形部58aの接合点(逆バネ機構である移動手段58の作用点)、圧電素子支持部材65と移動手段58の基準位置である第1の固定部材62および第2の固定部材64の位置が大きく変化し、圧電素子18に特定の電圧を印加していなくても図に示す白い破線の矢印の方向に変形するようになる。そして、移動手段58内の屈曲部58dと変形部58aが圧電素子18側に引き込まれるように変形する可能性がある。これにより、ニードル弁17と連結されている変形部58aの頂部(図13(a)のz軸の+方向側の端部であり、台形の上底に相当)が圧電素子18側に移動し、例えば、ニードル弁17は図13(b)に示す距離D4だけ圧電素子18側に引き寄せられることでノズル14が開口するようになる。その結果として、圧電素子18に特定の電圧を印加していなくても流路16に供給されている加圧液体がノズル14から吐出され、インク漏れやノズル14の周囲にインク150が固着する等の不具合が発生する可能性がある。
【0113】
このような熱膨張の発生を防止するためには、本発明に係る規制部材63は、インバー材(例えば、FeとNiの合金であり、特定の温度領域では線膨張係数が0となるもの)等の熱膨張率が限りなく小さい金属にしている。これによって、駆動によって圧電素子18が発熱した場合でも、圧電素子支持部材65と移動手段58の基準位置を保持している規制部材63が、第1の固定部材62と、第2の固定部材64と、圧電素子支持部材65と、移動手段58とで一体となって固定されている。これによって、圧電素子18に接続する各部品が熱膨張しても、上記した不具合を防止することが可能となる。
【0114】
また、規制部材63の熱膨張率を圧電素子支持部材と比べてどのくらいに設定するかについて、図13(a)を用いて説明する。規制部材63の熱膨張率は、規制部材63が固定される圧電素子支持部材65や、駆動により発熱する圧電素子18等に比べて小さくする必要がある。そして、規制部材63の熱膨張率は、中でも規制部材63と直接接触する圧電素子支持部材65の熱膨張率よりも小さくする必要がある。この理由について、以下に説明する。なお、ここでは、規制部材の熱膨張率が圧電素子支持部材65や移動手段58の熱膨張率と等しい、あるいは近い値に設定されていることを前提に、以下で説明する。
【0115】
ここで、図13(a)に示すように、圧電素子支持部65aから第2の固定部材64の固定部までの距離をz1とし、第1の固定部材62から第2の固定部材64の固定部までの距離をz2とする。また、z2は、z1の20倍の距離であるとする。このとき、仮に、圧電素子支持部材65が熱膨張により圧電素子支持部材65の長手方向(図13(a)のz軸方向)に伸長したとする。すると、この伸長による変位量の関係は、z1の変位量に比べて、z2の変位量は、例えば、z1の20倍ほどの大きさになってしまう。この変位量の影響は、図12で説明したような支点の位置がずれることにつながり、さらに「支点と力点との距離」や「支点と作用点との距離」との関係にも影響を及ぼす。その結果、ニードル弁17の移動量にも影響を及ぼし、所望とする吐出性能を得ることができなくなる。
【0116】
そこで、このような熱膨張を防止するために、本発明に係る規制部材63は、少なくとも圧電素子支持部材65の熱膨張率よりも小さくすることで、上記した不具合を防止している。また、上記したように、本発明に係る規制部材63は、インバー材(例えば、FeとNiの合金であり、特定の温度領域では線膨張係数が0となるもの)等の熱膨張率が限りなく小さい金属にしているため、熱膨張による圧電素子支持部材65の伸長の防止効果がより向上する。
【0117】
なお、規制部材93の具体的な熱膨張率は、例えば、圧電素子支持部65aから第2の固定部材64の固定部までの距離と、第1の固定部材62から第2の固定部材64の固定部までの距離との関係で決めるようにすればよい。図13(a)に示した例でいえば、第1の固定部材62から第2の固定部材64の固定部までの距離z2の変位量は、圧電素子支持部65aから第2の固定部材64の固定部までの距離z1の20倍ほどの大きさになる。そのため、規制部材63の熱膨張率を圧電素子支持部材65の熱膨張率よりも1/20ほどに小さくすればよい。
【0118】
上記のように本実施形態は、規制部材63の材質は、少なくとも圧電素子支持部材65に対して熱膨張率の小さい金属から形成されている。
【0119】
これによって、ニードル弁の移動量のばらつき発生を防止できる。
【0120】
そして、以上説明したように、本発明は、アクチュエータユニットにおける逆バネ機構である移動手段の固定部の位置と、圧電素子の圧電素子支持部の位置とを規制部材によって固定する。これにより、液体吐出ヘッドにアクチュエータユニットを組み付ける際に組み付け性が向上する。そして、この組み付け性の向上は、ニードル弁の移動量のばらつきの低減につながり、さらには、複数のノズル間や液体吐出ヘッド間での液体の吐出性能(滴量、滴速度)のばらつきの低減につながる。
【0121】
<液体を吐出する装置の実施例の構成について>
次に、液体を吐出する装置の実施例の構成について、図を参照して説明する。なお、以下説明する構成は、上記した実施例に係る構成を適用することが可能である。また、本実施例以降の図で示すX,Y,X方向はこれまでの座標の定義と異なるものとする。
【0122】
<液体を吐出する装置の実施例の構成について>
次に、液体を吐出する装置の実施例の構成について、図を参照して説明する。なお、以下説明する構成は、上記した実施例に係る構成を適用することが可能である。また、本実施例以降の図で示すX,Y,X方向はこれまでの座標の定義と異なるものとする。
【0123】
図14は、液体を吐出する装置100(液体を吐出する装置の一例)の全体概略構成図である。図14(a)は液体を吐出する装置の側面図、図14(b)は同装置の平面図である。液体を吐出する装置100は、対象物の一例である液体付与対象500に対向して設置されている。液体を吐出する装置100は、X軸レール101と、このX軸レール101と交差するY軸レール102と、X軸レール101及びY軸レール102と交差するZ軸レール103を備える。特に、本実施形態においては、各レール101,102,103は互いに直交する方向に延在する。
【0124】
Y軸レール102は、X軸レール101がY軸方向に移動可能なようにX軸レール101を保持する。また、X軸レール101は、Z軸レール103がX軸方向に移動可能なようにZ軸レール103を保持する。そして、Z軸レール103は、キャリッジ1(吐出ヘッド支持部の一例)がZ軸方向に移動可能なようにキャリッジ1を保持する。
【0125】
液体を吐出する装置100は、キャリッジ1をZ軸レール103に沿ってZ軸方向に動かす第1のZ方向駆動部92と、Z軸レール103をX軸レール101に沿ってX軸方向に動かすX方向駆動部72を備える。また、液体を吐出する装置100は、X軸レール101をY軸レール102に沿ってY軸方向に動かすY方向駆動部82を備える。さらに、液体を吐出する装置100は、キャリッジ1に対してヘッド保持体70をZ軸方向に動かす第2のZ方向駆動部93を備える。
【0126】
前述した液体吐出ヘッドは、液体吐出ヘッド10のノズル14(図2参照)が液体付与対象500に対向するようにヘッド保持体70に取り付けられる。このように構成された 液体を吐出する装置100は、キャリッジ1をX軸、Y軸及びZ軸の方向に動かしながら、ヘッド保持体70に取り付けられた液体吐出ヘッドから液体付与対象500に向けて液体の一例であるインクを吐出し、液体付与対象500に描画を行う。
【0127】
次に、液体吐出装置の別の実施例であるインクジェットプリンタ201の構成について、図を参照して、以下に説明する。
【0128】
図15に示されるように、本実施形態に係るインクジェットプリンタ201は、プリントヘッド202と、X-Yテーブル203と、カメラ204と、制御部209と、駆動部211などを備えている。
【0129】
プリントヘッド202は、被塗装物Mの被塗装面に向けてインク(液体)を吐出するインクジェット方式の液体吐出ヘッドである。なお、ここでいう「インク」には「塗料」も含まれるものとする。プリントヘッド202は、複数の弁型ノズルを備え、インクは各弁型ノズルからプリントヘッド202の吐出面とは垂直な方向に吐出される。すなわち、プリントヘッド202のインクの吐出面は、X-Yテーブル203の移動によって形成されるXY平面と平行であり、各弁型ノズルから吐出されるインクドットはX-Y平面に対して垂直な方向に吐出される。また、各弁型ノズルから吐出されるインクの吐出方向はそれぞれ平行に吐出される。各弁型ノズルは、それぞれ所定の色のインクタンクと連結されている。また、インクタンクが加圧装置によって加圧されていることにより、各弁型ノズルと被塗装物Mのプリント対象面との距離が20cm程度であれば、問題なく各弁型ノズルからインクドットをプリント対象面に吐出することができる。
【0130】
X-Yテーブル203は、プリントヘッド202及びカメラ204を互いに直交するX方向及びY方向に移動させる機構を備えている。具体的に、X-Yテーブル203は、プリントヘッド202及び後述のカメラ204を保持するスライダをX方向に移動させるX軸移動機構205と、X軸移動機構205を2つのアームで保持しつつY方向に移動させるY軸移動機構206とを備えている。また、Y軸移動機構206にはシャフト207が 設けられており、このシャフト207をロボットアーム208が保持して駆動することにより、プリントヘッド202を被塗装物Mに対してプリントを行うべき所定位置に自由に配置できる。例えば、被塗装物Mが自動車である場合、ロボットアーム208は、プリントヘッド202を図16に示されるような自動車の上部あるいは図17に示されるような 自動車の横位置などに配置できる。なお、ロボットアーム208の動作は、予め制御部209に格納されたプログラムに基づいて制御される。
【0131】
カメラ204は、被塗装物Mのプリント対象面を撮影するデジタルカメラなどの撮像手段である。カメラ204は、X軸移動機構205及びY軸移動機構206によってX方向及びY方向に移動しながら被塗装物Mのプリント対象面の所定の範囲を一定の微小な間隔で撮影する。カメラ204のレンズ及び解像度などの仕様は、プリント対象面の所定の範囲について複数の細分割画像の撮影が可能なように適宜選択される。カメラ204による プリント対象面の複数の細分割画像の撮影は、後述の制御部209によって連続的、かつ、自動的に行われる。
【0132】
制御部209は、カメラ204によって撮影された画像を編集する画像編集ソフトウエアSと予め設定された制御プログラムに基づいてX-Yテーブル203を動作させてプリントヘッド202のプリント動作(インク吐出動作)を制御する。制御部209は、いわゆるマイクロコンピュータによって構成され、各種のプログラム及び撮影済みの画像のデータのほかプリントすべき画像のデータなどを記録保存する記憶装置、プログラムに従って各種の処理を実行する中央処理装置、キーボードやマウスなどの入力装置、必要に応じてDVDプレイヤーなどを備えている。さらに、制御部209は、モニタ210を備えている。モニタ210は、制御部209への入力情報や制御部209による処理結果などを表示する。
【0133】
制御部209は、カメラ204によって撮影された複数の細分割画像データを、画像処理ソフトを用いて画像処理を行い、被塗装物Mの平面でないプリント対象面を平面に投影された合成プリント面として生成する。また、制御部209は、既にプリント対象面にプリントされた画像に対して連続するようにプリントされる描画対象画像を、合成プリント面に重ね、描画対象画像がプリント済み画像の縁端部と連続するように編集を行い、描画対象編集画像を生成する。例えば、図18(c)に示した描画対象画像であるプリント画像252bについて、隣接するプリント画像252aとの間に非プリント領域253が形成されないようにプリント画像252bを合成プリント面に整合するように編集することにより、描画対象編集画像を生成する。そして、生成された描画対象編集画像に基づいて プリントヘッド202からプリント対象面にインクが吐出されることにより、新しい画像がプリント済みの画像との間に隙間を生じることなくプリントされる。なお、カメラ204による複数の細分割画像の撮影及びプリントヘッド202の各ノズルからのインクの吐出によるプリントの動作は、制御部209によって動作制御された駆動部211によって行われる。
【0134】
図18(a)においては、球状物の液体付与対象251の球面状の表面にインクジェットノズルによって二次元の四角形を形成するような場合に、ノズルヘッド250に搭載された各インクジェットノズルから噴射されるインクの吐出方向が図示されている。図18(b)においては、ノズルヘッド250に搭載された各インクジェットノズルから噴射されるインクはノズルヘッド250に対して垂直方向に吐出されるので、液体付与対象251の表面にプリントされたプリント画像252aが、周辺が歪んだ形状の四角形となることが図示されている。
【0135】
<電極の製造装置>
本発明に係る実施形態は、電極および電気化学素子の製造装置を含む。以下、電極の製造装置について説明する。図19は、本実施形態に係る電極の製造装置の一例を示す模式図である。電極の製造装置は、上記した液体を吐出する装置を用いて液体組成物を吐出することで電極材料を有する層を有する電極を製造する装置である。
【0136】
<電極材料を有する層形成手段、電極材料を有する層形成工程>
本実施形態における吐出手段は、上記した液体を吐出する装置である。前記吐出により、対象物上に液体組成物を付与して、液体組成物層を形成することができる。前記対象物(以下、「吐出対象物」と称することがある。)としては、電極材料を有する層を形成する対象であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電極基体(集電体)や活物質層、固体電極材料を有する層などが挙げられる。また、吐出手段及び吐出工程は、吐出対象物に対して電極材料を有する層を形成することが可能であれば、直接液体組成物を吐出することで電極材料を有する層を形成する構成であってもよく、間接的に液体組成物を吐出することで電極材料を有する層を形成する構成であってもよい。
【0137】
<その他の構成、その他の工程>
電極合材層の製造装置におけるその他の構成としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱手段などが挙げられる。電極合材層の製造方法におけるその他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱工程などが挙げられる。
【0138】
<加熱手段、加熱工程>
前記加熱手段は、前記吐出手段により吐出された液体組成物を加熱する手段である。加熱工程は、前記吐出工程で吐出された液体組成物を加熱する工程である。前記加熱により、前記液体組成物層を乾燥させることができる。
【0139】
<直接液体組成物を吐出することで電極材料を有する層を形成する構成>
ここで、電極の製造装置の一例として、電極基体(集電体)上に活物質を含む電極合材層を形成する電極製造装置を説明する。電極製造装置は、吐出対象物を有する印刷基材704上に、液体組成物を付与して液体組成物層を形成する工程を含む吐出工程部110と、液体組成物層を加熱して電極合材層を得る加熱工程を含む加熱工程部130を備える。電極製造装置は、印刷基材704を搬送する搬送部705を備え、搬送部705は、吐出工程部110、加熱工程部130の順に印刷基材704をあらかじめ設定された速度で搬送する。前記活物質層などの吐出対象物を有する印刷基材704の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。吐出工程部110は、印刷基材704上に液体組成物を付与する付与工程を実現する本発明の印刷装置281aと、液体組成物を収容する収容容器281bと、収容容器281bに貯留された液体組成物を印刷装置281aに供給する供給チューブ281cを備える。
【0140】
収容容器281bは液体組成物707を収容し、吐出工程部110は、印刷装置281aから液体組成物707を吐出して、印刷基材704上に液体組成物707を付与して液体組成物層を薄膜状に形成する。なお、収容容器281bは、電極合材層の製造装置と一体化した構成であってもよいが、電極合材層の製造装置から取り外し可能な構成であってもよい。また、電極合材層の製造装置と一体化した収容容器や電極合材層の製造装置から取り外し可能な収容容器に添加するために用いられる容器であってもよい。
【0141】
収容容器281bや供給チューブ281cは、液体組成物707を安定して貯蔵及び供給できるものであれば任意に選択可能である。
【0142】
加熱工程部130は、図19に示すように、加熱装置703を有し、液体組成物層に残存する溶媒を、加熱装置703により加熱して乾燥させて除去する溶媒除去工程を含む。これにより電極合材層を形成することができる。加熱工程部130は、溶媒除去工程を減圧下で実施してもよい。
【0143】
加熱装置703としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基板加熱、IRヒータ、温風ヒータなどが挙げられ、これらを組み合わせてもよい。また、加熱温度や時間に関しては、液体組成物707に含まれる溶媒の沸点や形成膜厚に応じて適宜選択可能である。
【0144】
図20は、本実施形態に係る電極製造装置(液体を吐出する装置)の他の一例を示す模式図である。液体を吐出する装置100は、ポンプ810と、制御バルブ811、812を制御することにより、液体組成物が吐出ヘッド1、タンク807、チューブ808を循環することが可能である。また、液体を吐出する装置100は、外部タンク813が設けられており、タンク807内の液体組成物が減少した際に、ポンプ810と、制御バルブ811、812、814を制御することにより、外部タンク813からタンク807に液体組成物を供給することも可能である。本実施形態に係る電極製造装置を用いると、吐出対象物の狙ったところに液体組成物を吐出することができる。前記電極合材層は、例えば、電気化学素子の構成の一部として、好適に用いることができる。前記電気化学素子における前記電極合材層以外の構成としては、特に制限はなく、公知のものを適宜選択することができ、例えば、正極、負極、セパレータなどが挙げられる。
【0145】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0146】
[第1態様]
第1態様は、圧電素子(例えば、圧電素子18)と、前記圧電素子の伸縮方向に移動可能な弁体(例えば、ニードル弁17)と、前記圧電素子の伸縮方向の一方の端部(例えば、圧電素子支持部65a)を支持する圧電素子支持部材(例えば、圧電素子支持部材65)と、前記弁体と、前記圧電素子の前記伸縮方向の他方の端部(例えば、ガイド部58c)とに連結し、且つ前記圧電素子の伸長に応じて前記弁体を移動させる移動手段(例えば、移動手段58)と、を備えるアクチュエータユニットであって、前記移動手段は、前記圧電素子支持部材に対しての位置を固定する固定部(例えば、固定部58b)を有し、前記アクチュエータユニットは、前記固定部の前記圧電素子支持部材に対する位置を規制する規制部材(例えば、規制部材63)と、を備えることを特徴としている。
【0147】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記移動手段は、前記圧電素子と連結し該圧電素子の伸長に応じて、前記固定部に対して前記弁体側に移動する移動部(例えば、屈曲部58d)と、前記移動部の移動に応じて、前記固定部に対して前記弁体を前記圧電素子側に移動させる弁体移動部(例えば、変形部58a)と、を有していることを特徴としている。
【0148】
[第3態様]
第3態様は、第1態様または第2態様において、前記規制部材の長手方向は、前記圧電素子の長手方向と平行になるように設けられることを特徴としている。
【0149】
[第4態様]
第4態様は、第1態様乃至第3態様のいずれかにおいて、前記規制部材は、単一の部材で形成されていることを特徴としている。
【0150】
[第5態様]
第5態様は、第2態様において、前記規制部材と前記固定部とを固定する固定部材(例えば、第1の固定部材62)を有し、前記固定部と前記移動部との接続点(例えば、移動手段58の支点)が前記固定部材の中心軸を中心に回転しないことを特徴としている。
【0151】
[第6態様]
第6態様は、第5態様のいずれかにおいて、前記移動手段と前記固定部材とを一体化することを特徴としている。
【0152】
[第7態様]
第7態様は、第1態様乃至第6態様のいずれかにおいて、前記規制部材の材質は、少なくとも前記圧電素子支持部材に対して熱膨張率の小さい金属から形成されていることを特徴としている。
【0153】
[第8態様]
第8態様は、第1態様乃至第7態様のいずれかにおいて、前記圧電素子に所定の電圧を印加したときに、前記圧電素子の伸長する長さよりも前記弁体が移動する距離の方が長くなるように形成されていることを特徴としている。
【0154】
[第9態様]
第9態様は、第1態様乃至第8態様のいずれかにおいて、前記規制部材を少なくとも2つ有し、前記固定部は、前記少なくとも2つの規制部材によって挟持されることで固定されることを特徴としている。
【0155】
[第10態様]
第10態様は、第2態様において、前記移動部と一方で連結し、他方で前記圧電素子支持部材と連結していて、前記移動部を前記圧電素子側に付勢する弾性部材(例えば、ばね部67)を有することを特徴としている。
【0156】
[第11態様]
第11態様は、第10態様において、前記圧電素子支持部材と、前記弾性部材と、前記移動手段とが、単一の部材に含まれることを特徴としている。
【0157】
[第12態様]
第12態様は、第1態様乃至第11態様のいずれかにおいて、前記規制部材は、前記圧電素子の側部に対応する領域に開口部(例えば、圧電素子用開口部63c)を有することを特徴としている。
【0158】
[第13態様]
第13態様は、第1態様乃至第12態様のいずれかに記載のアクチュエータユニットと、液体(例えば、インク150)を吐出するノズル孔(例えば、ノズル14)と、前記ノズル孔に連通する液室(例えば、流路16)と、前記アクチュエータユニットを収容する収容部(例えば、空間11a)と、有する筐体(例えば、ハウジング11)と、を備え、前記弁体は、前記圧電素子の伸長に応じて前記ノズル孔を開放することを特徴とする液体吐出ヘッド(例えば、液体吐出ヘッド10)である。
【0159】
[第14態様]
第14態様は、第13態様に記載の液体吐出ヘッドを有する液体を吐出する装置(例えば、液体を吐出する装置100)である。
【符号の説明】
【0160】
10 液体吐出ヘッド
11、1011 ハウジング
14 ノズル(吐出口)
15 ノズル板
16 流路(液室)
17 ニードル弁(開閉弁、弁体)
18 圧電素子(駆動体)
19 圧電素子規制部材
30、1030 液体吐出モジュール
40 駆動制御装置
41 波形発生回路(駆動パルス生成部)
58 移動手段
58a、1058a 変形部
58b、1058b 固定部
58c、1058c ガイド部
58d、1058d 屈曲部(屈曲辺)
58h 弁体側挿入孔
59 リード線
60 ヘッドユニット
62 第1の固定部材
63 規制部材
63a 第1の固定部材挿入孔
63b 第2の固定部材挿入孔
63c 圧電素子用開口部
64 第2の固定部材
65、1065 圧電素子支持部材
65a 圧電素子支持部
65h 圧電素子側挿入孔
66 駆動部固定部材
67 ばね部
68、1068 注入口
100 液体を吐出する装置
150 インク(液体)
1058 逆バネ機構
【先行技術文献】
【特許文献】
【0161】
【特許文献1】特開2019-122955号公報
図1
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