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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134941
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】成膜装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/12 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240927BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C23C14/12
H01L21/31 B
C08G18/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045407
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
(72)【発明者】
【氏名】野沢 秀二
【テーマコード(参考)】
4J034
4K029
5F045
【Fターム(参考)】
4J034BA00
4J034BA02
4J034CA01
4J034CA12
4J034CC08
4J034PA03
4K029AA24
4K029BA62
4K029CA11
4K029DA05
4K029DA06
4K029DA08
4K029DB06
4K029EA01
4K029EA03
4K029EA04
4K029EA08
4K029JA01
5F045AA06
5F045AB39
5F045AC00
5F045AC15
5F045AD04
5F045AD05
5F045AE21
5F045BB02
5F045BB09
5F045DP03
5F045DQ10
5F045EE02
5F045EE20
5F045EF05
5F045EG02
5F045EK07
(57)【要約】
【課題】膜厚の均一性を保ちつつ、成膜効率を向上させる。
【解決手段】成膜装置は、第1の気化器と、第2の気化器と、第1の配管と、第2の配管と、チャンバとを備える。第1の気化器は、イソシアネートを含む第1のモノマーを気化させる。第2の気化器は、第1のモノマーと反応して重合体を形成する第2のモノマーを気化させる。チャンバは、基板が収容される内部空間を有し、第1の配管および第2の配管に接続されている。また、チャンバは、第1の配管を介して内部空間に供給された第1のモノマーと、第2の配管を介して内部空間に供給された第2のモノマーとを用いた蒸着重合により、基板に重合体の膜を形成する。第1の気化器は、第1のモノマーを120℃以下の温度に加熱する。第1の気化器の内部の圧力はチャンバ内の圧力以上であり、第1の気化器の内部記チャンバ内との差圧は、1Torr以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネートを含む第1のモノマーを気化させる第1の気化器と、
前記第1のモノマーと反応して重合体を形成する第2のモノマーを気化させる第2の気化器と、
前記第1の気化器に接続された第1の配管と、
前記第2の気化器に接続された第2の配管と、
基板が収容される内部空間を有し、前記第1の配管および前記第2の配管に接続され、前記第1の配管を介して前記内部空間に供給された第1のモノマーと、前記第2の配管を介して前記内部空間に供給された第2のモノマーとを用いた蒸着重合により、前記基板に重合体の膜を形成するチャンバと
を備え、
前記第1の気化器は、前記第1のモノマーを120℃以下の温度に加熱し、
前記第1の気化器の内部の圧力は前記チャンバ内の圧力以上であり、
前記第1の気化器の内部と前記チャンバ内との差圧は、1Torr以下である成膜装置。
【請求項2】
前記チャンバの圧力は、1Torr以上2Torr以下の範囲内の圧力である請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記第1の気化器の内部の圧力は、2Torr以下である請求項1または2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記第1の気化器は、バブリング方式により前記第1のモノマーを気化させる請求項1に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記第1の気化器の気化速度は、10sccm以上である請求項1に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記チャンバ内での前記基板への成膜レートは、10nm/min以上である請求項1に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記チャンバ内で前記基板に成膜される重合体の膜の厚さの均一性は、35%未満である請求項1に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記第1の配管には、前記第1の配管のコンダクタンスを調整するバルブが設けられている請求項1に記載の成膜装置。
【請求項9】
前記第2のモノマーは、アミンを含み、
前記重合体の膜には、尿素結合が含まれる請求項1に記載の成膜装置。
【請求項10】
前記第2のモノマーは、アルコールであり、
前記重合体の膜には、ウレタン結合が含まれる請求項1に記載の成膜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の種々の側面および実施形態は、成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、「被処理体Wに膜を生成するために用いられる複数種類の原料が、二種類の原料、例えば、第1の原料としての原料Aおよび第2の原料としての原料B、である場合を説明する。例えば、被処理体Wにポリ尿素の膜を生成する場合には、原料Aおよび原料Bは、例えば、ジイソシアナートおよびジアミンである。成膜装置1において、被処理体Wの表面においてジイソシアナートおよびジアミンを蒸着重合させることによって、被処理体Wの表面にポリ尿素の膜を生成する。」ことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-218616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、膜厚の均一性を保ちつつ、成膜効率を向上させることができる成膜装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面における成膜装置は、第1の気化器と、第2の気化器と、第1の配管と、第2の配管と、チャンバとを備える。第1の気化器は、イソシアネートを含む第1のモノマーを気化させる。第2の気化器は、第1のモノマーと反応して重合体を形成する第2のモノマーを気化させる。第1の配管は、第1の気化器に接続されている。第2の配管は、第2の気化器に接続されている。チャンバは、基板が収容される内部空間を有し、第1の配管および第2の配管に接続されている。また、チャンバは、第1の配管を介して内部空間に供給された第1のモノマーと、第2の配管を介して内部空間に供給された第2のモノマーとを用いた蒸着重合により、基板に重合体の膜を形成する。第1の気化器は、第1のモノマーを120℃以下の温度に加熱する。第1の気化器の内部の圧力はチャンバ内の圧力以上であり、第1の気化器の内部記チャンバ内との差圧は、1Torr以下である。
【発明の効果】
【0006】
本開示の種々の側面および実施形態によれば、膜厚の均一性を保ちつつ、成膜効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態における成膜装置の一例を示す概略図である。
図2図2は、イソシアネートの質量変化の一例を示す図である。
図3図3は、チャンバ内の圧力と成膜レートとの関係の一例を示す図である。
図4図4は、チャンバ内の圧力と膜厚の均一性との関係の一例を示す図である。
図5図5は、イソシアネートおよびアミンの供給量を一定に制御した場合のチャンバ内の圧力、成膜レート、および膜厚の均一性の関係の一例を示す図である。
図6図6は、気化器内の圧力と気化速度との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、成膜装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、開示される成膜装置が限定されるものではない。
【0009】
蒸着重合により基板に重合体の膜を形成する場合、チャンバ内へのモノマーのガスの供給量を増やすことにより、成膜レートを高めることができる。気化器においてモノマーの温度を上昇させると、モノマーの蒸気圧が上昇し、チャンバ内へのモノマーのガスの供給量を増やすことができる。しかし、モノマーの温度を上げ過ぎると、モノマーによっては、熱により変質してしまい、揮発性が低下してしまう場合がある。モノマーの揮発性が低下すると、チャンバ内へのモノマーのガスの供給量が逆に減少してしまう。
【0010】
また、チャンバ内へのモノマーのガスの供給量を増やすために、気化器において、キャリアガスの流量を増加させることが考えられる。この場合、チャンバ内へのモノマーの供給量は増えるが、モノマーと共にキャリアガスの供給量も増えるため、チャンバ内においてモノマーの濃度がそれほど高まらない。チャンバ内のモノマーの量を増やすためにチャンバの圧力を高めることも考えられるが、チャンバの圧力が高まると、膜厚の均一性が低下する。
【0011】
そこで、本開示は、膜厚の均一性を保ちつつ、成膜効率を向上させることができる技術を提供する。
【0012】
[成膜装置10の構成]
図1は、本開示の一実施形態における成膜装置10の一例を示す概略図である。成膜装置10は、チャンバ11、排気機構12、シャワーヘッド16、およびステージ17を有する。本実施形態において、成膜装置10は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)装置である。
【0013】
排気機構12は、チャンバ11内のガスを排気する真空ポンプと、チャンバ11内の圧力を調整する圧力調整バルブとを有する。チャンバ11内は、排気機構12によって予め定められた圧力の真空雰囲気に制御される。
【0014】
チャンバ11には、シャワーヘッド16を介して、複数種類の原料モノマーが供給される。本実施形態において、複数種類の原料モノマーは、例えばイソシアネートおよびアミンである。シャワーヘッド16には、イソシアネートを液体で収容する原料供給源13aが、配管14aを介して接続されている。また、シャワーヘッド16には、アミンを液体で収容する原料供給源13bが、配管14bを介して接続されている。イソシアネートは第1のモノマーの一例であり、アミンは第2のモノマーの一例である。配管14aは第1の配管の一例であり、配管14bは第2の配管の一例である。
【0015】
原料供給源13aから供給されたイソシアネートの液体は、配管14aに介在する気化器15aにより気化される。気化器15aによって気化されたイソシアネートの蒸気は、配管14aを介してシャワーヘッド16に導入される。また、原料供給源13bから供給されたアミンの液体は、配管14bに介在する気化器15bにより気化される。気化器15bによって気化されたアミンの蒸気は、配管14bを介してシャワーヘッド16に導入される。気化器15aおよび気化器15bは、例えばバブリング方式により原料モノマーを気化させる。気化器15aは第1の気化器の一例であり、気化器15bは第2の気化器の一例である。
【0016】
シャワーヘッド16は、例えばチャンバ11の上部に設けられ、下面に多数の吐出孔が形成されている。シャワーヘッド16は、配管14a介して導入されたイソシアネートの蒸気および配管14b介して導入されたアミンの蒸気を、別々の吐出孔からチャンバ11内にシャワー状に吐出する。
【0017】
チャンバ11内には、ステージ17が設けられている。ステージ17は、図示しない温度調節機構を有する。ステージ17には、成膜対象の基板Wが載せられる。ステージ17は、原料供給源13aおよび原料供給源13bからそれぞれ供給された原料モノマーの蒸着重合に適した温度となるように、温度調節機構により基板Wの温度を制御する。蒸着重合に適した温度は、原料モノマーの種類に応じて定めることができる。蒸着重合に適した温度は、例えば60℃~100℃の範囲内の温度である。
【0018】
このような成膜装置10を用いて、基板Wの表面において2種類の原料モノマーの蒸着重合反応を起こすことにより、基板Wの表面に有機膜が積層される。2種類の原料モノマーがイソシアネートおよびアミンである場合、基板Wの表面には、ポリ尿素の重合体の膜が積層される。
【0019】
本実施形態における成膜条件は、例えば以下の通りである。
基板Wの温度:80℃
気化器15a内のイソシアネートの温度:120℃
気化器15a内の圧力:1Torr(133Pa)
気化器15a内のキャリアガスの流量:50sccm(8.33×10-73/s)
イソシアネートの蒸気の流量:10sccm
気化器15b内のアミンの温度:120℃
気化器15b内の圧力:1Torr
気化器15b内のキャリアガスの流量:50sccm
アミンの蒸気の流量:20sccm
チャンバ11内の圧力:1Torr
チャンバ11内の添加ガスの流量:100sccm
なお、キャリアガスおよび添加ガスは窒素ガスである。
【0020】
[イソシアネートの熱変化]
蒸着重合により基板Wに重合体の膜を形成する場合、チャンバ11内へのモノマーのガスの供給量を増やすことにより、成膜レートを高めることができる。気化器15aおよび気化器15b内においてモノマーの温度を上昇させると、モノマーの蒸気圧が上昇し、チャンバ11内へのモノマーのガスの供給量を増やすことができる。しかし、例えばイソシアネートのように、温度を上げ過ぎると熱により変質してしまい、揮発性が低下してしまうモノマーが存在する。揮発性が低下すると、チャンバ11へのモノマーのガスの供給量が逆に減少してしまう。
【0021】
図2は、イソシアネートの質量変化の一例を示す図である。図2は、イソシアネートの質量変化を示している。図2において、試料1は室温で保存したイソシアネートの質量変化を示しており、試料2は150℃で1週間放置した後のイソシアネートの質量変化を示しており、試料3は150℃で2週間放置した後のイソシアネートの質量変化を示している。また、図2において、試料3は150℃で4週間放置した後のイソシアネートの質量変化を示しており、試料4は150℃で8週間放置した後のイソシアネートの質量変化を示している。試料4は、見た目にも着色があり、変質していることが分かった。
【0022】
図2に例示されるように、イソシアネートは、150℃以上に加熱されると、熱により自己重合し、揮発性が低い別の物質に変化する。そのため、イソシアネートを加熱することにより、蒸気圧を上昇させ、イソシアネートの供給量を増やすことは難しい。
【0023】
そのため、イソシアネートを含む第1のモノマーは、例えば120℃以下の温度範囲内で取り扱うことが好ましい。
【0024】
[チャンバ11内の圧力と成膜レートとの関係]
図3は、チャンバ11内の圧力と成膜レートとの関係の一例を示す図である。図3の実験では、排気機構12内の圧力調整バルブを制御することにより、チャンバ11内の圧力が制御された。
【0025】
図3に例示されるように、チャンバ11内の圧力が高くなるに従い、成膜レートが高くなり、チャンバ11内の圧力が低くなるに従い、成膜レートが低くなっている。図3の例では、チャンバ11内の圧力が1Torrの場合、成膜レートは10nm/minであった。
【0026】
スループットの観点では、成膜レートは10nm/min以上であることが好ましい。そのため、図3を参照すると、チャンバ11内の圧力は1Torr以上であることが好ましい。
【0027】
[チャンバ11内の圧力と膜厚の均一性との関係]
図4は、チャンバ11内の圧力と膜厚の均一性との関係の一例を示す図である。図4の実験では、排気機構12内の圧力調整バルブを制御することにより、チャンバ11内の圧力が制御された。
【0028】
図4に例示されるように、チャンバ11内の圧力が高くなるに従い、膜厚の均一性が悪化し、チャンバ11内の圧力が低くなるに従い、膜厚の均一性が良くなっている。図4に例示されるように、チャンバ11内の圧力が1.5Torrの場合、膜厚の均一性は30.9%であり、チャンバ11内の圧力が3.0Torrの場合、膜厚の均一性は38.5%であった。
【0029】
基板Wに形成される半導体装置の品質のばらつきを抑える観点では、膜厚の均一性は35%未満であることが好ましい。そのため、図4を参照すると、チャンバ11内の圧力は1.5Torr以下であることが好ましい。
【0030】
図5は、イソシアネートおよびアミンの供給量を一定に制御した場合のチャンバ11内の圧力、成膜レート、および膜厚の均一性の関係の一例を示す図である。図5の実験では、排気機構12内の圧力調整バルブの開度を一定に保った状態で、添加ガスの流量を変えることにより、チャンバ11内の圧力が調整された。添加ガスは、窒素ガスである。
【0031】
図5に例示されるように、イソシアネートおよびアミンの供給量を一定に保った場合であっても、チャンバ11内の圧力が高くなるに従い、成膜レートが増加するが、膜厚の均一性が悪化する。一方、イソシアネートおよびアミンの供給量を一定に保った場合であっても、チャンバ11内の圧力が低くなるに従い、成膜レートが減少するが、膜厚の均一性が良くなる。なお、図5の例では、成膜レートの値が図3の値よりも大きいが、これは、チャンバ環境により成膜速度と均一性を最適化させたためである。
【0032】
[気化器15a内の圧力と気化速度との関係]
図6は、気化器15a内の圧力と気化速度との関係の一例を示す図である。イソシアネートを気化させる気化器15aにおいて、気化器15a内の圧力を変えて、気化器15aから出力されるイソシアネートの気化速度(流量)を調べた。
【0033】
図6に例示されるように、気化器15a内の圧力が高くなるに従い、イソシアネートの気化速度が低下し、気化器15a内の圧力が低くなるに従い、イソシアネートの気化速度が増加している。図6を参照すると、気化器15a内の圧力が2Torrの場合、気化速度は10sccmである。
【0034】
イソシアネートの供給量(気化速度)は、成膜レートの観点で、10sccm以上であることが好ましい。図6を参照すると、気化器15a内の圧力が2Torr以下であれば、イソシアネートの気化速度は10sccm以上となっている。成膜レートの観点では、気化器15a内の圧力は2Torr以下であることが好ましい。
【0035】
ここで、図3および図4に例示された結果から、チャンバ11内の圧力は1Torr以上2Torr以下の範囲内の圧力であることが好ましく、図6に例示された結果から気化器15a内の圧力は2Torr以下であることが好ましい。これらの結果から、気化器15aの内部の圧力とチャンバ11の内部の圧力との差圧は、1Torr以下であることが好ましい。気化器15aとチャンバ11とを接続する配管14aは、気化器15aの内部の圧力とチャンバ11の内部の圧力との差圧が1Torr以下となるコンダクタンスとなるように構成される。なお、気化器15aの内部の圧力は、チャンバ11の内部の圧力よりも高い。
【0036】
以上、実施形態について説明した。上記したように、本実施形態における成膜装置(成膜装置10)は、第1の気化器(気化器15a)と、第2の気化器(気化器15b)と、第1の配管(配管14a)と、第2の配管(配管14b)と、チャンバ(チャンバ11)とを備える。第1の気化器は、イソシアネートを含む第1のモノマーを気化させる。第2の気化器は、第1のモノマーと反応して重合体を形成する第2のモノマーを気化させる。第1の配管は、第1の気化器に接続されている。第2の配管は、第2の気化器に接続されている。チャンバは、基板が収容される内部空間を有し、第1の配管および第2の配管に接続されている。また、チャンバは、第1の配管を介して内部空間に供給された第1のモノマーと、第2の配管を介して内部空間に供給された第2のモノマーとを用いた蒸着重合により、基板に重合体の膜を形成する。第1の気化器は、第1のモノマーを120℃以下の温度に加熱する。第1の気化器の内部の圧力はチャンバ内の圧力以上であり、第1の気化器の内部記チャンバ内との差圧は、1Torr以下である。これにより、膜厚の均一性を保ちつつ、成膜効率を向上させることができる。
【0037】
また、上記した実施形態において、チャンバの圧力は、1Torr以上2Torr以下の範囲内の圧力である。これにより、膜厚の均一性を保ちつつ、成膜効率を向上させることができる。
【0038】
また、上記した実施形態において、第1の気化器の内部の圧力は、2Torr以下である。これにより、膜厚の均一性を保ちつつ、成膜効率を向上させることができる。
【0039】
また、上記した実施形態において、第1の気化器は、バブリング方式により第1のモノマーを気化させる。これにより、第1のモノマーを効率的に気化させることができる。
【0040】
また、上記した実施形態において、第1の気化器の気化速度は、10sccm以上である。これにより、チャンバ内に十分な量の第1のモノマーを供給することができる。
【0041】
また、上記した実施形態において、チャンバ内での基板への成膜レートは、10nm/min以上である。これにより、スループットを向上させることができる。
【0042】
また、上記した実施形態において、チャンバ内で基板に成膜される重合体の膜の厚さの均一性は、35%未満である。これにより、基板Wに形成される半導体装置の品質のばらつきを抑えることができる。
【0043】
また、上記した実施形態において、第2のモノマーは、アミンを含み、基板に形成される重合体の膜には、尿素結合が含まれる。これにより、基板Wにポリ尿素の膜を容易に形成することができる。
【0044】
[その他]
なお、本願に開示された技術は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0045】
また、上記した実施形態において、気化器15aとチャンバ11とを接続する配管14aは、気化器15aの内部の圧力とチャンバ11の内部の圧力との差圧が1Torr以下となるコンダクタンスとなるように構成される。しかし、開示の技術はこれに限られない。他の形態として、気化器15aとチャンバ11とを接続する配管14aには、配管14aのコンダクタンスを調整するバルブが設けられてもよい。これにより、気化器15aの内部の圧力とチャンバ11の内部の圧力との差圧が1Torr以下となるように、気化器15aとチャンバ11との間のコンダクタンスを容易に調整することができる。
【0046】
また、上記した実施形態における成膜装置10は、イソシアネートを含む第1のモノマーと、アミンを含む第2のモノマーとを用いた蒸着重合により、尿素結合を含む重合体の膜を基板に形成するが、開示の技術はこれに限られない。他の形態として、成膜装置10は、イソシアネートを含む第1のモノマーと、アルコールを含む第2のモノマーとを用いた蒸着重合により、ウレタン結合を含む重合体の膜を基板に形成してもよい。
【0047】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0048】
また、上記の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0049】
(付記1)
イソシアネートを含む第1のモノマーを気化させる第1の気化器と、
前記第1のモノマーと反応して重合体を形成する第2のモノマーを気化させる第2の気化器と、
前記第1の気化器に接続された第1の配管と、
前記第2の気化器に接続された第2の配管と、
基板が収容される内部空間を有し、前記第1の配管および前記第2の配管に接続され、前記第1の配管を介して前記内部空間に供給された第1のモノマーと、前記第2の配管を介して前記内部空間に供給された第2のモノマーとを用いた蒸着重合により、前記基板に重合体の膜を形成するチャンバと
を備え、
前記第1の気化器は、前記第1のモノマーを120℃以下の温度に加熱し、
前記第1の気化器の内部の圧力は前記チャンバ内の圧力以上であり、
前記第1の気化器の内部と前記チャンバ内との差圧は、1Torr以下である成膜装置。
(付記2)
前記チャンバの圧力は、1Torr以上2Torr以下の範囲内の圧力である付記1に記載の成膜装置。
(付記3)
前記第1の気化器の内部の圧力は、2Torr以下である付記1または2に記載の成膜装置。
(付記4)
前記第1の気化器は、バブリング方式により前記第1のモノマーを気化させる付記1から3のいずれか一つに記載の成膜装置。
(付記5)
前記第1の気化器の気化速度は、10sccm以上である付記1から4のいずれか一つに記載の成膜装置。
(付記6)
前記チャンバ内での前記基板への成膜レートは、10nm/min以上である付記1から5のいずれか一つに記載の成膜装置。
(付記7)
前記チャンバ内で前記基板に成膜される重合体の膜の厚さの均一性は、35%未満である付記1から6のいずれか一つに記載の成膜装置。
(付記8)
前記第1の配管には、前記第1の配管のコンダクタンスを調整するバルブが設けられている付記1から7のいずれか一つに記載の成膜装置。
(付記9)
前記第2のモノマーは、アミンを含み、
前記重合体の膜には、尿素結合が含まれる付記1から8のいずれか一つに記載の成膜装置。
(付記10)
前記第2のモノマーは、アルコールであり、
前記重合体の膜には、ウレタン結合が含まれる付記1から8のいずれか一つに記載の成膜装置。
【符号の説明】
【0050】
W 基板
10 成膜装置
11 チャンバ
12 排気機構
13 原料供給源
14 配管
15 気化器
16 シャワーヘッド
17 ステージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6