(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013497
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】球状化解析装置、球状化解析方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 15/00 20240101AFI20240125BHJP
【FI】
G01N15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115617
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】松村 孝之
(72)【発明者】
【氏名】古山 大誠
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 俊哉
(57)【要約】
【課題】球状化を定量的に解析可能な技術を提供する。
【解決手段】顕微鏡を用いて撮像された粒子を示す画像データを取得する取得部と、前記取得部により取得された画像データに示される粒子を検出する検出部と、前記検出部により検出された粒子の円形度を導出する導出部と、前記導出部によって導出された円形度にもとづいて、粒子の球状化に関する解析結果を示す球状化情報を生成する解析部と、前記解析部により生成された球状化情報を表示する表示部と、を備えた。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡を用いて撮像された粒子を示す画像データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された画像データに示される粒子を検出する検出部と、
前記検出部により検出された粒子の円形度を導出する導出部と、
前記導出部によって導出された円形度にもとづいて、粒子の球状化に関する解析結果を示す球状化情報を生成する解析部と、
前記解析部により生成された球状化情報を表示する表示部と、
を備えた球状化解析装置。
【請求項2】
前記検出部は、画像データにおいて粒子を示す教師データによって、粒子以外の領域と粒子とを区別する学習を行った学習済モデルを用いて、前記取得部により取得された画像データに示される粒子を検出する請求項1に記載の球状化解析装置。
【請求項3】
前記検出部は、画像データが示す画像の枠により見切れている粒子、および粒子の粒径が所定の粒径閾値以下の粒子は解析対象から除外する請求項1または請求項2に記載の球状化解析装置。
【請求項4】
前記球状化情報は、円形度が所定の円形度閾値以上の粒子数、または円形度閾値未満の粒子数を示す粒子数情報を含む請求項1または請求項2に記載の球状化解析装置。
【請求項5】
前記粒子数情報を統計データとして出力する出力部を備えた請求項4に記載の球状化解析装置。
【請求項6】
前記球状化情報は、粒子の円形度に応じてグループ化したグループ情報を含む請求項1または請求項2に記載の球状化解析装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記グループ情報にもとづき、画像データに示される粒子を、粒子が属するグループに応じた色で表示する請求項6に記載の球状化解析装置。
【請求項8】
前記球状化情報は、画像データに示される粒子の円形度と粒径との対応関係を示す対応情報を含む請求項1または請求項2に記載の球状化解析装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記対応情報にもとづき、画像データに示される粒子の円形度と粒径との対応関係を示すグラフを表示する請求項8に記載の球状化解析装置。
【請求項10】
顕微鏡を用いて撮像された粒子を示す画像データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された画像データに示される粒子を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された粒子の円形度を導出する導出ステップと、
前記導出ステップによって導出された円形度にもとづいて、粒子の球状化に関する解析結果を示す球状化情報を生成する解析ステップと、
前記解析ステップにより生成された球状化情報を表示する表示ステップと、
を備えた球状化解析方法。
【請求項11】
球状化解析装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
顕微鏡を用いて撮像された粒子を示す画像データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された画像データに示される粒子を検出する検出部と、
前記検出部により検出された粒子の円形度を導出する導出部と、
前記導出部によって導出された円形度にもとづいて、粒子の球状化に関する解析結果を示す球状化情報を生成する解析部と、
前記解析部により生成された球状化情報を表示する表示部と、
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状化解析装置、球状化解析方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
粒子の球状化を解析する方法として、試料供給器から供給される試料の粒子を動的に解析する解析装置を用いる方法や、マイクロスコープを用いる方法がある。また、粒子を撮像した画像を目視して手作業で行う方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した解析装置では、解析可能な粒子径に限界があるため、粒子径によっては解析不能である。マイクロスコープを用いた方法では、液相に粒子を入れる必要があるため、粒子が固まってしまい誤差が生じることがある。
また、手作業による方法では、人間が行うために、解析できる画像の枚数に限界があったり、誤差が大きかったり、人により基準が違ったりするといった課題があった。
このように、従来技術では、球状化を定量的に評価することが困難であった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、球状化を定量的に解析可能な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]顕微鏡を用いて撮像された粒子を示す画像データを取得する取得部と、前記取得部により取得された画像データに示される粒子を検出する検出部と、前記検出部により検出された粒子の円形度を導出する導出部と、前記導出部によって導出された円形度にもとづいて、粒子の球状化に関する解析結果を示す球状化情報を生成する解析部と、前記解析部により生成された球状化情報を表示する表示部と、を備えた球状化解析装置である。
【0007】
[2]前記検出部は、画像データにおいて粒子を示す教師データによって、粒子以外の領域と粒子とを区別する学習を行った学習済モデルを用いて、前記取得部により取得された画像データに示される粒子を検出する[1]に記載の球状化解析装置。
【0008】
[3]前記検出部は、画像データが示す画像の枠により見切れている粒子、および粒子の粒径が所定の粒径閾値以下の粒子は解析対象から除外する[1]または[2]に記載の球状化解析装置。
【0009】
[4]前記球状化情報は、円形度が所定の円形度閾値以上の粒子数、または円形度閾値未満の粒子数を示す粒子数情報を含む[1]または[2]に記載の球状化解析装置。
【0010】
[5]前記粒子数情報を統計データとして出力する出力部を備えた[4]に記載の球状化解析装置。
【0011】
[6]前記球状化情報は、粒子の円形度に応じてグループ化したグループ情報を含む[1]から[5]のいずれか1項に記載の球状化解析装置。
【0012】
[7]前記表示部は、前記グループ情報にもとづき、画像データに示される粒子を、粒子が属するグループに応じた色で表示する[6]に記載の球状化解析装置。
【0013】
[8]前記球状化情報は、画像データに示される粒子の円形度と粒径との対応関係を示す対応情報を含む[1]から[7]のいずれか1項に記載の球状化解析装置。
【0014】
[9]前記表示部は、前記対応情報にもとづき、画像データに示される粒子の円形度と粒径との対応関係を示すグラフを表示する[8]に記載の球状化解析装置。
【0015】
[10]顕微鏡を用いて撮像された粒子を示す画像データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された画像データに示される粒子を検出する検出ステップと、前記検出ステップにより検出された粒子の円形度を導出する導出ステップと、前記導出ステップによって導出された円形度にもとづいて、粒子の球状化に関する解析結果を示す球状化情報を生成する解析ステップと、前記解析ステップにより生成された球状化情報を表示する表示ステップと、を備えた球状化解析方法である。
【0016】
[11]球状化解析装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、顕微鏡を用いて撮像された粒子を示す画像データを取得する取得部と、前記取得部により取得された画像データに示される粒子を検出する検出部と、前記検出部により検出された粒子の円形度を導出する導出部と、前記導出部によって導出された円形度にもとづいて、粒子の球状化に関する解析結果を示す球状化情報を生成する解析部と、前記解析部により生成された球状化情報を表示する表示部と、して機能させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】球状化解析装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】ラベルを付ける前の画像データの一例を示す図である。
【
図10】CSV形式データとして出力した実験情報を示す表を示す図である。
【
図11】CSV形式データとして出力した粒子数情報を示す表を示す図である。
【
図12】球状化解析装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】解析処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態に係る球状化解析装置100を、図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、球状化解析装置100の機能構成の一例を示す図である。球状化解析装置100は、制御部110と、表示装置120と、入出力装置122と、記憶部130とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0020】
表示装置120は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や、有機EL(electro-luminescence)などで構成される。入出力装置122は、マウス、キーボード、タッチパネルなどの各種操作装置や、USB(Universal Serial Bus)ポートやNIC(Network Interface Card)などのデータの入出力が可能な装置で構成される。記憶部130は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置を備える。記憶部130は、例えば球状化情報131、および学習済モデル132を記憶する。球状化情報131は、粒子の球状化に関する解析結果を示す情報である。
図2は、球状化情報131の一例を示す図である。
図2に示されるように、球状化情報131は、ファイル名、実験情報、粒子数情報、グループ情報、対応情報などを含む情報である。
【0021】
ファイル名は、解析対象となった画像データのファイル名である。実験情報は、球状化する装置において行われた実験に関する情報(例えば、原材料、融点、発熱量、噴出速度など)であり、操作者がメモとして入力する情報である。粒子数情報は、円形度が所定の円形度閾値以上の粒子数、または円形度閾値未満の粒子数を示す情報である。ここで、所定の閾値は、後述する評価用円形度閾値である。グループ情報は、粒子の円形度に応じてグループ化した情報である。対応情報は、粒子の円形度と粒径との対応関係を示す情報である。
図2に示される各情報は、球状化情報131の一例であり、これに限るものではない。学習済モデル132は、画像データにおいて粒子を示す教師データによって、粒子以外の領域と粒子とを区別する学習を行った学習を行ったモデルである。
【0022】
制御部110は、球状化解析装置100の各部を制御することにより、球状化情報の生成などを行う。制御部110は、取得部111と、検出部112と、導出部113と、解析部114と、表示部115と、出力部116と、閾値設定部117、実験情報設定部118とを備える。
【0023】
取得部111は、走査電子顕微鏡や光学顕微鏡など、顕微鏡を用いて撮像された粒子を示す画像データを取得する。画像データは、入出力装置122を介して例えばUSBメモリから取得したり、操作者により指定されたフォルダから取得したり、ネットワークを介して上位装置から取得する。取得する画像データは、複数であってもよく、複数の場合にはそれぞれの画像データが球状化解析対象となる。
【0024】
検出部112は、上述した学習済みモデル132を用いて、取得部111により取得された画像データに示される粒子を検出する。検出部112は、検出した粒子の粒子径、面積、および周囲長をピクセル単位で検出する。また、検出部112は、画像データが示す画像の枠により見切れている粒子、および粒子の粒径が所定の粒径閾値以下の粒子は、解析対象の候補となる粒子として検出しない。なお、所定の粒径閾値は、例えばデフォルトで設定されるか、または球状化解析装置100の操作者により設定される。
【0025】
導出部113は、検出された粒子の円形度を導出する。具体的に、導出部113は、検出部112により検出された粒子ごとに、粒子の面積Sと周囲長Lを用いて、円形度Cを4πS/S2を計算することで導出する。Cが1に近いほど円に近い。
【0026】
このように、検出部112により定量的に粒子が検出され、さらに導出部113により定量的に円形度が導出されるため、本実施形態に係る球状化解析装置100は、球状化を定量的に解析することができる。
【0027】
解析部114は、導出された円形度にもとづいて、粒子の球状化に関する解析結果を示す球状化情報を生成する。解析部114は、画像データに示される粒子を対象に、円形度が評価用円形度閾値以上の粒子数、または評価用円形度閾値未満の粒子数をカウントし、粒子数情報を生成する。なお、評価用円形度閾値は、例えばデフォルトで設定されるか、または球状化解析装置100の操作者により設定される。
【0028】
従来技術では、重なった粒子のうちの、最前面以外の粒子(最前面の粒子によって一部が覆われた粒子(「歪な粒子」という))が検出されていた。歪な粒子として、例えば2つの粒子が重なった場合に生じる三日月状の粒子が挙げられる。
【0029】
従来技術では、こうした歪な粒子が検出されるため、粒子が密とならないように試料を作成する必要があったが、評価用円形度閾値により、歪な粒子の検出を抑制することが可能となった。これは、歪な粒子は、歪ではない粒子と比較して、円形度が低くなるためである。歪な粒子の検出の抑制が可能となったことにより、粒子が密となった画像データに対しても粒状化の解析が可能となったため、粒子が密とならないように試料を作成する必要もなくなることから、球状化の解析を行うための工程を大幅に削減することができる。なお、作業者の手作業で粒子の検出を行う場合と比較して、本実施形態に係る球状化解析装置100によれば、工数を75%程度削減することができた。
【0030】
解析部114は、粒子の円形度に応じてグループ化したグループ情報を生成する。例えば、円形度が0.6未満の粒子、0.6以上で0.7未満の粒子、0.7以上で0.75未満の粒子、0.75以上で0.8未満の粒子、0.8以上で0.85未満の粒子、0.85以上で0.9未満の粒子、0.9以上で0.95未満の粒子、0.95以上で1.0以下の粒子をそれぞれグループ化する。
【0031】
さらに、解析部114は、画像データに示される粒子の円形度と粒径との対応関係を示す対応情報を生成する。
【0032】
表示部115は、生成された球状化情報を表示装置120に表示する。例えば、表示部115は、グループ情報にもとづき、画像データに示される粒子を、粒子が属するグループに応じた色で表示装置120に表示する。例えば、表示部115は、対応情報にもとづき、画像データに示される粒子の円形度と粒径との対応関係を示すグラフを表示装置120に表示する。
【0033】
出力部116は、粒子数情報を統計データとして、例えばUSBメモリや上位装置に入出力装置122を介して出力する。閾値設定部117は、入出力装置122を介して入力された各種閾値(例えば、円形度閾値や、粒径閾値など)を設定する。実験情報設定部118は、入出力装置122を介して入力された上記実験情報を設定する。
【0034】
図3は、学習装置200の機能構成の一例を示す図である。学習装置200は、制御部210と、入出力装置222と、記憶部230とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラムを実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやSSD、フラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0035】
入出力装置222は、USBポートやNICなど少なくとも教師データを入力可能であり、学習済モデルを出力可能であればよい。なお、入出力装置222は、マウス、キーボード、タッチパネルなどの各種操作装置を含んでもよい。記憶部230は、HDDやSSD、フラッシュメモリ等の記憶装置を備える。
【0036】
制御部210は、学習装置200の各部を制御することにより、教師データから学習済モデルを生成する。制御部110は、学習部210を備える。学習部210は、ディープラーニングなどの機械学習を行うことにより、画像データにおいて粒子を示す、記憶部230に記憶された教師データ231によって、粒子以外の領域と粒子とを区別する学習を行うことで学習済モデルを生成する。
図4は、ラベルを付ける前の画像データの一例を示す図である。
図5、
図6は、
図4に対応する教師データの一例を示す図である。
【0037】
図5に示される教師データは、粒子を示す領域を囲む線を含む画像でデータである。一方、
図6に示される教師データは、粒子を示す領域を特定の色で塗りつぶした画像データある。教師データは、
図5、6に示される画像データに限らず、粒子とそれ以外とを区別可能な画像データであればよい。なお、
図6では、全ての粒子ではなく、一部の粒子のみが塗りつぶされている。これは、全ての粒子を塗りつぶしたり、一部の粒子にのみ塗りつぶしたりすることで、過学習による不適切な学習済モデルが生成されないように、学習済モデルの精度を検証しながら学習を行わせるためである。また、画像データが示す画像の枠により見切れている粒子、および粒子の粒径が所定の粒径閾値以下の粒子は解析対象から除外するためである。
【0038】
従来の画像解析技術では、粒子以外の領域である背景領域も粒子として検出することがあったが、本実施形態による学習済モデルにより背景領域を粒子として検出することがなくなったため、従来技術と比較して検出精度の向上を図ることができる。また、従来の画像解析技術では、接した2つの粒子を一つの粒子として検出する問題があったが、本実施形態による学習済モデルにより一つ一つの粒子として検出するため、従来技術と比較して検出精度の向上を図ることができる。
【0039】
次に、球状化解析装置100が表示装置120に表示する画面について説明する。
図7は、画像データ取得画面500を示す図である。画像データ取得画面500は、編集ボタン501、画像取得ボタン502、画像一覧表示欄503、円形度閾値入力欄510、粒径閾値入力欄511、評価用円形度閾値入力欄520、スケール調整ボタン531、検出領域ボタン532、解析開始ボタン540を含む。
【0040】
編集ボタン501は、ある画像に示される粒子の編集を行うためのボタンである。この編集ボタン501が選択されると、不図示の編集画面が表示される。粒子の編集として、粒子を非表示にしたり、操作者により、粒子の円形度が満足する円形度か否かを粒子ごとに判定した結果を粒子ごとに設定する編集がある。画像取得ボタン502は、取得する画像データの場所を指定して、画像データを取得するためのボタンである。
【0041】
画像一覧表示欄503は、画像取得ボタン502により取得された画像データが示す画像の一覧を表示する表示欄である。画像一覧表示欄503には、画像のプレビューと、ファイル名が表示される。
【0042】
円形度閾値入力欄510は、解析部114が解析対象とする円形度閾値が操作者により入力される入力欄である。入力された円形度閾値は、記憶部130に記憶される。粒径閾値入力欄511は、解析部114が解析対象とする粒径閾値が操作者により入力される入力欄である。入力された粒径閾値は、記憶部130に記憶される。
【0043】
評価用円形度閾値入力欄520は、粒子の円形度を判定する基準となる評価用円形度閾値が操作者により入力される入力欄である。以下の説明において、円形度が評価用円形度閾値以上の粒子を「良い粒子」と表現し、円形度が評価用円形度閾値未満の粒子を「悪い粒子」と表現することがある。入力された評価用円形度閾値は、記憶部130に記憶される。
【0044】
スケール調整ボタン531は、後述するスケール調整画面に遷移させるためのボタンである。検出領域ボタン532は、画像内で検出領域を設定するための不図示の検出領域設定画面に遷移させるためのボタンである。検出領域設定画面により、画像全体ではなく、一部を球状化解析対象とすることができる。解析開始ボタン540は、画像一覧表示欄503に表示されている画像に対して球状化解析を開始するためのボタンである。解析開始ボタン540が選択されると、球状化解析終了後に解析結果画面が表示される。
【0045】
上述した円形度閾値、粒径閾値、評価用円形度閾値を、以下の説明において、「検出評価パラメータ」と表現することがある。また、円形度が円形度閾値未満の粒子、または粒径が粒径閾値未満の粒子を「非適合粒子」と表現することがある。
【0046】
図8は、スケール調整画面600を示す図である。スケール調整画面600は、調整画像表示欄601、基準線長入力欄610、リセットボタン611、保存ボタン612、および基準線を含む。基準線は、操作者により始点と終点とが設定された線を示す。基準線の下に記載された「100μm」は、現在の基準線の長さを示す。基準線長入力欄610は、基準線の長さが操作者により入力される入力欄である。入力された基準線の長さに応じて、調整画像表示欄601に表示される画像が拡大または縮小される。リセットボタン611は、基準線長入力欄610に入力された基準線の長さをデフォルトに戻すためのボタンである。保存ボタン612は、現在調整画像表示欄601に表示されている画像を球状化解析対象とすることを保存するためのボタンである。なお、調整画像表示欄601の下部に表示された「3kV」は加速電圧を示し、「X150」は倍率が150倍であることを示し、「WD15.3mm」は画像の横幅が15.3mmであることを示す。
【0047】
図9は、解析結果画面700を示す図である。解析結果画面700は、実験条件表示欄701、検出評価パラメータ表示欄702、解析画像表示欄710、粒子編集ボタン711、保存ボタン730、CSV出力ボタン731、画像出力ボタン732、全画像解析結果表示欄740、表示画像解析結果表示欄750を含む。
【0048】
実験条件表示欄701は、実験情報設定部118により設定された実験情報を表示する表示欄である。検出評価パラメータ表示欄702は、上述した円形度閾値、粒径閾値、評価用円形度閾値を表示する表示欄である。
図9の場合、円形度閾値は0.500、粒子編集は50.000、評価用円形度閾値は0.920であることが示されている。
【0049】
解析画像表示欄710は、画像データに示される粒子を、粒子が属するグループに応じた色で表示する表示欄である。具体的に、解析画像表示欄710には、円形度評価グループ欄712が表示され、この円形度評価グループ欄712に示される色で粒子が表示される。これにより、操作者は、ひと目で円形度合いを確認することができる。
【0050】
なお、解析画像表示欄710に表示される粒子のうち、無色の粒子は、円形度閾値未満の粒子、粒径閾値未満の粒子、または画像の枠により見切れている粒子である。また、解析画像表示欄710の下部に表示されている「SEI」や「3kV」は、走査電子顕微鏡(SEM)の画像の一部であり、走査電子顕微鏡の撮影パラメータである。「SEI」は二次電子像という撮影方法を示す。この他に「BEI」と呼ばれる反射電子像というのもある。また、「3kV」は加速電圧を示す。
【0051】
粒子編集ボタン711は、解析画像表示欄710に表示されている画像に示される粒子の編集を行うためのボタンである。この粒子編集ボタン711が選択されると、不図示の編集画面が表示される。この編集画面は、1個1個の粒子に関して、画像と結果を見比べることができる画面である。また、編集画面では、良い粒子と誤って検出された場合に、操作者が検出結果から誤って検出された粒子を良い粒子から除外することができる。ページ欄713は、現在表示している画像が全体の画像の何番目の画像かを示す欄であり、操作者は表示する画像を変更することもできる。
【0052】
保存ボタン730は、解析結果画面700の表示内容を保存するためのボタンである。CSV出力ボタン731は、実験情報や、粒子数情報などの統計データをCSV形式データとして出力するためのボタンである。CSV出力ボタン731により出力されたCSV形式データの例は後述する。画像出力ボタン732は、解析画像表示欄710に表示されている画像を示す画像データを、例えばUSBメモリや、操作者により指定されたフォルダや、ネットワークを介して上位装置に出力するためのボタンである。
【0053】
全画像解析結果表示欄740は、画像一覧表示欄503に表示された全画像の解析結果を表示する表示欄である。全画像解析結果表示欄740には、全画像で検出された粒子に関する粒子情報欄741と、グラフ742が含まれる。粒子情報欄741には、全画像において検出された粒子の円形度の平均を示す「平均円形度」と、粒子の粒径の平均を示す「平均粒径」と、良い粒子の個数と割合、悪い粒子の個数と割合とが表示される。グラフ742は、全画像において検出された粒子の円形度と粒径との対応関係を示すグラフである。グラフ742は、横軸は円形度を示し、縦軸は粒径を示す。
【0054】
表示画像解析結果表示欄750は、解析画像表示欄710に表示された画像の解析結果を表示する表示欄である。表示画像解析結果表示欄750には、解析画像表示欄710に表示された画像で検出された粒子に関する粒子情報欄751と、グラフ752が含まれる。粒子情報欄751には、解析画像表示欄710に表示された画像において検出された粒子の円形度の平均を示す「平均円形度」と、粒子の粒径の平均を示す「平均粒径」と、良い粒子の個数と割合、悪い粒子の個数と割合とが表示される。グラフ752は、解析画像表示欄710に表示された画像において検出された粒子の円形度と粒径との対応関係を示すグラフである。グラフ742は、横軸は円形度を示し、縦軸は粒径を示す。
【0055】
図10は、CSV形式データとして出力した実験情報を示す表800を示す図である。表800には、実験日、実験者、温度、入口流量、出口流量が示されている。条件5~条件10は、該当する実験情報がなかったため空欄となっている。
【0056】
図11は、CSV形式データとして出力した粒子数情報を示す表900を示す図である。
図11では、一例として、6つの画像に対して球状化解析を行った場合に生成された粒子数情報を出力した表を示している。符号901は、粒径閾値と評価用円形度閾値を示す。符号902は、検出枠(下)、検出枠(左)、検出枠(右)を示す。これは、画像の枠(下枠、左枠、右枠)により見切れている粒子を検出しないための検出幅を示す。
【0057】
符号903は、全画像で検出された粒子の平均粒径、良い粒子の個数(図では〇個数)、良い粒子の割合(図では〇割合)、悪い粒子の個数(図では×個数)、悪い粒子の割合(図では×割合)を示す。
【0058】
符号904は、画像1枚ごとの各種情報を示す。符号904-1が1枚目の画像に関する各種情報を示し、符号904-2が2枚目の画像に関する各種情報を示し、符号904-3が3枚目の画像に関する各種情報を示し、符号904-4が4枚目の画像に関する各種情報を示し、符号904-5が5枚目の画像に関する各種情報を示し、符号904-6が6枚目の画像に関する各種情報を示す。
【0059】
これらの各種情報の各々について、1枚目の画像に関する各種情報を例に説明する。符号904Aは、何枚目の画像かを示す。符号904Bは、良い粒子の個数と良い粒子の割合を示す。符号904Cは、悪い粒子の個数と悪い粒子の割合を示す。符号904Dは、画像で検出された各粒子の円形度を示す。
図11の場合、省略しているため円形度は3つしか示されていないが、検出された粒子の個数分の円形度が示される。符号904Eは、画像で検出された各粒子の粒径を示す。
図11の場合、省略しているため粒径は3つしか示されていないが、検出された粒子の個数分の粒径が示される。
【0060】
次に、本実施形態に係る球状化解析装置100の処理の流れをフローチャートを用いて説明する。
図12は、球状化解析装置100の処理の流れを示すフローチャートである。
図12において、取得部111は、画像データを取得する(ステップS101)。次いで、検出部112は、粒子を検出する(ステップS102)。導出部113は、検出された粒子に対して粒子径と円形度とを導出する(ステップS103)。
【0061】
解析部114は、粒子の球状化に関する解析結果を示す球状化情報を生成する解析処理を行う(ステップS104)。表示部115は、例えば
図9の解析結果画面700のように、球状化情報を表示する(ステップS105)。さらに、操作者から統計データの出力操作が入力された場合には、出力部116は統計データを出力し(ステップS106)、処理を終了する。
【0062】
図13は、上記ステップS105の解析処理の流れを示すフローチャートである。解析部114は、円形度閾値、粒径閾値、評価用円形度閾値を取得する(ステップS201)。解析部114は、取得した円形度閾値、粒径閾値にもとづき、非適合粒子を除外する(ステップS202)。解析部114は、上述したグループ情報を生成し(ステップS203)、粒子数情報を生成し(ステップS204)、対応情報を生成し(ステップS205)、処理を終了する。
【0063】
このように、検出部112により定量的に粒子が検出され、さらに導出部113により定量的に円形度が導出されるため、本実施形態に係る球状化解析装置100は、球状化を定量的に解析することができる。なお、複数の画像を解析する場合には、
図12のステップS101~ステップS104をループで処理し、全画像分の粒子数や全画像分の良い粒子数などをカウントするカウンタを設けた構成とすることで実現できる。
【0064】
上述した実施形態における画像処理装置100の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
100 球状化解析装置
110、210 制御部
111 取得部
112 検出部
113 導出部
114 解析部
115 表示部
116 出力部
117 閾値設定部
118 実験情報設定部
120 表示装置
122 入出力装置
130、230 記憶部
131 球状化情報
200 学習装置
211 学習部
231 教師データ