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特開2024-134976検査システム、管理装置、及び、管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134976
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】検査システム、管理装置、及び、管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045448
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森中 泰章
(72)【発明者】
【氏名】黒川 悟
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】経験が少ない検査員であっても容易に、法律や規格等で検査内容が定められた検査が実施できるようにする。
【解決手段】検査システムは、検査される計量器を撮影する画像の取得装置と、前記計量器の検査を管理する管理装置と、前記管理装置からの指示を出力する出力装置と、を備える。そして、管理装置は、前記計量器を検査するときの検査手順および前記検査手順実行時に前記計量器によって計量される計量値を含む検査仕様を、前記画像を基に特定することと、検査者によって検査される前記計量器を撮影した画像に重畳して、前記検査手順に対応する前記検査者を支援する支援情報を前記出力装置に出力することと、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査される計量器を撮影する画像の取得装置と、
前記計量器の検査を管理する管理装置と、
前記管理装置からの指示を出力する出力装置と、
を備え、
前記管理装置は、
前記計量器を検査するときの検査手順および前記検査手順の実行時に前記計量器によって計量される計量値を含む検査仕様を、前記画像を基に特定することと、
検査者によって検査される前記計量器を撮影した画像に重畳して、前記検査手順に対応する前記検査者を支援する支援情報を前記出力装置に出力することと、を実行する検査システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記取得装置から取得した前記計量器の画像から前記計量器の第1の仕様情報を抽出することと、
前記計量器を撮影した画像に対応づけられた前記計量器の仕様を規定する第2の仕様情報を記憶部から読み出すことと、
抽出された前記第1の仕様情報が読み出された前記第2の仕様情報と整合しない場合に、前記検査の中止を促す情報を前記出力装置に出力することと、を実行する請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記計量器に対して検査を実施する前記検査者の画像を前記取得装置から取得することと、
取得された前記検査者の画像において前記検査者によって実施された手順が前記検査手順に対応しない場合に、前記検査手順に対応する手順を実行するように前記検査者に促す情報を前記出力装置に出力することと、を実行する請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記検査者によって実施された手順が前記検査手順に対応しない場合に、前記検査手順に対応する手順を実行するように前記検査者に促す情報とともに、前記支援情報を繰り返して前記出力装置に出力することを実行する請求項3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記記憶部は、前記検査仕様とともに前記計量器の計量値に対する合格基準に関する情報を記憶し、
前記管理装置は、前記取得装置によって撮影された画像から、前記検査が実施される前記計量器の計量値を取得することと、
前記計量値が前記合格基準を満たすか否かを判定することと、
前記計量値が前記合格基準を満たさない場合に、所定の限度で前記検査者による前記計量器の検査を繰り返させることと、を実行する請求項2に記載の検査システム。
【請求項6】
前記検査は、複数の検査項目を含み、
前記管理装置は、1つの検査項目において計測された計量値が前記合格基準を満たさない場合に、または、所定の限度で前記検査者による前記計量器の検査を繰り返させても前記1つの検査項目において計測された前記計量値が前記合格基準を満たさない場合に、前記1つの検査項目を終了し、前記検査に含まれる次の検査項目において前記検査者を支援する前記支援情報を前記出力装置に出力する請求項5に記載の検査システム。
【請求項7】
前記検査は、複数の検査項目を含み、
前記管理装置は、1の検査項目において、前記計量値が前記合格基準を満たさない場合に、または、所定の限度で前記検査者による前記計量器の検査を繰り返させても前記1つ
の検査項目において計測された前記計量値が前記合格基準を満たさない場合に、前記検査を終了する請求項5に記載の検査システム。
【請求項8】
前記記憶部は、前記検査仕様とともに、前記検査が実施される前記計量器の計量値に対する合格基準を算出するための公差情報を記憶し、
前記管理装置は、前記検査仕様に含まれる計量値と前記公差情報とを基に前記計量器の計量値に対する前記合格基準を算出することと、
前記計量値が前記合格基準を満たすか否かを判定することと、を実行する請求項2に記載の検査システム。
【請求項9】
前記管理装置は、前記検査において撮影された画像を保存装置に保存する請求項1に記載の検査システム。
【請求項10】
前記管理装置は、前記検査の結果を記録した報告書データを印字装置から印字する請求項1に記載の検査システム。
【請求項11】
前記管理装置は、前記取得装置によって撮影された画像から、前記検査が実施される前記計量器の計量値を取得する請求項1に記載の検査システム。
【請求項12】
計量器を検査するときの検査手順および前記検査手順の実行時に得られる計量値を含む検査仕様を、検査される計量器を撮影した画像を基に特定することと、
検査者によって検査される前記計量器を撮影した画像に重畳して、前記検査手順に対応する前記検査者を支援する支援情報を出力装置に出力することと、を実行する制御部を備える管理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記計量器を撮影する画像の取得装置によって撮影された画像から、前記検査が実施される前記計量器の計量値を取得する請求項12に記載の管理装置。
【請求項14】
コンピュータが、
計量器を検査するときの検査手順および前記検査手順の実行時に得られる計量値を含む検査仕様を、検査される計量器を撮影した画像を基に特定することと、
検査者によって検査される前記計量器を撮影した画像に重畳して、前記検査手順に対応する前記検査者を支援する支援情報を出力装置に出力することと、を実行する管理方法。
【請求項15】
前記コンピュータは、前記計量器を撮影する画像の取得装置によって撮影された画像から、前記検査が実施される前記計量器の計量値を取得する請求項14に記載の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査システム、管理装置、及び、管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
取引または証明における計量では、検定証印または基準適合証印が付された特定計量器を使用しなければならない(計量法第16条第1項)。ここで、特定計量器とは、計量法で指定され、規制の対象となる計量器をいう。
【0003】
一方、特定計量器以外のはかりでも、規格等において計量性能の基準が定められたものが存在する(非特定計量器)。そして、計量法等の法律や規格等で検査内容が定められた計量器には、定められた検査が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】経済産業省、”特定計量器を利用する場合”、令和5年2月20日検索、インターネット<URL:https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/12_gaiyou_keiryouki1.html>
【非特許文献2】経済産業省産業技術環境局、”計量制度の最近の動向と概要”、平成28年2月、令和5年2月20日検索、インターネット<https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sangi/keiryo_seido/pdf/001_02_00.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、計量器毎に多数の検査項目があり、その内容も計量器によって異なり、それを検査員が全て把握することは難しい。そこで、本開示の実施形態の側面は、経験が少ない検査員であっても容易に、法律や規格等で検査内容が定められた計量器の検査が実施できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、開示の実施形態は、検査システムによって例示される。本検査システムは、検査される計量器を撮影する画像の取得装置と、前記計量器の検査を管理する管理装置と、前記管理装置からの指示を出力する出力装置と、を備える。そして、管理装置は、前記計量器を検査するときの検査手順および前記検査手順の実行時に前記計量器によって計量される計量値を含む検査仕様を、前記画像を基に特定することと、検査者によって検査される前記計量器を撮影した画像に重畳して、前記検査手順に対応する前記検査者を支援する支援情報を前記出力装置に出力することと、を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本検査システムによれば、経験が少ない検査員であっても容易に、法律や規格等で検査内容が定められた計量器の検査が実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、検査システムの構成を例示する図である。
図2図2は、情報処理装置のハードウェア構成を例示する図である。
図3図3は、情報処理装置の機能の構成を例示する図である。
図4図4は、計量器に付される銘板の一例である。
図5図5は、計量器仕様情報の構成を例示する図である。
図6図6は、感じの検査仕様情報を例示する図である。
図7図7は、感じの検査を支援するときのユーザ装置のディスプレイの表示を例示する図である。
図8図8は、繰り返し性の検査仕様情報を例示する図である。
図9図9は、偏置荷重の検査仕様情報を例示する図である。
図10図10は、偏置荷重の検査を支援するときのユーザ装置のディスプレイの表示を例示する図である。
図11図11は、器差の検査仕様情報を例示する図である。
図12図12は、精度等級と公差と最小測定量を規定するJISの基準を例示する表である。
図13図13は、公差表を例示する図である。
図14図14は、零点設定装置の検査仕様情報を例示する図である。
図15図15は、風袋引き装置の検査仕様情報を例示する図である。
図16図16は、風袋引き装置の検査を支援するときのユーザ装置のディスプレイの表示を例示する図である。
図17図17は、正味量の検査仕様情報を例示する図である。
図18図18は、検査支援処理を例示するフローチャートである。
図19図19は、事前準備支援処理の詳細を例示するフローチャートである。
図20図20は、項目別検査支援処理の詳細を例示するフローチャートである。
図21図21は、項目別検査支援処理の詳細を例示するフローチャートである。
図22図22は、感じ検査支援処理の詳細を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、一実施形態に係る検査システム100および検査の管理方法を説明する。
【0010】
<比較例>
まず、比較例のシステムを検討する。今日、ネットワークを活用したデジタルトランスフォーメイション(DX)と呼ばれる、デジタル技術の活用と業務プロセスの改善が提唱されている。
【0011】
(1)例えば、スマートグラスを装着した検査員が検査の現場で作業し、監督者が現場と異なる場所(例:事務所)で配信される映像をそのスマートグラスで見ながら検査員に指示またはサポートすることが想定される。この場合、現場の検査員は、後方の監督者からリアルタイムにサポートされるため、検査に必要な知識を学んでいなくても検査が可能である。監督者のメリットは事務所などからリモートで検査員に指示するだけであり、現場に行く必要が無く、移動時間等が不要になる。しかし、このようなシステムでは、作業時には検査員と監督者の両者の関与が必要となる。
【0012】
(2)また、仮想現実(VR)を検査業務に適用することも想定される。例えば、検査の現場の検査員が、マニュアルを実際に見ながら作業する代わりに、DXにより、VR等のモニターに映し出されたマニュアルを検査員自身で必要なペーシを検索してそのペーシを確認しながら作業を行うシステムが想定される。このようなシステムでは、監督者によるリアルタイムでの指示が不要となることもあるが、検査員自身がマニュアルを検索する必要があり、検査員の負担は大きい。さらに、検査が完了した後、その報告書の作成などが、別途、検査員により手作業で行なわれることも想定される。
【0013】
(3)さらに、仮にその検査内容に誤りがあり、例えば、本来合格になるはずが不合格
になったとしても、客観的に誤りを把握することが困難な場合も想定される。
【0014】
<実施形態>
以下、図1から図20により、本実施形態に係る検査システム100を説明する。図1は、本実施形態に係る検査システム100の構成を例示する図である。図1では、検査システム100によって検査を支援される検査者Kおよび検査者Kによって検査される計量器200も併せて記載されている。
【0015】
検査システム100は、管理装置として処理を実行する情報処理装置1と、ネットワークN1を介して情報処理装置1と連携するユーザ装置2を有する。情報処理装置1は、コンピュータ、サーバ等と呼ばれるものである。情報処理装置1は、ネットワークN1上で複数のコンピュータを含むシステムとして提供されるクラウドと呼ばれるものであってもよい。情報処理装置1は、計量器200の検査において参照される情報をデータベースに保持する。
【0016】
また、情報処理装置1は、ユーザ装置2で撮影された計量器200の画像を基に計量器200の仕様、検査手順を含む検査仕様等をデータベースから取得し、検査者Kを支援する支援情報を生成する。そして、情報処理装置1は、検査の実行中に撮影される計量器200の画像に支援情報を重畳し、ユーザ装置2のディスプレイに出力する。情報処理装置1の処理は、例えば、拡張現実(Augmented Reality(AR))、あるいは複合現実(Mixed Reality(MR))とも呼ばれる。情報処理装置1の処理は、Extended Reality(XR)またはクロスリアリティと呼ばれるものであってもよい。
【0017】
ユーザ装置2は、スマートフォン、携帯電話、モバイル端末、タブレット端末、ラップトップ Personal computer(PC)、携帯情報端末、スマートグラス、ウェアラブル端末等である。ユーザ装置2は、画像を取得する取得装置としてカメラを有し、計量器200の画像を情報処理装置1にネットワークN1を介して提供する。
【0018】
また、ユーザ装置2は、検査者Kを支援するため、管理装置からの指示を出力する出力装置として機能する。例えば、ユーザ装置2は、カメラで撮影された計量器200の画像に、検査者Kを支援する支援情報が重畳されたものをディスプレイに表示し、検査者Kによる計量器200の検査を支援する。また、ユーザ装置2は、計量器200によって計量され、計量器200の表示部に表示された検査荷重(例えば、分銅の質量)に対応する表示値の画像を撮影し、情報処理装置1に提供し、記録させる。
【0019】
このようにして、検査者Kは、ユーザ装置2のディスプレイに表示された画像と支援情報を参照し、計量器200の検査を実行する。その結果、検査システム100は、ユーザ装置2と情報処理装置1との連携により、検査の結果を情報処理装置1に取得させ、判定させ、記録させることができる。
【0020】
なお、図1では、ユーザ装置2は、カメラおよびディスプレイ等を含む一つの筐体(ハウジング)内の一体の装置として例示されている。しかし、ユーザ装置2が一体の装置に限定される訳ではない。例えば、ユーザ装置2は、カメラと、ディスプレイと、通信部と、制御部とを有し、分離した複数の筐体に収納されるものであってもよい。
【0021】
また、図1では、計量器200として、計量対象物を載置する載台201を有する上皿はかり、または、ばね式指示はかりと呼ばれるものが例示されている。しかし、検査システム100による検査支援の対象が上皿はかり、または、ばね式指示はかりに限定される訳ではない。検査支援の対象である計量器200は、例えば、電子天秤、台はかり、台手動はかり、電気抵抗線式はかり、等比皿手動はかり、皿手動はかりとよばれるもの等、各
種のはかりを含む。
【0022】
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成を例示する図である。情報処理装置1のハードウェア構成は、通常のコンピュータと同様である。情報処理装置1はCPU11と、主記憶装置12と、外部機器を有し、プログラムにより情報処理を実行する。
【0023】
CPU11は、主記憶装置12に実行可能に展開されたコンピュータプログラムを実行し、情報処理装置1の機能を提供する。CPU11はプロセッサとも呼ばれる。ただし、CPU11は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、CPU11は、単一のソケットで接続される単一のプロセッサであって、マルチコア構成のものであってもよい。さらに、情報処理装置1の少なくとも一部の処理がDigital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサ、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)等によって提供されてもよい。また、情報処理装置
1の少なくとも一部が、Field-Programmable Gate Array(FPGA)等の専用large scale integration(LSI)、その他のデジタル回路であってもよい。また、情報処理装置1の少な
くとも一部にアナログ回路が含まれてもよい。
【0024】
主記憶装置12は、記憶部、メモリとも呼ばれ、CPU11が実行するコンピュータプログラム、CPU11が処理するデータ等を記憶する。主記憶装置12は、Dynamic Random Access Memory(DRAM)、Static Random Access Memory(SRAM)、Read Only
Memory(ROM)等である。なお、CPU11および主記憶装置12は、制御部10(
図3参照)ということができる。
【0025】
外部機器としては、外部記憶装置13、表示装置14、操作装置15、および通信装置16を例示できる。外部機器は、制御部と一体のものでなくてもよい。外部機器のそれぞれは、インターフェースを介して、制御部10の筐体と接続されるものであってもよい。
【0026】
外部記憶装置13は、例えば、主記憶装置12を補助する記憶領域として使用され、CPU11が実行するコンピュータプログラム、CPU11が処理するデータ等を記憶する。外部記憶装置13は、ハードディスクドライブ、Solid State Drive(SSD)等であ
る。さらに、情報処理装置1には、着脱可能記憶媒体の駆動装置を設けてもよい。着脱可能記憶媒体は、例えば、ブルーレイディスク、Digital Versatile Disc(DVD)、Compact Disc(CD)、フラッシュメモリカード等である。ただし、外部記憶装置13は、ネットワークN1を介して、制御部10であるCPU11、主記憶装置12と接続されるものでもよい。例えば、外部記憶装置13は、データベースマシンである他のコンピュータに管理されるものでもよい。
【0027】
表示装置14は、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル、Organic Light Emitting Diode(OLED)等である。操作装置15は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス等である。本実施形態では、ポインティングデバイスとしてマウスが例示される。
【0028】
通信装置16は、ネットワークN1上の他の装置とデータを授受する。通信装置16は、Long Term Evolution(LTE)、4th Generation Mobile Communication System(4
G),5th Generation Mobile Communication System(5G)等の無線アクセスネットワークにアクセスする無線通信装置であってもよい。例えば、CPU11は、通信装置16を介してユーザ装置2から計量器200の画像を取得し、AR等によって支援情報をユーザ装置2に出力する。
【0029】
ユーザ装置2のハードウェア構成は、寸法または規模の違いを除いて、情報処理装置1の構成と同様である。ただし、ユーザ装置2は、図1の構成に加えて、カメラを有し、計量器200等の被写体の画像を撮影する。また、ユーザ装置2は、スピーカを有してもよい。すなわち、ユーザ装置2は、表示装置14等のディスプレイでの表示とともに、音または音声で検査者Kによる検査を支援してもよい。また、ユーザ装置2は、通話ための機能、例えば、マイクロフォンを備え、検査者Kからの音声または検査での音を取得し、ネットワークN1上の他の装置、例えば、情報処理装置1に提供してもよい。
【0030】
図3は、情報処理装置1の機能の構成を例示する図である。情報処理装置1は、AR等によって、ユーザ装置2を介して検査者Kによる検査を支援する制御部10と、制御部10が参照する外部記憶装置13上のデータベースを有する。データベースは、計量器画像情報、計量器仕様情報、検査仕様情報、および公差情報で例示される合格基準情報を含む。ただし、上述のように、データベースは、データベースマシンその他のコンピュータに管理され、ネットワークN1によって接続されるものでもよい。
【0031】
計量器画像情報は、ユーザ装置2のカメラによって撮影された計量器200の画像を含む。複数の計量器200に対して、それぞれの画像には、画像ID(識別情報)が付与され、それぞれの画像と対応づけて外部記憶装置13に保存されている。そのため、情報処理装置1は、ユーザ装置2によって撮影された計量器200の画像を基に、計量器画像情報を検索し、画像と画像のマッチングにより計量器200の画像IDを特定できる。
【0032】
また、計量器仕様情報、検査仕様情報には、画像IDが付与されている。したがって、情報処理装置1は、計量器200の画像から画像IDを特定し、計量器200ごとに、計量器仕様情報、検査仕様情報を外部記憶装置13から読み出すことができる。ただし、画像IDを用いることなく、計量器200の画像と、それぞれの計量器200の計量器仕様情報、または、検査仕様情報が対応づけられてもよい。この場合には、情報処理装置1は、計量器200の画像を基に、計量器200ごとに、計量器仕様情報、または、検査仕様情報を外部記憶装置13から読み出すことができる。外部記憶装置13から読み出される計量器仕様情報は、第2の仕様情報の一例である。
【0033】
計量器仕様情報は、計量器200それぞれの仕様を規定する情報である。計量器仕様情報は、例えば、計量器200の販売会社、製造会社、型式承認情報、精度等級、ひょう量、目量、最小測定量等を有する。このように、本実施形態の検査システム100は、データベースにおいて、画像または画像IDに対応づけて計量器仕様情報を有している。
【0034】
一方、計量器200には、それぞれの仕様を記述した銘板が筐体の表面に添付されている。したがって、検査システム100においては、情報処理装置1は、ユーザ装置2のカメラによって撮影された銘板の画像から計量器仕様情報を抽出することが可能である。銘板の画像から抽出される計量器仕様情報は、第1の仕様情報の一例である。
【0035】
(データ例および画面例)
図4は、計量器200に付される銘板の一例である。この銘板には、販売者として、株式会社 C1、製造者として、株式会社C2、検定証印(R5年1月付け)、型式承認DMMMM号、精度等級III、ひょう量が15Kg、目量20g(ただし、計量値が10K
gまでは目量10g)、最小測定量100g、製造年がR4年であることが記載されている。本実施形態では、検査システム100は、計量器200の銘板から読み取った計量器仕様情報(第1の仕様情報)と、データベースに記憶した計量器仕様情報(第2の仕様情報)とを比較し、銘板の妥当性を確認する。
【0036】
図3の検査仕様情報は、計量器200を検査するときの検査手順および検査手順の実行
時に計量器200によって計量される計量値を含む。計量器200によって計量される計量値は、例えば、検査において用いられる分銅の質量の値、計量器200の表示部に表示される表示値等である。検査仕様情報は、図6以下において、それぞれの検査に対応するものが例示される。なお、図3の公差情報は、別途、図12において説明される。さらに、公差以外の合格基準情報は、別途、図13により例示される。
【0037】
図5は、計量器仕様情報の構成を例示する図である。図5の例では、計量器仕様情報は、画像ID、適用基準、計量器の種類、ひょう量(MAX)、目量(e)、精度等級、最小測定量(MIN)、型式承認という各要素を有している。
【0038】
すでに述べたように、画像IDは、計量器画像情報において、計量器200のそれぞれの画像に対応づけて付与されたユニークな識別情報である。ただし、計量器仕様情報は、画像IDの代わりに、計量器200の画像そのものを有するようにしてもよい。要するに、計量器画像情報がどの計量器200の情報であるかが特定できればよい。
【0039】
適用基準は、検査に適用される技術基準、規格等を示す。適用基準は、例えば、JIS基準等である。計量器の種類は、画像ID(または画像)で特定される計量器200の種類である。計量器の種類は、例えば、質量計と呼ばれるものとしては、電気抵抗線式はかり、電子はかり、上皿自動はかり、電子天秤、台はかり、デジタル台はかり等が例示される。
【0040】
ひょう量(MAX)は、その計量器200ではかることができる最大値をいう。目量(e)とは、その計量器200の最小メモリの量、または最小表示をいう。精度等級は、特定計量器についての等級であって、器差を指定された限界内で保つための計量要件に適合する計量器の等級をいう。精度等級は、例えば、1級、2級、3級、4級、または、まる印の中にローマ数字でI、II、III、IV等を記入した記号で表示される。なお、「器差」は法定計量における用語であり、通常の用語である「誤差」と同義である。
【0041】
最小測定量(MIN)は、計量法上、取引または証明に使用可能な最小測定量をいう。最小測定量は、それ未満では計量結果に過大な相対器差を生じる可能性がある質量の値ということもできる。
【0042】
計量器200の届出製造事業者は、製造する特定計量器について「型式」の承認を受けることができる。型式承認情報は、その承認を受けたことを示す識別情報である。型式承認情報は、例えば、第Dnnnn号のように表示される。
【0043】
図6は、感じの検査仕様情報を例示する図である。「感じ」とは、荷重の小さな変化に対応する、はかりの能力、荷重の小さな変化を識別する限界ということができる。感じの検査は、検査箇所、検査荷重によって実施される。検査箇所は、初期荷重ともいうことができる。感じの検査は、初期荷重を計量中の計量器200に対して、さらに、検査荷重を追加したときに、表示値が変位するか否かを判定する検査である。検査荷重は、目量(e)の2倍の質量2eが用いられる。
【0044】
感じの検査仕様情報中の検査方法は、検査手順を例示する。検査方法は、自然言語、擬似言語等で記述できる。情報処理装置1は、自然言語、擬似言語等による検査仕様情報を字句解析および構文解析し、検査の手順、検査に使用する質量、公差等の検査仕様を把握する。そして、情報処理装置1は、把握した検査仕様にしたがって、計量器200の画像に矢印、その他の操作ガイドをユーザ装置2のディスプレイに重畳表示し、検査者Kによる検査を支援する。このとき、情報処理装置1は、ユーザ装置2のスピーカから音声を出力してもよい。
【0045】
図6の例では、まず、情報処理装置1は、ひょう量(MAX)の1/3の分銅を載台201に載せるように、ユーザ装置2から検査者Kに指示する。次に、情報処理装置1は、静かに検査荷重の分銅(2e)を載台201に載せるように、ユーザ装置2を通じて検査者Kに指示する。そして、情報処理装置1は、表示値が明らかに変化したか否かを確認するように、ユーザ装置2を通じて検査者Kに指示する。例えば、情報処理装置1は、ユーザ装置2が撮影する画像から、表示値を読み取り、表示値が明らかに変化したか否かを判定し、判定結果を、ユーザ装置2のディスプレイに表示し、検査者Kに確認を求めてもよい。情報処理装置1は、検査荷重の分銅(2e)を載台201に載せる前と、載せた後の画像から、表示値が変化した否かを判定すればよい。そして、情報処理装置1は、検査荷重の分銅(2e)を載台201に載せる前の表示値と、載せた後の表示値と、判定結果等を例えば、外部記憶装置13に検査記録として保存する。なお、情報処理装置1は、ひょう量(MAX)と目量(e)を銘板の画像から読み取ってもよい。また、情報処理装置1は、画像IDを基に、ひょう量(MAX)と目量(e)をデータベースの計量器仕様情報から取得してもよい。
【0046】
図7は、情報処理装置1がユーザ装置2を介して検査者Kによる計量器200における感じの検査を支援するときのユーザ装置2のディスプレイの表示を例示する図である。情報処理装置1は、計量器200の画像をユーザ装置2のカメラからリアルタイムに取得する。そして、情報処理装置1は、計量器200の画像から、載台201、表示部202等を特定する。さらに、情報処理装置1は、計量器200の画像に重畳して、例えば、1kgの分銅を載台201に載せるようにガイドする画像をディスプレイに表示する。
【0047】
例えば、1kgの分銅が載台201に移され、実線の矢印によって移動の軌跡が示される。次に、情報処理装置1は、同様に、2gの分銅を載台201に載せるようにガイドする画像をディスプレイに表示する。例えば、2gの分銅が載台201に移され、点線の矢印によって移動の軌跡が示される。そして、表示部202の周辺を発光させ、または表示部202での彩色を変化させ、検査者Kの注意が表示部202に向かうように誘導する。これによって、検査者Kは、2gの分銅が載台201に載置されたときに、表示部202の表示値が変化するか否かを確認できる。また、本実施形態においては、情報処理装置1は、ユーザ装置2のカメラで撮影された表示部202の画像から、文字認識により2gの分銅が載置される前および載置された後の表示値を読み取る。そして、情報処理装置1は、2gの分銅が載置される前と後の表示値を比較することで、表示値が変化するか否かを確認し、確認結果を外部記憶装置13のデータベースに保存する。
【0048】
図8は、繰り返し性の検査仕様情報を例示する図である。繰り返し性の検査は、複数回繰り返した計量結果の間の差が、計量される荷重に対するはかりの公差を超えないことを確認する検査である。繰り返し性の検査は、負荷荷重を検査回数だけ繰り返すことによって実施される。そして、判定基準は、最大の差が公差以内かどうかである。図8の例では、負荷荷重がひょう量の1/4、検査回数3、公差がプラスマイナス2gの場合である。
【0049】
そして、図8の検査方法では、情報処理装置1は負荷荷重(ひょう量/3)の分銅を載台201に載せ、表示値(1)を記録し、分銅を降ろす、という操作をガイドする画像をユーザ装置2のディスプレイに表示する。表示値(1)については、例えば、ユーザ装置2のカメラによって撮影された画像から、情報処理装置1が表示値(1)を文字認識することで読み取り、記録すればよい。
【0050】
同様に、情報処理装置1は2回目、3回目の検査をガイドし、表示値(2)、表示値(3)を記録する。そして、情報処理装置1は、表示値(1)、表示値(2)、表示値(3)における表示値の最大値-最小値を計算し、変動値とする。そして、情報処理装置は、
変動値と、変動値が公差以内であるか否かの判定結果をユーザ装置2のディスプレイに表示し、検査者Kの確認を求める。そして、情報処理装置1は、ユーザ装置2のユーザインターフェースを介して、検査者Kの確認を受け付けると、表示値(1)、表示値(2)、表示値(3)、変動値、公差、判定結果等を例えば、外部記憶装置13に検査記録として保存する。なお、検査者Kの確認は必須ではない。例えば、情報処理装置1は、判定結果が合格の場合に、数秒だけ合格を示す文字列または画像等をユーザ装置2のディスプレイに表示し、検査記録を保存し、次の検査に進んでも良い。また、情報処理装置1は、不合格の場合には、検査者Kの確認を求め、検査者Kの判断にしたがい、その検査を再度、繰り返してもよい。
【0051】
図9は、偏置荷重の検査仕様情報を例示する図である。偏置荷重の検査は、計量器200の載台201上の偏った位置に分銅等の計量対象物が載置されたときに、表示値の差が公差以内であるか否かを確認する検査である。偏置荷重の検査は、例えば、載台数1、支持数1のはかりに対して実施される。また、偏置荷重の検査は、負荷荷重(例えば、ひょう量の1/3)を異なる荷重位置、例えば、載台201の上面を縦2等分、横2等分した4つの領域(第1象限~第4象限)の中央位置においた4回の計量によって実施される。判定基準は、各位置での表示値間の差が公差内となることである。
【0052】
そして、図9の検査方法では、情報処理装置1は、負荷荷重(ひょう量/3)の分銅を載台201の第1象限の中央に載せ、表示値(1)を記録し、分銅を降ろす、という操作をガイドする画像をディスプレイに表示する。表示値(1)については、例えば、ユーザ装置2のカメラによって撮影された画像から、情報処理装置1が表示値(1)を文字認識することで読み取り、記録すればよい。
【0053】
同様に、情報処理装置1は第2象限、第3象限および第4象限の検査をガイドし、表示値(2)、表示値(3)、表示値(4)を記録する。そして、情報処理装置1は、表示値(1)乃至表示値(4)における最大値-最小値を計算し、差分値とする。そして、情報処理装置1は、差分値と、差分値が公差以内であるか否かの判定結果をユーザ装置2のディスプレイに表示し、検査者Kの確認を求める。そして、情報処理装置1は、ユーザ装置2のユーザインターフェースを介して、検査者Kの確認を受け付けると、表示値(1)乃至表示値(4)、差分値、公差、判定結果等を例えば、外部記憶装置13に検査記録として保存する。なお、検査者Kの確認は必須ではない。例えば、情報処理装置1は、判定結果が合格の場合に、数秒だけ合格を示す文字列または画像等をユーザ装置2のディスプレイに表示し、検査記録を保存し、次の検査に進んでも良い。また、情報処理装置1は、不合格の場合には、検査者Kの確認を求め、検査者Kの判断にしたがい、その検査を再度、繰り返してもよい。
【0054】
図10は、情報処理装置1が偏置荷重の検査を支援するときのユーザ装置2のディスプレイの表示を例示する図である。情報処理装置1は、計量器200の画像に重畳して、例えば、1kgの分銅を載台201に載せるようにガイドする画像(図10では、実線枠の内部を塗りつぶした矢印)をディスプレイに表示する。
【0055】
例えば、情報処理装置1は、実線枠の矢印によって1kgの分銅が載台201の第1象限の中央に載せられるように、ユーザ装置2への画像の表示によって検査者Kをガイドする。次に、情報処理装置1は、画像から表示値(1)を文字認識により抽出し、記録し、分銅を降ろすように、検査者Kをガイドする。情報処理装置1は、同様のガイドを第2象限乃至第4象限において繰り返し、それぞれの画像から表示値(2)乃至(4)を抽出し、記録する。そして、情報処理装置1は、表示値(1)乃至(4)から最大値-最小値を計算し、公差以内か否かを判定し、検査者Kに確認を求める。なお、上述の通り、検査者Kの確認は必須ではない。例えば、情報処理装置1は、判定結果が合格の場合に、数秒だ
け合格を示す文字列または画像等をユーザ装置2のディスプレイに表示し、検査記録を保存し、次の検査に進んでも良い。また、情報処理装置1は、不合格の場合には、検査者Kの確認を求め、検査者Kの判断にしたがい、その検査を再度、繰り返してもよい。
【0056】
図11は、器差の検査仕様情報を例示する図である。器差の検査は、荷重を増加する場合(行きという)と、荷重を減少する場合(帰りという)とにおいて、器差が公差以内であるか否かを判定する検査である。行きは、最小測定量からひょう量に至る複数の荷重(検査箇所という)において、最小測定量からひょう量に向けて荷重を増加する場合の計量工程である。帰りは、ひょう量から最小測定量に向けて荷重を減少する場合の計量工程である。器差の検査は、上記2つの計量工程での器差が公差以内であるか否かを判定する検査である。器差の検査は、最小測定量、公差の変わり目、およびひょう量を含む複数の検査箇所(質量)における荷重によって実施される。判定基準は、上述のように、行きと帰りとの器差が公差以内か否かである。
【0057】
そして、図11の検査方法では、情報処理装置1は、行きの各検査箇所で対応する分銅を載台201に載せるようにガイドする画像をユーザ装置2のディスプレイに表示する。そして、情報処理装置1は、各表示値を記録する。さらに、情報処理装置1は、帰りの各検査箇所で対応する分銅を載台201に載せるようにガイドする画像をユーザ装置2のディスプレイに表示する。そして、情報処理装置1は、各表示値を記録する。そして、情報処理装置1は、各検査箇所での行きと帰りの差分値を計算し、公差以内であることを判定し、記録した表示値、差分値、および判定結果をディスプレイに表示し、検査者Kに確認を求める。そして、情報処理装置1は、ユーザ装置2のユーザインターフェースを介して、検査者Kの確認を受け付けると、表示値、差分値、および判定結果等を例えば、外部記憶装置13に検査記録として保存する。なお、検査者Kの確認は必須ではない。例えば、情報処理装置1は、判定結果が合格である場合に、数秒だけ合格を示す文字列または画像等をユーザ装置2のディスプレイに表示し、検査記録を保存し、次の検査に進んでも良い。また、情報処理装置1は、不合格の場合には、検査者Kの確認を求め、検査者Kの判断にしたがい、その検査を再度、繰り返してもよい。
【0058】
図12は、精度等級と公差と最小測定量を規定するJISの基準を例示する表である。図12のように、1級乃至4級の各等級において、公差は、質量の範囲で異なる。例えば、3級の場合、目量を単位して、質量mが0超、500以下の範囲では、公差はプラスマイナスe(1つの目量)の範囲である。また、3級の場合、質量mが500超、2000以下の範囲では、公差はプラスマイナス2e(2つの目量)の範囲である。また、3級の場合、質量mが2000超、10000以下の範囲では、公差はプラスマイナス3e(3つの目量)の範囲である。1、2、4級についても、それぞれ、質量の各範囲で、公差が定められている。また、最小測定量は、1級では、目量の100倍、2級では目量の20倍または50倍、3級では、目量の20場合、4級では目量の10倍と規定されている。
【0059】
図13は、精度等級3級、ひょう量3kgの計量器200における公差表を例示する図である。ただし、図13の計量器200の仕様では、質量が0から1.5kgの範囲では目量1gであり、質量が1.5kg超で3kg以内の範囲では目量2gである。
【0060】
まず、図12のJIS規格から、質量mが目量で0超、500以下の範囲では、公差はプラスマイナスe(1つの目量)の範囲である。また、図13の計量器200では、質量が1.5kg以内では目量が1gである。したがって、質量が0g超、500g以下の範囲では、公差はプラスマイナスe(1つの目量)であり、1gである。
【0061】
次に、図12のJIS規格から、質量mが目量で500超、2000以下の範囲では、公差はプラスマイナス2e(2つの目量)の範囲である。そして、図13の計量器200
では、質量が1.5kg以内では目量が1gであるので、質量が1.5kg以内では公差プラスマイナス2e、すなわちプラスマイナス2gとなる。さらに、質量が1.5kg超3kg以内では、目量が2gとなるので、公差はプラスマイナス4gとなる。このようにして、情報処理装置1は、図13のグラフで例示される公差表を作成し、例えば、主記憶装置12に保存し、器差の検査において参照する。また、計量器200では、図13の公差表で例示される公差の変わり目は、500gおよび1.5kgであり、これに加えて、最小測定量20g(目量の20倍)およびひょう量3kgにおいて、器差の検査が実施される。したがって、図13で例示される公差表を定義した情報は、合格基準情報の一例ということができる。
【0062】
図14は、零点設定装置の検査仕様情報を例示する図である。零点設定装置は、計量器200に何も載せていない状態から、目量(e)の10倍以内の質量を載せても0gと表示
させ続ける機能を有する計量器200をいう。零点設定は、計量器200が風などの影響で表示値を変動させてしまうことを抑制する機能である。ただし、実際に計量の対象物を載せたときには零点設定の機能がOFFにならなければならないという規格がある。したが
って、例えば、検査者Kは、目量の10倍の分銅を風の影響に相当する質量とし、零点設定装置を稼働させて、その質量の分銅を載台201に載せても表示値が0gであることを確認する。この状態で、検査者Kは、さらに20gの分銅を載せ、零点設定の機能が解除されるかどうかを確認する。したがって、零点設定装置の検査では、検査荷重(10e)と、解除荷重(例えば20g+10e)が規定される。
【0063】
そして、図14の検査方法では、情報処理装置1は、計量器200が零点設定装置であること、あるいは、零点設定機能の稼働を確認するようにガイドする画像をユーザ装置2のディスプレイに表示する。次に、情報処理装置1は、検査荷重の分銅を載台201に載せ、表示値が変動しないことを確認するようにガイドする画像をユーザ装置2のディスプレイに表示する。情報処理装置1は、分銅が載せられると表示値を記録し、表示値の変動の有無を判定し、検査者Kに確認を求める。なお、検査者Kの確認は必須ではない。例えば、情報処理装置1は、判定結果が合格である場合に、数秒だけ合格を示す文字列または画像等をユーザ装置2のディスプレイに表示し、検査記録を保存し、次の検査に進んでも良い。また、情報処理装置1は、不合格の場合には、検査者Kの確認を求め、検査者Kの判断にしたがい、その検査を再度、繰り返してもよい。
【0064】
そして、情報処理装置1は、解除荷重の分銅を載台201に載せること、および、表示値(零点設定が解除されたこと)を確認するようにガイドする画像をユーザ装置2のディスプレイに表示する。情報処理装置1は、分銅が載せられると表示値を画像からの文字認識で読み取り、記録し、零点設定解除の有無を判定し、ユーザに確認を求める。情報処理装置1は、ユーザ装置2のユーザインターフェースを介して、検査者Kの確認を受け付けると、確認結果を保存する。情報処理装置1は、例えば、零点設定が有効であること、そのときの表示値、さらに、零点設定が解除されたこと、および、解除後の表示値(例えば20g)を外部記憶装置13に検査記録として保存する。以上のガイドの表示は、図7の感じの検査、図10の偏置荷重の検査で説明したものと同様である。なお、図14の検査方法において、検査者Kの確認が必須ではないことは、上述の通りである。
【0065】
図15は、風袋引き装置の検査仕様情報を例示する図である。風袋引き装置は、はかりで物の質量をはかる時の、その物が入れられた容器、袋、箱、トレーなどの質量を除外する機能を有する装置をいう。風袋引き装置の検査では、除外される風袋の質量が精度よくはかれるか否かが確認される。風袋引き装置の検査は、例えば、風袋荷重と、解除荷重によって実施される。判定基準は、目量の1/2(0.5e)以内である。風袋荷重は、物が入れられた容器、袋、箱、トレーなどを想定した質量であり、任意荷重(例えば、100g)である。解除荷重は、零点設定の機能を解除する荷重であり、図14の零点設定装
置の検査仕様情報で説明した通りである。
【0066】
図15の検査方法では、情報処理装置1は、計量器200において、零点設定が稼働していることを確認するように、ユーザ装置2により検査者Kに促す。そして、情報処理装置1は、検査者Kに、風袋荷重の分銅を載台201に載せるようにガイドし、さらに、風袋引き機能を作動させるように促す。風袋引き機能は、例えば、押しボタンの押下で作動するので、情報処理装置1は、ユーザ装置2のディスプレイ上に、押しボタンの押下を促す矢印等のマークで検査者Kをガイドすればよい。
【0067】
次に、情報処理装置1は、解除荷重の分銅を載台201に載せ、表示値(解除荷重値)を確認するように、ユーザ装置2により検査者Kに促す。また、本実施形態においては、情報処理装置1は、ユーザ装置2のカメラで撮影された表示部202の画像から、文字認識により分銅が載置されたときの表示値を読み取る。そして、情報処理装置1は、分銅が載置された後の表示値が解除荷重値となるか否かを確認し、確認結果を外部記憶装置13のデータベースに保存する。さらに、情報処理装置1は、0.1eの質量の分銅を載台201に載せるように検査者Kに促し、表示値(変化の有無)を確認する。情報処理装置1は、変化がない場合、順次0.1eの質量の分銅を載台201に追加して載せていくように検査者Kに促す。そして、情報処理装置1は、0.5eで表示値が変化なしであることを確認すると合格と判定する。情報処理装置1は、載台201に載せられる分銅の質量を示す文字情報を画像から文字認識で抽出するとともに、計量器200の表示部の表示値を計量器200の画像から文字認識で取得すればよい。そして、情報処理装置1は、判定結果をユーザ装置2に表示し、検査者Kに確認を求める。検査者Kからの確認がユーザ装置2のユーザインターフェースから入力されると、情報処理装置1は、検査の状況(分銅の種類と載台201への搭載順)、および判定結果等を外部記憶装置13に検査記録として保存する。なお、検査者Kの確認は必須ではない。例えば、情報処理装置1は、判定結果が合格である場合に、数秒だけ合格を示す文字列または画像等をユーザ装置2のディスプレイに表示し、検査記録を保存し、次の検査に進んでも良い。また、情報処理装置1は、不合格の場合には、検査者Kの確認を求め、検査者Kの判断にしたがい、その検査を再度、繰り返してもよい。
【0068】
図16は、情報処理装置1が風袋引き装置の検査を支援するときのユーザ装置2のディスプレイの表示を例示する図である。図16の例では、情報処理装置1は、計量器200の画像に重畳して、分銅の画像と、矢印等を表示することによって、風袋荷重の分銅(例えば、質量100g)を載台201に載せるように、検査者Kに促す。情報処理装置1はユーザ装置2で撮影された画像から、風袋荷重の分銅が載台201に載せられ、計量器200の表示部が100gを表示したことを確認すると、検査者Kに押しボタンの押下を促すガイドをユーザ装置2に出力する。ガイドは、例えば、「風袋引きボタンをセットしてください」とのメッセージと、押しボタンの位置を示すマークである。ガイドは、ユーザ装置2のスピーカから音声で出力されてもよい。そして、情報処理装置1は、押しボタンの押下を画像から確認すると、次の手順として、解除荷重(例えば20g)の分銅を載台201に載せるように検査者Kに促せばよい。図16では、次の手順は点線で例示されている。
【0069】
図17は、正味量の検査仕様情報を例示する図である。正味量の検査は、はかりで物の質量をはかる時の、その物が入れられた容器、袋、箱、トレーなどの質量を除外する機能の検査をいう。正味量の検査は、風袋引きを行った状態で器差を確認する検査である。検査者Kは、トレーに計量の対象物(例えば、肉)が載せられて、ラップで包まれている状態を想定し、トータルの質量ではなく、計量の対象物(肉)だけの質量が正しく計量されるか否かを判定する。正味量の検査は、風袋荷重(例えば500g)と、正味荷重(例えば、1kg)によって実施される。判定基準は、正味荷重の表示値の器差が公差以内か否
かである。
【0070】
図17の検査方法では、情報処理装置1は、まず、計量器200において、風袋荷重の分銅を載台201に載せ、風袋引き機能を作動させるように検査者Kに促す。この処理は、図15の風袋引き装置の検査と同様である。そして、情報処理装置1は、画像の文字認識により表示値が零点であることを確認するとともに、検査者Kに確認を促す。さらに、情報処理装置1は、正味荷重の分銅を載台201に載せるように検査者Kに促す。そして、情報処理装置1は、ユーザ装置2で撮影された画像から、計量器200の表示値を文字認識により確認し、器差を算出する。このときに、情報処理装置1は、検査者Kに計量器200の表示値を確認するように促せばよい。そして、情報処理装置1は、器差が公差内か否かを判定し、判定結果をユーザ装置2のディスプレイに表示する。さらに、情報処理装置1は、検査者Kに確認したことをユーザ装置2に入力するように促す。そして、検査者Kからの確認がユーザ装置2のユーザインターフェースから入力されると、情報処理装置1は、検査の状況(分銅の種類と載台201への搭載順)、および判定結果等を外部記憶装置13に検査記録として保存する。なお、検査者Kの確認の入力は必須ではない。例えば、情報処理装置1は、判定結果が合格の場合に、数秒だけ合格を示す文字列または画像等をユーザ装置2のディスプレイに表示し、検査記録を保存し、次の検査に進んでも良い。また、情報処理装置1は、不合格の場合には、検査者Kの確認を求め、検査者Kの判断にしたがい、その検査を再度、繰り返してもよい。
【0071】
(処理フロー)
図18は、検査システム100が計量器200の検査を支援する検査支援処理を例示するフローチャートである。この処理では、まず、情報処理装置1は、ユーザ装置2を介して検査者Kをガイドし、ユーザ装置2のカメラで計量器200の画像を取得するように促す。その結果、情報処理装置1は、ユーザ装置2から計量器200の画像を取得する(S1)。
【0072】
次に、情報処理装置1は、画像に含まれる銘板から(例えば、図4参照)、計量器200の機種に関する情報を特定する。例えば、情報処理装置1は、銘板の画像から、検定証印を確認し、販売会社名、製造会社名、型式承認情報、精度等級、ひょう量、目量、最小測定量等の仕様に関する情報(以下、銘板情報という)を文字認識によって抽出する。画像からの銘板情報の抽出は、一般的なOptical Character Recognition/Reader(OCR)処理によって実施される(S2)。銘板情報は第1の仕様情報の一例である。
【0073】
次に、情報処理装置1は、計量器200の仕様を確認する(S3)。例えば、情報処理装置1は、計量器200の画像を認識し、画像を基に計量器画像情報(図3参照)において画像のマッチングを実行し、計量器200の画像に対応する画像IDを取得する。そして、情報処理装置1は、画像IDを基に、外部記憶装置13のデータベースから、第2の仕様情報として、計量器200の仕様情報を取得する。そして、情報処理装置1は、S2で銘板から抽出した銘板情報と、S3で取得した計量器200の仕様情報を比較し、誤り、矛盾等がないか確認する。
【0074】
S3の確認で、誤り、矛盾等がある場合(S4で誤の場合)、情報処理装置1は、仕様の誤りを表示する(S8)。例えば、情報処理装置1は、銘板情報とデータベースから読み出した仕様情報との間で、不一致の項目をユーザ装置2のディスプレイに表示し、検査者Kに確認を求める。S8では、情報処理装置1は、検査の中止を促す情報を出力装置としてのユーザ装置2に出力してもよい。そして、情報処理装置1は、処理を終了する。ただし、S4で誤の場合、情報処理装置1は、自身の表示装置14に不一致の項目または異常を表示し、情報処理装置1の管理者に介入を求めてもよい。
【0075】
S3の確認で、誤り、矛盾等がない場合(S4で正の場合)、情報処理装置1は、事前準備支援処理を実行する(S5)。事前準備支援処理は、計量器200の検査前に実施する処理である。次に、情報処理装置1は、項目別検査支援処理を実行する(S6)。項目別検査は、検査項目ごと、例えば、感じの検査、繰り返し性検査等のそれぞれを検査するものである。さらに、情報処理装置1は、事後支援処理を実行し(S7)、処理を終了する。
【0076】
なお、情報処理装置1は、事後支援処理では、項目別検査支援処理で得られた、検査項目ごとの検査者Kによる検査中の画像、検査対象の計量器200の外観の画像、銘板の画像、表示部の表示値等を外部記憶装置13に保存する。また、情報処理装置1は、検査仕様情報に対応した検査の結果を記録した報告書データを作成し、外部記憶装置13に保存する。また、情報処理装置1は、検査者Kの要求にしたがって、報告書データをユーザ装置2のディスプレイまたはネットワークN1上の他の装置に接続される印字装置に出力する。
【0077】
図19は、事前準備支援処理(図18のS5)の詳細を例示するフローチャートである。この処理では、まず、情報処理装置1は、表記事項確認処理を実行する(S51)。S51の処理では、情報処理装置1は、検査者Kに、銘板の表記事項、例えば、検定証印、その日付、ひょう量、目量、最小測定量等を確認するように、ユーザ装置2のディスプレイへの表示により、検査者Kをガイドする。ただし、すでに、図18のS3、S4の処理で、仕様の確認が正と判定された場合には、情報処理装置1は、計量器200の銘板情報が正しいという確認結果をユーザ装置2のディスプレイに表示するだけでもよい。
【0078】
次に、情報処理装置1は、型式承認図確認処理を実行する(S52)。この処理では、情報処理装置1は、銘板情報の型式承認情報を確認するようにユーザ装置2のディスプレイへの表示によりガイドする。ただし、すでに、図18のS3、S4の処理で、仕様の確認が正と判定された場合には、情報処理装置1は、画像中の銘板から抽出した型式承認情報が正しいことをユーザ装置2のディスプレイへの表示により、検査者Kに提示してもよい。また、このとき、情報処理装置1は、型式承認図を外部記憶装置13のデータベースから読み出し、ユーザ装置2のディスプレイに表示してもよい。
【0079】
次に、情報処理装置1は、等級、公差の確認と、公差表作成処理を実行する(S53)。この処理では、情報処理装置1は、計量器200の銘板において等級を確認することを検査者Kに促す。また、情報処理装置1は、図12に例示した規格等の情報を外部記憶装置13のデータベースから読み出し、検査者Kに提示する。さらに、情報処理装置1は、計量器200の等級、規格、および、目量等の情報から、図13に例示した公差表を作成し、記憶部としての主記憶装置12に保存するともに、ユーザ装置2のディスプレイに表示する。主記憶装置12に保存した公差表は、器差検査で参照される。
【0080】
次に、情報処理装置1は、計量器200が水平に載置されるよう検査者Kに促し、計量器200の水平面を調整するように促す(S54)。さらに、情報処理装置1は、機種に対応する検査仕様またはS53で生成した公差表から、検査に必要な分銅の種類(質量)を提示し、準備するように、検査者Kを促す(S55)。
【0081】
以上のS51からS55のそれぞれの処理では、情報処理装置1は、ユーザ装置2のディスプレイへの表示によって検査者Kに完了の確認を求めてもよい。情報処理装置1は、ユーザ装置2のユーザインターフェース、例えば、ディスプレイ上のタッチパネル、その他の操作ボタンへの完了を示す入力を受け付けるまで、S51からS55の処理それぞれを継続する。そして、情報処理装置1は、完了を示す入力を受け付けると、それぞれの次の処理に進めばよい。
【0082】
図20および図21は、項目別検査支援処理(図18のS6)の詳細を例示するフローチャートである。なお、図20および図21は、A1とB1の箇所で接続されている。この処理では、まず、情報処理装置1は、計量器200の機種に対応する検査仕様情報を外部記憶装置13のデータベースから取得する(S61)。検査仕様情報は、例えば、図6の感じの検査、図8の繰り返しの検査、図9の偏置荷重の検査、図11の器差の検査、図14の零点設定装置の検査、図15の風袋引き装置の検査、図17の正味量の検査の各検査仕様に例示した。なお、S62以降の処理では、感じ検査、繰り返し性検査、偏置荷重検査、器差検査、零点設定検査、風袋引き装置検査、正味量の順に実行される。しかし、項目別検査の順序が、図20および図21の順に限定される訳ではない。情報処理装置1は、主記憶装置12上のコンピュータプログラムの制御にしたがって、各項目の検査を実行すればよい。
【0083】
次に、情報処理装置1は、感じ検査支援処理を実行する(S62)。感じ検査支援処理は、図6の感じの検査方法に記載した手順で実行される。また、その処理の一部は、図7の画面で例示した通りである。
【0084】
そして、情報処理装置1は、感じの検査が合格か否かを判定する(S63)。S63の判定が合格でない、否の場合、情報処理装置1は、検査を続行するか否かを検査者Kにユーザ装置2を介して確認する(S64)。検査者Kから、検査を続行しない(S64でNO)の応答がユーザ装置2を介してあった場合、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0085】
一方、S63の判定で合格の場合、およびS64の判定で、検査続行の場合、情報処理装置1は、繰り返し性検査支援処理を実行する(S65)。繰り返し性検査支援処理は、図8の繰り返し性の検査方法に記載した手順で実行される。
【0086】
そして、情報処理装置1は、繰り返し性の検査が合格か否かを判定する(S66)。S66の判定が合格でない、否の場合、情報処理装置1は、検査を続行するか否かを検査者Kにユーザ装置2を介して確認する(S67)。検査者Kから、検査を続行しない(S67でNO)との応答がユーザ装置2を介してあった場合、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0087】
一方、S66の判定で合格の場合、およびS67の判定で、検査続行の場合、情報処理装置1は、偏置荷重検査支援処理を実行する(S68)。偏置荷重検査支援処理は、図9の偏置荷重の検査方法に記載した手順で実行される。また、その処理の一部は、図10の画面で例示した通りである。
【0088】
そして、情報処理装置1は、偏置荷重の検査が合格か否かを判定する(S69)。S69の判定が合格でない、否の場合、情報処理装置1は、検査を続行するか否かを検査者Kにユーザ装置2を介して確認する(S6A)。検査者Kから、検査を続行しない(S6AでNO)との応答がユーザ装置2を介してあった場合、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0089】
一方、S69の判定で合格の場合、およびS6Aの判定で、検査続行の場合、情報処理装置1は、器差検査支援処理を実行する。器差検査支援処理は、図11の器差の検査方法に記載した手順で実行される。なお、器差検査で使用される公差表は、図19のS53で作成され、記憶部としての主記憶装置12に保存されているものが参照される。
【0090】
そして、情報処理装置1は、器差の検査が合格か否かを判定する(S6C)。S6Cの判定が合格でない、否の場合、情報処理装置1は、検査を続行するか否かを検査者Kにユ
ーザ装置2を介して確認する(S6D)。検査者Kから、検査を続行しない(S6DでNO)との応答がユーザ装置2を介してあった場合、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0091】
一方、S6Cの判定で合格の場合、およびS6Dの判定で、検査続行の場合、情報処理装置1は、零点設定検査支援処理(図21のS6H)を実行する。零点設定検査支援処理は、図14の零点設定装置の検査方法に記載した手順で実行される。
【0092】
そして、情報処理装置1は、零点設定の検査が合格か否かを判定する(S6I)。S6Iの判定が合格でない、否の場合、情報処理装置1は、検査を続行するか否かを検査者Kにユーザ装置2を介して確認する(S6J)。検査者Kから、検査を続行しない(S6JでNO)との応答がユーザ装置2を介してあった場合、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0093】
一方、S6Iの判定で合格の場合、およびS6Jの判定で、検査続行の場合、情報処理装置1は、風袋引き装置検査支援処理(S6K)を実行する。風袋引き装置検査支援処理は、図15の風袋引き装置の検査方法に記載した手順で実行される。また、その処理の一部は、図16の画面で例示した通りである。
【0094】
そして、情報処理装置1は、風袋引き装置の検査が合格か否かを判定する(S6L)。S6Lの判定が合格でない、否の場合、情報処理装置1は、検査を続行するか否かを検査者Kにユーザ装置2を介して確認する(S6M)。検査者Kから、検査を続行しない(S6MでNO)との応答がユーザ装置2を介してあった場合、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0095】
一方、S6Lの判定で合格の場合、およびS6Mの判定で、検査続行の場合、情報処理装置1は、正味量検査支援処理(S6N)を実行する。正味量検査支援処理は、図17の正味量の検査方法に記載した手順で実行される。そして、情報処理装置1は、項目別検査支援処理を終了する。
【0096】
図22は、感じ検査支援処理(図20のS62)の詳細を例示するフローチャートである。この処理では、情報処理装置1は、外部記憶装置13のデータベースから感じの検査仕様情報を取得する(S621)。感じの検査仕様情報は、図6に例示した通りである。そして、情報処理装置1は、ユーザ装置2のディスプレイに検査のガイドライン表示し、あるいは音声を出力する。より具体的には、情報処理装置1は、ユーザ装置2から取得した計量器200の画像の該当位置に操作指示マークを重畳して表示、検査方法にしたがった検査手順の実行を検査者Kに促す(S622)。さらに、このとき、情報処理装置1は、検査の実行状況がユーザ装置2のカメラで撮影されるようにユーザ装置2の向きに配慮するように、検査者Kに促す。
【0097】
そして、情報処理装置1は、ユーザ装置2によって撮影された検査員の動作を判定する(S623)。ここでは、情報処理装置1は、検査者Kが検査方法に対応する、検査仕様情報と整合する手順を実行したか否かを判定する。情報処理装置1は、例えば、正しい分銅を把持し、載台201の望ましい位置に載せたか否かを判定する。
【0098】
情報処理装置1は、検査者Kにユーザ装置2のカメラで分銅を撮影させ、正しい分銅か否かを判定すればよい。また、情報処理装置1は、検査者Kが分銅を把持し、載台201の望ましい位置に載せたことをユーザ装置2のカメラからの画像によって確認すればよい。また、情報処理装置1は、例えば、表示値が明らかに変化したこと、または変化しないことを認識したことを検査者Kにユーザ装置2のユーザインターフェースから入力させればよい。また、情報処理装置1は、ユーザ装置2のカメラからの画像によって、検査者K
のジェスチャを判定してもよい。
【0099】
そして、検査員の動作が正しくない場合(S624で誤)、情報処理装置1は、ユーザ装置2のディスプレイにエラー表示し、または、音、音声等を出力し(S625)、処理をS622に戻す。一方、検査員の動作が正しい場合(S624で正)、情報処理装置1は、計量器200の表示部の画像から文字認識で計量値を読み取る(S626)。
【0100】
さらに、情報処理装置1は、感じの検査仕様の合否判定基準と計量値とを照合し、合否判定を行う(S627)。例えば、感じの検査では、情報処理装置1は、検査荷重の分銅(2e)が載台201に載せられたときに、表示値が明らかに変化したか否かを確認する。
【0101】
そして、情報処理装置1は、合格の場合(S628で合格)、情報処理装置1は、検査合格の結果を検査者に確認するように促し、結果を記録し(S62A)、感じ検査支援処理を終了する。一方、不合格の場合(S628で否)、情報処理装置1は、ユーザ装置2を介して、再検査を実施するか否かを検査者Kに確認する(S629)。情報処理装置1は、ユーザ装置2のユーザインターフェースから再検査を実施するとの入力があると(S629でYES)、処理をS622に戻し、再度検査を実行する。また、情報処理装置1は、ユーザ装置2のユーザインターフェースから再検査を実施しないとの入力があると(S629でNO)、検査不合格の結果を記録し(S62A)、感じ検査支援処理を終了する。
【0102】
なお、感じの検査以外、すなわち、繰り返し性検査支援処理、偏置荷重検査支援処理、器差検査支援処理、零点設定検査支援処理、風袋引き装置検査支援処理、正味量検査支援処理の手順も、図22の場合と同様である。すなわち、情報処理装置1は、それぞれの検査仕様情報をデータベースから取得する。そして、情報処理装置1は、ユーザ装置2のディスプレイ、スピーカ等を通じて、検査者Kをガイドし、計量器200の表示値を文字認識で読み取り、公差等の合否判定基準に基づき、合否を判定し、結果を記録すればよい。
【0103】
(実施形態の効果)
本実施形態の検査システム100によれば、情報処理装置1は、管理装置として、画像を基に計量器200を検査するときの検査手順および検査手順の実行時に得られる計量値を含む検査仕様情報を特定する。そして、情報処理装置1は、検査者Kによって検査される計量器200を撮影した画像に重畳して、検査手順に対応する検査者を支援するガイド等の支援情報をユーザ装置2のディスプレイまたはスピーカ等の出力装置に出力する。このようにして、情報処理装置1は、経験が少ない検査者Kであっても容易に、法律や規格等で検査内容が定められた検査を実施できるように支援できる。
【0104】
また、情報処理装置1は、計量器200の画像から計量器200の第1の仕様情報としての銘板に記載された銘板情報を抽出する。また、情報処理装置1は、計量器200の画像を認識し、画像を基に計量器画像情報(図3参照)において画像のマッチングを実行し、第2の仕様情報として、計量器200の画像に対応する仕様情報を外部記憶装置13のデータベースから取得する。そして、情報処理装置1は、銘板情報と、データベースに保存された計量器200の仕様情報を比較し、誤り、矛盾等がないか否かを確認する。このため、情報処理装置1は、客観的に、検査対象の計量器200を特定し、検査対象を取り違えるような検査者Kの手違いの発生を抑制できる。
【0105】
また、情報処理装置1は、ユーザ装置2によって撮影された検査者Kの画像から、検査者Kが検査方法に対応した、検査仕様と整合する手順を実行したか否かを判定する。そして、検査者Kの動作が正しくない場合、情報処理装置1は、ユーザ装置2のディスプレイ
にエラーを表示し、または、音、音声等を出力し、規定の検査方法に対応する手順を実行するように検査者に促す。したがって、情報処理装置1は、検査者Kが法律や規格等で検査内容が定められた規定の検査手順を実行するように支援できる。
【0106】
また、情報処理装置1は、検査者Kの動作が正しくない場合、再度検査手順を繰り返させる(図22参照)。すなわち、情報処理装置1は、検査者Kによって実施された手順が、規定の検査手順に対応しない場合に、検査手順に対応する手順を実行するように検査者Kに繰り返して促す。したがって、情報処理装置1は、検査実施中の検査者Kを丁寧にリアルタイムで支援できる。
【0107】
また、情報処理装置1は、検査仕様として、JIS基準等の基準を有し、それぞれの検査での公差または図13の公差表等の判定基準(合格基準)を有する。そして、情報処理装置1は、取得装置としてのユーザ装置2によって撮影された計量器200の画像から、計量値としての表示値を取得し、表示値が判定基準を満たすか否かを判定する(図22の627)。そして、表示値が判定基準を満たさない場合、所定の限度で、検査を繰り返す。したがって、情報処理装置1は、計量器200の表示値、計量値等のばらつきに対応して、柔軟に検査を続行できる。
【0108】
また、情報処理装置1は、図3図20および図21によって例示される複数の検査項目(感じの検査、繰り返しの検査等)を実施する。そして、1つの検査項目において計測された計量値としての表示値が合格基準を満たさない場合に、情報処理装置1は、1つの検査項目を終了し、次の検査項目で、検査者Kを支援する。なお、情報処理装置1が所定の限度で1つの検査項目での検査を繰り返した後、表示値が合格基準を満たさない場合も、処理は同様である。したがって、情報処理装置1は、仮に1つの検査項目が不合格であっても、柔軟に次の検査項目で検査者Kを支援できる。
【0109】
ただし、情報処理装置1は、複数の検査項目を含む検査の1つの検査項目において計測された計量値としての表示値が合格基準を満たさない場合に、検査全体を終了してもよい(図20、21参照)。なお、情報処理装置1が所定の限度で検査を繰り返した後、表示値が合格基準を満たさない場合も処理は同様である。したがって、情報処理装置1は、1つの検査項目において計測された計量値としての表示値が合格基準を満たさない場合に、検査者Kからの応答に応じて、直ちに検査の全体を終了し、無駄な作業を低減できる。
【0110】
また、情報処理装置1は、検査仕様を有するとともに、JIS規格等で規定された公差の情報を有し(図12)、計量器200の等級、規格、および、目量等の情報から、公差表(図13)を作成する(図19のS53)。すなわち、情報処理装置1は、検査仕様情報に含まれる計量値と公差情報とを基に、計量器の計量値に対する合格基準を算出すると言える。そして、情報処理装置1は、計量値が前記合格基準を満たすか否かを判定する(図22)。したがって、情報処理装置1は、計量器200の等級等の仕様情報と、JIS規格等で規定された公差等を基に、規格にしたがった合格基準で検査者Kによる検査を支援できる。
【0111】
また、情報処理装置1は、検査における表示値等の検査において撮影された画像を外部記憶装置13等の保存装置に保存する。したがって、情報処理装置1は、検査者Kによる検査実施時の記録作業に伴う負担を軽減できる。
【0112】
また、また、情報処理装置1は、検査仕様情報に対応した検査の結果を記録した報告書データを作成し、外部記憶装置13に保存する。また、検査者Kの要求にしたがって、報告書データをユーザ装置2のディスプレイまたはネットワークN1上の他の装置に接続される印字装置に出力する。したがって、情報処理装置1は、検査後の記録の保存、および
報告書作成に伴う検査者Kの負担を軽減できる。
【0113】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、質量計と呼ばれる計量器200を例に、検査システム100による検査者の支援処理が例示された。しかし、検査システム100による処理が質量計と呼ばれる計量器200の検査に限定される訳ではない。質量計以外の様々な計量器の検査においても、検査を実施する作業者に検査システム100の構成を使用できる。例えば、積算体積計、積算熱量計、最大需要電力計、電力計、無効電力計、照度計、騒音計、振動レベル計、濃度計等の検査を実施する作業者に検査システム100の構成を使用できる。
【0114】
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0115】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0116】
<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0117】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM(リードオンリーメモリ)等がある。さらに、SSD(Solid State Drive)は、コンピュータ等から取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータ
等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 情報処理装置
2 ユーザ装置
10 制御部
11 CPU
12 主記憶装置
13 外部記憶装置
14 表示装置
15 操作装置
16 通信装置
図1
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図3
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