(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134996
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】プログラム、方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045476
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003285
【氏名又は名称】千代田化工建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】米山 徹
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】プラントの仮想モデルのデータ容量を抑制することができるシステムを提供する。
【解決手段】
プロセッサを備えたシステムに実行させるプログラムであって、プログラムは、プロセッサに、プラントを構成する複数の設備それぞれについて、3Dモデルである設備モデルの情報であって、設備それぞれで異なりうるように段階的に設定されうる詳細度の設定、及び、詳細度に応じた3Dモデルを含む設備モデルの情報を、記憶部に記憶させるステップと、複数の設備を画面に表示させるためのユーザの入力操作を受け付けるステップと、入力操作に応答して、設備それぞれに設定され設備ごとに異なりうる詳細度の設定に基づいて、仮想空間に配置される複数の設備それぞれの設備モデルをレンダリングするステップと、レンダリングした結果をユーザに対して表示するステップと、を実行させる、プログラム。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備えたシステムに実行させるプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
プラントを構成する複数の設備それぞれについて、3Dモデルである設備モデルの情報であって、前記設備それぞれで異なりうるように段階的に設定されうる詳細度の設定、及び、前記詳細度に応じた3Dモデルを含む前記設備モデルの情報を、記憶部に記憶させるステップと、
前記複数の設備を画面に表示させるためのユーザの入力操作を受け付けるステップと、
前記入力操作に応答して、前記設備それぞれに設定され前記設備ごとに異なりうる前記詳細度の設定に基づいて、仮想空間に配置される前記複数の設備それぞれの設備モデルをレンダリングするステップと、
前記レンダリングした結果を前記ユーザに対して表示するステップと、を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記レンダリングするステップでは、前記入力操作を行ったユーザの属性に応じて、前記設備モデルの前記詳細度を決定する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記詳細度は、該当する前記設備モデルの用途、および対応する前記設備の管理目的の少なくとも一方に応じて設定され、
前記入力操作を受け付けるステップでは、前記用途および前記管理目的の少なくとも一方の入力を受け付け、
前記レンダリングするステップでは、入力された前記用途および前記管理目的の少なくとも一方の値に応じて、複数の前記設備ごとに用いる前記設備モデルにおける前記詳細度を決定する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記記憶部に記憶させるステップでは、
前記プラントの設計段階で作成された設計モデルを用いて、前記プラントを構成する複数の前記設備について、設定された少なくとも一つの詳細度ごとに作成された前記設備モデルを記憶するステップと、を実行する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記記憶部に記憶させるステップでは、
前記プラントを構成する複数の前記設備について、設定された少なくとも一つの詳細度ごとに前記設備モデルを作成するステップを実行する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記設備モデルを作成するステップに先立って、
前記プラントを構成する複数の前記設備それぞれについて、当該設備の運転条件、運用期間、検査重要度の少なくとも一方に基づいて、前記設備に対して要求される詳細度を設定する、請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記プロセッサに、さらに、
予め想定されている単位期間当たりの工数を、設定された前記詳細度ごとの前記設備モデルの作成作業に割り当てることで、前記プラントを構成する全ての設備についての前記設備モデルの作成に要する期間を算出するステップを実行させる、請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記設備モデルを作成するステップに先立って、
前記プラントを構成する複数の前記設備それぞれについて、当該設備の運転条件、運用期間、検査重要度の少なくとも一方に基づいて、前記設備モデルを作成する優先順位を設定する、請求項5に記載のプログラム。
【請求項9】
前記プロセッサに、さらに、
予め想定されている単位期間当たりの工数を、設定された前記優先順位に従って、設定された前記詳細度ごとの前記設備モデルの作成作業に割り当てることで、前記プラントを構成する全ての設備についての前記設備モデルの作成に要する期間を算出するステップを実行させる、請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
プロセッサを備えたシステムに実行させる方法であって、
前記方法は、前記プロセッサが、
プラントを構成する複数の設備それぞれについて、3Dモデルである設備モデルの情報であって、前記設備それぞれで異なりうるように段階的に設定されうる詳細度の設定、及び、前記詳細度に応じた3Dモデルを含む前記設備モデルの情報を、記憶部に記憶させるステップと、
前記複数の設備を画面に表示させるためのユーザの入力操作を受け付けるステップと、
前記入力操作に応答して、前記設備それぞれに設定され前記設備ごとに異なりうる前記詳細度の設定に基づいて、仮想空間に配置される前記複数の設備それぞれの設備モデルをレンダリングするステップと、
前記レンダリングした結果を前記ユーザに対して表示するステップと、を実行する、方法。
【請求項11】
プロセッサを備えたシステムであって、
前記システムは、前記プロセッサが、
プラントを構成する複数の設備それぞれについて、3Dモデルである設備モデルの情報であって、前記設備それぞれで異なりうるように段階的に設定されうる詳細度の設定、及び、前記詳細度に応じた3Dモデルを含む前記設備モデルの情報を、記憶部に記憶させる手段と、
前記複数の設備を画面に表示させるためのユーザの入力操作を受け付ける手段と、
前記入力操作に応答して、前記設備それぞれに設定され前記設備ごとに異なりうる前記詳細度の設定に基づいて、仮想空間に配置される前記複数の設備それぞれの設備モデルをレンダリングする手段と、
前記レンダリングした結果を前記ユーザに対して表示する手段と、を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物の管理に3次元モデル(BIM/CIM)を用いることで、建設およびメンテナンスの効率化を図るシステムが導入されている。
例えば下記特許文献1には、このようなモデルデータを用いた構造物の管理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、3次元モデルデータはその詳細度によりデータ容量が顕著に変わる。そして、プラントのような多数の機器により構成される大規模な構造物にこれらのシステムを適用すると、例えばモデルデータの詳細度が一律に高く設定されている場合等において、プラント全体の仮想モデルのデータ容量が極端に大きくなり、処理負荷が高くなりすぎるという懸念があった。
【0005】
本開示の目的は、プラントの仮想モデルのデータ容量を抑制することができるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、プロセッサを備えたシステムに実行させるプログラムであって、プログラムは、プロセッサに、プラントを構成する複数の設備それぞれについて、3Dモデルである設備モデルの情報であって、設備それぞれで異なりうるように段階的に設定されうる詳細度の設定、及び、詳細度に応じた3Dモデルを含む設備モデルの情報を、記憶部に記憶させるステップと、複数の設備を画面に表示させるためのユーザの入力操作を受け付けるステップと、入力操作に応答して、設備それぞれに設定され設備ごとに異なりうる詳細度の設定に基づいて、仮想空間に配置される複数の設備それぞれの設備モデルをレンダリングするステップと、レンダリングした結果をユーザに対して表示するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、プラントの仮想モデルのデータ容量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のプラント管理システムの概要を説明する図である。
【
図2】
図1に示す管理者端末のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】
図1に示すクラウドサーバのハードウェア構成を示す図である。
【
図4】
図3に示すクラウドサーバの機能的な構成を示す図である。
【
図5】
図4に示す顧客データベースの具体例を示す図である
【
図6】
図4に示すユーザデータベースの具体例を示す図である
【
図7】
図4に示すプラントデータベースの具体例を示す図である
【
図8】
図4に示す設備データベースの具体例を示す図である
【
図10】本発明における詳細度の区分を説明する図である。
【
図11】詳細度レベル0のモデルデータの表示態様の一例を示す図である。
【
図12】詳細度レベル1のモデルデータの表示態様の一例を示す図である。
【
図13】詳細度レベル1から3のモデルデータの表示態様の一例を示す図である。
【
図14】モデルデータの作成スケジュールの一例を説明する図である。
【
図15】モデルデータの作成スケジュールの他の例を説明する図である。
【
図16】プラント管理システムによるモデル作成期間の算出処理のフロー図である。
【
図17】プラント管理システムによるモデル作成処理のフロー図である。
【
図18】プラント管理システムによる仮想モデルのレンダリング処理のフロー図である。
【
図19】第1変形例に係るモデル作成処理のフロー図である。
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の構成には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
<1.発明の概要>
図1に示すように、本発明に係るプラント管理システム1(以下、単にシステム1という)は、各種のプラントの管理に用いられるシステムである。プラントとは、例えば、化学反応による様々な生産工程を経由して化学製品を製造するための設備群により構成され、各種の流体を処理する配管ラインの運転条件の制御を行う生産システムである。プラントには、例えばLNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)プラント、又は石油化学プラントなどが含まれる。
【0011】
プラントを構成する設備とは、LNGプラントを例に説明すると、例えば以下が挙げられる。
・液化処理の対象である原料ガス中に含まれる酸性ガスを除去する酸性ガス除去設備
・除去された酸性ガスから単体硫黄を回収する硫黄回収設備
・原料ガス中に含まれる水分を除去する水分除去設備
・原料ガスの冷却や液化に用いられる冷媒の圧縮設備等
このように、プラントは複数の設備により構成されている。
【0012】
次に、プラントにおける機器とは、各種の設備を構成する構成単位であって、そのプラントの目的に応じて敷設された各種の機械装置を指す。機器の具体例としては、配管、タンク、ポンプ、バルブ、熱交換器、等が挙げられる。
そしてシステム1は、プラントを管理する上で、プラントを模した仮想モデルを用いて、プラントの運転および保守(O&M:Operation & Maintenance)を行う。
【0013】
<2.システム1の構成>
次に、システム1の構成について説明する。
【0014】
<2-1.全体構成>
図1は、システム1の全体の構成を示す図である。
図1に示すように、システム1は、顧客端末10と、管理者端末20と、サーバ30と、により構成されている。顧客端末10、管理者端末20、およびサーバ30は、ネットワークNWを介して相互に通信可能に接続されている。ネットワークNWは、有線または無線ネットワークにより構成される。
【0015】
顧客端末10は、プラントのオーナである顧客(例えばガス製造メーカ)の担当者が使用するコンピュータである。顧客端末10は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCなどにより実現される。この他、端末装置は、例えば移動体通信システムに対応したタブレットや、スマートフォン等の携帯端末であってもよい。
【0016】
顧客端末10は、5G、LTE(Long Term Evolution)などの通信規格に対応した無線基地局81、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11などの無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ等の通信機器と通信することにより、ネットワークNWに接続される。
【0017】
<2-2.顧客端末10>
次に、顧客端末10の構成について説明する。
図1に示すように、顧客端末10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。
【0018】
通信IF12は、顧客端末10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、キーボードや、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス等)である。
【0019】
出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。
メモリ15は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0020】
記憶部16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0021】
<2-3.管理者端末20>
次に、管理者端末20の構成について説明する
管理者端末20は、システム1のベンダー(例えばシステム開発企業)の担当者が使用するコンピュータである。システム1のベンダーは、顧客が運用するプラントについて、仮想モデルを構築するためにプラントを構成する設備に関しての3次元モデル(設備モデル)の作成を行う。ベンダーは、作成した設備モデルを用いてプラントの一部または全部をレンダリングして顧客の担当者に提供することで、顧客の必要な保守に仮想モデルを利用させる。
【0022】
管理者端末20は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCなどにより実現される。この他、端末装置は、例えば移動体通信システムに対応したタブレットや、スマートフォン等の携帯端末であってもよい。
管理者端末20は、5G、LTE(Long Term Evolution)などの通信規格に対応した無線基地局81、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11などの無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ等の通信機器と通信することにより、ネットワークNWに接続される。
【0023】
図2は、管理者端末20のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、管理者端末20は、通信IF(Interface)22と、入力装置23と、出力装置24と、メモリ25と、記憶部26と、プロセッサ29とを備える。
【0024】
通信IF22は、管理者端末20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
入力装置23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、キーボードや、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス等)である。
【0025】
出力装置24は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。
メモリ25は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0026】
記憶部26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0027】
<2-4.サーバ30>
次に、サーバ30の構成について説明する
サーバ30は、ネットワークを介して顧客端末10および管理者端末20と通信接続されたサーバ装置である。サーバ30は、各種プラントに関する仮想モデルに関する情報を管理する。サーバ30は、例えばネットワーク上のクラウド環境において構築されたクラウドサーバであってもよい。
【0028】
サーバ30は主に、顧客端末10を操作するユーザから、プラントを構成する複数の設備モデルの表示指示を受け付けることで、指定されたプラントの仮想モデルをレンダリングして顧客端末10に対して出力する。このような仮想モデルのレンダリングの詳細については後述する。
【0029】
図3は、サーバ30のハードウェア構成を示す図である。
図3に示すように、サーバ30は、ネットワークNWに接続されたコンピュータである。サーバ30は、通信IF32と、メモリ35と、ストレージ36と、プロセッサ39とを備える。
【0030】
通信IF32は、サーバ30が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0031】
メモリ35は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
ストレージ36は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
プロセッサ39は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0032】
次に、サーバ30の機能的な構成について説明する。
図4は、サーバ30の機能的な構成を示す図である。
図4に示すように、サーバ30は、通信部301と、記憶部302と、制御部303としての機能を発揮する。
【0033】
通信部301は、サーバ30が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0034】
記憶部302は、サーバ30が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部302は、以下のデータを記憶している。
・顧客データベース3021(顧客DB3021)
・ユーザデータベース3022(ユーザDB3022)
・プラントデータベース3023(プラントDB3023)
・設備データベース3024(設備DB3024)
・設備モデルデータ
【0035】
顧客DB3021は、プラントのオーナである顧客に関する情報を記憶するデータベースである。顧客DB3021は、システム1のベンダーとなる事業者とプラントを運用する各種の製造メーカとのシステム1の利用契約が締結された際に、新たなレコードが記録される。顧客DB3021の具体的な構造については後述する。
【0036】
ユーザDB3022は、システム1を使用するユーザに関する情報を記憶するデータベースである。
ユーザDB3022は、システム1を使用する顧客の担当者について、システム1に関するユーザアカウントが発行された際に、新たなレコードが記録される。ユーザDB3022の具体的な構造については後述する。
【0037】
プラントDB3023は、システム1が管理するプラントに関する情報を記憶するデータベースである。プラントDB3023は、システム1で管理されるプラントに関する情報が入力された際に、新たなレコードが記録される。プラントDB3023の具体的な構造については後述する。
【0038】
設備DB3024は、システム1が管理するプラントに関する情報を記憶するデータベースである。設備DB3024は、システム1で管理されるプラントについて、当該プラントを構成する各設備に関する情報が入力された際に、新たなレコードが記録される。設備DB3024の具体的な構造については後述する。
【0039】
設備モデルデータは、プラントを構成する設備についての、2次元又は3次元のモデルデータである。システム1では、設備モデルデータを組み合わせることで、プラント全体の仮想モデルが仮想空間上に配置されてレンダリングされる。設備モデルデータは、設備DB3024に記録される属性に基づいて管理される。
【0040】
制御部303は、サーバ30のプロセッサ39が、プログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして、以下の機能を発揮する。
・送受信制御モジュール3031
・取得モジュール3032
・仕様設定モジュール3033
・期間算出モジュール3034
・モデル登録モジュール3035
・レンダリングモジュール3036
・出力モジュール3037
【0041】
送受信制御モジュール3031は、サーバ30が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送受信する処理を制御する。
【0042】
取得モジュール3032は、送受信制御モジュール3031が受信した各種の情報を取得して、記憶部302に記憶させる。
【0043】
仕様設定モジュール3033は、後述する処理により、設備モデルに関する仕様値を設定する。システム1が管理する設備モデルに関する仕様値としては、以下の値を含む。
・設備モデルの要求詳細度
・設備モデルを作成する優先順位
【0044】
設備モデルの詳細度(LOD:Level Of Detail)とは、仮想モデルの作りこみの度合いを示す指標である。詳細度が高いほど、当該モデルデータが、解像度の高い状態で表現されていることとなり、モデルデータのデータ容量が大きくなる。システム1では、任意の設備モデルに対して、複数の詳細度が設定されることが許容されている。
【0045】
仕様設定モジュール3033は、プラントを構成する複数の設備それぞれについて、設備の運転又は保全に要求される仕様に基づき、要求される詳細度を設定する。具体的には、仕様設定モジュール3033は、プラントを構成する複数の設備それぞれについて、当該設備の運転条件、運用期間、検査重要度の少なくとも一方に基づいて、要求詳細度を設定する。
要求詳細度とは、ある設備の管理に3次元モデルを用いる場合に、当該3次元モデルに要求される詳細度のうち、当該設備の特性(属性)を考慮して設定される最も高い詳細度を指す。すなわち、システム1では、要求詳細度がレベル3と設定された設備については、詳細度レベル1から3までの各設備モデルを作成する。なお、当該設備の特性を考慮して、要求詳細度よりも低い詳細度レベルのモデルデータの作成を省略してもよい。また、仕様設定モジュール3033は、取得モジュール3032においてユーザから直接入力を受け付けた要求詳細度に従って、設備の詳細度を設定してもよい。
要求詳細度は、該当する設備モデルの用途、および対応する設備の管理目的の少なくとも一方に応じて設定する。
【0046】
また、仕様設定モジュール3033は、プラントを構成する複数の設備それぞれについて、当該設備の運転条件、運用期間、検査重要度の少なくとも一方に基づいて、設備モデルを作成する優先順位を設定する。設備モデルの優先順位の設定は省略してもよい。すなわち、顧客において、プラントを構成する複数の機器について並行してモデル作成を要する場合は、設備モデルを作成する設備の優先順位を設定しなくてもよい。
【0047】
期間算出モジュール3034は、プラントを構成する全ての設備についての設備モデルの作成に要する期間(モデル作成期間)を算出する。期間算出モジュール3034は、予め想定されている単位期間当たりの工数を設定された詳細度ごとの設備モデルの作成作業に割り当てることで、モデル作成期間を算出する。
【0048】
この際、期間算出モジュール3034は、設備に対してモデル作成の優先順位が設定されている場合には、優先順位に従って、設定された詳細度ごとの設備モデルの作成作業に割り当てることで、モデル作成期間を算出する。一方、設備に対してモデル作成の優先順位が設定されている場合には、優先順位を考慮することなく、モデル作成期間を算出する。このようなモデル作成期間の算出処理の詳細については後述する。
【0049】
モデル登録モジュール3035は、顧客端末10又は管理者端末20によるモデル作成に関する操作に応答して、作成された設備モデルを登録する。管理者端末20は、設備に対するセンシングにより得られた点群データを用いて、当該点群データに相当するオブジェクト(モデルデータ)を作成する。モデル登録モジュール3035は作成された設備モデルデータのアップロードを受付けて、記憶部302に記憶する。
システム1では、プラントを構成する複数の設備について、設定された少なくとも一つの詳細度ごとに、対応する設備モデルが作成される。そして、モデル登録モジュール3035は、設備ごとに作成された詳細度ごとの設備モデルについてのモデルデータを、記憶部302に記憶させる。
【0050】
レンダリングモジュール3036は、顧客端末10又は管理者端末20による複数の設備モデルの表示指示に応答して、設備それぞれに設定され、設備ごとに異なりうる詳細度の設定に基づいて、仮想空間に配置される複数の設備それぞれの設備モデルをレンダリングする。レンダリングモジュール3036は、プラントを構成する複数の設備それぞれが、互いに異なりうる個別の詳細度となる設備モデルを用いて、プラントを構成する複数の設備モデルをレンダリングすることができる。このようなレンダリング処理の詳細については後述する。
【0051】
出力モジュール3037は、他の機能モジュールの処理結果(例えば、例えばレンダリングモジュール3036がレンダリングした結果)を顧客端末10および管理者端末20に対して出力する。出力モジュール3037は、ユーザの操作に応答して、指定された情報をサーバ30と顧客端末10との間、およびサーバ30と管理者端末20との間に確立された論理回線(TCPコネクション)に対して出力する処理を行う。
【0052】
<3.データ構造>
次に、サーバ30の記憶部302が記憶するデータベースの構造の一例について説明する。
【0053】
<3-1.顧客DB3021>
図5は、顧客DB3021のデータ構造の一例を示す図である。
図5に示すように、顧客DB3021は、項目「顧客ID」と、項目「顧客名称」と、項目「組織種別」と、項目「契約内容」と、項目「窓口担当者」と、項目「窓口連絡先」と、を含む。
【0054】
項目「顧客ID」には、プラントの保全においてシステム1を利用する顧客の識別情報が格納される。顧客IDは顧客ごとに固有値をとる。
【0055】
項目「顧客名称」には、顧客IDに対応する顧客の名称が格納される。
【0056】
項目「組織種別」には、顧客IDに対応する顧客の組織の種別が格納される。組織の種別としては、石油精製メーカ、ガス製造メーカなどが含まれる。
【0057】
項目「契約内容」には、顧客IDに対応する顧客が、システム1の利用においてベンダーと締結をした契約関する情報が格納される。契約内容には、以下の情報が含まれる。
・システム1の使用期間
・システム1の対象プラント名称
・システム1の契約プラン
・システム1の利用アカウント数
システム1の利用においては、複数の契約プランが設定されている。契約プランごとに、後述するモデル作成時の単位期間あたりの標準作業工数が設定されている。複数の契約プランにおいて、設定された標準作業工数が多いほど、利用料金が高くなる。利用料金は例えば定額制となっている。
【0058】
項目「窓口担当者」には、顧客IDに対応する顧客において、システム1のベンダーとの窓口になる担当者に関する情報が格納される。
【0059】
項目「窓口連絡先」には、顧客IDに対応する顧客における窓口担当者の連絡先に関する情報が格納される。連絡先に関する情報としては、メールアドレス等のネットワークNWを介して連絡可能な手段が含まれる。
なお、
図5に示した顧客DB3021の構造はあくまで一例であり、顧客DB3021は、その他の情報を含んでもよい。
【0060】
<3-2.ユーザDB3022>
図6は、ユーザDB3022のデータ構造の一例を示す図である。
図6に示すように、ユーザDB3022は、項目「ユーザID」と、項目「ユーザ氏名」と、項目「ログインPass」と、項目「顧客ID」と、項目「担当者属性」と、を含む。
【0061】
項目「ユーザID」には、プラントの保全においてシステム1を利用するユーザの識別情報が格納される。ユーザIDはユーザごとに固有値をとる。
【0062】
項目「ユーザ氏名」には、ユーザIDに対応するユーザの氏名が格納される。
【0063】
項目「ログインPass」には、ユーザIDに対応するユーザがシステム1にログインする際に入力が要求されるパスワードが格納される。
【0064】
項目「顧客ID」には、ユーザIDに対応するユーザが所属する企業(顧客)についての顧客IDが格納される。
【0065】
項目「担当者属性」には、ユーザIDに対応するユーザについての担当者としての属性情報が格納される。担当者としての属性情報には、例えば以下の情報が含まれる。
・当該ユーザの所属部署(当該部署の業務分掌を含んでもよい)
・当該ユーザの役職、役割、権限
・当該ユーザの担当業務
なお、担当者属性には、その他の企業内での担当者としての属性情報が格納されてもよい。
なお、
図6に示したユーザDB3022の構造はあくまで一例であり、ユーザDB3022は、その他の情報を含んでもよい。
【0066】
<3-3.プラントDB3023>
図7は、プラントDB3023のデータ構造の一例を示す図である。
図7に示すように、プラントDB3023は、項目「プラントID」と、項目「プラント名称」と、項目「プラント種別」と、項目「敷設場所」と、項目「顧客ID」と、を含む。
【0067】
項目「プラントID」には、システム1の管理対象となるプラントの識別情報が格納される。プラントIDはプラントごとに固有値をとる。
【0068】
項目「プラント名称」には、プラントIDに対応するプラントの名称が格納される。
【0069】
項目「プラント種別」には、プラントIDに対応するプラントの種別が格納される。プラントの種別としては、石油精製プラント又はLNGガス精製プラントなどが含まれる。
【0070】
項目「敷設場所」には、プラントIDに対応するプラントが敷設される場所に関する情報が格納される。
【0071】
項目「顧客ID」には、プラントIDに対応するプラントのオーナである顧客の識別情報が格納される。
なお、
図7に示したプラントDB3023の構造はあくまで一例であり、プラントDB3023は、その他の情報を含んでもよい。
【0072】
例えば、
図5における顧客DB3021において説明した契約内容に関する情報のうち、契約プランに関する情報をプラントDB3023に格納してもよい。すなわち、例えば一つの顧客が複数のプラントの管理においてシステム1を利用する場合には、プラントごとに個別に契約プランを設定することができる。この場合には、プラントDB3023においてプラントIDに紐づけて、プラントごとに設定された個別の契約プランに関する情報を管理してもよい。
【0073】
<3-4.設備DB3024>
図8は、設備DB3024のデータ構造の一例を示す図である。
図8に示すように、設備DB3024は、項目「設備ID」と、項目「プラントID」と、項目「設備名称」と、項目「設備種別」と、項目「運転条件」と、項目「運用期間」と、項目「検査重要度」と、項目「要求詳細度」と、項目「優先順位」と、を含む。
【0074】
項目「設備ID」には、システム1において管理されるプラントを構成する設備の識別情報が格納される。設備IDは設備ごとに固有値をとる。設備IDはプラントIDを含む文字列により構成されていてもよい。
【0075】
項目「プラントID」には、設備IDに対応する設備が敷設されるプラントの識別情報が格納される。
【0076】
項目「設備名称」には、設備IDに対応する設備の名称が格納される。
【0077】
項目「設備種別」には、設備IDに対応する設備の種別に関する情報が格納される。設備の種別に関する情報としては、例えばプロセス配管又は反応器といった機能に関する情報であってもよいし、保全の頻度および方法といった、設備ごとのメンテナンスに関する情報であってもよい。
【0078】
項目「運転条件」には、設備IDに対応する設備を稼働するうえでの運転条件に関する情報が格納される。運転条件は、例えば当該設備を構成する機器に設けられた各種の計測器(付帯設備)が示す値により定義される条件を含む。
【0079】
項目「運用期間」には、設備IDに対応する設備が運用されている期間が格納される。運用期間に代えて、運用開始時期又は運用回数等の情報が格納されてもよい。
【0080】
項目「検査重要度」には、設備IDに対応する設備に対して設定されている検査の重要度を示す指標が格納される。検査重要度は、設備の特性に応じて設定される。例えば、以下の特性を有する設備は、検査重要度が高く設定される。
・不具合により、プラントの最終製品の品質および量に大きな影響を与える設備
・不具合により、プラントの運用に著しい弊害(周囲への危険等)が生じる設備
・法令により厳格な保全が要求されている設備
【0081】
項目「要求詳細度」には、設備IDに対応する設備に関するモデルデータについて、顧客から要求される最も高い詳細度に関する情報が格納される。
【0082】
項目「優先順位」には、設備IDに対応する設備に関するモデルデータについて、プラント全体を構成する複数の設備の中でのモデル作成の優先順位に関する情報が格納される。
【0083】
なお、
図8に示した設備IDの構造はあくまで一例であり、設備DB3024は、その他の情報を含んでもよい。例えば、設備DB3024は、以下の情報を含んでもよい。
・耐用年数
・次回の交換・修繕時期
・過去の検査結果
・過去の不具合に関する情報
・過去の修繕に関する情報
【0084】
<3-5.設備モデルデータ>
図5に示す設備モデルデータは、プラントを構成する各設備についてのモデルデータである。設備モデルは、設備ごと、かつ詳細度レベルごとに作成される。例えば、要求詳細度がレベル3と設定された設備については、詳細度レベル1から3までの各設備モデルが作成される。システム1では、設備それぞれで異なりうるように段階的に設定されうる詳細度に応じた設備モデルデータが、記憶部302に記憶される。
【0085】
<4.本実施形態の概要>
以下、システム1についての本実施形態の概要について説明する。
図9は、本実施形態の概要を説明する図である。
図9に示すように、サーバ30は、プラントを構成する複数の設備について、設備ごと、および詳細度ごとに、モデルデータを記憶部302に記憶している。すなわち、システム1では、設備ごとに少なくとも一つの詳細度が設定されている。システム1では、ひとつのプラントを構成する複数の設備それぞれにおいて、詳細度が互いに異なりうるように段階的に設定されている。すなわち、複数の設備は、同じ詳細度が設定されてもよい。
【0086】
図示の例では、プラントXが設備A、設備B、および設備Cにより構成されている。
サーバ30は、設備Aについて、詳細度レベル1のモデルデータと、詳細度レベル2のモデルデータと、を記憶している。
また、サーバ30は、設備Bについて、詳細度レベル1のモデルデータと、詳細度レベル2のモデルデータと、詳細度3のモデルデータと、を記憶している。
また、サーバ30は、設備Cについて、詳細度レベル1のモデルデータと、詳細度レベル2のモデルデータと、詳細度3のモデルデータと、詳細度レベル4のモデルデータと、を記憶している。
【0087】
そして、システム1のサーバ30は、ユーザ端末から、プラントを構成する複数の設備モデルの表示操作を受け付けたことに応答して、設備それぞれに設定され、設備ごとに異なりうる詳細度の設定に基づいて、仮想空間に配置される複数の設備それぞれの設備モデルをレンダリングする。すなわち、サーバ30は、プラントを構成する複数の設備それぞれが、互いに異なりうる個別の詳細度となる設備モデルを用いることができる。
【0088】
図示の例では、サーバ30はプラントXを構成する複数の設備モデルのレンダリングの第1例として、設備ごとに以下の詳細度のモデルデータを用いている。
・設備A:詳細度レベル1のモデルデータ
・設備B:詳細度レベル1のモデルデータ
・設備C:詳細度レベル1のモデルデータ
【0089】
また、サーバ30はプラントXを構成する複数の設備モデルのレンダリングの第2例として、設備ごとに以下の詳細度のモデルデータを用いている。
・設備A:詳細度レベル2のモデルデータ
・設備B:詳細度レベル3のモデルデータ
・設備C:詳細度レベル4のモデルデータ
【0090】
すなわち、システム1では、プラントを構成する複数の設備モデルのレンダリングにおいて、以下のいずれかの情報を用いてレンダリングに用いる設備モデルの詳細度を決定することができる。
・表示指示をしたユーザの属性
・プラントの仮想モデルの用途
・プラントの管理目的
【0091】
仮想モデルの用途とは、例えば、プラントを構成する特定の設備に対する機器の交換などである。すなわち、仮想モデルの用途には、プラントを構成する設備(および機器)に関する情報と、当該設備(機器)に対する作業目的が含まれうる。
【0092】
管理目的とは、例えば定期検査、改修計画、行政への提出、保守・修繕などである。
【0093】
具体的には、
図9に示す第1例のレンダリングでは、ユーザは顧客企業の総務担当者であり、行政機関への防災資料の提出に利用するためにプラントXの仮想モデルを表示している。この場合には、プラントを構成する設備群に関する外形寸法がわかれば足りることから、それほど高い詳細度は必要としない。よって、サーバ30は設備Aから設備Cについて詳細度レベル1のモデルデータを用いて、プラントを構成する複数の設備モデルをレンダリングする。
【0094】
一方、
図9に示す第2例のレンダリングでは、ユーザは顧客企業の保守担当者であり、設備の修繕検討に利用するためにプラントXを構成する複数の設備モデルを表示している。この場合には、プラントを構成する設備群に関して詳細な情報を確認することが必要となり、できるだけ高い詳細度が要求される。よって、サーバ30は、設備Aから設備Cそれぞれの最も高い詳細度のモデルデータを用いて、プラントを構成する複数の設備モデルをレンダリングする。
【0095】
ここで、プラントを構成する複数の設備モデルをレンダリングする際のルールについて説明する。
図9の下段に示すようにシステム1では、予めレンダリングにおいて用いる設備モデルの詳細度に関するルール(レンダリングルール)が設定されている。レンダリングルールには、例えば以下が挙げられる。
1)ユーザ属性を条件とするレンダリングルール
・保守担当者からの表示指示に対しては、全ての設備について詳細度レベルを最大値とする
・総務担当者からの表示指示に対しては、全ての設備について詳細度レベル1とする etc
2)仮想モデルの用途によるレンダリングルール
・特定の設備の保守に用いる場合は、保守の対象である設備の詳細度レベルを最大値とし、それ以外を最大値から一つ低い詳細度レベルとする etc
3)プラントの管理目的によるレンダリングルール
・プラントの修繕の検討を目的とする仮想モデルの利用の場合は、全ての設備について詳細度レベルを最大値とする etc
なお、複数の条件に該当する場合には、それぞれの条件において適用されるレンダリングの詳細度レベルのうち、最も高いものを採用してもよいし、条件ごとの優先順位を設定してもよい。また、レンダリングルールは任意に設定することができる。
【0096】
すなわち、3次元モデルを用いたプラントの管理において、管理の目的に応じて、必要となるモデルデータの詳細度は異なる。例えば、防災計画のために行政に提供されるモデルデータと、当該プラントの保守及び運用に用いられるモデルデータとでは、要求される詳細度が異なる。
また、プラント構造に関するノウハウ秘匿の観点からも、管理の目的に応じた最低限の詳細度のモデルデータを提供することが望ましい。このため、管理の目的に応じた詳細度を持つモデルデータの提供が求められていた。
【0097】
<5.詳細度の区分と詳細度ごとの表示態様>
次に、モデルデータの詳細度の区分について具体的に説明する。
図10は、詳細度の区分を説明する図である。
図10に示すように、本実施形態では、以下の5つの詳細度レベルが設定されている。
・詳細度レベル0:2次元のプロットプラン(平面図)
・詳細度レベル1:各設備の専有体積を示す直方体のブロックで表したもの
・詳細度レベル2:主要な構成要素を概略的形状で表したもの
・詳細度レベル3:主要な構成要素の詳細形状と、周辺の付帯設備について概略的形状で示したもの
・詳細度レベル4:すべての構成要素について上記レベル3を超えて可能な限り厳密な形状を示したもの
これらの各詳細度レベルの詳細について説明する。
【0098】
詳細度レベル0のモデルデータは、2次元の平面図により設備を構成する機器が表現されたモデルデータである。詳細度レベル0のモデルデータは、例えば、プラント全景の把握の用途に用いられ、プラントが占めるエリア全体について作成される。詳細度レベル0のモデルデータは、予め顧客側で準備されていることが多く、サーバ30での作成を省略してもよい。
【0099】
図10に示すように、詳細度レベル1のモデルデータは、各設備を、それぞれの専有体積を示す直方体のブロックで表したモデルデータである。詳細度レベル1のモデルデータは、例えば、公的機関への提出や、近隣防災や災害時のBCP対応などに必要な概略把握の用途に用いられ、プラントを構成する設備群のうち、全ての設備および機器について作成される。
【0100】
次に、詳細度レベル2のモデルデータは、主要な構成要素を概略的形状で表したモデルデータである。詳細度レベル2のモデルデータは、例えば、年単位でのメンテナンスの用途に用いられ、各種のタンク、又は大口径の原料供給配管などの年単位でのメンテナンスが必要な設備について作成される。
【0101】
次に、詳細度レベル3のモデルデータは、主要な構成要素の詳細形状と、周辺の付帯設備について概略的形状で表したモデルデータである。詳細度レベル3のモデルデータは、例えば、日々のメンテナンス、又は空間予約情報の検討などの正確な寸法を用いた空間設計の用途に用いられ、日々のメンテナンスが必要な設備、運転における制御対象となる設備について作成される。具体的には、プロセス配管、反応器、バルブ、コンプレッサ、ポンプ、フランジ、および各種の計器類などが対象となる。
【0102】
次に、詳細度レベル4のモデルデータは、すべての構成要素について厳密な形状を表したモデルデータである。詳細度レベル0のモデルデータは、設備の改修工事の検討、および空間設計の用途に用いられ、例えば近日中に改修工事が予定されている設備や機器について作成される。具体的な機器としては、例えば熱交換器が挙げられる。
【0103】
例えば、詳細度レベル4のモデルデータは、レベル3のモデルデータに含まれる設備に加え、全ての計測機器や電気ケーブル、パイプラックの詳細構成をすべてまたは一部含む。また、詳細度レベル4のモデルデータは、プラントのO&Mの際には必ずしも必要ではないが、用途に応じて必要な情報、例えば、プラント内の階段の段数、プラント外壁の窓、ペイントされたロゴマークや、忠実に再現した設備の色。工事計画のための工事車両、工事のためのバリケードや一時的に保管されている資材、工事用足場等を含む。
【0104】
なお、
図10に示す区分の内容はあくまで一例であり、任意に設定することができる。すなわち、詳細度の等級の数は2つ以上であれば任意に設定することができるし、定義、用途および対象機器についても任意に設定することができる。
【0105】
図11は、詳細度レベル0のモデルデータの表示態様の一例を示す図である。
図11に示すように、詳細度レベル0のモデルデータでは、設備が平面図で表現されている。
【0106】
図12は、詳細度レベル1のモデルデータの表示態様の一例を示す図である。
図12に示すように、詳細度レベル1のモデルデータでは、各設備が、それぞれの専有領域を示す直方体のブロックとして表現されている。
【0107】
図13は、詳細度レベル1~3のモデルデータの表示態様の一例を示す図である。
図13に示すように、詳細度レベル1のモデルデータは、各設備が、それぞれの専有領域を示す直方体のブロックとして表現されている。
また、詳細度レベル2のモデルデータでは、設備を構成する主要な機器が、概略的形状で表現されている。
【0108】
また、詳細度レベル3のモデルデータでは、設備を構成する主要な機器の詳細形状と、周辺の付帯設備についての概略的形状が表現されている。
このように、システム1では、複数の設備について異なる詳細度でレンダリングを行うことが可能となっている。
また、
図11から
図13に示した詳細度レベル0から詳細度レベル5のモデルデータの表示態様もあくまで例示であり、詳細度の区分および定義に応じて、任意に変更することができる。
【0109】
<6.モデルデータの作成スケジュール>
次に、モデルデータの作成スケジュールについて説明する。ここでは、設備ごとに優先順位を設定する場合と、設備ごとに優先順位を設定しない場合とを例に挙げて説明する。なおこの説明では、詳細度レベル0のモデルデータは既に作成されているものとして、詳細度レベル0のモデルデータについての説明を省略する。
【0110】
<6-1.設備ごとに優先順位を設定する場合の作成スケジュール>
図14は、システム1におけるモデルデータの作成スケジュールの一例を説明する図である。
図14に示すように、システム1は、プラントを構成する設備について、予め想定されている単位期間当たりの作業工数(作業可能工数)を、設定された詳細度ごとの設備モデルの作成作業に割り当てることで、モデル作業期間を算出する。作業可能工数は、契約プランにより設定されている。図示の例では、ベンダー企業によるモデル作業の工数として、一か月の作業工数が90時間と設定されている。そして、プラントXを構成する設備Aから設備Cに対して要求詳細度と優先順位がそれぞれ設定されている。
【0111】
この場合において、サーバ30の期間算出モジュール3034は、優先順位に従って、作業工数の割り振りを行う。具体的には、優先順位が1番である設備Cについては、要求詳細度がレベル4に設定されていることから、設備Cについては詳細度レベル1から4までの4つのモデルデータの作成が必要となる。このため、期間算出モジュール3034は、設備Cに関するそれぞれの詳細度の設備モデルについて、作成に要する時間を作業可能工数に割り当てる。これにより、期間算出モジュール3034は、設備Cについて、詳細度レベル1から4までの4つのモデルデータの作成に要する期間を算出する。図示の例では、設備Cについての詳細度レベル1から4までの4つのモデルデータの作成期間が、モデル作成開始から2か月半と算出されている。
【0112】
次に、優先順位が2番である設備Bについては、要求詳細度がレベル3に設定されていることから、設備Bについては詳細度レベル1から3までの3つのモデルデータの作成が必要となる。このため、期間算出モジュール3034は、設備Bに関するそれぞれの詳細度の設備モデルについて、作成に要する時間を、設備Cに関する全てのモデル作成後の作業工数を割り当てる。これにより、期間算出モジュール3034は、設備Bについて、詳細度レベル1から3までの3つのモデルデータの作成に要する期間を算出する。図示の例では、設備Bについての詳細度レベル1から3までの3つのモデルデータの作成期間が、モデル作成開始から約4か月半弱と算出されている。
【0113】
次に、優先順位が3番である設備Cについては、要求詳細度がレベル2に設定されていることから、設備Aについては詳細度レベル1と2の2つのモデルデータの作成が必要となる。このため、期間算出モジュール3034は、設備Aに関するそれぞれの詳細度の設備モデルについて、作成に要する時間を、設備Bに関する全てのモデル作成後に作業工数を割り当てる。これにより、ことで、設備Aについて、詳細度レベル1と2までの2つのモデルデータの作成に要する期間を算出する。図示の例では、設備Aについての詳細度レベル1と2の2つのモデルデータの作成期間が、モデル作成開始から5か月と算出されている。
【0114】
このように、期間算出モジュール3034がモデル作成期間を算出するので、任意に時期におけるプラント全体の仮想モデルの完成度を予測することができる。例えば、図示のスケジュールにおいて、モデル作成開始から4か月経過した初回利用予定時期Tにおいて、プラントXを構成する各設備について、以下の設備モデルが完成していることが予定される。
・設備A:なし
・設備B:詳細度レベル1、詳細度レベル2、および詳細度レベル3の半分程度のモデルデータ
・設備C:詳細度レベル1から4のモデルデータ
【0115】
そして顧客は、例えば初回利用のタイミングにおいて必要なモデルデータが完成するかどうかを基準として、作業可能工数を選択することができる。すなわち、契約プランを変更することで、それぞれの契約プランに紐づけられた作業可能工数を増減することで、期間算出モジュール3034によるモデル作成期間の算出結果が変更される。これにより顧客は自身の利用に適した契約プラン(作業可能工数)を選定することができる。
【0116】
なお、別の例では、初回利用予定時期Tは、モデル構築開始時点に設定される。この場合、顧客は、モデル構築開始時から(すなわち、全ての設備モデルが詳細度レベル0である時点)から利用を開始し、契約プランに従って順次構築される設備モデルを利用する。この場合、設定した優先順位に従って作成されていくモデルを使用しながら要求するモデルの詳細度を判断し、業務において十分な詳細度を得られたと感じた時点で契約を打ち切るようにしてもよい。すなわち、全ての設備モデルが完成しなければ当該設備モデルの利用ができないわけではなく、顧客のニーズに合わせて柔軟に対応することができる。
【0117】
<6-2.設備ごとに優先順位を設定しない場合の作成スケジュール>
図15は、システム1におけるモデルデータの作成スケジュールの他の例を説明する図である。
この例では、設備ごとの優先順位を設定することなく、それぞれの設備モデルを並行して作成する場合における作成スケジュールの算出について説明する。
【0118】
図15に示すように、設備ごとの優先順位を考慮しない場合には、サーバ30の期間算出モジュール3034は、優先順位に従うことなく、作業工数の割り振りを行う。具体的には、設備Aから設備Cについて、並行して設備モデルを作成しているものとして、低い詳細度のモデルデータから順番に、それぞれの作成に要する時間を、作業可能工数に割り当てる。
【0119】
この場合には、設備Aから設備Cの詳細度レベル1の各モデルデータの作成期間が、モデル作成開始から1か月と算出されている。
そして、設備Aの詳細度レベル2のモデルデータの作成期間が、モデル作成開始から2か月と算出されている。
【0120】
そして、設備Bおよび設備Cの詳細度レベル2の各モデルデータの作成期間が、モデル作成開始から3か月と算出されている。
そして、設備Bおよび設備Cの詳細度レベル2の各モデルデータの作成期間が、モデル作成開始から3か月と算出されている。
そして、設備Bの詳細度レベル3のモデルデータの作成期間が、モデル作成開始から3か月半と算出されている。
【0121】
そして、設備Cの詳細度レベル3のモデルデータの作成期間が、モデル作成開始から4か月半弱と算出されている。
そして、設備Cの詳細度レベル4のモデルデータの作成期間が、モデル作成開始から5か月と算出されている。
【0122】
この場合には、図示のスケジュールにおいて、モデル作成開始から4か月経過した初回利用予定時期Tにおいて、プラントXを構成する各設備について、以下の設備モデルが完成していることが予定される。
・設備A:詳細度レベル1および2のモデルデータ
・設備B:詳細度レベル1から3のモデルデータ
・設備C:詳細度レベル1、詳細度レベル2、および詳細度レベル3の半分程度のモデルデータ
【0123】
このように、顧客の担当者であるユーザは、初回利用予定時期Tにおいて利用したい設備モデルが作成されているかどうかにより、優先順位を適用するかどうかを判断することができる。すなわち、顧客の担当者であるユーザは、初回利用時に、主にどの設備に対して、どのような目的で仮想モデルを使用するかにより、設備ごとにモデルデータの作成の優先順位を設定するかどうかを選択することができる。
【0124】
<7.システム1の処理>
以下、システム1の処理について説明する。
【0125】
<7-1.モデル作成期間の算出処理>
まず、プラントを構成する設備についての設備モデルの作成期間の算出処理について説明する。
図16は、システム1によるモデル作成期間の算出処理のフロー図である。この処理は、顧客のプラントを新たにシステム1による管理対象とする場面において、未だ作成されていない設備モデルを一から作成するタイミングにおいて実施される。より具体的には、システム1のベンダーと顧客とが契約プランの合意形成をする際に、システム1の利用料と、作業可能工数と、を比較考量する際の判断材料として、モデル作成期間が算出される。
【0126】
図16に示すように、設備モデルの作成処理では、管理者端末20は、管理対象とするプラントを構成する設備について、それぞれの属性情報の入力に関する操作を受け付ける(ステップS201)。
具体的には、システム1のベンダーの担当者は、新たに管理対象とするプラントに含まれる設備に関する情報を、管理者端末20に対して入力する。
【0127】
ここで、管理者により入力される設備に関する情報とは、設備の属性に関する情報を含み、例えば以下の情報である。
・設備名称
・設備種別
・運転条件
・運用年数
・検査重要度
管理者端末20のプロセッサ29は、管理者により入力された情報を、通信IFを介してサーバ30に送信する。
【0128】
ステップS201の後に、サーバ30は、設備に関する情報を受け付ける(ステップS301)。
具体的には、サーバ30の送受信制御モジュール3031は、ステップS201において管理者端末20から送信された設備に関する情報を受け付ける。送受信制御モジュール3031が受け付けた設備に関する情報は、取得モジュール3032により設備DB3024に記録される。
【0129】
ステップS301の後に、サーバ30は、設備それぞれの要求詳細度を設定する(ステップS302)。
具体的には、サーバ30の仕様設定モジュール3033は、モデル作成の対象となる設備について、それぞれの要求詳細度を設定する。仕様設定モジュール3033は、設備DB3024に記録された設備の属性である運転条件、運用年数、および検査重要度のいずれかを用いて、予め設定された設定基準に従って、要求詳細度を設定する。要求詳細度の設定基準には、設備の属性に対して適切な要求詳細度が予め規定されている。
仕様設定モジュール3033は、設定した要求詳細度の情報を設備DB3024に記録する。
【0130】
ステップS301の後に、サーバ30は、モデルデータを作成する設備の優先順位を設定する(ステップS303)。
具体的には、サーバ30のサーバ30の仕様設定モジュール3033は、モデル作成の対象となる設備について、モデル作成の優先順位を設定する。仕様設定モジュール3033は、設備DB3024に記録された設備の属性である運転条件、運用年数、および検査重要度のいずれかを用いて、予め設定された設定基準に従って、優先順位を設定する。優先順位の設定基準には、設備の属性に対して推奨される優先順位が予め規定されている。
仕様設定モジュール3033は、設定した優先順位の情報を設備DB3024に記録する。
なお、優先順の設定の処理は省略してもよい。
【0131】
ステップS303の後に、管理者端末20は、モデル作成期間の算出指示の入力を受け付ける(ステップS202)。
具体的には、管理者端末20のプロセッサ29は、以下の情報とともに、モデル作成期間の算出指示の入力を受け付ける。
・顧客が希望する契約プランの候補値
・設備モデルの作成に関する優先順位の提供の有無
プロセッサ29は、管理者により入力された情報を、通信IFを介してサーバ30に送信する。
【0132】
ステップS202の後に、サーバ30は、モデル作成期間を算出する(ステップS304)。
具体的には、サーバ30の期間算出モジュール3034は、プラントを構成する全ての設備についてのモデル作成期間を算出する。期間算出モジュール3034は、ステップS202において管理者端末20から送信された情報を用いてモデル作成期間を算出する。期間算出モジュール3034は、指定された契約プランに対して紐づけられている作業可能工数を、設定された詳細度ごとの設備モデルの作成作業に割り当てることで、モデル作成期間を算出する。この際、期間算出モジュール3034は、
図14および
図15に示すような、設備ごとおよび詳細度レベルごとに作業工数の割り当てを行ったモデル作成計画を作成してもよい。
【0133】
ステップS304の後に、サーバ30は、モデル作成期間を出力する(ステップS305)。
具体的には、サーバ30の出力モジュール3037は、モデル作成計画を示す情報(ウェブページ)を作成し、サーバ30と管理者端末20との間の論理回線に対して出力する。また、出力モジュール3037は、モデル作成計画を示す情報にアクセスするためのアドレス情報を管理者端末20に対して送信する。
【0134】
ステップS305の後に、管理者端末20は、モデル作成期間を提示する(ステップS203)。
具体的には、管理者端末20のプロセッサ29は、サーバ30から受信したアドレス情報からサーバ30との間の論理回線にアクセスし、モデル作成計画を示す情報を管理者端末20の出力装置34(例えばディスプレイ)に表示することで、当該情報を管理者に対して提示する。
【0135】
以上により、システム1によるモデル作成期間の算出処理が終了する。管理者端末20を操作するベンダーの担当者は、算出されたモデル作成期間を顧客の担当者に対して提示して、顧客が選択するべき契約プランの合意形成を図ることができる。契約プランが決定しシステム1の利用契約が締結されることで、管理対象となるプラントについてのモデルデータの作成が開始される。
【0136】
<7-2.モデル作成処理>
次に、プラントを構成する設備についての設備モデルの作成処理について説明する。
図17は、システム1によるモデル作成処理のフロー図である。
【0137】
図17に示すように、設備モデルの作成処理では、管理者端末20は、管理者からの設備モデルの作成操作の入力を受け付ける(ステップS211)。
具体的には、管理者は、管理者端末20に対して、設備モデルを作成する設備に対してセンシングした点群データを入力し、管理者端末20を用いて設備モデルを作成する。管理者端末20のプロセッサ29は、設備に関する点群データを用いて、プラントを構成する複数の設備について、設定された詳細度ごとに、対応する設備モデルを作成する。設備モデルは、段階的に設定されうる複数の詳細度ごとに、それぞれ順番に作成される。なお、同一の設備に対する異なる詳細度の設備モデルが並行して同時に作成されてもよい。プロセッサ29は、サーバ30に対して作成した設備モデルデータをウェブデータとしてサーバ30にアップロードする。
【0138】
ステップS211の後に、サーバ30は、受け付けた操作に従って、設備モデルを外部の端末からアクセス可能な状態となるように登録する(ステップS311)。
具体的には、サーバ30のモデル登録モジュール3035は、ステップS211において行われたアップロードを受け付けて記憶部302に記憶させることで、他の端末からサーバ30を介して設備モデルへのアクセスが可能な状態とする。
【0139】
ステップS311の後に、サーバ30は、設備モデルを記憶部302に記憶する(ステップS312)。
具体的には、サーバ30の取得モジュール3032は、作成された設備モデルに関するモデルデータを記憶部302に記憶させる。
サーバ30は、ステップS311およびステップS312を繰り返し実行し、プラントを構成する複数の設備について、設定された詳細度ごとに、作成された設備モデルのモデルデータを記憶部302に記憶する。
【0140】
そして、管理対象であるプラントを構成する設備について、設定された要求詳細度を満たす全てのモデルデータが完成することで、設備モデルの作成は終了する。なお、全ての設備モデルの完成を待たずに、顧客がプラントに関する仮想モデルを利用したいタイミングにおいて、プラントを構成する複数の設備モデルのレンダリング処理を実行することができる。
【0141】
<7-3.プラントを構成する複数の設備モデルのレンダリング処理>
次に、システム1が、サーバ30に記憶された設備モデルを用いてプラントを構成する複数の設備モデルをレンダリングする処理について説明する。
図18は、システム1によるレンダリング処理のフロー図である。
【0142】
図18に示すように、レンダリング処理では、まず、顧客端末10が、複数の設備を画面に表示させるためのユーザの入力操作を受け付ける(ステップS131)。
具体的には、顧客端末10を使用するユーザは、以下のいずれかの情報の入力とともに、複数の設備モデルの表示操作の入力を受け付ける。
・仮想モデルの用途
・プラントの管理目的
なお、仮想モデルの用途およびプラントの管理目的については入力を省略してもよい。
顧客端末10のプロセッサ19は、通信IF12を介して、入力された表示指示をサーバ30に対して送信する。
【0143】
ステップS131の後に、サーバ30は、複数の設備モデルの表示指示を受け付ける(ステップS331)。
具体的には、サーバ30の取得モジュール3032は、ステップS131において顧客端末10から送信された表示指示を取得する。この際、仮想モデルの用途又はプラントの管理目的に関する情報が含まれている場合は、それらの情報も取得する。
【0144】
ステップS331の後に、サーバ30は、レンダリングに用いる設備モデルの詳細度を決定する(ステップS332)。
具体的には、サーバ30のレンダリングモジュール3036は、ステップS331において取得した以下の情報を用いて、レンダリングに用いる設備モデルの詳細度を決定する。
・表示指示をしたユーザの属性
・仮想モデルの用途
・プラントの管理目的
【0145】
すなわち、レンダリングモジュール3036は、表示指示を行ったユーザのユーザIDを用いてユーザDB3022を参照し、ユーザの担当者属性を特定する。そして、予め設定されたレンダリングルールに従って、ユーザの属性に適した設備モデルの詳細度レベルを決定する。
【0146】
また、レンダリングモジュール3036は、表示指示に含まれる仮想モデルの用途およびプラントの管理目的を用いて、予め設定されたレンダリングルールに従って、ユーザの属性に適した設備モデルの詳細度レベルを決定してもよい。
レンダリングモジュール3036は、プラントに含まれる全ての設備について、レンダリングに用いる設備モデルの詳細度を設定する。
【0147】
ステップS332の後に、サーバ30は、複数の設備モデルをレンダリングする(ステップS333)。
具体的には、サーバ30のレンダリングモジュール3036は、ステップS332において決定したプラントを構成する各設備について、それぞれに対して決定した詳細度レベルの設備モデルを仮想空間上に配置する。レンダリングモジュール3036は、所定の座標位置に配置される仮想カメラから撮影される画像として、仮想空間上に配置された複数の設備モデルの状態を描画する。
そして、サーバ30の出力モジュール3037は、レンダリングモジュール3036が複数の設備モデルが描画された仮想空間のウェブページを、サーバ30と顧客端末10との間の論理回線に対して出力する。
【0148】
ステップS333の後に、顧客端末10は、レンダリングした結果を出力する(ステップ132)。
具体的には、顧客端末10のプロセッサ19は、プラントを構成する複数の設備モデルがレンダリングされた仮想空間を、顧客端末10の出力装置14(例えばディスプレイ)に表示する。これにより、顧客端末10は、プラントを構成する複数の設備モデルのレンダリング結果を、ユーザに対して表示する。
以上により、システム1によるレンダリング処理が終了する。
【0149】
<8.小括>
以上説明したように、本実施形態に係るシステム1では、ユーザ端末から、プラントを構成する複数の設備モデルの表示操作を受け付けたことに応答して、複数の設備それぞれが、互いに異なりうる個別の詳細度となる設備モデルを用いて、プラントを構成する複数の設備モデルをレンダリングする。このため、ひとつのプラントを構成する複数の設備について、異なる詳細度で表現された仮想モデルを得ることができ、プラントの仮想モデルのデータ容量を抑制することができる。
【0150】
また、システム1では、プラントを構成する複数の設備モデルのレンダリングをする際に、表示指示を行ったユーザの属性に応じて、プラントを構成する設備についての設備モデルにおける詳細度を決定する。このため、ユーザに対して適切な詳細度となる設備モデルを用いたレンダリングを行うことができる。
【0151】
また、システム1では、プラントを構成する複数の設備モデルのレンダリングをする際に、ユーザから表示指示において入力された当該仮想モデルの用途および管理目的の少なくとも一方の値に応じて、複数の設備ごとに用いる設備モデルの詳細度を決定する。このため、プラントの仮想モデルに関するユーザの利用態様に即した適切な詳細度となる設備モデルを用いて、プラントを構成する複数の設備モデルのレンダリングを行うことができる。
すなわち、用途および管理の目的に応じた最低限の詳細度の仮想モデルを提供することが可能となり、プラントの構造に関するノウハウ秘匿の観点からも望ましい状態となる。
【0152】
また、システム1では、プラントを構成する複数の設備について、設定された少なくとも一つの詳細度ごとに、対応する設備モデルを作成するステップと、設備ごとに作成された詳細度ごとの設備モデルの作成操作を受け付けるステップと、を実行する。このため、一つの設備について複数の詳細度のモデルデータを記憶することができ、レンダリングの表示態様の自由度を確保することができる。
【0153】
また、システム1では、設備モデルを作成するステップに先立って、プラントを構成する複数の設備それぞれについて、当該設備の運転条件、運用期間、検査重要度の少なくとも一方に基づいて、設備に対して要求される詳細度を設定する。このため、設備の特性に応じて適切な詳細度を設定することができる。
【0154】
また、システム1では、予め想定されている単位期間当たりの工数を、設定された詳細度ごとの設備モデルの作成作業に割り当てることで、プラントを構成する全ての設備についての設備モデルの作成に要する期間を算出する。このため、プラントを一からモデリングする場合において、モデル作成期間を算出することで、モデルデータの作成に必要なコストを予め試算することができる。
【0155】
また、システム1では、設備モデルを作成するステップに先立って、プラントを構成する複数の設備それぞれについて、当該設備の運転条件、運用期間、検査重要度の少なくとも一方に基づいて、設備モデルを作成する優先順位を設定する。このため、プラントを構成する複数の設備の中に、特に細心の注意を払ったメンテナンスが必要とされる特定の設備がある場合等において、当該設備に関する設備モデルを優先して作成することができる。よってシステム1では、顧客の利用態様に即した柔軟なモデル作成の対応をすることができる。
【0156】
また、システム1では、予め想定されている単位期間当たりの工数を、設定された優先順位に従って、設定された詳細度ごとの設備モデルの作成作業に割り当てる。このため、プラントを構成する全ての設備についての設備モデルの作成に要する期間を算出するステップを実行させることもできる。このため、設備ごとにモデル作成の優先順位が設定されている場合に、優先順位を考慮したモデル作成期間の試算をすることができる。
【0157】
すなわち、既に長期間にわたって運用されているプラントでは、設計段階で仮想モデルが構築されていないことが一般的である。このようなプラントを運用する顧客においては、仮想モデルを用いた効率的な保守・運用を導入したいという動機はあるが、プラント全体を一様に高度な詳細度で表現した仮想モデルを構築すると採算が取れないおそれがあった。このため、従来のシステムでは、仮想モデルの構築が躊躇され、効率的な保守・運用の導入が阻まれているという課題があった。
これに対して、システム1では、モデルデータの作成に必要なコストを予め試算することができるとともに、重要度の高い設備から作成することができる。よって、顧客の要望に沿ったシステム1の利用に関する契約プランを提案することができ、ベンダーと顧客との間の合意形成に寄与することができる。
【0158】
<9.変形例>
次に、システム1の変形例について説明する。
【0159】
<9-1.第1変形例>
まず、第1変形例について説明する。第1変形例では、プラント設計段階で作成された設計モデルデータを流用して、詳細度ごとの設備モデルを作成する処理について説明する。すなわち、この処理では、プラントを構成する設備についての設備モデルを一から作成するのではなく、高い詳細度で表現されたプラントの設計モデルを改変することで、低い詳細度のモデルデータを準備することになる。
【0160】
図19は、第1変形例に係るシステム1のモデル作成処理のフローを説明する図である。
図19に示すように、第1変形例に係るモデル作成処理では、まず、顧客端末10が設計モデルの記憶指示の入力を受け付ける(ステップS141)。
具体的には、顧客端末10のプロセッサ19は、例えば外部の記憶領域に保存されている設計段階で作成された設計モデルのモデルデータとともに、当該モデルデータの記憶指示の入力を受け付ける。プロセッサ19は、入力された設計モデルの記憶指示を、当該モデルデータとともにサーバ30に対して送信する。
なお、設計モデルと設備モデルを管理する管理者が同一である場合には、設計モデルの記憶指示が管理者端末から入力されてもよい。
【0161】
ステップSの後に、サーバ30は、記憶指示を受け付ける(ステップS341)。
具体的には、サーバ30の送受信制御モジュール3031は、ステップS141において送信された設計モデルの記憶指示、および設計モデルのモデルデータの入力を受け付ける。
【0162】
ステップS341の後に、サーバ30は、設計モデルを記憶する(ステップS342)。
具体的には、サーバ30の取得モジュール3032は、ステップS341において送受信制御モジュール3031受信した設計モデルのモデルデータを取得して、記憶部302に記憶させる。
これにより、例外を除き、あるプラントを構成する全ての設備について、最も高い詳細度となる説にモデルが記憶されることとなる。一般に設計モデルは高い詳細度で表現されるためである。
【0163】
ステップS342の後に、管理者端末20は、管理者からの設備モデルの作成操作の入力を受け付ける(ステップS241)。
具体的には、管理者端末20のプロセッサ29は、管理者から、設備モデルを作成するための各種の操作の入力を受け付ける。設備モデルを作成する管理者は、既に高い詳細度で構築されている設計モデルを用いて、それらを構成する設計時の設備モデルの構成を簡略化していく操作を入力する。これにより、設計モデルに対して詳細度の低い設備モデルが作成される。する。プロセッサ29は、作成された設備モデルをサーバ30に対してアップロードする。
管理者端末20は、ステップS241を繰り返し実行し、全ての設備について、設定モデルよりも詳細度が低い全ての設備モデルを順番に作成する。なお、モデルデータの作成は複数の担当者により分担して行われてもよい。
【0164】
ステップS241の後に、サーバ30は、受け付けた操作に従い設備モデルを登録する(ステップS343)。
具体的には、サーバ30のモデル登録モジュール3035は、ステップS241において作成された設備モデルのアップロードを受け付けて記憶部302に記憶することで、他の端末からサーバ30を介して設備モデルへのアクセスが可能な状態とする。
【0165】
ステップS343の後に、サーバ30は、設備モデルを記憶部302に記憶する(ステップS344)。
具体的には、サーバ30の取得モジュール3032は、作成された設備モデルに関するモデルデータを記憶部302に記憶させる。
サーバ30は、ステップS343およびステップS344を繰り返し実行し、プラントを構成する複数の設備について、設定された詳細度ごとに、作成された設備モデルのモデルデータを記憶部302に記憶する。
そして、管理対象であるプラントを構成する設備について、設定された要求詳細度を満たす全てのモデルデータが完成することで、設備モデルの作成は終了する。
【0166】
このように、変形例に係るシステム1では、設計モデルを用いて、プラントを構成する複数の設備について、設定された少なくとも一つの詳細度ごとに設備モデルを作成する。このため、プラントの設計段階で作成された詳細度の高いモデルデータを流用することで効率的に複数の詳細度の設備モデルを作成することができる。
また、変形例1によって作成されるモデルは、前述のモデル作成処理によって作成される同一の詳細度のモデルと異なってもよい。例えば、前述のモデル作成処理により作成されたレベル1の設備モデルは、直方体形状で表されるのに対し、変形例1において、設計モデルを基に作成されたレベル1のモデルは、形状は設備の実際の形状を忠実に表しているが構成要素が最小限に省かれたモデルであってもよい。また別の例では、例えばレベル4のモデルに基づいてレベル1のレベルを作成する場合には、設備ごと(例えば、建屋ごと、建屋の中の階層ごと)に、設備に含まれる機器の専有体積をレベル4のモデルから特定し、特定された専有体積に基づいて1つの立体(例えば、直方体、円柱等)で表したレベル1のモデルを作成するものであってもよい。
【0167】
また、設備モデルの保持方法としては、以下の方法であってもよい。
・詳細度が最上位のレベルのみ保持しておき、レンダリングにおいて、最上位モデルから低レベルモデルを作成して提供する方法
・詳細度が最上位のモデルと、最下位(レベル1)モデルと、を保持しておき、それらの中位のモデルは保持しない方法
【0168】
後者の場合では、例えば、最初に詳細度レベル4のモデルを作成した場合に、レベル2やレベル3に相当するモデルを保持しなくてもよい。これにより、データ保持容量を削減することができる。一方、詳細度レベル1の設備モデルについては、行政への情報開示などの観点から必要となることがあり得るので、別途保持しておいてもよい。
【0169】
<9-2.その他の変形例>
その他の変形例について説明する。
上記実施形態では、サーバ30が一つの記憶部302を備えている構成を説明したが、この限りではない。
例えば、クラウド環境にベンダーテナントと顧客テナントを設けてもよい。この場合には、ベンダーテナントにサーバ30に関する各種の構成を実装し、顧客テナントにプラントに関する設計モデルが記憶されている構成であってもよい。
【0170】
また、上記実施形態では、化学系およびエネルギー系のプラントを例に挙げて説明したが、この限りではない。システム1が適用されるプラントとしては、産業系プラント又は環境系プラントなどであってもよい。
【0171】
また、上記実施形態では、センシングされた点群データから設備モデルを作成する構成を説明したが、この限りではない。サーバ30は、設計モデルと同様のモデル作成処理により設備モデルを作成してもよい。
具体的には、管理者端末20のプロセッサ29は、管理者から、設備モデルを作成するための操作の入力を受け付ける。設備モデルを作成する管理者は、仮想空間上に定義された座標系に沿って、作成する設備モデルを構成する機器について、位置基準座標、大きさ、形状、数量、機器種別などの機器を定義する各種のモデルパラメータを入力する。モデルパラメータとは、仮想空間上で設備モデル又は機器モデルを定義する各種の設計値を指す。プロセッサ29は、入力された情報をサーバ30に対して送信する。サーバ30は送信されたモデルパラメータを用いて設備モデルを作成してもよい。
【0172】
また、システム1では、設備ごとに詳細度に応じて複数のモデルデータを有しているのが、レンダリングに際して、最も詳細度レベルの高いモデルデータに基づきレンダリングを行ってもよい。すなわち、高い詳細度の設備モデルがある場合には、低い詳細度の設備モデルをレンダリングの対象としなくてもよい。
【0173】
また、設備モデルを分類する指標として、設備モデルの詳細度(LOD)の他に、設備モデルに関する属性情報の詳細度(LOI:Level Of Information)を用いた区分けを行ってもよい。ここで、LOIとは、設備モデルのオブジェクトに紐づけられる設備モデルの属性に関する情報の詳細度を指す。
LOIの区分は、例えば以下のとおりレベルごとに定義することができる。
・LOIレベル0の設備モデル:道路名、建屋名、エリア、区画の用途、方角、ランドマーク、避難経路、避難場所、危険区域、騒音区域に関する情報が紐づけられた設備モデルデータ
・LOIレベル1の設備モデル:プロセスブロック名、NWSEとかの方角、パイプラックやストラクチャ番号、コンクリ基礎番号、各ブロックにおいて取り扱う物質の情報(毒性、爆発危険性の有無など)が紐づけられた設備モデルデータ
【0174】
・LOIレベル2の設備モデル:主要配管番号、主要バルブ、主要計器番号が紐づけられた設備モデルデータ
・LOIレベル3の設備モデル:詳細計器番号、詳細機器情報、詳細配管情報、メンテナンス関連情報、変更履歴が紐づけられた設備モデルデータ
・LOIレベル4の設備モデル:現実の時間に合わせた日照状態、天候具合、現実の入構車両の位置、プラント内作業員の正確な位置プラント内プロセスの運転状態、そしてこれらを使って導き出される様々な将来予測値(予知保全に活用)、その日の工事許可に応じた作業エリアのマーキング、バリケードエリアのマーキングが紐づけられた設備モデルデータ。
【0175】
そして、設備モデルの詳細度(LOD)と、設備モデルの属性情報の詳細度(LOI)と、は、必ずしも連動しなくてよく、設備モデルごとにそれぞれが個別に設定することができる。すなわち、システム1では、LODに代えて、又はLODに加えて、LOIによって設備モデルを区分けして、ユーザの属性、設備モデルの用途、または対応する設備の管理目的の少なくともいずれかによって、対応するLODおよびLOIのレベルに該当する設備モデルを用いたレンダリングを行ってもよい。
【0176】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換、組み合わせなどの各種の変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態及び変形例ならびに省略、置換、組み合わせなどの各種の変更を行なった構成については、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
また、各処理は、矛盾しない範囲で処理の順番を変更することができる。
【0177】
<10.付記>
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0178】
(付記1)
プロセッサを備えたシステムに実行させるプログラムであって、
プログラムは、プロセッサに、
プラントを構成する複数の設備それぞれについて、3Dモデルである設備モデルの情報であって、設備それぞれで異なりうるように段階的に設定されうる詳細度の設定、及び、詳細度に応じた3Dモデルを含む設備モデルの情報を、記憶部に記憶させるステップ(ステップS312、S342)と、
複数の設備を画面に表示させるためのユーザの入力操作を受け付けるステップ(ステップS331)と、
入力操作に応答して、設備それぞれに設定され設備ごとに異なりうる詳細度の設定に基づいて、仮想空間に配置される複数の設備それぞれの設備モデルをレンダリングするステップ(ステップS333)と、
レンダリングした結果をユーザに対して表示するステップ(ステップS132)と、を実行させる、プログラム。
【0179】
(付記2)
レンダリングするステップ(ステップS333)では、入力操作を行ったユーザの属性に応じて、設備モデルの詳細度を決定する、付記1に記載のプログラム。
【0180】
(付記3)
詳細度は、該当する設備モデルの用途、および対応する設備の管理目的の少なくとも一方に応じて設定され、
入力操作を受け付けるステップ(ステップS331)では、用途および管理目的の少なくとも一方の入力を受け付け、
レンダリングするステップ(ステップS333)では、入力された用途および管理目的の少なくとも一方の値に応じて、複数の設備ごとに用いる設備モデルにおける詳細度を決定する、付記1に記載のプログラム。
【0181】
(付記4)
記憶部に記憶させるステップ(ステップS342)では、
プラントの設計段階で作成された設計モデルを用いて、プラントを構成する複数の設備について、設定された少なくとも一つの詳細度ごとに作成された設備モデルを記憶するステップ(ステップS343)と、を実行する、付記1に記載のプログラム。
【0182】
(付記5)
記憶部に記憶させるステップ(ステップS312)では、
プラントを構成する複数の設備について、設定された少なくとも一つの詳細度ごとに設備モデルを作成するステップ(ステップS211)を実行する、付記1に記載のプログラム。
【0183】
(付記6)
設備モデルを作成するステップ(ステップS211)に先立って、
プラントを構成する複数の設備それぞれについて、当該設備の運転条件、運用期間、検査重要度の少なくとも一方に基づいて、設備に対して要求される詳細度を設定する、付記5に記載のプログラム。
【0184】
(付記7)
プロセッサに、さらに、
予め想定されている単位期間当たりの工数を、設定された詳細度ごとの設備モデルの作成作業に割り当てることで、プラントを構成する全ての設備についての設備モデルの作成に要する期間を算出するステップ(ステップS304)を実行させる、付記6に記載のプログラム。
【0185】
(付記8)
設備モデルを作成するステップ(ステップS211)に先立って、
プラントを構成する複数の設備それぞれについて、当該設備の運転条件、運用期間、検査重要度の少なくとも一方に基づいて、設備モデルを作成する優先順位を設定する、付記5に記載のプログラム。
【0186】
(付記9)
プロセッサに、さらに、
予め想定されている単位期間当たりの工数を、設定された優先順位に従って、設定された詳細度ごとの設備モデルの作成作業に割り当てることで、プラントを構成する全ての設備についての設備モデルの作成に要する期間を算出するステップ(ステップS304)を実行させる、付記8に記載のプログラム。
【0187】
(付記10)
プロセッサを備えたシステムに実行させる方法であって、
方法は、プロセッサが、
プラントを構成する複数の設備それぞれについて、3Dモデルである設備モデルの情報であって、設備それぞれで異なりうるように段階的に設定されうる詳細度の設定、及び、詳細度に応じた3Dモデルを含む設備モデルの情報を、記憶部に記憶させるステップ(ステップS312、S342)と、
複数の設備を画面に表示させるためのユーザの入力操作を受け付けるステップ(ステップS331)と、
入力操作に応答して、設備それぞれに設定され設備ごとに異なりうる詳細度の設定に基づいて、仮想空間に配置される複数の設備それぞれの設備モデルをレンダリングするステップ(ステップS332)と、
レンダリングした結果をユーザに対して表示するステップ(ステップS132)と、を実行する、方法。
【0188】
(付記11)
プロセッサを備えたシステムであって、
システムは、プロセッサが、
プラントを構成する複数の設備それぞれについて、3Dモデルである設備モデルの情報であって、設備それぞれで異なりうるように段階的に設定されうる詳細度の設定、及び、詳細度に応じた3Dモデルを含む設備モデルの情報を、記憶部に記憶させる手段と、
複数の設備を画面に表示させるためのユーザの入力操作を受け付ける手段と、
入力操作に応答して、設備それぞれに設定され設備ごとに異なりうる詳細度の設定に基づいて、仮想空間に配置される複数の設備それぞれの設備モデルをレンダリングする手段と、
レンダリングした結果をユーザに対して表示する手段と、を備える、システム。
【符号の説明】
【0189】
1 システム
10 顧客端末
20 管理者端末
30 サーバ
301 通信部
302 記憶部
3021 顧客データベース
3022 ユーザデータベース
3023 プラントデータベース
3024 設備データベース
303 制御部
3031 送受信制御モジュール
3032 取得モジュール
3033 仕様設定モジュール
3034 期間算出モジュール
3035 モデル登録モジュール
3036 出力モジュール