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特開2024-135006メス型端子、端子嵌合構造、端子付き電線、メス型コネクタ、コネクタ付き電線、ワイヤーハーネス及びバネ部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135006
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】メス型端子、端子嵌合構造、端子付き電線、メス型コネクタ、コネクタ付き電線、ワイヤーハーネス及びバネ部材
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/187 20060101AFI20240927BHJP
   H01R 13/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01R13/187 B
H01R13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045488
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】和田 卓十
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 猛
(72)【発明者】
【氏名】谷川 智明
(72)【発明者】
【氏名】加門 創太
(72)【発明者】
【氏名】八木 三郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 孝祐
(57)【要約】
【課題】電線等が振動してもオス型端子との当接状態が不安定にならず、導電性の低下を防止できるメス型端子、端子嵌合構造、端子付き電線、メス型コネクタ、コネクタ付き電線、ワイヤーハーネス及びバネ部材を提供する。
【解決手段】メス型端子10に設けたバネ部材30は、側壁21と側壁21の間に配置されるとともに、挿入空間12Xの開口から奥側に向かう奥行方向に延設されて接続ブレード102に当接するアーム状のアームバネ35を有し、アームバネ35は、奥行方向に対して交差する交差方向に6枚配置され、6枚のアームバネ35のうち二つが低弾性アームバネ37よりも高弾性である高弾性アームバネ36であり、高弾性アームバネ36は、交差方向の両側の端部側に配置されるとともに、奥行方向及び交差方向に交差する側壁21の対向方向に向けて突出する突出高さPh1が低弾性アームバネ37の突出高さPh2に比べて高く形成された。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オス型端子と電気的に接続されるバネ部材、及び、前記バネ部材と電気的に接続される基台部を有する端子本体が設けられ、
前記基台部は、前記オス型端子の一部が挿入可能な挿入空間を隔てて配置された一対の側壁を有し、
前記バネ部材は、前記側壁と前記側壁の間に配置されるとともに、前記挿入空間の開口から奥側に向かう奥行方向に延設されて前記オス型端子に当接するアーム状の接点バネ部を有し、
前記接点バネ部は、前記奥行方向に対して交差する交差方向に複数配置され、
複数の前記接点バネ部のうちの少なくとも二つが他の前記接点バネ部よりも高弾性である高弾性接点バネ部であり、
前記高弾性接点バネ部は、
前記交差方向の両側の端部側に配置されるとともに、
前記奥行方向及び前記交差方向に交差する前記側壁の対向方向に向けて突出する突出高さが他の前記接点バネ部に比べて高く形成された
メス型端子。
【請求項2】
前記バネ部材は、前記交差方向に複数配置された前記接点バネ部の基部を連結する連結基部が備えられ、
前記高弾性接点バネ部は、前記連結基部に対する曲げ角度が、他の前記接点バネ部に比べて小さく形成された
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項3】
前記交差方向に並ぶ複数の前記接点バネ部の前記基部の前記奥行方向の位置が同じである
請求項2に記載のメス型端子。
【請求項4】
前記高弾性接点バネ部は、
先端側から基部に向かって徐々にアーム幅が広くなるように形成された
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項5】
前記接点バネ部は、
前記オス型端子との当接箇所に当該オス型端子の側に突出する複数の突出部が設けられた
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項6】
請求項5に記載のメス型端子における前記基台部の前記挿入空間に前記オス型端子の一部が挿入され、前記メス型端子と前記オス型端子とが嵌合し、
前記オス型端子の一部に、前記突出部が係合する凹状の係合凹部が設けられた
端子嵌合構造。
【請求項7】
前記係合凹部は前記交差方向に延びる溝状である
請求項6に記載の端子嵌合構造。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載のメス型端子が電線に接続された
端子付き電線。
【請求項9】
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載のメス型端子がコネクタハウジングに収容された
メス型コネクタ。
【請求項10】
請求項8に記載の端子付き電線を構成する前記メス型端子がコネクタハウジングに収容された
コネクタ付き電線。
【請求項11】
請求項8に記載の端子付き電線を含む
ワイヤーハーネス。
【請求項12】
請求項10に記載のコネクタ付き電線を含む
ワイヤーハーネス。
【請求項13】
オス型端子の一部が挿入可能な挿入空間を隔てて配置された一対の側壁を有する基台部とともにメス型端子の端子本体を構成し、前記オス型端子と電気的に接続されるバネ部材であって、
前記側壁と前記側壁の間に配置されるとともに、前記挿入空間の開口から奥側に向かう奥行方向に延設されて前記オス型端子に当接するアーム状の接点バネ部を有し、
前記接点バネ部は、前記奥行方向に対して交差する交差方向に複数配置され、複数の前記接点バネ部のうちの少なくとも二つが他の前記接点バネ部よりも高弾性である高弾性接点バネ部であり、
前記高弾性接点バネ部は、
前記交差方向の両側の端部側に配置されるとともに、
前記奥行方向及び前記交差方向に交差する前記側壁の対向方向に向けて突出する突出高さが他の前記接点バネ部に比べて高く形成された
バネ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、大電流用のワイヤーハーネスに用いられるメス型端子、端子嵌合構造、端子付き電線、メス型コネクタ、コネクタ付き電線、ワイヤーハーネス及びバネ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の電装機器は、被覆電線を束ねたワイヤーハーネスを介して別の電装機器や電源装置と接続され、電気回路を構成している。ワイヤーハーネスと電装機器ならびにワイヤーハーネスと電源装置は、それぞれの接続端子によって電気的に接続されている。
【0003】
例えば、特許文献1に示すメス型端子は、コネクタハウジングの収容空間に収容されており、かかるコネクタハウジングとオス型端子が収容されたオス型コネクタのハウジングとが接続されると、メス型端子の内部にオス型端子が挿入されて電気的に接続されることとなる。
【0004】
また、例えば駆動系電気回路の大電流用のワイヤーハーネスに用いられるメス型端子は、厚みのある端子板材で構成される必要があるところ、厚みのある端子板材で構成されたメス型端子は、弾性力が低下するため、オス型端子に対する付勢力が低下し、ひいては導電性が低下するおそれがあった。そのため、このようなメス型端子においては、厚みのある端子板材で基台部を構成し、かかる基台部に弾性力を有するバネ部材が装着されている。
【0005】
ところで、このようなメス型端子のバネ部材は、オス型端子が挿入される挿入空間の開口から奥側に向かう奥行方向に対して交差する交差方向に複数の接点バネ部を有し、それぞれの接点バネ部が挿入されたオス型端子に付勢力を作用させる。そのため、各接点バネ部がオス型端子に密着し、確実に導電させることが可能となる。しかしながら、大きな電流が流れる電線は大径化しているため、メス型端子とオス型端子とが接続した状態において電線が振動すると、オス型端子と当接するバネ部材の中央部分を中心としてメス型端子が揺動し、当接状態が不安定となって導電性が低下するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-245701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電線等が振動してもオス型端子との当接状態が不安定にならず、導電性の低下を防止できるメス型端子、端子嵌合構造、端子付き電線、メス型コネクタ、コネクタ付き電線、ワイヤーハーネス及びバネ部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、オス型端子と電気的に接続されるバネ部材、及び、前記バネ部材と電気的に接続される基台部を有する端子本体が設けられ、前記基台部は、前記オス型端子の一部が挿入可能な挿入空間を隔てて配置された一対の側壁を有し、前記バネ部材は、前記側壁と前記側壁の間に配置されるとともに、前記挿入空間の開口から奥側に向かう奥行方向に延設されて前記オス型端子に当接するアーム状の接点バネ部を有し、前記接点バネ部は、前記奥行方向に対して交差する交差方向に複数配置され、複数の前記接点バネ部のうちの少なくとも二つが他の前記接点バネ部よりも高弾性である高弾性接点バネ部であり、前記高弾性接点バネ部は、前記交差方向の両側の端部側に配置されるとともに、前記奥行方向及び前記交差方向に交差する前記側壁の対向方向に向けて突出する突出高さが他の前記接点バネ部に比べて高く形成されたメス型端子であることを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、上述のメス型端子が電線に接続された端子付き電線であり、また、上述のメス型端子がコネクタハウジングに収容されたメス型コネクタであり、さらに、上述の端子付き電線を構成する前記メス型端子がコネクタハウジングに収容されたコネクタ付き電線であり、さらにまた上述の端子付き電線を含むワイヤーハーネスであり、また、上述のコネクタ付き電線を含むワイヤーハーネスであることを特徴とする。
【0010】
またこの発明は、オス型端子の一部が挿入可能な挿入空間を隔てて配置された一対の側壁を有する基台部とともにメス型端子の端子本体を構成し、前記オス型端子と電気的に接続されるバネ部材であって、前記側壁と前記側壁の間に配置されるとともに、前記挿入空間の開口から奥側に向かう奥行方向に延設されて前記オス型端子に当接するアーム状の接点バネ部を有し、前記接点バネ部は、前記奥行方向に対して交差する交差方向に複数配置され、複数の前記接点バネ部のうちの少なくとも二つが他の前記接点バネ部よりも高弾性である高弾性接点バネ部であり、前記高弾性接点バネ部は、前記交差方向の両側の端部側に配置されるとともに、前記奥行方向及び前記交差方向に交差する前記側壁の対向方向に向けて突出する突出高さが他の前記接点バネ部に比べて高く形成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明におけるアーム状の接点バネ部とは、一方側が固定端とされて他方側が自由端とされた片持ち支持構造の接点バネ部であることを意味している。
上述の突出高さとは、対向方向において、バネ部材を装着する側壁の内面から、オス型端子に当接する当接箇所までの高さである。そして、上述の突出高さが他の前記接点バネ部に比べて高いとは、アーム状の接点バネ部における奥行き方向の先端側が他の接点バネ部の先端側に比べて高い場合や、接点バネ部の当接箇所に設けたディンプルと称する突出部の大きさが他の接点バネ部の突出部より対向方向への突出量が大きいことで、側壁の内面からオス型端子への当接箇所までの高さが高い場合などを含む。
【0012】
これらの発明により、電線等が振動してもオス型端子との当接状態が不安定にならず、導電性の低下を防止することができる。
詳述すると、オス型端子の一部が挿入可能な挿入空間を隔てて配置された一対の側壁を有する基台部とともにメス型端子の端子本体を構成し、前記オス型端子と電気的に接続されるバネ部材を、前記側壁と前記側壁の間に配置するとともに、前記オス型端子に当接するアーム状の接点バネ部を、前記奥行方向に対して交差する交差方向に複数配置しているため、複数の接点バネ部でオス型端子に当接することができる。
【0013】
そして、複数の前記接点バネ部のうちの少なくとも二つが他の前記接点バネ部よりも高弾性である高弾性接点バネ部として、前記交差方向の両側の端部側に配置しているため、交差方向の両側の前記高弾性接点バネ部は高い当接力で前記オス型端子と当接することができる。したがって、電線等の振動が作用し、前記バネ部材の中央部分を中心に前記メス型端子が揺動しようとしても、中央部分から離れた端部側の前記高弾性接点バネ部が高い当接力で当接し、前記メス型端子の揺動を防止することができる。このように、前記高弾性接点バネ部は、前記オス型端子と当接して電気的に導通するとともに、前記メス型端子の揺動を防止する揺動防止機能を有することとなる。
【0014】
また、前記高弾性接点バネ部を、前記奥行方向及び前記交差方向に交差する前記側壁の対向方向に向けて突出する突出高さを他の前記接点バネ部に比べて高く形成することにより、容易に他の前記接点バネ部よりも高弾性に構成することができる。
【0015】
具体的には、前記奥行方向及び前記交差方向に交差する前記側壁の対向方向に向けて突出する突出高さが高いため、つまり、一対構成された側壁の一方側に配置された前記高弾性接点バネ部の先端側が、他の前記接点バネ部に比べ、他方側の側壁に向けて近づくように形成されているため、前記オス型端子が挿入空間に挿入されることで、他の前記接点バネ部よりもたわみ量が大きくなる。そのため、挿入空間への前記オス型端子の挿入によるたわみ量が小さい他の前記接点バネ部に比べて、たわみ量の大きな前記高弾性接点バネ部は高い当接力で当接する、つまり弾性力が高くなる。
【0016】
このように、挿入空間への前記オス型端子の挿入によるたわみ量が他の前記接点バネ部に比べて大きくなる、つまり弾性力が高い前記高弾性接点バネ部を交差方向の両方の端部側に設けているため、電線等の振動が作用し、前記バネ部材の中央部分を中心に前記メス型端子が揺動しようとしても、中央部分から離れた端部側の前記高弾性接点バネ部が高い当接力で当接し、前記メス型端子の揺動を防止することができる。
【0017】
なお、前記高弾性接点バネ部は、交差方向に並ぶ複数の前記接点バネ部のうち両端側のそれぞれ1本ずつであってもよいし、複数本ずつであってもよい。さらには、交差方向に並ぶ複数の前記接点バネ部のうち両端側において前記高弾性接点バネ部の本数が異なってもよい。
【0018】
この発明の態様として、前記バネ部材は、前記交差方向に複数配置された前記接点バネ部の基部を連結する連結基部が備えられ、前記高弾性接点バネ部は、前記連結基部に対する曲げ角度が、他の前記接点バネ部に比べて小さく形成されてもよい。
【0019】
上述の他の前記接点バネ部と比べて前記連結基部に対する曲げ角度が小さいとは、前記連結基部と前記高弾性接点バネ部とで成す内角が他の前記接点バネ部と前記連結基部とでなす内角より小さいことを指す。
【0020】
この発明により、前記連結基部に対する曲げ角度を調整することで、前記対向方向に向けて突出する突出高さを調整でき、容易に他の前記接点バネ部に比べて高弾性である前記高弾性接点バネ部を構成することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記交差方向に並ぶ複数の前記接点バネ部の前記基部の前記奥行方向の位置が同じであってもよい。
この発明により、前記連結基部に対して曲げる際の加工が容易になるとともに、各接点バネ部を所望の弾性力で構成することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記高弾性接点バネ部は、先端側から基部に向かって徐々にアーム幅が広くなるように形成されてもよい。
この発明により、基部のアーム幅が広いことで、同じアーム幅で構成する場合に比べて、より高弾性の前記高弾性接点バネ部を構成することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記接点バネ部は、前記オス型端子との当接箇所に当該オス型端子の側に突出する複数の突出部が設けられてもよい。
この発明により、それぞれの前記高弾性接点バネ部において複数の突出部で前記オス型端子に当接するため、つまり当接箇所が増えるため、増えた当接箇所で前記オス型端子に対する前記メス型端子の揺動を効率よく防止することができる。
【0024】
また、前記高弾性接点バネ部に複数の突出部が設けられることで、高弾性接点バネ部における前記オス型端子との当接箇所が増えるため、つまり高弾性接点バネ部における見かけの並列回路の回路数が増大し、高弾性接点バネ部における前記オス型端子との導電性を向上することができる。
【0025】
またこの発明は、上述のメス型端子における前記基台部の前記挿入空間に前記オス型端子の一部が挿入され、前記メス型端子と前記オス型端子とが嵌合し、前記オス型端子の一部に、前記突出部が係合する凹状の係合凹部が設けられた端子嵌合構造であることを特徴とする。
【0026】
この発明により、接点バネ部の突出部と係合凹部とが係合することで、前記メス型端子と前記オス型端子との嵌合状態を安定させることができ、嵌合状態においてメス型端子に対する不用意なオス型端子の抜け出しを防止することができる。特に、交差方向の端部側に設けた高弾性接点バネ部に設けた突出部が係合凹部に係合する場合、交差方向に離れて係合凹部と突出部とが係合するため、前記オス型端子に対する前記メス型端子の揺動をさらに防止することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記係合凹部は前記交差方向に延びる溝状であってもよい。
この発明により、メス型端子に対するオス型端子の交差方向の嵌合位置に問わず、突出部は溝状の係合凹部に係合でき、嵌合状態を安定させることができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、電線等が振動してもオス型端子との当接状態が不安定にならず、導電性の低下を防止できるメス型端子、端子嵌合構造、端子付き電線、メス型コネクタ、コネクタ付き電線、ワイヤーハーネス及びバネ部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】コネクタ付き電線の斜視図。
図2】コネクタ付き電線とオスコネクタとを接続する前の状態の斜視図。
図3】メス型端子の分解斜視図。
図4】メス型端子の斜視図。
図5】メス型端子を先端側から視た正面図。
図6】メス型端子を幅方向から視た側面図。
図7】メス型端子を上方側から視た平面図。
図8】メス型端子の図7におけるA-A矢視断面図及びB-B矢視断面図。
図9】メス型端子の図7におけるC-C矢視断面図。
図10】メス型端子の内側に接続ブレードが挿入された状態の図9におけるD-D矢視断面図及びE-E矢視断面図。
図11】別の実施形態のメス型端子の図7におけるB-B矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の一実施形態を以下図面とともに詳述する。
図1はコネクタ付き電線1の斜視図を示している。図1(a)はコネクタ付き電線1の斜視図であり、図1(b)はコネクタハウジング2を透過状態としたコネクタ付き電線1の斜視図である。
【0031】
図2は、コネクタ付き電線1とメス型端子10とオス型コネクタ101とを接続して端子嵌合構造100を構成する前の状態のコネクタ付き電線1とオス型コネクタ101との斜視図を示している。なお、図2では、コネクタ付き電線1におけるコネクタハウジング2及びオス型コネクタ101におけるハウジング103を透過状態で示している。
【0032】
図3はメス型端子10の分解斜視図を示し、図4はメス型端子10の斜視図を示している。図5はメス型端子10を先端側Ltから視た正面図を示し、図6はメス型端子10を幅方向Wから視た側面図を示し、図7はメス型端子10を上方側Huから視た平面図を示している。
【0033】
また、図8(a)は図7におけるA-A矢視断面図を示し、図8(b)は図7におけるB-B矢視断面図を示している。図9図7におけるC-C矢視断面図を示している。図10はメス型端子10の内側に接続ブレード102が挿入された状態である端子嵌合構造100の図9におけるD-D矢視断面図及びE-E矢視断面図を示している。
【0034】
なお、以下の説明においては、後述するメス型端子10の端子本体15における電線接続部11と端子接続部12とを直列配置した方向(図3及び図4において左上と右下を結ぶ方向)を長手方向Lとし、電線接続部11が設けられた側を基端側Lb、その逆側を先端側Ltとしている。また、長手方向Lに直交する方向(図3及び図4における上下方側)を高さ方向Hとし、挿入空間12Xが開口された側を上方側Hu、その逆側を下方側Hdとしている。さらに、長手方向Lと高さ方向Hに直交する方向(図3及び図4において左下と右上を結ぶ方向)を幅方向Wとし、電線接続部11が設けられた側壁21の側を奥側Wb、その逆側を手前側Wfとしている。
【0035】
まず、メス型端子10と嵌合して端子嵌合構造100を構成する接続ブレード102を有するオス型コネクタ101について説明する。
オス型コネクタ101は、金属製板材で構成された2枚の接続ブレード102をハウジング103の内部に配置し、ハウジング103が後述するメス型端子10のコネクタハウジング2と接続される。
【0036】
接続ブレード102は、嵌合するメス型端子10に向かって長い長方形状の平板状であり、基部には図示省略する電線が接続されている。
また、接続ブレード102における両主面の先端側には、幅方向に延びる円弧断面の係合溝104を設けている。
【0037】
このように構成された接続ブレード102は、ハウジング103の内部において、後述するコネクタ付き電線1におけるメス型端子10同士の間隔に対応する間隔で平行に配置されて、ハウジング103の内部においてメス型端子10と嵌合可能に突出している。
【0038】
上述のオス型コネクタ101における接続ブレード102と嵌合するメス型端子10は、オス型コネクタ101の平板状の接続ブレード102(図10参照)と電気的に接続されるバネ部材30、及び、バネ部材30と電気的に接続される基台部20とを有しており、図1に示すように、コネクタハウジング2の内部に配置されてコネクタ付き電線1を構成している。
そして、コネクタ付き電線1とオス型コネクタ101とを接続し、メス型端子10と接続ブレード102とが嵌合して端子嵌合構造100を構成する。
【0039】
コネクタ付き電線1を構成する電線5は、内部の導体6を絶縁被覆で被覆した大電流用の丸電線であり、電線5の先端において絶縁被覆が剥がされて露出する導体6にメス型端子10が接続されたものを端子付き電線4と称する。
【0040】
コネクタハウジング2は、略直方体形状のハウジング部2aと、ハウジング部2aから延びる電線挿通部2bとを有しており、電線挿通部2bから挿通された端子付き電線4のメス型端子10がハウジング部2aの内部の収容空間2cに配置される。
【0041】
メス型端子10が配置される収容空間2cは、ハウジング部2aにおいて電線挿通部2bが配置された側と反対側に開口されており、外部からメス型端子10を望むことができる。コネクタ付き電線1は、2本の端子付き電線4が装着され、ハウジング部2aの内部の収容空間2cにおいてメス型端子10が隣接して配置されている。なお、コネクタ付き電線1において、コネクタハウジング2の内部に2つのメス型端子10が配置されたものをメス型コネクタ1aと称す。
【0042】
このように、コネクタ付き電線1は、ワイヤーハーネスの端部を構成したり、ワイヤーハーネスの幹線から分岐した枝線の端部を構成したりしており、メス型コネクタ1aにおけるコネクタハウジング2と、図2に示すオス型コネクタ101のハウジング103とが接続されると、メス型端子10の内側にオス型コネクタ101の接続ブレード102(図10参照)が挿入されて電気的に接続される端子嵌合構造100を構成することとなる。
【0043】
図3及び図4に示すように、メス型端子10は、電線接続部11及び端子接続部12が設けられている。端子接続部12は、溶接部40によって導電可能に固定された基台部20とバネ部材30とを有している。そして、電線接続部11と端子接続部12(基台部20)とで端子本体15を構成している。
【0044】
電線接続部11は、電線5の先端において露出する導体6が接続される部位である。電線接続部11は、端子接続部12を構成する基台部20の奥側Wbの側壁21と連続しており、長手方向L且つ高さ方向Hに延びる板状に形成されている。
【0045】
端子接続部12は、接続ブレード102(図10参照)が挿入可能な挿入空間12Xを隔てて配置された一対の側壁21と、それぞれの側壁21の下端部分を連結する側壁連結部22とを有している。端子接続部12は、これら側壁21及び側壁連結部22で構成される導電性の基台部20と、挿入空間12Xに挿入された接続ブレード102に対して付勢力Fを作用させて当接する導電性のバネ部材30とを有している。
【0046】
詳述すると、基台部20は、電線接続部11の先端側Ltに配置されており、長手方向L且つ高さ方向Hに沿う平面状の側壁21が幅方向Wに所定間隔を隔てて2枚設けられ、これら側壁21の下方側Hdの端部同士を幅方向Wに連結する側壁連結部22を有している。
【0047】
また、本実施形態に係るメス型端子10においては、上述したように、幅方向Wにおける奥側Wbの側壁21が電線接続部11と長手方向Lに連続している。そして、奥側Wbの側壁21に対して手前側Wfの側壁21が所定間隔を隔てて平行に配置されており、これら側壁21の下方側Hdの端部同士が側壁連結部22によって連結されることにより、高さ方向Hの上方側Huが開口されたU字状に形成されている。
【0048】
なお、電線接続部11及び端子接続部12(基台部20)で構成された端子本体15は、銅合金等の導電性を有する金属製の板材である端子板材を所定形状に切り抜き、折り曲げることによって上述の形状に形成されている。端子本体15は、大電流に対応するように所定の厚みを有する厚板で構成されている。また、端子本体15は、錫めっき等のめっき処理が施されていない非めっき部材である。但し、導電性を向上させるためにめっき処理が施されてもよいし、例えば電線接続部11に部分的にめっき処理が施されてもよい。
【0049】
バネ部材30は、端子本体15を構成する端子板材より厚みが薄く、バネ性が高いバネ板材で構成され、その表面は錫めっきなどの導電性を向上するためにめっき処理が施されている。
バネ部材30は、基台部20におけるそれぞれの側壁21に装着される。これらバネ部材30は、二つ一組で使用され、挿入空間12Xに挿入された接続ブレード102(図10参照)を挟み込むように付勢力Fが作用する構成とされている。
【0050】
具体的に説明すると、バネ部材30は、長手方向Lから視て下方側Hdが開口する逆U字状に形成されている。バネ部材30は、側壁21の内側面に沿う内板31と、側壁21の外側面に沿う外板32と、内板31と外板32の上方側Huの端部同士を幅方向Wに連結する上板33とを有している。そして、側壁21と外板32が略四角状の溶接部40にて溶接されている。
【0051】
但し、側壁21と内板31あるいは側壁21と上板33が溶接されてもよいし、基台部20が側壁21に溶接固定されていなくてもよい。また、側壁21と外板32とは、固定できれば溶接部40のように無端状でない溶接部で固定してもよい。
【0052】
また、バネ部材30は、外板32から長手方向Lに沿って延設されるとともに、内板31の側に垂直に折り曲げられた止板34を有している。そのため、バネ部材30を幅方向Wにおける奥側Wbの側壁21に装着すると、かかる側壁21の先端側Ltの先端面に止板34が当接することとなる。反対に、バネ部材30を幅方向Wにおける手前側Wfの側壁21に装着すると、かかる側壁21の基端側Lbの基端面に止板34が当接することとなる。かかる止板34は、基台部20に対するバネ部材30の位置決めに用いられる。
【0053】
さらに、バネ部材30は、図8に示すように、内板31における下方側Hdの端縁から対向する他方の側壁21に向かって斜めに延出されるアームバネ35を有している。アームバネ35は、挿入空間12Xの開口から下方側Hdに向かうにつれて対向する側壁21に対して徐々に近接するアーム部351と、アーム部351の所定箇所から折り曲げられて対向する側壁21から徐々に離間するアーム先端部352とを有している。
【0054】
そして、アーム部351とアーム先端部352の境界部分には、対向する側壁21に向かって突出する突出接点353が形成されている。かかる突出接点353は、挿入された接続ブレード102の側面に対して当接する(図10参照)。
突出接点353は、バネ板材に対して凸状加工によって形成されている。
【0055】
加えて、バネ部材30は、図9に示すように、挿入空間12Xの開口から下方側Hdに向かう奥行方向(高さ方向H)に対して交差する交差方向(長手方向L)に片側6枚のアームバネ35を有している。これらのアームバネ35は、内板31との境界部分を基部Pbとする固定端とされている。
【0056】
そのため、これらのアームバネ35は、基部Pbを基点として接続ブレード102とアームバネ35の当接箇所である突出接点353までのアーム長Laが全て等しく形成されている(図10参照)。なお、全てのアームバネ35の基部Pbは、高さ方向Hにおいて同じ位置に配置している。
【0057】
なお、本実施形態に係るメス型端子10においては、アームバネ35における長手方向Lの寸法、つまりアーム幅Waが先端縁から基部Pbに向かって僅かに太くなるように、つまり幅方向Wから視て略台形状に形成されている。
【0058】
このように構成された6枚のアームバネ35のうち長手方向Lの両側のアームバネを高弾性アームバネ36とし、両側の高弾性アームバネ36の間に配置されたアームバネを低弾性アームバネ37としている。
【0059】
高弾性アームバネ36は、低弾性アームバネ37に比べて、弾性力が高く、挿入空間12Xに挿入された接続ブレード102に対して幅方向Wから挟み込んで当接する際の当接力、つまり付勢力F1が高くなるように構成している。
【0060】
具体的には、図9に示すように、高弾性アームバネ36は低弾性アームバネ37に比べて、基部Pbから先端縁に向かって僅かに細くなる略台形状に形成された長手方向Lの寸法、つまりアーム幅Waを広く形成している。
【0061】
また、高弾性アームバネ36は、図8(a),(b)におけるa部拡大図及びb部拡大図に示すように、内板31に対するアーム先端部352の曲げ角度θ1が、低弾性アームバネ37の内板31に対するアーム先端部352の曲げ角度θ2より小さく形成している。
【0062】
そのため、高弾性アームバネ36の突出接点353の相手方の側壁21に向かう方向、つまり装着する側壁21に対する幅方向Wの突出高さPh1は、低弾性アームバネ37の突出接点353の突出高さPh2より高くなるように形成している。
【0063】
上述の突出高さPh(Ph1,Ph2)は、幅方向Wにおいて、バネ部材30を装着する側壁21の内面から、接続ブレード102に当接する当接箇所までの高さであり、より詳しくは、側壁21の内面から、接続ブレード102に当接する突出接点353の先端までの高さである。
【0064】
なお、低弾性アームバネ37にはそれぞれ突出接点353を幅方向(長手方向L)の中央にひとつ備えているが、高弾性アームバネ36には、幅方向(長手方向L)に所定の間隔を隔てて2つの突出接点353を備えている。なお、高弾性アームバネ36の突出接点353と、低弾性アームバネ37の突出接点353とは同じ大きさで形成している。
【0065】
このように構成したバネ部材30を、両側壁21に対して、挿入空間12Xにおいてアームバネ35同士が幅方向Wに対向するように装着し、端子接続部12の外面に対して外板32を溶接部40によって導電可能に固定することでメス型端子10を構成することができる。このとき、各バネ部材30において、複数のアームバネ35は側壁21の内面に沿って配置される態様となる。
【0066】
このように構成したメス型端子10では、図7及び図8に示すように、低弾性アームバネ37における突出接点353同士の幅方向Wの間隔よりも、高弾性アームバネ36における突出接点353同士の間隔が小さくなる。
【0067】
そして、コネクタ付き電線1とオス型コネクタ101とを接続して端子嵌合構造100を構成すると、つまりメス型端子10における挿入空間12Xに対して、上方側Huから接続ブレード102を挿入すると、図10に示すように、接続ブレード102の幅方向Wの両側からアームバネ35で挟み込んでメス型端子10と接続ブレード102とが導通可能に接続されることとなる。
【0068】
詳しくは、高弾性アームバネ36の突出接点353は、接続ブレード102の係合溝104に係るように嵌合することとなる。
このように、幅方向Wの両側からアームバネ35で接続ブレード102を挟み込む端子嵌合構造100では、アームバネ35のそれぞれの突出接点353は、付勢力Fが作用した状態で接続ブレード102に当接するため、安定した導通状態を得ることができる。
【0069】
さらには、低弾性アームバネ37の弾性力より弾性力が高い高弾性アームバネ36の突出接点353は、低弾性アームバネ37の突出接点353の付勢力F2より高い付勢力F1で接続ブレード102に当接するとともに、凹状の係合溝104に対して交差方向(長手方向L)に所定間隔を隔てて係合することとなる(図10参照)。
【0070】
上述したように、メス型端子10は、接続ブレード102と電気的に接続されるバネ部材30、及び、バネ部材30と電気的に接続される基台部20を有する端子本体15が設けられ、基台部20は、接続ブレード102の一部が挿入可能な挿入空間12Xを隔てて配置された一対の側壁21を有している。バネ部材30は、側壁21と側壁21の間に配置されるとともに、挿入空間12Xの開口から奥側に向かう奥行方向(高さ方向H)に延設されて接続ブレード102に当接するアーム状のアームバネ35を有している。アームバネ35は、奥行方向(高さ方向H)に対して交差する交差方向(長手方向L)に6枚配置され、6枚のアームバネ35のうち二つが低弾性アームバネ37よりも高弾性である高弾性アームバネ36である。高弾性アームバネ36は、交差方向(長手方向L)の両側の端部側に配置されるとともに、奥行方向(高さ方向H)及び交差方向(長手方向L)に交差する側壁21の対向方向(幅方向W)に向けて突出する突出高さPh1が低弾性アームバネ37の突出高さPh2に比べて高く形成されている。
【0071】
また、接続ブレード102の一部が挿入可能な挿入空間12Xを隔てて配置された一対の側壁21を有する基台部20とともにメス型端子10の端子本体15を構成し、接続ブレード102と電気的に接続されるバネ部材30であって、側壁21と側壁21の間に配置されるとともに、挿入空間12Xの開口から奥側に向かう奥行方向(高さ方向H)に延設されて接続ブレード102に当接するアーム状のアームバネ35を有している。アームバネ35は、奥行方向(高さ方向H)に対して交差する交差方向(長手方向L)に6枚配置され、6枚のアームバネ35のうち二つが低弾性アームバネ37よりも高弾性である高弾性アームバネ36である。高弾性アームバネ36は、交差方向(長手方向L)の両側の端部側に配置されるとともに、奥行方向(高さ方向H)及び交差方向(長手方向L)に交差する側壁21の対向方向(幅方向W)に向けて突出する突出高さPh1が低弾性アームバネ37の突出高さPh2に比べて高く形成されている。
【0072】
そのため、上述のメス型端子10、及びバネ部材30、並びに上述のメス型端子10が電線5に接続された端子付き電線4、上述のメス型端子10がコネクタハウジング2に収容されたメス型コネクタ1a、上述の端子付き電線4を構成するメス型端子10がコネクタハウジング2に収容されたコネクタ付き電線1、コネクタ付き電線1や端子付き電線4を含むワイヤーハーネスは、電線5等が振動してもメス型端子10と接続ブレード102との当接状態が不安定にならず、導電性の低下を防止することができる。
【0073】
詳述すると、接続ブレード102の一部が挿入可能な挿入空間12Xを隔てて配置された一対の側壁21を有する基台部20とともにメス型端子10の端子本体15を構成し、接続ブレード102と電気的に接続されるバネ部材30を、側壁21と側壁21の間に配置するとともに、接続ブレード102に当接するアーム状のアームバネ35を、奥行方向(高さ方向H)に対して交差する交差方向(長手方向L)に6枚配置しているため、6枚のアームバネ35で接続ブレード102に当接することができる。
【0074】
そして、6枚のアームバネ35のうち二つが低弾性アームバネ37よりも高弾性である高弾性アームバネ36であり、高弾性アームバネ36を、交差方向(長手方向L)の両側の端部側に配置している。そのため、交差方向(長手方向L)の両側の高弾性アームバネ36は高い当接力(付勢力F1)で接続ブレード102と当接することができる。したがって、電線5等の振動が作用し、バネ部材30の中央部分を中心にメス型端子10が揺動しようとしても、中央部分から離れた端部側の高弾性アームバネ36が高い当接力(付勢力F1)で当接し、メス型端子10の揺動を防止することができる。このように、高弾性アームバネ36は、接続ブレード102と当接して電気的に導通するとともに、メス型端子10の揺動を防止する揺動防止機能を有することとなる。
【0075】
また、高弾性アームバネ36において、奥行方向(高さ方向H)及び交差方向(長手方向L)に交差する側壁21の対向方向(幅方向W)に向けて突出する突出高さPh1を低弾性アームバネ37の突出高さPh2に比べて高く形成することにより、容易に低弾性アームバネ37よりも高弾性に構成することができる。
【0076】
具体的には、奥行方向(高さ方向H)及び交差方向(長手方向L)に交差する側壁21の対向方向(幅方向W)に向けて突出する突出高さPh1が高いため、つまり、一対構成された側壁21の一方側に配置された高弾性アームバネ36の先端側が、低弾性アームバネ37に比べ、他方側の側壁21に向けて近づくように形成されているため、接続ブレード102が挿入空間12Xに挿入されることで、低弾性アームバネ37よりもたわみ量が大きくなる。そのため、挿入空間12Xへの接続ブレード102の挿入によるたわみ量が小さい低弾性アームバネ37に比べて、たわみ量の大きな高弾性アームバネ36は高い当接力(付勢力F1)で当接する、つまり弾性力が高くなる。
【0077】
このように、挿入空間12Xへの接続ブレード102の挿入によるたわみ量が低弾性アームバネ37に比べて大きくなる、つまり弾性力が高い高弾性アームバネ36を交差方向(長手方向L)の両方の端部側に設けているため、電線5等の振動が作用し、バネ部材30の中央部分を中心にメス型端子10が揺動しようとしても、中央部分から離れた端部側の高弾性アームバネ36が高い当接力(付勢力F1)で当接し、メス型端子10の揺動を防止することができる。
【0078】
また、バネ部材30は、交差方向(長手方向L)に複数配置されたアームバネ35の基部Pbを連結する内板31が備えられ、高弾性アームバネ36は、内板31に対する曲げ角度θ1が、低弾性アームバネ37の曲げ角度θ2に比べて小さく形成されている。このように、内板31に対する曲げ角度θ1を調整することで、対向方向(幅方向W)に向けて突出する突出高さPh1を調整でき、容易に低弾性アームバネ37の突出高さPh2に比べて高弾性である高弾性アームバネ36を構成することができる。
【0079】
また、交差方向(長手方向L)に並ぶ6枚のアームバネ35の基部Pbの奥行方向(高さ方向H)における位置が同じであるため、内板31に対して曲げる際の加工が容易になるとともに、各アームバネ35を所望の弾性力で構成することができる。
【0080】
また、高弾性アームバネ36は、先端側から基部Pbに向かって徐々にアーム幅Waが広くなるように形成されているため、同じアーム幅Waで構成する場合に比べて、より高弾性の高弾性アームバネ36を構成することができる。
【0081】
また、高弾性アームバネ36は、接続ブレード102との当接箇所に接続ブレード102の側に突出する二つの突出接点353が設けられている。そのため、それぞれの高弾性アームバネ36において二つの突出接点353で接続ブレード102に当接する、つまり当接箇所が増える。そのため、増えた当接箇所で接続ブレード102に対するメス型端子10の揺動を効率よく防止することができる。
【0082】
また、高弾性アームバネ36に二つの突出接点353が設けられることで、高弾性アームバネ36における接続ブレード102との当接箇所が増えるため、つまり高弾性アームバネ36における見かけの並列回路の回路数が増大し、高弾性アームバネ36における接続ブレード102との導電性を向上することができる。
【0083】
また、上述のメス型端子10における基台部20の挿入空間12Xに接続ブレード102の一部が挿入され、メス型端子10と接続ブレード102とが嵌合し、接続ブレード102の一部に、突出接点353が係合する凹状の係合溝104が設けられた端子嵌合構造100は、高弾性アームバネ36の突出接点353と係合溝104とが係合することで、メス型端子10と接続ブレード102との嵌合状態を安定させることができ、嵌合状態においてメス型端子10に対する不用意な接続ブレード102の抜け出しを防止することができる。
【0084】
特に、交差方向(長手方向L)の端部側に設けた高弾性アームバネ36に設けた二つの突出接点353が係合溝104に係合するため、つまり、交差方向(長手方向L)に離れて係合溝104と突出接点353とが大きな付勢力F1が作用した状態で係合するため、接続ブレード102に対するメス型端子10の揺動をさらに防止することができる。
【0085】
また、係合溝104は交差方向(長手方向L)に延びる溝状であるため、メス型端子10に対する接続ブレード102の交差方向(長手方向L)の嵌合位置に問わず、高弾性アームバネ36の突出接点353が溝状の係合溝104に係合でき、嵌合状態を安定させることができる。
【0086】
なお、上述のメス型端子10では、高弾性アームバネ36には二つの突出接点353を設け、低弾性アームバネ37にはひとつの突出接点353を設けていたが、図11に示すように、高弾性アームバネ36と同様に、低弾性アームバネ37にも二つの突出接点353を設けてもよい。このように、低弾性アームバネ37に二つの突出接点353を備えても、上述のメス型端子10と同様の効果を奏することができる。
【0087】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、オス型端子は接続ブレード102に対応し、
以下同様に、
バネ部材はバネ部材30に対応し、
基台部は基台部20に対応し、
端子本体は端子本体15に対応し、
挿入空間は挿入空間12Xに対応し、
側壁は側壁21に対応し、
奥行方向は高さ方向Hに対応し、
接点バネ部はアームバネ35に対応し、
交差方向は長手方向Lに対応し、
高弾性接点バネ部は高弾性アームバネ36に対応し、
突出高さは突出高さPh1に対応し、
メス型端子はメス型端子10に対応し、
連結基部は内板31に対応し、
曲げ角度は曲げ角度θ1に対応し、
基部は基部Pbに対応し、
アーム幅はアーム幅Waに対応し、
突出部は突出接点353に対応し、
係合凹部は係合溝104に対応し、
端子嵌合構造は端子嵌合構造100に対応し、
電線は電線5に対応し、
端子付き電線は端子付き電線4に対応し、
メス型コネクタはメス型コネクタ1aに対応し、
コネクタ付き電線はコネクタ付き電線1に対応するも、この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0088】
例えば、上述のメス型端子10では、高弾性アームバネ36は、低弾性アームバネ37に比べて、アーム幅Waを広く形成するとともに、内板31に対する曲げ角度θ1を小さく形成したが、内板31に対する曲げ角度θ1を小さく形成した高弾性アームバネ36のアーム幅Waを低弾性アームバネ37と同じ幅で形成してもよい。このように、高弾性アームバネ36を低弾性アームバネ37と同じ幅で形成しても、高弾性アームバネ36を内板31に対する曲げ角度θ1を小さく形成することで、上述のメス型端子10やバネ部材30で奏する作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0089】
また、高弾性アームバネ36と低弾性アームバネ37とでアーム長Laが同じになるように形成したが高弾性アームバネ36のアーム長Laを低弾性アームバネ37より短く形成してもよい。このように、高弾性アームバネ36を低弾性アームバネ37よりアーム長Laが短くなるように形成することで、さらに大きな付勢力F1が得られ、上述のメス型端子10やバネ部材30で奏する作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
また、上述のメス型端子10では、高弾性アームバネ36は、低弾性アームバネ37に比べて、アーム幅Waを広く形成するとともに、内板31に対する曲げ角度θ1を小さく形成したが、内板31に対する曲げ角度θ1を低弾性アームバネ37の曲げ角度θ2と同じ曲げ角度で形成し、低弾性アームバネ37の突出接点353より、高弾性アームバネ36の突出接点353を大きく形成してもよい。
【0091】
具体的には、高弾性アームバネ36に設けた突出接点353の突出量、つまり、幅方向Wにおいてアーム先端部352から突出接点353の先端までの高さである突出量を、低弾性アームバネ37の突出接点353より大きく形成することで、高弾性アームバネ36の突出高さPh1が低弾性アームバネ37の突出高さPh2より大きくなるように形成してもよい。これによって、曲げ角度θ1を低弾性アームバネ37の曲げ角度θ2より小さく形成して突出高さPh1が低弾性アームバネ37の突出高さPh2より大きくなる高弾性アームバネ36と同様に、突出接点353の突出量が大きい高弾性アームバネ36は、接続ブレード102の挿入によるたわみ量が突出接点353の突出量が小さな低弾性アームバネ37に比べて大きくなり、上述の高弾性アームバネ36と同様の効果を奏することができる。もちろん、高弾性アームバネ36の曲げ角度θ1を低弾性アームバネ37の曲げ角度θ2より小さく形成するとともに、突出量が大きくなるように突出接点353を形成してもよい。
【0092】
また、高弾性アームバネ36に突出接点353を二つ設け、低弾性アームバネ37には突出接点353をひとつ設けたが、高弾性アームバネ36にひとつの突出接点353を設けてもよいし、低弾性アームバネ37に複数の突出接点353を設けてもよい。
【0093】
また、アーム幅Waが先端縁から基部Pbに向かって僅かに太くなるように、幅方向Wから視て略台形状にアームバネ35を形成したが、高弾性アームバネ36及び低弾性アームバネ37のうち少なくとも一方を、アーム幅Waが基部Pbから先端縁に向かって変化しない、幅方向Wから視て略長方形状に形成してもよい。
【0094】
さらにまた、バネ部材30に6枚のアームバネ35を設け、交差方向(長手方向L)の両側1本を高弾性アームバネ36としたが、異なる本数のアームバネ35を設けてもよいし、高弾性アームバネ36を交差方向(長手方向L)の一方側に設けてもよい。また、交差方向(長手方向L)の両側の少なくとも一方の側の高弾性アームバネ36を複数設けてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…コネクタ付き電線
1a…メス型コネクタ
4…端子付き電線
5…電線
10…メス型端子
21…側壁
12X…挿入空間
15…端子本体
20…基台部
30…バネ部材
31…内板
35…アームバネ
36…高弾性アームバネ
104…係合溝
100…端子嵌合構造
102…接続ブレード
353…突出接点
H…高さ方向
L…長手方向
Pb…基部
Ph1…突出高さ
Wa…アーム幅
θ1…曲げ角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11