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特開2024-135041駆動制御装置、駆動制御方法、プログラム及びプローバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135041
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】駆動制御装置、駆動制御方法、プログラム及びプローバ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240927BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20240927BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/28 H
G01R31/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045535
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】110003535
【氏名又は名称】スプリング弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】深野 英志
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AG03
2G003AG04
2G003AG16
2G003AG20
2G003AH01
2G003AH06
2G132AE01
2G132AE04
2G132AE23
2G132AF02
2G132AF06
2G132AL04
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD03
4M106DD10
4M106DD23
4M106DJ02
4M106DJ03
4M106DJ27
(57)【要約】
【課題】ウェーハとプローブとがコンタクトする状態におけるウェーハ等の破損が抑制される、駆動制御装置、駆動制御方法、プログラム及びプローバを提供する。
【解決手段】駆動制御装置(40)は、ウェーハチャックの移動機構を動作させるモータの駆動装置に対して動作指令を送信する動作指令送信部(52)、動作指令におけるウェーハチャックの位置に対するウェーハチャックの現実の位置における位置偏差を含む位置偏差情報を取得する情報収集部(62)、位置偏差情報を解析する解析部(64)、及び位置偏差情報の解析結果に基づき、移動機構の異常動作の発生の有無を判定する判定部(66)を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体チップが形成されたウェーハを保持するウェーハチャックの移動機構を動作させるモータの駆動装置に対して動作指令を送信する動作指令送信部と、
前記動作指令における前記ウェーハチャックの位置に対する前記ウェーハチャックの現実の位置における位置偏差を含む位置偏差情報を取得する情報収集部と、
前記位置偏差情報を解析する解析部と、
前記位置偏差情報の解析結果に基づき、前記移動機構の異常動作の発生の有無を判定する判定部と、
を備えた駆動制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記移動機構の停止中であり、前記半導体チップに対して試験信号を供給するプローブと前記ウェーハとがコンタクトする状態において、前記位置偏差が規定の第1しきい値を超える場合に、前記移動機構の異常動作が発生していると判定する請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
前記情報収集部は、前記移動機構の停止中であり、前記半導体チップに対して試験信号を供給するプローブと前記ウェーハとがコンタクトする状態において、時系列の順に複数の前記位置偏差を取得し、
前記解析部は、時系列の順の複数の前記位置偏差を周波数解析し、
前記判定部は、前記位置偏差の周波数が変動する場合に、前記移動機構の異常動作が発生していると判定する請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項4】
前記情報収集部は、前記動作指令に基づく前記移動機構の動作中において、前記モータの発生トルクの大きさを含むトルク情報を取得し、
前記解析部は、前記トルク情報を解析し、
前記判定部は、前記トルク情報の解析結果に基づき、前記移動機構の異常動作の発生の有無を判定する請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記モータの発生トルクが規定の第2しきい値を超える場合に、前記移動機構の異常動作が発生していると判定する請求項4に記載の駆動制御装置。
【請求項6】
前記情報収集部は、前記動作指令に基づく前記移動機構の動作中において、前記モータへ供給される駆動電流の大きさを含む駆動電流情報を取得し、
前記解析部は、前記駆動電流情報を解析し、
前記判定部は、前記駆動電流情報の解析結果に基づき、前記移動機構の異常動作の発生の有無を判定する請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記駆動電流の大きさが規定の第3しきい値を超える場合に、前記移動機構の異常動作が発生していると判定する請求項6に記載の駆動制御装置。
【請求項8】
前記動作指令送信部は、前記移動機構の異常動作が発生している場合に、前記プローブと前記ウェーハとを離間させる前記動作指令を前記駆動装置へ送信する請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項9】
前記判定部の判定結果を表す表示信号を表示器へ送信する表示制御部を備えた請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項10】
コンピュータが、
複数の半導体チップが形成されたウェーハを保持するウェーハチャックの移動機構を動作させるモータの駆動装置に対して動作指令を送信する動作指令送信工程と、
前記動作指令における前記ウェーハチャックの位置に対する前記ウェーハチャックの現実の位置における位置偏差を含む位置偏差情報を取得する情報収集工程と、
前記位置偏差情報を解析する解析工程と、
前記位置偏差情報の解析結果に基づき、前記移動機構の異常動作の発生の有無を判定する判定工程と、
を実行する駆動制御方法。
【請求項11】
コンピュータに、
複数の半導体チップが形成されたウェーハを保持するウェーハチャックの移動機構を動作させるモータの駆動装置に対して動作指令を送信する動作指令送信機能、
前記動作指令における前記ウェーハチャックの位置に対する前記ウェーハチャックの現実の位置における位置偏差を含む位置偏差情報を取得する情報収集機能、
前記位置偏差情報を解析する解析機能、及び
前記位置偏差情報の解析結果に基づき、前記移動機構の異常動作の発生の有無を判定する判定機能を実現させるプログラム。
【請求項12】
複数の半導体チップが形成されたウェーハを保持するウェーハチャックと、
半導体チップに対して試験信号を供給するプローブを具備するテストヘッドと、
前記ウェーハチャックを前記プローブに対して相対移動させる移動機構と
前記移動機構を動作させるモータと、
前記モータへ駆動電流を供給する駆動装置と、
前記駆動装置に対して動作指令を送信する駆動制御装置と、
を備えたプローバであって、
前記駆動制御装置は、
複数の半導体チップが形成されたウェーハを保持するウェーハチャックの移動機構を動作させるモータの駆動装置に対して動作指令を送信する動作指令送信部と、
前記動作指令における前記ウェーハチャックの位置に対する前記ウェーハチャックの現実の位置における位置偏差を含む位置偏差情報を取得する情報収集部と、
前記位置偏差情報を解析する解析部と、
前記位置偏差情報の解析結果に基づき、前記移動機構の異常動作の発生の有無を判定する判定部と、
を備えたプローバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハに形成された半導体チップの電気的特性の検査に適用される、駆動制御装置、駆動制御方法、プログラム及びプローバに関する。
【背景技術】
【0002】
プローバは、ウェーハへ形成される複数の半導体チップそれぞれの電極パッドに対してプローブを接続させ、プローブから電極パッドへテスト信号を供給し、テストヘッドを用いて電極パッドから出力される信号を測定する。
【0003】
特許文献1は、ウェーハへ形成される半導体チップの電気的特性を測定するプローバが記載される。同文献に記載のプローバは、ウェーハが保持されるウェーハチャックを、X方向、Y方向、Z方向及びθ方向に対して移動自在に支持するアライメント装置が具備される。アライメント装置は、X方向、Y方向、Z方向及びθ方向のそれぞれに対して、適宜、ウェーハチャックを移動させて、ウェーハとプローブとの相対的な位置合わせを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-173284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術に係るプローバでは、ウェーハ、又は、プローブが具備されるプローブカードの破損が発見された際に、ウェーハとプローブとを相対移動させる移動機構における異常動作の対策が実施される。すなわち、従来はウェーハがプローブとコンタクトする状態において、駆動軸の発振等の異常動作の把握は困難である。
【0006】
特許文献1には、ウェーハチャックとプローブを相対移動させる移動機構の異常動作に起因するウェーハ等の破損に関する記載はなく、上記した課題を解決する構成要素の開示もない。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ウェーハとプローブとがコンタクトする状態におけるウェーハ等の破損が抑制される、駆動制御装置、駆動制御方法、プログラム及びプローバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1態様に係る駆動制御装置は、複数の半導体チップが形成されたウェーハを保持するウェーハチャックの移動機構を動作させるモータの駆動装置に対して動作指令を送信する動作指令送信部と、動作指令におけるウェーハチャックの位置に対するウェーハチャックの現実の位置における位置偏差を含む位置偏差情報を取得する情報収集部と、位置偏差情報を解析する解析部と、位置偏差情報の解析結果に基づき、移動機構の異常動作の発生の有無を判定する判定部と、を備えた駆動制御装置である。
【0009】
本開示の第1態様に係る駆動制御装置によれば、ウェーハチャックの位置偏差を含む位置偏差情報の解析結果に基づき、ウェーハチャックの移動機構の異常動作の有無が判定される。これにより、プローブからウェーハを退避させるなどの破損対策を実施し得る。
【0010】
ウェーハチャックの位置偏差は、モータの回転軸に取り付けられたエンコーダの出力信号、及びウェーハチャックの駆動機構に具備されるエンコーダの出力信号から算出されるウェーハチャックの現実の位置を含む位置情報に基づき算出され得る。ウェーハチャックの現実の位置は、リニアスケール等の位置検出器を用いて測定されてもよい。
【0011】
ウェーハチャックの移動機構は、互いに異なる複数の方向について、ウェーハとプローブとを相対移動させてもよい。互いに異なる複数の方向の例として、ウェーハが支持される面における直交座標系の第1方向、第2方向、ウェーハが支持される面に対して直交する第3方向、及び第3方向に対して平行となる方向の回転軸の回りの回転方向である第4方向が挙げられる。
【0012】
判定部は、互いに異なる複数の方向のそれぞれについて、位置偏差情報の解析結果に基づく移動機構の異常動作の有無を判定してもよい。判定部は、互いに異なる複数の方向の少なくともいずれかにおいて、移動機構の異常動作が発生している場合に、移動機構の異常動作が発生していると判定してもよい。
【0013】
第2態様に係る駆動制御装置は、第1態様の駆動制御装置において、判定部は、移動機構の停止中であり、半導体チップに対して試験信号を供給するプローブとウェーハとがコンタクトする状態において、位置偏差が規定の第1しきい値を超える場合に、移動機構の異常動作が発生していると判定してもよい。
【0014】
かかる態様によれば、ウェーハチャックの位置偏差の解析結果に対するしきい値判定の結果に基づき、ウェーハチャックの移動機構の異常動作の発生の有無を判定し得る。
【0015】
第3態様に係る駆動制御装置は、第1態様又は第2態様の駆動制御装置において、移動機構の停止中であり、半導体チップに対して試験信号を供給するプローブとウェーハとがコンタクトする状態において、情報収集部は、時系列の順に複数の位置偏差を取得し、解析部は、時系列の順の複数の位置偏差を周波数解析し、判定部は、位置偏差の周波数が変動する場合に、移動機構の異常動作が発生していると判定してもよい。
【0016】
かかる態様によれば、ウェーハチャックにおける時系列の順の複数の位置偏差について、周波数の変動に基づきウェーハチャック等の機械的破損の有無を判定し得る。
【0017】
第4態様に係る駆動制御装置は、第1態様から第3態様のいずれか一態様の駆動制御装置において、情報収集部は、動作指令に基づく移動機構の動作中において、モータの発生トルクの大きさを含むトルク情報を取得し、解析部は、トルク情報を解析し、判定部は、トルク情報の解析結果に基づき、移動機構の異常動作の発生の有無を判定してもよい。
【0018】
かかる態様によれば、動作指令に基づく動作機構の動作中において、トルク情報の解析結果に基づき、駆動機構の異常動作の発生の有無を判定し得る。
【0019】
第5態様に係る駆動制御装置は、第4態様の駆動制御装置において、判定部は、モータの発生トルクが規定の第2しきい値を超える場合に、移動機構の異常動作が発生していると判定してもよい。
【0020】
かかる態様によれば、モータの発生トルクに対するしきい値判定の結果に基づき、ウェーハチャックの移動機構の異常動作の発生の有無を判定し得る。
【0021】
第6態様に係る駆動制御装置は、第1態様から第4態様のいずれか一態様の駆動制御装置において、情報収集部は、動作指令に基づく移動機構の動作中において、モータへ供給される駆動電流の大きさを含む駆動電流情報を取得し、解析部は、駆動電流情報を解析し、判定部は、駆動電流情報の解析結果に基づき、移動機構の異常動作の発生の有無を判定してもよい。
【0022】
かかる態様によれば、動作指令に基づく動作機構の動作中において、駆動電流情報の解析結果に基づき、移動機構の異常動作の発生の有無を判定し得る。
【0023】
第7態様に係る駆動制御装置は、第6態様の駆動制御装置において、判定部は、駆動電流の大きさが規定の第3しきい値を超える場合に、移動機構の異常動作が発生していると判定してもよい。
【0024】
かかる態様によれば、駆動電流に対するしきい値判定の結果に基づき、ウェーハチャックの移動機構の異常動作の発生の有無を判定し得る。
【0025】
第8態様に係る駆動制御装置は、第1態様から第7態様のいずれか一態様の駆動制御装置において、動作指令送信部は、移動機構の異常動作が発生している場合に、プローブとウェーハとを離間させる動作指令を駆動装置へ送信してもよい。
【0026】
かかる態様によれば、移動機構の異常動作が発生している場合に、ウェーハとプローブとを離間させる。これにより、ウェーハ等の破損を抑制し得る。
【0027】
第9態様に係る駆動制御装置は、第1態様から第8態様のいずれか一態様の駆動制御装置において、判定部の判定結果を表す表示信号を表示器へ送信する表示制御部を備えてもよい。
【0028】
かかる態様によれば、表示器を用いて判定結果が報知される。これにより、操作者は判定部の判定結果を把握し得る。
【0029】
表示制御部は、移動機構の異常動作が発生していると判定される場合に、その旨を表す表示信号を表示器へ送信してもよい。
【0030】
本開示の第10態様に係る駆動制御方法は、コンピュータが、複数の半導体チップが形成されたウェーハを保持するウェーハチャックの移動機構を動作させるモータの駆動装置に対して動作指令を送信する動作指令送信工程と、動作指令におけるウェーハチャックの位置に対するウェーハチャックの現実の位置における位置偏差を含む位置偏差情報を取得する情報収集工程と、位置偏差情報を解析する解析工程と、位置偏差情報の解析結果に基づき、移動機構の異常動作の発生の有無を判定する判定工程と、を実行する駆動制御方法である。
【0031】
本開示の第10態様に係る駆動制御方法によれば、本開示の第1態様に係る駆動制御装置と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0032】
本開示の第10態様に係る駆動制御方法において、第2態様から第9態様のいずれか一態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、駆動制御装置において特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担う駆動制御方法の構成要素として把握することができる。
【0033】
本開示の第11態様に係るプログラムは、コンピュータに、複数の半導体チップが形成されたウェーハを保持するウェーハチャックの移動機構を動作させるモータの駆動装置に対して動作指令を送信する動作指令送信機能、動作指令におけるウェーハチャックの位置に対するウェーハチャックの現実の位置における位置偏差を含む位置偏差情報を取得する情報収集機能、位置偏差情報を解析する解析機能、及び位置偏差情報の解析結果に基づき、移動機構の異常動作の発生の有無を判定する判定機能を実現させるプログラムである。
【0034】
本開示の第11態様に係るプログラムによれば、本開示の第1態様に係る駆動制御装置と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0035】
本開示の第11態様に係るプログラムにおいて、第2態様から第9態様のいずれか一態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、駆動制御装置において特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担うプログラムの構成要素として把握することができる。
【0036】
本開示の第12態様に係るプローバは、複数の半導体チップが形成されたウェーハを保持するウェーハチャックと、半導体チップに対して試験信号を供給するプローブを具備するテストヘッドと、ウェーハチャックをプローブに対して相対移動させる移動機構と、移動機構を動作させるモータと、モータへ駆動電流を供給する駆動装置と、駆動装置に対して動作指令を送信する駆動制御装置と、を備えたプローバであって、駆動制御装置は、複数の半導体チップが形成されたウェーハを保持するウェーハチャックの移動機構を動作させるモータの駆動装置に対して動作指令を送信する動作指令送信部と、動作指令におけるウェーハチャックの位置に対するウェーハチャックの現実の位置における位置偏差を含む位置偏差情報を取得する情報収集部と、位置偏差情報を解析する解析部と、位置偏差情報の解析結果に基づき、移動機構の異常動作の発生の有無を判定する判定部と、を備えたプローバである。
【0037】
本開示の第12態様に係るプローバによれば、本開示の第1態様に係る駆動制御装置と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0038】
本開示の第12態様に係るプローバにおいて、第2態様から第9態様のいずれか一態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、駆動制御装置において特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担うプローバの構成要素として把握することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、ウェーハチャックの位置偏差を含む位置偏差情報の解析結果に基づき、ウェーハチャックの移動機構の異常動作の有無が判定される。これにより、テストヘッドからウェーハを退避させるなどの破損対策を実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】第1実施形態に係るプローバの概略構成図である。
図2図1に示すプローバの外観斜視図である。
図3】ウェーハの上面図である。
図4】第1実施形態に係るプローバの電気的構成を示す機能ブロック図である。
図5図4に示す電気的構成の一部を抽出した機能ブロック図である。
図6図5に示すドライバの電気的構成を示す機能ブロック図である。
図7】異常状態の一例を示す位置偏差の経時変化を表すグラフである。
図8】異常状態の他の例を示す位置偏差の経時変化を表すグラフである。
図9】ウェーハチャックの動作中におけるモータの駆動電流の波形を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。本明細書では、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明については、適宜、省略される。
【0042】
[第1実施形態に係るプローバの構成例]
図1は第1実施形態に係るプローバの概略構成図である。図2図1に示すプローバの外観斜視図である。図3はウェーハの上面図である。図1及び図2に示すプローバ10は、ウェーハに形成される複数の半導体チップの電気的特性を検査するウェーハテストシステムに用いられる。プローバ10を用いて検査されるウェーハWを図3に示す。
【0043】
同図には、ウェーハチャック20に支持されるウェーハWの上面が図示される。ウェーハWは、複数の半導体チップ9が形成される。各半導体チップ9には、複数の電極パッド9aが形成される。
【0044】
図1及び図2に示すプローバ10は、図1に示すベース12、Yステージ13、Y移動部14、Xステージ15、X移動部16、Zθステージ17、Zθ移動部18及びウェーハチャック20を備える。また、プローバ10は、図2に示す支柱23、ヘッドステージ24、カードホルダ25及びプローブカード26を備える。更に、プローバ10は、図1に示すウェーハ位置合わせカメラ29、上下ステージ30、針位置合わせカメラ31及びクリーニング板32を備える。なお、プローバ10の構成は、図1及び図2に示す例に限定されず、適宜、変更等が可能である。
【0045】
ベース12の上面には、Y移動部14を用いて、Yステージ13がY軸方向に移動自在に支持される。Y移動部14は、ベース12の上面においてYステージ13をY軸方向に移動させる。
【0046】
Y移動部14は、例えば、ベース12の上面に配置されるガイドレールであり、Y軸に平行なガイドレール、Yステージ13の下面に配置されるスライダであり、ガイドレールに係合するスライダ、及びYステージ13をY軸方向に駆動させるYモータを備える。
【0047】
Yステージ13の上面には、X移動部16を用いて、Xステージ15がX軸方向に移動自在に支持される。X移動部16は、Yステージ13の上面においてXステージ15をX軸方向に移動させる。
【0048】
X移動部16は、例えば、Yステージ13の上面に配置されるガイドレールであり、X軸に平行なガイドレール、Xステージ15の下面に配置されるスライダであり、ガイドレールに係合するスライダ、及びXステージ15をX軸方向に駆動させるXモータを備える。
【0049】
Xステージ15の上面には、Zθステージ17及び上下ステージ30が配置される。Zθステージ17は、Zθ移動部18を備える。Zθステージ17の上面には、ウェーハチャック20が支持される。
【0050】
Zθ移動部18は、例えば、Zθステージ17を昇降させる昇降機構及び昇降機構を駆動するZモータ、Zθステージ17をZ軸に対して平行となる回転軸の周りに回転させる回転機構、及び回転機構を駆動するθモータを備える。Zθ移動部18は、Zθステージ17の上面に支持されるウェーハチャック20をZ軸方向に移動させ、かつ、ウェーハチャック20をZ軸に対して平行となる方向の回転軸の周りに回転させる。
【0051】
ウェーハチャック20は、Zθステージ17等を用いて、XYZ軸方向に移動自在に支持され、かつ、Z軸に対して平行となる方向の回転軸の周りに回転自在に支持される。上記したZθステージ17等は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及び回転方向について、ウェーハチャック20に支持されるウェーハWとプローブ針35とを相対移動させる相対移動部として機能する。なお、X軸方向は第1方向の一例であり、Y軸方向は第2方向の一例である。Z方向は第3方向の一例であり、θ方向は第4方向の一例である。
【0052】
図2に示す支柱23は、ベース12の上面に具備され、Yステージ13、Xステージ15及びZθステージ17よりも上方の位置において、ヘッドステージ24を支持する。すなわち、ヘッドステージ24は、支柱23を用いてベース12の上面に固定される。
【0053】
ヘッドステージ24の中央部には、カードホルダ25が具備される。カードホルダ25は、プローブカード26の外周を保持する保持穴25aが形成される。プローブカード26は、プローブカード26の保持穴25aへ挿入され、ヘッドステージ24及びカードホルダ25を用いて、ウェーハWに対向する位置に支持される。なお、保持穴25aは図1に図示される。
【0054】
図1に示すプローブカード26は、検査対象の半導体チップ9の電極パッド9aの配置等に応じて配置されるプローブ針35を備える。カードホルダ25及びプローブカード26は、半導体チップ9の種類に応じて交換される。
【0055】
プローブカード26には、プローブ針35と電気的に接続される接続端子が具備される。接続端子はテスタが接続される。テスタは、プローブカード26の接続端子及びプローブ針35を介して、半導体チップ9の電極パッド9aに対して各種の試験信号を送信し、かつ、電極パッド9aから出力される信号を受信する。テスタは、電極パッド9aから出力される信号を解析し、半導体チップ9が正常に動作するか否かをテストする。
【0056】
すなわち、プローブカード26は、ウェーハWに形成される半導体チップ9に対して試験信号を供給するテストヘッドとして機能する。テスタの構成及びテスト方法は公知技術を適用し得る。ここでは、テスタの構成等の詳細な説明は省略する。なお、接続端子及びテスタの図示は省略される。
【0057】
ウェーハ位置合わせカメラ29は、ウェーハチャック20を用いて支持されるウェーハWの半導体チップ9を撮影する。ウェーハ位置合わせカメラ29を用いて撮影される半導体チップ9の撮影画像は、検査対象の半導体チップ9の電極パッド9aの位置の検出に用いられる。ウェーハ位置合わせカメラ29が配置される位置及びウェーハ位置合わせカメラ29の構造等については特に限定されない。
【0058】
上下ステージ30は、針位置合わせカメラ31及びクリーニング板32が具備される。針位置合わせカメラ31及びクリーニング板32は、プローブカード26等と対向する位置に配置される。また、上下ステージ30は、針位置合わせカメラ31及びクリーニング板32をZ軸方向に移動自在に支持する昇降機構が具備される。上下ステージ30は、昇降機構を動作させて、針位置合わせカメラ31及びクリーニング板32のZ軸方向の位置の調整を実施し得る。なお、Z軸方向に移動自在な昇降機構の図示は省略される。
【0059】
針位置合わせカメラ31及びクリーニング板32は、上下ステージ30を介して、Yステージ13及びY移動部14を用いてY軸方向について移動自在に構成され、かつ、Xステージ15及びX移動部16を用いてX軸方向について移動自在に支持される。すなわち、針位置合わせカメラ31、クリーニング板32及びプローブ針35は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向について相対移動が可能に構成される。
【0060】
針位置合わせカメラ31は、プローブ針35を撮影する。針位置合わせカメラ31を用いて撮影されたプローブ針35の撮影画像は、プローブ針35の先端位置の検出に用いられる。具体的には、プローブ針35の先端位置のXY座標は針位置合わせカメラ31の位置座標に基づき検出され、プローブ針35の先端位置のZ座標は針位置合わせカメラ31の焦点位置に基づき検出される。
【0061】
ウェーハWの半導体チップ9の検査が実施される際に、プローブカード26が交換されるごとに、プローブ針35の先端位置の検出が実施される。規定数の半導体チップ9の検査が実施されるごとに、プローブ針35の先端位置の検出が実施されてもよい。
【0062】
プローブ針35の先端位置の検出では、プローブ針35の先端位置の撮影位置へ針位置合わせカメラ31を移動させ、針位置合わせカメラ31を用いて、プローブ針35の先端位置の撮影が実施され、プローブ針35の先端位置の撮影画像に基づき、プローブ針35の先端位置が検出される。
【0063】
また、ウェーハチャック20を用いて支持される検査対象のウェーハWにおける、半導体チップ9の電極パッド9aの位置の検出が実施される。具体的には、ウェーハ位置合わせカメラ29の撮影位置へ、検査対象のウェーハWにおける半導体チップ9の電極パッド9aを移動させ、ウェーハ位置合わせカメラ29を用いて電極パッド9aが撮影され、電極パッド9aの撮影画像に基づき電極パッド9aの位置が検出される。
【0064】
そして、最初の検査対象の半導体チップ9における電極パッド9aに対して、プローブ針35を電気的に接触させ、テスタを用いて、最初の検査対象の半導体チップ9の検査が実施される。
【0065】
以下、検査対象のウェーハWを移動させ、次の検査対象の半導体チップ9の電極パッド9aに対してプローブ針35を電気的に接触させ、検査対象の半導体チップ9の検査が実施される。この手順を繰り返して、検査対象の複数の半導体チップ9についての検査が順に実施される。プローブ針35の先端は、クリーニング板32を用いて、適宜、クリーニング及び研磨等が実施される。
【0066】
なお、半導体チップ9の具体的な検査方法は、例えば、特開2018-117095号公報に記載される検査方法など、公知の検査方法を適用し得る。ここでは、半導体チップ9の検査方法の詳細な説明は省略する。
【0067】
[第1実施形態に係るプローバの電気的構成例]
図4は第1実施形態に係るプローバの電気的構成を示す機能ブロック図である。図4には、主として、ウェーハチャック20の移動制御に関する構成要素が図示され、他の機能に関する構成要素の図示は、適宜、省略される。
【0068】
プローバコンピュータ40は、プローバ10の各部を統括制御する制御装置として機能する。プローバコンピュータ40は、プローバ10の各部の機能に対応する各種のプログラムを実行して、プローバ10の各部の機能を実現する。プローバコンピュータ40は、プローバ10の本体に配置されてもよいし、プローバ10の外部に配置されてもよい。
【0069】
プローバコンピュータ40に適用されるコンピュータの形態は、サーバであってもよいし、パーソナルコンピュータであってもよく、ワークステーションであってもよく、また、タブレット端末などであってもよい。プローバコンピュータ40に適用されるコンピュータの形態は、仮想マシンであってもよい。
【0070】
各種のプログラムは、プローバコンピュータ40に具備される記憶装置に記憶されてもよいし、プローバコンピュータ40の外部であり、プローバ10の内部に具備される記憶装置に記憶されてもよい。プローバコンピュータ40は、プローバ10の外部の記憶装置から各種のプログラムを取得してもよい。
【0071】
プローバコンピュータ40は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成される演算回路を備える。各種のプロセッサの例として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス等が挙げられる。
【0072】
プログラマブル論理デバイスの例として、SPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)等が挙げられる。プローバコンピュータ40の各種機能は、1つのプロセッサを用いて実現されてもよいし、複数のプロセッサを用いて実現されてもよい。複数のプロセッサは、同種の複数のプロセッサであってもよいし、互いに異なる種類の複数のプロセッサであってもよい。
【0073】
プローバコンピュータ40は、各種の通信インターフェースを備える。プローバコンピュータ40は、各種の通信インターフェースを介して、ウェーハ位置合わせカメラ29及び針位置合わせカメラ31等の周辺機器と通信自在に接続される。通信インターフェースは、USBなど、各種の規格を適用し得る。通信インターフェースの通信形態は、有線通信及び無線通信のいずれを適用してもよい。なお、USBはUniversal Serial Busの省略語である。また、USBは登録商標である。
【0074】
プローバコンピュータ40は、針位置取得部44を備える。針位置取得部44は、針位置合わせカメラ31から出力されるプローブ針35の先端位置の撮影画像を取得する。針位置取得部44は、プローブ針35の先端位置の撮影画像から、プローブ針35の先端位置の情報を取得する。情報の取得には、元の情報を処理して所望の情報を生成する概念が含まれ得る。
【0075】
プローバコンピュータ40は、ウェーハ情報取得部46を備える。ウェーハ情報取得部46は、検査対象のウェーハWの種類を特定する際に参照されるウェーハ情報を取得する。ウェーハ情報は、ウェーハWに形成される半導体チップ9の種類の情報が含まれる。
【0076】
プローバコンピュータ40は、表示制御部48を備える。表示制御部48は、プローバ10における各種の情報を表す表示信号を表示器50へ送信する。表示器50は、プローバ10における各種の情報が表示される。表示器50は、液晶ディスプレイ等の各種のディスプレイが適用される。表示器50は、タッチパネル方式のディスプレイが適用され、プローバコンピュータ40に対して各種の情報を入力する際に用いられる入力装置と一体に構成されてもよい。
【0077】
プローバコンピュータ40は、移動制御部52を備える。移動制御部52は、Xドライバ54、Yドライバ56、Zドライバ58及びθドライバ60に対して動作指令を送信する。すなわち、移動制御部52は、Xドライバ54等のモータの駆動装置に対して動作指令を送信する動作指令送信部として機能する。移動制御部52は、動作指令送信工程を実行し、かつ、動作指令送信機能を実現する。
【0078】
Xドライバ54は、移動制御部52から送信されるX移動部16に対する動作指令に基づき、X移動部16に具備されるXモータの動作を制御する。Yドライバ56は、移動制御部52から送信されるY移動部14に対する動作指令に基づき、Y移動部14に具備されるYモータの動作を制御する。Zドライバ58は、移動制御部52から送信されるZθ移動部18に具備される昇降機構に対する動作指令に基づき、Zθ移動部18に具備されるZモータの動作を制御する。
【0079】
θドライバ60は、移動制御部52から送信されるZθ移動部18に具備される回転機構に対する動作指令に基づき、Zθ移動部18に具備されるθモータの動作を制御する。なお、図4では、Xモータ、Yモータ、Zモータ及びθモータの図示が省略される。Xモータ、Yモータ、Zモータ及びθモータは図5に図示される。
【0080】
移動制御部52は、ウェーハ位置合わせカメラ29から送信される検査対象の半導体チップ9の撮影画像から、検査対象の半導体チップ9の位置を取得する。また、移動制御部52は、針位置取得部44からプローブ針35の先端位置の情報を取得する。
【0081】
移動制御部52は、ウェーハWの検査を実施する際に、X移動部16、Y移動部14及びZθ移動部18の動作を制御して、プローブ針35に対してウェーハWを相対移動させ、プローブ針35に対して検査対象の複数の半導体チップ9を順番に接触させる。
【0082】
プローバコンピュータ40は、情報収集部62を備える。情報収集部62は、ウェーハWとプローブ針35とがコンタクトしている状態において、Xドライバ54、Yドライバ56及びZドライバ58のそれぞれから、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向におけるウェーハチャック20の位置偏差を含む位置偏差情報を取得する、また、情報収集部62は、ウェーハWとプローブ針35とがコンタクトしている状態において、θドライバ60からウェーハチャック20の回転角度偏差に関する回転角度偏差情報を取得する。なお、回転角度偏差情報は、位置偏差情報として利用し得る。
【0083】
ここで、ウェーハWとプローブ針35とがコンタクトしている状態は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθ方向の少なくともいずれか一方向について、動作指令に基づきウェーハチャック20を移動させ、ウェーハチャック20が規定の位置に位置決めされ、停止する状態である。ウェーハチャック20が位置決めされ、停止する状態は、ウェーハWの検査対象の半導体チップ9とプローブ針35とが位置決めされた状態であり、例えば、検査対象の半導体チップ9の検査が実施される期間として把握される。情報収集部62は、情報収集工程を実行し、かつ、情報収集機能を実現する。
【0084】
プローバコンピュータ40は、解析部64を備える。解析部64は、情報収集部62を用いて取得されるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向におけるウェーハチャック20の位置偏差情報を解析する。解析部64は、情報収集部62を用いて取得されるθ方向におけるウェーハチャック20の回転角度偏差情報を解析してもよい。
【0085】
例えば、解析部64は、時系列の順に取得される位置偏差を、時系列の順に記憶し得る。解析部64は、時系列の順に取得される方向ごとの位置偏差から、方向ごとの位置偏差履歴を生成してもよい。解析部64は、解析工程を実行し、かつ、解析機能を実現する。
【0086】
プローバコンピュータ40は、診断部66を備える。診断部66は、X軸方向におけるウェーハチャック20の位置偏差情報の解析結果に基づき、ウェーハWとプローブ針35とがコンタクトしている状態においてX移動部16の異常動作が発生しているか否かを判定する。
【0087】
診断部66は、Y軸方向におけるウェーハチャック20の位置偏差情報の解析結果に基づき、ウェーハWとプローブ針35とがコンタクトしている状態においてY移動部14の異常動作が発生しているか否かを判定する。
【0088】
診断部66は、Z軸方向におけるウェーハチャック20の位置偏差情報の解析結果に基づき、ウェーハWとプローブ針35とがコンタクトしている状態においてZθ移動部18の昇降機構の異常動作が発生しているか否かを判定する。
【0089】
診断部66は、θ方向におけるウェーハチャック20の回転角度偏差の解析情報に基づき、ウェーハWとプローブ針35とがコンタクトしている状態においてZθ移動部18の回転機構の異常動作が発生しているか否かを判定する。
【0090】
診断部66は、X移動部16、Y移動部14、Zθ移動部18の昇降機構及びZθ移動部18の回転機構の少なくともいずれかに異常動作が発生していると判定される場合に、判定結果を表す異常判定情報を移動制御部52へ送信する。
【0091】
移動制御部52は、異常判定情報が取得される場合に、Zθ移動部18の昇降機構を駆動してウェーハチャック20を下降させ、ウェーハWとプローブ針35とのコンタクトを解消させ、かつ、ウェーハW及びプローブカード26等の破損が発生しない位置へウェーハWを退避させる。
【0092】
診断部66は、異常判定情報が取得される場合に、表示制御部48に対して異常判定情報を表す情報を送信する。表示制御部48は、表示器50へ異常判定情報を表示させる。異常判定情報の表示態様は、異常判定情報を表す文字情報を適用し得る。なお、実施形態に記載の診断部66は、位置偏差情報の解析結果に基づき、移動機構の異常動作の発生の有無を判定する判定部の一例である。診断部66は、判定工程を実行し、判定機能を実現する。
【0093】
図5図4に示す電気的構成の一部を抽出した機能ブロック図である。図5には、図4に示すX移動部16、Y移動部14及びZθ移動部18のそれぞれに具備されるモータ及び検出器を図示する。
【0094】
図4に示すX移動部16は、図5に示すXモータ16A及びX位置検出器16Bを備える。Y移動部14は、Yモータ14A及びY位置検出器14Bを備える。Zθ移動部18はZモータ18A、Z位置検出器18B、θモータ18C及びθ角度検出器18Dを備える。
【0095】
Xモータ16Aの駆動装置であるXドライバ54は、移動制御部52から送信される動作指令に基づき、Xモータ16Aに対して駆動電流を供給し、Xモータ16Aの動作を制御する。具体的には、Xドライバ54は、動作指令が表すXモータ16Aの回転角度指令に応じてXモータ16Aを動作させ、図1に示すXステージ15の位置決めを実施する。
【0096】
Xモータ16Aは、X位置検出器16Bを備える。X位置検出器16Bは、Xモータ16Aの回転軸に対して取り付けられるエンコーダが適用される。エンコーダが適用されるX位置検出器16Bは、Xモータ16Aの回転速度に応じた周波数を有するパルス信号であり、Xモータ16Aの回転角度に応じたパルス数を有するパルス信号を出力する。エンコーダは、位相が半波長ずらされた2相のアナログ信号を出力してもよい。
【0097】
X位置検出器16Bは、Xステージ15の位置を検出するリニアスケールであってもよい。リニアスケールが適用されるX位置検出器16Bは、Xステージ15の位置を表す信号を出力する。位置を表す信号の例として、2ビット以上のビット数を有するデジタル信号が挙げられる。Xステージ15の位置は、X方向におけるウェーハチャック20の位置として把握される。
【0098】
Xドライバ54は、X位置検出器16Bの出力信号を取得し、X位置検出器16Bの出力信号とX軸方向の動作指令とからX軸方向におけるXステージ15の位置偏差を算出し、X軸方向におけるXステージ15の位置偏差に基づきXモータ16Aの回転角度を制御する。
【0099】
情報収集部62は、ウェーハWとプローブ針35とのコンタクトしている状態において、Xドライバ54から出力されるXステージ15の位置偏差を取得する。Xステージ15の位置偏差は、X方向におけるウェーハチャック20の位置偏差として把握される。
【0100】
解析部64は、情報収集部62を用いて取得されるX軸方向におけるXステージ15の位置偏差を解析する。診断部66は、解析部64の解析結果に基づき、Xステージ15の異常動作の有無を判定する。Xステージ15の異常動作の有無は、X軸方向におけるウェーハチャック20の異常動作の有無として把握される。
【0101】
診断部66は、Xステージ15の異常動作が発生していると判定する場合に、Xステージ15の異常動作の発生を表す信号を移動制御部52へ送信する。移動制御部52は、Xステージ15の異常動作の発生を表す信号を取得すると、図1に示すウェーハチャック20の退避移動を実施する。
【0102】
具体的には、移動制御部52は、ウェーハチャック20の退避移動の動作指令として、Zドライバ58に対してウェーハチャック20を下降させる動作指令を送信する。Zドライバ58は、ウェーハチャック20を下降させ、ウェーハWとプローブ針35とを離間させ、両者のコンタクトを解消させる。
【0103】
診断部66は、Xステージ15の異常動作が発生していると判定する場合に、Xステージ15の異常動作の発生を表示制御部48へ通知する。表示制御部48は、Xステージ15の異常動作の発生を表す情報を表示器50へ表示させる。
【0104】
Yドライバ56、Zドライバ及びθドライバ60のそれぞれは、移動制御部52から送信される動作指令に基づき、Yモータ14A、Zモータ18A及びθモータ18Cのそれぞれの動作を制御する。
【0105】
Yモータ14Aの駆動装置であるYドライバ56及びZモータ18Aの駆動装置であるZドライバのそれぞれは、Y位置検出器14B及びZ位置検出器18Bのそれぞれから、各方向におけるウェーハチャック20の位置を取得し、各方向におけるウェーハチャック20の位置情報に基づき位置偏差を算出し、位置偏差を出力する。ウェーハチャック20の位置は、座標値であってもよいし、位置ベクトルであってもよい。θモータ18Cの駆動装置であるθドライバ60は、θ角度検出器18Dからウェーハチャック20の回転角度を含む角度情報を取得し、角度情報に基づき角度偏差を算出し、角度偏差を出力する。
【0106】
情報収集部62は、各方向におけるウェーハチャック20の位置偏差を含む位置偏差情報を取得する。解析部64は、各方向におけるウェーハチャック20の位置偏差情報を解析する。診断部66は、解析部64の解析結果に基づき、Yステージ13、Zθステージ17の昇降機構及びZθステージ17の回転機構の異常動作の有無を判定する。Yステージ13、Zθステージ17の昇降機構及びZθステージ17の回転機構の異常動作のそれぞれは、Y軸方向、Z軸方向及びθ軸方向のそれぞれのウェーハチャック20の異常動作の有無として把握される。
【0107】
診断部66は、Yステージ13、Zθステージ17の昇降機構及びZθステージ17の回転機構の少なくともいずれかにおいての異常動作が発生している場合に、異常動作の発生を表す信号を移動制御部52へ送信する。移動制御部52は、異常動作の発生を表す信号を取得すると、ウェーハチャック20の退避移動を実施する。移動制御部52は、異常動作の発生を表す信号を取得すると、異常動作の発生を表す情報を表示器50へ表示させる。
【0108】
図5に示すXモータ16A、Yモータ14A、Zモータ18A及びθモータ18Cは、サーボモータが適用される。また、同図に示すXドライバ54、Yドライバ56、Zドライバ58及びθドライバ60は、サーボドライバが適用される。
【0109】
図6図5に示すドライバの電気的構成を示す機能ブロック図である。図4に示すXドライバ54、Yドライバ56、Zドライバ58及びθドライバ60は同様の構成が適用される。ここでは、Xドライバ54等はドライバ100として図示される。また、図6ではXモータ16A、Yモータ14A、Zモータ18A及びθモータ18Cは、モータMoとして図示される。また、モータMoの動作に応じて、図1に示すウェーハチャック20は一方向へ移動する。
【0110】
図6に示すドライバ100は、動作指令取得部102を備える。動作指令取得部102は、図5に示すプローバコンピュータ40の移動制御部52から送信される動作指令を取得する。
【0111】
ドライバ100は、駆動電流指令生成部104を備える。駆動電流指令生成部104は、動作指令に基づきモータMoへ供給される駆動電流の指令信号である駆動電流指令信号を生成する。駆動電流指令信号は、モータMoへ供給される駆動電流の大きさ及び駆動電流の供給タイミングが規定される。
【0112】
ドライバ100は、駆動電流出力部106を備える。駆動電流出力部106は、モータ電源Psから電力が供給され、駆動電流指令信号に基づきモータMoの各相へ供給される駆動電流を出力する。モータMoは駆動電流指令信号に基づき動作する。
【0113】
ドライバ100は、位置情報取得部108を備える。位置情報取得部108は、位置検出器Pdから位置情報を取得する。位置検出器Pdは、モータMoの回転速度及び回転角度を表すエンコーダ信号を取得し、エンコーダ信号に基づきウェーハチャック20の位置を算出し、ウェーハチャック20の位置を表す信号を位置情報として出力してもよい。位置情報取得部108は、位置検出器Pdから出力されるエンコーダ信号を取得し、エンコーダ出力信号に基づきウェーハチャック20の位置を算出してもよい。
【0114】
ドライバ100は、位置偏差算出部110を備える。位置偏差算出部110は、位置情報取得部108を用いて取得したウェーハチャック20の現実の位置を含む位置情報と、動作指令取得部102を用いて取得される動作指令とから、ウェーハチャック20の位置偏差を算出する。駆動電流指令生成部104は、ウェーハチャック20の位置偏差に基づき駆動電流指令信号を生成し、駆動電流指令信号を駆動電流出力部106へ送信する。駆動電流出力部106は、駆動電流指令信号に基づきモータMoを動作させ、ウェーハチャック20の位置決めを実施する。また、位置偏差算出部110は、プローバコンピュータ40の情報収集部62に対して、ウェーハチャック20の位置偏差情報を送信する。
【0115】
ドライバ100は、駆動電流検出部112を備える。駆動電流検出部112は、駆動電流出力部106からモータMoに対して出力される駆動電流を検出する。駆動電流検出部112は、電流センサを用いてモータMoに対して出力される駆動電流を検出してもよいし、電流検出回路等の電気回路を用いてモータMoに対して出力される駆動電流を検出してもよい。
【0116】
ドライバ100は、トルク算出部114を備える。トルク算出部114は、駆動電流検出部112を用いて検出されるモータMoの駆動電流に基づき、モータMoの発生トルクを算出する。モータMoのトルク制御が実施される場合、トルク算出部114を用いて算出されるモータMoの発生トルクは、モータMoへ供給される駆動電流の制御に適用される。
【0117】
[異常動作判定の具体例]
図7は異常状態の一例を示す位置偏差の経時変化を表すグラフである。同図に示す第1グラフG1は、ウェーハWとプローブ針35とのコンタクトしている状態における、ウェーハチャック20のX軸方向の位置偏差の経時変化を表す。第1グラフG1の横軸は時間であり、時間の単位はマイクロ秒である。第1グラフG1の縦軸は位置偏差であり、位置偏差の単位はマイクロメートルである。
【0118】
第1位置偏差波形200は、正常状態のウェーハチャック20の位置偏差の経時変化を表す。正常状態のウェーハチャック20は、規定の位置へ位置決めされたウェーハチャック20の位置偏差が規定の範囲となる状態である。
【0119】
第2位置偏差波形202は、ウェーハチャック20の位置偏差が規定の第1しきい値Th1を超え、かつ、発振している異常状態のウェーハチャック20の位置偏差の経時変化を表す。図7に図示される第1しきい値Th1は、位置偏差の基準値に対して正の位置偏差の側及び負の位置偏差の側に設定される。第1しきい値Th1は、正の位置偏差の側と負の位置偏差とを異ならせてもよい。なお、後述する第2しきい値及び第3しきい値Th3についても同様である。
【0120】
すなわち、図5に示す解析部64は、規定のサンプリング周期を適用して、時系列の順に取得される複数の位置偏差を、時系列の順に記憶する。解析部64は、図7に第1グラフG1として図示される位置偏差の履歴を生成してもよい。診断部66は、解析部64の解析結果に基づき、位置偏差が規定の第1しきい値Th1を超えるか否かを判定する。診断部66は、ウェーハチャック20の位置偏差が第1しきい値Th1を超える場合に、ウェーハチャック20の異常動作が発生していると判定する。
【0121】
解析部64は、複数の位置偏差に対して周波数解析処理を実施してもよい。診断部66は、位置偏差の時系列変化が有する周波数の変動に基づき、ウェーハチャック20等の機械的破損の有無を判定し得る。周波数解析処理は、FFTと称される高速フーリエ変換を適用し得る。なお、FFTはFast Fourier Transformの省略語である。
【0122】
図8は異常状態の他の例を示す位置偏差の経時変化を表すグラフである。同図に示す第2グラフG2は、ウェーハWとプローブ針35とのコンタクトしている状態における、ウェーハチャック20のX軸方向の位置偏差の経時変化を表す。第2グラフG2の横軸は時間であり、時間の単位はマイクロ秒である。第2グラフG2の縦軸は位置偏差であり、位置偏差の単位はマイクロメートルである。図8に示す第1グラフG1と同様に、第1位置偏差波形200は、正常状態のウェーハチャック20の位置偏差の経時変化を表す。
【0123】
図8に示す第2グラフG2における第3位置偏差波形212は、ウェーハチャック20の位置偏差が規定の第1しきい値Th1を超える異常状態のウェーハチャック20の位置偏差の経時変化を表す。第3位置偏差波形212は、ウェーハチャック20の位置偏差が規定の第1しきい値Th1を超える波形要素214を有する。
【0124】
すなわち、規定のサンプリング周期を適用して取得される複数の位置偏差が、1回以上、規定の第1しきい値Th1を超える場合に、ウェーハチャック20の異常動作が発生していると判定される。
【0125】
図7図8に示す異常動作判定は、ウェーハチャック20のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθ方向のいずれに適用してもよい。ウェーハチャック20の各方向におけるしきい値は、異常動作判定に対して要求される精度に応じて、適宜、規定される。
【0126】
[第1変形例]
本実施形態では、ウェーハチャック20における各方向の位置偏差を、各方向のモータMoを制御するドライバ100から取得する態様を例示するが、図5等に示すプローバコンピュータ40が、図6に示すドライバ100に具備される位置情報取得部108及び位置偏差算出部110を備えてもよい。すなわち、プローバコンピュータ40は、ウェーハチャック20における各方向の位置情報を取得し、動作指令と位置情報とを用いて、ウェーハチャック20における各方向の位置偏差を算出し、ウェーハチャック20における各方向の位置偏差を取得してもよい。
【0127】
[第2変形例]
本実施形態では、ウェーハチャック20におけるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθ方向について、異常動作が発生しているか否かを判定したが、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθ方向のいずれかについて、異常動作判定の対象から除外してもよい。例えば、図6に示す位置検出器Pdを具備せずにオープンループ制御が実施される方向は、異常動作判定の対象から除外されてもよい。
【0128】
[第1実施形態の作用効果]
第1実施形態に係るプローバは、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0129】
〔1〕
ウェーハWとプローブ針35とのコンタクトしている状態において、ウェーハチャック20におけるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθ方向について、動作指令における位置と、位置情報における実際の位置と偏差である位置偏差を含む位置偏差情報が取得される。位置偏差情報が解析され、位置偏差情報の解析結果に基づきウェーハチャック20の異常動作の発生の有無が判定される。これにより、ウェーハWとプローブ針35とのコンタクトしている状態において、ウェーハチャック20の異常動作の発生を把握し得る。
【0130】
〔2〕
ウェーハチャック20の位置偏差が規定の第1しきい値Th1を超える場合に、ウェーハチャック20の異常動作が発生していると判定される。
【0131】
これにより、ウェーハチャック20の位置偏差に対するしきい値判定を適用して、ウェーハチャック20の異常動作の発生を把握し得る。
【0132】
〔3〕
ウェーハチャック20の異常動作が発生していると判定される場合は、ウェーハチャック20を下降させ、ウェーハWとプローブ針35とのコンタクトを解消させる。これにより、ウェーハチャック20の異常動作に起因するウェーハW及びプローブカード26等の破損を抑制し得る。
【0133】
〔4〕
ウェーハチャック20の異常動作が発生していると判定されると、ウェーハチャック20の異常動作の発生が報知される。これにより、ウェーハチャック20の異常動作の発生を操作者が認識し、ウェーハW及びローブカード26等の破損への対処を実施し得る。
【0134】
〔5〕
規定のサンプリング周期を適用して、時系列の順に複数の位置偏差が取得される。時系列の順の複数の位置偏差に対して周波数解析が実施される。これにより、時系列の順の複数の位置偏差における周波数の変動に基づき、ウェーハチャック20、ウェーハW及びプローブカード26の機械的異常の発生を操作者が把握し得る。
【0135】
[第2実施形態に係るプローバ]
第2実施形態に係るプローバは、第1実施形態に係るプローバに対して、ウェーハチャック20の動作中における異常動作の検出機能が追加される。すなわち、ウェーハチャック20の動作中には、ウェーハWとプローブ針35とのコンタクト状態と比較して、ウェーハチャック20の位置偏差が大きくなり、ウェーハチャック20の位置偏差に基づくウェーハチャック20の異常動作発生の判定が困難である。また、コンタクト状態において、異常とする位置偏差の値、すなわち、第1しきい値Th1を十分に大きくとれない場合もまた、ウェーハチャック20の位置偏差に基づくウェーハチャック20の異常動作発生の判定が困難である。
【0136】
そこで、第2実施形態に係るプローバでは、ウェーハチャック20の動作中において、各方向のモータの発生トルクの大きさを含むトルク情報を取得し、各方向のモータのトルク情報の解析結果に基づき、ウェーハチャック20の異常動作の発生の有無が判定される。第2実施形態に係るプローバは、図1から図4に示す構成を適用し得る。ここでは、第2実施形態に係るプローバの全体構成についての説明は省略される。
【0137】
図5に示すXドライバ54は、トルク算出部114(図6参照)を用いて算出されるXモータ16Aの発生トルクの大きさを含むトルク情報を、プローバコンピュータ40の情報収集部62へ送信する。
【0138】
情報収集部62は取得したトルク情報を解析部64へ送信する。解析部64はトルク情報を解析する。診断部66は、トルク情報の解析結果に基づき、Xモータ16Aの発生トルクの大きさが規定の第2しきい値を超える場合に、X軸方向についてウェーハチャック20の異常動作が発生していると判定する。X軸方向についてウェーハチャック20の異常動作が発生している場合に、移動制御部52はZドライバ58に対してウェーハチャック20を下降させる動作指令を送信し、ウェーハWとプローブ針35とのコンタクト状態を解消させる。
【0139】
図5に示すYドライバ56、Zドライバ58及びθドライバ60についても、Xドライバ54と同様に、各方向のモータの発生トルクの大きさを含むトルク情報を情報収集部62へ送信する。診断部66は、各方向のトルク情報の解析結果に基づき、各方向におけるウェーハチャック20の異常動作の発生の有無を判定する。
【0140】
各方向のいずれかにおいてウェーハチャック20の異常動作が発生している場合に、移動制御部52は、Zドライバ58に対してウェーハチャック20を下降させる動作指令を送信し、ウェーハWをプローブ針35の遠方へ移動させる。
【0141】
ウェーハチャック20の動作中において、機械的な摩擦等の増加に起因して各方向のモータに対する負荷が増加すると、各方向のモータの発生トルクが増加する。各方向のモータにおける発生トルクが規定の範囲を超える場合は、各方向のモータの異常動作であり、ウェーハチャック20の異常動作の発生として把握される。モータの発生トルクの増加は、モータの駆動電流の増加として把握される。すなわち、図6に示すトルク算出部114を備えていないドライバ100がモータMoの制御に適用される場合であっても、モータMoの駆動電流に基づきウェーハチャック20の異常動作の発生を把握し得る。
【0142】
図9はウェーハチャックの動作中におけるモータの駆動電流の波形を表すグラフである。同図に示す第3グラフG3は、モータMoの駆動電流の経時変化を表す。第3グラフG3の横軸は時間であり、時間の単位はマイクロ秒である。第3グラフG3の縦軸は駆動電流であり、駆動電流の単位はアンペアである。ここで、モータMoに具備される複数の相には、位相がずらされた同一の電流波形を有する駆動電流が流れるので、図9に波形を示すモータMoの駆動電流は、任意の1相に流れる駆動電流としてもよい。なお、ここでいう同一の電流波形は、ドライバ100及びモータMoにおける各相の電気的特性に起因するばらつきが存在していてもよい。
【0143】
第3グラフG3における第1電流波形300は、ウェーハチャック20が正常に動作している場合のモータMoの駆動電流を表す。一方、第2電流波形302はモータMoの駆動電流が規定の第3しきい値Th3を超える期間が存在する。
【0144】
図5に示す情報収集部62は、規定のサンプリング周期を適用して、時系列の順に複数の駆動電流情報を取得する。駆動電流情報は、図6に示す駆動電流検出部112を用いて検出されるモータMoの駆動電流の大きさが含まれる。
【0145】
解析部64は、時系列の順に取得される駆動電流情報を解析する。診断部66は、駆動電流情報の解析結果に基づき、駆動電流の大きさが規定の第3しきい値Th3を超える場合にウェーハチャック20の異常動作が発生していると判定する。
【0146】
移動制御部52は、ウェーハチャック20の異常動作が発生していると判定される場合に、ウェーハチャック20の動作を停止させ、かつ、ウェーハチャック20を下降させて、ウェーハWとプローブ針35とのコンタクト状態を解消させる。
【0147】
[第2実施形態の作用効果]
第2実施形態に係るプローバは、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0148】
〔1〕
ウェーハチャック20の動作中において、ウェーハチャック20の各方向について、モータMoの発生トルクの大きさを含むトルク情報が取得され、トルク情報の解析結果に基づきウェーハチャック20の異常動作が発生しているか否かが判定される。
【0149】
これにより、ウェーハチャック20の動作中におけるウェーハチャック20の異常動作の発生を把握し得る。
【0150】
〔2〕
モータMoの発生トルクが規定のしきい値を超える場合は、ウェーハチャック20の異常動作が発生していると判定される。これにより、モータMoの発生トルクの大きさに対するしきい値判定を適用して、ウェーハチャック20の動作中におけるウェーハチャック20の異常動作の発生が把握される。
【0151】
〔3〕
ウェーハチャック20の動作中において、ウェーハチャック20の各方向のモータMoの駆動電流の大きさを含む駆動電流情報が取得され、駆動電流情報の解析結果に基づきウェーハチャック20の異常動作が発生しているか否かが判定される。
【0152】
これにより、ウェーハチャック20の動作中におけるウェーハチャック20の異常動作の発生を把握し得る。
【0153】
〔4〕
モータMoの駆動電流の大きさが規定のしきい値を超える場合は、ウェーハチャック20の異常動作が発生していると判定される。これにより、モータMoの駆動電流の大きさに対するしきい値判定を適用して、ウェーハチャック20の動作中におけるウェーハチャック20の異常動作の発生が把握される。
【0154】
〔5〕
ウェーハチャック20の動作中における、ウェーハチャック20の異常動作が発生したと判定されると、移動制御部52はウェーハチャック20を下降させるZモータ18Aの制御を実施し、ウェーハWをプローブ針35の遠方へ移動させる。これにより、ウェーハチャック20の異常動作の発生に起因する、ウェーハW及びプローブカード26等の破損を抑制し得る。
【0155】
[プローバの駆動制御装置及び駆動制御方法への適用例]
図4及び図5に示すプローバコンピュータ40は、プローバ10の駆動制御装置として機能する。また、プローバコンピュータ40に適用されるウェーハチャック20の異常動作発生の判定手順は、プローバ10の駆動制御方法として実行される。
【0156】
[プローバの変形例]
上記した第1実施形態及び第2実施形態では、ウェーハWを吸着支持するウェーハチャック20を含む測定ステージを1つ備えるプローバを例示したが、第1実施形態に係る駆動制御及び第2実施形態に係る駆動制御は、複数の測定ステージを備えるプローバにも適用可能である。
【0157】
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。また、実施形態、変形例及び応用例は適宜組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0158】
9…半導体チップ,9a…電極パッド,10…プローバ,12…ベース,13…Yステージ,14…Y移動部,14A…Yモータ,14B…Y位置検出器,15…Xステージ,16…X移動部,16A…Xモータ,16B…X位置検出器,17…Zθステージ,18…Zθ移動部、18A…Zモータ,18B…Z位置検出器,18C…θモータ,18D…θ角度検出器、20…ウェーハチャック,23…支柱,24…ヘッドステージ,25…カードホルダ,25a…保持穴,26…プローブカード,29…ウェーハ位置合わせカメラ,30…上下ステージ,31…針位置合わせカメラ,32…クリーニング板,35…プローブ針,40…プローバコンピュータ,44…針位置取得部,46…ウェーハ情報取得部,48…表示制御部,50…表示器,52…移動制御部,54…Xドライバ,56…Yドライバ,58…Zドライバ,60…θドライバ,62…情報収集部,64…解析部,66…診断部,100…ドライバ,102…動作指令取得部,104…駆動電流指令生成部,106…駆動電流出力部,108…位置情報取得部,110…位置偏差算出部,112…駆動電流検出部,114…トルク算出部,200…第1位置偏差波形,202…第2位置偏差波形,212…第3位置偏差波形,214…波形要素,300…第1電流波形,302…第2電流波形,G1…第1グラフ,G2…第2グラフ,G3…第3グラフ,Mo…モータ,Ps…モータ電源,Pd…位置検出器,Th1…第1しきい値,Th3…第3しきい値,W…ウェーハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9