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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135093
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240927BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H05H1/46 R
H05H1/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045612
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】小岩 幸介
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084CC02
2G084CC03
2G084CC05
2G084CC06
2G084CC08
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC15
2G084CC16
2G084CC17
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD24
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF13
2G084FF15
2G084HH09
2G084HH22
2G084HH32
2G084HH35
5F004BA09
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB28
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA23
5F004DA25
5F004EA28
(57)【要約】
【課題】RF信号のVpp値を制御する技術を提供する。
【解決手段】プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバと、チャンバと複数のガスソースとの間に接続されるガス制御ユニットであって、複数のガスソースは、貴ガスソース及びN2ガスソースを含む、ガス制御ユニットと、チャンバ内に配置される基板支持部と、基板支持部内に配置される下部電極と、基板支持部の上方に配置される上部電極と、RF信号を生成するように構成され、前記下部電極に電気的に接続されるRF生成部と、DC信号を生成するように構成され、前記上部電極に電気的に接続されるDC生成部と、第1の高Vppモードと、第2の高Vppモードと、低Vppモードとを選択的に実行するように構成される制御部とを含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバと複数のガスソースとの間に接続されるガス制御ユニットであって、前記複数のガスソースは、貴ガスソース及びN2ガスソースを含む、ガス制御ユニットと、
前記チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記基板支持部内に配置される下部電極と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極と、
RF信号を生成するように構成され、前記下部電極に電気的に接続されるRF生成部と、
DC信号を生成するように構成され、前記上部電極に電気的に接続されるDC生成部と、
第1の高Vppモードと、第2の高Vppモードと、低Vppモードとを選択的に実行するように構成される制御部と、を含み、
前記第1の高Vppモードは、
(1a)前記下部電極への前記RF信号の供給をオフからオンにすることと、
(1b)前記チャンバ内の圧力を第1の圧力に維持することと、
(1c)前記チャンバ内の圧力を前記第1の圧力から第2の圧力に変更することであって、前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも小さいことと、
(1d)前記チャンバ内の圧力を前記第2の圧力から第3の圧力に変更することであって、前記第3の圧力は、前記第2の圧力より大きくかつ前記第1の圧力より小さいことと、
(1e)前記第3の圧力を維持しながら前記チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含み、
前記第2の高Vppモードは、
(2a)前記下部電極への前記RF信号の供給をオフからオンにすることと、
(2b)前記(2a)の後に、前記上部電極への前記DC信号の供給を、オフからオンにし、さらにオンからオフにすることと、
(2c)前記チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含み、
前記低Vppモードは、
(3a)貴ガス及び少なくとも1つの処理ガスを前記チャンバ内に供給することと、
(3b)前記貴ガス及び前記少なくとも1つの処理ガスからプラズマを着火することと、
(3c)前記チャンバ内への前記貴ガスの供給を停止することと、
(3d)N2ガス及び前記少なくとも1つの処理ガスを前記チャンバ内に供給することと、
(3e)前記N2ガス及び前記少なくとも1つの処理ガスから生成されるプラズマを維持しながら前記チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含む、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記(1b)~前記(1e)、前記(2b)~前記(2c)及び前記(3c)~前記(3e)の間に、前記下部電極への前記RF信号の供給がオンに維持される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記RF信号は連続波である、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの処理ガスは、CF含有ガス及びCHF含有ガスを含む、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの処理ガスは、酸素(O)含有ガスを含まない、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記(3a)において、前記貴ガスの流量は、前記少なくとも1つの処理ガスの流量の10倍より大きく、前記(3d)において、前記N2ガスの流量は、前記少なくとも1つの処理ガスの流量の10倍より大きい、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記(2b)において、前記DC信号は、当該DC信号の供給がオンの間、100V~1500Vに維持される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記第1の圧力は、30mTorr~1000mTorrであり、
前記第2の圧力は、0mTorr~20mTorrであり、
前記第3の圧力は、20mTorr~30mTorrである、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
プラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記基板支持部内に配置される下部電極と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極と、
RF信号を生成するように構成され、前記下部電極に電気的に接続されるRF生成部と、
DC信号を生成するように構成され、前記上部電極に電気的に接続されるDC生成部と、
第1の高Vppモードと第2の高Vppモードとを選択的に実行するように構成される制御部と、を含み、
前記第1の高Vppモードは、
(1a)前記下部電極への前記RF信号の供給をオフからオンにすることと、
(1b)前記チャンバ内の圧力を第1の圧力に維持することと、
(1c)前記チャンバ内の圧力を前記第1の圧力から第2の圧力に変更することであって、前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも小さいことと、
(1d)前記チャンバ内の圧力を前記第2の圧力から第3の圧力に変更することであって、前記第3の圧力は、前記第2の圧力より大きくかつ前記第1の圧力より小さいことと、
(1e)前記第3の圧力を維持しながら前記チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含み、
前記第2の高Vppモードは、
(2a)前記下部電極への前記RF信号の供給をオフからオンにすることと、
(2b)前記(2a)の後に、前記上部電極への前記DC信号の供給を、オフからオンにし、さらにオンからオフにすることと、
(2c)前記チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含む、
プラズマ処理装置。
【請求項10】
前記(1b)~前記(1e)及び前記(2b)~前記(2c)の間に、前記下部電極への前記RF信号の供給がオンに維持される、請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記RF信号は連続波である、請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記(2b)において、前記DC信号は、当該DC信号の供給がオンの間、100V~1500Vに維持される、請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記第1の圧力は、30mTorr~1000mTorrであり、
前記第2の圧力は、0mTorr~20mTorrであり、
前記第3の圧力は、20mTorr~30mTorrである、請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
プラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバと複数のガスソースとの間に接続されるガス制御ユニットであって、前記複数のガスソースは、貴ガスソース及びN2ガスソースを含む、ガス制御ユニットと、
前記チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記基板支持部内に配置される下部電極と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極と、
RF信号を生成するように構成され、前記下部電極に電気的に接続されるRF生成部と、
DC信号を生成するように構成され、前記上部電極に電気的に接続されるDC生成部と、
低Vppモードを実行するように構成される制御部と、を含み、
前記低Vppモードは、
(a)貴ガス及び少なくとも1つの処理ガスを前記チャンバ内に供給することと、
(b)前記貴ガス及び前記少なくとも1つの処理ガスからプラズマを着火することと、
(c)前記チャンバ内への前記貴ガスの供給を停止することと、
(d)N2ガス及び前記少なくとも1つの処理ガスを前記チャンバ内に供給することと、
(e)前記N2ガス及び前記少なくとも1つの処理ガスから生成されるプラズマを維持しながら前記チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含む、
プラズマ処理装置。
【請求項15】
前記(c)~前記(e)の間に、前記下部電極への前記RF信号の供給がオンに維持される、請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
前記RF信号は連続波である、請求項15に記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの処理ガスは、CF含有ガス及びCHF含有ガスを含む、請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの処理ガスは、酸素(O)含有ガスを含まない、請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項19】
前記(a)において、前記貴ガスの流量は、前記少なくとも1つの処理ガスの流量の10倍より大きく、前記(d)において、前記N2ガスの流量は、前記少なくとも1つの処理ガスの流量の10倍より大きい、請求項17に記載のプラズマ処理装置。
【請求項20】
前記貴ガスはArガスである、請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラズマの着火期間において、基板支持器の電極に高周波電力を供給するとともに、各々が負電圧である複数のバイアスパルスを順に印加することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/168642号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、RF信号のVpp値を制御する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置であって、チャンバと、チャンバと複数のガスソースとの間に接続されるガス制御ユニットであって、複数のガスソースは、貴ガスソース及びN2ガスソースを含む、ガス制御ユニットと、チャンバ内に配置される基板支持部と、基板支持部内に配置される下部電極と、基板支持部の上方に配置される上部電極と、RF信号を生成するように構成され、下部電極に電気的に接続されるRF生成部と、DC信号を生成するように構成され、上部電極に電気的に接続されるDC生成部と、第1の高Vppモードと、第2の高Vppモードと、低Vppモードとを選択的に実行するように構成される制御部と、を含み、第1の高Vppモードは、(1a)下部電極へのRF信号の供給をオフからオンにすることと、(1b)チャンバ内の圧力を第1の圧力に維持することと、(1c)チャンバ内の圧力を第1の圧力から第2の圧力に変更することであって、第2の圧力は第1の圧力よりも小さいことと、(1d)チャンバ内の圧力を第2の圧力から第3の圧力に変更することであって、第3の圧力は、第2の圧力より大きくかつ第1の圧力より小さいことと、(1e)第3の圧力を維持しながらチャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含み、第2の高Vppモードは、(2a)下部電極へのRF信号の供給をオフからオンにすることと、(2b)(2a)の後に、上部電極へのDC信号の供給を、オフからオンにし、さらにオンからオフにすることと、(2c)チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含み、低Vppモードは、(3a)貴ガス及び少なくとも1つの処理ガスをチャンバ内に供給することと、(3b)貴ガス及び少なくとも1つの処理ガスからプラズマを着火することと、(3c)チャンバ内への貴ガスの供給を停止することと、(3d)N2ガス及び少なくとも1つの処理ガスをチャンバ内に供給することと、(3e)N2ガス及び少なくとも1つの処理ガスから生成されるプラズマを維持しながらチャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含むプラズマ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、RF信号のVpp値を制御する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。
図2】容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
図3】容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
図4】方法MTを示すフローチャートである。
図5】第1の高Vppモードが実行される場合のタイミングチャートの一例である。
図6】第2の高Vppモードが実行される場合のタイミングチャートの一例である。
図7】低Vppモードが実行される場合のタイミングチャートの一例である。
図8】実験1の結果を示す図である。
図9】実験2の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置であって、チャンバと、チャンバと複数のガスソースとの間に接続されるガス制御ユニットであって、複数のガスソースは、貴ガスソース及びN2ガスソースを含む、ガス制御ユニットと、チャンバ内に配置される基板支持部と、基板支持部内に配置される下部電極と、基板支持部の上方に配置される上部電極と、RF信号を生成するように構成され、下部電極に電気的に接続されるRF生成部と、DC信号を生成するように構成され、上部電極に電気的に接続されるDC生成部と、第1の高Vppモードと、第2の高Vppモードと、低Vppモードとを選択的に実行するように構成される制御部と、を含み、第1の高Vppモードは、(1a)下部電極へのRF信号の供給をオフからオンにすることと、(1b)チャンバ内の圧力を第1の圧力に維持することと、(1c)チャンバ内の圧力を第1の圧力から第2の圧力に変更することであって、第2の圧力は第1の圧力よりも小さいことと、(1d)チャンバ内の圧力を第2の圧力から第3の圧力に変更することであって、第3の圧力は、第2の圧力より大きくかつ第1の圧力より小さいことと、(1e)第3の圧力を維持しながらチャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含み、第2の高Vppモードは、(2a)下部電極へのRF信号の供給をオフからオンにすることと、(2b)(2a)の後に、上部電極へのDC信号の供給を、オフからオンにし、さらにオンからオフにすることと、(2c)チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含み、低Vppモードは、(3a)貴ガス及び少なくとも1つの処理ガスをチャンバ内に供給することと、(3b)貴ガス及び少なくとも1つの処理ガスからプラズマを着火することと、(3c)チャンバ内への貴ガスの供給を停止することと、(3d)N2ガス及び少なくとも1つの処理ガスをチャンバ内に供給することと、(3e)N2ガス及び少なくとも1つの処理ガスから生成されるプラズマを維持しながらチャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含むプラズマ処理装置が提供される。
【0010】
一つの例示的実施形態において、(1b)~(1e)、(2b)~(2c)及び(3c)~(3e)の間に、下部電極へのRF信号の供給がオンに維持される。
【0011】
一つの例示的実施形態において、RF信号は連続波である。
【0012】
一つの例示的実施形態において、少なくとも1つの処理ガスは、CF含有ガス及びCHF含有ガスを含む。
【0013】
一つの例示的実施形態において、少なくとも1つの処理ガスは、酸素(O)含有ガスを含まない。
【0014】
一つの例示的実施形態において、(3a)において、貴ガスの流量は、少なくとも1つの処理ガスの流量の10倍より大きく、(3d)において、N2ガスの流量は、少なくとも1つの処理ガスの流量の10倍より大きい。
【0015】
一つの例示的実施形態において、(2b)において、DC信号は、DC信号の供給がオンの間、100V~1500Vに維持される。
【0016】
一つの例示的実施形態において、第1の圧力は、30mTorr~1000mTorrであり、第2の圧力は、0mTorr~20mTorrであり、第3の圧力は、20mTorr~30mTorrである。
【0017】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置であって、チャンバと、チャンバ内に配置される基板支持部と、基板支持部内に配置される下部電極と、基板支持部の上方に配置される上部電極と、RF信号を生成するように構成され、下部電極に電気的に接続されるRF生成部と、DC信号を生成するように構成され、上部電極に電気的に接続されるDC生成部と、第1の高Vppモードと第2の高Vppモードとを選択的に実行するように構成される制御部と、を含み、第1の高Vppモードは、(1a)下部電極へのRF信号の供給をオフからオンにすることと、(1b)チャンバ内の圧力を第1の圧力に維持することと、(1c)チャンバ内の圧力を第1の圧力から第2の圧力に変更することであって、第2の圧力は第1の圧力よりも小さいことと、(1d)チャンバ内の圧力を第2の圧力から第3の圧力に変更することであって、第3の圧力は、第2の圧力より大きくかつ第1の圧力より小さいことと、(1e)第3の圧力を維持しながらチャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含み、第2の高Vppモードは、(2a)下部電極へのRF信号の供給をオフからオンにすることと、(2b)(2a)の後に、上部電極へのDC信号の供給を、オフからオンにし、さらにオンからオフにすることと、(2c)チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含むプラズマ処理装置が提供される。
【0018】
一つの例示的実施形態において、(1b)~(1e)及び(2b)~(2c)の間に、下部電極へのRF信号の供給がオンに維持される。
【0019】
一つの例示的実施形態において、RF信号は連続波である。
【0020】
一つの例示的実施形態において、(2b)において、DC信号は、DC信号の供給がオンの間、100V~1500Vに維持される。
【0021】
一つの例示的実施形態において、第1の圧力は、30mTorr~1000mTorrであり、第2の圧力は、0mTorr~20mTorrであり、第3の圧力は、20mTorr~30mTorrである。
【0022】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置であって、チャンバと、チャンバと複数のガスソースとの間に接続されるガス制御ユニットであって、複数のガスソースは、貴ガスソース及びN2ガスソースを含む、ガス制御ユニットと、チャンバ内に配置される基板支持部と、基板支持部内に配置される下部電極と、基板支持部の上方に配置される上部電極と、RF信号を生成するように構成され、下部電極に電気的に接続されるRF生成部と、DC信号を生成するように構成され、上部電極に電気的に接続されるDC生成部と、低Vppモードを実行するように構成される制御部と、を含み、低Vppモードは、(a)貴ガス及び少なくとも1つの処理ガスをチャンバ内に供給することと、(b)貴ガス及び少なくとも1つの処理ガスからプラズマを着火することと、(c)チャンバ内への貴ガスの供給を停止することと、(d)N2ガス及び少なくとも1つの処理ガスをチャンバ内に供給することと、(e)N2ガス及び少なくとも1つの処理ガスから生成されるプラズマを維持しながらチャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含むプラズマ処理装置が提供される。
【0023】
一つの例示的実施形態において、(c)~(e)の間に、下部電極へのRF信号の供給がオンに維持される。
【0024】
一つの例示的実施形態において、RF信号は連続波である。
【0025】
一つの例示的実施形態において、少なくとも1つの処理ガスは、CF含有ガス及びCHF含有ガスを含む。
【0026】
一つの例示的実施形態において、少なくとも1つの処理ガスは、酸素(O)含有ガスを含まない。
【0027】
一つの例示的実施形態において、(a)において、貴ガスの流量は、少なくとも1つの処理ガスの流量の10倍より大きく、(d)において、N2ガスの流量は、少なくとも1つの処理ガスの流量の10倍より大きい。
【0028】
一つの例示的実施形態において、貴ガスはArガスである。
【0029】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
【0030】
<プラズマ処理システムの一例>
図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0031】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、 100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0032】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0033】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0034】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0035】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0036】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0037】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0038】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0039】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0040】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0041】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0042】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0043】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0044】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0045】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a、32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0046】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0047】
図3は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理装置1は、図3に示すように構成されてよい。この例では、電源30は、下部電極に電気的に接続されるRF電源31と、上部電極に電気的に接続されるDC電源32とを含んで構成される。RF電源31の第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路33aを介して下部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。RF電源31の第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路33bを介して下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。またDC電源32の第2のDC生成部32bは、上部電極に接続され、DC信号を生成するように構成される。なお、図3に示す構成において、DC電源32は、上述した第1のDC生成部31a(図2参照)を含んでも含まなくてもよい。
【0048】
<Vppの制御>
従来、ソースRF信号のVpp値(インピーダンス整合回路から出力されるソースRF信号の最大電圧と最小電圧の差であり、以下単に「Vpp」ともいう。)は、プロセス条件に固有の値であって、ソースRF信号のパワーとチャンバ内の圧力に応じて決まるので、意図的にコントロールすることはできないと考えられていた。そのため、プラズマ処理のノブ(調整手段)としてVppを用いることはされていなかった。またVppが高すぎると基板に絶縁破壊が生じるおそれがあり、このような場合は、ソースRF信号のパワーを下げてVppを低くせざるを得ず、スループットの低下につながっていた。
【0049】
この点、本発明者らは、プラズマの着火条件を工夫することで、同じプロセス条件下でも(すなわちソースRF信号のパワーやチャンバ内の圧力をかえずに)、Vppをコントロールし得ることを見出した。ある着火条件によれば、続くプラズマ処理におけるVppが高くなり得る(以下、このような着火条件を「高Vppモード」ともいう)。また別のある着火条件によれば、続くプラズマ処理におけるVppが低くなり得る(以下、このような着火条件を「低Vppモード」ともいう)。すなわち、本発明者らは、プロセス条件を変化させなくともプラズマ処理におけるVppを変化させ得るプラズマの着火条件を見出した。
【0050】
一実施形態において、高Vppモードは、プラズマ着火時のチャンバ内の圧力を制御することを含む(以下、このモードを「第1の高Vppモード」ともいう)。一実施形態において、第1の高Vppモードは、下部電極へのRF信号の供給をオフからオンにすること、チャンバ内の圧力を第1の圧力に維持すること、チャンバ内の圧力を第1の圧力から第2の圧力に変更すること、チャンバ内の圧力を前記第2の圧力から第3の圧力に変更すること、及び、第3の圧力を維持しながらチャンバ内でプラズマ処理を行うことを含む。ここで、第2の圧力は第3の圧力よりも小さく、第3の圧力は第1の圧力よりも小さい。すなわち、第2の圧力<第3の圧力<第1の圧力の関係が成り立つ。
【0051】
一実施形態において、高Vppモードは、プラズマ着火時に、上部電極にDC信号を供給することを含む(以下、このモードを「第2の高Vppモード」ともいう)。一実施形態において、第2の高Vppモードは、下部電極へのソースRF信号の供給をオフからオンにすること、その後、上部電極へのDC信号の供給をオフからオンにし、さらにオンからオフにすること、及び、チャンバ内でプラズマ処理を行うことを含む。一実施形態において、高Vppモードは、第1の高Vppモード及び第2の高Vppモードの双方を実行することを含む。すなわち、高Vppモードは、プラズマ着火時において、チャンバ内の圧力を上述のように制御するとともに、上述のように上部電極にDC信号を供給することを含む。
【0052】
一実施形態において、低Vppモードは、プラズマ着火時に処理ガスと貴ガスとを用い、プラズマ処理時に処理ガスとN2ガスとを用いることを含む。一実施形態において、低Vppモードは、貴ガス及び少なくとも1つの処理ガスをチャンバ内に供給すること、貴ガス及び少なくとも1つの処理ガスからプラズマを着火すること、チャンバ内への貴ガスの供給を停止すること、N2ガス及び少なくとも1つの処理ガスをチャンバ内に供給すること、及び、N2ガス及び少なくとも1つの処理ガスから生成されるプラズマを維持しながらチャンバ内でプラズマ処理を行うことを含む。
【0053】
以下、第1の高Vppモード、第2の高Vppモード及び低Vppモードを選択的に実行してプラズマ処理を行う方法の一例について、図4図7を用いて説明する。
【0054】
<プラズマ処理方法の一例>
図4は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法(以下「方法MT」ともいう。)の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、方法MTは、チャンバに基板を提供する工程ST1と、チャンバ内でプラズマを着火する工程ST2と、チャンバ内でプラズマ処理を行う工程ST3とを含む。各工程における処理は、図2図3に示すプラズマ処理装置1で実行されてよい。以下では、制御部2が図3に示すプラズマ処理装置1の各部を制御して、方法MTを実行する場合を例に説明する。
【0055】
工程ST1において、基板Wがプラズマ処理チャンバ10(以下「チャンバ10」ともいう。)に提供される。一実施形態において、基板Wは、搬送アームによりチャンバ10内に搬入され、リフターにより基板支持部11に載置され、図3に示すように基板支持部11上に吸着保持される。
【0056】
工程ST2において、チャンバ10内でプラズマが着火される。一実施形態において、高Vppモード及び低Vppモードのいずれかが制御部2により選択的に実行される。一実施形態において、高Vppモードを実行することは、プラズマ着火時に第1の高Vppモード及び第2の高Vppモードのいずれかを実行することを含む。一実施形態において、高Vppモードを実行することは、プラズマ着火時に第1の高Vppモード及び第2の高Vppモードの双方を実行することを含む。一実施形態において、第1の高Vppモード及び第2の高Vppモードの双方が制御部2により実行されてよい。
【0057】
工程ST3において、チャンバ10内で生成されたプラズマを用いて、基板Wに対してプラズマ処理がされる。プラズマ処理は、一例では、基板Wのエッチング処理を含む。
【0058】
図5は、第1の高Vppモードが実行される場合のタイミングチャートの一例である。上述したとおり、第1の高Vppモードは、プラズマ着火時のチャンバ内の圧力を制御することを含む。
【0059】
(ガスの供給)
一実施形態において、工程ST2の時間t0において、N2ガス及び処理ガスがガス供給部20からシャワーヘッド13を介してチャンバ10内に供給される(供給がオフからオンになる)。N2ガス及び処理ガスは、工程ST2(プラズマ着火期間)及び工程ST3(プラズマ処理期間)において継続して供給されてよい。
【0060】
一実施形態において、処理ガスは、基板Wのプラズマ処理のために必要な活性種を生成するガスを含む。このようなガスに特に限定はないが、一例では、処理ガスは、CF含有ガス及びCHF含有ガスを含む。一例では、処理ガスは、酸素含有ガス(O2ガス、COガス、CO2ガス等)を含まない。
【0061】
図5に示す例では、工程ST2及び工程ST3において、貴ガスは供給されない(供給がオフのままである)。しかし、一実施形態において、工程ST2及び/又は工程ST3において、貴ガスが供給されてもよい。
【0062】
(ソースRF信号/バイアス信号/DC信号の供給)
一実施形態において、工程ST2の時間t0において、第1のRF生成部31aで生成されたソースRF信号が、インピーダンス整合回路33aを介して、下部電極に供給される(供給がオフからオンになる)。ソースRF信号は、工程ST2及び工程ST3において継続して供給されてよい。一実施形態において、ソースRF信号は、工程ST2及び工程ST3において一定のパワーPW1で維持されてよい。一実施形態において、ソースRF信号は連続波であってよく、またパルス波であってもよい。なお、一実施形態において、ソースRF信号の供給をオフからオンにするタイミングは、N2ガス及び処理ガスの供給をオフからオンにするタイミングと前後してよい。
【0063】
一実施形態において、工程ST2及び/又は工程ST3において、第2のRF生成部31bで生成されたバイアスRF信号が下部電極に供給されてもよい。バイアス信号は、連続波又はパルス波でよい。ソースRF信号及びバイアス信号の双方がパルス波である場合、双方のパルス波の周期は同期してよく、また同期しなくてもよい。
【0064】
図5に示す例では、工程ST2及び工程ST3において、DC信号は上部電極に供給されない(供給がオフのままである)。しかし、一実施形態において、工程ST2及び/又は工程ST3において、DC信号が上部電極に供給されてもよい。
【0065】
(チャンバ内の圧力)
一実施形態において、工程ST2の時間t0において、排気システム40の圧力調整弁により、チャンバ10内の圧力は初期圧力P0に減圧される。一例では、初期圧力P0は、0mTorr~20mTorrである。次に時間t1において、チャンバ10内の圧力が第1の圧力P1に昇圧される。一例では、第1の圧力P1は、30mTorr~1000mTorrである。一実施形態において、チャンバ10内の昇圧により、プラズマが着火(窒素ガス及び処理ガスからプラズマが生成)される。チャンバ内の圧力は第1の圧力P1に所与の期間維持される。時間t2において、チャンバ10内の圧力が第2の圧力P2まで減圧される。そして時間t3において、チャンバ10内の圧力が第3の圧力P3まで昇圧される。
【0066】
第2の圧力は、第1の圧力P1及び第3の圧力P3よりも低い圧力である。一例では、第2の圧力は、0mTorr~20mTorrである。第2の圧力は、初期圧力P1と同一であっても異なっていてもよい。
【0067】
第3の圧力は、第1の圧力P1よりも低く、かつ、第2の圧力よりも高い圧力である。一実施形態において、第3の圧力は、工程ST3のプラズマ処理を最適化し得るプロセス圧力であってよい。一例では、第3の圧力は、20mTorr~30mTorrである。
【0068】
(Vpp)
以上の処理により、図5に示すように、工程ST3におけるソースRF信号のVpp値(VppH1)は、後述する低VppモードにおけるVpp値(VppL)よりも高くなる。
【0069】
図6は、第2の高Vppモードが実行される場合のタイミングチャートの一例である。上述したとおり、第2の高Vppモードは、プラズマ着火時に、上部電極にDC信号を供給することを含む。
【0070】
(ガスの供給)
一実施形態において、工程ST2の時間t0において、N2ガス及び処理ガスがガス供給部20からシャワーヘッド13を介してチャンバ10内に供給される(供給がオフからオンになる)。N2ガス及び処理ガスは、工程ST2及び工程ST3において継続して供給されてよい。
【0071】
一実施形態において、処理ガスは、基板Wのプラズマ処理のために必要な活性種を生成するガスを含む。このようなガスに特に限定はないが、一例では、処理ガスは、CF含有ガス及びCHF含有ガスを含む。一例では、処理ガスは、酸素含有ガス(O2ガス、COガス、CO2ガス等)を含まない。
【0072】
図6に示す例では、工程ST2及び工程ST3において、貴ガスは供給されない(供給がオフのままである)。しかし、一実施形態において、工程ST2及び/又は工程ST3において、貴ガスが供給されてもよい。
【0073】
(ソースRF信号/バイアス信号/DC信号の供給)
一実施形態において、工程ST2の時間t0において、第1のRF生成部31aで生成されたソースRF信号が、インピーダンス整合回路33aを介して、下部電極に供給される(供給がオフからオンになる)。ソースRF信号は、工程ST2及び工程ST3において継続して供給されてよい。一実施形態において、ソースRF信号は、工程ST2及び工程ST3において上述したパワーPW1で維持されてよい。一実施形態において、ソースRF信号は連続波であってよく、またパルス波であってもよい。なお、一実施形態において、ソースRF信号の供給をオフからオンにするタイミングは、N2ガス及び処理ガスの供給をオフからオンにするタイミングと前後してよい。
【0074】
一実施形態において、工程ST2及び/又は工程ST3において、第2のRF生成部31bで生成されたバイアスRF信号が下部電極に供給されてもよい。バイアス信号は、連続波又はパルス波でよい。ソースRF信号及びバイアス信号の双方がパルス波である場合、双方のパルス波の周期は同期してよく、また同期しなくてもよい。
【0075】
一実施形態において、工程ST2において、プラズマ着火後(時間t4後)に、第2のDC生成部で生成されたDC信号が、上部電極に所与の期間供給される。図6に示すとおり、時間t5においてDC信号が上部電極に供給され(供給がオフからオンになり)、所与の期間を経過した時間t6において、DC信号の供給が停止される(供給がオンからオフになる)。一実施形態において、上部電極に供給されるDC信号の電圧は、100V~1500Vでよい。
【0076】
(チャンバ内の圧力)
一実施形態において、工程ST2の時間t0において、排気システム40の圧力調整弁により、チャンバ10内の圧力は初期圧力P0に減圧される。一例では、初期圧力P0は、0mTorr~20mTorrである。次に時間t4において、チャンバ10内の圧力が第1の圧力P1に昇圧される。一例では、第1の圧力P1は、30mTorr~1000mTorrである。一実施形態において、チャンバ10内の昇圧により、プラズマが着火(窒素ガス及び処理ガスからプラズマが生成)される。チャンバ内の圧力は第1の圧力P1に所与の期間維持される。そして時間t6において、チャンバ10内の圧力が第3の圧力P3まで減圧される。
【0077】
第3の圧力は、第1の圧力P1よりも低い圧力である。一実施形態において、第3の圧力は、工程ST3のプラズマ処理を最適化するためのプロセス圧力であってよい。一例では、第3の圧力は、20mTorr~30mTorrである。一実施形態において、第3の圧力は、初期圧力P0よりも高くてよい。
【0078】
(Vpp)
以上の処理により、図6に示すように、工程ST3におけるソースRF信号のVpp値(VppH2)は、後述する低VppモードにおけるVpp値(VppL)よりも高くなる。
【0079】
図7は、低Vppモードが実行される場合のタイミングチャートの一例である。上述したとおり、低Vppモードは、プラズマ着火時に処理ガスとともに貴ガスを用い、プラズマ処理時に処理ガスとともにN2ガスを用いることを含む。
【0080】
(ガスの供給)
一実施形態において、工程ST2の時間t0において、貴ガス及び処理ガスがガス供給部20からシャワーヘッド13を介してチャンバ10内に供給される(供給がオフからオンになる)。貴ガスの供給は、プラズマの着火(時間t7)から所与の時間経過した時間t8において停止される(供給がオンからオフになる)。処理ガスは、工程ST2及び工程ST3において継続して供給されてよい。
【0081】
一実施形態において、処理ガスは、基板Wのプラズマ処理のために必要な活性種を生成するガスを含む。このようなガスに特に限定はないが、一例では、処理ガスは、CF含有ガス及びCHF含有ガスを含む。一例では、処理ガスは、酸素含有ガス(O2ガス、COガス、CO2ガス等)を含まない。一実施形態において、貴ガスは、Arガス、Heガス及びKrガス等である。一例では、貴ガスはArガスである。一実施形態において、貴ガスの流量は、処理ガスの流量の10倍より大きくてよい。
【0082】
一実施形態において、貴ガスの供給が停止されるタイミング(時間t8)において、N2ガスが供給される(供給がオフからオンになる)。一実施形態において、N2ガスの流量は、処理ガスの流量の10倍より大きくてよい。
【0083】
(ソースRF信号/バイアス信号/DC信号の供給)
一実施形態において、工程ST2の時間t0において、第1のRF生成部31aで生成されたソースRF信号が、インピーダンス整合回路33aを介して、下部電極に供給される(供給がオフからオンになる)。ソースRF信号は、工程ST2及び工程ST3において継続して供給されてよい。一実施形態において、ソースRF信号は、工程ST2及び工程ST3において上述したパワーPW1で維持されてよい。一実施形態において、ソースRF信号は連続波であってよく、またパルス波であってもよい。なお、一実施形態において、ソースRF信号の供給をオフからオンにするタイミングは、N2ガス及び処理ガスの供給をオフからオンにするタイミングと前後してよい。
【0084】
一実施形態において、工程ST2及び/又は工程ST3において、第2のRF生成部31bで生成されたバイアスRF信号が下部電極に供給されてもよい。バイアス信号は、連続波又はパルス波でよい。ソースRF信号及びバイアス信号の双方がパルス波である場合、双方のパルス波の周期は同期してよく、また同期しなくてもよい。
【0085】
図7に示す例では、工程ST2及び工程ST3において、DC信号は上部電極に供給されない(供給がオフのままである)。
【0086】
(チャンバ内の圧力)
一実施形態において、工程ST2の時間t0において、排気システム40の圧力調整弁により、チャンバ10内の圧力は初期圧力P0に減圧される。一例では、初期圧力P0は、0mTorr~20mTorrである。次に時間t7において、チャンバ10内の圧力が第1の圧力P1に昇圧される。一例では、第1の圧力P1は、30mTorr~1000mTorrである。一実施形態において、チャンバ10内の昇圧により、プラズマが着火(貴ガス及び処理ガスからプラズマが生成)される。チャンバ内の圧力は第1の圧力P1に所与の期間維持される。そして時間t8において、チャンバ10内の圧力が第3の圧力P3まで減圧される。
【0087】
第3の圧力は、第1の圧力P1よりも低い圧力である。一実施形態において、第3の圧力は、工程ST3のプラズマ処理を最適化するためのプロセス圧力であってよい。一例では、第3の圧力は、20mTorr~30mTorrである。一実施形態において、第3の圧力は、初期圧力P0よりも高くてよい。
【0088】
(Vpp)
以上の処理により、図7に示すように、工程ST3におけるソースRF信号のVpp値(VppL)は、上述した第1及び第2の高VppモードにおけるVpp値(VppH1、VppH2)よりも低くなる。
【0089】
方法MTによれば、工程ST2のプラズマ着火処理において、第1の高Vppモード、第2の高Vppモード及び低Vppモードのいずれか1つが選択的に実行される。これにより、工程ST3のプラズマ処理において、同じプロセス条件(例えばソースRF信号のパワーが同じPW1であり、チャンバ10内の圧力が同じP3)を維持しつつ、ソースRF信号のVpp値を変更することができる。
【0090】
<実験>
次に、実験1及び実験2について説明する。実験1及び実験2は、Vppの変更がプラズマ処理に与える影響を検証するために行った実験である。本開示は、以下の実験1及び実験2によって何ら限定されるものではない。
【0091】
(実験1)
実験1では、図3に示すプラズマ処理装置1を用いて、図4で説明したフローチャートに沿って基板Wに対してプラズマ処理を行った。基板Wとしては、3種類の基板を準備した。下地膜上に酸化ケイ素膜が形成された第1の基板W1と、下地膜上に窒化ケイ素膜が形成された第2の基板W2と、下地膜上にフォトレジスト膜が形成された第3の基板W3を準備した。そして、基板W1について、高Vppモードによるエッチング及び低Vppモードによるエッチングを同一のプロセス条件でそれぞれ実行し、その結果を比較した。同様に、基板W2及び基板W3についてもそれぞれ高Vppモードによるエッチング及び低Vppモードによるエッチングを同一のプロセス条件でそれぞれ実行し、その結果を比較した。
【0092】
図8は、実験1の結果を示す図である。図8において、「ER」は、各基板W1~W3のそれぞれのエッチングレートを示す。「Ox/PR」は、酸化ケイ素膜(Ox)に対するフォトレジスト膜(PR)の選択比である。「Ox/PR」は、基板W1及び基板W3のエッチングレートから算出した値である。「SiN/PR」は、窒化ケイ素膜(SiN)に対するフォトレジスト膜(PR)の選択比である。「SiN/PR」は、基板W2及び基板W3のエッチングレートから算出した値である。
【0093】
図8に示すように、基板W1~基板W3いずれにおいても、高Vppモードと低Vppモードとでエッチングレートが異なっていた。また「Ox/PR」及び「SiN/PR」はいずれも、高Vppモードと低Vppモードとで異なっていた。すなわち、高Vppモードと低Vppモードとを選択することで、同一プロセス条件下において選択比を調整し得ることが確認された。
【0094】
(実験2)
実験2では、図3に示すプラズマ処理装置1を用いて、図4で説明したフローチャートに沿って、基板Wに対してプラズマ処理を行った。基板Wとしては、下地膜、酸化ケイ素膜、ホールパターンを有する有機膜マスクがこの順で形成されたものを準備した。そして、有機膜マスクを介した酸化ケイ素膜のエッチングを高Vppモード及び低Vppモードにより同一のプロセス条件でそれぞれ実行し、その結果を比較した。
【0095】
図9は、実験2の結果を示す図である。図9において「選択比」は、酸化ケイ素膜に対する有機膜マスクの選択比である。「Bow CD」は酸化ケイ素膜にエッチングにより形成される凹部の最大開口寸法である。「Btm CD」は、当該凹部の底部の開口寸法である。図9に示すとおり、高Vppモードでは、低Vppモードに比べて選択比が低かった。また高Vppモードでは、低Vppモードに比べて「Bow CD」が大きく、かつ「Btm CD」が小さかった。すなわち高Vppモードではエッチングにより形成される凹部の形状が先細りになる傾向が認められた。他方、低Vppモードではエッチングにより形成される凹部の形状がより矩形に近づく(垂直性が高まる)傾向が見られた。すなわち、高Vppモードと低Vppモードとを選択することで、同一プロセス条件下においてエッチングの選択比や凹部の形状を調整し得ることが確認された。
【0096】
本開示の実施形態は、以下の態様をさらに含む。
【0097】
(付記1)
プラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバと複数のガスソースとの間に接続されるガス制御ユニットであって、前記複数のガスソースは、貴ガスソース及びN2ガスソースを含む、ガス制御ユニットと、
前記チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記基板支持部内に配置される下部電極と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極と、
RF信号を生成するように構成され、前記下部電極に電気的に接続されるRF生成部と、
DC信号を生成するように構成され、前記上部電極に電気的に接続されるDC生成部と、
第1の高Vppモードと、第2の高Vppモードと、低Vppモードとを選択的に実行するように構成される制御部と、を含み、
前記第1の高Vppモードは、
(1a)前記下部電極への前記RF信号の供給をオフからオンにすることと、
(1b)前記チャンバ内の圧力を第1の圧力に維持することと、
(1c)前記チャンバ内の圧力を前記第1の圧力から第2の圧力に変更することであって、前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも小さいことと、
(1d)前記チャンバ内の圧力を前記第2の圧力から第3の圧力に変更することであって、前記第3の圧力は、前記第2の圧力より大きくかつ前記第1の圧力より小さいことと、
(1e)前記第3の圧力を維持しながら前記チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含み、
前記第2の高Vppモードは、
(2a)前記下部電極への前記RF信号の供給をオフからオンにすることと、
(2b)前記(2a)の後に、前記上部電極への前記DC信号の供給を、オフからオンにし、さらにオンからオフにすることと、
(2c)前記チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含み、
前記低Vppモードは、
(3a)貴ガス及び少なくとも1つの処理ガスを前記チャンバ内に供給することと、
(3b)前記貴ガス及び前記少なくとも1つの処理ガスからプラズマを着火することと、
(3c)前記チャンバ内への前記貴ガスの供給を停止することと、
(3d)N2ガス及び前記少なくとも1つの処理ガスを前記チャンバ内に供給することと、
(3e)前記N2ガス及び前記少なくとも1つの処理ガスから生成されるプラズマを維持しながら前記チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含む、
プラズマ処理装置。
【0098】
(付記2)
前記(1b)~前記(1e)、前記(2b)~前記(2c)及び前記(3c)~前記(3e)の間に、前記下部電極への前記RF信号の供給がオンに維持される、付記1に記載のプラズマ処理装置。
【0099】
(付記3)
前記RF信号は連続波である、付記1又は付記2に記載のプラズマ処理装置。
【0100】
(付記4)
前記少なくとも1つの処理ガスは、CF含有ガス及びCHF含有ガスを含む、付記1から付記3のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0101】
(付記5)
前記少なくとも1つの処理ガスは、酸素(O)含有ガスを含まない、付記1から付記4のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0102】
(付記6)
前記(3a)において、前記貴ガスの流量は、前記少なくとも1つの処理ガスの流量の10倍より大きく、前記(3d)において、前記N2ガスの流量は、前記少なくとも1つの処理ガスの流量の10倍より大きい、付記1から付記5のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0103】
(付記7)
前記(2b)において、前記DC信号は、当該DC信号の供給がオンの間、100V~1500Vに維持される、付記1から付記6のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0104】
(付記8)
前記第1の圧力は、30mTorr~1000mTorrであり、
前記第2の圧力は、0mTorr~20mTorrであり、
前記第3の圧力は、20mTorr~30mTorrである、付記1から付記7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0105】
(付記9)
プラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記基板支持部内に配置される下部電極と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極と、
RF信号を生成するように構成され、前記下部電極に電気的に接続されるRF生成部と、
DC信号を生成するように構成され、前記上部電極に電気的に接続されるDC生成部と、
第1の高Vppモードと第2の高Vppモードとを選択的に実行するように構成される制御部と、を含み、
前記第1の高Vppモードは、
(1a)前記下部電極への前記RF信号の供給をオフからオンにすることと、
(1b)前記チャンバ内の圧力を第1の圧力に維持することと、
(1c)前記チャンバ内の圧力を前記第1の圧力から第2の圧力に変更することであって、前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも小さいことと、
(1d)前記チャンバ内の圧力を前記第2の圧力から第3の圧力に変更することであって、前記第3の圧力は、前記第2の圧力より大きくかつ前記第1の圧力より小さいことと、
(1e)前記第3の圧力を維持しながら前記チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含み、
前記第2の高Vppモードは、
(2a)前記下部電極への前記RF信号の供給をオフからオンにすることと、
(2b)前記(2a)の後に、前記上部電極への前記DC信号の供給を、オフからオンにし、さらにオンからオフにすることと、
(2c)前記チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含む、
プラズマ処理装置。
【0106】
(付記10)
前記(1b)~前記(1e)及び前記(2b)~前記(2c)の間に、前記下部電極への前記RF信号の供給がオンに維持される、付記9に記載のプラズマ処理装置。
【0107】
(付記11)
前記RF信号は連続波である、付記9又は付記10に記載のプラズマ処理装置。
【0108】
(付記12)
前記(2b)において、前記DC信号は、当該DC信号の供給がオンの間、100V~1500Vに維持される、付記9から付記11のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0109】
(付記13)
前記第1の圧力は、30mTorr~1000mTorrであり、
前記第2の圧力は、0mTorr~20mTorrであり、
前記第3の圧力は、20mTorr~30mTorrである、付記9から付記12のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0110】
(付記14)
プラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバと複数のガスソースとの間に接続されるガス制御ユニットであって、前記複数のガスソースは、貴ガスソース及びN2ガスソースを含む、ガス制御ユニットと、
前記チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記基板支持部内に配置される下部電極と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極と、
RF信号を生成するように構成され、前記下部電極に電気的に接続されるRF生成部と、
DC信号を生成するように構成され、前記上部電極に電気的に接続されるDC生成部と、
低Vppモードを実行するように構成される制御部と、を含み、
前記低Vppモードは、
(a)貴ガス及び少なくとも1つの処理ガスを前記チャンバ内に供給することと、
(b)前記貴ガス及び前記少なくとも1つの処理ガスからプラズマを着火することと、
(c)前記チャンバ内への前記貴ガスの供給を停止することと、
(d)N2ガス及び前記少なくとも1つの処理ガスを前記チャンバ内に供給することと、
(e)前記N2ガス及び前記少なくとも1つの処理ガスから生成されるプラズマを維持しながら前記チャンバ内でプラズマ処理を行うことと、を含む、
プラズマ処理装置。
【0111】
(付記15)
前記(c)~前記(e)の間に、前記下部電極への前記RF信号の供給がオンに維持される、付記14に記載のプラズマ処理装置。
【0112】
(付記16)
前記RF信号は連続波である、付記14又は付記15に記載のプラズマ処理装置。
【0113】
(付記17)
前記少なくとも1つの処理ガスは、CF含有ガス及びCHF含有ガスを含む、付記14から付記16のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0114】
(付記18)
前記少なくとも1つの処理ガスは、酸素(O)含有ガスを含まない、付記14から付記17のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0115】
(付記19)
前記(a)において、前記貴ガスの流量は、前記少なくとも1つの処理ガスの流量の10倍より大きく、前記(d)において、前記N2ガスの流量は、前記少なくとも1つの処理ガスの流量の10倍より大きい、付記14から付記18のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0116】
(付記20)
前記貴ガスはArガスである、付記14から付記19のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0117】
以上の各実施形態は、説明の目的で記載されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。以上の各実施形態は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。例えば、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態に追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態の対応する構成要素と置換することができる。
【符号の説明】
【0118】
1……プラズマ処理装置、2……制御部、10……プラズマ処理チャンバ、10s……プラズマ処理空間、11……基板支持部、13……シャワーヘッド、20……ガス供給部、31a……第1のRF生成部、31b……第2のRF生成部、32a……第1のDC生成部、32b……第2のDC生成部、W……基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9