(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135306
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置、半導体装置を作製する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240927BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L23/12 501C
H01L21/88 T
H01L21/90 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045929
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】比恵島 将平
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033HH11
5F033JJ01
5F033JJ11
5F033KK08
5F033PP27
5F033PP28
5F033PP33
5F033QQ08
5F033QQ47
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR21
5F033RR22
5F033SS22
5F033TT04
5F033VV07
5F033XX19
(57)【要約】
【課題】反りを低減可能なCSP構造を有する半導体装置11、及び半導体装置を製造する方法100を提供する。
【解決手段】半導体装置11は、支持体ベース13の第1主面13bの上に設けられた薄膜金属電極15、薄膜金属電極15の縁を覆う薄膜樹脂層21、薄膜金属電極15上に位置すると共に銅を備える厚膜金属体17、厚膜金属体17の側面を覆う厚膜樹脂体19、並びに第1主面13b上に設けられた第1膜23及び第2主面13c上に設けられた第2膜25の少なくとも一方を含む構造体24を備え、厚膜金属体17、薄膜金属電極15、及び支持体ベース13は、第1軸Ax1の方向に配置され、厚膜金属体17の上面17c及び厚膜樹脂体19の上面19cは、第1軸Ax1に交差する基準面REFに沿って延在し、第1膜23の熱膨張係数は、厚膜樹脂体19の熱膨張係数と支持体ベース13の半導体の熱膨張係数との間にある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び前記第1主面の反対側の第2主面と有すると共に半導体を備える支持体ベースと、
前記支持体ベースの前記第1主面の上に設けられた少なくとも1つの薄膜金属電極と、
前記薄膜金属電極の上に第1開口を有すると共に前記薄膜金属電極の縁を覆う薄膜樹脂層と、
前記薄膜金属電極及び前記薄膜樹脂層の上に位置すると共に銅を備える金属膜を含む少なくとも1つの厚膜金属体と、
前記厚膜金属体の側面を覆うと共に前記支持体ベースの前記第1主面の上に設けられた厚膜樹脂体と、
前記支持体ベースの前記第1主面の少なくとも一部分の上に設けられた第1膜及び前記支持体ベースの前記第2主面の少なくとも一部分の上に設けられた第2膜の少なくとも一方を含む構造体であって、前記第1膜は前記薄膜樹脂層と前記厚膜樹脂体との間に設けられ、前記支持体ベースは前記第2膜と前記厚膜樹脂体との間に設けられる、構造体と、
を備え、
前記厚膜金属体、前記薄膜金属電極、及び前記支持体ベースは、第1軸の方向に配置され、
前記厚膜金属体の上面及び前記厚膜樹脂体の上面は、前記第1軸に交差する基準面に沿って延在し、
前記厚膜金属体の厚さは、前記薄膜金属電極の厚さより大きく、
前記厚膜樹脂体の厚さは、前記薄膜樹脂層の厚さより大きく、
前記第1膜の熱膨張係数は、前記厚膜樹脂体の熱膨張係数と前記半導体の熱膨張係数との間にあり、
前記第2膜の熱膨張係数は、前記厚膜樹脂体の熱膨張係数より小さい、
半導体装置。
【請求項2】
前記薄膜金属電極は、1又は複数のパッド電極を含み、
前記厚膜金属体は、前記パッド電極に接続された1又は複数の金属柱を含み、
前記支持体ベースの前記第1主面は、前記金属柱を搭載する第1エリア、及び前記厚膜樹脂体を搭載する第2エリアを含み、
前記第1エリアの面積は、前記第2エリアの面積より大きい、
請求項1に記載された半導体装置。
【請求項3】
前記厚膜金属体は、前記薄膜樹脂層の前記第1開口において前記薄膜金属電極の上面の全てを覆い、
前記薄膜金属電極の前記上面の面積は、前記薄膜樹脂層の上面の面積より大きい、
請求項1に記載された半導体装置。
【請求項4】
前記薄膜樹脂層は、前記薄膜樹脂層の前記第1開口の総面積が前記薄膜樹脂層の上面の総面積より大きい、単一の連結領域である、
請求項1に記載された半導体装置。
【請求項5】
前記第1膜は、シリコン及び窒素を含む無機絶縁体を含む、
請求項1に記載された半導体装置。
【請求項6】
前記第2膜は、シリコン及び窒素を含む無機絶縁体を含む、
請求項1に記載された半導体装置。
【請求項7】
第1主面及び前記第1主面の反対側の第2主面と、前記第1主面において半導体素子を含む複数の区画の配列とを有すると共に、半導体を含むベース基板を準備することと、
前記ベース基板の前記区画の各々において前記第1主面の上に薄膜金属電極を形成することと、
前記ベース基板の前記区画の各々において前記第1主面の上に薄膜樹脂層を形成することであって、前記薄膜樹脂層は前記薄膜金属電極の上に第1開口を有すると共に前記薄膜金属電極の縁を覆う、薄膜樹脂層を形成することと、
第1膜及び第2膜の少なくとも一方を含む構造体を形成することであって、前記第1膜は、前記ベース基板の前記第1主面の前記薄膜樹脂層の上に形成され、前記第2膜は前記ベース基板の前記第2主面の上に形成される、構造体を形成することと、
銅を備える金属膜を含む金属厚膜を前記ベース基板の前記区画の各々において前記第1主面の上に形成することであって、前記金属厚膜は、前記薄膜金属電極の上に位置すると共に前記薄膜樹脂層の前記第1開口を介して前記薄膜金属電極に接続される、金属厚膜を形成することと、
前記ベース基板の前記区画の各々の前記第1主面の上に樹脂厚膜を形成することであって、前記樹脂厚膜は前記金属厚膜の上面及び側面を覆う、樹脂厚膜を形成することと、
構造体を形成した後に、前記樹脂厚膜及び前記金属厚膜を研削して、前記樹脂厚膜及び前記金属厚膜からそれぞれ厚膜樹脂体及び厚膜金属体を形成することと、
を備え、
前記厚膜金属体、前記薄膜金属電極、及び前記ベース基板は、第1軸の方向に配置され、
前記厚膜金属体の上面及び前記厚膜樹脂体の上面は、前記第1軸に交差する基準面に沿って延在し、
前記厚膜金属体の厚さは、前記薄膜金属電極の厚さより大きく、
前記厚膜樹脂体の厚さは、前記薄膜樹脂層の厚さより大きく、
前記第1膜の熱膨張係数は、前記厚膜樹脂体の熱膨張係数と前記半導体の熱膨張係数との間であり、
前記第2膜の熱膨張係数は、前記厚膜樹脂体の熱膨張係数より小さい、
半導体装置を作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、半導体装置を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ウエハを分割することによって得られる半導体装置の曲げを最小限に抑えることを開示する。この製造方法は、第一貼着工程、薄化工程、分割工程、第二貼着工程、剥離工程とを含む。第一貼着工程では、第一主面に集積回路が形成されたウエハの第一主面に支持板を貼着する。薄化工程では、第一貼着工程後に、ウエハの第二主面の研磨又は研削を行うことによってウエハを薄化する。分割工程では、薄化工程と同時に又は薄化工程後に、ウエハを複数のチップ本体部に分割する。第二貼着工程では、分割工程後に、複数の補強層を複数のチップ本体部10の第二主面にそれぞれ貼着する。剥離工程では、第二貼着工程後に支持板を剥離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CSP構造(チップサイズパッケージ、又はチップスケールパッケージ)のための半導体装置の製造方法では、製造プロセス中におけるウエハの反りは、様々なプロセスにおいて障害になり得る。
【0005】
これまでのCSP構造では、大型の半導体チップの反り低減に着目されてきた。しかしながら、反りは、半導体チップのサイズだけでなく、半導体チップ内のCSP構造に係る電極の大きさに関連付けられる。
【0006】
本発明は、反りを低減可能なCSP構造を有する半導体装置、及び半導体装置を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る半導体装置は、第1主面及び前記第1主面の反対側の第2主面と有すると共に半導体を備える支持体ベースと、前記支持体ベースの前記第1主面の上に設けられた少なくとも1つの薄膜金属電極と、前記薄膜金属電極の上に第1開口を有すると共に前記薄膜金属電極の縁を覆う薄膜樹脂層と、前記薄膜金属電極及び前記薄膜樹脂層の上に位置すると共に銅を備える金属膜を含む少なくとも1つの厚膜金属体と、前記厚膜金属体の側面を覆うと共に前記支持体ベースの前記第1主面の上に設けられた厚膜樹脂体と、前記支持体ベースの前記第1主面の少なくとも一部分の上に設けられた第1膜及び前記支持体ベースの前記第2主面の少なくとも一部分の上に設けられた第2膜の少なくとも一方を含む構造体であって、前記第1膜は前記薄膜樹脂層と前記厚膜樹脂体との間に設けられ、前記支持体ベースは前記第2膜と前記厚膜樹脂体との間に設けられる、構造体と、を備え、前記厚膜金属体、前記薄膜金属電極、及び前記支持体ベースは、第1軸の方向に配置され、前記厚膜金属体の上面及び前記厚膜樹脂体の上面は、前記第1軸に交差する基準面に沿って延在し、前記厚膜金属体の厚さは、前記薄膜金属電極の厚さより大きく、前記厚膜樹脂体の厚さは、前記薄膜樹脂層の厚さより大きく、前記第1膜の熱膨張係数は、前記厚膜樹脂体の熱膨張係数と前記半導体の熱膨張係数との間であり、前記第2膜の熱膨張係数は、前記厚膜樹脂体の熱膨張係数より小さい。
【0008】
本発明の第2態様に係る半導体装置を作製する方法は、第1主面及び前記第1主面の反対側の第2主面と、前記第1主面において半導体素子を含む複数の区画の配列とを有すると共に、半導体を含むベース基板を準備することと、前記ベース基板の前記区画の各々において前記第1主面の上に薄膜金属電極を形成することと、前記ベース基板の前記区画の各々において前記第1主面の上に薄膜樹脂層を形成することであって、前記薄膜樹脂層は前記薄膜金属電極の上に第1開口を有すると共に前記薄膜金属電極の縁を覆う、薄膜樹脂層を形成することと、第1膜及び第2膜の少なくとも一方を含む構造体を形成することであって、前記第1膜は、前記ベース基板の前記第1主面の前記薄膜樹脂層の上に形成され、前記第2膜は前記ベース基板の前記第2主面の上に形成される、構造体を形成することと、銅を備える金属膜を含む金属厚膜を前記ベース基板の前記区画の各々において前記第1主面の上に形成することであって、前記金属厚膜は、前記薄膜金属電極の上に位置すると共に前記薄膜樹脂層の前記第1開口を介して前記薄膜金属電極に接続される、金属厚膜を形成することと、前記ベース基板の前記区画の各々の前記第1主面の上に樹脂厚膜を形成することであって、前記樹脂厚膜は前記金属厚膜の上面及び側面を覆う、樹脂厚膜を形成することと、構造体を形成した後に、前記樹脂厚膜及び前記金属厚膜を研削して、前記樹脂厚膜及び前記金属厚膜からそれぞれ厚膜樹脂体及び厚膜金属体を形成することと、を備え、前記厚膜金属体、前記薄膜金属電極、及び前記ベース基板は、第1軸の方向に配置され、前記厚膜金属体の上面及び前記厚膜樹脂体の上面は、前記第1軸に交差する基準面に沿って延在し、前記厚膜金属体の厚さは、前記薄膜金属電極の厚さより大きく、前記厚膜樹脂体の厚さは、前記薄膜樹脂層の厚さより大きく、前記第1膜の熱膨張係数は、前記厚膜樹脂体の熱膨張係数と前記半導体の熱膨張係数との間であり、前記第2膜の熱膨張係数は、前記厚膜樹脂体の熱膨張係数より小さい。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、反りを低減可能なCSP構造を有する半導体装置、及び半導体装置を製造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る半導体装置を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたII-II線に沿って取られた断面において、本実施形態に係る半導体装置を示す図面である。
【
図3】
図3は、
図1に示されたIII-III線に沿って取られた断面において、本実施形態に係る半導体装置を示す図面である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る半導体装置を製造する方法におけるあるステップを示す断面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る半導体装置を製造する方法におけるあるステップを示す断面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る半導体装置を製造する方法におけるあるステップを示す断面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る半導体装置を製造する方法におけるあるステップを示す断面図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る半導体装置を製造する方法におけるあるステップを示す断面図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る半導体装置を製造する方法におけるあるステップを示す断面図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る半導体装置を製造する方法におけるあるステップを示す断面図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る半導体装置を製造する方法におけるあるステップを示す断面図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る半導体装置を製造する方法における主要なステップを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための各実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る半導体装置を概略的に示す平面図である。
図2は、
図1に示されたII-II線に沿って取られた断面において、本実施形態に係る半導体装置を示す図面である。
図3は、
図1に示されたIII-III線に沿って取られた断面において、本実施形態に係る半導体装置を示す図面である。
図2及び
図3の断面におけるハッチングは省略されている。
【0013】
図1、
図2及び
図3を参照すると、半導体装置11は、CSP構造を有する。具体的には、半導体装置11は、半導体(例えばシリコンといったVI族半導体)を備える支持体ベース13、少なくとも1つの薄膜金属電極15、少なくとも1つの厚膜金属体17、厚膜樹脂体19、薄膜樹脂層21、並びに第1膜23及び第2膜25の少なくとも一方を含む構造体24を含む。
【0014】
半導体装置11は、支持体ベース13内に設けられた1又は複数の半導体素子31(例えば、トランジスタといった能動素子)を有することができる。また、半導体装置11は、薄膜金属電極15と半導体素子31との間に設けられた絶縁構造33を含むことができる。半導体素子31の少なくとも1つは、絶縁構造33の開口を介して少なくとも1つの厚膜金属体17に電気的に接続されることができる。絶縁構造33は、例えば1又は複数の絶縁膜を含み、この絶縁膜は、シリコン系無機絶縁膜または樹脂膜を含むことができる。
【0015】
支持体ベース13は、第1主面13b、及び第1主面13bの反対側の第2主面13c有する。第1主面13bは、素子エリア13d及び周辺エリア13eを有する。素子エリア13dは、半導体素子31を含み、また厚膜樹脂体19、薄膜金属電極15及び厚膜金属体17を搭載する。周辺エリア13eは、厚膜樹脂体19を搭載する。薄膜金属電極15及び厚膜金属体17は、周辺エリア13eから離れている。周辺エリア13eは素子エリア13dを囲む。本実施例では、周辺エリア13eと素子エリア13dとの例示的な境界が、薄膜樹脂層21の外縁に置かれている。しかしながら、境界の位置は、この例示に限定されない。
【0016】
薄膜金属電極15は、支持体ベース13の第1主面13bの上に設けられ、具体的には、少なくとも1つの半導体素子31に電気的に接続されることができる。薄膜金属電極15は、例えばアルミニウムを含むことができる。
【0017】
厚膜金属体17は、薄膜金属電極15及び薄膜樹脂層21の上に位置する。厚膜金属体17は、銅を備える金属膜を含むことができる。厚膜金属体17は、例えば銅メッキ膜及びメッキのためのシード層を含むことができる。
【0018】
厚膜樹脂体19は、支持体ベース13の第1主面13bの上に設けられ、また厚膜金属体17の側面17bを覆う。厚膜樹脂体19は、エポキシ樹脂を含むことができる。
【0019】
薄膜樹脂層21は、1又は複数の第1開口22b、22cを有し、第1開口(22b、22c)の各々は、薄膜金属電極15の上に位置する。一実施例では、薄膜金属電極15の縁16bを覆うことができ、薄膜樹脂層21は、厚膜金属体17が素子エリア13dの薄膜金属電極15の下地構造に到達することを妨げる。薄膜樹脂層21は、ポリイミド樹脂を含むことができる。
【0020】
支持体ベース13、薄膜金属電極15、及び厚膜金属体17は、第1軸Ax1の方向に配置される。厚膜金属体17の上面17c及び厚膜樹脂体19の上面17cは、第1軸Ax1に交差する基準面REFに沿って延在することができ、厚膜金属体17の上面17cと厚膜樹脂体19の上面19cとの間のレベル差は実質的にない。
【0021】
構造体24の第1膜23は、支持体ベース13の第1主面13bの少なくとも一部分の上に設けられることができ、また構造体24の第2膜25は、支持体ベース13の第2主面13cの少なくとも一部分の上に設けられることができる。第1膜23は、第1膜23の第2開口23bの総面積が第1膜23の上面の総面積より大きい単一の連結領域である。本実施例では、第1膜23は、周辺エリア13eと素子エリア13dとの境界を越えて外側に延び、支持体ベース13の第1主面13bの縁に到達することができる。また、第2膜25は、第2主面13cにおいて素子エリア13dと周辺エリア13eとの境界を越えて外側に延び、支持体ベース13の第2主面13cの縁に到達することができる。
【0022】
構造体24は、第1膜23及び第2膜25の一方、又は両方を含むことができる。例示的な構造体24では、第1膜23は、厚膜樹脂体19と薄膜樹脂層21との間に設けられることができ、また支持体ベース13は、厚膜樹脂体19と第2膜25との間に設けられることができる。
【0023】
第1膜23は、素子エリア13dにおいて、支持体ベース13及び薄膜樹脂層21から厚膜樹脂体19を離す。第2膜25は、支持体ベース13の第2主面13cに沿って延在する。本実施例では、第2膜25は、第2主面13cの全体にわたって設けられており、しかしながら、本実施形態は、この配置に限定されず、第2主面13cの主要な部分に設けられることができる。
【0024】
厚膜金属体17の厚さD17は、薄膜金属電極15の厚さD15より大きく、厚膜樹脂体19の厚さD19は、薄膜樹脂層21の厚さD21より大きい。
【0025】
本実施例では、第1膜23は、厚膜樹脂体19の熱膨張係数と支持体ベース13の半導体の熱膨張係数との間の熱膨張係数を有することができる。第2膜25は、厚膜樹脂体19の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有することができる。
【0026】
半導体装置11によれば、厚膜金属体17の厚さD17が薄膜金属電極15の厚さD15より大きく、厚膜樹脂体19の厚さD19が薄膜樹脂層21の厚さD21より大きい。この半導体装置11は、厚膜金属体17の上面17c及び厚膜樹脂体19の上面19cが基準面REFに沿って延在して、チップサイズパッケージのための構造(例えば、CSP構造)を提供できる。この構造において、第1膜23及び第2膜25の少なくとも一方を含む構造体24は、厚膜金属体17及び厚膜樹脂体19からの応力による支持体ベース13の反りを低減できる。
【0027】
また、第1膜23の熱膨張係数が、厚膜樹脂体19の熱膨張係数と支持体ベース13の半導体の熱膨張係数との間であって、これにより、厚膜金属体17及び厚膜樹脂体19から支持体ベース13への引っ張り応力を低減できる。
【0028】
さらに、第2膜25に厚膜樹脂体19の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を提供すると、第2膜25の熱膨張係数を、厚膜樹脂体19の熱膨張係数を基準にして支持体ベース13の熱膨張係数に近くできる。これ故に、第2膜25は、支持体ベース13の反りを低減するように作用する。
【0029】
第1膜23は、シリコン及び窒素を含む無機絶縁体、例えばSiNを含むことができる。また、第2膜25は、シリコン及び窒素を含む無機絶縁体、例えばSiNを含むことができる。
【0030】
これらの膜(23、25)は、樹脂体を含む下地構造の上に、その成膜温度が下地構造の耐熱温度を超えないように形成されることができる。構造体24は、下地構造の耐熱温度を超えない成膜温度で堆積可能なシリコン系無機酸化膜、及び/又はシリコン系無機酸窒化膜を含むことができる。
【0031】
構造体24では、具体的には、第1膜23は、第2開口23bを有し、第2開口23bは、薄膜樹脂層21の第1開口22b、22c及び薄膜金属電極15の上に位置する。厚膜金属体17は、第1膜23の第2開口23bを介して薄膜金属電極15に接続され、本実施例では、厚膜金属体17は、薄膜金属電極15及び薄膜樹脂層21の上に位置する。第1膜23は、支持体ベース13と厚膜樹脂体19との間において、第1膜23の第2開口23bの縁から支持体ベース13の縁13hに向けて延在する。
【0032】
この半導体装置11によれば、第1膜23は、第1膜23の第2開口23bの縁から支持体ベース13の縁13hに向けて支持体ベース13に沿って延在して、厚膜金属体17の底部をその周囲において囲むように設けられる。第1膜23は、支持体ベース13と厚膜樹脂体19との間において支持体ベース13のコプラナリティを維持するように作用する。
【0033】
本実施例では、第2膜25は、第2主面13cの縁又は縁の近傍、例えば縁から離れた位置から第2主面13cに沿って第2主面13cの中心に向けて延在することができる。
【0034】
この半導体装置11によれば、第2膜25は、支持体ベース13の第2主面13cに沿って延在して、支持体ベース13のコプラナリティを維持するように作用する。
【0035】
図1を参照すると、4つの厚膜金属体17が設けられると共に、これらの間に厚膜樹脂体19が設けられて、CSP構造が提供される。例示的な半導体装置11では、厚膜金属体17の各々は、単一の第1開口22b及び単一の第2開口23bを介して、下に横たわる薄膜金属電極15に接続される。例示的な半導体装置11では、厚膜金属体17によって支持体ベース13に加えられる潜在的な応力は、厚膜金属体17の上面17cの面積だけでなく、厚膜金属体17の体積に関連付けられる。厚膜金属体17が支持体ベース13において占める割合(以下、「充填率」と称する)は、例えばウエハプロセスにおけるウエハ生産物において、又は半導体チップにおいて規定されることができる。
【0036】
ある見積もりによれば、これまでの半導体チップは、20パーセントから30パーセントの充填率を有する。より高い充填率は、ウエハプロセス中におけるウエハ生産物、及び完成されたウエハ生産物からの半導体チップにおいて見積もられることができる。
【0037】
図1、
図2及び
図3を参照すると、薄膜金属電極15は、1又は複数のパッド電極を含むことができる。厚膜金属体17は、薄膜金属電極15のパッド電極に接続された1又は複数の金属柱を含むことができる。支持体ベース13の第1主面13bは、第1エリア13f及び第2エリア13gを含み、第1エリア13fは、厚膜金属体17の金属柱を搭載すると共に、第2エリア13gは、厚膜樹脂体を搭載する。本実施例では、第1エリア13fの面積は、第2エリア13gの面積より大きい。
【0038】
この半導体装置11によれば、第1エリア13fの面積が第2エリア13gの面積より大きいので、半導体装置11は、支持体ベース13が第1エリア13fにおいて厚膜金属体17からの応力を受ける構造を有する。厚膜樹脂体19は、支持体ベース13の第2エリア13gにおいて厚膜金属体17の側面17bを覆うように設けられる。この構造では、支持体ベース13は、第2エリア13gにおいて厚膜樹脂体19からの応力を受ける。
【0039】
また、
図3に示されるように、第2主面13cは、第3エリア13i及び第4エリア13jを有する。第3エリア13i及び第4エリア13jは、それぞれ、第1主面13bの第1エリア13f及び第2エリア13gに対応して第2主面13cに対応して関連付けられるように規定される。
【0040】
第2膜25は、少なくとも第3エリア13iの上に設けられることができて、厚膜金属体17に対抗して支持体ベース13を支える。第2膜25は、第3エリア13iと第4エリア13jとの境界を越えて外側に(第4エリア13jの上に)延在することができて、厚膜金属体17及び厚膜樹脂体19に対抗して支持体ベース13を支える。第2膜25は、支持体ベース13の縁13hからは離れていることができる。
【0041】
図1では描かれていないが、
図2及び
図3を参照すると、厚膜金属体17の直下には、薄膜金属電極15が位置する。薄膜金属電極15の上には、薄膜樹脂層21の第1開口22b、22cが位置する。厚膜金属体17は、薄膜樹脂層21の第1開口22b、22cにおいて薄膜金属電極15の上面の全てを覆うと共に、薄膜樹脂層21の縁を越えて薄膜樹脂層21の上面に延在する。
【0042】
薄膜金属電極15の上面の面積(サイズW15)は、薄膜樹脂層21の上面の面積(サイズW21)より大きい。
【0043】
この半導体装置11によれば、厚膜金属体17は、支持体ベース13の第1主面13bの上に設けられた薄膜金属電極15に、薄膜樹脂層21の第1開口22b、22cを介して接合を成す。薄膜樹脂層21は、薄膜金属電極15と厚膜金属体17との接合を避けるように支持体ベース13の第1主面13bの上に設けられて、支持体ベース13の第1主面13bの上に平坦化された表面を提供する。平坦化された表面が第1膜23の下地に与えられて、厚膜樹脂体19及び/又は厚膜金属体17の下地における屈曲や段差による熱応力の潜在的な増加を回避する。
【0044】
図1、
図2及び
図3を参照すると、厚膜金属体17は、薄膜樹脂層21の第1開口22b、22cにおいて薄膜金属電極15の上面の全てを覆う。また、薄膜樹脂層21は、薄膜樹脂層21の第1開口22b、22cの総面積が薄膜樹脂層21の上面の総面積より大きい単一の連結領域である。
【0045】
この半導体装置11によれば、薄膜樹脂層21は、厚膜金属体17と薄膜金属電極15との接合を避けるように支持体ベース13の第1主面13bの上に設けられて、薄膜樹脂層21の第1開口22b、22cの総面積が薄膜樹脂層21の上面の総面積より大きくなる。薄膜樹脂層21を単一の連結領域として形成すると、薄膜樹脂層21を支持体ベース13のより多くの第1主面13bの上を覆うように設けることができる。第1膜23に平坦化された下地を提供できる。
【0046】
また、厚膜樹脂体19も、同様に、厚膜金属体17と薄膜金属電極15との接合を避けるように支持体ベース13の第1主面13bの上に設けられる。厚膜樹脂体19は、厚膜樹脂体19の開口の総面積が厚膜樹脂体19の上面の総面積より大きい単一の連結領域である。
【0047】
図2を参照すると、薄膜樹脂層21は、薄膜樹脂層21の第1開口22b、22cを規定する内縁22f、及び薄膜樹脂層21の大きさを規定する外縁22gを有する。薄膜樹脂層21の外縁22gは、支持体ベース13の縁13hから離れており、一方、厚膜樹脂体19は支持体ベース13の縁13hに到達している。
【0048】
この半導体装置11によれば、薄膜樹脂層21は、支持体ベース13の縁13hの近傍まで、例えば支持体ベース13のスクライブ領域の縁まで設けられることができる。
【0049】
図4から
図11は、本実施形態に係る半導体装置を製造する方法における主要なステップを示す断面図である。
図4から
図11の各々は、
図1に示されたIII-III線に対応する断面における製造中のウエハ生産物の進捗を示す。
図4から
図11の各断面におけるハッチングは省略されている。
図12は、実施形態に係る半導体装置を作製する方法における主要なステップを示すフロー図である。引き続く説明において、理解の促進のために、可能な場合には、同一又は類似の部分には、上記の説明において既に使用された参照符号を用いる。
【0050】
図4に示される第1ステップ(例えば、
図12におけるS101)では、例えば半導体ウエハを加工したベース基板41を準備する。ベース基板41は、例えばシリコンといった半導体を含むことができる。ベース基板41の半導体領域は、第1主面42b及び第1主面42bの反対側の第2主面42cを有する。ベース基板41は、第1主面42bにおいて複数の区画(
図4における40)の配置(例えば、一次元又は二次元の配列)を有する。区画40の各々は、半導体素子43を含む。
図4から
図11では、1区画を描く。半導体素子43が半導体の領域内に形成される。半導体素子43は、例えばトランジスタ、電極及び相互接続配線といった要素を含み、これらの要素は、ウエハといった半導体基板に複数の半導体プロセスを適用して作成されることができる。
【0051】
第2ステップでは、ベース基板41を絶縁構造33で覆って、ウエハ生産物40aを得る。絶縁構造33は、無機絶縁体及び有機絶縁体の少なくとも一方を含むことができ、具体的には、絶縁構造33は、半導体素子43の領域を覆う。
【0052】
図5に示される第3ステップ(例えば、
図12におけるS102)では、薄膜金属電極15を区画40の各々に形成して、ウエハ生産物40bを得る。薄膜金属電極15は、ベース基板41の第1主面42bの上、具体的には絶縁構造33の上に形成され、また絶縁構造33の開口を介して当該区画40における半導体素子43に接続されることができる。薄膜金属電極15の形成には、例えば金属層の堆積、フォトリソグラフィ及びエッチングといった半導体プロセスが用いられる。薄膜金属電極15は、例えばアルミニウムを備えることができる。
【0053】
図6に示される第4ステップ(例えば、
図12におけるS103)では、区画40の各々において第1主面42bの上に薄膜樹脂層21を形成して、ウエハ生産物40cを得る。薄膜樹脂層21は、薄膜金属電極15の上に第1開口22bを有すると共に、薄膜金属電極15の縁16bを覆う。薄膜樹脂層21の形成には、例えば有機物の塗布、ベーク、フォトリソグラフィ及びエッチングといった半導体プロセスが用いられる。薄膜樹脂層21は、例えばポリイミド樹脂を含むことができる。
【0054】
図7に示される第5ステップ(例えば、
図12におけるS104)では、構造体24を形成する。このステップでは、構造体24の一例示として、第1膜23を形成して、ウエハ生産物40dを得る。第1膜23は、ベース基板41の第1主面42bの薄膜樹脂層21の上に形成される。第1膜23は、薄膜金属電極15の上に第2開口23bを有し、第2開口23bは、第1開口22bに位置合わせされている。本実施例では、第2開口23bのサイズは、第1開口22bのサイズより大きい。第1膜23は、例えばSiNといったシリコン系無機窒化物を含むことができる。
【0055】
なお、構造体24の別の例示、具体的には第2膜25の形成は、後ほど説明される。
【0056】
図8に示される第6ステップ(例えば、
図12におけるS105)では、区画40の各々において第1主面42bの上に金属厚膜18を形成して、ウエハ生産物40eを得る。金属厚膜18は、銅を備えることができる。金属厚膜18は、薄膜金属電極15の上に位置すると共に、薄膜樹脂層21の第1開口22bを介して薄膜金属電極15に接続される。金属厚膜18は、厚膜金属体17の厚さより大きい厚さを有する。金属厚膜18の形成には、例えばメッキ法が用いられ、具体的には、シード層の堆積(必要な場合には、パターン形成)、電解メッキ膜の形成、必要な場合にはシート層の除去といった半導体プロセスが用いられる。
【0057】
図9に示される第7ステップ(例えば、
図12におけるS106)では、区画40の各々において第1主面42bの上に樹脂厚膜20を形成して、ウエハ生産物40fを得る。樹脂厚膜20は、金属厚膜18の上面及び側面を覆うように形成される。樹脂厚膜20は、厚膜樹脂体19の厚さより大きい厚さを有する。また、樹脂厚膜20は、金属厚膜18の厚さより大きい厚さを有する。樹脂厚膜20の形成には、例えば塗布が用いられ、具体的には、塗布の塗布、ベークといった半導体プロセスが用いられる。樹脂厚膜20は、例えばエポキシ樹脂を含むことができる。
【0058】
図10に示される第8ステップ(例えば、
図12におけるS107)では、樹脂厚膜20及び金属厚膜18を研削して、樹脂厚膜20及び金属厚膜18からそれぞれ厚膜樹脂体19及び厚膜金属体17を形成して、ウエハ生産物40gを得る。研削に先立って、ウエハ生産物40eは支持板45に固定される。具体的には、支持板45は第2主面42cに貼り付けされ、研削の後に、ウエハ生産物40gから分離される。
【0059】
ウエハ生産物40gでは、区画40の各々においては、厚膜金属体17の側面17bが厚膜樹脂体19によって覆われて、厚膜金属体17が厚膜樹脂体19の開口に収容されている。
【0060】
ベース基板41、薄膜金属電極15、及び厚膜金属体17は、第1軸Ax1の方向に配置される。厚膜金属体17の上面17c及び厚膜樹脂体19の上面17cは、第1軸Ax1に交差する基準面REFに沿って延在することができ、厚膜金属体17の上面17cと厚膜樹脂体19の上面17cとの間のレベル差は実質的にない。
【0061】
この製造方法によれば、厚膜金属体17の厚さが薄膜金属電極15の厚さより大きく、厚膜樹脂体19の厚さが薄膜樹脂層21の厚さより大きい。この半導体装置11は、厚膜金属体17の上面17c及び厚膜樹脂体19の上面19cが基準面REFに沿って延在して、チップサイズパッケージのための構造を提供できる。この構造において、構造体24(第1膜23を含む)は、ベース基板41が各区画40における厚膜金属体17及び厚膜樹脂体19からの応力により反ることを低減できる。
【0062】
なお、上記の製造方法において、構造体24の形成は、第5ステップにおいて説明される。しかしながら、構造体24は、薄膜樹脂層21を形成した後であって厚膜樹脂体19を形成するに先立って形成されることができる。具体的には、構造体24の第1膜23は、厚膜金属体17を形成した後に形成されることができ、第1膜23は、薄膜樹脂層21の表面、並びに金属厚膜18の側面及び上面を覆う。
【0063】
必要な場合には、半導体装置11の製造方法は、別の例示の構造体24を形成する第9ステップを有することができる。第9ステップでは、第2主面42bの少なくとも一部分の上に設けられた第2膜25を形成して、これによってウエハ生産物が提供される。第2膜23は、例えばSiNといったシリコン系無機窒化物を含むことができる。
【0064】
第9ステップは、例えば、第1ステップから第4ステップのいずれかの後であって、第6ステップ又は第7ステップの前であることができる。
【0065】
図11に示される第10ステップ(例えば、
図12におけるS108)では、ウエハ生産物40gにおける区画40の配列を分離して、複数の半導体装置11を得る。個々の半導体装置11は、半導体チップの形態を有する。
【0066】
上記の製造方法によれば、半導体装置11及びウエハ生産物40gが提供される。
【0067】
引き続き、構造体24の別の形成方法を説明する。製造方法は、少なくとも第1ステップから第4ステップ及び第6ステップから第9ステップを含むことができる。
【0068】
引き続き、構造体24の更なる別の形成方法を説明する。この製造方法は、少なくとも第1ステップから第10ステップを含むことができる。この製造方法からの半導体装置11には、第1膜23及び第2膜25の両方を含む構造体24が提供される。
【0069】
再び
図10及び
図11を参照すると、区画40の各々は、素子エリア44bと、分離エリア44cの半分とを含むことが理解される。ウエハ生産物40g(及びベース基板41)は、区画40の二次元配列を備える。
【0070】
ウエハ生産物40g(及びベース基板41)は素子エリア44bの格子状配列(二次元配列)と、素子エリア44bの配列を規定する格子状の分離エリア44cとを含む。分離エリア44cは、格子状配列のうちの任意の1の素子エリア44bと、該素子エリア44bに隣接の素子エリア44bとの間を走る。
【0071】
作製方法によれば、フォトリソグラフィにおけるショット率を下げること無しに、ベース基板41の反りを低減できる。
【0072】
ウエハ生産物40gは、ベース基板41を備えると共に、格子状に配列された区画40内の素子エリア44bと、これら区画40の境界に沿って走る格子状の分離エリア44cとを含む。ウエハ生産物40gは、更に、個々の区画、又は少なくとも1つの区画において、第1主面42bの上に設けられた少なくとも1つの薄膜金属電極15と、第1主面42bの上に設けられた少なくとも1つの厚膜金属体17と、を備える。また、ウエハ生産物40gは、区画40にわたって第1主面42bの上に設けられて厚膜金属体17の間を埋める厚膜樹脂体19を含む。さらに、ウエハ生産物40gは、ベース基板41の第1主面42b及び第2主面42cの少なくともいずれか一方の上に設けられた構造体24を更に含む。構造体24は、第1膜23及び第2膜25の少なくとも一方を含む。
【0073】
ウエハ生産物40gには、上記の構成物が提供されると共に、既に説明したように、ウエハ生産物40gは、大きな充填率を有する。
【0074】
再び
図12を参照すると、いくつかの例示的な構造体の作成方法を含む半導体装置11を製造する方法100は、第5ステップ(ステップS105)及び/又は第9ステップを含む。方法100は、更に、ステップS101からステップS104及びステップS106からステップS108の少なくとも1つを含むことができる。引き続き、個々のステップを説明する。ステップS101では、ベース基板41を準備する。ステップS102では、薄膜金属電極15を形成する。ステップS103では、薄膜樹脂層21を形成する。ステップS104では、第1膜23及び第2膜25の少なくとも一方を含む構造体24を形成する。ステップS105では、金属厚膜18を形成する。ステップS106では、樹脂厚膜20を形成する。ステップS107では、金属厚膜18及び樹脂厚膜20を研削して、金属厚膜18及び樹脂厚膜20からそれぞれ厚膜金属体17及び厚膜樹脂体19を形成する。ステップS108では、ウエハ生産物40gにおける区画40の配列を分離して、複数の半導体装置11を得る。上記の方法100によれば、半導体装置11及びウエハ生産物40gが提供される。
【0075】
本実施形態によれば、反りを低減可能なCSP構造を有する半導体装置11、及び半導体装置を製造する方法100が提供される。
【0076】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
10・・・チップ本体部、11・・・半導体装置、13・・・支持体ベース、13b・・・第1主面、13c・・・第2主面、13d・・・素子エリア、13e・・・周辺エリア、13f・・・第1エリア、13g・・・第2エリア、13h・・・縁、13i・・・第3エリア、13j・・・第4エリア、15・・・薄膜金属電極、16b・・・縁、17・・・厚膜金属体、17b・・・側面、17c・・・上面、18・・・金属厚膜、19・・・厚膜樹脂体、19c・・・上面、20・・・樹脂厚膜、21・・・薄膜樹脂層、22b・・・第1開口、22f・・・内縁、22g・・・外縁、23・・・第1膜、23b・・・開口、24・・・構造体、25・・・第2膜、31・・・半導体素子、33・・・絶縁構造、40・・・区画、40a、40b、40c、40d、40e、40f、40g・・・ウエハ生産物、41・・・ベース基板、42b・・・第1主面、42c・・・第2主面、43・・・半導体素子、44b・・・素子エリア、44c・・・分離エリア、45・・・支持板、Ax1・・・第1軸、REF・・・基準面。