(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135371
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電子機器および異常検知方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/28 20060101AFI20240927BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06F1/28
B41J29/38 301
B41J29/38 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046009
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐山 健太
【テーマコード(参考)】
2C061
5B011
【Fターム(参考)】
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2C061HV01
5B011DA01
5B011EA10
5B011EB03
5B011EB06
5B011GG16
5B011HH04
5B011KK14
(57)【要約】
【課題】本体制御基板と周辺機制御基板との間で新たな信号線を追加することなく、本体制御基板側で周辺機制御基板への電源供給が遮断されたことを検知することができる電子機器および異常検知方法を提供する。
【解決手段】第1基板と、第1基板から電源供給を受ける第2基板と、第1基板の動作を制御する第1制御装置と、第1制御装置とシリアル通信を行う第2制御装置と、第2基板で過電流が発生した場合に第1基板からの電源供給を遮断する遮断手段と、遮断手段により第1基板から第2基板への電源供給が遮断された場合、シリアル通信において第2制御装置から第1制御装置へ送信する通信線の信号レベルの論理を反転する論理反転回路と、を備え、第1制御装置は、第2制御装置とのシリアル通信が不能となった場合、所定時間通信線の信号レベルが反転していると判定した場合、遮断手段により第1基板から第2基板への電源供給が遮断されたことを検知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板から電源供給を受ける第2基板と、
前記第1基板に搭載され、該第1基板の動作を制御する第1制御装置と、
前記第2基板に搭載され、該第2基板の動作を制御し、前記第1制御装置とシリアル通信を行う第2制御装置と、
前記第2基板に設けられ、該第2基板で過電流が発生した場合に前記第1基板からの電源供給を遮断する遮断手段と、
前記第2基板に設けられ、前記遮断手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給が遮断された場合、前記シリアル通信において前記第2制御装置から前記第1制御装置へ送信する通信線の信号レベルの論理を反転する論理反転回路と、
を備え、
前記第1制御装置は、
前記第2制御装置との前記シリアル通信が不能となった場合、所定時間前記通信線の信号レベルが反転しているか否かを判定し、
所定時間前記通信線の信号レベルが反転していると判定した場合、前記遮断手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給が遮断されたことを検知する電子機器。
【請求項2】
前記第1制御装置は、前記遮断手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給が遮断されたことを検知した場合、該電源供給が遮断されたことを通知する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1制御装置は、前記シリアル通信が不能となった後、所定時間前記通信線の信号レベルが反転している状態ではないと判定した場合、前記遮断手段による前記第1基板から前記第2基板への電源供給の遮断以外の要因により前記シリアル通信が不能となったことを通知する請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記遮断手段は、前記過電流が発生した場合に溶断することによって、前記第1基板からの電源供給を遮断するヒューズである請求項1~3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記遮断手段は、前記過電流が発生した場合に、前記第1基板からの電源供給を遮断し、かつ異常信号を出力するロードスイッチICであり、
前記論理反転回路として、前記ロードスイッチICの前記異常信号の出力線が前記通信線に接続されている請求項1~3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1制御装置は、
SoC(System on a Chip)であり、
前記第2制御装置との前記シリアル通信が不能となった場合、該シリアル通信に用いている受信用ポートを汎用I/Oポートに変更する請求項1~3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1基板に設けられ、該第1基板から前記第2基板への電源供給の切り替えを行う切替手段を、さらに備え、
前記第1制御装置は、前記シリアル通信が不能となった後、所定時間前記通信線の信号レベルが反転している状態ではないと判定した場合、前記切替手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給を停止し、その後、該切替手段により該電源供給を再開する請求項1~3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1制御装置は、前記切替手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給を再開した後、前記シリアル通信が不能である場合、該シリアル通信が不能である旨を通知する請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
第1基板と、前記第1基板から電源供給を受ける第2基板と、備えた電子機器の異常検知方法であって、
前記第1基板に搭載され、該第1基板の動作を制御する第1制御装置と、前記第2基板に搭載され、該第2基板の動作を制御する第2制御装置とがシリアル通信を行う通信ステップと、
前記第2基板に設けられた遮断手段が、該第2基板で過電流が発生した場合に前記第1基板からの電源供給を遮断する遮断ステップと、
前記第2基板に設けられた論理反転回路が、前記遮断手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給が遮断された場合、前記シリアル通信において前記第2制御装置から前記第1制御装置へ送信する通信線の信号レベルの論理を反転する論理反転ステップと、
前記第1制御装置が、前記第2制御装置との前記シリアル通信が不能となった場合、所定時間前記通信線の信号レベルが反転しているか否かを判定する判定ステップと、
前記第1制御装置が、所定時間前記通信線の信号レベルが反転していると判定した場合、前記遮断手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給が遮断されたことを検知する検知ステップと、
を有する異常検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器および異常検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器にオプション機器等が搭載される場合、電子機器本体を制御する本体制御基板は、当該オプション機器等を制御する別の制御基板(周辺機制御基板)に対して電源を供給し、シリアル通信等でデータ通信を行う場合がある。例えば、電子機器が画像形成装置である場合、画像形成装置本体を制御する本体制御基板は、例えばオプション機器としてのフィニッシャ機器、または操作パネル等に搭載された別の制御基板(周辺機制御基板)に対して電源を供給し、シリアル通信等でデータ通信を行う技術が知られている。
【0003】
このような本体制御基板と周辺機制御基板とがデータ通信を行う技術として、周辺機制御基板(サブ基板)に搭載されたサブSoC(System on a Chip)が異常状態になったときに、当該サブSoCにリセットをかける技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、本体制御基板から電源を供給される側の周辺機制御基板において電源異常時に回路を保護するために設けられたヒューズの溶断等が発生した場合において、本体制御基板側で、周辺機制御基板に電源が入っていないことによるデータ通信が不可である場合に、周辺機制御基板への電源供給が遮断されたこと検知することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、本体制御基板と周辺機制御基板との間で新たな信号線を追加することなく、本体制御基板側で周辺機制御基板への電源供給が遮断されたことを検知することができる電子機器および異常検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1基板と、前記第1基板から電源供給を受ける第2基板と、前記第1基板に搭載され、該第1基板の動作を制御する第1制御装置と、前記第2基板に搭載され、該第2基板の動作を制御し、前記第1制御装置とシリアル通信を行う第2制御装置と、前記第2基板に設けられ、該第2基板で過電流が発生した場合に前記第1基板からの電源供給を遮断する遮断手段と、前記第2基板に設けられ、前記遮断手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給が遮断された場合、前記シリアル通信において前記第2制御装置から前記第1制御装置へ送信する通信線の信号レベルの論理を反転する論理反転回路と、を備え、前記第1制御装置は、前記第2制御装置との前記シリアル通信が不能となった場合、所定時間前記通信線の信号レベルが反転しているか否かを判定し、所定時間前記通信線の信号レベルが反転していると判定した場合、前記遮断手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給が遮断されたことを検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本体制御基板と周辺機制御基板との間で新たな信号線を追加することなく、本体制御基板側で周辺機制御基板への電源供給が遮断されたことを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る電子機器の本体制御基板および周辺機制御基板の回路構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る電子機器の本体制御基板と周辺機制御基板との間のシリアル通信の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る電子機器の通信エラー検知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の変形例に係る電子機器の本体制御基板および周辺機制御基板の回路構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る電子機器の本体制御基板および周辺機制御基板の回路構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る電子機器の通信エラー検知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る電子機器および異常検知方法の実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0010】
[第1の実施形態]
(電子機器の回路構成)
図1は、第1の実施形態に係る電子機器の本体制御基板および周辺機制御基板の回路構成の一例を示す図である。
図1を参照しながら、本実施形態に係る電子機器1の本体制御基板10および周辺機制御基板20の回路構成について説明する。
【0011】
図1に示す電子機器1は、電子機器1本体を制御するための本体制御基板10と、オプション機器等のような電子機器1に搭載された別の機器を制御するための周辺機制御基板20と、を備えている。電子機器1としては、例えば、画像形成装置、画像読取装置、プロジェクタ装置等の電子機器一般が想定される。なお、本体制御基板10は、本発明の「第1基板」に相当し、周辺機制御基板20は、本発明の「第2基板」に相当する。
【0012】
本体制御基板10は、
図1に示すように、メインSoC101と、スイッチング素子111と、IC回路112と、コネクタ121と、コネクタ122と、コネクタ131と、コネクタ132と、抵抗R1と、を備えている。なお、本体制御基板10は、
図1に示した部品だけでなく、その他の部品を搭載しているものとしてもよい。また、メインSoC101は、本発明の「第1制御装置」に相当する。
【0013】
メインSoC101は、本体制御基板10全体の制御を司る演算装置である。メインSoC101は、電源140から電源供給を受けることによって動作する。メインSoC101が有する入出力ポートのうち、周辺機制御基板20とシリアル通信を行うために、送信ポート(Tx)であるポートTx_M、および受信ポート(Rx)であるポートRx_Mが割り当てられている。すなわち、メインSoC101と、周辺機制御基板20の後述するサブSoC201とは、2線式の非同期式シリアル通信(以下、単にシリアル通信と称する場合がある)によりデータ通信を行う。非同期シリアル通信としては、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、RS232C等が挙げられる。
【0014】
なお、メインSoC101の代わりに、マイコン(マイクロコントローラ、MCU:Micro Control Unit)等の演算装置を用いてもよい。また、メインSoC101とサブSoC201との間のシリアル通信としては、非同期式シリアル通信に限定されるものではなく、3線式の同期式シリアル通信であってもよい。
【0015】
スイッチング素子111は、メインSoC101のポートTx_Mの出力により駆動し、オープンドレインまたはオープンコレクタの出力形式となっているスイッチング素子である。例えば、スイッチング素子111がFET(Field Effect Transistor)である場合、オープンドレインの出力形式となっており、スイッチング素子111がトランジスタの場合、オープンコレクタの出力形式となっている。スイッチング素子111の出力端子(ドレインまたはコレクタ)は、コネクタ121に接続されている。
【0016】
IC回路112は、入力側がコネクタ122に接続され、出力側がメインSoC101のポートRx_Mに接続され、サブSoC201から受信した信号のバッファリングおよびノイズカット等を行うIC回路である。
【0017】
コネクタ121は、メインSoC101とサブSoC201とのシリアル通信において、メインSoC101のポートTx_Mから送信される信号を本体制御基板10から出力するための送信用コネクタである。コネクタ121は、通信線によって、周辺機制御基板20の後述するコネクタ221に接続される。
【0018】
コネクタ122は、メインSoC101とサブSoC201とのシリアル通信において、メインSoC101のポートRx_Mで受信される信号を周辺機制御基板20から入力するための受信用コネクタである。コネクタ121は、通信線によって、周辺機制御基板20の後述するコネクタ222に接続される。
【0019】
コネクタ131は、本体制御基板10における5[V]電源である電源140から、周辺機制御基板20へ電源供給するための電源用コネクタである。コネクタ131は、電源線によって、周辺機制御基板20の後述するコネクタ231に接続される。
【0020】
コネクタ132は、FG(フレームグラウンド)用のコネクタである。コネクタ132は、FG線によって、周辺機制御基板20の後述するコネクタ232に接続される。
【0021】
抵抗R1は、メインSoC101のポートRx_Mの受信ラインを、電源140に基づく5[V]電源でプルアップするためのプルアップ抵抗である。
【0022】
電源140は、本体制御基板10の各機器に電源供給するための5[V]電源である。なお、電源140は、外部から直接5[V]の電圧が供給されることによって形成されるものとしてもよく、本体制御基板10に搭載されたDCコンバータ等により所定の電圧(例えば24[V]等)から5[V]に降圧されることにより形成されるものとしてもよい。
【0023】
周辺機制御基板20は、
図1に示すように、サブSoC201と、IC回路211と、スイッチング素子212と、コネクタ221と、コネクタ222と、コネクタ231と、コネクタ232と、ヒューズ250と、検知用回路260と、抵抗R2と、を備えている。なお、周辺機制御基板20は、
図1に示した部品だけでなく、その他の部品を搭載しているものとしてもよい。
【0024】
サブSoC201は、周辺機制御基板20全体の制御を司る演算装置である。サブSoC201は、後述する電源241から電源供給を受けることによって動作する。サブSoC201が有する入出力ポートのうち、本体制御基板10とシリアル通信を行うために、送信ポート(Tx)であるポートTx_S、および受信ポート(Rx)であるポートRx_Sが割り当てられている。すなわち、本体制御基板10のメインSoC101と、サブSoC201とは、2線式の非同期式シリアル通信によりデータ通信を行う。
【0025】
なお、サブSoC201の代わりに、マイコン等の演算装置を用いてもよい。また、サブSoC201は、本発明の「第2制御装置」に相当する。
【0026】
IC回路211は、入力側がコネクタ221に接続され、出力側がサブSoC201のポートRx_Sに接続され、メインSoC101から受信した信号のバッファリングおよびノイズカット等を行うIC回路である。
【0027】
スイッチング素子212は、サブSoC201のポートTx_Sの出力により駆動し、オープンドレインまたはオープンコレクタの出力形式となっているスイッチング素子である。例えば、スイッチング素子212がFETである場合、オープンドレインの出力形式となっており、スイッチング素子212がトランジスタの場合、オープンコレクタの出力形式となっている。スイッチング素子212の出力端子(ドレインまたはコレクタ)は、コネクタ222に接続されている。
【0028】
コネクタ221は、メインSoC101とサブSoC201とのシリアル通信において、サブSoC201のポートRx_Sで受信される信号を本体制御基板10から入力するための受信用コネクタである。コネクタ221は、通信線によって、本体制御基板10のコネクタ121に接続される。
【0029】
コネクタ222は、メインSoC101とサブSoC201とのシリアル通信において、サブSoC201のポートTx_Sから送信される信号を周辺機制御基板20から出力するための送信用コネクタである。コネクタ222は、通信線によって、本体制御基板10のコネクタ122に接続される。
【0030】
コネクタ231は、本体制御基板10から5[V]電源の供給を受け、電源240を形成するための電源用コネクタである。コネクタ231は、電源線によって、本体制御基板10のコネクタ131に接続される。
【0031】
コネクタ232は、FG(フレームグラウンド)用のコネクタである。コネクタ232は、FG線によって、本体制御基板10のコネクタ132に接続される。
【0032】
ヒューズ250は、周辺機制御基板20での異物等によるショート等により過電流が発生した場合の回路保護のための電源の遮断手段であり、電源240に基づいて回路保護を担保する電源241(「+5V_F」)を形成する部材である。ヒューズ250は、周辺機制御基板20において異物等によるショート等が発生すると溶断し、周辺機制御基板20の回路を保護する。
【0033】
検知用回路260は、周辺機制御基板20において異物等によるショート等が発生してヒューズ250が溶断したことを本体制御基板10側で検知できるようにするための回路である。検知用回路260は、トランジスタ261と、トランジスタ262と、抵抗R3と、を有する。トランジスタ261は、エミッタ接地とし、コレクタがスイッチング素子212のオープンドレインの出力側に接続され、ベースが抵抗R3とトランジスタ262のコレクタとの接続線に接続されている。トランジスタ262は、エミッタ接地とし、コレクタがトランジスタ261のベースおよび抵抗R3の一端に接続され、ベースが電源241に接続されている。抵抗R3は、一端がトランジスタ261のベースおよびトランジスタ262のコレクタに接続され、他端が電源240に接続されている。
【0034】
この場合、ヒューズ250が溶断していない場合、電源241からの電源供給が有効であるため、トランジスタ262はオン状態となるため、かつトランジスタ261は電源240からドライブされず、オフ状態となる。したがって、周辺機制御基板20のポートTx_Sから本体制御基板10のポートRx_Mへ向かう送信ラインは、通信のないデフォルト状態では、本体制御基板10側の抵抗R1のプルアップにより、Highレベルの状態となる。一方、ヒューズ250が溶断した場合、トランジスタ262は電源241からドライブされないためオフ状態となるため、トランジスタ261は電源240からドライブされ、オン状態となる。したがって、検知用回路260は、周辺機制御基板20のポートTx_Sから本体制御基板10のポートRx_Mへ向かう送信ラインの信号レベルの論理を反転してLowレベルの状態とする。よって、本体制御基板10のメインSoC101は、ポートRx_Mに入力される信号レベル(電圧レベル)が所定時間Lowレベルであると判定した場合、周辺機制御基板20のヒューズ250が溶断したことを検知することができる。なお、周辺機制御基板20のポートTx_Sから本体制御基板10のポートRx_Mへ向かう送信ラインは、本発明の「通信線」に相当する。
【0035】
なお、
図1に示す検知用回路260の回路は一例を示すものであり、上述のような機能を実現できる回路であればどのような回路であってもよい。また、検知用回路260は、本発明の「論理反転回路」の一例である。
【0036】
抵抗R2は、サブSoC201のポートRx_Sの受信ラインを、電源241に基づく5[V]電源でプルアップするためのプルアップ抵抗である。
【0037】
電源240は、ヒューズ250を介して電源241を形成するための5[V]の電源である。
【0038】
電源241は、周辺機制御基板20の各機器に電源供給するための5[V]電源である。したがって、ヒューズ250が溶断すると、電源241の電源供給が停止するため、サブSoC201は、動作が停止し、メインSoC101とのシリアル通信が不能となる。この場合、メインSoC101は、サブSoC201とシリアル通信が不能になるが、上述のようにポートRx_Mに入力される信号レベルを判定することによって、シリアル通信の不能の原因がヒューズ250の溶断によるものか、それ以外によるものかを判別できる。
【0039】
(電子機器の動作概要)
図2は、第1の実施形態に係る電子機器の本体制御基板と周辺機制御基板との間のシリアル通信の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図2を参照しながら、本実施形態に係る電子機器1の動作概要について説明する。
【0040】
まず、
図2(a)には従来の電子機器の動作のタイミングチャートを示している。上述の電源241に対応する「5V_F」電源は、周辺機制御基板のヒューズが溶断されない限り、5[V]電源として周辺機制御基板に搭載された各機器に電源供給する。本体制御基板の「Tx_M」は、本体制御基板のメインSoCのポートTx_Mから周辺機制御基板のサブSoCのポートRx_Sに対して送信される一方通行の信号であり、本体制御基板の「Rx_M」は、メインSoCのポートRx_MがサブSoCのポートTx_Sから受信する一方通行の信号である。同様に、周辺機制御基板の「Rx_S」は、サブSoCのポートRx_SがメインSoCのポートTx_Mから受信する一方通行の信号であり、周辺機制御基板の「Tx_S」は、サブSoCのポートTx_SからメインSoCのポートRx_Mに対して送信される一方通行の信号である。通常状態であれば、「Tx_M」と「Rx_S」とは同じ信号状態となり、「Rx_M」と「Tx_S」とは同じ信号状態となる。なお、シリアル通信がUARTである場合、通信をしていない状態では、信号レベルがHighレベルとすることが規定されている。
【0041】
このような
図2(a)に示す従来の電子機器においては、周辺機制御基板のヒューズが溶断されると、周辺機制御基板に供給される電源が消失するため、周辺機制御基板のポートTx_Sは不定状態となり、スイッチング素子212に対応するスイッチング素子に対してドライブできず、本体制御基板のポートRx_Mの信号状態は、プルアップされているためHighレベルで固定となる。すなわち、本体制御基板は、ポートRx_Mの信号状態がHighレベルであるため、何も通信していない状態と同様の状態であり、データを送信しても応答がないという状態となる。したがって、本体制御基板のメインSoCは、周辺機制御基板のサブSoCとの通信が不能となった場合、ヒューズが溶断されたことによる通信エラーなのか、その他の原因による通信エラーなのかを判別することができない。
【0042】
一方、本実施形態に係る電子機器1では、
図2(b)に示すように、周辺機制御基板20のヒューズ250が溶断して電源241が消失すると、上述の検知用回路260の機能により、本体制御基板10のポートRx_Mの信号レベル(
図2(b)に示す「Rx_M」)は、Lowレベルとなる。したがって、上述の
図2(a)の場合とは異なり、通信していない状態とは異なる状態とすることができる。よって、本体制御基板10のメインSoC101は、周辺機制御基板20のサブSoC201との通信が不能となった場合、ポートRx_Mの信号レベルがLowレベルであることを検知した場合、ヒューズ250が溶断されたことによる通信エラーであると判定することができる。
【0043】
(電子機器の動作詳細)
図3は、第1の実施形態に係る電子機器の通信エラー検知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3を参照しながら、本実施形態に係る電子機器1の動作詳細として通信エラー検知処理の流れについて説明する。
【0044】
<ステップS11>
本体制御基板10のメインSoC101は、周辺機制御基板20のサブSoC201とのシリアル通信について通信エラー(通信不能)が発生しているか否かを判定する。シリアル通信について通信エラーが発生した場合(ステップS11:Yes)、ステップS12へ移行し、通信エラーが発生していない場合(ステップS11:No)、通信エラーの有無の判定を継続する。
【0045】
<ステップS12>
メインSoC101は、サブSoC201とのシリアル通信に使用しているポートRx_Mを汎用I/Oポートに変更する。これは、一般的なSoCの仕様で、シリアル通信用のポートとして設定していると、当該ポートの信号レベルに対する判定ができないためである。このように、ポートRx_Mを汎用I/Oポートに変更することによって、ポートRx_Mの信号レベルの判定が可能となる。なお、当該変更処理は、SoCの仕様に基づく固有の処理であり、必要がない場合にはスキップしてもよい。そして、ステップS13へ移行する。
【0046】
<ステップS13>
そして、メインSoC101は、汎用I/Oポートに変更したポートRx_Mの信号レベル(論理)が所定時間Lowレベルのままであるか否かを判定する。所定時間Lowレベルである場合(ステップS13:Yes)、ステップS14へ移行し、そうでない場合(ステップS13:No)、ステップS16へ移行する。
【0047】
<ステップS14>
メインSoC101は、ポートRx_Mの信号レベルが所定時間Lowレベルのままであると判定した場合、周辺機制御基板20のヒューズ250が溶断したこと(遮断手段としてのヒューズ250により遮断されたこと)を検知する。そして、ステップS15へ移行する。
【0048】
<ステップS15>
メインSoC101は、ヒューズ250が溶断したことを通知する。通知方法としては、例えば、メインSoC101からのいずれかのポート出力によりランプ点灯もしくは音声通知、または電子機器1がネットワーク機能を有する場合、管理者にメール通知する等の方法が挙げられる。以上で、通信エラー検知処理が終了する。
【0049】
<ステップS16>
メインSoC101は、ポートRx_Mの信号レベルが所定時間Lowレベルのままでないと判定した場合、ヒューズ250の溶断以外の要因により通信エラーが発生したことを検知する。ヒューズ250の溶断以外の通信エラーの要因としては、静電気ノイズの混入、または周辺機制御基板20のサブSoC201のハングアップ等が挙げられる。そして、ステップS17へ移行する。
【0050】
<ステップS17>
メインSoC101は、ヒューズ250の溶断以外の要因により通信エラーが発生したことを通知する。なお、通知方法としては、上述の通りである。以上で、通信エラー検知処理が終了する。
【0051】
以上のように、本実施形態に係る電子機器1では、周辺機制御基板20は、本体制御基板10から電源供給を受け、メインSoC101は、本体制御基板10に搭載され、当該本体制御基板10の動作を制御し、サブSoC201は、周辺機制御基板20に搭載され、当該周辺機制御基板20の動作を制御し、メインSoC101とシリアル通信を行い、ヒューズ250は、周辺機制御基板20に設けられ、当該周辺機制御基板20で過電流が発生した場合に本体制御基板10からの電源供給を遮断し、検知用回路260は、周辺機制御基板20に設けられ、ヒューズ250により本体制御基板10から周辺機制御基板20への電源供給が遮断された場合、シリアル通信においてサブSoC201からメインSoC101へ送信する送信ラインの信号レベルの論理を反転し、メインSoC101は、サブSoC201とのシリアル通信が不能となった場合、所定時間送信ラインの信号レベルが反転しているか否かを判定し、所定時間送信ラインの信号レベルが反転していると判定した場合、ヒューズ250により本体制御基板10から周辺機制御基板20への電源供給が遮断されたことを検知するものとしている。これによって、本体制御基板10と周辺機制御基板20との間で新たな信号線を追加することなく、本体制御基板10側で周辺機制御基板20への電源供給が遮断されたことを検知することができる。
【0052】
(変形例)
変形例に係る電子機器について、上述の第1の実施形態に係る電子機器1と相違する点を中心に説明する。
【0053】
図4は、第1の実施形態の変形例に係る電子機器の本体制御基板および周辺機制御基板の回路構成の一例を示す図である。
図4を参照しながら、本変形例に係る電子機器1aの周辺機制御基板20aの回路構成について説明する。なお、電子機器1aの本体制御基板10の回路構成は、上述の第1の実施形態に係る電子機器1の本体制御基板10の回路構成と同様である。また、本体制御基板10は、本発明の「第1基板」に相当し、周辺機制御基板20aは、本発明の「第2基板」に相当する。
【0054】
周辺機制御基板20aは、
図4に示すように、サブSoC201と、IC回路211と、スイッチング素子212と、コネクタ221と、コネクタ222と、コネクタ231と、コネクタ232と、ロードスイッチIC250aと、抵抗R2と、を備えている。すなわち、周辺機制御基板20aは、上述の
図1に示した周辺機制御基板20が備えるヒューズ250の代わりに、ロードスイッチIC250aを備えており、検知用回路260の代わりに、ロードスイッチIC250aのFAULT端子がスイッチング素子212のオープンドレインの出力側に接続されており、その他の構成については周辺機制御基板20と同様である。
【0055】
ロードスイッチIC250aは、周辺機制御基板20aでショート等の異常が発生し、過電流が流れたことを検知すると、5[V]の電源241の出力を停止し、FAULT端子からFAULT信号(異常信号)を出力するIC回路である。すなわち、ロードスイッチIC250aも、ヒューズ250と同様に、電源の遮断手段として機能する。ロードスイッチIC250aのFAULT端子の出力仕様は、例えば、オープンドレインの出力形式であり、正常状態のときHighレベルで出力し、異常状態のときLowレベルで出力する。ロードスイッチIC250aのFAULT信号の出力線は、上述のように、スイッチング素子212のオープンドレインの出力側に接続されている。したがって、ロードスイッチIC250aが過電流を検知して5[V]の電源241の出力を停止した場合、周辺機制御基板20aのポートTx_Sから本体制御基板10のポートRx_Mへ向かう送信ラインの信号レベルは、論理が反転してLowレベルの状態となる。よって、本体制御基板10のメインSoC101は、ポートRx_Mに入力される信号レベル(電圧レベル)が所定時間Lowレベルであると判定した場合、周辺機制御基板20aのロードスイッチIC250aにより電源が遮断されたことを検知することができる。なお、スイッチング素子212のオープンドレインの出力側に接続された、ロードスイッチIC250aのFAULT信号の出力線は、本発明の「論理反転回路」の一例である。なお、ロードスイッチIC250aの仕様はメーカによって異なる場合があるため、論理反転回路またはオープンドレインバッファを追加することによって、同様の出力形式となるように構成することもできる。
【0056】
このように、ヒューズ250の代わりにロードスイッチIC250aを用いることによって、メインSoC101は、ポートRx_Mに入力される信号レベル(電圧レベル)が所定時間Lowレベルであると判定した場合、ショート等の異常の発生によりロードスイッチIC250aによって電源が遮断されたことを検知することができる。
【0057】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る電子機器について、第1の実施形態に係る電子機器1と相違する点を中心に説明する。第1の実施形態では、周辺機制御基板20側でヒューズが溶断した場合に、本体制御基板10側で当該ヒューズが溶断したことを検知する動作について説明した。本実施形態では、ヒューズの溶断以外の要因により通信エラーが発生した場合に、本体制御基板から周辺機制御基板への電源供給を一旦オフにし、再度電源供給を開始することによって周辺機制御基板の復帰を試みる動作について説明する。
【0058】
(電子機器の回路構成)
図5は、第2の実施形態に係る電子機器の本体制御基板および周辺機制御基板の回路構成の一例を示す図である。
図5を参照しながら、本実施形態に係る電子機器1bの本体制御基板10bの回路構成について説明する。なお、電子機器1bの周辺機制御基板20の回路構成は、上述の第1の実施形態に係る電子機器1の周辺機制御基板20の回路構成と同様である。なお、本体制御基板10bは、本発明の「第1基板」に相当し、周辺機制御基板20は、本発明の「第2基板」に相当する。
【0059】
本体制御基板10bは、
図5に示すように、メインSoC101bと、スイッチング素子111と、IC回路112と、コネクタ121と、コネクタ122と、コネクタ131と、コネクタ132と、抵抗R1と、スイッチング回路150と、を備えている。すなわち、本体制御機器10bは、上述の
図1に示した本体制御基板10が備える各部品に加え、スイッチング回路150を備えており、その他の構成については本体制御基板10と同様である。なお、メインSoC101bは、本発明の「第1制御装置」に相当する。
【0060】
スイッチング回路150は、電源140からの周辺機制御基板20への電源供給のオンオフを切り替えるためのスイッチング素子または回路である。スイッチング回路150は、メインSoC101bのポートP1に接続されており、ポートP1の出力を切り替えることにより、スイッチング回路150のオンオフ動作を切り替える。メインSoC101bのポートP1からの出力によりスイッチング回路150がオン状態(導通状態)になると、電源140b(「+5V_IN」)が形成され、コネクタ131およびコネクタ231を介して周辺機制御基板20へ電源供給される。本体制御機器10b側の電源140bから電源供給を受けることにより形成された周辺機制御基板20側の電源を、
図5では電源240bとしている。すなわち、メインSoC101bは、スイッチング回路150のオンオフを切り替えることによって、周辺機制御基板20への電源供給のオンオフを切り替えることができる。なお、スイッチング回路150は、本発明の「切替手段」に相当する。
【0061】
上述のように、ヒューズ250の溶断により通信エラーが発生した場合には、本体制御機器10bから周辺機制御基板20への電源供給が不能となり、溶断したヒューズ250を交換しないと、周辺機制御基板20へ再び電源供給することができない。一方、ヒューズ250の溶断以外の要因(例えば静電気ノイズの混入またはサブSoC201のハングアップ等)により通信エラーが発生した場合には、本体制御基板10bから周辺機制御基板20への電源供給を一旦オフにし、再度電源供給を開始することによって周辺機制御基板20の復帰が可能となる場合がある。以下、このような周辺機制御基板20の復帰動作を含む通信エラー検知処理の詳細について説明する。
【0062】
(電子機器の動作詳細)
図6は、第2の実施形態に係る電子機器の通信エラー検知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6を参照しながら、本実施形態に係る電子機器1bの動作詳細として通信エラー検知処理の流れについて説明する。
【0063】
<ステップS21~S25>
ステップS21~S25の処理は、それぞれ
図3に示したステップS11~S15の処理と同様である。
【0064】
<ステップS26>
本体制御機器10bのメインSoC101bは、ポートRx_Mの信号レベルが所定時間Lowレベルのままでないと判定した場合、ヒューズ250の溶断以外の要因により通信エラーが発生したことを検知する。ヒューズ250の溶断以外の通信エラーの要因としては、静電気ノイズの混入、または周辺機制御基板20のサブSoC201のハングアップ等が挙げられる。そして、ステップS27へ移行する。
【0065】
<ステップS27>
メインSoC101bは、スイッチング回路150を遮断して、周辺機制御基板20への電源供給をオフにする。そして、ステップS28へ移行する。
【0066】
<ステップS28>
周辺機制御基板20への電源供給をオフにしてから所定時間経過後、メインSoC101bは、スイッチング回路150をオン状態(導通状態)にして、再び、周辺機制御基板20への電源供給を開始する。そして、ステップS29へ移行する。
【0067】
<ステップS29>
周辺機制御基板20への再度の電源供給開始してからシリアル通信が可能となるまで所定時間経過後、メインSoC101bは、周辺機制御基板20のサブSoC201とのシリアル通信を開始する。そして、ステップS30へ移行する。
【0068】
<ステップS30>
メインSoC101bは、周辺機制御基板20のサブSoC201とのシリアル通信について通信エラーが発生しているか否かを判定する。シリアル通信について通信エラーが発生した場合(ステップS30:Yes)、ステップS31へ移行し、通信エラーが発生していない場合(ステップS30:No)、周辺機制御基板20のサブSoC201との正常なデータ通信が復帰したものとして、通信エラー検知処理を終了する。
【0069】
<ステップS31>
メインSoC101bは、電源供給のオフオン動作による復帰は困難であると判断し、シリアル通信で通信エラーが発生したことを通知する。なお、通知方法としては、上述の通りである。以上で、通信エラー検知処理が終了する。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る電子機器1bでは、スイッチング回路150は、本体制御基板10bに設けられ、当該本体制御機器10bから周辺機制御基板20への電源供給の切り替えを行い、メインSoC101bは、シリアル通信が不能となった後、所定時間送信ラインの信号レベルが反転している状態ではないと判定した場合、スイッチング回路150により本体制御基板10bから周辺機制御基板20への電源供給を停止し、その後、当該スイッチング回路150により電源供給を再開するものとしている。これによって、ヒューズ250の溶断以外の要因により通信エラーが発生した場合には、周辺機制御基板20の動作を復帰させることができる場合がある。
【0071】
また、上述の各実施形態において、本体制御基板10、10bおよび周辺機制御基板20、20aの各機能の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、上述の各実施形態において、本体制御基板10、10bおよび周辺機制御基板20、20aで実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の各実施形態において、本体制御基板10、10bおよび周辺機制御基板20、20aで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の各実施形態において、本体制御基板10、10bおよび周辺機制御基板20、20aで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の各実施形態において、本体制御基板10、10bおよび周辺機制御基板20、20aで実行されるプログラムは、各機能のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては演算装置(メインSoC101、101b、サブSoC201)が記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより、各機能が主記憶装置上にロードされて生成されるようになっている。
【0072】
本発明の態様は、以下の通りである。
<1>第1基板と、
前記第1基板から電源供給を受ける第2基板と、
前記第1基板に搭載され、該第1基板の動作を制御する第1制御装置と、
前記第2基板に搭載され、該第2基板の動作を制御し、前記第1制御装置とシリアル通信を行う第2制御装置と、
前記第2基板に設けられ、該第2基板で過電流が発生した場合に前記第1基板からの電源供給を遮断する遮断手段と、
前記第2基板に設けられ、前記遮断手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給が遮断された場合、前記シリアル通信において前記第2制御装置から前記第1制御装置へ送信する通信線の信号レベルの論理を反転する論理反転回路と、
を備え、
前記第1制御装置は、
前記第2制御装置との前記シリアル通信が不能となった場合、所定時間前記通信線の信号レベルが反転しているか否かを判定し、
所定時間前記通信線の信号レベルが反転していると判定した場合、前記遮断手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給が遮断されたことを検知する電子機器である。
<2>前記第1制御装置は、前記遮断手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給が遮断されたことを検知した場合、該電源供給が遮断されたことを通知する前記<1>に記載の電子機器である。
<3>前記第1制御装置は、前記シリアル通信が不能となった後、所定時間前記通信線の信号レベルが反転している状態ではないと判定した場合、前記遮断手段による前記第1基板から前記第2基板への電源供給の遮断以外の要因により前記シリアル通信が不能となったことを通知する前記<2>に記載の電子機器である。
<4>前記遮断手段は、前記過電流が発生した場合に溶断することによって、前記第1基板からの電源供給を遮断するヒューズである前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の電子機器である。
<5>前記遮断手段は、前記過電流が発生した場合に、前記第1基板からの電源供給を遮断し、かつ異常信号を出力するロードスイッチICであり、
前記論理反転回路として、前記ロードスイッチICの前記異常信号の出力線が前記通信線に接続されている前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の電子機器である。
<6>前記第1制御装置は、
SoC(System on a Chip)であり、
前記第2制御装置との前記シリアル通信が不能となった場合、該シリアル通信に用いている受信用ポートを汎用I/Oポートに変更する前記<1>~<5>のいずれか一項に記載の電子機器である。
<7>前記第1基板に設けられ、該第1基板から前記第2基板への電源供給の切り替えを行う切替手段を、さらに備え、
前記第1制御装置は、前記シリアル通信が不能となった後、所定時間前記通信線の信号レベルが反転している状態ではないと判定した場合、前記切替手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給を停止し、その後、該切替手段により該電源供給を再開する前記<1>~<6>のいずれか一項に記載の電子機器である。
<8>前記第1制御装置は、前記切替手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給を再開した後、前記シリアル通信が不能である場合、該シリアル通信が不能である旨を通知する前記<7>に記載の電子機器である。
<9>第1基板と、前記第1基板から電源供給を受ける第2基板と、備えた電子機器の異常検知方法であって、
前記第1基板に搭載され、該第1基板の動作を制御する第1制御装置と、前記第2基板に搭載され、該第2基板の動作を制御する第2制御装置とがシリアル通信を行う通信ステップと、
前記第2基板に設けられた遮断手段が、該第2基板で過電流が発生した場合に前記第1基板からの電源供給を遮断する遮断ステップと、
前記第2基板に設けられた論理反転回路が、前記遮断手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給が遮断された場合、前記シリアル通信において前記第2制御装置から前記第1制御装置へ送信する通信線の信号レベルの論理を反転する論理反転ステップと、
前記第1制御装置が、前記第2制御装置との前記シリアル通信が不能となった場合、所定時間前記通信線の信号レベルが反転しているか否かを判定する判定ステップと、
前記第1制御装置が、所定時間前記通信線の信号レベルが反転していると判定した場合、前記遮断手段により前記第1基板から前記第2基板への電源供給が遮断されたことを検知する検知ステップと、
を有する異常検知方法である。
【符号の説明】
【0073】
1、1a、1b 電子機器
10、10b 本体制御基板
20、20a 周辺機制御基板
101、101b メインSoC
111 スイッチング素子
112 IC回路
121、122 コネクタ
131、132 コネクタ
140、140b 電源
150 スイッチング回路
201 サブSoC
211 IC回路
212 スイッチング素子
221、222 コネクタ
231、232 コネクタ
240、240b、241 電源
250 ヒューズ
250a ロードスイッチIC
260 検知用回路
261、262 トランジスタ
R1~R3 抵抗
Rx_M、Rx_S ポート
Tx_M、Tx_S ポート
P1 ポート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】