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特開2024-135377情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135377
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0639 20230101AFI20240927BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q10/0639
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046016
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】船橋 一樹
(72)【発明者】
【氏名】鴇田 才明
(72)【発明者】
【氏名】吉井 雅子
(72)【発明者】
【氏名】坂井 直樹
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】人員の様々なパフォーマンスに関する指標の可視化を可能にする情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、端末装置において入力されたユーザに対する調査への回答から前記ユーザのモチベーションを示す情報を取得する第1の取得部と、前記調査において前記端末装置で取得した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を取得する第2の取得部と、前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とに基づいて、組織に関連付けられた指標を算出する算出部と、前記指標を出力する出力部と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置において入力されたユーザに対する調査への回答から前記ユーザのモチベーションを示す情報を取得する第1の取得部と、
前記調査において前記端末装置で取得した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を取得する第2の取得部と、
前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とに基づいて、組織に関連付けられた指標を算出する算出部と、
前記指標を出力する出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報は、前記ユーザが利用する端末装置に内蔵された撮像装置、又は前記端末装置に接続された撮像装置で撮像した前記ユーザの画像を用いて測定した、前記ユーザの自律神経の状態を示す情報を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザは組織の構成員であり、
前記指標は、前記組織が管理する健康経営指標を含む、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とを説明変数とし、前記組織が管理する前記健康経営指標を目的変数として作成した予測モデルを用いて、前記健康経営指標を算出する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザの勤務情報を取得する第3の取得部を有し、
前記算出部は、前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報と、前記ユーザの勤務情報と、を説明変数とし、前記組織が管理する前記健康経営指標を目的変数として作成した予測モデルを用いて、前記健康経営指標を算出する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記組織の管理者による前記健康経営指標の重要度の設定を受け付ける設定受付部を有し、
前記出力部は、設定された前記重要度がより高い前記健康経営指標を優先的に出力する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザの勤務情報を取得する第3の取得部を有し、
前記算出部は、前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報と、前記ユーザの勤務情報とを用いて、前記指標を算出する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ユーザの勤務情報を取得する第3の取得部と、
前記ユーザの勤務情報に基づいて前記ユーザのモチベーションを示す情報を予測する第1の予測部と、
前記ユーザの勤務情報に基づいて前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を予測する第2の予測部と、
を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1の予測部が予測した前記ユーザのモチベーションを示す情報、又は前記第2の予測部が予測した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報が、基準値から乖離している場合、前記ユーザのモチベーションを示す情報、及び前記ユーザの健康に関するコンディション情報を取得するサーベイを開始する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記出力部は、前記ユーザのモチベーションを示す情報の実測値と基準値とを比較した第1の比較結果と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報の実測値と基準値とを比較した第2の比較結果とのうち、少なくとも1つを出力する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記出力部は、前記第1の比較結果、又は前記第2の比較結果に対応する、前記ユーザのモチベーション、又は前記ユーザの健康に関するコンディションの改善施策に関する情報を出力する、請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記指標への影響度が高い要因を分析する要因分析部を有し、
前記出力部は、前記指標への影響度がより高い要因を出力する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記出力部は、前記指標への影響度がより高い要因を優先的に出力する、請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記指標への影響度がより高い要因に対応する改善施策に関する情報を出力する、請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記出力部は、
前記指標を表示する表示画面を出力し、
前記表示画面で選択された前記指標と因果関係がある前記ユーザのモチベーションを示す情報、又は前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を前記表示画面に表示する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記出力部は、
複数の前記指標を前記表示画面に表示し、
前記表示画面で選択された前記指標と因果関係がある前記ユーザのモチベーションを示す情報、又は前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を優先的に前記表示画面に表示する、
請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記表示画面で選択された前記指標と因果関係がある前記ユーザのモチベーションを示す情報、又は前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報のうち、基準値との比較結果がより悪い情報を優先的に前記表示画面に表示する、請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項18】
ユーザが利用する端末装置と、前記端末装置と通信可能な情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記端末装置において入力されたユーザに対する調査への回答から前記ユーザのモチベーションを示す情報を取得する第1の取得部と、
前記調査において前記端末装置で取得した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を取得する第2の取得部と、
前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とに基づいて、組織に関連付けられた指標を算出する算出部と、
前記指標を出力する出力部と、
を有し、
前記端末装置は、前記ユーザのモチベーションを示す情報を前記情報処理装置に送信する通信部を有する、
情報処理システム。
【請求項19】
ユーザ利用する端末装置が実行されるプログラムと、前記端末装置と通信可能な情報処理装置とを含む情報処理装置であって、
前記情報処理装置は、
前記端末装置において入力されたユーザに対する調査への回答から前記ユーザのモチベーションを示す情報を取得する第1の取得部と、
前記調査において前記端末装置で取得した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を取得する第2の取得部と、
前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とに基づいて、組織に関連付けられた指標を算出する算出部と、
前記指標を出力する出力部と、
を有し、
前記プログラムは、
前記端末装置に、前記ユーザのモチベーションを示す情報を前記情報処理装置に送信する処理を実行させる、
情報処理システム。
【請求項20】
端末装置において入力されたユーザに対する調査への回答から前記ユーザのモチベーションを示す情報を取得する処理と、
前記調査において前記端末装置で取得した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を取得する処理と、
前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とに基づいて、組織に関連付けられた指標を算出する処理と、
前記指標を出力する処理と、
をコンピュータが実行する、情報処理方法。
【請求項21】
端末装置において入力されたユーザに対する調査への回答から前記ユーザのモチベーションを示す情報を取得する処理と、
前記調査において前記端末装置で取得した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を取得する処理と、
前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とに基づいて、組織に関連付けられた指標を算出する処理と、
前記指標を出力する処理と、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人員のパフォーマンスの向上や低下を予測するために、勤怠情報と健康診断情報に基づいて、パフォーマンス予測値を導出する業務支援システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術では、勤怠情報と健康診断情報とに基づく指標の可視化はできたが、ユーザのモチベーションを考慮した指標を可視化できないという問題がある。
【0004】
本発明の一実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ユーザのモチベーションを考慮した指標を可視化できる情報処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、一実施形態に係る情報処理装置は、端末装置において入力されたユーザに対する調査への回答から前記ユーザのモチベーションを示す情報を取得する第1の取得部と、前記調査において前記端末装置で取得した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を取得する第2の取得部と、前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とに基づいて、組織に関連付けられた指標を算出する算出部と、前記指標を出力する出力部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、ユーザのモチベーションを考慮した指標を可視化できる情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の例を示す図である。
図2】一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
図3】一実施形態に係る情報端末のハードウェア構成の例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る情報処理システムの機能構成の例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係るサーベイ処理の例を示すフローチャートである。
図6】第1の実施形態に係る端末装置の表示画面のイメージを示す図(1)である。
図7】第1の実施形態に係る自律神経指標の測定処理の例を示すフローチャートである。
図8】第1の実施形態に係る端末装置の表示画面のイメージを示す図(2)である。
図9】第1の実施形態に係る個人レポートの出力処理の例を示すフローチャートである。
図10】第1の実施形態に係る改善策DBのイメージを示す図である。
図11】第1の実施形態に係る個人レポートの例を示す図である。
図12】第1の実施形態に係る比較画面の例を示す図である。
図13】第1の実施形態に係る組織レポートの出力処理の例を示すフローチャートである。
図14】第1の実施形態に係る組織レポートの例を示す図(1)である。
図15】第1の実施形態に係る組織レポートの例を示す図(2)である。
図16】第1の実施形態に係る組織レポートの例を示す図(3)である。
図17】第1の実施形態に係る組織レポートの例を示す図(4)である。
図18】第2の実施形態に係る情報処理装置の機能構成の例を示す図である。
図19】第2の実施形態に係る情報処理装置の処理の例を示すフローチャートである。
図20】第3の実施形態に係る情報処理装置の機能構成の例を示す図である。
図21】第3の実施形態に係る個人レポートの出力処理の例を示すフローチャートである。
図22】第3の実施形態に係る組織レポートの出力処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態(本実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
<システム構成>
図1は、一実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の例を示す図である。情報処理システム1は、例えば、インターネット、及びLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNに接続された、複数の端末装置10a、10b、10c、・・・、情報処理装置100、及び管理者102等を含む。なお、以下の説明において、端末装置10a、10b、10c、・・・のうち、任意の端末装置を示す場合、「端末装置10」を用いる。
【0010】
端末装置10は、評価対象となる環境において、ユーザ101a、101b、101c、・・・が利用するPC(Personal Computer)、タブレット端末、又はスマートフォン等のコンピュータである。なお、以下の説明において、ユーザ101a、101b、101c、・・・のうち、任意のユーザを示す場合、「ユーザ101」を用いる。
【0011】
具体的な一例として、ユーザ101は、企業の従業員であり、端末装置10は、従業員が業務に利用するコンピュータである。なお、企業は組織の一例であり、従業員は組織の構成員の一例である。
【0012】
端末装置10は、端末装置10に内蔵された撮像装置11、又は端末装置10に接続された撮像装置12等で、端末装置10を利用するユーザの画像(動画像)を撮像できるように構成されている。
【0013】
情報処理装置100は、例えば、コンピュータの構成を備えた情報処理装置、又は複数のコンピュータを含むシステムである。情報処理装置100は、端末装置10を用いて、ユーザ101のモチベーションを示す情報(以下、モチベーション指標と呼ぶ)と、ユーザ101の健康に関するコンディションを示す情報(以下、コンディション指標と呼ぶ)とを取得する。また、情報処理装置100は、取得した情報に基づいて、組織に関連付けられた指標を予測し、出力する機能を有している。
【0014】
具体的な一例として、ユーザ101は、企業の従業員であり、情報処理装置100は、従業員のモチベーション指標とコンディション指標とに基づいて、企業が管理する健康経営指標に関する情報を提供する、健康経営支援サービスを提供する。
【0015】
ここで、健康経営指標は、企業が健康経営のために管理している指標であり、健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することである。
【0016】
一例として、企業は、健康経営指標を用いて健康経営を実践することで、経済産業省が定める健康経営優良法人認定制度の認定や、米国において、American College of Occupational and Environmental MedicineからExcellence in Corporate Health Achievement Award (eCHAA)の表彰を受けることができる。
【0017】
健康経営指標は、例えば「ワーク・エンゲージメント」、「従業員エンゲージメント」、「プレゼンティーイズム」、「アブセンティーイズム」、「離職率」、「休職率」、「業務パフォーマンス評価」、「ストレスチェック点数」、「主観的健康感」、「仕事満足度」、「BMI、血圧、血糖値、脂質などの健康リスク指標」、「要受診者率」、「ウェルビーイング指標」、又は「ヒヤリハット件数」等を含む。なお、健康経営指標は、企業が健康経営のために管理している指標であればよく、例えば、経済産業省の健康投資管理会計ガイドラインに記載されている、「健康投資施策の取り組み状況に関する指標」、「従業員等の意識変容・行動変容に関する指標」、「健康関連の最終的な目標指標」等の指標を用いてもよいし、経済産業省やAmerican College of Occupational and Environmental Medicineが推奨する他の指標を用いてもよい。また、情報処理装置100が出力する健康経営指標は、1つ以上の任意の数であってよい。
【0018】
モチベーション指標は、例えば、ハーズバーグの二要因理論における動機付け要因と衛生要因に含まれる要因をアンケート形式により評価し、その結果を点数化した指標等である。動機付け要因は、仕事に対する満足をもたらす要因であり、例えば「仕事のやりがい」、「仕事の達成感」、「評価」、「上司や同僚からの承認」、「成長」、又は「責任」等を含む。なお、動機付け要因は、仕事に対する満足をもたらす要因であれば、他の要因を用いてもよい。
【0019】
衛生要因は、仕事に対する不満をもたらす要因であり、例えば、「会社の方針と管理」、「労働条件」、「対人関係」、「監督」、「身分」、「公平な給与」、「保障」、「人事制度」、又は「私生活」等を含む。なお、衛生要因は、仕事に対する不満をもたらす要因であれば、他の要因を用いてもよい。
【0020】
コンディション指標は、従業員(ユーザ101)のコンディションを表す指標である。本実施形態では、コンディション指標に、少なくとも自律神経指標が含まれる。好ましくは、情報処理システム1は、自律神経指標を、従業員(ユーザ101)が、業務に使用する端末装置10に内蔵された撮像装置11、又は端末装置10に接続された撮像装置12等を利用して取得する。
【0021】
自律神経指標は、例えば、脈波変動解析、又は心拍変動解析等によって算出される指標であり、例えば、「LF/HF」、「TP」、「LF」、「HF」、「VLF」、「HR」、「SDNN」、又は「CVRR」等を含む。自律神経指標は、客観的な指標であるため、従来のアンケート形式による主観的な評価で発生する問題がなく、ユーザ101のコンディションをより正しく評価することができる。なお、主観的な評価で発生する問題には、例えば、「本人がコンディションを正しく自覚できていない」、又は「コンディションを正しく自覚できているものの正直に回答しない」等の問題が含まれる。
【0022】
また、発明者らの検討により、自律神経指標は各健康経営指標に共通して影響する指標であることが分かっている。そのため、コンディション指標として自律神経指標を用いることで、各健康経営指標を、より少ないパラメータで精度良く予測することができる。また、自律神経指標を、ユーザ101が業務に使用する端末装置10に内蔵された撮像装置11、又は端末装置10に接続された撮像装置12等を用いて取得するため、業務場所によらずにサーベイを実施することができる。
【0023】
例えば、本実施形態に係る情報処理システム1は、従業員(ユーザ101)が自宅でリモートワークしているとき、又は出張中等でもサーベイを実施することできるので、従業員(ユーザ101)のコンディション指標をリアルタイムに把握することが可能になる。
なお、自律神経指標以外のコンディション指標には、例えば、呼吸数、酸素飽和度、血圧、体重、体組成等のバイタルデータ、疲労感、ストレス感、眠気感、又は食事を十分にとれているか等の主観データが含まれ得る。
【0024】
管理者端末20は、管理者102が利用する、例えば、PC、タブレット端末、又はスマートフォン等のコンピュータである。管理者102は、管理者端末20を用いて、情報処理装置100が予測した指標、及び情報処理装置100が取得したユーザ101のモチベーション指標とコンディション指標等を把握することができる。
【0025】
具体的な一例として、管理者端末20は、情報処理装置100が提供する健康経営支援サービスを導入した企業の管理者ユーザが業務に使用する端末装置である。管理者ユーザには、例えば、当該企業に所属する管理職、又は人事担当者等が含まれる。また、管理者ユーザには、例えば、当該企業に所属、又は当該企業と契約している産業医又は保健師等の産業保健スタッフ等が含まれる。
【0026】
管理者端末20は、撮像装置を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。管理者ユーザは、業務場所(例えば、事業所や外出先、自宅等)において、ウェブブラウザ、又は、情報処理システム1に対応するアプリケーション等を用いて、健康経営支援サービスの管理者向け機能を利用することができる。
【0027】
なお、従来の技術では、例えば、センスサーベイ、又はパルスサーベイ等により、健康経営指標を把握していた。しかし、センスサーベイは、設問数が多く高精度であるが、実施される頻度が低い(例えば、年に1回等)という問題がある。また、パルスサーベイは、設問数が少ないため、高頻度(例えば、週に1回、又は月に1回等)に実施することができるが、主観評価のみなので、高精度でないという問題がある。
【0028】
一方、本実施形態に係る情報処理装置100は、ユーザ101のモチベーション指標と、ユーザ101が利用する端末装置10を用いて測定した自律神経指標を含むコンディション指標とを用いて、健康経営指標を算出する。自律神経指標は、前述したように、各健康経営指標に共通して影響する客観指標であることが分かっており、情報処理装置100は、本指標を用いることで各健康経営指標を高精度で予測することができる。また、情報処理装置100は、ユーザ101が利用する端末装置10を用いて、自律神経指標を取得できるので、自律神経指標を取得するサーベイを高頻度で実施することができる。従って、本実施形態に係る情報処理装置100によれば、企業が管理する健康経営指標等を、高精度、かつ高頻度に把握することができるようになる。
【0029】
なお、企業が管理する健康経営指標は、組織に関連付けられた指標の一例である。例えば、情報処理装置100は、企業以外の様々な組織において、組織に関連付けられた様々な指標を予測するものであってよい。また、サーベイは、調査の一例であり、調査にはサーベイの他に、アンケート、又は投票等といったものが含まれてもよい。
【0030】
<ハードウェア構成>
端末装置10、管理者端末20、及び情報処理装置100は、例えば、図2に示すようなコンピュータ200のハードウェア構成を備えている。なお、情報処理装置100は、複数のコンピュータ200によって構成されるものであってもよい。また、端末装置10、又は管理者端末20は、図3で後述する情報端末のハードウェア構成を有していてもよい。
【0031】
(コンピュータのハードウェア構成)
図2は、一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。コンピュータ200は、例えば、図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、HD(Hard Disk)204、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ205、ディスプレイ206、外部機器接続I/F(Interface)207、ネットワークI/F208、キーボード209、ポインティングデバイス210、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ212、メディアI/F214、及びバスライン215等を備えている。
【0032】
これらのうち、CPU201は、コンピュータ200全体の動作を制御する。ROM202は、例えば、起動用ファイル等のコンピュータ200の起動に用いられるプログラム、及びデータ等を記憶する。RAM203は、例えば、CPU201のワークエリア等として使用される。
【0033】
HD204は、例えば、OS(Operating System)、アプリケーション、デバイスドライバ等のプログラム、及び各種データ等を記憶する。HDDコントローラ205は、例えば、CPU201の制御に従ってHD204に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、HD204、及びHDDコントローラ205は、コンピュータ200が備えるストレージデバイスの一例である。
【0034】
ディスプレイ206は、例えば、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。なお、ディスプレイ206は、コンピュータ200の外部に設けられていてもよい。外部機器接続I/F207は、コンピュータ200に、外部装置を接続するためのインタフェースである。ここで、外部装置には、例えば、撮像装置12等が含まれる。なお、コンピュータ200は、撮像装置11を内蔵していてもよい。
【0035】
ネットワークI/F208は、例えば、通信ネットワークN等を利用してデータ通信をするためのインタフェースである。キーボード209は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス210は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行なう入力手段の一種である。なお、キーボード209、及びポインティングデバイス210は、コンピュータ200の外部に設けられていてもよい。
【0036】
DVD-RWドライブ212は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW211に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RW211は、DVD-RWに限らず、他の着脱可能な記録媒体であってもよい。メディアI/F214は、フラッシュメモリ等のメディア213に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。バスライン215は、上記の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバス、データバス及び各種の制御信号等を含む。
【0037】
(情報端末のハードウェア構成)
図3は、一実施形態に係る情報端末のハードウェア構成の一例を示す図である。端末装置10は、例えば、図3に示すような情報端末300のハードウェア構成を有していてもよい。
【0038】
図3に示されているように、情報端末300は、CPU301、ROM302、RAM303、ストレージデバイス304、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ305、撮像素子I/F306、加速度・方位センサ307、メディアI/F309、GPS(Global Positioning System)受信部310を備えている。
【0039】
これらのうち、CPU301は、所定のプログラムを実行することにより情報端末300全体の動作を制御する。ROM302は、例えば、IPL(Initial Program Loader)等のCPU301の起動に用いられるプログラムを記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリア等として使用される。ストレージデバイス304は、OS、アプリケーション等のプログラム、及び各種のデータ等を記憶する大容量の記憶装置である。
【0040】
CMOSセンサ305は、CPU301の制御に従って被写体(主に自画像)を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、情報端末300は、CMOSセンサ305に代えて、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像手段を有していてもよい。撮像素子I/F306は、CMOSセンサ305の駆動を制御する回路である。なお、CMOSセンサ305、及び撮像素子I/F306は、端末装置10が内蔵する撮像装置11の一例である。
【0041】
加速度・方位センサ307は、地磁気を検知する電子磁気コンパスやジャイロコンパス、加速度センサ等の各種センサである。メディアI/F309は、フラッシュメモリ等のメディア(記憶メディア)308に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。GPS受信部310は、GPS衛星からGPS信号(測位信号)を受信する測位デバイスである。
【0042】
また、情報端末300は、遠距離通信回路311、遠距離通信回路311のアンテナ311a、CMOSセンサ312、撮像素子I/F313、マイク314、スピーカ315、音入出力I/F316、ディスプレイ317、外部機器接続I/F318、近距離通信回路319、近距離通信回路319のアンテナ319a、及びタッチパネル320等を備えている。
【0043】
これらのうち、遠距離通信回路311は、例えば、通信ネットワークNを介して、他の装置と通信する回路である。CMOSセンサ312は、CPU301の制御に従って被写体を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。撮像素子I/F313は、CMOSセンサ312の駆動を制御する回路である。マイク314は、音を電気信号に変える内蔵型のデバイスである。スピーカ315は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型のデバイスである。音入出力I/F316は、CPU301の制御に従ってマイク314及びスピーカ315との間で音波信号の入出力を処理する回路である。
【0044】
ディスプレイ317は、被写体の画像や各種アイコン等を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示手段の一種である。外部機器接続I/F318は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。近距離通信回路319は、近距離無線通信を行う回路を含む。タッチパネル320は、利用者がディスプレイ317を押下することで、情報端末300を操作する入力手段の一種である。
【0045】
また、情報端末300は、バスライン321を備えている。バスライン321は、図3に示されているCPU301等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバス、データバス、及び各種の制御信号等を含む。
【0046】
<機能構成>
[第1の実施形態]
図4は、第1の実施形態に係る情報処理システムの機能構成の例を示す図である。
【0047】
(情報処理装置の機能構成)
情報処理装置100は、例えば、HD204等の記憶媒体に記憶した所定のプログラムをCPU201が実行することにより、通信部401、第1の取得部402、第2の取得部403、算出部404、要因分析部405、設定受付部406、及び出力部407等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0048】
また、情報処理装置100は、例えば、CPU201が実行するプログラム、HD204、及びHDDコントローラ205等により、記憶部408を実現している。
【0049】
通信部401は、例えば、ネットワークI/F208等を用いて、情報処理装置100を通信ネットワークNに接続し、端末装置10、又は管理者端末20等の他の装置と通信する通信処理を実行する。
【0050】
第1の取得部402は、端末装置10において入力されたユーザ101に対する調査への回答からユーザ101のモチベーション指標(モチベーションを示す情報)を取得する第1の取得処理を実行する。例えば、第1の取得部402は、パルスサーベイのように、短時間で回答できる簡単な質問を行う主観評価画面を端末装置10に表示させ、ユーザ101による回答に基づいて、ユーザ101のモチベーション指標を取得する。また、第1の取得部402は、取得したユーザ101のモチベーション指標に、ユーザ101を識別する識別情報を付加して、ユーザごとに時系列に記憶部408等に記憶して管理する。
【0051】
第2の取得部403は、上述したユーザ101に対する調査において、端末装置10で取得したユーザ101の健康に関するコンディションを示す情報(以下、コンディション指標と呼ぶ)を取得する第2の取得処理を実行する。例えば、第2の取得部403は、端末装置10に内蔵された撮像装置11、又は端末装置10に接続された撮像装置12を用いて、ユーザ101を撮像した撮像画像に基づいて測定した、ユーザ101の自律神経指標を取得する。また、第2の取得部403は、取得したユーザ101の自律神経を示す情報(自律神経指標)を含むコンディション指標に、ユーザ101を識別する識別情報を付加して、ユーザごとに時系列に記憶部408等に記憶して管理する。なお、自律神経指標の取得処理の具体的な処理の例については後述する。
【0052】
なお、第2の取得部403は、主観評価画面を端末装置10に表示させ、ユーザ101による回答に基づいて、ユーザ101のコンディション指標(ユーザ101の健康に関するコンディションを示す情報)を取得してもよい。このように、ユーザ101のコンディション指標は、ユーザ101の健康に関する主観的な情報であってもよいし、ユーザ101の健康に関する客観的な情報であってもよい。また、ユーザ101の健康に関するコンディション指標は、ユーザ101の健康に関する客観的な情報と主観的な情報の組合せであってもよい。
【0053】
なお、第1の取得部402、及び第2の取得部403の機能は、例えば、図4に示すように、1つのサーベイ実行部410によって実現されるものであってもよい。
【0054】
算出部404は、ユーザ101のモチベーション指標と、ユーザ101の健康に関するコンディション指標とに基づいて、組織に関連づけられた指標を算出する算出処理を実行する。
【0055】
具体的な一例として、算出部404は、組織の構成員のモチベーション指標と、当該構成員のコンディション指標とを説明変数とし、当該組織が管理する健康経営指標を目的変数として作成した予測モデルを用いて、健康管理指標を算出する。なお、組織が管理する健康管理指標は、組織に関連付けられた指標の一例である。なお、算出部404は、予測モデルを利用するケースに限られず、例えば、所定の評価式等に基づいて、組織に関連付けられた指標を算出してもよい。
【0056】
なお、記憶部408には、組織に関連付けられた指標を予測する複数の予測モデル414が記憶されており、算出部404は、複数の予測モデル414を用いて、複数の指標を算出することができる。好ましくは、複数の予測モデル414には、健康経営指標を予測する1つ以上の健康経営指標予測モデルが含まれる。
【0057】
健康経営指標予測モデルは、コンディション指標とモチベーション指標から健康経営指標を予測するモデルであり、事前に作成されて情報処理装置100の記憶部408等に記憶されている。健康経営指標予測モデルは、例えば、複数の被験者について、コンディション指標とモチベーション指標と健康経営指標のデータセットを取得し、コンディション指標とモチベーション指標を説明変数、健康経営指標を目的変数として作成する。例えば、健康経営指標予測モデルは、多変量解析、ベイジアンネットワーク、又は機械学習等の手法を用いて作成することができる。
【0058】
多変量解析の手法としては、例えば、重回帰分析、又はロジスティクス回帰分析等の公知の手法を適用することができる。例えば、重回帰分析により各説明変数の係数となるパラメータを求めることで、説明変数であるコンディション指標とモチベーション指標から目的変数である健康経営指標を予測する健康経営指標予測モデルを作成することができる。
【0059】
ベイジアンネットワークの手法としても、公知のベイジアンネットワークの手法を適用して予測モデルのパラメータを求めることで、健康経営指標予測モデルを作成することができる。
【0060】
機械学習の手法としても、公知の機械学習の手法を適用することができる。例えば、決定木、ランダムフォレスト、XGBoost(eXtreme Gradient Boosting)、サポートベクターマシン(SVM)、又はニューラルネットワーク等の手法を用いて予測モデルのパラメータを求めることで、健康経営指標予測モデルを作成することができる。
【0061】
健康経営指標予測モデルは、健康経営指標別に作成し、予測する健康経営指標に応じて対応する健康経営指標予測モデルを使用することが望ましい。説明変数として用いるコンディション指標とモチベーション指標は直近のデータのみでもよいが、過去のデータを含めると予測精度を高めることができる。例えば、所定の期間以内(例えば1か月以内)にデータが存在する場合は、そのデータも含めて説明変数とするとよい。所定の期間以内のデータの平均値や変化量などの特徴量を説明変数として用いてもよい。また、コンディション指標とモチベーション指標以外の情報を説明変数に加えてもよい。例えば、後述するユーザ101の勤務情報等を説明変数に加えてもよい。
【0062】
また、算出部404は、算出した指標に、ユーザ101を識別する識別情報を付加して、ユーザごとに時系列に記憶部408等に記憶して管理する。
【0063】
要因分析部405は、組織に関連付けられた指標への影響度が高い要因を分析する要因分析処理を実行する。具体的な例として、要因分析部405は、健康経営指標に対する要因分析を行い、健康経営指標を改善するために対策をうつべき要因の優先順位を決定する。要因は、例えば、コンディション低下、モチベーション低下、業務量、業務内容、過度なプレッシャー、人間関係、職場の支援不足、評価・報酬、ワークライフバランス、又は心理的資本の低下等であり、健康経営指標を予測する説明変数の分析から推定できる情報である。優先順位は、例えば、各説明変数の偏差値を算出し、偏差値が低い説明変数ほど優先順位が高くなるように決定すればよい。
【0064】
偏差値が低い説明変数は、健康経営指標の予測値を引き下げており、かつ偏差値が高い組織の施策を真似することで改善できる可能性が高いため、偏差値が低い説明変数に対して対策をうつことで健康経営指標を改善することができる。優先順位を決定するための情報は偏差値に限らず、他の情報を用いてもよい。例えば、優先順位を決定するための情報は、健康経営予測モデルを作成する際に得られる各説明変数の影響度や、平均値より低い説明変数が平均値まで改善したと想定したときの健康経営指標の改善量、変化量の大きい要因、改善のためにかかるコストなどを用いてもよい。
【0065】
設定受付部406は、情報処理システム1に関する様々な設定を受け付ける設定受付処理を実行する。例えば、設定受付部406は、健康経営指標の設定、健康経営指標の重要度の設定、個人レポートの表示方法の設定、又は組織レポートの表示方法の設定等を受け付ける。
【0066】
出力部407は、算出部404が算出した指標等を出力する出力処理を実行する。例えば、出力部407は、通信部401を介して、ユーザ101に対する個人レポートを端末装置10に送信する。また、出力部407は、通信部401を介して、管理者102に対する組織レポートを管理者端末20に送信する。或いは、出力部407は、管理者102に対する組織レポートを、情報処理装置100が備えるディスプレイ206等の表示部に表示してもよい。
【0067】
ユーザ101に対する個人レポートには、例えば、第1の取得部402が取得したモチベーション指標、第2の取得部403が取得したコンディション指標、要因分析部405が分析した要因等の情報が含まれる。
【0068】
好ましくは、個人レポートには、要因分析部405が分析した要因を改善するための改善策等の情報が含まれる。例えば、出力部407は、各要因に対応する改善策を予め記憶した改善策DB(Database)415から、要因分析部405が分析した要因に対応する改善策を取得することができる。
【0069】
個人レポートにより、ユーザ101は、自身の客観的なコンディション状態を把握したり、コンディション状態やモチベーション状態を改善するための情報を取得したりすることができ、健康経営指標を改善するための取り組みを実施できるようになる。
【0070】
管理者102に対する組織レポートには、管理者102が管理する組織について、例えば、第1の取得部402が取得したモチベーション指標、第2の取得部403が取得したコンディション指標、及び算出部404が算出した指標等が含まれる。好ましくは、組織レポートには、要因分析部405が分析した要因、及び要因を改善するための改善策等の情報がさらに含まれる。
【0071】
組織レポートにより、管理者102は、自身が管理する組織におけるコンディション状態やモチベーション状態を把握したり、コンディション状態やモチベーション状態を改善するための情報を取得したりすることができ、健康経営指標を改善するための取り組みを実施できるようになる。また、情報処理システム1を導入した企業は、当該企業が管理する健康経営指標を、高精度、かつ高頻度に把握することができるようになる。
【0072】
記憶部408は、例えば、複数のユーザ101のモチベーション指標411、コンディション指標412、算出した指標413、複数の予測モデル414、及び改善策DB415等を含む様々な情報、又はデータを記憶する。
【0073】
(端末装置の機能構成)
ここでは、端末装置10が、図2で説明したコンピュータ200のハードウェア構成を有しているものとして、以下の説明を行う。
【0074】
端末装置10は、例えば、HD204等の記憶媒体に記憶した所定のプログラムをCPU201が実行することにより、通信部421、表示制御部422、操作受付部423、及び測定部424等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0075】
通信部421は、例えば、ネットワークI/F208等を用いて、端末装置10を通信ネットワークNに接続し、情報処理装置100等の他の装置と通信する通信処理を実行する。
【0076】
表示制御部422は、例えば、情報処理装置100が提供する主観評価画面、測定画面、又は個人レポート等の表示画面を、ディスプレイ206等の表示部に表示する表示制御処理を実行する。なお、表示制御部422は、端末装置10が実行する、情報処理システム1に対応するアプリケーション(以下、アプリと呼ぶ)で作成した、主観評価画面、又は測定画面等の表示画面を表示部に表示してもよい。
【0077】
操作受付部423は、例えば、表示制御部422が表示部等に表示した表示画面等に対するユーザ101の操作を受け付ける操作受付処理を実行する。
【0078】
測定部424は、ユーザ101を撮像した画像に基づいて、ユーザ101の自律神経指標を測定する測定処理の一部、又は全部を実行する。
【0079】
なお、通信部421は、例えば、表示制御部422が表示した主観評価画面に対するユーザ101の回答、又はユーザ101の回答に基づくモチベーション指標等のモチベーションを示す情報を、情報処理装置100に送信する。また、通信部421は、測定部424が実行する、ユーザ101の自律神経指標の測定に関するデータを、情報処理装置100に送信する。
【0080】
(管理者端末の機能構成)
ここでは、管理者端末20が、図2で説明したコンピュータ200のハードウェア構成を有しているものとして、以下の説明を行う。
【0081】
管理者端末20は、例えば、HD204等の記憶媒体に記憶した所定のプログラムをCPU201が実行することにより、通信部431、表示制御部432、及び操作受付部433等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0082】
通信部431は、例えば、ネットワークI/F208等を用いて、管理者端末20を通信ネットワークNに接続し、情報処理装置100等の他の装置と通信する通信処理を実行する。
【0083】
表示制御部432は、例えば、情報処理装置100が提供する結果表示画面等の表示画面を、ディスプレイ206等の表示部に表示する表示制御処理を実行する。
【0084】
操作受付部433は、例えば、表示制御部432が表示部等に表示した表示画面等に対する管理者102の操作を受け付ける操作受付処理を実行する。なお、管理者端末20は、端末装置10と同様の機能構成を有していてもよい。
【0085】
<処理の流れ>
続いて、第1の実施形態に係る情報処理方法の処理の流れについて説明する。
【0086】
(サーベイ処理)
図5は、第1の実施形態に係るサーベイ処理の例を示すフローチャートである。この処理は、情報処理システム1が、ユーザ101のモチベーション指標、及びコンディション指標を取得するサーベイ処理の一例を示している。
【0087】
ステップS501において、サーベイ実行部410は、ユーザ101の端末装置10に対して、サーベイ依頼の通知を行う。サーベイ依頼の通知方法は、例えば、メール、チャット等でよい。好ましくは、サーベイ実行部410は、ユーザ101が通知に気付き易いように、ユーザ101が業務に使用しているメールアドレス、又はチャットサービスに対して通知する。
【0088】
サーベイ実行部410が、ユーザ101にサーベイ依頼を通知する頻度は、一例として、週に1回である。このサーベイ依頼の通知頻度は任意でよいが、ユーザ101の状態をよりリアルタイムに把握するために、月1回以上の頻度であることが望ましい。より好ましくは、このサーベイ依頼の通知頻度は、週1回以上の頻度であることが望ましい。
【0089】
また、このサーベイ依頼を通知する曜日は任意でよいが、ユーザ101の平常の状態を把握する目的の場合、連続勤務による負荷が蓄積されていない週休明けの曜日(土日休みの場合は月曜日)に通知することが望ましい。逆に、ユーザ101の負荷が蓄積された状態を把握する目的の場合、週休前の曜日(土日休みの場合は金曜日)に、サーベイ依頼を通知することが望ましい。
【0090】
さらに、このサーベイ依頼を通知する時間も任意でよいが、ユーザ101の平常の状態を把握する目的の場合、その日の業務による負荷が蓄積されていない始業前の時間に通知することが望ましい。逆に、ユーザ101の負荷が蓄積された状態を把握する目的の場合、業務終了時刻に近い時間帯に、サーベイ依頼を通知することが望ましい。
【0091】
なお、サーベイで取得する自律神経指標は曜日や時間によって変動があるため、ユーザ101が毎回同じような曜日・時間に実施できるように、毎回同じ曜日、及び時間に、サーベイ依頼を通知することが望ましい。また、前述した通知する方法、頻度、曜日、又は時間等の設定は、管理者102、又はユーザ101が設定できることが望ましい。
【0092】
ステップS502において、サーベイ実行部410は、端末装置10にログイン画面を表示させる。例えば、ユーザ101は、サーベイ依頼の通知を受け付けると、端末装置10のウェブブラウザを用いて、所定のURL(Uniform Resource Locator)にアクセスする。これに応じて、サーベイ実行部410は、情報処理装置100が提供するサービスにログインするためのログイン画面を、端末装置10に表示させる。
【0093】
情報処理装置100が提供するサービスへのログインは、例えば、ユーザ101が、端末装置10に表示されたログイン画面に、ログイン情報を入力することにより行う。ただし、ユーザ101が、情報処理装置100が提供するサービスにログインする方法は、任意の方法であってよい。例えば、情報処理装置100は、ユーザ101が業務に使用する他のシステムと連携し、ユーザ101の他のシステムのログイン情報を用いて、ログイン情報の入力なしにログインできる形としてもよい。
【0094】
好ましくは、サーベイ実行部410は、ユーザ101が最初にログインしたときに、ユーザ101によって入力された、ユーザ101の基本情報を、記憶部408等に記憶しておく。この基本情報には、例えば、ユーザ101の性別、年齢、生年月日、勤務形態(リモートワークを利用しているか等)、又は自律神経機能に影響する基礎疾患の有無等の情報が含まれる。
【0095】
ステップS503において、情報処理装置100が提供するサービスにユーザ101がログインした後、サーベイ実行部410は、端末装置10が表示する表示画面に、メニュー一覧を表示させる。メニュー一覧には、例えば、コンディション指標とモチベーション指標を取得するための「サーベイ開始」、サーベイ結果等を表示する「サーベイ結果」、及び個人レポート、或いは組織レポートを表示するための「ダッシュボード」等の項目が含まれる。ただし、メニュー一覧に表示される項目は、これに限られない。ユーザ101は、例えば、メニュー一覧から「サーベイ開始」を選択することにより、サーベイを開始する。
【0096】
ステップS504において、サーベイ実行部410は、端末装置10が表示する表示画面に、主観評価画面を表示し、ユーザ101による回答を取得する。
【0097】
図6は、第1の実施形態に係る端末装置の表示画面のイメージを示す図(1)である。図6の例では、端末装置10が表示する表示画面600には、メニュー一覧601と、主観評価画面603とが表示されている。ユーザ101は、例えば、メニュー一覧601から、サーベイ実施602を選択することにより、サーベイを開始することができる。
【0098】
主観評価画面603には、例えば、ユーザ101のコンディション、及びモチベーション等を評価するための設問が表示される。例えば、ユーザ101のコンディションを評価する場合、サーベイ実行部410は、「体調は良好ですか?」、又は「睡眠は十分にとれていますか?」等の設問を、主観評価画面603に表示する。なお、これらの設問は、ユーザ101のコンディションを評価できれば、他の設問であってもよい。
【0099】
また、ユーザ101のモチベーションを評価する場合、サーベイ実行部410は、例えば、動機付け要因に関する設問として、「現在の仕事の量と質は適切ですか?」等の設問を主観評価画面603に表示し、衛生要因に関する設問として「上司や同僚との人間関係は良好ですか?」等の設問を主観評価画面603に表示する。これらの設問は、ユーザ101のモチベーション状態を評価することができれば、他の設問でもよいが、経時で変化し易い「仕事のやりがい」、「仕事の量と質」、「職場の人間関係」、又は「仕事と個人生活とのバランス」等の設問が、少なくとも1つは含まれていることが望ましい。
【0100】
サーベイ実行部410は、主観評価画面603に、設問に対する回答の選択肢を合わせて表示し、ユーザ101が選択した回答を取得する。ここで、図5に戻り、フローチャートの説明を続ける。
【0101】
ステップS505において、サーベイ実行部410は、例えば、図7に示すような、自律神経指標の測定処理を実行する。
【0102】
ステップS506において、サーベイ実行部410は、ステップS504、S505で取得した取得データを、記憶部408等に記憶する。
【0103】
(自律神経指標の測定処理)
図7は、第1の実施形態に係る自律神経指標の測定処理の例を示すフローチャートである。この処理は、図5のステップS505において、情報処理システム1が実行する自律神経指標の測定処理の一例を示している。
【0104】
ステップS701において、端末装置10の測定部424は、情報処理装置100のサーベイ実行部410からの指示に基づき、撮像装置12を起動し、ユーザ101の動画の撮影を開始する。
【0105】
ステップS702において、測定部424は、撮像したユーザ101の動画像から、ユーザ101の肌領域を検知し、検知した肌領域に含まれるRGB値を抽出する。例えば、測定部424は、公知の顔検知技術により、ユーザ101目、鼻、及び口等の特徴点の座標位置を検出し、検出した座標位置に基づき顔の肌領域を検知する。ここで、肌領域には、少なくとも頬部が含まれることが望ましい。頬部は、顔の中でも脈波信号を検出し易い領域である。従って、測定部424は、頬部を含む肌領域を検知することで、脈波信号をより正確に算出することが可能となる。
【0106】
なお、肌領域の検知方法は、肌領域を検知することができれば、他の方法を用いてもよい。例えば、測定部424は、RGB値が一般的な肌色のRGB値の範囲に含まれる画素を抽出し、その画素の集合を肌領域として検知してもよい。
【0107】
また、測定部424は、図8に示すように、端末装置10が表示する表示画面800に、ユーザ101の動画像802を表示し、ユーザ101による肌領域の指定操作等に基づいて、肌領域を特定してもよい。
【0108】
さらに、測定部424は、肌領域を複数に分割して検知してもよい。例えば、測定部424は、左側の頬を含む領域、右側の頬を含む領域、鼻を含む領域などの複数の領域に分けて肌領域を検知してもよい。
【0109】
ステップS703において、測定部424は、検知した肌領域に含まれる画素のRGB値を抽出する。例えば、測定部424は、肌領域に含まれる画素のR(Red)値、G(Green)値、B(Blue)値をそれぞれ加算平均した値を肌領域のRGB値として抽出する。加算平均したRGB値を用いることで、測定部424は、脈波に対するノイズの影響を低減することができ、脈波信号をより正確に算出することが可能となる。RGB値の抽出方法は、脈波の情報を含むRGB値を抽出できれば、他の方法を用いてもよい。例えば、測定部424は、肌領域に含まれ画素のR値、G値、B値それぞれの中央値を肌領域のRGB値として抽出してもよい。測定部424は、抽出したRGB値を情報処理装置100に送信する。
【0110】
ステップS704において、情報処理装置100の第2の取得部403は、端末装置10から受信した肌領域のRGB値から、脈波信号を算出する。例えば、第2の取得部403は、肌領域のRGB値の時系列データから、独立主成分分析の手法を用いて脈拍に伴う信号変化成分である脈波信号を算出する。脈波信号は、脈拍に応じて周期的に信号値が変化する時系列データである。脈波信号の算出方法は、脈波成分を取得することができれば、他の方法を用いてもよい。例えば、第2の取得部403は、脈波成分が最も多く含まれるG値を脈波信号として用いてもよいし、G値とR値またはB値との差分や比をとった値を脈波信号として用いてもよい。
【0111】
ステップS705において、第2の取得部403は、算出した脈波信号から脈拍間隔を算出する。脈拍間隔の算出は、既存の技術を適用することができる。例えば、第2の取得部403は、脈波信号がピークとなる時間を検出し、隣り合うピーク間の時間間隔から脈拍間隔を算出する。
【0112】
ステップS706において、第2の取得部403は、算出した脈拍間隔の時系列データの時間間隔が等間隔になるように、リサンプリングを行う。リサンプリングの時間間隔は、例えば0.25秒とする。リサンプリングする経過時間における信号値は、例えば補間により求めればよい。補間の方法としては、線形補間やスプライン補間等を用いることができる。
【0113】
ステップS707において、第2の取得部403は、算出した脈拍間隔の時系列データから、パワースペクトルを算出する。パワースペクトルを算出する方法は、公知の周波数解析手法を用いることができる。例えば、第2の取得部403は、最大エントロピー法によって指定の周波数におけるパワーを算出する。パワーの算出におけるラグ等のパラメータは適切な値を設定する。
【0114】
ステップS708において、第2の取得部403は、算出したパワースペクトルに基づき、自律神経指標を算出する。自律神経指標は、例えば、自律神経機能のバランスを表すLF/HF値、又は自律神経機能全体の働きを表すTP値を用いることができる。LF/HF値やTP値は、公知の方法を用いて算出することができる。例えば、第2の取得部403は、0.04~0.15Hzの周波数帯のパワー積分値をLF値、0.15~0.40Hzの周波数帯のパワー積分値をHF値とし、両者の比をとることでLF/HF値を算出し、両者の和をとることでTP値を算出することができる。
【0115】
なお、図5で説明したサーベイ処理、及び図7で説明した自律神経指標の測定処理は一例である。例えば、端末装置10は、情報処理システム1に対応するアプリケーション(以下、アプリと呼ぶ)を実行することにより、サーベイ処理、又は自律神経指標の測定処理を端末装置10側で実行し、実行結果を情報処理装置100に送信してもよい。この場合、情報処理装置100は、サーベイ処理を実行せず、第1の取得部402、及び第2の取得部403は、端末装置10からモチベーション指標、及びコンディション指標を取得すればよい。
【0116】
或いは、端末装置10は、情報処理システム1に対応するアプリを実行することにより、脈波データを測定し、測定した脈波データを情報処理装置100に送信してもよい。この場合、第2の取得部403は、端末装置10から受信した脈波データに基づいて、自律神経指標を算出する処理を行えばよい。
【0117】
(個人レポートの出力処理1)
図9(A)は、第1の実施形態に係る個人レポートの出力処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、ユーザ101が、端末装置10を利用して、個人レポートを出力する処理の一例を示している。なお、ここでは、情報処理装置100が予測する、ユーザ101のパフォーマンスを示す複数の指標が、健康経営指標であるものとして、以下の説明を行う。
【0118】
ステップS901において、ユーザ101は、端末装置10を用いて、図5のステップS502~S506で説明したサーベイ処理を実行する。この処理は、ユーザ101が、情報処理装置100からサーベイ依頼の通知を受けていないときに実行してもよい。
【0119】
ステップS902において、算出部53は、サーベイ処理で記憶部408等に記憶したユーザ101のモチベーション指標と、コンディション指標とを用いて、健康経営指標を算出する。例えば、算出部53は、記憶部408に記憶した複数の予測モデル414のうち、予測対象となる健康経営指標を予測する予測モデル414に、ユーザ101のモチベーション指標とコンディション指標とを入力することにより、健康経営指標を算出する。
【0120】
ステップS903において、要因分析部405は、予測した健康経営指標に影響する要因を分析する。例えば、要因分析部405は、健康経営指標に対する要因分析を行い、健康経営指標を改善するために対策をうつべき要因の優先順位を決定する。
【0121】
ステップS904において、出力部407は、ユーザ101が利用する端末装置10に表示させる個人レポートを作成する。例えば、出力部407は、取得したモチベーション指標とコンディション指標、予測した健康経営指標、及び分析した要因等に基づいて、個人レポートを作成する。
【0122】
ステップS905において、出力部407は、作成した個人レポートを端末装置10に出力する。
【0123】
(個人レポートの出力処理2)
図9(B)は、第1の実施形態に係る個人レポートの出力処理の別の一例を示すフローチャートである。この処理は、ユーザ101が、端末装置10を利用して、個人レポートを出力する処理の別の一例を示している。なお、図9(B)に示した処理のうち、ステップS901~S903、S905の処理は、図9(A)で説明した処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0124】
ステップS911において、要因分析部405は、記憶部408等に記憶した改善策DB415から、ステップS903で分析した要因に対応する改善策を取得する。
【0125】
図10は、第1の実施形態に係る改善策DBのイメージを示す図である。改善策DB415には、「要因」と、「改善策」とが対応付けて記憶されている。「要因」は、例えば、予測結果が良くない健康経営指標の要因、又は複数の要因の組合せである。「改善策」は、各要因、又は複数の要因の組合せに対する改善策である。改善策は、例えば、産業医紹介、専門人材紹介、業務可視化、マネージャー研修、チームビルディング研修、1on1支援、コーチング、心理的資本外ガイディング研修、EAP(従業員支援プログラム)、フィットネス、睡眠サポート、ナレッジ共有、コミュニケーション創出・活性化、内部通報窓口、又はレジリエンス研修などに関する情報若しくはサービスの紹介等を含む。
【0126】
ステップS912において、出力部407は、ユーザ101が利用する端末装置10に表示させる個人レポートを作成する。例えば、出力部407は、取得したモチベーション指標とコンディション指標、予測した健康経営指標、分析した要因、及び取得した改善策等に基づいて、個人レポートを作成する。
【0127】
(個人レポートの例)
図11は、第1の実施形態に係る個人レポートの例を示す図である。この図は、例えば、図9のステップS912において、出力部407が作成する個人レポートの一例のイメージを示している。
【0128】
図11の例では、個人レポート1100は、グラフ部1110、数値部1120、及び要因部1130等を含む。グラフ部1110は、分析結果をグラフで表示する領域である。一例として、出力部407は、グラフ部1110に、図12(A)に示すように、コンディション指標の数値を横軸、モチベーション指標の数値を縦軸としたグラフ1201を表示する。例えば、出力部407は、コンディション指標の良し悪しを判定するためのコンディション基準値を横軸の中心線1111とし、モチベーション指標の良し悪しを判定するためのモチベーション基準値を縦軸の中心線1112とする。また、出力部407は、現在のユーザ101の指標が、4つの象限1114a~1114dのどの領域に位置するかを示すマーカ1113を、グラフ1201に表示する。さらに、出力部407は、例えば、図11に示すように、過去のユーザ101の指標が、4つの象限1114a~1114dのどの領域に位置していたかを示すマーカ1114を表示してもよい。
【0129】
別の一例として、出力部407は、グラフ部1110に、図12(B)に示すように、自律神経指標のLF/HF(自律神経のバランス)に関する基準値を横軸の中心線1111とし、自律神経指標のTP(自律神経のトータルパワー)に関する基準値を縦軸の中心線1112としたグラフ1201を表示してもよい。さらに、出力部407は、コンディション指標の客観値(TP等)に関する値を横軸の中心線とし、コンディション指標の主観値に関する値を縦軸の中心としてもよい。また、グラフ部1110に表示するグラフは、ユーザ101が切り替えられる仕様としてもよい。
【0130】
数値部1120は、コンディション指標、及びモチベーション指標の数値等を表示する領域である。要因部1130は、例えば、健康経営指標に影響する要因を表示する領域である。また、要因部1130には、例えば、健康経営指標に影響する要因を改善するための改善策をさらに表示してもよい。
【0131】
なお、ユーザ101の指標を示すマーカ1113が、4つの象限1114a~1114dのどの領域に位置するかによって、効果的な改善策が異なるため、改善策DB415には、各領域に対応する改善策を記憶しておくことが望ましい。例えば、コンディション指標が低く、モチベーション指標が高い領域は、ワーカホリズム(仕事中毒)に近い状態で、短期的には高いパフォーマンスを発揮できるものの、この状態が続くと疲労蓄積によって燃え尽き状態(バーンアウト)に陥るリスクがある。そのため、当該領域に該当するユーザ101対しては、改善策として疲労を蓄積しないための情報やサービスを提供したり、管理職に対してコミュニケーションや業務量調整を促す情報を提供したりすることが望ましい。
【0132】
(組織レポートの出力処理1)
図13(A)は、第1の実施形態に係る組織レポートの出力処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、管理者102が、管理者端末20を利用して、組織レポートを出力する処理の一例を示している。なお、図13(A)に示す処理の開始時点において、管理者102が管理する組織の構成員であるユーザ101a、101b、101c、・・・は、例えば、図5で説明したサーベイ処理を実行済であるものとする。また、ここでは、情報処理装置100が予測する、ユーザ101のパフォーマンスを示す複数の指標が、健康経営指標であるものとして、以下の説明を行う。
【0133】
ステップS1301において、算出部404は、組織レポートの対象ユーザのデータを取得する。例えば、算出部404は、管理者102が管理する組織の構成員であるユーザ101a、101b、101c、・・・のモチベーション指標、及びコンディション指標を、記憶部408等から取得する。
【0134】
ステップS1302において、算出部404は、取得したモチベーション指標とコンディション指標とを用いて、健康経営指標を算出する。例えば、算出部404は、記憶部408に記憶した複数の予測モデル414のうち、予測対象となる健康経営指標を予測する予測モデル414に、対象ユーザのモチベーション指標とコンディション指標とを入力して、健康経営指標を算出する。
【0135】
ステップS1303において、要因分析部405は、予測した健康経営指標に影響する要因を分析する。
【0136】
ステップS1304において、出力部407は、管理者端末20に出力する組織レポートを作成する。例えば、出力部407は、取得したモチベーション指標とコンディション指標、予測した健康経営指標、及び分析した要因等を用いて、図14~17に示すような組織レポートを作成する。
【0137】
ステップS1305において、出力部407は、作成した組織レポートを管理者端末20に出力する。
【0138】
(組織レポートの出力処理2)
図13(B)は、第1の実施形態に係る個人レポートの出力処理の別の一例を示すフローチャートである。この処理は、管理者102が、管理者端末20を利用して、組織レポートを出力する処理の別の一例を示している。なお、図13(B)に示した処理のうち、ステップ1301~S1303、S1305の処理は、図13(A)で説明した処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0139】
ステップS1311において、要因分析部405は、改善策DB415から、分析した要因に対応する改善策を取得する。
【0140】
ステップS1312において、出力部407は、管理者端末20に出力する組織レポートを作成する。例えば、出力部407は、取得したモチベーション指標とコンディション指標、予測した健康経営指標、分析した要因、及び取得した改善策等を用いて、組織レポートを作成する。
【0141】
(組織レポートの例)
図14~17は、第1の実施形態に係る組織レポートの例を示す図である。図14は、例えば、図13(A)の処理に応じて、管理者端末20が表示する組織レポートの一例を示している。図14の例では、組織レポート1400は、健康経営指標の表示欄1410と、コンディション・モチベーション指標の表示欄1420とを含む。
【0142】
健康経営指標の表示欄1410には、情報処理装置100が予測した健康経営指標の数値、及びグラフ等が表示される。なお、表示する指標は、組織の代表値(平均値、中央値、最小値、又は最大値等)であってもよいし、特定のユーザ101の値を表示してもよい。
【0143】
図14の例では、健康経営指標の表示欄1410には、エンゲージメント、プレゼンティーイズム、アブセンティーイズム、・・・等の健康経営指標のうち、最も優先度が高いエンゲージメントの推移を示すグラフ1411が表示されている。
【0144】
このように、健康経営指標が複数ある場合、出力部407は、健康経営指標の表示欄1410に、優先度がより高い健康経営指標を表示することが望ましい。また、出力部407は、健康経営指標の表示欄1410に、優先度が高い順に健康経営指標を表示することが望ましい。例えば、図14の健康経営指標の表示欄1410において、より優先度が高い健康経営指標を、管理者102が選択し易い左側のタブに配置することが望ましい。
【0145】
なお、健康経営指標の優先度は、例えば、要因分析部405が健康経営指標を分析して決定する。また、情報処理装置100は、管理者102による健康経営指標の重要度の設定を受け付ける設定受付部406を有しており、出力部407は、管理者102によって設定された重要度がより高い健康経営指標を優先的に出力してもよい。
【0146】
コンディション・モチベーション指標の表示欄1429には、情報処理装置100が取得したコンディション指標、又はモチベーション指標の数値、及びグラフ等が表示される。
【0147】
図14の例では、コンディション・モチベーション指標の表示欄1420には、健康経営指数の表示欄1410に表示されているエンゲージメントに対して、因果関係がある仕事のやりがいの指標1421が表示されている。このように、出力部407は、健康経営指数の表示欄1410に表示している健康経営指数に対して、因果関係があるコンディション指標、又はモチベーション指標を、コンディション・モチベーション指標の表示欄1429に表示することが望ましい。
【0148】
また、出力部407は、健康経営指数の表示欄1410に表示している健康経営指数に対して、因果関係があるコンディション指標、又はモチベーション指標が複数ある場合、当該指標を優先度が高い順に表示することが望ましい。さらに、出力部407は、健康経営指数の表示欄1410に表示している健康経営指数に対して、因果関係があるコンディション指標、又はモチベーション指標を、優先度が高い順に、表示することが望ましい。例えば、図14のコンディション・モチベーション指標の表示欄1420において、より優先度が高いコンディション指標、又はモチベーション指標を、管理者102が選択し易い左側のタブに配置することが望ましい。
【0149】
具体的な一例として、出力部407は、健康経営指数の表示欄1410に表示している健康経営指数に対して、因果関係があるコンディション指標、又はモチベーション指標のうち、基準値との比較結果がより悪い指標を優先的に表示する。
【0150】
また、出力部407は、例えば、健康経営指標の表示欄1410において、「プレゼンティーイズム」のタブ1412が選択されると、図15に示すような組織レポート1500を、管理者端末20に出力する。
【0151】
なお、健康経営指標の表示欄1410に表示するグラフと、コンディション・モチベーション指標の表示欄1420に表示するグラフは、管理者102等が対応関係を把握し易いように、表示する期間、又は幅を揃えて表示することが望ましい。
【0152】
図15は、管理者端末20が表示する組織レポートの別の一例を示している。図15の例では、組織レポート1500は、健康経営指標の表示欄1510と、コンディション・モチベーション指標の表示欄1520とを含む。
【0153】
図15の例では、健康経営指標の表示欄1510には、エンゲージメントの推移を示すグラフに代えて、管理者102によって選択されたプレゼンティーイズムの推移を示すグラフ1551が表示されている。このように、出力部407は、健康経営指標の表示欄1510に表示した複数の健康経営指標のうち、管理者102によって選択された健康経営指標のグラフ、又は数値等を、選択的に健康経営指標の表示欄1510に表示する。
【0154】
また、図15の例では、コンディション・モチベーション指標の表示欄1520には、健康経営指数の表示欄1510に表示されているプレゼンティーイズムに対して、因果関係がある自律神経のパワーの指標1521が表示されている。このように、出力部407は、健康経営指数の表示欄1410に表示している健康経営指数に合わせて、コンディション・モチベーション指標の表示欄1429に表示するコンディション指標、又はモチベーション指標を変更することが望ましい。
【0155】
なお、コンディション・モチベーション指標の表示欄1520においても、出力部407は、管理者102によって選択されたコンディション指標、又はモチベーション指標のグラフ、又は数値を表示する。
【0156】
図16は、管理者端末20が表示する組織レポートの別の一例を示している。図16の例では、組織レポート1600は、健康経営指標の表示欄1610と、コンディション・モチベーション指標の表示欄1620とを含む。
【0157】
図16の例では、健康経営指標の表示欄1610には、複数の健康経営指標の推移を示すグラフ(例えば、エンゲージメントの推移を示すグラフ1611、及びプレゼンティーイズムの推移を示すグラフ1612)が表示されている。このように、出力部407は、健康経営指標の表示欄1610に、複数の健康経営指標の推移を示すグラフを表示してもよい。例えば、出力部407は、より優先度の高い所定の数の健康経営指標の推移を示すグラフを健康経営指標の表示欄1610に表示してもよい。或いは、出力部407は、管理者102によって選択された所定の数の健康経営指標の推移を示すグラフを健康経営指標の表示欄1610に表示してもよい。
【0158】
同様に、図16の例では、コンディション・モチベーション指標の表示欄1620には、コンディション指標、又はモチベーション指標の推移を示す複数のグラフ(例えば、自律神経のパワーの推移を示すグラフ1621、及び自律神経のバランスを示すグラフ1622)が表示されている。このように、出力部407は、コンディション・モチベーション指標の表示欄1620にも、コンディション指標、又はモチベーション指標の推移を示す複数のグラフを表示してもよい。例えば、出力部407は、より優先度の高い所定の数のコンディション指標、又はモチベーション指標の推移を示すグラフをコンディション・モチベーション指標の表示欄1620に表示してもよい。或いは、出力部407は、管理者102によって選択された所定の数のコンディション指標、又はモチベーション指標の推移を示すグラフをコンディション・モチベーション指標の表示欄1620に表示してもよい。
【0159】
図17は、管理者端末20が表示する組織レポートの別の一例を示している。図17の例では、組織レポート1700には、複数の指標A~Eを選択する選択ボタン1701と、全ての指標を選択する選択ボタン1702とが表示されている。ここで、複数の指標は、健康経営指標であってもよいし、コンディション指標、又はモチベーション指標であってもよい。
【0160】
出力部407は、例えば、複数の指標A~Eを選択する選択ボタン1701で選択された任意の数の指標の推移を示すグラフをグラフ領域1703に表示する。また、出力部407は、全ての指標を選択する選択ボタン1702が選択された場合、全ての指標の推移を示すグラフをグラフ領域1703に表示する。このように、出力部407は、全ての指標を選択し、可視化する組織レポートを出力してもよい。
【0161】
[第2の実施形態]
図18は、第2の実施形態に係る情報処理装置の機能構成の例を示す図である。第2の実施形態に係る情報処理装置100は、図4で説明した第1の実施形態に係る情報処理装置の機能構成に加えて、第3の取得部1801を有している。
【0162】
第3の取得部1801は、例えば、HD204等の記憶媒体に記憶した所定のプログラムをCPU201が実行することにより実現され、ユーザ101の勤務情報を管理する業務システム1800等から、ユーザ101の勤務情報を取得する。また、第3の取得部1801は、取得したユーザ101の勤務情報に、ユーザ101を識別する識別情報を付加して、ユーザごとに時系列に記憶部408等に記憶して管理する。
【0163】
業務システム1800は、例えば、勤怠システム、スケジュール管理システム、メールシステム、チャットシステム、会議システム、又は文書管理システム等、ユーザ101が業務を行う際に使用する外部システムである。
【0164】
第3の取得部1801が取得する勤務情報には、例えば、ユーザ101の業務時間、残業時間、会議時間、会議数、上司との1on1会議の時間、上司との1on1会議の件数、メール送受信件数、メール利用時間帯、チャット送受信件数、チャットの利用時間帯、スケジュールが登録されている時間帯、業務内容、及び休憩時間等のうち、1つ以上の情報が含まれる。また、第3の取得部1801は、例えば、図5に示すようなサーベイ処理の実行時、又は予め設定された所定のタイミング(例えば、1日に1回、又は半日に1回等)に、業務システムから勤務情報を取得する。
【0165】
第2の実施形態に係る算出部404は、ユーザ101のコンディション指標と、ユーザ101のモチベーション指標、ユーザ101の勤務情報と、を用いて、ユーザ101のパフォーマンスを示す複数の指標を算出する。具体的な一例として、算出部404は、組織の構成員のモチベーション指標と、コンディション指標と、勤務情報と、を説明変数とし、当該組織が管理する健康経営指標を目的変数として作成した予測モデル414を用いて、ユーザ101の健康経営指標を算出する。この予測モデル414は、例えば、複数の被験者について、コンディション指標とモチベーション指標と勤務情報と健康経営指標のデータセットを取得し、コンディション指標とモチベーション指標と勤務情報を説明変数、健康経営指標を目的変数として多変量解析、ベイジアンネットワーク、又は機械学習等の手法を用いて解析することで作成することができる。
【0166】
第2の実施形態に係る要因分析部405は、健康経営指標に対する要因分析を行い、健康経営指標を改善するために対策をうつべき要因の優先順位を決定する際に、勤務情報も含めて要因分析を行う。
【0167】
第2の実施形態に係る出力部407は、個人レポート、又は組織レポートを出力する際に、健康経営指標に影響する要因として、勤務情報を含めて各レポートを出力することが望ましい。
【0168】
(個人レポートの出力処理)
図19(A)は、第2の実施形態に係る個人レポートの出力処理の一例を示している。この処理は、図18で説明した、第2の実施形態に係る情報処理装置100が実行する個人レポートの出力処理の一例を示している。なお、図19(A)に示した処理のうち、ステップS901、S905の処理は、図9(A)で説明した第1の実施形態に係る個人レポートの出力処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0169】
ステップS1901において、第3の取得部1801は、ユーザ101の勤務情報を取得する。例えば、記憶部408等にユーザ101の最新の勤務情報が記憶済である場合、第3の取得部1801は、記憶部408等からユーザ101の勤務情報を取得する。一方、記憶部408等にユーザ101の最新の勤務情報が記憶済でない場合、第3の取得部1801は、業務システム1800からユーザ101の勤務情報を取得する。
【0170】
ステップS1902において、算出部53は、ユーザ101のモチベーション指標と、コンディション指標と、勤務情報とを用いて、健康経営指標を算出する。例えば、算出部53は、記憶部408に記憶した複数の予測モデル414のうち、予測対象となる健康経営指標を予測する予測モデル414に、ユーザ101のモチベーション指標と、コンディション指標、勤務情報と、を入力し、健康経営指標を算出する。
【0171】
ステップS1903において、要因分析部405は、予測した健康経営指標に影響する要因を分析する。好ましくは、要因分析部405は、勤務情報も含めて健康経営指標に対する要因分析を行う。
【0172】
ステップS1904において、出力部407は、ユーザ101が利用する端末装置10に表示させる個人レポートを作成する。例えば、出力部407は、取得したモチベーション指標とコンディション指標、予測した健康経営指標、及び分析した要因等に基づいて、個人レポートを作成する。好ましくは、出力部407は、健康経営指標に影響する要因として、勤務情報を含めて個人レポート作成する。
【0173】
(組織レポートの出力処理)
図19(B)は、第2の実施形態に係る組織レポートの出力処理の一例を示している。この処理は、図18で説明した、第2の実施形態に係る情報処理装置100が実行する個人レポートの出力処理の一例を示している。なお、図19(B)に示した処理のうち、ステップS1301、S1305の処理は、図13(A)で説明した第1の実施形態に係る組織レポートを出力処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0174】
ステップS1911において、第3の取得部1801は、対象ユーザの勤務情報を取得する。例えば、第3の取得部1801は、管理者102が管理する組織の構成員であるユーザ101a、101b、101c、・・・の勤務情報を、業務システム1800、又は記憶部408等から取得する。
【0175】
ステップS1912において、算出部404は、取得した対象ユーザのモチベーション指標と、コンディション指標と、勤務情報とを用いて、健康経営指標を算出する。例えば、算出部404は、記憶部408に記憶した複数の予測モデル414のうち、予測対象となる健康経営指標を予測する予測モデル414に、対象ユーザのモチベーション指標とコンディション指標と勤務情報とを入力して、健康経営指標を算出する。
【0176】
ステップS1903において、要因分析部405は、予測した健康経営指標に影響する要因を分析する。好ましくは、要因分析部405は、勤務情報も含めて健康経営指標に対する要因分析を行う。
【0177】
ステップS1904において、出力部407は、管理者端末20に出力する組織レポートを作成する。例えば、出力部407は、取得したモチベーション指標とコンディション指標と勤務情報、予測した健康経営指標、及び分析した要因等を用いて、組織レポートを作成する。
【0178】
このように、第2の実施形態によれば、情報処理システム1は、ユーザ101のモチベーション指標、コンディション指標に加えて、勤務情報を用いて、ユーザ101のパフォーマンスを示す指標を予測することができる。
【0179】
(第3の実施形態)
図20は、第3の実施形態に係る情報処理装置の機能構成の例を示す図である。第3の実施形態に係る情報処理装置100は、図18で説明した第2の実施形態に係る情報処理装置の機能構成に加えて、第1の予測部2001、及び第2の予測部2002を有している。第1の予測部2001、及び第2の予測部2002は、例えば、HD204等の記憶媒体に記憶した所定のプログラムをCPU201が実行することにより実現される。
【0180】
第1の予測部2001は、ユーザの勤務情報に基づいて、当該ユーザのモチベーション指標を予測する第1の予測処理を実行する。例えば、第1の予測部2001は、複数の被験者の勤務情報を説明変数とし、モチベーション指標を目的変数として予め作成した予測モデル414に、ユーザの勤務情報を入力することより、当該ユーザのモチベーション指標を予測する。また、第1の予測部2001は、予測したユーザのモチベーション指標を、記憶部408等に記憶する。
【0181】
第2の予測部2002は、ユーザの勤務情報に基づいて、当該ユーザのコンディション指標を予測する第2の予測処理を実行する。例えば、第2の予測部2002は、複数の被験者の勤務情報を説明変数とし、コンディション指標を目的変数として予め作成した予測モデル414に、ユーザの勤務情報を入力することにより、当該ユーザのコンディション指標を予測する。また、第2の予測部2002は、予測したユーザのコンディション指標に、記憶部408等に記憶する。
【0182】
これにより、第3の実施形態に係る算出部404は、記憶部に408等に記憶されたユーザ101のモチベーション指数とコンディション指数とを用いて、ユーザ101のパフォーマンスを示す指標を算出することができる。
【0183】
なお、第3の実施形態に係る要因分析部405、出力部407の処理は、第1の実施形態に係る要因分析部405、出力部407の処理と同様でよい。
【0184】
(個人レポートの出力処理)
図21は、第3の実施形態に係る個人レポートの出力処理の例を示すフローチャートである。この処理は、図20で説明した、第3の実施形態に係る情報処理装置100が実行する個人レポートの出力処理の一例を示している。なお、図21に示した処理のうち、ステップS903~S905の処理は、図9(A)で説明した第1の実施形態に係る個人レポートを出力処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0185】
ステップS2101において、第3の取得部1801は、ユーザ101の勤務情報を取得する。例えば、記憶部408等にユーザ101の最新の勤務情報が記憶済である場合、第3の取得部1801は、記憶部408等からユーザ101の勤務情報を取得する。一方、記憶部408等にユーザ101の最新の勤務情報が記憶済でない場合、第3の取得部1801は、業務システム1800からユーザ101の勤務情報を取得する。
【0186】
ステップS2102において、第1の予測部2001は、取得したユーザ101の勤務情報を用いて、ユーザ101のモチベーション指標を予測する。
【0187】
ステップS2103において、第2の予測部2002は、取得したユーザ101の勤務情報を用いて、ユーザ101のコンディション指標を予測する。
【0188】
ステップS2104において、算出部404は、予測したユーザ101のモチベーション指標、又はコンディション指標のうち、基準値と乖離した指標があるかを判断する。例えば、予測したモチベーション指標と基準値との差が第1の閾値以上である場合、又は予測したコンディション指標と基準値との差が第2の閾値以上である場合、算出部404は、基準値と乖離した指標があると判断する。
【0189】
基準値と乖離した指標がある場合、算出部404は、処理をステップS2105に移行させる。一方、基準値と乖離した指標がない場合、算出部404は、処理をステップS2106に移行させる。
【0190】
ステップS2105に移行すると、情報処理システム1は、例えば、図5のステップS502~S506に示すようなサーベイ処理を実行する。なお、ステップS2104、S2105の処理はオプションであり、必須ではない。
【0191】
ステップS2106に移行すると、算出部404は、ユーザ101のモチベーション指標とコンディション指標とを用いて、健康経営指標を算出する。
【0192】
図21の処理により、情報処理装置100は、サーベイ処理を行わなくても、例えば、ユーザ101の勤務情報に基づいて、ユーザ101の健康経営指標等を予測することができるようになる。
【0193】
また、情報処理装置100は、勤務情報から予測したユーザ101のモチベーション指標、又はコンディション指標が基準値と乖離している場合、サーベイ処理を実行して、より正確に、ユーザ101のパフォーマンスを示す指標を予測することができる。
【0194】
(組織レポートの出力処理)
図22は、第3の実施形態に係る組織レポートの出力処理の一例を示している。この処理は、図20で説明した、第3の実施形態に係る情報処理装置100が実行する組織レポートの出力処理の一例を示している。なお、図22に示した処理のうち、ステップS1303~S1305の処理は、図13(A)で説明した第1の実施形態に係る組織レポートを出力処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0195】
ステップS2201において、第3の取得部1801は、対象ユーザの勤務情報を取得する。例えば、第3の取得部1801は、管理者102が管理する組織の構成員であるユーザ101a、101b、101c、・・・の勤務情報を、業務システム1800、又は記憶部408等から取得する。
【0196】
ステップS2202において、第1の予測部2001は、取得した対象ユーザの勤務情報を用いて、対象ユーザのモチベーション指標を予測する。
【0197】
ステップS2203において、第2の予測部2002は、取得した対象ユーザの勤務情報を用いて、対象ユーザのコンディション指標を予測する。
【0198】
ステップS2204において、算出部404は、予測したモチベーション指標、又はコンディション指標等の指標が、基準値と乖離したユーザがいるかを判断する。指標が基準値と乖離したユーザがいる場合、算出部404は、処理をステップS2205に移行させる。一方、指標が基準値と乖離したユーザがいない場合、算出部404は、処理をステップS2206に移行させる。
【0199】
ステップS2205にすると、サーベイ実行部410は、指標が基準値と乖離したユーザにサーベイ依頼を通知し、処理をステップS2206に移行させる。
【0200】
ステップS2206に移行すると、算出部404は、予測した対象ユーザのモチベーション指標とコンディション指標とを用いて、健康経営指標を算出する。
【0201】
図22の処理により、情報処理装置100は、サーベイ処理を行わなくても、例えば、対象ユーザの勤務情報に基づいて、対象ユーザの健康経営指標等を予測することができる。
【0202】
また、情報処理装置100は、勤務情報から予測したモチベーション指標、又はコンディション指標が基準値と乖離しているユーザに、サーベイの実行を促すことができる。
【0203】
以上、本発明の各実施形態によれば、人員の様々なパフォーマンスに関する指標の可視化を可能にする情報処理装置を提供することができる。
【0204】
また、本実施形態に係る情報処理装置100によれば、企業が管理する健康経営指標等を、高精度、かつ高頻度に把握することができるようになる。
【0205】
<補足>
上記で説明した各実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0206】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理装置100は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。同様に、端末装置10は、互いに通信するように構成された複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0207】
サーベイ実行部410の機能の一部、又は全部は、端末装置10によって実行することができる。また、情報処理装置100の各要素は、1つの装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。さらに、情報処理装置100の各要素は、端末装置10が有していてもよい。この場合、端末装置10が、本実施形態に係る情報処理装置となる。
【0208】
<付記>
本明細書には、下記の各項の情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムが開示されている。
(第1項)
端末装置において入力されたユーザに対する調査への回答から前記ユーザのモチベーションを示す情報を取得する第1の取得部と、
前記調査において前記端末装置で取得した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を取得する第2の取得部と、
前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とに基づいて、組織に関連付けられた指標を算出する算出部と、
前記指標を出力する出力部と、
を有する、情報処理装置。
(第2項)
前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報は、前記ユーザが利用する端末装置に内蔵された撮像装置、又は前記端末装置に接続された撮像装置で撮像した前記ユーザの画像を用いて測定した、前記ユーザの自律神経の状態を示す情報を含む、第1項に記載の情報処理装置。
(第3項)
前記ユーザは組織の構成員であり、
前記指標は、前記組織が管理する健康経営指標を含む、第1項又は第2項に記載の情報処理装置。
(第4項)
前記算出部は、前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とを説明変数とし、前記組織が管理する前記健康経営指標を目的変数として作成した予測モデルを用いて、前記健康経営指標を算出する、第3項に記載の情報処理装置。
(第5項)
前記ユーザの勤務情報を取得する第3の取得部を有し、
前記算出部は、前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報と、前記ユーザの勤務情報と、を説明変数とし、前記組織が管理する前記健康経営指標を目的変数として作成した予測モデルを用いて、前記健康経営指標を算出する、第3項に記載の情報処理装置。
(第6項)
前記組織の管理者による前記健康経営指標の重要度の設定を受け付ける設定受付部を有し、
前記出力部は、設定された前記重要度がより高い前記健康経営指標を優先的に出力する、
第3項~第5項のいずれかに記載の情報処理装置。
(第7項)
前記ユーザの勤務情報を取得する第3の取得部を有し、
前記算出部は、前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報と、前記ユーザの勤務情報とを用いて、前記指標を算出する、
第1項又は第2項に記載の情報処理装置。
(第8項)
前記ユーザの勤務情報を取得する第3の取得部と、
前記ユーザの勤務情報に基づいて前記ユーザのモチベーションを示す情報を予測する第1の予測部と、
前記ユーザの勤務情報に基づいて前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を予測する第2の予測部と、
を有する、第1項又は第2項に記載の情報処理装置。
(第9項)
前記第1の予測部が予測した前記ユーザのモチベーションを示す情報、又は前記第2の予測部が予測した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報が、基準値から乖離している場合、前記ユーザのモチベーションを示す情報、及び前記ユーザの健康に関するコンディション情報を取得するサーベイを開始する、
第8項に記載の情報処理装置。
(第10項)
前記出力部は、前記ユーザのモチベーションを示す情報の実測値と基準値とを比較した第1の比較結果と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報の実測値と基準値とを比較した第2の比較結果とのうち、少なくとも1つを出力する、第1項乃至第9項のいずれかに記載の情報処理装置。
(第11項)
前記出力部は、前記第1の比較結果、又は前記第2の比較結果に対応する、前記ユーザのモチベーション、又は前記ユーザの健康に関するコンディションの改善施策に関する情報を出力する、第10項に記載の情報処理装置。
(第12項)
前記指標への影響度が高い要因を分析する要因分析部を有し、
前記出力部は、前記指標への影響度がより高い要因を出力する、
第1項~第11のいずれかに記載の情報処理装置。
(第13項)
前記出力部は、前記指標への影響度がより高い要因を優先的に出力する、第12項に記載の情報処理装置。
(第14項)
前記指標への影響度がより高い要因に対応する改善施策に関する情報を出力する、第12項又は第13項に記載の情報処理装置。
(第15項)
前記出力部は、
前記指標を表示する表示画面を出力し、
前記表示画面で選択された前記指標と因果関係がある前記ユーザのモチベーションを示す情報、又は前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を前記表示画面に表示する、
第1項又は第2項に記載の情報処理装置。
(第16項)
前記出力部は、
複数の前記指標を前記表示画面に表示し、
前記表示画面で選択された前記指標と因果関係がある前記ユーザのモチベーションを示す情報、又は前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を優先的に前記表示画面に表示する、
第15項に記載の情報処理装置。
(第17項)
前記表示画面で選択された前記指標と因果関係がある前記ユーザのモチベーションを示す情報、又は前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報のうち、基準値との比較結果がより悪い情報を優先的に前記表示画面に表示する、第15項に記載の情報処理装置。
(第18項)
ユーザが利用する端末装置と、前記端末装置と通信可能な情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記端末装置において入力されたユーザに対する調査への回答から前記ユーザのモチベーションを示す情報を取得する第1の取得部と、
前記調査において前記端末装置で取得した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を取得する第2の取得部と、
前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とに基づいて、組織に関連付けられた指標を算出する算出部と、
前記指標を出力する出力部と、
を有する、情報処理システム。
(第19項)
ユーザ利用する端末装置が実行されるプログラムと、前記端末装置と通信可能な情報処理装置とを含む情報処理装置であって、
前記情報処理装置は、
前記端末装置において入力されたユーザに対する調査への回答から前記ユーザのモチベーションを示す情報を取得する第1の取得部と、
前記調査において前記端末装置で取得した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を取得する第2の取得部と、
前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とに基づいて、組織に関連付けられた指標を算出する算出部と、
前記指標を出力する出力部と、
を有し、
前記プログラムは、
前記端末装置に、前記ユーザのモチベーションを示す情報を前記情報処理装置に送信する処理を実行させる、
情報処理システム。
(第20項)
端末装置において入力されたユーザに対する調査への回答から前記ユーザのモチベーションを示す情報を取得する処理と、
前記調査において前記端末装置で取得した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を取得する処理と、
前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とに基づいて、組織に関連付けられた指標を算出する処理と、
前記指標を出力する処理と、
をコンピュータが実行する、情報処理方法。
(第21項)
端末装置において入力されたユーザに対する調査への回答から前記ユーザのモチベーションを示す情報を取得する処理と、
前記調査において前記端末装置で取得した前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報を取得する処理と、
前記ユーザのモチベーションを示す情報と、前記ユーザの健康に関するコンディションを示す情報とに基づいて、組織に関連付けられた指標を算出する処理と、
前記指標を出力する処理と、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【0209】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、及び応用が可能である。
【符号の説明】
【0210】
1 情報処理システム
10、10a、10b、10c 端末装置
20 管理者端末
11、12 撮像装置
101、101a、101b、101c ユーザ
102 管理者
402 第1の取得部
403 第2の取得部
404 算出部
405 要因分析部
406 設定受付部
407 出力部
414 予測モデル
415 改善策DB
1801 第3の取得部
2001 第1の予測部
2002 第2の予測部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0211】
【特許文献1】特開2020-035308号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22