(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135464
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240927BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06T7/20 300Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046159
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】東 和樹
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
5L096
【Fターム(参考)】
5L049CC04
5L050CC04
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA02
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】 製品の製造時の作業の推定処理、作業の手順の判定処理に用いる情報の変更にかかる負担を軽減する情報処理装置、システム、方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】 製品の製造時の作業の推定処理および作業の手順の判定処理を行う情報処理装置110であって、製品を製造する計画を記録した工程計画情報を取得する工程計画情報取得部350と、工程計画情報に基づいて、推定処理に用いる作業推定モデルと、推定処理によって推定された作業の順序の正否を判定する判定処理に用いる作業手順情報とを、変更する作業情報変更部370とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の製造時の作業の推定処理および作業の手順の判定処理を行う情報処理装置であって、
前記製品を製造する計画を記録した工程計画情報を取得する手段と、
前記工程計画情報に基づいて、前記推定処理に用いる作業推定モデルと、前記推定処理によって推定された作業の順序の正否を判定する前記判定処理に用いる作業手順情報とを、変更する手段と
を含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記工程計画情報に含まれる各製品の工程と、製品ごとの作業推定モデルおよび作業手順情報とを対応付けて記憶する記憶手段
をさらに含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記変更する手段は、前記製品の前記推定処理を行っていない間に変更することを特徴とする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記変更する手段は、前記工程計画情報に基づいて、第1の製品についての工程から、第2の製品についての工程に移行する間に変更することを特徴とする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記変更する手段は、前記製品の製造が終わったあとに変更することを特徴とする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
製品の製造時の作業の推定処理および作業の手順の判定処理を行うシステムであって、
前記製品を製造する計画を記録した工程計画情報を取得する手段と、
前記工程計画情報に基づいて、前記推定処理に用いる作業推定モデルと、前記推定処理によって推定された作業の順序の正否を判定する前記判定処理に用いる作業手順情報とを、変更する手段と
を含む、システム。
【請求項7】
製品の製造時の作業の推定処理および作業の手順の判定処理を行う方法であって、
前記製品を製造する計画を記録した工程計画情報を取得するステップと、
前記工程計画情報に基づいて、前記推定処理に用いる作業推定モデルと、前記推定処理によって推定された作業の順序の正否を判定する前記判定処理に用いる作業手順情報とを、変更するステップと
を含む、方法。
【請求項8】
製品の製造時の作業の推定処理および作業の手順の判定処理を行う情報処理装置が実行するプログラムであって、前記情報処理装置を
前記製品を製造する計画を記録した工程計画情報を取得する手段、
前記工程計画情報に基づいて、前記推定処理に用いる作業推定モデルと、前記推定処理によって推定された作業の順序の正否を判定する前記判定処理に用いる作業手順情報とを、変更する手段
として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の組立作業のプロセス保証を行う情報処理装置、システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場などにおいて製品を組み立てる際に、作業中の画像を撮影し、作業の手順の正確性を判定することで、製品の歩留まりを向上させるプロセス保証技術が開発されている。
【0003】
例えば、特開2022-113042号公報(特許文献1)では、情報処理装置(10)は、学習済モデルである作業予測モデル(171)を用いた予測の内容を、作業予測モデル(171)を用いずに予測した内容によって検証する技術が開示されている。特許文献1によれば、撮像画像から、十分な精度をもって、作業者が作業対象物について行っている作業の内容を推定することができる。
【0004】
ところで、組立対象となる製品や工程などが変更された場合には、作業推定処理のために、作業推定モデルや作業手順判断情報などのデータを変更する必要がある。しかしながら、特許文献1を始めとする従来技術では、データの変更を手動で行う必要があり、ユーザにとっての負担が大きかった。
【0005】
そのため、製造する製品の変更などに伴って必要となる、製品の製造時の作業の推定処理、作業の手順の判定処理に用いる情報に関するデータの変更にかかる負担を軽減する技術が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、製品の製造時の作業の推定処理、作業の手順の判定処理に用いる情報の変更にかかる負担を軽減する情報処理装置、システム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明によれば、
製品の製造時の作業の推定処理および作業の手順の判定処理を行う情報処理装置であって、
前記製品を製造する計画を記録した工程計画情報を取得する手段と、
前記工程計画情報に基づいて、前記推定処理に用いる作業推定モデルと、前記推定処理によって推定された作業の順序の正否を判定する前記判定処理に用いる作業手順情報とを、変更する手段と
を含む、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、製品の製造時の作業の推定処理、作業の手順の判定処理に用いる情報の変更にかかる負担を軽減する情報処理装置、システム、方法およびプログラムが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態におけるシステム全体のハードウェアの概略構成を示す図。
【
図2】本実施形態の情報処理装置に含まれるハードウェア構成を示す図。
【
図3】本実施形態の情報処理装置に含まれるソフトウェアブロック図。
【
図4】本実施形態の工程に関する情報の例について説明する図。
【
図5】本実施形態における作業推定および手順判定について説明する図。
【
図6】本実施形態において工程計画情報と作業情報とを対応付ける処理を示すフローチャート。
【
図7】本実施形態における工程計画情報と作業情報との対応付けについて説明する図。
【
図8】本実施形態における作業情報を変更する第1の例による処理を示すフローチャート。
【
図9】本実施形態における作業情報を変更する第2の例による処理を示すフローチャート。
【
図10】本実施形態における作業情報を変更する第3の例による処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。
【0011】
図1は、本実施形態におけるシステム100全体のハードウェアの概略構成を示す図である。
図1では、例として、情報処理装置110と、撮影装置120とが、接続されたシステム100を例示している。なお、情報処理装置110や撮影装置120の台数は、
図1に示したものに限らず、システム100に含まれる装置の台数に制限はない。また、情報処理装置110と、撮影装置120とを接続する方法は、有線または無線のどちらでもよく、例えば、インターネットやLANなどのネットワークを介して接続されてもよい。
【0012】
情報処理装置110は、例えば、パーソナルコンピュータのような装置であって、各種情報の処理、実行などを行うことができる。本実施形態の情報処理装置110は、撮影装置120が撮影した画像を分析して、作業推定処理を行うことができる。また、情報処理装置110は、作業推定処理に関する各種データについての処理を行うことができる。なお、説明する実施形態における情報処理装置110は、
図1に示すようなパソコン端末に限らず、例えば、サーバコンピュータなどの装置であってもよい。
【0013】
撮影装置120は、例えば、カメラのような装置であって、各種画像を撮影することができる。本実施形態の撮影装置120は、製品を組み立てるライン設置され、作業従事者による組立作業の様子を撮影することができる。なお、説明する実施形態では、製品を組み立てる工程を例示しているが、特に実施形態を限定するものではなく、例えば、製品の製造に関するものであってもよい。
【0014】
次に、情報処理装置110のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態の情報処理装置110に含まれるハードウェア構成を示す図である。情報処理装置110は、CPU210と、RAM220と、ROM230と、記憶装置240と、通信I/F250と、ディスプレイ260と、入力装置270とを含んで構成され、各ハードウェアはバスを介して接続されている。
【0015】
CPU210は、情報処理装置110の動作を制御するプログラムを実行し、所定の処理を行う装置である。RAM220は、CPU210が実行するプログラムの実行空間を提供するための揮発性の記憶装置であり、プログラムやデータの格納用、展開用として使用される。ROM230は、CPU210が実行するプログラムやファームウェアなどを記憶するための不揮発性の記憶装置である。
【0016】
記憶装置240は、情報処理装置110を機能させるOSや種々のソフトウェア、設定情報、各種データなどを記憶する、読み書き可能な不揮発性の記憶装置である。記憶装置240の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などが挙げられる。
【0017】
通信I/F250は、情報処理装置110とネットワークとを接続し、ネットワークを介して他の装置との通信を可能にする。ネットワークを介した通信は、有線通信または無線通信のいずれであってもよく、TCP/IPなどの所定の通信プロトコルを使用し、各種データを送受信できる。また、本実施形態の通信I/F250は、撮影装置120との通信を行うこともできる。
【0018】
ディスプレイ260は、各種データや情報処理装置110の状態などを、ユーザに対して表示する装置であり、例として、LCD(Liquid Crystal Display)などが挙げられる。入力装置270は、ユーザが情報処理装置110を操作するための装置であり、例として、キーボード、マウスなどが挙げられる。なお、ディスプレイ260と入力装置270は、それぞれ別個の装置であってもよいし、タッチパネルディスプレイのような両方の機能を備えるものであってもよい。
【0019】
以上、本実施形態の情報処理装置110に含まれるハードウェア構成について説明した。次に、本実施形態における各ハードウェアによって実行される機能手段について、
図3を以て説明する。
図3は、本実施形態の情報処理装置110に含まれるソフトウェアブロック図である。
【0020】
本実施形態の情報処理装置110は、
図3に示すように、映像取得部310、作業推定部320、作業手順判定部330、判定結果通知部340、工程計画情報取得部350、作業情報取得部360、作業情報変更部370、時刻取得部380、データ記憶部390を含んで構成される。
【0021】
映像取得部310は、通信I/F250を介して、撮影装置120が撮影した映像を取得する手段である。映像取得部310が取得した映像は、プロセス保証のための作業推定処理に用いられる。
【0022】
作業推定部320は、映像データに含まれる画像を解析し、如何なる作業が行われているかを推定する手段である。本実施形態の作業推定部320は、作業推定モデルを用いて、映像データを解析することで、作業を推定することができる。
【0023】
作業手順判定部330は、作業推定部320が推定した作業が、適切な順序で行われたものであるか否かを判定する手段である。本実施形態の作業手順判定部330は、作業の手順を示す作業手順情報と、作業推定部320による推定結果とを比較することで、作業の順序が適切であるか否かを判定することができる。
【0024】
判定結果通知部340は、作業手順判定部330が判定した結果を通知する手段である。本実施形態の判定結果通知部340は、例えば、作業手順の判定結果を、ディスプレイ260に表示することで通知できる。また、判定結果通知部340は、通信I/F250を介して、作業者に判定結果を通知することとしてもよい。
【0025】
上述したように、本実施形態の情報処理装置110は、撮影装置120が撮影した画像に基づいて、適切な作業が行われているかを判定、通知できる。これによって、製品の組立工程におけるミスを低減でき、製品の品質や歩留まりを向上できる。
【0026】
工程計画情報取得部350は、製品を組み立てる工程の計画に関する情報(以下、単に工程計画情報として参照する場合がある)を取得する手段である。本実施形態の工程計画情報取得部350は、組立の工程と、製品と、工程開始日時と、工程終了日時とを対応付けた工程計画情報を取得する。なお、本実施形態の工程計画情報は、情報処理装置110上で作成されてもよいし、他の装置で作成されたものを読み込むこととしてもよい。
【0027】
作業情報取得部360は、各工程における種々の作業に関する情報(以下、単に作業情報として参照する場合がある)を取得する手段である。本実施形態の作業情報は、作業推定モデルと、作業手順情報を含む。
【0028】
ここで、本実施形態の作業推定モデルは、学習用データセットを利用してAI(人工知能)モデル学習で学習させた、作業内容を判定するためのAIモデルである。学習用データセットは、各工程に含まれる各作業をあらかじめ録画した作業録画ファイルと、作業録画ファイルの動画の各フレームが如何なる作業をしているかを示すアノテーション情報とを含む。また、本実施形態の作業手順情報は、各工程において作業を実施する順序を示す情報である。
【0029】
作業情報変更部370は、組み立てる製品を変更した場合に、変更後の製品に合わせて作業情報を変更する手段である。本実施形態の作業情報変更部370は、変更後の製品に対応付けられた作業情報をデータ記憶部390から取得し、作業推定部320および作業手順判定部330に通知する。
【0030】
時刻取得部380は、本実施形態における時計機能を構成し、現在時刻を取得する手段である。
【0031】
データ記憶部390は、記憶装置240を制御し、工程計画情報取得部350が取得した工程計画情報や、作業情報取得部360が取得した作業情報などを記憶する手段である。
【0032】
なお、上述したソフトウェアブロックは、CPU210が本実施形態のプログラムを実行することで、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
【0033】
さらに、上述した各機能手段は、必ずしも全てが
図3に示すような構成で含まれていなくてもよい。例えば、他の好ましい実施形態では、各機能手段は、複数の情報処理装置110の協働によって実現されてもよい。
【0034】
次に、本実施形態における工程について
図4を以て説明する。
図4は、本実施形態の工程に関する情報の例について説明する図である。
【0035】
図4(a)は、組立作業の工程計画表の例を示している。工程計画表には、工程を識別するID、工程の名前、製品名、工程を行う日にち、時間帯が記載される。例えば、
図4(a)におけるNo.1の工程では、製品「ABCDEF-1234」に対して、2023年3月1日の8時台~11時台と、2023年3月2日の8時台~11時台に、A工程を行う旨が記載されている。
【0036】
また、
図4(b)は、各工程で行う詳細な作業を示したものである。例えば、
図4の例におけるA工程では、
図4(b)に示すようにa1作業、a2作業、a3作業などの各種作業を含む。また、例えば、
図4の例におけるB工程では、
図4(b)に示すようにb1作業、b2作業、b3作業などの各種作業を含む。
【0037】
本実施形態において工程計画情報は、
図4(a)に示したような情報を対応付けてデータ化したものとすることができる。工程計画情報取得部350が、
図4(a)に示したような情報を取得することで、情報処理装置110は、施品を組み立てる工程の管理を行うことができる。
【0038】
図4(c)は、本実施形態における作業手順情報の例を示している。
図4(c)に示す作業手順情報は、A工程の例を示しており、作業順と作業名とが対応付けられたデータとして構成される。
図4(c)に示すように、A工程は、1番目の作業としてa1作業を行い、2番目の作業としてa2作業を行い、3番目の作業としてa3作業を行う順序が規定されている。作業手順判定部330は、
図4(c)のようなデータを参照することで、作業が適切な順序で行われているか否かを判定することができる。
【0039】
次に、本実施形態における作業推定処理と、手順判定処理について
図5を以て説明する。
図5は、本実施形態における作業推定および手順判定について説明する図である。
【0040】
図5(a)、(b)は、撮影装置120が撮影した作業中の動画の各フレームを示している。
図5(a)は、N番目のフレームの画像の例を示し、
図5(b)は、N+1番目のフレームの画像の例を示している。
図5(a)、(b)に示す画像は、作業者が把持した部品Aを部品B上に載せて取り付ける作業を行っている例である。
【0041】
ここで、作業推定モデルにも、部品Aを部品B上に載せて取り付ける動画を含む作業録画ファイルが含まれている場合、作業推定部320は、作業推定モデルを参照して
図5(a)、(b)の画像を解析することで、撮影した作業が、作業推定モデルに係る作業と同じ作業であるか否かを推定することができる。
【0042】
作業推定部320が作業内容を推定した後、作業手順判定部330は、推定された作業が適切な順序で行われたものであるか否かを判定する。例えば、
図4(c)に示したように、最初にa1作業を行い、次にa2作業を行い、さらにその次にa3作業を行う作業手順情報があったとする。ここで、
図5(c)のように、作業推定部320が、a1作業の後にa3作業を行ったと推定した場合について考える。
【0043】
このような場合、
図5(c)に示すように、作業の順番が1であるa1作業は、最初に行われたと推定されるため、適切に作業されたものとして判定される。一方で、a1作業のあとにa2作業が行われず、a3作業が行われたと推定されたため、作業順2は、適切に作業されなかったものとして判定される。
【0044】
このようにして、本実施形態の情報処理装置110は、作業が適切な順序で行われたものであるか否かを判定でき、製造における信頼性を向上することができる。特に、本実施形態では、作業情報変更部370が、組み立てる製品に応じて作業情報を適宜変更することから、製品の変更に伴う作業者の手間を軽減することができる。本実施形態における作業情報の変更は、以下に説明するように、工程計画情報と作業情報とを対応付けることで可能となる。
【0045】
本実施形態における作業情報の変更は、以下の
図6、
図7に説明するように、工程計画情報と作業情報とを対応付けることで可能となる。
図6は、本実施形態において工程計画情報と作業情報とを対応付ける処理を示すフローチャートである。また、
図7は、本実施形態における工程計画情報と作業情報との対応付けについて説明する図である。以下の
図6の説明では、適宜
図7を参照するものとする。
【0046】
情報処理装置110は、ステップS1000から処理を開始する。ステップS1001では、作業情報取得部360は、作業推定モデルと作業手順情報とを取得し、データ記憶部390に保存する。また、続くステップS1002では、工程計画情報取得部350は、工程計画情報を取得し、データ記憶部390に保存する。ここで、
図7(a)を参照すると、本実施形態において読み込まれる工程計画情報のデータの例が示されている。
【0047】
図7(a)に示す工程計画情報は、
図4(a)をデータ化したものである。説明する実施形態における工程計画情報には、複数の種類の製品が含まれていて、各製品について行う工程と、開始日時、終了日時が対応付けられて含まれる。
【0048】
説明を
図6に戻す。その後、ステップS1003では、組立製品の種類が複数あるか否かによって処理を分岐する。組立製品が複数あるか否かは、工程計画情報に複数の製品に係る工程が含まれているか否かによって判定することができる。組立製品の種類が複数ある場合には(YES)、ステップS1004に進む。例えば、
図7(a)に示す工程計画情報が読み込まれた場合、複数の種類の製品が含まれているため、ステップS1004に進む。
【0049】
ステップS1004では、工程計画情報に基づいて、組立製品の種類と変更日時を記録する。例えば、
図7(a)の工程計画情報を参照すると、2023年3月1日の12時から13時30分の間に、製品「ABCDEF-1234」のA工程から、製品「GHIJKL-5678」のB工程に変更となる。したがって、ステップS1004において、データ記憶部390は、2023年3月1日の12時から13時30分を変更日時として記録する。ステップS1004で記録された情報は、次のステップS1005において、ユーザが製品の種類を識別するために用いられる。なお、ステップS1004では、変更の日時のみが記録されてもよい。
【0050】
その後、ステップS1005では、製品の種類ごとに、工程計画に作業情報を対応付ける。ステップS1005における対応付けは、
図7(b)に示すようにして行うことができる。すなわち、ステップS1001で取得した作業手順情報のうちA工程に係る作業手順情報と作業推定モデルとを、工程計画情報のA工程に対応付け、B工程に係る作業手順情報と作業推定モデルとを工程計画情報のB工程に対応付ける。このようにして、工程計画情報と作業情報とを対応付けることで、組み立てる製品が変更された場合に、工程計画表の工程に対応付けられた作業手順情報と作業推定モデルとを読み出して、作業推定処理および作業手順判定処理に用いることができる。その後、ステップS1006に進む。
【0051】
一方、ステップS1003において組立製品の種類が複数ない場合には(NO)、ステップS1006に進む。ステップS1006では、使用する作業情報を選択する。ステップS1006では、ユーザは、1つの組立製品に対して、1つの作業情報を選択する。その後、ステップS1007に進む。
【0052】
ステップS1005またはS1006の後、ステップS1007では、設定情報を反映する。ステップS1007では、作業推定処理に使用する作業情報を、ステップS1005で対応付けられた作業情報またはステップS1006で選択された作業情報に設定する。その後、ステップS1008で処理を終了する。
【0053】
図6に示した処理によれば、工程計画情報と作業情報とを対応付けることができ、これによって、製品の変更に伴って作業情報に変更して、適切なプロセス保証を行うことができる。
【0054】
以下では、
図6の処理によって対応付けられた工程計画情報を用いて適切に作業情報を変更する第1~第3の例について、
図8~
図10を以て説明する。
図8は、本実施形態における作業情報を変更する第1の例による処理を示すフローチャートである。
図9は、本実施形態における作業情報を変更する第2の例による処理を示すフローチャートである。
図10は、本実施形態における作業情報を変更する第3の例による処理を示すフローチャートである。なお、
図8~
図10の各例において共通する処理については、適宜その説明を省略するものとする。
【0055】
まず、
図8を参照して、第1の例について説明する。情報処理装置110は、ステップS2000から処理を開始する。処理の開始は、組立作業をする製品を変更することをトリガとすることができる。製品の変更は、例えば、作業者が情報処理装置110に入力することで行うことができる。ステップS1001では、作業推定部320が作業推定処理を実行しているか否かによって処理を分岐する。作業推定処理中でない場合には(NO)、ステップS2003に進む。作業推定処理中である場合には(YES)、ステップS2002に進む。
【0056】
ステップS2002では、作業推定部320は、作業推定処理を中断する。その後、ステップS2003において、作業情報変更部370は、データ記憶部390を参照し、変更された組立製品に対応付けられた作業推定モデルおよび作業手順情報を読み出し、それぞれ、作業推定部320および作業手順判定部330に通知して、各作業情報を変更する。
【0057】
続くステップS2004において、作業推定部320は、変更後の作業推定モデルを用いて作業推定処理を開始する。その後、ステップS2005において処理を終了する。
【0058】
次に、
図9を参照して、第2の例について説明する。情報処理装置110は、ステップS3000から処理を開始する。ステップS3001において、工程変更の時刻になったか否かによって処理を分岐する。ステップS3001では、工程計画情報を参照して、時刻取得部380が取得した現在時刻が、組立製品を変更する時刻になった否かによって判定することができる。工程変更の時刻になっていない場合(NO)、ステップS3001に戻り、上記の処理を繰り返すことで、工程変更の時刻になるまで待機する。工程変更の時刻になった場合(YES)、ステップS3002に進む。
【0059】
ステップS3002では、作業推定部320が作業推定処理を実行しているか否かによって処理を分岐する。作業推定処理中でない場合には(NO)、ステップS3004に進み、作業推定処理中である場合には(YES)、ステップS3003に進む。なお、ステップS3002の処理は、
図8におけるステップS2001の処理と同様である。
【0060】
ステップS3003では、作業推定部320は、作業推定処理を中断する。ステップS3003の処理は、
図8におけるステップS2002の処理と同様である。
【0061】
以下、ステップS3004~S3006の処理は、
図8におけるステップS2003~S2005の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0062】
次に、
図10を参照して、第3の例について説明する。情報処理装置110は、ステップS4000から処理を開始する。ステップS4001において、工程変更の時刻になったか否かによって処理を分岐する。なお、ステップS4001の処理は、
図9におけるステップS3001の処理と同様である。
【0063】
次に、ステップS4002では、作業者が製品の組立作業を行っているか否かによって処理を分岐する。作業を行っている場合には(YES)、ステップS4002に戻り、上記の処理を繰り返して、作業の終了を待機する。作業を行っていない場合には(NO)、ステップS4003に進む。
【0064】
ステップS4003では、作業推定部320は、作業推定処理を中断する。ステップS4003の処理は、
図8におけるステップS2002の処理と同様である。
【0065】
以下、ステップS4004~S4006の処理は、
図8におけるステップS2003~S2005の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
以上に説明した、第1~第3の例の処理によれば、組み立てる製品の変更に伴い、当該製品に関連する作業情報に変更して作業推定および作業手順判定を行うことができる。これによって、適切なプロセスを保証できるため、製品の組立工程におけるミスを低減でき、製品の品質や歩留まりを向上できる。特に、第2の例では、所定のタイミングで自動的に作業情報を変更できる。また、第3の例では、作業者が実施中の作業を中断することなく、作業情報を変更できる。
【0067】
以上、説明した本発明の実施形態によれば、製品の製造時の作業の推定処理、作業の手順の判定処理に用いる情報の変更にかかる負担を軽減する情報処理装置、システム、方法およびプログラムを提供することができる。
【0068】
上述した本発明の実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)等で記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD-ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM(登録商標)、EPROM等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0069】
上記で説明した実施形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュールなどのデバイスを含むものとする。
【0070】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0071】
100…システム、110…情報処理装置、120…撮影装置、210…CPU、220…RAM、230…ROM、240…記憶装置、250…通信I/F、260…ディスプレイ、270…入力装置、310…映像取得部、320…作業推定部、330…作業手順判定部、340…判定結果通知部、350…工程計画情報取得部、360…作業情報取得部、370…作業情報変更部、380…時刻取得部、390…データ記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】