(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135553
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】封止キャップ、トナー収容器及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G03G15/08 348B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046303
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】北村 元
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 誠司
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA05
2H077AA33
2H077AA34
2H077AB02
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077DA16
2H077DA32
2H077DA52
2H077DB02
2H077EA01
(57)【要約】
【課題】封止キャップの容器本体に対する着脱を容易に行うことができる封止キャップを提供する。
【解決手段】中空円柱形状の容器の円柱の中心軸方向の一端部に形成された開口を封止する有底円筒形状の封止キャップは、スナップフィット部130を備えている。スナップフィット部130は、容器キャップ時に容器の外周面に対向するように、封止キャップの本体から封止キャップの容器への装着方向に延び出した脚部130dと、脚部の先端側に設けられ、容器の外周面に形成された係合部に係合する爪部130aとを有している。そして、スナップフィット部130の脚部130dの少なくとも根元側の装着方向に直交する断面形状が矩形状となっている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円柱形状の容器の円柱の中心軸方向の一端部に形成された開口を封止する有底円筒形状の封止キャップにおいて、
容器キャップ時に前記容器の外周面に対向するように、当該封止キャップの本体から当該封止キャップの前記容器への装着方向に延び出した脚部と、前記脚部の先端側に設けられ、前記容器の外周面に形成された係合部に係合する爪部とを有するスナップフィット部を備え、
前記脚部の少なくとも根元側の前記装着方向に直交する断面形状が、矩形状であることを特徴とする封止キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の封止キャップにおいて、
前記爪部の頂部は、前記装着方向から見たとき、直線状であることを特徴とする封止キャップ。
【請求項3】
請求項1に記載の封止キャップにおいて、
前記爪部の頂部は、前記装着方向から見たとき、凹状の円弧形状であることを特徴とする封止キャップ。
【請求項4】
請求項1に記載の封止キャップにおいて、
当該封止キャップの本体は、直径が異なる複数の円筒部と、円筒部同士を繋ぐ前記装着方向に直交する接続壁部とを有し、
前記接続壁部の前記スナップフィット部の前記爪部との対向部分には、穴部が形成されており、
前記穴部の幅が、前記スナップフィット部の幅よりも広いことを特徴とする封止キャップ。
【請求項5】
請求項1に記載の封止キャップにおいて、
前記スナップフィット部には、当該封止キャップの本体の円周方向に切り欠きが形成されていることを特徴とする封止キャップ。
【請求項6】
請求項1に記載の封止キャップにおいて、
前記スナップフィット部の前記爪部が設けられた面に抜き勾配がつけられていることを特徴とする封止キャップ。
【請求項7】
トナーを収容したトナー容器と、
トナーボトルの開口を封止する封止キャップと、を有するトナー収容器において、
前記封止キャップとして、請求項1に記載の封止キャップを用いたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項8】
トナー収容器と、
前記トナー収容器のトナーを潜像担持体の潜像を現像する現像装置に補給するトナー補給装置とを備えた画像形成装置において、
前記トナー収容器として、請求項7に記載のトナー収容器を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止キャップ、トナー収容器及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、中空円柱形状の容器の円柱の中心軸方向の一端部に形成された開口を封止する有底円筒形状の封止キャップが知られている。
【0003】
特許文献1には、上記封止キャップとして、容器キャップ時に容器の外周面に対向するように、封止キャップの本体から封止キャップの容器への装着方向に延び出した脚部と、脚部の先端部に設けられ、容器の外周面に形成された係合部に係合する爪部とを有するスナップフィット部を備えたものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、封止キャップの容器本体に対する着脱に改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、中空円柱形状の容器の円柱の中心軸方向の一端部に形成された開口を封止する有底円筒形状の封止キャップにおいて、容器キャップ時に前記容器の外周面に対向するように、当該封止キャップの本体から当該封止キャップの前記容器への装着方向に延び出した脚部と、前記脚部の先端側に設けられ、前記容器の外周面に形成された係合部に係合する爪部とを有するスナップフィット部を備え、前記脚部の少なくとも根元側の前記装着方向に直交する断面形状が、矩形状であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、封止キャップの容器本体に対する着脱を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置であるプリンタの概略構成を示す模式図。
【
図2】四つの作像部のうちの一つの概略構成を示す模式図。
【
図3】トナーボトルが設置された状態のトナー補給装置を示す模式図。
【
図4】トナーボトル収容部にトナーボトルが設置された状態を示す概略斜視図。
【
図5】トナーボトル収容部に一つのトナーボトルが設置された状態を示す概略斜視図。
【
図11】(a)は、従来のスナップフィット部の断面斜視図であり、(b)は、本実施形態のスナップフィット部の断面斜視図。
【
図12】爪部の頂部を凹状の円弧形状とした例を示す図。
【
図13】スナップフィット部の第一変形例を示す概略構成図。
【
図14】スナップフィット部の第二変形例を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものである。以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置であるプリンタ100の概略構成を示す模式図である。
プリンタ100のトナーボトル収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した四つのトナー収容器としてのトナーボトル32(Y,M,C,K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。
【0011】
トナーボトル収容部70の下方には中間転写ユニット15が配設されている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、各色に対応した作像部6(Y,M,C,K)が並設されている。また、トナーボトル32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれ、トナー補給装置60(Y,M,C,K)が配設されている。そして、トナーボトル32(Y,M,C,K)に収容されたトナーは、それぞれ、トナー補給装置60(Y,M,C,K)によって、作像部6(Y,M,C,K)の現像装置(粉体使用部)内に供給(補給)される。
【0012】
各色に対応した四つのトナーボトル32(Y,M,C,K)、作像部(Y,M,C,K)及びトナー補給装置60(Y,M,C,K)は、使用するトナーの色が異なる点以外は同様の構成となっている。このため、以下の説明及び図面では、使用するトナーの色を示す「Y」、「M」、「C」、「K」という添字は適宜省略して説明する。
【0013】
図2は、四つの作像部6のうちの一つの概略構成を示す模式図である。
作像部6は、感光体1と、感光体1の周囲に配設された帯電部4、現像装置5(現像部)、クリーニング部2、除電部等で構成されている。そして、感光体1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われて、感光体1上に各色の画像が形成されることになる。
【0014】
感光体1は、駆動モータによって
図2中の時計方向に回転駆動する。そして、帯電部4の位置で、感光体1の表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体1の表面は、露光装置7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程)。
【0015】
その後、感光体1の表面は、現像装置5との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程)。その後、感光体1の表面は、中間転写ベルト8を挟んで一次転写ローラ9と対向する一次転写部で、感光体1上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(一次転写工程)。各色の感光体1上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写することで、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0016】
一次転写部を通過した感光体1の表面上には、僅かながら未転写トナーが残存する。その後、感光体1の表面は、クリーニング部2との対向位置に達して、感光体1上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体1の表面は、除電部との対向位置に達して感光体1上の残留電位が除去される。
【0017】
中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8、四つの一次転写ローラ9(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ12、複数のテンションローラ、中間転写クリーニング部等で構成される。中間転写ベルト8は、複数の張架ローラによって張架、支持されるとともに、ローラ部材のうちの二次転写バックアップローラ12の回転駆動によって、
図1中の反時計周り方向に無端移動する。四つの一次転写ローラ9(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体1(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。
【0018】
そして、一次転写ローラ9(Y,M,C,K)に、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、それぞれの一次転写ローラ9(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体1(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて一次転写される。
【0019】
各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、二次転写ローラ19と対向する二次転写部に達する。二次転写部では、二次転写バックアップローラ12と二次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで二次転写ニップを形成する。中間転写ベルト8上に形成された四色のトナー像は、この二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部の位置に達し、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。こうして、中間転写ベルト8上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0020】
二次転写ニップの位置に搬送される記録媒体Pは、装置本体の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。詳しくは、給紙部26には記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が
図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0021】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップで一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが二次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0022】
二次転写ニップでカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
【0023】
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。こうして、プリンタ100における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、作像部における現像装置の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5は、
図2に示すように、ドラム状の感光体1に対向する現像ローラ51、現像ローラ51に対向するドクターブレード52、第一現像剤収容部53及び第二現像剤収容部54内に配設された二つの搬送スクリュー55を備える。さらに、第一現像剤収容部53の現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56を備える。
【0025】
現像ローラ51は、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部(53,54)内には、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gが収容されている。第二現像剤収容部54は、その上方に形成された開口を介してトナー落下搬送経路64に連通している。
【0026】
現像ローラ51のスリーブは、
図2の矢印方向(反時計周り方向)に回転駆動する。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51上を移動する。
【0027】
現像装置5内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。現像装置5内のトナー消費に応じて、トナーボトル32に収容されているトナーが、トナー補給装置60を介して第二現像剤収容部54内に補給される。トナー補給装置の構成、動作については、後で詳しく説明する。
【0028】
第二現像剤収容部54内に補給されたトナーは、二つの搬送スクリュー55によって、現像剤Gとともに混合、攪拌されながら、二つの現像剤収容部(53,54)を循環する。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51上に担持される。現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52の位置に達する。
【0029】
そして、現像ローラ51上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体1との対向位置(現像領域)まで搬送され、現像領域に形成された電界によって感光体1上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない第一現像剤収容部53の上方に達して、この位置で現像ローラ51から離脱される。
【0030】
図3は、四つのトナー補給装置60のうちの一つであって、トナーボトル32が設置された状態のトナー補給装置60を示す模式図である。また、
図4は、トナーボトル収容部70にトナーボトル32(Y,M,C,K)が設置された状態を示す概略斜視図である。
図5は、トナーボトル収容部70に一つのトナーボトル32が設置された状態を示す概略斜視図である。
【0031】
プリンタ100のトナーボトル収容部70に設置されたトナーボトル32内のトナーは、各色の現像装置5内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60によって適宜に各色の現像装置5内に補給される。
【0032】
プリンタ100本体のトナーボトル収容部70に対して、トナーボトル32を
図4中の矢印「Q」の方向へ移動することで、トナーボトル収容部70にトナーボトル32を装着する。この装着動作に連動して、トナーボトル32のシャッター38(
図3参照)がトナーボトル32に対して矢印「Q」方向とは逆方向に移動し、トナー排出孔Wが開放される。その結果、トナー補給装置60のトナー補給口73wとトナーボトル32のトナー排出孔Wとが連通する。これにより、トナーボトル32内に収容されたトナーが、トナー排出孔Wから排出されると、トナー補給装置60のトナー補給口73wからトナータンク部61内に貯溜される。
【0033】
トナーボトル32は、主として、トナーボトル収容部70に非回転で保持される封止キャップとしての有底円筒形状のキャップ34と、中空円柱形状の容器本体33とで構成される。容器本体33は、キャップ34に対して相対的に回転可能に保持され、トナー補給装置60の駆動出力ギヤ81とかみ合うギヤ部133c(
図9参照)を有している。駆動部91(駆動モータ、駆動伝達ギヤ等を有する)が駆動出力ギヤ81を回転させることにより、容器本体33のギヤ部に駆動を伝達し、容器本体33が図中の矢印「R」方向に回転駆動する。
【0034】
容器本体33が回転することで、容器本体33の内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起331によって、容器本体33の内部に収容されたトナーが容器本体33の長手方向に沿って
図3中の左側から右側へ搬送される。搬送されたトナーは、容器本体33のキャップ34側の先端に形成された先端開口部133a(
図9参照)からキャップ34内に排出される。キャップ34内に排出されたトナーは、後から先端開口部133aを通って排出されるトナーに押されて
図3中の右方向に移動する。そして、キャップ34のトナー排出孔Wからトナーが排出され、トナー補給装置60のトナー補給口73wからトナータンク部61内にトナーが供給される。すなわち、駆動部91によってトナーボトル32の容器本体33が適宜に回転駆動されることで、トナータンク部61にトナーが適宜に供給される。各色のトナーボトル32(Y,M,C,K)は、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったとき)に新品のものに交換される。
【0035】
トナー補給装置60は、トナーボトル収容部70、トナータンク部61、トナー搬送スクリュー62、タンク内攪拌部材65、トナーエンドセンサ66、駆動部91等で構成されている。
図3に示すように、トナータンク部61には、トナーボトル32から供給されたトナーが貯留されており、トナー搬送スクリュー62の回転によって搬送され、トナー落下搬送経路64(
図2参照)から現像装置5の第二現像剤収容部54に供給される。
【0036】
トナータンク部61の壁面には、トナータンク部61に貯留されたトナーが所定量以下になったことを検知するトナーエンドセンサ66が設置されている。トナーエンドセンサ66としては、圧電センサ等を用いることができる。
【0037】
トナーエンドセンサ66によってトナータンク部61に貯留されたトナーが所定量以下になったことが制御部90にて検知(トナーエンド検知)されると、制御部90の制御により駆動部91が駆動する。そして、トナーボトル32の容器本体33を所定時間回転駆動してトナータンク部61へのトナー補給を行う。容器本体33を所定時間回転駆動する制御を繰り返しても、トナーエンドセンサ66によるトナーエンド検知が解除されない場合には、トナーボトル32内にトナーがないものとして、プリンタ100の表示部にトナーボトル32の交換を促す旨の表示を行う。
【0038】
トナータンク部61内のトナーエンドセンサ66の近傍には、トナータンク部61に貯留されたトナーの凝集を防ぐタンク内攪拌部材65が設置されている。タンク内攪拌部材65は、軸部に可撓性部材が設置されたものであって、
図3の時計回り方向に回転することによりトナータンク部61内のトナーを攪拌する。さらに、タンク内攪拌部材65の可撓性部材の先端が、その回転周期でトナーエンドセンサ66の検知面を摺接することで、トナーエンドセンサ66の検知面にトナーが固着して検知精度が低下する不具合を抑止している。
【0039】
図4に示すように、トナーボトル収容部70は、キャップ受部73と、ボトル受部72(容器本体受部)と、挿入口部71と、で構成されている。キャップ受部73は、トナーボトル32のキャップ34を保持するためのものである。ボトル受部72は、トナーボトル32の容器本体33を保持するためのものである。トナーボトル32の装着動作時における挿入口となる挿入口部71と、で構成されている。
【0040】
プリンタ100の手前側(
図1の紙面垂直方向手前側)に設置された本体カバーを開放すると、トナーボトル収容部70の挿入口部71が露出する。そして、トナーボトル32の長手方向を水平方向とした状態で、プリンタ100の手前側からトナーボトル32の着脱操作(トナーボトル32の長手方向を着脱方向とする着脱操作)を行う。
【0041】
ボトル受部72は、その長手方向の長さが、容器本体33の長手方向の長さとほぼ同等になるように形成されている。キャップ受部73は、ボトル受部72における長手方向(装着方向)の一端側に設けられ、挿入口部71はボトル受部72における長手方向(装着方向)の他端側に設けられている。このような構成により、トナーボトル32の装着動作にともない、キャップ34は、挿入口部71を通過した後に、しばらくボトル受部72上を滑動し、その後にキャップ受部73にセットされることになる。
容器本体33におけるキャップ34とは反対側端部(装着方向の後方の端部)には、トナーボトル32の着脱作業を行う際にユーザーが把持するための把持部33dが設けられている。
【0042】
図6は、キャップ34の正面斜視図であり、
図7は、キャップの側面斜視図であり、
図8は、キャップの正面図である。
封止キャップたるキャップ34は、大径円筒部34aと、中径円筒部34bと、小径円筒部34cとを有している。また、キャップ34は、大径円筒部34aと中径円筒部34bとを繋ぐ、キャップ34の容器本体33への装着方向に直交する第一接続壁部35aと、中径円筒部34bと小径円筒部34cとを繋ぐ、上記装着方向に直交する第二接続壁部35bと有している。
【0043】
第一接続壁部35aには、円周方向に4箇所、穴部131が設けられており、この穴部131の内側の縁(中径円筒部34bの容器側端部)から、スナップフィット部130の脚部130d(
図11参照)が、装着方向に延び出すように形成されている。
【0044】
図9は、容器本体33の概略構成図である。
図9に示すように、容器本体33は、トナーが収容された収容部33aと、トナーを汲み上げる汲み上げ部33bと、収容部33aよりも小径で、先端開口部133aを備える頭部33cとを有している。頭部33cには、駆動出力ギヤ81(
図3参照)とかみ合うギヤ部133cと、キャップ34のスナップフィット部130の爪部130aが係合する係合部としても係合突起133bとが設けられている。係合突起133bは、頭部33cの外周を一周するように形成されている。
【0045】
キャップ34を容器本体に取り付けるときは、スナップフィット部130の脚部130d(
図11参照)が外側へ弾性変形してスナップフィット部130の爪部130aが係合突起133bを乗り越えることで、爪部130aが頭部33cの係合突起133bとギヤ部133cとの間に嵌まり込む。これにより、キャップ34が、容器本体33に取り付けられる。
【0046】
トナーボトル32をリユースするにあたり、トナーボトル32を分解清掃するときは、次のようにして、容器本体33からキャップ34から取り外す。すなわち、スナップフィット部130を外側に弾性変形させながら、キャップ34を、
図9の右側へ移動させることで、爪部130aと係合突起133bとの係合を解除し、キャップ34を容器本体33から取り外す。
【0047】
図10は、
図8の丸で囲んだD部分の拡大図である。また、
図11(a)は、従来構成のスナップフィット部230の断面斜視図であり、(b)は、本実施形態のスナップフィット部130の断面斜視図である。なお、
図10に示す破線は、従来のスナップフィット部230を示している。
【0048】
図10の破線、
図11(a)に示すように、従来のスナップフィット部は、中径円筒部34bの曲率に合わせ、脚部230dを外側に湾曲させている。そのため、
図11(a)に示すように、脚部230bのキャップの容器本体への装着方向に直交する断面形状が円弧形状となっていた。その結果、スナップフィット部130の剛性が強く、スナップフィット部130が外側へ弾性変形し難くなっていた。そのため、爪部130aが係合突起133bを乗り越え難く、キャップ34の容器本体33への取り付けが困難となっており、組み立て作業性が悪かった。また、トナーボトル32を分解清掃するときなど、キャップ34の容器本体からの取り外しも困難であり、分解清掃の作業性も悪かった。
【0049】
これに対し、本実施形態では、
図10の実線および
図11(b)に示すように、スナップフィット部130の脚部130dの断面形状が矩形状で、外側に湾曲しておらず略直方体形状となっている。これにより、
図10の破線や
図11(a)に示した従来構成に比べて、スナップフィット部の剛性を弱めることができ、スナップフィット部を容易に外側に弾性変形させることができる。これにより、爪部130aが係合突起133bを容易に乗り越え、キャップ34の容器本体への取り付けを容易に行うことができ、組み立て作業性をよくすることができる。また、トナーボトル32を分解清掃するときなど、キャップ34を容器本体からの取り外しも容易に行うことができ、分解清掃の作業性もよくすることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、スナップフィット部の脚部全体を、断面形状が矩形状となるように構成しているが、スナップフィット部の脚部130dの根元側のみ、断面形状を矩形状としてもよい。
【0051】
本実施形態では、キャップ34は、樹脂材からなり、モールドで形成されている。スナップフィット部130の爪部130aを、キャップの内周面を成形する内側(コア側)の金型だけで成型しようとすると、内側の金型が爪部130aによって抜けなくなる。そのため、スナップフィット部は、キャップ34の外周面を成形する外側(キャビティー側)の金型と、内側の金型とで形成する必要がある。従って、キャップ34の第二接続壁部35bのスナップフィット部の爪部と対向する箇所には、外側の金型が抜けるようにするための第二穴部132が形成される。
【0052】
外側の金型の少なくともスナップフィット部130の脚部130dの内周面と爪部130aとを形成する部分(以下、スナップフィット形成部という)は、細長い部分となる。外側の金型のスナップフィット形成部で、第二穴部132を形成し、第二穴部132の幅(円周方向長さ)が、スナップフィット部130の幅と同一との場合は、以下の不具合が発生するおそれがある。すなわち、成型後の樹脂材の収縮により外側の金型のスナップフィット形成部に第二穴部132の縁が強く接触するおそれがある。その結果、外側の金型が抜け難くなる。また、第二穴部132の縁が強く接触することで、外側の金型のスナップフィット形成部に抜け傷が発生したり、スナップフィット形成部の根元に割れが発生したりして金型が破損するおそれもある。
【0053】
そのため、本実施形態では、
図10に示すように、第二穴部132の幅L2を、スナップフィット部130の幅L1よりも広くしている。これにより、外側の金型を抜くときに、外側の金型のスナップフィット形成部が、第二穴部132の縁に強く接触するのを抑制することができる。これにより、金型の破損や、外側の金型の抜け性を向上させることができる。
【0054】
また、第二穴部132の幅L2を、スナップフィット部130の幅L1よりも広くすることで、スナップフィット部130の剛性を弱めることができ、組立作業性や分解清掃の作業性も改善する。
【0055】
また、本実施形態では、スナップフィット部130の爪部130aの頂部が、キャップの容器本体への装着方向からみたとき直線状となっているが、
図12に示すように爪部の頂部を、容器本体33の頭部の外周面の曲率とほぼ同一の曲率の凹状の円弧としてもよい。
図12に示す構成とすることで、爪部130aを頭部33cの係合突起133bとギヤ部133cとの間に嵌まり込せたときに、爪部130aの頂部が、容器本体の頭部33cの外周面に倣う。これにより、爪部130aの係合突起133bに対する引っ掛かり量(食い込み量)を爪部130aの幅方向でほぼ同一にできる。これにより、キャップ34が容器本体33から外れる方向の外力が何かのはずみでキャップ34に加わったときに、爪部130aと係合突起133bとの係合が外れてしまうのを抑制することができる。
【0056】
一方、
図10に示すように、爪部130aの頂部が、キャップの容器本体への装着方向から見たとき直線状となっている場合は、爪部130aの頂部の幅方向両側は、容器本体33の頭部33cの外周面から離間する。その結果、
図12に示す構成に比べて、爪部130aの幅方向の両側の係合突起133bに対する引っ掛かり量(食い込み量)が少なくなる。よって、
図12の構成に比べて、容易にキャップ34を容器本体から取り外すことができ、リユースを行うときの分解清掃の作業性を高めることができるというメリットがある。
【0057】
爪部130aの頂部の形状を、
図10に示すように直線状にするか、
図12に示すように円弧状にするかは、装置構成により適宜、選択すればよい。例えば、容器本体33の頭部33cの直径が短く、直線状にすると爪部130aの幅方向両側の係合突起133bに対する引っ掛かり量(食い込み量)がほとんどないような構成の場合は、
図12の構成(爪部の頂部を凹状の円弧形状)とするのが好ましい。
【0058】
図13は、スナップフィット部130の第一変形例を示す概略構成図である。
図13に示すように、この第一変形例は、スナップフィット部130の根元付近に、キャップの円周方向に沿って切り欠き130bを設けたものである。切り欠き130bを設けることで、スナップフィット部130の脚部130dの剛性がより低下し、スナップフィット部130をより弾性変形しやすくなる。その結果、キャップ34を容易に容器本体33に対して着脱することができ、組み立て作業性および分解清掃の作業性を向上することができる。
【0059】
図13では、スナップフィット部の脚部130dの外周面に切り欠き130bを設けているが、脚部130dの爪部130aを有する面である内周面に切り欠きを設けてもよい。内周面に設けた場合でも、切り欠き130bを設けた箇所の剛性が弱くなり、スナップフィット部が弾性変形しやすくなる。
【0060】
図14は、スナップフィット部130の第二変形例を示す概略構成図である。
図14に示すように、この第二変形例は、スナップフィット部130の脚部130dの爪部130aが設けられた内周面130cに抜き勾配をつけたものである。これにより、外側の金型のスナップフィット形成部にスナップフィット部130が貼り付くのを防止でき、離型性を向上することができる。これにより、成型されたキャップ34が、本来の貼り付き側ではない外側の金型に貼り付く型取られや、スナップフィット形成部に抜け傷が発生するのを抑制することができる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0062】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
中空円柱形状の容器本体33などの容器の円柱の中心軸方向の一端部に形成された先端開口部133aなどの開口を封止する有底円筒形状のキャップ34などの封止キャップにおいて、容器キャップ時に容器の外周面に対向するように、当該封止キャップの本体から当該封止キャップの容器への装着方向に延び出した脚部130dと、脚部130dの先端側に設けられ、容器の外周面に形成された係合突起133bなどの係合部に係合する爪部130aとを有するスナップフィット部130を備え、脚部133dの少なくとも根元側の装着方向に直交する断面形状が、矩形状である
従来において、スナップフィット部の脚部は、有底円筒形状の封止キャップ本体の外周面に倣っており、封止キャップの容器に対する装着方向に直交する脚部の根元側の断面形状が円弧形状であった。脚部の根元側の断面形状が円弧状であることで、封止キャップ本体の周方向および上記装着方向いずれにも直交する方向の力に対する脚部の剛性が高くなり、脚部が、上記周方向および上記装着方向いずれにも直交する方向に弾性変形しづらかった。そのため、脚部を弾性変形させながら、封止キャップを装着方向に移動させて、爪部を被係合部に係合させる封止キャップを容器本体に装着する作業が困難となる。また、爪部が被係合部と装着方向で対向しなくなるように脚部を弾性変形させながら、封止キャップを容器本体から取り外す方向に移動させて、爪部と被係合部との係合を解除して封止キャップを容器本体から取り外す作業が困難となる。
これに対し、態様1では、スナップフィット部の脚部の少なくとも根元側の上記装着方向に直交する断面形状を矩形状としたことで、断面形状が円弧形状の場合に比べて、上記周方向および上記装着方向のいずれにも直交する方向の剛性が低くなり、脚部を容易に上記周方向および上記装着方向のいずれにも直交する方向に弾性変形させることができる。これにより、爪部の容器への係合や、爪部と被係合部との係合の解除を容易に行うことができ、封止キャップの容器本体に対する着脱を容易に行うことができる。
【0063】
(態様2)
態様1において、爪部130aの頂部は、装着方向から見たとき、直線状である。
これによれば、
図10を用いて説明したように、爪部130aの幅方向の両側の係合突起133bなどの環状の係合部に対する引っ掛かり量(食い込み量)を少なくできる。これにより、容易に封止キャップを容器本体33から取り外すことができ、リユースを行うときの分解清掃の作業性を高めることができる。
【0064】
(態様3)
態様1において、爪部130aの頂部は、装着方向から見たとき、凹状の円弧形状である。
これによれば、
図12を用いて説明したように、係合突起133bなどの環状の係合部に対する引っ掛かり量(食い込み量)を爪部130aの幅方向でほぼ同一にすることができる。これにより、封止キャップが容器本体33などの容器から外れる方向の外力が封封止キャップに加わったときに、爪部130aと係合部との係合が外れてしまうのを抑制することができる。
【0065】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、直径が異なる複数の円筒部(本実施形態では、大径円筒部34aと、中径円筒部34bと、小径円筒部34c)と、円筒部同士を繋ぐ着脱方向に直交する接続壁部(本実施形態では、第一接続壁部35aと、第二接続壁部35b)を有し、接続壁部のスナップフィット部130の爪部130aとの対向部分には、第二穴部132などの穴部が形成されており、穴部の幅L2が、スナップフィット部130の幅L1よりも広い。
これによれば、
図10を用いて説明したように、封止キャップを形成する金型が破損するのを抑制することができる。
【0066】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、スナップフィット部130は、キャップ34などの封止キャップの本体の円周方向に切り欠き130bが形成されている。
これによれば、
図13を用いて説明したように、スナップフィット部130の脚部130dがさらに弾性変形しやすくなり、封止キャップを容易に容器本体33などの容器に対して着脱することができる。これにより、組み立て作業性および分解清掃の作業性を向上することができる。
【0067】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、スナップフィット部130の脚部130dの爪部130aが設けられた面に抜き勾配がつけられている。
これによれば、
図14を用いて説明したように、成型された封止キャップの外側(キャビティー側)の金型に対する離型性を高めることができ、本来成型された封止キャップが貼り付く金型である内側(コア側)の金型とは、異なる金型(外側の金型)に貼り付く型取られの発生を抑制することができる。また、外側の金型のスナップフィット部を成形する部分に抜け傷が生じるのを抑制することができる。
【0068】
(態様7)
トナーを収容した容器本体33などのトナー容器と、トナー容器の先端開口部133aなどの開口を封止するキャップ34などの封止キャップとを有するトナーボトル32などのトナー収容器において、封止キャップとして、態様1乃至6いずれかの封止キャップを用いた。
これによれば、トナーボトル32などのトナー収容器の組み立て作業性や、分解性清掃の作業性を高めることができる。
【0069】
(態様8)
トナーボトル32などのトナー収容器と、トナー収容器のトナーを感光体1などの潜像担持体の潜像を現像する現像装置5に補給するトナー補給装置60とを備えた画像形成装置において、トナー収容器として、態様7のトナー収容器を用いた。
【符号の説明】
【0070】
1 :感光体(潜像担持体)
5 :現像装置
32 :トナーボトル
33 :容器本体
33a :収容部
33b :汲み上げ部
33c :頭部
33d :把持部
34 :キャップ(封止キャップ)
34a :大径円筒部
34b :中径円筒部
34c :小径円筒部
35a :第一接続壁部
35b :第二接続壁部
38 :シャッター
60 :トナー補給装置
70 :トナーボトル収容部
71 :挿入口部
72 :ボトル受部
73 :キャップ受部
73w :トナー補給口
81 :駆動出力ギヤ
90 :制御部
91 :駆動部
100 :プリンタ
130 :スナップフィット部
130a :爪部
130b :切り欠き
130c :内周面
130d :脚部
131 :穴部
132 :第二穴部
133a :先端開口部
133b :係合突起
133c :ギヤ部
331 :螺旋状突起
W :トナー排出孔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】