(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135650
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備
(51)【国際特許分類】
F27D 99/00 20100101AFI20240927BHJP
F23G 5/02 20060101ALI20240927BHJP
F23G 5/033 20060101ALI20240927BHJP
C04B 7/44 20060101ALI20240927BHJP
F27B 7/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F27D99/00 A
F23G5/02 A ZAB
F23G5/033 A
F23G5/02 D
C04B7/44
F27B7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046439
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】古賀 明宏
(72)【発明者】
【氏名】上田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】丸屋 英二
【テーマコード(参考)】
3K065
4G112
4K056
4K061
【Fターム(参考)】
3K065BA05
3K065BA06
3K065BA09
3K065CA01
3K065CA02
3K065CA04
3K065CA08
4G112KA03
4K056AA12
4K056AA14
4K056BA01
4K056BA06
4K056BB01
4K056CA08
4K056EA00
4K056FA11
4K061AA08
4K061BA01
4K061DA00
4K061FA04
4K061HA00
(57)【要約】
【課題】燃料として水分量が異なる廃棄物を用いても、燃焼装置の運転を安定的に継続することが可能な燃料の分別方法を提供する。
【解決手段】廃棄物を含む燃料の画像と、画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得工程と、n個の吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類する分析工程と、近赤外線の吸収情報に基づいて、k個のグループのそれぞれの水分量を予測する第1予測工程と、k個のグループそれぞれの水分量の予測値wに基づいて、画像に含まれる燃料全体の水分量を予測する第2予測工程と、画像に含まれる燃料全体の水分量の予測値Wに基づいて、燃料を複数の分別燃料に分別する分別工程と、を有する、燃料の分別方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を含む燃料の画像と、前記画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得工程と、
前記n個の前記吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類する分析工程と、
前記近赤外線の前記吸収情報に基づいて、前記k個のグループのそれぞれの水分量を予測する第1予測工程と、
前記k個のグループそれぞれの水分量の予測値wに基づいて、前記画像に含まれる前記燃料全体の水分量を予測する第2予測工程と、
前記画像に含まれる前記燃料全体の水分量の予測値Wに基づいて、前記燃料を複数の分別燃料に分別する分別工程と、を有する、燃料の分別方法。
(但し、nは3以上の整数、kは2以上の整数であり、n>kである。)
【請求項2】
前記情報取得工程では、前記近赤外線を含む電磁波を照射する光源と前記近赤外線を検出する検出器とを用いて、前記燃料の近赤外吸収スペクトルを含む前記吸収情報を取得し、
前記第1予測工程では、前記吸収情報を用いて前記k個のグループのそれぞれの平均スペクトルを算出し、当該平均スペクトルに基づいて前記k個のグループのそれぞれの水分量の前記予測値wを導出する、請求項1に記載の燃料の分別方法。
【請求項3】
前記平均スペクトルと、水分量が既知である複数の参照用吸収スペクトルと、を照合して類似度を算出し、前記類似度が最も高い前記参照用吸収スペクトルの水分量w0を前記予測値wとして選択する、請求項2に記載の燃料の分別方法。
【請求項4】
前記類似度は、ピアソンの積率相関係数(PCC)、平均絶対誤差(MAE)、二乗平均平方根誤差(RMSE)又は決定係数(R2)によって判定する、請求項3に記載の燃料の分別方法。
【請求項5】
前記平均スペクトルと照合される前記複数の参照用吸収スペクトルの個数は前記k個の1~30倍である、請求項3に記載の燃料の分別方法。
【請求項6】
前記クラスター分析は、k平均法、DBSCAN法、及びスペクトラルクラスタリング法からなる群より選ばれる少なくとも一つの方法によって行う、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項7】
前記クラスター分析の前に、前記近赤外線の前記吸収情報の前処理を行う前処理工程を有し、
前記前処理は、最大値による規格化、トリミング、スムージング、及び2階微分からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項8】
前記複数の分別燃料は、前記予測値Wが5質量%以下である第1分別燃料と、前記予測値が5質量%を超える第2分別燃料と、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項9】
前記廃棄物は、プラスチック、紙、木屑、石、ガラス、金属、布、及び皮からなる群より選ばれる2つ以上を含んでおり、
前記情報取得工程では、搬送部で搬送される前記燃料に対して前記近赤外線を含む電磁波を照射する、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項10】
前記情報取得工程の前に、前記廃棄物を破砕する破砕工程を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項11】
前記画像に含まれる前記燃料の粒径が35mm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項12】
セメント原料をセメントクリンカの製造設備における燃焼装置で加熱する加熱工程を有する、セメントクリンカの製造方法であって、
請求項1~5のいずれか一項に記載の分別方法で分別された前記複数の分別燃料の少なくとも一つを前記燃焼装置の燃料に用いる、セメントクリンカの製造方法。
【請求項13】
前記加熱工程では、前記水分量の予測値Wに基づいて、前記複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択してそれぞれの供給先への導入量を調節する、請求項12に記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項14】
前記燃焼装置は、セメントキルン及び仮焼炉を有し、
前記分別工程で分別される前記複数の分別燃料は、第1分別燃料と、前記第1分別燃料よりも水分量の予測値が高い第2分別燃料と、を含み、
前記セメントキルンで用いられる燃料が前記第1分別燃料を含み、
前記仮焼炉で用いられる燃料が前記第2分別燃料を含む、請求項12に記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項15】
前記加熱工程において、前記仮焼炉で用いる燃料を前記第2分別燃料から前記第1分別燃料に変更する際に、前記仮焼炉への供給が停止される際の前記第2分別燃料の導入量よりも、前記仮焼炉への供給が開始される前記第1分別燃料の導入量の方が少なくなるように調整する、請求項14に記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項16】
廃棄物を含む燃料の画像と、前記画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得部と、
前記n個の前記吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類し、前記近赤外線の前記吸収情報に基づいて、前記k個のグループのそれぞれの水分量を予測し、前記k個のグループそれぞれの水分量の予測値wに基づいて、前記画像に含まれる前記燃料全体の水分量を予測する情報処理部と、
前記画像に含まれる前記燃料全体の水分量の予測値Wに基づいて、前記燃料を複数の分別燃料に分別する分別部と、を有する、燃料の分別装置。
(但し、nは3以上の整数、kは2以上の整数であり、n>kである。)
【請求項17】
前記情報取得部では、前記近赤外線を含む電磁波を照射する光源と前記近赤外線を検出する検出器とを用いて、前記燃料の近赤外吸収スペクトルを含む前記吸収情報を取得し、
前記情報処理部では、前記吸収情報を用いて前記k個のグループのそれぞれの平均スペクトルを算出し、当該平均スペクトルに基づいて前記k個のグループのそれぞれの水分量の予測値wを導出する、請求項16に記載の燃料の分別装置。
【請求項18】
前記平均スペクトルと、水分量が既知である複数の参照用吸収スペクトルと、を照合して類似度を算出し、前記類似度が最も高い前記参照用吸収スペクトルの水分量w0を前記予測値wとして選択する、請求項17に記載の燃料の分別装置。
【請求項19】
前記廃棄物を破砕して前記燃料を得る破砕部と、前記破砕部で破砕された前記燃料を搬送する搬送部と、を備え、
前記情報取得部は、前記搬送部で搬送される前記燃料の前記画像及び前記近赤外線の前記吸収情報を取得する、請求項16に記載の燃料の分別装置。
【請求項20】
請求項16~19のいずれか一項に記載の分別装置と、当該分別装置で分別された前記複数の分別燃料をそれぞれ貯留する複数のタンクと、燃焼装置と、を備え、前記複数のタンクに貯留される前記複数の分別燃料の少なくとも一つを前記燃焼装置の燃料に用いる、セメントクリンカの製造設備。
【請求項21】
水分量の前記予測値Wに基づいて、前記複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択してそれぞれの供給先への導入量を調節する、請求項20に記載のセメントクリンカの製造設備。
【請求項22】
前記燃焼装置がセメントキルン及び仮焼炉を有し、
前記分別部で分別される前記複数の分別燃料は、第1分別燃料と、前記第1分別燃料よりも水分量の予測値が高い第2分別燃料と、を含み、
前記複数のタンクの少なくとも一つから前記第1分別燃料が前記セメントキルンへ供給され、前記第1分別燃料を供給する前記タンクとは異なる、前記複数のタンクの少なくとも一つから前記第2分別燃料が前記仮焼炉へ供給される、請求項20に記載のセメントクリンカの製造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼装置において廃棄物が燃料として利用されている。燃料に用いられる廃棄物には、プラスチック、紙、及び木屑等の種々の成分が含まれる。このような廃棄物は、保管及び輸送時における降雨の影響、火災防止のための散水等によって、水分を多く含む場合がある。このため、廃棄物の水分の含有量は、廃棄物の保管方法、輸送方法、及び取り扱い設備の状況に応じて大きく異なるのが現状である。例えば、バラ品を屋外保管したために降雨の影響により水分を多く含む廃棄物もあれば、圧縮梱包品を屋内保管したために水分をほとんど含まない廃棄物もある。また、元々は水分を殆ど含まない廃棄物であっても、廃棄物を使用する際に破砕機等で火災予防のために散水を受ける場合もある。このように、燃料として使用する過程で水分を多く含む状態へ変化する廃棄物もある。
【0003】
このような廃プラスチックを含む廃棄物をセメントクリンカの製造設備で燃料として利用する方法として、特許文献1では、水分を含む廃棄物を熱風に接触させて、廃棄物の水分量を低減する技術が提案されている。
【0004】
一方、非特許文献1では、家電及び自動車等、複雑な組成を有する製品の廃棄物の選別精度を高めるため、種々のセンサー選別技術が挙げられている。物体情報の検出には、γ線からマイクロ波までの電磁波を用いて、赤外線吸収スペクトル、X線透過率、ラマンスペクトル等の種々の検出情報を取得し、これらの検出情報に基づいて物体を識別する方法が挙げられている。また、このような物体の識別は、ピークの高さ又は面積値等に基づいて閾値を設定すること、或いは、多変量解析又はニューラルネットワークといったデータ全域の類似性に基づいて行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】古屋仲茂樹,“資源リサイクリングにおけるセンサー選別技術の最近の傾向”,Journal of MMIJ,Vol.129,2013年,No.10,11,p.615-624
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
種々の燃焼装置において廃棄物を燃料として有効活用することが期待されている。ところで、燃料として使用される廃棄物の水分量が変動すると、廃棄物の比重が変化して、燃焼装置の運転変動が生じることが懸念される。例えば、セメントクリンカの製造設備で廃棄物を燃料として用いると、燃料として燃焼装置内に廃棄物を吹き込んだときに、飛距離が変化して廃棄物の着地燃焼が発生し、運転状態及びセメントクリンカの品質変動が生じることが懸念される。また、廃棄物からの水蒸気発生量が変化し、燃焼ガスの伝熱挙動が変動することで、セメント原料の焼成反応に影響を及ぼしたり、セメントクリンカの製造設備内のガス成分が変化して運転変動が生じたりすることが懸念される。特に、廃棄物の使用量が増えた場合には、その影響も大きくなることが予想される。
【0008】
これに対し、廃棄物の水分量を予測して、予測結果に応じて運転調整を行うことが考えられるものの、種々の成分を含む廃棄物の1つ1つの成分を識別する非特許文献1に記載のような方法では、予測に必要な計算量が膨大となり、タイムリーに運転調整を行うことができないことが懸念される。また、廃棄物のための乾燥設備を設ける特許文献1に記載のような方法では、設備コストの増大や、設備の処理能力のネックによって廃棄物の使用量が制限されることが予想される。
【0009】
そこで、本発明では、燃料として水分量が異なる廃棄物を用いても、燃焼装置の運転を安定的に継続することが可能な燃料の分別方法及び分別装置を提供する。また、燃料として水分量が異なる廃棄物を用いても、セメントクリンカの製造を安定的に継続することが可能なセメントクリンカの製造方法、及び、セメントクリンカの製造設備を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一つの側面において、廃棄物を含む燃料の画像と、前記画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得工程と、
前記n個の前記吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類する分析工程と、
前記近赤外線の前記吸収情報に基づいて、前記k個のグループのそれぞれの水分量を予測する第1予測工程と、
前記k個のグループそれぞれの水分量の予測値wに基づいて、前記画像に含まれる前記燃料全体の水分量を予測する第2予測工程と、
前記画像に含まれる前記燃料全体の水分量の予測値Wに基づいて、前記燃料を複数の分別燃料に分別する分別工程と、を有する、燃料の分別方法を提供する。但し、nは3以上の整数、kは2以上の整数であり、n>kである。
【0011】
上記分別方法では、近赤外線の吸収情報のクラスター分析を行って、画像におけるn個の領域をk個のグループに分類している。そして、k個のグループのそれぞれの水分量の予測値wに基づいて、画像に含まれる燃料全体の水分量を予測している。ここで、n>kであることから、n個の水分量を予測する場合に比べて水分量の予測数を減らすことが可能となり、予測に必要な計算量を低減することができる。このため、燃料全体の水分量の予測値Wを迅速に予測することが可能となり、種々の成分を含有する廃棄物を含む燃料を、円滑に複数に分別することができる。そして、燃焼装置の燃料に用いる際に、水分量の予測結果に基づいて分別された複数の分別燃料のそれぞれの導入位置を別々にしたり、個別に導入量を調節したりすることができる。これによって、種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、燃焼装置の運転変動が抑制され、燃焼装置を安定的に継続することができる。
【0012】
本発明は、一つの側面において、セメント原料をセメントクリンカの製造設備における燃焼装置で加熱する加熱工程を有する、セメントクリンカの製造方法であって、上記分別方法で分別された前記複数の分別燃料の少なくとも一つを前記燃焼装置の燃料に用いる、セメントクリンカの製造方法を提供する。
【0013】
この製造方法では、上述の分別方法で分別された複数の分別燃料をセメントクリンカの燃焼装置の燃料に用いる。このため、例えば、複数の分別燃料のそれぞれの供給先を個別に選択したり、個別に導入量を調節したりすることができる。したがって、燃料の水分量が変動しても、水分量の予測結果に基づいて分別された分別燃料を用いることによってセメントクリンカ製造時の運転変動が抑制され、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。
【0014】
本発明は、一つの側面において、廃棄物を含む燃料の画像と、前記画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得部と、
前記n個の前記吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類し、前記近赤外線の前記吸収情報に基づいて、前記k個のグループのそれぞれの水分量を予測し、前記k個のグループそれぞれの水分量の予測値wに基づいて、前記画像に含まれる前記燃料全体の水分量を予測する情報処理部と、
前記画像に含まれる前記燃料全体の水分量の予測値Wに基づいて、前記燃料を複数の分別燃料に分別する分別部と、を有する、燃料の分別装置を提供する。但し、nは3以上の整数、kは2以上の整数であり、n>kである。
【0015】
上記分別装置の情報処理部は、近赤外線の吸収情報のクラスター分析を行って、画像におけるn個の領域をk個のグループに分類する。そして、k個のグループのそれぞれの水分量を予測し、この水分量の予測値wに基づいて、画像に含まれる燃料全体の水分量を予測する。ここで、n>kであることから、n個の水分量を予測する場合に比べて水分量の予測数を減らすことが可能となり、予測に必要な計算量を低減することができる。このため、燃料全体の水分量の予測値Wを迅速に予測することが可能となり、セメントクリンカの製造において、種々の成分を含む廃棄物を含む燃料を、水分量の予測値Wに応じて円滑に分別することができる。このような分別燃料は、燃焼装置で燃焼する際に、水分量の予測結果に基づいてそれぞれの導入位置を別々にしたり、個別に導入量を調節したりすることができる。これによって、種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、燃焼装置の運転変動が抑制され、燃焼装置の運転を安定的に継続することができる。
【0016】
本発明は、一つの側面において、前記分別装置と、当該分別装置で分別された前記複数の分別燃料をそれぞれ貯留する複数のタンクと、燃焼装置と、を備え、前記複数のタンクに貯留される前記複数の分別燃料の少なくとも一つを前記燃焼装置の燃料に用いる、セメントクリンカの製造設備を提供する。
【0017】
この製造設備では、上述の分別装置で分別された複数の分別燃料の少なくとも一つを燃焼装置で燃料として使用する。このため、例えば、複数の分別燃料のそれぞれの供給先を個別に選択したり、個別に導入量を調節したりすることができる。したがって、水分量が異なる廃棄物を用いても、燃焼装置の運転変動が抑制され、燃焼装置の運転を安定的に継続することができる。よって、セメントクリンカを安定的に製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、燃料として水分量が異なる廃棄物を用いても、燃焼装置の運転を安定的に継続することが可能な燃料の分別方法及び分別装置を提供することができる。また、燃料として水分量が異なる廃棄物を用いても、セメントクリンカの製造を安定的に継続することが可能なセメントクリンカの製造方法、及び、セメントクリンカの製造設備を提供することができる。これによって、廃棄物を従来以上に燃料として有効利用することが可能となり、品質のばらつきが十分に低減されたセメントクリンカを低い製造コストで製造することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】燃料の分別方法の一例を示すフローチャートである。
【
図2】燃料の分別装置の一例を模式的に示す図である。
【
図3】燃料の分別装置における情報処理部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】燃料の分別方法における情報処理の概要を模式的に示す図である。
【
図5】燃料の分別方法における分別工程の一例を示すフローチャートである。
【
図6】セメントクリンカの製造設備の一例を模式的に示す図である。
【
図7】(A)及び(B)は前処理前の参照用試料1~30の近赤外吸収スペクトルの例を示す図である。(A’)及び(B’)はこれらを前処理した後の近赤外吸収スペクトルを示す図である。
【
図8】(C)及び(D)は前処理前の参照用試料1~30の近赤外吸収スペクトルの例を示す図である。(C’)及び(D’)はこれらを前処理した後の近赤外吸収スペクトルを示す図である。
【
図9】(E)は前処理前の参照用試料1~30の近赤外吸収スペクトルの例を示す図である。(E’)はこれらを前処理した後の近赤外吸収スペクトルを示す図である。
【
図10】(A)及び(B)は前処理前の参照用試料31~54の近赤外吸収スペクトルの例を示す図である。(A’)及び(B’)はこれらを前処理した後の近赤外吸収スペクトルを示す図である。
【
図11】(C)及び(D)は前処理前の参照用試料31~54の近赤外吸収スペクトルの例を示す図である。(C’)及び(D’)はこれらを前処理した後の近赤外吸収スペクトルを示す図である。
【
図12】画像を構成する画素をクラスター分析で3つのグループに分類したときの各グループの分布の一例を示す写真である。
【
図13】類似度の判定をPCC(ピアソンの積率相関係数)で行った場合の実施例1の水分量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
【
図14】類似度の判定をR2(決定係数)で行った場合の実施例1の水分量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
【
図15】類似度の判定をMAE(平均絶対誤差)で行った場合の実施例1の水分量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
【
図16】類似度の判定をRMSE(二乗平均平方根誤差)で行った場合の実施例1の水分量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
【
図17】類似度の判定をPCC(ピアソンの積率相関係数)で行った場合の実施例2の水分量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
【
図18】類似度の判定をR2(決定係数)で行った場合の実施例2の水分量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
【
図19】類似度の判定をMAE(平均絶対誤差)で行った場合の実施例2の水分量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
【
図20】類似度の判定をRMSE(二乗平均平方根誤差)で行った場合の実施例2の水分量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、場合により図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
【0021】
図1に示すように、一実施形態に係る燃料の分別方法は、廃棄物を破砕する破砕工程S1と、
搬送部で搬送される廃棄物を含む燃料の画像と、当該燃料に対して近赤外線を含む電磁波を照射して、当該画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得工程S2と、
n個の領域の吸収情報のクラスター分析を行って、n個の領域の吸収情報をk個のグループに分類する分析工程S3と、
近赤外線の吸収情報に基づいて、k個のグループのそれぞれの水分量を予測する第1予測工程S4と、
k個のグループそれぞれの水分量の予測値wに基づいて、上記画像に含まれる燃料全体の水分量を予測する第2予測工程S5と、
燃料全体の水分量の予測値Wに基づいて、燃料を、第1分別燃料と第1分別燃料よりも水分量の予測値Wが高い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別工程S6と、を有する。
【0022】
燃焼装置の燃料に用いられる廃棄物は、種々の成分が含まれる。具体的には、プラスチック、紙、木屑、石、金属、及び布等が挙げられる。廃棄物の水分量は、発生源、含有成分の種類、及び処理工程等の要因で変動する。木屑、紙及び布等を多く含む廃棄物は、高い吸水性を有することから、製造工程中の散水及び降雨の影響によって水分量が高くなる傾向にある。一方、プラスチックは吸収性が低いことから、プラスチックを多く含む廃棄物は、水分量が低くなる傾向にある。廃棄物の水分量は、例えば0~40質量%の範囲で変動してよい。上記分別方法では、このような水分量が異なる廃棄物を含む燃料を複数に分別して、水分量の平均値が互いに異なる複数の分別燃料を得ることができる。
【0023】
廃棄物の水分量は、0.5質量%以上、1.0質量%、又は3質量%以上であってよい。燃料としての有用性を高くする観点から、廃棄物の水分量は、30質量%以下、25質量%以下、又は20質量%以下であってよい。同様の観点から、廃棄物はプラスチックを含むことが好ましい。プラスチックは発熱量が高いうえに吸水性が低いことから、プラスチックを含むことによって、燃料としての有用性を高めることができる。廃棄物におけるプラスチックの含有量は、5質量%以上、10質量%、又は15質量%以上であってよい。
【0024】
図2は、本実施形態の分別方法を実施するための分別装置の一例を示している。
図2の分別装置100は、燃料の分別装置であって、廃棄物を破砕して廃棄物を含む燃料を得る破砕部10と、廃棄物を含む燃料を搬送する搬送部12と、燃料を搬送部12で搬送しながら当該燃料に近赤外線を含む電磁波を照射する光源14、及び、電磁波が照射される燃料の画像と当該画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収スペクトルとを検出する検出器15を備える情報取得部16と、領域毎の近赤外線の吸収情報(n個の吸収情報)が入力され、当該吸収情報を処理して上記画像に含まれる燃料全体の水分量の予測値Wを出力する情報処理部20と、情報処理部20から出力される水分量の予測値Wに基づいて制御信号を出力する制御部30と、制御部30からの制御信号によって、燃料を、少なくとも、第1分別燃料と第1分別燃料よりも水分量の予測値Wが高い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別部40と、を有する。なお、上記分別方法を、この分別装置を用いて行うことは必須ではなく、別の分別装置を用いて行ってもよい。また、上記分別装置は、上述の分別方法とは異なる分別方法で燃料を分別するように構成されていてもよい。
【0025】
破砕工程S1は、例えば破砕部10で行うことができる。破砕部10に備えられる破砕機としては、例えば、ミル、シュレッダー、クラッシャ等が挙げられる。破砕部10によって、粒径が例えば35mm以下の燃料を得る。このようなサイズに破砕された燃料に近赤外線を含む電磁波を照射することによって、十分に高い精度で水分量を予測することができる。本明細書において「近赤外線」は、780~2500nmの波長範囲の電磁波である。
【0026】
燃料11に含まれる廃棄物を構成している分子(例えば、C-H、O-H)は、様々な運動をしており、運動している分子に赤外線を当てると運動状態に合わせて特定の波長の光のみが吸収される。廃棄物に含まれる水(水分子)は、波長950nm、1450nm、及び1940nm付近に特徴的なピークをもつ吸収スペクトルが得られる。このように近赤外領域には廃棄物に含まれる水のピークが検出される。このため、近赤外線の吸収情報を用いることによって、高い精度で水分量を予測することができる。近赤外線の吸収情報は、近赤外吸収スペクトルを含むことが好ましい。
【0027】
一層高精度の予測結果を得る観点から、近赤外線を含む電磁波が照射される燃料の粒径は30mm以下であってよく、25mm以下であってもよい。なお、燃料の粒径は、二次元の画像で描かれる燃料に外接する外接円の直径として求めることができる。破砕部10の上流には、粗破砕機、風力選別機、磁選機等を設置して、廃棄物原料から金属等を除去してもよい。破砕工程S1を行うことは必須ではなく、受け入れられた廃棄物をそのまま搬送部12で搬送して情報取得部16で情報取得工程S2を行ってもよい。
【0028】
情報取得工程S2は、燃料の画像と画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報を取得する。画像を構成するn個の領域は、n個の画素(ピクセル)であってよい。すなわち、情報取得工程S2では、画像を構成する各画素において近赤外線の吸収情報を取得してよい。この場合、n=画素数となる。nは1万以上であってよく、10万以上であってよく、100万以上であってもよい。nの上限に特に制限はないが、情報処理の負荷低減の観点から、1000万以下であってよい。このようにして、情報取得工程S2では、n個の吸収情報D1(n個の近赤外吸収スペクトル)を取得してよい。
【0029】
図3に示すように、情報取得工程S2では、廃棄物を含む燃料11に近赤外線を含む電磁波を照射する光源14と近赤外線を検出する検出器15とを備えるハイパースペクトルカメラ(情報取得部16)を用いて、燃料11の画像と、当該画像における画素毎の近赤外吸収スペクトル(吸収情報)を取得してよい。光源14としては、近赤外線を含む電磁波を照射可能なものであれば特に制限されない。燃料11に照射される電磁波が近赤外線を含むことによって、プラスチックの水分量を精度よく予測することができる。ハイパースペクトルカメラとしては、例えば、RESONON社製のもの、又はHyspex社製のものを用いることができる。近赤外線の吸収情報が近赤外吸収スペクトルを含むことによって、燃料の水分量を高い精度で予測することができる。情報取得工程で取得される近赤外吸収スペクトルの波長範囲は、800~2500nmであってよく、900~2000nmであってよい。これによって、不要なノイズを削減し水分量の予測精度を向上することができる。
【0030】
分別方法は、情報取得工程S2の後(分析工程S3の前)、情報取得工程S2で取得された近赤外吸収スペクトルを前処理する前処理工程を有していてもよい。前処理は、トリミング、スムージング、2階微分、及び最大値による規格化、からなる群より選ばれる少なくとも一つを含んでいてよい。これによって、燃料の水分量の予測精度を十分に高くすることができる。例えば、画像における領域の数(n個)=画素数である場合、燃料のサイズに応じて、隣接する複数の画素の情報の平均をとるようにスムージングを行うことによって、燃料の水分量の予測精度を高くすることができる。また、光源14等からのノイズの影響を低減するため、トリミングを行ってもよい。2階微分または最大値による規格化を行うことによって、反射光の強度によってスペクトルが上下にシフトすることの影響を低減することができる。最大値による規格化は、近赤外吸収スペクトルを、そのうちの最大吸光度を用いて正規化する方法である。
【0031】
分析工程S3では、
図4に示すように画素毎に取得された近赤外吸収スペクトルのクラスター分析を行って、n個の吸収情報D1(n個の近赤外吸収スペクトル)を、k個のグループ(クラスター)に分類する。クラスター分析は、非階層的クラスタリングによって行ってよい。クラスター分析のアルゴリズムとしては、k平均法(k-means法)、DBSCAN法、及びスペクトラルクラスタリング法等が挙げられる。このうち、分析工程における分類を高精度且つ迅速に行う観点から、k平均法を用いることが好ましい。
【0032】
分析工程S3のクラスター分析で分類されるグループ数(k個)は、燃料11の水分量の予測精度を高くする観点から、3個以上であってよく、5個以上であってよく、10個以上であってもよい。
図4には、n個の近赤外吸収スペクトルが、画像D2において4つのグループに分類されていることが示されている(k=4)。分析工程S3で分類されるグループ数(k個)は、水分量の予測に伴う計算の負荷を低減する観点から、30個以下であってよく、20個以下であってもよい。グループ数(k個)の一例は、3~30個であってよい。
【0033】
画像における領域数又は画素数(n個)とクラスター分析によって分類されるグループ数(k個)の関係はn>kである。n/kは、水分量の予測に伴う計算の負荷を低減する観点から、100以上であってよく、0.1万以上であってよく、0.5万以上であってよく、1万以上であってもよい。n/kは、水分量の予測精度を十分に高くする観点から、1000万以下であってよく、500万以下であってよく、100万以下であってもよい。
【0034】
第1予測工程S4では、分類されたk個のグループのそれぞれの水分量を予測する。例えば、あるグループ1にn1個の吸収情報(近赤外吸収スペクトル)が分類された場合、n1個の吸収情報(近赤外吸収スペクトル)の加重平均値(平均スペクトルD3)を算出する。この平均スペクトルD3に基づいて、グループ1の水分量の予測値w1を求めてもよい。同様にして、グループkの水分量の予測値wkを求めてもよい(kは2以上の整数であり、n>kである。)。
【0035】
各グループの水分量の予測値wkは、平均スペクトルD3と、データベースD4に含まれる水分量w0が既知である複数の参照用吸収スペクトルDrのそれぞれとを照合して類似度を算出し、類似度が最も高い参照用吸収スペクトルDrの水分量w0を選択して導出するようにしてもよい。データベースD4に含まれる参照用吸収スペクトルDrは、水分量w0が既知の成分の近赤外吸収スペクトルである。
【0036】
燃料11には、多種多様な材質が含まれ得るし、水分量も変動し得る。このため、プラスチック、紙、木屑、石、ガラス、布及び皮等の含有割合や、水分量がそれぞれ異なる廃棄物の近赤外分光分析を行って、参照用吸収スペクトルDrを取得して近赤外吸収スペクトルのデータベースD4を構築する。参照用吸収スペクトルDrは、多様な材質及び水分量からなる廃棄物の近赤外吸収スペクトルであってよく、水分以外の材質は単一成分で構成されるプラスチックの近赤外吸収スペクトルであってもよい。これによって、廃棄物の主成分が廃プラスチックである場合にも、十分に高い精度で水分量を予測することができる。
【0037】
情報取得工程S2で取得された近赤外吸収スペクトルが上記前処理工程によって前処理される場合、参照用吸収スペクトルDrも予め同じ前処理が施されたものであることが好ましい。参照用吸収スペクトルDrを得るための前処理の内容は、前処理工程で挙げたとおりである。これによって、燃料11の水分量の予測精度を十分に高くすることができる。
【0038】
参照用吸収スペクトルの個数は、上述のグループ数(k個)の1倍以上であってよく、2倍以上であってよく、3倍以上であってもよい。これによって、燃料の水分量の予測精度を十分に高くすることができる。データ処理の負荷低減の観点から、参照用吸収スペクトルの個数は、上述のグループ数(k個)の30倍以下、20倍以下、又は6倍以下であってもよい。
【0039】
類似度は、例えば、ピアソンの積率相関係数(PCC)、平均絶対誤差(MAE)、二乗平均平方根誤差(RMSE)又は決定係数(R2)によって判定してよい。これによって、燃料全体の水分量の予測の精度を十分に維持することができる。廃棄物を含む燃料11の水分量の予測に参照用吸収スペクトルDrの水分量を用いることから、燃料11に含まれる各成分の水分量を直接予測する場合に比べて、燃料11の水分量の予測に必要な計算量を十分に低減することができる。したがって、燃料11が種々の材質を含む廃棄物であっても、燃料11の水分量を迅速に予測することができる。
【0040】
第2予測工程S5では、各グループの水分量の予測値wkと、情報取得工程S2で取得された画像における各グループの存在割合とから、上記画像に含まれる燃料全体の水分量を予測する。例えば、画像において、グループ1に属する吸収情報(近赤外吸収スペクトル)がn1個である場合、グループ1の存在割合はn1/nとなる。各グループの水分量の予測値wkと各グループの存在割合の積を求め、この積を足し合わせることによって、画像に含まれる燃料全体の水分量の予測値Wを求めることができる。
【0041】
例えば、
図4に示すように、クラスター分析によって、画像の各領域(各画素)に対応するn個の近赤外吸収スペクトルが、k=4個のグループに分類された場合、グループ1,2,3,4の水分量の予測値は、w1,w2,w3,w4となる。w1,w2,w3,w4は、それぞれで類似度が最も高いと判定された参照用吸収スペクトルDrの水分量である。画像D2で分類されたグループ1,2,3,4に含まれるそれぞれの領域の個数(画素の数)を、それぞれ、n1,n2,n3,n4とし、領域総数(画素の総数)をn個(n=n1+n2+n3+n4)とすると、4個のグループの存在割合は、それぞれ、n1/n,n2/n,n3/n,n4/nとなる。画像に含まれる燃料全体の水分量の予測値Wは、以下の計算式で算出される。
W=w1×(n1/n)+w2×(n2/n)+w3×(n3/n)+w4×(n4/n)
【0042】
クラスター分析によって、画像の各領域(各画素)に対応するn個の近赤外吸収スペクトルが、k個のグループに分類された場合、各グループの水分量の予測値は、w1,w2,w3,・・・wkとなる。w1,w2,w3,・・・wkは、それぞれで類似度が最も高いと判定された参照用吸収スペクトルDrの水分量である。画像におけるk個のグループのそれぞれの領域の個数(画素の数)を、それぞれ、n1,n2,n3,・・・nkとし、領域総数(画素の総数)をn個すると、k個のグループの存在割合は、それぞれ、n1/n,n2/n,n3/n,・・・nk/nとなる。画像に含まれる燃料全体の水分量の予測値Wは、以下の計算式で算出される。
W=w1×(n1/n)+w2×(n2/n)+w3×(n3/n)+・・・+wk×(nk/n)
【0043】
このように上述の分別方法では、クラスター分析を行ってn個の吸収情報をn個よりも少ないk個のグループに分け、各グループの平均スペクトルを取得して水分量の予測計算を行う。このため、燃料11が種々の成分を含む廃棄物を含有していても、水分量の予測値を導出するための計算量を十分に低減できる。したがって、迅速に燃料11の水分量を予測することができる。
【0044】
1個の燃料11が一つの画像に収まる場合には、画像に含まれる燃料全体の水分量の予測値Wが当該1個の燃料11の水分量の予測値となる。1個の燃料11が一つの画像に収まらない場合は、画像に含まれる燃料全体の水分量の予測値Wを、1個の燃料11の水分量の予測値とみなして分別してもよい。また、1個の燃料11の画像を複数に分けて撮影し、一枚の画像毎に、画像に含まれる燃料全体の水分量の予測値W1を導出し、当該予測値W1の平均値を1個の燃料11全体の水分量の予測値W2としてもよい。このような場合も、本実施形態における「画像に含まれる燃料全体の水分量の予測値Wに基づいて燃料を複数の分別燃料に分別する」ことに含まれる。
【0045】
第2予測工程S5において、上記画像に含まれる燃料全体の水分量を予測する際に、当該画像における各グループの存在割合(nk/n)を用いることは必須ではない。例えば、一つの変形例では、各グループの水分量の予測値wkの全てが分別工程の閾値以上又は閾値未満であった場合は、k個の水分量の予測値wkの算術平均値を画像に含まれる燃料全体の水分量の予測値Wとしてもよい。この場合、水分量の予測値Wは、以下の計算式で算出される。これによって、予測に必要な計算量をさらに低減することができる。
W=(w1+w2+w3+・・・+wk)/k
【0046】
分別装置100の情報処理部20は、上述のようなクラスター分析を行って、n個の領域の近赤外吸収スペクトルをk個のグループに分類する分析部と、近赤外吸収スペクトルを用いてk個のグループのそれぞれの平均スペクトルを算出し、当該平均スペクトルに基づいてk個のグループのそれぞれの水分量の予測値wkを導出する第1予測部と、第1予測部で予測された水分量の予測値wkと、画像におけるk個のグループのそれぞれの存在割合と、から、画像に含まれる燃料全体の水分量の予測値Wを導出する第2予測部と、を有してよい。このような情報処理部20において、分析工程S3、第1予測工程S4及び第2予測工程S5を行うことができる。分析部、第1予測部及び第2予測部において、上述の分析工程S3、第1予測工程S4及び第2予測工程S5を、それぞれ行ってもよい。したがって、分析工程S3、第1予測工程S4、第2予測工程S5及び変形例の説明内容は、分析部、第1予測部及び第2予測部にも適用される。
【0047】
分析工程S3、第1予測工程S4及び第2予測工程S5を行う情報処理部20は、通常のコンピュータシステムとして構成することができる。情報処理部20のハードウェア構成の一例は、
図3に示すように回路70を備える。回路70は、少なくとも一つのプロセッサ72、メモリ74、ストレージ76、及び入出力ポート78を有する。ストレージ76には、各機能を実現するためのコンピュータソフトウェア(例えば解析ソフト)が記録されていてもよい。情報処理部20は、プロセッサ72及びメモリ74等のハードウェア上に、このようなコンピュータソフトウェアを読み込ませることによって、プロセッサ72の制御の下で入出力ポート78及び入出力デバイス82が動作するように構成されてよい。ストレージ76は、ハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な記録媒体であってよい。
【0048】
ストレージ76には、参照用吸収スペクトルDrのデータベースD4が記憶されていてよい。メモリ74は、ストレージ76からロードされたプログラム、データ及びプロセッサ72の演算結果等を一時的に記憶する。プロセッサ72は、メモリ74と協働し、情報取得部16で取得された近赤外吸収スペクトルの前処理、クラスター分析、参照用吸収スペクトルDrとの照合、及び類似度の判定を行って、各グループの水分量の予測値w、及び画像に含まれる燃料全体の水分量の予測値Wを出力するプログラムを実行する。入出力ポート78は、プロセッサ72からの指令に応じ、制御部30及び入出力デバイス82等の間で電気信号の入出力を行う。
【0049】
分別装置100の情報処理部20は、近赤外吸収スペクトルのクラスター分析を行うため、クラスター分析を行わない場合に比べて、燃料全体の水分量の予測値Wを導出するための計算量を低減するこができる。このため、情報処理部20の負荷を低減し、迅速に燃料11の水分を予測することができる。
【0050】
図2に示すように、情報処理部20は、燃料11の水分量の予測結果(予測値W)を、制御部30に出力する。制御部30は、情報処理部20からの入力値に基づいて、
図2のダンパー41,42を操作する制御信号を出力する。制御部30は、情報処理部20と同様に、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、及び入出力ポート等を有していてよい。制御部30は、制御信号を導出し、当該制御信号を出力できる構成を有していればよい。なお、情報処理部20と制御部30を、別々のハードウェアとして構成することは必須ではなく、これらを一つのハードウェアとして構成してもよい。
【0051】
分別工程S6は、
図2の分別部40で行うことができる。分別部40は、搬送部12に接続されたダンパー41,42と、第1分別燃料を貯留するタンク51と、第2分別燃料を貯留するタンク52を備える。この例では、複数の燃料11を、2つに分別している。なお、分別される分別燃料の数は特に限定されず、複数の燃料11を水分量の予測値に応じて3つ以上に分別してもよい。
【0052】
タンク51に貯留される第1分別燃料は、例えば、水分量の予測値Wが5質量%以下の燃料である。第2分別燃料は、例えば、水分量の予測値Wが5質量%を超える燃料である。第1分別燃料と第2分別燃料の水分量の予測値Wの閾値は5質量%に限定されない。閾値を5質量%とすることによって、第1分別燃料を用いる燃焼装置に導入される水分量を十分に少なくすることができる。このような燃焼装置において燃料に用いられる微粉炭等の化石燃料の消費量を低減することができる。
【0053】
分別工程S6の一例では、
図5に示されるフローチャートに沿って、分別部40で燃料を2つに分別する。分別を開始する前は、ダンパー41,42が閉止されている(S11)。水分量の予測値Wが5質量%以下である場合(S12)は、ダンパー41を開放し(S13)、第1分別燃料としてタンク51に導入する(S14)。水分量の予測値Wが5質量%を超える場合は、ダンパー42を開放し(S15)、第2分別燃料としてタンク52に導入する(S16)。このようにして、廃棄物を含む複数の燃料11が、水分量の予測結果に応じて2つの分別燃料に分別される。
【0054】
図2に示すようにタンク51,52には、それぞれ導出路51a,52aが接続されている。一旦タンク51,52に貯留された第1分別燃料,第2分別燃料は、導出路51a,52aを流通して下流の第1燃焼装置、及び第2燃焼装置まで搬送されてよい。搬送は、ベルトコンベア又はガス(空気)圧送によって行ってもよいし、重力落下によって行ってもよい。分別装置100と、燃焼装置とが別々の場所にある場合は、タンクから導出された各分別燃料を、燃焼装置の設置場所にあるタンクまでトラックを用いて運搬してもよい。
【0055】
タンク51に貯留される第1分別燃料における水分量(実測値)の平均値は、タンク52に貯留される第2分別燃料における水分量(実測値)の平均値よりも低いことが好ましい。タンク51に貯留される第1分別燃料における水分量(実測値)の平均値は、5質量%以下であってよい。この場合、タンク52に貯留される第2分別燃料における水分量(実測値)の平均値は5質量%を超えてよい。
【0056】
複数の分別燃料は、一旦タンク51,52に貯留された後、第1燃焼装置及び第2燃焼装置で燃料として燃焼される。第1燃焼装置及び第2燃焼装置は、焼却炉、ボイラー、セメントクリンカの製造設備における仮焼炉、又はセメントキルン等であってよい。第1分別燃料と第2分別燃料を別々の燃焼装置に導入することは必須ではなく、例えば、同一焼却炉の別々の場所から導入したり、個別に導入量を調節したりしてもよい。このようにして、焼却炉等の燃焼装置の安定運転を継続しながら、廃棄物を燃料として有効利用して、化石燃料の使用量を低減することができる。なお、燃焼装置(第1燃焼装置及び第2燃焼装置)では、燃料を、当該燃焼装置に備えられるバーナで燃焼してよい。
【0057】
一実施形態に係るセメントクリンカの製造方法は、セメント原料を燃焼装置で加熱する加熱工程を有する。加熱工程では、上述の分別方法で複数に分別された分別燃料(第1分別燃料、第2分別燃料)の少なくとも一つを燃焼装置の燃料に用いる。燃焼装置は、セメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一つを含む。
【0058】
図6のセメントクリンカの製造設備300を用いて、上述のセメントクリンカの製造方法を行ってもよい。ただし、上記製造方法を、このセメントクリンカの製造設備を用いて行うことは必須ではなく、別のセメントクリンカの製造設備を用いて行ってもよい。また、上記セメントクリンカの製造設備は、上述のセメントクリンカの製造方法とは別の製造方法でセメントクリンカを製造するように構成されていてもよい。
【0059】
図6のセメントクリンカの製造設備300は、燃料の分別装置100と、セメントクリンカ製造装置200とを備える。セメントクリンカ製造装置200は、セメント原料が導入される導入口201と、導入口201から導入されたセメント原料を予熱する4つのサイクロンC1,C2,C3,C4(プレヒータ)と、セメント原料を仮焼する仮焼炉230と、予熱及び仮焼されたセメント原料を焼成してセメントクリンカを生成するセメントキルン240と、セメントキルン240で生成したセメントクリンカを冷却し、冷却されたセメントクリンカを導出するクリンカクーラ250とを備える。
【0060】
導入口201は、サイクロンC1とサイクロンC2との接続部に設けられている。導入口201から導入されるセメント原料は、例えば、焼却灰、石炭灰、石灰石、鉄源、スラグ及び廃棄物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでもよい。導入口201から導入されたセメント原料は、サイクロンC1、サイクロンC2、サイクロンC3、ライジングダクト234、仮焼炉230、サイクロンC4を流通しながら加熱され、セメントキルン240の窯尻242に導入される。
【0061】
セメントキルン240の窯尻242と仮焼炉230はライジングダクト234で接続されている。ライジングダクト234には、ライジングダクト234内のキルン排ガスを抽気する抽気管236が接続されている。抽気管236の下流には、クーラー及びバグフィルタ等を有する塩素バイパス部237が設置されており、抽気管236で抽気された抽気ガス(キルン排ガス)に含まれるダストが回収されるようになっている。塩素バイパス部237でダストが除去された後のガスは、クリンカクーラ250と仮焼炉230と接続する循環ガスライン252に導入され、仮焼炉230に導入される。塩素バイパス部237を有することによって、セメントクリンカ製造装置200内から、塩素系化合物及びアルカリ等の揮発分を低減することができる。なお、変形例では、抽気管236は窯尻242に接続されていてもよいし、ライジングダクト234と窯尻242の境界部分に接続されていてもよい。
【0062】
セメントキルン240内の温度は、例えば、1400℃~1500℃である。セメントキルン240の一端に設けられたバーナ244には、タンク51から廃棄物を含む第1分別燃料と、化石燃料が供給される。化石燃料としては微粉炭等の石炭、コークス、重油等を用いることができる。本実施形態では第1分別燃料が低い水分量を有することから、化石燃料に対する第1分別燃料の割合を十分に高くすることができる。したがって、化石燃料の使用量を低減することができる。また、分別前の廃棄物に比べて第1分別燃料は水分量の変動が小さい。このため、十分な量の第1分別燃料を燃料として用いつつ、セメントクリンカ製造装置200の安定運転を継続することができる。セメントクリンカ製造装置200の運転を一層安定化させる観点から、第1分別燃料の水分量(実測値)は、5質量%以下であることが好ましい。これによって、得られるセメントクリンカの品質のばらつきを十分に低減することができる。
【0063】
セメントキルン240の運転制御は、セメントキルン240を回転させる際のトルク又は回転モータの消費電力を測定する測定部M、化石燃料の導入量を調節する調節部222、及び、測定部Mの測定値に基づいて調節部222を調節するための制御信号を出力する制御部224によって行ってもよい。このとき、第1分別燃料は、セメントキルン240の運転制御が可能な範囲で最大限の量をバーナ244に導入してよい。この場合、測定部Mの測定値が目標範囲になるように化石燃料の導入量を調節すればよい。これによって、第1分別燃料を有効活用しつつ、セメントキルン240の安定運転を継続することができる。ただし、変形例では、バーナ244への第1分別燃料の導入量は、第1分別燃料の水分量の予測結果、及び/又は、セメントキルン240の運転状況に応じて流量調節部51Vによって調節してもよい。また、第1分別燃料と化石燃料は、それぞれ異なるバーナに導入されてもよい。
【0064】
仮焼炉230内の温度は、例えば、850℃~900℃である。仮焼炉230には、タンク52から廃棄物を含む第2分別燃料と、化石燃料が供給される。化石燃料としては微粉炭等の石炭、コークス、重油等を用いることができる。仮焼炉230はセメントキルンよりも低温であることから、第1分別燃料よりも水分量が多い第2分別燃料を導入しても、仮焼炉230の温度を十分安定的に維持することができる。
【0065】
仮焼炉230の運転制御は、仮焼炉230の温度を測定する測定部T、化石燃料の導入量を調節する調節部231、及び、測定部Tの測定値に基づいて調節部231を調節するための制御信号を出力する制御部232によって行ってもよい。このとき、第2分別燃料は、仮焼炉230の運転制御が可能な範囲で最大限の量を仮焼炉230に導入してよい。そして、測定部Tの測定値が目標範囲を維持するように化石燃料の導入量を調節する。これによって、第2分別燃料も仮焼炉230の燃料として有効活用しつつ、仮焼炉230の安定運転を継続することができる。ただし、変形例では、仮焼炉230への第2分別燃料の導入量は、第2分別燃料の水分量の予測結果、及び/又は、仮焼炉230の運転状況に応じて流量調節部52Vによって調節してもよい。第2分別燃料と化石燃料は、それぞれ仮焼炉230に取り付けられたバーナに導入されて、仮焼炉230内で燃焼されてもよい。
【0066】
流量調節部51V,52Vを制御することで、第1分別燃料と第2分別燃料とを一定の流量比率で、セメントクリンカ製造装置200に導入してもよい。これによって、セメントクリンカ製造装置200の運転を十分に安定化することができる。
【0067】
流量調節部51V,52Vは、それぞれ、バルブ及びその開度を制御する制御部(不図示)で構成されていてよい。例えば、ロードセル及びインパクトライン流量計等で導入量を測定し、フィードバック制御で各分別燃料の流量を調節してもよい。流量調節部51V,52Vは、それぞれ、第1分別燃料、第2分別燃料の流量を調節可能な構成であれば特に限定されない。
【0068】
第1分別燃料の供給先は、セメントクリンカ製造装置200の運転状況、及び、第1分別燃料及び第2分別燃料の在庫バランスに応じて、バーナ244から仮焼炉230(又は仮焼炉230に取り付けられたバーナ)に切り替えてもよい。第1分別燃料の供給先の切り替えは、例えば制御部30からの制御信号に基づいて三方弁51Tを操作して行うことができる。
【0069】
仮焼炉230で用いる燃料を、第2分別燃料から第1分別燃料に変更する際、仮焼炉230への供給が停止される第2分別燃料の導入量よりも、仮焼炉230への供給が開始される第1分別燃料の導入量の方が少なくなるように調整することが好ましい。第1分別燃料の方が第2分別燃料よりも水分量が小さいため、このように調整することによって、仮焼炉230の温度変動を十分に抑制することができる。
【0070】
本実施形態のセメントクリンカの製造方法及びセメントクリンカの製造設備によれば、種々の成分を含む廃棄物を含む複数の燃料を水分量の予測結果に基づいて分別し、分別して得られる分別燃料を用いていることから、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。また、セメントクリンカ製造装置の運転状態に応じて、各分別燃料の供給先を変更したり、導入量を調節したりして、柔軟な運転調整が可能となる。これによって、セメントクリンカの品質のばらつきも十分に低減することができる。さらに、化石燃料の消費量を低減し、燃料として廃棄物を有効利用することができる。
【0071】
以上、本開示の幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、
図6のセメントクリンカの製造設備の例では分別装置100を備えているが、これに限定されない。例えば、燃料を3つ以上の分別燃料に分別する分別装置を備えていてもよい。燃料の分別装置の説明内容は燃料の分別方法にも適用され、燃料の分別方法の説明内容は燃料の分別装置にも適用される。セメントクリンカの製造設備の説明内容はセメントクリンカの製造方法にも適用され、セメントクリンカの製造方法の説明内容はセメントクリンカの製造設備にも適用される。
【0072】
本発明は以下の実施形態を含む。
[1]廃棄物を含む燃料の画像と、前記画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得工程と、
前記n個の前記吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類する分析工程と、
前記近赤外線の前記吸収情報に基づいて、前記k個のグループのそれぞれの水分量を予測する第1予測工程と、
前記k個のグループそれぞれの水分量の予測値wに基づいて、前記画像に含まれる前記燃料全体の水分量を予測する第2予測工程と、
前記画像に含まれる前記燃料全体の水分量の予測値Wに基づいて、前記燃料を複数の分別燃料に分別する分別工程と、を有する、燃料の分別方法。
(但し、nは3以上の整数、kは2以上の整数であり、n>kである。)
[2]前記情報取得工程では、前記近赤外線を含む電磁波を照射する光源と前記近赤外線を検出する検出器とを用いて、前記燃料の近赤外吸収スペクトルを含む前記吸収情報を取得し、
前記第1予測工程では、前記吸収情報を用いて前記k個のグループのそれぞれの平均スペクトルを算出し、当該平均スペクトルに基づいて前記k個のグループのそれぞれの水分量の前記予測値wを導出する、[1]に記載の燃料の分別方法。
[3]前記平均スペクトルと、水分量が既知である複数の参照用吸収スペクトルと、を照合して類似度を算出し、前記類似度が最も高い前記参照用吸収スペクトルの水分量w0を前記予測値wとして選択する、[2]に記載の燃料の分別方法。
[4]前記類似度は、ピアソンの積率相関係数(PCC)、平均絶対誤差(MAE)、二乗平均平方根誤差(RMSE)又は決定係数(R2)によって判定する、[3]に記載の燃料の分別方法。
[5]前記平均スペクトルと照合される前記複数の参照用吸収スペクトルの個数は前記k個の1~30倍である、[2]~[4]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
[6]前記クラスター分析は、k平均法、DBSCAN法、及びスペクトラルクラスタリング法からなる群より選ばれる少なくとも一つの方法によって行う、[1]~[5]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
[7]前記クラスター分析の前に、前記近赤外線の前記吸収情報の前処理を行う前処理工程を有し、
前記前処理は、最大値による規格化、トリミング、スムージング、及び2階微分からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、[1]~[6]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
[8]前記複数の分別燃料は、前記予測値Wが5質量%以下である第1分別燃料と、前記予測値が5質量%を超える第2分別燃料と、を含む、[1]~[7]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
[9]前記廃棄物は、プラスチック、紙、木屑、石、ガラス、金属、布、及び皮からなる群より選ばれる2つ以上を含んでおり、
前記情報取得工程では、搬送部で搬送される前記燃料に対して前記近赤外線を含む電磁波を照射する、[1]~[8]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
[10]前記情報取得工程の前に、前記廃棄物を破砕する破砕工程を有する、[1]~[9]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
[11]前記画像に含まれる前記燃料の粒径が35mm以下である、[1]~[10]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
[12]セメント原料をセメントクリンカの製造設備における燃焼装置で加熱する加熱工程を有する、セメントクリンカの製造方法であって、
前記[1]~[11]のいずれか一つに記載の分別方法で分別された前記複数の分別燃料の少なくとも一つを前記燃焼装置の燃料に用いる、セメントクリンカの製造方法。
[13]前記加熱工程では、水分量の前記予測値Wに基づいて、前記複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択してそれぞれの供給先への導入量を調節する、[12]に記載のセメントクリンカの製造方法。
[14]前記燃焼装置は、セメントキルン及び仮焼炉を有し、
前記分別工程で分別される前記複数の分別燃料は、第1分別燃料と、前記第1分別燃料よりも水分量の予測値が高い第2分別燃料と、を含み、
前記セメントキルンで用いられる燃料が前記第1分別燃料を含み、前記仮焼炉で用いられる燃料が前記第2分別燃料を含む、仮焼炉及びセメントキルンを含み、
前記セメントキルンで用いられる燃料が前記第1分別燃料を含み、前記仮焼炉で用いられる燃料が前記第2分別燃料を含む、[12]又は「13」に記載のセメントクリンカの製造方法。
[15]前記加熱工程において、前記仮焼炉で用いる燃料を前記第2分別燃料から前記第1分別燃料に変更する際に、前記仮焼炉への供給が停止される際の前記第2分別燃料の導入量よりも、前記仮焼炉への供給が開始される前記第1分別燃料の導入量の方が少なくなるように調整する、[14]に記載のセメントクリンカの製造方法。
[16]廃棄物を含む燃料の画像と、前記画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得部と、
前記n個の前記吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類し、前記近赤外線の前記吸収情報に基づいて、前記k個のグループのそれぞれの水分量を予測し、前記k個のグループそれぞれの水分量の予測値wに基づいて、前記画像に含まれる前記燃料全体の水分量を予測する情報処理部と、
前記画像に含まれる前記燃料全体の水分量の予測値Wに基づいて、前記燃料を複数の分別燃料に分別する分別部と、を有する、燃料の分別装置。
(但し、nは3以上の整数、kは2以上の整数であり、n>kである。)
[17]前記情報取得部では、前記近赤外線を含む電磁波を照射する光源と前記近赤外線を検出する検出器とを用いて、前記燃料の近赤外吸収スペクトルを含む前記吸収情報を取得し、
前記情報処理部では、前記吸収情報を用いて前記k個のグループのそれぞれの平均スペクトルを算出し、当該平均スペクトルに基づいて前記k個のグループのそれぞれの水分量の予測値wを導出する、[16]に記載の燃料の分別装置。
[18]前記平均スペクトルと、水分量が既知である複数の参照用吸収スペクトルと、を照合して類似度を算出し、前記類似度が最も高い前記参照用吸収スペクトルの水分量w0を前記予測値wとして選択する、[17]に記載の燃料の分別装置。
[19]前記廃棄物を破砕して前記燃料を得る破砕部と、前記破砕部で破砕された前記燃料を搬送する搬送部と、を備え、
前記情報取得部は、前記搬送部で搬送される前記燃料の前記画像及び前記近赤外線の前記吸収情報を取得する、[16]~[18]のいずれか一つに記載の燃料の分別装置。
[20]前記[16]~[19]のいずれか一つに記載の分別装置と、当該分別装置で分別された前記複数の分別燃料をそれぞれ貯留する複数のタンクと、燃焼装置と、を備え、前記複数のタンクに貯留される前記複数の分別燃料の少なくとも一つを前記燃焼装置の燃料に用いる、セメントクリンカの製造設備。
[21]水分量の前記予測値Wに基づいて、前記複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択してそれぞれの供給先への導入量を調節する、[20]に記載のセメントクリンカの製造設備。
[22]前記燃焼装置がセメントキルン及び仮焼炉を有し、
前記分別部で分別される前記複数の分別燃料は、第1分別燃料と、前記第1分別燃料よりも水分量の予測値が高い第2分別燃料と、を含み、
前記複数のタンクの少なくとも一つから前記第1分別燃料が前記セメントキルンへ供給され、前記第1分別燃料を供給する前記タンクとは異なる、前記複数のタンクの少なくとも一つから前記第2分別燃料が前記仮焼炉へ供給される、[20]又は[21]に記載のセメントクリンカの製造設備。
【0073】
上記[1]によれば、種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、燃焼装置の運転変動が抑制され、燃焼装置を安定的に継続することができる。上記[2]によれば、廃棄物を含む燃料の水分量を一層高い精度で予測することができる。このような予測結果に基づいて分別された複数の分別燃料を用いることによって、燃焼装置の運転変動がより一層抑制され、燃焼装置の運転をより一層安定的に継続することができる。
【0074】
上記[3]によれば、燃料全体の水分量の予測の精度を維持しつつ、燃料全体の水分量の予測に必要な計算量を十分に低減することができる。上記[4]によれば、燃料全体の水分量の予測の精度を十分に高く維持することができる。上記[5]によれば、燃料全体の水分量の予測の精度と計算量のバランスを調整しやすくすることができる。
【0075】
上記[6]によれば、分析工程における分類を高精度且つ迅速に行うことができる。これによって、燃料全体の水分量の予測を高精度且つ迅速に行うことができる。上記[7]によれば、燃料全体の水分量を十分に高い精度で予測することができる。上記[8]によれば、第1分別燃料は、十分に低い水分量を有することから、加熱装置に導入したときに、燃焼ガス量の変動及び着地燃焼等が発生するのを抑制できる。したがって、加熱装置を安定して運転することができる。また、微粉炭等の化石燃料の代替として好適に使用することができる。
【0076】
上記[9]のように廃棄物が種々の材質のものを含んでいて搬送部で搬送されていても、各グループの水分量を高い精度で迅速に予測することができる。これは、近赤外線を含む電磁波を照射して得られる吸収情報を用いてk個のグループのそれぞれの水分量を予測していることによる。したがって、燃料全体の水分量をタイムリーに十分に高い精度で予測することができる。
【0077】
燃料に近赤外線を含む電磁波を照射して得られる近赤外線の吸収情報は、廃棄物片の内部よりも表面に依存する傾向にある。このため、破砕した粒径の小さい廃棄物を含む燃料に近赤外線を含む電磁波を照射して近赤外線の吸収情報を取得すれば、クラスター分析による分類、及び、グループ毎の水分量の予測を高い精度で行うことができる。したがって、上記[10]又は[11]によれば、高い精度で水分量を予測することができる。このような予測結果に基づいて分別された分別燃料を用いることによって、燃焼装置の運転変動が十分に抑制され、燃焼装置を一層安定的に継続することができる。
【0078】
上記[12]によれば、燃料の水分量が変動しても、水分量の予測結果に基づいて分別された分別燃料を用いることによってセメントクリンカ製造時の運転変動が抑制され、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。上記[13]によれば、水分量が大きく異なる種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、燃焼装置の製造を安定的に継続することができる。また、廃棄物を燃料として一層有効活用することができる。上記[14]によれば、水分量の低い第1分別燃料をセメントキルンの燃料として有効活用して、微粉炭等の化石燃料の消費量を低減することができる。上記[15]によれば、仮焼炉に導入される燃料を第2分別燃料から第1分別燃料に変更する際の分別燃料による水分量の変化を小さくして仮焼炉の運転変動を十分に抑制することができる。
【0079】
上記[16]によれば、種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、燃焼装置の運転変動が抑制され、燃焼装置の運転を安定的に継続することができる。上記[17]によれば、画像に含まれる燃料全体の水分量を高い精度で予測することができる。このように高い精度で予測された予測結果に基づいて分別された複数の燃料を用いることによって、燃焼装置の運転変動がより一層抑制され、燃焼装置の運転をより一層安定的に継続することができる。
【0080】
上記[18]によれば、燃料全体の水分量の予測の精度を維持しつつ、燃料全体の水分量の予測に必要な計算量を十分に低減することができる。上記[19]によれば、廃棄物を含む燃料を搬送しながら高い精度で上記情報が得られることから、燃料の分別を効率よく行うことができる。
【0081】
上記[20]によれば、水分量が異なる廃棄物を用いても、燃焼装置の運転変動が抑制され、燃焼装置の運転を安定的に継続することができる。よって、セメントクリンカを安定的に製造することができる。上記[21]によれば、水分量が大きく異なる種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、燃焼装置の運転を安定的に継続することができる。また、廃棄物を燃料として一層有効活用することができる。上記[22]によれば、第1分別燃料と第2分別燃料を別々のタンクから供給することによって、それぞれの導入量を柔軟に調整することが可能となる。これによって、セメントクリンカの製造を一層安定的に継続することができる。
【実施例0082】
実施例を参照して本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0083】
(実施例1)
分別装置における、搬送部、情報取得部及び情報処理部を構成する部材として以下のものを用いた。
・搬送部:可動式移動台(ベルトコンベア)
・近赤外線を含む電磁波を照射する光源:ハロゲンランプ
・情報取得部:ハイパースペクトルカメラ(RESONON社製、商品名:PikaIR)
・情報処理部:パーソナルコンピュータ(制御・解析ソフト「SPECTRONON」)
【0084】
54種類の参照用試料(廃棄物,廃プラスチック、紙、木屑等と、これらに水を添加して水分量を調整したもの)と、251種類の測定用試料(廃棄物を含むセメントクリンカ製造用燃料)を準備した。参照用試料の水分量を、恒温乾燥機を用いて測定した。水分量は、JIS Z 7302-2:1999「廃棄物固形化燃料-第3部:水分試験方法」に準拠して測定した。54種類の参照用試料の水分量の実測値と含有成分の割合は表1及び表2に示すとおりであった。含有成分の割合は手選別で調べた。
【0085】
【0086】
【0087】
上述の部材を用いて、搬送部、情報取得部及び情報処理部を構成した。表1及び表2に示す54種類の参照用試料のそれぞれについて、ハイパースペクトルカメラで画像(82268画素)を撮影するとともに、当該画像の1画素毎の近赤外吸収スペクトルを測定した。測定にあたっては、各参照用試料(約100g)をアルミニウム製のバットに収容し、可動式移動台の上に設置した。可動式移動台の上にハロゲンランプ及びハイパースペクトルカメラを設置した。ハロゲンランプから参照用試料に近赤外線を含む電磁波を照射しながら可動式移動台でバットを移動させ、この移動方向とは垂直方法にラインスキャンすることによってバット内の参照用試料の画像と当該画像の画素毎の近赤外吸収スペクトル(測定波長域880~1710nm)を取得した(n=82268)。
【0088】
解析ソフト(RESONON社製のSPECTRONON)を用いて、取得した参照用試料(54種類)の近赤外吸収スペクトルの前処理を行った。前処理では、近赤外吸収スペクトルのデータを波長960~1710nmの範囲に限定してノイズを低減した。ノイズを低減した近赤外吸収スペクトル中の各波長の吸収強度をスペクトル中の吸収強度の最大値で除算した。このような前処理を行うことによって、ベースラインの変動の影響を低減した。
【0089】
図7(A)、
図7(B)、
図8(C)、
図8(D)及び
図9(E)は、前処理前の参照用試料1~30の近赤外吸収スペクトルの例である。
図10(A)、
図10(B)、
図11(C)及び
図11(D)は、前処理前の参照用試料31~54の近赤外吸収スペクトルの例である。
図7(A’)、
図7(B’)、
図8(C’)、
図8(D’)及び
図9(E’)は、前処理後の参照用試料1~30の近赤外吸収スペクトルの例である。
図10(A’)、
図10(B’)、
図11(C’)及び
図11(D’)は、前処理後の参照用試料31~54の近赤外吸収スペクトルの例である。
【0090】
図7(A)の近赤外吸収スペクトルを前処理したものが
図7(A’)であり、
図7(B)の近赤外吸収スペクトルを前処理したものが
図7(B’)である。このように、「’」が付されていないグラフのスペクトルが前処理前のものであり、「’」が付された同一図番及び同一記号のグラフのスペクトルが前処理後のものである。
図7~
図11に示すとおり、前処理を行うことによってベースラインが適切に補正されることが確認された。
【0091】
前処理後の画素毎の近赤外吸収スペクトルを加重平均して平均スペクトルを算出した。54種類の参照用試料について同様の計算を行って、参照用試料毎の平均スペクトルを算出した。このようにして算出した54種類の平均スペクトルを、参照用吸収スペクトルとして、パーソナルコンピュータのストレージに保存した。
【0092】
251種類の測定用試料のそれぞれについても、参照用試料と同じ手順で、画像と画素毎の近赤外吸収スペクトルを取得し(n=82268)、各近赤外吸収スペクトルの前処理を行った。前処理後の画素毎の近赤外吸収スペクトルのクラスター分析を行った。クラスター分析は、k平均法(k=3)によって行い、近赤外吸収スペクトルデータを3グループ(グループA、グループB及びグループC)に分類した。ハイパースペクトルカメラで撮影した画像におけるグループA,B,Cの分布の一例は
図12に示すとおりであった。実施例1の参照用吸収スペクトルの個数は、グループ数の18倍(=54/3)であった。
【0093】
画像における各グループの存在割合を定量化するため、画素数計測ソフトを用いて各グループに含まれる画素数を計測し、画像における各グループの存在割合を計算した。また、各グループに属する画素の近赤外吸収スペクトルを加重平均して、グループ毎に平均スペクトルを算出した。平均スペクトルと54種類の参照用吸収スペクトルとを照合し、類似度を判定した。類似度の判定は、PCC、R2、RMSE、MAEのそれぞれを用いて行った。それぞれの判定手法において、最も類似度が近いと判定された参照用吸収スペクトルの水分量を当該グループの水分量の予測値wkとした。
【0094】
画像におけるグループA,B,Cのそれぞれの存在割合と、グループA,B,Cのそれぞれの水分量の予測値wkから、測定用試料の全体の水分量の予測値Wを導出した。251種類の測定用試料のそれぞれについて、同様の計算を行って、各測定用試料の全体の水分量の予測値Wを導出した。
【0095】
予測値の精度の検証のため、各測定用試料の水分量を、JIS Z 7302-2:1999「廃棄物固形化燃料-第3部:水分試験方法」に準拠して測定した。表3には、251種類の測定用試料のうち、31種類の測定用試料(廃棄物1~31)の水分量の実測値と含有成分の割合を示す。含有成分の割合は手選別で調べた。表3に示すように測定用試料には種々の成分が含まれていた。
【0096】
【0097】
各廃棄物の水分量の予測値Wと実測値の関係は、
図13,
図14,
図15,
図16に示すとおりであった。
図13は、類似度をPCCで判定した場合の結果である。
図14は、類似度をR2で判定した場合の結果である。
図15は、類似度をMAEで判定した場合の結果である。
図16は、類似度をRMSEで判定した場合の結果である。
【0098】
図13,
図14,
図15,
図16には、実測値=予測値となる直線を描いた。
図13,
図14,
図15,
図16では、いずれもグラフのプロットもこの直線付近に分布しており、水分量の予測値Wと実測値とに良好な相関関係があることが確認された。このことから、実施例1の方法で、高い精度で測定用試料の水分量を予測できることが確認された。
【0099】
(実施例2)
クラスター分析におけるk平均法の条件をk=10としたこと以外は、実施例1と同様にして、各測定用試料の水分量を予測した。すなわち、前処理後の近赤外吸収スペクトルデータを10グループに分類して、各測定用試料の水分量の予測値Wを導出した。実施例2では、参照用吸収スペクトルの個数は、グループ数の5.4倍(=54/10)であった。水分量の予測値Wと実測値の関係は
図17,
図18,
図19,
図20に示すとおりであった。
図17は、類似度をPCCで判定した場合の結果である。
図18は、類似度をR2で判定した場合の結果である。
図19は、類似度をMAEで判定した場合の結果である。
図20は、類似度をRMSEで判定した場合の結果である。
【0100】
図17,
図18,
図19,
図20にも、実測値=予測値となる直線を描いた。類似度をPCCで判定した実施例1の
図13と実施例2の
図17を比べると、
図17の方が
図13よりも誤差が小さい傾向にあった。
図17,
図18,
図19,
図20のいずれも、水分量の予測値Wと実測値とに良好な相関関係があることが確認された。このことから、実施例2の方法でも、高い精度で測定用試料の水分量を予測できることが確認された。
【0101】
実施例1,2は、n(画素数)に比べてk(グループ数)が大幅に小さいことから、1画素毎に水分量を予測するよりも計算量を大幅に低減することができた。実施例1のn/kは、画素数/グループ数=82268/3≒2.7万であった。実施例2のn/kは、画素数/グループ数=82268/10≒0.8万であった。このように、nに比べてkを大幅に小さくしても、高い精度で測定用試料の水分量を予測することができる。このような予測値Wに基づいて廃棄物を含む複数の燃料を分別し、分別によって得られた分別燃料を各種燃焼装置の燃料として用いれば、燃焼装置の運転変動が抑制され、燃焼装置の運転を安定的に継続することができる。
10…破砕部、11…燃料、12…搬送部、14…光源、15…検出器、16…情報取得部、20…情報処理部、30…制御部、40…分別部、41,42…ダンパー、51,52…タンク、51T…三方弁、51V,52V…流量調節部、51a,52a…導出路、70…回路、72…プロセッサ、74…メモリ、76…ストレージ、78…入出力ポート、82…入出力デバイス、100…分別装置、200…セメントクリンカ製造装置、201…導入口、222…調節部、224…制御部、230…仮焼炉、231…調節部、232…制御部、234…ライジングダクト、236…抽気管、237…塩素バイパス部、240…セメントキルン、242…窯尻、244…バーナ、250…クリンカクーラ、252…循環ガスライン、300…セメントクリンカの製造設備。