(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135661
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】エッチング方法及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046455
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】畑崎 芳成
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA09
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004CA03
5F004CA06
5F004CA08
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA03
5F004DA15
5F004DA16
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA25
5F004DB03
5F004DB07
5F004EA03
5F004EA13
5F004EA28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】開口を有する第1の領域の下に位置する第2の領域の肩部上に堆積物を効率よく形成するエッチング方法及びプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】エッチング方法MTは、基板を提供する工程ST1を含む。基板は、開口を有する第1の領域と、第1の領域の下に位置する第2の領域とを有し、第2の領域は、開口に連通する凹部を含み、基板の主面に垂直な方向から見て、第2の領域は、開口内に位置する肩部を含み、肩部は、凹部の側壁の上端を含み、第2の領域は、シリコンを含むと共に、第1の領域に含まれる材料とは異なる材料を含む。方法はまた、炭素及び酸素を含むガスを含む第1の処理ガスから生成される第1のプラズマにより、肩部上に堆積物を形成する工程ST3と、第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスから生成される第2のプラズマにより、凹部の底部をエッチングする工程ST4と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板を提供する工程であり、
前記基板は、開口を有する第1の領域と、前記第1の領域の下に位置する第2の領域とを有し、前記第2の領域は、前記開口に連通する凹部を含み、
前記基板の主面に垂直な方向から見て、前記第2の領域は、前記開口内に位置する肩部を含み、前記肩部は、前記凹部の側壁の上端を含み、
前記第2の領域は、シリコンを含むと共に、前記第1の領域に含まれる材料とは異なる材料を含む、工程と、
(b)炭素及び酸素を含むガスを含む第1の処理ガスから生成される第1のプラズマにより、前記肩部上に堆積物を形成する工程と、
(c)前記第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスから生成される第2のプラズマにより、前記凹部の底部をエッチングする工程と、
を含む、エッチング方法。
【請求項2】
前記第1の処理ガスは、水素含有ガスを更に含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記第1の処理ガスは、炭素及び水素を含むガスを更に含む、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記炭素及び水素を含むガスは、ハイドロカーボンガスである、請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記(b)において、前記炭素及び酸素を含むガスの流量が、前記炭素及び水素を含むガスの流量よりも大きい、請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記(b)において、前記炭素及び酸素を含むガスの流量が、前記炭素及び水素を含むガスの流量の3倍以上である、請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記(b)において、前記炭素及び酸素を含むガスの流量が、前記炭素及び水素を含むガスの流量の10倍以下である、請求項6に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記炭素及び酸素を含むガスは、CO、CO2、及びCOSからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記第1の処理ガスは、貴ガスを更に含む、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記第2の処理ガスは、水素含有ガス及びフッ素含有ガスを含む、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記(b)では、前記第1の領域上に前記堆積物が形成される、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項12】
(d)前記(b)及び前記(c)を繰り返す工程を更に含む、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記(d)において、前記(b)の前に前記基板をクリーニングする、請求項12に記載のエッチング方法。
【請求項14】
(e)前記(a)と前記(b)との間において、前記基板をクリーニングする工程を更に含む、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項15】
前記(a)は、前記第1の処理ガス及び前記第2の処理ガスとは異なる第3の処理ガスから生成される第3のプラズマにより、前記開口及び前記凹部内に設けられた前記第1の領域をエッチングする工程を含む、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項16】
前記第2の処理ガスは、酸素含有ガスを含まない、請求項15に記載のエッチング方法。
【請求項17】
前記第3の処理ガスは、酸素含有ガスを含む、請求項16に記載のエッチング方法。
【請求項18】
前記(b)及び前記(c)は、同一のチャンバ内において実施される、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項19】
前記(b)は、第1のチャンバ内において実施され、前記(c)は、前記第1のチャンバとは異なる第2のチャンバ内において実施される、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項20】
プラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内において基板を支持するための基板支持部と、
炭素及び酸素を含むガスを含む第1の処理ガス及び前記第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスを前記チャンバ内に供給するように構成されたガス供給部と、
前記第1の処理ガスから第1のプラズマを生成し、前記第2の処理ガスから第2のプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、
制御部と、
を備え、
前記基板は、
開口を有する第1の領域と、前記第1の領域の下に位置する第2の領域とを有し、前記第2の領域は、前記開口に連通する凹部を含み、
前記基板の主面に垂直な方向から見て、前記第2の領域は、前記開口内に位置する肩部を含み、前記肩部は、前記凹部の側壁の上端を含み、
前記第2の領域は、シリコンを含むと共に、前記第1の領域に含まれる材料とは異なる材料を含み、
前記制御部は、
前記第1のプラズマにより、前記肩部上に堆積物を形成し、
前記第2のプラズマにより、前記凹部の底部をエッチングするように、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御するように構成される、プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、エッチング方法及びプラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、凹部を含む膜及び膜上に設けられたマスクを有する基板に対して、凹部の底部をエッチングする技術を開示する。特許文献1では、マスク上に選択的に堆積物を形成した後に、凹部の底部をエッチングする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、開口を有する第1の領域の下に位置する第2の領域の肩部上に堆積物を効率よく形成することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、(a)基板を提供する工程であり、前記基板は、開口を有する第1の領域と、前記第1の領域の下に位置する第2の領域とを有し、前記第2の領域は、前記開口に連通する凹部を含み、前記基板の主面に垂直な方向から見て、前記第2の領域は、前記開口内に位置する肩部を含み、前記肩部は、前記凹部の側壁の上端を含み、前記第2の領域は、シリコンを含むと共に、前記第1の領域に含まれる材料とは異なる材料を含む、工程と、(b)炭素及び酸素を含むガスを含む第1の処理ガスから生成される第1のプラズマにより、前記肩部上に堆積物を形成する工程と、(c)前記第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスから生成される第2のプラズマにより、前記凹部の底部をエッチングする工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、開口を有する第1の領域の下に位置する第2の領域の肩部上に堆積物を効率よく形成することができる技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3の方法が適用され得る一例の基板の断面図である。
【
図5】
図5は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図6】
図6は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図7】
図7は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図3の方法が適用され得る変形例に係る基板の断面図である。
【
図9】
図9は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図10】
図10は、一つの例示的実施形態に係る基板処理システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0010】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0011】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0012】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【0013】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0014】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0015】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0016】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0017】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0018】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0019】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0020】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0021】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0022】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0023】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0024】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0025】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0026】
図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
図3に示されるエッチング方法MT(以下、「方法MT」という)は、上記実施形態のプラズマ処理装置1により実行され得る。方法MTは、基板Wに適用され得る。
【0027】
図4は、方法MTが適用され得る一例の基板Wの断面図である。基板Wは、開口OPを有する第1の領域R1と、第1の領域R1の下に位置する第2の領域R2とを有する。第2の領域R2は、開口OPに連通する凹部RSを含む。凹部RSは、底部RSa及び側壁RSbを備える。開口OP及び凹部RSは、ホールパターンを有してもよいし、ラインパターンを有してもよい。
【0028】
第1の領域R1は、シリコン(Si)を含んでもよい。第1の領域R1は、シリコン及び酸素(O)を含んでもよい。第1の領域R1は、シリコン酸化物(SiOx)を含んでもよい。xは正の実数である。
【0029】
第2の領域R2は、基板Wの主面に垂直な方向から見て、開口OP内に位置する肩部RSdを含む。基板Wの主面に垂直な方向は、基板Wの面方向に垂直な方向であってもよいし、基板Wの厚さ方向であってもよいし、第1の領域R1から第2の領域R2に向かう方向であってもよい。基板Wの主面に垂直な方向から見て、肩部RSdは、露出していてもよい。肩部RSdは、側壁RSbの上端RSc1を含む。上端RSc1は、開口OPを画定する側壁の下端と一致してもよい。
【0030】
凹部RSは、開口OPの内径よりも小さい内径を有してもよい。凹部RSは、側壁RSbの上端RSc1において開口OPの内径と同じ内径を有してもよい。凹部RSは、上端RSc1よりも下方の位置RSc2において、開口OPの内径より小さい内径を有してもよい。肩部RSdは、位置RSc2を含んでもよい。肩部RSdは、側壁RSbの上端RSc1から位置RSc2に向かって、凹部RSの内径が徐々に狭くなるように形成されていてもよい。あるいは、凹部RSは、上端RSc1において、開口OPの内径より小さい内径を有してもよい。
【0031】
第2の領域R2は、シリコンを含むと共に、第1の領域R1に含まれる材料とは異なる材料を含む。第2の領域R2は、シリコン及び窒素(N)を含んでもよい。第2の領域R2は、シリコン窒化物(SiNx)を含んでもよい。xは正の実数である。
【0032】
基板Wは、開口MOPを有するマスクMKを更に備えてもよい。マスクMKは、第1の領域R1上に位置する。マスクMKの開口MOPは、第1の領域R1の開口OPに連通する。マスクMKは、炭素含有膜又は金属含有膜を含んでもよい。炭素含有膜は、アモルファスカーボン膜を含んでもよい。金属含有膜は、ケイ化タングステン(WSi)、炭化タングステン(WC)、及び窒化チタン(TiN)からなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。
【0033】
基板Wは、下地膜URを更に備えてもよい。下地膜URは、第2の領域R2の下に位置する。下地膜URは、第1の領域R1及び第2の領域R2に含まれる材料とは異なる材料を含んでもよい。下地膜URは、シリコンを含んでもよい。
【0034】
基板Wは、複数の突起部GAを更に備えてもよい。複数の突起部GAは、第2の領域R2と下地膜URとの間に配置される。複数の突起部GAは、下地膜URの上面に沿って配列されてもよい。複数の突起部GAは、第2の領域R2によって覆われてもよい。凹部RSの底部RSaは、隣り合う複数の突起部GA間に配置されてもよい。複数の突起部GAは、凹部RSから離れて配置されてもよい。各突起部GAは、トランジスタのゲート領域を形成してもよい。
【0035】
以下、方法MTについて、方法MTが上記実施形態のプラズマ処理装置1を用いて基板Wに適用される場合を例にとって、
図4~
図7を参照しながら説明する。
図4~
図7のそれぞれは、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。プラズマ処理装置1が用いられる場合には、制御部2によるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において方法MTが実行され得る。方法MTでは、
図2に示されるように、プラズマ処理チャンバ10内に配置された基板支持部11上の基板Wを処理する。
【0036】
図3に示されるように、方法MTは、工程ST1~工程ST5を含み得る。工程ST1~工程ST5は、順に実行され得る。工程ST4は、工程ST3と同じプラズマ処理チャンバ10内において実施されてもよい。方法MTは、工程ST2及び工程ST5の少なくとも一つを含まなくてもよい。詳細については後述するが、工程ST3では、第1の処理ガスから生成される第1のプラズマが使用され、工程ST4では、第2の処理ガスから生成される第2のプラズマが使用される。
【0037】
(工程ST1)
工程ST1では、
図4に示される基板Wを提供する。基板Wは、プラズマ処理チャンバ10内において基板支持部11により支持され得る。
【0038】
基板Wは、SAC(セルフアラインコンタクト)工程におけるエッチングによって、第1の領域R1がエッチングされた状態において提供されてもよい。SAC工程におけるエッチングは、プラズマ処理装置1を用いて実施されてもよい。SAC工程におけるエッチングは、工程ST1~工程ST5と同じプラズマ処理チャンバ10内において実施されてもよい。
【0039】
図5は、SAC工程におけるエッチングがされる前の基板Wの断面図を示す。
図5に示されるように、SAC工程におけるエッチングがされる前では、第1の領域R1は、
図4に示される開口OP及び凹部RS内に設けられていてもよい。SAC工程におけるエッチングでは、第1の処理ガス及び第2の処理ガスとは異なる第3の処理ガスから生成される第3のプラズマにより、開口OP及び凹部RS内に設けられた第1の領域R1をエッチングしてもよい。マスクMKの開口MOPを介して第1の領域R1がエッチングされることにより、開口OPが形成され、凹部RSが露出してもよい。SAC工程におけるエッチングでは、開口OP及び凹部RSが突起部GAと接触しないように、開口OP及び凹部RSを形成してもよい。SAC工程におけるエッチングがされた後の基板Wでは、
図4に示されるように、肩部RSdは、露出していてもよい。
【0040】
第3の処理ガスは、フッ素含有ガスを含んでもよい。フッ素含有ガスは、フルオロカーボンガス(CxFyガス)及びハイドロフルオロカーボンガス(CxHyFzガス)からなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。x、y及びzは正の整数を示す。フルオロカーボンガスは、メタンガス(CF4ガス)、ヘキサフルオロプロペンガス(C3F6ガス)、八フッ化プロパンガス(C3F8ガス)、オクタフルオロシクロブタンガス(C4F8ガス)及びヘキサフルオロ1,3ブタジエンガス(C4F6ガス)からなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。ハイドロフルオロカーボンガスは、ジフルオロメタンガス(CH2F2ガス)、トリフルオロメタンガス(CHF3ガス)及びフルオロメタンガス(CH3Fガス)からなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。第3の処理ガスは、酸素含有ガスを更に含んでもよい。酸素含有ガスは、酸素ガスを含んでもよい。第3の処理ガスは、貴ガスを更に含んでもよい。
【0041】
(工程ST2)
工程ST2では、基板Wをクリーニングしてもよい。工程ST2では、第1の領域R1のエッチングにより生成された残渣が除去されてもよい。工程ST2において、プラズマ処理チャンバ10内においてクリーニング用ガスから生成されるクリーニング用プラズマにより、基板Wをクリーニングしもよい。クリーニング用ガスは、酸素含有ガスを含んでもよい。クリーニング用ガスは、窒素ガス及び水素ガスを含む混合ガスを含んでもよい。
【0042】
(工程ST3)
工程ST3では、
図6に示されるように、第1の処理ガスから生成される第1のプラズマにより、第2の領域R2の肩部RSd上に堆積物DPを形成する。堆積物DPは、炭素を含んでもよい。
図6は、工程ST3における基板Wの断面図を示す。工程ST3では、肩部RSd上に優先的に堆積物DPを形成する。これにより、工程ST3の後の工程ST4において、肩部RSdを保護しながら凹部RSの底部RSaをエッチングすることができる。なお、
図6、
図7、及び
図9では、堆積物DPが形成される場所を強調して示している。
図6、
図7、及び
図9における堆積物DPの厚さは、実際と異なっていてもよい。
【0043】
図6に示されるように、工程ST3では、肩部RSdの他に、第1の領域R1又はマスクMK上にも堆積物DPが形成されてもよい。工程ST3において、凹部RSの底部RSa上に堆積物DPが形成されてもよい。肩部RSd上に形成される堆積物DPの厚さは、底部RSa上に形成される堆積物DPの厚さより大きくてもよい。第1の領域R1又はマスクMK上に形成される堆積物DPの厚さは、肩部RSd上に形成される堆積物DPの厚さより大きくてもよい。底部RSa上の堆積物DPの厚さが小さいと、工程ST4において底部RSaのエッチングを促進できる。堆積物DPの堆積に関する評価の指標として、底部RSa上の堆積物DPの厚さに対する肩部RSd上の堆積物DPの厚さの比率(肩部Rsd上の堆積物DPの厚さ/底部RSa上の堆積物DPの厚さ。以下、「M/B比率」ともいう。)を用いてもよい。M/B比率は、3以上であってもよい。堆積物DPの堆積に関する評価の別の指標として、マスクMK上の堆積物DPの厚さに対する底部RSa上の堆積物DPの厚さの比率(底部RSa上の堆積物DPの厚さ/マスクMK上の堆積物DPの厚さ。以下、「B/T比率」ともいう。)を用いてもよい。B/T比率は、0.3以下(30%以下)であってもよい。
【0044】
第1の処理ガスは、炭素及び酸素を含む。炭素及び酸素を含むガスは、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、及び硫化カルボニル(COS)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。第1の処理ガスは、水素含有ガスを更に含んでもよい。第1の処理ガスは、炭素及び水素を含むガスを更に含んでもよい。炭素及び水素を含むガスは、ハイドロカーボンガス(CxHyガス)であってもよい。x及びyは正の整数である。ハイドロカーボンガスは、CH4であってもよい。第1の処理ガスは、ハイドロフルオロカーボンガスであってもよい。ハイドロフルオロカーボンガスは、CH3Fガスであってもよい。第1の処理ガスは、貴ガスを更に含んでもよい。貴ガスは、アルゴンガス(Arガス)であってもよい。
【0045】
第1の処理ガスでは、炭素及び酸素を含むガスの流量が、炭素及び水素を含むガスの流量よりも大きくてもよい。第1の処理ガスでは、炭素及び酸素を含むガスの流量が、炭素及び水素を含むガスの流量の3倍以上であってもよい。第1の処理ガスでは、炭素及び酸素を含むガスの流量が、炭素及び水素を含むガスの流量の10倍以下であってもよい。炭素及び酸素を含むガスの流量は、50sccm以上120sccm以下であってもよい。炭素及び酸素を含むガスの流量は、80sccm以上100sccm以下であってもよい。炭素及び水素を含むガスの流量は、5sccm以上30sccm以下であってもよい。炭素及び水素を含むガスの流量は、10sccm以上20sccm以下であってもよい。
【0046】
(工程ST4)
工程ST4では、第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスから生成される第2のプラズマにより、凹部RSの底部RSaをエッチングする。
図7は、工程ST4における基板Wの断面図を示す。
図7に示されるように、工程ST4では、底部RSaが下地膜UFに到達してもよい。工程ST4では、肩部RSd上の堆積物DP及びマスクMK上の堆積物DPがエッチングされてもよい。工程ST4において、肩部RSd上の堆積物DPの厚さ及びマスクMK上の堆積物DPの厚さは減少してもよい。工程ST4では、底部RSaのエッチングと共に、底部RSa上の堆積物DPが完全に除去されてもよい。
【0047】
第2の処理ガスは、水素含有ガス及びフッ素含有ガスを含んでもよい。水素含有ガスは、水素ガスを含んでもよい。第2の処理ガスに含まれるフッ素含有ガスの例は、第3の処理ガスに含まれるフッ素含有ガスの例と同じであってもよい。第2の処理ガスでは、水素含有ガスの流量が、フッ素含有ガスの流量よりも大きくてもよい。第2の処理ガスは、酸素含有ガスを含まなくてもよい。
【0048】
(工程ST5)
工程ST5では、工程ST2及び工程ST3を繰り返してもよい。工程ST2及び工程ST3を繰り返すことによって、肩部RSd上に堆積物DPを補充しつつ、
図7に示されるように、底部RSaをエッチングできる。工程ST5において、工程ST3の前に基板Wをクリーニングしてもよい。つまり、工程ST3及び工程ST4を1回ずつ行う工程を1サイクルとした場合に、基板Wのクリーニングにより堆積物DPを除去した後で、次のサイクルを開始してもよい。工程ST5における基板Wのクリーニングは、工程ST2と同じように行われてもよい。
【0049】
方法MTによれば、工程ST3において、第2の領域R2の肩部RSd上に優先的に堆積物DPが形成される。これにより、工程ST4において、肩部RSdを保護しながら凹部RSの底部RSaをエッチングすることが可能となる。
【0050】
工程ST3において、第1の処理ガスは、水素含有ガスを更に含んでもよい。この場合、堆積物DPのエッチング耐性を向上させることができる。これにより、工程ST4において、堆積物DPの厚さの減少を低減できる。その結果、肩部RSdが削られたり、マスクMKが削られたりすることを抑制することができる。
【0051】
工程ST3において、第1の処理ガスは、炭素及び水素を含むガスを更に含んでもよい。この場合、肩部RSd上に堆積する堆積物DPの厚さを厚くすることができる。これにより、工程ST4の後において、肩部RSdに堆積する堆積物DPの残り厚さを厚くすることができる。
【0052】
工程ST3において、第1の処理ガスは、貴ガスを含んでもよい。この場合、貴ガスの流量を調整することによって、堆積物DPの厚さを調整することができる。
【0053】
工程ST3では、第1の領域R1又はマスクMK上に堆積物DPが形成されてもよい。この場合、工程ST4において、第1の領域R1又はマスクMKが削られることを抑制することができる。
【0054】
方法MTは、工程ST3及び工程ST4を繰り返す工程ST5を更に含んでもよい。この場合、工程ST4のエッチングにより堆積物DPが削られた場合においても、堆積物DPを繰り返し追加して堆積することができる。
【0055】
方法MTは、工程ST1と工程ST3との間において、基板Wをクリーニングする工程ST2を含んでもよい。この場合、工程ST3において、開口MOP、開口OP又は凹部RSの閉塞を抑制できる。
【0056】
方法MTは、工程ST5において、工程ST3の前に基板Wをクリーニングしてもよい。この場合、基板Wをクリーニングした後の工程ST3において、開口MOP、開口OP又は凹部RSの閉塞を抑制できる。
【0057】
図8は、方法MTが適用され得る変形例に係る基板W1の断面図である。基板W1は、以下の点を除き基板Wと同じ構成を有してもよい。基板W1では、第2の領域R2が、一つの開口OPに連通する複数の凹部RSを有してもよい。第2の領域R2は、中間領域RS21を含んでもよい。中間領域RS21は、隣り合う複数の凹部RSの間に形成されていてもよい。中間領域RS21は、突起部GAを覆ってもよい。基板W1の主面に垂直な方向から見て、開口OP内に中間領域RS21が位置してもよい。中間領域RS21は、複数の肩部RSdを有してもよい。複数の肩部RSdは第1及び第2の肩部RSdを含む。第1の肩部RSdは、複数の凹部RSのうち第1の凹部RSの側壁RSbの上端RSc1を含む。第2の肩部RSdは、複数の凹部RSのうち第2の凹部RSの側壁RSbの上端RSc1を含む。中間領域RS21は、第1の肩部RSdと第2の肩部RSdとの間において延在する上面RS21aを有する。中間領域RS21上には、第1の領域R1が形成されていなくてもよい。すなわち、中間領域RS21の上面RS21aが露出していてもよい。
【0058】
図9は、基板W1に方法MTを適用した場合のエッチング方法の一工程を示す断面図である。
図9は、工程ST3における基板W1の断面図である。堆積物DPは、肩部RSd上に形成されてもよい。堆積物DPは、マスクMK上に形成されてもよい。堆積物DPは、凹部RSの底部RSa上に形成されてもよい。更に、基板W1に対しては、堆積物DPは、中間領域RS21の上面RS21a上に形成されてもよい。堆積物DPは、中間領域RS21の肩部RSdから上面RS21aにかけて連続的に形成されてもよい。
【0059】
基板W1に方法MTを適用すると、工程ST3において、第2の領域R2の肩部RSd及び中間領域RS21の上面RS21a上に優先的に堆積物DPが形成される。これにより、工程ST4において、肩部RSd及び中間領域RS21の上面RS21aを保護しながら凹部RSの底部RSaをエッチングすることが可能となる。
【0060】
図10は、一つの例示的実施形態に係る基板処理システムPSを示す概略図である。
図10に示されるように、基板処理システムPSは、基板W又は基板W1にプラズマ処理等の各種処理を施すことが可能なシステムである。基板処理システムPSを用いて、基板W又は基板W1に方法MTを適用することができる。
【0061】
基板処理システムPSは、真空搬送モジュールTM1,TM2、プロセスモジュールPM1~PM12、ロードロックモジュールLL1,LL2、大気搬送モジュールLM、アライナAN、ストレージSR等を備える。
【0062】
真空搬送モジュールTM1,TM2は、それぞれ平面視において略四角形状を有する。真空搬送モジュールTM1は、対向する2つの側面にプロセスモジュールPM1~PM6が接続されている。真空搬送モジュールTM1の他の対向する2つの側面のうち、一方の側面にはロードロックモジュールLL1,LL2が接続され、他方の側面には真空搬送モジュールTM2と接続するためのパス(図示せず)が接続されている。真空搬送モジュールTM1のロードロックモジュールLL1,LL2が接続される側面は、2つのロードロックモジュールLL1,LL2に応じて角度が付けられている。真空搬送モジュールTM2は、対向する2つの側面にプロセスモジュールPM7~PM12が接続されている。真空搬送モジュールTM2の他の対向する2つの側面のうち、一方の側面には真空搬送モジュールTM1と接続するためのパス(図示せず)が接続されている。真空搬送モジュールTM1,TM2は、真空雰囲気の真空室を有し、内部にそれぞれ真空搬送ロボットTR1,TR2が配置されている。
【0063】
真空搬送ロボットTR1,TR2は、旋回、伸縮、昇降自在に構成されている。真空搬送ロボットTR1,TR2は、後述する制御部CUが出力する動作指示に基づいて搬送対象物を搬送する。例えば、真空搬送ロボットTR1は、先端に配置されたフォークFK11,FK12で搬送対象物を保持し、ロードロックモジュールLL1,LL2、プロセスモジュールPM1~PM6及びパス(図示せず)の間で搬送対象物を搬送する。例えば、真空搬送ロボットTR2は、先端に配置されたフォークFK21,FK22で搬送対象物を保持し、プロセスモジュールPM7~PM12及びパス(図示せず)の間で搬送対象物を搬送する。なお、フォークは、ピック、エンドエフェクタとも称される。
【0064】
搬送対象物は、基板W及び消耗部材を含む。消耗部材は、プロセスモジュールPM1~PM12内に交換可能に取り付けられる部材であり、プロセスモジュールPM1~PM12内でプラズマ処理等の各種の処理が行われることで消耗する部材である。消耗部材は、例えば後述するリングアセンブリ112、シャワーヘッド13を構成する部材を含む。
【0065】
プロセスモジュールPM1~PM12は、処理室を有し、内部に配置されたステージ(載置台)を有する。プロセスモジュールPM1~PM12は、ステージに基板Wが設置された後、内部を減圧して処理ガスを導入し、R電力を印加してプラズマを生成し、プラズマによって基板にプラズマ処理を施す。真空搬送モジュールTM1,TM2とプロセスモジュールPM1~PM12とは、開閉自在なゲートバルブG1で仕切られている。
【0066】
ロードロックモジュールLL1,LL2は、真空搬送モジュールTM1と大気搬送モジュールLMとの間に配置されている。ロードロックモジュールLL1,LL2は、内部を真空、大気圧に切り換え可能な内圧可変室を有する。ロードロックモジュールLL1,LL2は、内部に配置されたステージを有する。ロードロックモジュールLL1,LL2は、基板Wを大気搬送モジュールLMから真空搬送モジュールTM1へ搬入する際、内部を大気圧に維持して大気搬送モジュールLMから基板Wを受け取り、内部を減圧して真空搬送モジュールTM1へ基板Wを搬入する。ロードロックモジュールLL1,LL2は、基板Wを真空搬送モジュールTM1から大気搬送モジュールLMへ搬出する際、内部を真空に維持して真空搬送モジュールTM1から基板Wを受け取り、内部を大気圧まで昇圧して大気搬送モジュールLMへ基板を搬入する。ロードロックモジュールLL1,LL2と真空搬送モジュールTM1とは、開閉自在なゲートバルブG2で仕切られている。ロードロックモジュールLL1,LL2と大気搬送モジュールLMとは、開閉自在なゲートバルブG3で仕切られている。
【0067】
大気搬送モジュールLMは、真空搬送モジュールTM1に対向して配置されている。大気搬送モジュールLMは、例えばEFEM(Equipment Front End Module)であってもよい。大気搬送モジュールLMは、直方体状であり、FFU(Fan Filter Unit)を備え、大気圧雰囲気に保持された大気搬送室である。大気搬送モジュールLMの長手方向に沿った一の側面には、2つのロードロックモジュールLL1,LL2が接続されている。大気搬送モジュールLMの長手方向に沿った他の側面には、ロードポートLP1~LP4が接続されている。ロードポートLP1~LP4には、複数(例えば25枚)の基板Wを収容する容器Cが載置される。容器Cは、例えばFOUP(Front-Opening Unified Pod)であってよい。大気搬送モジュールLM内には、搬送対象物を搬送する大気搬送ロボットTR3が配置されている。
【0068】
大気搬送ロボットTR3は、大気搬送モジュールLMの長手方向に沿って移動可能に構成されると共に、旋回、伸縮、昇降自在に構成されている。大気搬送ロボットTR3は、後述する制御部CUが出力する動作指示に基づいて搬送対象物を搬送する。例えば、大気搬送ロボットTR3は、先端に配置されたフォークFK31で搬送対象物を保持し、ロードポートLP1~LP4、ロードロックモジュールLL1,LL2、アライナAN及びストレージSRの間で搬送対象物を搬送する。
【0069】
アライナANは、大気搬送モジュールLMの短手方向に沿った一の側面に接続されている。ただし、アライナANは、大気搬送モジュールLMの長手方向に沿った側面に接続されていてもよい。また、アライナANは、大気搬送モジュールLMの内部に設けられていてもよい。アライナANは、支持台、光学センサ(いずれも図示せず)等を有する。ここでいうアライナとは、搬送対象物の位置を検出する装置である。
【0070】
支持台は、鉛直方向に延びる軸線中心に回転可能な台であり、その上に基板Wを支持するように構成されている。支持台は、駆動装置(図示せず)によって回転される。駆動装置は、後述する制御部CUによって制御される。駆動装置からの動力により支持台が回転すると、当該支持台の上に設置された基板も回転するようになっている。
【0071】
光学センサは、基板が回転する間、基板のエッジを検出する。光学センサは、エッジの検出結果から、基準角度位置に対する基板のノッチ(或いは、別のマーカー)の角度位置のずれ量、及び、基準位置に対する基板の中心位置のずれ量を検出する。光学センサは、ノッチの角度位置のずれ量及び基板の中心位置のずれ量を後述する制御部CUに出力する。制御部CUは、ノッチの角度位置のずれ量に基づき、ノッチの角度位置を基準角度位置に補正するための回転支持台の回転量を算出する。制御部CUは、この回転量の分だけ回転支持台を回転させるよう、駆動装置(図示せず)を制御する。これにより、ノッチの角度位置を基準角度位置に補正することができる。また、制御部CUは、大気搬送ロボットTR3のフォークFK31上の所定位置に基板の中心位置が一致するよう、アライナANから基板Wを受け取る際の大気搬送ロボットTR3のフォークFK31の位置を、基板Wの中心位置のずれ量に基づき、制御する。
【0072】
ストレージSRは、大気搬送モジュールLMの長手方向に沿った側面に接続されている。ただし、ストレージSRは、大気搬送モジュールLMの短手方向に沿った側面に接続されていてもよい。また、ストレージSRは、大気搬送モジュールLMの内部に設けられていてもよい。ストレージSRは、搬送対象物を収容する。
【0073】
基板処理システムPSには、制御部CUが設けられている。制御部CUは、例えばコンピュータであってよい。制御部CUは、CPU(central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置等を備える。CPUは、ROM又は補助記憶装置に格納されたプログラムに基づいて動作し、基板処理システムPSの各部を制御する。例えば、制御部CUは、動作指示を真空搬送ロボットTR1,TR2、大気搬送ロボットTR3等に出力する。動作指示は、搬送対象物を搬送するフォークFK11,FK12,FK21,FK22,FK31と、搬送対象物の搬送場所との位置合わせの指示を含む。
【0074】
方法MTにおいて、工程ST3は、第1のチャンバ内において実施されてもよい。その場合、工程ST4は、第1のチャンバとは異なる第2のチャンバ内において実施されてもよい。第1のチャンバの例は、プロセスモジュールPM1~PM12のいずれかのチャンバである。第2のチャンバの例は、プロセスモジュールPM1~PM12のうち、第1のチャンバに対応するプロセスモジュールを除くいずれかのチャンバである。方法MTにおいて、工程ST1~工程ST5は、それぞれ異なるチャンバ内において実施されてもよい。例えば、工程ST1は、プロセスモジュールPM1内において実施されてもよい。工程ST2は、プロセスモジュールPM2内において実施されてもよい。工程ST3は、プロセスモジュールPM3内において実施されてもよい。工程ST4は、プロセスモジュールPM4内において実施されてもよい。工程ST5は、プロセスモジュールPM5内において実施されてもよい。一つの工程が終了した後は、基板W又は基板W1が真空搬送モジュールTM1によって別のプロセスモジュールに搬送されてもよい。
【0075】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0076】
以下、方法MTにおける工程ST3の評価のために行った第1の実験~第11の実験について説明する。以下に説明する実験は、本開示を限定するものではない。
【0077】
(第1の実験)
第1の実験では、
図4に示した基板と同一の構造を有する基板を準備した。第1の領域R1は、シリコン酸化膜である。第2の領域R2は、シリコン窒化膜である。次に、第1の処理ガスから生成される第1のプラズマにより、第2の領域R2の肩部RSd上に堆積物DPを形成した(工程ST3)。第1の処理ガスは、H
2ガス、COガス及びArガスの混合ガスである。COガスの流量は、H
2ガスの流量の7.5倍である。工程ST3の処理時間は、60秒である。工程ST3を実施する前において、凹部RSの底部RSa上には、既に堆積物DPが堆積した状態において第1の実験~第5の実験を実施した。なお、以降の第2の実験~第11の実験では、第1の処理ガス及び工程ST3の処理時間以外は、第1の実験と同じ条件である。
【0078】
(第2の実験)
第1の処理ガスは、COSガス、COガス及びArガスの混合ガスである。COガスの流量は、COSガスの流量の23倍である。工程ST3の処理時間は、60秒である。
【0079】
(第3の実験)
第1の処理ガスは、CH4ガス、COガス及びArガスの混合ガスである。COガスの流量は、CH4ガスの流量の4.5倍である。工程ST3の処理時間は、30秒である。
【0080】
(第4の実験)
第1の処理ガスは、CH4ガス、COガス及びArガスの混合ガスである。COガスの流量は、CH4ガスの流量の9.0倍である。工程ST3の処理時間は、60秒である。
(第5の実験)
第1の処理ガスは、CH3Fガス及びArガスの混合ガスである。工程ST3の処理時間は、30秒である。
【0081】
(第1の実験~第5の実験の実験結果)
第1の実験~第5の実験のそれぞれにおいて、基板の断面を観察した。断面において、マスクMK上の堆積物DPの厚さ、肩部RSd上の堆積物DPの厚さ、及び凹部RSの底部RSa上の堆積物DPの厚さについて、工程ST3の前後の変化量を測定した。
【0082】
第1の実験では、マスクMK上の堆積物DPの厚さの変化量(以下、「マスクMK上の変化量」という)は、+10.4nmであった。肩部RSd上の堆積物DPの厚さの変化量(以下、「肩部RSd上の変化量」という)は、+0.5nmであった。底部RSa上の堆積物DPの厚さの変化量(以下、「底部RSa上の変化量」という)は、-2.7nmであった。ここで、底部RSa上の堆積物DPの厚さが減少した理由としては、第1の処理ガスにH2ガスが含まれているため、堆積物DPがクリーニングされたためと想定される。第2の実験では、マスクMK上の変化量は、+11.9nmであり、肩部RSd上の変化量は、+2.2nmであり、底部RSa上の変化量は、+2.0nmであった。第3の実験では、マスクMK上の変化量は、+11.5nmであり、肩部RSd上の変化量は、+2.6nmであり、底部RSa上の変化量は、+1.2nmであった。第4の実験では、マスクMK上の変化量は、+19.0nmであり、肩部RSd上の変化量は、+4.6nmであり、底部RSa上の変化量は、+1.2nmであった。第5の実験では、マスクMK上の変化量は、+3.4nmであり、肩部RSd上の変化量は、+3.0nmであり、底部RSa上の変化量は、+2.5nmであった。
【0083】
第1の実験~第5の実験の中で、第4の実験において、底部RSa上の堆積物DPの厚さに対する肩部RSd上の堆積物DPの厚さの比率(M/B比率)が最も高かった。第4の実験において、M/B比率は、3.1(+4.6nm/+1.2nm)であった。
【0084】
(第6の実験~第10の実験)
以降の第6の実験~第10の実験では、第1の処理ガスは、CH4ガス、COガス及びArガスの混合ガスである。工程ST3の処理時間は、60秒である。CH4ガスの流量のみを変更して実験を実施した。
【0085】
(第6の実験)
COガスの流量は、CH4ガスの流量の7.5倍である。
【0086】
(第7の実験)
COガスの流量は、CH4ガスの流量の3倍である。。
【0087】
(第8の実験)
COガスの流量は、CH4ガスの流量の2.1倍である。
【0088】
(第9の実験)
COガスの流量は、CH4ガスの流量の1倍である。
【0089】
(第10の実験)
COガスの流量は、CH4ガスの流量の0.3倍である。
【0090】
(第6の実験~第10の実験の実験結果)
第6の実験~第10の実験のそれぞれにおいて、マスクMK上の堆積物DPの厚さ及び凹部RSの底部RSa上の堆積物DPの厚さについて、工程ST3の前後の変化量を測定した。そのうえで、マスクMK上の堆積物DPの厚さに対する底部RSa上の堆積物DPの厚さの比率(B/T比率)を算出した。第6の実験では、B/T比率は、29%であった。第7の実験では、B/T比率は、33%であった。第8の実験では、B/T比率は、36%であった。第9の実験では、B/T比率は、58%であった。第10の実験では、B/T比率は、94%であった。CH4ガスの流量比が小さいほど、B/T比率が低下することが分かった。
【0091】
(第1の実験、第3の実験、第5の実験、及び第11の実験)
第1の実験、第3の実験、及び第5の実験に加え、第11の実験を実施し、第1の処理ガスの種類によって、マスクMK上の堆積物DPの性能に変化があるかどうか評価した。第11の実験では、第1の処理ガスは、COガス及びArガスの混合ガスである。工程ST3の処理時間は、60秒である。
【0092】
(第1の実験、第3の実験、第5の実験、及び第11の実験の実験結果)
第1の実験、第3の実験、第5の実験、及び第11の実験において、工程ST3後に、開口OPの閉塞が発生したか否かを観察した。さらに、工程ST3の後に、工程ST4のエッチングを実施し、マスクMK上の堆積物DPのエッチング耐性を評価した。エッチング耐性は、例えば、工程ST4の前と後におけるマスクMK上の堆積物DPの厚さの減少量で評価することができる。減少量が小さければ、エッチング耐性が高い。第5の実験では、開口OPの閉塞が確認された。エッチング耐性は、高いと評価された。第1の実験では、開口OPの閉塞が確認されなかった。エッチング耐性は、第5の実験結果より低いと評価された。第3の実験では、開口OPの閉塞が確認されなかった。エッチング耐性は、第5の実験結果と同等と評価された。第11の実験では、開口OPの閉塞が確認されなかった。エッチング耐性は、最も低いと評価された。以上の結果より、第1の処理ガスに、H2ガス及びCOガスの混合ガス(第1の実験)、CH4ガス及びCOガスの混合ガス(第3の実験)、及びCOガス(第11に実験)を用いた場合では、開口OPが閉塞されないことが分かった。また、第1の処理ガスに水素含有ガスを含む場合(第1の実験、第3の実験、及び第5の実験)では、第1の処理ガスに水素含有ガスを含まない場合(第11の実験)に比べ、マスクMK上の堆積物DPのエッチング耐性が高いことが分かった。
【0093】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E20]に記載する。
【0094】
[E1]
(a)基板を提供する工程であり、
前記基板は、開口を有する第1の領域と、前記第1の領域の下に位置する第2の領域とを有し、前記第2の領域は、前記開口に連通する凹部を含み、
前記基板の主面に垂直な方向から見て、前記第2の領域は、前記開口内に位置する肩部を含み、前記肩部は、前記凹部の側壁の上端を含み、
前記第2の領域は、シリコンを含むと共に、前記第1の領域に含まれる材料とは異なる材料を含む、工程と、
(b)炭素及び酸素を含むガスを含む第1の処理ガスから生成される第1のプラズマにより、前記肩部上に堆積物を形成する工程と、
(c)前記第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスから生成される第2のプラズマにより、前記凹部の底部をエッチングする工程と、
を含む、エッチング方法。
【0095】
[E2]
前記第1の処理ガスは、水素含有ガスを更に含む、[E1]に記載のエッチング方法。
【0096】
[E3]
前記第1の処理ガスは、炭素及び水素を含むガスを更に含む、[E1]又は[E2]に記載のエッチング方法。
【0097】
[E4]
前記炭素及び水素を含むガスは、ハイドロカーボンガスである、[E3]に記載のエッチング方法。
【0098】
[E5]
前記(b)において、前記炭素及び酸素を含むガスの流量が、前記炭素及び水素を含むガスの流量よりも大きい、[E1]又は[E4]に記載のエッチング方法。
【0099】
[E6]
前記(b)において、前記炭素及び酸素を含むガスの流量が、前記炭素及び水素を含むガスの流量の3倍以上である、[E3]~[E5]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0100】
[E7]
前記(b)において、前記炭素及び酸素を含むガスの流量が、前記炭素及び水素を含むガスの流量の10倍以下である、[E6]に記載のエッチング方法。
【0101】
[E8]
前記炭素及び酸素を含むガスは、CO、CO2、及びCOSからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、[E1]~[E7]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0102】
[E9]
前記第1の処理ガスは、貴ガスを更に含む、[E1]~[E8]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0103】
[E10]
前記第2の処理ガスは、水素含有ガス及びフッ素含有ガスを含む、[E1]~[E9]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0104】
[E11]
前記(b)では、前記第1の領域上に前記堆積物が形成される、[E1]~[E10]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0105】
[E12]
(d)前記(b)及び前記(c)を繰り返す工程を更に含む、[E1]~[E11]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0106】
[E13]
前記(d)において、前記(b)の前に前記基板をクリーニングする、[E12]に記載のエッチング方法。
【0107】
[E14]
(e)前記(a)と前記(b)との間において、前記基板をクリーニングする工程を更に含む、[E1]~[E13]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0108】
[E15]
前記(a)は、前記第1の処理ガス及び前記第2の処理ガスとは異なる第3の処理ガスから生成される第3のプラズマにより、前記開口及び前記凹部内に設けられた前記第1の領域をエッチングする工程を含む、[E1]~[E14]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0109】
[E16]
前記第2の処理ガスは、酸素含有ガスを含まない、[E15]に記載のエッチング方法。
【0110】
[E17]
前記第3の処理ガスは、酸素含有ガスを含む、[E16]に記載のエッチング方法。
【0111】
[E18]
前記(b)及び前記(c)は、同一のチャンバ内において実施される、[E1]~[E17]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0112】
[E19]
前記(b)は、第1のチャンバ内において実施され、前記(c)は、前記第1のチャンバとは異なる第2のチャンバ内において実施される、[E1]~[E18]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0113】
[E20]
プラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内において基板を支持するための基板支持部と、
炭素及び酸素を含むガスを含む第1の処理ガス及び前記第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスを前記チャンバ内に供給するように構成されたガス供給部と、
前記第1の処理ガスから第1のプラズマを生成し、前記第2の処理ガスから第2のプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、
制御部と、
を備え、
前記基板は、
開口を有する第1の領域と、前記第1の領域の下に位置する第2の領域とを有し、前記第2の領域は、前記開口に連通する凹部を含み、
前記基板の主面に垂直な方向から見て、前記第2の領域は、前記開口内に位置する肩部を含み、前記肩部は、前記凹部の側壁の上端を含み、
前記第2の領域は、シリコンを含むと共に、前記第1の領域に含まれる材料とは異なる材料を含み、
前記制御部は、
前記第1のプラズマにより、前記肩部上に堆積物を形成し、
前記第2のプラズマにより、前記凹部の底部をエッチングするように、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御するように構成される、プラズマ処理装置。
【符号の説明】
【0114】
1…プラズマ処理装置、10…プラズマ処理チャンバ、11…基板支持部、12…プラズマ生成部、2…制御部、20…ガス供給部、DP…堆積物、MT…エッチング方法、OP…開口、R1…第1の領域、R2…第2の領域、RS…凹部、RSa…底部、RSb…側壁、RSc1…上端、RSd…肩部、W…基板。