(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135705
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】合わせガラス用太陽電池モジュール及びその製造方法、並びに、合わせガラス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20240927BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240927BHJP
B32B 17/10 20060101ALI20240927BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20240927BHJP
【FI】
C03C27/12 N
B60J1/00 H
B32B17/10
H01L31/04 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046522
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】木村 舜
(72)【発明者】
【氏名】中原 裕喜
(72)【発明者】
【氏名】下 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】平社 英之
【テーマコード(参考)】
4F100
4G061
5F251
【Fターム(参考)】
4F100AB11B
4F100AG00C
4F100AG00D
4F100AK23B
4F100AK23E
4F100AK42A
4F100AT00A
4F100AT00E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
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4F100CB00E
4F100EC032
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4F100EJ42A
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4F100EJ42E
4F100EJ59
4F100GB07
4F100GB31
4F100GB41
4F100JB16A
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4G061AA25
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB07
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4G061CB18
4G061CB19
4G061CB20
4G061CD02
4G061CD03
4G061CD18
5F251BA05
5F251JA02
5F251JA06
(57)【要約】
【課題】合わせガラスに適した太陽電池モジュール及びその製造方法、並びに、当該太陽電池を用いた合わせガラス及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態にかかる合わせガラス用太陽電池モジュールは、樹脂フィルムと、当該樹脂フィルムの内部に配置された複数の太陽電池セルとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムと、
樹脂フィルムの内部に配置された複数の太陽電池セルとを備える、合わせガラス用太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記太陽電池セルと、前記樹脂フィルムとの間に、更に接着層を備える、請求項1に記載の合わせガラス用太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記樹脂フィルムの屈折率n1と、前記接着層の屈折率n2との屈折率の差の絶対値|n1-n2|は0.5以下である、請求項2に記載の合わせガラス用太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記樹脂フィルムの23℃でのヤング率は500MPa以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の合わせガラス用太陽電池モジュール。
【請求項5】
当該複数の太陽電池セルは、第1方向及び前記第1方向と交わる第2方向に配置され、
隣接する太陽電池セル同士が配線により電気的に接続された太陽電池セル群を構成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の合わせガラス用太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記樹脂フィルムは、湾曲形状である、請求項1~5のいずれか一項に記載の合わせガラス用太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記太陽電池セルは、シリコン太陽電池である、請求項1~6のいずれか一項に記載の合わせガラス用太陽電池モジュール。
【請求項8】
第1ガラス板と、第2ガラス板と、前記第1及び第2ガラス板の間に設けられた中間層と、前記中間層の内部に設けられた太陽電池モジュールと、を有し、
前記太陽電池モジュールが、請求項1~7のいずれか一項に記載の合わせガラス用太陽電池モジュールである、合わせガラス。
【請求項9】
前記中間層のヤング率は、前記樹脂フィルムのヤング率よりも低い、請求項8に記載の合わせガラス。
【請求項10】
前記中間層の23℃でのヤング率は100MPa以下である、請求項8又は9に記載の合わせガラス。
【請求項11】
前記樹脂フィルムの屈折率n1と、前記中間層の屈折率n3との屈折率差の絶対値|n1-n3|は0.5以下である、請求項8~10のいずれか一項に記載の合わせガラス。
【請求項12】
前記太陽電池モジュールが接着層を備える太陽電池モジュールであり、前記中間層と前記接着層が同一の樹脂を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の合わせガラス。
【請求項13】
請求項1及び請求項3~7のいずれか一項に記載の合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法であって、
第2樹脂フィルム上に、太陽電池セルと、第1樹脂フィルムとをこの順に積層し、加熱しながら加圧する、合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項14】
請求項1及び請求項3~7のいずれか一項に記載の合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法であって、
袋状の第1樹脂フィルム内に、太陽電池セルを配置し、脱気しながら加熱する、合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項15】
請求項2~7のいずれか一項に記載の合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法であって、
第2樹脂フィルム上に、第2接着層と、太陽電池セルと、第1接着層と、第1樹脂フィルムとをこの順に積層して、接着する、合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項16】
請求項2~7のいずれか一項に記載の合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法であって、
第2樹脂フィルム上に枠状パターンの接着層を配置し、
前記枠状パターン内に、接着剤組成物が被覆した太陽電池セルを配置し、
前記接着剤組成物上に、第1樹脂フィルムを貼り合わせる、合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項17】
請求項1~7のいずれか一項に記載の合わせガラス用太陽電池モジュールを準備し、
第2ガラス板、第2中間層、前記太陽電池モジュール、第1中間層、第1ガラス板をこの順に積層して、圧着する、合わせガラスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラス用太陽電池モジュール及びその製造方法、並びに、合わせガラス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用窓ガラスは、車両の開口部に搭載可能なガラスであって、広範囲に及ぶ規制が定められている。例えば、UN規則No.43「安全ガラス材及び車両への取り付けの認可に関する統一規定」や、JIS R3211(2015年)「自動車用安全ガラス」及びJIS R3212(2015年)「自動車用安全ガラスの試験方法」等の国内基準がある。これらの規制では、破損した際に人身傷害の軽減を目的とした安全ガラスについて言及されており、合わせガラスは安全ガラスに含まれる。合わせガラスは、複数のガラス板が、一般に中間膜とも称される樹脂製の接着層によって接合される。
【0003】
近年、合わせガラスの内部に様々な機能フィルムを封入することが検討されている。例えば特許文献1には、互いに対向する1対のガラス板と、前記1対のガラス板の対向面にそれぞれ接する特定の中間層を備える、特定の合わせガラスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、合わせガラスの内部に太陽電池セルを封入することも検討されている。発電効率の観点から、合わせガラスには複数の太陽電池セルを配列して封入することが望ましい。
複数の太陽電池セルは、通常、各々高い剛性を有しており、例えば湾曲する合わせガラスなどの場合、太陽電池セルの周縁部や、太陽電池セル間の配線に負荷が生じる恐れがあった。
【0006】
上記課題に鑑み、本開示は、合わせガラスに適した太陽電池モジュール及びその製造方法、並びに、当該太陽電池を用いた合わせガラス及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、下記の構成を備える太陽電池モジュール、合わせガラス、及びこれらの製造方法を提供する。
[1] 樹脂フィルムと、
樹脂フィルムの内部に配置された複数の太陽電池セルとを備える、合わせガラス用太陽電池モジュール。
[2] 前記太陽電池セルと、前記樹脂フィルムとの間に、更に接着層を備える、[1]に記載の合わせガラス用太陽電池モジュール。
[3] 前記樹脂フィルムの屈折率n1と、前記接着層の屈折率n2との屈折率の差の絶対値|n1-n2|は0.5以下である、[2]に記載の合わせガラス用太陽電池モジュール。
[4] 前記樹脂フィルムの23℃でのヤング率は500MPa以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の合わせガラス用太陽電池モジュール。
[5] 当該複数の太陽電池セルは、第1方向及び前記第1方向と交わる第2方向に配置され、
隣接する太陽電池セル同士が配線により電気的に接続された太陽電池セル群を構成する、[1]~[4]のいずれかに記載の合わせガラス用太陽電池モジュール。
[6] 前記樹脂フィルムは、湾曲形状である、[1]~[5]のいずれかに記載の合わせガラス用太陽電池モジュール。
[7] 前記太陽電池セルは、シリコン太陽電池である、[1]~[6]のいずれかに記載の合わせガラス用太陽電池モジュール。
[8] 第1ガラス板と、第2ガラス板と、前記第1及び第2ガラス板の間に設けられた中間層と、前記中間層の内部に設けられた太陽電池モジュールと、を有し、
前記太陽電池モジュールが、[1]~[7]のいずれかに記載の合わせガラス用太陽電池モジュールである、合わせガラス。
[9] 前記中間層のヤング率は、前記樹脂フィルムのヤング率よりも低い、[8]に記載の合わせガラス。
[10] 前記中間層の23℃でのヤング率は100MPa以下である、[8]又は[9]に記載の合わせガラス。
[11] 前記太陽電池モジュールが備える樹脂フィルムの屈折率n1と、前記中間層の屈折率n3との屈折率差の絶対値|n1-n3|は0.5以下である、[8]~[10]のいずれかに記載の合わせガラス。
[12] 前記太陽電池モジュールが接着層を備える太陽電池モジュールであり、前記中間層と前記接着層が同一の樹脂を含む、[8]~[11]のいずれかに記載の合わせガラス。
[13] [1]及び[3]~[7]のいずれかに記載の合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法であって、
第2樹脂フィルム上に、太陽電池セルと、第1樹脂フィルムとをこの順に積層し、加熱しながら加圧する、合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法。
[14] [1]及び[3]~[7]のいずれかに記載の合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法であって、
袋状の第1樹脂フィルム内に、太陽電池セルを配置し、脱気しながら加熱する、合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法。
[15] [2]~[7]のいずれかに記載の合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法であって、
第2樹脂フィルム上に、第2接着層と、太陽電池セルと、第1接着層と、第1樹脂フィルムとをこの順に積層して、接着する、合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法。
[16] [2]~[7]のいずれかに記載の合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法であって、
第2樹脂フィルム上に枠状パターンの接着層を配置し、
前記枠状パターン内に、接着剤組成物が被覆した太陽電池セルを配置し、
前記接着剤組成物上に、第1樹脂フィルムを貼り合わせる、合わせガラス用太陽電池モジュールの製造方法。
[17] [1]~[7]のいずれかに記載の合わせガラス用太陽電池モジュールを準備し、
第2ガラス板、第2中間層、前記太陽電池モジュール、第1中間層、第1ガラス板をこの順に積層して、圧着する、合わせガラスの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、合わせガラスに適した太陽電池モジュール及びその製造方法、並びに、当該太陽電池を用いた合わせガラス及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態にかかる合わせガラスの分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態にかかる太陽電池モジュールの断面図である。
【
図3】太陽電池セルの配置を説明するための模式図である。
【
図4】第2実施形態にかかる太陽電池モジュールの断面図である。
【
図5】第1実施形態にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す模式図である。
【
図6】第1実施形態にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す模式図である。
【
図7】第2実施形態にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す模式図である。
【
図8】第2実施形態にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す模式図である。
【
図9】実施形態にかかる合わせガラスの断面図である。
【
図10】実施形態にかかる合わせガラスの製造方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
各実施形態において同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化され、各部材は縮尺が大きく異なることがある。また、説明を明確にするため、対象物の主面の1方向をX軸、当該X軸に直交する対象物の主面の1方向をY軸、対象物の主面の法線方向をZ軸とすることがある。なお、XY面は曲面の場合がある。
数値範囲を示す「~」は、特に断りが無い限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む。
対象物の外縁を「周縁」と称し、当該対象物の「周縁」に接して幅を持った領域を「周縁部」と称する。
また、「合わせガラス用太陽電池モジュール」を単に「太陽電池モジュール」と称することがある。
【0011】
[合わせガラス用太陽電池モジュール]
図1は、後述する合わせガラスの分解斜視図である。本実施形態にかかる太陽電池モジュール100は、第1ガラス板11と、第2ガラス板12と、前記第1及び第2ガラス板の間に設けられた中間層20とを備える合わせガラス200において、前記中間層20の内部に設けられる太陽電池モジュールとして好適に用いることができる。
なお、本明細書において、第1ガラス板11は、合わせガラス200を設置した際に日光が入射する面に配置されるガラス板を表す。即ち、例えば合わせガラス200を車両に取り付ける場合、第1ガラス板11は車外側に配置されるガラス板である。また、第2ガラス板12は、合わせガラス200を車両に取り付けたときに車内側となる車内側ガラス板を表す。第1ガラス板11と第2ガラス板12とは、中間層20を挟んで接合されている。
【0012】
<第1実施形態>
図2を参照して第1実施形態にかかる太陽電池モジュールを説明する。
図2は太陽電池モジュールのZX断面図である。第1実施形態にかかる太陽電池モジュール100は、樹脂フィルム30の内部に配置された複数の太陽電池セル41を備えている。太陽電池セル41は、通常、隣接する太陽電池セル41同士が配線42により電気的に接続され、太陽電池セル群40を構成する。
【0013】
第1実施形態にかかる太陽電池モジュールは、太陽電池セル群40が、高い剛性を備える樹脂フィルム30中に封入されているため、例えば、湾曲する合わせガラスなどに適用する場合でも、太陽電池セル41の周縁部や、太陽電池セル間の配線42に生じる負荷が緩和される。また、本太陽電池モジュールは合わせガラス製造時において取り扱い性に優れ、太陽電池セルの擦傷や配線の断線などを抑制できる。
【0014】
(樹脂フィルム)
樹脂フィルム30は、太陽電池セルや配線を保護する点などから、後述する合わせガラスの中間層よりも高い剛性を有することが好ましい。具体的には樹脂フィルム30の23℃でのヤング率は500MPa以上が好ましく、750MPa以上がより好ましく、1,000MPa以上が更に好ましい。一方、ヤング率の上限は特に限定されないが、通常、5GPa以下である。
ここで上記ヤング率は、日本産業規格JIS K7127:1999に準拠した引っ張り試験によって、23℃で歪み-応力曲線を得た後、得られた歪み-応力曲線の直線部分の傾きとして求められる。
【0015】
樹脂フィルム30は、太陽電池モジュールの発電効率の点から、光透過性に優れていることが好ましい。例えば樹脂フィルム30の全光線透過率は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。なお樹脂フィルムの全光線透過率は通常100%未満である。上記全光線透過率はJIS K7375:2008に準拠して測定された値である。
【0016】
また、樹脂フィルム30の屈折率n1は、後述する接着層や中間層との屈折率差を小さくしやすい点から、1.1~1.8が好ましく、1.2~1.7がより好ましく、1.25~1.65が更に好ましい。
【0017】
樹脂フィルム30の材質は、上記の物性を満たすものの中から適宜選択すればよく、熱硬化性樹脂であっても、熱可塑性樹脂であってもよい。
樹脂フィルムの樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合は、合わせガラス製造時における樹脂の流動を抑制する点から、当該熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、後述する中間層のガラス転移温度よりも低いことが好ましい。
【0018】
樹脂フィルム30に用いる樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、アラミド、ポリブチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリウレタン、シクロオレフィンポリマーなどが挙げられる。
【0019】
樹脂フィルム30は、更に、本発明の効果を奏する範囲で他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤などが挙げられる。
【0020】
樹脂フィルム30の形状は、主面が平面であってもよく、
図2に示されるように、主面が湾曲していてもよい。太陽電池モジュール100を、主面が湾曲した合わせガラスの製造用に用いる場合には、樹脂フィルム30が当該合わせガラスに用いるガラス板の湾曲形状に追従する形状が好ましい。ただし、樹脂フィルム30はフレキシブル性を有するため、ガラス板の曲率等と完全に一致していなくても好適に用いることができる。
【0021】
(太陽電池セル)
次に
図3を参照して太陽電池モジュールに封入される太陽電池セルの配置を説明する。
図3の例に示す太陽電池セル群40は、第1方向(例えばX軸方向)にA1,A2,A3,A4と配置され、第1方向と交わる第2方向(例えばY軸方向)にA1,B1,C1,D1と配置され、A1~D4の2次元に配列されている。すなわち、第1方向と第2方向は、太陽電池モジュールの厚さ方向に垂直な面に含まれ、互いに非平行な方向である。隣接する太陽電池セル同士は配線42(
図3において不図示)により電気的に接続されて太陽電池セル群40を構成している。太陽電池セル41の主面の形状、大きさ、個数は特に限定されず、合わせガラスの形状、大きさなどに応じて適宜設計すればよい。
【0022】
太陽電池セル41の種類は特に限定されず、適宜選択して用いることができる。太陽電池セルの具体例としては、ガリウム・ヒ素系太陽電池;単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン太陽電池;ペロブスカイト太陽電池;CIS太陽電池、CIGS太陽電池などが挙げられ、これらを組み合わせて用いてもよい。本実施形態の太陽電池モジュールは太陽電池セルが高い剛性を有するものであっても合わせガラス用途に好適であることから、シリコン太陽電池が好ましく、単結晶シリコン太陽電池がより好ましい。
また、配線は、金属箔膜、透明導電膜、ワイヤ上の導線など、いずれであってもよい。
【0023】
太陽電池セルの厚みは、太陽電池セルの性能等の点から、0.1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、150μm以上が更に好ましい。一方、太陽電池セルの厚みは、主面が湾曲した太陽電池モジュールを製造しやすい点などから、500μm以下が好ましく、450μm以下がより好ましく、150μm以下が更に好ましい。太陽電池セルの好適な厚みは、例えば0.1μm~500μmであり、10μm~450μmが好ましく、150μm~400μmがより好ましい。
樹脂フィルム30の厚みは、50μm~500μmが好ましい。樹脂フィルム30の厚みは、平面視で太陽電池セル群40と重複しない位置で計測してよい。例えば、太陽電池モジュール100の中央部のうち、太陽電池セル同士の隙間部分であって、配線42と重複しない位置(例えば
図3における位置P)で計測してよい。なお、樹脂フィルム30が厚さ方向に離間している場合(例えば後述する第1樹脂フィルムと第2樹脂フィルムを含む場合)、それらの合計の厚さとしてよい。
【0024】
また、第1実施形態の太陽電池モジュール全体の厚みは、200μm以上が好ましく、250μm以上がより好ましく、300nm以上がより好ましい。一方、太陽電池モジュール全体の厚みは、1,200μm以下が好ましく、900μm以下がより好ましく、800μm以下が更に好ましい。太陽電池モジュール全体の厚みは、200μm~1,200μmが好ましく、250μm~900μmがより好ましく、300μm~800μmが更に好ましい。
【0025】
(製造方法)
第1実施形態にかかる太陽電池モジュールの製造方法は、上記の層構成が形成可能な方法であればよく、特に限定されるものではない。一方、下記2例の製造方法によれば、気体の残留が抑制されて樹脂フィルムと太陽電池セルとの密着性に優れた太陽電池モジュールを得ることができる。
【0026】
図5を参照して、第1実施形態にかかる太陽電池モジュールの第1の製造方法を説明する。当該第1の製造方法は、
図5(a)に示すように、まず、第2樹脂フィルム32上に、太陽電池セル41を含む太陽電池セル群40と、第1樹脂フィルム31とをこの順に積層する。次いで、積層方向に加圧71しながら、樹脂フィルム31,32が熱可塑性樹脂の場合はガラス転移温度以上に、熱硬化性樹脂の場合は架橋温度以上に加熱することで、第1樹脂フィルム31と第2樹脂フィルム32内に太陽電池セル41が封入されるとともに第1樹脂フィルム31と第2樹脂フィルム32との接触部が一体化して樹脂フィルム30となる(
図5(b))。積層方向の加圧は、第1樹脂フィルム31側からではなく第2樹脂フィルム32側から行ってもよく、両側から行ってもよい。加圧及び加熱方法は特に限定されないが、熱ラミネート法など公知の方法を適宜用いることができる。また、例えば、所望の形状の金型を用いて熱プレスする方法などにより、主面が湾曲した太陽電池モジュールが製造できる。
【0027】
次に
図6を参照して、第1実施形態にかかる太陽電池モジュールの第2の製造方法を説明する。当該第2製造方法は、
図6(a)に示すように、袋状に成形された第1樹脂フィルム31内に、太陽電池セルを配置する。次いで、袋内を脱気72しながら、樹脂フィルム31が熱可塑性樹脂の場合はガラス転移温度以上に、熱硬化性樹脂の場合は架橋温度以上に加熱することで、第1樹脂フィルム内に太陽電池セルが封入されるとともに第1樹脂フィルムの開口部が一体化して樹脂フィルム30となる(
図6(b))。
【0028】
<第2実施形態>
次に
図4を参照して第2実施形態にかかる太陽電池モジュールを説明する。
図4は太陽電池モジュールのZX断面図である。第2実施形態にかかる太陽電池モジュール100は、樹脂フィルム30の内部に配置された複数の太陽電池セル41を備え、前記太陽電池セル41と、前記樹脂フィルム30との間に、更に接着層50を備えている。
【0029】
第2実施形態にかかる太陽電池モジュールは、太陽電池セル群40が、高い剛性を備える樹脂フィルム30中に接着層50とともに封入されているため、例えば、湾曲する合わせガラスなどに適用する場合でも、太陽電池セル41の周縁部や、太陽電池セル間の配線42に生じる負荷が緩和される。また、本太陽電池モジュールは合わせガラス製造時において取り扱い性に優れ、太陽電池セルの擦傷や配線の断線などを抑制できる。
樹脂フィルム30及び太陽電池セル群40の構成は、前記第1実施形態の太陽電池モジュールと同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
【0030】
(接着層)
接着層50は、太陽電池セル41に接触するとともに、第1樹脂フィルム31及び第2樹脂フィルム32を接着する層である。接着層50は、それらを接着できれば種類は限定されないが、太陽電池モジュールの製造工程中で太陽電池セルの形状や隙間に追従可能な樹脂であることが好ましい。接着層50は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。また、例えば光硬化(特に紫外線硬化)、二液混合硬化等の熱硬化以外の硬化性樹脂でもよい。接着層50としては、後述する中間層20と同種の熱可塑性樹脂でもよく、PMMA等のアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂等でもよい。
【0031】
接着層50が熱可塑性樹脂の場合、接着層50の23℃でのヤング率は、中でも100MPa以下が好ましく、90MPa以下がより好ましく、70MPa以下が更に好ましい。
接着層50が熱硬化性樹脂の場合、接着層50の23℃でのヤング率は、2,000MPa~5,000MPaが好ましく、2,200~3,000MPaがより好ましい。
【0032】
また、接着層50の屈折率n2は、樹脂フィルムとの屈折率差を小さくしやすい点から、1.1~1.8が好ましく、1.2~1.7がより好ましく、1.25~1.65が更に好ましい。
また、樹脂フィルムと接着層との界面反射を抑制する点からは、前記樹脂フィルムの屈折率n1と、前記接着層の屈折率n2との屈折率の差の絶対値|n1-n2|は0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.35以下が更に好ましい。
【0033】
接着層50の厚みは、太陽電池セル41の厚み以上の厚みを有することが好ましい。具体的に、接着層50の厚みは、100μm以上が好ましく、120μm以上がより好ましく、150μm以上が更に好ましく、180μm以上が特に好ましい。一方、太陽電池セル41の厚みは、800μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、550μm以下が更に好ましく、500μm以下が特に好ましい。接着層50の厚みは、100μm~800μmが好ましく、120μm~600μmがより好ましく、150μm~550μmが更に好ましく、180μm~500μmが特に好ましい。
【0034】
また、第2実施形態の太陽電池モジュール全体の厚みは、200μm以上が好ましく、250μm以上がより好ましく、300nm以上がより好ましい。一方、太陽電池モジュール全体の厚みは、1,200μm以下が好ましく、900μm以下がより好ましく、800μm以下が更に好ましい。太陽電池モジュール全体の厚みは、200μm~1,200μmが好ましく、250μm~900μmがより好ましく、300μm~800μmが更に好ましい。
【0035】
(製造方法)
第2実施形態にかかる太陽電池モジュールの製造方法は、上記の層構成が形成可能な方法であればよく、特に限定されるものではない。一方、下記2例の製造方法によれば、気体の残留が抑制されて樹脂フィルムと太陽電池セルとの密着性に優れた太陽電池モジュールを得ることができる。
【0036】
図7を参照して、第2実施形態にかかる太陽電池モジュールの第1の製造方法を説明する。当該第7の製造方法は、
図7(a)に示すように、まず、第2樹脂フィルム32上に、第2接着層52と、太陽電池セル41を含む太陽電池セル群40と、第1接着層51と、第1樹脂フィルム31とをこの順に積層する。太陽電池セル群40の周縁部には枠状の第3接着層53を配置してもよい。次いで、積層方向に加圧71することで、第1樹脂フィルム31と第2樹脂フィルム32内に太陽電池セル41が封入されるとともに第1接着層51と第2接着層52との接触部が一体化して接着層50となる(
図7(b))。また不図示であるが、樹脂フィルム31及び32として、接着層51及び52よりもX軸方向に長いものを選択することで、第1樹脂フィルム31と第2樹脂フィルム32との接触部を設け、加圧時に第1樹脂フィルムと第2樹脂フィルムとを一体化する構成としてもよい。
【0037】
第2実施形態にかかる太陽電池モジュールの第2の製造方法を説明する。当該第2製造方法は、第2樹脂フィルム上に枠状パターンの接着層を配置し、次いで前記枠状パターン内に、接着剤組成物が被覆した太陽電池セルを配置し、前記接着剤組成物上に、第1樹脂フィルムを貼り合わせる方法である。当該第2の製造方法は接着剤組成物が液状(ペースト状等も含む)の場合に好適に用いることができる。
図8を参照して、本製造方法の具体例を説明する。
図8の例では、
図8(a)に示すように、第2樹脂フィルム32上に枠状パターンの接着層53を配置し、前記枠状パターン内に太陽電池セル41を含む太陽電池セル群40を配置する。次いで、前記枠状パターン内に液状の接着剤組成物54を滴下73して、太陽電池セル群40を浸漬する(
図8(b))。なお、
図8における滴下73は、太陽電池セルに接着剤を被覆する方法であればよく、塗布など他の手段を用いてもよい。次いで接着剤組成物54上に、第1樹脂フィルム31を貼り合わせることで、太陽電池モジュールが得られる(
図8(c))。また例えば、第2樹脂フィルム32上に枠状パターンの接着層53を配置し、前記枠状パターン内に液状の接着剤組成物54を一定量滴下(塗布)した後、太陽電池セル群40を配置し、次いで、液状の接着剤組成物54を更に滴下(塗布)して、
図8(b)のようにしてもよい。また、貼り合わせる際に、必要に応じて加熱や加圧を行ってもよい。
なお液状の接着剤組成物54は、前記接着層に含まれ得る樹脂を有する液状の組成物である。接着剤組成物54は、例えば前記樹脂が溶媒等に溶解又は分散したペースト状の組成物などであってもよい。
【0038】
[合わせガラス]
図1及び
図9に示す通り、本実施形態にかかる合わせガラス200は、第1ガラス板11と、第2ガラス板12と、前記第1及び第2ガラス板の間に設けられた中間層20と、当該中間層20の内部に設けられた太陽電池モジュール100を備え、当該太陽電池モジュールが前記第1又は第2実施形態の太陽電池モジュールである。
【0039】
合わせガラス200は、平板形状でもよいが、車両など移動体に用いる場合には、安全性などの点から、湾曲形状が好ましい。湾曲形状は、第1方向(例えばX軸方向)の一方に湾曲した単曲形状でもよく、第1方向(例えばX軸方向)と第2方向(例えばY軸方向)の両方に湾曲した複曲形状でもよい。なおここでの第1方向と第2方向のなす角は任意であり、直交していてもよく直交していなくてもよい。
【0040】
合わせガラス200が湾曲形状である場合、合わせガラス200は、車外側に向けて凸となるように湾曲していることが好ましい。即ち、第1ガラス板11は中間層20とは反対側に向けて凸となるように湾曲していることが好ましく、第2ガラス板12は中間層20側に向けて凸となるように湾曲していることが好ましい。合わせガラス200の主面の平面視の形状は、設置場所に応じた任意の形状である。
【0041】
<ガラス板>
第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、無機ガラスでもよく、有機ガラスでもよい。無機ガラス及び有機ガラスは、透明性を有するものであればよく、有色でもよいが、太陽電池セルの発電効率の点からは無色が好ましい。無機ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が挙げられ、ソーダライムガラスが好ましい。有機ガラスとしては、ポリカーボネート、例えばポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の透明樹脂が挙げられる。なお第1ガラス板11と第2ガラス板12の材質は同一であっても異なっていてもよい。
【0042】
無機ガラスは、未強化ガラス、強化ガラスのいずれでもよい。強化ガラスは、例えば風冷強化ガラス等の物理強化ガラス、化学強化ガラスのいずれでもよい。
【0043】
第1ガラス板11及び第2ガラス板12の成形法については特に限定されず、例えば、無機ガラスの場合はフロート法等により成形されたガラス板が好ましい。第1ガラス板11及び第2ガラス板12の曲げ成形には、重力成形法、プレス成形法、ローラー成形法等を用いてもよい。
【0044】
第1ガラス板11の板厚は、耐飛び石性能等の強度の点から、1.1mm以上が好ましく、1.8mm以上がより好ましい。一方、合わせガラス200の質量が大きくなり過ぎず、車両の燃費を抑制できる点から、第1ガラス板11の板厚は、3mm以下が好ましく、2.8mm以下がより好ましく、2.6mm以下が更に好ましく、2.2mm以下が更により好ましく、2.0mm以下が特に好ましい。第1ガラス板11の板厚は、1.1mm~3mmが好ましく、1.8mm~2.8mmがより好ましく、1.8mm~2.6mmが更に好ましく、1.8mm~2.2mmが更により好ましく、1.8mm~2.0mmが特に好ましい。
また、第2ガラス板12の板厚は、取り扱い性の点から、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、0.7mm以上が更に好ましい。一方、合わせガラス200の質量が大きくなり過ぎず、車両の燃費を抑制できる点から、2.3mm以下が好ましく、2.1mm以下がより好ましく、1.9mm以下が更に好ましい。第2ガラス板12の板厚は、0.3mm~2.3mmが好ましく、0.5mm~2.1mmがより好ましく、0.7mm~1.9mmが更に好ましい。
【0045】
<中間層>
中間層20は、太陽電池モジュール100を挟持するように配置される。中間層20としては熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、例えば、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(PU)、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体樹脂(EEA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、アイオノマー樹脂等の従来からこの種の用途に用いられている熱可塑性樹脂が挙げられる。また、特許第6065221号に記載されている変性ブロック共重合体水素化物を含有する樹脂組成物も好適に使用できる。
【0046】
これらの中でも、PVB、EVA、PU、アイオノマー樹脂、COPが好ましく、PVB及びEVAがより好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、中間層20は、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、発光剤等の機能性粒子を含んでもよい。
【0047】
中間層20は、3層以上の層を有してもよい。例えば、中間層を3層以上から形成し、両側の層を除くいずれかの層のせん断弾性率を可塑剤の調整等により両側の層のせん断弾性率よりも小さくすると、合わせガラス200の遮音性を向上できる。この場合、両側の層のせん断弾性率は同じでもよいし、異なってもよい。
【0048】
中間層20の厚さは、0.5mm以上が好ましい。なお、中間層20が複数の層を有する場合、中間層20の厚さとは、各層の厚さを合計した総厚である。中間層20の厚さが0.5mm以上であると合わせガラス200として必要な耐衝撃性が十分となる。また、中間層20の厚さは、3mm以下が好ましい。中間層20の厚さの最大値が3mm以下であると、合わせガラス200の質量が抑えられる。中間層20の厚さの最大値は2.8mm以下がより好ましく、2.6mm以下が更に好ましい。
【0049】
また、中間層20が複数の層を有する場合、中間層20に含まれる各層(例えば第1中間層21と第2中間層22)は、同一の材料で形成することが望ましいが、異なる材料で形成してもよい。
【0050】
また、中間層20と、前記接着層50は、同一の樹脂を含んでいてもよい。この場合、
図9の例に示されるように、中間層20と前記接着層50とが一体化する。これにより、太陽電池モジュール100の周縁が目立ちにくくなり、かつ太陽電池モジュール100の側面と接着層50との間に気泡が残存しにくくなる。
【0051】
中間層20のヤング率は、前記樹脂フィルム30のヤング率よりも低いことが好ましい。中間層の23℃でのヤング率は、中でも100MPa以下が好ましく、90MPa以下がより好ましく、70MPa以下が更に好ましい。
また、前記樹脂フィルム30の屈折率n1と、中間層20の屈折率n3との屈折率差の絶対値|n1-n3|は、界面反射を抑える点から、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.35以下が更に好ましい。
【0052】
中間層20を作製するには、例えば、中間層となる上記の樹脂材料を適宜選択し、押出機を用い、加熱溶融状態で押し出し成形する。押出機の押出速度等の押出条件は均一となるように設定する。その後、押し出し成形された樹脂膜を、必要に応じ伸展することで、中間層20が完成する。
【0053】
合わせガラス200は、
図10に示されるように、まず前記本実施形態の合わせガラス用太陽電池モジュール100を準備し、第2ガラス板12、第2中間層22、前記太陽電池モジュール100、第1中間層21、第1ガラス板11をこの順に積層して、圧着することで得られる。
太陽電池モジュール100の準備は、例えば前述の方法で太陽電池モジュールを製造することなどが挙げられる。
圧着は、前記の積層体をゴム袋やラバーチャンバー、樹脂製の袋等の中に入れ、ゲージ圧力-100kPa~-65kPaの範囲で制御した真空中で温度約70℃~110℃の範囲で制御して所定時間維持した状態で接着する。加熱条件、温度条件、及び積層方法は適宜選択される。
【0054】
更に、例えば温度100℃~150℃、絶対圧力0.6MPa~1.3MPaの範囲で制御した所定時間条件で加熱加圧する圧着処理を行うことで、より耐久性の優れた合わせガラス200を得られる。ただし、場合によっては工程の簡略化、並びに合わせガラス200中に封入する材料の特性を考慮して、この加熱加圧工程を使用しない場合もある。
【0055】
第1ガラス板11又は第2ガラス板12のうち、いずれか一方、又は両方のガラス板が互いに弾性変形した状態で接合されている、「コールドベンド」と呼ばれる方法を使用してもよい。コールドベンドは、テープ等の仮止め手段によって固定された第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に、中間層20及び太陽電池モジュール100を含む積層体と、従来公知であるニップローラー又はゴム袋、ラバーチャンバー等の予備圧着装置及びオートクレーブを用いることで達成できる。
【0056】
合わせガラス200の総厚は、剛性の点から、1.9mm以上が好ましく、2.8mm以上がより好ましい。一方、合わせガラス200が十分な透過率が得られるとともに軽量性を備える点から、10mm以下が好ましい。合わせガラス200の総厚は、例えば1.9mm以上10mm以下であり、好ましくは2.8mm以上10mm以下である。
【0057】
合わせガラス200は、必要に応じて種々の部材を有してよい。例えば、合わせガラス200は、周縁部に遮蔽層61を設けてもよい。遮蔽層61は、平面視で太陽電池モジュール100と重複しない位置に設けてもよく、太陽電池モジュール100の周縁部と重複する位置に設けてもよい。なお、遮蔽層61は、第1ガラス板11の中間層20とは反対側の主面から、第2ガラス板12の中間層20とは反対側の主面までの間の任意の位置に設けることができる。
【0058】
また、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に、本願の効果を損なわない範囲で、各種の機能を持つフィルムやデバイスを有してもよい。また合わせガラス200の表面に防曇、撥水、遮熱、低反射等の機能を有する膜を有していてもよい。また、ガラス板主面に遮熱、発熱等の機能を有する膜を有してもよい。
【0059】
本実施形態の合わせガラスの用途は特に限定されないが、車両、電車、船舶、航空機等の移動体に搭載する合わせガラスとして好適に用いることができ、例えば車両用のルーフガラスなどとして用いることができる。車両としては、例えば乗用車を含む。
【0060】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0061】
100 太陽電池モジュール
200 合わせガラス
11 第1ガラス板
12 第2ガラス板
20 中間層
21 第1中間層
22 第2中間層
30 樹脂フィルム
31 第1樹脂フィルム
32 第2樹脂フィルム
40 太陽電池セル群
41、A1~D4 太陽電池セル
42 配線
50 接着層
51 第1接着層
52 第2接着層
53 第3接着層
54 接着剤組成物
61 遮蔽層
71 加圧
72 脱気
73 滴下