(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135743
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】無機スズエマルション組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 83/04 20060101AFI20240927BHJP
C08K 3/11 20180101ALI20240927BHJP
C08K 5/01 20060101ALI20240927BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20240927BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C08L83/04
C08K3/11
C08K5/01
C09D7/63
C09D201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046586
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】濱嶋 優太
(72)【発明者】
【氏名】生方 早央里
【テーマコード(参考)】
4J002
4J038
【Fターム(参考)】
4J002CP061
4J002DJ019
4J002EA007
4J002ED038
4J002ED068
4J002EH038
4J002EH048
4J002EH098
4J002EH158
4J002EN138
4J002EV258
4J002EZ016
4J002EZ046
4J002FD019
4J002FD156
4J002FD318
4J002GH00
4J002GH01
4J002GH02
4J002GK00
4J002GK01
4J002GK02
4J002GK03
4J002GK04
4J002GL00
4J002GL01
4J002HA07
4J038JA01
4J038JC39
4J038KA09
4J038MA10
(57)【要約】
【課題】保存安定性の良好な無機スズエマルション及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】(A) 無機スズ化合物:100質量部、(B)炭化水素油:5~100質量部、(C)界面活性剤:5~50質量部、(D)水:50~2,000質量部、を含むものであることを特徴とする無機スズエマルション組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) 無機スズ化合物:100質量部
(B)炭化水素油:5~100質量部
(C)界面活性剤:5~50質量部
(D)水:50~2,000質量部
を含むものであることを特徴とする無機スズエマルション組成物。
【請求項2】
(B)成分が、炭素数10~50の脂肪族炭化水素油である、請求項1に記載のエマルション組成物
【請求項3】
(A)成分が、ビス(2-エチルヘキサン酸)スズ、ビスネオデカン酸スズのうち少なくとも1つである請求項1に記載のエマルション組成物。
【請求項4】
前記無機スズエマルション組成物の乳化粒子の平均粒径が500nm以下である、請求項1に記載のエマルション組成物。
【請求項5】
有機スズ化合物を含有しない、請求項1に記載のエマルション組成物。
【請求項6】
請求項1の組成物を含む、皮膜形成性シリコーンエマルション組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項の組成物を含むコーティング剤。
【請求項8】
(A)無機スズ化合物:100質量部
(B)炭化水素油:5~100質量部
(C)界面活性剤:5~50質量部
(D)水:50~2,000質量部
を含む混合物を、乳化機を用いて乳化することによりエマルション粒子を形成する工程を含む、無機スズエマルション組成物の製造方法。
【請求項9】
さらに、高圧を用いてエマルション粒子を小粒径化する乳化機により小粒径化する工程を含む請求項8に記載の無機スズエマルション組成物の製造方法。
【請求項10】
前記高圧を用いてエマルション粒子を小粒径化する乳化機により小粒径化する工程において、エマルション粒子の平均粒径を500nm以下にする請求項9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機スズエマルション組成物、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乾燥時にゴム皮膜を形成するシリコーンエマルジョンは、従来から種々の組成からなるものがあり、滑り性、撥水性、剥離性を付与する目的で繊維処理剤、ゴムのコーティング剤、建材のコーティング剤、紙やプラスチックフィルムのコーティング剤等又はそれらの添加剤として使用されている。
【0003】
ゴム皮膜を形成させる方法として、乾燥時に、同時にアルケニルシリル基とヒドロシリル基との付加反応により、シリコーンエラストマーの皮膜を形成させる方法がある。その組成としては、例えば、分子鎖末端ビニル基封鎖ジオルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン及び白金触媒からなるエマルジョン組成物、分子鎖末端又は側鎖上にビニル基を含有したジオルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合した水素原子を有するポリシロキサン、コロイド状シリカ及び白金触媒からなるエマルジョン組成物が提案されている。しかしながら、これら組成においては、ヒドロシリル基を含有するシロキサンと白金触媒を共存させておくと、経時で反応が進行したり、水素ガスを発生したりするため、シリコーンのエマルジョンと白金触媒の混合は使用前に行う必要があり、使い勝手が悪い。また、塗工する基材がアミン、スズ、リン、イオウを含む化合物等の付加反応を阻害する化合物を含有していると十分に硬化しなくなるという欠点がある。
【0004】
付加反応以外で、シリコーンゴム皮膜を形成する方法として、乾燥時にシリコーンの縮合反応を進行させる方法がある。アニオン的に安定化されたヒドロキシル化ジオルガノポリシロキサン、コロイダルシリカ及び有機スズ化合物又は有機アミン化合物からなり、pHが9~11.5のシリコーンエマルション組成物(特許文献1)が知られている。
縮合反応により硬化する組成物において、短時間で十分に硬化したゴム皮膜を得るには、触媒活性の高い有機スズ化合物の使用が必要であるが、近年、毒性の点から有機スズ化合物を使用することは敬遠されている。
【0005】
有機スズ化合物を使用せず、シリコーンゴム皮膜を形成する方法として、特許文献2には、ヒドロキシ含有オルガノポリシロキサン及びアミノキシ含有シロキサン及び/又はシランの混合物を乳化した組成物が提案されている。この組成物は硬化皮膜の形成に縮合触媒を必要としないものの、縮合反応時にアミノ化合物が副生する問題がある。
【0006】
特許文献3には、分子鎖末端にケイ素原子に結合した水酸基及び/又はアルコキシ基とアミノ基を含有したアルキル基とを有するオルガノポリシロキサン、トリアルコキシシラン又はテトラアルコキシシラン、及び金属化合物からなるシリコーンエマルジョン組成物が提案されている。この組成物はスズ化合物を使用しなくても縮合反応により短時間で十分に硬化したゴム皮膜を得ることができるが、この組成物の原料であるオルガノポリシロキサンは経時で徐々に重合して分子量が大きくなるため長期保存ができない、また、この組成物中のオルガノポリシロキサンのエマルジョンは乳化重合により製造することができないため重合度の高いオルガノポリシロキサンのエマルジョンとすることができないという問題があった。
【0007】
また、ヒドロキシル基含有オルガノポリシロキサン、コロイダルシリカ、アミド基及びカルボキシル基含有シラン、エポキシ基含有シランからなるシリコーンエマルション組成物(特許文献4)等も提案されている。特許文献5には、ビスマス化合物の利用が提案されている。
【0008】
有機スズ化合物を使用しない場合、硬化性に劣り、ゴム皮膜の強度が低下してしまうという課題がある。有機スズ化合物を使用しない方法として、無機スズ化合物の使用が考えられる。
有機スズに代わる硬化触媒として、溶剤系において、無機スズ化合物は有機スズの有効な代替手段となり得るが、水系においては、無機スズが加水分解して失活しやすいという特性により、利用が困難である。
先行技術において、無機スズ化合物の水系における利用方法は記載されていない。無機スズ化合物を水系の組成物における硬化触媒として利用するためには、安定性に優れた無機スズ化合物を主成分とするエマルション組成物を得ることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭56-16553号公報
【特許文献2】特開平6-73291号公報
【特許文献3】特開2005-306994号公報
【特許文献4】特開2008-231276号公報
【特許文献5】特開2014-224164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、保存安定性の良好な無機スズエマルション及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するためになされたもので、
(A)無機スズ化合物:100質量部
(B)炭化水素油:5~100質量部
(C)界面活性剤:5~50質量部
(D)水:50~2,000質量部
を含むことを特徴とする無機スズエマルション組成物を提供する。
【0012】
本構成により、保存安定性に優れ、水系の硬化触媒として利用可能である無機スズエマルジョン組成物を得ることができる。
【0013】
この場合、(B)成分が、炭素数10~50の脂肪族炭化水素油であるものとすることができる。
【0014】
これにより、より保存安定性に優れた無機スズエマルジョン組成物を得ることができる。
【0015】
また、(A)成分が、ビス(2-エチルヘキサン酸)スズ、ビスネオデカン酸スズのうち少なくとも1つであるものとすることができる。
【0016】
これらのものは、入手性や取扱い性に優れており、本発明に好ましく使用できる。
【0017】
前記無機スズエマルション組成物の乳化粒子の平均粒径が500nm以下であるものとすることができる。
【0018】
これにより、安定性がすぐれ、より好ましいエマルション組成物となる。
【0019】
前記エマルション組成物は、有機スズ化合物を含有しないものとすることができる。
【0020】
これにより、環境面、毒性への影響をより低くすることができる。
【0021】
前記エマルション組成物を含む、皮膜形成性シリコーンエマルション組成物とすることができる。
【0022】
これにより皮膜の硬度、引張強度といった皮膜特性が向上した皮膜を得ることができる。
【0023】
また、前記エマルション組成物を含む、コーティング剤とすることができる。
【0024】
これにより優れたコーティング剤を得ることができる。
【0025】
本発明では、
(A)無機スズ化合物:100質量部
(B)炭化水素油:5~100質量部
(C)界面活性剤:5~50質量部
(D)水:50~2,000質量部
を含む混合物を、乳化機を用いて乳化することによりエマルション粒子を形成する工程を含む、無機スズエマルション組成物の製造方法を提供する。
【0026】
本製造方法により、保存安定性に優れた無機スズエマルション組成物を製造することができる。
【0027】
本発明の製造方法は、さらに、高圧を用いてエマルション粒子を小粒径化する乳化機により小粒径化する工程を含むことができる。
【0028】
エマルション粒子を小粒径化することにより、より保存安定性に優れた無機スズエマルション組成物を製造することができる。
【0029】
前記製造方法の、前記高圧を用いてエマルション粒子を小粒径化する乳化機により小粒径化する工程において、エマルション粒子の平均粒径を500nm以下にすることができる。
【0030】
これにより、さらに保存安定性に優れた無機スズエマルション組成物を製造することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明の無機スズエマルション組成物であれば、保存安定性が高いため、水系の硬化触媒として有用である。また、有機スズ化合物を含有していないため、毒性や環境への影響が低い。
【発明を実施するための形態】
【0032】
上述のように、保存安定性に優れた無機スズエマルション組成物の開発が求められていた。
【0033】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、下記(A)~(D)成分を含む無機スズエマルジョン組成物が保存安定性に優れ、水系の硬化触媒として利用可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0034】
即ち、本発明は、
(A)無機スズ化合物:100質量部
(B)炭化水素油:5~100質量部
(C)界面活性剤:5~50質量部
(D)水:50~2,000質量部
を含むことを特徴とする無機スズエマルション組成物である。
また、本発明の製造方法は、
(A)無機スズ化合物:100質量部
(B)炭化水素油:5~100質量部
(C)界面活性剤:5~50質量部
(D)水:50~2,000質量部
を含む混合物を、乳化機を用いて乳化することによりエマルション粒子を形成する工程を含む、無機スズエマルション組成物の製造方法である
【0035】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
(A)成分
本発明の(A)成分は、無機スズ化合物である。なお、本発明における無機スズ化合物とは、スズ―炭素結合をもたないスズ化合物のことである。
(A)成分は、無機スズ化合物であれば特に制限はないが、スズのカルボン酸塩が好ましい。中でも特に、入手性や取り扱い性の観点より、ビス(2-エチルヘキサン酸)スズ、ビスネオデカン酸スズが好ましい。(A)成分は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0037】
(B)成分
本発明の(B)成分は、炭化水素油である。本発明においては、(B)成分を適切な量の配合とすることで、本来水系では安定性の低い無機スズ化合物を、保存安定性の良好なエマルションとすることができる。
炭化水素油であれば直鎖状、分岐状に制限はなく、例えば、α- オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリプロピレンワックス、(エチレン/ プロピレン/ スチレン) コポリマー、(ブチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
(B)成分は、炭素数10~50の脂肪族炭化水素油が好ましく、中でも炭素数10~40の脂肪族炭化水素油がさらに好ましい。炭素数10~50の脂肪族炭化水素油としては、イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、流動パラフィンが挙げられる。流動パラフィンが特に好ましい。(B)成分は一種単独でも良く、2種類以上を併用しても良い。
【0038】
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、5~100質量部である。8~70質量部が好ましく、10~50質量部がより好ましく、20~40質量部が特に好ましい。
(B)成分の量が下限値未満の場合、エマルションの保存安定性が悪くなり、上限値を超えると、組成物中の炭化水素油量が多すぎて触媒活性が低下する。
【0039】
(C)成分
本発明の(C)成分は界面活性剤であり、(A)成分及び(B)成分を水に乳化分散し、エマルジョン組成物とするための乳化剤である。(C)成分の界面活性剤は、特に限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、または両イオン性界面活性剤である。これらは1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0040】
ここで用いる非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0041】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、N-アシルタウリン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、ジアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0042】
カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルジメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、トリポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、モノアルキルアミン塩、モノアルキルアミドアミン塩等が挙げられる。
【0043】
両イオン性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルジメチルカルボキシベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルカルボキシベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0044】
界面活性剤としては、少量で上記油相成分を乳化することができ、微細な粒子とすることができる点から、非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0045】
エマルションの安定性の観点から、非イオン性界面活性剤(複数使用する場合は、混合物全体のHLB値)は、HLB値が9.0~18.0の範囲であることが好ましく、HLB値が10.0~17.0がより好ましく、11.0~16.0がさらに好ましい。なお、HLBはグリフィン法により計算された値である。HLB値は以下の式より算出される。
N=N1×W1+N2×W2
N:HLB値の異なる2種類の界面活性剤を使用する場合のHLB値
N1、N2:各界面活性剤のHLB
W1、W2:各界面活性剤の重量分率(W1+W2=1)
【0046】
(C)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して5~50質量部であり、好ましくは7~30質量部であり、10~25質量部が特に好ましい。(C)成分の使用量が、(A)成分100質量部に対して5質量部未満の場合、エマルションの安定性が低下し、50質量部を超える場合には触媒活性が低下する。
【0047】
(D)成分
本発明のエマルション組成物には、(D)成分として水を配合する。(D)成分としては、イオン交換水、精製水等全ての水を用いることができる。水の配合量は(A)成分100質量部に対して、50~2,000質量部であり、100~1,000質量部がより好ましい。水の配合量は(A)成分100質量部に対して、50質量部未満の場合、乳化が困難になり、2,000質量部を超える場合には、(A)成分の無機スズの濃度が低くなり、触媒として利用するにはエマルション組成物を多量に配合する必要があることから、触媒として利用することが困難になる。
【0048】
以下、本発明の製造方法について説明する。
(A)、(B)、(C)および(D)成分を含む混合物を、乳化機を用いて乳化することにより無機スズエマルション組成物を調製する。ここでの乳化は、ホモディスパー、ホモミキサー、コロイドミル、ラインミキサー、万能混合機、ウルトラミキサー、プラネタリーミキサー、コンビミックス、高圧ホモジナイザー等の乳化機を用いることができる。また、ホモディスパー、ホモミキサー等を用いて(A)、(B)、(C)および(D)成分を含む混合物を乳化してエマルション組成物を調製した後、さらに高圧ホモジナイザー等の高圧を用いてエマルション粒子を小粒径化する乳化機を用いてエマルション粒子を小粒径化しても良い。用いる乳化機は1種でも2種以上を併用しても良い。より好ましくは、高圧ホモジナイザー等の高圧を用いてエマルション粒子を小粒径化する乳化機を使用する製造方法である。
高圧ホモジナイザー等の高圧を用いてエマルション粒子を小粒径化する乳化機を使用して、平均粒径を500nm以下とする製造方法が特に好ましい。
【0049】
本発明のエマルション組成物のエマルション粒子の平均粒径は、800nm以下が好ましい。500nm以下がさらに好ましく、400nm以下が特に好ましい。下限は特に限定されないが、50nm以上程度である。平均粒径が800nmを超えると、エマルションの安定性が低下するため好ましくない。なお、エマルション粒子の平均粒径は、レーザー回折・散乱法による体積積算値50%での粒径である。
【0050】
本発明のエマルション組成物は、環境面、毒性の観点より、有機スズ化合物を含まないことが好ましい。
【0051】
本発明のエマルション組成物には、無機粉体、顔料、染料、増粘剤、防腐剤、抗菌剤、消臭剤、防錆剤、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、不凍液剤、水溶性樹脂、有機樹脂エマルジョン等を含んでいてもよい。
【0052】
本発明のエマルション組成物は、従来使用されている有機スズ化合物の代替触媒として利用可能である。例えば、ウレタン化反応、エステル化反応、エステル交換反応、シリコーンの縮合反応等の触媒として利用可能である。本発明のエマルション組成物は、保存安定性が良好であるため、特に水系組成物の触媒として好適であり、例えば、シリコーンエマルションの硬化触媒として利用可能である。
【0053】
本発明のエマルション組成物は、シリコーンエマルションの硬化触媒として有用である。皮膜形成性シリコーンエマルションに対し、本発明のエマルション組成物を硬化触媒として利用することで、皮膜の硬度、引張強度といった皮膜特性を向上させることが可能である。
本発明における皮膜形成性シリコーンエマルションとは、乾燥後に皮膜を形成することができるシリコーンエマルションのことである。例えば架橋構造を有するオルガノポリシロキサンを含有するエマルションは乾燥後に皮膜を形成することが可能であり、皮膜形成性シリコーンエマルションである。皮膜形成性の有無については、例えば各シリコーンエマルション組成物を15cm×10cmのPP(ポリプロピレン)トレーに不揮発分が8.0gとなるように秤量し、25℃で48時間乾燥させた後、更に105℃で1時間乾燥させた後に、皮膜を形成するか確認することで評価することができる。
【0054】
架橋構造を有するシリコーンとしては、例えば下記式にて示される25℃における粘度が300,000mPa・s以上のオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【化1】
(式中、R
1は互いに独立に、水素原子、又は、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20の1価有機基であり、R
2は互いに独立に、上記R
1の選択肢から選ばれる基、ヒドロキシ基、又は炭素原子数1~20のアルコキシ基であり、a、b、c、dは該オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が300,000mPa・s以上を満たす値であり、a≧2、c≧0、d≧0、c+d≧1であり、bは典型的には200以上、好ましくは500以上の値を取り得る。ただし、c+dの値が大きい場合は架橋単位が増えるため、bが200以下でも粘度が300,000mPa・s以上となる場合もある。)
【0055】
本発明において、粘度は25℃においてBM型又はBH型回転粘度計で測定した。なお、この粘度は液状で測定できるものはそのまま、粘度が高すぎて測定できないものは15%又は10%トルエン溶解粘度を測定する場合がある。粘度が高すぎて液状で測定できないものの粘度は全て300,000mPa・s以上である。
【0056】
本発明の組成物を触媒として利用する組成物は、例えば、紙、プラスチックシート、ゴム物品の損傷保護剤,撥水剤,剥離剤、布の損傷保護剤,撥水剤,防水剤,風合い改良剤,目止め剤、コンクリート、モルタル、木材の撥水剤,防水剤,剥離剤等、無機又は有機物質のバインダー、繊維処理剤、塗料、離型剤、コーティング剤、等として広く応用可能である。
【実施例0057】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。濃度及び含有率を表す「%」は「質量%」を示す。
【0058】
(A)無機スズ化合物
(A-1)ネオスタンU-28(商品名):日東化成社製、ビス(2-エチルヘキサン酸)錫
(A-2)ネオスタンU-50(商品名):日東化成社製、ビスネオデカン酸錫
【0059】
(B)流動パラフィン
(B-1)KAYDOL(商品名):Sonneborn 社製、流動パラフィン、平均炭素数35
【0060】
(C)界面活性剤
(C-1)エマルゲン1108(商品名):花王ケミカル社製、ポリオキシエチレンアルキルラウリルエーテル、HLB値=13.5
(C-2)エマルゲン104P(商品名):花王ケミカル社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB値=9.6
(C-3)エマルゲン123P(商品名):花王ケミカル社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB値=16.9
(E)有機スズ化合物
(E-1)ネオスタンU-810(商品名):日東化成社製、ジオクチルスズジラウレート
【0061】
[エマルションの平均粒径]
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置LA-960(株式会社堀場製作所製)により測定した、体積積算値50%での粒径である。
【0062】
[実施例1]
(A-1)ネオスタンU-28:100質量部
(B-1)KAYDOL:18.0質量部
(C-1)エマルゲン1108:9.6質量部
(D)水:191.9質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物を得た。その後、圧力60MPaの設定で高圧ホモジナイザーを通過させ、エマルションの乳化粒子を小粒径化することで、無機スズエマルション組成物(I-1)を得た。得られた(I-1)の平均粒径は330nmであった。
【0063】
[実施例2]
(A-1)ネオスタンU-28:100質量部
(B-1)KAYDOL:28.5質量部
(C-1)エマルゲン1108:20.2質量部
(D)水:105.4質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物を得た。その後、圧力60MPaの設定で高圧ホモジナイザーを通過させ、エマルションの乳化粒子を小粒径化することで、無機スズエマルション組成物(I-2)を得た。得られた(I-2)の平均粒径は310nmであった。
【0064】
[実施例3]
(A-1)ネオスタンU-28:100質量部
(B-1)KAYDOL:19.1質量部
(C-2)エマルゲン104P:11.9質量部
(C-3)エマルゲン123P:2.4質量部
(D)水:105.9質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物を得た。その後、圧力60MPaの設定で高圧ホモジナイザーを通過させ、エマルションの乳化粒子を小粒径化することで、無機スズエマルション組成物(I-3)を得た。得られた(I-3)の平均粒径は350nmであった。
【0065】
[実施例4]
(A-1)ネオスタンU-28:100質量部
(B-1)KAYDOL:19.1質量部
(C-1)エマルゲン1108:13.5質量部
(D)水:105.4質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物(I-4)を得た。得られた(I-4)の平均粒径は440nmであった。
【0066】
[実施例5]
(A-1)ネオスタンU-28:100質量部
(B-1)KAYDOL:22.0質量部
(C-2)エマルゲン104P:12.9質量部
(C-3)エマルゲン123P:1.8質量部
(D)水:104.6質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物を得た。その後、圧力60MPaの設定で高圧ホモジナイザーを通過させ、エマルションの乳化粒子を小粒径化することで、無機スズエマルション組成物(I-5)を得た。得られた(I-5)の平均粒径は280nmであった。
【0067】
[実施例6]
(A-2)ネオスタンU-50:100質量部
(B-1)KAYDOL:19.1質量部
(C-2)エマルゲン104P:11.4質量部
(C-3)エマルゲン123P:1.7質量部
(D)水:105.9質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物を得た。その後、圧力60MPaの設定で高圧ホモジナイザーを通過させ、エマルションの乳化粒子を小粒径化することで、無機スズエマルション組成物(I-6)を得た。得られた(I-6)の平均粒径は490nmであった。
【0068】
[実施例7]
(A-2)ネオスタンU-50:100質量部
(B-1)KAYDOL:25.5質量部
(C-1)エマルゲン1108:13.5質量部
(D)水:107.0質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物を得た。その後、圧力60MPaの設定で高圧ホモジナイザーを通過させ、エマルションの乳化粒子を小粒径化することで、無機スズエマルション組成物(I-7)を得た。得られた(I-7)の平均粒径は390nmであった。
【0069】
[実施例8]
(A-2)ネオスタンU-50:100質量部
(B-1)KAYDOL:19.5質量部
(C-2)エマルゲン104P:11.4質量部
(C-3)エマルゲン123P:1.7質量部
(D)水:105.9質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物(I-8)を得た。得られた(I-8)の平均粒径は520nmであった。
【0070】
[実施例9]
(A-1)ネオスタンU-28:100質量部
(B-1)KAYDOL:9.0質量部
(C-1)エマルゲン1108:12.5質量部
(D)水:110.5質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物を得た。その後、圧力60MPaの設定で高圧ホモジナイザーを通過させ、エマルションの乳化粒子を小粒径化することで、無機スズエマルション組成物(I-9)を得た。得られた(I-9)の平均粒径は450nmであった。
【0071】
[実施例10]
(A-1)ネオスタンU-28:100質量部
(B-1)KAYDOL:20.0質量部
(C-1)エマルゲン1108:8.5質量部
(D)水:110.0質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物を得た。その後、圧力60MPaの設定で高圧ホモジナイザーを通過させ、エマルションの乳化粒子を小粒径化することで、無機スズエマルション組成物(I-10)を得た。得られた(I-10)の平均粒径は500nmであった。
【0072】
[比較例1]
(A-1)ネオスタンU-28:100質量部
(C-1)エマルゲン1108:15.0質量部
(D)水:105.0質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物を得た。その後、圧力60MPaの設定で高圧ホモジナイザーを通過させ、エマルションの乳化粒子を小粒径化することで、無機スズエマルション組成物(II-1)を得た。得られた(II-1)の平均粒径は1120nmであった。
【0073】
[比較例2]
(A-1)ネオスタンU-28:100質量部
(B-1)KAYDOL:3.5質量部
(C-1)エマルゲン1108:15.0質量部
(D)水:105.0質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物を得た。その後、圧力60MPaの設定で高圧ホモジナイザーを通過させ、エマルションの乳化粒子を小粒径化することで、無機スズエマルション組成物(II-2)を得た。得られた(II-2)の平均粒径は850nmであった。
【0074】
[比較例3]
(A-1)ネオスタンU-28:100質量部
(B-1)KAYDOL:15.0質量部
(C-1)エマルゲン1108:4.5質量部
(D)水:105.0質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物を得た。その後、圧力60MPaの設定で高圧ホモジナイザーを通過させ、エマルションの乳化粒子を小粒径化することで、無機スズエマルション組成物(II-3)を得た。得られた(II-3)の平均粒径は1200nmであった。
【0075】
[比較例4]有機スズ化合物
(E-1)ネオスタンU-810:100質量部
(B-1)KAYDOL:18.0質量部
(C-1)エマルゲン1108:9.6質量部
(D)水:191.9質量部
をホモミキサーにより混合、乳化してエマルション組成物を得た。その後、圧力60MPaの設定で高圧ホモジナイザーを通過させ、エマルションの乳化粒子を小粒径化することで、有機スズエマルション組成物(II-4)を得た。得られた(II-4)の平均粒径は320nmであった。
【0076】
[エマルションの平均粒径]
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置LA-960(株式会社堀場製作所製)により測定した、体積積算値50%での粒径である。
【0077】
[保存安定性(25℃)]
実施例・比較例で得られた各エマルション組成物について、25℃で3ヶ月静置させた状態で保管した。保管後のエマルション組成物を目視で確認し、1ヶ月以内に層分離が確認されたものを×、1ヶ月では分離していなかったが、2ヶ月以内に層分離が確認されたものを△、2ヶ月では分離していなかったが、3ヶ月以内に層分離が確認されたものを○、3ヶ月経過しても分離していなかったものを◎、とした。
【0078】
[保存安定性(40℃)]
実施例・比較例で得られた各エマルション組成物について、40℃で2週間静置させた状態で保管した。保管後のエマルション組成物を目視で確認し、1週間以内に層分離が確認されたものを×、1週間では分離していなかったが、2週間以内に層分離が確認されたものを△、2週間経過しても分離していなかったものを○、とした。
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
表1から表3に示すように、本発明の各実施例では、平均粒径、25℃での保存安定性、40℃での保存安定性は、いずれも良好な結果となった。一方、比較例1から比較例3では、平均粒径が大きく、25℃での保存安定性、40℃での保存安定性が良くない結果となった。また、本発明の各実施例は、有機スズ化合物を用いた比較例4と同様に、平均粒径、25℃での保存安定性、40℃での保存安定性が悪くないことを示している。
【0083】
[皮膜物性]
特許文献5の製造例1に倣い、以下の通りオルガノポリシロキサンエマルションを調製した。
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、トリエトキシフェニルシラン2g、10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液50g及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液50gを仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力30MPaで高圧ホモジナイザーを通過させ、均一な白色エマルションを得た。このエマルションを攪拌装置、温度計、還流冷却器の付いたガラスフラスコに移し、50℃ で24時間重合反応を行った後、110℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液12gで中和した。上記操作により、平均組成式
【化2】
で示されるオルガノポリシロキサンを含有するエマルション(III)を調製した。
得られたエマルション(III)30gを200gのIPA中に撹拌しながら添加することでエマルションを破壊させてオルガノポリシロキサンを抽出し、このオルガノポリシロキサンを105℃で3時間乾燥した後、25℃において回転粘度計で粘度を測定したが、そのままでは測定不可能であったため、15%トルエン溶液にて粘度を測定したところ、1350mPa・sであった。
(III)のエマルションを使用して、以下の通り皮膜物性を測定した。
【0084】
(III):100質量部
(IV)コロイダルシリカ(スノーテックスC 、日産化学工業社製 ):30質量部
各実施例、比較例で得たスズ化合物のエマルション:3質量部
を混合し、20gをポリプロピレン樹脂製ディスポトレー(150mm×105mm×19mm)に流し込み、温度25℃、相対湿度60%の雰囲気中で48時間放置後、105℃ で1時間加熱して、厚さ約1mmの硬化皮膜を作製した。この皮膜について、硬さ、引張り強さ及び伸びをJIS K 6249に準じて測定した。
結果を下表に示す。
なお、比較例5は、前述の実施例・比較例で得られた各エマルション組成物(I)又は(II)を含まない比較例である。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
上記結果から明らかであるように、本発明の無機スズエマルション組成物は、比較例1から3と比べて保存安定性が良好であり、比較例4の有機スズ触媒と同等の硬化性を有しており、比較例5の無機スズエマルション組成物、有機スズエマルション組成物を何ら含まないものに比べて硬化性に優れている。
【0089】
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]:(A) 無機スズ化合物:100質量部、(B)炭化水素油:5~100質量部
(C)界面活性剤:5~50質量部、(D)水:50~2,000質量部、を含むものであることを特徴とする無機スズエマルション組成物。
[2]:(B)成分が、炭素数10~50の脂肪族炭化水素油である、上記[1]のエマルション組成物
[3]:(A)成分が、ビス(2-エチルヘキサン酸)スズ、ビスネオデカン酸スズのうち少なくとも1つである上記[1]又は上記[2]のエマルション組成物。
[4]:前記無機スズエマルション組成物の乳化粒子の平均粒径が500nm以下である、上記[1]~上記[3]のいずれかのエマルション組成物。
[5]:有機スズ化合物を含有しない、上記[1]~上記[4]のいずれかに記載のエマルション組成物。
[6]:上記[1]~上記[5]のいずれかの組成物を含む、皮膜形成性シリコーンエマルション組成物。
[7]:上記[1]~上記[6]のいずれかの組成物を含むコーティング剤。
[8]:(A) 無機スズ化合物:100質量部、(B)炭化水素油:5~100質量部、(C)界面活性剤:5~50質量部、(D)水:50~2,000質量部を含む混合物を、乳化機を用いて乳化することによりエマルション粒子を形成する工程を含むことを特徴とする、無機スズエマルション組成物の製造方法。
[9]:さらに、高圧を用いてエマルション粒子を小粒径化する乳化機により小粒径化する工程を含む上記[8]に記載の無機スズエマルション組成物の製造方法。
[10]:前記高圧を用いてエマルション粒子を小粒径化する乳化機により小粒径化する工程において、エマルション粒子の平均粒径を500nm以下にする上記[9]に記載の製造方法。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。