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特開2024-13580ハーネス保持部材、保持部材付ワイヤーハーネス及びワイヤーハーネスの配索構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013580
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ハーネス保持部材、保持部材付ワイヤーハーネス及びワイヤーハーネスの配索構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20240125BHJP
   H02G 3/32 20060101ALI20240125BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20240125BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20240125BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20240125BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20240125BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
H02G3/30
H02G3/32
H02G3/16
H05K7/00 F
H01B7/00 301
F16B2/08 U
B60R16/02 623V
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115769
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】加島 正隆
(72)【発明者】
【氏名】水野 圭吾
【テーマコード(参考)】
3J022
4E352
5G309
5G361
5G363
【Fターム(参考)】
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC14
3J022GB43
3J022GB45
3J022GB56
4E352AA02
4E352AA03
4E352BB02
4E352BB15
4E352CC11
4E352CC52
4E352DD05
4E352DR17
4E352GG11
5G309AA01
5G309AA09
5G361BA06
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
5G363AA01
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA15
5G363DA16
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】ワイヤーハーネスの先端に接続されたコネクタに液体が浸入することを規制するハーネス保持部材、保持部材付ワイヤーハーネス及びワイヤーハーネスの配索構造を提供することを目的とする。
【解決手段】コネクタ保持部材40は、先端に第一コネクタ22が接続された第一ワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部41と、車両における電気接続箱100に第一ワイヤーハーネス21を取り付ける取付部42とが備えられ、ハーネス保持部41には、電気接続箱100に第一ワイヤーハーネス21を取り付けた取付状態において、固定された第一コネクタ22に向かうに伴って第一ワイヤーハーネス21が上側Zuに向けて傾斜する上方傾斜部分Uを形成するように、第一ワイヤーハーネス21の経路を規制する経路規制部44が設けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にコネクタが接続されたワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部材であって、
前記ワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部と、
車両における被取付部材に前記ワイヤーハーネスを取り付ける取付部とが備えられ、
前記ハーネス保持部には、
取付状態において、固定された前記コネクタに向かうに伴って前記ワイヤーハーネスが上方に向けて傾斜する上方傾斜部分を形成するように、前記ワイヤーハーネスの経路を規制する経路規制部が設けられた
ハーネス保持部材。
【請求項2】
前記経路規制部は、前記ワイヤーハーネスの配索方向と交差する方向から前記ワイヤーハーネスを挟み込んで保持する一対の挟持片で構成された
請求項1に記載のハーネス保持部材。
【請求項3】
前記ハーネス保持部は、前記取付状態において、水平方向及び鉛直方向に直交する直交方向を向く主面部を有し、
一対の前記挟持片は、前記主面部から前記直交方向に向けて突設し、
少なくとも上方に配置された前記挟持片は、前記ワイヤーハーネスが前記上方傾斜部分を形成するように水平面に対して前記鉛直方向に傾斜する
請求項2に記載のハーネス保持部材。
【請求項4】
前記ハーネス保持部は、前記ワイヤーハーネスを沿わせて配置する平板部分を有し、
前記経路規制部は、前記平板部分の両面に設けられた
請求項1又は請求項2に記載のハーネス保持部材。
【請求項5】
前記ワイヤーハーネスは、前記コネクタと前記ハーネス保持部との間に水分を吸収する吸水部材が装着された
請求項1に記載のハーネス保持部材。
【請求項6】
前記ハーネス保持部に、
前記ワイヤーハーネスを保持するバンドを挿通させるバンド挿通孔が設けられた
請求項1に記載のハーネス保持部材。
【請求項7】
前記取付部に、前記被取付部材に設けられた挿通孔に挿通させて取り付ける挿通取付部が備えられた
請求項1に記載のハーネス保持部材。
【請求項8】
前記被取付部材が、前記車両におけるパネルである
請求項7に記載のハーネス保持部材。
【請求項9】
先端にコネクタが接続されたワイヤーハーネスと、
請求項1に記載のハーネス保持部材とが備えられ、
前記ワイヤーハーネスが前記保持部材に保持された
保持部材付ワイヤーハーネス。
【請求項10】
先端にコネクタが接続されたワイヤーハーネスと、
前記ワイヤーハーネスが取り付けられた被取付部材と、
請求項1に記載のハーネス保持部材とで構成され、
前記ハーネス保持部材に保持された前記ワイヤーハーネスは、取付状態において、先端側に向かうに伴って上方から下方に向けて傾斜する下方傾斜部分を有し、
前記経路規制部は、前記ワイヤーハーネスにおける前記下方傾斜部分に対応する箇所よりも先端側に前記上方傾斜部分を形成するように、前記ワイヤーハーネスの経路を規制した
ワイヤーハーネスの配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、先端にコネクタが接続されたワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部材、前記ワイヤーハーネスを前記ハーネス保持部材で保持した保持部材付ワイヤーハーネス、及び、前記ハーネス保持部材で保持した前記ワイヤーハーネスを車両に配索したワイヤーハーネスの配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載されたバッテリーと他の電装機器類とを電気的に接続するワイヤーハーネスが車両に配索されている。このワイヤーハーネスは、例えば、ハーネス保持部材を介して車体パネルなどに固定することで、経路規制されている。
【0003】
ハーネス保持材の一例として、ワイヤーハーネスを挿通できるとともに、抜け止め防止機構を有する開口が設けられた保持部における開口側と反対側にアンカーが設けられ、アンカーを車体パネルにおける挿通孔に挿通して車体パネルに固定できるハーネス保持部材が特許文献1に開示されている。
【0004】
近年、電装機器類の増加に伴い、ワイヤーハーネスの先端に接続されたコネクタが様々な場所で固定されているが、コネクタの固定場所によっては、飲料水などの被水や結露などにより、ワイヤーハーネスに液体が付着することがあった。このようにワイヤーハーネスに付着した液体は、ワイヤーハーネスの規制経路によっては、ワイヤーハーネスを伝って、ワイヤーハーネスの先端に接続されたコネクタに浸入するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-029432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこでこの発明は、ワイヤーハーネスの先端に接続されたコネクタに液体が浸入することを規制するハーネス保持部材、保持部材付ワイヤーハーネス及びワイヤーハーネスの配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、先端にコネクタが接続されたワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部材であって、前記ワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部と、車両における被取付部材に前記ワイヤーハーネスを取り付ける取付部とが備えられ、前記ハーネス保持部には、取付状態において、固定された前記コネクタに向かうに伴って前記ワイヤーハーネスが上方に向けて傾斜する上方傾斜部分を形成するように、前記ワイヤーハーネスの経路を規制する経路規制部が設けられたことを特徴とする。
またこの発明は、先端にコネクタが接続されたワイヤーハーネスと、上述のハーネス保持部材とが備えられ、前記ワイヤーハーネスが前記保持部材に保持された保持部材付ワイヤーハーネスである。
【0008】
前記被取付部材は、前記コネクタを接続する電気接続箱などの電子機器類や、前記ワイヤーハーネスや他のワイヤーハーネスを保護するプロテクタなどの電装機器類、ルーフパネル、ドアパネル、フロアパネルなどの車体パネル、ブラケットなどを含む。
上述の取り付けるとは、被取付部材に対して直接的又は間接的に取り付けることを含む。
【0009】
また、上述の固定された前記コネクタとは、取付対象に対して導通するように固定された前記コネクタや、ワイヤーハーネスの外周面などに固定され、オプション機器が搭載された際にオプション機器に接続するコネクタなどを含む。
【0010】
前記ハーネス保持部は、一つのワイヤーハーネスを保持する場合のみならず、複数のワイヤーハーネスを保持する場合を含む。また、複数のワイヤーハーネスを保持する場合には、例えばハーネス保持部に設けられた板状部分の表面側と裏面側のように、異なる場所でそれぞれのワイヤーハーネスを保持する場合を含む。
なお、上述の保持するとは、少なくともワイヤーハーネスがハーネス保持部から脱落しない程度に保持することをさす。
【0011】
前記上方傾斜部分は、前記ハーネス保持部に保持された前記ワイヤーハーネスにおいて前記経路規制部より先端側及び基端側の少なくとも一方に形成されていればよい。なお、前記ハーネス保持部に保持された前記ワイヤーハーネスにおける前記経路規制部の先端側及び基端側に前記上方傾斜部分が形成されていれば、前記上方傾斜部分と前記コネクタとの間には、前記コネクタに向かうに伴って下方に向けて傾斜する部分が形成されても構わない。
【0012】
前記経路規制部は、前記ハーネス保持部に保持されたワイヤーハーネスを経路規制できれば、その構造に限定はなく、例えば、所定の構造でワイヤーハーネスを挟み込んで保持して経路規制する構成や、前記ワイヤーハーネスの配索方向を変更するように規制する構成、テープや結束バンドなどの別部材でワイヤーハーネスを固定しつつ経路を規制する構成でもよい。なお、経路規制部の具体的な構成として、板状体や複数の棒状体などをハーネス保持部に立設させた構成、ワイヤーハーネスとともにテープを巻き回すテープ固定部などハーネス保持部に設けた構成を含む。
【0013】
この発明により、ワイヤーハーネスの先端に接続されたコネクタに液体が浸入することを抑制できる。
詳述すると、取付部で被取付部材に取り付けられた状態において、経路規制部で経路規制されたワイヤーハーネスにおける経路規制部よりも先端側及び基端側の少なくとも一方に、上方傾斜部分を形成することができる。これにより、ワイヤーハーネスに形成された上方傾斜部分におけるコネクタから遠ざかる方向である下方に向かって、結露などによりワイヤーハーネスに付着した液体を流すことができ、コネクタへの液体の侵入を抑制できる。
【0014】
この発明の態様として、前記経路規制部は、前記ワイヤーハーネスの配索方向と交差する方向から前記ワイヤーハーネスを挟み込んで保持する一対の挟持片で構成されてもよい。
この発明によると、挟持片が配索方向と交差する方向からワイヤーハーネスを挟み込んで保持できるため、取付状態において、上方傾斜部分を形成できるようにワイヤーハーネスの配索経路を確実に規制できるとともに、ワイヤーハーネスに形成された上方傾斜部分を維持できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記ハーネス保持部は、前記取付状態において、水平方向及び鉛直方向に直交する直交方向を向く主面部を有し、一対の前記挟持片は、前記主面部から前記直交方向に向けて突設し、少なくとも上方に配置された前記挟持片は、前記ワイヤーハーネスが前記上方傾斜部分を形成するように水平面に対して前記鉛直方向に傾斜してもよい。
【0016】
この発明によると、主面部から直交方向に突設する挟持片のうち、上方に配置された挟持片が水平面に対して鉛直方向に傾斜しているため、挟持片に挟持されたワイヤーハーネスを水平面に対して鉛直方向に傾斜させるように、ワイヤーハーネスの配索経路を規制できる。すなわち、挟持片の先端側及び基端側の少なくとも一方において、容易かつ確実に上方傾斜部分をワイヤーハーネスに形成することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記ハーネス保持部は、前記ワイヤーハーネスを沿わせて配置する平板部分を有し、前記経路規制部は、前記平板部分の両面に設けられてもよい。
この発明により、平板部分の表面側及び裏面側において、複数のワイヤーハーネスに上方傾斜部分が形成されるように、それぞれのワイヤーハーネスの経路を規制できる。したがって、簡易な構造でコンパクト化を図ることができるとともに、複数のワイヤーハーネスと接続されたそれぞれのコネクタに液体が侵入することを抑制できる。また、複数のワイヤーハーネスの配索経路を共通化できるため、車両空間を有効活用することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記ワイヤーハーネスは、前記コネクタと前記ハーネス保持部との間に水分を吸収する吸水部材が装着されてもよい。
この発明により、コネクタとハーネス保持部との間の水分を吸水部材で吸収できるため、ハーネス保持部よりも先端側のワイヤーハーネスに生じた液体がコネクタに侵入することをより確実に抑制できる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記ハーネス保持部に、前記ワイヤーハーネスを保持するバンドを挿通させるバンド挿通孔が設けられてもよい。
この発明により、ハーネス保持部に保持されたワイヤーハーネスにバンドを巻き回すことができる。したがって、上方傾斜部分が形成されたワイヤーハーネスがハーネス保持部から脱落することを確実に防止できるとともに、取付状態において上方傾斜部分の形状を維持できる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記取付部に、前記被取付部材に設けられた挿通孔に挿通させて取り付ける挿通取付部が備えられてもよい。
前記挿通孔は、前記取付部を取り付けることができれば、特に限定はなく、例えば、車体パネルに設けられた挿通孔や、プロテクタや電気接続箱などの電装部品に設けられた挿通孔などを含む。なお、前記挿通取付部は、例えばクリップやアンカーなどを含む。
【0021】
この発明により、被取付部材における挿通孔に対して挿通取付部を挿通させるだけで、上方傾斜部分が形成されるようにワイヤーハーネスを被取付部材に取り付けることができる。これにより、挿通孔を有する被取付部材に取り付けられたワイヤーハーネスの先端に接続されたコネクタに液体が浸入することを容易に抑制でき、汎用性を向上させることができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記被取付部材が、前記車両におけるパネルであってもよい。
この発明により、コネクタに液体が侵入しないように、車両におけるパネルにワイヤーハーネスを取り付けることができる。
【0023】
またこの発明は、先端にコネクタが接続されたワイヤーハーネスと、前記ワイヤーハーネスが取り付けられた被取付部材と、上述のハーネス保持部材とで構成され、前記ハーネス保持部材に保持された前記ワイヤーハーネスは、取付状態において、先端側に向かうに伴って上方から下方に向けて傾斜する下方傾斜部分を有し、前記経路規制部は、前記ワイヤーハーネスにおける前記下方傾斜部分に対応する箇所よりも先端側に前記上方傾斜部分を形成するように、前記ワイヤーハーネスの経路を規制したワイヤーハーネスの配索構造である。
【0024】
この発明によると、経路規制部の基端側において、下方傾斜部分と上方傾斜部分とで挟まれた谷部が形成されるため、ワイヤーハーネスを伝って谷部に向けて液体を流すことができる。したがって、ワイヤーハーネスの先端に接続されたコネクタに液体が流れることを規制でき、液体のコネクタへの浸入を抑制できる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、ワイヤーハーネスの先端に接続されたコネクタに液体が浸入することを規制するハーネス保持部材、保持部材付ワイヤーハーネス及びワイヤーハーネスの配索構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ハーネス配索構造の概略斜視図。
図2】電気接続箱と保持部材付ハーネスの概略斜視図。
図3】保持部材付ハーネスの概略分解斜視図。
図4】ハーネス保持部材の説明図。
図5】ハーネス保持部材の説明図。
図6】保持部材付ハーネスの説明図。
図7】電気接続箱に接続された保持部材付ハーネスの説明図。
図8】電気接続箱に接続された保持部材付ハーネスの概略正面図。
図9】別のハーネス保持部材の説明図。
図10】さらに別のハーネス保持部材の説明図。
図11】さらに別のハーネス保持部材をパネルに装着する方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の一実施形態を、以下図1乃至図8とともに説明する。
図1は電気接続箱100に配索されたハーネス配索構造1を上側Zu及び後方側Ybから視た概略斜視図を示し、図2は電気接続箱100から取り外した保持部材付ハーネス10と電気接続箱100とを上側Zu及び後方側Ybから視た概略斜視図を示す。図3は保持部材付ハーネス10を上側Zu及び後方側Ybから視た概略分解斜視図を示す。
【0028】
図4及び図5はコネクタ保持部材40の説明図を示す。詳述すると、図4(a)はコネクタ保持部材40を後方側Ybから視た概略側面図を示し、図4(b)はコネクタ保持部材40を下側Zdから視た概略底面図を示し、図5(a)はコネクタ保持部材40を右側Xrから視た概略正面図を示し、図5(b)は図5(a)におけるA-A矢視断面図を示す。
【0029】
図6は保持部材付ハーネス10の説明図を示し、図7は電気接続箱100に保持部材付ハーネス10を取り付けたハーネス配索構造1の説明図示し、図8は電気接続箱100に取り付けたハーネス配索構造1の概略正面図を示す。
図6及び図8について、詳述すると、図6(a)は保持部材付ハーネス10の概略底面図を示し、図6(b)は図6(a)におけるB-B矢視断面図を示す。図7(a)は電気接続箱100に保持部材付ハーネス10を取り付けたハーネス配索構造1の平面図を示し、図7(b)は図7(a)におけるC-C矢視断面図の拡大概略断面図を示す。より詳しくは、図7(b)は被係止部120と係止片47との係止部分の拡大概略断面図を示す。図8(a)はハーネス配索構造1の概略正面図を示し、図8(b)は保持部材付ハーネス10の拡大概略正面図を示す。
【0030】
ここで、図1における上下方向を高さ方向Zとし、図1において、電気接続箱100の短手方向を幅方向Xとし、電気接続箱100の長手方向を前後方向Yとする。なお、幅方向Xと前後方向Yと高さ方向Zとは互いに直交している。また、図1において、幅方向Xに沿って右方を右側Xrとし、左方を左側Xlとする。同様に、前後方向Yに沿って右方を前方側Yfとし、左方を後方側Ybとし、高さ方向Zに沿って上方を上側Zuとし、下方を下側Zdとする。
【0031】
ハーネス配索構造1は、図1及び図2に示すように、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30をコネクタ保持部材40で保持する保持部材付ハーネス10と、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を取り付ける電気接続箱100とで構成されている。
【0032】
電気接続箱100は、基板やヒューズ、リレー等の電子部品が収容された筐体であり、右側Xrの側面101には、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30の先端に設けられた第一コネクタ22及び第二コネクタ32を接続できるコネクタ接続部110が前後方向Yに沿って2つ並んで設けられている。
【0033】
また、電気接続箱100における上面102(上側Zuの面)には、保持部材付ハーネス10を係止する2つの被係止部120が、右側Xrの端部付近に設けられている。この被係止部120は、前後方向Yに所定の間隔を隔てて並んで設けられている。
【0034】
被係止部120は、図2に示すように、上面102から上側Zuに立設する一対の脚部121と、脚部121における上側Zuの端部を連結する連結部122とで一体構成されており、前後方向Yから視た側面視において、略門型に構成されている。
【0035】
保持部材付ハーネス10は、図2及び図3に示すように、第一コネクタ付ハーネス20と、第二コネクタ付ハーネス30と、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を保持するコネクタ保持部材40とで構成されている。
【0036】
第一コネクタ付ハーネス20は、図3に示すように、導電性を有する導体を絶縁被覆で覆った電線を複数束ねて構成された第一ワイヤーハーネス21と、第一ワイヤーハーネス21の先端側に接続された第一コネクタ22とで構成されており、第一ワイヤーハーネス21における先端側には、第一吸水テープ23が巻き回されている。
第一吸水テープ23は、水分を吸収する素材で構成されており、第一ワイヤーハーネス21における先端側の外周面に巻き回されて装着されている。
【0037】
第二コネクタ付ハーネス30は、第一コネクタ付ハーネス20と同じ構成である。すなわち、第二コネクタ付ハーネス30は、第一ワイヤーハーネス21と同じ構成である第二ワイヤーハーネス31と、第一コネクタ22と同じ構成である第二コネクタ32とで構成され、第二ワイヤーハーネス31の外周面には第一吸水テープ23と同じ素材の第二吸水テープ33が巻き回されて装着されている。
【0038】
このように構成された第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30は、第一コネクタ22及び第二コネクタ32をそれぞれコネクタ接続部110に対して挿入することで、電気接続箱100の内部に収容された電子部品と第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の基端側に接続された電気機器類とを電気的に接続することができる。
【0039】
コネクタ保持部材40は、図4及び図5に示すように、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を保持するハーネス保持部41と、保持された第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を電気接続箱100に取り付ける取付部42と、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30をハーネス保持部41に案内する案内部43とで構成されている。
【0040】
詳述すると、コネクタ保持部材40は、図4(a)に示すように、幅方向Xを法線方向とする主面を有する板状のハーネス保持部41における上側Zuの端部から、幅方向Xに沿って取付部42が延出している。すなわち、ハーネス保持部41と取付部42とは前後方向Yから見て略L字状に形成されている。また、ハーネス保持部41における後方側Ybの端部からは、後方側Ybに向かうに伴ってハーネス保持部41から取付部42が延出する方向(左側Xl)に向けて傾斜する案内部43が延出している。
【0041】
ハーネス保持部41は、図5(a)に示すように、上端が水平であるとともに、上端に対して下端が下側Zdに傾斜する側面視略台形状の平板で構成されており、上述のように、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を電気接続箱100に取り付けた取付状態において、水平方向である前後方向Yと鉛直方向である高さ方向Zと直交する幅方向Xを向く主面部411を有する。
【0042】
この主面部411における高さ方向Zの中央よりもやや下側Zdには、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を挟持して配索経路を規制する経路規制部44が設けられている。
経路規制部44は、図4(b)及び図5(b)に示すように、ハーネス保持部41における右側Xrに向けて立設する第一挟持部45と、ハーネス保持部41における左側Xlに向けて立設する第二挟持部46で構成されている。
【0043】
第一挟持部45は、図4(b)、図5(a)及び図5(b)に示すように、主面部411の表面から右側Xrに向けて突出する略板状の第一上方規制部451と、第一上方規制部451に対して所定の間隔を隔てて設けられた略板状の第一下方規制部452とで構成されている。
【0044】
第一上方規制部451は、幅方向Xから視て、後方側Ybから前方側Yfに向かうに伴って下側Zdに向けて傾斜している。換言すると、第一上方規制部451は、ハーネス保持部41の上端に対して鉛直方向の下向き(下側Zd)に傾斜している。
【0045】
このようにハーネス保持部41の上端に対して傾斜する第一上方規制部451は、主面部411から所定の高さだけ突出するように延出されている。この第一上方規制部451の高さは、第一ワイヤーハーネス21の外径よりもわずかに長く、第一上方規制部451の先端は、ハーネス保持部41と平行になるように下側Zdに湾曲している。すなわち、図5(b)に示すように、第一上方規制部451は、先端が下側Zdに向けて湾曲した鉤状に形成されている。
【0046】
第一下方規制部452は、ハーネス保持部41の下端から左側Xlに向けて立設するとともに、第一上方規制部451と同様に、後方側Ybから前方側Yfに向かうに伴って下側Zdに向けて傾斜している。すなわち、第一下方規制部452はハーネス保持部41の下端と面一となっているとともに、第一上方規制部451と平行になっている。なお、第一上方規制部451と第一下方規制部452との間隔は第一ワイヤーハーネス21の外径と略等しい。
【0047】
第一下方規制部452の高さは、図5(b)に示すように、第一上方規制部451の高さのおよそ半分である。このように構成された第一下方規制部452の先端と第一上方規制部451の先端との間隔は、第一コネクタ付ハーネス20の外径よりもわずかに狭くなっているが、第一ワイヤーハーネス21を挿入できる程度の間隔である。
【0048】
第二挟持部46は、図4(b)及び図5(b)に示すように、ハーネス保持部41を対称面として第一上方規制部451と面対称となる第二上方規制部461と、第一下方規制部452と面対称となる第二下方規制部462とで構成されている。
第二上方規制部461及び第二下方規制部462の構成は、主面部411から突出する方向が異なる点を除いて、第一上方規制部451及び第一下方規制部452と同じであるため、説明を省略する。
【0049】
このように構成された第一挟持部45及び第二挟持部46の第一上方規制部451及び第二上方規制部461の上側Zuには、ハーネス保持部41を板厚方向に貫通するバンド挿通孔412が設けられている。このバンド挿通孔412は、いわゆる結束バンド50を挿通させることができる。
【0050】
ハーネス保持部41における上側Zuの端部からは幅方向Xに沿って延出する取付部42は、前後方向Yの長さがハーネス保持部41と等しい、平面視略長方形状に形成された平板であり、取付部42の先端側には、被係止部120と係止する係止片47が前後方向Yに沿って所定の間隔を隔てて2つ設けられている(図4(b)参照)。
【0051】
係止片47は、取付部42の裏面側(下側Zdの面)から下側Zdに向けて突出する基部471と、基部471の先端から左側Xlに向けて延出する平板の挿入部472と、挿入部472の先端から上側Zuに向けて突出する係止凸部473とで一体構成されている(図4(a)参照)。
【0052】
基部471は、取付部42の先端(左側Xlの端部)付近において、取付部42の裏面側(下側Zdの面)から下側Zdに向けて突出している。この基部471の幅長(前後方向Yに沿った長さ)は、一対の脚部121同士の間隔と等しく、また、基部471の高さ(高さ方向Zに沿った長さ)は、脚部121の高さよりも低くなっている。
【0053】
挿入部472は、基部471の先端から取付部42と平行となるように左側Xlに突出する平面視略長方形状の平板である。この挿入部472における幅方向Xに沿った長さは、連結部122の幅方向Xに沿った長さよりも長く、挿入部472の板厚は脚部121の高さよりも薄くなるように構成されている。すなわち、挿入部472は、上面102と連結部122との間に挿入可能に構成されている。
【0054】
このような平板の挿入部472の先端には、係止凸部473が上側Zuに向けてわずかに突出している。この係止凸部473と取付部42の間隔は、連結部122の板厚よりも短くなっており、係止凸部473の左側Xlの端部には連結部122の挿入できるように面取りされている。
【0055】
したがって、係止片47は、上面102と連結部122との間に挿入部472を挿入できるとともに、連結部122における左側Xlの端面と係止凸部473とが係止するように構成されている(図7(b)参照)。
【0056】
このように構成されたコネクタ保持部材40は、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の外径と略同じ長さだけ離間して対面するように配置された第一上方規制部451と第一下方規制部452、及び、第二上方規制部461と第二下方規制部462との間に、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31をそれぞれ挿入することができる。これにより、図6(a)及び図6(b)に示すように、第一挟持部45及び第二挟持部46で保持できる。
【0057】
なお、第一上方規制部451及び第二上方規制部461の先端部分は、鉤状に形成されることで、第一挟持部45及び第二挟持部46に挿入された第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31が抜け落ちないように、脱落規制している。
【0058】
そして、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を第一挟持部45及び第二挟持部46に挟持させた状態において、バンド挿通孔412に結束バンド50を挿通させて、第一挟持部45及び第二挟持部46とともに、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を巻き回すことで、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30の脱落を防止できる。
【0059】
また、コネクタ保持部材40に第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を保持した保持部材付ハーネス10は、図7に示すように、取付部42に設けた係止片47を被係止部120に係止することで、電気接続箱100に対して取り付けることができる。
【0060】
なお、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30がコネクタ保持部材40に保持された状態において、第一吸水テープ23及び第二吸水テープ33は、経路規制部44に対応する位置のみならず、経路規制部44よりも第一コネクタ22及び第二コネクタ32が配置されている側となる位置にも巻き回されている(図7(a)参照)。
【0061】
より具体的には、挿入部472が被係止部120に対応するように、取付部42を配置するとともに、保持部材付ハーネス10を左側Xlにスライドさせることで、挿入部472が上面102と連結部122との間に挿入される。そして、さらに保持部材付ハーネス10を左側Xlにスライドさせることで、図7(b)に示すように、係止凸部473が連結部122における左側Xlの端部に係止される。これにより、保持部材付ハーネス10を電気接続箱100に取り付けることができる。
なお、第一コネクタ22及び第二コネクタ32は、左側Xlに向けて保持部材付ハーネス10をスライドさせる段階において、コネクタ接続部110にそれぞれ接続されている。
【0062】
このように、コネクタ接続部110に第一コネクタ22及び第二コネクタ32が接続されるとともに、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を保持するコネクタ保持部材40が電気接続箱100に取り付けられた取付状態(ハーネス配索構造1)において、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30は、図8に示すように、経路規制部44の前方側Yfにおいて、高さ方向Zに沿って傾斜する上方傾斜部分Uが形成されるように、配索される。
【0063】
詳述すると、主面部411から幅方向Xに向けて突出する経路規制部44は、より具体的には、板状体で構成された第一上方規制部451及び第一下方規制部452、第二上方規制部461及び第二下方規制部462は、それぞれ対向する面が、取付部42に対して高さ方向Zに傾斜している。すなわち、第一挟持部45及び第二挟持部46で保持された第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30は、電気接続箱100にコネクタ保持部材40を取り付けた状態において、第一コネクタ22に向かうに伴って上側Zuに向けて傾斜する上方傾斜部分Uを形成するように、経路規制部44によって経路規制される。
【0064】
なお、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30における上方傾斜部分Uの基端側には、図8(b)に示すように、前方側Yfから後方側Ybに向かうに伴って下側Zdに傾斜する下方傾斜部分Dが形成されている。すなわち、下方傾斜部分Dと上方傾斜部分Uとの間には、下側Zdに向けて突出する谷部Vが形成される。
【0065】
このため、経路規制部44よりも前方側Yfに液体Lが第一コネクタ付ハーネス20や第二コネクタ付ハーネス30に付着したとしても、液体Lは、図8(b)に図示する矢印のように、第一コネクタ22及び第二コネクタ32から遠ざかる方向である下側Zdに向かって流れることとなる。これにより、第一コネクタ22及び第二コネクタ32に液体Lが侵入することを抑制できる。
【0066】
また、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30における上方傾斜部分Uの基端側に、谷部Vが形成されるため、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30における下方傾斜部分Dの基端側に付着した液体Lが、図8(b)に図示する矢印のように、谷部Vに向けて流れることとなる。これにより、より確実に液体Lを下側Zdに向けて流すことができ、第一コネクタ22及び第二コネクタ32に液体Lが侵入することを抑制できる。
【0067】
さらにまた、経路規制部44よりも後方側Ybにおいて、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の外周面には第一吸水テープ23及び第二吸水テープ33が巻き回されているため、仮に経路規制部44よりも後方側Ybの第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に液体Lが流れてきたり、付着したりしたとしても、第一吸水テープ23及び第二吸水テープ33で液体Lを吸収することができる。
【0068】
このように、先端に第一コネクタ22及び第二コネクタ32が接続された第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を保持するコネクタ保持部材40は、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を保持するハーネス保持部41と、車両における電気接続箱100に第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を取り付ける取付部42とが備えられている。またハーネス保持部41には、電気接続箱100に第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を取り付けた取付状態において、固定された第一コネクタ22及び第二コネクタ32に向かうに伴って第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31が上側Zuに向けて傾斜する上方傾斜部分Uを形成するように、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の経路を規制する経路規制部44が設けられている。
【0069】
また、保持部材付ハーネス10は、先端に第一コネクタ22及び第二コネクタ32が接続された第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31と、コネクタ保持部材40とが備えられ、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31が保持部材に保持されている。
【0070】
このように構成されたコネクタ保持部材40は、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の先端に接続された第一コネクタ22及び第二コネクタ32に液体Lが浸入することを抑制できる。
詳述すると、取付部42で電気接続箱100に取り付けられた状態において、経路規制部44で経路規制された第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31における経路規制部44よりも少なくとも基端側に、上方傾斜部分Uを形成することができる。これにより、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に形成された上方傾斜部分Uにおける第一コネクタ22及び第二コネクタ32から遠ざかる方向である下側Zdに向かって、結露などにより第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に付着した液体Lを流すことができ、第一コネクタ22及び第二コネクタ32への液体Lの侵入を抑制できる。
【0071】
また、経路規制部44は、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の配索方向と交差する方向から第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を挟み込んで保持する第一挟持部45(第一上方規制部451と第一下方規制部452)及び第二挟持部46(第二上方規制部461と第二下方規制部462)で構成されている。これにより、第一挟持部45及び第二挟持部46が配索方向と交差する方向から第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を挟み込んで保持できるため、取付状態において、上方傾斜部分Uを形成できるように第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の配索経路を確実に規制できるとともに、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に形成された上方傾斜部分Uを維持できる。
【0072】
また、ハーネス保持部41は、取付状態において、前後方向Y及び高さ方向Zに直交する幅方向Xを向く主面部411を有し、第一上方規制部451及び第一下方規制部452と第二上方規制部461及び第二下方規制部462は、主面部411から幅方向Xに向けて突設し、少なくとも上側Zuに配置された第一上方規制部451及び第二上方規制部461は、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31が上方傾斜部分Uを形成するように水平面(幅方向Xと前後方向Yとで形成される面)に対して高さ方向Zに傾斜している。
【0073】
このように、主面部411から幅方向Xに突設する第一上方規制部451及び第一下方規制部452と第二上方規制部461及び第二下方規制部462のうち、上側Zuに配置された第一上方規制部451及び第二上方規制部461が水平面に対して高さ方向Zに傾斜している(図8(b)参照)。
【0074】
このため、第一挟持部45及び第二挟持部46に挟持された第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を水平面に対して高さ方向Zに傾斜させるように、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の配索経路を規制できる。すなわち、第一挟持部45及び第二挟持部46の基端側において、容易かつ確実に上方傾斜部分Uを第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に形成することができる。
【0075】
さらにまた、ハーネス保持部41は、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を沿わせて配置する平板部分を有し、経路規制部44は、平板部分の両面に設けられている。これにより、平板部分の表面側及び裏面側において、複数の第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に上方傾斜部分Uが形成されるように、それぞれの第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の経路を規制できる。すなわち、経路規制部44を分散して設ける必要がなく、一つのまとまった場所に経路規制部44を設けることができる。
【0076】
したがって、簡易な構造でコンパクト化を図ることができるとともに、複数の第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31と接続されたそれぞれの第一コネクタ22及び第二コネクタ32に液体Lが侵入することを抑制できる。また、複数の第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の配索経路の共通化できるため、車両空間を有効活用することができる。
【0077】
また、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31は、第一コネクタ22及び第二コネクタ32とハーネス保持部41との間に水分を吸収する第一吸水テープ23及び第二吸水テープ33が装着されている。これにより、第一コネクタ22及び第二コネクタ32とハーネス保持部41との間の水分を第一吸水テープ23及び第二吸水テープ33で吸収できるため、ハーネス保持部41よりも先端側の第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に生じた液体Lが第一コネクタ22及び第二コネクタ32に侵入することをより確実に抑制できる。
【0078】
さらにまた、ハーネス保持部41に、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を保持する結束バンド50を挿通させるバンド挿通孔412が設けられていることにより、ハーネス保持部41に保持された第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に結束バンド50バンドを巻き回すことができる。したがって、上方傾斜部分Uが形成された第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31がハーネス保持部41から脱落することを確実に防止できるとともに、取付状態において上方傾斜部分Uの形状を維持できる。
【0079】
またハーネス配索構造1は、先端に第一コネクタ22及び第二コネクタ32が接続された第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31と、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31が取り付けられた電気接続箱100と、コネクタ保持部材40とで構成され、コネクタ保持部材40に保持された第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31は、取付状態において、先端側(後方側Yb)に向かうに伴って上側Zuから下側Zdに向けて傾斜する下方傾斜部分Dを有し、経路規制部44は、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31における下方傾斜部分Dに対応する箇所よりもの先端側に上方傾斜部分Uを形成するように、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の経路を規制する。
【0080】
これにより、経路規制部44の基端側(前方側Yf)において、下方傾斜部分Dと上方傾斜部分Uとで挟まれた谷部Vが形成されるため、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を伝って谷部Vに向けて液体Lを流すことができる。したがって、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の先端に接続された第一コネクタ22及び第二コネクタ32に液体Lが流れることを規制でき、液体Lの第一コネクタ22及び第二コネクタ32への浸入を抑制できる。
【0081】
上述のコネクタ保持部材40では、経路規制部44は、前後方向Yに対して下側Zdに傾斜する第一挟持部45及び第二挟持部46で構成されているが、図9に示すように、前後方向Yに対して上側Zuに傾斜する第一挟持部45a及び第二挟持部46aで構成されてもよい。以下、前後方向Yに対して上側Zuに傾斜する第一挟持部45a及び第二挟持部46aを有するコネクタ保持部材40aについて、図9に基づき簡単に説明する。
【0082】
図9はコネクタ保持部材40aの説明図を示す。詳述すると、図9(a)はコネクタ保持部材40aを右側Xrから視た概略正面図を示し、図9(b)は第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を保持したコネクタ保持部材40aを及び100に取り付けたハーネス配索構造1aの概略正面図を示す。
なお、以下のコネクタ保持部材40aの説明において、上述のコネクタ保持部材40と同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0083】
コネクタ保持部材40aは、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を保持するハーネス保持部41aと、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を電気接続箱100に取り付ける取付部42と、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30をハーネス保持部41に案内する案内部43とで構成されている。
【0084】
ハーネス保持部41aは、上端が水平であるとともに、上端に対して下端が上側Zuに傾斜する側面視略台形状の平板で構成されており、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を電気接続箱100に取り付けた取付状態において、水平方向である前後方向Yと鉛直方向である高さ方向Zと直交する幅方向Xを向く主面部411を有する。
【0085】
この主面部411における高さ方向Zの中央よりもやや下側Zdには、コネクタ保持部材40と同様に、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を挟持して配索経路を規制する経路規制部44が設けられている。
経路規制部44は、ハーネス保持部41における右側Xrに向けて立設する第一挟持部45aと、ハーネス保持部41における左側Xlに向けて立設する第二挟持部46a(図示省略)とで構成されている。
【0086】
第一挟持部45aは、図9(a)に示すように、主面部411の表面から右側Xrに向けて突出する略板状の第一上方規制部453と、第一上方規制部453に対して所定の間隔を隔てて設けられた略板状の第一下方規制部454とで構成されている。
【0087】
第一上方規制部453は、幅方向Xから視て、後方側Ybから前方側Yfに向かうに伴って上側Zuに向けて傾斜している。換言すると、第一上方規制部453は、ハーネス保持部41の上端に対して鉛直方向の上向き(上側Zu)に傾斜している。
なお、第一上方規制部453は、傾斜方向が異なることを除き第一上方規制部451と同じ構成である。
【0088】
第一下方規制部454は、ハーネス保持部41aの下端から右側Xrに向けて立設するとともに、第一上方規制部453と同様に、後方側Ybから前方側Yfに向かうに伴って上側Zuに向けて傾斜している。すなわち、第一下方規制部454はハーネス保持部41aの下端と面一となっているとともに、第一上方規制部453と平行になっている。なお、第一下方規制部454は、傾斜方向が異なることを除き第一下方規制部452と同じ構成であり、第一上方規制部453と第一下方規制部454との間隔は第一ワイヤーハーネス21の外径と略等しい。
【0089】
第二挟持部46aは、ハーネス保持部41aを対称面として第一挟持部45aと面対称である。すなわち、第二挟持部46aは、主面部411から突出する方向が異なる点を除いて、第一挟持部45aと同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0090】
このように構成されたコネクタ保持部材40aは、コネクタ保持部材40と同様に、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を保持できるとともに、電気接続箱100に対して取り付けることができる。ここで、経路規制部44は、電気接続箱100に保持部材付ハーネス10aを取り付けた状態において、第一コネクタ22及び第二コネクタ32が接続されるコネクタ接続部110と略同じ高さとなる。換言すると、高さ方向Zに沿った位置が略同じ位置となる。
【0091】
この第一コネクタ付ハーネス20と第二コネクタ付ハーネス30とコネクタ保持部材40aとで構成された保持部材付ハーネス10aは、電気接続箱100に取り付けた状態(ハーネス配索構造1a)において、図9(b)に示すように、第一コネクタ22及び第二コネクタ32と経路規制部44との間に、上方傾斜部分Uを形成することができる。
【0092】
詳述すると、保持部材付ハーネス10aを電気接続箱100に取り付けることで、後方側Ybから前方側Yfに向かうに伴って上側Zuに向けて傾斜する第一挟持部45a及び第二挟持部46aに保持された第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31は、第一挟持部45a及び第二挟持部46aに保持された箇所において、前方側Yfから後方側Ybに向かうに伴って下側Zdに向けて傾斜する下方傾斜部分Dが形成される。
【0093】
ここで、経路規制部44は、電気接続箱100に保持部材付ハーネス10aを取り付けた状態において、第一コネクタ22及び第二コネクタ32が接続されるコネクタ接続部110と略同じ高さであるため、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の経路規制部44よりも後方側Ybは、コネクタ接続部110よりも下側Zdに配置されることとなる。このため、第一コネクタ22及び第二コネクタ32がコネクタ接続部110に接続された状態では、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に上方傾斜部分Uが形成されることとなる。
【0094】
このように構成されたコネクタ保持部材40aは、先端に第一コネクタ22及び第二コネクタ32が接続された第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を保持している。そして、コネクタ保持部材40aは、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を保持するハーネス保持部41aと、車両における電気接続箱100に第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を取り付ける取付部42とが備えられている。またハーネス保持部41aには、電気接続箱100に第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を取り付けた取付状態において、固定された第一コネクタ22及び第二コネクタ32に向かうに伴って第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31が上側Zuに向けて傾斜する上方傾斜部分Uを形成するように、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の経路を規制する経路規制部44が設けられている。
【0095】
このように構成されたコネクタ保持部材40aは、コネクタ保持部材40と同様の効果を奏することができる。
例えば、取付部42で電気接続箱100に取り付けられた状態において、経路規制部44で経路規制された第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31における経路規制部44よりも少なくとも先端側(後方側Yb)に、上方傾斜部分Uを形成することができる。これにより、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に形成された上方傾斜部分Uにおける第一コネクタ22及び第二コネクタ32から遠ざかる方向である下側Zdに向かって、結露などにより第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に付着した液体Lを流すことができ、第一コネクタ22及び第二コネクタ32への液体Lの侵入を抑制できる。
【0096】
また、本実施形態では、コネクタ保持部材40及びコネクタ保持部材40aは、電気接続箱100に取り付けているが、必ずしも電気接続箱100が取付対象である必要はなく、他の電子機器類や、第一コネクタ付ハーネス20や第二コネクタ付ハーネス30や、他のワイヤーハーネスを保護するプロテクタや、ワイヤーハーネスそのもの、ブラケットやトリムなどでもよい。また、ルーフパネルやドアパネルなどの車体パネルに対して取り付けてもよい。
以下、フロアパネル90を板厚方向(高さ方向Z)に貫通させた平面視略長孔の挿通孔91に対して取り付けることができるコネクタ保持部材40b及び保持部材付ハーネス10bについて、図10及び図11に基づいて簡単に説明する。
【0097】
図10はコネクタ保持部材40bを右側Xrから視た概略正面図を示す。図11はコネクタ保持部材40bで第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を保持した保持部材付ハーネス10bをフロアパネル90に取り付ける方法の説明図を示しており、図11(a)は保持部材付ハーネス10bをフロアパネル90に取り付ける前の概略正面図を示し、図11(b)は保持部材付ハーネス10bをフロアパネル90に取り付けた状態の概略正面図を示す。
なお、以下の保持部材付ハーネス10b及びコネクタ保持部材40bの説明において、上述の保持部材付ハーネス10及びコネクタ保持部材40と同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0098】
保持部材付ハーネス10bは、第一コネクタ付ハーネス20bと、第一コネクタ付ハーネス20bを保持するコネクタ保持部材40bとで構成されており、フロアパネル90に取り付けることができる。
第一コネクタ付ハーネス20bは、導電性を有する導体を絶縁被覆で覆った電線を複数束ねて構成された主幹線WHから分岐する第一枝線21bと、第一枝線21bの先端に接続された第一コネクタ22とで構成されており、第一枝線21bにおける先端側には、第一吸水テープ23が巻き回されている。なお、第一コネクタ22は、主幹線WHにテープTで固定されている。
【0099】
コネクタ保持部材40bは、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を保持するハーネス保持部41bと、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30をフロアパネル90に取り付ける取付部42bとで構成されている。
ハーネス保持部41bは、下端が水平であるとともに、下端に対して上端が上側Zuに傾斜する側面視略台形状の平板で構成されており、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を電気接続箱100に取り付けた取付状態において、水平方向である前後方向Yと鉛直方向である高さ方向Zと直交する幅方向Xを向く主面部411を有する。
【0100】
この主面部411における高さ方向Zの中央部分には、コネクタ保持部材40と同様に、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30を挟持して配索経路を規制する経路規制部44が設けられている。
経路規制部44は、ハーネス保持部41における右側Xrに向けて立設する第一挟持部45bで構成されている。
【0101】
第一挟持部45bは、図10に示すように、主面部411の表面から右側Xrに向けて突出する略板状の下方規制部455と、下方規制部455に対して所定の間隔を隔てて設けられた略板状の上方規制部456とで構成されている。
【0102】
下方規制部455は、幅方向Xから視て、後方側Ybから前方側Yfに向かうに伴って上側Zuに向けて傾斜している。換言すると、下方規制部455は、ハーネス保持部41の下端に対して鉛直方向の上向き(上側Zu)に傾斜している。なお、下方規制部455は、傾斜方向が異なることを除き第一上方規制部451と同じ構成である。
【0103】
上方規制部456は、ハーネス保持部41bの上端から右側Xrに向けて立設するとともに、下方規制部455と同様に、後方側Ybから前方側Yfに向かうに伴って上側Zuに向けて傾斜している。すなわち、上方規制部456はハーネス保持部41bの上端と面一となっているとともに、下方規制部455と平行になっている。なお、上方規制部456は、傾斜方向が異なることを除き第一下方規制部452と同じ構成であり、下方規制部455と上方規制部456との間隔は第一ワイヤーハーネス21の外径と略等しい。
【0104】
取付部42bは、ハーネス保持部41aの下側Zdの端部から幅方向Xに沿って延出する平板であり、中央部分には固定部材48が備えられている。
【0105】
この固定部材48は、図3(a)及び図3(b)に示すように、下側Zdに延出する固定軸部481と、固定軸部481の先端から前後方向Yに沿って延出する一対の係止アーム482とで構成されている。なお、固定軸部481の上端部分に設けられた傘状のパネル当接部483が設けられている。
【0106】
係止アーム482は、先端が固定軸部481の先端と連結されているとともに、幅方向Xに向けて延出している。この係止アーム482は、固定軸部481の先端側から基端側に向かって固定軸部481から徐々に離間している。
【0107】
パネル当接部483は、下側Zdから視て略長円形に形成されており、固定部材48がフロアパネル90の挿通孔91に挿入された際に、フロアパネル90の表面に当接する。また、パネル当接部483は、径方向外側に向かうに伴って下側Zdへ傾斜しているため、その弾性力によってフロアパネル90から離間する方向へ荷重をかけることができ、フロアパネル90に対してコネクタ保持部材40を安定的に支持することに寄与する。
【0108】
このように構成されたコネクタ保持部材40bは、コネクタ保持部材40と同様に、第一挟持部45bに第一コネクタ付ハーネス20bを保持することができる(図11(a)参照)。また、コネクタ保持部材40bで第一コネクタ付ハーネス20bを保持した保持部材付ハーネス10bは、固定部材48をフロアパネル90における固定箇所である挿通孔91に挿通させることで、図11(b)に示すように、係止アーム482を挿通孔91の縁に係止できるとともに、パネル当接部483がフロアパネル90の表面に当接し、係止アーム482とパネル当接部483とでフロアパネル90を挟み込み、保持部材付ハーネス10bをフロアパネル90に固定できる。
【0109】
このようにフロアパネル90に固定された保持部材付ハーネス10bは、図11(b)に示すように、第一コネクタ22及び第二コネクタ32と経路規制部44との間に、上方傾斜部分Uを形成することができる。
詳述すると、主面部411から幅方向Xに向けて突出する下方規制部455及び上方規制部456は、それぞれ対向する面が、前後方向Y(フロアパネル90)に対して上側Zuに傾斜している。すなわち、第一挟持部45bで保持された第一コネクタ付ハーネス20bは、フロアパネル90にコネクタ保持部材40bを取り付けた状態において、第一コネクタ22に向かうに伴って上側Zuに向けて傾斜する上方傾斜部分Uを形成するように、経路規制部44によって経路規制される。
【0110】
なお、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30における上方傾斜部分Uの基端側は、後方側Ybから前方側Yfに向かうに伴って下側Zdに傾斜する下方傾斜部分Dが形成されている。すなわち、下方傾斜部分Dと上方傾斜部分Uとの間には、下側Zdに向けて突出する谷部Vが形成される。
【0111】
これにより、図11(b)に示すように、経路規制部44よりも前方側Yfに液体Lが第一コネクタ付ハーネス20や第二コネクタ付ハーネス30に付着したとしても、図11(b)に図示する矢印のように、液体Lは第一コネクタ22及び第二コネクタ32から遠ざかる方向である下側Zdに向かって流れることとなる。したがって、第一コネクタ22及び第二コネクタ32に液体Lが侵入することを抑制できる。
【0112】
このように構成されたコネクタ保持部材40bは、コネクタ保持部材40やコネクタ保持部材40aと同様の効果を奏する。
詳述すると、先端に第一コネクタ22が接続された第一ワイヤーハーネス21を保持するコネクタ保持部材40bは、第一ワイヤーハーネス21を保持するハーネス保持部41bと、車両におけるフロアパネル90に第一ワイヤーハーネス21を取り付ける取付部42bとが備えられている。またハーネス保持部41bには、フロアパネル90に第一ワイヤーハーネス21を取り付けた取付状態において、固定された第一コネクタ22に向かうに伴って第一ワイヤーハーネス21が上側Zuに向けて傾斜する上方傾斜部分Uを形成するように、第一ワイヤーハーネス21の経路を規制する経路規制部44が設けられている。
【0113】
これにより、取付部42b(固定部材48)でフロアパネル90に取り付けられた状態において、経路規制部44で経路規制された第一ワイヤーハーネス21における経路規制部44よりも基端側(後方側Yb)に、上方傾斜部分Uを形成することができる。これにより、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に形成された上方傾斜部分Uにおける第一コネクタ22及び第二コネクタ32から遠ざかる方向である下側Zdに向かって、結露などにより第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に付着した液体Lを流すことができ、第一コネクタ22及び第二コネクタ32への液体Lの侵入を抑制できる。
【0114】
また、経路規制部44は、第一ワイヤーハーネス21の配索方向と交差する方向から第一ワイヤーハーネス21を挟み込んで保持する第一挟持部45(下方規制部455及び上方規制部456)で構成されている。これにより、第一挟持部45bが配索方向と交差する方向から第一ワイヤーハーネス21を挟み込んで保持できるため、取付状態において、上方傾斜部分Uを形成できるように第一ワイヤーハーネス21の配索経路を確実に規制できるとともに、第一ワイヤーハーネス21に形成された上方傾斜部分Uを維持できる。
【0115】
また、ハーネス保持部41bは、取付状態において、前後方向Y及び高さ方向Zに直交する幅方向Xを向く主面部411を有し、下方規制部455及び上方規制部456は、主面部411から幅方向Xに向けて突設し、少なくとも上側Zuに配置された下方規制部455は、第一ワイヤーハーネス21が上方傾斜部分Uを形成するように水平面に対して高さ方向Zに傾斜している。
【0116】
このように、主面部411から幅方向Xに突設する下方規制部455及び上方規制部456のうち、上側Zuに配置された下方規制部455が水平面(幅方向Xと前後方向Yとで形成される面)に対して高さ方向Zに傾斜しているため、第一挟持部45に挟持された第一ワイヤーハーネス21を水平面に対して高さ方向Zに傾斜させるように、第一ワイヤーハーネス21の配索経路を規制できる。すなわち、第一挟持部45bの基端側(後方側Yb)において、容易かつ確実に上方傾斜部分Uを第一ワイヤーハーネス21に形成することができる。
なお、コネクタ保持部材40bでは、ハーネス保持部41bに第一挟持部45bのみを設けているが、コネクタ保持部材40と同様に、ハーネス保持部41bの裏面側(左側Xl)に突出する第二挟持部46bを設けてもよい。
【0117】
また、第一ワイヤーハーネス21は、第一コネクタ22とハーネス保持部41との間に水分を吸収する第一吸水テープ23が装着されている。これにより、第一コネクタ22とハーネス保持部41との間の水分を第一吸水テープ23で吸収できるため、ハーネス保持部41よりも先端側の第一ワイヤーハーネス21に生じた液体Lが第一コネクタ22に侵入することをより確実に抑制できる。
【0118】
さらにまた、ハーネス保持部41に、第一ワイヤーハーネス21を保持する結束バンド50を挿通させるバンド挿通孔412が設けられていることにより、ハーネス保持部41に保持された第一ワイヤーハーネス21に結束バンド50バンドを巻き回すことができる。したがって、上方傾斜部分Uが形成された第一ワイヤーハーネス21がハーネス保持部41から脱落することを確実に防止できるとともに、取付状態において上方傾斜部分Uの形状を維持できる。
【0119】
また、取付部42bに、フロアパネル90に設けられた挿通孔91に挿通させて取り付ける固定部材48が備えられている。これにより、フロアパネル90における挿通孔91に対して固定部材48を挿通させるだけで、上方傾斜部分Uが形成されるように第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31をフロアパネル90に取り付けることができる。これにより、挿通孔91を有するフロアパネル90に取り付けられた第一ワイヤーハーネス21の先端に接続された第一コネクタ22に液体Lが浸入することを容易に抑制でき、汎用性を向上させることができる。
【0120】
さらにまた、コネクタ保持部材40bの取付対象は、車両におけるフロアパネル90である。これにより、第一コネクタ22に液体Lが侵入しないように、車両におけるフロアパネル90に第一ワイヤーハーネス21を取り付けることができる。
【0121】
なお、本実施形態において、挿通孔91は、フロアパネル90に設けられているが、取付部42bを取り付けることができれば、特に限定はなく、例えば、プロテクタなどの電装部品や電子機器類に挿通孔91を設けてもよい。また、本実施形態において、固定部材48は、アンカーとしているが、挿通孔91に挿通して固定できれば、クリップなど他の固定部材であってもよい。
【0122】
また、先端に第一コネクタ22が接続された第一ワイヤーハーネス21と、第一ワイヤーハーネス21が取り付けられたフロアパネル90と、コネクタ保持部材40とで構成されたハーネス配索構造1bは、コネクタ保持部材40に保持された第一ワイヤーハーネス21は、取付状態において、先端側(前方側Yf)に向かうに伴って上側Zuから下側Zdに向けて傾斜する下方傾斜部分Dを有し、経路規制部44は、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31における下方傾斜部分Dに対応する箇所よりもの先端側(前方側Yf)に上方傾斜部分Uを形成するように、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の経路を規制する。
【0123】
これにより、経路規制部44の基端側(前方側Yf)において、下方傾斜部分Dと上方傾斜部分Uとで挟まれた谷部Vが形成されるため、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を伝って谷部Vに向けて液体Lを流すことができる。したがって、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の先端に接続された第一コネクタ22及び第二コネクタ32に液体Lが流れることを規制でき、液体Lの第一コネクタ22及び第二コネクタ32への浸入を抑制できる。
【0124】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のコネクタは、第一コネクタ22及び第二コネクタ32に対応し、
以下同様に、
ワイヤーハーネスは、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に対応し、
ハーネス保持部材は、コネクタ保持部材40,コネクタ保持部材40a,コネクタ保持部材40bに対応し、
被取付部材は、フロアパネル90及び電気接続箱100に対応し、
ハーネス保持部は、ハーネス保持部41,ハーネス保持部41a及びハーネス保持部41bに対応し、
取付部は、取付部42及び取付部42bに対応し、
上方傾斜部分は、下方傾斜部分Dに対応し、
経路規制部は、経路規制部44に対応し、
挟持片は、第一挟持部45,第一挟持部45a,第一挟持部45b,第二挟持部46,第二挟持部46aに対応し、
主面部は、主面部411に対応し、
水平方向は、前後方向Yに対応し、
鉛直方向は、高さ方向Zに対応し、
直交方向は、幅方向Xに対応し、
吸水部材は、第一吸水テープ23及び33に対応し、
バンド挿通部は、バンド挿通孔412に対応し、
挿通孔は、挿通孔91に対応し、
挿通取付部は、固定部材48に対応し、
パネルは、フロアパネル90に対応し、
保持部材付ワイヤーハーネスは、保持部材付ハーネス10に対応し、
下方傾斜部分は、下方傾斜部分Dに対応し、
ワイヤーハーネスの配索構造は、ハーネス配索構造1,ハーネス配索構造1a,ハーネス配索構造1bに対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0125】
例えば、この実施形態において、コネクタ保持部材40を取り付ける対象やコネクタ保持部材40bを取り付ける取付対象として電気接続箱100やフロアパネル90としているが、電気接続箱100やフロアパネル90に限定されず、他の電子機器類や、第一ワイヤーハーネス21や第二ワイヤーハーネス31を保護するプロテクタなどの電装部品などをしてもよい。当然に、車両におけるドアパネルやルーフパネルなどフロアパネル90とは異なる車体パネルであってもよいし、トリムやブラケットであってもよい。
【0126】
また、コネクタ保持部材40やコネクタ保持部材40bは直接電気接続箱100やフロアパネル90に取り付けられているが、他の部材を介して、間接的に電気接続箱100やフロアパネル90に取り付けられる構成としてもよい。
【0127】
さらにまた、本実施形態において、ハーネス保持部41、ハーネス保持部41aは第一ワイヤーハーネス21と第二ワイヤーハーネス31とを保持できる構成としているが、経路規制部44が第一挟持部45又は第二挟持部46のみで構成され、第一ワイヤーハーネス21又は第二ワイヤーハーネス31のみを保持できてもよい。
【0128】
また、ハーネス保持部41,ハーネス保持部41a,ハーネス保持部41bにおいて、主面部411の表面及び裏面には、それぞれ第一挟持部45や第二挟持部46が一つ設けられているが、複数の第一挟持部45や第二挟持部46が設けられていてもよいし、一つの第一挟持部45や第二挟持部46で複数の第一ワイヤーハーネス21や第二ワイヤーハーネス31を保持してもよい。
【0129】
さらにまた、ハーネス保持部41,ハーネス保持部41aにおいて、主面部411の表面及び裏面には、それぞれ同方向に傾斜する第一挟持部45及び第二挟持部46、又は第一挟持部45a及び第二挟持部46aが設けられているが、例えば第一挟持部45と第二挟持部46aや第一挟持部45aと第二挟持部46のように、主面部411の表面及び裏面において、第一コネクタ付ハーネス20及び第二コネクタ付ハーネス30が異なる方向に傾斜するように構成してもよい。
【0130】
また、コネクタ保持部材40では経路規制部44の前方側Yfに上方傾斜部分Uが設けられているが、後方側Ybに上方傾斜部分Uが設けられていてもよいし、経路規制部44の前方側Yf及び後方側Ybの双方に設けられていてもよい。これはコネクタ保持部材40a及びコネクタ保持部材40bでも同様である。
【0131】
また、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に上方傾斜部分Uが設けられていれば、第一ワイヤーハーネス21における第一コネクタ22が接続された部分の近傍において、下側Zdに向けて傾斜されている部分が形成されていてもよい。
【0132】
さらにまた、本実施形態において、経路規制部44は、ハーネス保持部41、ハーネス保持部41a,ハーネス保持部41bに保持された第一ワイヤーハーネス21や第二ワイヤーハーネス31などの経路を上方傾斜部分Uが形成されるように規制できれば、その構造に限定はなく、例えば、第一上方規制部451のみが設けられており、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の配索方向を変更するように経路規制する構成や、テープや結束バンドなどの別部材を装着させる構成を備え、第一ワイヤーハーネス21や第二ワイヤーハーネス31を固定しつつ経路を規制する構成としてもよい。また、経路規制部44の具体的な構成として、複数の棒状体などを主面部411に立設させた構成などとしてもよい。
【0133】
なお、例えばコネクタ保持部材40では、経路規制部44で第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を保持しているが、経路規制部44とは異なる箇所で第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を保持し、第一上方規制部451や第二上方規制部461のみで第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に上方傾斜部分Uが形成されるように第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31を経路規制するなど、経路規制する構成と、第一ワイヤーハーネス21などを保持する構成とを別途設けてもよい。
【0134】
また、コネクタ保持部材40において、第一上方規制部451及び第一下方規制部452、第二上方規制部461及び第二下方規制部462はともに前後方向Yに対して高さ方向Zに傾斜しているが、第一上方規制部451及び第二上方規制部461のみを傾斜させて、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31に上方傾斜部分Uが形成されるように、第一ワイヤーハーネス21及び第二ワイヤーハーネス31の経路を規制してもよい。
【符号の説明】
【0135】
1 ハーネス配索構造
10 保持部材付ハーネス
21 第一ワイヤーハーネス
22 第一コネクタ
23 第一吸水テープ
31 第二ワイヤーハーネス
32 第二コネクタ
33 第二吸水テープ
40,40a,40b コネクタ保持部材
41,41a,41b ハーネス保持部
42,42b 取付部
44 経路規制部
45,45a,45b 第一挟持部
46,46a 第二挟持部
48 固定部材
90 フロアパネル
91 挿通孔
100 電気接続箱
411 主面部
412 バンド挿通孔
D 下方傾斜部分
U 上方傾斜部分
X 幅方向
Y 前後方向
Z 高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11