(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135895
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】移動体システム、情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240927BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/10
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046796
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠斗
【テーマコード(参考)】
5H301
5L049
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD05
5H301DD15
5H301GG09
5H301MM04
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】割り当てられたタスクを移動体が実行した場合の異常発生の可能性を、ユーザが把握することができる移動体システムを提供すること。
【解決手段】ユーザが操作する端末装置と、複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報を管理する情報処理システムと、を有する移動体システムであって、過去のタスク実行中における移動体の異常発生情報と、複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、移動体がタスクを開始した場合の異常発生の可能性を判断する判断手段と、判断の結果と共に、複数の移動体に割り当てられたタスク状況を端末装置に表示させる表示制御手段と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが操作する端末装置と、複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報を管理する情報処理システムと、を有する移動体システムであって、
過去のタスク実行中における前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の可能性を判断する判断手段と、
前記判断の結果と共に、前記複数の移動体に割り当てられたタスク状況を前記端末装置に表示させる表示制御手段と、
を有する移動体システム。
【請求項2】
前記判断手段は、前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記複数の移動体から前記タスクへの割り当てを推奨する前記移動体を判断する
請求項1記載の移動体システム。
【請求項3】
前記判断手段は、前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記移動体が前記タスクを開始した場合に発生の可能性のある異常要因を判断する
請求項1又は2記載の移動体システム。
【請求項4】
前記異常発生の可能性が有りである前記判断の結果の場合に、前記タスクを開始する前に前記ユーザに通知する通知手段、
を更に有する請求項1又は2記載の移動体システム。
【請求項5】
前記推奨する前記移動体がある前記判断の結果の場合に、前記タスクを開始する前に前記ユーザに通知する通知手段、
を更に有する請求項2記載の移動体システム。
【請求項6】
前記異常要因ごとに設定された通知先情報に従い、前記タスクを開始する前に前記通知先情報の通知先に通知する通知手段、
を更に有する請求項3記載の移動体システム。
【請求項7】
前記表示制御手段は、更に、前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の予測箇所を前記端末装置に表示させる
請求項1又は2記載の移動体システム。
【請求項8】
前記判断手段は、推奨する前記移動体の優先度が設定された優先度情報に従い、前記推奨する前記移動体を判断する
請求項2又は5記載の移動体システム。
【請求項9】
複数の拠点で使用されている前記移動体の異常発生情報を蓄積する異常発生情報蓄積手段を更に有し、
前記判断手段は、一の拠点で使用されている前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の可能性を、複数の拠点で使用されている前記移動体の異常発生情報と、前記一の拠点で使用されている前記移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、判断する
請求項1又は2記載の移動体システム。
【請求項10】
ユーザが操作する端末装置と、複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報を管理する情報処理システムと、を有する移動体システムが行う情報処理方法であって、
過去のタスク実行中における前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の可能性を判断する判断処理と、
前記判断の結果と共に、前記複数の移動体に割り当てられたタスク状況を前記端末装置に表示させる表示制御処理と、
を行う情報処理方法。
【請求項11】
ユーザが操作する端末装置と通信可能に接続され、複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報を管理する情報処理装置であって、
過去のタスク実行中における前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の可能性を判断する判断手段と、
前記判断の結果と共に、前記複数の移動体に割り当てられたタスク状況を前記端末装置に表示させる表示制御手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項12】
ユーザが操作する端末装置と通信可能に接続され、複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報を管理する情報処理装置に、
過去のタスク実行中における前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の可能性を判断する判断ステップ、
前記判断の結果と共に、前記複数の移動体に割り当てられたタスク状況を前記端末装置に表示させる表示制御ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体システム、情報処理方法、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務効率化、自動化、又は省人化を実現する手段の1つとして自律移動ロボット等の移動体が注目されている。移動体の移動方法の1つに、予め設定された移動ルートに従って移動する移動方法がある。ユーザは、移動ルート上の地点である通過位置(ウェイポイント)を設定することで、移動体が移動すべき移動ルートを定義する。
【0003】
例えば業務の優先度に応じて適切に業務を実行できるようにする目的で、業務を実行するロボットが複数存在する場合、予測した故障可能性を考慮して、ロボットに割り当てる業務を選択する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、割り当てられた業務をロボットが実行した場合の異常発生の可能性をユーザに知らせるものではない。したがって、ユーザは業務をロボットに実行させた場合の異常発生の可能性があることを把握することができなかった。
【0005】
本発明の実施の形態は、割り当てられたタスクを移動体が実行した場合の異常発生の可能性を、ユーザが把握することができる移動体システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を達成するために本願請求項1は、ユーザが操作する端末装置と、複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報を管理する情報処理システムと、を有する移動体システムであって、過去のタスク実行中における前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の可能性を判断する判断手段と、前記判断の結果と共に、前記複数の移動体に割り当てられたタスク状況を前記端末装置に表示させる表示制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、割り当てられたタスクを移動体が実行した場合の異常発生の可能性を、ユーザが把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る移動体システムの構成例を示す図である。
【
図3】移動体の一例のハードウエア構成を示す図である。
【
図4】情報処理システム、及び、端末装置の一例のハードウエア構成を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る移動体システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図6】タスク情報蓄積部に蓄積されているタスク情報の一例を示す。
【
図7】異常発生情報蓄積部に蓄積されている異常発生情報の一例を示す。
【
図8】複数の移動体に割り当てられたタスク状況を端末装置30に表示する処理の流れを説明する一例のシーケンス図である。
【
図9】開始予定のタスクの異常発生の可能性を判断する処理を説明する一例のフローチャート図である。
【
図10】タスク状況表示画面の一例のイメージ図である。
【
図11】タスク状況表示画面の一例のイメージ図である。
【
図12】タスク状況表示画面の一例のイメージ図である。
【
図13】タスク状況表示画面の一例のイメージ図である。
【
図14】タスク状況表示画面の一例のイメージ図である。
【
図16】本実施形態に係る移動体システムの構成例を示す図である。
【
図17】異常発生情報蓄積部に蓄積されている異常発生情報の一例を示す。
【
図18】複数の対象拠点の異常発生情報を生成する処理の流れを説明する一例のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<システム構成例>
図1は、本実施形態に係る移動体システム100の構成例を示す図である。移動体システム100は、対象拠点で使用されている移動体20と、管理拠点でユーザに使用されている端末装置30と、移動体20を制御する情報処理システム40と、を含む。移動体20、端末装置30、及び情報処理システム40は、通信ネットワークNに接続され、通信ネットワークNを介して通信を行う。通信ネットワークNは、例えばインターネット又はLAN(Local Area Network)等により構築される。
【0011】
移動体20は、対象拠点内を自律移動可能なロボットである。自律移動は、対象拠点内の指定された経路に従って自律的に移動する動作、又はライントレース等の技術を用いて自律的に対象拠点内の経路を移動する動作のいずれであってもよい。自律移動は、過去に移動した経路を機械学習した結果を利用して自律的に移動する動作であってもよい。
【0012】
移動体20は、各種センサを備え、点検又は保守等の所定の作業(タスク)を実行することができる。移動体20は、物をつかむことができるアームを備えることができ、運搬又は軽作業等の作業を実行してもよい。なお、移動体20は、自律移動可能なロボットであれば、自動車、ドローン、マルチコプタ、無人飛行体等であってもよい。
【0013】
移動体20は、後述の作業ポイントでタスクを実行するため、例えば撮像装置、ガス検知装置、録音装置、又は温湿度測定装置等を備える。
【0014】
撮像装置は、タスクが水道又はガスのメータ読取である場合、メータの目盛りや表示値等を撮像する。撮像装置は、路面に形成された穴や障害物等を移動体20の周囲の状態として撮像してもよい。ガス検知装置は、タスクがガス漏れの検知である場合、周囲のガスの濃度等を測定する。録音装置は、タスクが動作音等の記録である場合、弁、ポンプ、圧縮機等の動作を伴う機器の動作音等を録音する。温湿度測定装置は、タスクが温湿度の測定である場合、温湿度センサ等で温湿度を測定する。
【0015】
対象拠点は、移動体20が使用される区域であり、例えば、事業所、工場、化学プラント、建設現場、変電所、農場、田畑、耕地、災害現場等の屋外の区域である。また、対象拠点は、移動体20が使用されるオフィス、学校、工場、倉庫、商業施設、病院、介護施設等の屋内の区域であってもよい。
【0016】
対象拠点は、作業を移動体20に担わせたいニーズが存在する場所であれば、いかなる場所であってもよい。対象拠点では、複数の移動体20にタスクを割り当て、タスクを実行させる。
【0017】
情報処理システム40は、移動体20に割り当てられたタスクのタスク情報を後述のように管理する。情報処理システム40は、過去のタスク実行中における移動体20の異常発生情報を後述のように管理する。情報処理システム40は、タスク情報と異常発生情報とに基づき、移動体20がタスクを開始した場合の異常発生の可能性を後述のように判断する。また、情報処理システム40は通信ネットワークNを介してタスクの実行を移動体20に指示する。情報処理システム40は、タスクを実行した結果を、通信ネットワークNを介して移動体20から受信し、管理する。
【0018】
情報処理システム40は、一台以上の情報処理装置により実現される。情報処理システム40は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよいし、単一の情報処理装置によって実現されてもよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウエア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される形態をいう。また、情報処理システム40は、インターネット上に存在しても、オンプレミスに存在してもよい。
【0019】
端末装置30は、ユーザが操作するノートPC(Personal Computer)、タブレットPC等である。端末装置30は、移動体20に割り当てるタスクのタスク情報の登録をユーザから受け付ける。端末装置30は過去のタスク実行中における移動体20の異常発生情報の登録をユーザから受け付ける。また、端末装置30は、複数の移動体20に割り当てられたタスク状況を後述のように表示する。端末装置30は、タスクを移動体20に実行させた場合の異常発生の可能性を後述のように表示する。
【0020】
図1の移動体システム100は一例であって、情報処理システム40の処理を端末装置30が実行することで、情報処理システム40を省略した構成であってもよい。情報処理システム40が省略された移動体システム100は、移動体20と端末装置30とが直接通信する。
【0021】
<移動体の概略>
図2(a)は、本実施形態の移動体20の外観斜視図である。移動体20は、履帯式走行体10a,10b及び本体600によって構成される。
【0022】
履帯式走行体10a,10bは、移動体20の移動手段となるユニットである。また、履帯式走行体10a,10bは、金属又はゴム製のベルトを用いた履帯(クローラ)式の走行体である。履帯式の走行体は、自動車のようなタイヤで走行する走行体と比較して接地面積が広く、例えば、足場の悪い環境においても、安定した走行を行うことができる。また、タイヤで走行する走行体は、回転動作を行う際に旋回スペースを必要とするのに対して、履帯式の走行体を備えた移動体20は、いわゆる超信地旋回を行うことができるため、限られたスペースでも回転動作をスムーズに行うことができる。
【0023】
本体600は、履帯式走行体10a,10bを走行可能な状態で支持する支持体であると共に、移動体20を駆動させるための制御を行う制御装置である。また、本体600は、履帯式走行体10a,10bを駆動させるための電力を供給する、後述のバッテリ605を搭載する。
【0024】
図2(b)は、移動体20の前面図(P矢視図)である。移動体20の本体600は、非常停止ボタン31、状態表示ランプ33、及び蓋部35を備える。非常停止ボタン31は、移動体20の周辺にいる人が、走行中の移動体20を停止させる際に押下する操作手段である。
【0025】
状態表示ランプ33は、移動体20の状態を周囲のユーザに通知する。状態表示ランプ33は、例えば、バッテリ残量の低下等の移動体20の状態が変化した場合、移動体20の状態変化を周囲のユーザに知らせるために点灯してもよい。また、状態表示ランプ33は、例えば、移動体20の走行を妨げる障害物の存在等が検知された場合等、異常発生の恐れがある場合に点灯してもよい。なお、
図3は、移動体20に状態表示ランプ33が二つ備えられている例を示している。状態表示ランプ33の数は、一つであってもよく、三つ以上であってもよい。また、移動体20は、スピーカから発せられる警告音等によって周囲のユーザに状態を通知する構成であってもよい。
【0026】
蓋部35は、本体600の上面に設けられ、本体600の内部を覆っている。また、蓋部35は、本体600の内部の通気を行うための通気口を有する通気部35aを有する。
【0027】
二つの履帯式走行体10a,10bは、本体600を挟んで、後述の履帯11aと履帯11bとが略平行になるように、すなわち移動体20が走行可能な状態で設置される。なお、履帯式走行体の数は、二つに限定されるものではなく、三つ以上であってもよい。例えば、移動体20は、三つの履帯式走行体を平行に三列に整列させる等、移動体20が走行可能な状態で設置されてもよい。また、例えば、移動体20は、四つの履帯式走行体を自動車のタイヤのように前後左右に配列させてもよい。
【0028】
図2(c)は移動体20の側面図(Q矢視図)である。履帯式走行体10aは、後述する駆動輪13と二つの転輪15a,15bによって形成された三角形の形状を有する。三角形の形状の履帯式走行体10aは、例えば、走行体の前後のサイズに制約がある場合、前後の限られたサイズの中で接地面積を大きくすることができるので、走行時の安定性を向上させることができる。一方で、下側(転輪側)よりも上側(駆動輪側)の方が長い、いわゆる戦車タイプのクローラでは、前後のサイズの制約がある場合には全体的に接地面積が小さくなって不安定になる。このように、履帯式走行体10aは、比較的に小型の移動体20の走行性を高める場合に有効である。
【0029】
なお、
図2はキャタピラ走行型の移動体20を一例として示した。移動体20の形状及び移動方式は二足歩行型、多足歩行型、ドローン型、飛行型、又は水中移動型など、
図2の態様に限定されない。
【0030】
<ハードウエア構成例>
次に、
図3及び
図4を用いて、移動体20、情報処理システム40、及び端末装置30のハードウエア構成を説明する。なお、
図3及び
図4に示すハードウエア構成は、必要に応じて構成要素が追加又は削除されてもよい。
【0031】
図3は、実施形態に係る移動体のハードウエア構成の一例を示す図である。移動体20は、
図3に示されているように、移動体20の処理又は動作を制御する本体600を備える。本体600は、ラジコン受信部601、CPU(Central Processing Unit)602、メモリ603、ICカードリーダ611、デバイス類612、通信I/F(Interface)606、バッテリ605、走行制御用モータドライバ606、姿勢制御用モータドライバ607、及び姿勢制御用モータ608a,608bを備える。また、ラジコン受信部601、CPU602、メモリ603、通信I/F604、バッテリ605、走行制御用モータドライバ606、及び姿勢制御用モータドライバ607は、システムバス610を介して接続している。システムバス610は、上記各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等であり、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
【0032】
ラジコン受信部601は、動作指示信号を受信する。CPU602は、移動体20全体の制御を行う。CPU602は、メモリ603に格納された、プログラムP1又は移動体20を動作させるのに必要な各種データを読み出し、処理を実行することで、移動体20の各機能を実現する演算装置である。
【0033】
メモリ603は、CPU602が実行するプログラムP1をはじめ、移動体20を動作させるのに必要な各種データを記憶する。プログラムP1は、メモリ603に予め組み込まれて提供される。
【0034】
また、プログラムP1は、インストール可能な形式、又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R又はDVD(Digital Versatile Disc)等のCPU602(コンピュータ)で読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。更に、プログラムP1は、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由で移動体20にダウンロードさせることにより提供されるように構成してもよい。また、プログラムP1は、インターネット等の通信ネットワークN経由で提供又は配布されるように構成してもよい。プログラムP1が外部から提供される場合、CPU602は、通信I/F604を介してプログラムP1を読み込む。なお、移動体20は、CPU602をプログラムP1に従って動作させる代わりに、プログラムP1が実行するのと同じ演算機能及び制御機能を有する専用のASIC(Application Specific Integrated Circuit)を実装することによって、ハードウエア的に動作させてもよい。
【0035】
通信I/F604は、通信ネットワークNを経由して、他の機器又は装置との通信(接続)を行う通信インターフェースである。通信I/F604は、例えば、有線又は無線LAN(Local Area Network)等の通信インターフェースである。通信I/F604は、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、Zigbee(登録商標)、又はミリ波無線通信等の通信インターフェースを備えてもよい。移動体20は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行うための通信回路を備えていてもよい。
【0036】
ICカードリーダ611は、NFC(Near Field communication)によりICカードを読み取るカードリーダである。ICカードリーダ611はスマートフォンに内蔵されていてもよい。
【0037】
デバイス類612は、移動体20に搭載されたオプション機能を実現する各種のデバイスである。デバイス類612は、例えばRGBカメラ、全天球カメラ、マイク、サーモセンサ、ガスセンサ、振動センサ等である。
【0038】
バッテリ605は、移動体20の処理又は動作に必要な電力を供給する電力供給ユニットである。バッテリ605は、例えば、インホイールモータ610a,610b、及び姿勢制御用モータ608a,555bに対して電力を供給する。
【0039】
走行制御用モータドライバ606は、インホイールモータ610a,610bに対して、モータ駆動信号をそれぞれ供給することによって、インホイールモータ610a,610bを駆動させる。
【0040】
インホイールモータ610a,610bは、履帯式走行体10aの駆動輪13a、履帯式走行体10bの駆動輪13bの内部にそれぞれ設置されており、駆動輪13a,13bに回転力を伝達する。
【0041】
インホイールモータ610a,610bは、駆動輪13a,13bに対して、移動体20を前進させる正方向の回転、又は移動体20を後退させる負方向の回転を与える。インホイールモータ610a,610bは、一方の駆動輪13a(又は13b)のみを正方向又は負方向に回転させて、他方の駆動輪13b(又は13a)を停止させることによって、移動体20を信地旋回させる。また、インホイールモータ610a,610bは、一方の駆動輪13a(又は13b)を正方向に回転させて、他方の駆動輪13b(又は13a)を負方向に回転させることによって、移動体20を超信地旋回させる。
【0042】
姿勢制御用モータドライバ607は、姿勢制御用モータ608a,608bに対して、モータ駆動信号をそれぞれ供給することによって、姿勢制御用モータ608a,608bを駆動させる。姿勢制御用モータ608a,608bは、例えば、姿勢制御用モータドライバ607からの制御信号に応じて、本体600の姿勢を制御することによって、移動体20の転倒を防止する。
【0043】
なお、移動体20は、ラジコン受信部601に受信された動作指示に応じて走行する構成に限られず、自律走行又はライントレース等の技術を用いて走行する構成であってもよい。また、移動体20は、通信ネットワークNを介して動作指示信号を通信I/F604で受信することで、遠隔地にいるユーザから遠隔操作によって走行する構成であってもよい。
【0044】
図4は、本実施形態に係る端末装置30及び情報処理システム40の一例のハードウエア構成を示す図である。
図4に示されているように、端末装置30及び情報処理システム40は、コンピュータ500によって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD(Hard Disk)504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレー506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0045】
これらのうち、CPU501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御に従ってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレー506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、
図4に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0046】
また、キーボード511は、文字、数値、又は各種指示などの入力に使用される複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWドライブ514は、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0047】
<機能構成>
図5は、本実施形態に係る移動体システム100の機能構成の一例を示す図である。
【0048】
端末装置30は、通信部51、移動体情報表示部52、及び移動体情報入力部53を有する。端末装置30が有する各機能は、
図4の各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0049】
通信部51は、情報処理システム40と各種の情報を送受信する。本実施形態の通信部51は、移動体20に割り当てるタスクのタスク情報、及び過去のタスク実行中における移動体20の異常発生情報を情報処理システム40に送信する。また、本実施形態の通信部51は、移動体20に実行させるタスクのユーザによる割り当て作業を支援する後述のような情報を、情報処理システム40から受信する。
【0050】
移動体情報入力部53は、移動体20に割り当てるタスクのタスク情報、及び過去のタスク実行中における移動体20の異常発生情報の入力をユーザから受け付ける。移動体情報表示部52は、通信部51が情報処理システム40から受信した、移動体20に実行させるタスクのユーザによる割り当て作業を支援する後述のような情報を、ディスプレー506に表示させる。
【0051】
情報処理システム40は、タスク情報蓄積部41、異常発生情報蓄積部42、移動体情報受信部43、表示制御部44、通知部45、判断部46、及び通信部47を有する。情報処理システム40が有する各機能は、
図4の各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0052】
タスク情報蓄積部41は、タスク情報を記憶している。タスク情報については、
図6を用いて後述する。異常発生情報蓄積部42は、異常発生情報を記憶している。異常発生情報については、
図7を用いて後述する。
【0053】
移動体情報受信部43は、端末装置30から移動体20に割り当てるタスクのタスク情報を受信し、タスク情報蓄積部41に蓄積させる。また、移動体情報受信部43は、端末装置30から過去のタスク実行中における移動体20の異常発生情報を受信し、異常発生情報蓄積部42に蓄積させる。
【0054】
判断部46は、タスク情報蓄積部41に蓄積されているタスク情報と、異常発生情報蓄積部42に蓄積されている異常発生情報と、に基づき、移動体20がタスクを開始した場合の異常発生の可能性を後述のように判断する。判断部46が行う判断は、タスクの割り当てを推奨する移動体20の判断、移動体20がタスクを開始した場合に発生の可能性のある異常要因の判断が含まれていてもよい。
【0055】
表示制御部44は、判断部46が行った判断の結果と共に、複数の移動体20に割り当てられているタスク情報を端末装置30に表示させる。通知部45は、移動体20がタスクを開始した場合の異常発生の可能性が有りである場合、移動体20がタスクを開始する前に通知先に通知する。通知部45は、タスクの割り当てを推奨する移動体20がある場合、移動体20がタスクを開始する前に通知先に通知してもよい。例えば、通知先は端末装置30のユーザ等である。通知部45が通知を行う通知先は、判断部46が判断した異常要因ごとに設定されていてもよい。通知先は、メールアドレス、端末装置30に搭載されたアプリケーション、又はSNS(ソーシャルネットワークサービス)のアカウントなどであってもよい。
【0056】
通信部47は、タスク情報蓄積部41に蓄積されているタスク情報を移動体20に送信する。また、通信部47は移動体20から環境情報、タスクを実行した結果の情報などを受信する。
【0057】
図6はタスク情報蓄積部41に蓄積されているタスク情報の一例を示す。
図6のタスク情報は、開始予定日時、割当機体、開始地点、終了地点、作業ポイント、及びタスク種別を項目として含む。
【0058】
開始予定日時は、移動体20が割り当てられたタスクを開始する予定日時である。割当機体は、タスクが割り当てられた移動体20の識別情報(例えば移動体ID)である。開始地点は、移動体20が移動する経路の始点である。終了地点は、移動体20が移動する経路の終点である。
図6の開始地点及び終了地点は、ウェイポイントの番号で設定された例である。開始始点及び終了地点は、経度及び緯度などの座標で設定されてもよい。作業ポイントは、移動体20が点検又は保守等の所定の作業を実行する箇所である。タスク種別は、移動体20が作業ポイントで実行する作業の種別である。
【0059】
図7は異常発生情報蓄積部42に蓄積されている異常発生情報の一例を示す。
図7の異常発生情報は、開始日時、割当機体、タスク種別、天候、気温(℃)、開始始点、終了地点、作業ポイント、及び異常要因を項目として含む。
【0060】
開始日時は、異常が発生した過去のタスクの開始日時である。割当機体は、異常が発生した過去のタスクに割り当てられていた移動体20の識別情報である。タスク種別は、移動体20が作業ポイントで実行する作業の種別である。天候は、開始日時における天候である。天候は、タスク中の平均的な天候でもよい。気温(℃)は、開始日時における気温である。気温は、タスク中の気温の平均、最大値、最小値などでもよい。
【0061】
開始地点は、移動体20が移動する経路の始点である。終了地点は、移動体20が移動する経路の終点である。作業ポイントは、移動体20が点検又は保守等の所定の作業を実行する箇所である。異常要因は、過去のタスクで発生した異常の要因である。
図7では異常要因の例として、熱暴走、作業遅延(外部要因)、画像読取異常、及びサーモ検知不良を記載している。異常要因は、移動体20自体の不具合だけでなく、例えば西日の影響で撮像装置によるメータ読取が不可だった場合など、タスク全体で考えた場合の不具合についても含めることができる。
【0062】
なお、
図7の異常発生情報の項目「気温(℃)」は、移動体20が測定した温度を用いてもよい。また、
図7の異常発生情報の項目「天候」及び「気温(℃)」は、外部サービスから取得してもよい。
【0063】
<処理>
ユーザは端末装置30を操作し、複数の移動体20に割り当てられたタスク状況を端末装置30に表示できる。
図8は、複数の移動体20に割り当てられたタスク状況を端末装置30に表示する処理の流れを説明する一例のシーケンス図である。
【0064】
ステップS1において、ユーザは端末装置30にタスク状況を表示させる為のタスク状況表示操作を行う。ステップS2において、端末装置30の移動体情報表示部52は情報処理システム40にタスク状況表示要求を行う。
【0065】
情報処理システム40の表示制御部44は複数の移動体20に割り当てられたタスクを開始した場合の異常発生の可能性の判断を、判断部46に要求する。ステップS3において、判断部46はタスク情報蓄積部41に蓄積されているタスク情報と、異常発生情報蓄積部42に蓄積されている異常発生情報と、を参照する。
【0066】
ステップS4において、判断部46は例えば
図9に示すように、開始予定のタスクの異常発生の可能性を判断する。
図9は、開始予定のタスクの異常発生の可能性を判断する処理を説明する一例のフローチャート図である。
【0067】
ステップS10において、判断部46は例えば
図6の開始予定のタスクのタスク情報から1レコードを読み出す。ステップS12において、判断部46はステップS10で読み出したタスクのレコードに近似する異常発生情報を、例えば
図7の異常発生情報から探索する。
【0068】
判断部46は、例えばステップS10で読み出したタスクのレコードに近似する異常発生情報として、項目「割当機体」及び「作業ポイント」が同一であり、且つ開始予定日時における天候及び気温(℃)が近似している異常発生情報のレコードを探索する。例えば気温(℃)などの数値的な項目であれば、差が閾値以内(例えば10%以内)であるか否かにより近似しているか否かを判断できる。閾値はユーザが任意に設定できる。判断部46は異常発生情報における気温(℃)が「36.5℃」であれば、開始予定日時における気温(℃)が「36.5℃±3.65」に含まれているか否かにより、開始予定のタスクのレコードが近似しているか否かを判断できる。
【0069】
ステップS14において、判断部46はステップS10で読み出したタスクのレコードに近似する異常発生情報のレコードがあるか否かを判定する。判断部46はステップS10で読み出したタスクのレコードに近似する異常発生情報のレコードがあれば、ステップS16の処理を行う。ステップS16において、判断部46はステップS10で読み出したタスクのレコードについて、異常発生の可能性有りと判断する。
【0070】
また、判断部46はステップS10で読み出したタスクのレコードに近似する異常発生情報のレコードがなければ、ステップS18の処理を行う。ステップS18において、判断部46はステップS10で読み出したタスクのレコードについて、異常発生の可能性なしと判断する。
【0071】
ステップS16又はS18からステップS20に進み、判断部46は例えば
図6の開始予定のタスクのタスク情報からのレコード読み出しが終了か否かを判定する。例えば
図6の開始予定のタスクのタスク情報からのレコード読み出しが終了していなければ、判断部46はステップS10に戻り、処理を継続する。
図6の開始予定のタスクのタスク情報からのレコード読み出しが終了していれば、判断部46は
図9のフローチャート図の処理を終了する。
【0072】
図8に戻り、判断部46は開始予定のタスクを実行した場合の異常発生の可能性の判断の結果を、表示制御部44に応答する。ステップS5において、表示制御部44はタスク状況表示応答を行う。ステップS6において、端末装置30の移動体情報表示部52は例えば
図10に示すタスク状況表示画面1000を表示し、開始予定のタスクのうち、開始すると異常発生の可能性が有りのタスクをユーザに明示できる。
【0073】
図10は、タスク状況表示画面1000の一例のイメージ図である。
図10のタスク状況表示画面1000は移動体ID「M1」用のウィンドウ例を示している。ユーザは、
図10のタスク状況表示画面1000のタスク状況ボタン1002をクリック等することにより、ウィンドウ1004を表示できる。
【0074】
また、ユーザはウィンドウ1004の「はい」ボタン1006をクリック等することにより、タスク状況表示のウィンドウ1008を表示できる。タスク状況表示のウィンドウ1008には、複数の移動体20に割り当てられたタスク状況が表示されている。例えば
図10のタスク状況表示のウィンドウ1008は、タスクごとに、開始予定時間、作業ポイント、割当機体、タスク種別、及び異常発生可能性が表示されている。
【0075】
異常発生可能性は、ステップS4で判断した開始予定のタスクの異常発生の可能性を表した情報である。異常発生可能性「可能性有り」は、開始すると異常発生の可能性有りと判断したタスクであることを示している。したがって、ユーザは、
図10のタスク状況表示のウィンドウ1008の内容を確認することで、そのまま開始すると異常発生の可能性有りと判断されたタスクを知ることができ、複数の移動体20に対するタスクの割り当てを適切に調整できる。
【0076】
なお、
図10では移動体20にタスクを割り当てておくことで、開始予定時間になると自動的にタスクが開始される例を示したが、例えばタスク状況表示画面1000にタスク開始ボタンを設け、タスク開始ボタンがユーザに押下されることで、タスクが開始されるようにしてもよい。
【0077】
また、ステップS6において、端末装置30の移動体情報表示部52は例えば
図11に示すタスク状況表示画面1000を表示し、開始予定のタスクのうち、開始すると異常発生の可能性が有りのタスクへの割り当てを推奨する移動体20をユーザに明示できる。
【0078】
図11は、タスク状況表示画面1000の一例のイメージ図である。
図11のタスク状況表示画面1000は、タスク状況表示のウィンドウ1008の内容が、
図10のタスク状況表示画面1000と異なる。
図11のタスク状況表示のウィンドウ1008は、
図10のタスク状況表示のウィンドウ1008の異常発生可能性に替えて、推奨移動体が表示されている。
【0079】
推奨移動体は、過去に実施した同様なタスクにおいて、異常発生の無かった移動体20を示す情報である。なお、過去に実施した同様なタスクにおいて、異常発生の無かった移動体20が複数あった場合は、位置が物理的に近い移動体20を優先的に推奨移動体として選択してもよい。また、過去に実施した同様なタスクにおいて、異常発生の無かった移動体20が複数あった場合は、タスク完了までの時間が短い移動体20を優先的に推奨移動体として選択してもよい。なお、過去に実施した同様なタスクにおいて、全ての移動体20に異常発生があった場合は、人間を推奨移動体として選択してもよい。
【0080】
例えば機体ID「M1」の移動体20が「2022/08/12 11:25」に作業ポイント「A」におけるメータ読取を開始するタスクが存在し、現在の天候「晴れ」及び気温(℃)「36.3℃」という情報を取得済みであるとする。
【0081】
この状況でタスクを開始した場合は、例えば
図7の異常発生情報から、ステップS4で熱暴走の異常発生の可能性有りと判断される。異常発生の可能性有りと判断された場合は、同様な環境条件で異常発生の事例がない推奨移動体(例えば機体ID「M1」の移動体20など)が異常発生情報から選択される。推奨移動体の選択は、例えば
図9のステップS16の処理において行われる。
【0082】
したがって、ユーザは、
図11のタスク状況表示のウィンドウ1008の内容を確認することで、そのまま開始すると異常発生の可能性有りと判断されたタスクへの割り当てが推奨された推奨移動体を知ることができ、複数の移動体20に対するタスクの割り当てを適切に調整できる。
【0083】
また、ステップS6において、端末装置30の移動体情報表示部52は例えば
図12に示すタスク状況表示画面1000を表示し、開始予定のタスクのうち、タスクを開始した場合に発生の可能性が有りの異常要因をユーザに明示できる。
【0084】
図12は、タスク状況表示画面1000の一例のイメージ図である。
図12のタスク状況表示画面1000は移動体ID「M1」用のウィンドウ例を示している。ユーザは、
図12のタスク状況表示画面1000のタスク状況ボタン1002をクリック等することにより、ウィンドウ1004を表示できる。
【0085】
また、ユーザはウィンドウ1004の「はい」ボタン1006をクリック等することにより、タスク一覧表示のウィンドウ1010を表示できる。タスク一覧表示のウィンドウ1010には、複数の移動体20に割り当てられたタスク一覧が表示されている。例えば
図12のタスク一覧表示のウィンドウ1010は、タスクごとに、作業ポイント、割当機体、タスク種別、推奨移動体、及び異常要因が表示されている。
【0086】
異常要因は、ステップS4で判断した開始予定のタスクのうち、タスクを開始した場合に発生の可能性が有りの異常要因を表した情報である。異常要因「熱暴走」は、開始すると熱暴走の異常発生の可能性が有りと判断したタスクであることを示している。したがって、ユーザは、
図12のタスク一覧表示のウィンドウ1010の内容を確認することで、そのまま開始すると異常発生の可能性が有りのタスクの異常要因を知ることができ、注意すべき環境情報(例えば気温及び機体温度など)を考慮して、複数の移動体20に対するタスクの割り当てを適切に調整できる。
【0087】
なお、
図12では移動体20にタスクを割り当てておくことで、開始予定時間になると自動的にタスクが開始される例を示したが、例えばタスク状況表示画面1000にタスク開始ボタンを設け、タスク開始ボタンがユーザに押下されることで、タスクが開始されるようにしてもよい。
【0088】
例えば端末装置30の移動体情報表示部52は、開始予定のタスクのうち、開始すると異常発生の可能性が有りであると判断したタスクの開始予定日時から所定時間前に例えば
図13の通知ウィンドウ1012を表示し、開始予定のタスクに、開始すると異常発生の可能性有りのタスクが含まれていることをユーザに通知できる。
【0089】
図13は、タスク状況表示画面1000の一例のイメージ図である。
図13のタスク状況表示画面1000は移動体ID「M1」用のウィンドウ例を示している。ユーザは、
図13のタスク状況表示画面1000に表示された通知ウィンドウ1012により、開始すると異常発生の可能性有りのタスクが含まれていることを知ることができる。
【0090】
なお、開始予定のタスクのうち、開始すると異常発生の可能性有りのタスクが含まれている内容のユーザへの通知は、メール送信又はアプリケーション通知で行ってもよい。また、タスク開始ボタンが設けられたタスク状況表示画面1000であれば、ユーザにタスク開始ボタンが押下されたタイミングで通知ウィンドウ1012を表示してもよい。タスク開始ボタンが押下されたタイミングで通知ウィンドウ1012を表示する場合、ユーザは開始すると異常発生の可能性が有りのタスクに対してタスク開始ボタンを誤って押下してしまったことに気付くことができる。
【0091】
また、例えば端末装置30の移動体情報表示部52は、開始予定のタスクのうち、開始すると異常発生の可能性が有りであると判断したタスクの開始予定日時から所定時間前に例えば
図14の通知ウィンドウ1012を表示し、開始予定のタスクのうち、開始すると異常発生の可能性が有り、異常発生を回避する推奨移動体の有るタスクをユーザに通知できる。
【0092】
図14は、タスク状況表示画面1000の一例のイメージ図である。
図14のタスク状況表示画面1000は移動体ID「M1」用のウィンドウ例を示している。ユーザは、
図14のタスク状況表示画面1000に表示された通知ウィンドウ1012により、開始すると異常発生の可能性が有り、異常発生を回避する推奨移動体の有るタスクが開始予定のタスクに含まれていることを知ることができる。
【0093】
なお、開始予定のタスクのうち、開始すると異常発生の可能性が有り、異常発生を回避する推奨移動体の有るタスクのユーザへの通知は、メール送信又はアプリケーション通知で行うようにしてもよい。また、タスク開始ボタンが設けられたタスク状況表示画面1000であれば、ユーザにタスク開始ボタンが押下されたタイミングで通知ウィンドウ1012を表示してもよい。タスク開始ボタンが押下されたタイミングで通知ウィンドウ1012を表示する場合、ユーザは開始すると異常発生の可能性が有り、異常発生を回避する推奨移動体の有るタスクに対してタスク開始ボタンを誤って押下してしまったことに気付くことができる。
【0094】
また、
図12に示したように、開始予定のタスクに発生する可能性有りの異常要因を判断する場合は、異常要因ごとに通知先情報を設定できるようにしてもよい。例えば電源異常等の致命的な異常要因には、通知先として管理者を設定してもよい。例えば管理者は電源異常等の致命的な異常要因が発生する可能性が有ることを知ることができ、早急にメンテナンスすることで、ダウンタイムを低減できる。
【0095】
また、
図7の異常発生情報は、異常が発生した箇所の情報を項目として含むようにしてもよい。異常が発生した箇所の情報は、緯度及び経度などの座標、ウェイポイントの番号などで登録される。ウェイポイントの番号は「1-2」などのようにウェイポイントの間の箇所を表すこともできる。
【0096】
異常が発生した箇所の情報を利用することで、
図10のタスク状況表示のウィンドウ1008には、異常発生の可能性有りと判断した開始予定のタスクと、異常発生の可能性が予測される箇所と、を表示できる。したがって、ユーザは、
図10のタスク状況表示のウィンドウ1008の内容を確認することで、そのまま開始すると異常発生の可能性有りと判断されたタスクと、異常発生が予測される箇所と、を知ることができ、複数の移動体20に対するタスクの割り当てを適切に調整できる。
【0097】
また、
図11の推奨移動体は、ユーザが設定した推奨移動体の優先度を考慮して選択してもよい。推奨移動体が選択される優先度は、ユーザ自身が所属する部署優先、移動体20の機体スペック種別優先、又は移動体20の管理者優先などである。
【0098】
ユーザ自身が所属する部署優先では、ユーザ自身が所属する部署の移動体20を優先的に推奨移動体として
図11のタスク状況表示のウィンドウ1008に表示する。移動体20の機体スペック種別優先では、同様な機体スペックの移動体20を優先的に推奨移動体として
図11のタスク状況表示のウィンドウ1008に表示する。また、移動体20の管理者優先では、管理者が同じ移動体20を優先的に推奨移動体として
図11のタスク状況表示のウィンドウ1008に表示する。
【0099】
移動体20の部署、機体スペック種別、及び管理者は、例えば
図15に示す移動体情報として情報処理システム40に蓄積されている。
図15は移動体情報の一例を示す図である。
図15の移動体情報は、移動体ID、部署ID、管理者ID、及び機体スペック種別を項目として含む。
【0100】
移動体IDは、移動体20の識別情報である。部署IDは、移動体20と対応付けられた部署の識別情報である。管理者IDは、移動体20と対応付けられた管理者の識別情報である。機体スペック種別は、移動体20に搭載されたRGBカメラ、全天球カメラ、マイク、サーモセンサ、ガスセンサ、振動センサ等の各種のデバイス類により実現される機体スペックの種別を示す情報の一例である。
【0101】
<他のシステム構成例>
図1の移動体システム100は、一つの対象拠点の異常発生情報を使用して、移動体20がタスクを開始した場合の異常発生の可能性を判断しているが、複数の対象拠点の異常発生情報を使用して、移動体20がタスクを開始した場合の異常発生の可能性を判断してもよい。
【0102】
図16は、本実施形態に係る移動体システム100の構成例を示す図である。
図16の移動体システム100は、複数の対象拠点の異常発生情報を使用している点が
図1の移動体システム100と異なる。
【0103】
図16の移動体システム100では、情報処理システム40が、例えば
図17の構成の異常発生情報を蓄積する。
図17は異常発生情報蓄積部42に蓄積されている異常発生情報の一例を示す。
図17の異常発生情報は、開始日時、割当機体、タスク種別、天候、気温(℃)、開始始点、終了地点、作業ポイント、異常要因、機体スペック種別、及び拠点を項目として含む。
図17の異常発生情報は、
図7の異常発生情報の項目に機体スペック種別及び拠点が追加された構成である。
【0104】
図17の異常発生情報は、例えば
図18に示す手順で生成される。
図18は、複数の対象拠点の異常発生情報を生成する処理の流れを説明する一例のシーケンス図である。
【0105】
図18の移動体20は異常が発生しているものとする。ステップS50において、複数の対象拠点の移動体20は、
図7に示した開始日時、割当機体、タスク種別、天候、気温(℃)、開始始点、終了地点、作業ポイント、及び異常要因の情報と、搭載デバイスの情報と、拠点の情報と、を情報処理システム40の通信部47に送信する。搭載デバイスの情報は、移動体20が搭載している例えばRGBカメラ、全天球カメラ、マイク、サーモセンサ、ガスセンサ、振動センサ、制御ボード等の情報である。拠点の情報は、移動体20が設置されている対象拠点を識別する情報である。
【0106】
ステップS51において、情報処理システム40の通信部47は、ステップS50に移動体20から受信した情報を、情報処理システム40の判断部46に送信する。ステップS52において、判断部46は
図19の機体スペック種別情報を参照し、ステップS51で受信した情報に含まれる搭載デバイスの情報と対応する機体スペック種別を特定する。
【0107】
図19は、機体スペック種別情報の一例を示す。
図19の機体スペック種別情報は、搭載デバイス及び機体スペック種別を項目として含む。機体スペック種別情報は、移動体20の搭載デバイスの情報と、機体スペック種別の情報と、を対応付ける。
【0108】
ステップS53において、判断部46はステップS51で受信した情報に含まれる搭載デバイスの情報を、ステップS52で特定した機体スペック種別の情報に置き換え、情報処理システム40の異常発生情報蓄積部42に送信する。ステップS54において、異常発生情報蓄積部42は、ステップS53で受信した情報を、
図17の異常発生情報として蓄積(更新)する。
【0109】
図17の異常発生情報の機体スペック種別は、移動体20に搭載された各種のデバイス類により実現される機体スペックの種別を示す情報の一例である。拠点は、そのレコードのタスクの異常が発生した対象拠点を示す識別情報の一例である。
【0110】
図16の情報処理システム40は、
図17の複数の対象拠点の異常発生情報を使用することにより、例えば同一の対象拠点の異常発生情報が蓄積されていなくても、他の対象拠点の異常発生情報を利用して、開始予定のタスクの異常発生の可能性を判断できる。
【0111】
例えば
図8のステップS3において、
図16の情報処理システム40は、拠点「A」の対象拠点の移動体20に割り当てられた開始予定のタスクについて、移動体20の機体スペック種別が同一、且つ天候及び気温(℃)が近似しているレコードを
図17の異常発生情報から検索する。近似しているレコードが
図17の異常発生情報にあれば、情報処理システム40は、ステップS4において、異常発生の可能性有りと判断できる。また、情報処理システム40は近似しているレコードの異常要因を、タスクを開始した場合に異常発生の可能性がある異常要因と判断できる。なお、
図16の情報処理システム40は、推奨移動体を選択する場合、同一の対象拠点から選択するものとする。
【0112】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0113】
なお、端末装置30と情報処理システム40は、Webアプリを実行してよい。Webアプリとは、Webブラウザ上で動作するプログラミング言語(例えばJavaScript(登録商標))によるプログラムとWebサーバ側のプログラムが協調することによって動作するアプリケーションである。これに対し、端末装置30にインストールされなければ実行されないアプリケーションをネイティブアプリという。本実施形態に関しても、端末装置30で実行されるアプリケーションはWebアプリでもネイティブアプリでもよい。
【0114】
情報処理システム40は、Webアプリの画面を端末装置30が表示するための画面情報を生成する。画面情報は、HTML、XML、スクリプト言語、及びCSS(Cascading Style Sheet)等で記述されたプログラムであり、主にHTMLによりWebページの構造が特定され、スクリプト言語によりWebページの動作が規定され、CSSによりWebページのスタイルが特定される。
【0115】
また、
図5の構成例は、移動体20、端末装置30、及び情報処理システム40の処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。移動体20、端末装置30、及び情報処理システム40の処理は、更に多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0116】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0117】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>
ユーザが操作する端末装置と、複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報を管理する情報処理システムと、を有する移動体システムであって、
過去のタスク実行中における前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の可能性を判断する判断手段と、
前記判断の結果と共に、前記複数の移動体に割り当てられたタスク状況を前記端末装置に表示させる表示制御手段と、
を有する移動体システム。
<2>
前記判断手段は、前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記複数の移動体から前記タスクへの割り当てを推奨する前記移動体を判断する
前記<1>記載の移動体システム。
<3>
前記判断手段は、前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記移動体が前記タスクを開始した場合に発生の可能性のある異常要因を判断する
前記<1>又は<2>記載の移動体システム。
<4>
前記異常発生の可能性が有りである前記判断の結果の場合に、前記タスクを開始する前に前記ユーザに通知する通知手段、
を更に有する前記<1>乃至<3>の何れか一項に記載の移動体システム。
<5>
前記推奨する前記移動体がある前記判断の結果の場合に、前記タスクを開始する前に前記ユーザに通知する通知手段、
を更に有する前記<2>記載の移動体システム。
<6>
前記異常要因ごとに設定された通知先情報に従い、前記タスクを開始する前に前記通知先情報の通知先に通知する通知手段、
を更に有する前記<3>記載の移動体システム。
<7>
前記表示制御手段は、更に、前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の予測箇所を前記端末装置に表示させる
前記<1>乃至<6>の何れか一項に記載の移動体システム。
<8>
前記判断手段は、推奨する前記移動体の優先度が設定された優先度情報に従い、前記推奨する前記移動体を判断する
前記<2>又は<5>記載の移動体システム。
<9>
複数の拠点で使用されている前記移動体の異常発生情報を蓄積する異常発生情報蓄積手段を更に有し、
前記判断手段は、一の拠点で使用されている前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の可能性を、複数の拠点で使用されている前記移動体の異常発生情報と、前記一の拠点で使用されている前記移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、判断する
前記<1>乃至<8>の何れか一項に記載の移動体システム。
<10>
ユーザが操作する端末装置と、複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報を管理する情報処理システムと、を有する移動体システムが行う情報処理方法であって、
過去のタスク実行中における前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の可能性を判断する判断処理と、
前記判断の結果と共に、前記複数の移動体に割り当てられたタスク状況を前記端末装置に表示させる表示制御処理と、
を行う情報処理方法。
<11>
ユーザが操作する端末装置と通信可能に接続され、複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報を管理する情報処理装置であって、
過去のタスク実行中における前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の可能性を判断する判断手段と、
前記判断の結果と共に、前記複数の移動体に割り当てられたタスク状況を前記端末装置に表示させる表示制御手段と、
を有する情報処理装置。
<12>
ユーザが操作する端末装置と通信可能に接続され、複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報を管理する情報処理装置に、
過去のタスク実行中における前記移動体の異常発生情報と、前記複数の移動体に割り当てられたタスクのタスク情報とに基づき、前記移動体が前記タスクを開始した場合の異常発生の可能性を判断する判断ステップ、
前記判断の結果と共に、前記複数の移動体に割り当てられたタスク状況を前記端末装置に表示させる表示制御ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0118】
20 移動体
30 端末装置
40 情報処理システム
41 タスク情報蓄積部
42 異常発生情報蓄積部
44 表示制御部
45 通知部
46 判断部
100 移動体システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】