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特開2024-136053情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136053
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G05B23/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047008
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相場 亮人
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA12
3C223BA03
3C223BB09
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB02
3C223EB03
3C223FF03
3C223FF08
3C223FF22
3C223FF26
3C223FF35
3C223FF45
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH03
3C223HH08
3C223HH13
(57)【要約】
【課題】必要なクラスタに対して識別情報を付加すること。
【解決手段】診断装置10、管理装置40は、加工機70の工具50の動作によって変化する振動を検知した複数の検知情報を複数のクラスタに分類し、予め定められた優先度に基づき、複数のクラスタのうち優先度の高いクラスタを特定する処理部17、47と、優先度の高いクラスタを表示部の一例であるディスプレイ106a,406aに表示させる表示制御部14、44と、優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する識別情報の一例であるタグ情報を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する確定ボタン1120による指示操作を受け付ける受付部13、43と、を備え、処理部17、47は、優先度の高いクラスタに対して、タグ情報を付加する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた優先度に基づき、複数のデータを分類した複数のクラスタのうち前記優先度の高いクラスタを特定する処理手段と、
前記優先度の高いクラスタを表示部に表示させる表示制御手段と、
前記優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する識別情報を、前記優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を受け付ける受付手段と、を備え、
前記処理手段は、前記優先度の高いクラスタに対して、前記識別情報を付加する情報処理装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記識別情報を付加した前記優先度の高いクラスタに対して、他のクラスタと異なる処理を実行する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記識別情報を付加した前記優先度の高いクラスタを、学習データとして記憶手段に記憶させる請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データは、対象を計測した計測データであり、
前記優先度は、前記計測データに基づき決定される前記対象の異常の可能性を示す可能性情報に基づき、定められる請求項1~3の何れか記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記優先度は、第1の優先度と、第2の優先度を含み、
前記処理手段は、前記複数のクラスタのうち、前記第1の優先度の高いクラスタおよび前記第2の優先度の高いクラスタをそれぞれ特定し、
前記表示制御手段は、前記第1の優先度の高いクラスタおよび前記第2の優先度の高いクラスタをそれぞれ前記表示部に表示させ、
前記受付手段は、前記第1の優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する第1の識別情報を、前記第1の優先度の高いクラスタに付加することを指示する第1の指示操作および前記第2の優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する第2の識別情報、前記第2の優先度の高いクラスタに付加することを指示する第2の指示操作をそれぞれ受け付け、
前記処理手段は、前記第1の優先度の高いクラスタに対して前記第1の識別情報を付加し、前記第2の優先度の高いクラスタに対して前記第2の識別情報を付加する請求項1~3の何れか記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記データは、対象を計測した計測データであり、
前記第1の優先度は、前記計測データに基づき決定される前記対象の異常の可能性が高いことであり、
前記第2の優先度は、前記計測データに基づき決定される前記対象の異常の可能性が低いことである請求項5記載の情報処置装置。
【請求項7】
予め定められた優先度に基づき、複数のデータを分類した複数のクラスタのうち前記優先度の高いクラスタを特定する処理手段と、
前記優先度の高いクラスタを示すクラスタ情報を通信端末へ送信する送信手段と、
前記通信端末から、前記優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する識別情報を受信する受信手段と、を備え、
前記処理手段は、前記優先度の高いクラスタに対して、前記識別情報を付加する情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
予め定められた優先度に基づき、複数のデータを分類した複数のクラスタのうち前記優先度の高いクラスタを特定する特定ステップと、
前記優先度の高いクラスタを表示させる表示ステップと、
前記優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する識別情報を、前記優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を受け付ける受付ステップと、
前記優先度の高いクラスタに対して、前記識別情報を付加する付加ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
予め定められた優先度に基づき、複数のデータを分類した複数のクラスタのうち前記優先度の高いクラスタを特定する特定ステップと、
前記優先度の高いクラスタを示すクラスタ情報を通信端末へ送信する送信ステップと、
前記通信端末から、前記優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する識別情報を受信する受信ステップと、
前記優先度の高いクラスタに対して、前記識別情報を付加する付加ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項8または9記載の情報処理方法を実行させるプログラム。
【請求項11】
情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能な通信端末と、を備えた情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
予め定められた優先度に基づき、複数のデータを分類した複数のクラスタのうち前記優先度の高いクラスタを特定する処理手段と、
前記優先度の高いクラスタを示すクラスタ情報を前記通信端末へ送信する送信手段と、
前記通信端末から、前記優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する識別情報を受信する受信手段と、を備え、
前記処理手段は、前記優先度の高いクラスタに対して、前記識別情報を付加し、
前記通信端末は、
前記情報処理装置から、前記クラスタ情報を受信する受信手段と、
前記優先度の高いクラスタを表示部に表示させる表示制御手段と、
前記優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する識別情報を、前記優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を受け付ける受付手段と、
前記識別情報を前記情報処理装置へ送信する送信手段と、
を備えた情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像データをクラスタに分類して表示手段に表示するとともに、オペレータから受け付けたラベルを画像データに付加するラベル付加装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013‐161295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、必要なクラスタに対して識別情報を付加することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る情報処理装置は、予め定められた優先度に基づき、複数のデータを分類した複数のクラスタのうち優先度の高いクラスタを特定する処理手段と、優先度の高いクラスタを表示部に表示させる表示制御手段と、優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する識別情報を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を受け付ける受付手段と、を備え、処理手段は、優先度の高いクラスタに対して、識別情報を付加する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1によれば、必要なクラスタに対して識別情報を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る管理システムの全体構成図である。
図2】本実施形態に係る診断装置、管理装置のハードウエア構成図である。
図3】本実施形態に係る加工機のハードウエア構成図である。
図4】本実施形態に係る管理システムの機能ブロック図である。
図5】本実施形態に係る振動データ管理テーブル、クラスタ管理テーブル、および学習データ管理テーブルの一例を示す概念図である。
図6】本実施形態に係る処理の一例を示すシーケンス図である。
図7】本実施形態に係る診断装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本実施形態に係る検知情報のスペクトログラムの一例を示す図である。
図9】本実施形態に係る管理装置における表示画面の説明図である。
図10】本実施形態に係る管理装置における表示画面の他の説明図である。
図11】本実施形態の処理の変形例を示すシーケンス図である。
図12】本実施形態の管理システムの変形例を示す全体構成図である。
図13】本実施形態の管理システムの変形例における撮影画像の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システムの一例である管理システムの全体構成図である。本実施形態の管理システム1は、加工機70A、検知装置30Aを備える診断装置10A、加工機70B、検知装置30Bを備える診断装置10B、管理装置40、および通信端末80によって構築されている。
【0009】
診断装置10A、10Bは、それぞれ情報処理装置の一例であり、管理装置40は、情報処理装置の一例である。
【0010】
診断装置10A、10B、および通信端末80は、それぞれ加工機70A、加工機70Bと同じ工場内に設置されていてもよく、遠隔地に設置されていても良い。管理装置40も同様である。診断装置10A、10B、管理装置40および通信端末80は、それぞれ、単一のコンピュータによって構成されてもよいし、複数のコンピュータによって構成されてもよく、専用のソフトウエアプログラムがインストールされた汎用的なPC(Personal Computer)であってもよい。
【0011】
診断装置10A、10B、管理装置40および通信端末80は、通信ネットワーク3を介して通信することができる。通信ネットワーク3は、インターネット、移動体通信網、LAN(LocalAreaNetwork)等によって構築されている。通信ネットワーク3には、有線通信だけでなく、5G(5thGeneration)、WiMAX(WorldwideInteroperabilityforMicrowaveAccess)、LTE(LongTermEvolution)等の無線通信によるネットワークが含まれてもよい。
【0012】
加工機70A、70Bは、工具を用いて、加工対象に対して切削、研削または研磨等の加工を行う工作機械である。加工機70A、70Bは、診断装置10A、10Bによる診断の対象となる対象装置の一例である。対象装置は、加工機70に限定されるものではなく、例えば、組立機、測定機、検査機、または洗浄機等の機械であってもよい。
【0013】
診断装置10A、10Bと加工機70A、70Bとは、どのような接続形態で接続されてもよい。例えば、診断装置10A、10Bと加工機70A、70Bとは、専用の接続線、有線LAN(Local Area Network)等の有線ネットワーク、または無線ネットワーク等により接続されるものとすればよい。
【0014】
検知装置30A、30Bは、加工機70A、70Bに設置された工具と加工対象とが加工動作中に接触することにより発する振動もしくは音等、または、工具や加工機70A、70B自体が発する振動もしくは音等の物理量を検知し、検知した物理量の情報を検知情報として、診断装置10A、10Bへ出力するセンサである。
【0015】
検知装置30A、30Bは、例えば、マイク、振動センサ、加速度センサ、またはAEセンサ等で構成され、振動または音等の物理量の変化を検出する。これらの検出手段は、ドリル、エンドミル、バイトチップまたは砥石等の機械的振動を発生する工具の近傍に設置される。設置方法は、ネジによる固定、マグネットによる固定、接着剤による接着、または、対象装置に穴開け加工等を行ってそこに埋め込むことによる設置等の方法により設置される。
【0016】
検知装置30A、30Bは、加工機70A、70Bに対して固定されていなくてもよく、加工機70A、70Bにより発せられる振動または音等の物理量の変化を検出できるように加工機70A、70Bの周囲に設置されていればよい。
【0017】
検知装置30A、30Bは、加工機70A、70Bに予め備えられているものとしてもよく、または完成機械である加工機70A、70Bに対して後から取り付けられるものとしてもよい。
【0018】
検知装置30A、30Bの個数は、任意であってよい。 また、同一の物理量を検知する複数の検知装置を備えてもよいし、相互に異なる物理量を検知する複数の検知装置を備えてもよい。
【0019】
図2は、本実施形態に係る診断装置、管理装置のハードウエア構成図である。診断装置10A、10Bの各ハードウエア構成は同様であり、診断装置10として100番台の符号で示されている。管理装置40の各ハードウエア構成は、400番台の符号で示されている。なお、通信端末80も、診断装置10と同様のハードウエア構成を備えるが、各ハードウエア構成の符号および説明は省略する。
【0020】
以下、診断装置10の各ハードウエア構成について説明するが、管理装置40の各ハードウエア構成は同様であるため説明を省略する。
【0021】
診断装置10は、コンピュータによって構築されており、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HD(Hard Disk)104、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ105、ディスプレイI/F106および通信I/F107を備えている。
【0022】
これらのうち、CPU101は、診断装置10全体の動作を制御する。ROM102は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶する。 RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。
【0023】
HD104は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ105は、CPU101の制御にしたがってHD104に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。ディスプレイI/F106は、ディスプレイ106aに画像を表示させる回路である。ディスプレイ106aは、カーソル、メニュー、ウインドウ、文字または画像等の各種情報を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示部の一種である。通信I/F107は、加工機70等の他の装置との通信に用いられるインターフェースである。 通信I/F107は、例えば、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)に対応したNIC(Network Interface Card)等である。
【0024】
また、診断装置10は、センサI/F108、音入出力I/F109、入力I/F110、メディアI/F111、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ112を備えている。
【0025】
センサI/F108は、検知装置30に含まれるセンサアンプ302を介して検知情報を受信するインターフェースである。音入出力I/F109は、CPU101の制御に従ってスピーカ109aおよびマイク109bとの間で音信号の入出力を処理する回路である。入力I/F110は、診断装置10に所定の入力手段を接続させるためのインターフェースである。
【0026】
キーボード110aは、文字、数値、各種指示等の入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。マウス110bは、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行う入力手段の一種である。
【0027】
メディアI/F111は、フラッシュメモリ等の記録メディア111aに対するデータ
【0028】
の読み出しまたは書き込み(記憶)を制御する。DVD-RWドライブ112は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW112aに対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。また、DVD-RWドライブ112は、ブルーレイディスク(登録商標)に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御するブルーレイドライブであってもよい。
【0029】
また、診断装置10は、バスライン113を備えている。バスライン113は、CPU101等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0030】
なお、上記各プログラムが記憶されたHDやCD-ROM等の記録媒体は、いずれもプログラム製品(Program Product)として、国内または国外へ提供されることができる。診断装置10は、例えば、本発明に係るプログラムが実行されることで本発明に係る出力制御方法を実現する。
【0031】
図3は、本実施形態に係る加工機のハードウエア構成図である。加工機70A、70Bの各ハードウエア構成は同様であり、加工機70として説明する。
【0032】
加工機70は、CPU701、ROM702、RAM703、ディスプレイI/F704、通信I/F705、駆動回路706、音出力I/F707、入力I/F708、およびセンサI/F709を備えている。
【0033】
これらのうち、CPU701は、加工機70全体の動作を制御する。ROM702は、IPL等のCPU701の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM703は、CPU701のワークエリアとして使用される。ディスプレイI/F704は、ディスプレイ704aに画像を表示させる回路である。ディスプレイ704aは、カーソル、メニュー、ウインドウ、文字または画像等の各種情報を表示する液晶や有機EL等の表示部の一種である。
【0034】
通信I/F705は、診断装置10等の他の装置との通信に用いられるインターフェースである。通信I/F705は、例えば、TCP/IPに対応したNIC等である。
【0035】
駆動回路706は、モータ706aの駆動を制御する回路である。モータ706aは、加工に用いる工具50を駆動させる。工具50は、例えば、ドリル、エンドミル、バイトチップ、砥石等である。また、工具50には、加工対象が載置され加工に合わせて移動されるテーブル等も含まれる。工具50は、対象部および加工部の一例である。
【0036】
音出力I/F707は、CPU701の制御に従ってスピーカ707aおよびマイク707bとの間で音信号の出力を処理する回路である。入力I/F708は、加工機70に所定の入力手段を接続させるためのインターフェースである。キーボード708aは、文字、数値、各種指示等の入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。マウス708bは、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行う入力手段の一種である。
【0037】
また、加工機70は、バスライン710を備えている。バスライン710は、CPU701等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0038】
また、加工機70から出力される振動または音等の物理量を検知する検知装置30は、センサ301およびセンサアンプ302を備えている。センサ301は、上述のように、加工機70に設置された工具50と加工対象とが加工動作中に接触することにより発する振動もしくは音等、または、工具50もしくは加工機70自体が発する振動もしくは音等の物理量を検知する。また、センサ301は、検知した物理量の情報に基づく検知情報(センサデータ)を取得する。センサ301は、例えば、マイク、振動センサ、加速度センサ、またはAEセンサ等である。センサアンプ302は、センサ301の検知感度等を調整し、かつセンサ301によって検出された検知情報を出力する。検知装置30は、計測装置の一例であり、計測装置が取得する計測データの一例である振動の検知情報を取得する。
【0039】
図4は、本実施形態に係る管理システムの機能ブロック図である。診断装置10B、加工機70Bの機能構成は、診断装置10A、加工機70Aと同様であるため、説明を省略する。
【0040】
<診断装置の機能構成>
診断装置10は、送受信部11、通信部21、検知装置通信部22、生成部12、受付部13、表示制御部14、判断部15、処理部17、および記憶・読出部19を備える。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、HD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。
【0041】
また、診断装置10は、図2に示されているRAM103及びHD104により構築される記憶部1000を有している。記憶部1000は、記憶手段の一例である。
【0042】
送受信部11は、通信ネットワーク3を介して、管理装置40等の他の装置との間で、各種データまたは情報の送受信を行う機能である。送受信部11は、主に、図2に示した通信I/F107およびCPU101で実行されるプログラム等によって実現される。送受信部11は、送信手段および受信手段の一例である。
【0043】
通信部21は、加工機70との間で各種データ(または情報)の送受信を行う機能である。通信部21は、例えば、加工機70から工具50を駆動開始および駆動終了する制御信号を受信する。通信部21は、主に、図2に示した通信I/F107、およびCPU101で実行されるプログラム等によって実現される。
【0044】
検知装置通信部22は、検知装置30との間でデータ通信を行う機能である。検知装置通信部22は、例えば、検知装置30によって検知された検知情報(センサデータ)を受信する。検知装置通信部22は、主に、図2に示したCPU101で実行されるプログラム等によって実現される。
【0045】
生成部12は、ディスプレイ106aに表示させる各種画像データを生成する機能である。生成部16は、主に、図2に示したCPU101で実行されるプログラム等によって実現される。
【0046】
受付部13は、図2に示したキーボード110a等の入力手段に対するユーザ入力を受け付ける機能である。受付部13は、主に、図2に示したCPU101で実行されるプログラム等によって実現される。
【0047】
表示制御部14は、図2に示したディスプレイ106aに各種画面を表示させる機能である。表示制御部14は、例えば、WEBブラウザ等を用いて、HTML(HyperText Markup Language)等により生成された画像データに係る画面を、ディスプレイ106aに表示させる。表示制御部14は、主に、図2に示したディスプレイI/F106、およびCPU101で実行されるプログラム等によって実現される。
【0048】
判断部15は、主に、図2に示したCPU101の処理によって実現され、各種判断を行う機能である。判断部15は、判断手段の一例である。
【0049】
処理部17は、検知装置通信部22によって受信された検知情報(検知信号)の信号処理や各種データ処理を行う機能である。処理部17の詳細な説明は、後述する。処理部17は、主に、図2に示したCPU101で実行されるプログラム等によって実現される。
【0050】
記憶・読出部19は、記憶部1000に各種データを記憶させ、または記憶部1000から各種データを読み出す機能である。記憶・読出部19は、主に、図2に示したCPU101で実行されるプログラム等によって実現される。
【0051】
記憶部1000は、主に、図2に示したROM102、HD104および記録メディア111aによって実現される。また、記憶部1000には、振動データ管理DB1001、クラスタ管理DB1002、および学習データ管理DB1003が構築されている。振動データ管理DB1001は、後述の振動データ管理テーブルによって構成され、クラスタ管理DB1002は、後述のクラスタ管理テーブルによって構成され、学習データ管理DB1003は、後述の学習データ管理テーブルによって構成されている。記憶部1000は、記憶手段の一例である。
【0052】
<管理装置の機能構成>
【0053】
管理装置40は、送受信部41、生成部42、受付部43、表示制御部44、判断部45、処理部47、および記憶・読出部49を備える。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、HD404からRAM403上に展開されたプログラムに従ったCPU401からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。
【0054】
また、管理装置40は、図2に示されているRAM403及びHD404により構築される記憶部4000を有している。記憶部4000は、記憶手段の一例である。
【0055】
送受信部41は、通信ネットワーク3を介して、診断装置10等の他の装置との間で各種データまたは情報の送受信を行う機能である。送受信部41は、主に、図2に示した通信I/F407およびCPU401で実行されるプログラム等によって実現される。送受信部41は、送信手段および受信手段の一例である。
【0056】
生成部42は、ディスプレイ406aに表示させる各種画像データを生成する機能である。生成部42は、主に、図2に示したCPU401で実行されるプログラム等によって実現される。
【0057】
受付部43は、図2に示したキーボード410a等の入力手段に対するユーザ入力を受け付ける機能である。受付部43は、主に、図2に示したCPU401で実行されるプログラム等によって実現される。
【0058】
表示制御部44は、図2に示したディスプレイ406aに各種画面を表示させる機能である。表示制御部44は、例えば、WEBブラウザ等を用いて、HTML(HyperText Markup Language)等により生成された画像データに係る画面を、ディスプレイ406aに表示させる。表示制御部44は、主に、図2に示したディスプレイI/F406、およびCPU401で実行されるプログラム等によって実現される。
【0059】
判断部45は、主に、図2に示したCPU401の処理によって実現され、各種判断を行う機能である。判断部45は、判断手段の一例である。
【0060】
処理部47は、各種データ処理を行う機能である。処理部47の詳細な説明は、後述する。処理部47は、主に、図2に示したCPU401で実行されるプログラム等によって実現される。
【0061】
記憶・読出部49は、記憶部4000に各種データを記憶させ、または記憶部4000から各種データを読み出す機能である。記憶・読出部49は、主に、図2に示したCPU401で実行されるプログラム等によって実現される。
【0062】
記憶部4000は、主に、図2に示したROM402、HD404および記録メディア411aによって実現される。また、記憶部4000には、振動データ管理DB4001、クラスタ管理DB4002、および学習データ管理DB4003が構築されている。
【0063】
<加工機の機能構成>
加工機70は、送受信部71、数値制御部72、駆動制御部73、駆動部74、設定部75、受付部76、表示制御部77および音制御部78を備える。
【0064】
送受信部71は、診断装置10等の他の装置との間で各種データ(または情報)の送受信を行う機能である。送受信部71は、例えば、加工機70の工具50を駆動開始および駆動終了する制御信号を、診断装置10へ送信する。送受信部71は、主に、図3に示した通信I/F705、およびCPU701で実行されるプログラム等によって実現される。
【0065】
数値制御部72は、駆動制御部73による加工を数値制御(NC:Numerical Control)により実行する機能である。数値制御部72は、例えば、駆動部74の動作を制御するための数値制御データを生成して出力する。また、数値制御部72は、例えば、加工機70のから工具50を駆動開始および駆動終了する制御信号を送受信部71へ出力する。
【0066】
数値制御部72は、例えば、加工対象を加工する際、加工の工程に応じて、駆動する駆動部74の種類、または駆動部74の駆動状態(回転数、回転速度等)を変更する。そして、数値制御部72は、動作の種類を変更するごとに、変更した動作の種類に対応するコンテキスト情報を、送受信部71を介して診断装置10へ逐次送信する。数値制御部72は、主に、図3に示したCPU701で実行されるプログラム等によって実現される。
【0067】
駆動制御部73は、数値制御部72により求められた数値制御データに基づいて、駆動部74を駆動制御する機能である。駆動制御部73は、例えば、図3に示す駆動回路706によって実現される。駆動制御部73は、主に、図3に示した駆動回路706、およびCPU701で実行されるプログラム等によって実現される。
【0068】
駆動部74は、駆動制御部73による駆動制御の対象となる機能である。駆動部74は、例えば、駆動制御部73による制御によって工具を駆動する。駆動部74は、例えば、駆動制御部73によって駆動制御されるアクチュエータであり、主に、図3に示すモータ706a等によって実現される。なお、駆動部74は、加工に用いられ、数値制御の対象となるものであればどのようなアクチュエータであってもよい。また、駆動部74は、二つ以上備えられていてもよい。
【0069】
設定部75は、加工機70の現在の動作に対応する条件情報を設定する機能である。設定部75は、主に、図3に示したCPU701で実行されるプログラム等によって実現される。
【0070】
受付部76は、図3に示したキーボード708a等の入力手段に対するユーザ入力を受け付ける機能である。受付部76は、例えば、ディスプレイ704aに表示された画面に対する入力に応じて、出力項目の選択を受け付ける。受付部76は、主に、図3に示した入力I/F708、およびCPU701で実行されるプログラム等によって実現される。
【0071】
表示制御部77は、図3に示したディスプレイ704aに各種画面情報を表示させる機能である。表示制御部77は、例えば、ディスプレイ704aに画面を表示させる。表示制御部77は、主に、図3に示したディスプレイI/F704、およびCPU701で実行されるプログラム等によって実現される。
【0072】
音制御部78は、図3に示されているCPU701からの命令によって実現され、スピーカ707aから音信号を出力する機能である。音制御部78は、主に、図3に示した音出力I/F707、およびCPU701で実行されるプログラム等によって実現される。
【0073】
<通信端末の機能構成>
通信端末80は、送受信部81、生成部82、受付部83、表示制御部84、および記憶・読出部89を備える。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、HDからRAM上に展開されたプログラムに従ったCPUからの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。
【0074】
また、通信端末80は、図2に示されているRAM及びHDにより構築される記憶部8000を有している。記憶部8000は、記憶手段の一例である。
【0075】
送受信部81は、通信ネットワーク3を介して、管理装置40等の他の装置との間で各種データまたは情報の送受信を行う機能である。送受信部81は、主に、図2に示した通信I/FおよびCPUで実行されるプログラム等によって実現される。送受信部81は、送信手段および受信手段の一例である。
【0076】
生成部82は、ディスプレイに表示させる各種画像データを生成する機能である。生成部82は、主に、図2に示したCPUで実行されるプログラム等によって実現される。
【0077】
受付部83は、図2に示したキーボード等の入力手段に対するユーザ入力を受け付ける機能である。受付部83は、主に、図2に示したCPUで実行されるプログラム等によって実現される。
【0078】
表示制御部84は、図2に示したディスプレイに各種画面を表示させる機能である。表示制御部84は、例えば、WEBブラウザ等を用いて、HTML(HyperText Markup Language)等により生成された画像データに係る画面を、ディスプレイに表示させる。表示制御部84は、主に、図2に示したディスプレイI/F、およびCPUで実行されるプログラム等によって実現される。
【0079】
記憶・読出部89は、記憶部8000に各種データを記憶させ、または記憶部8000から各種データを読み出す機能である。記憶・読出部89は、主に、図2に示したCPUで実行されるプログラム等によって実現される。記憶部8000は、主に、図2に示したROM、HDおよび記録メディアによって実現される。
【0080】
図5は、本実施形態に係る振動データ管理テーブル、クラスタ管理テーブル、および学習データ管理テーブルの一例を示す概念図である。
【0081】
振動データ管理テーブルは、振動データを管理するためのテーブルである。記憶部1000には、図5(a)に示されているような振動データ管理テーブルによって構成されている振動データ管理DB1001が構築されている。また、記憶部4000にも、図5(a)に示されているような振動データ管理テーブルによって構成されている振動データ管理DB4001が構築されている。
【0082】
この振動データ管理テーブルでは、振動データとして、識別情報1~3、検知装置30から取得された振動の検知信号(検知情報)、振動の周波数を示すスペクトル(周波数情報)、異常スコア、クラスタ番号、製品識別情報、部品識別情報、および加工条件情報が関連づけられて管理されている。
【0083】
識別情報1~3は、検知情報を識別する信号識別情報に含まれる情報であり、識別情報1(工場名)は、加工した工場を識別する工場識別情報の一例であり、識別情報2(装置名)は、加工した装置を識別する装置識別情報の一例であり、識別情報3(加工日時)は、加工した時間を識別する時間識別情報の一例である。
【0084】
異常スコアは、計測データに基づき決定される対象の異常の可能性を示す可能性情報の一例である。
【0085】
クラスタ番号は、複数のデータを分類した複数のクラスタのそれぞれ付与されるシリアル番号である。
【0086】
製品識別情報は、被加工材を部品として用いた製品を識別する情報であり、部品識別情報は、被加工材が用いられる部品を識別する情報である。
【0087】
加工条件情報は、予め決められたシーケンスを予め決められたサイクル行う加工プログラム情報、ワークに対して施される複数の加工のそれぞれの加工を識別するシーケンス情報、工具の種別情報、工具の移動速度、主軸の回転数、および主軸の回転速度等の情報である。
【0088】
クラスタ管理テーブルは、クラスタを管理するためのテーブルである。記憶部1000には、図5(b)に示されているようなクラスタ管理テーブルによって構成されているクラスタ管理DB1002が構築されている。また、記憶部4000にも、図5(b)に示されているようなクラスタ管理テーブルによって構成されているクラスタ管理DB4002が構築されている。
【0089】
このクラスタ管理テーブルでは、クラスタ番号とタグが関連づけられて管理されている。タグ情報は、優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する識別情報の一例である。
【0090】
学習データ管理テーブルは、学習モデルを生成するための学習データを管理するためのテーブルである。記憶部1000には、図5(c)に示されているような学習データ管理テーブルを含む学習データ管理DB1003が構築されている。また、記憶部4000にも、図5(c)に示されているような学習データ管理テーブルによって構成されている学習データ管理DB4003が構築されている。
【0091】
この学習データ管理テーブルでは、学習データとして、検知信号、スペクトル、および正常または異常に係るタグが関連づけられて管理されている。
【0092】
図6は、本実施形態に係る処理の一例を示すシーケンス図である。
【0093】
診断装置10Aの通信部21が、加工機70Aから工具50を駆動開始および駆動終了する制御信号を取得するとともに、これと同期して、検知装置通信部22は、検知装置30から振動の検知情報を取得する(ステップS1)。
【0094】
処理部17は、検知情報から振動波形のスペクトルを抽出するとともに、学習データ管理DB1003に記憶されている学習データに基づき生成される学習モデルを用いて、検知情報に基づく異常スコアを算出する(ステップS2)。異常スコアは、検知情報に基づき決定される工具50または工具50の動作の異常の可能性を示す可能性情報の一例である。
【0095】
処理部17は、ステップS1で取得した複数の検知情報を複数のクラスタに分類し、複数のクラスタのそれぞれにクラスタ番号を付与するクラスタリングを実行する(ステップS3)。処理部17は、ステップS1で取得した検知情報が既存のクラスタに分類される場合は、当該検知情報に対して当該既存のクラスタのクラスタ番号を付与する。
【0096】
記憶・読出部19は、ステップS2で抽出したスペクトル、ステップS2で算出した異常スコア、およびステップS3で付与したクラスタ番号を、ステップS1で取得した検知情報と対応づけて振動データ管理DB1001に記憶させて振動データを更新する(ステップS4)。
【0097】
処理部17は、記憶・読出部19により、ステップS3で付与したクラスタ番号を検索キーとしてクラスタ管理DB1002を検索させ、タグに「通知対象」が含まれているクラスタを特定する。表示制御部14は、特定した通知対象クラスタに係る各種情報をディスプレイ106aに表示させる(ステップS5)。
【0098】
処理部17は、予め定められた優先度で、ステップS3で分類した複数のクラスタを並び替えて、優先度の高いクラスタに対してタグ情報を付加することを指示されると、記憶・読出部19により、優先度の高いクラスタのクラスタ番号と、タグ情報とを関連付けてクラスタ管理DB1002に記憶させ、優先度の高いクラスタに対して、他のクラスタと異なる処理を実行する(ステップS6)。ステップS6で用いられる優先度は、一例として、異常スコアに基づき定められる。
【0099】
送受信部11は、ステップS1で取得した検知情報を含む振動データを、管理装置40へ送信し、管理装置40の送受信部41は、送受信部11が送信した振動データを受信する(ステップS7)。
【0100】
診断装置10Bの通信部21が、加工機70Bから工具50を駆動開始および駆動終了する制御信号を取得するとともに、これと同期して、検知装置通信部22は、検知装置30から振動の検知情報を取得する(ステップS11)。
【0101】
ステップS12~S17は、ステップS2~7と同様であるため、説明を省略する。
【0102】
管理装置40の処理部47は、ステップS7およびステップS17で受信した振動データに含まれる複数の検知情報を複数のクラスタに分類し、複数のクラスタのそれぞれにクラスタ番号を付与するクラスタリングを実行する(ステップS22)。
【0103】
記憶・読出部49は、ステップS22で付与したクラスタ番号を、ステップS7およびステップS17で受信した振動データと対応づけて振動データ管理DB4001に記憶させて振動データを更新する(ステップS23)。
【0104】
処理部47は、記憶・読出部49により、ステップS22で付与したクラスタ番号を検索キーとしてクラスタ管理DB4002を検索させ、タグに「通知対象」が含まれているクラスタを特定する。表示制御部44は、特定した通知対象クラスタに係る各種情報をディスプレイ406aに表示させる(ステップS5)。
【0105】
処理部47は、予め定められた優先度で、ステップS22で分類した複数のクラスタを並び替えて、優先度の高いクラスタに対してタグ情報を付加することを指示されると、記憶・読出部49により、優先度の高いクラスタのクラスタ番号と、タグ情報とを関連付けてクラスタ管理DB4002に記憶させ、優先度の高いクラスタに対して、他のクラスタと異なる処理を実行する(ステップS25)。ステップS25で用いられる優先度は、ステップS6で用いられる優先度とは異なっており、一例として、製品識別情報や部品識別情報に基づき定められる。
【0106】
なお、図6で説明した処理は、送受信に係る処理や、管理装置40で実行される処理を除いて、診断装置10A、10Bそれぞれ単体にて実行してもよい。
【0107】
図7は、本実施形態に係る診断装置の処理の一例を示すフローチャートであり、図6のステップS1~S6およびステップS11~S16に対応する処理を示す。
【0108】
診断装置10の通信部21が、加工機70から工具50を駆動開始および駆動終了する制御信号を取得するとともに、これと同期して、検知装置通信部22は、検知装置30から振動の検知情報を取得する(ステップS41)。
【0109】
処理部17は、検知情報から振動波形のスペクトルを抽出するとともに、学習データ管理DB1003に記憶されている学習データに基づき生成される学習モデルを用いて、検知情報に基づく異常スコアを算出する(ステップS42)。
【0110】
処理部17は、ステップS41で取得した複数の検知情報を複数のクラスタに分類し、複数のクラスタのそれぞれにクラスタ番号を付与する(ステップS43)。
【0111】
処理部17は、K-meansやGMM等のアルゴリズムに基づき、複数の検知情報を複数のクラスタに分類する。処理部17は、検知情報をスペクトログラムや平均スペクトル、さらにそれをPCAなどの手法で次元圧縮した特徴量に変換してから、複数のクラスタに分類することできる。処理部17は、ステップS41で取得した検知情報が既存のクラスタに分類される場合は、当該検知情報に対して当該既存のクラスタのクラスタ番号を付与する。
【0112】
記憶・読出部19は、ステップS41で検知情報を取得した時刻と対応づけて、検知情報、ステップS42で抽出したスペクトル、ステップS42で算出した異常スコア、およびステップS43で付与したクラスタ番号を振動データ管理DB1001に記憶させて振動データを更新する(ステップS44)。
【0113】
ここで、記憶・読出部19は、図5(a)で説明した製品識別情報、部品識別情報、および加工条件情報も、検知情報等に対応付けて振動データ管理DB1001に記憶させる。製品識別情報、部品識別情報、および加工条件情報は、通信部21が、ステップS41で加工機70から検知情報とともに取得してもよく、受付部13が、ユーザによる入力を受け付けることにより取得しても良い。
【0114】
処理部17は、記憶・読出部19により、ステップS43で付与したクラスタ番号を検索キーとしてクラスタ管理DB1002を検索させ、タグに「通知対象」が含まれているクラスタを特定する。表示制御部14は、特定した通知対象クラスタについて、検知情報に対応付けて取得時刻、加工条件、異常スコアをディスプレイ106aに表示させる(ステップS45)。
【0115】
処理部17は、複数の優先度のそれぞれを識別する優先度識別情報を示す番号であるNを1にセットし(ステップS46)、優先度識別情報がN番目の優先度で、ステップS43で分類した複数のクラスタを並び替える(ステップS47)。ステップS47は、複数のデータを分類した複数のクラスタのうち優先度の高いクラスタを特定する特定ステップの一例である。
【0116】
処理部17は、一例として、Nが1の場合、異常スコアの平均値が高いことを第1の優先度として複数のクラスタを並び替えて、Nが2の場合、異常スコアの平均値が低いことを第2の優先度として複数のクラスタを並び替える。
【0117】
判断部15は、ステップS47で並び替えた複数のクラスタのうちN番目の優先度の高いクラスタが確認条件を満たしているか判断し(ステップS48)、確認条件を満たさない場合はステップS52へ移行する。
【0118】
ステップS47で用いた優先度は、検知情報の内容に関連して決定されるが、ステップS48で用いる確認条件は、検知情報の内容とは関連しない、または関連性が低く決定される。
【0119】
確認条件は、例えば、優先度の高いクラスタの発生頻度が所定値以上、優先度の高いクラスタの発生頻度の変化割合が所定値以上、優先度の高いクラスタにおける異常スコアが所定値以上の検知情報が発生する前の発生頻度が所定値以上、等が用いられる。
【0120】
ステップS48で確認条件を満たす場合、表示制御部14は、優先度の高いクラスタについて、検知情報に対応付けて取得時刻、加工条件、異常スコアをディスプレイ106aに表示させる(ステップS49)。ステップS49は、優先度の高いクラスタを表示する表示ステップの一例である。
【0121】
ここで、ステップS49で表示される優先クラスタは、最優先クラスタだけでなく、優先度が高く、ステップS48の確認条件を満たせば、複数のクラスタであってもよい。
【0122】
判断部15は、受付部13が、優先度の高いクラスタに対してタグ情報を付加することを指示する指示操作を受け付けたか判断し(ステップS50)、指示操作を受け付けていない場合はステップS52へ移行する。ステップS50は、優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する識別情報を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を受け付ける受付ステップの一例である。
【0123】
ステップS48で指示操作を受け付けた場合、処理部17は、記憶・読出部19により、優先度の高いクラスタのクラスタ番号と、ステップS50で受け付けた指示操作に係るタグ情報とを関連付けてクラスタ管理DB1002に記憶させ、当該タグ情報に「正常」または「異常」が含まれている場合は、記憶・読出部19により、優先度の高いクラスタに含まれる検知情報と、スペクトルと、タグ情報とを関連付けて学習データ管理DB1003に記憶させる(ステップS51)。ステップS51は、優先度の高いクラスタに対して識別情報を付加する付加ステップの一例である。
【0124】
判断部15は、優先度識別情報Nが最大値Nmaxに達しているか判断し(ステップS52)、最大値Nmaxに達していない場合は、Nに1を加えて(ステップS53)、ステップS47に戻って処理を継続し、最大値Nmaxに達している場合は、処理を終了する。
【0125】
図8は、本実施形態に係る検知情報のスペクトログラムの一例を示す図である。図8(a)は、加工機70の加工動作において、正常に加工が行われている際に検知される検知信号のスペクトログラムを示し、図8(b)は、加工機70の加工動作において、異常が発生している際に検知される検知信号のスペクトログラムを示す。
【0126】
図8(b)に示すように、加工機70における加工動作中に異常が発生した場合、30000Hz付近に周波数成分が現れる。
【0127】
処理部17は、例えば、図8(b)に示すスペクトログラムが、学習データ管理DB1003に異常を示す学習データとして記憶されている場合、学習データに基づき生成される学習モデルが、30000Hz付近の周波数成分の有無に敏感になるように生成され、検知情報のスペクトログラムが異常であることの尤もらしさを示す尤度を異常スコアとして算出する。
【0128】
一方、処理部17は、学習データ管理DB1003に記憶されている正常を示す学習データに基づき生成される学習モデルを用いて、検知情報のスペクトログラムが正常であることの尤もらしさを示す尤度を算出し、尤度の逆数を異常スコアとして算出する。
【0129】
処理部17は、異常スコアを段階的にランク付けして算出してもよく、0、1の2値で算出してもよく、算出した異常スコアを累積してもよい。
【0130】
図9は、本実施形態に係る診断装置10における表示画面の説明図であり、図9のステップS49において、表示制御部14が、ディスプレイ106aに表示画面2000を表示した状態を示している。
【0131】
表示制御部14は、受付画面1100、振動データ表示画面1200、および異常スコア表示画面1300を表示画面2000に表示させる。
【0132】
表示制御部14は、タグ情報提案画面1110、確定ボタン1120、およびキャンセルボタン1130を受付画面1100に表示させる。
【0133】
表示制御部14は、振動データ表示画面1200において、優先度の高いクラスタに含まれる複数の検知情報A~C毎に、検知情報の振動波形1210A~C、スペクトル1220A~C、および付加情報1230A~Cを表示させるとともに、検知情報切替ボタン1250を表示させる。
【0134】
表示制御部14は、異常スコア1310を時系列で異常スコア表示画面1300に表示させ、時系列の異常スコア1310に対して、複数の検知情報A~Cが出現した期間1320A~Cを重畳して表示する。
【0135】
図9の状態で、ユーザが検知情報切替ボタン1250を操作すると、受付部13は、振動データ表示画面1200に表示される検知情報を切り替えることを指示する指示操作として受け付けて、表示制御部14は、優先度の高いクラスタに含まれる複数の検知情報A~C以外の検知情報について、検知情報の振動波形1210、スペクトル1220、および付加情報1230を表示させる。
【0136】
図9の例では、タグ情報提案画面1110が、タグ情報として「異常」を付加する提案を表示しており、この状態でユーザが、確定ボタン1120を操作すると、受付部13は、タグ情報「異常」を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作として受け付ける。
【0137】
一方、ユーザが、キャンセルボタン1130を操作すると、受付部13は、タグ情報「異常」を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を受け付けない。
【0138】
図10は、本実施形態に係る診断装置10における表示画面の他の説明図である。
【0139】
図9の例では、タグ情報提案画面1110が、タグ情報として「正常」を付加する提案を表示しており、この状態でユーザが、確定ボタン1120を操作すると、受付部13は、タグ情報「正常」を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作として受け付ける。
【0140】
一方、ユーザが、キャンセルボタン1130を操作すると、受付部13は、タグ情報「正常」を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を受け付けない。
【0141】
図11は、本実施形態の処理の変形例を示すシーケンス図である。
【0142】
診断装置10Aの通信部21が、加工機70Aから工具50を駆動開始および駆動終了する制御信号を取得するとともに、これと同期して、検知装置通信部22は、検知装置30から振動の検知情報を取得する(ステップS101)。
【0143】
送受信部11は、ステップS101で取得した検知情報を、管理装置40へ送信し、管理装置40の送受信部41は、送受信部11が送信した振動データを受信する(ステップS102)。
【0144】
診断装置10Bの通信部21が、加工機70Bから工具50を駆動開始および駆動終了する制御信号を取得するとともに、これと同期して、検知装置通信部22は、検知装置30から振動の検知情報を取得する(ステップS111)。ステップS112は、ステップS102と同様である。
【0145】
管理装置40の処理部47は、ステップS102およびステップS112で受信した振動データに含まれる検知情報から振動波形のスペクトルを抽出するとともに、学習データ管理DB4003に記憶されている学習データに基づき生成される学習モデルを用いて、検知情報に基づく異常スコアを算出する(ステップS121)。
【0146】
処理部47は、ステップS102およびステップS112で受信した振動データに含まれる複数の検知情報を複数のクラスタに分類し、複数のクラスタのそれぞれにクラスタ番号を付与するクラスタリングを実行する(ステップS122)。
【0147】
記憶・読出部49は、ステップS122で付与したクラスタ番号を、ステップS102およびステップS112で受信した振動データと対応づけて振動データ管理DB4001に記憶させて振動データを更新する(ステップS123)。
【0148】
処理部47は、記憶・読出部49により、ステップS122で付与したクラスタ番号を検索キーとしてクラスタ管理DB4002を検索させ、タグに「通知対象」が含まれているクラスタを特定するとともに、予め定められた優先度で、ステップS122で分類した複数のクラスタを並び替える。
【0149】
送受信部41は、通信端末80に対して、通知対象クラスタおよび優先度の高いクラスタに係るそれぞれの振動データを送信し、通信端末80の送受信部81は、管理装置40から送信された特定した通知対象クラスタに係る振動データを受信する(ステップS124)。ステップS124は、優先度の高いクラスタを示すクラスタ情報を通信端末80へ送信する送信ステップの一例である。
【0150】
通信端末80の表示制御部84は、特定した通知対象クラスタに係る振動データに含まれる各種情報をディスプレイに表示させる。また、表示制御部14は、優先度の高いクラスタについて、検知情報に対応付けて取得時刻、加工条件、異常スコアをディスプレイに表示させる(ステップS125)。
【0151】
受付部83が、優先度の高いクラスタに対してタグ情報を付加することを指示する指示操作を受け付けると、送受信部81は、管理装置40に対して、受け付けられた指示操作に係るタグ情報を送信し、管理装置40の送受信部41は、通信端末80から送信されたタグ情報を受信する(ステップS126)。ステップS126は、通信端末から、優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する識別情報を受信する受信ステップの一例である。
【0152】
管理装置40の処理部47は、優先度の高いクラスタのクラスタ番号と、タグ情報とを関連付けてクラスタ管理DB4002に記憶させ、優先度の高いクラスタに対して、他のクラスタと異なる処理を実行する(ステップS127)。
【0153】
図12は、本実施形態の管理システムの変形例を示す全体構成図である。図12に示されている管理システム1は、情報処理システムの一例であり、移動体システム60によって取得された各種データを用いて、道路土工構造物の状態の検査を行うためのシステムである。道路土工構造物とは、道路を建設するために構築する土砂や岩石等の地盤材料を主材料として構成される構造物およびそれらに附帯する構造物の総称であり、切土・斜面安定施設、盛土、カルバートおよびこれらに類するものをいう。以下、道路土工構造物を法面と称する。
【0154】
管理システム1は、移動体システム60、診断装置10、管理装置4、国、自治体の通信端末80Bおよび委託事業者の通信端末80Aによって構成されている。移動体システム60は、データ取得装置9およびデータ取得装置9を搭載した車両等の移動体6によって構成されている。データ取得装置9は、構造物を計測する計測装置の例である撮影装置7、並びに距離センサ8aおよびGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)センサ8bを有している。GNSSは、GPS(Global Positioning System)または準天頂衛星(QZSS)等の衛星測位システムの総称である。
【0155】
撮影装置7は、光電変換素子を一列または複数列に配置させたラインセンサを搭載したラインカメラである。撮影装置7は、移動体6の走行方向に沿った撮影面上にある所定の撮影範囲に沿った位置を撮影する。なお、撮影装置は、ラインカメラに限られず、光電変換素子が面状に配置されたエリアセンサを搭載したカメラであってもよい。また、撮影装置は、複数のカメラによって構成されていてもよい。撮影装置7は、計測装置の一例であり、計測装置が取得する計測データの一例である撮影画像を取得する。
【0156】
距離センサ8aは、ToFセンサ(Time of Flight)であり、撮影装置7によって撮影された被写体との距離を計測する。GNSSセンサ8bは、複数のGNSS衛星が発信した各時間の信号を受信し、各信号を受信した時刻との差で衛星までの距離を算出することで、地球上の位置を計測する測位手段である。測位手段は、測位専用の装置であってもよく、PC(Personal Computer)やスマートフォン等にインストールされた測位専用のアプリケーションであってもよい。距離センサ8aおよびGNSSセンサ8bは、センサ装置の一例である。また、距離センサ8aは、三次元センサおよび計測装置の一例であり、計測装置が取得する計測データの一例である三次元データを取得する。
【0157】
距離センサ8aとして用いられるToFセンサは、光源から物体にレーザー光を照射し、その散乱や反射光を計測することにより、光源から物体までの距離を測定する。
【0158】
本実施形態では、距離センサ8aは、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサである。LiDARとは、パルスを用いて光飛行時間を測定する方式であるが、ToFセンサのその他の方式として、位相差検出方式で距離を計測してもよい。位相差検出方式では、基本周波数で振幅変調したレーザ光を計測範囲に照射し、その反射光を受光して照射光と反射光との位相差を測定することで時間を求め、その時間に光速をかけて距離を算出する。また、距離センサ8aは、ステレオカメラ等により構成されてもよい。
【0159】
移動体システム60は、三次元センサを用いることで、法面の高さ、傾斜角度またははらみだし等の二次元の画像からは得ることが困難な三次元の情報を得ることができる。
【0160】
なお、移動体システム60は、さらに、角度センサ8cを搭載した構成であってもよい。角度センサ8cは、撮影装置7の撮影方向の角度(姿勢)または角速度(または各加速度)を検出するためのジャイロセンサ等である。
【0161】
診断装置10および管理装置4は、通信ネットワーク3を介して移動体システム60、通信端末80Bおよび通信端末80Aと通信することができる。通信ネットワーク3は、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。なお、通信ネットワーク3には、有線通信だけでなく、3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)またはLTE(Long Term Evolution)等の無線通信によるネットワークが含まれてもよい。また、診断装置10および管理装置4は、NFC(Near Field Communication)(登録商標)等の近距離通信技術による通信機能を備えていてもよい。
【0162】
管理装置4は、情報処理装置の一例であり、データ取得装置9によって取得された各種データを管理するPC等のコンピュータである。管理装置4は、データ取得装置9から各種取得データを受信し、受信した各種取得データを、データ解析を行う診断装置10に受け渡す。なお、管理装置4から診断装置10への各種取得データの受け渡し方法はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等を使った人的な移動であってもよい。
【0163】
診断装置10は、管理装置4から受け渡された各種取得データに基づいて、法面の状態を評価するPC等のコンピュータである。診断装置10は、法面状態を評価するための専用アプリケーションプログラムがインストールされている。診断装置10は、撮影画像データおよびセンサデータから法面の種別または構造を検出して形状データを抽出するとともに、変状の有無や変状の度合いを検出することによる詳細分析を行う。また、診断装置10は、撮影画像データおよびセンサデータ、評価対象データ、並びに詳細分析結果を用いて、国、自治体または委託事業者等の道路管理者に提出するためのレポートを生成する。診断装置10によって生成されたレポートのデータは、委託事業者を介して国、自治体に、電子データまたは書類に印刷した状態で提出される。診断装置10によって生成されるレポートは、調査記録表、点検表、調査台帳または調書等と称される。なお、診断装置10は、PCに限られず、スマートフォンまたはタブレット端末等であってもよい。
【0164】
通信端末80Aは、委託事業者に備えられており、通信端末80Bは、国、自治体に備えられている。通信端末80Bおよび通信端末80Aは、管理装置4と通信可能であり、管理装置4で管理される各種データが閲覧可能である。
【0165】
図13は、本実施形態の管理システムの変形例における撮影装置7で撮影された撮影画像の説明図である。
【0166】
図13(a)に示すような撮影画像を含む優先度の高いクラスタに対して、ユーザは、例えば、タグ情報「ひび小」を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を行う。
【0167】
図13(b)に示すような撮影画像を含む優先度の高いクラスタに対して、ユーザは、例えば、タグ情報「ひび大」を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を行う。
【0168】
図13(c)に示すような撮影画像を含む優先度の高いクラスタに対して、ユーザは、例えば、タグ情報「金網露出」を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を行う。
【0169】
図13(d)に示すような撮影画像を含む優先度の高いクラスタに対して、ユーザは、例えば、タグ情報「剥離」を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を行う。
【0170】
●まとめ●
[第1態様]
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の一例である診断装置10、管理装置40は、加工機70の工具50の動作によって変化する振動を検知した複数の検知情報を複数のクラスタに分類し、予め定められた優先度に基づき、複数のクラスタのうち優先度の高いクラスタを特定する処理部17、47と、優先度の高いクラスタを表示部の一例であるディスプレイ106a,406aに表示させる表示制御部14、44と、優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する識別情報の一例であるタグ情報を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する確定ボタン1120による指示操作を受け付ける受付部13、43と、を備え、処理部17、47は、優先度の高いクラスタに対して、タグ情報を付加する。
【0171】
ここで、加工機70の工具50の動作によって変化する振動を検知した検知情報は、データの一例である。
【0172】
ここで、実運用上では、すべてのクラスタが後工程で必要とされるわけではない。例えば、後工程でクラスタに基づき異常判断する場合、異常度の基準として有用な模範的加工に対応するクラスタや、最も検知要求が高い異常現象に対応するクラスタは、後工程で必要性が高く、この様なクラスタがタグ情報を付加すべき対象となる。
【0173】
本実施形態では、処理部17、47が、一例として、このような後工程で必要となる可能性があるクラスタを優先度の高いクラスタとして特定することにより、ユーザは、優先度の高いクラスタに対して識別情報を付加することができる。さらに、ユーザは、すべてのクラスタにタグ情報を付加する場合に比べて、優先度の高いクラスタに対して、効率的にタグ情報を付加することができる。
【0174】
[第2態様]
第1態様において、処理部17、47は、タグ情報を付加した優先度の高いクラスタに対して、他のクラスタと異なる処理を実行する。
【0175】
これにより、優先度の高いクラスタに対して、効率的にタグ情報を付加して、他のクラスタと異なる処理を実行させることができる。
【0176】
[第3態様]
第2態様において、処理部17、47は、タグ情報を付加した優先度の高いクラスタを、学習モデルを生成するための学習データとして学習データ管理DB1003、4003に記憶させる。
【0177】
これにより、優先度の高いクラスタに対して、効率的にタグ情報を付加して、学習モデルを生成するための学習データとして記憶させることができる。
【0178】
[第4態様]
第1態様~第3態様の何れかにおいて、データは、対象を計測した計測データであり、優先度は、計測データに基づき決定される対象の異常の可能性を示す可能性情報に基づき、定められる。
【0179】
これにより、ユーザは、対象の異常の可能性が大きいまたは小さいクラスタに対して、効率的にタグ情報を付加することができる。
【0180】
[第5態様]
第1態様~第3態様の何れかにおいて、優先度は、第1の優先度と、第2の優先度を含み、処理部17、47は、複数のクラスタのうち、第1の優先度の高いクラスタおよび第2の優先度の高いクラスタをそれぞれ特定し、表示制御部14、44は、第1の優先度の高いクラスタおよび第2の優先度の高いクラスタをそれぞれディスプレイ106a,406aに表示させ、受付部13、43は、第1の優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する第1のタグ情報を、第1の優先度の高いクラスタに付加することを指示する第1の指示操作および第2の優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別する第2のタグ情報、第2の優先度の高いクラスタに付加することを指示する第2の指示操作をそれぞれ受け付け、処理部17、47は、第1の優先度の高いクラスタに対して第1のタグ情報を付加し、第2の優先度の高いクラスタに対して第2のタグ情報を付加する。
【0181】
これにより、ユーザは、すべてのクラスタにタグ情報を付加する場合に比べて、第1の優先度の高いクラスタおよび第2の優先度の高いクラスタに対して、効率的にタグ情報を付加することができる。
【0182】
[第6態様]
第5態様において、第1の優先度は、計測データに基づき決定される対象の異常の可能性が高いことであり、第2の優先度は、計測データに基づき決定される対象の異常の可能性が低いことである請求項3記載の情報処置装置。
【0183】
これにより、ユーザは、対象の異常の可能性が大きいクラスタ、および対象の異常の可能性が小さいクラスタに対して、効率的にタグ情報を付加することができる。
【0184】
[第7態様]
本発明の一実施形態に係る情報処理装置の一例である管理装置40は、対象を計測した複数の計測データを複数のクラスタに分類し、予め定められた優先度に基づき、複数のクラスタのうち優先度の高いクラスタを特定する処理部17、47と、優先度の高いクラスタを示すクラスタ情報を通信端末80へ送信し、通信端末80から、優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別するタグ情報を受信する送受信部41と、を備え、処理部17、47は、優先度の高いクラスタに対して、タグ情報を付加する。
【0185】
これにより、ユーザは、外部装置側で、すべてのクラスタにタグ情報を付加する場合に比べて、優先度の高いクラスタに対して、効率的にタグ情報を付加することができる。
【0186】
[第8態様]
本発明の一実施形態に係る診断装置10、管理装置40により実行される情報処理方法は、対象を計測した複数の計測データを複数のクラスタに分類する分類ステップと、予め定められた優先度に基づき、複数のクラスタのうち優先度の高いクラスタを特定する特定ステップと、優先度の高いクラスタを表示させる表示ステップと、優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別するタグ情報を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を受け付ける受付ステップと、優先度の高いクラスタに対して、タグ情報を付加する付加ステップと、を実行する。
【0187】
[第9態様]
本発明の一実施形態に係る診断装置10、管理装置40により実行される情報処理方法は、対象を計測した複数の計測データを複数のクラスタに分類する分類ステップと、予め定められた優先度に基づき、複数のクラスタのうち優先度の高いクラスタを特定する特定ステップと、優先度の高いクラスタを示すクラスタ情報を通信端末80へ送信する送信ステップと、通信端末80から、優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別するタグ情報を受信する受信ステップと、優先度の高いクラスタに対して、タグ情報を付加する付加ステップと、を実行する。
【0188】
[第10態様]
本発明の一実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、第6態様または第7態様の情報処理方法を実行させる。
【0189】
[第11態様]
本発明の一実施形態に係る情報処理システムの一例である管理システム1は、管理装置40と、管理装置40と通信可能な通信端末80と、を備えた情報処理システムであって、管理装置40は、対象を計測した複数の計測データを複数のクラスタに分類し、予め定められた優先度に基づき、複数のクラスタのうち優先度の高いクラスタを特定する処理部17、47と、優先度の高いクラスタを示すクラスタ情報を通信端末80へ送信し、通信端末80から、優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別するタグ情報を受信する送受信部41と、を備え、処理部17、47は、優先度の高いクラスタに対して、タグ情報を付加し、通信端末80は、管理装置40から、クラスタ情報を受信する送受信部81と、優先度の高いクラスタをディスプレイに表示させる表示制御部84と、優先度の高いクラスタを他のクラスタと識別するタグ情報を、優先度の高いクラスタに付加することを指示する指示操作を受け付ける受付部83を備え、送受信部81は、タグ情報を管理装置40へ送信する。
【符号の説明】
【0190】
1 管理システム(情報処理システムの一例)
3 通信ネットワーク
7 撮影装置
9 データ取得装置
10 診断装置(情報処理装置の一例)
11 送受信部(送信手段、受信手段の一例)
13 受付部(受付手段の一例)
14 表示制御部(表示制御手段の一例)
15 判断部(判断手段の一例)
17 処理部(処理手段の一例)
19 記憶・読出部(記憶制御手段の一例)
106a ディスプレイ(表示部の一例)
30 検知装置
40 管理装置(情報処理装置の一例)
41 送受信部(送信手段、受信手段の一例)
43 受付部(受付手段の一例)
44 表示制御部(表示制御手段の一例)
45 判断部(判断手段の一例)
47 処理部(処理手段の一例)
49 記憶・読出部(記憶制御手段の一例)
406a ディスプレイ(表示部の一例)
50 工具(対象部、加工部の一例)
60 移動体システム
70 加工機
80 通信端末
1001 振動データ管理DB(振動データ管理手段の一例)
4001 振動データ管理DB(振動データ管理手段の一例)
1002 クラスタ管理DB(クラスタ管理手段の一例)
4002 クラスタ管理DB(クラスタ管理手段の一例)
1003 学習データ管理DB(学習データ管理手段の一例)
4003 学習データ管理DB(学習データ管理手段の一例)
1100 受付画面
1110 タグ情報提案画面
1120 確定ボタン
1130 キャンセルボタン
1200 振動データ表示画面
1210 振動波形(可視情報の一例)
1220 スペクトル(可視情報の一例)
1230 付加情報
1300 異常スコア表示画面
1310 異常スコア
1320 検知情報出現期間
2000 表示画面
図1
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