(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136083
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240927BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06N20/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047056
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】吉見 駿
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】 アノテーションに要する負担を軽減する情報処理装置、システム、方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】 情報処理装置であって、製品に関する作業の動画を取得する作業動画取得部320と、作業の標準的な作業時間のデータを含む標準作業情報を取得する標準作業情報取得部310と、標準作業時間に基づいて、動画の所定箇所と作業とを対応付ける情報であるアノテーション情報を生成するアノテーション処理部330とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品に関する作業の動画を取得する手段と、
前記作業の標準的な作業時間のデータを含む標準作業情報を取得する手段と、
前記標準作業時間に基づいて、前記動画の所定箇所と前記作業とを対応付ける情報であるアノテーション情報を生成するアノテーション処理手段と
を含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記作業時間に基づくシークバーを含む画面を表示する手段をさらに含み、
前記アノテーション処理手段は、前記シークバーに対する操作によって、アノテーションの調整を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示する手段は、前記画面に前記作業動画を表示する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示する手段は、過去のアノテーション結果から算出される作業時間の中央値に基づくシークバーを表示する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示する手段は、過去のアノテーション結果から算出される作業時間の平均値に基づくシークバーを表示する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記標準作業情報は、前記作業に係るラベルのデータを含み、
前記アノテーション処理手段は、前記作業動画の各フレームに前記ラベルを対応付ける、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記アノテーション処理手段によってアノテーションした作業動画に基づいて、AIモデルを生成する手段
をさらに含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
製品に関する作業の動画を取得する手段と、
前記作業の標準的な作業時間のデータを含む標準作業情報を取得する手段と、
前記標準作業時間に基づいて、前記動画の所定箇所と前記作業とを対応付ける情報であるアノテーション情報を生成するアノテーション処理手段と
を含む、システム。
【請求項9】
製品に関する作業の動画を取得するステップと、
前記作業の標準的な作業時間のデータを含む標準作業情報を取得するステップと、
前記標準作業時間に基づいて、前記動画の所定箇所と前記作業とを対応付ける情報であるアノテーション情報を生成するステップ
を含む、方法。
【請求項10】
情報処理装置が実行するプログラムであって、前記情報処理装置を
製品に関する作業の動画を取得する手段、
前記作業の標準的な作業時間のデータを含む標準作業情報を取得する手段、
前記標準作業時間に基づいて、前記動画の所定箇所と前記作業とを対応付ける情報であるアノテーション情報を生成するアノテーション処理手段と
として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AIモデルを生成するための画像に対してアノテーションする情報処理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場などにおいて製品を組み立てる際に、作業中の画像を撮影し、作業の手順の正確性を判定することで、製品の歩留まりを向上させるプロセス保証技術が開発されている。
【0003】
上述の判定は、撮影した画像と、AIモデルとを比較することで行うことができる。そのため、モデルとなる画像のうちモデルとしてより適切な箇所を示す情報としてアノテーション情報を付与する作業がある。
【0004】
例えば、特開2021-089491号公報(特許文献1)では、疑似ラベルが正解ラベルとして妥当か否かの二者択一の判定によりアノテーションを行う技術が開示されている。特許文献1によれば、人によるアノテーションの作業を軽減する技術が提供される。
【0005】
繰り返し作業の録画データにアノテーションを行う場合には、同じ手順を繰り返すこととなり、手間がかかる。この点につき、従来技術では、1サイクル目のアノテーションを、2サイクル目以降に用いることで手間を軽減できる。
【0006】
しかしながら、特許文献1では、上述の疑似ラベルを生成するために、まずは人がアノテーションを行い、正解ラベルを付与している。つまり、1サイクル目のアノテーションについては手間を軽減できず、ユーザの負担が大きかった。そのため、ユーザの手間を軽減するさらなる技術が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、アノテーションに要する負担を軽減する情報処理装置、システム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明によれば、
製品に関する作業の動画を取得する手段と、
前記作業の標準的な作業時間のデータを含む標準作業情報を取得する手段と、
前記標準作業時間に基づいて、前記動画の所定箇所と前記作業とを対応付ける情報であるアノテーション情報を生成するアノテーション処理手段と
を含む、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アノテーションに要する負担を軽減する情報処理装置、システム、方法およびプログラムが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態におけるシステム全体のハードウェアの概略構成を示す図。
【
図2】本実施形態の情報処理装置に含まれるハードウェア構成を示す図。
【
図3】本実施形態の情報処理装置に含まれるソフトウェアブロック図。
【
図5】本実施形態においてアノテーションを行う処理を示すフローチャート。
【
図6】本実施形態においてアノテーションを行うUIの例を示す図。
【
図7】本実施形態における標準作業情報に基づくアノテーション調整の例を示す図。
【
図8】本実施形態において作業動画と対応付けられたアノテーション情報の例を示す図。
【
図9】本実施形態におけるアノテーションの別の例を示すフローチャート。
【
図10】本実施形態におけるアノテーションの別の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。
【0012】
図1は、本実施形態におけるシステム100全体のハードウェアの概略構成を示す図である。
図1では、例として、情報処理装置110と、撮影装置120とが、接続されたシステム100を例示している。なお、情報処理装置110や撮影装置120の台数は、
図1に示したものに限らず、システム100に含まれる装置の台数に制限はない。また、情報処理装置110と、撮影装置120とを接続する方法は、有線または無線のどちらでもよく、例えば、インターネットやLANなどのネットワークを介して接続されてもよい。
【0013】
情報処理装置110は、例えば、パーソナルコンピュータのような装置であって、各種情報の処理、実行などを行うことができる。本実施形態の情報処理装置110は、撮影装置120が撮影した画像にアノテーションをすることができる。また、情報処理装置110は、アノテーションをした画像に基づいてプロセス保証のためのAIモデルを生成することができる。なお、説明する実施形態における情報処理装置110は、
図1に示すようなパソコン端末に限らず、例えば、サーバコンピュータなどの装置であってもよい。
【0014】
撮影装置120は、例えば、カメラのような装置であって、各種画像を撮影することができる。本実施形態の撮影装置120は、製品を組み立てるライン設置され、作業従事者による組立作業の様子を撮影することができる。なお、説明する実施形態では、製品を組み立てる工程を例示しているが、特に実施形態を限定するものではなく、例えば、製品に関する任意の作業に関するものであってもよい。
【0015】
次に、情報処理装置110のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態の情報処理装置110に含まれるハードウェア構成を示す図である。情報処理装置110は、CPU210と、RAM220と、ROM230と、記憶装置240と、通信I/F250と、ディスプレイ260と、入力装置270とを含んで構成され、各ハードウェアはバスを介して接続されている。
【0016】
CPU210は、情報処理装置110の動作を制御するプログラムを実行し、所定の処理を行う装置である。RAM220は、CPU210が実行するプログラムの実行空間を提供するための揮発性の記憶装置であり、プログラムやデータの格納用、展開用として使用される。ROM230は、CPU210が実行するプログラムやファームウェアなどを記憶するための不揮発性の記憶装置である。
【0017】
記憶装置240は、情報処理装置110を機能させるOSや種々のソフトウェア、設定情報、各種データなどを記憶する、読み書き可能な不揮発性の記憶装置である。記憶装置240の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などが挙げられる。
【0018】
通信I/F250は、情報処理装置110とネットワークとを接続し、ネットワークを介して他の装置との通信を可能にする。ネットワークを介した通信は、有線通信または無線通信のいずれであってもよく、TCP/IPなどの所定の通信プロトコルを使用し、各種データを送受信できる。また、本実施形態の通信I/F250は、撮影装置120との通信を行うこともできる。
【0019】
ディスプレイ260は、各種データや情報処理装置110の状態などを、ユーザに対して表示する装置であり、例として、LCD(Liquid Crystal Display)などが挙げられる。入力装置270は、ユーザが情報処理装置110を操作するための装置であり、例として、キーボード、マウスなどが挙げられる。なお、ディスプレイ260と入力装置270は、それぞれ別個の装置であってもよいし、タッチパネルディスプレイのような両方の機能を備えるものであってもよい。
【0020】
以上、本実施形態の情報処理装置110に含まれるハードウェア構成について説明した。次に、本実施形態における各ハードウェアによって実行される機能手段について、
図3を以て説明する。
図3は、本実施形態の情報処理装置110に含まれるソフトウェアブロック図である。
【0021】
本実施形態の情報処理装置110は、
図3に示すように、標準作業情報取得部310、作業動画取得部320、アノテーション処理部330、表示部340、AIモデル生成部350、データ記憶部360の各機能手段を含んで構成される。以下では、各機能手段の詳細を説明する。
【0022】
標準作業情報取得部310は、製品を組み立てるための標準的な作業を示すデータ(以下、標準作業情報として参照する)を取得する手段である。標準作業情報は、例えば、情報処理装置110上で作成されてもよいし、他の装置で作成されたものであってもよい。標準作業情報取得部310が取得した標準作業情報のデータは、データ記憶部360に記憶することができる。ここで、本実施形態の標準作業情報取得部310が取得する標準作業情報の例について、
図4を以て説明する。
【0023】
図4は、本実施形態の標準作業情報の例を示す図である。本実施形態の標準作業情報は、例えば、
図4に示すように、工程名と、作業の順番と、作業名と、作業を行うのに要する標準的な時間とを含むデータ形式とすることができる。
図4に示す標準作業情報の例では、最初の作業(作業1)として作業「AAA」にaa秒を要し、次の作業(作業2)として作業「BBB」にbb秒を要する、工程「XXX」が定義されている。なお、作業数は任意の数とすることができ、作業の順番(作業n(nは自然数))に準拠する。
【0024】
説明を
図3に戻す。作業動画取得部320は、撮影装置120が撮影した、製品を組み立てる工程の動画を取得する手段である。作業動画取得部320が取得した作業動画のデータは、データ記憶部360に記憶することができる。
【0025】
アノテーション処理部330は、取得した動画にアノテーションを行う手段である。より具体的には、アノテーション処理部330は、製品に関する各作業の学習データとして、動画の所定個所がどの作業に対応するのかを示す情報である、アノテーション情報を生成する処理を行う。ここで、本実施形態におけるアノテーション情報とは、アノテーション処理をした結果を指す。本実施形態のアノテーション処理部330は、標準作業情報を読み込んで、動画の各フレームにアノテーションラベルを付加することができる。また、アノテーション処理部330は、ユーザの操作によって、アノテーションを調整することができる。アノテーション情報は、データ記憶部360に記憶することができる。なお、アノテーション情報は一例として、動画の所定箇所を示す情報としての動画中のフレームの情報と、所定箇所に対応する作業と特定する情報(アノテーションラベル)としての作業名とからなるが、これに限られない。つまり動画の所定箇所を示す情報は動画の経過時間などであってもよいし、動画の所定箇所に対応する作業を特定する情報は、作業を特定可能な情報であれば作業に付与された識別子などであってもよい。
【0026】
表示部340は、ディスプレイ260を制御し、種々のデータや操作画面などを表示する手段である。本実施形態の表示部340は、アノテーション処理を行うUIを表示することができる。アノテーション処理を行うユーザは、表示部340によって表示されたUIを見て、各種操作を行うことができる。
【0027】
AIモデル生成部350は、アノテーション情報と、学習用のデータセットとしての動画データとに基づいて、プロセス保証のためのAIモデルを生成する手段である。生成されたAIモデルは、データ記憶部360に記憶することができる。
【0028】
データ記憶部360は、記憶装置240を制御し、各種データなどを記憶する手段である。本実施形態のデータ記憶部360は、例えば、標準作業情報、動画データ、アノテーション情報、AIモデルなどを記憶することができる。
【0029】
なお、上述したソフトウェアブロックは、CPU210が本実施形態のプログラムを実行することで、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
【0030】
さらに、上述した各機能手段は、必ずしも全てが
図3に示すような構成で、1つの情報処理装置110に含まれていなくてもよい。例えば、他の好ましい実施形態では、各機能手段は、複数の情報処理装置110の協働によって実現されてもよい。
【0031】
次に上述した各機能手段によって行う処理について、
図5を以て説明する。
図5は、本実施形態においてアノテーションを行う処理を示すフローチャートである。
【0032】
情報処理装置110は、ステップS1000から処理を開始する。また、ステップS1001では、Nの初期値を0として設定し、続くステップS1002において、Nの値をインクリメントする。
【0033】
ステップS1003では、アノテーション処理部330は、データ記憶部360から、Nサイクル目の作業を録画した動画のデータを読み込む。また、ステップS1004では、アノテーション処理部330は、データ記憶部360から標準作業情報を取得する。なお、ステップS1003およびS1004の処理は、
図5とは逆の順序で行われてもよいし、並行して行われてもよい。
【0034】
次に、ステップS1005では、表示部340はUIを表示し、ユーザが、作業時間を修正することで、アノテーションを行う。ここで、本実施形態において表示されるUIについて
図6を参照して説明する。
【0035】
図6は、本実施形態においてアノテーションを行うUIの例を示す図である。本実施形態では、
図6に示すように、動画表示フィールド610、凡例表示フィールド620、シークバー630、アノテーション完了ボタン640を含むUIが表示される。
【0036】
動画表示フィールド610には、作業を録画した動画が表示される。ユーザは、当該動画を見ながら、アノテーションの調整を行うことができる。
【0037】
凡例表示フィールド620は、シークバー630に表示される各作業の凡例が表示される。凡例は、標準作業情報の作業名に基づいて表示することができる。
【0038】
シークバー630は、再生される動画の進行状況を示すUIである。本実施形態のシークバー630は、作業ごとに異なる色で分けられて表示することができる。すなわち、シークバー630の表示は、凡例表示フィールド620に示された各作業に対応する。また、本実施形態のシークバー630において、各作業の境界の近傍にマウスカーソルを移動させると、両矢印カーソル631が表示される。ユーザは、両矢印カーソル631をドラッグアンドドロップ操作することで、作業の境界の位置(すなわち、各作業の開始時間または終了時間)を変更することができる。本実施形態におけるアノテーションは、各作業の開始時間または終了時間を調整することを含む。
【0039】
アノテーション完了ボタン640は、各作業の時間の調整が完了した場合に押下することで、当該動画についてのアノテーションを完了することができるインターフェースである。
【0040】
アノテーションを行うユーザは、
図6に示すようなUIにおいて、作業動画を見ながら、ある作業が次の作業に移行する時間をシークバー630上で調整する。これによって、作業動画内の各作業が、如何なる作業であるかを対応付けることができる。このようにして、作業動画と作業の内容とを対応付けることで、プロセス保証に生成されるAIモデルの精度を向上できる。
【0041】
また、説明する実施形態では、標準作業情報や作業時間の統計的な情報などに基づいてシークバー630の初期状態を表示することができる。このように、各種情報に基づいてシークバー630の初期状態を表示することで、ユーザがアノテーションを調整する手間を軽減できる。また、標準作業情報によって各作業名が定義されているため、ユーザは、作業名のラベルを入力することなく、アノテーションを行うことができる。
【0042】
説明を
図5に戻す。ステップS1005の後、ステップS1006では、全ての作業時間を修正したか否かによって処理を分岐する。すべての作業時間を修正していない場合には(NO)、ステップS1005に戻り、上記の処理を繰り返す。全ての作業時間を修正した場合には(YES)、ステップS1007に進む。なお、ステップS1006では、
図6に示したアノテーション完了ボタン640が押されたか否かによって処理を分岐することとしてもよい。
【0043】
ステップS1007では、調整されたアノテーション情報をデータ記憶部360に記憶する。
【0044】
その後、ステップS1008では、次の動画があるか否かによって処理を分岐する。次の動画がある場合(YES)、ステップS1002に戻り、Nの値をインクリメントして、次の動画について上記の各処理を繰り返す。次の動画がない場合には(NO)、ステップS1009に進み、処理を終了する。
【0045】
ここで、
図5に示した処理におけるアノテーションの詳細について、
図7を以て説明する。
図7は、本実施形態における標準作業情報に基づくアノテーション調整の例を示す図である。
図7(a)は、アノテーション調整前後のシークバー630の例を示している。また、
図7(b)は、調整前の、すなわち、標準作業情報に基づくアノテーションを示し、
図7(b)は、調整後のアノテーションを示している。
【0046】
図7(a)の上図は、アノテーションの調整前のシークバー630の例であり、例えば、ステップS1005におけるUI上に表示される。ここで、
図7(a)上図のシークバー630は、標準作業情報に規定されている作業名や作業時間に基づいて表示されるものである。すなわち、
図7(a)上図のシークバー630は、
図7(b)のテーブルに対応したものである。
【0047】
ユーザは、
図7(a)の上図のように表示されたシークバー630の各作業の領域を、ドラッグアンドドロップ操作し、領域の大きさを調整し、実際の作業時間に対応するようにアノテーションする。ここで、ユーザは、UI上に表示される作業動画を見ながら調整することで、実際の作業時間に対応したアノテーションを容易に行うことができる。また、
図7(a)の上図のシークバー630は、標準作業情報に基づくものであることから、各作業の領域の大きさは、実際の作業時間に比較的近似している。したがって、ユーザは、アノテーションの調整がわずかなもので済ませることができ、負担を軽減しながら適切なアノテーションを行うことができる。
【0048】
ユーザが、ステップS1005において、
図7(a)の上図のように表示されたシークバー630を調整し、各作業の作業時間を修正することで、例えば、
図7(a)の下図のようなシークバー630とすることができる。これを保存した場合、アノテーション情報は、
図7(c)のようになる。例えば、パーツ取得の作業時間は、調整前の標準的な作業時間では5秒間であったが、実際には7秒であったと調整される。
【0049】
このようにして調整されたアノテーションの結果は、作業動画の各フレームと対応付けられて保存される(ステップS1007)。
図8は、本実施形態において作業動画と対応付けられたアノテーション情報の例を示す図である。
【0050】
図8に示すテーブルは、作業動画の各フレームと、当該フレームがどの作業をしているものであるかを対応付けたものである。フレームは、調整されたアノテーションによる作業時間から算出することができる。また、アノテーションラベルは、作業1、作業2のように、標準作業情報に基づいて割り当てることができる。
【0051】
このようにして作成されたアノテーション情報は、AIモデル生成部350が処理することで、作業の動作と作業名とを対応付けて学習したAIモデルとして生成される。
【0052】
次に、本実施形態のアノテーション処理の別の例について、
図9および
図10を以て説明する。
図9および
図10は、本実施形態におけるアノテーションの別の例を示すフローチャートである。なお、
図9および
図10は、一連の処理を示している。なお、
図9および
図10の処理のうち、
図5で説明した処理と同様の処理については、適宜説明を省略する。
【0053】
情報処理装置110は、ステップS2000から処理を開始する。また、ステップS2001では、Nの初期値を1として設定する。
【0054】
ステップS2002では、アノテーション処理部330は、データ記憶部360から、Nサイクル目、すなわち1サイクル目の作業を録画した動画のデータを読み込む。また、ステップS2003では、アノテーション処理部330は、データ記憶部360から標準作業情報を取得する。なお、ステップS2002およびS2003の処理は、
図5のステップS1003およびS1004の処理と同様である。
【0055】
次に、ステップS2004では、表示部340はUIを表示し、ユーザが、作業時間を修正することで、アノテーションを行う。次に、ステップS2005では、全ての作業時間を修正したか否かによって処理を分岐する。すべての作業時間を修正していない場合には(NO)、ステップS2004に戻り、上記の処理を繰り返す。全ての作業時間を修正した場合には(YES)、ステップS2006に進む。ステップS2006では、調整されたアノテーション情報をデータ記憶部360に記憶する。なお、ステップS2004~S2006の処理は、
図5のステップS1005~S1007の処理と同様である。
【0056】
その後、ステップS2007では、次の動画があるか否かによって処理を分岐する。次の動画がない場合には(NO)、ステップS2008に進み、処理を終了する。次の動画がある場合(YES)、
図10のAに進む。
【0057】
図10のAからステップS2009に進んだ場合、Nの値をインクリメントする。続くステップS2010では、アノテーション処理部330は、データ記憶部360から、Nサイクル目の作業を録画した動画のデータを読み込む。なお、ステップS2010の処理は、ステップS1003の処理と同様である。
【0058】
次に、ステップS2011では、アノテーション処理部330は、アノテーション結果であるN-1回目までのアノテーションの統計値を算出する。ここで、統計値は、例えば中央値や平均値などとすることができるが、特に実施形態を限定するものではない。表示部340は、算出した統計値に基づいて、シークバー630を表示する。このように、過去のアノテーションの実績に基づいて算出された作業時間の中央値や平均値を、シークバー630に反映することで、アノテーションの調整がわずかなもので済むようにでき、ユーザの負担を軽減できる。
【0059】
ステップS2012では、ユーザは、ステップS2011で算出された統計値に基づいて表示されたシークバー630を含むUI上で、作業動画を見ながら作業時間を修正する。
【0060】
その後、ステップS2013では、全ての作業時間を修正したか否かによって処理を分岐する。すべての作業時間を修正していない場合には(NO)、ステップS2012に戻り、上記の処理を繰り返す。全ての作業時間を修正した場合には(YES)、ステップS2014に進む。
【0061】
ステップS2014では、調整されたアノテーション情報をデータ記憶部360に記憶する。
【0062】
その後、ステップS2015では、次の動画があるか否かによって処理を分岐する。次の動画がある場合(YES)、ステップS2009に戻り、Nの値をインクリメントして、次の動画について上記の各処理を繰り返す。次の動画がない場合には(NO)、ステップS2016に進み、処理を終了する。
【0063】
なお、ステップS2013~S2015の処理は、ステップS1006~S1008の処理と同様である。
【0064】
図9および
図10に示した処理によれば、2サイクル目以降のアノテーションでは、統計値に基づく作業時間をシークバー630の初期状態として表示することができるため、過去の作業実績を参考にした調整ができ、ユーザの負担を軽減できる。
【0065】
以上、説明した本発明の実施形態によれば、アノテーションに要する負担を軽減する情報処理装置、システム、方法およびプログラムを提供することができる。
【0066】
上述した本発明の実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)等で記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD-ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM(登録商標)、EPROM等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0067】
上記で説明した実施形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュールなどのデバイスを含むものとする。
【0068】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
100…システム、110…情報処理装置、120…撮影装置、210…CPU、220…RAM、230…ROM、240…記憶装置、250…通信I/F、260…ディスプレイ、270…入力装置、310…標準作業情報取得部、320…作業動画取得部、330…アノテーション処理部、340…表示部、350…AIモデル生成部、360…データ記憶部、610…動画表示フィールド、620…凡例表示フィールド、630…シークバー、631…両矢印カーソル、640…アノテーション完了ボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】