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特開2024-136091液体吐出装置、プログラム、液体吐出方法、及び、ヘッドユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136091
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】液体吐出装置、プログラム、液体吐出方法、及び、ヘッドユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240927BHJP
   B41J 2/205 20060101ALI20240927BHJP
   B41J 2/155 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/205
B41J2/155
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047065
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓也
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EC07
2C056EC37
2C056ED01
2C056FA04
2C056FA13
2C056HA22
2C057AF21
2C057AG15
2C057AG44
2C057AN05
2C057BA14
2C057CA01
(57)【要約】
【課題】液滴の吐出量を増加させずに液滴干渉に伴うドットの移動を抑えること。
【解決手段】液体吐出装置は、相互に異なるタイミングで記録媒体に体積の異なる液滴を吐出可能な複数のノズル列を備えた液体吐出装置であって、液滴の吐出動作を制御する制御部を備え、前記制御部は、吐出量が第1基準量である前記液滴と、吐出量が前記第1基準量よりも多い第2基準量である前記液滴とを、それぞれ異なるノズル列から吐出させる場合に、前記第2基準量である前記液滴の吐出を、前記第1基準量である前記液滴の吐出よりも着弾タイミングが遅いノズル列から吐出するように制御する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に異なるタイミングで記録媒体に体積の異なる液滴を吐出可能な複数のノズル列を備えた液体吐出装置であって、
液滴の吐出動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
吐出量が第1基準量である前記液滴と、吐出量が前記第1基準量よりも多い第2基準量である前記液滴とを、それぞれ異なるノズル列から吐出させる場合に、
前記第2基準量である前記液滴の吐出を、前記第1基準量である前記液滴の吐出よりも着弾タイミングが遅いノズル列から吐出するように制御する、液体吐出装置。
【請求項2】
前記複数のノズル列は、第1方向において異なる位置に配置され、
前記複数のノズル列は、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数のノズルを含み、
前記複数のノズルは、前記液滴として小滴及び前記小滴よりも体積が多い大滴を吐出可能であり、
前記複数のノズル列は、相互に異なるタイミングで記録媒体に着弾するように前記液滴を吐出する、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記複数のノズルは、前記液滴として前記小滴よりも体積が大きく前記大滴よりも体積が小さい中滴を吐出可能であり、
前記記録媒体において前記第1方向に隣接する第1位置及び第2位置に前記液滴を着弾する場合であり、且つ、前記第1位置及び前記第2位置のうち、一方に前記小滴が着弾し、他方に前記中滴又は前記大滴が着弾する場合に、
前記制御部は、
前記小滴を先に吐出し、前記中滴又は前記大滴を後から吐出する、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記複数のノズル列のうち最も着弾タイミングが遅いノズル列を用いて、前記大滴を吐出する、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記複数のノズル列は、第1ノズル列、第2ノズル列、および、第3ノズル列を含み、
前記複数のノズル列のうち、
前記第1ノズル列は、最も着弾タイミングが早い前記液滴を吐出し、
前記第2ノズル列は、最も着弾タイミングが遅い前記液滴を吐出し、
前記第3ノズル列は、前記第1ノズル列による前記液滴の着弾タイミングよりも遅く、前記第2ノズル列による前記液滴の着弾タイミングよりも早い、着弾タイミングで前記液滴を吐出し、
前記第2ノズル列を用いて前記大滴と吐出すると共に、前記第1ノズル列又は前記第3ノズル列を用いて前記大滴を吐出する場合に、
前記制御部は、
前記第3ノズル列を選択しないで、前記第1ノズル列を用いて前記大滴を吐出するように、前記吐出動作を制御する、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記複数のノズル列は、
同一ノズル列内の前記複数のノズルから吐出される前記液滴における吐出量のばらつきが小さいノズル列と、
同一ノズル列内の前記複数のノズルから吐出される前記液滴における吐出量のばらつきが大きいノズル列と、を有し、
前記液滴における吐出量のばらつきが大きいノズル列から吐出される前記液滴の着弾タイミングは、
前記液滴における吐出量のばらつきが小さいノズル列から吐出される前記液滴の着弾タイミングよりも遅い、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第1方向は、前記記録媒体の搬送方向であり、
前記複数のノズル列のうち前記液滴における吐出量のばらつきが最も大きいノズル列は、前記搬送方向において最も下流に配置されている、請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記複数のノズル列は、
吐出後の前記液滴の曲がりが小さいノズルを含むノズル列と、
吐出後の前記液滴の曲がりが大きいノズルを含むノズル列と、を有し、
前記液滴の曲がりが大きいノズルから吐出される前記液滴の着弾タイミングは、
前記液滴の曲がりが小さいノズルから吐出される前記液滴の着弾タイミングよりも遅い、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記第1方向は、前記記録媒体の搬送方向であり、
前記曲がりが大きいノズルを含むノズル列は、前記搬送方向において最も下流に配置されている、請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記曲がりが大きいノズルから吐出される前記大滴の吐出量を、前記曲がりが小さいノズルから吐出される前記大滴の吐出量よりも多くするように前記吐出動作を制御する請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記ノズル列が形成された複数の吐出ヘッドを備え、
前記複数の吐出ヘッドは、前記第1方向に見て重なるように配置され、
前記複数のノズル列は、前記複数の吐出ヘッドに形成された前記ノズル列を含む、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
相互に異なるタイミングで記録媒体に体積の異なる液滴を吐出可能な複数のノズル列を用いて液滴を吐出する吐出動作の制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
吐出量が第1基準量である前記液滴と、吐出量が前記第1基準量よりも多い第2基準量である前記液滴とを、それぞれ異なるノズル列から吐出させる場合に、
前記第2基準量である前記液滴の吐出を、前記第1基準量である前記液滴の吐出よりも着弾タイミングが遅いノズル列から吐出するように制御する処理を前記コンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項13】
相互に異なるタイミングで記録媒体に体積の異なる液滴を吐出可能な複数のノズル列を用いて液滴を吐出する液体吐出方法であって、
吐出量が第1基準量である前記液滴と、吐出量が前記第1基準量よりも多い第2基準量である前記液滴とを、それぞれ異なるノズル列から吐出させる場合に、
前記第2基準量である前記液滴の吐出を、前記第1基準量である前記液滴の吐出よりも着弾タイミングが遅いノズル列から吐出する、液体吐出方法。
【請求項14】
ノズル列が形成された複数の吐出ヘッドを組み付けて、ヘッドユニットを製造する方法であって、
前記ノズル列は、複数のノズルを含み、
前記複数の吐出ヘッドは、
前記複数のノズルから吐出される液滴における吐出量のばらつきが小さい第1吐出ヘッドと、
前記複数のノズルから吐出される液滴における吐出量のばらつきが大きい第2吐出ヘッドと、を有し、
記録媒体の搬送方向における上流側に、前記第1吐出ヘッドを配置し、
前記搬送方向において、前記第1吐出ヘッドよりも下流に前記第2吐出ヘッドを配置する、ヘッドユニットの製造方法。
【請求項15】
ノズル列が形成された複数の吐出ヘッドを組み付けて、ヘッドユニットを製造する方法であって、
前記ノズル列は、複数のノズルを含み、
前記複数の吐出ヘッドは、
吐出後の液滴の曲がりが小さいノズルを含む第1吐出ヘッドと、
吐出後の液滴の曲がりが大きいノズルを含む第2吐出ヘッドと、を有し、
記録媒体の搬送方向における上流側に、前記第1吐出ヘッドを配置し、
前記搬送方向において、前記第1吐出ヘッドよりも下流に前記第2吐出ヘッドを配置する、ヘッドユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、プログラム、液体吐出方法、及び、ヘッドユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のノズル列を備えた液体吐出装置において、画質低下を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、記録媒体への着弾後における液滴干渉に伴うドットの移動を抑えバンディングが認識され難い画像を出力する画像処理装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1では、液滴干渉に伴うドットの移動を抑えるために、記録媒体において着弾された位置から移動する可能性が高いドットに対してドットサイズを1段階大きなサイズに補正していた(例えば、ドットデータが小ドットの場合は、これを中ドットに変更する。また、ドットデータが中ドットの場合は、これを大ドットに変更する。)。そのため、特許文献1に記載の技術では、ドットサイズを1段階大きなサイズに補正した分だけ液滴の吐出量が増え、液体吐出装置における液体の消費量が多くなる場合があった。
【0004】
本発明は、ドットサイズの補正を行うことなく液滴干渉に伴うドットの移動を抑えることが可能な液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る液体吐出装置は、相互に異なるタイミングで記録媒体に体積の異なる液滴を吐出可能な複数のノズル列を備えた液体吐出装置であって、液滴の吐出動作を制御する制御部を備え、前記制御部は、吐出量が第1基準量である前記液滴と、吐出量が前記第1基準量よりも多い第2基準量である前記液滴とを、それぞれ異なるノズル列から吐出させる場合に、前記第2基準量である前記液滴の吐出を、前記第1基準量である前記液滴の吐出よりも着弾タイミングが遅いノズル列から吐出するように制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、ドットサイズの補正を行うことなく液滴干渉に伴うドットの移動を抑えることが可能な液体吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る画像形成装置を示す平面図である。
図2】記録ヘッドのノズル面を示す底面図である。
図3】記録ヘッドのノズル面を拡大して示す底面図である。
図4】第1実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成及び機能構成を示すブロック図である。
図5】ベタ画像におけるドットの配置を示す平面図である。
図6】ベタ画像におけるドットの着弾順を示す図であり、全てのドッドが小滴である場合を示す図である。
図7】ベタ画像におけるドットの着弾順を示す図であり、大滴吐出時に周囲にドットがない場合を示す図である。
図8】ベタ画像におけるドットの着弾順を示す図であり、大滴吐出時に周囲にドットがある場合を示す図である。
図9】明度と粒状度との関係を示すグラフである。
図10】第2実施形態に係る画像形成装置の記録ヘッドのノズル面を拡大して示す底面図である。
図11】ベタ画像におけるドットの着弾順を示す図であり、吐出後の液滴に曲がりがある場合を示す図である。
図12】ベタ画像におけるドットの着弾順を示す図であり、吐出後の液滴に曲がりがある場合を示す図である。
図13】ベタ画像におけるドットの着弾順を示す図であり、吐出後の液滴に曲がりがある場合を示す図である。
図14】第4実施形態に係る画像形成装置の記録ヘッドを示す底面図である。
図15】第5実施形態に係る画像形成装置の記録ヘッドを示す底面図である。
図16】第6実施形態に係る画像形成装置の記録ヘッドを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、液体吐出装置の例として、画像形成装置1について説明する。
【0009】
<第1実施形態に係る画像形成装置>
画像形成装置1は、インクジェット記録装置、又は、インク吐出装置とも呼ばれる。図1は、第1実施形態に係る画像形成装置を示す平面図である。
【0010】
画像形成装置1は、記録媒体P0に対して液滴であるインクを吐出して、画像を形成することができる。記録媒体P0は、例えば用紙であり、ロール紙(連続用紙)又はカット紙などでもよい。記録媒体P0は、どのような形状でもよい。記録媒体P0は、用紙に限定されず、その他の媒体でもよい。記録媒体P0は、画像形成装置1から吐出された液滴が付着可能な媒体であればよい。
【0011】
画像形成装置1は、記録媒体P0をY軸方向に搬送する。Y軸方向は、第1方向の一例である。Y軸方向は、記録媒体P0の搬送方向である。画像形成装置1は、ヘッドユニット2を備える。画像形成装置1は、記録媒体P0に対して、所定の距離を置いてヘッドユニット(記録部)2を支持する。ヘッドユニット2と記録媒体P0の印刷面との間には、所定の距離の隙間が形成される。
【0012】
ヘッドユニット2は、複数の記録部2K,2C,2M,2Yを有する。記録部2Kは、ブラック(K)のインクを吐出する。記録部2Cは、シアン(C)のインクを吐出する。記録部2Mは、マゼンタ(M)のインクを吐出する。記録部2Yは、イエロー(Y)のインクを吐出する。ヘッドユニット2は、用紙搬送速度に同期してインク滴を吐出して、記録媒体P0の上にカラー画像を形成する。ヘッドユニット2に含まれる記録部の数及びインクの色は任意である。ヘッドユニット2は、例えばブラックのインクを吐出する記録部2Kのみを備え、単色で記録するものでもよい。
【0013】
記録部2K,2C,2M,2Yは、複数の記録ヘッド3を備える。図2は、液体吐出ヘッドのノズル面を示す底面図である。記録ヘッド3のノズル面には、複数のノズル4が形成されている。記録ヘッド3は、複数のノズル列L1~L4を有する。ノズル列L1~L4は、X軸方向に並ぶ複数のノズル4を含む。ノズル列L1~L4は、Y軸方向に互いに異なる位置に配置されている。X軸方向は、Y軸方向に対して直交する。X軸方向は、第2方向の一例である。X軸方向は、複数のノズル4が並ぶ方向であり、ノズル列方向である。
【0014】
ノズル列L1において、X軸方向に隣り合うノズル4の間隔は、ピッチpである。ノズル列L1において、複数のノズル4は、ピッチpで配列されている。ノズル列L2~L4においても、ノズル列L1と同様に、複数のノズル4は、ピッチpで配列されている。ピッチPは、隣り合うノズル4の中心間の距離である。
【0015】
複数のノズル列L1~L4は、例えば、用紙搬送方向において、上流側からノズル列L1、ノズル列L3、ノズル列L2、ノズル列L4の順に配置されている。ノズル列L1が最も上流に配置されている。ノズル列L4が最も下流に配置されている。ノズル列L1の下流にノズル列L3が配置されている。ノズル列L3の下流にノズル列L2が配置されている。ノズル列L2の下流にノズル列L4が配置されている。
【0016】
ノズル列L1~L4の複数のノズル4は、X軸方向においてずれて配置されている。図3は、ノズル面を拡大して示す底面図であり、X軸方向における端部に配置されたノズルを示す図である。図3では、例えばX軸方向において最も左側に配置されたノズル4(41~44)を示す。
【0017】
ノズル41は、ノズル列L1に含まれる複数のノズル4のうち最も左側に配置されている。ノズル42は、ノズル列L2に含まれる複数のノズル4のうち最も左側に配置されている。ノズル43は、ノズル列L3に含まれる複数のノズル4のうち最も左側に配置されている。ノズル44は、ノズル列L4に含まれる複数のノズル4のうち最も左側に配置されている。
【0018】
X軸方向において、左側から順に、ノズル41、ノズル42、ノズル43、ノズル44の順に配置されている。X軸方向において、ノズル列L1のノズル41が最も左に配置され、次に、ノズル列L2のノズル42が配置され、次に、ノズル列L3のノズル43が配置され、次に、ノズル列L4のノズル44が配置されている。
【0019】
X軸方向において、ノズル列L1のノズル41と、ノズル列L2のノズル42との間隔は、1/4pである。X軸方向において、ノズル列L2のノズル42とノズル列L3のノズル43との間隔は、1/4pである。X軸方向において、ノズル列L3のノズル43とノズル列L4のノズル44との間隔は、1/4pである。X軸方向において、ノズル列L4のノズル44と右隣りのノズル列L1のノズル41との間隔は、1/4pである。
【0020】
<画像形成装置1のハードウェア構成及び機能構成>
次に図4を参照して画像形成装置1のハードウェア構成及び機能構成を説明する。図4は、第1実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成及び機能構成を示すブロック図である。
【0021】
画像形成装置1は、制御部400、搬送駆動部510、操作表示部520、入出力インターフェイス530、及びバス540を備える。
【0022】
制御部400は、CPU(Center Processing Unit)410、RAM(Random Access Memory)430、及びROM(Read Only Memory)440を有する。制御部400は、NVRAM(Random Access Memory)を有していてもよい。
【0023】
CPU410は演算部であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。CPU410は、記録媒体P0の搬送動作及び記録ヘッド3の移動動作に関する制御を行う。ROM202は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体である。ROM440は、ファームウェア等のプログラムを格納する。RAM430は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体である。RAM430は、CPU410が情報を処理する際の作業領域として用いられる。
【0024】
ROM440に記憶されたプログラムがRAM430に読み出され、CPU410は、RAM430にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。NVRAMは、プログラムを記憶していてもよい。その他の記憶媒体は、プログラムを記憶していてもよい。
【0025】
ハードウェアとソフトウェア制御部との組み合わせによって、画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0026】
CPU410は、ROM440に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM430に記憶させ、当該プログラムを実行して各種演算処理を行う。CPU410は、画像形成装置1の全体動作を統括制御する。
【0027】
画像形成装置1の入出力インターフェイス530には、外部装置600が接続されている。外部装置600は、例えばパーソナルコンピュータである。外部装置600は、プリントジョブ(画像記録命令)及び当該プリントジョブに係る画像データを出力する。外部装置600は、後述するテスト画像(ドットサイズバラツキやドット曲がり検出用チャート)の画像データを出力する。
【0028】
入出力インターフェイス530は、外部装置600と制御部400との間のデータの送受信を媒介する。画像形成装置1は、外部装置600から出力されたデータを、入出力インターフェイス530を介して入力する。ROM440は、外部装置600から入力した各種データを記憶する。
【0029】
バス540は、制御部400と他の構成との間で信号の送受信を行うための経路である。CPU410、記憶部420、RAM430、ROM440、ヘッド駆動部20、搬送駆動部510、操作表示部520、及び入出力インターフェイス530は、バス540に接続されている。
【0030】
制御部400は、搬送駆動部510に制御信号を供給する。搬送駆動部510は、制御部400から供給された制御信号に基づいて、搬送用モーターに駆動信号を供給する。搬送駆動部510は、搬送用モーターに駆動信号を供給することにより、所定の速度及びタイミングで記録媒体P0を搬送させることができる。
【0031】
操作表示部520は、表示装置及び入力装置を含む。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイでもよい。入力装置は、操作キー又はタッチパネルでもよい。表示装置及び入力装置は、これらに限定されない。操作表示部520は、表示装置に各種情報を表示させることができる。操作表示部520は、入力装置に対するユーザの入力操作を操作信号に変換して制御部400に出力する。
【0032】
<記録ヘッドのノズルの配置>
次に、記録ヘッド3におけるノズル4の配置について説明する。図3に示されるように、複数のノズル列L1~L4は、Y軸方向に離れて配置されている。Y軸方向におけるノズル列L1とノズル列L3との間の距離L13は、例えば1.0mmである。Y軸方向におけるノズル列L3とノズル列L2との間の距離L32は、例えば5.0mmである。Y軸方向におけるノズル列L2とノズル列L4との間の距離L24は、例えば1.0mmである。ノズル列L1~L4の配置及び距離L13,L32,L24は、これらに限定されない。
【0033】
<ベタ画像におけるドットの配置>
次に、図5を参照して、ベタ画像におけるドットの配置について説明する。図5は、ベタ画像におけるドットの配置を示す平面図である。ドットdL1~dL4は、記録媒体P0に着弾した後の液滴である。ドットdL1は、ノズル列L1から吐出された液滴から形成される。ドットdL2は、ノズル列L2から吐出された液滴から形成される。ドットdL3は、ノズル列L3から吐出された液滴から形成される。ドットdL4は、ノズル列L4から吐出された液滴から形成される。
【0034】
ベタ画像の場合には、X軸方向において、左端からドットdL1、ドットdL2、ドットdL3、ドットdL4の順に配置されている。なお、ベタ画像の場合には、ノズル列L1、ノズル列L3、ノズル列L2、ノズル列L4の順に、液滴が吐出されて、この順に、液滴が着弾する。
【0035】
ノズル列L1は、最も着弾タイミングが早いノズル列である。ノズル列L4は、最も着弾タイミングが遅いノズル列である。ノズル列L3は、ノズル列L1の次に着弾タイミングが早いノズル列である。ノズル列L2は、3番目に着弾タイミングが早いノズル列である。また、複数のノズル列L1~L3において、ノズル列L1は、最も着弾タイミングが早いノズル列であり、ノズル列L2は、最も着弾タイミングが遅いノズル列である。
【0036】
<液滴の着弾順;小滴>
次に図6を参照して、液滴の着弾順について説明する。図6は、ベタ画像におけるドットの着弾順を示す図であり、全てのドッドが小滴である場合を示す図である。図6では、搬送方向であるY軸方向に3画素、ノズル列方向であるX軸方向に4画素、合計12画素のマス目が示されている。ここでは、全てドットが小滴である場合について例示する。ドットが小滴であるとは、小滴である液滴が吐出されて記録媒体P0の上にドットが形成されることをいう。また、液滴をドットと記載する場合がある。
【0037】
ドット(液滴)の着弾順は、液滴の吐出の順番に従う。液滴の吐出の順番は、記録媒体P0の搬送方向におけるノズル列L1~L4(L1→L3→L2→L4)の配置の順番に従う。最初にノズル列L1のドットd1,d2,d3が着弾する。次に、ノズル列L3のドットd4,d5,d6が着弾する。次に、ノズル列L2のドットd7,d8,d9が着弾する。次に、ノズル列L4のドットd10,d11,d12の順に着弾する。
【0038】
ここで、各画素サイズは印字解像度に依存する。例えば1200dpi×1200dpiであれば1画素21μm相当となる。この場合、ノズルレイアウト上、ノズル列の間の距離L13,L32,L24が数mm程度存在するため、ノズル列間の着弾時間の差は、数msオーダーとなる。同一ノズル4から連続で、液滴を打ち出す場合の着弾時間の差は、数μsオーダーとなる。
【0039】
なお、印字解像度は1200dpi×1200dpiに限らず、600dpi×600dpi、又は、2400dpi×2400dpi、又は、600dpi×1200dpiであってもよい。通常、各印字解像度に応じた液滴サイズが適用されるため、1画素を1ドットで埋めることには変わりはない。一般的にノズル列の間の距離による着弾時間の差よりも、同一ノズル4から吐出された液滴における着弾時間の差の方が短い。液滴の着弾タイミングの調整が困難になるため、上記の関係が逆転するような極端にノズル列の間の距離L13,L32,L24が離れている記録ヘッド3は存在しない。
【0040】
また、ここで描いた小滴のドットサイズは各画素に内接する大きさで図示されているが、ドットd1~d12のサイズは、この限りではない。ドットd1~d12のサイズは、これよりも大きくてもよいし、小さくてもよい。以降は小滴を各画素に内接する大きさ、大滴は外接する大きさで描いている。大滴は、小滴よりも体積が大きい液滴である。大滴は、例えば、3つの小滴が結合して形成された液滴である。
【0041】
<液滴の着弾順;小滴及び大滴が混在する場合;その1>
ここで説明する液滴の着弾順は、従来技術に係る画像形成装置によってドットが形成される場合である。次に図7を参照して、小滴及び大滴が混在する場合であって、大滴の着弾前に、X軸方向において大滴の着弾位置の両側にドットが存在しない場合について説明する。図7に示す場合は、小滴を11滴、大滴を1滴吐出してベタ画像を形成する場合である。図7に示す場合において、液滴の着弾順は、図6に示す場合と同様である。最初にノズル列L1のドットd1,d2,d3が着弾する。次に、ノズル列L3のドットd4,d5,d6が着弾する。次に、ノズル列L2のドットd7,d8,d9が着弾する。次に、ノズル列L4のドットd10,d11,d12の順に着弾する。
【0042】
図7(a)に示されるように、ドットd1~d4は、小滴である。ドットd5は、大滴である。ドットd5と、ドットd5に先行するドットd4との時間差は、数μsである。図7(b)に示されるように、この場合には、ドットd5と、ドットd4とが重なり合一によりドットd4及びドットd5が移動して互いに引き寄せ合う。合一とは、記録媒体に着弾した液滴(ドット)同士が引き寄せ合って移動して合体することをいう。合一は、液滴の干渉の一例である。
【0043】
この直後、数μsの時間差でドットd6の小滴が吐出される。このとき、ドットd5は、ドットd4に近づくように、ドットd6から離れるように移動する。そのため、ドットd5と、ドットd6との合一は生じにくい。
【0044】
この後、数msの時間差で、ノズル列L2からドットd7~d9が着弾し、ノズル列L4からドットd10~d12が着弾する。このとき、ドットd5と、X軸方向において両側に配置されたドットd7~d12との間に、オーバーラップが生じるが、ドットd5と、ドットd7~d12との間には、着弾の時間差があるため合一によるドットの移動は比較的に軽微である。図7(d)に示されるように、この場合、全てのドットd1~d12が着弾した画像は、ドットd4,d5の周囲に、隙間が生じる。例えばY軸方向において、ドットd4,d5の両側には、インクが付着していない領域が生じる。従来技術にかかる画像形成装置では、大滴であるドットd5とこれに隣接する小滴であるd4とが合一して、液滴が移動する。そのため、インクが付着していない領域が生じる。
【0045】
<液滴の着弾順;小滴及び大滴が混在する場合;その2>
次に、図8を参照して、小滴及び大滴が混在する場合であって、大滴の着弾前に、X軸方向において大滴の着弾位置の両側にドットd2,d5が存在している場合について説明する。図8では、ノズル列L2のノズル4から大滴を1滴吐出する場合を示す。液滴の着弾タイミングは上述したように、液体の吐出のタイミングに従う。液体の吐出の順序は、上述したように、ノズル列L1、ノズル列L3、ノズル列L2、ノズル列L4である。
【0046】
図8(a)に示されるように、ドットd1~d7は小滴である。ドットd8は大滴である。ドットd8と、ドットd8に先行するドットd7との時間差は、数μsである。図8(b)に示されるように、この場合には、ドットd8と、ドットd7が重なる。このとき、ドットd8は、X軸方向に隣接するドットd2,d5とも重なる。ドットd8は最も着弾時間差の短いドットd7に近づくように移動しやすくなるが、ドットd8は、ドットd2,d5とも重なる。この場合ドットd8の移動量は、図7(b)に示されるドットd5の移動量と比較して軽微である。
【0047】
ドットd8の着弾後、図8(c)に示されるように、ドットd9が着弾する。次に、ノズル列L4から吐出されたドットd10~d12が順に着弾する。全てのドットd1~d12が着弾した画像はドットd8の周囲で多少の移動はあるものの、ドットd8の隙間は生じない、あるいは軽微である。
【0048】
以上のように、同量の滴構成(小滴11滴、大滴1滴)であっても周囲ドットの状況により、ドットの移動量が異なる。ノズル列L3を用いて、図7(b)に示すように先に大滴を吐出した場合に比べて、ドットの移動が少なく、合一による画質低下を抑制できる。
【0049】
また、小滴のみで同様のベタ画像等を形成する際、ノズル4毎のドットサイズのバラツキが存在する場合にも、上記と同様にドットサイズが大きく出るノズル4を着弾タイミングが遅くなるようにするのが良い。
【0050】
<制御部400>
図4に示す制御部400について説明する。制御部400は、複数のノズル列L1~L4から吐出される液滴の吐出動作を制御する。制御部400は、液滴が互いに異なるタイミングで記録媒体P0に着弾するように、液滴の吐出動作を制御することができる。制御部400は、液滴における吐出量を変更するように、吐出動作を制御する。制御部400は、ヘッド駆動部20に制御信号を送信して、圧電素子を駆動して、吐出動作を制御する。
【0051】
制御部400は、複数のノズル列L1~L4(L1→L3→L2→L4)のうち着弾タイミングが早いノズル列L1を用いて、吐出量が第1基準量である液滴を吐出させる。この場合のノズル列L1は、第1ノズル列に対応する。制御部400は、複数のノズル列L1~L4のうち着弾タイミングが遅いノズル列L4を用いて、吐出量が第1基準量よりも多い第2基準量である大滴を吐出させる。この場合のノズル列L4は、第2ノズル列に対応する。吐出量が第1基準量である液滴は、例えば小滴でもよい。制御部400は、複数のノズル列L1~L3(L1→L3→L2)のうち着弾タイミングが最も遅いノズル列L2を用いて、吐出量が第1基準量よりも多い第2基準量である大滴を吐出させてもよい。
【0052】
制御部400は、複数のノズル列L1~L4から吐出量が第3基準量である中滴を吐出させてもよい。第3基準量は、第1基準量よりも多く、第2基準量よりも少ない。中滴は、小滴よりも体積が大きく、大滴よりも体積が小さい液滴である。中滴は、例えば2つの小滴が結合して形成された液滴である。
【0053】
記録媒体P0において第1方向であるY軸方向に隣接する第1位置及び第2位置に液滴を着弾する場合であり、且つ、第1位置及び第2位置のうち、一方に小滴が着弾し、他方に中滴又は大滴が着弾する場合に、制御部400は、小滴を先に吐出し、中滴又は大滴を後から吐出するように、吐出動作を制御できる。
【0054】
例えば、図8(b)に示されるように、ドットd7及びドットd8に液滴を着弾する場合であり、且つ、ドットd7及びドットd8のうち、一方に小滴が着弾し、他方に中滴又は大滴が着弾する場合に、制御部400は、小滴をドットd7に着弾するように先に吐出し、大滴をドットd8に着弾するように後から吐出させる。
【0055】
制御部400は、複数のノズル列L1~L3(L1→L3→L2)のうち最も着弾タイミングが遅いノズル列L2を用いて、大滴を吐出するように、吐出動作を制御することができる。制御部440は、複数のノズル列L1~L3のうち、ノズル列L2よりも着弾タイミングが早いノズル列L1,L3を用いて、小滴を吐出するように、吐出動作を制御する。
【0056】
制御部400は、着弾タイミングが早い方のノズル列L1,L3から小滴を吐出した後に、着弾タイミングが遅い方のノズル列L2から大滴を吐出するように、吐出動作を制御することができる。
【0057】
制御部400は、複数のノズル列L1~L4のうち最も着弾タイミングが遅いノズル列L4を用いて、大滴を吐出するように、吐出動作を制御することができる。制御部440は、複数のノズル列L1~L4のうち、ノズル列L4よりも着弾タイミングが早いノズル列L1~L3を用いて、小滴を吐出するように、吐出動作を制御する。
【0058】
制御部400は、着弾タイミングが早い方のノズル列L1,L3,L2から小滴を吐出した後に、着弾タイミングが遅い方のノズル列L4から大滴を吐出するように、吐出動作を制御することができる。
【0059】
<第1実施形態に係る画像形成装置の作用効果>
第1実施形態に係る画像形成装置1によれば、制御部400は、複数のノズル列L1~L4のうち着弾タイミングが早いノズル列L1を用いて、吐出量が第1基準量である小滴を吐出させ、複数のノズル列L1~L4のうち着弾タイミングが遅いノズル列L4を用いて、吐出量が第1基準量よりも多い第2基準量である大滴を吐出させるように、吐出動作を制御する。
【0060】
この構成の画像形成装置1によれば、大滴を後から吐出させることにより、小滴よりあとに、大滴を着弾させて、着弾後の液滴の合一を抑制することができる。小滴が先に着弾することにより、小滴の乾燥が進行し、小滴の移動が抑制される。その結果、画質低下を抑制できる。画像形成装置1では、液滴の吐出量を増加させることなく、大滴を吐出するノズル列として、複数のノズル列のうち、着弾タイミングが遅いノズル列L4を使用することにより、着弾後の液滴干渉に伴うドットの移動を抑制できる。また、従来技術のように、液滴のサイズを大きくする場合には、乾燥が不十分になるおそれがあるが、画像形成装置1では、液滴のサイズを大きくしないで、ドットの移動を抑制することができる。そのため、乾燥が不十分になるおそれを軽減し、画質低下を抑制することができる。
【0061】
<明度と粒状度との関係>
次に、図9を参照して、ドット埋まり向上による粒状性、濃度再現性の効果について説明する。ドット埋まり向上とは、隣接するドット間に隙間が少ないことを含む。図9は、明度と粒状度との関係を示すグラフである。図9では、横軸に明度を示し、縦軸に粒状度を示す。
【0062】
画像形成装置1は通常、明るい側(紙白側)から暗い側(高濃度側)にかけて徐々にドットの打ち込み数を増やすことで階調を表現している。高濃度部を表現する際、小滴だけでは十分な濃度が出せない(明度として暗くしきれない)ため、一定の階調から中滴や大滴などドットサイズの大きい滴種を用いるのが一般的である。このとき、図7及び図8で示したように、大滴を使用するノズル列によっては同じ打ち込み量でも埋まり方に違いが生じる。
【0063】
その結果、画像形成装置1は、大滴を吐出する際のノズル列を考慮していない従来技術と比較して、大滴使用領域においてドットの埋まり状況が向上する。図9に示されるように、同じ打ち込み量でも粒状度と明度(得られる濃度)に明確な差が生じる。
【0064】
ここで、図9の横軸はある階調における明度を示しており、数値が高いほど、濃い色が得られることを示す。縦軸は粒状度を示す。粒状度の数値が低いほど、画像が滑らかになることを示す。画像が滑らかになるとは、画像のざらつき、ぼそつきを感じにくくなることを示す。
【0065】
従来技術では、は大滴使用領域において、粒状度として第2のピークが存在し、視認できるレベルで画質が低下する。従来技術では、十分な濃度を出せないため、さらに大滴の打ち込み量を増やす必要があり、その場合はインクの消費量が増える。
【0066】
画像形成装置1では、効率よく記録媒体P0をドットで埋められる場合は、粒状度の第2ピークは出現せず、濃度効率も良くなる。さらに、従来の終端濃度が目標値であれば、数階調分(図9の例では2階調分)ドット打ち込み量を減らしても達成できることが分かる。それに伴い、消費インク量の削減が可能で、同時に乾燥に用いるエネルギー消費も削減可能となる。同様の理由でラインヘッドを有する画像形成装置1のさらなる高線速化にも寄与できる。
【0067】
<第2実施形態に係る画像形成装置>
次に、第2実施形態に係る画像形成装置1について説明する。図10は、第2実施形態に係る画像形成装置の記録ヘッドのノズル面を拡大して示す底面図である。第2実施形態に係る画像形成装置1が、第1実施形態に係る画像形成装置1と違う点は、記録ヘッド3に代えて、ノズル列L1~L4の配置が異なる記録ヘッド3Bを備える点である。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0068】
図10に示されるように、記録ヘッド3Bは、複数のノズル列L1~L4を備える。記録媒体P0の搬送方向において、上流から、ノズル列L1、ノズル列L2、ノズル列L3、ノズル列L4の順に配置されている。
【0069】
X軸方向において、左側の端から順に、ノズル列L1のノズル41、ノズル列L2のノズル42、ノズル列L3のノズル43、ノズル列L4のノズル44が配置されている。
【0070】
Y軸方向におけるノズル列L1とノズル列L2との間の距離L12は、例えば1.0mmである。Y軸方向におけるノズル列L2とノズル列L3との間の距離L23は、例えば5.0mmである。Y軸方向におけるノズル列L3とノズル列L4との間の距離L34は、例えば1.0mmである。ノズル列L1~L4の配置及び距離L12,L23,L34は、これらに限定されない。
【0071】
<液滴の吐出順序>
画像形成装置1では、複数のノズル列L1~L4(L1→L2→L3→L4)を用いて、大滴を吐出する場合には、着弾タイミングが遅いノズル列L4から吐出する。大滴を吐出する場合の優先順は、ノズル列L4が最も高く、次に、ノズル列L3が高く、次にノズル列L2が高く、ノズル列L1が最も低い。
【0072】
例えば、ノズル列L4から大滴を吐出する場合、且つ、ノズル列L3から大滴を吐出する場合には、画像上において大滴が隣接することになる。この場合、局所的に濃度の濃い部分が発生し、黒筋等のバンディングとして視認されやすくなる。
【0073】
第2実施形態に係る画像形成装置1では、ノズル列L4を用いて大滴を吐出する場合に、且つ、その他のノズル列L1~L3を用いて大滴を吐出する場合に、ノズル列L4のノズル44に隣接するノズル列L3のノズル43及びノズル列L1のノズル41ではなく、ノズル列L2のノズル42を用いる。
【0074】
画像形成装置1では、複数のノズル列L1~L3(L1→L2→L3)を用いて、大滴を吐出する場合には、着弾タイミングが遅いノズル列L3から吐出する。大滴を吐出する場合の優先順は、ノズル列L3が最も高く、次に、ノズル列L2が高く、ノズル列L1が最も低い。
【0075】
また、第2実施形態に係る画像形成装置1では、ノズル列L3を用いて大滴を吐出する場合に、且つ、その他のノズル列L1,L2を用いて大滴を吐出する場合に、ノズル列L3のノズル43に隣接するノズル列L2のノズル42ではなく、ノズル列L1のノズル41を用いる。
【0076】
なお、記録ヘッド3が、5列以上のノズル列を有する場合において、複数のノズル列から大滴を吐出する場合には、隣接しないノズル列のうち、最も着弾タイミングが遅いノズル列から大滴を吐出することが好ましい。
【0077】
<第2実施形態に係る画像形成装置の作用効果>
このような第2実施形態に係る画像形成装置1においても、上記の第1画像形成装置と同様の作用効果を奏する。
【0078】
<第3実施形態に係る画像形成装置>
次に、第3実施形態に係る画像形成装置1について説明する。第3実施形態に係る画像形成装置1が上記の第1実施形態に係る画像形成装置1と違う点は、ノズル列L1~L4から吐出された液滴の曲がりの程度を考慮して、液滴の吐出順序が決められている点である。なお、第3実施形態の説明において、上記の実施形態と同様の説明は省略する。
【0079】
<液滴の着弾順;吐出後の液滴に曲がりがある場合;その1>
図11を参照して、吐出後の液滴に曲がりがある場合について説明する。図11は、ベタ画像におけるドットの着弾順を示す図であり、吐出後の液滴に曲がりがある場合を示す図である。図11では、搬送方向であるY軸方向に3画素、ノズル列方向であるX軸方向に4画素、合計12画素のマス目が示されている。ここでは、全てドットが小滴である場合について例示する。
【0080】
液滴の着弾のタイミングは、上記の第1実施形態と同様に、ノズル列L1、ノズル列L3、ノズル列L2、ノズル列L4の順である。搬送方向において、上流に配置されたノズル列L1、ノズル列L3、ノズル列L2、ノズル列L4の順に液滴が吐出される。液滴の着弾順は、液滴の吐出順と同じである。
【0081】
図11に示す場合では、ノズル列L3から吐出される液滴に曲がりが生じる。ノズル列L3から吐出された液滴であるドットd4~d6は、例えば左側にずれて着弾する。
【0082】
この後、ドットd7~d9が着弾する。このとき、X軸方向に隣り合うドットd4,d7が重なり、ドットd5,d8が重なり、ドットd6,d9が重なり合一する。
【0083】
このとき、先に着弾しているドットd4~d6の移動は軽微であり、ドットd7~d9は、ドットd4~d6に引き寄せよせられる。図11(d)に示されるように、ドットd1~d12の全てが着弾した状態では、重なりあうドットd4,d7、ドットd5,d8、及びドットd6,d9のX軸方向における両側に、隙間が生じやすく、筋として認識されやすい。
【0084】
<液滴の着弾順;吐出後の液滴に曲がりがある場合;その2>
図12を参照して、吐出後の液滴に曲がりがある場合について説明する。図12は、ベタ画像におけるドットの着弾順を示す図であり、吐出後の液滴に曲がりがある場合を示す図である。液滴の着弾のタイミングは、上記の第1実施形態と同様である。
【0085】
図12に示す場合では、ノズル列L2から吐出される液滴に曲がりが生じる。ノズル列L2から吐出された液滴であるドットd7~d9は、例えば右側にずれて着弾する。曲がりが生じている液滴の着弾位置のX軸方向における両側には、既に、ドットd1~d6が着弾している。
【0086】
このとき、X軸方向に隣り合うドットd4,d7が重なり、ドットd5,d8が重なり、ドットd6,d9が重なり合一するが、先に着弾しているドットd4~d6の移動は軽微であり、ドットd7~d9は、ドットd4~d6に引き寄せられ右側に移動する。
【0087】
図12(d)に示されるように、ドットd1~d12の全てが着弾した状態では、ドットd7~d9の左側においてわずかに隙間が生じ、筋が発生する。図12に示される場合は、図11に示される場合と比較して、筋としての視認性が低い。
【0088】
<液滴の着弾順;吐出後の液滴に曲がりがある場合;その3>
図13を参照して、吐出後の液滴に曲がりがある場合について説明する。図13は、ベタ画像におけるドットの着弾順を示す図であり、吐出後の液滴に曲がりがある場合を示す図である。液滴の着弾のタイミングは、上記の第1実施形態と同様である。
【0089】
図13に示す場合では、ノズル列L2から吐出される液滴に曲がりが生じる。ノズル列L2から吐出された液滴であるドットd7~d9は、例えば右側にずれて着弾する。曲がりが生じている液滴の着弾位置のX軸方向における両側には、既に、ドットd1~d6が着弾している。また、ノズル列L2から吐出される液滴は、大滴である。
【0090】
このとき、ドットd7は、X軸方向において隣接するドットd1,d4に重なり合一するが、ドットd7より先に着弾しているドットd1,d4の移動は軽微であり、両側から引力が働くことにより、ドットd7の移動は軽微である。
【0091】
ドットd8も同様に、X軸方向において隣接するドットd2,d5に重なり合一するが、ドットd8より先に着弾しているドットd2,d5の移動は軽微であり、両側から引力が働くことにより、ドットd8の移動は軽微である。また、ドットd8は、Y軸方向において、ドットd7と重なることにより、ドットd7に近づくように移動する。
【0092】
ドットd9も同様に、X軸方向において隣接するドットd3,d6に重なり合一するが、ドットd9より先に着弾しているドットd3,d6の移動は軽微であり、両側から引力が働くことにより、ドットd9の移動は軽微である。また、ドットd9は、Y軸方向において、ドットd8と重なることにより、ドットd8に近づくように移動する。
【0093】
図13(d)に示されるように、全てのドットd1~d12が着弾した後に、X軸方向において、ドットd4~d6及びドットd7~d9の両側に隙間が生じず、筋は発生しない。この場合、重なりが大きく局所的に濃度が濃くなるが、液滴の吐出量が多い高濃度部において黒筋の認知性は、白筋に比べて低い。したがって、図13(d)の画質は、図12(d)の画質よりも高い。
【0094】
<第4実施形態に係る画像形成装置>
次に、第4実施形態に係る画像形成装置1について説明する。図14は、第4実施形態に係る画像形成装置の記録ヘッドを示す底面図である。第4実施形態に係る画像形成装置1が、第1実施形態に係る画像形成装置1と違う点は、複数の記録ヘッド3,3Cを有するデュアルヘッド3Wを備える点である。なお、第4実施形態の説明において、上記の実施形態と同様の説明は省略する。
【0095】
例えばラインヘッドエンジンである画像形成装置1では、記録ヘッド3,3Cを並べて、高画質化を図ることができる。複数の記録ヘッド3,3CをY軸方向に並べることにより、ノズル密度を高めることができる。
【0096】
デュアルヘッド3Wは、Y軸方向に並ぶ複数の記録ヘッド3,3Cを有する。記録ヘッド3Cは、記録ヘッド3と同じ構造である。記録媒体P0の搬送方向において、記録ヘッド3Cは、記録ヘッド3の下流側に配置されている。
【0097】
記録ヘッド3,3Cは、X軸方向にずれて配置されている。記録ヘッド3Cのノズル4は、記録ヘッド3のノズル4に対して、1/8pずれて配置されている。例えば、記録ヘッド3のノズル密度が600dpiである場合には、デュアルヘッド3Wのノズル密度は、1200dpiとなる。
【0098】
この場合、液滴の吐出順序は、ノズル列L1,L3,L2,L4の配置に従う。液滴の着弾のタイミングは、液滴の吐出の順序に従う。液滴の吐出順序は、記録ヘッド3のノズル列L1、ノズル列L3、ノズル列L2、ノズル列L4、記録ヘッド3Cのノズル列L1、ノズル列L3、ノズル列L2、ノズル列L4である。デュアルヘッド3Wの8本のノズル列のうち、記録ヘッド3のノズル列L1は、最も着弾タイミングは早いノズル列である。デュアルヘッド3Wの8本のノズル列のうち、記録ヘッド3Cのノズル列L4は、最も着弾タイミングが遅いノズル列である。
【0099】
例えばデュアルヘッド3WのようにY軸方向に記録ヘッド3,3Cを並べて配置する場合、シングルヘッドである記録ヘッド3,3Cごとに吐出後の液滴のサイズのばらつきを観察しておく。デュアルヘッド3Wを組み付ける際に、ドットサイズが大きく出やすい記録ヘッド3を搬送方向における下流側の記録ヘッド3Cとして配置する。ドットサイズが小さい方の記録ヘッド3を搬送方向における上流側の記録ヘッド3として配置する。上流側の記録ヘッド3から吐出された液滴によるドットサイズは、下流側の記録ヘッド3Cから吐出された液滴によるドットサイズよりも小さい。このような構成のデュアルヘッド3Wによれば、合一によるドットの移動を抑制でき、画質劣化を抑制できる。この場合における各ドットサイズの計測方法は、飛翔滴をカメラで観測してもよい、メディアに打ち出して計測してもよい。
【0100】
<第5実施形態に係る画像形成装置>
次に、第5実施形態に係る画像形成装置1について説明する。図15は、第5実施形態に係る画像形成装置の記録ヘッドを示す底面図である。第5実施形態に係る画像形成装置1が、第1実施形態に係る画像形成装置1と違う点は、複数の記録ヘッド3,3C,3Dを有するヘッド3WBを備える点である。なお、第5実施形態の説明において、上記の実施形態と同様の説明は省略する。
【0101】
ヘッド3WBは、Y軸方向に並ぶ複数の記録ヘッド3,3C,3Dを有する。記録ヘッド3Dは、記録ヘッド3,3Cと同じ構造である。記録媒体P0の搬送方向において、記録ヘッド3Dは、記録ヘッド3Cの下流側に配置されている。記録ヘッド3,3C,3Dは、X軸方向にずれて配置されている。
【0102】
このようなヘッド3WBにおいても、記録媒体P0の搬送方向の上流側の記録ヘッド3のノズル列L1から順に液滴を吐出する。
【0103】
ヘッド3WBの12本のノズル列のうち、記録ヘッド3のノズル列L1は、最も着弾タイミングは早いノズル列である。ヘッド3WBの12本のノズル列のうち、記録ヘッド3Dのノズル列L4は、最も着弾タイミングが遅いノズル列である。
【0104】
第5実施形態に係る画像形成装置1においても、上記の第1実施形態に係る画像形成装置1と同様の作用効果を奏する。
【0105】
<第6実施形態に係る画像形成装置>
次に、第6実施形態に係る画像形成装置1について説明する。図16は、第6実施形態に係る画像形成装置の記録ヘッドを示す底面図である。第6実施形態に係る画像形成装置1が、第4実施形態に係る画像形成装置1と違う点は、複数のデュアルヘッド3W,3WCを備える点である。なお、第6実施形態の説明において、上記の実施形態と同様の説明は省略する。
【0106】
複数のデュアルヘッド3W,3WCは、Y軸方向に並んで配置されている。デュアルヘッド3WCは、デュアルヘッド3Wと同じ構造である。記録媒体P0の搬送方向において、デュアルヘッド3WCは、デュアルヘッド3Wの下流側に配置されている。デュアルヘッド3W,3WCは、X軸方向にずれて配置されている。
【0107】
このようなデュアルヘッド3W,3WCにおいても、記録媒体P0の搬送方向の上流側の記録ヘッド3のノズル列L1から順に液滴を吐出する。
【0108】
デュアルヘッド3W,3WCの12本のノズル列のうち、デュアルヘッド3Wの記録ヘッド3のノズル列L1は、最も着弾タイミングは早いノズル列である。デュアルヘッド3W,3WCの16本のノズル列のうち、デュアルヘッド3WCの記録ヘッド3Cのノズル列L4は、最も着弾タイミングが遅いノズル列である。
【0109】
第6実施形態に係る画像形成装置1においても、上記の第1実施形態に係る画像形成装置1と同様の作用効果を奏する。
【0110】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0111】
[シリアルヘッド]
画像形成装置1は、ノズル列L1~L4が記録媒体P0の搬送方向と交差する方向に延在するラインヘッドを備えるものに限定されない。画像形成装置1は、記録ヘッド3を備えたキャリッジは、記録媒体P0の搬送方向と交差する方向に移動するシリアルヘッドを備えるものでもよい。キャリッジに搭載された記録ヘッド3のノズル列L1~L4は、搬送方向に沿って配置されている。記録ヘッド3のノズル列L1は、例えば、キャリッジの移動方向の前側に配置され、ノズル列L4は、キャリッジの移動方向の後側に配置される。この構成においても、ノズル列L1は、最も着弾タイミングが早いノズル列であり、ノズル列L4は、最も着弾タイミングが遅いノズル列である。
【0112】
[処理回路]
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0113】
[液体吐出装置]
上記の実施形態では、液体吐出装置の一例として、画像形成装置1について説明しているが、液体吐出装置は、画像形成装置1に限定されない。液体吐出装置は、液滴としてインクを吐出するものに限定されず、その他の液体を吐出するものでもよい。
【0114】
本発明の一態様は、以下のとおりでもよい。
【0115】
<1>
相互に異なるタイミングで記録媒体に体積の異なる液滴を吐出可能な複数のノズル列を備えた液体吐出装置であって、
液滴の吐出動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
吐出量が第1基準量である前記液滴と、吐出量が前記第1基準量よりも多い第2基準量である前記液滴とを、それぞれ異なるノズル列から吐出させる場合に、
前記第2基準量である前記液滴の吐出を、前記第1基準量である前記液滴の吐出よりも着弾タイミングが遅いノズル列から吐出するように制御する、液体吐出装置。
【0116】
<2>
前記複数のノズル列は、第1方向において異なる位置に配置され、
前記複数のノズル列は、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数のノズルを含み、
前記複数のノズルは、前記液滴として小滴及び前記小滴よりも体積が多い大滴を吐出可能であり、
前記複数のノズル列は、相互に異なるタイミングで記録媒体に着弾するように前記液滴を吐出する、上記<1>に記載の液体吐出装置。
【0117】
<3>
前記複数のノズルは、前記液滴として前記小滴よりも体積が大きく前記大滴よりも体積が小さい中滴を吐出可能であり、
前記記録媒体において前記第1方向に隣接する第1位置及び第2位置に前記液滴を着弾する場合であり、且つ、前記第1位置及び前記第2位置のうち、一方に前記小滴が着弾し、他方に前記中滴又は前記大滴が着弾する場合に、
前記制御部は、
前記小滴を先に吐出し、前記中滴又は前記大滴を後から吐出する、上記<1>又は<2>に記載の液体吐出装置。
【0118】
<4>
前記制御部は、
前記複数のノズル列のうち最も着弾タイミングが遅いノズル列を用いて、前記大滴を吐出する、上記<1>~<3>の何れか一つに記載の液体吐出装置。
【0119】
<5>
前記複数のノズル列は、第1ノズル列、第2ノズル列、および、第3ノズル列を含み、
前記複数のノズル列のうち、
前記第1ノズル列は、最も着弾タイミングが早い前記液滴を吐出し、
前記第2ノズル列は、最も着弾タイミングが遅い前記液滴を吐出し、
前記第3ノズル列は、前記第1ノズル列による前記液滴の着弾タイミングよりも遅く、前記第2ノズル列による前記液滴の着弾タイミングよりも早い、着弾タイミングで前記液滴を吐出し、
前記第2ノズル列を用いて前記大滴と吐出すると共に、前記第1ノズル列又は前記第3ノズル列を用いて前記大滴を吐出する場合に、
前記制御部は、
前記第2ノズル列を選択しないで、前記第1ノズル列を用いて前記大滴を吐出するように、前記吐出動作を制御する、上記<1>~<3>の何れか一つに記載の液体吐出装置。
【0120】
<6>
前記複数のノズル列は、
同一ノズル列内の前記複数のノズルから吐出される前記液滴における吐出量のばらつきが小さいノズル列と、
同一ノズル列内の前記複数のノズルから吐出される前記液滴における吐出量のばらつきが大きいノズル列と、を有し、
前記液滴における吐出量のばらつきが大きいノズル列から吐出される前記液滴の着弾タイミングは、
前記液滴における吐出量のばらつきが小さいノズル列から吐出される前記液滴の着弾タイミングよりも遅い、上記<1>~<5>の何れか一つに記載の液体吐出装置。
【0121】
<7>
前記第1方向は、前記記録媒体の搬送方向であり、
前記複数のノズル列のうち前記液滴における吐出量のばらつきが最も大きいノズル列は、前記搬送方向において最も下流に配置されている、上記<6>の何れか一つに記載の液体吐出装置。
【0122】
<8>
前記複数のノズル列は、
吐出後の前記液滴の曲がりが小さいノズルを含むノズル列と、
吐出後の前記液滴の曲がりが大きいノズルを含むノズル列と、を有し、
前記液滴の曲がりが大きいノズルから吐出される前記液滴の着弾タイミングは、
前記液滴の曲がりが小さいノズルから吐出される前記液滴の着弾タイミングよりも遅い、上記<1>~<7>の何れか一つに記載の液体吐出装置。
【0123】
<9>
前記第1方向は、前記記録媒体の搬送方向であり、
前記曲がりが大きいノズルを含むノズル列は、前記搬送方向において最も下流に配置されている、上記<8>に記載の液体吐出装置。
【0124】
<10>
前記制御部は、
前記曲がりが大きいノズルから吐出される前記大滴の吐出量を、前記曲がりが小さいノズルから吐出される前記大滴の吐出量よりも多くするように前記吐出動作を制御する、上記<8>に記載の液体吐出装置。
【0125】
<11>
前記ノズル列が形成された複数の吐出ヘッドを備え、
前記複数の吐出ヘッドは、前記第1方向に見て重なるように配置され、
前記複数のノズル列は、前記複数の吐出ヘッドに形成された前記ノズル列を含む、上記<1>~<10>の何れか一つに記載の液体吐出装置。
【0126】
<12>
相互に異なるタイミングで記録媒体に体積の異なる液滴を吐出可能な複数のノズル列を用いて液滴を吐出する吐出動作の制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
吐出量が第1基準量である前記液滴と、吐出量が前記第1基準量よりも多い第2基準量である前記液滴とを、それぞれ異なるノズル列から吐出させる場合に、
前記第2基準量である前記液滴の吐出を、前記第1基準量である前記液滴の吐出よりも着弾タイミングが遅いノズル列から吐出するように制御する処理を前記コンピュータに実行させる、プログラム。
【0127】
<13>
相互に異なるタイミングで記録媒体に体積の異なる液滴を吐出可能な複数のノズル列を用いて液滴を吐出する液体吐出方法であって、
吐出量が第1基準量である前記液滴と、吐出量が前記第1基準量よりも多い第2基準量である前記液滴とを、それぞれ異なるノズル列から吐出させる場合に、
前記第2基準量である前記液滴の吐出を、前記第1基準量である前記液滴の吐出よりも着弾タイミングが遅いノズル列から吐出する、液体吐出方法。
【0128】
<14>
ノズル列が形成された複数の吐出ヘッドを組み付けて、ヘッドユニットを製造する方法であって、
前記ノズル列は、複数のノズルを含み、
前記複数の吐出ヘッドは、
前記複数のノズルから吐出される液滴における吐出量のばらつきが小さい第1吐出ヘッドと、
前記複数のノズルから吐出される液滴における吐出量のばらつきが大きい第2吐出ヘッドと、を有し、
記録媒体の搬送方向における上流側に、前記第1吐出ヘッドを配置し、
前記搬送方向において、前記第1吐出ヘッドよりも下流に前記第2吐出ヘッドを配置する、ヘッドユニットの製造方法。
【0129】
<15>
ノズル列が形成された複数の吐出ヘッドを組み付けて、ヘッドユニットを製造する方法であって、
前記ノズル列は、複数のノズルを含み、
前記複数の吐出ヘッドは、
吐出後の液滴の曲がりが小さいノズルを含む第1吐出ヘッドと、
吐出後の液滴の曲がりが大きいノズルを含む第2吐出ヘッドと、を有し、
記録媒体の搬送方向における上流側に、前記第1吐出ヘッドを配置し、
前記搬送方向において、前記第1吐出ヘッドよりも下流に前記第2吐出ヘッドを配置する、ヘッドユニットの製造方法。
【符号の説明】
【0130】
1 画像形成装置(液体吐出装置)
2 ヘッドユニット
3,3B,3C 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
3W デュアルヘッド
4 ノズル
400 制御部
L1 ノズル列(第1ノズル列、着弾タイミングが早いノズル列)
L2 ノズル列(第2ノズル列、着弾タイミングが遅いノズル列)
L3 ノズル列(第3ノズル列)
L4 ノズル列
P0 記録媒体
X X軸方向(ノズル列方向、第2方向)
Y Y軸方向(搬送方向方向、第1方向)
Z Z軸方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】特開2020-40334号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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