(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136126
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】整流回路および電源回路
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H02M7/12 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047113
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多賀 史朗
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA02
5H006CB01
5H006CC08
5H006DA04
5H006DB03
5H006DC05
(57)【要約】
【課題】整流回路は、広い電力範囲で高効率動作できることが好ましい。
【解決手段】第1トランジスタと、前記第1トランジスタとはチャネル型が異なる第2トランジスタと、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタのドレイン端子どうしを接続し、且つ、第1入力端子に入力された前記交流電力に応じた電圧が印加される第1接続部と、第2入力端子に入力された前記交流電力の交流電圧成分を、前記交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスして、前記第1トランジスタのゲート端子に入力する第1バイアス部と、前記第2入力端子に入力された前記交流電力の前記交流電圧成分を、前記交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスして、前記第2トランジスタのゲート端子に入力する第2バイアス部とを備える整流回路を提供する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆相の交流電力が入力される第1入力端子および第2入力端子と、前記交流電力を整流した直流電力を出力する高圧側出力端子および低圧側出力端子とを備える整流回路であって、
前記高圧側出力端子および前記低圧側出力端子の間に設けられた第1トランジスタと、
前記第1トランジスタおよび前記低圧側出力端子の間に設けられ、前記第1トランジスタとはチャネル型が異なる第2トランジスタと、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタのドレイン端子どうしを接続し、且つ、前記第1入力端子に入力された前記交流電力に応じた電圧が印加される第1接続部と、
前記第2入力端子に入力された前記交流電力の交流電圧成分を、前記交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスして、前記第1トランジスタのゲート端子に入力する第1バイアス部と、
前記第2入力端子に入力された前記交流電力の前記交流電圧成分を、前記交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスして、前記第2トランジスタのゲート端子に入力する第2バイアス部と
を備える整流回路。
【請求項2】
前記第2入力端子と前記第1バイアス部との間に設けられた第1コンデンサと、
前記第2入力端子と前記第2バイアス部との間に設けられた第2コンデンサと
を更に備える請求項1に記載の整流回路。
【請求項3】
前記高圧側出力端子および前記低圧側出力端子の間に設けられた第3トランジスタと、
前記第3トランジスタおよび前記低圧側出力端子の間に設けられ、前記第3トランジスタとはチャネル型が異なる第4トランジスタと、
前記第3トランジスタおよび前記第4トランジスタのドレイン端子どうしを接続し、且つ、前記第2入力端子に入力された前記交流電力に応じた電圧が印加される第2接続部と
を更に備える
請求項2に記載の整流回路。
【請求項4】
前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサは、前記第2接続部に接続されていない
請求項3に記載の整流回路。
【請求項5】
前記第1入力端子に入力された前記交流電力の交流電圧成分を、前記交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスして、前記第3トランジスタのゲート端子に入力する第3バイアス部と、
前記第1入力端子に入力された前記交流電力の前記交流電圧成分を、前記交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスして、前記第4トランジスタのゲート端子に入力する第4バイアス部と
を更に備える請求項3に記載の整流回路。
【請求項6】
前記第1バイアス部は、
前記交流電圧成分の振幅の大きさが第1閾値電圧以下の場合に、前記交流電圧成分を第1バイアス電圧でバイアスし、
前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第1閾値電圧より大きい場合に、前記交流電圧成分を、前記第1バイアス電圧よりも前記高圧側出力端子の電圧に近い電圧でバイアスする
請求項1から5のいずれか一項に記載の整流回路。
【請求項7】
前記第1バイアス部は、前記高圧側出力端子と前記低圧側出力端子との間に設けられ、ゲート端子に前記第2入力端子における前記交流電圧成分が印加され、且つ、ダイオード接続されたトランジスタであり、
前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第1閾値電圧以下の場合に、前記低圧側出力端子の電圧に応じた前記第1バイアス電圧で前記交流電圧成分をバイアスし、
前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第1閾値電圧より大きい場合に、前記高圧側出力端子の電圧よりも高い電圧で、前記交流電圧成分をバイアスする
請求項6に記載の整流回路。
【請求項8】
前記第1バイアス部は、前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第1閾値電圧より大きい場合に、前記交流電圧成分の振幅が大きいほど、前記交流電圧成分に対するバイアス電圧を高くする
請求項7に記載の整流回路。
【請求項9】
前記第1バイアス部のドレイン端子と前記低圧側出力端子との間に設けられた第1バイアス抵抗を更に備え、
前記第1バイアス部の前記ドレイン端子が、前記第1トランジスタのゲート端子に接続されている
請求項7に記載の整流回路。
【請求項10】
前記第2バイアス部は、
前記交流電圧成分の振幅の大きさが第2閾値電圧以下の場合に、前記交流電圧成分を第2バイアス電圧でバイアスし、
前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第2閾値電圧より大きい場合に、前記交流電圧成分を、前記第2バイアス電圧よりも前記低圧側出力端子の電圧に近い電圧にバイアスする
請求項6に記載の整流回路。
【請求項11】
前記第2バイアス部は、前記高圧側出力端子と前記低圧側出力端子との間に設けられ、ゲート端子に前記第1入力端子における前記交流電圧成分が印加され、且つ、ダイオード接続されたトランジスタであり、
前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第2閾値電圧以下の場合に、前記高圧側出力端子の電圧に応じた前記第2バイアス電圧で前記交流電圧成分をバイアスし、
前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第2閾値電圧より大きい場合に、前記低圧側出力端子の電圧よりも低い電圧で、前記交流電圧成分をバイアスする
請求項10に記載の整流回路。
【請求項12】
前記第2バイアス部は、前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第2閾値電圧より大きい場合に、前記交流電圧成分の振幅が大きいほど、前記交流電圧成分に対するバイアス電圧を低くする
請求項11に記載の整流回路。
【請求項13】
前記第2バイアス部のドレイン端子と前記高圧側出力端子との間に設けられた第2バイアス抵抗を更に備え、
前記第2バイアス部の前記ドレイン端子が、前記第2トランジスタのゲート端子に接続されている
請求項11に記載の整流回路。
【請求項14】
前記高圧側出力端子から前記第1トランジスタのバルクまでの抵抗値よりも、前記高圧側出力端子から前記第1バイアス部のバルクまでの抵抗値を高くする高圧側バルク抵抗を更に備える
請求項9に記載の整流回路。
【請求項15】
前記低圧側出力端子から前記第2トランジスタのバルクまでの抵抗値よりも、前記低圧側出力端子から前記第2バイアス部のバルクまでの抵抗値を高くする低圧側バルク抵抗を更に備える
請求項13に記載の整流回路。
【請求項16】
交流電力を生成する電源と、前記交流電力を整流して出力する整流回路とを備える電源回路であって、
前記整流回路は、
互いに逆相の前記交流電力が入力される第1入力端子および第2入力端子と、
前記交流電力を整流した直流電力を出力する高圧側出力端子および低圧側出力端子と、
前記高圧側出力端子および前記低圧側出力端子の間に設けられた第1トランジスタと、
前記第1トランジスタおよび前記低圧側出力端子の間に設けられ、前記第1トランジスタとはチャネル型が異なる第2トランジスタと、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタのドレイン端子どうしを接続し、且つ、前記第1入力端子に入力された前記交流電力に応じた電圧が印加される第1接続部と、
前記第2入力端子に入力された前記交流電力の交流電圧成分を、前記交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスして、前記第1トランジスタのゲート端子に入力する第1バイアス部と、
前記第1入力端子に入力された前記交流電力の前記交流電圧成分を、前記交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスして、前記第2トランジスタのゲート端子に入力する第2バイアス部と
を有する電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流回路および電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力電力を整流する整流回路が知られている(例えば、特許文献1、2および非特許文献1参照)。
特許文献1 米国特許第5890031号明細書
特許文献2 特開2008-011584号公報
非特許文献1 Koji Kotani, et al, "High-Efficiency Differential Drive CMOS Rectifier for UHF RFIDs" IEEE J.Solid-State Circuits, vol. 44, no. 11 pp. 3011-3018, Nov. 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
整流回路は、広い電力範囲で高効率動作できることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、互いに逆相の交流電力が入力される第1入力端子および第2入力端子と、前記交流電力を整流した直流電力を出力する高圧側出力端子および低圧側出力端子とを備える整流回路を提供する。上記整流回路は、前記高圧側出力端子および前記低圧側出力端子の間に設けられた第1トランジスタを備えてよい。上記何れかの整流回路は、前記第1トランジスタおよび前記低圧側出力端子の間に設けられ、前記第1トランジスタとはチャネル型が異なる第2トランジスタを備えてよい。上記何れかの整流回路は、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタのドレイン端子どうしを接続し、且つ、前記第1入力端子に入力された前記交流電力に応じた電圧が印加される第1接続部を備えてよい。上記何れかの整流回路は、前記第2入力端子に入力された前記交流電力の交流電圧成分を、前記交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスして、前記第1トランジスタのゲート端子に入力する第1バイアス部を備えてよい。上記何れかの整流回路は、前記第2入力端子に入力された前記交流電力の前記交流電圧成分を、前記交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスして、前記第2トランジスタのゲート端子に入力する第2バイアス部を備えてよい。
【0005】
上記何れかの整流回路は、前記第2入力端子と前記第1バイアス部との間に設けられた第1コンデンサを備えてよい。上記何れかの整流回路は、前記第2入力端子と前記第2バイアス部との間に設けられた第2コンデンサを備えてよい。
【0006】
上記何れかの整流回路は、前記高圧側出力端子および前記低圧側出力端子の間に設けられた第3トランジスタを備えてよい。上記何れかの整流回路は、前記第3トランジスタおよび前記低圧側出力端子の間に設けられ、前記第3トランジスタとはチャネル型が異なる第4トランジスタを備えてよい。上記何れかの整流回路は、前記第3トランジスタおよび前記第4トランジスタのドレイン端子どうしを接続し、且つ、前記第2入力端子に入力された前記交流電力に応じた電圧が印加される第2接続部を備えてよい。上記何れかの整流回路において、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサは、前記第2接続部に接続されていなくてよい。
【0007】
上記何れかの整流回路は、前記第1入力端子に入力された前記交流電力の交流電圧成分を、前記交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスして、前記第3トランジスタのゲート端子に入力する第3バイアス部を備えてよい。上記何れかの整流回路は、前記第1入力端子に入力された前記交流電力の前記交流電圧成分を、前記交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスして、前記第4トランジスタのゲート端子に入力する第4バイアス部を備えてよい。
【0008】
上記何れかの整流回路において、前記第1バイアス部は、前記交流電圧成分の振幅の大きさが第1閾値電圧以下の場合に、前記交流電圧成分を第1バイアス電圧でバイアスしてよい。上記何れかの整流回路において、前記第1バイアス部は、前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第1閾値電圧より大きい場合に、前記交流電圧成分を、前記第1バイアス電圧よりも前記高圧側出力端子の電圧に近い電圧でバイアスしてよい。
【0009】
上記何れかの整流回路において、前記第1バイアス部は、前記高圧側出力端子と前記低圧側出力端子との間に設けられ、ゲート端子に前記第2入力端子における前記交流電圧成分が印加され、且つ、ダイオード接続されたトランジスタであってよい。上記何れかの整流回路において、前記第1バイアス部は、前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第1閾値電圧以下の場合に、前記低圧側出力端子の電圧に応じた前記第1バイアス電圧で前記交流電圧成分をバイアスしてよい。上記何れかの整流回路において、前記第1バイアス部は、前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第1閾値電圧より大きい場合に、前記高圧側出力端子の電圧よりも高い電圧で、前記交流電圧成分をバイアスしてよい。
【0010】
上記何れかの整流回路において、前記第1バイアス部は、前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第1閾値電圧より大きい場合に、前記交流電圧成分の振幅が大きいほど、前記交流電圧成分に対するバイアス電圧を高くしてよい。
【0011】
上記何れかの整流回路は、前記第1バイアス部のドレイン端子と前記低圧側出力端子との間に設けられた第1バイアス抵抗を備えてよい。上記何れかの整流回路において、前記第1バイアス部の前記ドレイン端子が、前記第1トランジスタのゲート端子に接続されていてよい。
【0012】
上記何れかの整流回路において、前記第2バイアス部は、前記交流電圧成分の振幅の大きさが第2閾値電圧以下の場合に、前記交流電圧成分を第2バイアス電圧でバイアスしてよい。上記何れかの整流回路において、前記第2バイアス部は、前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第2閾値電圧より大きい場合に、前記交流電圧成分を、前記第2バイアス電圧よりも前記低圧側出力端子の電圧に近い電圧にバイアスしてよい。
【0013】
上記何れかの整流回路において、前記第2バイアス部は、前記高圧側出力端子と前記低圧側出力端子との間に設けられ、ゲート端子に前記第1入力端子における前記交流電圧成分が印加され、且つ、ダイオード接続されたトランジスタであってよい。上記何れかの整流回路において、前記第2バイアス部は、前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第2閾値電圧以下の場合に、前記高圧側出力端子の電圧に応じた前記第2バイアス電圧で前記交流電圧成分をバイアスしてよい。上記何れかの整流回路において、前記第2バイアス部は、前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第2閾値電圧より大きい場合に、前記低圧側出力端子の電圧よりも低い電圧で、前記交流電圧成分をバイアスしてよい。
【0014】
上記何れかの整流回路において、前記第2バイアス部は、前記交流電圧成分の振幅の大きさが前記第2閾値電圧より大きい場合に、前記交流電圧成分の振幅が大きいほど、前記交流電圧成分に対するバイアス電圧を低くしてよい。
【0015】
上記何れかの整流回路は、前記第2バイアス部のドレイン端子と前記高圧側出力端子との間に設けられた第2バイアス抵抗を備えてよい。上記何れかの整流回路において、前記第2バイアス部の前記ドレイン端子が、前記第2トランジスタのゲート端子に接続されていてよい。
【0016】
上記何れかの整流回路は、前記高圧側出力端子から前記第1トランジスタのバルクまでの抵抗値よりも、前記高圧側出力端子から前記第1バイアス部のバルクまでの抵抗値を高くする高圧側バルク抵抗を備えてよい。
【0017】
上記何れかの整流回路は、前記第2トランジスタのバルクまでの抵抗値よりも、前記低圧側出力端子から前記第2バイアス部のバルクまでの抵抗値を高くする低圧側バルク抵抗を備えてよい。
【0018】
本発明の第2の態様においては、交流電力を生成する電源と、前記交流電力を整流して出力する整流回路とを備える電源回路を提供する。上記整流回路は、第1の態様に係るいずれかの整流回路であってよい。
【0019】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴のすべてを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の参考例に係る電源回路300を示す図である。
【
図2】各トランジスタのゲート-ソース間に印加される電圧の一例を示す図である。
【
図3】比較的に小さい振幅の電圧Vd1、Vd2が入力されたときの、
図1の整流回路220の動作例を説明する図である。
【
図4】比較的に大きい振幅の電圧Vd1、Vd2が入力された場合の、
図1の整流回路220の動作例を説明する図である。
【
図5】第2の参考例に係る電源回路300を示す図である。
【
図6】
図5に示した整流回路220における各トランジスタのゲート-ソース間に印加される電圧の一例を示す図である。
【
図7】本発明の一つの実施形態に係る電源回路200の一例を示す図である。
【
図8】交流電圧成分(Vd1、Vd2)の振幅が、比較的に大きい場合の整流回路100の動作を説明する図である。
【
図9】整流回路100の他の構成例を示す図である。
【
図10】
図1に示した参考例、
図7の実施例、および、
図9の実施例における、入力電力と効率の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。本明細書では、各図における同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。また、説明の便宜上一部の構成を図示しない場合がある。
【0022】
本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。また図中の各端子および構成要素は、配線等を用いて接続されてよい。図中の各グランド端子は共通の端子であってよく、異なる端子であってもよい。回路図の説明において、特定の構成要素が他の2つの構成要素の間に設けられている、のように記載した場合、これらの構成要素の電気経路上の位置関係を説明しており、これらの構成要素の空間的な配置を限定するものではない。
【0023】
交流電力から直流電力を取り出す整流回路が知られている。整流回路は、広い電力範囲にわたって高効率で交流直流変換できることが好ましい。例えば、数百MHz以上のマイクロ波の交流電力をアンテナで受電し、直流電力を取り出すために整流回路を用いる場合がある。このような技術は、アンテナ付ICチップとの通信用の電磁波、または、無線LANの電磁波等の環境電磁波から微小な電力を取り出すエナジーハーベスト、若しくは、各種のセンサーまたは表示装置にマイクロ波で電力を送電する空間伝送型ワイヤレス電力伝送等に用いられる。
【0024】
マイクロ波を含む電磁波の電力は、フリスの伝達公式に従って送電アンテナからの距離の2乗で減衰する。このため、受電アンテナから得られる電力の大きさは、送電アンテナからの距離によって大きく変化する。したがって、このような用途に使用する整流回路は、微弱な電力から直流電力を取り出すことができ、また、広い電力範囲にわたって高効率で交流直流変換できることが好ましい。
【0025】
図1は、第1の参考例に係る電源回路300を示す図である。電源回路300は、電源210および整流回路220を備え、負荷に直流電力を供給する。
図1においては、負荷を抵抗212で示している。負荷の抵抗212と並列に、平滑コンデンサ214が設けられていてもよい。
【0026】
電源210は、交流電力を生成する。電源210は、電磁波を受電して交流電力を生成するアンテナを含んでよい。当該電磁波は、電源210に向けて送電された電磁波であってよく、電源210向けではないが、周囲環境に存在する環境電磁波であってもよい。電源210は、マイクロ波(例えば100MHz以上)を受電して交流電力を生成してよい。電源210は、他の方法で交流電力を生成してもよい。電源210は、ソーラー発電、熱発電または振動発電のようなエナジーハーベスト電源であってよく、エナジーハーベスト電源以外の電源であってもよい。
【0027】
整流回路220は、電源210からの交流電力を直流電力に変換する。整流回路220は、差動構成の全波整流回路である。整流回路220は、CMOSトランジスタを含んでいる。
【0028】
整流回路220は、第1入力端子11、第2入力端子12、高圧側出力端子15および低圧側出力端子16を備える。第1入力端子11および第2入力端子12には、互いに逆相の交流電力が入力される。第1入力端子11および第2入力端子12は、電源210に接続されている。
【0029】
高圧側出力端子15および低圧側出力端子16は、交流電力を整流した直流電力を出力する。本例では、高圧側出力端子15に抵抗212および平滑コンデンサ214が並列に接続されている。本例の高圧側出力端子15は、整流され、平滑化された直流電圧VOPを出力する。本例の低圧側出力端子16からは、直流電圧VOPより低い電圧VONが出力される。低圧側出力端子16は、接地電位に接続されてよい。
【0030】
本例の整流回路220は、第1トランジスタ31、第2トランジスタ32、第3トランジスタ33、第4トランジスタ34、第1入力コンデンサ21および第2入力コンデンサ22を有する。本明細書で説明する各トランジスタは、MOSトランジスタであってよい。
【0031】
第1トランジスタ31は、高圧側出力端子15および低圧側出力端子16の間に設けられている。第2トランジスタ32は、第1トランジスタ31および低圧側出力端子16の間に設けられている。第2トランジスタ32は、第1トランジスタ31とはチャネル型が異なる。チャネル型とは、NチャネルまたはPチャネルのいずれかを指す。
図1の例では、第1トランジスタ31がPチャネルMOSFETであり、第2トランジスタ32がNチャネルMOSFETである。
【0032】
第1トランジスタ31のソース端子が高圧側出力端子15に接続され、第2トランジスタ32のソース端子が低圧側出力端子16に接続されている。第1トランジスタ31および第2トランジスタ32のドレイン端子どうしが、第1接続部61により接続されている。第1接続部61は例えば電気的な配線である。また第1トランジスタ31および第2トランジスタ32のゲート端子どうしが接続されている。
【0033】
第1接続部61には、第1入力端子11に入力された交流電力に応じた電圧Vd1が印加される。本例では、第1入力端子11と第1接続部61との間に、第1入力コンデンサ21が設けられている。第1入力コンデンサ21は、第1入力端子11に印加された交流電圧のうちの交流成分に相当する電圧Vd1を、第1接続部61に印加する。
【0034】
第1トランジスタ31および第2トランジスタ32のゲート端子には、第2入力端子12に入力された交流電力に応じたゲート信号(本例では電圧Vd2)が印加される。本例では、第2入力端子12と各ゲート端子との間に、第2入力コンデンサ22が設けられている。第2入力コンデンサ22は、第2入力端子12に印加された交流電圧のうちの交流成分に相当する電圧Vd2を、各ゲート端子に印加する。
【0035】
第3トランジスタ33は、高圧側出力端子15および低圧側出力端子16の間に設けられている。第4トランジスタ34は、第3トランジスタ33および低圧側出力端子16の間に設けられている。第4トランジスタ34は、第3トランジスタ33とはチャネル型が異なる。第3トランジスタ33は、第1トランジスタ31とチャネル型が同じである。
図1の例では、第3トランジスタ33がPチャネルMOSFETであり、第4トランジスタ34がNチャネルMOSFETである。
【0036】
第3トランジスタ33のソース端子が高圧側出力端子15に接続され、第4トランジスタ34のソース端子が低圧側出力端子16に接続されている。第3トランジスタ33および第4トランジスタ34のドレイン端子どうしが、第2接続部62により接続されている。第2接続部62は例えば電気的な配線である。また第3トランジスタ33および第4トランジスタ34のゲート端子どうしが接続されている。
【0037】
第2接続部62には、第2入力端子12に入力された交流電力に応じた電圧Vd2が印加される。本例では、第2入力端子12と第2接続部62との間に、第2入力コンデンサ22が設けられている。第2入力コンデンサ22は、第2入力端子12に印加された交流電圧のうちの交流成分に相当する電圧Vd2を、第2接続部62に印加する。
【0038】
第3トランジスタ33および第4トランジスタ34のゲート端子には、第1入力端子11に入力された交流電力に応じたゲート信号(本例では電圧Vd1)が印加される。本例では、第1入力端子11と各ゲート端子との間に、第1入力コンデンサ21が設けられている。第1入力コンデンサ21は、第1入力端子11に印加された交流電圧のうちの交流成分に相当する電圧Vd1を、各ゲート端子に印加する。
【0039】
第3トランジスタ33および第4トランジスタ34は、第1トランジスタ31および第2トランジスタ32に対して逆相で動作する。第2トランジスタ32および第4トランジスタ34のソース端子およびバルクは電圧VONを出力し、第1トランジスタ31および第3トランジスタ33のソース端子およびバルクは電圧VOPを出力する。本明細書では、整流回路の差動の構成のうち、一方の差動構成の動作を説明し、他方の差動構成の動作を省略する場合がある。p型シリコンウェハ上に掲載される集積回路においては、PMOSトランジスタのバルクとは、PMOSが形成されるn型ウェルであり、NMOSトランジスタのバルクとはNMOSが形成されるディープnウェル中に形成されたp型ウェルである。
【0040】
図2は、各トランジスタのゲート-ソース間に印加される電圧の一例を示す図である。
図2においては、第1トランジスタ31および第2トランジスタ32のゲート-ソース間電圧を説明し、第3トランジスタ33および第4トランジスタ34のゲート-ソース間電圧の説明は省略する。
【0041】
第1トランジスタ31および第2トランジスタ32のドレイン端子には正弦波の電圧Vd1が入力され、ゲート端子には電圧Vd1を反転した電圧Vd2が入力される。第2トランジスタ32のゲート-ソース間の正の電圧をVN1、第1トランジスタ31のゲート-ソース間の負の電圧をVP1とする。第2トランジスタ32のソース電圧はVONなので、電圧VN1は、電圧VONを基準とした電圧Vd2の電圧である。第1トランジスタ31のソース電圧はVOPなので、電圧VP1は、電圧VOPを基準とした電圧Vd2の電圧である。
図2では、電圧VN1および電圧VP1のピーク値を示している。
【0042】
図3は、比較的に小さい振幅の電圧Vd1、Vd2が入力されたときの、
図1の整流回路220の動作例を説明する図である。
図3においては、第1トランジスタ31および第2トランジスタ32の動作を説明し、第3トランジスタ33および第4トランジスタ34の動作の説明は省略する。
【0043】
第1トランジスタ31の閾値電圧をVthP、第2トランジスタ32の閾値電圧をVthNとする。
図3の期間t5~t8のように、第2トランジスタ32のゲート-ソース間の電圧VN1が閾値電圧VthNを超えると第2トランジスタ32がオン状態となる。当該期間において、電圧Vd1が電圧VONより小さければ、第2トランジスタ32がオンしたことで電圧VONが下がる。
図3の期間t1~t4、t9~t12のように、第1トランジスタ31のゲート-ソース間の電圧VP1が閾値電圧VthPを超えると第1トランジスタ31がオン状態となる。当該期間において、電圧Vd1が電圧VOPより大きければ、第1トランジスタ31がオンしたことで電圧VOPが上がる。このように、第1トランジスタ31および第2トランジスタ32のスイッチングにより、整流動作が行われる。
【0044】
本例において整流できる電圧Vd1の振幅(0V~ピーク電圧)の最小値は、それぞれのトランジスタの閾値電圧の半分である。また本例の整流回路では、ダイオードを用いる整流回路に比べてダイオードの順方向電圧で生じる電圧降下が無いため、小さい振幅の電圧Vd1でも効率よく整流できる。
【0045】
電圧Vd1の振幅が大きくなると、電圧VN1のピーク値が閾値電圧VthNより大きくなり、または、電圧VP1のピーク値が閾値電圧VthPより小さく(絶対値では大きく)なる場合がある。この場合、低圧側出力端子16または高圧側出力端子15から第1接続部61に電流が逆流してしまい、負荷への電力供給が妨げられる場合がある。
【0046】
例えば、第1トランジスタ31がオンしている期間t1~t4において、期間t1~t2および期間t3~t4では、第1接続部61の電圧Vd1よりも、高圧側出力端子15の電圧VOPのほうが大きい。この期間では、高圧側出力端子15から第1接続部61に電流が逆流する。期間t9~t10および期間t11~t12も同様である。
【0047】
第2トランジスタ32がオンしている期間t5~t8において、期間t5~t6および期間t7~t8では、第1接続部61の電圧Vd1よりも、低圧側出力端子16の電圧VONのほうが低い。この期間では、第1接続部61から低圧側出力端子16に電流が逆流する。本明細書では、電流が逆流する期間を時間領域Aとする。
【0048】
図4は、比較的に大きい振幅の電圧Vd1、Vd2が入力された場合の、
図1の整流回路220の動作例を説明する図である。
図4に示す波形では、
図3に示した波形に比べて、電圧Vd1、Vd2の振幅の、閾値電圧VthP、VthNに対する比を大きくしている。
図4においては、第1トランジスタ31および第2トランジスタ32の動作を説明し、第3トランジスタ33および第4トランジスタ34の動作の説明は省略する。
【0049】
本例でも、
図3に示した例と同様に、時間領域Aが生じる。また本例では、電圧Vd1、Vd2の振幅が大きくなったことで、それぞれのトランジスタがオン状態となっている期間が、オフ状態となっている期間以上になっている。この場合、
図4の期間t13~t14およびt15~t16のように、第1トランジスタ31および第2トランジスタ32が同時にオン状態となる。本明細書では、第1トランジスタ31および第2トランジスタ32が同時にオン状態となる期間を、時間領域Bとする。時間領域Bでは、高圧側出力端子15と低圧側出力端子16との間で貫通電流が流れ、電力を消費してしまう。
図3および
図4に説明した時間領域Aおよび時間領域Bは、第3トランジスタ33および第4トランジスタ34においても発生する。このように、
図1に示した参考例の整流回路220は、低入力振幅時は高効率で整流できるが、振幅が大きくなると急激に効率が低下してしまう。
【0050】
図5は、第2の参考例に係る電源回路300を示す図である。本例の電源回路300は、整流回路220の構成が、
図1の例と相違する。他の構成は
図1の例と同様である。
【0051】
本例の整流回路220は、
図1の整流回路220の構成に加えて、抵抗35、38、41、42、43、44、コンデンサ51、52、53、54、および、MOSトランジスタ36、37を有する。第2トランジスタ32のゲート端子には、コンデンサ52を介して電圧Vd2が印加される。第2トランジスタ32のゲート端子に印加される電圧Vd2は、抵抗42を介してバイアス電圧VBNにバイアスされている。第1トランジスタ31のゲート端子には、コンデンサ51を介して電圧Vd2が印加される。第1トランジスタ31のゲート端子に印加される電圧Vd2は、抵抗41を介してバイアス電圧VBPにバイアスされている。
【0052】
第4トランジスタ34のゲート端子には、コンデンサ54を介して電圧Vd1が印加される。第4トランジスタ34のゲート端子に印加される電圧Vd1は、抵抗44を介してバイアス電圧VBNにバイアスされている。第3トランジスタ33のゲート端子には、コンデンサ53を介して電圧Vd1が印加される。第3トランジスタ33のゲート端子に印加される電圧Vd1は、抵抗43を介してバイアス電圧VBPにバイアスされている。
【0053】
MOSトランジスタ36および抵抗35は、バイアス電圧VBNを生成する。MOSトランジスタ36は、ドレイン端子とゲート端子とが接続されている。本明細書では、同一のMOSトランジスタのドレイン端子とゲート端子とを接続することをダイオード接続と称する場合がある。
【0054】
MOSトランジスタ36は、高圧側出力端子15と低圧側出力端子16との間に配置されている。抵抗35は、MOSトランジスタ36と高圧側出力端子15との間に配置されている。抵抗35とMOSトランジスタ36との接続配線における電圧を、バイアス電圧VBNとする。当該接続配線は、抵抗42および抵抗44に接続されている。
【0055】
高圧側出力端子15の電圧VOPがトランジスタ36の閾値電圧以下の場合、トランジスタ36はオフ状態となる。この場合、バイアス電圧VBNは、電圧VOPとほぼ等しい。電圧VOPがトランジスタ36の閾値電圧より大きくなると、トランジスタ36がオン状態となり、トランジスタ36の実効的な抵抗値は徐々に小さくなる。このため、電圧VOPが更に上昇しても、バイアス電圧VBNはトランジスタ36の閾値電圧よりわずかに大きい値で安定する。
【0056】
MOSトランジスタ37および抵抗38は、バイアス電圧VBPを生成する。MOSトランジスタ37は、ダイオード接続されている。MOSトランジスタ37は、高圧側出力端子15と低圧側出力端子16との間に配置されている。抵抗38は、MOSトランジスタ37と低圧側出力端子16との間に配置されている。抵抗38とMOSトランジスタ37との接続配線における電圧を、バイアス電圧VBPとする。当該接続配線は、抵抗41および抵抗43に接続されている。このような構成により、バイアス電圧VBNと同様に、バイアス電圧VBPが生成される。
【0057】
図6は、
図5に示した整流回路220における各トランジスタのゲート-ソース間に印加される電圧の一例を示す図である。
図6においては、第1トランジスタ31および第2トランジスタ32のゲート-ソース間電圧VP1、VN1を説明し、第3トランジスタ33および第4トランジスタ34のゲート-ソース間電圧の説明は省略する。本例では、第2トランジスタ32のゲート端子に印加される電圧をVgn1、第1トランジスタ31のゲート端子に印加される電圧をVgp1とする。
【0058】
電圧VOPと電圧VONの間の電圧が比較的に小さい場合、MOSトランジスタ36およびMOSトランジスタ37はオフ状態となる。この場合、第1トランジスタ31のゲート端子には、抵抗38および抵抗41を介して電圧VONにバイアスされた、ゲート電圧Vgp1が印加される。また、第2トランジスタ32のゲート端子には、抵抗35および抵抗42を介して電圧VOPにバイアスされた、ゲート電圧Vgn1が印加される。
図2の例におけるゲート電圧Vd2に対して、ゲート電圧Vgn1は正側にバイアスされ、ゲート電圧Vgp1は負側にバイアスされている。このため、電圧VP1および電圧VN1の絶対値は
図2の例よりも大きくなり、
図2の例より小さい振幅の交流電圧成分でも整流動作できる。
【0059】
電圧VOPと電圧VONの間の電圧が比較的に大きい場合、MOSトランジスタ36およびMOSトランジスタ37はオン状態となる。この場合、第1トランジスタ31のゲート端子には、MOSトランジスタ37の閾値電圧に応じてバイアスされたゲート電圧Vgp1が印加される。また、第2トランジスタ32のゲート端子には、MOSトランジスタ36の閾値電圧に応じてバイアスされたゲート電圧Vgn1が印加される。このため、第1トランジスタ31および第2トランジスタ32がオンする時間割合(つまり、オンする時間およびオフする時間の和に対する、オンする時間の割合)は、最大で約50%に抑えられる。このため、
図4で示した時間領域Bの発生を抑制でき、電力供給の効率をある程度抑制できる。しかし、
図3で示した時間領域Aは生じるので、それぞれの出力端子における電流逆流が生じてしまい、電力供給の効率は低下してしまう。
【0060】
図7は、本発明の一つの実施形態に係る電源回路200の一例を示す図である。電源回路200は、電源210および整流回路100を備える。電源210は、
図1から
図6において説明した例と同様である。また、整流回路100において、
図1から
図6において説明した構成要素と同様の構成要素には、
図1から
図6の例と同一の符号を付している。
図1から
図6の例と同一の符号を付した構成要素は、特に説明する場合を除き、
図1から
図6において説明した構成および機能を有する。整流回路100は、
図1に示した整流回路220の構成に加えて、第1バイアス部131、第2バイアス部132、第3バイアス部133および第4バイアス部134を備える。
【0061】
第1バイアス部131は、第2入力端子12に入力された交流電力の交流電圧成分を、当該交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスしたゲート信号Vgp1を生成する。ゲート信号Vgp1は、第1トランジスタ31のゲート端子に入力される。例えば第1バイアス部131は、交流電圧成分の振幅の大きさが第1閾値電圧以下の場合に、交流電圧成分を第1バイアス電圧(例えば電圧VON)でバイアスし、交流電圧成分の振幅の大きさが第1閾値電圧より大きい場合に、交流電圧成分を第1バイアス電圧よりも高圧側出力端子15の電圧VOPに近い電圧でバイアスする。
【0062】
本例の第1バイアス部131は、ダイオード接続されたPチャネルMOSトランジスタである。第1バイアス部131は、第1トランジスタ31と同一の閾値電圧を有してよい。第1バイアス部131のドレイン端子およびゲート端子は、第1トランジスタ31のゲート端子に接続され、第1バイアス部131のソース端子は高圧側出力端子15に接続される。上述した第1閾値電圧は、第1バイアス部131がオンし始める電圧である。第1バイアス部131は、高圧側出力端子15と低圧側出力端子16との間に設けられ、ゲート端子に第2入力端子12における交流電圧成分に応じたゲート電圧Vgp1が印加される。
【0063】
本例では、第1バイアス部131のドレイン端子と第2入力端子12との間には第1コンデンサ121が設けられている。第1コンデンサ121は、第1接続部61および第2接続部62のいずれにも、他のコンデンサを介さずに直接的に接続されてはいない。第1接続部61および第2接続部62におけるバイアス電圧と、ゲート電圧Vgp1のバイアス電圧は異なる。また、第1バイアス部131のドレイン端子と低圧側出力端子16との間には、第1バイアス抵抗141が設けられている。第1コンデンサ121により、第2入力端子12に入力された交流電力の交流電圧成分が通過する。当該交流電圧成分を、所定の電圧にバイアスした信号が、ゲート信号Vgp1となる。第1バイアス部131のオンオフ状態に応じて、当該交流電圧成分を、電圧VOP側にバイアスするか、または、第1バイアス抵抗141を介して電圧VON側にバイアスするかが切り替わる。このような構造により、第1バイアス部131は、第1トランジスタ31に印加するゲート電圧を、交流電圧成分の振幅に応じてバイアスできる。
【0064】
第2バイアス部132は、第2入力端子12に入力された交流電力の交流電圧成分を、交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスしたゲート信号Vgn1を生成する。ゲート信号Vgn1は、第2トランジスタ32のゲート端子に入力される。例えば第2バイアス部132は、交流電圧成分の振幅の大きさが第2閾値電圧以下の場合に、交流電圧成分を第2バイアス電圧(例えば電圧VOP)でバイアスし、交流電圧成分の振幅の大きさが第2閾値電圧より大きい場合に、交流電圧成分を第2バイアス電圧よりも低圧側出力端子16の電圧VONに近い電圧でバイアスする。
【0065】
本例の第2バイアス部132は、ダイオード接続されたNチャネルMOSトランジスタである。第2バイアス部132は、第2トランジスタ32と同一の閾値電圧を有してよい。第2バイアス部132のドレイン端子およびゲート端子は、第2トランジスタ32のゲート端子に接続され、第2バイアス部132のソース端子は低圧側出力端子16に接続される。上述した第2閾値電圧は、第2バイアス部132がオンし始める電圧である。第2バイアス部132は、高圧側出力端子15と低圧側出力端子16との間に設けられ、ゲート端子に第2入力端子12における交流電圧成分に応じたゲート電圧Vgn1が印加される。
【0066】
本例では、第2バイアス部132のドレイン端子と第2入力端子12との間には第2コンデンサ122が設けられている。第2コンデンサ122は、第1接続部61および第2接続部62のいずれにも、他のコンデンサを介さずに直接的に接続されてはいない。第1接続部61および第2接続部62におけるバイアス電圧と、ゲート電圧Vgn1のバイアス電圧は異なる。また、第2バイアス部132のドレイン端子と高圧側出力端子15との間には、第2バイアス抵抗142が設けられている。第2コンデンサ122により、第2入力端子12に入力された交流電力の交流電圧成分が通過する。当該交流電圧成分を、所定の電圧にバイアスした信号が、ゲート信号Vgn1となる。第2バイアス部132のオンオフ状態に応じて、当該交流電圧成分を、電圧VOP側にバイアスするか、または、第2バイアス抵抗142を介して電圧VON側にバイアスするかが切り替わる。このような構造により、第2バイアス部132は、第2トランジスタ32に印加するゲート電圧を、交流電圧成分の振幅に応じてバイアスできる。
【0067】
第3バイアス部133は、第1入力端子11に入力された交流電力の交流電圧成分を、交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスしたゲート信号Vgp2を生成する。ゲート信号Vgp2は、第3トランジスタ33のゲート端子に入力される。例えば第3バイアス部133は、交流電圧成分の振幅の大きさが第1閾値電圧以下の場合に、交流電圧成分を第1バイアス電圧(例えば電圧VON)でバイアスし、交流電圧成分の振幅の大きさが第1閾値電圧より大きい場合に、交流電圧成分を第1バイアス電圧よりも高圧側出力端子15の電圧VOPに近い電圧でバイアスする。
【0068】
本例の第3バイアス部133は、ダイオード接続されたPチャネルMOSトランジスタである。第3バイアス部133は、第3トランジスタ33と同一の閾値電圧を有してよい。第3バイアス部133のドレイン端子およびゲート端子は、第3トランジスタ33のゲート端子に接続され、第3バイアス部133のソース端子は高圧側出力端子15に接続される。また、第3バイアス部133の閾値電圧は、上述した第1閾値電圧である。第3バイアス部133は、高圧側出力端子15と低圧側出力端子16との間に設けられ、ゲート端子に第1入力端子11における交流電圧成分に応じたゲート電圧Vgp2が印加される。
【0069】
本例では、第3バイアス部133のドレイン端子と第1入力端子11との間には第3コンデンサ123が設けられている。また、第3バイアス部133のドレイン端子と低圧側出力端子16との間には、第3バイアス抵抗143が設けられている。第3コンデンサ123により、第1入力端子11に入力された交流電力の交流電圧成分が通過する。当該交流電圧成分を、所定の電圧にバイアスした信号が、ゲート信号Vgp2となる。第3バイアス部133のオンオフ状態に応じて、当該交流電圧成分を、電圧VOP側にバイアスするか、または、第3バイアス抵抗143を介して電圧VON側にバイアスするかが切り替わる。このような構造により、第3バイアス部133は、第3トランジスタ33に印加するゲート電圧を、交流電圧成分の振幅に応じてバイアスできる。
【0070】
第4バイアス部134は、第1入力端子11に入力された交流電力の交流電圧成分を、交流電圧成分の振幅の大きさに応じてバイアスしたゲート信号Vgn2を生成する。ゲート信号Vgn2は、第4トランジスタ34のゲート端子に入力される。例えば第4バイアス部134は、交流電圧成分の振幅の大きさが第2閾値電圧以下の場合に、交流電圧成分を第2バイアス電圧(例えば電圧VOP)でバイアスし、交流電圧成分の振幅の大きさが第2閾値電圧より大きい場合に、交流電圧成分を第2バイアス電圧よりも低圧側出力端子16の電圧VONに近い電圧でバイアスする。
【0071】
本例の第4バイアス部134は、ダイオード接続されたNチャネルMOSトランジスタである。第4バイアス部134は、第4トランジスタ34と同一の閾値電圧を有してよい。第4バイアス部134のドレイン端子およびゲート端子は、第4トランジスタ34のゲート端子に接続され、第4バイアス部134のソース端子は低圧側出力端子16に接続される。また、第4バイアス部134の閾値電圧は、上述した第2閾値電圧である。第4バイアス部134は、高圧側出力端子15と低圧側出力端子16との間に設けられ、ゲート端子に第1入力端子11における交流電圧成分に応じたゲート電圧Vgn2が印加される。
【0072】
本例では、第4バイアス部134のドレイン端子と第1入力端子11との間には第4コンデンサ124が設けられている。また、第4バイアス部134のドレイン端子と高圧側出力端子15との間には、第4バイアス抵抗144が設けられている。第4コンデンサ124により、第1入力端子11に入力された交流電力の交流電圧成分が通過する。当該交流電圧成分を、所定の電圧にバイアスした信号が、ゲート信号Vgn2となる。第4バイアス部134のオンオフ状態に応じて、当該交流電圧成分を、電圧VOP側にバイアスするか、または、第4バイアス抵抗144を介して電圧VON側にバイアスするかが切り替わる。このような構造により、第4バイアス部134は、第4トランジスタ34に印加するゲート電圧を、交流電圧成分の振幅に応じてバイアスできる。
【0073】
整流回路100は差動構成であるので、主に第1トランジスタ31、第1バイアス部131、第2トランジスタ32および第2バイアス部132の動作を説明するが、第3トランジスタ33、第3バイアス部133、第4トランジスタ34および第4バイアス部134の動作も同様である。
【0074】
まず、電源210からの交流電圧成分の振幅が比較的に小さい場合を説明する。交流電圧成分の振幅が比較的に小さい場合のゲート電圧Vgp1およびゲート電圧Vgn1は、
図6に示した例と同様である。
【0075】
交流電圧成分の振幅が比較的に小さい場合、第1バイアス部131はオフ状態となる。第1バイアス部131がオフ状態の場合、第1トランジスタ31のゲート端子に入力されるゲート電圧Vgp1は、第1バイアス抵抗141を介して電圧VONでバイアスされる。
【0076】
第1接続部61に印加される電圧Vd1の振幅(0V~ピーク間の電圧)が、第1トランジスタ31の閾値電圧の1/3に達すると、電圧VOPおよび電圧VONの間の電圧差は、第1トランジスタ31の閾値電圧の2/3になる。第1トランジスタ31のゲート電圧Vgp1は、電圧Vd1と同等の振幅を有するので、第1トランジスタ31のゲート-ソース間電圧の最小値VP1(ただし絶対値としては最大値)は第1トランジスタ31の閾値電圧に到達する。これにより、第1トランジスタ31がオン状態となり、第1接続部61から高圧側出力端子15に電力が伝搬する。
【0077】
交流電圧成分の振幅が比較的に小さい場合、第2バイアス部132はオフ状態となる。第2バイアス部132がオフ状態の場合、第2トランジスタ32のゲート端子に入力されるゲート電圧Vgn1は、第2バイアス抵抗142を介して電圧VOPでバイアスされる。
図6に示すように、本例のゲート電圧Vgn1は、ゲート電圧Vgp1と異なるレベルにバイアスされ、且つ、波形が反転した正弦波である。
【0078】
第1接続部61に印加される電圧Vd1の振幅(0V~ピーク間の電圧)が、第2トランジスタ32の閾値電圧の1/3に達すると、電圧VOPおよび電圧VONの間の電圧差は、第2トランジスタ32の閾値電圧の2/3になる。第2トランジスタ32のゲート電圧Vgn1は、電圧Vd1と同等の振幅を有するので、第2トランジスタ32のゲート-ソース間電圧の最大値VN1は第1トランジスタ31の閾値電圧に到達する。これにより、第1トランジスタ31がオン状態となり、第1接続部61から高圧側出力端子15に電力が伝搬する。このように、
図7における整流回路100は、
図1に示した整流回路220に比べて、交流電圧成分の振幅が小さい場合(例えば2/3の振幅比)でも整流動作が可能である。
【0079】
図8は、交流電圧成分(Vd1、Vd2)の振幅が、比較的に大きい場合の整流回路100の動作を説明する図である。交流電圧成分の振幅が第1閾値電圧より大きい場合、第1バイアス部131はオン状態となる。ゲート電圧Vgp1は、第1バイアス部131と第1バイアス抵抗141によって、交流電圧成分の振幅に応じた電圧にバイアスされる。本例のゲート電圧Vgp1は、
図8に示すように、電圧VONよりも電圧VOPに近い電圧でバイアスされる。また、交流電圧成分の振幅が第2閾値電圧より大きい場合、第2バイアス部132はオン状態となる。ゲート電圧Vgn1は、第2バイアス部132と第2バイアス抵抗142によって、交流電圧成分の振幅に応じた電圧にバイアスされる。本例のゲート電圧Vgn1は、
図8に示すように、電圧VONよりも電圧VOPに近い電圧でバイアスされる。
図8に示すように、第1バイアス部131は、交流電圧成分の振幅の大きさが第1閾値電圧より大きい場合に、高圧側出力端子15の電圧VOPよりも高い電圧で、ゲート電圧Vgp1をバイアスしてよい。第2バイアス部132は、交流電圧成分の振幅の大きさが第1閾値電圧より大きい場合に、低圧側出力端子16の電圧VONよりも低い電圧で、ゲート電圧Vgn1をバイアスしてよい。
【0080】
第1接続部61の電圧Vd1の振幅(0V~ピーク電圧)が、第1トランジスタ31の閾値電圧の1/3より大きくなると、
図8に示す第1バイアス部131のゲート-ソース間電圧の最小値(絶対値では最大値)VP1は、第1バイアス部131の閾値電圧VthPを超えて下がり、第1バイアス部131に電流が流れる。このため、第1トランジスタ31のゲート-ソース間電圧の最小値VP1は、第1バイアス部131および第1トランジスタ31の閾値電圧(PMOSトランジスタの閾値電圧)を大幅に下回ることはない。従って、電圧VP1が閾値電圧VthPをわずかに下回る状態を維持するように、電圧Vgp1のバイアス電圧は、交流信号成分(Vd1、Vd2)の上昇に伴って、高圧側にシフトする。第1バイアス部131は、交流信号成分の振幅が大きいほど、ゲート電圧Vgp1に対するバイアス電圧を高くしてよい。
【0081】
第1接続部61の電圧Vd1の振幅(0V~ピーク電圧)が、第2トランジスタ32の閾値電圧の1/3より大きくなると、
図8に示す第2バイアス部132のゲート-ソース間電圧の最小値(絶対値では最大値)VN1は、第2バイアス部132の閾値電圧VthPを超えて上がり、第2バイアス部132に電流が流れる。このため、第2トランジスタ32のゲート-ソース間電圧の最大値VN1は、第2バイアス部132および第2トランジスタ32の閾値電圧(NMOSトランジスタの閾値電圧)を大幅に上回ることはない。従って、電圧VN1が閾値電圧VthNをわずかに上回る状態を維持するように、電圧Vgn1のバイアス電圧は、交流信号成分(Vd1、Vd2)の上昇に伴って、低圧側にシフトする。第2バイアス部132は、交流信号成分の振幅が大きいほど、ゲート電圧Vgn1に対するバイアス電圧を低くしてよい。
【0082】
このような動作により、第1トランジスタ31がオンする期間と、第2トランジスタ32がオンする期間を、それぞれ短くできる。このため、
図4に示した時間領域Bが生じることはなく、また、
図3および
図4に示した時間領域Aも生じない。このため整流回路100は、入力される交流電圧成分の振幅が大きくなっても、高効率で整流動作が可能である。
【0083】
図7の整流回路100は、第1入力コンデンサ21および第2入力コンデンサ22を有している。ただし、電源210の直流同相インピーダンスが十分高い場合、第1入力コンデンサ21および第2入力コンデンサ22を設けなくともよい。
【0084】
図9は、整流回路100の他の構成例を示す図である。本例の整流回路100は、
図7に示した整流回路100の構成に加えて、高圧側バルク抵抗145および低圧側バルク抵抗146を備える。他の構造は、
図7の例と同様である。
【0085】
高圧側バルク抵抗145は、高圧側出力端子15から第1トランジスタ31のバルクまでの抵抗値よりも、高圧側出力端子15から第1バイアス部131のバルクまでの抵抗値を高くする。高圧側バルク抵抗145を設けない場合、高圧側出力端子15から第1トランジスタ31のバルクまでの抵抗値と、高圧側出力端子15から第1バイアス部131のバルクまでの抵抗値は同一である。本例では、高圧側出力端子15から第1トランジスタ31のバルクまでの経路と、高圧側出力端子15から第1バイアス部131のバルクまでの経路が分岐して設けられている。高圧側バルク抵抗145は、分岐した後の、高圧側出力端子15から第1バイアス部131のバルクまでの経路に設けられている。また、高圧側バルク抵抗145から第1バイアス部131のバルクまでの経路は、分岐して第3バイアス部133のバルクにも接続されている。
【0086】
低圧側バルク抵抗146は、低圧側出力端子16から第2トランジスタ32のバルクまでの抵抗値よりも、低圧側出力端子16から第2バイアス部132のバルクまでの抵抗値を高くする。低圧側バルク抵抗146を設けない場合、低圧側出力端子16から第2トランジスタ32のバルクまでの抵抗値と、低圧側出力端子16から第2バイアス部132のバルクまでの抵抗値は同一である。本例では、低圧側出力端子16から第2トランジスタ32のバルクまでの経路と、低圧側出力端子16から第2バイアス部132のバルクまでの経路が分岐して設けられている。低圧側バルク抵抗146は、分岐した後の、低圧側出力端子16から第2バイアス部132のバルクまでの経路に設けられている。また、低圧側バルク抵抗146から第2バイアス部132のバルクまでの経路は、分岐して第4バイアス部134のバルクにも接続されている。
【0087】
図7の例では、第1バイアス部131のドレイン端子とバルクとの間には、寄生のダイオードが設けられる。ゲート電圧Vgp1が電圧VOPを大きく超えて、寄生ダイオードの順方向電圧閾値を超えると、高圧側出力端子15に接続された第1バイアス部131のバルクから、第1バイアス部131のドレイン端子に負の電流が流れ、第1コンデンサ121に充電される。ゲート電圧Vgp1の振幅が逆方向になると、第1コンデンサ121に充電された電流が、第1バイアス部131のドレイン端子からソース端子に流れて、高圧側出力端子15に流れる。この間、電源210は第1コンデンサ121を充放電することになり、挿入損失が生じる。他のバイアス部においても同様の挿入損失が生じる。
【0088】
本例では、高圧側バルク抵抗145および低圧側バルク抵抗146を設けることで、それぞれのバイアス部のバルクと、それぞれの出力端子との間に流れる電流を抑制できる。このため、第1コンデンサ121、第2コンデンサ122、第3コンデンサ123および第4コンデンサ124の充放電を小さくして、挿入損失を低減できる。整流回路100は、高圧側バルク抵抗145および低圧側バルク抵抗146の両方を有してよく、いずれか一方だけを有していてもよい。
【0089】
図10は、
図1に示した参考例、
図7の実施例、および、
図9の実施例における、入力電力と効率の関係を示す図である。本例では、電源210の出力インピーダンスを50Ω、交流電力の周波数を1GHzとした。本例では、電源210と整流回路との間には、適切に調整されたインピーダンス整合回路が挿入されている。また、負荷の抵抗212は100kΩである。
【0090】
電源210からの入力電力は、無負荷時の電源210の出力電圧の実効値Vsに対して、Pin=Vs
2/(4×50)で定義される。整流回路から抵抗212に供給される出力電力をPoutとする。
図10の効率は、入力電力Pinと出力電力Poutとの比(Pout/Pin)である。
【0091】
図1の例では、入力電力が-25dBm付近で高い効率を示す。ただし、入力電力の大きさを変化させると、より小さい電力でも、より大きい電力でも、効率は急激に低下する。
図1の例では、効率が50%を超える電力範囲は10dBに満たない。一方、
図7および
図9の例では、より小さい電力からより大きい電力まで、高い効率で整流を行うことができる。例えば、幅広い電力領域にわたって60%以上の効率で、整流動作できる。
【0092】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0093】
11・・・第1入力端子、12・・・第2入力端子、15・・・高圧側出力端子、16・・・低圧側出力端子、21・・・第1入力コンデンサ、22・・・第2入力コンデンサ、31・・・第1トランジスタ、32・・・第2トランジスタ、33・・・第3トランジスタ、34・・・第4トランジスタ、35・・・抵抗、36・・・トランジスタ、37・・・トランジスタ、38・・・抵抗、41、42、43、44・・・抵抗、51、52、53、54・・・コンデンサ、61・・・第1接続部、62・・・第2接続部、100・・・整流回路、121・・・第1コンデンサ、122・・・第2コンデンサ、123・・・第3コンデンサ、124・・・第4コンデンサ、131・・・第1バイアス部、132・・・第2バイアス部、133・・・第3バイアス部、134・・・第4バイアス部、141・・・第1バイアス抵抗、142・・・第2バイアス抵抗、143・・・・第3バイアス抵抗、144・・・第4バイアス抵抗、145・・・高圧側バルク抵抗、146・・・低圧側バルク抵抗、200・・・電源回路、210・・・電源、212・・・抵抗、214・・・平滑コンデンサ、220・・・整流回路、300・・・電源回路