(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136162
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】加工装置及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
B24B 49/12 20060101AFI20240927BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240927BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240927BHJP
B23Q 17/22 20060101ALI20240927BHJP
B23K 26/364 20140101ALI20240927BHJP
【FI】
B24B49/12
H01L21/78 F
B24B27/06 M
B23Q17/22 B
B23K26/364
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047168
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 陸
(72)【発明者】
【氏名】福家 朋来
(72)【発明者】
【氏名】清水 翼
【テーマコード(参考)】
3C029
3C034
3C158
4E168
5F063
【Fターム(参考)】
3C029AA40
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB73
3C034BB92
3C034CA22
3C034CA26
3C034CA30
3C034CB01
3C034CB14
3C034DD10
3C034DD20
3C158AA03
3C158AC02
3C158BA01
3C158BA07
3C158BC01
3C158BC02
3C158CB03
3C158CB04
3C158DA17
4E168AD02
4E168CA06
4E168CA07
4E168CA13
4E168CB01
4E168CB07
4E168HA01
5F063AA29
5F063AA37
5F063AA48
5F063DD01
5F063DE12
5F063DE23
5F063DE33
(57)【要約】
【課題】加工対象に合わせて画質を自動調整できる加工装置及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】加工装置は、ワークの加工条件の情報を含むデータを取得し、取得したデータに記された加工条件に従ってワークを加工する。加工装置は、ワークを透過可能な電磁波をワークに照射する照射部と、電磁波が照射されたワークを撮像する撮像部と、撮像により得られる第1画像に前処理を施して第2画像を生成する前処理部と、第2画像に画像処理を施す画像処理部と、を備える。加工装置が取得するデータに、前処理の処理条件の情報を含める。前処理部は、データに記された処理条件に従って第1画像に前処理を施し、第2画像を生成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの加工条件の情報を含むデータを取得し、取得した前記データに記された前記加工条件に従って前記ワークを加工する加工装置であって、
前記ワークを透過可能な電磁波を前記ワークに照射する照射部と、
前記電磁波が照射された前記ワークを撮像する撮像部と、
撮像により得られる第1画像に前処理を施して第2画像を生成する前処理部と、
前記第2画像に画像処理を施す画像処理部と、
を備え、
前記データは、前記前処理の処理条件の情報を含み、
前記前処理部は、前記データに記された前記処理条件に従って前記第1画像に前処理を施して前記第2画像を生成する、
加工装置。
【請求項2】
前記前処理部は、前記前処理として、輝度を変換する処理を行う、
請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記前処理部は、
前記処理条件に従って、前記第1画像の輝度を変換するテーブルを生成し、
生成した前記テーブルを参照して、前記第1画像の輝度を変換する、
請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記前処理部は、ゲイン及び/又はオフセットをパラメータに含む変換式を用いて前記テーブルを生成し、
前記データは、前記処理条件の情報として、前記変換式に設定する前記ゲイン及び/又は前記オフセットの情報を含む、
請求項3に記載の加工装置。
【請求項5】
前記前処理部は、
あらかじめ定められた条件に従って前記ゲイン及び/又は前記オフセットを段階的に変更することにより、複数の前記テーブルを生成し、
生成した複数の前記テーブルを用いて前記第1画像の輝度を変換することにより、複数の前記第2画像を生成し、
生成した複数の前記第2画像の中から前記画像処理部での画像処理に最も適した一つを抽出する、
請求項4に記載の加工装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記第2画像にアライメントの画像処理を施す、
請求項1から5のいずれか1項に記載の加工装置。
【請求項7】
前記加工条件及び前記処理条件を受け付ける条件受付部を更に備えた、
請求項1から5のいずれか1項に記載の加工装置。
【請求項8】
前記照射部は、前記電磁波として、赤外線を前記ワークに照射する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の加工装置。
【請求項9】
前記ワークを分割予定線に沿って加工する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の加工装置。
【請求項10】
回転するブレード又はレーザで前記ワークを前記分割予定線に沿って加工する、
請求項9に記載の加工装置。
【請求項11】
前記データは、更に、前記ワークの情報、アライメント条件の情報の少なくとも1つを含む、
請求項1から5のいずれか1項に記載の加工装置。
【請求項12】
前記アライメント条件の情報は、前記電磁波の照射量の情報、及び、前記撮像部で撮像する際のフォーカスの設定情報を含み、
前記データに基づいて、前記照射部による前記電磁波の照射を制御する照射制御部と、
前記データに基づいて、前記撮像部による撮像を制御する撮像制御部と、
を更に備える、
請求項11に記載の加工装置。
【請求項13】
ワークの加工条件の情報を含むデータを取得し、取得した前記データに記された前記加工条件に従って前記ワークを加工する加工装置において、前記ワークを透過可能な電磁波を前記ワークに照射して撮像した画像を処理する画像処理方法であって、
撮像により得られる第1画像に前処理を施して第2画像を生成する前処理工程と、
前記第2画像に画像処理を施す画像処理工程と、
を含み、
前記データは、前記前処理の処理条件の情報を含み、
前記前処理工程は、前記データに記された処理条件に従って、前記第1画像に前処理を施して、前記第2画像を生成する、
画像処理方法。
【請求項14】
前記前処理工程は、
ゲイン及び/又はオフセットをパラメータに含む変換式を用いて、前記第1画像の輝度を変換するテーブルを生成する工程と、
生成した前記テーブルを参照して、前記第1画像の輝度を変換する工程と、
を含み、
前記データは、前記処理条件の情報として、前記変換式に設定する前記ゲイン及び/又は前記オフセットの情報を含む、
請求項13に記載の画像処理方法。
【請求項15】
前記前処理工程は、
あらかじめ定められた条件に従って前記ゲイン及び/又は前記オフセットを段階的に変更することにより、複数の前記テーブルを生成する工程と、
生成した複数の前記テーブルを用いて前記第1画像の輝度を変換することにより、複数の前記第2画像を生成する工程と、
生成した複数の前記第2画像の中から前記画像処理工程での画像処理に最も適した一つを抽出する工程と、
を更に含む、
請求項14に記載の画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置及び画像処理方法に係り、特に、板状のワークを加工する加工装置、及び、その加工装置内で撮影されたワークの画像を処理する画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク(加工対象物)に溝入れ加工する加工装置(たとえば、スライサ、ダイサ等)等において、ワークの加工位置を認識等するために、ワークを撮像することがある。その際、ワークを透過可能な電磁波(たとえば、赤外線、X線等)を用いて、ワークを撮像することがある(たとえば、特許文献1-4等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-232255号公報
【特許文献2】特開平7-75955号公報
【特許文献3】特開2008-109015号公報
【特許文献4】特開2015-159241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像は、焦点位置や電磁波の照射量等を調整して、最適な条件で実施される。しかし、得られる画像は、必ずしも画像認識等の処理に適した画質とは限らず、ワークごとに個別に画質を調整する必要があった。たとえば、ワークの厚みや透過する膜厚、膜種等によって、ワークごとに個別に明るさやコントラストを調整する必要があった。調整作業は、オペレータ(ユーザ)が手動で行う必要があり、ワークが複数ある場合、多大な手間を要していた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、加工対象に合わせて画質を自動調整できる加工装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る加工装置の第1態様は、ワークの加工条件の情報を含むデータを取得し、取得したデータに記された加工条件に従ってワークを加工する加工装置であって、ワークを透過可能な電磁波をワークに照射する照射部と、電磁波が照射されたワークを撮像する撮像部と、撮像により得られる第1画像に前処理を施して第2画像を生成する前処理部と、第2画像に画像処理を施す画像処理部と、を備え、データは、前処理の処理条件の情報を含み、前処理部は、データに記された処理条件に従って第1画像に前処理を施して第2画像を生成する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る加工装置の第2態様は、第1態様の加工装置において、前処理部は、前処理として、輝度を変換する処理を行う、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る加工装置の第3態様は、第2態様の加工装置において、前処理部は、処理条件に従って、第1画像の輝度を変換するテーブルを生成し、生成したテーブルを参照して、第1画像の輝度を変換する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る加工装置の第4態様は、第3態様の加工装置において、前処理部は、ゲイン及び/又はオフセットをパラメータに含む変換式を用いてテーブルを生成し、データは、処理条件の情報として、変換式に設定するゲイン及び/又はオフセットの情報を含む、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る加工装置の第5態様は、第4態様の加工装置において、前処理部は、あらかじめ定められた条件に従ってゲイン及び/又はオフセットを段階的に変更することにより、複数のテーブルを生成し、生成した複数のテーブルを用いて第1画像の輝度を変換することにより、複数の第2画像を生成し、生成した複数の第2画像の中から画像処理部での画像処理に最も適した一つを抽出する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る加工装置の第6態様は、第1から第5のいずれか一の態様の加工装置において、画像処理部は、第2画像にアライメントの画像処理を施す、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る加工装置の第7態様は、第1から第6のいずれか一の態様の加工装置において、加工条件及び処理条件を受け付ける条件受付部を更に備えた、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る加工装置の第8態様は、第1から第7のいずれか一の態様の加工装置において、照射部は、電磁波として、赤外線をワークに照射する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る加工装置の第9態様は、第1から第8のいずれか一の態様の加工装置において、ワークを分割予定線に沿って加工する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る加工装置の第10態様は、第9態様の加工装置において、回転するブレード又はレーザでワークを分割予定線に沿って加工する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る加工装置の第11態様は、第1から第10のいずれか一の態様の加工装置において、データは、更に、ワークの情報、アライメント条件の情報の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る加工装置の第12態様は、第11態様の加工装置において、アライメント条件の情報は、電磁波の照射量の情報、及び、撮像部で撮像する際のフォーカスの設定情報を含み、データに基づいて、照射部による電磁波の照射を制御する照射制御部と、データに基づいて、撮像部による撮像を制御する撮像制御部と、を更に備える、ことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る画像処理方法の第1態様は、ワークの加工条件の情報を含むデータを取得し、取得したデータに記された加工条件に従ってワークを加工する加工装置において、ワークを透過可能な電磁波をワークに照射して撮像した画像を処理する画像処理方法であって、撮像により得られる第1画像に前処理を施して第2画像を生成する前処理工程と、第2画像に画像処理を施す画像処理工程と、を含み、データは、前処理の処理条件の情報を含み、前処理工程は、データに記された処理条件に従って、第1画像に前処理を施して、第2画像を生成する、ことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る画像処理方法の第2態様は、第1態様の画像処理方法において、前処理工程は、ゲイン及び/又はオフセットをパラメータに含む変換式を用いて、第1画像の輝度を変換するテーブルを生成する工程と、生成したテーブルを参照して、第1画像の輝度を変換する工程と、を含み、データは、処理条件の情報として、変換式に設定するゲイン及び/又はオフセットの情報を含む、ことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る画像処理方法の第3態様は、第2態様の画像処理方法において、前処理工程は、あらかじめ定められた条件に従ってゲイン及び/又はオフセットを段階的に変更することにより、複数のテーブルを生成する工程と、生成した複数のテーブルを用いて第1画像の輝度を変換することにより、複数の第2画像を生成する工程と、生成した複数の第2画像の中から画像処理工程での画像処理に最も適した一つを抽出する工程と、を更に含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発によれば、撮像した画像の画質を加工対象のワークに合わせて自動調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ダイシング装置の一実施形態を示す正面図である。
【
図4】ダイシング装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】画像処理部が有する機能のブロック図である。
【
図7】前処理部が有する主な機能のブロック図である。
【
図8】ルックアップテーブルの生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】アライメントの処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】前処理部が有する主な機能のブロック図である。
【
図11】ルックアップテーブルの生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】前処理の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0024】
[第1の実施の形態]
ここでは、本発明をダイシング装置に適用した場合を例に説明する。ダイシング装置は、ワーク(加工対象物)に溝入れ加工する装置である。特に、本実施の形態では、本発明をブレードダイサに適用した場合を例に説明する。
【0025】
ブレードダイサは、高速回転するブレードにより、ウェーハを切削又はウェーハに切溝を加工する。本実施の形態において、ダイシング装置は、加工装置の一例である。
【0026】
加工対象のウェーハは、たとえば、IC(Integrated Circuit:集積回路)等が形成された半導体のウェーハである(いわゆるパターン付きウェーハ)。IC等は、ストリートによって区画された格子状の領域に形成される。ストリートは、ウェーハ上の切削可能な領域である。ブレードダイサは、ウェーハをストリートに沿ってブレードで加工し、チップ化する。ウェーハは、ワークの一例である。ストリートは、分割予定線の一例である。
【0027】
なお、本実施の形態では、可視光下でパターン面(IC等が形成された面)を観察できない場合を例に説明する。たとえば、パターン面が、切削面(ブレードで切削又は切溝を加工する面)上にない場合や、パターン面が不透明な保護膜で被覆されている場合等が、これに該当する。パターン面が切削面にない場合とは、たとえば、パターン面(表面)を下にして加工する場合(裏面を切削面として加工する場合)、積層されたウェーハの内部にパターン面が存在する場合(いわゆるサンドイッチ構造のウェーハを加工する場合)等である。)、パターン面が不透明な保護膜で被覆されている場合等が、これに該当する。このように可視光下でパターン面を観察できない場合、ウェーハを透過可能な電磁波を用いて、ウェーハの観察ないしアライメントが行われる。一例として、赤外線(IR:InfraRed ray)を用いて、ウェーハの観察ないしアライメントが行われる。
【0028】
[ダイシング装置(ブレードダイサ)の装置構成]
図1は、本発明が適用されたダイシング装置の一実施形態を示す正面図である。また、
図2は、
図1に示すダイシング装置の平面図である。
【0029】
図1及び
図2において、X軸、Y軸及びZ軸は互いに直交する軸である。X軸及びY軸を含む平面は、水平面を構成する。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態のダイシング装置1は、ベース2上に、ウェーハWを保持するワークテーブル10、及び、ワークテーブル10をX軸方向に送るX軸送り機構30X等が備えられる。
【0031】
ワークテーブル10は、円盤状の形状を有し、水平な保持面10A上でウェーハWを吸着保持する。一例として、ワークテーブル10は、真空吸着により、ウェーハWを吸着保持する。
【0032】
ウェーハWは、
図2に示すように、ダイシングフレームDFにマウントされた状態でワークテーブル10に保持される。ウェーハWは、円盤状の形状を有し、ダイシングテープDTを介して、ダイシングフレームDFにマウントされる。
【0033】
なお、本実施の形態では、パターン面(表面)を下向きにして、ウェーハWがダイシングフレームDFにマウントされる。したがって、ウェーハWは、ワークテーブル10上において、パターン面を下向きにして保持される。すなわち、ウェーハWは、パターンが存在しない面(裏面)を上にして、ワークテーブル10に保持される。
【0034】
ワークテーブル10は、ワークテーブル駆動モータ12に駆動されて、θ軸周りに回転する。θ軸は、ワークテーブル10の中心を通り、Z軸と平行な軸である。ワークテーブル10は、回転の基準点を有し、その基準点の位置(原点に対する回転位置)が、図示しない回転位置検出器によって検出される。回転位置検出器は、たとえば、ロータリーエンコーダで構成される。
【0035】
X軸送り機構30Xは、ワークテーブル10をX軸方向に移動させる機構である。X軸送り機構30Xは、X軸ガイドレール32X、X軸テーブル34X、X軸アクチュエータ36X、及び、X軸位置検出器(図示せず)等で構成される。X軸ガイドレール32Xは、X軸方向に沿ってベース2上に設けられる。X軸テーブル34Xは、X軸ガイドレール32X上を移動自在に設けられる。X軸アクチュエータ36Xは、X軸テーブル34XをX軸ガイドレール32Xに沿って移動させる。X軸アクチュエータ36Xは、たとえば、リニアモータで構成される。図示しないX軸位置検出器は、X軸テーブル34Xの位置を検出する。X軸位置検出器は、たとえば、リニアスケールで構成される。
【0036】
ワークテーブル10は、X軸テーブル34X上に設置される。X軸アクチュエータ36Xを駆動し、X軸テーブル34XをX軸方向に移動させることにより、ワークテーブル10が、X軸方向に移動する。また、X軸位置検出器でX軸テーブル34Xの位置を検出することにより、ワークテーブル10のX軸方向の位置(X軸方向の基準点に対する位置)が検出される。
【0037】
図1及び
図2に示すように、ベース2上には更にコラム3が備えられる。コラム3は、門型の形状を有し、X軸ガイドレール32Xを跨いでベース2上に設置される。
【0038】
コラム3には、ウェーハWを加工する加工ユニット40、ウェーハWの表面を撮像する撮像ユニット50、加工ユニット40及び撮像ユニット50をY軸方向に送るY軸送り機構30Y、及び、加工ユニット40及び撮像ユニット50をZ軸方向に送るZ軸送り機構30Z等が備えられる。
【0039】
加工ユニット40は、高速回転するブレード42により、ウェーハWを加工する。加工ユニット40は、ブレード42が装着されるスピンドル44、スピンドル44を回転させるスピンドルモータ46等を備える。スピンドル44は、Y軸と平行に配置される。ブレード42は、スピンドル44の先端部に着脱可能(交換可能)に装着される。スピンドル44に装着されたブレード42は、スピンドルモータ46を駆動して、スピンドル44を高速回転させることにより、軸周りに高速回転する。
【0040】
撮像ユニット50は、ウェーハWを鉛直上方から撮像する。ここで、上記のように、ウェーハWは、パターン面を下向きにして、ワークテーブル10に保持される。このため、ワークテーブル10上のウェーハWを通常の可視光下で観察しても、パターンを観察することはできない。このため、本実施の形態のダイシング装置1では、赤外線を用いて、ウェーハWを撮像する。撮像ユニット50の詳細については後述する。
【0041】
Y軸送り機構30Yは、加工ユニット40及び撮像ユニット50をY軸方向に移動させる機構である。Y軸送り機構30Yは、Y軸ガイドレール32Y、Y軸テーブル34Y、Y軸アクチュエータ36Y及びY軸位置検出器(図示せず)等で構成される。Y軸ガイドレール32Yは、Y軸方向に沿ってコラム3に設けられる。Y軸テーブル34Yは、Y軸ガイドレール32Y上を移動自在に設けられる。Y軸アクチュエータ36Yは、Y軸テーブル34YをY軸ガイドレール32Yに沿って移動させる。Y軸アクチュエータ36Yは、たとえば、リニアモータで構成される。図示しないY軸位置検出器は、Y軸テーブル34Yの位置を検出する。Y軸位置検出器は、たとえば、リニアスケールで構成される。
【0042】
Z軸送り機構30Zは、加工ユニット40及び撮像ユニット50をZ軸方向に移動させる機構である。Z軸送り機構30Zは、Z軸ガイドレール32Z、Z軸テーブル34Z、Z軸アクチュエータ36Z及びZ軸位置検出器(図示せず)等で構成される。Z軸ガイドレール32Zは、Z軸方向に沿ってY軸テーブル34Yに設けられる。Z軸テーブル34Zは、Z軸ガイドレール32Z上を移動自在に設けられる。Z軸アクチュエータ36Zは、Z軸テーブル34ZをZ軸ガイドレール32Zに沿って移動させる。Z軸アクチュエータ36Zは、たとえば、リニアモータで構成される。図示しないZ軸位置検出器は、Z軸テーブル34Zの位置を検出する。Z軸位置検出器は、たとえば、リニアスケールで構成される。
【0043】
加工ユニット40及び撮像ユニット50は、ブラケット48を介して、Z軸テーブル34Zに取り付けられる。これにより、Z軸テーブル34Zを移動させると、加工ユニット40及び撮像ユニット50がZ軸方向に移動する。また、Y軸テーブル34Yを移動させると、加工ユニット40及び撮像ユニット50がY軸方向に移動する。また、図示しないZ軸位置検出器でZ軸テーブル34Zの位置を検出することにより、ブレード42のZ軸方向の位置が検出される。また、図示しないY軸位置検出器でY軸テーブル34Yの位置を検出することにより、ブレード42のY軸方向の位置が検出される。
【0044】
[撮像ユニット]
図3は、撮像ユニットの概略構成を示す図である。
【0045】
上記のように、本実施の形態の撮像ユニット50は、赤外線(赤外光)を用いて、ワークテーブル10上のウェーハWを撮像する。
【0046】
図3に示すように、撮像ユニット50は、顕微鏡部51、光源部52及びカメラ部53等を備える。
【0047】
顕微鏡部51は、ビームスプリッタ51A、対物レンズ51B、及び、結像レンズ51C等を備える。
【0048】
光源部52は、光源52A及び光源用レンズ52Bを有する。光源52Aは、赤外線(赤外光)を出射する。光源52Aは、たとえば、赤外線ランプ、赤外線LED(Light Emitting Diode)等で構成される。光源用レンズ52Bは、光源52Aから発せられた赤外線を顕微鏡部51に導く。より具体的には、ビームスプリッタ51Aに入射させる。
【0049】
ビームスプリッタ51Aに入射した赤外線は、対物レンズ51Bを介して、ワークテーブル10上のウェーハWに照射される。そして、ウェーハWで反射した光が、対物レンズ51B、ビームスプリッタ51A、結像レンズ51Cを介して、カメラ部53に入射する。
【0050】
カメラ部53は、撮像素子53Aを有し、赤外線によるウェーハWの像を電子的に撮像する。撮像素子53Aには、たとえば、CMOSイメージセンサ(complementary metal oxide semiconductor image sensor)、CCDイメージセンサ(charge-coupled device image sensor)等のエリアイメージセンサが用いられる。
【0051】
本実施の形態において、光源52A、光源用レンズ52B、ビームスプリッタ51A及び対物レンズ51Bの組み合わせからなる構成は、照射部の一例である。また、顕微鏡部51及びカメラ部53の組み合わせからなる構成は、撮像部の一例である。
【0052】
[ダイシング装置の制御系の構成]
図4は、ダイシング装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0053】
ダイシング装置1は、装置の全体の動作を統括制御する制御部100、撮像ユニット50で撮像された画像を処理する画像処理部110、画像処理部110で処理する画像に対し前処理を施す前処理部120、各種情報を表示するための表示部130、オペレータ(ユーザ)が各種操作を行うための操作部140、及び、外部機器と通信する通信部150等を有する。
【0054】
制御部100、画像処理部110及び前処理部120は、プロセッサ、メモリ及び補助記憶装置等を備えたコンピュータで構成される。すなわち、コンピュータが、所定のプログラムを実行することで、制御部100、画像処理部110及び前処理部120として機能する。プロセッサは、たとえば、CPU(Central Processing Unit)で構成される。メモリは、メインメモリとしてのRAM(Random Access Memory)の他、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を含む。補助記憶装置は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等で構成される。なお、制御部100、画像処理部110及び前処理部120は、各々別々のコンピュータで構成することもできる。
【0055】
表示部130は、たとえば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(Organic ElectroLuminescence display又は Organic Light Emitting Diode display)等で構成される。操作部140は、たとえば、タッチパネル、キーボード、操作盤等で構成される。通信部150は、公知の通信規格に従って外部機器と有線又は無線で通信する。
【0056】
[制御部の機能]
制御部100は、ワークテーブル駆動モータ12を制御して、ワークテーブル10の回転を制御する。また、制御部100は、X軸アクチュエータ36Xを制御して、ワークテーブル10のX軸方向の送りを制御する。また、制御部100は、Y軸アクチュエータ36Yを制御して、加工ユニット40のY軸方向の送りを制御する。また、制御部100は、Z軸アクチュエータ36Zを制御して、加工ユニット40のZ軸方向の送りを制御する。また、制御部100は、スピンドルモータ46を制御して、スピンドル44の回転を制御する。
【0057】
加工に際して、ダイシング装置1は、ワークテーブル10の回転を制御することにより、ブレード42に対するウェーハWの向き(姿勢)が制御される。
【0058】
また、加工に際して、ダイシング装置1は、ワークテーブル10のX軸方向の送りを制御することにより、切削方向の送り(切削送り)が制御される。また、ダイシング装置1は、加工ユニット40のY軸方向の送りを制御することにより、切削方向と直交する方向の送り(インデックス送り)が制御される。また、ダイシング装置1は、加工ユニット40のZ軸方向の送りを制御することにより、切り込み方向の送り(切り込み送り)が制御される。
【0059】
ウェーハWの加工は、レシピに従って行われる。制御部100は、レシピに記された加工条件に従って各部を制御し、ウェーハWを加工する。レシピについては後述する。
【0060】
制御部100は、撮像ユニット50を制御して、ウェーハWの撮像を制御する。撮像の制御には、焦点合わせの制御(いわゆるオートフォーカス制御)、露出の制御(いわゆる自動露出制御)等が含まれる。露出の制御には、赤外線の照射量(赤外光の光量)の制御が含まれる。本実施の形態において、制御部100は、照射制御部及び撮像制御部の一例である。
【0061】
[画像処理部の機能]
図5は、画像処理部が有する機能のブロック図である。
【0062】
図5に示すように、画像処理部110は、アライメント部110A、及び、カーフチェック部110B等の機能を有する。
【0063】
アライメント部110Aは、制御部100と協同して、アライメントの処理を行う。アライメントは、ストリートの位置を割り出す動作である。ストリートの位置は、たとえば、アライメントマークを基準にして割り出される。アライメントマークは、アライメントのために、ウェーハWに付されるマークである(アライメントターゲットともいう。)。アライメント部110Aは、撮像ユニット50で撮像された画像を処理し、画像内からアライメントマークを検出する。より具体的には、画像解析により、画像中からアライメントマークを認識する(いわゆる画像認識)。
【0064】
カーフチェック部110Bは、撮像ユニット50で撮像された画像に基づいて、カーフチェックを行う。カーフチェックとは、ブレード42が、ウェーハW上の正しい位置を適切な状態で加工しているか確認する処理である。カーフチェックには、カットずれの検出、チッピングの検出、カーフ幅の検出等が含まれる。カーフチェックは、あらかじめ設定された位置に対し、あらかじめ設定された頻度で実施される。カーフ幅は、たとえば、ブレード42で加工した切溝のブレード42の厚さ方向の幅である。なお、カーフ幅は、ブレード42で加工した切溝の上端部の幅であってもよいし、切溝の底部の幅であってもよいし、切溝の上端部及び底部の間の幅であってもよい。
【0065】
[前処理部の機能]
前処理部120は、撮像ユニット50で撮像された画像を入力し、所定の処理(前処理)を施して、画像処理部110に出力する。具体的には、前処理部120は、撮像ユニット50で撮像された画像に対し、画像処理部110での画像処理に適した画質の画像に変換する処理を行う。一例として、本実施の形態では、画像の輝度(明るさ)を変換する処理を行う。
【0066】
本実施の形態では、ルックアップテーブル(Lookup Table:LUT)を参照して、画像の輝度を変換する処理を行う。より具体的には、ルックアップテーブルを参照して、各画素(ピクセル)の輝度値(画素値)を変換し、画像の輝度を変換する処理を行う。ルックアップテーブルは、テーブルの一例である。
【0067】
ルックアップテーブルには、変換前の輝度値と変換後の輝度値とが一対一で対応付けられて記憶される。したがって、ルックアップテーブルを参照することで、変換すべき輝度値が一意に定まる。
【0068】
ルックアップテーブルは、所定の変換式を用いて生成される。また、ルックアップテーブルは、加工対象のウェーハWごとに生成される。
【0069】
【0070】
図6のグラフにおいて、横軸は、入力画像の輝度値(変換前の輝度値)を示し、縦軸は、出力画像の輝度値(変換後の輝度値)を示している。
【0071】
図6に示すグラフの変換式は、ゲイン及びオフセットをパラメータに含んでいる。本実施の形態では、ゲイン及びオフセットが、ウェーハWごとに設定される。
【0072】
ここで、
図6において、実線で示すグラフL0は、あるウェーハについて設定された変換式f0(x)のグラフである。
【0073】
また、
図6において、破線で示すグラフL1は、変換式f0(x)において、ゲインのパラメータを変更した場合のグラフである。特に、
図6は、ゲインを増加させた場合のグラフである。変換式f0(x)において、ゲインのパラメータを変更した変換式をf1(x)とする。
【0074】
また、
図6において、一点破線で示すグラフL2は、変換式f0(x)において、オフセットのパラメータを変更した場合のグラフである。特に、
図6は、オフセットを増加させた場合のグラフである。変換式f0(x)において、オフセットのパラメータを変更した変換式をf2(x)とする。
【0075】
図6に示すように、ゲイン及びオフセットをパラメータに含む場合、ゲインのパラメータを変更すると、グラフの傾きが変化する。また、オフセットのパラメータを変更すると、グラフの切片が変化する。
【0076】
ゲインについては、グラフの傾きが変化することから、ゲインのパラメータを変更すると、変換後の輝度の分解能が変化する。
【0077】
また、オフセットについては、グラフの切片が変化することから、オフセットのパラメータを変更すると、画像全体の輝度が変化(上下)する。
【0078】
画像処理部110での画像処理に必要な輝度をゲイン及びオフセットのパラメータで調整する。
【0079】
前処理部120は、ウェーハWの加工処理を開始する前に変換式に設定するゲイン及びオフセットの設定値の情報を取得し、取得した情報に基づいて、ルックアップテーブルを生成する。そして、生成したルックアップテーブルに基づいて、輝度を変換する処理を行う。
【0080】
図7は、前処理部が有する主な機能のブロック図である。
【0081】
図7に示すように、前処理部120は、パラメータ設定情報取得部120A、ルックアップテーブル生成部(LUT生成部)120B、ルックアップテーブル記憶部(LUT記憶部)120C、画像取得部120D、及び、画像変換処理部120E等の機能を有する。パラメータ設定情報取得部120A、ルックアップテーブル生成部120B、画像取得部120D、及び、画像変換処理部120Eの機能は、前処理部120を構成するプロセッサが、所定のプログラムを実行することで実現される。また、ルックアップテーブル記憶部120Cは、前処理部120を構成するメモリ又は補助記憶装置によって実現される。
【0082】
パラメータ設定情報取得部120Aは、変換式に含まれるパラメータの設定情報を取得する。すなわち、ゲイン及びオフセットの設定情報を取得する。本実施の形態では、このパラメータの設定情報が、レシピのデータに含まれている。レシピについては、後述する。パラメータ設定情報取得部120Aは、レシピのデータを取得し、レシピのデータに含まれているパラメータの設定値の情報を取得する。より具体的には、レシピのデータに含まれているゲイン及びオフセットの設定値の情報を取得する。ゲイン及びオフセットの設定値の情報は、前処理の処理条件の情報の一例である。
【0083】
ルックアップテーブル生成部120Bは、所定の変換式を使用して、ルックアップテーブルを生成する。上記のように、変換式には、ゲイン及びオフセットがパラメータに含まれる。ルックアップテーブル生成部120Bは、パラメータ設定情報取得部120Aで取得したゲイン及びオフセットの設定値の情報に基づいて、変換式を設定し、設定した変換式を用いてルックアップテーブルを生成する。すなわち、輝度値を一対一で変換するルックアップテーブルを生成する。ルックアップテーブルは、入力する画像の輝度値のレンジに合わせて生成される。たとえば、入力する画像の輝度値の階調が、255階調(8bit)であれば、225階調分のルックアップテーブルを生成する。
【0084】
ルックアップテーブル記憶部120Cは、ルックアップテーブル生成部120Bで生成されたルックアップテーブルを記憶する。
【0085】
画像取得部120Dは、処理対象の画像(画像データ)を取得する。処理対象の画像は、撮像ユニット50で撮像された画像である。画像取得部120Dは、撮像ユニット50から出力される画像データを取得する。画像取得部120Dで取得される画像は、第1画像の一例である。
【0086】
画像変換処理部120Eは、画像取得部120Dで取得した画像(第1画像)に対し、輝度を変換する処理を行う。画像変換処理部120Eは、ルックアップテーブル記憶部120Cに記憶されたルックアップテーブルを参照して、各画素の輝度値を変換して、画像の輝度を変換する処理を行う。画像変換処理部120Eで輝度が変換された画像は、第2画像の一例である。
【0087】
画像変換処理部120Eで輝度が変換された画像は、画像処理部110に出力される。画像処理部110は、輝度が変換された画像(第2画像)に対し、所定の画像処理(アライメントのための画像処理、カーフチェックのための画像処理等)を行う。
【0088】
[レシピ]
上記のように、本実施の形態のダイシング装置1において、ウェーハWの加工は、レシピに従って行われる。
【0089】
一般に製品の製造に用いられる製造装置では、製造工程ごとに製造装置の動作を指定するパラメータが複数設定される。このパラメータの集合を「レシピ」という。
【0090】
ダイシング装置では、ワークの加工条件(加工方法と同義)のパラメータ、アライメント条件(アライメント方法と同義)のパラメータ等に加えて、ワークの情報をレシピ(「デバイスデータ」ともいう)として保持し、ワークの種類ごとあるいは加工条件ごとにレシピとして管理している。
【0091】
ワークの情報には、たとえば、ワークサイズの情報、ワーク厚みの情報、テープ厚みの情報等が含まれる。ワークサイズの情報は、加工対象の大きさ(円形のワークの場合は直径、矩形のワークの場合は縦及び横の長さ)の情報である。ワークサイズの情報に基づいて、ブレードの移動範囲が定まる。
【0092】
ワークの加工条件のパラメータには、たとえば、インデックスの設定値、送り速度の設定値、スピンドル回転数の設定値、ブレードハイトの設定値等が含まれる。インデックスは、Y軸方向への送り量である。送り速度は、切削時におけるブレードの送り速度である。したがって、送り速度は、X軸方向の送り速度である。ブレードハイトは、切削時におけるワークテーブル10の保持面10Aからブレード42までの距離である。ブレードハイトにより切り込み量ないし切り残し量が制御される。
【0093】
アライメント条件のパラメータには、たとえば、照明の設定値、フォーカスの設定値等が含まれる。照明の設定値は、照明光の照射光量の設定値である。赤外線(放射線)を使用した撮影では、赤外線の照射量の設定値(赤外光の光量の設定値と同義)となる。フォーカスの設定値は、焦点を合わせる位置の設定値である。
【0094】
レシピにおける各種パラメータの設定は、表示部130及び操作部140を利用して、オペレータが行う。たとえば、所定の設定画面を表示部130に表示させ、操作部140を介して、オペレータから各パラメータの設定値の入力を受け付ける。この場合、表示部130及び操作部140の組み合わせが、加工条件及び前処理の処理条件を受け付ける条件受付部を構成する。この他、通信部150を介して、外部から各パラメータの設定値の情報を取得する構成とすることもできる。
【0095】
設定されたレシピの情報(パラメータの設定情報)は、ウェーハWを識別する情報に関連付けて、補助記憶装置に記憶される。したがって、次回以降、同じ種類のウェーハWを同じ条件で加工する場合は、補助記憶装置からレシピのデータを呼び出して設定できる。これにより、オペレータによるレシピの設定の負荷を低減できる。
【0096】
レシピのデータは、この他、加工条件等に関連づけて記憶させることもできる。これにより、加工条件等からレシピのデータを呼び出して使用することが可能になる。
【0097】
本実施の形態のダイシング装置1では、このレシピに前処理部120での処理に必要な情報が含まれる。すなわち、前処理の処理条件の情報が含まれる。具体的には、輝度値変換用のルックアップテーブルを生成する変換式のパラメータの設定値の情報が含まれる。
【0098】
上記のように、本実施の形態のダイシング装置1では、ルックアップテーブルを生成する変換式のパラメータとして、ゲイン及びオフセットが含まれる。したがって、前処理の処理条件の情報として、レシピにゲイン及びオフセットの設定値の情報が含まれる。
【0099】
ゲイン及びオフセットの設定は、加工条件等の設定と同様にオペレータが行う。一例として、所定の設定画面を表示部130に表示させ、操作部140を介して、オペレータから各パラメータの設定値の入力を受け付ける。設定は、加工条件等の設定を行う画面と同じ画面で行う構成としてもよいし、別の画面で行う構成としてもよい。この他、通信部150を介して、外部からゲイン及びオフセットの設定値の情報を取得する構成とすることもできる。
【0100】
このように、本実施の形態のダイシング装置1では、前処理に必要な情報がレシピに含まれ、レシピのデータを取得することで、前処理に必要な情報を取得できる。レシピは、加工対象ごとに設定されるので、加工対象ごとに前処理に必要な情報を取得できる。
【0101】
本実施の形態において、レシピの情報ないしデータは、ワークの加工条件の情報を含むデータの一例である。
【0102】
[ダイシング装置の作用]
ここでは、撮像ユニット50で撮像された画像の処理(画像処理方法)に着目して、本実施の形態のダイシング装置1の作用について説明する。特に、アライメントを行う場合の処理について説明する。
【0103】
上記のように、アライメントは、ストリートの位置を割り出す動作である。本実施の形態では、撮像ユニット50で撮像された画像を処理し、画像内からアライメントマークを検出して、ストリート位置を割り出す。
【0104】
まず、加工対象のウェーハWに対し、レシピを設定する。上記のように、レシピの設定は、所定の設定画面で行う。過去のレシピを流用する場合は、該当するレシピのデータを補助記憶装置から読み出して、レシピを設定する。この他、通信部150を介して、外部からレシピのデータを取得して設定することもできる。
【0105】
設定するレシピには、前処理部120での処理に必要な情報、すなわち、ルックアップテーブルの生成に必要な情報(変換式のパラメータの設定情報)も含まれる。本実施の形態においては、ゲイン及びオフセットの設定情報が含まれる。
【0106】
ここで、変換式のゲイン及びオフセットは、画像処理の観点から設定される。すなわち、画像処理に適した輝度の画像になるように、ゲイン及びオフセットの値が設定される。本実施の形態では、アライメントマークないしカーフの検出に適した輝度の画像になるように、ゲイン及びオフセットの値が設定される。
【0107】
設定したレシピに従ってアライメントが行われ、かつ、アライメントの完了後、レシピに従ってウェーハWの加工が行われる。
【0108】
本実施の形態のダイシング装置1では、アライメントに先立ち、前処理部120での処理(前処理)に必要なルックアップテーブルの生成が行われる。
【0109】
図8は、ルックアップテーブルの生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0110】
まず、レシピのデータを取得する(ステップS1)。
【0111】
次に、取得したレシピのデータから変換式のパラメータの設定情報(本実施の形態では、ゲイン及びオフセットの設定情報)を読み出し、変換式を設定する(ステップS2)。本実施の形態では、画像の輝度値を変換する変換式が設定される。
【0112】
次に、設定した変換式を用いて、ルックアップテーブルを生成する(ステップS3)。本実施の形態では、画像の輝度値を変換するルックアップテーブルが生成される。
【0113】
次に、生成したルックアップテーブルをメモリに記憶する(ステップS4)。なお、レシピのデータを補助記憶装置に記憶する場合、レシピのデータに関連づけて、ルックアップテーブルを補助記憶装置に記憶させてもよい。
【0114】
以上一連の工程で前処理に必要なルックアップテーブルが生成される。ルックアップテーブルの生成完了後、アライメントの処理が実施される。
【0115】
図9は、アライメントの処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0116】
まず、画像の撮像が行われる(ステップS11)。撮像は、レシピに記されたアライメント条件に従って行われる。すなわち、レシピに記された照明条件(照明の設定値)、フォーカス条件(フォーカスの設定値)等に従って行われる。これにより、ウェーハWを撮像した画像(第1画像)が取得される。画像は、赤外線の画像である。よって、ウェーハWの内部に検出対象(アライメントマーク)が存在する場合であっても、画像から検出対象を検出(認識)できる。
【0117】
次に、得られた画像に対し、前処理を行う(ステップS12)。本実施の形態では、各画素の輝度値を変換する処理が行われる。変換処理は、ルックアップテーブルを参照して行われる。
【0118】
前処理を行うことにより、後段の画像処理に適した画像(第2画像)が生成される。具体的には、アライメントマークの検出に適した輝度の画像が生成される。ステップS12は、前処理工程の一例である。
【0119】
次に、前処理後の画像に対し、アライメントの画像処理を行う(ステップS13)。本実施の形態では、アライメントの画像処理として、画像からアライメントマークを検出する処理を行う。ステップS13は、画像処理工程の一例である。
【0120】
次に、アライメントマークの検出結果に基づいて、ブレード42の位置合わせの処理を行う(ステップS14)。すなわち、アライメントマークに対し、所定の位置にブレード42が位置するように位置合わせが行われる。
【0121】
以上一連の工程でアライメントの処理が完了する。この後、レシピに記された加工条件に従ってウェーハWの加工が行われる。
【0122】
カーフチェックを行う場合も同様に、撮像ユニット50で撮像された画像に対し、前処理を行う。そして、前処理後の画像に対し、カーフチェックの画像処理を行う。この場合、前処理の処理条件は、アライメントにおける前処理の処理条件と同じであってもよいし、異なる条件であってもよい。異なる条件で前処理を行う場合、それぞれについての処理条件を設定し、レシピに記録する。これにより、アライメントとカーフチェックとで要求される画質が異なる場合であっても、それぞれに適した画質の画像を提供できる。
【0123】
以上説明したように、本実施の形態のダイシング装置1によれば、画像処理前に画質を自動で調整して最適化できる。これにより、高精度な画像処理を安定して行うことができる。
【0124】
また、前処理の処理条件をレシピに記すことで、対象のワークごとに最適な処理条件を個別に設定できる。また、これにより、加工開始から終了までスムーズかつシームレスな処理を実現できる。
【0125】
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態のダイシング装置1では、撮像ユニット50で撮像された画像(第1画像)に対し、レシピに記された処理条件に従って前処理を施すことで、画像処理に適した画像(第2画像)を生成する構成としている。
【0126】
本実施の形態のダイシング装置では、レシピに記された処理条件を段階的に変更して、複数の処理条件で前処理を実行し、得られた複数の画像の中から一つを選択して、後段の画像処理に供する。選択する画像は、画像処理に最も適した画像である。すなわち、条件を振って複数の前処理を行うことにより、最適な処理条件及び画像を抽出する。
【0127】
なお、装置の基本構成は、上記第1の実施の形態のダイシング装置1と同じなので、ここでは、相違点に関わる構成、すなわち、前処理に関わる構成についてのみ説明する。
【0128】
[前処理部の構成]
図10は、前処理部が有する主な機能のブロック図である。
【0129】
図10に示すように、前処理部120は、パラメータ設定情報取得部120A、ルックアップテーブル生成部120B、ルックアップテーブル記憶部120C、画像取得部120D、画像変換処理部120E及び画像抽出部120F等の機能を有する。パラメータ設定情報取得部120A、ルックアップテーブル生成部120B、画像取得部120D、画像変換処理部120E及び画像抽出部120Fの機能は、前処理部120を構成するプロセッサが、所定のプログラムを実行することで実現される。また、ルックアップテーブル記憶部120Cは、前処理部120を構成するメモリ又は補助記憶装置によって実現される。
【0130】
パラメータ設定情報取得部120Aは、変換式に含まれるパラメータの設定情報、すなわち、ゲイン及びオフセットの設定情報を取得する。パラメータ設定情報取得部120Aは、レシピのデータを取得し、レシピのデータに含まれているゲイン及びオフセットの設定値の情報を取得する。
【0131】
ルックアップテーブル生成部120Bは、パラメータ設定情報取得部120Aで取得したパラメータの設定情報に基づいて、複数の変換式を設定し、設定した複数の変換式を用いて、複数のルックアップテーブルを生成する。すなわち、パラメータを振って、複数の変換式を設定し、複数のルックアップテーブルを生成する。
【0132】
本実施の形態では、あらかじめ定められた条件に従ってパラメータを振り、複数の変換式を設定する。たとえば、パラメータ設定情報取得部120Aで取得したパラメータの設定(α)を基準として、+方向及び-方向に規定回数(+方向にn回及び-方向にn回)、規定の変化量(Δ)でパラメータを変化させる(α-nΔ、α-(n-1)Δ、…、α-2Δ、α-Δ、α、α+Δ、α+2Δ、…、α+(n-1)Δ、α+nΔ)。
【0133】
本実施の形態では、変換式に2つのパラメータ(ゲイン及びオフセット)を含むので、2つのパラメータを段階的に変化させて、複数の変換式を設定する。すなわち、ゲイン及びオフセットの2つを段階的に変化させて、複数の変換式を設定する。
【0134】
ルックアップテーブル記憶部120Cは、ルックアップテーブル生成部120Bで生成された複数のルックアップテーブルを記憶する。
【0135】
画像取得部120Dは、撮像ユニット50から出力される画像データを取得して、処理対象の画像を取得する。
【0136】
画像変換処理部120Eは、画像取得部120Dで取得した画像(第1画像)に対し、複数のルックアップテーブルを利用して、画質(本実施の形態では輝度)を変換する処理を行う。画像変換処理部120Eは、ルックアップテーブル生成部120Bで生成されるルックアップテーブルごとに、画質(本実施の形態では輝度)の変換処理を行う。画像変換処理部120Eは、たとえば、生成順にルックアップテーブルを参照して、画質を変換した画像(第2画像)を順次生成する。生成された画像は、順次、画像抽出部120Fに加えられる。
【0137】
画像抽出部120Fは、画像変換処理部120Eで画質の変換処理が施された複数の画像(第2画像)の中から画像処理部110での画像処理に最も適した画質の画像を抽出する。一例として、本実施の形態では、最も画像認識しやすい画像として、最もコントラストの高い画像を抽出する。
【0138】
画像抽出部120Fは、たとえば、入力順に2つの画像間で画質を比較し、相対的に画質の高い画像を残してゆくことにより、最終的に最も画質の高い画像(画像処理に適した画像)を抽出する。たとえば、まず、1番目に生成された画像と2番目に生成された画像との間で画質を比較する。比較の結果、1番目に生成された画像の方が高画質の場合、次に、1番目に生成された画像と3番目に生成された画像との間で画質を比較する。このように、より画質の高い画像を残して、次々に各画像の画質を比較することにより、最も画質の高い画像(画像処理に適した画像)を抽出できる。
【0139】
画像抽出部120Fで抽出された画像は、画像処理部110に出力される。画像処理部110は、抽出された画像に対し、所定の画像処理(アライメントのための画像処理、カーフチェックのための画像処理等)を行う。
【0140】
[ダイシング装置の作用]
ここでは、前処理に関する作用についてのみ説明する。具体的には、ルックアップテーブルの生成処理、及び、生成したルックアップテーブルを用いた前処理の方法について説明する。
【0141】
[ルックアップテーブルの生成処理]
図11は、ルックアップテーブルの生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0142】
まず、レシピのデータを取得する(ステップS21)。
【0143】
次に、取得したレシピのデータから変換式に設定するパラメータの情報(本実施の形態では、ゲイン及びオフセットの設定情報)を読み出し、変換式を設定する(ステップS22)。この変換式が基準の変換式となる。また、この基準の変換式に設定されるパラメータが、基準のパラメータとなる。
【0144】
次に、設定した変換式(基準の変換式)を用いて、ルックアップテーブル(基準のルックアップテーブル)を生成する(ステップS23)。
【0145】
次に、生成したルックアップテーブルをメモリに記憶させる(ステップS24)。
【0146】
次に、あらかじめ定められた条件に従ってパラメータを変更し、新たな変換式を設定する(ステップS25)。本実施の形態では、規定の変化量でパラメータを変化させて、新たな変換式を設定する。
【0147】
次に、新たに設定した変換式を用いて、ルックアップテーブルを生成する(ステップS26)。
【0148】
次に、新たに生成したルックアップテーブルをメモリに記憶させる(ステップS27)。
【0149】
次に、パラメータを規定回数変更させたか否かを判定する(ステップS28)。すなわち、予定していた変更をすべて完了させたか否かを判定する。
【0150】
パラメータを規定回数変更していないと判定すると、ステップS25に戻り、パラメータを変化させて、新たな変換式を設定する(ステップS25)。そして、新たに設定した変換式を用いて、ルックアップテーブルを生成し(ステップS26)、生成したルックアップテーブルをメモリに記憶させる(ステップS27)。
【0151】
一方、パラメータを規定回数変更したと判定すると、ルックアップテーブルの生成処理を終了する。
【0152】
以上一連の工程で前処理に必要な複数のルックアップテーブルが生成される。
【0153】
[前処理の方法]
図12は、前処理の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0154】
まず、撮像ユニット50で撮像された画像(第1画像)を取得する(ステップS31)。画像は赤外線の画像である。
【0155】
次に、得られた画像に対し、画質の変換処理を行う(ステップS32)。本実施の形態では、輝度を変換する処理を行う。画質の変換処理は、ルックアップテーブルを用いて行われる。ルックアップテーブルは、生成順に用いられる。したがって、最初は、基準のルックアップテーブルを用いて変換処理が行われる。
【0156】
次に、画質を変換した画像(第2画像)を出力候補の画像としてメモリに記憶する(ステップS33)。「出力候補の画像」とは、画像処理部110に出力する候補の画像である。
【0157】
次に、使用するルックアップテーブルを変えて、再び画質の変換処理を行う(ステップS34)。使用するルックアップテーブルは、生成順で次のルックアップテーブルである。すなわち、前回使用したルックアップテーブルの次に生成されたルックアップテーブルである。
【0158】
次に、変換処理によって新たに生成した画像と、出力候補の画像との間で画質を比較する(ステップS35)。すなわち、いずれの画質が、画像処理部110での画像処理に適しているかを比較判定する。本実施の形態の場合、よりコントラストの高い画像が高画質(画像処理に適した画像)と判定される。
【0159】
比較の結果、出力候補の画像の更新の要否を判定する(ステップS36)。新たに生成した画像の方が高画質の場合(画像処理に適した画像の場合)、更新が必要と判定する。一方、出力候補の画像の方が高画質の場合、更新不要と判定する。
【0160】
更新が必要と判定されると、出力候補の画像が更新される(ステップS37)。すなわち、新たに生成した画像が、出力候補の画像として、新たにメモリに記憶される。
【0161】
更新完了後、すべてのルックアップテーブルを使用して画質の変換処理を行ったか否かを判定する(ステップS38)。ステップS36において更新不要と判定した場合も同様に、すべてのルックアップテーブルを使用して画質の変換処理を行ったか否かを判定する(ステップS38)。
【0162】
すべてのルックアップテーブルを使用して画質の変換処理を行っていない場合、すなわち、未使用のルックアップテーブルが存在する場合、ステップS34に戻り、ルックアップテーブルを変えて、再び画質の変化処理を行う。一方、未使用のルックアップテーブルが存在しない場合、出力候補として保持された画像を画像処理部110に出力する(ステップS39)。
【0163】
以上一連の工程で前処理が完了する。画像処理部110に出力される画像は、パラメータを振って生成される複数の画像の中から最も画質の高い画像(最も画像処理に適した画像)である。これにより、画像処理部110において、高精度な画像処理を安定して行うことができる。
【0164】
以上説明したように、本実施の形態のダイシング装置によれば、より画像処理に適した画像が得られるように、前処理の処理条件が自動調整される。これにより、高精度な画像処理を安定して行うことができる。
【0165】
なお、レシピのデータを補助記憶装置に記憶する場合、必要に応じて前処理の処理条件の情報(本実施の形態では、ゲイン及びオフセットの設定情報)を更新又は追加して記憶することが好ましい。すなわち、最終的に画像処理部110に出力した画像の処理条件が、レシピに記された処理条件と異なる場合、当該処理条件に書き換えて、又は、当該処理条件を追加して記憶させることが好ましい。これにより、同じ種類のウェーハWを加工する場合、又は、同じ加工条件で加工する場合に、より最適な処理条件を初期設定できる。
【0166】
また、本実施の形態のように、ルックアップテーブルを作成して、画質の変換処理を行う場合、画像処理部110に出力する画像の生成に用いたルックアップテーブルの情報をレシピに関連づけて記憶してもよい。
【0167】
また、補助記憶装置に記憶されたレシピのデータを読み出して使用する場合において、前処理の処理条件の情報が更新されている場合、パラメータの調整処理を不要としてもよい。この場合、撮像された画像に対し、更新済みの処理条件の情報を用いて前処理を行い、そのまま画像処理部110に出力する。一方、更新済みの処理条件の情報を用いて前処理する場合において、再度パラメータの調整処理を行う場合は、回を重ねるごとに処理条件を最適化できる。なお、再度パラメータの調整処理を行っても、処理条件が更新されなかった場合、当該レシピに記された処理条件については、最適化されたとみなして、以後の調整処理を不要としてもよい。
【0168】
なお、上記実施の形態では、画像処理部110に出力する画像を抽出する方法として、2つの画像間で画質を比較する方法を採用しているが、画像を抽出する方法は、これに限定されるものではない。複数の画像をまとめて比較し、最も画像処理に適した画像を抽出する構成としてもよい。また、画像を抽出する際、学習済みモデル(最も画像処理に適した画像を抽出するように機械学習されたモデル)を使用して、抽出する構成としてもよい。
【0169】
また、上記実施の形態では、最も画像処理に適した画像として、最もコントラストの高い画像を抽出する場合を例に説明したが、最も画像処理に適した画像を抽出する方法は、これに限定されるものではない。後段の画像処理部110で行う画像処理の内容に応じて適宜設定される。
【0170】
[その他の実施の形態]
上記実施の形態では、画像処理として、アライメントないしカーフチェックの画像処理を行う場合を例に説明したが、画像処理の内容は、これに限定されるものではない。種々の画像処理が含まれる。
【0171】
また、上記実施の形態では、前処理として、画像の輝度を変える場合を例に説明したが、前処理の内容は、これに限定されるものではない。後段の画像処理に応じた処理が行われる。
【0172】
また、上記実施の形態では、輝度を変える例として、画像のゲイン及びオフセットを変える場合を例に説明したが、輝度を変える手法は、これに限定されるものではない。たとえば、赤外線の照射量を変えたり、カメラ部38で撮像する際の露光時間を変えたりして、輝度を変える構成としてもよい。また、上記実施の形態では、ゲイン及びオフセットの双方を変える構成としているが、いずれか一方のみを変える構成とすることもできる。
【0173】
また、上記実施の形態では、ルックアップテーブルを生成して、輝度を変換する場合を例に説明したが、変換式を用いて変換する構成とすることもできる。
【0174】
また、上記実施の形態では、本発明をダイシング装置に適用した場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。ワークを透過可能な電磁波(たとえば、赤外線、X線等)を用いて、ワークを撮像する機能を備えた加工装置全般に適用できる。また、ダイシング装置については、レーザを用いてワークを加工するダイシング装置(いわゆるレーザダイサ)にも適用できる。
【符号の説明】
【0175】
1…ダイシング装置、2…ベース、3…コラム、10…ワークテーブル、10A…保持面、12…ワークテーブル駆動モータ、30X…X軸送り機構、30Y…Y軸送り機構、30Z…Z軸送り機構、32X…X軸ガイドレール、32Y…Y軸ガイドレール、32Z…Z軸ガイドレール、34X…X軸テーブル、34Y…Y軸テーブル、34Z…Z軸テーブル、36X…X軸アクチュエータ、36Y…Y軸アクチュエータ、36Z…Z軸アクチュエータ、40…加工ユニット、42…ブレード、44…スピンドル、46…スピンドルモータ、48…ブラケット、50…撮像ユニット、51…顕微鏡部、51A…ビームスプリッタ、51B…対物レンズ、51C…結像レンズ、52…光源部、52A…光源、52B…光源用レンズ、53…カメラ部、53A…撮像素子、100…制御部
110…画像処理部、110A…アライメント部、110B…カーフチェック部、120…前処理部、120A…パラメータ設定情報取得部、120B…ルックアップテーブル生成部、120C…ルックアップテーブル記憶部、120D…画像取得部、120E…画像変換処理部、120F…画像抽出部、130…表示部、140…操作部、150…通信部、DF…ダイシングフレーム、DT…ダイシングテープ、L0…変換式f0(x)のグラフ、L1…変換式f0(x)のゲインのパラメータを変更した場合のグラフ、L2…変換式f0(x)のオフセットのパラメータを変更した場合のグラフ、W…ウェーハ