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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136266
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】連続反応装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/18 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B01J19/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047339
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】520429406
【氏名又は名称】株式会社iFactory
(71)【出願人】
【識別番号】591011384
【氏名又は名称】株式会社パウレック
(71)【出願人】
【識別番号】515358023
【氏名又は名称】マックエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】矢田 陽
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一彦
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】小谷 功
(72)【発明者】
【氏名】小谷 研太朗
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA03
4G075AA13
4G075AA22
4G075BA10
4G075BB05
4G075DA02
4G075DA12
4G075EB21
4G075EC09
4G075EC11
4G075ED04
4G075ED15
4G075FA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、簡易な構成で、正確な化学反応を実現できる連続反応装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る連続反応装置は、上流側ユニット(10a)と、上流側ユニットに連接する下流側ユニット(10b)と、上流側ユニットと下流側ユニットとを共通の回転軸を中心に回転をさせる回転駆動部と、を有してなり、上流側ユニットに供給された反応の対象物は、上流側ユニットで攪拌された後に、下流側ユニットに移送されて、回転駆動部は、対象物が上流側ユニットの内部で攪拌されるように、上流側ユニットを、回転軸を中心に揺動回転させて、対象物が上流側ユニットから下流側ユニットに移送されるように、上流側ユニットを、回転軸を中心に周回転させる、ことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側ユニットと、
前記上流側ユニットに連接する下流側ユニットと、
前記上流側ユニットと前記下流側ユニットとを共通の回転軸を中心に回転をさせる回転駆動部と、
を有してなり、
前記上流側ユニットに供給された反応の対象物は、前記上流側ユニットで攪拌された後に、前記下流側ユニットに移送されて、
前記回転駆動部は、
前記対象物が前記上流側ユニットの内部で攪拌されるように、前記上流側ユニットを、前記回転軸を中心に揺動回転させて、
前記対象物が前記上流側ユニットから前記下流側ユニットに移送されるように、前記上流側ユニットを、前記回転軸を中心に周回転させる、
ことを特徴とする連続反応装置。
【請求項2】
前記上流側ユニットの内部と、前記下流側ユニットの内部と、を仕切る仕切壁、
を有してなり、
前記仕切壁は、
前記上流側ユニットの内部と、前記下流側ユニットの内部と、を連通させる連通孔、
を備え、
前記対象物は、前記連通孔を介して、前記上流側ユニットから前記下流側ユニットに移送される、
請求項1記載の連続反応装置。
【請求項3】
前記回転軸は、前記仕切壁の中心部に配置されて、
前記連通孔は、前記仕切壁の外縁部に配置される、
請求項2記載の連続反応装置。
【請求項4】
前記上流側ユニットは、
筒状の外周壁と、
前記外周壁に囲まれた空間に配置される移送壁と、
を備え、
前記移送壁は、前記上流側ユニットで攪拌された前記対象物を、前記連通孔に導く、
請求項3記載の連続反応装置。
【請求項5】
前記移送壁は、前記外周壁の内周面を分離するように、配置されて、
前記上流側ユニットが周回転したとき、前記上流側ユニットの内部で攪拌された前記対象物の前記上流側ユニットの内部での移送は、前記移送壁で規制される、
請求項4記載の連続反応装置。
【請求項6】
前記移送壁は、前記内周面に対して傾斜して配置される、
請求項5記載の連続反応装置。
【請求項7】
前記移送壁は、
前記外周壁の前記内周面に当接する内周当接辺、
を備え、
前記内周当接辺は、
前記外周壁の一方の開口部に配置される上流端と、
前記外周壁の他方の開口部に配置される下流端と、
を備える、
請求項6記載の連続反応装置。
【請求項8】
前記連通孔は、前記下流端の近傍に配置される、
請求項7記載の連続反応装置。
【請求項9】
前記移送壁は、
前記仕切壁に当接する仕切当接辺、
を備え、
前記連通孔は、前記仕切当接辺の近傍に配置される、
請求項7記載の連続反応装置。
【請求項10】
前記仕切当接辺の配置方向は、前記回転軸の軸方向と直交する、
請求項9記載の連続反応装置。
【請求項11】
前記対象物の反応に用いられる反応物を供給する供給路、
を有してなり、
前記供給路は、前記回転軸に沿って配置される、
請求項3記載の連続反応装置。
【請求項12】
前記上流側ユニットと前記下流側ユニットとを、前記回転軸を中心に回転可能に支持する軸部材、
を有してなり、
前記軸部材は、
中空部、
を備え、
前記供給路は、前記中空部に配置される、
請求項11記載の連続反応装置。
【請求項13】
前記仕切壁は、
前記供給路が挿通される軸孔、
を備える、
請求項11記載の連続反応装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続反応装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連続反応装置は、液体や固体などの対象物(例えば、医薬品の原料)を連続して化学反応をさせて、生成物(例えば、医薬品)を生成する。
【0003】
連続反応装置は、生成段階に応じた複数の反応槽を備える。連続反応装置は、対象物を、反応槽それぞれで化学反応させる。対象物は、配管を介して、上流側の反応槽から下流側の反応槽に移送される。対象物から生成される生成物の生産効率を高める連続反応装置は、提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1は、複数の区画が形成されている連続反応装置を開示する。隣りあう区画の間には、堰機能を備えるそらせ板が、配置される。上流側の区画で化学反応された対象物は、同区画内で供給され続けて、あふれる。その結果、対象物は、そらせ板を越えて、下流側の区画に移送される。同装置は、一般的に反応時間が長くなる特徴を有する。そのため、各区画は、攪拌翼を備える。対象物は、各区画の攪拌翼により攪拌される。その結果、各区画の化学反応は、促進される。
【0005】
化学反応の対象である対象物は、区画内であふれることにより、そらせ板を越えて、下流側の区画に移送される。そのため、対象物は、化学反応が完全に終わっていない状態であっても、あふれることで下流側の区画に移送され得る。その結果、同装置は、正確な化学反応を必要とする生成物の製造に適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4-227052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、簡易な構成で、正確な化学反応を実現できる連続反応装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る連続反応装置は、上流側ユニットと、上流側ユニットに連接する下流側ユニットと、上流側ユニットと下流側ユニットとを共通の回転軸を中心に回転をさせる回転駆動部と、を有してなり、上流側ユニットに供給された反応の対象物は、上流側ユニットで攪拌された後に、下流側ユニットに移送されて、回転駆動部は、対象物が上流側ユニットの内部で攪拌されるように、上流側ユニットを、回転軸を中心に揺動回転させて、対象物が上流側ユニットから下流側ユニットに移送されるように、上流側ユニットを、回転軸を中心に周回転させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成で、正確な化学反応を実現できる連続反応装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る連続反応装置の実施の形態を示す斜視図である。
図2】上記連続反応装置の正面図である。
図3】上記連続反応装置の断面図である。
図4】上記連続反応装置の断面斜視図である。
図5】上記連続反応装置のユニットの斜視図である。
図6】ユニットの内部の移送壁と連通孔との位置関係を示す断面斜視図である。
図7】ユニットの揺動回転の様子を示す模式図である。
図8】ユニットの周回転の様子によるユニット間の対象物の移送の様子を示す模式図である。
図9図8の移送の様子の続きを示す模式図である。
図10】本発明に係る連続反応装置の別の実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る連続反応装置(以下「本装置」という。)の実施の形態は、以下に、図面と共に説明される。
【0012】
以下の説明および図面において、特に断りがない限り、本装置は、回転軸を水平にして設置される。本装置において、上流側は、対象物が移送される方向の上流である。本装置において、下流側は、対象物が移送される方向の下流である。
【0013】
●本装置の実施の形態(1)●
●本装置(1)の構成
本装置の構成は、以下に説明される。
【0014】
図1は、本装置の実施の形態を示す斜視図である。
図2は、本装置の正面図である。
図3は、本装置の斜視図である。
図4は、本装置の断面斜視図である。
【0015】
本装置1は、液体や固体などの対象物S(例えば、医薬品の原料。図7を参照)を連続して化学反応させて、生成物(例えば、医薬品)を生成する。本装置1は、連接する複数のユニット10を備える。複数のユニット10は、対象物Sの生成段階に応じた化学反応が実現される空間を備える。本装置1の形状は、筒状である。本装置1は、回転駆動部(不図示)により、複数のユニット10の揺動回転と周回転とを実現する。
【0016】
「対象物S」は、本装置1に原料として投入(送入)される物質である。対象物Sは、液体または固体である。対象物Sは、生成段階に応じた化学反応により、目的の生成物となる。
【0017】
「回転駆動部」は、本装置1を、回転軸Cを中心に回転駆動させる。回転駆動部は、本装置1における揺動回転と周回転とを制御する。回転駆動部は、駆動装置(不図示)と駆動制御部(不図示)とを含む。駆動装置は、本装置1を回転させる駆動源となる装置である。駆動装置は、例えば、モータ、エンジンなどである。駆動制御部は、本装置1の揺動回転または周回転を制御する。駆動制御部は、コンピュータなどの情報処理装置により実現される。駆動制御部は、本装置1の制御プログラムを実行する。本装置1で動作する制御プログラムは、情報処理装置が備えるハードウェア資源と協働して、本装置1の揺動回転または周回転を実現する。
【0018】
「回転軸C」は、本装置1の揺動回転または周回転の中心軸である。
【0019】
本装置1は、同軸方向に連接している3つの同型のユニット10で構成される。すなわち、本装置1は、上流側から下流側に向けて、第1ユニット10aと、第2ユニット10bと、第3ユニット10cと、を有する。2つのユニット10が連接する構成は、本装置1における最小単位である。上流側に位置するユニット10は、本発明における上流側ユニットの例である。上流側ユニットに対して下流側に位置するユニット10は、本発明における下流側ユニットの例である。
【0020】
ユニット10は、対象物Sの化学反応が実現される空間を備える。ユニット10の形状は、円筒状である。ユニット10は、回転駆動部により、ユニット10の揺動回転と周回転とを実現する。ユニット10の内部の対象物Sは、ユニット10が揺動回転すると、攪拌される。上流側のユニット10で化学反応をした対象物Sは、ユニット10が所定の方向に周回転すると、下流側のユニット10へ移送される。本装置1は、揺動回転と周回転とにより、対象物Sの攪拌と移送とを実現する。本装置1の揺動回転と周回転との詳細は、後述される。
【0021】
ユニット10は、外周壁11、仕切壁12、移送壁15、連通孔16、軸孔17、を備える。
【0022】
外周壁11は、仕切壁12と共に、ユニット10の筐体を構成する。外周壁11の形状は、円筒状である。
【0023】
仕切壁12は、上流側のユニット10の内部と、下流側のユニット10の内部と、を仕切る。仕切壁12は、上流側仕切壁13と下流側仕切壁14とを備える。仕切壁12は、外縁部121(図5参照)を含む。外縁部121は、外周壁11の内側であって仕切壁12の外縁の領域である。すなわち、外縁部121は、外周壁11と仕切壁12とが直交する仕切壁12の近傍の領域である。
【0024】
上流側仕切壁13は、外周壁11と下流側仕切壁14と共に、ユニット10の筐体を構成する。上流側仕切壁13の形状は、円形である。上流側仕切壁13は、外周壁11の縁にシールを介して、外周壁11に取付けられる。
【0025】
下流側仕切壁14は、外周壁11と上流側仕切壁13と共に、ユニット10の筐体を構成する。下流側仕切壁14の形状は、円形である。下流側仕切壁14は、外周壁11と一体成型されている。
【0026】
図5は、本装置1のユニット10の斜視図である。以下の説明において、図3および図4は、適宜参照される。
同図は、上流側仕切壁13が取り外されたユニット10の内部の様子を示す。
【0027】
移送壁15は、ユニット10で攪拌された対象物Sを、連通孔16に導く。すなわち、移送壁15は、上流側のユニット10の内部の対象物Sを捕捉して、下流側のユニット10の内部に対象物Sを移送する。移送壁15は、外周壁11に囲まれた空間に配置される。移送壁15は、外周壁11の内周面を分離するように配置される。移送壁15は、ユニット10内部の空間を区画する。移送壁15は、ユニット10が周回転したとき、上流側のユニット10内部の対象物Sと、下流側のユニット10内部の対象物Sとが混合しないように、ユニット10内部の空間を区画している。すなわち、上流側のユニット10が周回転したとき、対象物Sの上流側のユニット10の内部での移送は、移送壁15で規制される。移送壁15の形状は、矩形板が螺旋状に変形された形状である。移送壁15は、外周壁11に対して傾斜して配置される。移送壁15は、内周当接辺151と仕切当接辺152とを備える。
【0028】
内周当接辺151は、外周壁11に当接する移送壁15の辺である。内周当接辺151は、上流端15aと、下流端15bとを含む。上流端15aは、外周壁11の一方(上流側)の開口部に配置される。すなわち、上流端15aは、上流側仕切壁13に当接する。下流端15bは、外周壁11の他方(下流側)の開口部に配置される。すなわち、下流端15bは、下流側仕切壁14に当接する。上流端15aと下流端15bとは、円周方向に90度離れた位置に配置される。
【0029】
仕切当接辺152は、下流側仕切壁14に当接する移送壁15の辺である。仕切当接辺152は、対象物Sを捕捉する移送壁15の最終端である。仕切当接辺152は、回転軸Cの軸方向と直交するように配置される。すなわち、仕切当接辺152は、下流端15bから下流側仕切壁14の中心部に向かって配置される。
【0030】
図6は、ユニット10の内部の移送壁15と連通孔16との位置関係を示す断面斜視図である。以下の説明において、図3図5は、適宜参照される。
同図は、移送壁15と連通孔16それぞれの一部が切断された様子を示す。
【0031】
連通孔16は、上流側のユニット10の内部と、下流側のユニット10の内部とを、連通させる孔である。すなわち、連通孔16は、上流側のユニット10の内部で移送壁15に捕捉された対象物Sを、下流側のユニット10の内部に移送する孔である。連通孔16の形状は、扇状である。連通孔16は、仕切壁12の外縁部121に配置される。連通孔16は、送出孔161と送入孔162とで構成される。
【0032】
送出孔161は、下流側仕切壁14に配置される孔である。送出孔161は、送入孔162に対向する位置に配置される。送出孔161は、移送壁15の上流端15aと、移送壁15の下流端15bとの間に配置される。送出孔161は、外周壁11と、移送壁15の下流端15bと、仕切当接辺152と、に沿って配置される。すなわち、送出孔161は、仕切壁12(下流側仕切壁14)の外縁部121に配置される。送出孔161(連通孔16)は、下流端15bと仕切当接辺152との近傍に配置される。
【0033】
送入孔162は、上流側仕切壁13に配置される孔である。送入孔162は、送出孔161に対向する位置に配置される。送入孔162は、移送壁15の上流端15aと、移送壁15の下流端15bとの間に配置される。送入孔162は、移送壁15の下流端15bに対向する位置に配置される。送入孔162は、仕切壁12(上流側仕切壁13)の外縁部121に配置される。
【0034】
図面は、図1図4に戻る。
軸孔17は、ユニット10の回転軸Cに形成された孔である。すなわち、軸孔17は、仕切壁12の中心部に配置された孔である。軸孔17は、本装置1を揺動回転または周回転させる軸部材(不図示)が配置される孔である。軸孔17は、上流側軸孔171と、下流側軸孔172とを備える。
【0035】
上流側軸孔171は、上流側仕切壁13の中心部に配置された孔である。
【0036】
下流側軸孔172は、下流側仕切壁14の中心部に配置された孔である。
【0037】
軸部材は、棒状の部材である。軸部材の材料は、金属製である。軸部材は、軸孔17を貫通して、固定される。軸部材が回転すると、本装置1は、軸部材の回転に合わせて、揺動回転または周回転を行う。
【0038】
本実施の形態において、回転駆動部は、軸部材に組付けられる。回転駆動部は、軸部材の揺動回転と周回転とを制御する。すなわち、回転駆動部は、軸部材を介して、本装置1の揺動回転と周回転とを制御する。
【0039】
●本実施の形態(1)の動作
●揺動回転の動作
本装置1の揺動回転は、以下に説明される。以下の説明において、図1図5は、適宜参照される。
【0040】
以下の説明および図面は、特に断りがない限り、本装置1を上流側から下流側に見た様子である(側面視)。本装置1において、下方は重力方向であり、対象物Sが溜まる方向である。本装置1において、上方は、下方の反対方向である。本装置1の側面視において、正回転は、時計回りの方向(右方)である。本装置1の側面視において、逆回転は、反時計回りの方向(左方)である。
【0041】
図7は、ユニット10内の揺動回転の様子を示す模式図である。
同図は、上流側から下流側仕切壁14を見た図を示す。同図の(a-1)は、揺動回転の基本位置の様子を示す。(a-2)は、所定位置まで正回転させた様子を示す。(a-3)は、所定位置まで逆回転させた様子を示す。
【0042】
揺動回転は、本装置1を揺り動かす。揺動回転は、本装置1の回転軸Cを中心として、所定の回転角の範囲で正逆回転の反復運動をさせる。揺動回転は、ユニット10の基本位置から揺動回転を開始させるものとする。説明の便宜上、ユニット10の揺動回転における回転位置は、アナログ時計位置(クロックポジション)に基づいて説明される。
【0043】
図7の(a-1)は、ユニット10の基本位置の様子を示す。基本位置は、仕切当接辺152が12時方向であることを示す。基本位置の連通孔16は、ユニット10の上方に配置される。同位置の対象物Sは、ユニット10の下方に配置される。
【0044】
先ず、回転駆動部は、基本位置からユニット10を正回転させる。ユニット10は、所定の位置まで正回転される。このときの回転速さは、適宜、対象物Sの化学反応の速度などにより決定される。
【0045】
図7の(a-2)は、所定位置まで正回転させた様子を示す。正回転の所定位置は、仕切当接辺152が3時方向であることを示す。正回転の所定位置の連通孔16は、ユニット10の右方に配置される。同位置の対象物Sは、ユニット10の下方に配置される。正回転の所定位置は、正回転における回転範囲の最大揺動位置である。ユニット10は、正回転の所定位置で一時停止する。対象物Sは、ユニット10の正回転と一時停止とに合わせて、攪拌される。
【0046】
次いで、ユニット10は、正回転の所定位置から逆回転される。ユニット10は、基本位置を通過する。ユニット10は、所定位置まで逆回転される。このときの回転速さは、適宜、対象物Sの化学反応の速度などにより決定される。
【0047】
図7の(a-3)は、所定位置まで逆回転させた様子を示す。逆回転の所定位置は、仕切当接辺152が10時方向であることを示す。逆回転の所定位置の連通孔16は、ユニット10の左方に配置される。同位置の対象物Sは、ユニット10の下方に配置される。逆回転の所定位置は、逆回転における回転範囲の最大揺動位置である。ユニット10は、逆回転の所定位置で一時停止する。対象物Sは、ユニット10の逆回転と一時停止とに合わせて、攪拌される。
【0048】
次いで、回転駆動部は、逆回転の所定位置からユニット10を正回転させる。ユニット10は、基本位置まで戻される。1組の揺動回転動作は、終了する。1組の揺動回転動作は、必要に応じて繰り返される。すなわち、本装置1が揺動回転すると、本装置1の内部の対象物Sは、本装置1の動作に合わせて、攪拌される。
【0049】
●周回転の動作
本装置1の周回転は、以下に説明される。以下の説明において、図1図5は、適宜参照される。以下の説明において、第1ユニット10aは、本発明における上流側ユニットの例である。第2ユニット10bは、本発明における下流側ユニットの例である。
【0050】
図8および図9は、ユニット10の周回転の様子によるユニット10間の対象物Sの移送の様子を示す模式図である。
同両図の(b-1)から(b-6)は、上流側から第1ユニット10aの内部を見た図を示す。同両図の(b-1)は、周回転の基本位置の様子を示す。(b-2)は、基本位置から4分の1逆回転させた様子を示す。(b-3)は、基本位置から2分の1まで逆回転させた様子を示す。(b-4)は、基本位置から4分の3逆回転させた様子を示す。(b-5)は、基本位置から12分の11まで逆回転させた様子を示す。(b-6)は、周回転の基本位置に戻った様子を示す。同両図の(c-1)から(c-6)は、上流側から第2ユニット10bの内部を見た図を示す。(c-1)から(c-6)それぞれは、(b-1)から(b-6)それぞれに対応する。同両図における各円内の黒色の矩形は、移送壁15の端部が下流側仕切壁14に配置されている様子を示す。
【0051】
周回転は、第1ユニット10aの内部の対象物Sを、第2ユニット10bの内部へ移送させる。周回転は、回転軸Cを中心として、本装置1を逆回転に1回転させる。周回転は、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bそれぞれの基本位置から開始される。説明の便宜上、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bそれぞれの周回転における回転位置は、アナログ時計位置(クロックポジション)に基づいて説明される。
【0052】
図8の(b-1)は、第1ユニット10aの基本位置の様子を示す。基本位置は、仕切当接辺152が3時方向であることを示す。同位置の連通孔16は、ユニット10の右方に配置される。同位置の対象物Sは、第1ユニット10aの下方に配置される。
【0053】
図8の(c-1)は、第2ユニット10bの基本位置の様子を示す。基本位置は、仕切当接辺152が3時方向であることを示す。同位置の連通孔16は、ユニット10の右方に配置される。同位置の対象物Sは、第2ユニット10bに配置されていない。
【0054】
先ず、回転駆動部は、基本位置から第1ユニット10aおよび第2ユニット10bそれぞれを同時に逆回転させる。回転駆動部は、基本位置から4分の1逆回転させる。このときの回転速さは、適宜、対象物Sの化学反応の速度などにより決定される。
【0055】
図8の(b-2)は、基本位置から第1ユニット10aを4分の1逆回転させた様子を示す。基本位置から4分の1逆回転させた位置は、仕切当接辺152が12時方向であることを示す。同位置の連通孔16は、第1ユニット10aの上方に配置される。同位置の対象物Sは、第1ユニット10aの下方に配置される。
【0056】
図8の(c-2)は、基本位置から第2ユニット10bを4分の1逆回転させた様子を示す。基本位置から4分の1逆回転させた位置は、仕切当接辺152が12時方向であることを示す。同位置の連通孔16は、第2ユニット10bの上方に配置される。同位置の対象物Sは、第2ユニット10bに配置されていない。
【0057】
次いで、回転駆動部は、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bそれぞれを同時に4分の1逆回転させる。すなわち、回転駆動部は、第1ユニット10aと第2ユニット10bとを、基本位置から2分の1逆回転させる。
【0058】
図8の(b-3)は、基本位置から第1ユニット10aを2分の1逆回転させた様子を示す。基本位置から2分の1逆回転させた位置は、仕切当接辺152が9時方向であることを示す。同位置の連通孔16は、第1ユニット10aの左方であって、対象物Sの水面付近に配置される。同位置の対象物Sは、第1ユニット10aの下方に配置される。対象物Sは、連通孔16から、第2ユニット10bへ移送され始める。
【0059】
図8の(c-3)は、基本位置から第2ユニット10bを2分の1逆回転させた様子を示す。基本位置から2分の1逆回転させた位置は、仕切当接辺152が9時方向であることを示す。同位置の連通孔16は、第2ユニット10bの左方であって、対象物Sの水面付近に配置される。同位置の対象物Sは、連通孔16を介して第2ユニット10bに移送され始める。対象物Sは、第2ユニット10bの上流端15aまでしか、移送されない。すなわち、第2ユニット10bの内部は、上流端15aの位置で移送壁15により、区画されている。
【0060】
次いで、回転駆動部は、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bそれぞれを同時に4分の1逆回転させる。すなわち、回転駆動部は、第1ユニット10aと第2ユニット10bとを、基本位置から4分の3逆回転させる。
【0061】
図9の(b-4)は、基本位置から第1ユニット10aを4分の3逆回転させた様子を示す。基本位置から4分の3逆回転させた位置は、仕切当接辺152が6時方向であることを示す。同位置の連通孔16は、第1ユニット10aの下方であって、対象物S内に配置される。同位置の対象物Sは、第1ユニット10aの下方であって、仕切当接辺152を境に右方に配置される。同位置の対象物Sは移送壁15に捕捉される。すなわち、対象物Sは、移送壁15の仕切当接辺152を境にして、捕捉される。第1ユニット10aの対象物Sは、連通孔16から送出されている。
【0062】
図9の(c-4)は、基本位置から第2ユニット10bを4分の3逆回転させた様子を示す。基本位置から4分の3逆回転させた位置は、仕切当接辺152が6時方向であることを示す。同位置の連通孔16は、第2ユニット10bの下方であって、対象物S内に配置される。同位置の対象物Sは、第2ユニット10bの下方に配置される。第2ユニット10bの対象物Sは、連通孔16から送入されている。
【0063】
次いで、回転駆動部は、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bそれぞれを同時に6分の1逆回転させる。すなわち、回転駆動部は、第1ユニット10aと第2ユニット10bとを、基本位置から12分の11逆回転させる。
【0064】
図9の(b-5)は、基本位置から第1ユニット10aを12分の11逆回転させた様子を示す。基本位置から12分の11逆回転させた位置は、仕切当接辺152が4時方向であることを示す。同位置の連通孔16は、第1ユニット10aの右方に配置される。同位置の一部の対象物Sは、移送壁15に捕捉される。すなわち、一部の対象物Sは、移送壁15の仕切当接辺152を境にして、捕捉される。同位置の一部の対象物Sは、第1ユニット10aの右方であって、仕切当接辺152の上方に配置される。同位置の対象物Sは、第1ユニット10aの下方に配置されていない。同位置の移送壁15は、上方に上流端15aが位置して、下方に下流端15bが位置して配置される。すなわち、移送壁15は、上方から下方に向かう傾斜となっている。その結果、移送壁15で捕捉された一部の対象物Sは、連通孔16から第2ユニット10bに送出される。
【0065】
図9の(c-5)は、基本位置から第2ユニット10bを12分の11逆回転させた様子を示す。基本位置から12分の11逆回転させた位置は、仕切当接辺152が4時方向であることを示す。同位置の連通孔16は、第2ユニット10bの右方であって、対象物Sの水面の上方に配置される。同位置の対象物Sは、第2ユニット10bの下方に配置される。同位置の対象物Sは、連通孔16から送入される。
【0066】
次いで、回転駆動部は、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bそれぞれを同時に12分の1逆回転させる。回転駆動部は、第1ユニット10aと第2ユニット10bとを、基本位置から逆回転させて基本位置に戻す。
【0067】
図9の(b-6)は、第1ユニット10aの基本位置に戻った様子を示す。基本位置は、仕切当接辺152が3時方向であることを示す。基本位置では、連通孔16はユニット10の右方に配置される。同位置では、対象物Sは第1ユニット10aの配置されていない。対象物Sの全部は、第1ユニット10aから送出されている。
【0068】
図9の(b-6)は、第2ユニット10bの基本位置に戻った様子を示す。基本位置は、仕切当接辺152が3時方向であることを示す。基本位置の連通孔16は、ユニット10の右方に配置される。同位置の対象物Sは、第2ユニット10bの下方に配置される。対象物Sの全部は、第2ユニット10bに送入されている。
【0069】
第1ユニット10aおよび第2ユニット10bそれぞれは、基本位置から基本位置まで回転して、1組の周回転動作を終了する。すなわち、本装置1が周回転すると、本装置1の内部の対象物Sは、第1ユニット10aから第2ユニット10bへと移送される。
【0070】
本装置1は、対象物Sが第1ユニット10aで攪拌された後に、第2ユニット10bに移送される。すなわち、回転駆動部は、対象物Sが第1ユニット10aの内部で攪拌されるように、第1ユニット10aを、回転軸Cを中心に揺動回転させる。対象物Sの化学反応は、攪拌により、促進される。回転駆動部は、対象物Sが第1ユニット10aから第2ユニット10bに移送されるように、第1ユニット10aを、回転軸Cを中心に周回転させる。対象物Sは、第1ユニット10aが周回転することで、第1ユニット10aから第2ユニット10bへ移送される。
【0071】
●本装置(1)の動作
本装置1の動作は、以下に説明される。以下の説明において、図1図4は適宜参照される。
【0072】
本装置1は、第1ユニット10aと,第2ユニット10bと,第3ユニット10cと、を備える。第1ユニット10a,第2ユニット10b,第3ユニット10cは、それぞれ異なる化学反応を実現する。
【0073】
先ず、対象物Sは、他の原料と共に、上流側の第1ユニット10aの内部へ送入される。対象物Sは、第1ユニット10aの送入孔162または上流側軸孔171から第1ユニット10aの内部に送入される。このとき、送入孔162は、第1ユニット10aの上方に位置している。第1ユニット10aの内部には、適量(例えば、ユニット10容積の4分の1程度)の対象物Sが送入される。
【0074】
次いで、回転駆動部は、本装置1を揺動回転させる。対象物Sは、第1ユニット10aの内部で、攪拌される。対象物Sの化学反応は、攪拌により、促進される。対象物Sの化学反応が終了すると、回転駆動部は、本装置1を周回転させる。本装置1が周回転すると、第1ユニット10aの内部の対象物Sは、第2ユニット10bの内部に移送される。
【0075】
次いで、対象物Sの化学反応をさせるための新たな原料が、第2ユニット10bに、供給される。新たな原料は、外周壁11または仕切壁12に配置された供給孔(不図示)などから第2ユニット10bに供給される。回転駆動部は、本装置1を揺動回転させる。対象物Sは、第2ユニット10bの内部で、攪拌される。対象物Sの化学反応は、攪拌により、促進される。対象物Sの化学反応が終了すると、回転駆動部は、本装置1を周回転させる。本装置1が周回転すると、第2ユニット10bの内部の対象物Sは、第3ユニット10cの内部に移送される。
【0076】
次いで、対象物Sの化学反応をさせるための新たな原料が、第3ユニット10cに、供給される。新たな原料は、外周壁11または仕切壁12に配置された供給孔(不図示)などから第3ユニット10cに供給される。回転駆動部は、本装置1を揺動回転させる。対象物Sは、第3ユニット10cの内部で、攪拌される。対象物Sの化学反応は、攪拌により、促進される。
【0077】
対象物Sの化学反応が終了すると、生成物が生成される。回転駆動部は、本装置1を周回転させる。本装置1が周回転すると、第3ユニット10cの内部の生成物は、本装置1から取り出される。生成物は、第3ユニット10cの送出孔161から第3ユニット10cの外部へ送出される。
【0078】
●まとめ(1)
以上説明された実施の形態によれば、本装置1は、上流側のユニット10と、下流側のユニット10と、回転軸Cを中心に回転させる回転駆動部と、を有する。対象物Sは、上流側のユニット10で攪拌された後、下流側のユニット10に移送される。回転駆動部は、対象物Sが上流側のユニット10の内部で攪拌されるように、上流側のユニット10を、回転軸Cを中心に揺動回転させる。回転駆動部は、対象物Sが上流側のユニット10から下流側のユニット10に移送されるように、上流側のユニット10を、回転軸Cを中心に周回転させる。すなわち、本装置1は、攪拌翼などを必要としない。本装置1は、従来のような配管を必要としない。本装置1は、ユニット10ごとに正確な化学反応を実現できる。
【0079】
以上説明された実施の形態によれば、本装置1は、上流側のユニット10の内部と、下流側のユニット10の内部と、を仕切る仕切壁12を有する。仕切壁12は、上流側のユニット10の内部と、下流側のユニット10の内部と、を連通させる連通孔16を備える。対象物Sは、連通孔16を介して、上流側のユニット10から下流側のユニット10に移送される。すなわち、本装置1は、ユニット10ごとに正確な化学反応を実現できる。本装置1は、上流側のユニット10から下流側のユニット10に対象物Sを移送できる。
【0080】
以上説明された実施の形態によれば、本装置1の連通孔16は、仕切壁12の外縁部121に配置される。すなわち、本装置1は、所定のタイミングで、上流側のユニット10から下流側のユニット10に対象物Sを移送できる。
【0081】
以上説明された実施の形態によれば、本装置1の上流側のユニット10は、筒状の外周壁11と、外周壁11に囲まれた空間に配置される移送壁15とを備える。移送壁15は、上流側のユニット10で攪拌された対象物Sを、連通孔16に導く。すなわち、本装置1は、効率良く下流側のユニット10に対象物Sを移送できる。
【0082】
以上説明された実施の形態によれば、本装置1の移送壁15は、外周壁11の内周面を分離するように、配置される。上流側のユニット10が周回転したとき、上流側のユニット10の内部で攪拌された対象物Sの上流側のユニット10の内部での移動が、移送壁15で規制される。すなわち、本装置1は、上流側のユニット10の対象物Sと、下流側のユニット10の対象物Sとの混合を防止できる。
【0083】
以上説明された実施の形態によれば、本装置1の移送壁15は、外周壁11の内周面に対して傾斜して配置される。移送壁15は、外周壁11の内周面に当接する内周当接辺151を備える。内周当接辺151は、外周壁11の一方の開口部に配置される上流端15aと、外周壁11の他方の開口部に配置される下流端15bと、を備える。すなわち、本装置1は、ユニット10の内部を移送壁15で区画できる。
【0084】
以上説明された実施の形態によれば、本装置1の連通孔16は、下流端15bの近傍に配置される。すなわち、本装置1は、外周壁11と移送壁15と交差する位置に連通孔16を配置できる。
【0085】
以上説明された実施の形態によれば、本装置1の移送壁15は、仕切壁12に当接する仕切当接辺152を備える。連通孔16は、仕切当接辺152の近傍に配置される。すなわち、本装置1は、移送壁15で捕捉された対象物Sを連通孔16に移送しやすくできる。
【0086】
以上説明された実施の形態によれば、本装置1の仕切当接辺152の配置方向は、回転軸Cの軸方向と直交する。すなわち、本装置1は、周回転に対応した移送壁15による対象物Sの捕捉を可能にする。
【0087】
●本装置の実施の形態(2)●
以下に説明される本装置1の別の実施の形態(2)は、先に説明された本装置1の実施の形態(1)と異なる点を中心に説明される。
【0088】
実施の形態(2)は、対象物Sの反応に用いられる反応物を供給する管体50が軸孔17に配置される点において、実施の形態(1)と相違する。
【0089】
●本装置(2)の構成
図10は、本装置1の別の実施の形態を示す断面図である。
【0090】
本装置1Aは、第1ユニット10aと、第2ユニット10bと、第3ユニット10cと、を有する。ユニット10(第1ユニット10aと、第2ユニット10bと、第3ユニット10c)は、外周壁11、仕切壁12、移送壁15、連通孔16、軸孔17、を備える。
【0091】
管体50は、ユニット10の内部に反応物を供給する。管体50は、例えば、パイプ、チューブなどである。管体50は、軸孔17に挿通される。すなわち、管体50は、回転軸Cに沿って配置される。管体50は、下流側軸孔172から挿入されて、管体50の先端がユニット10内に配置される。すなわち、管体50は、第1ユニット10a,第2ユニット10b,第3ユニット10cそれぞれに対応して管体50a,管体50b,管体50cそれぞれを備える。管体50は、本発明における供給路の例である。
【0092】
「反応物」は、管体50からユニット10の内部に供給される物質である。反応物は、触媒、原料、蒸留水など、対象物Sの生成段階に応じた化学反応により選択される。反応物は、主に液体であるが、固体または気体でもよい。
【0093】
●本装置(2)の動作
本装置の動作は、以下に説明される。
【0094】
先ず、対象物Sは、上流側の第1ユニット10aの内部へ送入される。対象物Sは、第1ユニット10aの送入孔162から内部に送入される。反応物は、管体50aを介して、第1ユニット10aの内部に供給される。
【0095】
次いで、回転駆動部は、本装置1を揺動回転させる。対象物Sは、第1ユニット10aの内部で、攪拌される。対象物Sの化学反応は、攪拌により、促進される。対象物Sの化学反応が終了すると、回転駆動部は、本装置1を周回転させる。本装置1が周回転すると、第1ユニット10aの内部の対象物Sは、第2ユニット10bの内部に移送される。
【0096】
次いで、対象物Sの化学反応をさせるための新たな原料または反応物が、管体50bを介して、第2ユニット10bの内部に供給される。回転駆動部は、本装置1を揺動回転させる。対象物Sは、第2ユニット10bの内部で、攪拌される。対象物Sの化学反応は、攪拌により、促進される。対象物Sの化学反応が終了すると、回転駆動部は、本装置1を周回転させる。本装置1が周回転すると、第2ユニット10bの内部の対象物Sは、第3ユニット10cの内部に移送される。
【0097】
次いで、対象物Sの化学反応をさせるための新たな原料または反応物が、管体50cを介して、第3ユニット10cの内部に供給される。回転駆動部は、本装置1を揺動回転させる。対象物Sは、第3ユニット10cの内部で、攪拌される。対象物Sの化学反応は、攪拌により、促進される。
【0098】
対象物Sの化学反応が終了すると、生成物が生成される。回転駆動部は、本装置1を周回転させる。本装置1が周回転すると、第3ユニット10cの内部の生成物は、本装置1から取り出される。生成物は、第3ユニット10cの送出孔161から第3ユニット10cの外部へ送出される。
【0099】
なお、管体は、中空部を備えた軸部材(不図示)の内部に配置されてもよい。中空部を備えた軸部材は、本装置を、回転軸を中心に回転可能に支持する。管体は、軸部材の内部に配置されることにより、本装置の揺動回転および周回転の影響を受けない。その結果、本装置は、反応物などの安定した供給を可能にする。
【0100】
●まとめ(2)
以上説明された実施の形態によれば、本装置1Aは、対象物Sの反応に用いられる反応物を供給する供給路を有する。供給路は、回転軸Cに沿って配置される。すなわち、供給路は、本装置1の揺動回転と、周回転とを妨げることがない。そのため、本装置1Aは、本装置1Aの回転動作を妨げることなく、ユニット10の内部に反応物を供給できる。
【0101】
以上説明された実施の形態によれば、本装置1Aは、上流側のユニット10と下流側のユニット10とを、回転軸Cを中心に回転可能に支持する軸部材を有する。軸部材は、中空部、を備える。供給路は、中空部に配置される。すなわち、本装置1Aの供給路は、ユニット10の揺動回転および周回転による対象物Sの付着などの影響を受けない。
【0102】
以上説明された実施の形態によれば、本装置1の仕切壁12は、供給路が挿通される軸孔17を備える。すなわち、本装置1Aは、反応物を軸孔17から供給できる。
【0103】
●その他の実施形態●
なお、本発明において、ユニットの連接する数は、3に限らない。連接されるユニットの数は、対象物の生成段階に応じて、決められる。本装置は、例えば、4以上のユニットが連接されてもよい。
【0104】
また、本発明において、ユニットの用途は、化学反応に限定されない。ユニットは、加温、冷却、乾燥、晶析、ろ過、培養などの用途を実現してもよい。本装置は、各用途などに応じて、一時停止と、揺動回転と、周回転とが組み合わされて、動作される。
【0105】
さらに、本発明において、外周壁は、円筒状でなくてもよい。外周壁は、多角形状でもよい。外周壁が多角形状になることにあわせて、仕切壁の形状は、多角形状になる。外周壁を多角形状にすることにより、揺動回転による攪拌強度は、強まる。
【0106】
さらにまた、本発明において、外周壁の内周面は、突起や板などを備えてもよい。内周面に突起や板などが配置されることにより、揺動回転による攪拌強度は、強まる。
【0107】
さらにまた、本発明において、移送壁の形状は、矩形板が螺旋状に配置された形状に限定されない。移送壁の形状は、対象物を捕捉して、対象物を連通孔に導く形状であればよい。
【0108】
さらにまた、本発明において、連通孔の形状は、扇状に限定されない。連通孔の形状は、上流側ユニットの内部と、下流側ユニットの内部と、を連通させる形状であればよい。
【0109】
さらにまた、本発明において、連通孔の配置は、仕切壁の外縁部に限定されない。連通孔の配置は、上流側ユニットの内部から下流側ユニットの内部へ対象物を移送できる配置であればよい。
【0110】
さらにまた、本発明において、ユニットの内部への原料の送入方法は、ユニットの送入孔または上流側軸孔から送入する方法に限定されない。送入方法は、例えば、ユニットの外周壁または上流側仕切壁に形成された供給路を介して、ユニットの内部へ原料を送入する方法でもよい。
【0111】
さらにまた、本発明において、生成物の取り出し方法は、送出孔から外部への送出する方法に限定されない。取り出し方法は、例えば、ユニットの内部に挿入された吸引管より、ポンプなどで吸引する方法でもよい。
【0112】
さらにまた、本発明において、管体は、下流側軸孔からの挿入に限定されない。管体は、例えば、上流側軸孔から挿入されてもよい。
【0113】
さらにまた、本発明において、回転駆動部は、軸部材に組付けられる構成に限定されない。回転駆動部は、本装置を回転軸で回転駆動させる構成であればよい。回転駆動部の駆動装置は、例えば、本装置の下方に配置された回転ローラを回転させることにより、本装置を回転駆動する構成でもよい。
【0114】
さらにまた、本発明において、本装置は、回転軸を水平にして設置されることに限定されない。本装置は、例えば、回転軸を傾かせて設置されてもよい。回転軸の配置角度は、送入される原料により、選択され得る。本装置は、回転軸が傾けられることにより、上流側ユニットから下流側ユニットへの移送効率を変更できる。
【0115】
●本装置の特徴●
これまでに説明された本装置の特徴は、以下にまとめて記載される。
【0116】
本装置は、
上流側ユニット(例えば、第1ユニット10a)と、
前記上流側ユニットに連接する下流側ユニット(例えば、第2ユニット10b)と、
前記上流側ユニットと前記下流側ユニットとを共通の回転軸(例えば、回転軸C)を中心に回転をさせる回転駆動部と、
を有してなり、
前記上流側ユニットに供給された反応の対象物(例えば、対象物S)は、前記上流側ユニットで攪拌された後に、前記下流側ユニットに移送されて、
前記回転駆動部は、
前記対象物が前記上流側ユニットの内部で攪拌されるように、前記上流側ユニットを、前記回転軸を中心に揺動回転させて、
前記対象物が前記上流側ユニットから前記下流側ユニットに移送されるように、前記上流側ユニットを、前記回転軸を中心に周回転させる、
ことを特徴とする。
【0117】
本装置は、
前記上流側ユニットの内部と、前記下流側ユニットの内部と、を仕切る仕切壁(例えば、仕切壁12)、
を有してなり、
前記仕切壁は、
前記上流側ユニットの内部と、前記下流側ユニットの内部と、を連通させる連通孔(例えば、連通孔16)、
を備え、
前記対象物は、前記連通孔を介して、前記上流側ユニットから前記下流側ユニットに移送されるものでもよい。
【0118】
本装置において、
前記回転軸は、前記仕切壁の中心部に配置されて、
前記連通孔は、前記仕切壁の外縁部(例えば、外縁部121)に配置されるものでもよい。
【0119】
本装置において、
前記上流側ユニットは、
筒状の外周壁(例えば、外周壁11)と、
前記外周壁に囲まれた空間に配置される移送壁(例えば、移送壁15)と、
を備え、
前記移送壁は、前記上流側ユニットで攪拌された前記対象物を、前記連通孔に導くものでもよい。
【0120】
本装置において、
前記移送壁は、
前記外周壁の内周面を分離するように、配置されて、
前記上流側ユニットが周回転したとき、前記上流側ユニットの内部で攪拌された前記対象物の前記上流側ユニットの内部での移送が、前記移送壁で規制されるものでもよい。
【0121】
本装置において、
前記移送壁は、前記内周面に対して傾斜して配置されるものでもよい。
【0122】
本装置において、
前記移送壁は、
前記外周壁の前記内周面に当接する内周当接辺(例えば、内周当接辺151)、
を備え、
前記内周当接辺は、
前記外周壁の一方の開口部に配置される上流端(例えば、上流端15a)と、
前記外周壁の他方の開口部に配置される下流端(例えば、下流端15b)と、
を備えるものでもよい。
【0123】
本装置において、
前記連通孔は、前記下流端の近傍に配置されるものでもよい。
【0124】
本装置において、
前記移送壁は、
前記仕切壁に当接する仕切当接辺(例えば、仕切当接辺152)、
を備え、
前記連通孔は、
前記仕切当接辺の近傍に配置されるものでもよい。
【0125】
本装置において、
前記仕切当接辺の配置方向は、前記回転軸の軸方向と直交するものでもよい。
【0126】
本装置は、
前記対象物の反応に用いられる反応物を供給する供給路(例えば、管体50)、
を有してなり、
前記供給路は、前記回転軸に沿って配置されるものでもよい。
【0127】
本装置は、
前記上流側ユニットと前記下流側ユニットとを、前記回転軸を中心に回転可能に支持する軸部材、
を有してなり、
前記軸部材は、
中空部、
を備え、
前記供給路は、前記中空部に配置されるものでもよい。
【0128】
本装置において、
前記仕切壁は、
前記供給路が挿通される軸孔(例えば、軸孔17)、
を備えるものでもよい。
【符号の説明】
【0129】
1 連続反応装置
10 ユニット
10a 第1ユニット(上流側ユニット)
10b 第2ユニット(下流側ユニット)
10c 第3ユニット
11 外周壁
12 仕切壁
121 外縁部
13 上流側仕切壁
14 下流側仕切壁
15 移送壁
151 内周当接辺
15a 上流端
15b 下流端
152 仕切当接辺
16 連通孔
161 送出孔
162 送入孔
17 軸孔
171 上流側軸孔
172 下流側軸孔
50 管体(供給路)
50a 第1管体
50b 第2管体
50c 第3管体
S 対象物
C 回転軸

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10