(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136745
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】粉粒体の供給方法及び粉粒体の供給装置
(51)【国際特許分類】
B29C 31/02 20060101AFI20240927BHJP
B65G 53/66 20060101ALI20240927BHJP
B65G 53/16 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B29C31/02
B65G53/66 B
B65G53/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047963
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】栗原 正彦
(72)【発明者】
【氏名】福地 茂樹
【テーマコード(参考)】
3F047
4F201
【Fターム(参考)】
3F047AA11
3F047AB02
3F047CC06
4F201AC01
4F201AJ08
4F201AM23
4F201AR02
4F201BA06
4F201BC01
4F201BC02
4F201BC13
4F201BC19
4F201BQ07
4F201BQ19
4F201BQ57
(57)【要約】
【課題】本開示は、粉粒体を安定的に供給することが可能な粉粒体の供給方法及び粉粒体の供給装置を説明する。
【解決手段】粉粒体の供給方法の一例は、払出部によって貯留部から払い出された粉粒体を、圧送部が気体によって外部設備に圧送することと、圧送部による気体の圧力を計測部によって計測することと、計測部によって計測された圧力の値に基づいて、貯留部から外部設備への粉粒体の推定輸送量を算出することと、算出された推定輸送量が所定の目標値に近づくように、払出部による粉粒体の払出量を調節することとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
払出部によって貯留部から払い出された粉粒体を、圧送部が気体によって外部設備に圧送することと、
前記圧送部による気体の圧力を計測部によって計測することと、
前記計測部によって計測された圧力の値に基づいて、前記貯留部から前記外部設備への粉粒体の推定輸送量を算出することと、
算出された前記推定輸送量が所定の目標値に近づくように、前記払出部による粉粒体の払出量を調節することとを含む、粉粒体の供給方法。
【請求項2】
前記推定輸送量を算出することは、前記計測部によって計測された圧力の値と、前記圧送部により粉粒体が圧送されていないときの前記圧送部による気体の圧力の値との差に基づいて、前記推定輸送量を算出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
所定期間における前記貯留部の重量の減少量を別の計測部で計測することと、
前記所定期間における前記推定輸送量の合計値を算出することと、
前記減少量を前記合計値で除算して得られる補正係数と、前記計測部によって計測された圧力の値とに基づいて、前記貯留部から前記外部設備への粉粒体の補正輸送量を算出することと、
算出された前記補正輸送量が所定の目標値に近づくように、前記払出部による粉粒体の払出量を調節することとをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
粉粒体を貯留するように構成された貯留部と、
前記貯留部から粉粒体を払い出すように構成された払出部と、
前記払出部から払い出された粉粒体を気体によって外部設備に圧送するように構成された圧送部と、
前記圧送部による気体の圧力を計測するように構成された計測部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、
前記計測部によって計測された圧力の値に基づいて、前記貯留部から前記外部設備への粉粒体の推定輸送量を算出することと、
算出された前記推定輸送量が所定の目標値に近づくように、前記払出部による粉粒体の払出量を調節することと実行するように構成されている、粉粒体の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粉粒体の供給方法及び粉粒体の供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シュレッダーダスト、自動車シュレッダーダスト、都市ゴミなどの廃棄物から金属資源を回収し、廃プラスチック類を化石燃料の代替燃料として工場等の設備で用いることにより、環境負荷の低減を図りつつ廃棄物の有効利用が行われている。例えば、廃プラスチック類は、破砕機で粉砕されて粉粒体とされた後、設備(例えば、セメントの焼成炉など)に輸送される。
【0003】
廃プラスチック類の粉粒体を安定的に設備に輸送するために、ロス・イン・ウエイト制御方式によって、粉粒体の輸送量を制御することが知られている(特許文献1,2参照)。ロス・イン・ウエイト制御方式は、例えば、粉粒体を貯留するホッパの重量をロードセルによって計測し、払出部によってホッパから払い出される粉粒体の減少重量を取得することと、払出部の動作による実際の払出重量(流量設定値と動作時間との乗算値)を算出することと、減少重量と払出重量との差分がゼロとなるように払出部の流量設定値を変更することとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-266164号公報
【特許文献2】特開2011-131381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ホッパから粉粒体が設備に供給されると、ホッパ内の粉粒体の貯留量は徐々に減少する。そのため、ホッパ内の粉粒体の貯留量が所定量よりも下回ると、新たな粉粒体がホッパ内に追加投入される。このとき、ロードセルによって計測されるホッパの重量は、減少傾向から増加傾向に変化するため、減少重量を取得することができず、ロス・イン・ウエイト制御方式を用いることができなくなる。したがって、新たな粉粒体の追加投入時には、払出部による粉粒体の流量設定値を、ロードセルによる計測値が減少傾向となるまで追加投入処理の直前の値で保持していた。
【0006】
しかしながら、粉粒体の原料となる廃プラスチック類には多種多様の素材が用いられており、密度が大きく異なることがある。そのため、粉粒体が一定の流量で設備に供給されると、設備への粉粒体の供給量が不安定となり、設備の操業に影響を与える懸念がある。
【0007】
そこで、本開示は、粉粒体を安定的に供給することが可能な粉粒体の供給方法及び粉粒体の供給装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
粉粒体の供給方法の一例は、払出部によって貯留部から払い出された粉粒体を、圧送部が気体によって外部設備に圧送することと、圧送部による気体の圧力を計測部によって計測することと、計測部によって計測された圧力の値に基づいて、貯留部から外部設備への粉粒体の推定輸送量を算出することと、算出された推定輸送量が所定の目標値に近づくように、払出部による粉粒体の払出量を調節することとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る粉粒体の供給方法及び粉粒体の供給装置によれば、粉粒体を安定的に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、粉粒体の供給装置の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、コントローラのハードウェア構成を中心に示す概略図である。
【
図3】
図3は、粉粒体を含む貯留部の重量の時間変化の一例を示すグラフである。
【
図4】
図4は、粉粒体の供給装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、図の上、下、右、左というときは、図中の符号の向きを基準とすることとする。
【0012】
[粉粒体の供給装置]
まず、
図1~
図3を参照して、粉粒体Bの供給装置1の構成について説明する。供給装置1は、
図1に例示されるように、粉粒体Bを、外部設備2(例えば、セメントの焼成炉など)に供給するように構成されている。なお、粉粒体Bは、例えば、廃プラスチック類が破砕機で粉砕されて得られるものであってもよい。粉粒体Bは、例えば、外部設備2において、化石燃料の代替燃料として用いられてもよい。
【0013】
供給装置1は、貯留部10と、払出部20と、圧送部30と、重量センサSE1(別の計測部)と、圧力センサSE2(計測部)と、配管D1,D2と、コントローラCtr(制御部)とを備える。
【0014】
貯留部10は、粉粒体Bを貯留するように構成されている。貯留部10の底壁には、粉粒体Bが排出される排出口(図示せず)が設けられている。当該排出口は、配管D1に接続されている。
【0015】
払出部20は、貯留部10から粉粒体Bを払い出すように構成されている。払出部20は、例えば、テーブルフィーダ、サークルフィーダなどであってもよい。
【0016】
払出部20は、駆動モータ21と、回転軸22と、回転体23とを含む。駆動モータ21は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作し、回転軸22を回転駆動させるように構成されている。回転軸22は、駆動モータ21及び回転体23に接続されており、駆動モータ21の回転力を回転体23に伝達するように構成されている。回転体23は、貯留部10の底壁近傍に配置されている。回転体23は、その回転に伴い、粉粒体Bを所定量ごとに切り出し、貯留部10の底壁に設けられている排出口から粉粒体Bを排出させるように構成されている。
【0017】
圧送部30は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作し、配管D2を通じて気体(例えば、空気)を外部設備2に送気するように構成されている。圧送部30は、例えば、ブロワなどであってもよい。配管D2の中途には、配管D1の下流端が接続されており、排出口及び配管D1を通じて排出された粉粒体Bが配管D2に合流する。そのため、圧送部30は、払出部20から払い出された粉粒体Bを気体によって外部設備2に圧送するように構成されている。
【0018】
重量センサSE1は、貯留部10内に貯留されている粉粒体Bと共に、貯留部10の重量を計測するように構成されている。重量センサSE1は、ロードセルであってもよく、
図1に例示されるように、貯留部10の下方に配置されていてもよい。重量センサSE1は、計測した重量のデータをコントローラCtrに送信するように構成されている。
【0019】
圧力センサSE2は、配管D2を流れる気体の圧力、すなわち、配管D2における圧送部30による圧送圧力を計測するように構成されている。圧力センサSE2は、計測した圧力のデータをコントローラCtrに送信するように構成されている。
【0020】
コントローラCtrは、
図2に例示されるように、重量センサSE1及び圧力センサSE2から受信したデータを処理して、払出部20の動作を制御するように構成されている。コントローラCtrは、
図2に例示されるように、必要に応じて、圧送部30の動作を制御するように構成されている。
【0021】
コントローラCtrのハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成される。コントローラCtrは、ハードウェア上の構成として、
図2に例示されるように、プロセッサC1(演算部)と、メモリC2(記憶部)と、入力ポートC3(入力部)と、出力ポートC4(出力部)とを含む。コントローラCtrは、電気回路要素(circuitry)で構成されていてもよい。
【0022】
プロセッサC1は、メモリC2と協働してプログラムを実行し、入力ポートC3及び出力ポートC4を介した信号の入出力を実行することで、後述する各機能モジュールを構成する。すなわち、プロセッサC1は、重量センサSE1及び圧力センサSE2からの入力信号に基づいて、払出部20及び圧送部30を駆動するための出力信号を生成するように構成されている。
【0023】
メモリC2は、プログラム、入力信号、出力信号等を記憶するように構成されている。メモリC2は、配管D2を圧送される粉粒体Bの推定輸送量と、配管D2における圧送部30による圧送圧力との関係を示す関数を記憶するように構成されている。
【0024】
当該関数は、予め実験によって求められるものであってもよい。当該実験は、例えば、貯留部10に粉粒体Bが存在していない状態と、貯留部10に粉粒体Bが貯留されている状態とで供給装置1を稼働して、それぞれの場合の圧送圧力及び粉粒体Bの輸送量を測定するものであってもよい。
【0025】
当該関数は、パラメータF,f,Pf,P0,Pをそれぞれ、
F:粉粒体Bの推定輸送量[トン/hour]
f:予め設定された粉粒体Bの輸送量[トン/hour]
Pf:粉粒体Bの輸送量がfのときの圧送部30による圧送圧力[mmAq]
P0:粉粒体Bの輸送量が0のときの圧送部30による圧送圧力[mmAq]
P:圧力センサSE2による測定時における圧送圧力[mmAq]
と定義したときに、式1で算出される。
F=f×(Pf-P0)/(P-P0) ・・・(1)
【0026】
なお、P0,Pfの値は、配管D2の配管長、配管D2の配管径、配管D2に存在する屈曲部の数、当該屈曲部の曲率などに応じて変化しうる。また、P0,Pfの値は、圧送部30によって粉粒体Bが輸送される配管D2内の気体の流量が一定となるように設定された状態で、測定される。
【0027】
メモリC2は、上記の関数を補正する補正係数CEを記憶するように構成されていてもよい。補正係数CEは、例えば、重量センサSE1によって計測される所定期間における貯留部10の重量減少量WRを、当該所定期間における推定輸送量Fの合計値WE(推定輸送量Fの時間積分値)で除算して得るようにしてもよい。すなわち、補正係数CEは、式2で算出されてもよい。
CE=WR/WE ・・・(2)
また、補正係数CEを用いて、式1が式3のように補正されてもよい。
F=CE×f×(Pf-P0)/(P-P0) ・・・(3)
【0028】
ここで、
図3に基づいて、補正係数CEの算出方法の一例についてより具体的に説明する。供給装置1が稼働して、貯留部10内の粉粒体Bが徐々に切り出されると、重量センサSE1によって計測される重量が貯留部10の貯留上限から貯留下限まで低下する。この間、重量センサSE1によって計測される重量が、閾値Th1及び閾値Th2を経由する。なお、閾値Th1は、貯留部10の貯留上限に対して80%~90%程度に設定されてもよい。閾値Th2は、貯留部10の貯留下限に対して110%~120%程度に設定されてもよい。
【0029】
このように、貯留部10の貯留上限から貯留下限まで粉粒体Bが消費された初回の期間(第1回切り出し時)における補正係数CEを「補正係数CE1」と称する場合、パラメータWR1,WE1をそれぞれ、
WR1:閾値Th1に到達したときの時間t1から閾値Th2に到達したときの時間t2に至るまでの期間T1における貯留部10の重量減少量WR
WE1:当該期間T1における合計値WE
と定義したときに、式4で算出される。
CE1=WR1/WE1 ・・・(4)
【0030】
式4に算出された補正係数CE1を用いて、式5に基づいて推定輸送量Fが算出されてもよい。
F=CE1×f×(Pf-P0)/(P-P0) ・・・(5)
なお、式5に基づく推定輸送量Fの算出は、例えば、時間t2の直後から実行されてもよいし、貯留下限となった貯留部10に新たな粉粒体Bが補充されて貯留上限となった時間t3の直後から実行されてもよい。
【0031】
続いて、貯留部10に新たな粉粒体Bが貯留上限まで補充された後、貯留部10内の粉粒体Bが徐々に切り出されると、上記と同様に、重量センサSE1によって計測される重量が貯留部10の貯留上限から貯留下限まで低下する。この間、重量センサSE1によって計測される重量が、閾値Th1及び閾値Th2を経由する。
【0032】
このように、貯留部10の貯留上限から貯留下限まで粉粒体Bが消費された2回目の期間(第2回切り出し時)における補正係数CEを「補正係数CE2」と称する場合、パラメータWR2,WE2をそれぞれ、
WR2:閾値Th1に到達したときの時間t4から閾値Th2に到達したときの時間t5に至るまでの期間T2における貯留部10の重量減少量WR
WE2:当該期間T2における合計値WE
と定義したときに、式6で算出される。
CE2=WR2/WE2 ・・・(6)
【0033】
式6に算出された補正係数CE2を用いて、式7に基づいて推定輸送量Fが算出されてもよい。
F=CE2×f×(Pf-P0)/(P-P0) ・・・(7)
なお、式7に基づく推定輸送量Fの算出は、例えば、時間t5の直後から実行されてもよいし、貯留下限となった貯留部10に新たな粉粒体Bが補充されて貯留上限となった時間t6の直後から実行されてもよい。
【0034】
以降も同様に、貯留部10に新たな粉粒体Bが補充されるごとに、所定の期間Tnにおける補正係数CEnを重量減少量WRn及び合計値WEnに基づいて算出し、当該補正係数CEnを用いて、式8に基づいて推定輸送量Fが算出されてもよい。
F=CEn×f×(Pf-P0)/(P-P0) ・・・(8)
なお、「期間Tn」、「補正係数CEn」、「重量減少量WRn」及び「合計値WEn」において、nは自然数であり、貯留部10からのn回目の切り出し処理のときの期間T、補正係数CE、重量減少量WRn及び合計値WEnを意味している。
【0035】
入力ポートC3は、
図2に例示されるように、重量センサSE1及び圧力センサSE2からの入力信号をプロセッサC1に送信するように構成されている。出力ポートC4は、プロセッサC1で生成された出力信号を払出部20及び圧送部30に送信するように構成されている。
【0036】
コントローラCtrは、
図4に例示されるように、機能モジュールとして、推定部M1と、計算部M2と、PID制御部M3と、補正部M4とを含む。これらの機能モジュールは、コントローラCtrの機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、コントローラCtrを構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)により実現されるものであってもよい。
【0037】
推定部M1は、圧力センサSE2によって測定された圧送圧力Pを式1に入力して、推定輸送量Fを算出するように構成されている。推定部M1は、算出した推定輸送量Fを計算部M2及び補正部M4のそれぞれに出力するように構成されている。
【0038】
計算部M2は、推定部M1において推定された推定輸送量Fと、予め設定された粉粒体Bの輸送量の目標値SVとの偏差(SV-F)を計算するように構成されている。計算部M2は、算出した偏差をPID制御部M3に出力するように構成されている。
【0039】
PID制御部M3は、計算部M2からの出力をPID演算し、払出部20(駆動モータ21)の操作量MVを算出するように構成されている。PID制御部M3は、算出した操作量MVに基づいて払出部20による粉粒体Bの配管D1への払出量(切出量)を調節するように構成されている。これにより、配管D2を圧送される粉粒体Bの輸送量が目標値SVに近づくように調節される。
【0040】
補正部M4は、期間Tnの間、推定部M1において算出された推定輸送量Fを加算する(すなわち、推定輸送量Fを時間積分する)ことにより、期間Tnでの推定輸送量Fの合計値WEnを算出するように構成されている。補正部M4は、重量センサSE1において計測された貯留部10の重量Wを受信し、所定の期間Tnにおける重量減少量WRnを算出するように構成されている。補正部M4は、合計値WEn及び重量減少量WRnに基づいて、補正係数CEnを算出するように構成されている。補正部M4は、算出した補正係数CEnを推定部M1に出力するように構成されている。
【0041】
推定部M1は、補正部M4から補正係数CEnを受信すると、式1に代えて、式8を用いて推定輸送量Fを算出するように構成されていてもよい。なお、推定部M1が補正部M4から新たな補正係数CEn+1を受信した場合、推定部M1は、式8における補正係数CEnを新たな補正係数CEn+1に更新したうえで、式8を用いて推定輸送量Fを算出するように構成されていてもよい。
【0042】
[作用]
以上の例によれば、圧送部30による圧送圧力Pを圧力センサSE2によって計測することにより、粉粒体Bの推定輸送量Fが得られる。換言すれば、新たな粉粒体Bが貯留部10内に追加投入されて貯留部10の重量が増加傾向となる場合であっても、重量の要素を考慮することなく、圧力センサSE2によって計測された圧送圧力Pの値に基づいて、粉粒体Bの推定輸送量Fを取得できる。したがって、算出された粉粒体Bの推定輸送量Fが所定の目標値に近づくように、払出部20による粉粒体Bの払出量を調節することで、粉粒体Bを安定的に供給することが可能となる。
【0043】
以上の例において、推定輸送量Fは、圧力センサSE2によって計測された圧送圧力Pと、圧送部30により粉粒体Bが圧送されていないときの圧送部30による圧送圧力P0との差に基づいて、算出されてもよい。この場合、圧送部30により粉粒体Bが圧送されていないときの圧力損失の影響が、粉粒体Bの推定輸送量Fから排除される。そのため、粉粒体Bの推定輸送量Fをより正確に算出することが可能となる。したがって、粉粒体Bをより安定的に供給することが可能となる。
【0044】
以上の例において、重量減少量WRnを合計値WEnで除算して得られる補正係数CEnに基づいて、推定輸送量Fが補正されてもよく、補正後の推定輸送量Fが所定の目標値SVに近づくように、払出部20による粉粒体Bの払出量が調節されてもよい。この場合、実際の粉粒体Bの重量減少量WRnに基づいて推定輸送量Fが補正されるので、補正後の推定輸送量Fを用いて推定される粉粒体Bの輸送量がより正確となる。そのため、以後、補正後の推定輸送量Fが所定の目標値SVに近づくように、払出部20による粉粒体Bの払出量を調節することで、粉粒体Bをさらに安定的に供給することが可能となる。
【0045】
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0046】
[他の例]
例1.粉粒体の供給方法の一例は、払出部によって貯留部から払い出された粉粒体を、圧送部が気体によって外部設備に圧送することと、圧送部による気体の圧力を計測部によって計測することと、計測部によって計測された圧力の値に基づいて、貯留部から外部設備への粉粒体の推定輸送量を算出することと、算出された推定輸送量が所定の目標値に近づくように、払出部による粉粒体の払出量を調節することとを含む。ところで、本願の発明者は、圧送部により圧送される粉粒体の輸送量に応じて、圧送部による気体の圧力(圧送圧力)が線形的に増加することを見いだした。すなわち、圧送部によって粉粒体が輸送される配管内の気体の流量が一定となるように設定される場合、粉粒体の輸送量が多いほど、高圧の気体が粉粒体に作用することとなる。そのため、圧送部による気体の圧力を計測部によって計測することにより、粉粒体の推定輸送量が得られる。換言すれば、新たな粉粒体が貯留部内に追加投入されて貯留部の重量が増加傾向となる場合であっても、重量の要素を考慮することなく、計測部によって計測された気体の圧力の値に基づいて、粉粒体の推定輸送量を取得できる。したがって、算出された粉粒体の推定輸送量が所定の目標値に近づくように、払出部による粉粒体の払出量を調節することで、粉粒体を安定的に供給することが可能となる。
【0047】
例2.例1の方法において、推定輸送量を算出することは、計測部によって計測された圧力の値と、圧送部により粉粒体が圧送されていないときの圧送部による気体の圧力の値との差に基づいて、推定輸送量を算出することを含んでいてもよい。この場合、圧送部により粉粒体が圧送されていないときの圧力損失の影響が、粉粒体の推定輸送量から排除される。そのため、粉粒体の推定輸送量をより正確に算出することが可能となる。したがって、粉粒体をより安定的に供給することが可能となる。
【0048】
例3.例1又は例2の方法は、所定期間における貯留部の重量の減少量を別の計測部で計測することと、所定期間における推定輸送量の合計値を算出することと、減少量を合計値で除算して得られる補正係数と、計測部によって計測された圧力の値とに基づいて、貯留部から外部設備への粉粒体の補正輸送量を算出することと、算出された補正輸送量が所定の目標値に近づくように、払出部による粉粒体の払出量を調節することとをさらに含んでいてもよい。この場合、実際の粉粒体の減少量に基づいて推定輸送量が補正されるので、補正輸送量を用いて推定される粉粒体の輸送量がより正確となる。そのため、以後、補正輸送量が所定の目標値に近づくように、払出部による粉粒体の払出量を調節することで、粉粒体をさらに安定的に供給することが可能となる。
【0049】
例4.粉粒体の供給装置の一例は、粉粒体を貯留するように構成された貯留部と、貯留部から粉粒体を払い出すように構成された払出部と、払出部から払い出された粉粒体を気体によって外部設備に圧送するように構成された圧送部と、圧送部による気体の圧力を計測するように構成された計測部と、制御部とを備える。制御部は、計測部によって計測された圧力の値に基づいて、貯留部から外部設備への粉粒体の推定輸送量を算出することと、算出された推定輸送量が所定の目標値に近づくように、払出部による粉粒体の払出量を制御することとを含む。この場合、例1の方法と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0050】
1…供給装置、2…外部設備、10…貯留部、20…払出部、30…圧送部、B…粉粒体、Ctr…コントローラ(制御部)、D1,D2…配管、SE1…重量センサ(別の計測部)、SE2…圧力センサ(計測部)。