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特開2024-136900磁気マーカの検出方法及び磁気検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136900
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】磁気マーカの検出方法及び磁気検出システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240927BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240927BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G05D1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048203
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】沼野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】浦川 一雄
(72)【発明者】
【氏名】大石 大
(72)【発明者】
【氏名】安藤 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 道治
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
5H181AA15
5H181CC19
5H181FF03
5H181FF17
5H181FF27
5H301AA01
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301EE04
5H301GG07
5H301QQ06
(57)【要約】
【課題】磁気テープに対して個片状の磁気マーカが並設された環境下で、磁気テープの磁気に起因する磁気マーカの誤検出を抑制しながら、磁気マーカを確実性高く検出する方法を提供すること。
【解決手段】車両が磁気テープ10Tに沿って走行している最中に、磁気テープ10Tに対して横方向にずれて配置された磁気マーカ10を検出するための方法であって、車幅方向に沿って配列された複数の磁気センサのうちテープ位置に所在する磁気センサをマスキングし、残りの磁気センサによるセンサ信号を利用して磁気マーカ10を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する経路に沿って敷設された磁気テープに対して横方向にずらして配置された磁気マーカを検出するための方法であって、
前記車両は、複数の磁気センサが車幅方向に沿って配列された磁気センサユニットを備えており、
車幅方向における前記磁気テープの場所を示すテープ位置に所在する磁気センサを、マスキングする磁気センサとして特定し、
前記複数の磁気センサのうち、前記マスキングされた磁気センサを除く磁気センサによるセンサ信号を利用して前記磁気マーカを検出する、磁気マーカの検出方法。
【請求項2】
請求項1において、前記複数の磁気センサによるセンサ信号を利用して磁気テープを検出し、前記テープ位置を特定する、磁気マーカの検出方法。
【請求項3】
請求項2において、前記複数の磁気センサによるセンサ信号を利用して前記磁気テープを検出するためのテープ検出ロジックと、前記マスキングされた磁気センサを除く磁気センサによるセンサ信号を利用して前記磁気マーカを検出するためのマーカ検出ロジックと、を時分割で実行する、磁気マーカの検出方法。
【請求項4】
車両が走行する経路に沿って敷設された磁気テープに対して横方向にずらして配置された磁気マーカを検出するためのシステムであって、
複数の磁気センサが車幅方向に沿って配列されるように車両に取り付けられる磁気センサユニットと、
車幅方向における前記磁気テープの場所を示すテープ位置に所在する磁気センサを、マスキングする磁気センサとして特定する回路と、
前記複数の磁気センサのうち、前記マスキングされた磁気センサを除く磁気センサによるセンサ信号を利用して前記磁気マーカを検出する回路と、を備える磁気検出システム。
【請求項5】
請求項4において、前記複数の磁気センサによるセンサ信号を利用して前記磁気テープを検出し、前記テープ位置を特定する回路、を備える磁気検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気マーカと磁気テープとを利用して車両が走行するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や物流倉庫などの施設において、自動搬送車などの車両が広く活用されている。自動搬送車などの車両を自動走行させるためのシステムとして、例えば、経路に沿って付設された磁気テープを利用するシステム等が知られている(例えば、下記の特許文献1参照。)。このようなシステムでは、例えば、磁気テープに追従して移動するように車両が制御される。
【0003】
磁気テープに追従して車両が移動する際、テープ方向における車両の位置を特定できるよう、磁気テープに対して何らかの目印が並設される場合がある。例えば、個片状の磁気マーカを目印として並設すれば、テープ方向における車両の位置を精度高く特定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-008598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のシステムでは、磁気テープによる磁気に起因し、磁気マーカの誤検出が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、磁気テープに対して個片状の磁気マーカが並設された環境下で、磁気テープの磁気に起因する磁気マーカの誤検出を抑制しながら、磁気マーカを確実性高く検出する方法及び磁気検出システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、車両が走行する経路に沿って敷設された磁気テープに対して横方向にずらして配置された磁気マーカを検出するための方法であって、
前記車両は、複数の磁気センサが車幅方向に沿って配列された磁気センサユニットを備えており、
車幅方向における前記磁気テープの場所を示すテープ位置に所在する磁気センサを、マスキングする磁気センサとして特定し、
前記複数の磁気センサのうち、前記マスキングされた磁気センサを除く磁気センサによるセンサ信号を利用して前記磁気マーカを検出する、磁気マーカの検出方法にある。
【0008】
本発明の一態様は、車両が走行する経路に沿って敷設された磁気テープに対して横方向にずらして配置された磁気マーカを検出するためのシステムであって、
複数の磁気センサが車幅方向に沿って配列されるように車両に取り付けられる磁気センサユニットと、
車幅方向における前記磁気テープの場所を示すテープ位置に所在する磁気センサを、マスキングする磁気センサとして特定する回路と、
前記複数の磁気センサのうち、前記マスキングされた磁気センサを除く磁気センサによるセンサ信号を利用して前記磁気マーカを検出する回路と、を備える磁気検出システムにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、車幅方向におけるテープ位置を特定することにより、複数の磁気センサのうちのテープ位置に所在する磁気センサが特定されてマスキングされる。そして、マスキングされた磁気センサを除く磁気センサによるセンサ信号が選択的に取得されて磁気マーカの検出が実行される。テープ位置に所在する磁気センサをマスキングして磁気マーカの検出を実行すれば、磁気テープからの磁気に起因する磁気マーカの誤検出を少なくできる。
【0010】
本発明に係る磁気マーカは、磁気テープに対して横方向にずれて配置されている。それ故、テープ位置に所在する磁気センサを除く場合であっても、残りの磁気センサによって確実性高く磁気マーカを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】磁気検出システムの説明図。
図2】磁気テープの説明図。
図3】磁気マーカを示す図。
図4】磁気テープに対して磁気マーカが並設された経路の説明図。
図5】車両の説明図。
図6】先頭車両の電気的構成を示す構成図。
図7】磁気センサユニットのブロック図。
図8】磁気センサA1~A15の軌跡を説明する図。
図9】磁気センサA1~A15のセンサ出力の時間的な変化(走行距離に応じた変化)を示すグラフ。
図10】テープ検出ロジックによる処理の流れを示すフロー図。
図11】磁気センサA1~A15のセンサ出力の分布(上段の近似曲線)、及び横方向作動フィルタ処理を適用して得られたフィルタ出力の分布(下段の近似曲線)を示すグラフ。
図12】磁気センサA1~A15の軌跡を説明する図。
図13】磁気センサのセンサ出力(総和)の時間的な変化(走行距離に応じた変化)を示すグラフ。
図14】マーカ検出ロジックによる処理の流れを示すフロー図。
図15】進行方向差動フィルタ処理によるフィルタ出力の時間的変化(走行距離に応じた変化)を示すグラフ。
図16】磁気センサA1~A15のセンサ出力の時間的変化(走行距離に応じた変化)を示すグラフ。
図17】進行方向差動フィルタ処理によるフィルタ出力の時間的変化(走行距離に応じた変化)を示すグラフ。
図18】磁気センサA1~A15のセンサ出力の分布(上段の近似曲線)、及び横方向作動フィルタ処理を適用して得られたフィルタ出力の分布(下段の近似曲線)を示すグラフ。
図19】改善されたマーカ検出ロジックによる処理の流れを示すフロー図。
図20】マスキングされた磁気センサを除く各磁気センサの軌跡を説明する図。
図21】マスキングされた磁気センサを除く各磁気センサのセンサ出力の時間的変化(走行距離に応じた変化)を示すグラフ。
図22】進行方向差動フィルタ処理によるフィルタ出力の時間的変化(走行距離に応じた変化)を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、磁気テープ10Tに対して並設された磁気マーカ10を確実性高く検出するための磁気検出システム1に関する例である。この内容について、図1図22を用いて説明する。
【0013】
本例の磁気検出システム1(図1)は、工場や倉庫などの施設の搬送システム11に適用される。搬送システム11では、車両2(図5)を移動させるための経路11Rが予め設定されている。経路11Rの床面には、磁気製品である磁気テープ10T及び磁気マーカ10が配設されている。磁気テープ10Tは、経路11Rに沿うように連続的に敷設されている。磁気マーカ10は、磁気テープ10Tに沿う位置に配設されている。なお、図1中の符号111は、経路11Rの中心線である。
【0014】
磁気テープ10Tは、例えば、幅100mm、厚さ2mmの連続帯状を呈する磁気製品である。磁気テープ10Tは、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂材料よりなるベーステープの表面に磁性材料が積層された構造を有する。磁性材料は、例えば、酸化鉄の磁粉が高分子材料中に分散している磁性材料である。図2の通り、磁気テープ10Tの表面がN極であり、裏面がS極である。
【0015】
経路11R中には、車両2の停止位置や、ワークの受入れ・引渡し等の作業位置、など、車両2の位置を精度高く特定する必要がある箇所が設定されている。搬送システム11では、このような箇所に磁気マーカ10が配置されている。磁気マーカ10を利用すれば、経路11Rの長手方向における車両2の位置を精度高く特定可能である。経路11Rにおいては、車両2の移動制御の起点となる初期位置(スタートS)が設定されている。搬送システム11では、初期位置を起点とする距離に応じて、磁気マーカ10を特定可能である。
【0016】
磁気マーカ10は、片面がN極をなし、片面がS極をなす永久磁石よりなる個片状の磁石片100(図3参照。)により構成されている。磁気マーカ10をなす磁石片100は、フェライトラバーマグネットである。フェライトラバーマグネットは、磁性材料である酸化鉄の磁粉を高分子材料中に分散させた永久磁石である。磁石片100の形状は、直径50mm厚さ2mmのシート状である。磁石片100は、いずれの表面が上向きに設置されるかにより、車両2側で検出される磁極性が切り替わる。本例では、車両側の表面がN極をなすように磁気マーカ10が配設されている。
【0017】
搬送システム11では、経路11Rの中心線111から横方向(車幅方向)に150mmオフセットした位置に磁気マーカ10が配置されている(図4参照。)。一方、磁気テープ10Tは、経路11Rの中心線111を挟んで磁気マーカ10とは反対側に、中心線111から150mmオフセットして敷設されている。
【0018】
次に、本例の磁気検出システム1を構成する車両2について説明する。車両2は、図5のごとく、駆動輪を備える牽引車両21と、この牽引車両21に牽引される四輪の台車23と、により構成されている。牽引車両21は、長さ2m、幅1mであり、台車23は、長さ2m、幅1mである。台車23は、牽引車両21あるいは先行する台車23に連結するための連結バー230を備えている。台車23は、左右一対の前側の従動輪231と、左右一対の後ろ側の固定輪232を備えている。
【0019】
牽引車両21は、操舵輪である前輪211と、駆動輪である左右一対の後輪212と、を備える四輪車である。牽引車両21では、前輪211の前方に磁気センサユニット3が取り付けられている。磁気センサユニット3は、磁気製品である磁気テープ10Tおよび磁気マーカ10を検出するためのセンサユニットである。なお、磁気センサユニット3の配置は、後輪212の後方であっても良い。
【0020】
牽引車両21は、図6のごとく、制御ユニット40を中心として電気的に構成されている。制御ユニット40には、磁気センサユニット3、後輪212を回転駆動するモータユニット44、後輪212の車輪速センサ442、操舵輪である前輪211を操舵する操舵ユニット46、磁気マーカ10に関するマーカ情報のマーカデータベース(マーカDB)48、等が接続されている。
【0021】
マーカDB48には、磁気マーカ10毎のマーカ情報が格納されている。上記のごとく、搬送システム11では、初期位置を起点とした距離に応じて磁気マーカ10を特定可能である。マーカDB48には、初期位置を起点とした距離情報をひも付けてマーカ情報が格納されている。磁気マーカ10の検出時には、初期位置を起点とした車両2の移動距離を利用してマーカDB48を参照することで、検出された磁気マーカ10に対応するマーカ情報を読出できる。マーカ情報には、磁気マーカ10の位置を表す情報や、停止位置やワークの受入位置などの属性情報、等が含まれる。
【0022】
制御ユニット40は、各種の演算を実行するCPUや、ROM・RAMなどのメモリ素子、等を含めて構成された電子回路(図示略)を備えるユニットである。制御ユニット40は、操舵ユニット46やモータユニット44に対し、制御値を入力する。操舵ユニット46に対する制御値は、前輪211の舵角の制御目標である指示舵角である。モータユニット44に対する制御値は、後輪212の回転角速度の制御目標である指示回転角速度である。制御ユニット40は、操舵ユニット46を介して前輪211の舵角を制御すると共に、モータユニット44を介して後輪212の回転角速度を制御する。
【0023】
なお、後輪212の回転は、車輪速センサ442により計測され車輪速パルスとして出力される。制御ユニット40は、車輪速センサ442が出力する車輪速パルスを計数等することで、車両2の速度や移動距離を求める。
【0024】
制御ユニット40は、磁気テープ10Tの検出中では、磁気テープ10Tに対する牽引車両21の横ずれ量が所定の値となるように前輪211の舵角を制御する。制御ユニット40は、磁気マーカ10が検出されたとき、初期位置を起点とした移動距離に基づき、マーカDB48からマーカ情報を読み出す。制御ユニット40は、マーカ情報に応じて所定の制御を実行する。例えば、停止位置の属性情報がマーカ情報に含まれる場合には、制御ユニット40は、車両2を停止させる制御を実行する。
【0025】
本例の搬送システム11には、磁気製品である磁気テープ10T及び磁気マーカ10を検出する磁気検出システム1が適用されている。磁気検出システム1は、磁気センサユニット3を利用して構成されている。本例の磁気検出システム1では、磁気テープ10Tの検出、及び磁気マーカ10の検出に、磁気センサユニット3が共用される。
【0026】
磁気センサユニット3(図7)は、複数の磁気センサが一直線上に配列されたユニットである。磁気センサユニット3は、複数の磁気センサによるセンサ信号を処理するための検出処理回路32を備えている。
【0027】
磁気センサユニット3(図7)では、15個の磁気センサAn(nは磁気センサ番号で、1~15の自然数。)が5cm間隔で配置されている。磁気センサユニット3は、磁気センサAnの配列方向が車幅方向に沿うように牽引車両21に取り付けられている。車幅方向に沿って複数の磁気センサAnが位置している磁気センサユニット3によれば、磁気テープ10T及び磁気マーカ10に対する牽引車両21の横ずれ量を計測できる。
【0028】
磁気センサユニット3では、例えば、精度の高いMI(Magnet Impedance)センサが磁気センサとして採用されている。MIセンサは、公知のMI効果(Magnet Impedance Effect)を利用する高精度の磁気センサである。MI効果は、アモルファスワイヤなどの感磁体のインピーダンスが外部磁界に応じて敏感に変化するという磁気的な効果である。磁気センサAnは、鉛直方向に作用する磁気の強度を計測できるように磁気センサユニット3に組み込まれている。
【0029】
磁気センサユニット3の検出処理回路32は、磁気テープ10Tあるいは磁気マーカ10を検出するための検出処理等を実行する演算回路である。検出処理回路32は、図示は省略するが、各種の演算を実行するCPU(central processing unit)や、ROM(read only memory)・RAM(random access memory)などのメモリ素子、等を利用して構成されている。
【0030】
検出処理回路32は、磁気テープ10Tの検出結果および磁気マーカ10の検出結果を出力する。磁気テープ10Tの検出結果(テープ検出結果)には、磁気テープ10Tの検出状態か否かを表す信号、磁気テープ10Tに対する横ずれ量、等が含まれる。磁気マーカ10の検出結果(マーカ検出結果)には、磁気マーカ10を検出したか否かを表す信号などが含まれる。
【0031】
なお、検出処理回路32のCPUが演算処理を実行するワークエリアには、磁気テープ10Tの検出判定のための制御フラグであるテープフラグが設定されている。検出処理回路32は、テープフラグがONの状態下の移動距離を積算する測距機能を備えている。この移動距離は、磁気テープ10Tの検出判定に利用される。テープフラグの初期状態はOFF、移動距離の初期値はゼロである。
【0032】
検出処理回路32は、以下の機能を備えている。
(1)検出処理回路:磁気テープ10T及び磁気マーカ10の検出処理を実行する回路。検出処理には、磁気テープ10Tを検出するためのテープ検出ロジックと、磁気マーカ10を検出するためのマーカ検出ロジックと、がある。
(2)マスクキング回路:マーカ検出ロジックにおいて特定の磁気センサをマスキングする。マスキング回路は、テープ位置(車幅方向における磁気テープ10Tの場所)に所在する磁気センサを、マスキングする磁気センサとして特定する。
【0033】
本例は、上記の(1)及び(2)の機能を、磁気センサユニット3に具備させた構成例である。これに代えて、磁気センサユニット3の外部の処理回路で、上記の(1)及び(2)の機能を実現しても良い。
【0034】
以下、磁気検出システム1が実行する、(a)テープ検出ロジック、(b)マーカ検出ロジック、(c)マーカ検出ロジックの課題、(d)改善されたマーカ検出ロジック、を順番に説明する。
【0035】
(a)テープ検出ロジック
磁気テープ10Tを検出するためのテープ検出ロジックを説明するに当たって、まず、磁気テープ10Tに沿って車両2が走行する際、磁気センサユニット3の各磁気センサA1~15がどのような軌跡を通過するか(図8)、を説明する。また、磁気テープ10Tに沿って車両2が走行する際、磁気センサA1~A15のセンサ信号が表すセンサ出力がどのように変化するか(図9)、を説明する。
【0036】
車両2が磁気テープ10Tに沿って走行する際、15個の磁気センサAnは、図8に例示する軌跡をなす。なお、同図の長手方向は、車両2の走行距離(進行方向、時間)を表している。図8の最下段には、横方向(車幅方向)から見込む磁気テープ10Tの側面図が示されている。なお、図8の構成は、後出の図12も同様である。
【0037】
車両2は、磁気センサユニット3の中央の磁気センサA8が経路11Rの中心線111の真上に位置するように制御される。磁気テープ10Tは、上記のごとく、経路11Rの中心線111を基準として左側(進行方向を向いたときの左側)に150mmオフセットして敷設されている。磁気センサユニット3における磁気センサの配列ピッチは50mmである。そのため、中央の磁気センサA8よりも3つ左側(50mm×3ピッチ)に位置する磁気センサA5が磁気テープ10Tの真上を通過することになる。また、磁気テープ10Tの幅は100mmであるので、磁気センサA5の両隣りに位置する磁気センサA4、A6が、磁気テープ10Tの縁の上方を通過することになる。
【0038】
本例の構成では、車幅方向における磁気テープ10Tの場所を示すテープ位置として、磁気センサA8の左側、150mmの位置が特定される。そして、磁気テープ10Tの真上を通過する磁気センサA5、および両隣りの磁気センサA4、A6の3つの磁気センサが、テープ位置に所在する磁気センサとして特定されてマスキングされる。本例では、幅100mmの磁気テープ10Tに対し、マスキングする磁気センサの数を3つとしているが、マスキングする数は変更しても良く、可変数にしても良い。
【0039】
図8では、進行方向の位置として、位置A、位置B、位置C及び位置Dの4箇所が例示されている。位置Cは、床面の段差11Gにより、磁気テープ10Tが盛り上がっている位置である。位置A及びBは、段差11Gの手前側の位置(上流側の位置)であり、位置Dは、段差11Gを通過後の位置(下流側の位置)である。
【0040】
車両2が位置A~位置Dの区間を通過する際、15チャンネルのセンサ出力は図9に例示するように変化する。なお、同図の長手方向は車両2の走行距離(進行方向、時間)を表している。上記のごとく、磁気センサA5を中心とし、その両隣りの磁気センサA4、A6を含む3つの磁気センサA4~A6が、テープ位置に所在している。そのため、図9のごとく、磁気センサA5のセンサ出力をピークとして、磁気センサA4~A6のセンサ出力が大きくなっている。
【0041】
図9に例示するように、床面が平らな位置Aから位置Bまでの区間を通過する間は、各センサ出力は変化せず、ほぼ一定である。一方、段差11Gによって床面が盛り上がっている位置Cでは、磁気センサA4~A6のセンサ出力が大きくなる。段差11Gのため、磁気センサユニット3と磁気テープ10Tとの距離が短くなり、磁気テープ10Tから車両2側に作用する磁気が強くなるためである。
【0042】
続いて、図10のフロー図を参照しながら磁気テープ10Tの検出方法の流れを説明する。検出処理回路32は、一定のサンプリング周期で、磁気センサユニット3を構成する磁気センサAn(nは磁気センサ番号。nは1~15の自然数。)による15個のセンサ出力(磁気計測値、センサ信号)を取得する(S101)。
【0043】
位置A~Dで同時に取得される15個のセンサ出力の分布、すなわち車幅方向におけるセンサ出力の分布は、図11上段に例示するようになる。15個のセンサ出力は、位置A~Dのいずれの位置でも、磁気テープ10Tの真上に当たる磁気センサA5のセンサ出力をピークとする山型の分布を呈する。位置A、B、Dでは、分布の山型がほぼ同じ大きさとなる一方、段差11Gに当たる位置Cでは、センサ出力のピークが他の位置A、B、Dよりも大きくなっている。段差11Gの盛り上がりによって磁気センサユニット3と磁気テープ10Tとの距離が近くなるためである。
【0044】
検出処理回路32は、15個のセンサ出力を取得する毎に、横方向差動フィルタ処理を適用する(S102)。なお、横方向差動フィルタ処理は、横方向(車幅方向)の位置が異なる磁気センサ間でセンサ出力の差分を求めることにより、横方向の磁気勾配を求める処理である。
【0045】
横方向差動フィルタ処理の結果、図11上段の山型の分布は、それぞれ、同図下段のような分布となる。横方向差動フィルタ処理によるフィルタ出力の分布は、位置A~Dのいずれでも、磁気テープ10Tに対応するゼロクロスを含む分布となっている。位置A、B、Dでは、フィルタ出力の振幅(peak to peak)が同様の分布となる一方、位置Cでは、フィルタ出力の振幅が大きくなっている。これは、同図上段の通り、位置Cでは、段差11Gの影響によりセンサ出力が大きくなっているためである。
【0046】
検出処理回路32は、同時に取得された15個のセンサ出力に対して横方向差動フィルタ処理を適用して得られたフィルタ出力の分布の近似曲線につき、ゼロクロスの有無を判断する(S103)。なお、ゼロクロスの条件としては、近似曲線の正負が切り換わっていること、及びそのゼロクロスにおける近似曲線の傾きが予め設定された傾き以上であること、が設定されている。両方の条件が満たされたとき、ゼロクロス有りと判断される。
【0047】
これらの条件は、センサ出力の大きさの変化や(図9中の位置C、図11上段の位置Cのグラフ参照。)、横方向差動フィルタ処理によるフィルタ出力の振幅の変化(図11中下段の位置Cのグラフ参照。)、等の影響を受けるおそれが少ない。それ故、これらの条件によれば、例えば磁気テープ10Tが段差11Gの盛り上がりを超える位置Cにおいても、ゼロクロスの有無を確実性高く判定できる。
【0048】
検出処理回路32は、ゼロクロスが有る場合(S103:YES)、磁気テープ10Tの検出判定のための上記のテープフラグをONに切り換えるか、あるいはONのままとする(S104)。検出処理回路32は、テープフラグがONのとき(S105:YES)、移動距離を積算する(S106)。
【0049】
検出処理回路32は、移動距離に関する閾値処理を実施する(S107)。検出処理回路32は、移動距離が閾値Ls以上であれば(S107:YES)、磁気テープ10Tを検出したと判定する(S108)。このように本例の構成では、ゼロクロス有りと判断された状態での車両2の移動距離が一定距離(Ls)以上となったとき、磁気テープ10Tが検出される。
【0050】
検出処理回路32は、磁気テープ10Tが検出されているとき、上記のステップS103で検出されたゼロクロスの横方向(車幅方向)の位置に基づき、磁気テープ10Tに対する車両2の横ずれ量を求める(S109)。検出処理回路32は、磁気テープ10Tを検出している旨、磁気テープ10Tに対する横ずれ量、を含むテープ検出結果を出力する(S110)。
【0051】
検出処理回路32は、ゼロクロスが無い場合(S103:NO)、テープフラグをOFFに切り換えるか、あるいはOFFのままとする(S114)。検出処理回路32は、テープフラグがOFFのときには(S105:NO)、移動距離をゼロリセットする(S116)。この場合、当然ながら移動距離が閾値Lsに満たなくなるため(S107:NO)、磁気テープ10Tが未検出と判定される(S118)。
【0052】
このように、本例の構成では、例えば、磁気テープ10Tの検出中にゼロクロス有の判断が途切れたとき(S103:NO)、磁気テープ10Tが未検出という判定に切り替わる。検出処理回路32は、磁気テープ10Tが未検出と判定された場合には、磁気テープ10Tが未検出である旨を含むテープ検出結果を出力する(S110)。なお、ゼロクロスの横方向位置の時間的な連続性を考慮することも良い。例えば、近接する時点において、ゼロクロスの横方向位置が大きく変動した場合、ゼロクロス有りの判断が途切れたものとして取り扱うことも良い。
【0053】
(b)マーカ検出ロジック
図8の経路11Rに基づき、位置Bに磁気マーカ10が追加された図12の経路11Rを例に、磁気マーカ10を検出するためのマーカ検出ロジックを説明する。磁気センサユニット3を構成する磁気センサA1~A15のセンサ出力の総和は、車両2が位置Bを通過する際、図13のように変化する。なお、同図中の横軸は走行距離(進行方向、時間)を表している。この磁気センサA1~A15のセンサ出力の総和は、磁気マーカ10(位置B)に近付くにつれて、次第に大きくなり、磁気マーカ10に最も接近したときにピークとなる。センサ出力の総和は、磁気マーカ10を通り過ぎた後、磁気マーカ10から離れるに従って次第に小さくなっている。
【0054】
マーカ検出ロジックの内容について、図14のフロー図を参照して説明する。検出処理回路32は、直近の所定期間に亘る磁気センサA1~A15のセンサ出力(時系列データ)を読み込む(S201)。例えば磁気マーカ10の通過時点を含む直近の所定期間に亘る磁気センサA1~A15のセンサ出力の総和の時系列データは、図13のように時間的な変化を呈する。検出処理回路32は、この時系列データに進行方向差動フィルタ処理を施す(S202)。進行方向差動フィルタ処理は、時系列データのうち、取得時点が異なるデータ間の差分を求める処理である。
【0055】
ステップS202の進行方向差動フィルタ処理によるフィルタ出力は、図15に例示するゼロクロスを含む波形となる。ゼロクロスは、磁気マーカ10が配置された位置Bで生じている。なお、磁気テープ10Tの磁気に応じたセンサ出力(主として磁気センサA4~A6のセンサ出力)は、時間的な変化(進行方向の変化)が少なくほぼ一定であるため、進行方向差動フィルタ処理によりゼロに近くなる。
【0056】
検出処理回路32は、進行方向差動フィルタ処理によるフィルタ出力がなす波形(図15)につき、ゼロクロスの有無を判断する(S203)。検出処理回路32は、波形がゼロをクロスしていること、及びそのゼロクロスの傾きが予め設定された傾き以上であること、の条件が両方、満たされたとき、ゼロクロス有りと判断する。
【0057】
進行方向差動フィルタ処理のフィルタ出力にゼロクロスが有ったとき(S203:YES)、検出処理回路32は、各磁気センサのセンサ出力に、横方向差動フィルタ処理を適用する(S204)。そして、検出処理回路32は、この横方向差動フィルタ処理によるフィルタ出力の分布の近似曲線について、ゼロクロスの有無を判断する(S205)。検出処理回路32は、ゼロクロス有と判断できたとき(S205:YES)、磁気マーカ10を検出したと判定する(S206)。なお、ステップS205におけるゼロクロスの有無の判断についても、上記の近似曲線がゼロをクロスしていること、及びそのゼロクロスの傾きが予め設定された傾き以上であること、の条件を設定することができる。
【0058】
一方、上記のステップS203において、進行方向差動フィルタ処理によるフィルタ出力がなす波形(図15)につき、ゼロクロスが無いと判断されたとき(S203:NO)、及び上記のステップS205において、横方向作動フィルタ処理によるフィルタ出力の分布の近似曲線につき、ゼロクロスが無いと判断されたときには(S205:NO)、磁気マーカ10が未検出であると判定される(S216)。
【0059】
(c)マーカ検出ロジックの課題
図12の経路11Rを例にして、上記(b)マーカ検出ロジックの課題を説明する。位置A~位置Dまでの走行期間を含む所定期間に亘る磁気センサA1~A15のセンサ出力の総和(時系列データ)は、磁気マーカ10が配置された位置Bにおいてピークを形成する。さらに、段差11Gを磁気テープ10Tが乗り越える位置Cにおいてもピークが形成される(図16参照。)。磁気テープ10Tが段差11Gを乗り越える位置Cでは、磁気テープ10Tと磁気センサユニット3とが離間する距離が近くなり(図12参照。)、磁気マーカ10から磁気センサユニット3に作用する磁気強度が大きくなるためである。
【0060】
磁気テープ10Tが段差11Gを乗り越える位置Cと、磁気マーカ10が配置された位置Bと、では、磁気センサA1~A15のセンサ出力の総和の変化傾向が同様になっている(図16参照。)磁気センサA1~A15のセンサ出力の総和の時系列データに進行方向差動フィルタ処理を適用したフィルタ出力は、図17のごとく、磁気マーカ10が配置された位置Bと、段差11Gがある位置Cと、でゼロクロスを含む波形を呈する。
【0061】
上記(b)のマーカ検出ロジックは、磁気センサA1~A15のセンサ出力の総和の時系列データに進行方向差動フィルタ処理を適用した際のゼロクロスを利用し、磁気マーカ10を検出する方法である。上記(b)のマーカ検出ロジックの場合、位置Cの段差11Gにおいて、磁気マーカ10と同様のゼロクロスが発生し、これにより、磁気マーカ10の誤検出が発生する可能性が高い。
【0062】
なお、上記の(a)テープ検出ロジックにおいて、位置Bの磁気マーカ10に起因して磁気テープ10Tの誤検出が発生する可能性は少ない。図11と同様、位置A~Dにおける横方向差動フィルタのフィルタ出力を例示する図18のごとく、位置Bにおいて、磁気マーカ10に対応するゼロクロスが現れる一方、位置Aや位置Cではゼロクロスは現われていない。上記の(a)テープ検出ロジックでは、磁気テープ10Tの検出判定に当たって、テープフラグがONの状態下で積算された移動距離に関する閾値処理を実行している(図10、S107)。位置Bにおける磁気マーカ10に対応するゼロクロスは、移動距離に関する閾値条件を満たすことがないため、磁気テープ10Tの誤検出を誘発するおそれがない。
【0063】
(d)改善されたマーカ検出ロジック
図12の経路11Rを例にして、改善されたマーカ検出ロジックの内容を説明する。本例の磁気検出システム1は、磁気マーカ10を検出するためのロジックとして、改善されたマーカ検出ロジックを採用している。
【0064】
図19のごとく、検出処理回路32は、磁気マーカ10の検出に際して、まず、磁気テープ10Tを検出中か否かを判断する(S301)。検出処理回路32は、磁気テープ10Tを検出中のとき(S301:YES)、磁気テープ10Tに対する横ずれ量を読み込む(S302)。この横ずれ量は、磁気テープ10Tに対する車両2の車幅方向のずれ量である。なお、本例では、車両2側の基準位置として、磁気センサユニット3の中央に位置する磁気センサA8が設定されている。
【0065】
横ずれ量は、車幅方向における磁気テープ10Tの位置であるテープ位置を表している。テープ位置を表す横ずれ量に基づけば、テープ位置に所在しており、磁気テープ10Tの上方や近傍を通過する磁気センサ、を特定できる。
【0066】
検出処理回路32は、磁気テープ10Tの上方や近傍を通過する3つの磁気センサをマスキングする磁気センサとして選択する(S303)。図12の経路11Rの場合、磁気センサA4、A5、A6がマスキングする磁気センサとして選択される(図20)。検出処理回路32は、マスキングされた磁気センサA4~A6を除く各磁気センサのセンサ出力を選択的に取得する(S304)。
【0067】
このように検出処理回路32が選択的に取得するセンサ出力は、図21のごとく、磁気テープ10Tの上方あるいは近傍を通過する磁気センサA4~A6のセンサ出力(点線で示す)がマスキングされたものであり、段差11Gによるピークがマスキングされて解消されている。なお、これに代えて磁気センサA1~A15のセンサ出力を取得した後、磁気センサA4、A5、A6のセンサ出力をマスキングしても良い。
【0068】
検出処理回路32は、上記のステップS304で選択的に取得したセンサ出力の総和の時系列データ(図21)に、進行方向差動フィルタ処理を適用する(S305)。そうすると、図22のごとく、磁気マーカ10が配置された位置Bのゼロクロスを含むフィルタ出力が得られる(図22)。ステップS304で取得したセンサ出力の総和の時系列データでは、マスキングされた磁気センサA4~A6のセンサ出力が選択的に除外されている。そのため、このフィルタ出力では、段差11Gがある位置Cのゼロクロスが生じていない。
【0069】
進行方向差動フィルタ処理のフィルタ出力にゼロクロスが有ったとき(S306:YES)、検出処理回路32は、さらに、マスキングされた磁気センサA4~A6を除く各磁気センサのセンサ出力に、横方向差動フィルタ処理を適用する(S307)。検出処理回路32は、この横方向差動フィルタ処理によるフィルタ出力の分布の近似曲線にゼロクロスが有れば(S308:YES)、磁気マーカ10を検出したと判定する(S309)。そして、検出処理回路32は、磁気マーカ10が検出された旨を表すマーカ検出結果を出力する(S310)。
【0070】
一方、上記のステップS306あるいはステップS308においてゼロクロスが無いと判断された場合(S306:NOあるいはS308:NO)、磁気マーカ未検出と判定され(S312)、その旨を含むマーカ検出結果が出力される(S310)。なお、上記のステップS301の判断において、磁気テープ10Tが非検出中と判定された場合(S301:NO)、図19のフロー図では、磁気マーカ10の検出手順を実行することになっている。これに代えて、磁気テープ10Tが非検出中のときは、磁気マーカ10を検出するための手順をキャンセルすることも良い。
【0071】
以上のように本例の磁気検出システム1は、磁気テープ10Tが敷設されていると共に磁気マーカ10が並設された経路11Rにおいて、磁気テープ10T及び磁気マーカ10を確実性高く検出可能なシステムである。磁気検出システム1では、上記(a)テープ検出ロジックと、上記(d)改善されたマーカ検出ロジックと、が時分割で実行される。この磁気検出システム1によれば、磁気テープ10に並設された磁気マーカ10を確実性高く検出できる。この磁気検出システム1では、磁気テープ10Tが段差11Gを乗り越えるような箇所にて、磁気マーカ10を誤検出するおそれが低減されている。
【0072】
なお、本例では、磁気センサユニット3を共用して、磁気テープ10T及び磁気マーカ10を検出している。これに代えて、磁気センサユニット3を利用して磁気マーカ10を検出する一方、磁気テープ10Tを検出するために別のセンサを採用しても良い。
【0073】
本例では、表面がN極で、裏面がS極の磁気テープ10Tを例示したが、表面がS極で、裏面がN極の磁気テープを採用することもできる。さらに、表面において、N極とS極とが交互に配置された磁気テープを採用することも良い。
【0074】
図19のフロー図を参照して説明した通り、本例では、進行方向差動フィルタ処理のフィルタ出力にゼロクロスが有って(S306:YES)、さらに横方向差動フィルタ処理のフィルタ出力(近似曲線)にゼロクロスが有ったとき(S308:YES)、磁気マーカ10を検出できたと判定している。磁気テープ10Tの検出に応じて車両2の横ずれ量の計測精度が十分に確保されている場合であれば、ステップS307の横方向作動フィルタ処理、及びステップS308のゼロクロスの判断、を省略しても良い。この場合には、進行方向差動フィルタ処理を適用して得られたフィルタ出力にゼロクロスが有ったとき(S306:YES)、直ちに磁気マーカ10の検出を判定すると良い。
【0075】
本例は、磁気検出システム1を搬送システム11に適用した例であるが、車両を自動走行させるシステムに適用することも良い。
【0076】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0077】
1 磁気検出システム
10 磁気マーカ
10T 磁気テープ
11 搬送システム
11R 経路
111 中心線
2 車両
21 牽引車両
23 台車
3 磁気センサユニット
32 検出処理回路
40 制御ユニット
44 モータユニット
442 車輪速センサ
46 操舵ユニット
48 マーカデータベース(マーカDB)
An、A1~A15 磁気センサ
図1
図2
図3
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図5
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図10
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