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特開2024-136912基板処理装置、クリーニング方法、基板処理方法、半導体装置の製造方法及びプログラム
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  • 特開-基板処理装置、クリーニング方法、基板処理方法、半導体装置の製造方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136912
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】基板処理装置、クリーニング方法、基板処理方法、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240927BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/302 101H
C23C16/44 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048223
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 薫
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA04
4K030AA06
4K030AA13
4K030BA40
4K030DA06
4K030GA02
4K030KA02
5F004AA15
5F004BA19
5F004BB18
5F004BB26
5F004BD04
5F004DA00
5F004DA17
5F004DA20
5F004DB07
5F045AA06
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB32
5F045AB33
5F045AB34
5F045AC00
5F045AC03
5F045AC12
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AE21
5F045AE23
5F045AE25
5F045AF19
5F045BB15
5F045DP03
5F045DQ10
5F045EB06
5F045EE17
5F045EH18
5F045EK07
(57)【要約】
【課題】クリーニング処理の有効化を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】(a)処理室と、(b)処理室に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、(c)処理室にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給部と、(d)プロダクト基板又はプロダクト基板よりも径が小さいダミー基板を基板載置面で支持可能とする支持部と、(e)基板載置面にプロダクト基板が支持された状態で、処理ガスを供給して、プロダクト基板を処理し、基板載置面にダミー基板が支持された状態で、基板載置面のうち少なくともダミー基板の外周にクリーニングガスを供給し、プロダクト基板を処理した際にプロダクト基板の裏面と基板載置面との間に回り込んだ処理ガスによって形成されたクリーニング対象物をクリーニング処理するよう制御可能な制御部と、を有する技術が提供される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)処理室と、
(b)前記処理室に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
(c)前記処理室にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給部と、
(d)プロダクト基板又は前記プロダクト基板よりも径が小さいダミー基板を基板載置面で支持可能とする支持部と、
(e)前記基板載置面に前記プロダクト基板が支持された状態で、前記処理ガスを供給して、前記プロダクト基板を処理し、
前記基板載置面に前記ダミー基板が支持された状態で、前記基板載置面のうち少なくとも前記ダミー基板の外周側に前記クリーニングガスを供給し、前記プロダクト基板を処理した際に前記プロダクト基板の裏面と前記基板載置面との間に回り込んだ前記処理ガスによって形成されたクリーニング対象物をクリーニング処理するよう制御可能な制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記ダミー基板の形状は、前記プロダクト基板と同形状である
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記プロダクト基板及び前記ダミー基板にはノッチ又はオリフラが設けられ、
前記基板載置面に前記ダミー基板を支持する際には、前記プロダクト基板を支持した際のノッチ又はオリフラの位置と合わせるよう、前記ダミー基板を載置する
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ダミー基板の外周は、前記プロダクト基板の外周との間の距離が一定の距離となるよう設定される
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
更に、ノッチ又はオリフラの位置合わせ装置を備える
請求項3または請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理室が複数設けられ、
更に複数の前記処理室に隣接する真空搬送室と、
前記ダミー基板を保管するダミー基板保管部と、
を備え、
複数の前記処理室に対して前記真空搬送室を介して前記ダミー基板保管部との間の前記ダミー基板の搬入又は搬出を行うように構成される
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理室が複数設けられ、
更に複数の前記処理室に隣接する真空搬送室と、
前記真空搬送室に隣接するロードロック室と、
前記ロードロック室に隣接する大気搬送室と、
前記大気搬送室に隣接するダミー基板保管部と、
を備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板載置面は、
前記基板載置面の外周によって外縁が構成される第一面と、
前記第一面の内側に位置し、前記プロダクト基板の外周端を支持可能に構成される第二面と、
前記第二面の内側に位置し、前記ダミー基板の外周によって外縁が構成される第三面と、を有し、
前記第一面には、前記クリーニングガスの影響を抑制可能な耐クリーニングガス部が設けられる
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板載置面は、
前記基板載置面の外周によって外縁が構成される第一面と、
前記第一面の内側に位置し、前記プロダクト基板の外周端を支持可能に構成される第二面と、
前記第二面の内側に位置し、前記ダミー基板の外周によって外縁が構成される第三面と、を有し、
前記第二面には、前記クリーニングガスの影響を抑制可能な耐クリーニングガス部が設けられる
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記第二面には、前記プロダクト基板の裏面のエッジ部が支持されるよう構成される
請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記影響は、前記クリーニングガスによるエッチングの影響であり、
前記耐クリーニングガス部は、前記エッチングを抑制可能とする
請求項8または9に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記耐クリーニングガス部は、円環状のリング構造を有している
請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
処理室に配された支持部の基板載置面にプロダクト基板が支持された状態で、前記処理室に処理ガスを供給して、前記プロダクト基板を処理した際に、前記プロダクト基板の裏面と前記基板載置面との間に回り込んだ前記処理ガスによって形成されたクリーニング対象物について、前記基板載置面に前記プロダクト基板よりも径が小さいダミー基板が支持された状態で、前記基板載置面のうち少なくとも前記ダミー基板の外周側にクリーニングガスを供給して、前記クリーニング対象物のクリーニング処理を行う工程
を有するクリーニング方法。
【請求項14】
処理室に配された支持部の基板載置面にプロダクト基板が支持された状態で、前記処理室に処理ガスを供給して、前記プロダクト基板を処理する工程と、
前記基板載置面に前記プロダクト基板よりも径が小さいダミー基板が支持された状態で、前記基板載置面のうち少なくとも前記ダミー基板の外周側にクリーニングガスを供給し、前記プロダクト基板を処理した際に前記プロダクト基板の裏面と前記基板載置面との間に回り込んだ前記処理ガスによって形成されたクリーニング対象物をクリーニング処理する工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項15】
請求項14に記載の基板処理方法により前記プロダクト基板を処理して、半導体装置を製造する半導体装置の製造方法。
【請求項16】
処理室に配された支持部の基板載置面にプロダクト基板が支持された状態で、前記処理室に処理ガスを供給して、前記プロダクト基板を処理する手順と、
前記基板載置面に前記プロダクト基板よりも径が小さいダミー基板が支持された状態で、前記基板載置面のうち少なくとも前記ダミー基板の外周側にクリーニングガスを供給し、前記プロダクト基板を処理した際に前記プロダクト基板の裏面と前記基板載置面との間に回り込んだ前記処理ガスによって形成されたクリーニング対象物をクリーニング処理する手順とを、
コンピュータにより基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、クリーニング方法、基板処理方法、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程で用いられる基板処理装置においては、基板を処理する処理室内にクリーニングガスを供給して、処理室内に付着した副生成物等を除去するクリーニング処理を行うことがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-111760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、クリーニング処理を効果的に行うことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
(a)処理室と、
(b)前記処理室に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
(c)前記処理室にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給部と、
(d)プロダクト基板又は前記プロダクト基板よりも径が小さいダミー基板を基板載置面で支持可能とする支持部と、
(e)前記基板載置面に前記プロダクト基板が支持された状態で、前記処理ガスを供給して、前記プロダクト基板を処理し、
前記基板載置面に前記ダミー基板が支持された状態で、前記基板載置面のうち少なくとも前記ダミー基板の外周側に前記クリーニングガスを供給し、前記プロダクト基板を処理した際に前記プロダクト基板の裏面と前記基板載置面との間に回り込んだ前記処理ガスによって形成されたクリーニング対象物をクリーニング処理するよう制御可能な制御部と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、クリーニング処理を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一態様に係る基板処理装置の横断面の概略図である。
図2】本開示の一態様に係る基板処理装置の縦断面の概略図である。
図3】本開示の一態様に係る基板処理装置における処理容器(チャンバ)の概略構成図である。
図4】本開示の一態様に係る基板処理装置における基板載置状態の一例の概略図である。
図5】本開示の一態様に係る基板処理装置における基板載置状態の他の例の概略図である。
図6】本開示の一態様に係る基板処理装置におけるガス供給部の概略構成図である。
図7】本開示の一態様に係る基板処理装置におけるコントローラの機能構成のブロック図である。
図8】本開示の一態様に係る基板処理工程を示すフロー図である。
図9】本開示の一態様に係るクリーニング工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一態様について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
本態様の一実施形態に係る基板処理装置の概要構成を、図1図2を用いて説明する。図1は本開示の一態様に係る基板処理装置の構成例を示す横断面図である。図2は、本開示の一態様に係る基板処理装置の構成例を示し、図1α-α’における縦断面図である。
【0010】
(全体構成)
図1及び図2において、本態様が適用される基板処理装置100は、基板200を処理するために用いられるもので、IOステージ110、大気搬送室120、ロードロック室130、真空搬送室140、プロセスモジュールPMで主に構成される。次に各構成について具体的に説明する。図1の説明においては、前後左右は、X1方向が右、X2方向が左、Y1方向が前、Y2方向が後とする。
【0011】
基板処理装置100の手前には、IOステージ(ロードポート)110が設置されている。IOステージ110上には複数のポッド111が搭載されている。ポッド111はシリコン(Si)基板などの基板200を搬送するキャリアとして用いられる。基板200のことを「プロダクト基板」又は「プロダクトウエハ」と呼ぶこともある。また、IOステージ110上には、ポッド111に加えて、ダミー基板200Dを保管するダミー基板保管部としてのダミー基板ストッカ112を備える。ダミー基板200Dのことを「ダミーウエハ」と呼ぶこともある。なお、プロダクト基板200及びダミー基板200Dについては、詳細を後述する。
【0012】
IOステージ110は大気搬送室120に隣接する。大気搬送室120は、IOステージ110と異なる面に、後述するロードロック室130が連結される。大気搬送室120内にはプロダクト基板200又はダミー基板200Dを移載する大気搬送ロボット122が設置されている。また、大気搬送室120内には、大気搬送ロボット122とは異なる位置に、プロダクト基板200又はダミー基板200Dに形成されているノッチ又はオリフラ(オリエンテーションフラット)の位置を合わせる位置合わせ装置(以下、「プリアライナ」という。)123が設置されている。
【0013】
大気搬送室120の筐体127の前側には、プロダクト基板200又はダミー基板200Dを大気搬送室120に対して搬入搬出するための基板搬入搬出口128と、ポッドオープナ121とが設置されている。大気搬送室120の筐体127の後ろ側には、プロダクト基板200又はダミー基板200Dをロードロック室130に搬入搬出するための基板搬入出口129が設けられる。基板搬入出口129は、ゲートバルブ133によって開放・閉鎖することにより、プロダクト基板200又はダミー基板200Dの出し入れを可能とする。
【0014】
ロードロック室130は大気搬送室120に隣接する。ロードロック室130を構成する筐体131が有する面のうち、大気搬送室120と異なる面には、後述する真空搬送室140が配置される。真空搬送室140は、ゲートバルブ134を介して接続される。
【0015】
ロードロック室130内にはプロダクト基板200又はダミー基板200Dを載置する載置面135を、少なくとも二つ有する基板載置台136が設置されている。基板載置面135間の距離は、後述するロボット170のアームが有するエンドエフェクタ間の距離に応じて設定される。
【0016】
基板処理装置100は、負圧下でプロダクト基板200が搬送される搬送空間となる搬送室としての真空搬送室140を備えている。真空搬送室140を構成する筐体141は平面視が五角形に形成され、五角形の各辺には、ロードロック室130と、プロダクト基板200を処理する複数のプロセスモジュールPM(PM1~PM4)と、が連結されている。
【0017】
真空搬送室140の略中央部には、負圧下でプロダクト基板200又はダミー基板200Dを移載(搬送)する搬送部としての搬送ロボット170がフランジ144を基部として設置されている。
【0018】
真空搬送室140内に設置される真空搬送ロボット170は、エレベータ145及びフランジ144によって真空搬送室140の気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。ロボット170は、二つのアーム180を備える。アーム180は、プロダクト基板200を載置するエンドエフェクタを備える。尚、図2においては、説明の便宜上、アーム180のエンドエフェクタを表示し、フランジ144と接続されるロボット軸等の構造は省略している。
【0019】
ロボット170が有する二つのアーム180は、エレベータ145によって昇降可能なよう構成されている。エレベータ145は、アーム180の昇降や回転を制御する。アーム180は、アーム軸を中心とした回転や延伸が可能である。回転や延伸を行うことで、プロセスモジュールPM内にプロダクト基板200又はダミー基板200Dを搬送したり、プロセスモジュールPM内からプロダクト基板200又はダミー基板200Dを搬出したりする。
【0020】
真空搬送室140を構成する平面視が五角形の筐体141の側壁のうち、ロードロック室130が設置されていない側には、複数のプロセスモジュールPM1~PM4が真空搬送室140を中心に放射状に配される。
【0021】
プロセスモジュールPM1~PM4のそれぞれには、プロダクト基板200を処理する処理容器としてのチャンバRCが設けられる。具体的には、プロセスモジュールPM1にはチャンバRC1,RC2が設けられる。プロセスモジュールPM2にはチャンバRC3,RC4が設けられる。プロセスモジュールPM3にはチャンバRC5,RC6が設けられる。プロセスモジュールPM4にはチャンバRC7,RC8が設けられる。つまり、プロセスモジュールPMには、それぞれ複数(例えば二つ)のチャンバRCが設けられる。
【0022】
真空搬送室140の筐体141の側壁のうち、各プロセスモジュールPM1~PM4と向かい合う壁には、基板搬入出口148が設けられる。基板搬入出口148は、プロセスモジュールPM1~PM4におけるチャンバRCのそれぞれに対応して個別に設けられる。更に、それぞれの基板搬入出口148には、ゲートバルブ149が設けられる。具体的には、プロセスモジュールPM1におけるチャンバRC1,RC2に対応してゲートバルブ149(1),149(2)が設けられる。プロセスモジュールPM2におけるチャンバRC3,RC4に対応してゲートバルブ149(3),149(4)が設けられる。プロセスモジュールPM3におけるチャンバRC5,RC6に対応してゲートバルブ149(5),149(6)が設けられる。プロセスモジュールPM4におけるチャンバRC7,RC8に対応してゲートバルブ149(7),149(8)が設けられる。
【0023】
各ゲートバルブ149によって解放・閉鎖することで、基板搬入出口148を介したプロダクト基板200又はダミー基板200Dの出し入れを可能とする。
【0024】
(チャンバ(処理容器)の構成)
次に、各チャンバRC1~RC8の構成について説明する。各チャンバRC1~RC8はそれぞれ同様の構成であるため、ここでは一つのチャンバRCとして説明する。
【0025】
以下の説明では、チャンバRCは、処理対象となるプロダクト基板200に対して一枚ずつ処理を行う枚葉式の基板処理装置として機能する場合を例に挙げる。
図3は本開示の一態様に係る基板処理装置における処理容器(チャンバ)の概略構成を示す図である。
【0026】
チャンバRCは、プロダクト基板200を処理する処理容器として機能する容器202を備えている。容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料により構成されている。容器202内には、少なくとも、シリコンウエハ等のプロダクト基板200を処理するための処理空間205を構成する処理室201が形成されている。つまり、チャンバRCは、少なくとも、基板を処理可能な処理空間205を備えて構成されている。
【0027】
容器202の側面に、ゲートバルブ149に隣接した連通孔148が設けられており、連通孔148を介してプロダクト基板200又はダミー基板200Dが真空搬送室140との間を移動する。容器202の底部には、リフトピン207が複数設けられている。
【0028】
処理空間205には、プロダクト基板200又はダミー基板200Dを支持する支持部として機能する基板支持部210が配される。基板支持部210は、プロダクト基板200又はダミー基板200Dが載置される基板載置面211と、基板載置面211を表面に持つ基板載置台212と、基板載置台212内に設けられた加熱部としてのヒータ213と、を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0029】
ヒータ213には、電力を供給するための配線222が接続される。配線222はヒータ制御部223に接続される。ヒータ制御部223はコントローラ400に電気的に接続されている。コントローラ400は、ヒータ制御部223を制御してヒータ213を稼働させる。なお、ヒータ213の制御は、基板載置台212内に設けられた温度センサ216と配線220を介して接続される温度制御部221による検出結果に基づいて行うようにしてもよい。
【0030】
基板載置台212は、シャフト217によって支持される。シャフト217は、容器202の底部を貫通しており、さらに容器202の外部で昇降部218に接続されている。昇降部218を作動させてシャフト217および基板載置台212を昇降させることにより、基板載置台212は、基板載置面211上に載置されるプロダクト基板200又はダミー基板200Dを昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217の下端部の周囲はベローズ219により覆われており、チャンバRC内は気密に保持されている。
【0031】
基板載置台212は、プロダクト基板200又はダミー基板200Dの搬送時には、基板載置面211が連通孔148に対向する位置(基板搬送位置)まで下降し、プロダクト基板200又はダミー基板200Dの処理時には、プロダクト基板200又はダミー基板200Dが処理室201内の処理位置(基板処理位置)となるまで上昇する。
【0032】
処理空間205の上部(上流側)には、ガスを拡散させるバッファ構造230が設けられている。バッファ構造230は、主に蓋231で構成される。蓋231に設けられたガス導入孔231aと連通するよう、蓋231には、少なくとも、後述する第一ガス供給部241、第二ガス供給部242、第三ガス供給部243が接続される。図3はガス導入孔231aが一つしか示されていないが、ガス供給部ごとにガス導入孔を設けてもよい。
【0033】
処理空間205には、排気部271が接続されている。具体的には、処理空間205に連通する排気管272が、容器202に接続されている。排気管272には、処理空間205内を所定の圧力に制御する圧力制御器であるAPC273が設けられる。APC273は開度調整可能な弁体(図示せず)を有し、コントローラ400からの指示に応じて排気管272のコンダクタンスを調整する。また、排気管272においてAPC273の上流側にはバルブ274が設けられる。排気管272とバルブ274、APC273をまとめて排気部271と呼ぶ。
【0034】
さらに、排気管272の下流には、DP(Dry Pump:ドライポンプ)275が設けられる。DP275は、排気管272を介して、処理空間205内の雰囲気を排気する。
【0035】
(プロダクト基板及びダミー基板)
次に、基板支持部210の基板載置面211に載置されるプロダクト基板200及びダミー基板200Dについて説明する。
【0036】
図4は本開示の一態様に係る基板処理装置の基板載置状態の一例の概略図である。図例は、基板載置面211にプロダクト基板200が載置されている状態を示している。
【0037】
プロダクト基板200は、処理室201内で行う処理の対象物となるものである。そのため、プロダクト基板200は、ノッチ200aを所定方向に合わせた状態で、外形が円形状である基板支持部210の基板載置面211上に載置される。基板載置面211は、外形(円形状)の外周がプロダクト基板200の外形より大きく形成されている。したがって、プロダクト基板200は、外周端が基板載置面211によって支持された状態で、基板載置面211上に載置されることになる。なお、ここでは、プロダクト基板200にノッチ200aが設けられている場合を例に挙げるが、オリフラが設けられていてもよい。このことは、後述するダミー基板200Dのノッチ200Daについても同様である。
【0038】
基板載置面211の外周がプロダクト基板200の外形より大きいことで、基板載置面211の面上には、少なくとも、基板載置面211の外周によって外縁が構成される第一面211aと、その第一面211aの内側に位置する領域であってプロダクト基板200の載置領域としての第二面211bと、が存在することになる。第二面211bは、プロダクト基板200の外周端を支持可能に構成される。より具体的には、第二面211bには、がプロダクト基板200の基板載置面211側の面(被処理面を表面とした場合の裏面)の外周端(以下「エッジ部」ということもある。)が接するように、当該プロダクト基板200が支持される。したがって、第一面211aと第二面211bとの境界は、少なくともプロダクト基板200の外形と同じ大きさか、またはプロダクト基板200の外形よりも大きくなるように配される。
【0039】
基板支持部210の基板載置面211には、プロダクト基板200に代わって、ダミー基板200Dを載置することも可能である。
【0040】
図5は本開示の一態様に係る基板処理装置の基板載置状態の他の例の概略図である。図例は、基板載置面211にダミー基板200Dが載置されている状態を示している。
【0041】
ダミー基板200Dは、主に後述するクリーニング処理の際に用いられるものである。ダミー基板200Dは、プロダクト基板200と同形状であるが、プロダクト基板200よりも外形が小さく形成されている。つまり、ここでいう「同形状」は、ノッチ200Daが設けられていることを含め、プロダクト基板200の外形と同じ外形形状を有するが、その大きさが相違する相似形であることを意味する。
【0042】
プロダクト基板200と同形状であることから、基板載置面211にダミー基板200Dを支持する際には、ダミー基板200Dのノッチ200Daの位置を、プロダクト基板200を支持した際のノッチ200aの位置と合わせるよう(すなわち、ノッチ200Daを所定方向に合わせた状態で)、基板載置面211上に載置される。このとき、ダミー基板200Dは、プロダクト基板200よりも外形が小さく形成されている。そのため、基板載置面211上へのダミー基板200Dの載置は、ダミー基板200Dの外周がプロダクト基板200の外周と同心円状となるように行われる。これにより、基板載置面211上に載置した状態において、ダミー基板200Dの外周は、プロダクト基板200の外周との間の距離Lが一定の距離となるよう設定されることになる。
【0043】
ダミー基板200Dの外形がプロダクト基板200よりも小さいことで、基板載置面211の面上には、第一面211a及び第二面211bに加えて、第二面211bの内側に位置する領域であってダミー基板200Dの外周によって外縁が構成される領域(すなわち、ダミー基板200Dの載置領域)である第三面211cが存在することになる。つまり、基板載置面211は、第一面211aと、第二面211bと、第三面211cとを有する。
【0044】
以上のことを纏めると、基板載置面211の第一面211aは、基板載置面211の外周によって外縁が構成されており、その外縁(すなわち基板載置面211の外周)の径がプロダクト基板200の外周の径より大きく形成される。また、内周の径については、プロダクト基板200の外周の径と同じか、プロダクト基板200の外周の径よりも大きく(ただし、基板載置面211の外周よりは小さい)なるよう形成される。
基板載置面211の第二面211bは、外周の径が第一面211aの内周の径と合致するように形成される。また、内周の径については、ダミー基板200Dの外周と同じであって、プロダクト基板200の外周の径よりも小さくなるよう形成される。
基板載置面211の第三面211cは、外周の径が第二面211bの内周の径と合致するように形成される。そして、第二面211bよりも内側は、全ての領域が第三面211cとなる。
つまり、基板載置面211には、外周側から順に、第一面211a、第二面211b及び第三面211cが同心円状に配されている。
【0045】
基板載置面211の第一面211a、第二面211b及び第三面211cのうち、少なくとも第二面211bには、後述するクリーニングガスの影響を抑制可能な耐クリーニングガス部が設けられる。クリーニングガスの影響とは、当該クリーニングガスによるエッチングの影響のことをいう。したがって、耐クリーニングガス部は、クリーニングガスによるエッチングをエッチングを抑制可能とするものである。耐クリーニングガス部は、第二面211bに加えて、第一面211aにも設けられていてもよい。第一面211aと第二面211bのいずれにおいても、耐クリーニングガス部が設けられると、第一面211a、第二面211b及び第三面211cが同心円状であることから、設けられた耐クリーニングガス部は、円環状に形成されたリング構造を有することになる。
【0046】
(ガス供給部の構成)
次に、処理室201にガスを供給するガス供給部について図6を用いて説明する。
図6は本開示の一態様に係る基板処理装置におけるガス供給部の概略構成を示す図である。
【0047】
処理室201にガスを供給するガス供給部としては、少なくとも、第一ガス供給部241と、第二ガス供給部242と、第三ガス供給部243とがある。
【0048】
第一ガス供給部241は、蓋231に設けられたガス導入孔231aと連通する第一ガス供給管241aを有する。第一ガス供給管241aには、上流方向から順に、第一ガス源241b、流量制御器(流量制御部)であるMFC241c、及び開閉弁であるバルブ241dが設けられている。
【0049】
第一ガス源241bは、第一元素を含有する第一ガス(「第一元素含有ガス」とも呼ぶ。)源である。第一元素含有ガスは、原料ガス、すなわち、処理ガスの一つである。ここで、第一元素は、例えばシリコン(Si)である。すなわち、第一ガスは、例えばシリコン含有ガスである。具体的には、シリコン含有ガスとして、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、HCDS)ガスが用いられる。
【0050】
つまり、第一ガス供給部241は、処理室201に処理ガスを供給する処理ガス供給部の一つとして機能するように構成されている。主に、第一ガス供給管241a、MFC241c、バルブ241dにより、第一ガス供給部241が構成される。第一ガス源241bを第一ガス供給部241に含めてもよい。
【0051】
第二ガス供給部242は、蓋231に設けられたガス導入孔231aと連通する第二ガス供給管242aを有する。第二ガス供給管242aには、上流方向から順に、第二ガス源242b、流量制御器(流量制御部)であるMFC242c、及び開閉弁であるバルブ242dが設けられている。
【0052】
第二ガス源242bは、第二元素を含有する第二ガス(以下、「第二元素含有ガス」とも呼ぶ。)源である。第二元素含有ガスは、処理ガスの一つである。なお、第二ガスは、反応ガスまたは改質ガスとして考えてもよい。
【0053】
ここで、第二ガスは、第一元素と異なる第二元素を含有する。第二元素としては、例えば、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のいずれか一つである。ここでは、第二元素含有ガスは、例えば窒素含有ガスとして説明する。具体的には、窒素含有ガスとして、アンモニア(NH3)ガスが用いられる。
【0054】
第二ガス供給管242には、リモートプラズマユニット(RPU)242eを設けてもよい。RPU242eは、第二ガス供給管251内を通過する第二ガスをプラズマ状態とするものである。
【0055】
つまり、第二ガス供給部242は、処理室201に処理ガスを供給する処理ガス供給部の他の一つとして機能するように構成されている。主に、第二ガス供給管242a、MFC242c、バルブ242dにより、第二ガス供給部242が構成される。第二ガス源242bを第二ガス供給部242に含めてもよい。また、RPU242eを含めてもよい。
【0056】
なお、第一ガス単体でプロダクト基板200上に膜を形成する場合は、第二ガス供給部242を設けなくてもよい。
【0057】
第三ガス供給部243は、蓋231に設けられたガス導入孔231aと連通する第三ガス供給管243aを有する。第三ガス供給管243aには、上流方向から順に、第三ガス源243b、流量制御器(流量制御部)であるMFC243c、及び開閉弁であるバルブ243dが設けられている。
【0058】
第三ガス源243bは、シャワーヘッド230やチャンバRCに付着した副生成物等を除去するクリーニングガスの供給源である。クリーニングガスは、非処理ガスの一つであり、フッ素(F)を含有するフッ素含有ガスが用いられ、例えば三フッ化窒素(NF)ガスを用いることが考えられる。また、例えば、フッ化水素(HF)ガス、三フッ化塩素ガス(ClF)ガス、フッ素(F)ガス等を用いてもよく、またこれらを組合せて用いてもよい。
【0059】
つまり、第三ガス供給部243は、処理室201にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給部として機能するように構成されている。主に、第三ガス供給管243a、MFC243c、バルブ243dにより、第三ガス供給部243が構成される。第三ガス源243bを第三ガス供給部243に含めてもよい。
【0060】
(コントローラの構成)
基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御する制御部(制御手段)として機能するコントローラ400を有している。
【0061】
以下、図7を用いてコントローラ400について説明する。
図7は本開示の一態様に係る基板処理装置におけるコントローラの機能構成のブロック図である。
【0062】
制御部(制御手段)であるコントローラ400は、CPU(Central Processing Unit)401、RAM(Random Access Memory)402、記憶装置としての記憶部403、I/Oポート404を備えたコンピュータとして構成されている。RAM402、記憶部403、I/Oポート404は、内部バス405を介して、CPU401とデータ交換可能なように構成されている。基板処理装置100内のデータの送受信は、CPU401の一つの機能でもある送受信指示部406の指示により行われる。
【0063】
CPU401は、記憶部403からの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置281からの操作コマンドの入力等に応じて記憶部403からプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU401は、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、ゲートバルブ149の開閉動作、昇降機構218の昇降動作、ヒータ制御部223、各ポンプのオンオフ制御、MFCの流量調整動作、バルブ等を制御可能に構成されている。
【0064】
記憶部403は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶部403内には、基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等で構成されるレシピ409や、基板処理装置100の動作を制御する制御プログラム410等が、読み出し可能に格納されている。
【0065】
なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ400に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0066】
RAM402は、CPU401によって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0067】
I/Oポート404は、ゲートバルブ149、昇降機構218、各圧力調整器、各ポンプ、ヒータ制御部223等といった、上述した基板処理装置100の各構成に接続されている。
【0068】
また、コントローラ400には、上位装置284とネットワークを介して通信可能なネットワーク送受信部283が接続されている。ネットワーク送受信部283は、ロット中のプロダクト基板200の処理履歴や処理予定に関する情報等を受信することが可能である。
【0069】
なお、コントローラ400は、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、DVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)282を用いてコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本技術に係るコントローラ400を構成することができる。コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置282を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置282を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶部403や外部記憶装置282は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部403単体のみを含む場合、外部記憶装置282単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0070】
(2)基板処理工程
次に、半導体装置の製造方法の一工程として、上述した構成の基板処理装置100を使用して、プロダクト基板200上に薄膜を形成する工程について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ400により制御される。
【0071】
なお、本明細書において、「基板」という言葉を用いた場合には、「基板そのもの」を意味する場合や、「基板とその表面に形成された所定の層や膜等とその積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めて基板と称する場合)がある。また、本明細書において「基板の表面」という言葉を用いた場合は、「基板そのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「基板に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としての基板の最表面」を意味する場合がある。
したがって、本明細書において「基板に対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「基板そのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「基板に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としての基板の最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合が有る。また、本明細書において「基板に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としての基板最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合が有る。
なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合も「基板」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「基板」を「ウエハ」に置き換えて考えればよい。
【0072】
図8は、本実施態様に係る基板処理工程を示すフロー図である。
ここでは、基板処理工程として、プロダクト基板200上にシリコン含有膜としてSiN(シリコン窒化)膜を交互供給法により形成する場合を例に挙げる。基板処理工程は、少なくとも、基板搬入工程(ステップ202、以下ステップを「S」と略す。)と、成膜工程(S204)と、基板搬出工程(S206)と、を有する。
【0073】
(基板搬入工程:S202)
基板搬入工程(S202)では、IOステージ110上のポッド111に格納されたプロダクト基板200が、大気搬送室120、ロードロック室130及び真空搬送室140を経て、プロセスモジュールPMのチャンバRC内に搬入される。
【0074】
このとき、チャンバRCの処理室201内においては、基板載置台212を基板搬送位置まで下降させ、基板載置台212の貫通孔214にリフトピン207を貫通させる。その結果、リフトピン207が、基板載置台212表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。続いて、処理室201内を所定の圧力に調圧した後、ゲートバルブ149を開いて、処理室201内を真空搬送室140と連通させる。そして、真空搬送室140からゲートバルブ149を介してリフトピン207上にプロダクト基板200を載置させる。プロダクト基板200をリフトピン207上に載置させた後、基板載置台212を所定の位置まで上昇させることによって、プロダクト基板200が、リフトピン207から基板載置台212の基板載置面211上へ載置されるようになる。プロダクト基板200を基板載置面211に載置する際は、ヒータ213に電力を供給し、プロダクト基板200の表面が所定の温度となるよう制御される。
【0075】
(成膜工程:S204)
成膜工程(S204)では、基板載置面211上へ載置されたプロダクト基板200に対して、その表面にSiN膜の薄膜を形成する処理を行う。ここで行う処理は、異なる処理ガスを交互に供給する工程を繰り返すサイクリック処理である。
【0076】
具体的には、まず、処理室201内の圧力を調整する。所望の圧力になったら、第一ガス供給部241、第二ガス供給部242を制御して、処理室201内に第一ガスと第二ガスとを交互に供給し、処理室201内のプロダクト基板200を処理する。この工程における処理とは、例えば第一ガスと第二ガスとを反応させて、プロダクト基板200上に所定の膜を形成する処理をいう。本実施形態においては、第一ガスとしてHCDSガスを供給し、第二ガスとしてNH3ガスを供給し、プロダクト基板200の表面にSiN膜を形成する。
【0077】
第一ガスの供給工程と第二ガスの供給工程は複数回繰り返す。第一ガスの供給工程と第二ガスの供給工程の間及び第二ガスの供給工程と第一ガスの供給工程の間には、Nガス等の不活性ガスを供給して行うパージ工程(パージ処理)を挟んでもよい。また、第二ガスの供給工程の際には、RPU242eを稼働させて、第二ガスをプラズマ状態とするようにしてもよい。このようなサイクリック処理を行うことで、プロダクト基板200に対して所定膜厚のSiN膜を形成することができる。
【0078】
本工程では、例えば以下の条件で処理する。
第一ガス:HCDS
第一ガスのガス供給量:5~5000sccm
第二ガス:NH3
第二ガスのガス供給量:10~10000sccm
処理室の圧力:133~13332Pa
処理温度:300~500℃
【0079】
(基板搬出工程:S206)
基板搬出工程(S206)では、基板搬入工程(S202)と逆の手順で、処理室201から処理済みのプロダクト基板200を搬出する。これにより、IOステージ110上のポッド111に、処理済みのプロダクト基板200が格納されることになる。
【0080】
以上に説明したように、本実施形態の基板処理装置100においては、基板処理工程の実施にあたり、基板載置面211にプロダクト基板200が支持された状態で、処理室201内に処理ガスを供給して、プロダクト基板200を処理するよう、コントローラ400が基板処理装置100の各部を制御可能になっている。
【0081】
(3)クリーニング工程
以上のような基板処理工程を行った後は、所定のタイミング(例えば、所定枚数のプロダクト基板200の処理後、基板処理装置100の所定時間の稼働経過後等)で、処理室201内に付着した副生成物等を除去するクリーニング処理を行うことが望ましい。
【0082】
次に、上述した構成の基板処理装置100において行う処理室201内のクリーニング処理の手順(すなわち、本実施形態におけるクリーニング方法)について説明する。なお、以下の説明においても、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ400により制御される。
【0083】
本実施形態の基板処理装置100では、基板載置面211の外周がプロダクト基板200の外形より大きく、プロダクト基板200の外周端が基板載置面211の第二面211bによって支持される。そのため、上述した基板処理工程の成膜工程(S204)において、処理室201内に処理ガスを供給すると、基板載置面211上のプロダクト基板200の外周端の側から、プロダクト基板200の裏面と基板載置面211との間に回り込み、その回り込んだ処理ガスによって基板載置面211の第二面211bに副生成物等が形成されるおそれがある。このような第二面211bに形成された副生成物等は、クリーニング対象物として、クリーニング処理によって除去すべきである。
【0084】
また、本実施形態の基板処理装置100では、基板載置面211の外周がプロダクト基板200の外形より大きいことから、プロダクト基板200の表面(被処理面)とその外周端より外側の基板載置面211とに対して、連続的に成膜がされるおそれがある。このことは、プロダクト基板200が基板載置面211から離脱困難になるスティッキングを招き、処理室201内に異物を発生させる要因ともなり得る。そのため、プロダクト基板200の外周端の外側領域についても、クリーニング対象物をクリーニング処理によって除去すべきである。
【0085】
以上のことから、本実施形態の基板処理装置100では、特に基板載置面211の第二面211bについても、クリーニング処理を効果的に行えるようにすべく、以下に説明する手順でクリーニング処理を行う。
【0086】
図9は本実施態様に係るクリーニング工程を示すフロー図である。
本実施形態のクリーニング処理は、少なくとも、ダミー基板搬入工程(S402)と、クリーニング工程(S404)と、ダミー基板搬出工程(S406)と、を有する。
【0087】
(ダミー基板搬入工程:S402)
ダミー基板搬入工程(S402)では、IOステージ110上のダミー基板ストッカ112に格納されたダミー基板200Dが、大気搬送室120、ロードロック室130及び真空搬送室140を経て、クリーニング処理の対象となるプロセスモジュールPMのチャンバRC内に搬入される。
【0088】
このとき、チャンバRCの処理室201内においては、上述した基板搬入工程(S202)の場合と同様の手順で、基板載置台212の基板載置面211上にダミー基板200Dが載置される。
【0089】
基板載置面211上への載置は、プリアライナ123を利用して、ダミー基板200Dのノッチ200Daの位置を、プロダクト基板200を支持した際のノッチ200aの位置と合わせるように(すなわち、ノッチ200Daを所定方向に合わせた状態で)行う。また、基板載置面211上への載置は、ダミー基板200Dの外周がプロダクト基板200の外周と同心円状となるように、基板載置面211の第三面211cに対して行う。これにより、ダミー基板200Dの載置後、基板載置面211は、第三面211cがダミー基板200Dによって覆われるとともに、それより外側の第一面211a及び第二面211bが処理室201内に露出した状態となる。
【0090】
(クリーニング工程:S404)
クリーニング工程(S404)では、処理室201内にクリーニングガスを供給して、ダミー基板200Dが載置された基板載置面211に対するクリーニング処理を行う。具体的には、第三ガス供給部243を制御して、処理室201内にクリーニングガスを供給し、そのクリーニングガスによって副生成物等の除去を行う。
【0091】
このとき、基板載置面211の第三面211cは、ダミー基板200Dによって覆われている。したがって、クリーニングガスを供給しても、そのクリーニングガスによって第三面211cがダメージを受けてしまうことはない。
【0092】
また、基板載置面211の第一面211a及び第二面211bについては、処理室201内に露出した状態である。したがって、処理室201内にクリーニングガスを供給することで、第一面211a及び第二面211bに付着した副生成物等を確実に除去することができる。つまり、成膜工程(S204)においてプロダクト基板200の裏面と基板載置面211との間に回り込んだ処理ガスによって第二面211bに副生成物等が形成されていても、その第二面211bにおける副生成物等の除去を効果的に行えるようになる。このことは、第一面211aについても同様である。
【0093】
なお、第二面211bに耐クリーニングガス部が設けられていれば、第二面211bが処理室201内に露出しており、第二面211bに対して直接的にクリーニングガスが供給される場合であっても、そのクリーニングガスの影響を抑制することが可能である。つまり、耐クリーニングガス部によって、第二面211bがダメージを受けてしまうのを抑制できる。この点によっても、第二面211bに対するクリーニング処理を効果的に行えるようになる。このことは、第一面211aに耐クリーニングガス部が設けられている場合についても同様である。
【0094】
クリーニングガスの供給開始から所定時間が経過すると、第三ガス供給部243を制御して、処理室201内へのクリーニングガスの供給を停止し、クリーニング工程(S404)を終了する。
【0095】
(ダミー基板搬出工程:S406)
クリーニング工程(S404)の終了後、ダミー基板搬出工程(S406)では、ダミー基板搬入工程(S402)と逆の手順で、処理室201からダミー基板200Dを搬出する。これにより、IOステージ110上のダミー基板ストッカ112に、ダミー基板200Dが格納されることになる。
【0096】
以上に説明したように、本実施形態の基板処理装置100においては、クリーニング処理の実施にあたり、基板載置面211にダミー基板200Dが支持された状態で、基板載置面211のうち少なくともダミー基板200Dの外周側にクリーニングガスを供給する。そして、プロダクト基板200を処理した際にプロダクト基板200の裏面と基板載置面211との間に回り込んだ処理ガスによって形成されたクリーニング対象物をクリーニング処理するよう、コントローラ400が基板処理装置100の各部を制御可能になっている。
【0097】
また、本実施形態の基板処理装置100においては、クリーニング処理の実施にあたり、各チャンバRC1~RC8内の処理室201に対して、真空搬送室140を介して、IOステージ110上のダミー基板ストッカ112との間のダミー基板200Dの搬入又は搬出を行う。さらに詳しくは、各チャンバRC1~RC8内の処理室201は真空搬送室140に隣接しており、真空搬送室140にはロードロック室130が隣接しており、ロードロック室130には大気搬送室120が隣接しており、大気搬送室120に隣接するIOステージ110にはダミー基板ストッカ112が配されている。そして、真空搬送室140、ロードロック室130及び大気搬送室120を介して、処理室201とダミー基板ストッカ112との間のダミー基板200Dの搬入又は搬出を行ようになっている。
【0098】
(4)半導体装置の製造方法
本実施形態においては、以上に説明したクリーニング処理を含む基板処理工程を半導体装置の製造方法の一工程として実施し、これによりプロダクト基板200を処理することで、半導体装置を製造することができる。
【0099】
(5)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す一つ又は複数の効果を奏する。
【0100】
(a)本実施形態によれば、処理室201内のクリーニング処理にあたり、基板載置面211にダミー基板200Dが支持された状態で、基板載置面211のうち少なくともダミー基板200Dの外周側にクリーニングガスを供給する。したがって、プロダクト基板200を処理した際にプロダクト基板200の裏面と基板載置面211との間に回り込んだ処理ガスによって副生成物等のクリーニング対象物が形成されていても、そのクリーニング対象物を除去することができる。つまり、プロダクト基板200よりも径が小さいダミー基板200Dを利用することで、クリーニング処理を効果的に行うことができる。
【0101】
(b)本実施形態によれば、ダミー基板200Dとしてプロダクト基板200と同形状のものを用い、ダミー基板200Dの基板載置面211上への載置の際にノッチ又はオリフラの位置をプロダクト基板200の場合と合わせ、基板載置面211上でのダミー基板200Dの外周とプロダクト基板200の外周との間の距離Lが一定の距離となるようにする。したがって、特に、プロダクト基板200の裏面と基板載置面211との間に回り込んだ処理ガスによって形成されたクリーニング対象物の除去に非常に有効である。処理ガスの回り込みは、プロダクト基板200の外周端から均等な領域に生じると考えられるからである。
【0102】
(c)本実施形態によれば、処理室201に対するダミー基板200Dの搬入又は搬出を、真空搬送室140等を介して行う。したがって、例えばIOステージ110にダミー基板ストッカ112を配しておけば、真空搬送室140等を備える基板処理装置100であれば(例えば既存の基板処理装置100であっても)、ダミー基板200Dを利用したクリーニング処理を行うことができる。
【0103】
(d)本実施形態によれば、基板載置面211が第一面211a、第二面211b及び第三面211cを有しており、少なくとも第二面211bに耐クリーニングガス部が設けられている。したがって、第二面211bに対して直接的にクリーニングガスが供給される場合であっても、そのクリーニングガスの影響を抑制可能であり、第二面211bがダメージを受けてしまうのを抑制できる。このことは、第一面211aに耐クリーニングガス部が設けられている場合についても同様である。
【0104】
(e)本実施形態によれば、処理室201内でプロダクト基板200を処理する際に、基板載置面211における第二面211bにプロダクト基板200の裏面のエッジ部が支持される。このような構成の場合、プロダクト基板200の裏面側への処理ガスの回り込みにより形成される形成された副生成物等に加えて、プロダクト基板200の外周端の近傍におけるスティッキングについても、難点となり得る。この点については、本実施形態のように、ダミー基板200Dを利用したクリーニング処理を行うことで、いずれの難点についても解消することができる。
【0105】
(6)本開示の他の実施形態
以上、本開示の一実施形態を具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0106】
例えば、上述の実施形態では、基板処理装置100が行う成膜処理として、第一ガスとしてHCDSガスを用い、第二ガスとしてNHガスが用いて、それらを交互に供給することによってプロダクト基板200上にSiN膜を形成する場合を例にあげたが、本開示がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理に用いる処理ガスは、HCDSガスやNHガス等に限られることはなく、他の種類のガスを用いて他の種類の薄膜を形成しても構わない。さらには、3種類以上の処理ガスを用いる場合であっても、これらを交互に供給して成膜処理を行うのであれば、本開示を適用することが可能である。
【0107】
また、例えば、上述の実施形態では、基板処理装置100が行う処理として成膜処理を例にあげたが、本開示がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理の他、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理であってもよい。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理にも好適に適用できる。さらに、本開示は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用した処理装置等の他の基板処理装置にも好適に適用できる。また、本開示は、これらの装置が混在していてもよい。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0108】
なお、本明細書における「5~5000sccm」のような数値範囲の表記は、下限値及び上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「5~5000sccm」とは「5sccm以上5000sccm以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【符号の説明】
【0109】
100・・・基板処理装置
110・・・IOステージ
120・・・大気搬送室
130・・・ロードロック室
140・・・真空搬送室
200・・・プロダクト基板
200D・・・ダミー基板
201・・・処理室
210・・・基板載置台
211・・・基板載置面
241・・・第一ガス供給部
242・・・第二ガス供給部
243・・・第三ガス供給部
400・・・コントローラ
PM・・・プロセスモジュール
RC・・・チャンバ
図1
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図9